(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】研磨パッド用組成物、研磨パッドおよび半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/76 20060101AFI20220418BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20220418BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220418BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20220418BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220418BHJP
C08J 5/14 20060101ALI20220418BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20220418BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220418BHJP
【FI】
C08G18/76 014
B24B37/24 C
H01L21/304 622F
C08G18/10
C08G18/00 F
C08J5/14 CFF
C08J9/04 101
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2020104694
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0071665
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0071666
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0071667
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0071668
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケーシー ソルミックス カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC solmics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヘヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-212333(JP,A)
【文献】特開2018-043342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン系プレポリマーを含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、
前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、
前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、
前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含
み、
前記ウレタン系プレポリマーが、
1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:14~28の重量比で含む、組成物。
【請求項2】
前記ウレタン系プレポリマーが、
前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応された2,6-ジイソシアネートを、合計78重量%~95重量%で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ウレタン系プレポリマーが、
1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを100:1~23の重量比で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ウレタン系プレポリマーが、
前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、
未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを
0~1.92重量%以下で含み、
2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを
11.90重量%~20.16重量%で含み、
1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを
71.64重量%~78.55重量%で含み、
1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを
1.05重量%~16.46重量%で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ウレタン系プレポリマーが、前記ウレタン系プレポリマーの総重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~9重量%で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が120秒~220秒のゲル化時間を有し、
硬化後に40ショアD~50ショアDの硬度、10N/mm
2~25N/mm
2の引張強度、および200%~350%の伸び率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
研磨層を含み、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物の硬化物を含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、
前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含
み、
前記ウレタン系プレポリマーが、
1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:14~28の重量比で含む、研磨パッド。
【請求項8】
前記研磨層が平均径20μm~25μmの微細気孔を含み、
前記研磨パッドが1000Å/50秒~2500Å/50秒の研磨率(removal rate)を有する、
請求項7に記載の研磨パッド。
【請求項9】
研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含み、
前記研磨パッドは研磨層を含み、前記研磨層はウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物の硬化物を含み、
前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、
前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含
み、
前記ウレタン系プレポリマーが、
1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:14~28の重量比で含む、半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、研磨パッド用組成物、研磨パッドおよび半導体素子の製造方法に関するものである。より具体的に、実現例は、半導体素子の化学的機械研磨(CMP)工程に使用され得る多孔質ポリウレタン研磨パッド用組成物、前記組成物から製造された多孔質ポリウレタン研磨パッド、および前記研磨パッドを用いた半導体素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程の中で化学的機械研磨(CMP)工程は、ウェーハのような半導体基板をヘッドに付着し、定盤(platen)上に形成された研磨パッドの表面に接触するようにした状態で、スラリーを供給して半導体基板の表面を化学的に反応させながら定盤とヘッドを相対運動させ、機械的に半導体基板表面の凹凸部分を平坦化する工程である。
【0003】
研磨パッドは、このようなCMP工程において重要な役割を担う必須的な原・副資材として、通常ポリウレタン樹脂からなり、前記ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させて得たプレポリマー、硬化剤、発泡剤等を含む。
【0004】
また、研磨パッドは表面に、スラリーの大きな流動を担う溝(groove)と微細な流動をサポートする気孔(pore)とを有し、前記気孔は、空隙を有する固相発泡剤、不活性ガス、液状材料、繊維質等を利用して形成するか、または化学的反応によりガスを発生させて形成される。
【0005】
CMP工程で使用される研磨パッドの種類は研磨対象に応じて定められ、例えば、酸化膜の研磨には相対的に高い硬度を有するハードパッドが使用され、金属膜の研磨には相対的に低い硬度を有するソフトパッドが使用される。そのうち、ソフトパッドを改良するために、硬度を調節しながら研磨率をはじめとする性能を向上させようとする研究が続けられている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許公報第2016-0027075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
研磨パッドを製造するために用いられるウレタン系プレポリマー(prepolymer、予備重合体)は、モノマーによって性質と物性が変化することがあり、これは化学的機械研磨(CMP)工程の性能に大きく影響を与える。したがって、ウレタン系プレポリマーの物性を調節することが研磨パッドの特性を大きく変えられる重要な因子と言える。
【0008】
そこで、本発明者らが研究した結果、研磨パッドを製造するためのウレタン系プレポリマーを構成するジイソシアネートモノマーの種類別含有量と反応または未反応の程度とによりゲル化特性が変化し、それに応じて研磨パッドの硬度をはじめとする物性が変わってくることにより、研磨率等のCMP性能に影響を及ぼすことを見出すこととなった。
【0009】
したがって、実現例の目的は、ウレタン系プレポリマー内のジイソシアネートモノマーの種類別含有量と反応または未反応の程度とを調節して物性を向上させた組成物、前記組成物から得たソフトパッドに好適な研磨パッド、および前記研磨パッドを用いて半導体を製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実現例によると、ウレタン系プレポリマーを含み、前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含む、組成物が提供される。
【0011】
他の実現例によると、研磨層を含み、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物の硬化物を含み、前記ウレタン系プレポリマーは1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含む、研磨パッドが提供される。
【0012】
また他の実現例によると、研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含み、前記研磨パッドは研磨層を含み、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物の硬化物を含み、前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含む、半導体素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
前記実現例による組成物は、ウレタン系プレポリマー内のジイソシアネートモノマーの種類別含有量と反応または未反応の程度とが調節され、ゲル化時間等の物性が制御され得る。したがって、前記実現例による組成物を硬化して得た研磨パッドは、ソフトパッドに適した硬度を有しながら研磨率およびパッド切削率が制御され得るので、前記研磨パッドを利用して、高品質の半導体素子を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実現例の説明において、各層、パッド、またはシート等が、各層、パッド、またはシート等の「上(on)」または「下(under)」に形成されるものとして記載される場合において、「上(on)」および「下(under)」は、直接(directly)または他の構成要素を介して間接的に(indirectly)形成されるものをすべて含む。
【0015】
本明細書において一構成要素を「含む」と言うことは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0016】
また、本明細書に記載された構成成分の物性値、寸法等を表すすべての数値範囲は、特別な記載がない限り、すべての場合に「約」という用語で修飾されるものと理解するべきである。
【0017】
[研磨パッド用組成物]
一実現例による組成物は、ウレタン系プレポリマーを含み、前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含む。
【0018】
前記実現例による組成物において、前記ウレタン系プレポリマーが1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含み得る。
【0019】
また、前記実現例による組成物において、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:14~28の重量比で含み得る。
【0020】
また、前記実現例による組成物において、前記ウレタン系プレポリマーが前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応された2、6-ジイソシアネートを合計78重量%~95重量%で含み得る。
【0021】
また、前記実現例による組成物において、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを100:1~23の重量比で含み得る。
【0022】
前記実現例による組成物は、硬化剤、発泡剤、その他の添加剤等をさらに含み得る。
【0023】
<ウレタン系プレポリマー>
前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含む。予備重合反応とは、一般に、最終ポリマー成形品を製造するに当たり、成形しやすいようにモノマーの重合を中間段階で停止させ、比較的低い分子量のポリマーを得る反応のことを意味する。したがって、予備重合反応生成物を含むプレポリマーは、それ自体で、または他の重合性化合物や硬化剤とさらに反応して最終製品に形成され得る。例えば、前記ウレタン系プレポリマーの重量平均分子量(Mw)は、500g/mol~3000g/mol、600g/mol~2000g/mol、または700g/mol~1500g/molであり得る。
【0024】
前記1種以上のジイソシアネートモノマーは、1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーおよび/または1種以上の脂肪族ジイソシアネートモノマーであり得、例えば、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラフェニレンジイソシアネート(p-phenylene diisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidine diisocyanate、TODI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanate、MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate、HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethane diisocyanate、H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)等からなる群より選択される1つ以上のイソシアネートであり得る。
【0025】
具体的な例として、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーはトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含む。
【0026】
具体的な他の例として、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは、1種以上の脂肪族ジイソシアネートモノマーをさらに含み、前記1種以上の脂肪族ジイソシアネートモノマーは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等であり得る。
【0027】
前記ポリオールは、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物のことを意味し、低分子型ポリオールとオリゴマー乃至高分子型ポリオールとを含み得る。前記低分子型ポリオールの例としては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、プロパンジオール(PDO)、メチルプロパンジオール(MP-diol)等が挙げられ、前記オリゴマー乃至高分子型ポリオールの例としては、ポリエーテルポリオール(polyether polyol)、ポリエステルポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネートポリオール(polycarbonate polyol)、ポリカプロラクトンポリオール(polycaprolactone polyol)等が挙げられる。具体的に、ポリエーテルポリオールは、2つ以上のアルキレンエーテル(またはアルキレングリコール)繰り返し単位を含有する化合物として、アルキレンエーテル単位の繰り返し数に応じて、低分子のみならず、オリゴマー乃至高分子に至る分子量を有し得る。一般に、ポリウレタンの製造分野において広く用いられるポリオールは200g/mol以上、具体的には300g/mol~3000g/molの重量平均分子量を有し得る。また、ポリオールは、このような様々な分子量の化合物が混合された組成物のことを意味することでもあり、他に1個のヒドロキシル基を有するアルコールをさらに含むこともできる。
【0028】
前記ウレタン系プレポリマー内の前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの含有量は、20重量%~50重量%、または25重量%~45重量%であり得る。
【0029】
また、前記ウレタン系プレポリマー内の前記1種以上の脂肪族ジイソシアネートモノマーの含有量は、0重量%~15重量%、または1重量%~10重量%であり得る。
【0030】
また、前記ウレタン系プレポリマー内の前記ポリオールの含有量は、35重量%~80重量%、または45重量%~70重量%であり得る。
【0031】
<プレポリマー内の鎖の構成>
前記ウレタン系プレポリマーは、ジイソシアネートモノマーとポリオールとの間の様々な分子量の重合反応物を含む。
【0032】
例えば、前記ウレタン系プレポリマー内において、前記ジイソシアネートモノマーは、少なくとも1個のNCO基が反応され(つまり、2個のNCO基が反応されるか、または1個のNCO基が反応され)、プレポリマー内の鎖を構成し得る。
【0033】
前記NCO基のポリオールとの反応、またはその他の化合物との副反応を含み、特に限定されない。例えば、前記NCO基の反応は、鎖延長反応または架橋反応を含み得る。
【0034】
一例として、前記NCO基の反応は、前記ウレタン系プレポリマーの調製のためにジイソシアネートモノマーとポリオールとを反応させる過程において、NCO基とOH基とが反応してウレタン基(-NH-C(=O)-O-)を形成するウレタン反応を含む。代表的な例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)のNCO基がジエチレングリコール(DEG)のOH基とウレタン反応して、下記化学式のような鎖を形成し得る。
【0035】
他の例として、前記NCO基の反応はアミン系化合物とのウレア(urea)反応を含むことができ、その結果、ウレア基(-NH-C(=O)-NH-)を形成し得る。
【0036】
また他の例として、前記NCO基の反応は架橋反応をさらに含むことができ、例えば、アロファネート(allophanate)基またはビウレット(biuret)基を形成する架橋反応をさらに含み得る。
【0037】
<芳香族イソシアネートモノマーの反応>
特に、前記ウレタン系プレポリマーの調製に用いられる1種以上のジイソシアネートモノマーは、1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、このような1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーは、高い割合で予備重合反応に関与する。
【0038】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、少なくとも1個のNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを、80重量%~100重量%、85重量%~100重量%、90重量%~100重量%、80重量%~95重量%、85重量%~95重量%、または95重量%~100重量%で含み得る。
【0039】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、2個のNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを、10重量%~30重量%、10重量%~25重量%、10重量%~20重量%、10重量%~15重量%、15重量%~30重量%、または20重量%~30重量%で含み得る。
【0040】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを、78重量%~95重量%、80重量%~95重量%、85重量%~95重量%、79重量%~90重量%または80重量%~90重量%で含み得る。
【0041】
この際、前記ウレタン系プレポリマーは、前記2個のNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーおよび前記1個のNCO基が反応された芳香族ジイソシアネートモノマーを、0.1:1~0.3:1の重量比、0.1:1~0.25:1の重量比、0.1:1~0.2:1の重量比、0.1:1~0.15:1の重量比、または0.15:1~0.25:1の重量比で含み得る。
【0042】
<2,4-TDIおよび2,6-TDIの反応>
前記実現例によるウレタン系プレポリマーに含まれる芳香族ジイソシアネートモノマーは、トルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含む。
【0043】
前記ウレタン系プレポリマーは、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを、100:14~28、100:15~28、100:14~25、100:15~25、100:15~20、または100:20~28の重量比で含み得る。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:15~20の重量比で含み得る。
【0044】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを、10重量%~30重量%、10重量%~25重量%、10重量%~20重量%、10重量%~20.5重量%、10重量%~15重量%、15重量%~30重量%、または20重量%~30重量%で含み得る。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを10重量%~15重量%で含み得る。
【0045】
前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応された2,6-ジイソシアネートの合計重量が、78重量%~95重量%、80重量%~95重量%、85重量%~95重量%、79重量%~90重量%または80重量%~90重量%であり得る。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応された2,6-ジイソシアネートを合計85重量%~95重量%で含み得る。
【0046】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、前記1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを、70重量%~90重量%、70重量%~85重量%、70重量%~80重量%、70重量%~75重量%、75重量%~85重量%、または80重量%~90重量%で含み得る。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、前記1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを70重量%~75重量%で含み得る。
【0047】
前記ウレタン系プレポリマーは、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを、100:1~23、100:50~23、100:10~23、100:15~23、100:1~15、または100:1~5の重量比で含み得る。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを100:15~23の重量比で含み得る。
【0048】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを1重量%~30重量%、1重量%~20重量%、1重量%~10重量%、10重量%~30重量%、5重量%~25重量%、または10重量%~20重量%で含み得る。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを10重量%~30重量%で含み得る。
【0049】
このように、ウレタン系プレポリマー内の芳香族ジイソシアネートモノマーの種類別含有量と、反応または未反応の程度とが調節され、ゲル化時間等の物性が制御され得る。したがって、前記実現例による組成物を硬化して得た研磨パッドは、ソフトパッドに好適な硬度を有しながら研磨率およびパッド切削率が制御され得るので、前記研磨パッドを利用して高品質の半導体素子を効率よく製造することができる。
【0050】
<未反応のジイソシアネートモノマー>
また、前記ウレタン系プレポリマーを調製するための反応に使用された化合物のうちの一部は、反応に関与しないこともある。したがって、前記ウレタン系プレポリマー内には、反応に関与していないまま残っている化合物も存在し得る。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは未反応のジイソシアネートモノマーを含み得る。
【0051】
本明細書において、「未反応のジイソシアネートモノマー」とは、2個のNCO基がいずれも反応していない状態で残っているジイソシアネートモノマーを意味する。前記ウレタン系プレポリマー内の未反応のジイソシアネートモノマーの含有量は、前記プレポリマーの調製過程でモノマー組成、工程条件等に応じて調節され得る。
【0052】
前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のジイソシアネートモノマーを7重量%以下、5重量%以下、0重量%~7重量%、1重量%~7重量%、0重量%~5重量%、または1重量%~5重量%で含み得る。
【0053】
前記ウレタン系プレポリマー内に存在する未反応のジイソシアネートモノマーは、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み得る。
【0054】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応の芳香族ジイソシアネートモノマーを3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0重量%~3重量%、0重量%~1.5重量%、0重量%~1重量%、0重量%~0.5重量%、0.1重量%~3重量%、0.5重量%~3重量%、または1重量%~3重量%で含み得る。
【0055】
前記ウレタン系プレポリマーの反応に使用される1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーは、トルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、このうちトルエン2,6-ジイソシアネートは相対的に反応性が低いので、ポリオールと反応されないままウレタン系プレポリマー内に存在し得る。
【0056】
また、前記ウレタン系プレポリマー内に存在する未反応のジイソシアネートモノマーは、未反応の脂肪族ジイソシアネートモノマーをさらに含み得る。
【0057】
例えば、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応の脂肪族ジイソシアネートモノマーを0重量%~15重量%、または1重量%~10重量%で含み得る。
【0058】
<未反応の2,4-TDIおよび2,6-TDI>
前記ウレタン系プレポリマーの反応に用いられる1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーは、トルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含み、このうちトルエン2,6-ジイソシアネートは相対的に反応性が低いので、ポリオールと反応されないままウレタン系プレポリマー内に存在し得る。
【0059】
前記ウレタン系プレポリマーは、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを、100:0~4、100:0~3、100:0~2、100:0~1、100:1~4、または100:2~4の重量比で含み得る。
【0060】
具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~1.5の重量比で含み得る。
【0061】
また、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、前記未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを、5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0重量%~3重量%、0重量%~2重量%、または0重量%~1重量%で含み得る。
【0062】
具体的に、前記ウレタン系プレポリマーは、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、前記未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを0重量%~1.5重量%で含み得る。
【0063】
一例として、前記ウレタン系プレポリマーが、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを5重量%以下で含み、2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを10重量%~30重量%で含み、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを70重量%~90重量%で含み、1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを1重量%~30重量%で含み得る。
【0064】
このように、ウレタン系プレポリマー内の芳香族ジイソシアネートモノマーの種類別含有量と、反応または未反応の程度とが調節され、ゲル化時間等の物性が制御され得る。したがって、前記実現例による組成物を硬化して得た研磨パッドは、ソフトパッドに好適な硬度を有しながら研磨率およびパッド切削率が制御され得るので、前記研磨パッドを利用して高品質の半導体素子を効率よく製造することができる。
【0065】
<未反応のNCO基含有量>
前記ウレタン系プレポリマーは、これに含まれているポリマー、オリゴマー、またはモノマーの末端に、未反応のNCO基を有し得る。
【0066】
具体的な一例として、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~13重量%、5重量%~10重量%、5重量%~9重量%、6重量%~8重量%、7重量%~9重量%、または7重量%~8重量%で含み得る。
【0067】
具体的な一例として、前記ウレタン系プレポリマーは、前記ウレタン系プレポリマーの重量を基準に、未反応のNCO基を5重量%~9重量%で含み得る。
【0068】
<ウレタン系プレポリマーの調製方法>
前記ウレタン系プレポリマーは、前述のように1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとを予備重合反応させて調製され得る。
【0069】
この過程で投入されるそれぞれのジソイアネートおよびポリオールの種類別含有量、並びに反応条件を調節して、ジイソシアネートモノマーの種類別含有量と反応または未反応との程度を制御し得る。
【0070】
ウレタン系プレポリマー内のジイソシアネートモノマーの種類別含有量と反応または未反応の程度はNMR装置を用いて測定することができ、目的とするレベルに予備重合反応が行われたことを確認した後、必要に応じて反応条件を変更してウレタン系プレポリマーを調製することができる。
【0071】
また、前記予備重合反応には、追加のイソシアネートまたはアルコール等のモノマー、またはその他の添加剤がさらに投入され得る。
【0072】
<硬化剤>
前記硬化剤は、アミン化合物およびアルコール化合物中の1種以上であり得る。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、および脂肪族アルコールからなる群より選択される1つ以上の化合物を含み得る。
【0073】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine、DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、ジプロピレングリコール(dipropylene glycol)、ブタンジオール(butanediol)、ヘキサンジオール(hexanediol)、グリセリン(glycerine)、およびトリメチロールプロパン(trimethylolpropane)からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0074】
前記ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤は、それぞれの分子内の反応性基(reactive group)のモル数を基準に、1:0.8~1:1.2のモル当量比、または1:0.9~1:1.1のモル当量比で混合され得る。なお、「各々の反応性基のモル数基準」とは、例えば、ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基のモル数と、硬化剤の反応性基(アミン基、アルコール基等)のモル数を基準とすることを意味する。したがって、前記ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤は、前記で例示されたモル当量比を満足する量で単位時間当たり投入されるように投入速度が調節され、混合過程に一定の速度で投入され得る。
【0075】
<発泡剤>
前記発泡剤は、研磨パッドの空隙の形成に通常使用されるものであれば、特に制限しない。
【0076】
例えば、前記発泡剤は、中空構造を有する固相発泡剤、揮発性液体を用いた液相発泡剤、および不活性ガスの中から選ばれた1種以上であり得る。
【0077】
前記固相発泡剤は熱膨張されたマイクロカプセルであり得、これは熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張させて得られたものであり得る。前記熱膨張されたマイクロカプセルは、すでに膨張されたマイクロバルーンの構造体として均一な大きさの粒径を有することにより、気孔の粒径サイズを均一に調節可能なメリットを持つ。具体的に、前記固相発泡剤は、5μm~200μmの平均粒径を有するマイクロバルーン構造体であり得る。
【0078】
前記熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂を含む外殻と、前記外殻の内部に封入された発泡剤とを含み得る。前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であり得る。さらに、前記発泡剤は、炭素数1個~7個の炭化水素からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0079】
前記固相発泡剤は、ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.1重量部~2.0重量部の量で使用され得る。具体的に、前記固相発泡剤は、ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.3重量部~1.5重量部、または0.5重量部~1.0重量部の量で使用され得る。
【0080】
前記不活性ガスは、ウレタン系プレポリマーと硬化剤との間の反応に関与しないガスであれば、種類は特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)、二酸化炭素ガス(CO2)、アルゴンガス(Ar)、およびヘリウムガス(He)からなる群より選択される1種以上であり得る。具体的に、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)または二酸化炭素ガス(CO2)であり得る。
【0081】
前記不活性ガスは、ポリウレタン組成物の総体積の10%~30%に相当する体積で投入され得る。具体的に、前記不活性ガスは、ポリウレタン組成物の総体積の15%~30%に相当する体積で投入され得る。
【0082】
<ゲル化時間>
前記組成物は、硬化によりゲル化されるまで一定の時間がかかるが、これをゲル化時間(gel time)という。
【0083】
前記組成物のゲル化時間は、100秒以上、110秒以上、120秒以上、150秒以上であり得る。例えば、前記組成物のゲル化時間は、100秒~300秒、110秒~250秒、100秒~200秒、120秒~220秒、150秒~300秒、または150秒~200秒であり得る。具体的な一例として、前記組成物は、120秒~220秒のゲル化時間を有し得る。
前記ゲル化時間は、例えば70℃にて測定された値であり得る。
【0084】
<硬化後の特性>
前記組成物は、硬化後の引張強度、伸び率、硬度等のような機械的物性が特定の範囲に調節され得る。
【0085】
例えば、前記組成物の硬化後の引張強度は、5N/mm2~30N/mm2、10N/mm2~25N/mm2、10N/mm2~20N/mm2、または15N/mm2~30N/mm2であり得る。
【0086】
また、前記組成物の硬化後の伸び率は、50%~400%、200%~400%、200%~300%、または250%~350%であり得る。
【0087】
また、前記組成物の硬化後の硬度は、20ショアD~70ショアD、30ショアD~60ショアD、40ショアD~60ショアD、30ショアD~50ショアD、または40ショアD~50ショアDであり得る。
【0088】
具体的に、前記組成物は硬化後に40ショアD~50ショアDの硬度を有することにより、ソフトパッドにより好適であり得る。
【0089】
また、前記組成物は、硬化後に10N/mm2~25N/mm2の引張強度および200%~350%の伸び率を有し得る。
前記組成物は、硬化後に多数の微細気孔を有し得る。
【0090】
前記微細気孔の平均径は、10μm~50μm、20μm~50μm、20μm~40μm、20μm~30μm、または30μm~50μmであり得る。
【0091】
また、前記組成物は、硬化後の研磨率(removal rate)が、1000Å/50秒~3000Å/50秒、1000Å/50秒~2000Å/50秒、1500Å/50秒~2500Å/50秒、または1500Å/50秒~1900Å/50秒であり得る。
【0092】
また、前記組成物は、硬化後のパッド切削率(pad cut rate)が、15μm/hr~45μm/hr、20μm/hr~35μm/hr、25μm/hr~45μm/hr、25μm/hr~35μm/hrであり得る。
【0093】
[研磨パッドの製造方法]
一実現例による研磨パッドの製造方法は、前記実現例による組成物を硬化させながら成形する段階を含む。
【0094】
つまり、一実現例による研磨パッドの製造方法は、、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む原料組成物を調製する段階と、前記原料組成物を金型内に注入して硬化する段階とを含み、前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは、1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含む。
【0095】
前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含み得る。
【0096】
また、前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:14~28の重量比で含み得る。
【0097】
また、前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応された2,6-ジイソシアネートを合計78重量%~95重量%で含み得る。
【0098】
また、前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを100:1~23の重量比で含み得る。
【0099】
前記原料組成物を調製する段階は、ウレタン系プレポリマーを含む第1組成物を準備する段階と、硬化剤を含む第2組成物を準備する段階と、発泡剤を含む第3組成物を準備する段階と、前記第1組成物を前記第2組成物および前記第3組成物と順次または同時混合して原料組成物を調製する段階とを含み得る。
【0100】
前記原料組成物を調製するための混合段階は、前記第1組成物を前記第2組成物と混合した後、前記第3組成物とさらに混合するか、または前記第1組成物を前記第3組成物と混合した後、前記第2組成物とさらに混合して行われ得る。
【0101】
また、前記原料組成物を調製する段階は、50℃~150℃の条件で行われ、必要に応じて、真空脱泡条件下で行われ得る。
【0102】
前記原料組成物を金型内に注入して硬化する段階は、60℃~120℃の温度条件および50kg/m2~200kg/m2の圧力条件下で行われ得る。
【0103】
また、前記調製方法は、、得られた研磨パッドの表面を切削する工程、表面に溝を加工する工程、下層部との接着工程、検査工程、包装工程等をさらに含み得る。これらの工程は、通常の研磨パッド製造方法により行うことができる。
【0104】
[研磨パッド]
一実現例による研磨パッドは、前記実現例による組成物の硬化物を含む研磨層を含む。
【0105】
つまり、一実現例による研磨パッドは研磨層を含み、前記研磨層はウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物の硬化物を含み、前記ウレタン系プレポリマーは、1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含む。
【0106】
前記実現例による研磨パッドにおいて、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含み得る。
【0107】
また、前記実現例による研磨パッドにおいて、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:14~28の重量比で含み得る。
【0108】
また、前記実現例による研磨パッドにおいて、前記ウレタン系プレポリマーが前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応された2,6-ジイソシアネートを、合計78重量%~95重量%で含み得る。
【0109】
また、前記実現例による研磨パッドにおいて、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを100:1~23の重量比含み得る。
【0110】
前記研磨層に含まれる硬化物は、多孔質ポリウレタン樹脂であり得る。すなわち、前記研磨層は、ポリウレタン樹脂および前記ポリウレタン樹脂内に分散された多数の微細気孔を含み得る。前記ポリウレタン樹脂は、前記ウレタン系プレポリマーに由来するものであり得る。
【0111】
前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、500g/mol~1000000g/mol、5000g/mol~1000000g/mol、50000g/mol~1000000g/mol、100000g/mol~700000g/mol、または500g/mol~3000g/molであり得る。
【0112】
前記研磨層の厚さは、0.8mm~5.0mm、1.0mm~4.0mm、1.0mm~3.0mm、1.5mm~2.5mm、1.7mm~2.3mm、または2.0mm~2.1mmであり得る。前記範囲内であると、気孔の上下部位別粒径のばらつきを最小化しながらも、研磨層としての基本物性を十分に発揮し得る。
【0113】
前記研磨層の比重は、0.6g/cm3~0.9g/cm3、または0.7g/cm3~0.85g/cm3であり得る。
【0114】
また、前記研磨層は、前記例示された物性に加えて、前記一実現例による組成物が硬化後に有する物性および気孔特性を同様に有し得る。
【0115】
前記研磨層の硬度は、20ショアD~70ショアD、30ショアD~60ショアD、40ショアD~60ショアD、30ショアD~50ショアD、または40ショアD~50ショアDであり得る。
【0116】
前記研磨層の引張強度は、5N/mm2~30N/mm2、10N/mm2~25N/mm2、10N/mm2~20N/mm2、または15N/mm2~30N/mm2であり得る。
【0117】
前記研磨層の伸び率は、50%~400%、200%~400%、200%~300%、または250%~350%であり得る。
【0118】
前記微細気孔は、前記ポリウレタン樹脂内に分散して存在する。
前記微細気孔の平均径は10μm~50μm、20μm~50μm、20μm~40μm、20μm~30μm、または30μm~50μmであり得る。具体的な一例として、前記微細気孔は20μm~25μmの平均径を有し得る。
【0119】
また、前記微細気孔は、前記研磨層の0.3cm2面積当たり100個~300個、150個~300個、または100個~250個で含まれ得る。
【0120】
また、前記微細気孔の総面積は、前記研磨層の総面積を基準に、30%~60%、35%~50%、または35%~43%であり得る。
【0121】
また、前記微細気孔は、前記研磨層の総体積を基準に、30体積%~70体積%、または40体積%~60体積%で含まれ得る。
【0122】
前記研磨層は、表面に機械的研磨のための溝(groove)を有し得る。前記溝は、機械的研磨のための適切な深さ、幅、および間隔を有することができ、特に限定されない。
【0123】
前記研磨パッドは、前記研磨層と積層される支持層をさらに含み得る。前記支持層は、前記研磨層を支持しながら、前記研磨層に加わる衝撃を吸収し、分散させる役割をする。前記支持層は、不織布またはスエードを含むことができ、0.5mm~1mmの厚さおよび60アスカーC~90アスカーCの硬度を有し得る。
【0124】
また、前記研磨層および支持層の間には接着層が挿入され得る。前記接着層は、ホットメルト接着剤を含み得る。前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリオレフィン樹脂からなる群より選択された1種以上であり得る。具体的に、前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0125】
前記研磨パッドの研磨率(removal rate)は、1000Å/50秒~3000Å/50秒、1000Å/50秒~2000Å/50秒、1500Å/50秒~2500Å/50秒、または1500Å/50秒~1900Å/50秒であり得る。具体的な一例として、前記研磨パッドは1000Å/50秒~2500Å/50秒の研磨率を有し得る。前記研磨率は、研磨パッドの製造直後(つまり硬化直後)の初期研磨率であり得る。また、前記研磨パッドのパッド切削率(pad cut rate)は、15μm/hr~45μm/hr、20μm/hr~35μm/hr、25μm/hr~45μm/hr、25μm/hr~35μm/hrであり得る。
【0126】
研磨パッドが前記特性範囲内であると、ソフトパッドに好適な硬度を有しながら研磨率およびパッド切削率が制御され得るので、前記研磨パッドを利用して、高品質の半導体素子を効率よく製造することができる。
【0127】
[半導体素子の製造方法]
一実現例による半導体素子の製造方法は、前述の研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含む。
【0128】
つまり、一実現例による半導体素子の製造方法は、、研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含み、前記研磨パッドは研磨層を含み、前記研磨層はウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物の硬化物を含み、前記ウレタン系プレポリマーは1種以上のジイソシアネートモノマーと1種以上のポリオールとの予備重合反応生成物を含み、前記1種以上のジイソシアネートモノマーは1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーを含み、前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーがトルエン2,4-ジイソシアネートおよびトルエン2,6-ジイソシアネートを含む。
【0129】
前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび未反応のトルエン2,6-ジイソシアネートを100:0~4の重量比で含み得る。
【0130】
また、前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび2個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートを100:14~28の重量比で含み得る。
【0131】
また、前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが前記1種以上の芳香族ジイソシアネートモノマーの総重量を基準に、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応された2,6-ジイソシアネートを、合計78重量%~95重量%で含み得る。
【0132】
また、前記実現例による方法において、前記ウレタン系プレポリマーが、1個のNCO基が反応されたトルエン2,4-ジイソシアネートおよび1個のNCO基が反応されたトルエン2,6-ジイソシアネートを100:1~23の重量比で含み得る。
【0133】
まず、前記実現例による研磨パッドを定盤上に装着した後、半導体基板を前記研磨パッド上に配置する。この際、前記半導体基板の表面は、前記研磨パッドの研磨面に直接接触される。研磨のために、前記研磨パッド上に研磨スラリーが噴射され得る。以降、前記半導体基板と前記研磨パッドとは互いに相対回転して、前記半導体基板の表面が研磨され得る。
【0134】
前記実現例による研磨パッドは、組成が調整されたウレタン系プレポリマーを硬化させて得たため、伸び率、硬度、微細気孔特性、研磨率等が優れているので、前記研磨パッドを用いて、優れた品質の半導体素子を効率よく製造することができる。
【0135】
(実施例)
以下、実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0136】
(実施例および比較例)
(1)ウレタン系プレポリマーの調製
トルエン2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を4口フラスコに投入し、80℃にて反応させた後、ジエチレングリコール(DEG)をさらに投入し、80℃にてさらに2時間反応した。この過程で投入されるそれぞれのジソイアネートおよびポリオールの種類別含有量、および反応条件を調節して、様々な組成のウレタン系プレポリマーを調製した。
【0137】
ウレタン系プレポリマーの組成を分析するために、ウレタン系プレポリマーサンプル5mgをCDCl3に溶解し、室温にて核磁気共鳴(NMR)装置(JEOL社、500MHz、90°pulse)を使用して、1H-NMRおよび13C-NMR分析を行った。得られたNMRデータからTDIの反応されたメチル基と反応されなかったメチル基のピークを積分することにより、ウレタン系プレポリマー内の反応または未反応のモノマーの含有量を算出した。
【0138】
具体的には、2個のNCO基のうち4‐位置に置換されたNCO基のみポリオールと反応した2,4-TDI(以下「4‐反応2,4-TDI」という)の重量を100重量部としたとき、2個のNCO基がいずれもポリオールと反応され鎖を形成した2,4-TDI(以下「2,4-反応2,4-TDI」という)、2個のNCO基がいずれもポリオールと反応していない2,6-TDI(以下「未反応2,6-TDI」という)、および2個のNCO基のうち2-位置または6-位置に置換されたNCOのみポリオールと反応した2,6-TDI(以下「2反応2,6-TDI」という)の重量部を算出した(その他、2-位置のNCOのみ反応した2,4-TDIおよび2個のNCO基がいずれも反応した2,6-TDIはほとんど検出されなかった)。その結果を下記の表にまとめた。
【0139】
【0140】
【0141】
(2)研磨パッドの製造
プレポリマー、硬化剤、不活性ガス、発泡剤等の原料をそれぞれ供給するためのタンクおよび投入ラインが備えられているキャスティング装置を準備した。前記調製されたウレタン系プレポリマー、硬化剤(4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)、Ishihara社)、不活性ガス(N2)、液相発泡剤(FC3283、3M社)、固相発泡剤(Akzonobel社)、およびシリコーン系界面活性剤(Evonik社)をそれぞれのタンクに充填した。各々の投入ラインを介して原料をミキシングヘッドに一定の速度で投入しながら撹拌した。この際、プレポリマーと硬化剤とは、1:1の当量比および10kg/分の合計量で投入された。
【0142】
撹拌された原料をモールド(1000mm×1000mm×3mm)に吐出して反応を完結し、固相ケーキ状の成形体を得た。以降、前記成形体の上段および下段をそれぞれ0.5mmずつの厚さで切削して厚さ2mmの研磨層を得た。
【0143】
その後、研磨層に対して表面ミリングおよび溝形成工程を経て、ホットメルト接着剤により支持層と積層して、研磨パッドを得た。
【0144】
研磨層の具体的な工程条件を下記表にまとめた。
【0145】
【0146】
(試験例)
前記実施例および比較例で得られた研磨パッドを、以下の項目について試験し、その結果を下記の表に示した。
【0147】
(1)硬度
サンプルを5cm×5cm(厚さ:2mm)に裁断し、温度25℃にて12時間保管後、硬度計(HPE III ショアD)を用いて硬度を測定した。
【0148】
(2)比重
サンプルを2cm×5cm(厚さ:2mm)に裁断して、温度25℃にて12時間保管後、比重計(MD-300S)を使用して比重を測定した。
【0149】
(3)引張強度
サンプルを4cm×1cm(厚さ:2mm)に裁断して、万能試験機(UTM、AG-X Plus)を使用して、50mm/分の速度において破断寸前の最高強度値を測定した。
【0150】
(4)伸び率
サンプルを4cm×1cm(厚さ:2mm)に裁断して、万能試験機(UTM、AG-X Plus)を使用して、50mm/分の速度において破断寸前の最大変形量を測定した後、最初長さに対する最大変形量の割合を百分率(%)で示した。
【0151】
(5)ゲル化時間(gel time)
プレポリマーと硬化剤を1:1当量で配合し、5000rpmで撹拌され出てくる混合液が、70℃にてゲル化するまでにかかる時間を測定した。
【0152】
【0153】
(6)研磨率(removal rate)
研磨パッドの製造直後の初期研磨率を以下のように測定した。
直径300mmのシリコン素材の半導体基板に、酸化ケイ素を化学気相蒸着(CVD)工程により蒸着した。CMP装置に研磨パッドを付着して、半導体基板の酸化ケイ素層が研磨パッドの研磨面を向くように設置した。研磨パッド上にか焼セリアスラリーを250mL/分の速度で供給しながら、4.0psiの荷重および150rpmの速度で50秒間酸化ケイ素膜を研磨した。研磨後の半導体基板をキャリアから外して、回転式脱水機(spin dryer)に装着して蒸留水で洗浄した後、窒素により15秒間乾燥した。乾燥した半導体基板に対して分光干渉式ウェーハ厚み計(SI-F80R、Keyence社)を使用して、研磨前後の膜厚変化を測定した。以降、下記式に基づいて研磨率を計算した。その結果を下記表に示した。
研磨率(Å/50秒)=研磨前後の膜厚変化(Å)/研磨時間(50秒)
【0154】
(7)パッド切削率(pad cut rate)
研磨パッドを10分間脱イオン水でフリーコンディショニングを行った後、脱イオン水を1時間噴射しながらダイヤモンドディスクを用いたコンディショナーにてコンディショニングを行った(Conditioner type:CI45、Conditioning type:In situ, Conditioner force:5.0lb, Conditioner rpm:101.0rpm, Conditioner sweep speed:19.0sw/min, DIW flow rate:250cc/min)。コンディショニングの過程で変化した厚さを測定し、研磨パッドの切削率を算出した。その結果を下記表に示した。
【0155】
【0156】
前記表から分かるように、実施例の研磨パッドは、研磨率がソフトパッドに適したレベルで優れている反面、比較例の研磨パッドは、ハードセグメントの凝集が増加して研磨率がソフトパッドに概ね不適であった。
【0157】
また、前記表から分かるように、実施例の研磨パッドは、ダイヤモンドディスクを用いたコンディショニングの際にパッド切削率が優れている反面、比較例の研磨パッドは、ハードセグメントの凝集が増加してパッド切削率が低調であった。