(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】優れた気密性を有する研磨パッド
(51)【国際特許分類】
B24B 37/22 20120101AFI20220418BHJP
B24B 37/20 20120101ALI20220418BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B24B37/22
B24B37/20
H01L21/304 622S
(21)【出願番号】P 2019555847
(86)(22)【出願日】2018-08-06
(86)【国際出願番号】 KR2018008897
(87)【国際公開番号】W WO2019031789
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2019-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0099528
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケーシー ソルミックス カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC solmics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヘヨン
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-045694(JP,A)
【文献】特表2016-505690(JP,A)
【文献】特開2016-064495(JP,A)
【文献】特開2009-224384(JP,A)
【文献】特開2003-289056(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0137431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/22
B24B 37/20
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通ホールが形成されている研磨層と、
前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第2貫通ホールが形成されている支持層と、
前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第3貫通ホールが形成され、前記研磨層および前記支持層の間に介在された第1接着層と、
前記第1貫通ホール内に挿入され、一面の全面に第2接着層が形成されているウィンドウとを含み、
前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールが互いに整列され、
前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とが互いに接着され、
前記第2接着層は、厚さが20μm~50μm
であって、第2接着層の光透過率が90%~99%であり、屈折率が1.4~1.6である、研磨パッド。
【請求項2】
前記ウィンドウと前記第2接着層との厚さ比が100:1
であって、前記ウィンドウと前記第2接着層との光透過率の差が1%~10%であり、屈折率の差が0.01~0.1である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記第1接着層および第2接着層がそれぞれ90℃~130℃の融点を有するホットメルト接着剤により形成されている、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記研磨パッドは、前記第1貫通ホール乃至第3貫通ホールが形成されている部分に1kgf/cm
3~5kgf/cm
3の圧力で加圧し、5分後に圧力を測定したとき、加圧圧力対比5分後の圧力変化率が35%以下である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記研磨パッドは、前記第1貫通ホール乃至第3貫通ホールが形成されている部分に0.001kgf/cm
3~0.1kgf/cm
3の圧力で減圧し、5分後に圧力を測定したとき、5分後の圧力が1kgf/cm
3未満である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記ウィンドウの他面が表面処理済のものであり、前記表面処理済の他面は表面粗さ(Ra)が2.0μm~4.0μmである、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
(1)第1貫通ホールが形成されている研磨層を提供する段階と、
(2)前記研磨層に対向する支持層を提供する段階と、
(3)前記研磨層と前記支持層との間に第1接着層が介在され、前記第1接着層により前記研磨層と前記支持層とを接着させる段階と、
(4)前記第1貫通ホールを基準に、前記第1接着層の所定の領域に前記第1接着層を貫通する第3貫通ホールと、前記支持層の所定の領域に前記支持層を貫通する第2貫通ホールとを形成する段階と、
(5)一面の全面に第2接着層が形成されているウィンドウを前記第1貫通ホール内に挿入し、前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とを接着させる段階とを含み、
前記第2貫通ホール及び前記第3貫通ホールは互いに整列され、
前記第2接着層は、厚さが20μm~50μm
であって、第2接着層の光透過率が90%~99%であり、屈折率が1.4~1.6である、研磨パッドの製造方法。
【請求項8】
前記第3貫通ホールを前記第1貫通ホールが形成されている領域内に形成し、
前記第3貫通ホールの平面積が前記第1貫通ホールの平面積よりも小さく、
前記第2貫通ホールを前記第1貫通ホールが形成されている領域内に形成し、
前記第2貫通ホールの平面積が前記第1貫通ホールの平面積よりも小さい、請求項7に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項9】
前記第3貫通ホールおよび前記第2貫通ホールが対応するように、前記第3貫通ホールと前記第2貫通ホールとを同時に形成する、請求項7に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項10】
前記段階(5)の接着は、前記第1接着層および第2接着層の一部または全部が溶融して互いに接着される、請求項7に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項11】
前記第1接着層および第2接着層がそれぞれ90℃~130℃の融点を有するホットメルト接着剤により形成され、
前記段階(5)の接着が100℃~120℃にて行われる、請求項10に記載の研磨パッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、化学的機械的平坦化(chemical mechanical planarization、CMP)工程に使用され、優れた気密性を有する研磨パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CMP研磨パッドは、半導体製造工程の中で、化学的機械的平坦化(chemical mechanical planarization、CMP)工程において重要な役割を担う必須の材料として、CMP性能の実現に重要な役割を果たしている。前記CMP研磨パッドは、CMP工程の中で、均一な研磨作業によりウェーハ上の不要な部分を除去して、ウェーハの表面を平坦にする役割をする。
【0003】
最近では、ウェーハの厚さを検知し、これによってCMP工程の終了点を検出するための様々な方法が提案された。例えば、ウェーハ表面の平坦性をIn-situで決めるために研磨パッドにウィンドウを装着し、前記ウィンドウにより、レーザーの干渉計によって発生された反射ビームによりウェーハの厚さを測定する方法が提案された。前記研磨パッドにウィンドウを装着する様々な方法が提案された。例えば、研磨層を形成する段階に、ウィンドウブロックを挿入して一体化する方法(以下、「一体型」と記載)(特許文献1を参照)、または、研磨層を穿孔し、ウィンドウブロックを別途作製して、前記穿孔部分に挿入する方法(以下、「挿入型」と記載)(特許文献2を参照)がある。
【0004】
一方、前述のように製造されたウィンドウ挿入型研磨パッドは、研磨層とウィンドウブロックとの間の隙間に起因して、CMP工程中に漏れが発生する欠点があった。CMP工程内で発生し得る漏れを防ぐために、機密性に優れた研磨パッドの開発が急務である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許第10-0646887号
【文献】韓国登録特許第10-0903473号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、実施例の目的は、優れた気密性を有し、CMP工程中に発生し得る漏れを防止する効果を有する研磨パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために実施例は、第1貫通ホールが形成されている研磨層と、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第2貫通ホールが形成されている支持層と、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第3貫通ホールが形成され、前記研磨層および前記支持層の間に介在された第1接着層と、前記第1貫通ホール内に挿入され、一面に第2接着層が形成されているウィンドウとを含み、前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールが互いに整列され、前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とが互いに接着された、研磨パッドを提供する。
【0008】
他の実施例は、
(1)第1貫通ホールが形成されている研磨層を提供する段階と、
(2)前記研磨層に対向する支持層を提供する段階と、
(3)前記研磨層と前記支持層との間に第1接着層が介在され、前記接着層により、前記研磨層と前記支持層とを接着させる段階と、
(4)前記第1貫通ホールを基準に、前記第1接着層の所定の領域に前記第1接着層を貫通する第3貫通ホールと、前記支持層の所定の領域に前記支持層を貫通する第2貫通ホールとを形成する段階と、
(5)一面に第2接着層が形成されているウィンドウを前記第1貫通ホール内に挿入し、前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とを接着させる段階と、を含む研磨パッドの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
実施例による研磨パッドは、ウィンドウ開口部の気密性に優れ、CMP工程中に発生し得る漏れを防止する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施例の研磨パッドの断面図である。
【
図2】
図2は、一実施例の研磨パッドの断面図である。
【
図3】
図3は、一実施例による第2貫通ホールおよび第3貫通ホールを形成する方法を概略的に示したものである。
【
図4】
図4は、一実施例による第2貫通ホールおよび第3貫通ホールを形成する方法を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施例は、第1貫通ホールが形成されている研磨層と、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第2貫通ホールが形成されている支持層と、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第3貫通ホールが形成され、前記研磨層と前記支持層との間に介在された第1接着層と、前記第1貫通ホール内に挿入され、一面に第2接着層が形成されているウィンドウとを含み、前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールが互いに整列され、前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とが互いに接着された、研磨パッドを提供する。
【0012】
図1および
図2を参照すると、一実施例の研磨パッドは、第1貫通ホール201が形成されている研磨層101と、第2貫通ホール202が形成されている支持層102と、第3貫通ホール203が形成され、前記研磨層および前記支持層の間に介在された第1接着層103と、前記第1貫通ホール201内に挿入され、一面に第2接着層105が形成されているウィンドウ104とを含む。
【0013】
[研磨層]
前記研磨層は、第1貫通ホールが形成されているものである。
【0014】
前記研磨層は、第1ウレタン系プレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む研磨層組成物から形成されたものであり得る。
【0015】
プレポリマー(prepolymer)とは、一般的に、ある種の最終成形品を製造するにおいて、成形しやすいように中間段階で重合度を中止させた比較的低い分子量を有する高分子のことを意味する。プレポリマーは、それ自体で、または他の重合性化合物と反応させてから成形することができる。具体的に、前記第1ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて調製されたものであり、未反応イソシアネート基(NCO)を含み得る。
【0016】
前記硬化剤は、アミン化合物およびアルコール化合物中の1種以上であり得る。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、および脂肪族アルコールからなる群より選択される1つ以上の化合物を含み得る。
【0017】
前記発泡剤は、研磨パッドの空隙形成に通常用いられるものであれば、特に制限しない。例えば、前記発泡剤は、空隙を有する固相発泡剤、揮発性液体が満たされている液相発泡剤、および不活性ガスからなる群より選択された1種以上であり得る。
【0018】
前記研磨層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.8mm~5.0mm、1.0mm~4.0mm、または1.0mm~3.0mmであり得る。
【0019】
前記研磨層の表面は、スラリーの保持および更新するために、凹凸構造を有し得る。また、前記凹凸構造は、規則性を有するのが一般的であるが、スラリーの保持および更新のために特定の位置に溝ピッチ、溝幅、溝深さなどを変化させることが可能である。
【0020】
前記第1貫通ホールの幅(または直径)は、10mm~100mmであり得る。
【0021】
[支持層]
前記支持層は、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第2貫通ホールが形成されたものである。
【0022】
前記支持層は、ポリウレタン樹脂に含浸したポリエステル不織布タイプ、ポリウレタン樹脂のスエードタイプ、発泡ポリウレタンフォームタイプ、またはその任意の組み合わせであり得るが、これに限定されるものではない。
【0023】
前記支持層の厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、0.1mm~3.0mm、または0.4mm~1.5mmであり得る。
【0024】
前記第2貫通ホールは、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に形成され、前記第2貫通ホールの平面積は、前記第1貫通ホールの平面積より小さくて良い。前記第2貫通ホールの平面積が第1貫通ホールの平面積よりも小さいと、前記第1貫通ホールの下段にウィンドウを支持することができる支持層が存在するため、ウィンドウを前記第1貫通ホールに効果的に固定させることができる。
【0025】
具体的に、前記第2貫通ホールの幅(または直径)は、第1貫通ホールの幅(または直径)より小さくて良い。より具体的に、前記第2貫通ホールの幅(または直径)は5mm~95mmであり得る。
【0026】
[第1接着層]
前記第1接着層は、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に第3貫通ホールが形成され、前記研磨層および前記支持層の間に介在される。
【0027】
前記第1接着層は、90℃~130℃の融点を有するホットメルト接着剤により形成され得る。具体的に、前記第1接着層は110℃~130℃の融点を有するホットメルト接着剤により形成され得る。
【0028】
前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群より選択された1種以上であり得る。具体的に、前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0029】
前記第1接着層の融点が前記範囲内であると、第1接着層の接着力が優れ、研磨層および支持層間が容易に剥離することを防止することができ、研磨層または支持層の変形または劣化することを防止することができる。
【0030】
前記第1接着層の厚さは10μm~400μmであり得、具体的に20μm~250μmであり得る。前記第1接着層の厚さが前記範囲であると、低い温度で溶融させて研磨層と支持層とを付着させることができ、接着力が強力であるというメリットがある。
【0031】
第3貫通ホールは、前記第1貫通ホールが形成されている領域内に形成し、前記第3貫通ホールの平面積は前記第1貫通ホールの平面積より小さくて良い。前記第3貫通ホールの平面積が第1貫通ホールの平面積よりも小さいと、前記第1貫通ホールの下段にウィンドウを支持することができる第1接着層が存在するため、ウィンドウを前記第1貫通ホールに効果的に固定することができる。
【0032】
具体的に、前記第3貫通ホールの幅(または直径)は、第1貫通ホールの幅(または直径)より小さくて良い。より具体的に、前記第3貫通ホールの幅(または直径)は5mm~95mmであり得る。
【0033】
また、前記第3貫通ホールの幅(または直径)は、第1貫通ホールの幅(または直径)より小さく、第2貫通ホールの幅(または直径)と同一であり得る。具体的に、第2貫通ホールの幅(または直径)と第3貫通ホールの幅(または直径)とは同一であり、第1貫通ホールの幅(または直径)の10%~95%、または17%~95%であり得る。
【0034】
前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールが互いに整列される。前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールは互いに対応するように前記第2貫通ホールおよび前記第3貫通ホールを同時に形成し得る。
【0035】
[ウィンドウ]
前記ウィンドウは前記第1貫通ホール内に挿入され、一面に第2接着層が形成される。
【0036】
前記ウィンドウは、第2ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤を含むウィンドウ組成物から形成されたものであり得る。前記第2ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて調製されたものであり、未反応イソシアネート基(NCO)を含み得る。
【0037】
前記硬化剤は、アミン化合物およびアルコール化合物中の1種以上であり得る。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、および脂肪族アルコールからなる群より選択される1つ以上の化合物を含み得る。
【0038】
前記ウィンドウは、研磨層の第1貫通ホールと同じ大きさであり得る。また、前記ウィンドウの厚さは、研磨層の厚さと同一か、小さくて良い。具体的に、前記ウィンドウの厚さは研磨層の厚さよりも小さくて良い。
【0039】
前記ウィンドウは無発泡体であり、ウィンドウ内に微細気泡が存在しないので、研磨液が研磨パッド内に浸透する可能性が少なくなり、これにより光学的終点検出の精度が向上し、光透過領域の損傷を防止することができる。
【0040】
前記ウィンドウの摩耗率は、研磨層の摩耗率と同じか、若干高くて良い。これで、一定時間の研磨を行った後、ウィンドウ部分のみ突出して、研磨されるウェーハにスクラッチを発生させる問題を防止することができる。
【0041】
前記ウィンドウの他面(すなわち、第2接着層が形成されていない一面)は表面処理済のものであり、前記表面処理済の他面は、表面粗さ(Ra)が2.0μm~4.0μmであり得る。
【0042】
前記表面処理は、CMP工程中ウィンドウの摩耗に起因して発生し得る終点検出のエラーを防止するためのことであり、前記表面粗さの範囲を満足するように処理するのであれば、その方法は特に限定されない。例えば、前記表面処理は、サンドペーパーを用いて100rpm~1000rpmの速度および0.1psi~3.0psiの圧力で10秒~60秒間行える。
【0043】
前記ウィンドウは、厚さが2.3mm~2.5mmのとき、ウィンドウの光透過率は60%~80%であり、屈折率は1.45~1.60であり得る。具体的に、前記ウィンドウは、厚さが2.4mmのとき、ウィンドウの光透過率は65%~75%であり、屈折率は1.53~1.57であり得る。
【0044】
[第2接着層]
前記第2接着層は前記ウィンドウの一面に形成され、前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とは互いに接着される。
【0045】
前記第2接着層は、90℃~130℃、または110℃~130℃の融点を有するホットメルト接着剤により形成され得る。前記第2接着層の融点が前記範囲内であると、第2接着層の接着力が優れ、ウィンドウと第1接着層との間が剥離されてCMP工程中に漏れが発生することを防止することができる。
前記ホットメルト接着剤は、前記第1接着層において定義した通りである。
【0046】
前記第2接着層の厚さは20μm~50μmであり得、具体的に23μm~40μmであり得る。前記第2接着層の厚さが前記範囲であると、CMP工程上のスラリーのウィンドウ部分に対する漏れを防ぎ、前記第2接着層がウィンドウ下面に付着し、ウィンドウの表面粗さを下げて、乱反射を低下させることにより、ウィンドウの透過率を上昇させる効果がある。
【0047】
前記第2接着層は、厚さが20μm~50μmのとき、第2接着層の光透過率が90%~99%であり、屈折率が1.4~1.6であり得る。具体的に、前記第2接着層は、厚さが30μm~40μmのとき、第2接着層の光透過率が92%~95%であり、屈折率が1.50~1.55であり得る。
【0048】
前記第2接着層の光透過率および屈折率が前記範囲内であると、ウィンドウ下面の粗い表面に起因して現れ得る乱反射を低減する効果がある。
【0049】
前記ウィンドウと前記第2接着層との厚さ比が100:1のとき、前記ウィンドウと前記第2接着層との光透過率の差は1%~10%であり、屈折率の差は0.01~0.1であり得る。具体的に、前記ウィンドウと前記第2接着層との厚さ比が100:1のとき、前記ウィンドウと前記第2接着層との光透過率の差は5%~10%であり、屈折率の差は0.05~0.1であり得る。
【0050】
前記研磨パッドは、前記支持層の他面に粘着テープをさらに含み得る。この際、前記粘着テープは、前記第1接着層が形成されている面に対向する他面に接着される。
【0051】
前記粘着テープは両面テープであり得、前記粘着テープは前記研磨パッドとプラテン(platen)とを接着する役割をする。
【0052】
前記研磨パッドは、前記第1貫通ホール乃至第3貫通ホールが形成されている部分に1kgf/cm3~5kgf/cm3の圧力で加圧し、その5分後に圧力を測定したとき、加圧圧力対比5分後の圧力変化率が35%以下であり得る。具体的に、前記研磨パッドは、加圧圧力対比5分後の圧力変化率が10%~35%であり得る。
【0053】
前記圧力変化率が前記範囲内であると、実際CMP工程中にウィンドウ部分で発生する漏れを防止する効果がある。
【0054】
前記研磨パッドは、前記第1貫通ホール乃至第3貫通ホールが形成されている部分に0.001kgf/cm3~0.1kgf/cm3の圧力で減圧し、その5分後に圧力を測定したとき、5分後の圧力が1kgf/cm3未満であり得る。具体的に、前記研磨パッドは、前記第1貫通ホール乃至第3貫通ホールが形成されている部分に0.001kgf/cm3~0.1kgf/cm3の圧力で減圧し、その5分後に圧力を測定したとき、5分後の圧力が0.9kgf/cm3以下、もしくは、0.1kgf/cm3または0.9kgf/cm3であり得る。
【0055】
前記減圧5分後の圧力が前記範囲内であると、実際CMP工程中にウィンドウ部分で発生する漏れを防止する効果がある。
【0056】
また、前記加圧後の圧力変化率および減圧後の圧力変化率を交差確認することにより、実際CMP工程中のいかなる状況においても漏れが発生しないことを確認することができる。
【0057】
[研磨パッドの製造方法]
他の実施例は、
(1)第1貫通ホールが形成されている研磨層を提供する段階と、
(2)前記研磨層に対向する支持層を提供する段階と、
(3)前記研磨層と前記支持層との間に第1接着層が介在され、前記第1接着層により、前記研磨層と前記支持層とを接着させる段階と、
(4)前記第1貫通ホールを基準に、前記第1接着層の所定の領域に前記第1接着層を貫通する第3貫通ホールと、前記支持層の所定の領域に前記支持層を貫通する第2貫通ホールとを形成する段階と、
(5)一面に第2接着層が形成されているウィンドウを前記第1貫通ホール内に挿入し、前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とを接着させる段階とを含む研磨パッドの製造方法を提供する。
【0058】
[段階(1)]
本段階では、第1貫通ホールが形成されている研磨層を提供する。
前記第1貫通ホールは研磨層を貫通し、前記研磨層を貫通する第1貫通ホールを形成する方法は、切削工具によりプレスまたは研削する方法、炭酸レーザー等のレーザーを利用する方法、第1貫通ホールの形状を備えたモールドに原料を流入し硬化させて形成する方法等があるが、これらに限定されない。
前記研磨層は、前記研磨パッドにおいて定義した通りである。
【0059】
[段階(2)]
本段階では、前記研磨層に対向する支持層を提供する。
前記支持層は、前記研磨パッドにおいて定義した通りである。
【0060】
[段階(3)]
本段階では、前記研磨層と前記支持層との間に第1接着層が介在され、前記第1接着層により、前記研磨層と前記支持層とを接着させる。
【0061】
前記接着は、第1接着層の融点以上の温度にて行える。具体的に、前記接着は90℃~130℃にて行える。
【0062】
[段階(4)]
本段階では、前記第1貫通ホールを基準に、前記第1接着層の所定の領域に前記第1接着層を貫通する第3貫通ホールおよび前記支持層の所定の領域に前記支持層を貫通する第2貫通ホールを形成する。
【0063】
前記第3貫通ホールを前記第1貫通ホールが形成されている領域内に形成し、前記第3貫通ホールの平面積が前記第1貫通ホールの平面積より小さくても良い。
【0064】
前記第2貫通ホールを前記第1貫通ホールが形成されている領域内に形成し、前記第2貫通ホールの平面積が前記第1貫通ホールの平面積より小さくても良い。
【0065】
前記第1貫通ホール乃至第3貫通ホールの幅(または直径)は、前記研磨パッドにおいて定義したような関係を有し得る。
【0066】
前記第3貫通ホールおよび前記第2貫通ホールは互いに対応するように、第3貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを同時に形成し得る。前記第3貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを同時に形成すると、研磨層、第1接着層および支持層にそれぞれの貫通ホールを形成した後に接着させる方法に比べて、ノッチを形成せずとも、容易に光透過領域を所定の位置に形成することができ、製造工程が単純である。また、前述のように、前記第3貫通ホールおよび前記第2貫通ホールが対応するように同時に形成すれば、光透過領域には第1接着層が存在しないので、光学的検出精度に優れた研磨パッドを製造することができる。
【0067】
前記第3貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを形成する方法は、ガイド部材を利用して切断する方法であり得る。具体的に、前記第1貫通ホールの内部にガイド部材を挿入する段階と、前記ガイド部材によって、切断部を所定の位置に整列させる段階と、前記切断部によって、前記第1接着層および前記支持層の一部を切断する段階とを含み得る。
【0068】
図3および
図4を参照すると、前記第3貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを形成するために切断部303が固定されたガイド部材301を利用するか、ガイド部材302によって切断部304をガイドし得る。
【0069】
前記切断部は、前記ガイド部材に固定されるか、前記ガイド部材によってガイドされ得る。また、前記ガイド部材は、前記第1貫通ホールの内側面に接触して、前記切断部をガイドし得る。さらには、前記切断部は前記第1接着層および前記支持層を同時に切断し得る。
【0070】
[段階(5)]
本段階では、一面に第2接着層が形成されているウィンドウを前記第1貫通ホール内に挿入し、前記第2接着層の一部の縁領域と前記第1接着層とを接着させる。
前記ウィンドウは、前記研磨パッドにおいて定義した通りである。
【0071】
前記接着は、前記第1接着層および第2接着層の一部または全部が溶融して互いに接着されるものであり得る。具体的に、前記第1接着層および第2接着層がそれぞれ90℃~130℃の融点を有するホットメルト接着剤により形成され、前記接着は100℃~120℃にて行える。
【0072】
前記接着は、熱または振動を利用し得る。具体的に、前記第1接着層と第2接着層とを接着させるために、熱融着または超音波溶着法を利用し得る。
【0073】
一方、他の実施例による研磨パッドの製造方法は、前記第2接着層と第1接着層とが接着された研磨パッドの支持層の一面に粘着テープを接着させる段階をさらに含み得る。
【0074】
前記粘着テープは、前述のような製造方法により製造された研磨パッドがプラテンに装着できるようにし、両面テープであり得る。また、前記粘着テープは、第2および第3貫通ホールと互いに対応する第4貫通ホールを含み得る。
【0075】
(実施例)
以下、本発明を下記実施例によりさらに詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものであるのみ、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0076】
(実施例1:研磨パッドの製造)
[1-1:研磨層の製造]
ウレタン系プレポリマー、硬化剤、不活性ガスおよび反応速度調整剤の注入ラインが備えられているキャスティング装置において、プレポリマータンクに未反応NCOの含有量が8.0重量%であるPUGL-450D(SKC社製)を充填し、硬化剤タンクにビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane、石原社製)を充填し、反応速度調整剤としてA1(Air Products社製)を用意して、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)を用意した。
【0077】
前記各々の投入ラインによりウレタン系プレポリマー、硬化剤、不活性ガスおよび反応速度調整剤を混合ヘッドに一定の速度で投入しながら撹拌した。この際、ウレタン系プレポリマーのNCO基のモル当量と、硬化剤の反応性基のモル当量とを1:1で合わせ、合計投入量を10kg/分の速度で維持した。また、前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して0.5重量部の反応速度調整剤を混入し、前記ウレタン系プレポリマー総体積の20%の体積でアルゴンガスを投入した。注入された原料は、モールド(横1000mm、縦1000mm、高さ3mm)に注入され、固相化させてシート状の研磨層を得た。
その後、前記研磨層は、表面切削過程を経て平均厚さを2mmに調節した。
【0078】
[1-2:ウィンドウの製造]
ウレタン系プレポリマーとして未反応NCOの含有量が8.5重量%であるPUGL-500D(SKC社製)を使用し、原料混合時に不活性ガスを注入せずに注入された原料をモールド(横1000mm、縦1000mm、高さ50mm)に注入したことを除いては、実施例1-1と同様の方法によりケーキ(cake)状のウィンドウを得た。
【0079】
その後、前記ケーキを切削して、平均厚さ1.9mmのシート状のウィンドウ20枚を得た。前記シート状のウィンドウを打抜して、横20mm、縦60mmおよび厚さ1.9mmのウィンドウ(屈折率:1.55)を製造した。
【0080】
その後、クッション層のあるグラインダーに1000番サンドペーパーおよび前記ウィンドウを装着して、前記ウィンドウの一面を前記サンドペーパーで300rpmの回転速度および3.0psiの圧力で30秒間表面処理して、表面粗さ(Ra)2.07μmのウィンドウを得た。
【0081】
その後、表面処理されていないウィンドウの他面にホットメルトフィルム(SKC社製、製品名:TF-00、平均厚さ:40μm、屈折率:1.5)を120℃にてラミネーターにより貼り合わせた。
【0082】
[1-3:支持層の製造]
支持層(PTS社製、製品名:ND-5400H、厚さ:1.1mm)を横1000mmおよび縦1000mmに切断して準備した。
【0083】
[1-4:研磨パッドの製造]
前記実施例1-1の研磨層を横20mmおよび縦60mmに穿孔して第1貫通ホールを形成し、前記実施例1-3の支持層を横16mmおよび縦56mmに穿孔して第2貫通ホールを形成した。その後、前記支持層と研磨層とをホットメルトフィルム(SKC社製、製品名:TF-00、平均厚さ:40μm、屈折率:1.5)を用いて、120℃にて1.5mmギャップ(gap)でラミネート融着し、前記支持層の他面に両面接着剤(3M社製、製品名:442JS)を接着して、第2貫通ホール分の両面接着剤を切削して除去した。その後、前記第1貫通ホールに実施例1-2のウィンドウを表面処理済みの一面が研磨層側に露出するように挿入し、130℃にて0.5MPaで3分間熱融着により研磨パッドを製造した(
図2を参照)。
【0084】
(実施例2)
ウィンドウを挿入後、130℃にて0.6MPaで3分間熱融着したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0085】
(実施例3)
ウィンドウを挿入後、130℃にて0.7MPaで3分間熱融着したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0086】
(比較例1)
表面処理されていないウィンドウの他面にホットメルトフィルムを貼り合わせず、ウィンドウの挿入後100℃にて0.5MPaで3分間熱融着したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0087】
(比較例2)
表面処理されていないウィンドウの他面にホットメルトフィルムを貼り合わせず、ウィンドウの挿入後130℃にて0.4MPaで3分間熱融着したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0088】
(比較例3)
表面処理されていないウィンドウの他面にホットメルトフィルムを貼り合わせず、ウィンドウの挿入後100℃にて0.7MPaで3分間熱融着したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0089】
(実験例:非破壊漏れ検査)
(1)加圧による非破壊漏れ検査
実施例1~3および比較例1~3における研磨パッドのウィンドウ挿入部分を支持台に載置し、枠にシールリングがある10cm直径の丸型コネクタが装着された気密試験装置を第2貫通ホールが形成されている部分に設置した。その後、前記気密試験装置により3kgf/cm3で加圧し、5分後の圧力を測定し、測定結果を表1に示した。圧力変化率は、初期加圧圧力対比5分後の圧力の変化率で計算した。
【0090】
(2)減圧による非破壊漏れ検査
実施例1~3および比較例1~3における研磨パッドのウィンドウ挿入部分を支持台に載置し、枠にシールリングがある10cmの直径の丸型コネクタが装着された気密試験装置を第2貫通ホールが形成されている部分に設置した。その後、前記気密試験装置により0.01kgf/cm3で減圧し、5分後の圧力を測定し、測定結果を表1に示した。圧力変化率は、初期減圧圧力対比5分後の圧力の変化率で計算した。
【0091】
(3)破壊漏れ検査
実施例1~3および比較例1~3における研磨パッドを使用して、CMP工程を20時間行った後、研磨パッドの非研磨面に水滴ができたり、支持層が濡れていたりした場合、漏れと判断した。
【0092】
【0093】
表1に示すように、第2接着層を含む実施例1~3の研磨パッドは、加圧および減圧後の圧力変化率が低いので漏れが少なく、CMP工程後の破壊検査においても漏れが少ないことが分かった。一方、比較例1~3の研磨パッドは、加圧および減圧後の圧力変化が大きく、CMP工程後の破壊検査においても漏れが確認された。
【符号の説明】
【0094】
101:研磨層
102:支持層
103:第1接着層
104:ウィンドウ
105:第2接着層
201:第1貫通ホール
202:第2貫通ホール
203:第3貫通ホール
301、302:ガイド部材
303、304:切断部