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特許7059262EUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】EUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネント
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220418BHJP
   C22C 1/10 20060101ALI20220418BHJP
   C22C 1/05 20060101ALI20220418BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20220418BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20220418BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20220418BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220418BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20220418BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20220418BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
C22C1/10 E
C22C1/10 Z
C22C1/05 A
B22F3/105
B22F3/16
B22F3/11 C
B33Y10/00
B33Y80/00
B33Y40/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019515283
(86)(22)【出願日】2017-09-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2017073376
(87)【国際公開番号】W WO2018050876
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】102016217735.4
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】エリック エヴァ
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0259249(US,A1)
【文献】特開2004-076043(JP,A)
【文献】国際公開第2015/124555(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136923(US,A1)
【文献】特開2004-010978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
G02B 6/35
G02B 26/00
C22C 1/05
C22C 1/10
C22C 47/00
C22C 49/00
B22F 3/105
B22F 3/16
B22F 3/11
B33Y 10/00
B33Y 80/00
B33Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネントであって、銅含有及び/又はアルミニウム含有マトリクス材料(402、502)を含み且つ繊維の形態の強化材料(404、504)を含む複合材料から少なくとも部分的に製造され、前記複合材料は、黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、及びセラミックの群からの材料のうち1つ又は複数からなる粒子(508)を含み、該コンポーネントは、ミラージョイントの構造部品(400、500)として構成されることを特徴とするコンポーネント。
【請求項2】
請求項1に記載のコンポーネントにおいて、前記複合材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、鉱物繊維、ガラス繊維、及びセラミック繊維の群からの1つ又は複数を強化材料(404、504)として含むことを特徴とするコンポーネント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンポーネントにおいて、前記マトリクス材料(502、402)は、分散硬化型であることを特徴とするコンポーネント。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のコンポーネントにおいて、前記粒子(508)及び/又は強化材料からなる繊維(404、504)は、コーティングされることを特徴とするコンポーネント。
【請求項5】
請求項に記載のコンポーネントにおいて、前記粒子(508)及び/又は繊維(404、504)は、貴金属、金属酸化物、モリブデン、及びケイ素の群からの1つ又は複数の繊維でコーティングされることを特徴とするコンポーネント。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載のコンポーネントにおいて、該コンポーネントは、前記マトリクス材料(502)中配置される強化繊維(504)を含み、前記強化繊維(504)は、前記構造部品(400、500)の延在する方向に対して略平行となるように配置されることを特徴とするコンポーネント。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載のコンポーネントにおいて、該コンポーネントは少なくとも部分的にコーティングされることを特徴とするコンポーネント。
【請求項8】
請求項に記載のコンポーネントにおいて、該コンポーネントは、貴金属、金属酸化物、モリブデン、及びケイ素の群からの1つ又は複数の材料(410)でコーティングされることを特徴とするコンポーネント。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載のコンポーネントにおいて、該コンポーネントは、20℃で200N/mmを超える降伏点Rp0.2を有することを特徴とするコンポーネント。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載のコンポーネントにおいて、該コンポーネントは、320W/mKを超える熱伝導率を有することを特徴とするコンポーネント。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のコンポーネントを製造する方法であって、
強化材料をマトリクス材料に導入するステップと、
前記強化材料を含むマトリクス材料から前記コンポーネントを成形するステップと、
前記コンポーネントを焼結し且つ/又は前記コンポーネントの形状を圧縮し且つ/又は前記コンポーネントを仕上げるステップと
を含み、前記マトリクス材料は、新鮮な還元金属粉末の形態で導入されるか、又は前記成形及び/又は焼結及び/又は圧縮は、還元雰囲気中で実行される方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記強化材料の繊維状の前駆体材料及び/又はさらに粒子の前駆体材料が前記マトリクス材料に導入され、前記成形及び/又は焼結及び/又は圧縮中に、前記前駆体材料が反応して強化材料及び/又は粒子材料を形成することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の方法において、前記成形及び/又は焼結及び/又は圧縮は、押出し成形、レーザ焼結、プラズマ焼結、熱間プレス及び/又は熱間静水圧プレスにより実行されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1113のいずれか1項に記載の方法において、前記仕上げは、放電加工、フライス削り、研削、研磨、及び/又はコーティングにより実行されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネント及びそれを製造する方法に関する。本願は、2017年9月16日の独国特許出願第10 2016 217 735.4号の優先権を主張し、その開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
例えばリソグラフィ法による半導体コンポーネントの製造中により微細な構造を製造することができるように、使用される光が短波長化される。使用される作動波長域が極紫外線(EUV)、例えば約5nm~20nmの波長である場合、透過型のレンズ素子のような素子を用いることが不可能となり、照明及び投影レンズは、各作動波長に適合した高反射コーティングを有するミラー素子から構成される。
【0003】
EUVリソグラフィ装置の照明系は、並んで近接配置された複数のミラーファセットをそれぞれが含む2つのファセットミラーを通常は収容している。ウェハに結像するための構造を有するマスクを作動波長の放射線で照明する方向を設定できるように、ミラーファセットは、アクチュエータを用いて個別に調整可能である。この場合、ミラーファセットは、担持構造上に非常に高密度に配置されるので、アクチュエータ及びジョイントに利用可能な空間が限られる。EUVリソグラフィ装置は、真空で動作しなければならないので、入射放射線の吸収の結果としてミラーファセットで生じる熱をガス流により放散させることができない。したがって、主に熱伝導により冷却を実行しなければならず、これは担持構造へのミラーファセットの関節連結をより困難にする。
【0004】
EUVリソグラフィ装置用ミラーアレイの一般的なコンポーネントは、例えば特許文献1から既知である。上記文献によれば、視野ファセットミラーの場合の状況が特に問題であり、視野ファセットミラーでは、視野ミラーファセットの像がマスクに重なり、したがってマスクを均一に照明するように、視野ファセットのミラーファセットが瞳ファセットミラーのミラーファセットによりマスクに結像される。光損失を回避するために、隣接するミラーファセット間のギャップはできる限り狭くしなければならないが、これは特に限られた空間条件につながる。視野ミラーファセットは傾斜の場合に横方向の動きを許されないので、視野ミラーファセットのアクチュエータ及びジョイントが瞳ミラーファセットの場合よりも複雑に実施されることから、空間条件は厳しくなる。さらに、視野ファセットミラーはビーム経路で瞳ファセットミラーの上流に位置するので、熱放散の問題は視野ファセットミラーの場合により深刻である。
【0005】
ミラーアレイのコンポーネントの場合の、特にEUVリソグラフィ装置の照明系のファセットミラーの場合の熱伝導率、材料の許容応力、剛性、及び強度に関する厳しい要件を満たすために、こうしたコンポーネントは、これまで特に分散硬化型金属又は析出硬化型合金、好ましくは銅若しくは銅合金、アルミニウム若しくはアルミニウム合金、又は銅アルミニウム合金から製造されてきた。天然硬質合金(naturally hard alloys)も適している。
【0006】
しかしながら、空間不足により、コンポーネントの寸法は、当該コンポーネントの断面が析出硬化型合金の粒径のオーダとなるほど部分的に薄い場合があるので、コンポーネント断面が1又は2粒子だけで形成されることが局所的に起こる可能性があり、これはコンポーネントの長期安定性を脅かすと共に製造時に検出することができないことが分かっている。分散硬型金属、例えば銅の場合には粒径は概してより小さいので、このリスクは低くなる。しかしながら、そのクリープ(creepage)挙動は少なくなる。さらに、はんだ付けプロセス中にはんだが合金化されるか、又は水素、特に原子水素を用いたミラーアレイの現場洗浄中に水素がコンポーネントに浸透して損傷をもたらす可能性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第10 2013 215 169号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、EUVリソグラフィ用ミラーアレイの既知のコンポーネントを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、EUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネントであって、銅含有及び/又はアルミニウム含有マトリクス材料を含み且つ繊維の形態の強化材料を含む複合材料から少なくとも部分的に製造され、複合材料はさらに、黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、及びセラミックの群からの材料のうち1つ又は複数からなる粒子を含むコンポーネントにより達成される。
【0010】
マトリクス材料は、銅合金又はアルミニウム合金、特に天然硬質又は析出硬化型合金であり得る。マトリクス材料は、好ましくはアルミニウム、特に好ましくは銅である。
【0011】
分かっているのは、これらの繊維強化複合材料が、狭い寸法を有するEUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネントさえも設けることを可能にし、当該コンポーネントが、十分な熱伝導率及び十分な強度の両方を有することである。特に、十分な熱伝導率と共に、コンポーネントに生じる応力と材料の降伏点との間で十分な安全計数を有するコンポーネントを設計することが可能である。さらに、特に有利なのは、マトリクス材料のほぼ粒径又は粒径程度の非常に薄いコンポーネント又は非常に薄い場所があるコンポーネントの場合に特に、連続した負荷での破損のリスクが低減することである。
【0012】
さらに分かっているのは、複合材料がさらに黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、及びセラミックの群からの材料のうち1つ又は複数からなる粒子を含む場合、材料特性を所望の方向でさらに改善できることである。この点で特に、強度、熱伝導率、及びクリープ特性を改善することができる。
【0013】
強化材料及び添加粒子の両方として、炭素系材料には特に、実質的に銅の熱伝導率を高い機械的強度及び良好なクリープ挙動と共に維持することができるという利点がある。
【0014】
好ましい実施形態では、複合材料は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、鉱物繊維、ガラス繊維、及びセラミック繊維の群からの1つ又は複数を強化材料として含む。鉱物繊維の場合、アスベスト又はウォラストナイト繊維がコンポーネントの良好な熱伝導率及び高い強度に関して特に好ましい。セラミック繊維の場合、特に好ましいのは、炭化ケイ素繊維、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の混合物からなる繊維、例えばムライト等、又は酸化ホウ素若しくは酸化ジルコニウムからなるか若しくはカルボシランからなる繊維である。ガラス繊維の場合、特に石英ガラスからなるか若しくはドープ石英ガラスからなる繊維が好ましい。
【0015】
コンポーネントは、最も広い意味でミラー素子の取り付けに役立つミラーアレイの構造部品であり得る。個々のミラーファセット又はミラーファセット群の向きの調整を可能にするために、取り付けは、特にファセットミラーの場合のように可動であるよう構成することもできる。好ましくは、コンポーネントはミラージョイントの構造部品として構成され、クリープ又は破壊のリスクが低くなるので結果としてミラージョイントの寿命を延ばすことができ、これにより位置決め精度を高めることもできる。
【0016】
特に、マトリクス材料、特に銅又はアルミニウムマトリクスが分散硬化型であり、その結果、例えば純マトリクス材料と比べてさらに高い強度を有すれば有利である。
【0017】
好ましい実施形態では、強化材料からなる繊維及び/又は粒子がコーティングされる。これにより、動作中又は洗浄中にマトリクス材料、特に銅マトリクス材料を通してコンポーネントに浸透し得る水素又は他の反応性ガスが強化材料又は粒子材料と反応してコンポーネントの腐食に寄与するリスクを低減することが可能である。コーティングは、銅マトリクス又は他の何らかのマトリクス材料に対する接着促進剤として働くこともできる。有利なのは、粒子及び/又は繊維が、貴金属、金属酸化物、モリブデン、及びケイ素の群からの1つ又は複数の材料でコーティングされることである。モリブデン/ケイ素多層コーティングは特に、水素に対する拡散バリアとして適していることが分かっている。
【0018】
好ましい実施形態では、コンポーネントは、マトリクス材料中の配置がコンポーネントの幾何学的形状に実質的に対応する強化繊維を含む。それにより、コンポーネントを、特に動作中にコンポーネントに作用する力の方向に強化することができる。
【0019】
EUVリソグラフィ装置の動作中又は洗浄中にコンポーネントが曝され得る水素脆化又は他の反応性ガスの悪影響に対する保護に関して、コンポーネントは、少なくとも部分的にコーティングされることが好ましい。特に好ましくは、コンポーネントの全面がコーティングされる。比較的中実のコンポーネントの場合、亀裂又は欠陥を通して浸透した可能性がある水素をコンポーネントから出すことができる通気孔を設けることが可能である。通気孔は、例えばレーザ孔加工され得る。
【0020】
有利なのは、水素により特に激しく攻撃され得る黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、又はカーボンナノチューブ等の炭素系の強化材料又は添加粒子の場合に特に、コンポーネントが、貴金属、金属酸化物、モリブデン、及びケイ素の群からの1つ又は複数の材料でコーティングされることである。モリブデン/ケイ素多層コーティングは特に、水素に対する拡散バリアとして適していることが分かっている。
【0021】
好ましくは、コンポーネントは、特に銅含有コンポーネントの場合、20℃で200N/mmを超える、好ましくは20℃で400N/mmを超える降伏点Rp0.2を有する。降伏点Rp0.2は、耐力又は弾性限界とも称する。これは、除荷後の試料の初期長に対する永久伸びが0.2%となる機械的応力に相当する。
【0022】
有利なのは、コンポーネントが、特に炭化ケイ素、黒鉛、又はダイヤモンドからなる強化繊維及び/又は粒子を含むマトリクス材料として銅を含むコンポーネントの場合、320W/mkを超える、好ましくは370W/mkを超える熱伝導率を有することである。高い熱伝導率の結果として、このようなコンポーネントは、EUVリソグラフィ装置の真空で用いるのに特に適している。
【0023】
さらに別の態様では、上記目的は、上述のコンポーネントを製造する方法であって、
強化材料をマトリクス材料に導入するステップと、
強化材料を含むマトリクス材料からコンポーネントを成形するステップと、
コンポーネントを焼結し且つ/又はコンポーネントの形状を圧縮し且つ/又はコンポーネントを仕上げるステップと
を含み、マトリクス材料は、新鮮な還元金属粉末(freshly reduced metal powder)の形態で導入されるか、又は成形及び/又は焼結及び/又は圧縮は、還元雰囲気中で実行される方法により達成される。
【0024】
新鮮な還元粉末、特にアルミニウム若しくは銅粉末の加工、又は還元雰囲気中での1つ又は複数の製造ステップの実行により、コンポーネントの材料ができる限り酸素を含まず且つ水素脆化に対して耐性があることを確実にすることが可能である。
【0025】
例えば、粉末冶金に基づいた加工又は溶融マトリクス材料への強化繊維の導入が可能である。
【0026】
場合によっては、強化繊維に加えて、例えば黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、及び/又は例えば炭化ケイ素等のセラミックからなる粒子を添加することができる。さらに、例えば超微粒子酸化アルミニウムの添加により分散硬化を行うことができる。さらに、強化材料からなる繊維又は添加粒子は、特に炭素系である場合はマトリクス材料への導入前に、水素からの保護のために、例えば電気めっき又は化学若しくは物理蒸着、例えば蒸着若しくはスパッタリング等により貴金属、金属酸化物、又はMo/Si多層でコーティングすることができる。
【0027】
好ましくは、強化材料の繊維状の前駆体材料及び/又はさらに添加粒子の前駆体材料がマトリクス材料に導入され、成形及び/又は焼結及び/又は圧縮中に、前駆体材料が反応して強化材料及び/又は粒子材料を形成する。この点で、例えば粒子形成のために、圧縮中にのみ炭化して特に還元雰囲気中で黒鉛又はダイヤモンドライクカーボンの形態の炭素を形成する炭素化合物を導入することが可能である。代替的に、マトリクス材料中に存在する酸素と反応して酸化ホウ素粒子を形成し、したがって酸素を結合するナノ分散ホウ素を例えば導入することが可能である。反応して酸化ホウ素繊維を形成するホウ素糸(boron threads)を導入することも可能である。
【0028】
強化材料及び該当する場合は添加粒子の材料の選択に応じて、且つ製造しようとするコンポーネントの幾何学的形状に応じて、成形及び/又は焼結及び/又は圧縮は、押出し成形、レーザ焼結、プラズマ焼結、熱間プレス及び/又は熱間静水圧プレスにより実行することができる。
【0029】
ミラーアレイにおける幾何学的形状及び予定使用場所に応じて、コンポーネントの仕上げは、放電加工(erosion)、フライス削り、研削、研磨、及び/又はコーティングにより実行することができる。コーティングは、特に、電気めっき又は気相からの化学的若しくは物理的析出により行うことができる。
【0030】
本明細書を好ましい例示的な一実施形態に関してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】EUVリソグラフィ装置を示す。
図2】EUVリソグラフィ装置の照明系を示す。
図3】ミラーアレイの詳細図を示す。
図4】コンポーネントの第1実施形態を示す。
図5】コンポーネントの第2実施形態を示す。
図6】コンポーネントを製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、超小型電子コンポーネントを製造するEUVリソグラフィ装置100を基本図で示し、EUVリソグラフィ装置100は、走査モードで走査方向126に沿ってEUV域の作動波長で作動され、繊維強化銅からなるコンポーネントを有する1つ又は複数のミラーアレイを備え得る。図1に示すEUVリソグラフィ装置100は、点状プラズマ放射源を備える。レーザ源102からの放射線は、コンデンサレンズ104を介して適切な材料へ指向され、この材料は、供給口(feed)108を介して導入されてプラズマ106に励起される。プラズマ106により放出された放射線は、コレクタミラー110により中間焦点Zに結像される。中間焦点Zにおける適当な絞り111により、望ましくない迷放射線が投影露光装置100の照明系の後続のミラー112、114、116、118、120に入射しないことが確実となる。プラズマミラー122は、レチクル124のマウントが配置される物体面に機械及び電子コンポーネントの設置空間を与えるように、系を折り返すのに役立つ。本例のミラー112に続いて、照明系には視野ファセットミラー114及び瞳ファセットミラー116がある。視野ファセットミラー114は、EUVリソグラフィ装置の放射源の複数の像を第2ファセットミラーが配置された瞳面に投影する役割を果たし、第2ファセットミラーは、瞳ファセットミラー116としての役割を果たすと共に、最も均一な照明を可能にするように視野ファセットミラー114のファセットの像を物体面に重ねる。ファセットミラー114、116の下流に配置されたミラー118及び120は、実質的に物体面の視野を整形する役割を果たす。物体面には構造化されたレチクル124が配置され、その構造は、本例では6個のミラーを有する投影レンズ128を用いて露光対象の物体130、例えばウェハに結像される。ここでは走査系として設計されているEUVリソグラフィ装置100のレチクル124は、表示されている方向126に変位可能であり、それに対応して投影レンズを用いてレチクル124の各構造を例えばウェハ130に投影するために部分毎に漸次照明される。
【0033】
図2は、EUVリソグラフィ装置の一部である照明系11に関連する放射源を示す。コレクタ1が、赤外線レーザ3により励起されたプラズマ液滴2により形成される光源の周りに配置される。EUV波長域の例えば約13.5nmの領域の波長を得るために、10.6μmの波長で動作する炭酸ガスレーザを用いて、例えばスズをプラズマに励起することができる。炭酸ガスレーザの代わりに、例えば固体レーザを用いることも可能である。コレクタ1に続いて、中間焦点4にあり放出された放射線の一部6をビーム経路から除去する絞り5の下流に、個別ミラーファセット18を有する視野ファセットミラーアレイ16と、個別ミラーファセット19を有する瞳ファセットミラーアレイ17とがあり、ミラーアレイ16、17は、繊維強化銅からなるコンポーネントを含む。放射線7、8が、各視野ミラーファセット18から各瞳ミラーファセット19へ反射される。ウェハに投影される構造を有し且つy方向に走査されるレチクル13に光線が入射する前に、光線は折返しミラー12により偏向もされる。折返しミラー12は、光学機能を有するというよりは、照明系11の空間要件を最適化する役割を果たす。
【0034】
指摘すべきは、特に、例えばレーザ励起(LPP源)若しくはガス放電(DPP源)に基づき得るプラズマ源、シンクロトロン放射源、又は自由電子レーザ(FEL)といった、多種多様な放射源をEUVリソグラフィで用いることができることである。さらに、コレクタは、ウォルターコレクタ又は楕円コレクタ等として任意の所望の設計を有することができ、これらはそれぞれ用いられる放射源に適合されていることが好ましい。さらに、EUVリソグラフィ装置の照明系は、任意の所望の設計を有すると共に、ファセットミラーの代わりに又はファセットミラーに加えて、特に、フライアイコンデンサ、鏡面反射体、可動光学コンポーネント等を含むこともできる。
【0035】
これらのミラーアレイは全て、強度及び熱伝導率に関する要件が厳しく且つ銅含有又はアルミニウム含有マトリクス材料と繊維の形態の強化材料とを含む複合材料から少なくとも部分的に構成されるEUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネントから製造され得る、保持、担持、又はジョイント要素の形態のコンポーネントを含み得る。一般性に制限を設けることなく、図3に示すように、ここで提案されるコンポーネントを、視野ミラーファセット373のフレクシャ396の例に基づいて以下で説明する。
【0036】
図3は、視野ミラーファセット373がフレクシャ396を介して固定スリーブ398に接続される方法を斜視図で示し、上記固定スリーブは、リング状の断面を有し、キャリアプレート(図示せず)に強固に固定される。固定スリーブ398は、キャリアプレートと共に視野ミラーファセット373の担持構造を形成し、これに対して視野ミラーファセット373が傾斜可能である。
【0037】
視野ミラーファセット373は、反射コーティング302を載せた基板300を有する。反射コーティングは、入射放射線の60%以上、好ましくは70%以上が反射されるように照明放射線を反射するよう設計される。この目的で、図示の例示的な実施形態では、反射コーティング302は、交互に連続したモリブデン及びケイ素の薄層を含み、これは、約13.5nmの波長の準垂直入射時に最大反射率を有する。
【0038】
図示の例示的な実施形態では、視野ミラーファセット373は、円板の形状を有する担持要素304により偏心して担持される。固定スリーブ308を貫通する作動ロッド306が、担持要素304の下面中央に一体形成される。その反対側の作動ロッド306の端に、エンドピース308が一体形成され、このエンドピースに対して、アクチュエータ(図示せず)が視野ミラーファセット373を傾斜させるために作用することができる。これは、図3に十字両矢印310で示されている。
【0039】
フレクシャ396は、作動ロッド306を固定スリーブ398に接続する。この目的で、フレクシャ396は、作動ロッド306の周りに配置されて一端が固定スリーブ398の内面に固定され他端が担持要素304に固定された3つのジョイント脚312を含む。ここでは、隣接するジョイント脚312間の角度はそれぞれ120°である。図3に破線で示すように、ジョイント脚312を担持要素304を鉛直方向に超えて伸ばした場合、ジョイント脚312は、視野ミラーファセット373の反射コーティング302上に少なくともほぼ位置する傾斜点314で交わる。
【0040】
アクチュエータを用いて作動ロッド306を撓ませた場合、視野ミラーファセット373は、ジョイント脚312を曲げながら傾斜点314を中心に枢動する。したがって、ジョイント脚312の曲げ剛性は、視野ミラーファセット373を傾斜させるためにアクチュエータが克服しなければならない耐屈曲性を規定する。作動ロッド306の周りにジョイント脚312が均一に分配されていることにより、フレクシャ396の耐屈曲性はほぼ等方的であり、フレクシャ396が2つの直交傾斜軸のそれぞれに関する視野ミラーファセット373の傾斜に対してほぼ同じ耐屈曲性を示す。
【0041】
ジョイント脚312に加えて、複数の熱伝導性繊維318が固定スリーブ398と作動ロッド306との間に延びる。熱伝導性繊維318は、特に高い熱伝導率を有する。さらに、熱伝導性繊維318は、ジョイント脚312よりも大幅に小さな断面、したがって小さな曲げ剛性も有し、視野ミラーファセット373の撓みに対して小さな耐屈曲性しか示さない。したがって、視野ファセットミラー373での照明放射線の部分吸収の結果として生じる熱は、ジョイント脚312を介してだけでなく一部は熱伝導性繊維318を介してもキャリアプレートに放散され得る。提案されているような担持要素304、作動ロッド306、エンドピース308、ジョイント脚312、及び固定スリーブ398等のできる限り多くのコンポーネントが、繊維強化銅含有又はアルミニウム含有マトリクス材料、好ましくは繊維強化アルミニウム、特に好ましくは繊維強化銅から少なくとも部分的に製造される場合、熱伝導性繊維318を省くこともできる。
【0042】
さらに、ベローズ320が担持要素394と固定スリーブ398との間に延び、上記ベローズ320は、視野ミラーファセット373と固定スリーブ398との間の隙間を外部空間に対して閉鎖する。ベローズ320は、第1に、機械的又は熱的負荷に起因してフレクシャ396又は熱伝導性繊維318の複数部分から分離する小粒子が外部空間に入って例えばミラー表面に定着することにより照明系の機能に悪影響を及ぼすのを防止する。ベローズ320はさらに、視野ミラーファセット373がベローズ320の長手軸に関して回転しないことを確実にする。
【0043】
図4は、ここに示す例ではマトリクス材料としての銅と繊維の形態の強化材料とを含む複合材料から少なくとも部分的に製造された、EUVリソグラフィ用ミラーアレイのコンポーネントを概略的に示し、このコンポーネントは、本例ではミラージョイントの構造部品400として構成される。これは、例えば図3に示すようなジョイント脚312として構成することができる。
【0044】
図4に示す例では、構造部品400は、銅からなるマトリクス材料402中に強化繊維404を含む。強化繊維は、カーボンナノチューブ、炭素繊維、鉱物繊維、ガラス繊維、及びセラミック繊維の群からの1つ又は複数の材料からなり得る。鉱物繊維の場合、アスベスト又はウォラストナイト繊維が特に好ましく、セラミック繊維の場合、特に好ましいのは、炭化ケイ素繊維、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の混合物からなる繊維、例えばムライト等、又は酸化ホウ素若しくは酸化ジルコニウムからなるか又はカルボシランからなる繊維である。ガラス繊維の場合、特に石英ガラスからなるか若しくはドープ石英ガラスからなる繊維が好ましい。上記材料は、一部はカーボンナノチューブ又は天然鉱物繊維等の短繊維として入手可能である可能性が高い。特にガラス、炭素、炭化ケイ素からなる合成繊維は、事実上任意の所望の長さで入手可能である。繊維強化アルミニウムの場合は約170GPa~220GPaの範囲の、さらに繊維強化銅の場合は約230GPa~280GPaの範囲の弾性率を達成することが可能である。
【0045】
マトリクス材料402への導入前に、強化繊維404を例えば貴金属、金属酸化物、モリブデン、及びケイ素の群からの1つ又は複数の材料で事前にコーティングすることができる。好ましくは、強化繊維404は、金、白金、パラジウム、チタン、金属酸化物、又は交互のモリブデン層及びケイ素層からなる多層コーティングでコーティングされる。特に炭素系繊維の場合、これは、マトリクス銅に浸透して構造部品の脆化につながり得る水素に対する保護性に優れている。特にセラミック繊維又はガラス繊維の場合、コーティングは、繊維とマトリクスとの間の接着促進剤の機能を果たし、したがって構造部品に作用する力の強化繊維への伝達の改善に寄与することができ、これは強度の向上につながり得る。コーティングは、従来の化学若しくは物理蒸着法により又は電気分解により実行することができる。
【0046】
図4に示す例では、銅からなるマトリクス材料402は、例えば酸化アルミニウムからなる分散質406によりさらに硬化される。変形形態では、分散硬化型アルミニウムをマトリクス材料として用いることもできる。しかしながら、天然硬質又は析出硬化型アルミニウム又は銅合金を用いることもできる。銅合金に関しては、例として、CuMg0.1、CuMg0.3、CuMg0.4、CuMg0.5、CuMg2.5、CuFe2P、CuCr、CuZr、CuCr1Zr、CuCrAgFeTiSi、CuBe2が適している。
【0047】
ミラー洗浄中に用いられる例えば水素等の反応性ガスからのさらなる保護として、構造部品400は、ここでは具体的に、例えば貴金属、金属酸化物、モリブデン、及びケイ素の群からの1つ又は複数の材料からなるコーティング410で全面をコーティングされる。好ましくは、全面が金、白金、パラジウム、チタン、金属酸化物、又は交互のモリブデン層及びケイ素層からなる多層コーティングでコーティングされる。このコーティングも、特にモリブデン/ケイ素多層コーティングに関して従来の化学又は物理蒸着法により実行され得る。それ以外では電界コーティングが好ましい。構造部品がミラージョイント又はミラーアレイにどのように設置されるかに応じて、その表面の一部のみをコーティングすれば十分な場合もある。
【0048】
図4に示す例では、マトリクス材料402中の強化繊維404の配置は、構造部品400の幾何学的形状に実質的に対応する。繊維404は、構造部品400の長手方向に配向される。
【0049】
図5に示す例でも、マトリクス材料502中の強化繊維504は、構造部品500の幾何学的形状に実質的に対応する。構造部品500は湾曲しており、繊維504の配向もこの湾曲に実質的に従う。繊維504が長いほど、例えば複数の湾曲を有するより複雑な幾何学的形状に対応するように繊維504を配置することも容易になる。図4に示す例に関連して強化繊維に関して行った説明は、強化繊維504にも当てはまる。場合によっては、マトリクス材料はアルミニウム又は銅を含むことができ、特に銅又はアルミニウムからなることができる。マトリクス材料はさらに、分散硬化型であり得る。
【0050】
図5に示す例では、構造部品500はさらに、例えば黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、及びセラミックの群からの材料のうち1つ又は複数からなる粒子508を含む。結果として、強度及びクリープ特性、並びに特に黒鉛又は好ましくはダイヤモンドライクカーボンからなる粒子では熱伝導率も向上させることができる。
【0051】
この点で、図4に関連して強化繊維についてすでに説明したように、反応性ガスから保護するため又はマトリクス材料502の銅への接着を改善するために粒子508をコーティングすることもできる。粒子508も、例えば貴金属、金属酸化物、モリブデン、及びケイ素の群からの1つ又は複数の材料でコーティングすることができる。好ましくは、粒子508は、金、白金、パラジウム、チタン、金属酸化物、又は交互のモリブデン層及びケイ素層からなる多層コーティングでコーティングされる。このコーティングは、従来の化学若しくは物理蒸着法により又は電気分解により実行され得る。
【0052】
例としてここに示すような繊維強化銅マトリクスに基づいた構造部品400、500は、20℃で400N/mmを超える降伏点Rp0.2を有し、EUVリソグラフィ用ミラーアレイの保持、担持、又はジョイント要素で例えば生じる応力も塑性変形につながらない。
【0053】
ここに示す構造部品400、500はさらに、320W/mKを超える熱伝導率を示す。ここで、熱膨張率は銅の場合よりも低く、これは、このような構造部品が用いられるEUVリソグラフィ用ミラーアレイの精度に寄与する。カーボンナノチューブ、炭素繊維、又は黒鉛若しくはダイヤモンドライクカーボンからなる添加粒子を用いて、370W/mKの又はそれよりも大幅に高い熱伝導率を達成することさえ可能である。ここに示す構造部品により、EUVリソグラフィの真空中でも熱をミラーからさらに遠隔のヒートシンクへ大量に放散させることができる。
【0054】
上述のコンポーネントを製造する方法を図6に概略的に示す。この方法は、
強化材料をマトリクス材料に導入するステップ(ステップ602)と、
強化材料を含むマトリクス材料からコンポーネントを成形するステップ(ステップ604)と、
コンポーネントを焼結し且つ/又はコンポーネントの形状を圧縮し且つ/又はコンポーネントを仕上げるステップ(ステップ606)と
を含む。EUVリソグラフィでの使用に重要な水素脆化に対する耐性に関して、マトリクス材料が新鮮な還元金属粉末の形態で導入されること、又は成形及び/又は焼結及び/又は圧縮が還元雰囲気中で実行されることが重要である。できる限り酸素を含まない材料をこのようにして得ることもできる。両方の措置を組み合わせることも可能である。粉末は、粉末形態の銅合金又はアルミニウム合金である。粉末は、好ましくはアルミニウム粉末、特に好ましくは銅粉末である。
【0055】
例えば、粉末冶金に基づいた加工又は溶融マトリクス材料への強化繊維の導入が可能である。
【0056】
変形形態では、強化材料の繊維状の前駆体材料及び/又はさらに添加粒子の前駆体材料がマトリクス材料に導入され、成形及び/又は焼結及び/又は圧縮中に、前駆体材料が反応して強化材料及び/又は粒子材料を形成する。この点で、例えば粒子形成のために、圧縮中にのみ炭化して特に還元雰囲気中で黒鉛又はダイヤモンドライクカーボンの形態の炭素を形成する炭素化合物を導入することが可能である。代替的に、マトリクス材料中に存在する酸素と反応して酸化ホウ素粒子を形成し、したがって酸素を結合するナノ分散ホウ素を例えば導入することが可能である。反応して酸化ホウ素繊維を形成するホウ素糸を導入することも可能である。
【0057】
強化材料及び該当する場合は添加粒子の材料の選択に応じて、且つ製造しようとするコンポーネントの幾何学的形状に応じて、成形及び/又は焼結及び/又は圧縮は、押出し成形、レーザ焼結、プラズマ焼結、熱間プレス及び/又は熱間静水圧プレスにより実行することができる。この点で、特にロッド状にかなり近いコンポーネントを押出し成形することが可能である。これには、特に比較的短い強化繊維の場合でも、特に押出し成形プロセスで押出し方向に繊維を粗く配向させることができるという効果がある。かなり複雑で微細な幾何学的形状を有するコンポーネントも、レーザ焼結又は放電プラズマ焼結を用いて加工することができる。熱間プレスによる圧縮は、より平坦な幾何学的形状に有意義であることが分かっている。
【0058】
熱間静水圧プレスは、例えば押出品の圧縮全般又は再圧縮に有利である。熱間静水圧プレスは、ニアネットシェイプの幾何学的形状であるか又はネットシェイプでさえある多種多様なコンポーネントの製造を可能にし、例えば放電加工、フライス削り、研削、及び/又は研磨による仕上げの費用を最小化できるようにする。強化繊維及び該当する場合は粒子又は前駆体材料とマトリクス材料との混合物は、特に粉末としてカプセル型に導入することができ、その後これに約1barの静水圧と同時に約1000℃~1100℃の温度を加える。石英ガラス又はドープ石英ガラスを用いて、マトリクス中にガラス繊維強化材を含む複合材料も、熱間静水圧プレスにより加工することができる。
【0059】
EUVリソグラフィ装置での使用に関して、最終製造ステップが、例えば水素等の反応性ガスからの保護として、例えば金、白金、チタン、又はパラジウム等の貴金属、1つ又は複数の金属酸化物、及び/又はMo/Si多層コーティングでのコンポーネントのできる限り全面のコーティングを、従来の化学若しくは物理蒸着法により又は好ましくは電気分解により実行することを含み得ることが有利である。
【0060】
場合によっては、強化繊維に加えて、例えば黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン、及び/又は例えば炭化ケイ素等のセラミックからなる粒子を添加することができる。さらに、例えば超微粒子酸化アルミニウムの添加により分散硬化を行うことができる。さらに、強化材料からなる繊維又は添加粒子は、特に炭素系である場合はマトリクス材料への導入前に、水素からの保護のために、例えば電気めっき又は化学若しくは物理蒸着、例えば蒸着若しくはスパッタリング等により貴金属、金属酸化物、又はMo/Si多層でコーティングすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 コレクタ
2 プラズマ液滴
3 赤外線レーザ
4 中間焦点
5 絞り
6 放射線
7 放射線
8 放射線
11 照明系
12 折返しミラー
13 レチクル
16 視野ファセットミラーアレイ
17 瞳ファセットミラーアレイ
18 視野ファセット
19 瞳ファセット
100 EUVリソグラフィ装置
102 レーザ源
104 コンデンサレンズ
106 プラズマ
108 供給口
110 コレクタミラー
111 絞り
112 ミラー
114 視野ファセットミラー
116 瞳ファセットミラー
118 ミラー
120 ミラー
122 平面ミラー
124 レチクル
126 走査方向
128 投影レンズ
130 ウェハ
300 基板
302 反射コーティング
304 担持要素
306 作動ロッド
308 エンドピース
310 両矢印
312 ジョイント脚
314 傾斜点
318 熱伝導性繊維
320 ベローズ
373 視野ミラーファセット
396 フレクシャ
398 固定スリーブ
400 構造部品
402 マトリクス材料
404 強化繊維
406 分散質
410 コーティング
500 構造部品
502 マトリクス材料
504 強化繊維
508 粒子
602 ステップ
604 ステップ
606 ステップ
Z 中間焦点
図1
図2
図3
図4
図5
図6