(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】高温静電チャック接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 183/04 20060101AFI20220418BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220418BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220418BHJP
H01L 21/683 20060101ALN20220418BHJP
【FI】
C09J183/04
C09J11/04
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2019203024
(22)【出願日】2019-11-08
(62)【分割の表示】P 2016248845の分割
【原出願日】2009-12-18
【審査請求日】2019-11-12
(32)【優先日】2008-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2009-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】サン ジェニファー ワイ
(72)【発明者】
【氏名】サチ セン
(72)【発明者】
【氏名】デュアン レン グアン
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-165160(JP,A)
【文献】特開平03-157474(JP,A)
【文献】特開2005-129921(JP,A)
【文献】特開2007-326922(JP,A)
【文献】特開2008-103681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板サポート部品の接着用接着層であって、
フィラーが内部に分散するシリコンベースの高分子材料のマトリックスを含み、前記シリコンベースの高分子材料は、緒分子量の混合を含むジメチルシロキサンユニットを有するポリジメチルシロキサン(PDMS)構造を含み、前記緒分子量の混合は、約500ppm未満の低分子量(LMW)含有量ΣD3~D10、すなわち3~10のジメチルシロキサンユニットを有するすべてのPDMSの合計を含み、前記フィラーは、接着剤の体積で約50~約70%を構成し、前記フィラーは、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、又はそれらの組み合わせである金属酸化物又は窒化物を含むことで、これらの金属酸化物又は窒化物が前記接着剤の体積で50~約70%を構成しており、前記接着層は約4ミル(101.6マイクロメートル)から約15ミル(381マイクロメートル)の厚さを有し、前記接着層は、120℃の温度でセラミックス静電チャックを動作させる時に、剥離を生じることなく前記セラミックス静電チャックをベースへ
接着させることができる接着層。
【請求項2】
前記接着剤は摂氏約120度~摂氏約180度の温度で使用可能である、請求項1に記載の接着層。
【請求項3】
前記接着剤は少なくとも約0.5W/mKの熱伝導率を有している、請求項1又は2に記載の接着層。
【請求項4】
前記フィラーは酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、又はそれらの組み合わせの粒子を含んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載の接着層。
【請求項5】
前記フィラーは、約10ナノメートル~約10ミクロンの直径を有する粒子を含んでいる、請求項1~4のいずれか1項に記載の接着層。
【請求項6】
ベースと、
接着剤を含む接着層であって、フィラーが内部に分散するシリコンベースの高分子材料のマトリックスを含み、前記シリコンベースの高分子材料は、緒分子量の混合を含むジメチルシロキサンユニットを有するポリジメチルシロキサン(PDMS)構造を含み、前記緒分子量の混合は、約500ppm未満の低分子量(LMW)含有量ΣD3~D10、すなわち3~10のジメチルシロキサンユニットを有するすべてのPDMSの合計を含み、前記フィラーは、接着剤の体積で約50~約70%を構成し、前記フィラーは、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、又はそれらの組み合わせである金属酸化物又は窒化物を含むことで、これらの金属酸化物又は窒化物が前記接着剤の体積で50~約70%を構成しており、前記接着剤は、120℃の温度で静電チャックを動作させる時に、剥離を生じることなく前記静電チャックを前記ベースへ
接着させることができる接着層と、
前記ベース及び前記接着層の上に配置される、セラミックス静電チャックである前記静電チャックとを含み、前記接着層は前記ベース及び前記静電チャックを接着し、前記接着層は約4ミル(101.6マイクロメートル)から約15ミル(381マイクロメートル)の厚さを有している基板サポート。
【請求項7】
前記ベースはアルミニウム、ステンレス鋼、セラミックス、又はアルミニウム-セラミックス複合材料のうちの1つを含んでいる、請求項6に記載の基板サポート。
【請求項8】
前記ベースの近くに配置されたバッフルアセンブリを更に含み、前記バッフルアセンブリは、プロセスキット又はプロセスシールドのうちの1つを保持するように構成されている、請求項6又は7に記載の基板サポート。
【請求項9】
フィラーが内部に分散するシリコンベースの高分子材料のマトリックスを含む接着層を基板サポートベースの上に堆積させるステップであって、前記シリコンベースの高分子材料は、緒分子量の混合を含むジメチルシロキサンユニットを有するポリジメチルシロキサン(PDMS)構造を含み、前記緒分子量の混合は、約500ppm未満の低分子量(LMW)含有量ΣD3~D10、すなわち3~10のジメチルシロキサンユニットを有するすべてのPDMSの合計を含み、前記フィラーは、接着剤の体積で約50~約70%を構成し、前記フィラーは、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、又はそれらの組み合わせである金属酸化物又は窒化物を含むことで、これらの金属酸化物又は窒化物が前記接着剤の体積で50~約70%を構成しており、前記接着剤は、120℃の温度で静電チャックを動作させる時に、剥離を生じることなく前記静電チャックを前記ベースへ
接着させることができるステップと、
セラミックス静電チャックを前記接着層によって前記基板サポートベースに接着させるステップであって、前記接着層は約4ミル(101.6マイクロメートル)から約15ミル(381マイクロメートル)の厚さを有しているステップとを含む、基板サポートを静電チャックに接着させる方法。
【請求項10】
前記静電チャックを前記基板サポートベースに接着させるステップは、
前記ベース又は接着層のうちの少なくとも1つを所定の温度に加熱する間、前記静電チャックと前記ベースの間に
約0.34N/cm
2
~約10.00N/cm
2
の圧力を印加するステップ、又は
前記接着剤が硬化する間、前記静電チャック、接着層、及び基板サポートベースを
約34.47N/cm
2
~約137.89N/cm
2
の圧力で圧力容器内に配置するステップを含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接着層を堆積させる前に、前記ベース又は前記静電チャックのうちの少なくとも1つを摂氏約50~約110度の温度に加熱するステップ、又は
接着後、接着温度を摂氏約10~30度超える温度に、前記静電チャック、接着層、及びベースを加熱し、これによって前記接着層から低分子量残留物を少なくとも部分的に除去するステップのうちの少なくとも1つを更に含んでいる、請求項9又は10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して基板処理装置に関する。
【背景】
【0002】
静電チャック(ESC)は、例えば、接着層によって基板サポート部品に結合されるこ
とができる。デバイスのフィーチャーサイズが縮小し続けるにつれて、そのようなデバイ
スが作られるプロセスは、ますます高温プロセスを必要とする。本発明者らは、通常ES
Cを接着するのに使用される従来の接着層は、高温プロセスによって性能が劣化する可能
性があり、ESCが接着している部品から剥離する可能性があることに気付いた。このよ
うな剥離は、プロセスの均一性の問題だけでなく、接着層の断片から粒子汚染を引き起こ
す可能性がある。
【0003】
また、より小さいフィーチャーサイズのデバイスを作るために使用されている又は開発
中の多くのプロセスでは、使用するRF電力も増加し、これは更に上述の温度の問題を悪
化させる可能性があり、接着層を浸食する可能性もある。
【0004】
従って、本発明者らは、ESCチャックと基板サポート部品の間の接着を改善する方法
及び装置を提供する。
【概要】
【0005】
基板サポート部品に静電チャックを接着するための方法及び装置が、本明細書内で提供
される。いくつかの実施形態において、基板サポート部品の接着用接着剤は、フィラーが
内部に分散したシリコンベースの高分子材料のマトリックスを含んでもよい。シリコンベ
ースの高分子材料は、低分子量(LMW)の含有量ΣD3~D10が約500ppm未満
の分子量を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)構造であってもよい。いくつかの
実施形態において、フィラーは、接着層の体積で約50~約70%を構成してもよい。い
くつかの実施形態において、フィラーは、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミ
ニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y2O3)、又はそれらの組み合わせの粒子を含
んでもよい。いくつかの実施形態において、フィラーは、約10ナノメートル~約10ミ
クロンの直径を有する粒子を含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態において、基板サポートは、ベースと、フィラーが内部に分散した
シリコンベースの高分子材料のマトリックスを含む接着層と、ベース及び接着層の上に配
置された静電チャックとを含み、接着層はベースと静電チャックを接着することができる
。いくつかの実施形態では、シリコンベースの高分子材料は、繰り返しジメチルシロキサ
ンユニットを有するポリジメチルシロキサン(PDMS)構造を含んでもよい。いくつか
の実施形態では、マトリックスは、低分子量(LMW)の含有量ΣD3~D10が約50
0ppm未満の分子量を有する高分子材料でできていてもよい。いくつかの実施形態では
、接着層は、摂氏約120度を超える温度で使用可能であるかもしれない。
【0007】
いくつかの実施形態において、基板サポートを静電チャックに接着する方法は、フィラ
ーが内部に分散するシリコンベースの高分子材料のマトリックスを含む接着層を基板サポ
ートベースの上に堆積させるステップと、静電チャックを接着層によって基板サポートベ
ースに接着するステップを含んでもよい。接着層は、本明細書内で開示された接着剤配合
物のいずれであってもよい。他の及び更なる実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の上述した構成が、より詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約
したより特定の記述が、実施形態によって参照されてもよく、いくつかの実施形態は添付
図面に示されている。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示してい
るに過ぎず、従ってその範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本発明に対して
、他の均等に有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【0009】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に係るプロセスキットを内部に配置したエッチングリアクタの概略側面図を示す。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る基板サポートの部分側面図を示す。
【
図3】基板サポートを作る方法のフローチャートを示す。
【
図4C】
図3に示される方法に係る基板サポートの製造段階を示す。
【0010】
図面は、明瞭にするために簡素化されており、比例して描かれていない。理解を促進す
るために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用して
いる。一実施形態のいくつかの要素を他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解され
る。
【詳細な説明】
【0011】
基板サポート部品に静電チャックを接着するための方法及び装置が、本明細書内で提供
される。本発明の方法及び装置は、基板サポートに結合された静電チャック(ESC)、
及び、例えば、摂氏約120度を超える温度で、又はいくつかの実施形態では最高摂氏約
180度の温度を有するプロセス環境で基板サポートを有利に使用可能にする同製造手段
を提供する。ESCは、高い熱伝導率、高いラップせん断ひずみ、高い引張りひずみ、低
ガス放出、高純度、及び/又はプラズマ浸食に対する高い耐性を有利に提供することがで
きる接着剤を用いて基板サポートのベースに結合することができる。
【0012】
本発明に係る基板サポートは、プロセスチャンバ内に配置されるように構成してもよい
。例えば、
図1は、本明細書内で議論されるような本発明の実施形態を実施するために使
用できる種類の例示的なエッチングリアクタ102の概略図を示す。リアクタ102は、
単独で、又は、統合化半導体基板処理システム又はクラスタツール(図示せず、カリフォ
ルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Material
s,Inc.)から入手可能なCENTURA(登録商標)統合化半導体ウェハ処理シス
テムなど)の処理モジュールとして、使用可能である。適当なエッチングリアクタ102
の例としては、半導体装置のDPS(登録商標)ライン(例えば、DPS(登録商標)、
DPS(登録商標)II、DPS(登録商標)AE、又はDPS(登録商標)G3ポリエ
ッチャー等)、半導体装置のADVANTEDGE(登録商標)ライン(例えば、Adv
antEdge、AdvantEdge G3)、又は同様にアプライドマテリアルズか
ら入手可能な他の半導体装置(例えば、ENABLER(登録商標)、E-MAX(登録
商標)、又は同様の装置)を含む。半導体装置の上記リストは単なる例示であり、本明細
書内で提供される開示に従って、他のエッチングリアクタ、及び非エッチング装置(CV
Dリアクタ、又は他の半導体処理装置等)に変更されてもよい。
【0013】
リアクタ102は、電気的接地134と、チャンバ壁130の外部に位置する少なくと
も1つのソレノイドセグメント112に接続される導電性チャンバ壁130を有するプロ
セスチャンバ110を含む。チャンバ壁130は、チャンバ110の洗浄を促進するセラ
ミックスライナー131を含む。各ウェハが処理された後、エッチングプロセスの副生成
物及び残留物は、ライナー131から容易に除去される。ソレノイドセグメント112は
、少なくとも5Vを生成可能なDC電源154によって制御される。プロセスチャンバ1
10は、シャワーヘッド132から離間される基板サポート116を含む。基板サポート
116は、シャワーヘッド132の下に基板100を保持する静電チャック126を含む
。シャワーヘッド132は、複数のガス分布ゾーンを含んでもよく、これによって様々な
ガスが特定のガス分布勾配を用いてチャンバ110に供給可能となる。シャワーヘッド1
32は、基板サポート116に対向する上部電極128に取り付けられる。電極128は
、RF電源118に結合される。
【0014】
静電チャック126は、バイアス電源122に結合されたマッチングネットワーク12
4を介して、直流電源120及び基板サポート116によって制御される。任意で、電源
122は、DC又はパルスDC電源であってもよい。上部電極128は、インピーダンス
変換器119(例えば、1/4波長マッチングスタブ)を介して高周波(RF)電源11
8に結合される。バイアス電源122は、一般的に、周波数を50kHzから13.56
MHzまで調整可能で、0~5000ワットの電力を有するRF信号を生成可能である。
電源118は、一般的に、周波数を約160kHzに調整可能で、約0~2000ワット
の電力を有するRF信号を生成可能である。チャンバ110の内部は、真空ポンプ136
にスロットルバルブ127を介して結合される高真空容器である。反応性イオンエッチン
グ(RIE)チャンバ、及び電子サイクロトロン共鳴(ECR)チャンバ等を含むプラズ
マエッチングチャンバの他の形態が、発明を実施するために使用されてもよい。
【0015】
静電チャック126は、接着層を介して基板サポート116に結合される。静電チャッ
ク126は、誘電体材料(例えば、セラミックス等)を含み、内部に導電性のワイヤメッ
シュ(図示せず)を配置してもよい。ワイヤメッシュは、静電チャック126の表面に基
板100を固定する手段を提供するためにDC電源120に結合されてもよい。
【0016】
接着層は、
図2に関して、以下で詳細に説明される。本発明の接着層によって形成され
る接着は有利にも強靭であり、これによって基板サポートが摂氏約120度を超える温度
、いくつかの実施形態では最大180度又はそれ以上の温度を有するプロセス環境で使用
することができる。更に、いくつかの実施形態では、接着層は、高プラズマ密度(例えば
、およそE10~E12イオン/cm
3までのプラズマ密度)を有するプロセス環境に耐
えることができる。
【0017】
基板サポート116は、基板サポート116の部分側面図を示す
図2で更に詳しく示さ
れる。基板サポート116は、ベース202と、ベース202の上に配置された接着層2
04を更に含み、接着層204は、ベース202と静電チャック126との間の接着を形
成する。
【0018】
ベース202は、基板サポート116に1以上の機能を提供することができる。例えば
、ベース202は、静電チャック126を上に保持するためのサポートを提供することが
できる。その代わりに、又はそれと組み合わせて、ベース202は、静電チャック126
の上に配置された基板100から熱を除去するためのヒートシンクとして作用することが
できる。ベース202は、上述した機能を提供するために、又はプラズマ及び/又は半導
体処理環境との互換性を確保するために、必要に応じて任意の適切な材料を含んでもよい
。いくつかの実施形態では、ベース202は、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼、ア
ルミニウム-セラミックス複合材料、又はこれらの組み合わせから作られる。
【0019】
接着層204はベース202の上に配置され、ベース202と静電チャック126との
間の接着を形成する。接着層204は、約4~約15milの間の厚さを有することができ
る。一般的に、接着層は、約0.5W/mKよりも大きい熱伝導率を有することができる
。接着層204は、現在使用されている接着材料(例えば、マサチューセッツ州ウォーバ
ーンのパーカーハネフィン社(Parker Hannifin Corp.)の一部門
であるコメックス(Chomehcs)から入手可能なTHERMATTACH(登録商
標)T412)と少なくとも同等又はそれに勝る、ラップせん断ひずみ、引張りひずみ、
耐浸食性及びガス放出特性を有することができる。更に、接着層204は高バルク純度(
>99%)を有し、処理中に基板100に金属汚染を制限してもよい。更に、接着層20
4は、ハロゲン含有化学薬品(例えば、臭化水素(HBr)、塩素(Cl2)、トリフル
オロメタン(CHF3)、テトラフルオロメタン(CF4)、又はそれらの組み合わせ)
等の反応性化学薬品に耐性を持つことが可能である。
【0020】
接着層204は、フィラーが内部に分散したシリコンベースの高分子材料のマトリック
スを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マトリックスは、ポリジメチルシロキサン
(PDMS)又は他の適当なシリコン材料を含む。マトリックスは、直鎖ポリマー、分岐
ポリマー、架橋ポリマー、又はそれらの組み合わせから形成可能である。更に、所望の物
性(せん断及び引張りひずみ等)を達成するために、又は接着層のガス放出を制限するた
めに、マトリックスは、低分子量(LMW)の含有量ΣD3~D10(例えば、D3~D
10のすべての成分の合計。ただし、D3~D10は、繰り返しジメチルシロキサンユニ
ットを指す。)が、いくつかの実施形態では約200ppm未満、又はいくつかの実施形
態では約500ppm未満の分子量を有する高分子材料でできていてもよい。
【0021】
フィラーは、接着層204のマトリックスに分散できる。フィラーは、例えば、機械的
又は熱的特性(熱伝導率など)を高めるために利用できる。フィラーは、接着層204の
体積で約50~約70%を構成してもよい。一実施形態では、フィラーは、接着層204
の体積で約67%である。フィラーは、粒子(酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ア
ルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y2O3)、又はそれらの組み合わせを含む
粒子等)を含んでもよい。粒子は、直径が約10ナノメートル~約10ミクロン、又は約
100ナノメートル~約3ミクロンの範囲であってもよい。
【0022】
任意で、基板サポート116は、追加部品(基板100にRFバイアスを供給するため
の陰極206、又はベース202の周りに配置されたバッフルアセンブリ208等)を含
むことができる。バッフルアセンブリ208は、プロセスキット、又はプロセスキットシ
ールド等を保持するように構成されてもよい。ギャップ210が、静電チャック126、
接着層204、及びベース202の周縁端と、基板サポート116の任意選択部品の間に
存在してもよい。いくつかの実施形態では、シリコンインサートがギャップ210の上に
配置され、これによって反応性ガス又はプラズマが処理中にギャップ210に入るのを制
限してもよい。更に、基板サポート116は、例えば、基板サポート116の上面に対し
て基板100を上下動させるために使用可能なリフトピン(図示せず)を収容するための
、ベース202、接着層204、及び静電チャック126を貫通して配置される穴(図示
せず)を含んでもよい。
【0023】
図1に戻って、運転中、基板100は基板サポート116上に配置される。チャンバ内
部は、真空に近い環境まで減圧され、点火時にプラズマを生成するガス150(例えば、
アルゴン)が、ガスパネル138からシャワーヘッド132を通ってプロセスチャンバ1
10へ供給される。ガス150は、RF電源118から上部電極128(陽極)に電力を
印加することにより、プロセスチャンバ110内で点火されプラズマ152となる。磁場
がソレノイドセグメント112を介してプラズマ152に印加され、基板サポート116
はバイアス電源122から電力を印加することによってバイアスが掛けられている。基板
100の処理中に、エッチングチャンバ110の内部の圧力は、ガスパネル138及びス
ロットルバルブ127を用いて制御される。プラズマ152は、例えば、基板100内で
構造(ビア又はトレンチ等)をエッチングするために使用できる。
【0024】
チャンバ壁130の温度は、壁の内部及び周りに配置される液体含有コンジット(図示
せず)を用いて制御される。更に、基板100の温度は、クーラントを循環させるために
内部に形成されたチャネルを有する冷却板(図示せず)を介して基板サポート116の温
度を調節することによって制御される。更に、裏面側のガス(例えば、ヘリウム(He)
ガス)は、基板100の裏面側及び静電チャック126の表面内の溝(図示せず)によっ
て形成されるチャネル内にガス源148から供給される。ヘリウムガスは、基板サポート
116と基板100との間の熱伝達を促進するために使用される。静電チャック126は
、チャック本体内の抵抗ヒータ(図示せず)によって定常状態の温度まで加熱され、ヘリ
ウムガスは、基板100の均一加熱を促進する。チャック126の熱制御を使用して、基
板100は摂氏10~500度の温度に維持される。
【0025】
コントローラ140が、上記のようなチャンバ110の制御を促進するために使用され
てもよい。コントローラ140は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために
、工業環境で使用される汎用コンピュータプロセッサの何れかの形態の1つであってもよ
い。コントローラ140は、中央演算処理装置(CPU)144、メモリ142、及びC
PU144用のサポート回路146を含み、エッチングプロセスチャンバ110の様々な
部品に結合され、これによってエッチングプロセスの制御を促進する。メモリ142は、
CPU144に結合される。メモリ142又はコンピュータ可読媒体は、容易に利用可能
なメモリ(ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロ
ッピー(商標名)ディスク、ハードディスク、又は、ローカル又はリモートの他の何れか
の形態のデジタルストーレッジ等)のうちの1以上であることが可能である。サポート回
路146はCPU144に結合され、従来の方法でプロセッサを支援(サポート)する。
これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、及びサブシステム
等を含む。ソフトウェアルーチン104は、CPU144によって実行されると、リアク
タにプロセス(例えば、エッチングプロセス等)を実行させ、一般的にメモリ142内に
格納される。また、ソフトウェアルーチン104は、CPU144によって制御されるハ
ードウェアから離れて配置される第2のCPU(図示せず)によって格納及び/又は実行
されてもよい。
【0026】
基板サポートを製造するための方法300のフローチャートが、
図3に示される。方法
300は、
図4A~Cに示される基板サポートの製造段階に関して以下に説明される。方
法300は、
図4Aに示されるように、ベース402を提供する302から始まる。ベー
ス402は、前述のベース202に構造及び機能が似ている。
【0027】
図4Bに示されるように、304において、接着層404がベース402の上に堆積さ
れる。接着層404は、前述の接着層404に構造及び機能が似ている。接着層404は
、予め成形されたシートとして、又は液体として堆積可能である。例えば、液体プロセス
を用いるとき、マトリックス材料(PDMS等)及びフィラー(酸化アルミニウム(Al
2O
3)粒子等)が共に混合され、例えば脱気によって脱ガスされ、これによって捕捉さ
れたガス等を除去してもよい。その後、触媒が、マトリックス及びフィラーの混合物に添
加されてもよい。触媒は、例えば、白金触媒又はマトリックス材料の架橋を促進する他の
適切な触媒材料であってもよい。マトリックス材料及び触媒は、約5:1~約20:1の
質量比を有しており、より低い質量比は、接着プロセス中にマトリックス材料の架橋の増
加を引き起こす可能性がある。その後、混合物は、例えば脱気によって再び脱ガスされて
もよく、ベース402の上に液体状に堆積されてもよい。予め成形されたシートは、接着
剤のシートがまずシートを成形するために事前に硬化されてから、ベース402の上に堆
積可能となることを除いて、液体プロセスと同様の方法によって形成可能である。いくつ
かの実施形態では、シリコンベースの高分子材料の混合物を加熱又は蒸留して、これによ
って混合物から低分子量成分(例えば、D
3~D
10ユニット)の少なくともいくつかを
除去してもよい。
【0028】
図4Cに示されるように、306において、静電チャック406は、接着層を介してベ
ース402に接着される。接着プロセスは、圧力容器(例えば、オートクレーブ炉等)内
で行われてもよい。いくつかの実施形態では、圧力容器内の圧力は、約50~200ps
iである。あるいはまた、接着プロセスは、ベース402及び/又は接着層404を加熱
する間に圧力を印加するために、例えば、重力、クランプ、又はねじ止め等によって、静
電チャック406とベース402の間に圧力を印加することによって実行され、これによ
ってベース402と静電チャック406の間の接着を形成してもよい。いくつかの実施形
態では、接着プロセスの間、約0.5~約14.5psiの圧力がクランプ等によって印
加される。
【0029】
いくつかの実施形態では、ベース402は、接着層404を塗る前に予熱されてもよい
。ベース402の予熱温度は、摂氏約50~110度の間であってもよい。予熱温度は、
一度到達したならば、接着プロセスを通して維持されてもよい。任意選択で、静電チャッ
ク406もまた、圧力を印加する前に予熱されてもよい。方法300は一般的に、接着層
が静電チャック406とベース402との間に接着を形成すると終了する。いくつかの実
施形態では、圧力と熱が約3~約8時間印加され、接着が形成される。
【0030】
任意で、接着形成後処理は、接着温度を摂氏約10~約30度超える温度での適当な時
間の焼成を含み、これによって接着層404から低分子量残留物の除去を促進してもよい
。
【0031】
任意で、いくつかの実施形態において、プライマーが使用され、接着層404が、例え
ば静電チャック406及び/又はベース402の表面に接着するのを促進させてもよい。
プライマーは、例えば、ミシガン州ミッドランドのダウコーニング社(Dow Corn
ing Corp.)から入手可能な金属オルガノシラン(DC1200等)を含むこと
ができる。プライマーは、上記の方法を用いて接着層404を堆積し接着する前に、ベー
ス402及び/又は静電チャック406の接着面に塗られ硬化されてもよい。
【0032】
このように、基板サポートに静電チャックを接着するための方法及び装置が、本明細書
内で提供される。本発明の方法及び装置は、基板サポートと、摂氏約120度を超えるプ
ロセス環境で基板サポートを有利に使用可能とする同製造手段を提供する。
【0033】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施形態は本発
明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができる。