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特許7059636導電性ペースト及びその乾燥膜並びに該乾燥膜を焼成してなる内部電極及び該内部電極を有する積層セラミックコンデンサ
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  • 特許-導電性ペースト及びその乾燥膜並びに該乾燥膜を焼成してなる内部電極及び該内部電極を有する積層セラミックコンデンサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】導電性ペースト及びその乾燥膜並びに該乾燥膜を焼成してなる内部電極及び該内部電極を有する積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220419BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20220419BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H01G4/30 201D
H01B1/22 A
H01B5/14 B
H01G4/30 516
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018002264
(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公開番号】P2019121744
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(72)【発明者】
【氏名】舘 祐伺
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033998(JP,A)
【文献】特開2017-143202(JP,A)
【文献】特開2012-174797(JP,A)
【文献】国際公開第2017/014295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-13/06
H01B 1/00-1/24
H01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粉末と有機バインダ樹脂と溶剤としてグリコールエーテル系の有機溶剤とを含有する導電性ペーストを塗布した後、乾燥処理することで形成されるビッカース硬度が47Hv以上51Hv以下であることを特徴とする積層セラミックコンデンサの内部電極用乾燥膜。
【請求項2】
前記導電性粉末がニッケル粉であることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの内部電極用乾燥膜。
【請求項3】
前記有機バインダ樹脂がエチルセルロース及びポリビニルブチラールを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサの内部電極用乾燥膜。
【請求項4】
前記導電性粉末の含有量100質量部に対し、前記エチルセルロースの含有量が3.0質量部以上4.0質量部以下であり、前記ポリビニルブチラールの含有量が2.0質量部以上3.0質量部以下であり、前記有機バインダ樹脂の総含有量が5.5質量部以上6.0質量部以下であることを特徴とする、請求項3に記載の積層セラミックコンデンサの内部電極用乾燥膜。
【請求項5】
前記導電性ペーストは、ずり速度10,000sec -1 において0.05Pa・s以上10Pa・s以下の粘度を有していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサの内部電極用乾燥膜。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の内部電極用乾燥膜を用いてなる積層セラミックコンデンサの内部電極。
【請求項7】
請求項に記載の内部電極を有する積層セラミックコンデンサ。
【請求項8】
導電性粉末、有機バインダ樹脂、及び溶剤としてグリコールエーテル系の有機溶剤を含有し、乾燥処理後のビッカース硬度が47Hv以上51Hv以下であることを特徴とする積層セラミックコンデンサの内部電極用導電性ペースト。
【請求項9】
前記導電性粉末がニッケル粉であることを特徴とする、請求項に記載の積層セラミックコンデンサの内部電極用導電性ペースト。
【請求項10】
前記有機バインダ樹脂がエチルセルロース及びポリビニルブチラールを含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の積層セラミックコンデンサの内部電極用導電性ペースト。
【請求項11】
前記導電性粉末の含有量100質量部に対し、前記エチルセルロースの含有量が3.0質量部以上4.0質量部以下であり、前記ポリビニルブチラールの含有量が2.0質量部以上3.0質量部以下であり、前記有機バインダ樹脂の総含有量が5.5質量部以上6.0質量部以下であることを特徴とする、請求項10に記載の積層セラミックコンデンサの内部電極用導電性ペースト。
【請求項12】
導電性粉末と有機バインダ樹脂と溶剤としてグリコールエーテル系の有機溶剤とを含有する内部電極用導電性ペーストをグリーンシートに塗布し、乾燥処理を施して乾燥膜を生成した後、該乾燥膜を該グリーンシートと共に同時焼成することで作製するMLCCの製造方法であって、前記導電性ペーストには前記乾燥膜のビッカース硬度が47Hv以上51Hv以下のものを用いることを特徴とするMLCCの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ペースト及びその乾燥膜、並びに該乾燥膜を焼成してなる積層セラミックコンデンサ用の内部電極及び該内部電極を有する積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデジタル機器などの電子機器に実装される電子部品として、積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCとも称する)が用いられている。MLCCは、複数の誘電体層と複数の内部電極層とを1層ずつ交互に重ねた積層構造を有しており、広い電極面積が確保できるので小型化しても大容量化が可能になるという特徴を有している。このMLCCは、一般に以下の製造方法により生産されている。
【0003】
すなわち、先ずチタン酸バリウム等の誘電体粉末と有機バインダ樹脂とを含有するグリーンシート(誘電体グリーンシート)を作製し、この誘電体グリーンシート表面に、内部電極用の導電性粉末と有機バインダ樹脂とを含んだ導電性ペーストを所定の内部電極パターンが形成されるようにスクリーン印刷法などにより塗布する。次に、乾燥処理を行うことで該導電性ペーストから溶剤を除去して中間生成物としての乾燥膜を生成し、この乾燥膜が生成された誘電体グリーンシートを複数枚重ね合せ、上下から熱圧着することにより一体化させる。
【0004】
得られた積層構造の熱圧着体を所定の大きさに切断した後、500℃以下の温度で加熱することで有機バインダ樹脂を除去する。更に、還元雰囲気中にて1300℃程度で加熱して導電性粉末及び誘電体粉末を同時焼成することで、複数の内部電極層及び複数の誘電体層が1層ずつ交互に重ねられた積層体を形成する。このようにして得たMLCC用の積層体に外部デバイスとの接合用の外部電極を形成すべく、該積層体の両端部を研磨して各内部電極層の一端部を露出させる。これら露出した両端面に外部電極用のペーストを塗布した後、焼成して外部電極を形成し、更にこの外部電極の表面にニッケルメッキなどを施すことでMLCCが作製される。
【0005】
近年、上記MLCCの生産性を向上させて製造コストを下げるため、印刷速度を高速化できるグラビア印刷法が注目されている。グラビア印刷法は、外周面に凹部が設けられた円筒形のシリンダを回転させながら該凹部に充填した導電性ペーストを長尺状のグリーンシートに印刷する方法であり、スクリーン印刷法に比べて印刷速度を格段に速くすることができる。かかる高速印刷に対応させるため、グラビア印刷用導電性ペーストではスクリーン印刷用導電性ペーストよりも低粘度のものを用いることが多い。
【0006】
例えば特許文献1には、ニッケルを主成分とする卑金属粉末100重量部に対して、樹脂が1重量部以上15重量部以下、有機溶剤が20重量部以上150重量部以下であり、10μm以上の凝集体が除去されたグラビア電極インキが開示されている。このグラビア電極インキは、粘度が10ポイズ以下であることが記載されている。
【0007】
また、特許文献2にもグラビア印刷に適したMLCC内部電極用の導電性ペーストが開示されている。この導電性ペーストは、導電性粉末と、数平均分子量10,000以上50,000以下のポリビニルブチラール及び重量平均分子量10,000以上100,000以下のエチルセルロースからなる有機バインダ樹脂と、プロピレングリコールモノブチルエーテルもしくはプロピレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートの混合溶剤、又はプロピレングリコールモノブチルエーテル及びミネラルスピリットの混合溶剤のいずれかからなる有機溶剤と、分離抑制剤及び分散剤からなる添加剤と、誘電体粉末とを有しており、更に分離抑制剤としてポリカルボン酸ポリマーもしくはポリカルボン酸の塩を含む組成物を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-335167号公報
【文献】特開2012-174797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、積層セラミックコンデンサはますます小型化しており、これに伴い内部電極はより薄い層を数多く積み重ねることが行われている。その結果、スクリーン印刷用及びグラビア印刷用のいずれの導電性ペーストを用いる場合においても、該導電性ペーストの乾燥処理で得た乾燥膜とグリーンシートとを積み重ねて焼成することでそれぞれ形成される内部電極と誘電体層との密着性が不十分になって剥離を生じたり、該乾燥膜が焼成時に収縮しすぎて該焼成により形成された内部電極の層内に欠損箇所が生じたりして、積層セラミックコンデンサが所望の電気的特性を有しない場合があった。
【0010】
本発明は上記した状況に鑑みてなされたものであり、誘電体層との密着性に優れ、且つ熱処理の前後で形状が大きく変化しない内部電極を形成することが可能な内部電極用導電性ペースト及びこれを乾燥処理して得られる乾燥膜、並びに該乾燥膜を焼成してなる内部電極及びこれを有するMLCCを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る積層セラミックコンデンサの内部電極用乾燥膜は、導電性粉末と有機バインダ樹脂と溶剤としてグリコールエーテル系の有機溶剤とを含有する導電性ペーストを塗布した後、乾燥処理することで形成されるビッカース硬度が47Hv以上51Hv以下であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る積層セラミックコンデンサの内部電極用導電性ペーストは、導電性粉末、有機バインダ樹脂、及び溶剤としてグリコールエーテル系の有機溶剤を含有し、乾燥処理後のビッカース硬度が47Hv以上51Hv以下であることを特徴としている。
【0013】
更に、本発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、導電性粉末と有機バインダ樹脂と溶剤としてグリコールエーテル系の有機溶剤とを含有する内部電極用導電性ペーストをグリーンシートに塗布し、乾燥処理を施して乾燥膜を生成した後、該乾燥膜を該グリーンシートと共に同時焼成することで作製するMLCCの製造方法であって、前記導電性ペーストには前記乾燥膜のビッカース硬度が47Hv以上51Hv以下のものを用いることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、誘電体層との密着性に優れ、且つ熱処理の前後で形状が大きく変化しない内部電極を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の導電性ペーストから作製した内部電極を有する積層セラミックコンデンサの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.導電性ペースト
先ず、本発明の実施形態の導電性ペーストについて説明する。この本発明の実施形態の導電性ペーストは、導電性粉末、有機バインダ樹脂、及び有機溶剤を有し、MLCCの内部電極の作製の際に中間生成物として生成される乾燥膜のビッカース硬度が47Hv以上51Hv以下である。以下、かかる導電性ペーストに含まれる各成分について詳細に説明する。
【0017】
(導電性粉末)
本発明の実施形態の導電性ペーストには、導電性ペーストとして一般的に用いられるニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、又はそれらの合金などの導電性粉末を用いることができ、それらの中でもニッケル粉末が積層セラミックコンデンサ用の導電性ペーストに含まれる導電性粉末として近年特に好適に用いられている。
【0018】
上記のニッケル粉末等の導電性粉末の粒径は、スクリーン印刷法によって又はグラビア印刷法によってグリーンシート等に塗布する際の導電性ペースト中での分散性や導電性ペーストの塗布性、焼成により形成される内部電極の導電性等を考慮して適宜定められ、高積層及び高容量化が可能な積層セラミックコンデンサでは、平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下であるのが好ましい。なお、本明細書において平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)写真より求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
【0019】
上記のように導電性粉末の平均粒径を1.0μm以下にすることにより、積層セラミックコンデンサの薄層化に対応させて内部電極の厚さを薄くすることができる。逆に、導電性粉末の平均粒径を0.05μm以上にすることにより、スクリーン印刷又はグラビア印刷用のいずれの導電性ペーストにおいても所望の粘度を得ることができ、また、導電性粉末の表面活性が必要以上に高くなることを抑制できるので、長期保存した場合に変質等が生じることを抑制することができる。
【0020】
上記導電性粉末の導電性ペースト中の含有率には特に限定はなく、スクリーン印刷法によって又はグラビア印刷法によって塗布する際に要求される導電性ペーストの粘度や、焼結体の形態を有する内部電極において要求される導電性等に応じて適宜定めることができ、導電性ペーストに対して30質量%以上70質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。このように含有量を30質量%以上にすることで、導電性ペーストの焼成時に良好に内部電極膜を形成することができ、所望のコンデンサ容量をより確実に得ることができる。逆に、上記の含有量を70質量%以下にすることにより、薄層化に対応した内部電極用の乾燥膜を容易に形成することができる。
【0021】
(有機バインダ樹脂)
本発明の実施形態の導電性ペーストは有機バインダ樹脂を含有している。この有機バインダ樹脂は、エチルセルロース(EC)とポリビニルブチラール(PVB)との混合系であることが好ましい。ECは有機溶剤への溶解性及び燃焼分解性などに優れ、ECを用いた導電性ペーストは印刷性にも優れているので、導電性ペーストの有機バインダ樹脂として好適に用いることができる。一方、PVBはグリーンシートの有機バインダ樹脂として一般的に用いられているため、導電性ペーストにおいてもECと共にPVBを用いることによって、導電性ペーストを乾燥処理することで得られる乾燥膜のグリーンシートに対する密着強度を高めることができる。
【0022】
本発明の実施形態の導電性ペーストは、導電性粉末の含有量を100質量部としたとき、上記ECの含有量が3.0質量部以上4.0質量部以下であり、PVBの含有量が2.0質量部以上3.0質量部以下であり、更に有機バインダ樹脂の総含有量が5.5質量部以上6.0質量部以下であることが好ましい。このECの含有量が3.0重量部未満では、ECによるスクリーン印刷及びグラビア印刷のいずれにおいても印刷性の向上の効果が十分に得られない場合があり、逆に上記のECの含有量が4.0重量部を超えると、導電性ペーストの乾燥処理後の乾燥膜が硬くなり過ぎて、誘電体層となるグリーンシートとの密着性が低下して焼成時に剥離を生じる場合があるので好ましくない。
【0023】
また、上記のPVBの含有量が2.0質量部未満では、誘電体層となるグリーンシートとの密着強度向上の効果が十分に得られない場合があり、逆に上記のPVBの含有量が3.0質量部を超えると、導電性ペーストの乾燥処理後の乾燥膜が十分に硬くならず、これを焼成することで形成される内部電極層が変形したり、該内部電極層内に欠損箇所が生じたりして積層セラミックコンデンサの品質にばらつきが生ずる場合があるので好ましくない。
【0024】
また、上記の有機バインダ樹脂の総量が5.5質量部未満ではスクリーン印刷及びグラビア印刷のいずれにおいても導電性ペーストを印刷する際に良好な印刷性と密着強度が得られない場合があり、逆に有機バインダ樹脂の総量が6.0質量部を超えると、有機バインダ樹脂を除去する脱バインダ工程時にクラックが発生する原因となるので好ましくない。上記のPVBやECの例えば重合度等の物性については、グリーンシート上にスクリーン印刷法やグラビア印刷法で導電性ペーストを塗布する際に好適な粘度となるのであれば特に限定されるものではない。
【0025】
(有機溶剤)
本発明の実施形態の導電性ペーストに含まれる有機溶剤は、上記のECやPVBとの相溶性があってスクリーン印刷法やグラビア印刷法による塗布の際に好適な粘度が得られ、且つ乾燥性に優れたものであるのが好ましい。このような有機溶剤としては、スクリーン印刷用では例えば、ターピオネール(α、β、γ及びこれらの混合物)、オクタノール、デカノール、トリデカノール、フタル酸ジブチル、酢酸ブチル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、イソボニルアセテート、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレート、イソボニルイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、石油系炭化水素等を挙げることができる。一方、グラビア印刷用では、例えばグリコールエーテル系の有機溶剤を挙げることができ、特にプロピレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
【0026】
本発明の実施形態の導電性ペーストは、当該導電性ペーストをスクリーン印刷法又はグラビア印刷法によりグリーンシートの表面に塗布する際に問題が生じない程度の粘度を有しているのが好ましい。例えばスクリーン印刷用では、ずり速度10,000sec-1において0.05Pa・s以上0.25Pa・s以下の粘度を有しているのが好ましく、0.10Pa・s以上0.20Pa・s以下の粘度を有しているのがより好ましい。この導電性ペーストの粘度が0.05Pa・s未満では導電性ペーストをグリーンシート表面に塗布した際に印刷滲みを生じる場合があり、逆に0.25Pa・sを超えると粘度が高くなり過ぎてスムーズな印刷を行うことが困難になり印刷不良が生じやすくなるので好ましくない。
【0027】
一方、グラビア印刷用では同様にずり速度10,000sec-1において0.05Pa・s以上10Pa・s以下の粘度を有しているのが好ましく、0.05Pa・s以上0.3Pa・s以下の粘度を有しているのがより好ましい。この導電性ペーストの粘度が0.05Pa・s未満では、導電性ペースト印刷後に印刷幅を維持できずにじみを生じ、必要な膜厚を確保できない場合があり、逆に10Pa・sを超えると、グラビア印刷による高速印刷に導電性ペーストの挙動が追随できず、グラビア印刷用のシリンダの凹部に十分に充填されなくなって印刷部に欠けを生じたり、印刷する際に該凹部から綺麗に転写されず印刷物の汚れや濃淡ばらつきを生じたりするなどの不具合を発生する場合があるので好ましくない。
【0028】
本発明の実施形態の導電性ペーストは、上記の好適な範囲の粘度を有しているのであれば有機溶剤の含有率には特に限定はない。有機溶剤は、前記有機バインダ樹脂と混合して有機ビヒクルとして用いるのが好ましい。また、必要に応じて、最終的な粘度調整用として、最後に単独で導電性ペーストに添加して、上記の好適な粘度範囲に調整することもできる。
【0029】
(添加剤)
本発明の実施形態の導電性ペーストは、上記の導電性粉末、有機バインダ樹脂、及び有機溶剤以外に必要に応じて内部電極の特性を悪化させない範囲で更に添加剤が含まれていてもよい。かかる添加剤の種類やその含有量は、導電性ペーストに要求される粘度や、導電性粉末であるニッケル粉末等の状態等に応じて適宜調整することができる。例えば、焼成時の内部電極用の乾燥膜の焼結収縮の挙動をグリーンシートの焼結収縮の挙動に合わせる目的で、無機添加剤として誘電体粉末を配合してもよい。この誘電体粉末からなる無機添加物は一般的に共材と称され、例えば市販のBaTiO、BaTiZr1-x(例えばxは0.8)等や、グリーンシートを構成するセラミックと同様の組成物等の無機酸化物等が好適に用いられる。
【0030】
上記の共材として添加される誘電体粉末の平均粒径は0.01μm以上0.1μm以下であることが好ましく、これにより、内部電極の抵抗値を十分に低くすることができ、また、より均一な内部電極を形成できるため、所望の静電容量を有するMLCCを作製することができる。上記の共材として添加される誘電体粉末の導電性ペースト中の含有量は、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましい。このように誘電体粉末の含有量を1質量%以上にすることにより、内部電極用の乾燥膜とグリーンシートとを同時焼成する際の互いの焼結収縮差を十分に小さくでき、焼結後の積層体にクラックが生じるのを抑制することができる。逆に、上記の誘電体粉末の含有量を30質量%以下にすることにより、内部電極の導電性をより確実に確保することができ、所望の静電容量を有するMLCCを作製することができる。
【0031】
上記の共材以外の添加剤としては、導電性ペーストに含まれる導電性粉体の凝集防止のための分散剤を挙げることができる。このような分散剤としては、例えばカチオン系分散剤やアニオン系分散剤等を好適に用いることができる。また、上述したように共材として誘電体粉末を添加する場合は、この誘電体粉末とニッケル粉末等の導電性粉末との分離を抑止するため、添加剤として分離抑制剤を用いることもできる。この場合の分離抑制剤としては、例えばポリカルボン酸ポリマーや、ポリカルボン酸の塩を含む組成物を挙げることができる。
【0032】
上記の分離抑制剤は、例えばカルボン酸同士の水素結合により、導電性ペースト中で粉末粒子の分散をある程度抑えることで、初期に均一攪拌された導電性粉末と誘電体粉末との距離を一定に保持することができる。また、カルボン酸同士の水素結合により、撹拌させることなく静置させた定常状態でのペーストの粘度を上昇させることができるので、導電性粉末と誘電体粉末との比重の違いによる分離を抑えることができる。
【0033】
なお、上記の分離抑制剤を導電性ペーストに添加した場合、該導電性ペースト全体としての分散性が低下し、導電性粉末や誘電体粉末の凝集物が発生する恐れがある。この凝集物の発生を抑えて導電性粉末や誘電体粉末の分散性を高めるため、上述したような分散剤を分離抑制剤と併せて添加することが好ましい。上記の各種添加剤の添加量は、各添加剤の添加の目的等に応じて適宜定められる。
【0034】
2.導電性ペーストの製造方法
次に、本発明の実施形態の導電性ペーストの製造方法についてグラビア印刷用の導電性ペーストを作製する場合を例に挙げて説明する。なお、本発明の実施形態の導電性ペーストは以下の製造方法に限定されるものではなく、他の一般的な導電性ペーストの製造方法で製造することも可能である。先ず、50℃以上60℃以下に加温したグリコールエーテル系の有機溶剤に、有機バインダ樹脂としてのエチルセルロース及びポリビニルブチラールを所定の配合割合となるように加え、混合撹拌することによって有機ビヒクルを作製する。
【0035】
次に、導電性粉末並びに必要に応じて添加する誘電体粉末、分離抑制剤及び分散剤をそれぞれ秤量して上記にて作製した有機ビヒクルの所定量と共にミキサーに投入して攪拌した後、得られたペーストを更にスリーロールミルに導入して混合する。これにより、導電性粉末と誘電体粉末等の添加剤とが有機ビヒクル中に均一に分散された本発明の実施形態の導電性ペーストを作製することができる。
【0036】
3.MLCC内部電極用の乾燥膜
上記した本発明の実施形態の導電性ペーストは、所定の条件で乾燥処理して得た乾燥膜が、47Hv以上51Hv以下のビッカース硬度を有している。乾燥膜の形態にしたときにかかるビッカース硬度を有する導電性ペーストであれば、乾燥処理後に焼成処理することで形成される内部電極を有するMLCCにおいて所望の静電容量を安定的に確保することができる。
【0037】
上記のビッカース硬度の測定用の基材や、測定対象となる導電性ペーストの乾燥膜の形状には特に限定はないが、乾燥膜の硬度測定面は平滑であるのが望ましい。かかる平滑面を有する乾燥膜を形成するため、導電性ペーストを塗布する基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の平坦な樹脂板を用いるのが好ましい。この基材の表面に測定対象の導電性ペーストを、例えば幅50mm、長さ100mm、厚さ250μmの薄膜状に塗布し、導電性ペーストに含まれる有機溶剤がほぼすべて蒸発する条件、すなわち、それ以上乾燥処理を行っても質量変化がほとんど生じなくなる程度まで乾燥される条件で乾燥処理する。この条件は有機溶剤の種類やその導電性ペースト中の含有率によって適宜設定されるのが好ましく、例えば乾燥温度70~90℃で10~40分程度時間をかけて乾燥処理するのが好ましい。
【0038】
上記の硬度を有する乾燥膜であれば、MLCC内部電極の形成のために行われる焼成過程において、適度な硬度が維持されるので、乾燥膜が大きく潰れたり過度に収縮したりして内部電極としての面積が確保されなくなる問題が生じるのを防ぐことができる。また、乾燥膜に対して適度な柔軟性を付与できるのでグリーンシートとの密着性が高くなり、焼成時にこれらが界面で剥離するのを防ぐことができる。その結果、誘電体層との密着性に優れ且つ十分な静電容量を持つ内部電極を有するMLCCを安定的に作製することができる。特に、内部電極層の薄膜化がますます進む小型MLCCであっても、内部電極層と誘電体層とからなる積層体の層間剥離や、内部電極面積の減少などの問題が生じるのを抑制することができ、よって小型MLCCの歩留まりを向上させることが可能になる。
【0039】
4.MLCC及びその製造方法
次に、上述の導電性ペーストから形成される内部電極を有するMLCCの一具体例について図1の模式的な断面図を参照しながら説明する。図1は略直方体形状のMLCC10を、複数の誘電体層11と複数の内部電極12との積層方向に平行で且つ各内部電極12の幅方向中央部を直交する面で切断した断面図である。すなわち、この図1に示すMLCC10は、グリーンシートを焼成して得た複数の誘電体層11と、上述した導電性ペーストを焼成して得た複数の内部電極12とが1層ずつ交互に重ねられた積層構造を有しており、複数の内部電極12に対して左右交互に接続するように1対の外部電極13が該紙面左右の両端部に設けられている。
【0040】
この図1に示すような構造を有するMLCC10は、一般的なMLCCの製造方法により製造することができる。例えば、先ず、チタン酸バリウム等の誘電体粉末と、有機バインダ樹脂とを所定の配合割合で調合してペーストとし、このペーストをドクターブレード等を用いてPETフィルム等の基材上に塗布し、乾燥する(グリーンシート作製工程)。このようにして作製したグリーンシート(誘電体グリーンシート)の表面に、上記した本発明の実施形態の導電性ペーストを所定の内部電極パターンが形成されるようにスクリーン印刷法又はグラビア印刷法により塗布し、その後、所定の条件で乾燥処理して内部電極用の乾燥膜を形成する(乾燥膜形成工程)。このようにして形成した内部電極用の乾燥膜とグリーンシートとが1層ずつ交互に重なるように積層した後、上下方向から熱圧着する(熱圧着工程)。
【0041】
得られた熱圧着体を所定の大きさに切断した後、500℃以下の温度で加熱処理して有機バインダ樹脂を除去する(脱バインダ工程)。更に、好適には還元雰囲気中にて1300℃程度で加熱して導電性粉末及び誘電体粉末を同時焼成することで該粉末を焼結させて複数の内部電極層及び複数の誘電体層が1層ずつ交互に積み重ねられた積層体を形成する(焼結工程)。このようにして得たMLCC用の積層体において、内部電極の延在方向の両端部を研磨して各内部電極の一端部を露出させた後、これら両端部に外部電極用のペーストを塗布して焼成することで1対の外部電極を形成する。その後、この1対の外部電極の表面にニッケルメッキなどを施す。これにより、上記した複数の誘電体層11と複数の内部電極12とからなるMLCC10を作製することができる。なお上記の脱バインダ工程や焼結工程における加熱温度、雰囲気等の熱処理条件は上記した条件に特に限定されるものではなく、使用する材料等に応じて適宜調整することができる。
【0042】
上記のグリーンシートの原料として用いる有機バインダ樹脂については特に限定はないが、本発明の実施形態の導電性ペーストとの密着性を特に高める観点からポリビニルブチラールを含有していることが好ましい。また、上記のグリーンシートの出発原料には上述の誘電体粉末や有機バインダ樹脂に加えて、有機溶剤、各種分散剤、可塑剤、帯電除剤等を添加してもよい。なお、グリーンシート用の出発原料として有機溶剤を用いる場合、予め有機バインダ樹脂を有機溶剤に溶解することで有機ビヒクルを調製することが好ましい。そして、得られた有機ビヒクルに、上記の誘電体粉末や各種添加剤等を混合することで作製したペーストを前述したように基材に塗布することでグリーンシートを作製するのが好ましい。
【0043】
本発明の実施形態のMLCCの内部電極は、上述したビッカース硬度を有する乾燥膜を経て作製されるため、製造過程においてグリーンシートと該乾燥膜との密着性を高めることができる。これにより、グリーンシートを焼成して得た誘電体層と乾燥膜を焼成して得た内部電極との密着性も高めることができるので、極めて薄い内部電極層を形成する場合でも該内部電極層に十分に広い電極面積を確保することができる。このように、本発明によれば、より小型化されたMLCCを作製する場合においても十分な電極面積を確保でき、また、MLCCの製造過程や製造後の電子機器等に実装された状態で使用される時等において積層体の層間の剥離が生じにくいので、信頼性の高い高品質のMLCCを高い歩留まりで作製することが可能になる。
【0044】
以上、本発明の実施形態の導電性ペースト及びその乾燥膜並びに該乾燥膜を焼成してなる内部電極及びそれを有するMLCCについて説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲内で種々の変形例及び変更例を含むものである。すなわち、本発明の権利範囲は特許請求の範囲及びその均等の範囲に及ぶものである。次に本発明の導電性ペーストの実施例について説明する。
【実施例
【0045】
[実施例1]
(1)導電性ペーストの作製及びその乾燥膜の硬度測定
グラビア印刷用の導電性ペーストを作製するため、先ず導電性粉末として平均粒径0.4μmのNi粉末と、共材として平均粒径0.1μmのチタン酸バリウム(BaTiO)粉末と、有機バインダ樹脂としてポリビニルブチラール及びエチルセルロースと、有機溶剤としてプロピレングリコールモノブチルエーテルとを用意した。なお、Ni粉末には市販の乾燥法で作製されたNi粉末を用い、BaTiO粉末にも市販のBaTiO粉末を用いた。また、上記の平均粒径は、いずれも各粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から得た粒度分布における積算値50%での粒径である。
【0046】
次に、これらNi粉末、BaTiO粉末、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、及びプロピレングリコールモノブチルエーテルを表1に示す配合割合となるように秤量し、ミキサーで混合した。得られた混合物を、株式会社井上製作所製の3本ロールミルを用いて更に混練した。このようにして、試料1~7のグラビア印刷用導電性ペーストを作製した。得られた試料1~7の導電性ペーストの各々をサンプリングし、ガラス基板上にWET膜厚200μmとなるように塗布し、80℃で10分間乾燥させた。このようにして形成した乾燥膜に対して、株式会社島津製作所製のマイクロビッカース硬度計(HMV-G21DT)を用い、試験力245mNの条件で表面のビッカース硬度をn=3点で計測し、それらの平均値を求めた。
【0047】
(2)密着性の評価
上記にて作製した各試料のグラビア印刷用導電性ペーストを予め作製しておいたチタン酸バリウム及びポリビニルブチラールを含有するグリーンシートの表面にグラビア印刷法で塗布することで、WET膜厚2μmの導電性ペースト膜を形成した。得られたグリーンシート及びその表面に形成した内部電極用の導電性ペースト膜からなるシートを80℃で10分間かけて乾燥処理した。同様にして合計20個のグリーンシート及び導電性ペースト膜からなるシートを乾燥処理したものを作製し、それらを積み重ねて温度80℃、圧力1000kgf/cmの条件で5分間かけて熱圧着し、内部電極を20層有する積層体を作製した。得られた積層体を3mm×5mm角に切断し、還元雰囲気下にて温度1350℃、2時間の条件で焼成して複数の焼結体を形成した。
【0048】
このようにして作製した複数の焼結体のうち、任意に50個をサンプリングしてそれらの表面を研磨して積層部分を露出させた後、それらの露出面を光学顕微鏡にて観察してデラミネーション(層間剥離現象)の有無を調べた。そして、サンプル数50個のいずれにおいてもデラミネーションが発生しておらず、信頼性に問題ない場合を「○」、信頼性に影響を及ぼすデラミネーションの発生が1個でも確認された場合を「×」と評価した。
【0049】
(3)内部電極の収縮性の評価
各試料の導電性ペーストに対して、上記密着性の評価の場合と同様にしてグリーンシート及び導電性ペースト膜からなるシート1枚を乾燥処理した後、得られた導電性ペーストの乾燥膜の厚みaを株式会社東京精密製の触針式表面粗さ計(SURFCOM 480A)で測定した。その後、この乾燥処理したシート1枚をそのまま上記と同様の焼成条件で焼成した。得られた導電性ペーストの焼結体の厚みbを上記と同様の触針式表面粗さ計で測定した。そして、焼成前の厚みaに対する焼成後の厚みbの割合(b/a)を計算し、その割合が0.5以上1.0以下で収縮差が問題にならず信頼性に問題ない場合を「○」、信頼性に影響を及ぼす可能性がある0.5未満の場合を「×」と評価した。上記の内部電極の収縮性の評価結果を密着性の評価結果、導電性ペーストの組成及び乾燥膜でのビッカース硬度と共に下記表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
上記表1に示すように、乾燥膜の表面のビッカース硬度が本発明の要件を満たす試料3~5の導電性ペーストは、密着性及び収縮性に優れ、良好なMLCCを形成できることが確認された。これに対し、乾燥膜の表面のビッカース硬度が本発明の要件の下限値よりも低い値を示した試料1及び2の導電性ペーストは、低粘度が得られグラビア印刷性は非常に良好であったが、乾燥処理で生成した乾燥膜が十分に硬くなかった。このように乾燥膜の硬度が低い理由としては、乾燥処理において有機溶剤が十分に除去されないことによるものと思われる。また、乾燥膜の形態において本発明の要件よりも低いビッカース硬度を有しているので、焼成の際に乾燥膜に過度の収縮が生じた。このように、収縮が大きいと、焼結後の内部電極層に不連続の部分が多く形成されるなどにより所望の静電容量が得られないおそれがある。
【0052】
また、乾燥膜の表面のビッカース硬度が本発明の要件の上限値よりも高い値を示した試料6及び7の導電性ペーストは、乾燥膜が硬くなり過ぎるため、グリーンシートと柔軟に密着できなかったり、乾燥膜の形態ではある程度グリーンシートに密着していても、焼成時に応力緩和性に劣り誘電体層の収縮挙動に十分に追従できず、密着面が剥離してしまったりして、密着性の評価が「×」になった。また、このように乾燥膜の表面のビッカース硬度が高い導電性ペーストは、印刷時に好適な粘度が得られない場合が多く、その結果、印刷性が低下して適切な内部電極パターンを形成するのが困難になって、十分な静電容量が得られなくなるおそれがある。
【0053】
[実施例2]
内部電極用の導電性ペーストを構成する各成分の配合割合を表2に示すようにした以外は、上記実施例1と同様にして試料8~14のグラビア印刷用導電性ペーストを作製し、それらの各々に対して実施例1と同様に評価を行った。その評価結果を導電性ペーストの組成及び乾燥膜でのビッカース硬度と共に下記表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
上記表2の結果から、実施例1と同様に、本発明の範囲内の硬度を有する試料10及び11の導電性ペーストは、密着性及び収縮性に優れ、良好なMLCCを形成できることが確認された。一方、本発明の範囲から外れる硬度を有する試料8~9及び12~14の導電性ペーストは、実施例1と同様に密着性及び収縮性の評価のいずれかが「×」となり、十分な静電容量が得られないおそれがある。
【符号の説明】
【0056】
10 積層セラミックコンデンサ(MLCC)
11 誘電体層
12 内部電極層
13 1対の外部電極
図1