(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】払拭装置、払拭ユニット、ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20220419BHJP
B41F 35/00 20060101ALN20220419BHJP
【FI】
B41J2/165 307
B41F35/00 Z
(21)【出願番号】P 2017238218
(22)【出願日】2017-12-13
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 達郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 謙太
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 大介
(72)【発明者】
【氏名】浅野 幸博
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-126772(JP,A)
【文献】特開2008-137266(JP,A)
【文献】特開2003-033712(JP,A)
【文献】特開平09-054514(JP,A)
【文献】特開2012-201102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41F 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り出し側ロールから繰り出されて巻取り側ロールに巻き取られる払拭部材と、
前記払拭部材を複数の払拭対象にそれぞれ押し付ける複数の押し付け部材と、を備え、
前記複数の押し付け部材は、払拭方向と直交する方向の異なる位置に配置され、
前記払拭部材の送り方向上流側の前記押し付け部材と前記送り方向下流側の前記押し付け部材との間で、前記払拭部材の表裏を反転させる
奇数個の反転部材を有し
、
前記複数の押し付け部材は、前記払拭部材の一面又は他面を異なる前記払拭対象にそれぞれ押し付ける
ことを特徴とする払拭装置。
【請求項2】
繰り出し側ロールから繰り出されて巻取り側ロールに巻き取られる払拭部材と、
前記払拭部材を複数の払拭対象にそれぞれ押し付ける複数の押し付け部材と、を備え、
前記複数の押し付け部材は、払拭方向と直交する方向の異なる位置に配置され、
前記払拭部材の送り方向上流側の前記押し付け部材と前記送り方向下流側の前記押し付け部材との間で、前記払拭部材の表裏を反転させる偶数個の反転部材を有し
、
少なくとも2つの前記押し付け部材は、前記払拭部材の同じ面を異なる前記払拭対象にそれぞれ押し付ける
ことを特徴とする払拭装置。
【請求項3】
前記複数の押し付け部材は、払拭方向の同じ位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の払拭装置。
【請求項4】
繰り出し側ロールから繰り出されて巻取り側ロールに巻き取られる払拭部材と、
前記払拭部材を複数の払拭対象にそれぞれ押し付ける複数の押し付け部材と、を備え、
前記複数の押し付け部材は、払拭方向と直交する方向の異なる位置に配置され、
前記払拭部材の送り方向上流側の前記押し付け部材と前記送り方向下流側の前記押し付け部材との間で、前記払拭部材の表裏を反転させる反転部材を有し、
前記複数の押し付け部材は、払拭方向の同じ位置に配置されている
ことを特徴とする払拭装置。
【請求項5】
前記複数の押し付け部材のうち、少なくとも2つの前記押し付け部材は、払拭方向の異なる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の払拭装置。
【請求項6】
液体吐出ヘッドのメンテナンスを行うヘッドメンテナンス装置であって、
前記液体吐出ヘッドのノズル面を払拭する請求項1ないし5のいずれかに記載の払拭装
置を備えている
ことを特徴とするヘッドメンテナンス装置。
【請求項7】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドのノズル面を払拭する請求項1ないし5のいずれかに記載の払拭装置、又
は請求項
6に記載のヘッドメンテナンス装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は払拭装置、払拭ユニット、ヘッドメンテナンス装置、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体を吐出する液体吐出ヘッドを使用する場合、ノズルの状態を維持回復するため、ノズル面をキャッピングするキャップ、ノズル面を払拭清掃する払拭装置などを含む維持回復機構(メンテナンス装置)を備える。
【0003】
従来、ノズル面を払拭する払拭部材として清掃シートを使用し、清掃シートをノズル面に接触可能な接触位置に支持する第1支持部と、清掃シートをノズル面に接触可能な接触位置に支持する第2支持部と、第1支持部と第2支持部との間で清掃シートの表裏を反転させる反転機構とを有し、第1支持部によって支持された清掃シートの一方の面と、第2支持部によって支持された清掃シートの他方の面とでノズル面を同時に払拭するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば複数の液体吐出ヘッドを並べて配置した装置のように複数の払拭対象が並んで配置されている場合、1つのロールを用いて複数の払拭対象を順次払拭するのでは、払拭に時間がかかるという課題がある。
【0006】
また、複数の払拭対象に跨る幅広の払拭部材を使用して1回の払拭動作で複数の払拭対象を払拭するのでは、払拭部材の払拭対象の間の部分が使用されず、払拭部材に無駄になる部分が発生するという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数の払拭対象に対する払拭効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る払拭装置は、
繰り出し側ロールから繰り出されて巻取り側ロールに巻き取られる払拭部材と、
前記払拭部材を複数の払拭対象にそれぞれ押し付ける複数の押し付け部材と、を備え、
前記複数の押し付け部材は、払拭方向と直交する方向の異なる位置に配置され、
前記払拭部材の送り方向上流側の前記押し付け部材と前記送り方向下流側の前記押し付け部材との間で、前記払拭部材の表裏を反転させる奇数個の反転部材を有し、
前記複数の押し付け部材は、前記払拭部材の一面又は他面を異なる前記払拭対象にそれぞれ押し付ける
構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の払拭対象に対する払拭効率を向上することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る払拭カートリッジの平面説明図である。
【
図5】同払拭装置による払拭動作の一例の説明に供する払拭開始前の状態の側面説明図である。
【
図8】本発明の第2実施形態の説明に供する平面説明図である。
【
図10】本発明の第3実施形態の説明に供する平面説明図である。
【
図12】同実施形態における払拭動作の説明に供する平面説明図である。
【
図14】本発明の第4実施形態の説明に供する平面説明図である。
【
図15】本発明に係るヘッドメンテナンス装置を含む液体を吐出する装置の正面説明図である。
【
図16】同装置のキャリッジにおけるヘッド配置の説明に供する平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について
図1ないし
図3を参照して説明する。
図1は同実施形態に係る払拭カートリッジの平面説明図、
図2は同払拭カートリッジの側面説明図である。
【0012】
払拭カートリッジ100は、払拭ユニットであり、繰り出し側ロール2Aにロール状に巻き回され、繰り出し側ロール2Aから繰り出されて巻取り側ロール2Bとして巻き取られる払拭部材であるウェブ2を備えている。繰り出し側ロール2Aは軸心部材としての供給ローラ3を有し、軸心部材としての巻取りローラ6の周囲にウェブ2が巻き回されることで巻取り側ロール2Bが形成される。
【0013】
また、ウェブ2を異なる複数の払拭対象にそれぞれ押し付ける複数の押し付け部材としての第1押し付けローラ11Aと、第2押し付けローラ11Bとを備えている。第1押し付けローラ11Aがウェブ2を押し付ける払拭対象を第1払拭対象、第2押し付けローラ11Bがウェブ2を押し付ける払拭対象を第2払拭対象とする。
【0014】
これらの第1押し付けローラ11Aと第2押し付けローラ11Bとは、払拭方向(矢印Y1方向、以下「払拭方向Y1」ともいう。)と直交する方向において異なる位置に配置されている。なお、払拭カートリッジ100は払拭方向に沿う方向に往復移動される。
【0015】
そして、繰り出し側ロール2Aから繰り出されたウェブ2の送り方向P(P1、P2)上流側の第1押し付けローラ11Aと送り方向下流側の第2押し付けローラ11Bとの間で、ウェブ2の表裏を反転する反転部材である1個の反転ローラ7が配置されている。
【0016】
この場合、繰り出し側ロール2Aから反転ローラ7に向かうウェブ2の送り方向PをP1とし、反転ローラ7から巻取り側ロール2Bに向かう送り方向PをP2としている。
【0017】
繰り出し側ロール2Aから繰り出されたウェブ2は、反転ローラ7の周囲に掛け回されることで表裏が反転されて、巻取り側ロール2Bに巻き取られる。
【0018】
1つの反転ローラ7が配置されていることで、ウェブ2の一面側(表面側)が第1押し付けローラ11Aで第1払拭対象に押し当てられ、ウェブ2の他面側(裏面側)が第2押し付けローラ11Bで第2払拭対象に押し当てられる。
【0019】
つまり、本実施形態では、奇数個の反転部材(反転ローラ7)を有し、複数の押し付け部材(第1、第2押し付けローラ11A,11B)は、ウェブ2の一面又は他面を異なる払拭対象(第1払拭対象、第2払拭対象)にそれぞれ押し付ける構成としている。
【0020】
次に、本発明に係る払拭装置について
図3ないし
図5を参照して説明する。
図3は払拭カートリッジを含む払拭装置の側面説明図、
図4は同じく平面説明図である。
【0021】
この払拭装置1は、液体を吐出する装置の2つの液体吐出ヘッド(以下、「ヘッド」ともいう。)20(20A、20B)のノズル面20aを払拭対象とし、払拭ユニットとしての払拭カートリッジ100が移動部材30上に着脱自在に装着される。
【0022】
ここでは、ヘッド20A、20Bは、所定の間隔で払拭方向(Y1方向)と直交する方向に位置をずらし、かつ、払拭方向Y1に沿う方向(Y方向)でも位置をずらしてキャリッジ等に搭載されている。
【0023】
そして、第1押し付けローラ11Aでウェブ2が押し付けられる第1拭対象をヘッド20Aとし、第2押し付けローラ11Bでウェブ2が押し付けられる第2払拭対象をヘッド20Bとする。なお、
図3では1つのヘッド20のみを図示している。
【0024】
したがって、ヘッド20A、20Bの払拭方向と直交する位置に対応して第1押し付けローラ11Aと第2押し付けローラ11Bとは、払拭方向と直交する方向にずれて配置されている。
【0025】
移動部材30には、払拭カートリッジ100を装着した状態で巻取りローラ6を回転させる巻取りモータ38を備えている。
【0026】
移動部材30は、ヘッド20A、20Bのノズル配列方向である払拭方向に沿う方向(Y方向、移動方向))に往復移動可能に配置されている。この移動部材30のY方向への往復移動は、例えば、ラック31及びピニオン32と、ピニオン32を回転させる移動部材移動モータ33を含む移動機構よって行われる。
【0027】
また、移動部材30は、ウェブ2がノズル面20aに対して進退する方向、ここでは上下方向に移動可能(昇降可能)に配置されている。移動部材30の昇降は、例えばカム35と、カム35を回転させる移動部材昇降モータ36を含む昇降機構によって行われる。
【0028】
なお、払拭カートリッジ100側にはウェブ2の送りに応じて回転するコードホイールが設けられて、移動部材30側にはコードホイールに形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサを設けている。これらのコードホイールとエンコーダセンサによってウェブ2の移動距離(送り量)を検出するエンコーダを構成している。
【0029】
また、ここでは、払拭装置1に払拭カートリッジ100を着脱自在に装着する例で説明しているが、例えば繰り出し側ロール2Aのみを交換可能とする構成などを採用することもでき、払拭カートリッジ100としてユニット化されている必要はない。
【0030】
次に、払拭装置1による払拭動作の一例について
図5ないし
図7を参照して説明する。
図5は同説明に供する払拭開始前の状態の側面説明図、
図6は同じく払拭途中の状態の平面説明図、
図7は同じく払拭途中の状態の側面説明図である。
【0031】
払拭装置1による払拭動作を行うときには、
図3及び
図4に示すように、ヘッド20A、20Bを払拭装置1による払拭可能な位置に移動させる。また、
図5に示すように、払拭装置1の移動部材30を上昇させ、第1押し付けローラ11A、第2押し付けローラ11Bによってヘッド20A、20Bの各ノズル面20aにウェブ2を押し付け可能な位置にする。
【0032】
その後、払拭装置1の移動部材30を払拭方向Y1に移動させることで、ウェブ2がノズル面20aに押し付けられて、ノズル面20aに残留している液体(廃液という)が払拭ないし吸収されて除去される。
【0033】
その後、又は、次の払拭動作の前に、巻取り側ロール2Bを回転させてウェブ2を巻取り側ロール2Bに巻取り、ウェブ2の未使用部分が次に払拭するときにノズル面20aに接触するようにする。なお、巻取り側ロール2Bで巻取りながら、つまり、ウェブ2を送りながら払拭を行うこともできる。また、ウェブ2の往復移動によって払拭を行うこともできる
【0034】
このとき、払拭装置1は、ウェブ2の表面(一面)が第1押し付けローラ11Aによってヘッド20Aのノズル面20aに押し付けられ、反転ローラ7で反転されたウェブ2の裏面(他面)が第2押し付けローラ11Bによってヘッド20Bのノズル面20aに押し付けられる。
【0035】
これにより、1回の払拭動作(移動部材30の移動)によって2つのヘッド20A、20Bのノズル面20aをそれぞれ払拭することができるようになり、ヘッド20A、20Bごとに順次払拭を行う場合に比べて払拭時間が短くなる。したがって、複数の払拭対象に対する払拭効率が向上する。
【0036】
また、各ヘッド20A、20Bごとに払拭装置1を配置する構成に比べて装置全体を小型化することができる。さらに、1つの幅広のウェブで2つのヘッド20A、20Bを払拭する構成に比べて、ウェブ2の無駄な消費がなくなる。
【0037】
また、ウェブ2の表裏を反転し、ウェブ2の一面(表面)側で第1払拭対象であるヘッド20Aを払拭し、ウェブ2の他面(裏面)側で第2払拭対象であるヘッド20Bを払拭するので、ウェブ2を効率的に使用できる。また、ウェブ2の表裏面を使用することによって、ヘッド20Aを払拭した表面がヘッド20Bに接触することがなく、ウェブ2の送り制御が簡単になる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は同実施形態の説明に供する平面説明図、
図9は同じく側面説明図である。
【0039】
本実施形態では、2個(複数個)の反転ローラ7A、7Bを配置している。反転ローラ7A、7Bは、払拭方向Y1に対してそれぞれ45度の傾きで、線対称に配置されている。
【0040】
そして、繰り出し側ロール2Aから繰り出されたウェブ2は、一面(表面)側が払拭対象に接触するように第1押し付けローラ11Aを通過して、反転ローラ7Aで表裏が反転される。さらに、ウェブ2は、反転ローラ7Bで再度裏表が反転されて、一面(表面)側が払拭対象に接触するように第2押し付けローラ11Bを通過して、巻取り側ロール2Bに巻き取られる。
【0041】
このように構成したので、繰り出し側ロール2Aから第1押し付けローラ11Aに向けて繰り出されるウェブ2の送り方向P1、第2押し付けローラ11Bから巻取り側ロール2Bに巻き取られるウェブ2の送り方向P2は、払拭方向Y1に沿う方向と同じにすることができる。
【0042】
これにより、繰り出し側ロール2Aから巻取り側ロール2Bまでの払拭方向と直交する方向の幅W2を、第1実施形態における繰り出し側ロール2Aから巻取り側ロール2Bまでの払拭方向と直交する方向の幅W1よりも狭くすることができ、小型化を図れる。
【0043】
次に、本発明の第3実施形態について
図10ないし
図13を参照して説明する。
図10は同実施形態の説明に供する平面説明図、
図11は同じく側面説明図である。
図12は同実施形態における払拭動作の説明に供する平面説明図、
図13は同じく側面説明図である。
【0044】
本実施形態では、第1押し付けローラ11Aと第2押し付けローラ11Bとは、払拭方向においても位置をずらして異なる位置に配置している。
【0045】
第1押し付けローラ11Aと第2押し付けローラ11Bの払拭方向におけるずれ量Laは、
図12に示す2つの払拭対象(ここでは、ヘッド20A,20B)の払拭方向におけるずれ量Lbとほぼ同じ(同じを含む。)、又は、ずれ量Lbより小さくしている。
【0046】
このように構成したので、ヘッド20A,20Bのそれぞれのノズル面20aを払拭するために必要な払拭方向Y1における移動量(払拭カートリッジ100の移動量であり、移動部材30の移動量である)が前記第1実施形態より短くなる。
【0047】
つまり、本実施形態では、ヘッド20A,20Bをノズル配列方向の長さLnの移動を行うことでヘッド20A,20Bのそれぞれのノズル面20aを払拭できる。
【0048】
これに対し、前記第1実施形態では、第1押し付けローラ11Aと第2押し付けローラ11Bとは払拭方向においては同じ位置であるので、ヘッド20Aの一端からヘッド20Bの他端までのノズル配列方向の長さの移動を行わなければ払拭が完了しない。
【0049】
なお、ずれ量Laがずれ量Lbより小さければ、第1実施形態よりも移動量が少なくなる。
【0050】
次に、本発明の第4実施形態について
図14を参照して説明する。
図14は同実施形態の説明に供する平面説明図である。
【0051】
本実施形態では、3つの第1押し付けローラ11A、第2押し付けローラ11B、第3押し付けローラ11Cを、払拭方向Y1と直交する方向の異なる位置に配置している。また、2つ(偶数個)の反転ローラ7A、7Bを、払拭方向Y1において、第2押し付けローラ11Bを挟んで配置している。
【0052】
反転ローラ7Aは、送り方向上流側の第1押し付けローラ11Aを通過したウェブ2を表裏反転させて送り方向下流側の第2押し付けローラ11Bに向けて案内する。反転ローラ7Bは、送り方向上流側の第2押し付けローラ11Bを通過したウェブ2を表裏反転させて送り方向下流側の第3押し付けローラ11Cに向けて案内する。第3押し付けローラ11Cを通過したウェブ2は巻取り側ロール2Aで巻き取られる。
【0053】
このように構成することで、3つの払拭対象を一度の払拭動作で払拭することができ、払拭対象の数が増えても払拭動作を一度に抑えることもできる。
【0054】
次に、本発明に係るヘッドメンテナンス装置を含む液体を吐出する装置の概要について
図15及び
図16を参照して説明する。
図15は液体を吐出する装置の正面説明図、
図16は同装置のキャリッジにおけるヘッド配置の説明に供する平面説明図である。
【0055】
この液体を吐出する装置は、シリアル型装置であり、キャリッジ21に1又は複数の液体吐出ヘッド20(20A~20C)を搭載し、搬送手段22で媒体23を間欠的に搬送する。そして、キャリッジ21を矢印方向に移動させ、液体吐出ヘッド20から所要の液体を吐出して画像を形成する。
【0056】
また、キャリッジ21のホーム位置側には、液体吐出ヘッド20のノズル面20aをキャッピングするキャップ52と、前記第1ないし第5実施形態で説明したような払拭装置1で構成したヘッド清掃装置51とを含みヘッド20のメンテナンス(ヘッドメンテナンス)を行うヘッドメンテナンス装置50を配置している。
【0057】
このように、本発明に係る払拭装置を含むメンテナンス装置を備えていることで、ヘッド面を清浄化して安定した液体吐出を行うことができ、また、装置の小型化を図ることができる。
【0058】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0059】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0060】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0061】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0062】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0063】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0064】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0065】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0066】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0067】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0068】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0069】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0070】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0071】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0072】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0073】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0074】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0075】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0076】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0077】
1 払拭装置
2 ウェブ
2A 繰り出し側ロール
2B 巻取り側ロール
3 繰り出しローラ
6 巻取りローラ
7、7A,7B 反転ローラ(反転部材)
11A~11C 押し付けローラ(押し付け部材)
20 液体吐出ヘッド
20A、20B ヘッド
21 キャリッジ
50 メンテナンス装置
51 ヘッド清掃装置
100 払拭カートリッジ(払拭ユニット)