(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】画像形成方法、画像形成装置、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/00 20060101AFI20220419BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220419BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20220419BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20220419BHJP
C09D 11/54 20140101ALI20220419BHJP
【FI】
B41M5/00 100
B41J2/01 121
B41J2/01 123
B41J2/01 125
B41J2/01 501
B41J2/21
B41M5/00 120
B41M5/00 132
C09D11/322
C09D11/54
(21)【出願番号】P 2017233972
(22)【出願日】2017-12-06
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 弘規
(72)【発明者】
【氏名】中川 智裕
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-090596(JP,A)
【文献】国際公開第2007/058245(WO,A1)
【文献】特表2007-521368(JP,A)
【文献】特開2007-297595(JP,A)
【文献】特開2007-297596(JP,A)
【文献】国際公開第2007/116867(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/116868(WO,A1)
【文献】特開2009-024072(JP,A)
【文献】特開2009-299050(JP,A)
【文献】特開2013-209668(JP,A)
【文献】特開2010-202858(JP,A)
【文献】特開2015-071738(JP,A)
【文献】特開2017-114934(JP,A)
【文献】特開2016-060167(JP,A)
【文献】特開2017-144628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00- 5/52
B41J 2/01
B41J 2/165-2/215
C09D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与工程と、
前記前処理液を付与した前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与工程と、を含み、
前記インク付与工程において、前記マゼンタインクを付与した後に前記イエローインクを付与し、
前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、
前記記録媒体が非吸収性記録媒体であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記前処理液中に含まれる多価金属塩が、カルシウム塩及びマグネシウム塩の少なくともいずれかである請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記固溶体顔料を構成する2種類の顔料である顔料Aと顔料Bとの質量比率(A:B)が、20:80~80:20である請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記マゼンタインクがアクリル樹脂粒子を含み、
前記アクリル樹脂粒子の前記マゼンタインクに対する含有量が0.5質量%以上20質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記イエローインクが、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー74、及びC.I.ピグメントイエロー155から選択される少なくとも1種のイエロー顔料を含む請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
更に、前記非吸収性記録媒体を表面改質処理する表面改質工程と、
前記非吸収性記録媒体上にインクジェット記録方式により、白色インクを付与する白色インク付与工程と、を含む請求項1から5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記表面改質工程が、コロナ放電、フレーム処理及びプラズマ処理のいずれかである請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
インクを付与後の前記非吸収性記録媒体を加熱する加熱工程を含む請求項1から7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与手段と、
前記前処理液を付与した記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与手段と、を有し、
前記インク付与手段により、前記マゼンタインクを付与した後に前記イエローインクを付与し、
前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、
前記記録媒体が非吸収性記録媒体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載の画像形成方法により、非吸収性記録媒体上に画像を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法、画像形成装置、及び印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは、低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有するので、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。
近年では、家庭用のみならず、例えば、食品、飲料、日用品などの包装材料にインクジェットで作像する技術が発展してきている。
【0003】
日本国内では、用途においてはプラスチックフィルム等の非吸収性記録媒体が使用されており、そのためのインクが開発されてきている。このようなプラスチックフィルムにインクジェットで直接印刷する例としては、例えば、食品や日用品の包装印刷用途が挙げられる。これらの用途は印刷物を至近距離で見る機会が多いことから、非常に高い画像品質が求められる。しかし、非吸収性記録媒体上にインクジェット印刷を行った場合、浸透乾燥が起こらないため、インク滴が過剰に広がって白抜き文字(ネガ文字とも言う)が潰れてしまって可読できなくなることがある。
【0004】
前記問題に対応するため、例えば、被記録媒体に、凝集剤を含む反応液と、色材を含むインクとを順に付与する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、滲みが少なく可読性に優れ、高い彩度を有するマゼンタ及びマゼンタの二次色を発現させる画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像形成方法は、記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与工程と、前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与工程と、を含み、
前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、前記記録媒体が非吸収性記録媒体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、滲みが少なく可読性に優れ、高い彩度を有するマゼンタ及びマゼンタの二次色を発現させる画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、インク収容容器の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与工程と、
前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与工程と、を含み、
前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、
前記記録媒体が非吸収性記録媒体であり、表面改質工程、白色インク付与工程、及び加熱工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0010】
本発明の画像形成装置は、記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与手段と、
前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与手段と、を有し、
前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、
前記記録媒体が非吸収性記録媒体であり、表面改質手段、白色インク付与手段、及び加熱手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有する。
【0011】
本発明の画像形成方法及び本発明の画像形成装置は、従来技術では、凝集剤を含む反応液を塗布した非吸収性記録媒体にインクを付与した場合、最初に付与した第1のインク層と次に付与した第2のインク層の間に界面が形成され、互いに混ざり合わないため、彩度が低下するという知見に基づくものである。また、これは吸収性記録媒体と反応液の組み合わせでは生じないため、前記非吸収性記録媒体と前記反応液の組み合わせで生じる特有の課題であるという知見に基づくものである。
また、一般的に赤やオレンジ、黄色などの暖色系の色は食欲を増進させる効果があるため、彩度の高いマゼンタインクを食品包装材料に使用することはその商品の魅力を向上させる点においても重要なことであるが、上記のように混色が生じない場合、一般的なマゼンタ顔料では高い彩度は期待できないという知見に基づくものである。
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、「記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与工程と、前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与工程と、を含み、前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、前記記録媒体が非吸収性記録媒体である画像形成方法」において、滲みが少なくマゼンタ及びマゼンタの二次色の彩度が高い印刷物を提供できることを知見した。これは、インク中の色材の分散を不安定化させる多価金属塩を含む前処理液を塗布した非吸収性記録媒体上に付与された第1のインク層(マゼンタインク層)が、次に付与される第2のインク層(イエローインク層)との間に界面を形成して、完全に混色しないため滲みの少ない印刷物を得ることができる一方で、特定の固溶体顔料を含むマゼンタインクにより、混色せずとも高い彩度を表現できるためである。他方、吸収性記録媒体に前処理液を付与した場合には、その後付与する第1のインク(マゼンタインク)と第2のインク(イエローインク)は混色して滲みが生じる結果となった。
【0013】
<前処理液付与工程及び前処理液付与手段>
前処理液付与工程は、記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する工程であり、前処理液付与手段により実施される。
【0014】
<<前処理液>>
前記前処理液は、多価金属塩を含有し、水を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0015】
-多価金属塩-
多価金属塩は、インク中の色材の分散を不安定化させる機能を有しており、インク中の顔料を着滴後に速やかに凝集させ、カラーブリードを抑制するとともに、発色性を向上させることができる。
前記多価金属塩における陽イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム(Al(III))、カルシウム(Ca(II))、マグネシウム(Mg(II))、銅(Cu(II))、鉄(Fe(II)又はFe(III))、亜鉛(Zn(II))、スズ(Sn(II)又はSn(IV))、ストロンチウム(Sr(II))、ニッケル(Ni(II))、コバルト(Co(II))、バリウム(Ba(II))、鉛(Pb(II))、ジルコニウム(Zr(IV))、チタン(Ti(IV))、アンチモン(Sb(III))、ビスマス(Bi(III))、タンタル(Ta(V))、砒素(As(III))、セリウム(Ce(III))、ランタン(La(III))、イットリウム(Y(III))、水銀(Hg(II))、ベリリウム(Be(II))等のイオンなどが挙げられる。これらの中でも、カルシウム(Ca(II))、マグネシウム(Mg(II))が好ましい。
【0016】
前記多価金属塩における陰イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等のハロゲン元素のイオン;硝酸イオン(NO3
-)、硫酸イオン(SO4
2-);ギ酸、酢酸、乳酸、マロン酸、シュウ酸、マレイン酸、安息香酸等の有機カルボン酸のイオン;ベンゼンスルフォン酸、ナフトールスルフォン酸、アルキルベンゼンスルフォン酸等の有機スルフォン酸のイオン;チオシアンイオン(SCN-、チオ硫酸イオンS2O3
2-)、リン酸イオン(PO4
3-)、亜硝酸イオン(NO2-)などが挙げられる。これらの中でも、コスト、及び安全性の点から、塩素イオン(Cl-)、硫酸イオン(SO4
2-)、酢酸イオン硝酸イオン(NO3
-)が好ましい。
【0017】
前記多価金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化ニッケル、酢酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、アンモニウムみょうばんなどが挙げられる。より具体的には、酢酸カルシウム1水和物、硝酸カルシウム/4水和物、塩化カルシウム6水和物、硫酸マグネシウム(無水)、硝酸アルミニウム9水和物、塩化ニッケル6水和物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸カルシウム1水和物、硝酸カルシウム/4水和物、塩化カルシウム6水和物、硫酸マグネシウム(無水)が好ましい。
【0018】
前記多価金属塩の含有量としては、前記前処理液全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましく、1質量%以上4質量%以下が更に好ましい。
【0019】
-水-
水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
【0020】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、例えば、有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤などが挙げられる。
前記有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、及び防錆剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、後述するインクに用いる材料と同様の材料を使用することができる。
【0021】
<<記録媒体>>
前記記録媒体としては、非吸収性記録媒体が用いられる。
前記非吸収性記録媒体とは、水透過性、吸収性、及び吸着性の少なくともいずれかが低い表面を有する記録媒体を意味しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。
より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体を指す。
【0022】
前記非吸収性記録媒体としては、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる
前記ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、P-2002、P-2161、P-4166(いずれも、東洋紡株式会社製)、PA-20、PA-30、PA-20W(いずれも、SUNTOX社製)、FOA、FOS、FOR(いずれも、フタムラ化学株式会社製)などが挙げられる。
前記ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとしては、例えば、E-5100、E-5102(いずれも、東洋紡株式会社製)、P60、P375(いずれも、東レ株式会社製)、G2、G2P2、K、SL(いずれも、帝人デュポンフィルム株式会社製)などが挙げられる。
前記ナイロンフィルムとしては、例えば、ハーデンフィルムN-1100、N-1102、N-1200(いずれも、東洋紡株式会社製)、ON、NX、MS、NK(いずれも、ユニチカ株式会社製)などが挙げられる。
【0023】
前処理液の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
【0024】
<インク付与工程及びインク付与手段>
前記インク付与工程は、前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与する工程であり、インク付与手段により実施される。
前記記録媒体は非吸収性記録媒体であり、前記非吸収性記録媒体としては、上述したものが挙げられる。
インクジェット記録方式としては、インク吐出用の各種のインクジェットノズルを用いた方法、などが挙げられる。
マゼンタインクの付与とイエローインクの付与の順序については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、滲みの少ない印刷物を得る点から、マゼンタインクを付与した後にイエローインクを付与することが好ましい。
【0025】
<<マゼンタインク>>
前記マゼンタインクは、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、アクリル樹脂粒子を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0026】
-固溶体顔料-
固溶体とは、複数の顔料分子の混晶(混合状態で結晶化した状態)体のことである。
固溶体の生成量はCuKα線(波長:1.541Å)のX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)に対して、2θ=のピーク強度を観察することによって確認することができる。固溶体の生成量は、顔料混合物から固溶体を生成する際の混合条件等を適宜調整することによって調整することができる。
固溶体顔料を構成する顔料としては、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19が用いられる。
【0027】
前記固溶体顔料を構成する2種類の顔料である顔料Aと顔料Bの質量比率(A:B)は、発色性の観点から、20:80~80:20であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましい。
【0028】
-アクリル樹脂粒子-
前記アクリル樹脂粒子は、膜の平滑性や透明性に影響を与えるため、彩度や滲み抑制の向上に効果がある。
前記アクリル樹脂粒子としては、例えば、アクリル樹脂粒子、スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋型スチレン-アクリル樹脂粒子などが挙げられる。
前記アクリル樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販の樹脂粒子としては、例えば、マイクロジェルE-1002、E-5002(スチレン-アクリル樹脂粒子、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル樹脂微粒子、DIC株式会社製)、ボンコート5454(スチレン-アクリル樹脂粒子、DIC株式会社製)、SAE-1014(スチレン-アクリル樹脂粒子、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK-200(アクリル樹脂粒子、サイデン化学株式会社製)、プライマルAC-22、AC-61(アクリル樹脂粒子、ローム・アンド・ハース社製)、ナノクリルSBCX-2821、3689(アクリルシリコーン樹脂粒子、東洋インキ株式会社製)などが挙げられる。
前記アクリル樹脂粒子の前記マゼンタインクに対する含有量は、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。この数値範囲において、充分な樹脂量が確保でき平坦な膜を得ることができ、かつ膜厚が大きくなりすぎず透明性を担保できるため彩度が向上する。
【0029】
<<イエローインク>>
前記イエローインクは、イエロー顔料を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0030】
前記イエロー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、マゼンタインクと二次色を形成したときに高い彩度を発現することができる点から、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー155が好ましい。
【0031】
以下、マゼンタインクにおける固溶体顔料及びアクリル樹脂粒子、イエローインクにおけるイエロー顔料以外の成分について説明する。
【0032】
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
【0033】
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0034】
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0035】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0036】
<水>
水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0037】
<色材>
前記マゼンタインクの固溶体顔料、及び前記イエローインクのイエロー顔料以外の色材としては特に限定されず、顔料や染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、などが挙げられる。
【0038】
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142;C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289;C.I.アシッドブルー9,45,249;C.I.アシッドブラック1,2,24,94;C.I.フードブラック1,2;C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173;C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227;C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202;C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195;C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249;C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
【0039】
その他の微量添加剤としては、例えば、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤などを含有してもよい。
【0040】
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0041】
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0042】
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0043】
<<表面改質工程及び表面改質処理手段>>
前記表面改質工程は、前記非吸収性記録媒体を表面改質処理する工程であり、表面改質手段により実施される。非吸収性記録媒体を表面改質処理することにより、前処理液をより均一に塗工することが可能になるという利点がある。
前記表面改質手段は、画像形成装置内に設けてもよく、画像形成装置外に設けてもよいが、装置分割による取り扱いの点から、画像形成装置内に設けることが好ましい。
前記表面改質処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、紫外線照射処理などが挙げられる。これらの中でも、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が好ましく、出力安定性に優れており、記録面に対して均一に表面処理が行える点から、コロナ処理が特に好ましい。
【0044】
<<白色インク付与工程及び白色インク付与手段>>
前記白色インク付与工程は、非吸収性記録媒体上にインクジェット記録方式により、白色インクを付与する工程であり、白色インク付与手段により実施される。
白色インクは、白色の着色剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記白色の着色剤としては、白色を呈すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機白色顔料、有機白色顔料、中空樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、無機白色顔料、中空樹脂粒子が好ましい。
【0045】
-無機白色顔料-
前記無機白色顔料としては、例えば、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸化チタンが好ましい。
【0046】
-中空樹脂粒子-
前記中空樹脂粒子は、その内部に空洞を有しており、その外殻が液体透過性を有する樹脂から形成されている。したがって、前記中空樹脂粒子がインク中に存在する場合には、内部の空洞は水性媒質で満たされることになる。
前記水性媒質で満たされた前記中空樹脂粒子は、外部の水性媒質とほぼ等しい比重を有するため、インク中で沈降することなく分散安定性を保つことができる。これにより、インクの貯蔵安定性や吐出安定性を高めることができる。
【0047】
前記その他の成分としては、前記イエローインクと同様である。
前記非吸収性記録媒体としては、前記前処理液付与工程と同様のものを用いることができる。
インクジェット記録方式としては、インク吐出用の各種のインクジェットノズルを用いた方法、などが挙げられる。
前記白色インク付与工程と前記インク付与工程の順序については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、白色インクを付与した後にマゼンタインク及びイエローインクを付与することが好ましい。
【0048】
<<加熱工程及び加熱手段>>
前記加熱工程は、前記インクを付与後の前記非吸収性記録媒体を加熱する工程であり、加熱手段により実施される。
前記加熱手段としては、例えば、ヒーター、加熱ローラ、温風送風器などが挙げられる。
前記加熱温度としては、40℃以上100℃以下が好ましく、50℃以上90℃以下がより好ましい。前記加熱温度が、40℃以上120℃以下であると、非吸収性記録媒体の熱によるダメージを防止することができる。
【0049】
<<その他の工程及びその他の手段>>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段などが挙げられる。
【0050】
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有してもよい。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について
図1乃至
図2を参照して説明する。
図1は同装置の斜視説明図である。
図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
【0051】
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
【0052】
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0053】
(印刷物の製造方法)
本発明の印刷物の製造方法は、本発明の画像形成方法により、非吸収性記録媒体上に画像を形成する。
前記印刷物の製造方法により製造された印刷物は、滲みが少なく可読性に優れ、高い彩度を有しており、マゼンタ及びマゼンタの二次色を発現させることができる。
【0054】
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。更に、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
【0055】
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0057】
(前処理液の調製例1~6)
<前処理液の調製>
表1に記載の処方にて調合した後、混合撹拌し、平均孔径5μmのフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)で濾過して、前処理液1~6を調製した。
【0058】
【表1】
*エマルゲンLS-106:高級アルコール系エーテル型非イオン性界面活性剤、花王株式会社製
*プロキセルLV:防腐防カビ剤、ロンザジャパン株式会社製
【0059】
(マゼンタ顔料分散体の調製例1)
-マゼンタ顔料分散体1の調製-
以下の処方の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してマゼンタ顔料分散体1(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントレッド202:C.I.ピグメントバイオレット19=20:80(質量比)の固溶体顔料・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0060】
(マゼンタ顔料分散体の調製例2)
-マゼンタ顔料分散体2の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してマゼンタ顔料分散体2(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントレッド202:C.I.ピグメントバイオレット19=40:60(質量比)の固溶体顔料・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0061】
(マゼンタ顔料分散体の調製例3)
-マゼンタ顔料分散体3の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してマゼンタ顔料分散体3(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントレッド202:C.I.ピグメントバイオレット19=60:40(質量比)の固溶体顔料・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0062】
(マゼンタ顔料分散体の調製例4)
-マゼンタ顔料分散体4の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してマゼンタ顔料分散体4(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントレッド202:C.I.ピグメントバイオレット19=80:20(質量比)の固溶体顔料・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0063】
(マゼンタ顔料分散体の調製例5)
-マゼンタ顔料分散体5の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してマゼンタ顔料分散体5(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントレッド202:C.I.ピグメントバイオレット19=10:90(質量比)の固溶体顔料・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0064】
(マゼンタ顔料分散体の調製例6)
-マゼンタ顔料分散体6の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してマゼンタ顔料分散体6(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントレッド202:C.I.ピグメントバイオレット19=90:10(質量比)の固溶体顔料・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0065】
(マゼンタ顔料分散体の調製例7)
-マゼンタ顔料分散体7の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してマゼンタ顔料分散体7(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントレッド202・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0066】
(イエロー顔料分散体の調製例1)
-イエロー顔料分散体1の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してイエロー顔料分散体1(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントイエロー13・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0067】
(イエロー顔料分散体の調製例2)
-イエロー顔料分散体2の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散して、イエロー顔料分散体2(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントイエロー74・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0068】
(イエロー顔料分散体の調製例3)
-イエロー顔料分散体3の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してイエロー顔料分散体3(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントイエロー155・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0069】
(イエロー顔料分散体の調製例4)
-イエロー顔料分散体4の調製-
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してイエロー顔料分散体4(顔料濃度:15質量%)を得た。
・C.I.ピグメントイエロー1・・・15質量部
・アクリル系高分子分散剤Disperbyk-2010・・・5質量部(BYKジャパン社製)
・イオン交換水・・・80質量部
【0070】
(アクリル樹脂エマルジョンAの調製例)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。
内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20gにスチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸10gを撹拌下に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。
滴下終了後、3時間の熟成を行った。
得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液を添加して固形分30質量%、pH8に調整することにより、アクリル樹脂エマルジョンAを得た。
【0071】
(ポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製例)
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリライトOD-X-2420(DIC株式会社製、ポリエステルポリオール)1,500g、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)220g、及びN-メチルピロリドン(NMP)1,347gを窒素雰囲気下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次いで、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445g、及びジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6gを加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
この反応混合物を80℃まで冷却し、更にトリエチルアミン149gを添加・混合したものの中から4,340gを抜き出して、強撹拌下、水5,400g及びトリエチルアミン15gの混合溶液の中に加えた。
次いで、氷1,500gを投入し、35質量%の2-メチル-1,5-ペンタンジアミン水溶液626gを加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、得られた樹脂エマルジョンをペイントコンディショナー(レッドデビル社製、50rpm~1,425rpmの範囲で速度調節可能)で分散処理し、固形分濃度40.0質量%、ガラス転移点(Tg)10℃のポリエステル系ウレタン樹脂エマルジョンAを得た。
なお、ガラス転移点(Tg)はDSC(リガク株式会社製、Thermo plus EVO2/DSC)にて測定した。
【0072】
(マゼンタインク及びイエローインクの製造例)
表2-1、表2-2、及び表3に示したとおりの処方を混合撹拌し、平均孔径0.2μmのポリプロピレンフィルターにて濾過することにより、マゼンタインク1~11及びイエローインク1~4を作製した。
【0073】
【表2-1】
*プロキセルLV:防腐防カビ剤、ロンザジャパン株式会社製
【0074】
【表2-2】
*プロキセルLV:防腐防カビ剤、ロンザジャパン株式会社製
【0075】
【表3】
*プロキセルLV:防腐防カビ剤、ロンザジャパン株式会社製
【0076】
(実施例1~12及び比較例1~3)
<画像形成方法>
表4に示す記録媒体、前処理液、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせによって、非吸収性記録媒体としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、エスペットE-5100、厚さ25μm、片面(印字面)のみコロナ処理により表面改質されている)、吸収性媒体としてMy Paper(株式会社リコー製、普通紙)に対し、前処理液をロールコーターで所定の付着量(3g/m2)となるように調整し、塗工した後、ヤマト科学株式会社製の送風定温恒温器DKM300にて80℃で2分間乾燥させた(乾燥1)。
なお、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、エスペットE-5100のブリストー(Bristow)法における接触開始から30msec1/2までの水吸収量は、0~5mL/m2である。
予め、各インクが充填されたインクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)を用意しておき、前処理液を塗工・乾燥した記録媒体に対して、マゼンタインクを付与した後、イエローインクを付与して、マゼンタインク及びイエローインクのベタパッチ画像をそれぞれ隣接するように印刷し、その後、ヤマト科学株式会社製の送風定温恒温器DKM300にて80℃で2分間乾燥させた(乾燥2)。
また、彩度の評価においては、マゼンタインクとイエローインクとを重ね合わせて、二次色(レッド)画像を形成して、その後、ヤマト科学株式会社製の送風定温恒温器DKM300にて80℃で2分間乾燥させた(乾燥3)。
【0077】
(実施例13)
実施例1において、非吸収性記録媒体としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、エスペットE-5100、厚さ25μm)の非コロナ処理面(印字面と逆側)側に前処理液を塗工し、マゼンタインク、及びイエローインクを付与した以外は、実施例1と同様にして、画像形成を行った。
【0078】
(実施例14)
実施例1において、非吸収性記録媒体としてフレーム処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、フレーム処理面に前処理液を塗工し、マゼンタインク、及びイエローインクを付与した以外は、実施例1と同様にして、画像形成を行った。
【0079】
(実施例15)
実施例1において、乾燥1、乾燥2及び乾燥3を、室温(25℃)で8時間放置に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像形成を行った。
【0080】
<色境界滲みの評価方法>
表4に示す記録媒体、前処理液、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせによって得られた画像の色境界滲みは目視により以下の評価基準にて評価した。なお、Bまでが実用的なレベルである。
[評価基準]
A:色境界滲みがまったく無い
B:一部の色の間でわずかな滲みが見られる
C:ほとんどの色の間でわずかな滲みが見られる
D:激しい滲みが見られ、画像品位を落としている
【0081】
<彩度>
反射型カラー分光測色濃度計(X-Rite社製)で測定した彩度の値と、標準色(Japan color ver.2)の彩度の値(イエロー:91.34、マゼンタ:74.55、シアン:62.82)との比率を算出し、以下の評価基準にしたがって評価した。なお、Bまでが実用的なレベルである。
[評価基準]
A:1.0以上
B:0.8以上1.0未満
C:0.7以上0.8未満
D:0.7未満
【0082】
【0083】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与工程と、
前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与工程と、を含み、
前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、
前記記録媒体が非吸収性記録媒体であることを特徴とする画像形成方法である。
<2> 前記インク付与工程において、前記非吸収性記録媒体上にマゼンタインクを付与した後、前記イエローインクを付与する前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記前処理液中に含まれる多価金属塩が、カルシウム塩及びマグネシウム塩の少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<4> 前記固溶体顔料を構成する2種の顔料である顔料Aと顔料Bとの質量比率(A:B)が、20:80~80:20である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<5> 前記マゼンタインクがアクリル樹脂粒子を含み、
前記アクリル樹脂粒子の前記マゼンタインクに対する含有量が0.5質量%以上20質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<6> 前記イエローインクが、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー74、及びC.I.ピグメントイエロー155から選択される少なくとも1種のイエロー顔料を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<7> 更に、前記非吸収性記録媒体を表面改質処理する表面改質工程と、
前記非吸収性記録媒体上にインクジェット記録方式により、白色インクを付与する白色インク付与工程と、を含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<8> 前記表面改質工程が、コロナ放電、フレーム処理及びプラズマ処理のいずれかである前記<7>に記載の画像形成方法である。
<9> インクを付与後の前記非吸収性記録媒体を加熱する加熱工程を含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<10> 記録媒体上に多価金属塩を含む前処理液を付与する前処理液付与手段と、
前記記録媒体上にインクジェット記録方式により、少なくともマゼンタインク及びイエローインクを付与するインク付与手段と、を有し、
前記マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19からなる固溶体顔料であり、
前記記録媒体が非吸収性記録媒体であることを特徴とする画像形成装置である。
<11> 前記前処理液中に含まれる多価金属塩が、カルシウム塩及びマグネシウム塩の少なくともいずれかである前記<10>に記載の画像形成装置である。
<12> 前記固溶体顔料を構成する2種の顔料である顔料Aと顔料Bの質量比率(A:B)が、20:80~80:20である前記<10>から<11>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<13> 前記マゼンタインクがアクリル樹脂粒子を含み、
前記アクリル樹脂粒子の前記マゼンタインクに対する含有量が0.5質量%以上20質量%以下である前記<10>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<14> 前記イエローインクが、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー74、及びC.I.ピグメントイエロー155から選択される少なくとも1種の顔料を含む前記<10>から<13>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<15> 更に、前記非吸収性記録媒体を表面改質処理する表面改質手段と、
前記非吸収性記録媒体上に、白色インクをインクジェット記録方式によりに付与する白色インク付与手段と、
を有する前記<10>から<14>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<16> 前記表面改質手段が、コロナ放電、フレーム処理及びプラズマ処理のいずれかを用いる前記<15>に記載の画像形成装置である。
<17> インクを付与後の前記非吸収性記録媒体を加熱する加熱手段を有する前記<10>から<16>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<18> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像形成方法により、非吸収性記録媒体上に画像を形成することを特徴とする印刷物の製造方法である。
【0084】
前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像形成方法、前記<10>から<17>のいずれかに記載の画像形成装置、及び前記<18>に記載の印刷物の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【符号の説明】
【0086】
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ