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特許7059640液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/195 20060101AFI20220419BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220419BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B41J2/195
B41J2/14
B41J2/14 605
B41J2/14 607
B41J2/14 613
B41J2/14 301
B41J2/14 603
B41J2/17
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018004023
(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2019123115
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】秋山 幸太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 則康
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-111389(JP,A)
【文献】特開2016-097569(JP,A)
【文献】特開2007-313787(JP,A)
【文献】特開平02-000521(JP,A)
【文献】特開2008-023806(JP,A)
【文献】特開平10-305577(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115353(WO,A1)
【文献】特開2004-148784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0155142(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する複数の個別液室と、
前記複数の個別液室に通じる共通液室と、
前記共通液室の前記液体を加熱又は冷却する温調手段と、
前記液体の温度を検知する温度検知手段と、を備え、
液体吐出方向と直交する方向において、前記温度検知手段は、前記個別液室を挟んで、前記共通液室とは反対側に配置されており、
前記温調手段は、前記共通液室に隣接して配置された温度調整用流体が通じる温調流路を有しており、
更に、前記共通液室を形成する共通液室部材と前記温調手段を形成する温調流路部材を覆う、前記共通液室部材及び前記温調流路部材より熱伝導性の低いカバー部材を有する
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記温度検知手段は、前記個別液室の近傍で、前記個別液室を形成する流路板に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記個別液室内の前記液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段を備え、
前記温度検知手段は、前記圧力発生手段に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記圧力発生手段は、前記複数の個別液室のそれぞれの前記液体を加圧する複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子を設けたベース部材と、を有し、
前記温度検知手段は、前記ベース部材に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記温調手段は、複数の温度検知手段を有し、前記複数のノズルの配列方向に沿って、前記複数の温度検知手段を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記共通液室部材が金属部材である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含むことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ユニット。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項7若しくは8に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいては、吐出する液体の粘度変化などによって吐出特性が変化する。
【0003】
そこで、従来、インクタンクと記録ヘッドと供給管の各内部にインク流路を形成し、インク流路の少なくとも一部の近傍に温水を循環させる温水流路を設けるとともに、インク流路内の少なくとも2箇所以上にインク流路内のインクの温度を検知する温度センサを設けて、温度センサによって検知された温度の温度差に応じて温水流路内に循環させる温水の温度又は温水の流量の少なくともいずれか一方を制御するようにした画像記録装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-322411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、内部に循環流路が配置された供給管、近傍に循環流路が配置された記録ヘッド内の複数のノズルに通じるマニホールド部の壁面に温度センサが配置されている。
【0006】
そのため、温度センサによって検知するインク流路内のインクの温度の検知結果は、循環流路を流れる温水の温度による影響を受けたものとなり、正確なインク流路内のインクの温度検知を行うことができないという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出する液体の温度検知精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する複数の個別液室と、
前記複数の個別液室に通じる共通液室と、
前記共通液室の前記液体を加熱又は冷却する温調手段と、
前記液体の温度を検知する温度検知手段と、を備え、
液体吐出方向と直交する方向において、前記温度検知手段は、前記個別液室を挟んで、前記共通液室とは反対側に配置されており、
前記温調手段は、前記共通液室に隣接して配置された温度調整用流体が通じる温調流路を有しており、
更に、前記共通液室を形成する共通液室部材と前記温調手段を形成する温調流路部材を覆う、前記共通液室部材及び前記温調流路部材より熱伝導性の低いカバー部材を有する
構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吐出する液体の温度検知精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの平面説明図である。
図2】同じく側面説明図である。
図3図1のA-A線に沿うノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。 本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面
図4】比較例1に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの平面説明図である。
図7】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
図8】同装置の要部側面説明図である。
図9】本発明に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
図10】本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同実施形態に係る液体吐出ヘッドの平面説明図、図2は同じく側面説明図、図3図1のA-A線に沿うノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0012】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材20とを備えている。
【0013】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を配列したノズル列を2列有している。
【0014】
流路板2は、複数のノズル4にそれぞれノズル連通路5を介して通じる複数の個別液室6、各個別液室6にそれぞれ通じる流体抵抗部7、1又は複数の流体抵抗部7に通じる1又は複数の液導入部8を形成している。
【0015】
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を有する。ここでは、振動板部材3は3層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層及び第3層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
【0016】
そして、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0017】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接合した圧電部材12にハーフカットダイシングによって溝加工をして、ノズル配列方向において、所要数の柱状の圧電素子12Aを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0018】
そして、圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域(振動板)30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。
【0019】
この圧電素子12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、外部電極にフレキシブル配線部材15が接続されている。
【0020】
共通液室部材20は共通液室10を形成している。共通液室10は、振動板部材3に設けた開口9を介して液導入部8に通じている。また、共通液室10に壁面を形成するダンパ部21を設けている。
【0021】
この液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12Aに与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
【0022】
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0023】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0024】
次に、本実施形態の液体吐出ヘッドにおける温調手段及び温度検知手段の配置について説明する。
【0025】
本実施形態の液体吐出ヘッドにおいては、共通液室部材20の外面に、温調手段を構成する温調流路部材41を配置している。温調流路部材41は、共通液室10に隣接して、共通液室10内の個別液室6に供給する液体の温度を調整する温度調整用流体が通じる温調流路42を形成している。
【0026】
温調流路42に共通液室10内の液体を調整する温度調整用流体を通すことによって、共通液室部材20を介する熱伝導によって共通液室10内の液体の温度を制御(調整)することができる。温度調整用流体としては、例えば、温水或いは冷却水を使用することができる。
【0027】
これにより、吐出液体として、温度によって粘度や表面張力の変動する液体を使用する場合でも、温度変動を抑制することで、物性の変動を抑制し、安定した液体吐出を行うことができる。
【0028】
また、本実施形態の液体吐出ヘッドにおいては、個別液室6の壁部2aに、液体の温度を検出するサーミスタなどの温度検知手段50を備えている。温度検知手段50にはリード線51が接続されて、制御部に接続される。
【0029】
液体の温度を測定することによって温度に応じた駆動波形を圧電素子12Aに与えることができる。これにより、外的、内的要因によって、液体温度が変動し、液体の物性が変動しても、温度毎の物性に合わせて吐出制御を変更することで、安定して高精度の吐出を行うことができる。
【0030】
ここで、液体吐出方向と直交する方向において、液体の温度を検知する温度検知手段50は、個別液室6の近傍であって、個別液室6を挟んで(線S1を挟んで)、共通液室10とは反対側に配置されている。
【0031】
これにより、温度検知手段50は、温調流路部材41の温調流路42を流れる温度調整用流体による温度の影響を受けることが抑制され、個別液室6内の液体の温度を高い精度で検知することができる。
【0032】
この点について、図4の比較例1を参照して説明する。図4は比較例1におけるノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0033】
比較例1では、温度検知手段50は共通液室部材20に設けられている。
【0034】
ここで、共通液室10内に液体の温度を、温調流路部材41の温調流路42を流す温度調整用流体によって調整しようとする場合、共通液室部材20及び温調流路部材41を熱伝導率の高い材料で形成する必要がある。しかしながら、共通液室部材20及び温調流路部材41を熱伝導率の高い材料で形成すると、温度検知手段50は、共通液室10内の液体の温度よりも、共通液室部材20や温調流路部材41の温度を検知することなる。
【0035】
比較例1の構成にあっては、液体温度をある程度安定化させることはできるが、液体温度の検知精度が低くなり、それを精度よく検知できない。特に、ヘッドの駆動による発熱、印刷媒体からの輻射熱などによりノズル内の液体温度が上昇したときに、検知温度と実際の液体温度との間に大きなずれが生じるという不都合がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、液体吐出方向と直交する方向において、液体の温度を検知する温度検知手段50は、個別液室6を挟んで、共通液室10とは反対側に配置している。これにより、温調手段による温度変化の影響を抑制し、高精度な温度検知を行うことができる。
【0037】
つまり、温度検知手段50は、個別液室6を挟んで熱的に分離された位置(部位)に温調流路42が配置されるため、温調流路42内の温度調整用流体の温度の影響を受けず、高精度で液体温度を検知することができる。
【0038】
また、温度検知手段50は、温調流路42に対し、個別液室6を挟んで熱的に分離されていることで、温調流路部材41、フレーム部材である共通液室部材20を共に熱伝導性の高い金属しても、温度検知精度に影響が生じない。これにより、温調流路部材41、共通液室部材20を金属部材で形成して、液体温度の調整機能を高めることができ、より安定した液体吐出を行うことができる。
【0039】
また、フレーム部材となる共通液室部材20と温調流路部材41を、共通液室部材20及び温調流路部材41より熱伝導性の低いカバー部材で覆うことができる。これにより、ヘッド外部の熱的環境の影響を低減し、更に液体温度の調整機能を高めることができる。
【0040】
また、温度変化による液体の物性変化の内でも粘度が吐出に大きな影響を与えるので、本発明は、粘度が温度によって大きく変化する液体を使用する場合に特に効果が大きくなる。温度変化によって粘度が変化するインクには、例えば高分子の樹脂成分を含む定着機能を強化したインクなどの液体を挙げることができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。図5は同実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0042】
本実施形態では、温度検知手段50は、圧力発生手段である圧電アクチュエータ11のベース部材13に設けている。この場合も、液体吐出方向と直交する方向において、液体の温度を検知する温度検知手段50は、個別液室6の近傍であって、個別液室6を挟んで(線S1を挟んで)、共通液室10とは反対側に配置されている。
【0043】
このように構成した場合でも、温度検知手段50とは、個別液室6を挟んで熱的に分離された位置(部位)に、温調流路42が配置されるため、温調流路42内の温調流体の温度の影響を受けず、高精度で液体温度を検知することができる。これにより、安定した吐出特性を得ることができる。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態について図6を参照して説明する。図6は同実施形態に係る液体吐出ヘッドの平面説明図である。
【0045】
本実施形態では、ノズル配列方向に沿って、複数(ここでは3個の例であるが、2個又は4個以上でもよい。)の温度検知手段50を配置している。
【0046】
このように構成することで、液体温度をより正確に検知することができる。
【0047】
なお、上記各実施形態においては、本発明をサイドシュータ方式の液体吐出ヘッドに適用した例で説明したが、エッジシュータ方式の液体吐出ヘッドにも適用することができる。この場合には、液体吐出方向において、温度検知手段は、個別液室を挟んで共通液室とは反対側に配置することが好ましい。
【0048】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図7及び図8を参照して説明する。図7は同装置の要部平面説明図、図8は同装置の要部側面説明図である。
【0049】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0050】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0051】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0052】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0053】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0054】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0055】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0056】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0057】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0058】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0059】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0060】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0061】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0062】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図9を参照して説明する。図9は同ユニットの要部平面説明図である。
【0063】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0064】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0065】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図10を参照して説明する。図10は同ユニットの正面説明図である。
【0066】
この液体吐出ユニットは、液体供給部材である流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0067】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0068】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0069】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0070】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0071】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0072】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0073】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0074】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0075】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0076】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0077】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0078】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0079】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0080】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0081】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0082】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0083】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0084】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0085】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0086】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0087】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
10 共通液室
20 共通液室部材
41 温調流路部材
42 温調流体用流路
50 温度検知手段
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10