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特許7060316二次電池用電極組立体の最外殻テープおよびこれを含む二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】二次電池用電極組立体の最外殻テープおよびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20220419BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220419BHJP
   H01M 50/40 20210101ALI20220419BHJP
   H01M 50/409 20210101ALI20220419BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/04 W
H01M50/40
H01M50/409
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2014207815
(22)【出願日】2014-10-09
(65)【公開番号】P2015118921
(43)【公開日】2015-06-25
【審査請求日】2017-10-04
【審判番号】
【審判請求日】2019-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2013-0156451
(32)【優先日】2013-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】安 正哲
(72)【発明者】
【氏名】魯 盛子
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】池渕 立
【審判官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-243553(JP,A)
【文献】特開2012-099227(JP,A)
【文献】特開2013-004195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/04-10/0587
H01M2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用電極組立体の外面に貼り付けられる二次電池用電極組立体の最外殻テープであって、
二次電池内に共に含まれる電解液と反応して前記二次電池用電極組立体と前記電解液を収容するケースとの粘着性が維持される粘着性テープと、前記粘着性テープの前記二次電池用電極組立体に対向する面に形成された粘着層と、を含み、
前記粘着層は、アクリル系を含まないゴム系粘着層であり、
前記粘着性テープは、配向ポリスチレンフィルムであり、
前記配向ポリスチレンフィルムの引張強度は、200~600kgf/cmであることを特徴とする二次電池用電極組立体の最外殻テープ。
【請求項2】
前記二次電池用電極組立体の最外殻テープは、シールテープとして使用されることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極組立体の最外殻テープ。
【請求項3】
前記ゴム系粘着層としては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、またはこれらの変性体を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極組立体の最外殻テープ。
【請求項4】
前記二次電池用電極組立体の最外殻テープの厚さは、20μm~50μmであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極組立体の最外殻テープ。
【請求項5】
記配向ポリスチレンフィルム前記粘着層との間に、電解液に溶解しない電解液不溶性フィルムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池用電極組立体の最外殻テープ。
【請求項6】
前記電解液不溶性フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択されることを特徴とする請求項5に記載の二次電池用電極組立体の最外殻テープ。
【請求項7】
前記電解液不溶性フィルムが、前記配向ポリスチレンフィルムと前記粘着層との間に貼り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の二次電池用電極組立体の最外殻テープ。
【請求項8】
第1電極板と、前記第1電極板と異なる極性を有する第2電極板と、前記第1電極板と前記第2電極板との間に介在するセパレータと、を含む電極組立体、
電解質、
前記電極組立体の外面に貼り付けられる電極組立体の最外殻テープ、および
前記電極組立体と前記電解液を収容するケースを含み、
前記電極組立体の最外殻テープは請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池用電極組立体の最外殻テープであることを特徴とする二次電池。
【請求項9】
前記電極組立体の最外殻表面は、前記セパレータによってさらに1回巻かれることを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記二次電池は、パウチ型二次電池であることを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【請求項11】
前記電解質は、非水性有機溶媒およびリチウム塩を含み、
前記非水性有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1、2-ブチレンカーボネート、2、3-ブチレンカーボネート、1、2-ペンチレンカーボネート、2、3-ペンチレンカーボネートの中から選択される1種以上の環状カーボネート、
ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネートの中から選択される1種以上の線状カーボネート、
メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトンの中から選択される1種以上のエステル、
テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジブチルエーテルの中から選択される1種以上のエーテル、および
ポリメチルビニルケトンからなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【請求項12】
前記電極組立体の最外殻テープは、セパレータに貼り付けられることを特徴とする請求項9に記載の二次電池。
【請求項13】
前記セパレータは、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用電極組立体の最外殻テープおよびこれを含む二次電池に関し、より詳しくは、電池ケースの内部において電極組立体が回転したり移動したりするのを防止して電池の安全性を高め、特にパウチ型二次電池に使用する際に、電極組立体の角部における耐衝撃性をさらに向上させることができる二次電池用電極組立体の最外殻テープおよびこれを利用する二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池は、正極板、負極板、およびこれら二つの電極板の間に介在するセパレータから構成された電極組立体を、電解質と共にケースに収納して形成される。上記の二次電池は、ケースの形状によって円筒形、角形、およびパウチ形に分類され、使用される電解質によりポリマー電解質型と非水電解質型とに区分される。
上記のケースに収納された電極組立体は、外部からの振動または衝撃(以下、外部衝撃という)によってケースの内部において容易に回転したり移動したりすることがよく起こる。このような電極組立体の回転や移動によって、電池の内部短絡が発生する恐れがあり、電極組立体に備わった電極タップが損傷する可能性がある。
したがって、外部衝撃によって電極組立体が回転したり移動したりすることを防止するために、電極組立体の最外殻テープを電極組立体の外面に貼り付けているが、シールテープ(seal tape)の上に、独立して別途貼り付けて使用することも可能である。しかし、従来の電極組立体の最外殻テープは、特に、ポリマー電池に対しては接着力が十分強くないので、外部衝撃によって容易に外れてしまったり、電解液と反応して接着力を失ってしまったりするという問題点があった。また、電極組立体の最外殻テープは、時間の経過に伴って電解液と反応し収縮することによって、電極組立体を引き締めることになり、電極組立体がその機能を円滑に発揮できなくなったり、局部的に電極組立体の厚さが厚くなって電池の厚み不良を起こし、場合によっては短絡などを起こしたりするという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、電解質と反応して接着力がさらに向上し、かつ収縮性質がないため局部的な電池の厚みが変化することなく電極組立体が円滑に機能することができ、特に外部衝撃に弱い電極組立体の角部においてさらに強い接着力を示すことができる二次電池用電極組立体の最外殻テープを提供することにある。
また、本発明の目的は、外部衝撃に強く、ケース内部において電極組立体が回転したり移動したりすることを防止できる二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的を達成するために、一実施形態によれば、本発明は、電解液と反応して粘着性を示す粘着性テープと、前記粘着性テープの少なくとも一方側の面に形成された粘着層と、を含む二次電池用電極組立体の最外殻テープを提供する。
本発明の一実施形態によれば、前記粘着性テープは、配向ポリスチレンフィルム、即ちOPS(Oriented polystyrene)フィルムを利用することができる。本発明の一実施形態によれば、前記粘着性フィルムと前記粘着層との間に、電解液に溶解しない電解液不溶性フィルムをさらに含むことができる。
本発明の一実施形態によれば、前記粘着層としてゴム系粘着層を用いることができる。
前記電解液不溶性テープは、その厚さが調整され、電池組立体と電池ケースの間の間隔を調節する役割を果たすことができる。
本発明は、第1電極板と、前記第1電極板と異なる極性を有する第2電極板と、前記第1電極板と前記第2電極板との間に介在するセパレータと、を含む電極組立体、電解質、前記電極組立体の外面に貼り付けられる電極組立体の最外殻テープ、および前記電極組立体と前記電解液を収容するケースを含み、前記電極組立体の最外殻テープが本発明による電極組立体の最外殻テープである二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明による二次電池用電極組立体の最外殻テープを利用すると、収縮性質がないため、長期間使用しても局部的な電池の厚み増加が発生しないだけでなく、電極組立体を引き締めなくても電極組立体の極板における充放電が容易に進行し、電池の寿命特性が改善される。
また、高温においても収縮率が相対的に低いので、高温特性にも優れている。
また、電解質と接触しても接着力が維持されるので、電池のケース内部において電池組立体が回転したり移動したりすることを防止し、結果的に外部衝撃に弱い角部の耐衝撃性をより向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態により製造された電極組立体の最外殻テープ付きパウチ型二次電池の概略図である。
図2】本発明によるシールテープとして電極組立体の最外殻テープ100が使用された例を示した図である。
図3】本発明の一実施形態により製造された電極組立体に取り付けられたシールテープ(例えば、PP(ポリプロピレン))上に、本発明による電極組立体の最外殻テープ100が使用された例を示した図である。
図4】本発明の一実施形態により製造された電極組立体の最外殻テープ(例えば、ゴム系粘着層、OPS使用)の断面図である。
図5】本発明の一実施形態により製造された電極組立体の最外殻テープが貼り付けられる電極組立体の斜視図である。
図6】本発明の一実施形態により製造されたパウチ型二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をより詳細に説明する。以下の説明は、本発明を実施するための一つの実施形態に過ぎないものであって、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲において請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも多様な変更実施が可能な範囲にまで本発明の技術的精神が及ぶとみなされる。
【0008】
[電極組立体の最外殻テープ(JELLY ROLL TAPE)]
本発明の一実施形態によれば、本発明は、電解液と反応して粘着性を示す粘着性テープと、上記の粘着性テープの少なくとも一方側の面に形成される粘着層と、を含む、電極組立体の最外殻テープを提供する。
上記の粘着性テープは、例えば、OPS(Oriented polystyrene)フィルムが用いられ、上記の粘着層にはゴム系粘着層が用いられる。ゴム系粘着層を使用しなければ、ポリマー電池においても十分な粘着性を示すことができない。
本発明の一実施形態によれば、上記の電極組立体の最外殻テープの厚さは、電池の容量を考慮すると薄いほど望ましいが、外部衝撃によって切れることを防止するためには、少なくとも20μm以上、好ましくは20μm~50μmであり得る。
本発明の一実施形態によれば、上記の粘着性テープ、例えば、OPSフィルムは、引張強度が200kgf/cm以上、好ましくは200kgf/cm~600kgf/cmであることが好ましい。これは、電極の充放電により加えられる圧力に耐えなければならないためである。600kgf/cm以上の場合は、ロールに巻かれているテープがうまく取れずに、フィルム作業性が低下したりOPSフィルムが破れたりする場合があり、工程不良が発生する恐れがある。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、上記のゴム系粘着層は、天然ゴム(natural rubber)、ポリイソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、またはこれらの変性体を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態による電極組立体の最外殻テープは、上記の粘着性テープ、例えば、OPSフィルムと、その少なくとも一方側の面に形成された粘着層との間に、電解液に溶解しない電解液不溶性フィルムを入れて多重層に形成することができ、これによって電極組立体の種類に関係なしに電池衝撃にも耐えられる構造になる。
上記の電解液不溶性フィルムは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)、PE(ポリエチレン)、またはPP(ポリプロピレン)などが好ましく用いられる。
本発明による電極組立体の最外殻テープにおいて、上記の粘着性テープ(例えば、OPSフィルム)の少なくとも一方側の面に形成される粘着層は、ゴム系粘着層であって、電解質と反応しても粘着性を維持することが望ましい。
【0011】
[二次電池]
本発明の一実施形態によれば、本発明の二次電池は、第1電極板と、上記の第1電極板と異なる極性を有する第2電極板と、上記の第1電極板と上記の第2電極板との間に介在するセパレータと、を含む電極組立体、電解質、上記の電極組立体の外面に貼り付けられる電極組立体の最外殻テープ、および上記の電極組立体と上記の電解液を収容するケースを含む。上記の電極組立体の最外殻テープが、本発明による電極組立体の最外殻テープである。
上記の第1電極板は負極または正極であり、第2電極板は第1極板と異なる極性を有する電極を意味する。
上記の二次電池は、電池ケースの形状により角型、円筒型またはパウチ型のいずれも可能であるが、パウチ型が相対的に優れた効果を示す。パウチ型二次電池は、角型や円筒型に比べて角のR部分が相対的に脆弱である。しかし、本発明による二次電池は、電解質と接触しても粘着性を失わない本発明の電極組立体の最外殻テープの性質によって、電池ケースの内部において電極組立体の回転および移動を防止するとともに、外部衝撃などによっても容易に分離しないので、高い安全性を有することができる。
また、二次電池は、電解質の種類によって非水電解質電池、ポリマー電池などに区分することができるが、本発明による二次電池はポリマー電池により効果的である。これは、ゴム系粘着層が粘着性テープ(例えば、OPS)と電極組立体の間の接着力を維持するためであり、円筒型の場合、アクリレート粘着層でも効果が得られるためである。
【0012】
[電解質]
電解質は、ポリマー電解質および非水電解質に区分され、ポリマー電解質を使用する場合でもリチウム塩および非水電解液をさらに含む。
上記の非水電解液は、リチウム塩を溶解または解離させるために使用するものであって、通常の電池用電解液溶媒として使用するものであれば、特に限定されない。
上記の非水電解液は例えば、環状カーボネート、線状カーボネート、ラクトン、エーテル、エステル、スルホキシド、アセトニトリル、ラクタム、ケトン、およびこれらのハロゲン誘導体などをそれぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができる。上記の環状カーボネートの例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などがあり、上記の線状カーボネートの例としてはジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびメチルプロピルカーボネート(MPC)などがある。上記のラクトンの例としてはガンマ-ブチロラクトン(GBL)があり、上記のエーテルの例としてはジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1、4-ジオキサン、1、2-ジメトキシエタン、1、2-ジエトキシエタンなどがある。上記のエステルの例としてはメチルフォーメート、エチルフォーメート、プロピルフォーメート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、ブチルプロピオネート、メチルピバレートなどがある。また、上記のスルホキシドとしてはジメチルスルホキシドなどがあり、上記のラクタムとしてはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などがあり、上記のケトンとしてはポリメチルビニルケトンがある。また、これらのハロゲン誘導体が使用可能であり、以上の例示した電解液溶媒のみに限定されるものではない。また、これら電解液溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
上記のリチウム塩は、上記の非水系電解質に溶解しやすい物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、テトラフェニルほう酸リチウム、イミドなどが用いられる。また、非水系電解質としては、充放電特性、難燃性などの改善を目的で、例えば、ピリジン、トリエチルホスファート、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N、N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどを添加することができる。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含むことができ、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含むこともできる。
【0014】
[負極]
一実施形態において、負極は当分野で知られている通常の方法により製造することができる。例えば、バインダー、有機溶媒、必要に応じて、導電剤、分散剤を混合および攪拌してスラリーを製造し、これを金属材料の集電体に塗布し圧縮した後、乾燥して負極を製造することができる。
一実施形態によれば、負極活物質は70~98重量%、バインダーは1~30重量%、導電剤は1~25重量%用いられる。
上記の負極活物質は高容量負極活物質であり、本発明の一実施形態によると、Si系活物質、Sn系活物質、およびこれらの合金からなる活物質のうち1種以上であることができ、黒鉛と混合して使用可能である。
【0015】
例えば、上記のSi系負極活物質としては、酸化シリコン(SiO、0.1≦x≦1.2)、非晶質シリコン、またはシリコンに他の元素を添加して合金形態の構造を形成することができる。例えば、上記の元素はMg、Ca、Sr、Sn、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、およびTeのうち1種以上であることができる。
例えば、上記のSn系負極活物質としては、錫、酸化錫(SnO)、または錫に他の元素を添加して合金形態の構造を形成することができる。例えば、上記の元素はMg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Si、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、およびTeのうち1種以上であることができる。
【0016】
上記のバインダーは、例えば、SBR、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
導電剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、人造黒鉛、炭素繊維、炭素ナノチューブ、非晶質カーボンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0017】
一実施形態においては、SBRバインダーエマルジョンを水と混合し、負極活物質、または導電剤と一緒に入れて、均一にスラリーを製造する。
金属材料の集電体は、金属材料から製造することができ、上記の負極活物質のスラリーが容易に塗布できる高伝導性金属の場合、電池の電圧範囲で反応性のないものであればいずれも用いられる。代表的な例として、銅、ニッケル、またはステンレス合金、またはこれらの組み合わせによって製造されるメッシュ(mesh)または箔(foil)などがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
スラリーを集電体に塗布する方法は特に限定されないが、例えば、ドクターブレード、浸漬、ハケ塗り(brushing)等が挙げられる。塗布量は特に限定されないが、溶媒や分散媒を除去した後に形成される活物質層の厚さは、通常0.005~5mm、好ましくは0.01~0.1mm程度が望ましい。
溶媒または分散媒を除去する方法は特に限定されないが、応力集中が発生して活物質層に亀裂が発生したり、活物質層が集電体から剥離されたりしない程度の速度範囲内で、できれば速やかに溶媒または分散媒が揮発するように調整して除去する方法が挙げられる。例えば、50~200℃の真空オーブンで0.5~3日間乾燥する方法が利用できる。
【0019】
[正極]
一実施形態において、上記の二次電池の正極に使用可能な正極活物質としてはリチウム含有遷移金属酸化物があり、具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1-YCo、LiCo1-YMn、LiNi1-YMn(ここで、0<Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2-ZNi、LiMn2-ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、およびLiFePOからなる群から選択される1種以上が用いられる。
上記の正極活物質を利用して、当該技術分野に知られた通常の方法により正極を製造する。その他正極製造に関連した内容は一般的なものであり、その記述は省略する。
【0020】
[セパレータ]
一実施形態において、セパレータは正極と負極の間に介在し、高いイオン透過度と機械的強度とを有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。
一実施形態において、上記のセパレータの気孔直径は一般的に0.01~10μmであり、厚さは一般的に5~300μmである。このようなセパレータとしては、例えば、耐薬品性および疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス繊維、またはポリエチレンなどからなるシートや不織布などが用いられる。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質がセパレータを兼ねることもできる。
上記のセパレータのうち、オレフィン系ポリマーの具体的な例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの2層以上の多層膜が用いられ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層構造セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層構造セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造セパレータなどのような混合多層膜が用いられる。
本発明の一実施形態によれば、電極組立体の最外殻表面は、セパレータによって1回巻かれることが望ましい。これは、正極活物質や負極活物質で巻かれるよりは、セパレータで巻かれた方が、上記の電極組立体の外面に貼り付けられる電極組立体の最外殻テープとの接着力をさらに高めることができるからである。
【0021】
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態による負極を含む二次電池をより詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態によるパウチ型二次電池の斜視図である。以下、説明される二次電池の製造方法は、本発明の理解を助けるためのものであり、当該技術分野において知られている技術内容を利用し、適切に変更して実施することができる。
図1を参照すれば、本発明の実施形態による二次電池は、ケース20、上記のケース20内に収納される電極組立体10、電極組立体10の外面に貼り付けられる電極組立体の最外殻テープ100から構成される。
【0022】
図2は、本発明によるシールテープとして電極組立体の最外殻テープ100が使用された例を示した図であって、本発明による電極組立体の最外殻テープ100は、電極組立体のシールテープとして用いられる。
【0023】
図3は、シールテープ(PP)の上に本発明による電極組立体の最外殻テープ100が使用された例を示した図であって、シールテープに電極組立体の最外殻テープ100が追加的に貼り付けられて用いられる。
【0024】
図4を参照すれば、電極組立体の最外殻テープ100は、基材の粘着性テープ(例えば、OPSフィルム)110と、粘着性テープのOPSフィルム110の一方側の面に形成された粘着層120と、から構成される。
【0025】
図5を参照すれば、電極組立体10は、最外殻表面がセパレータ12となるようにセパレータ12によって1回巻かれた方が望ましい。
【0026】
図6を参照すれば、電極組立体の最外殻テープ100を、電極組立体10の最外殻外面を構成するセパレータ12に巻いて貼り付け、ケース20に収納したり、既存のシールテープによって電極組立体の最外殻を固定したりした後、その上に電極組立体の最外殻テープ100を別途貼り付けることができる。その後、電解液を注液することによって、電解液200と電極組立体の最外殻テープ100の基材の粘着性テープ層(例えば、OPS層)とが反応して粘着性が発生し、電池ケースの内部の電極組立体の回転および移動を防止するため、落下試験などの衝撃テストにおいて良い結果を示す。
これによって、本発明による電極組立体の最外殻テープを備えた二次電池は、外部衝撃に強く、特に角部の耐衝撃性を向上させる効果をもたらす。
【0027】
以下、実施例を通して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0028】
[実施例1:電極組立体の最外殻テープの製造]
SKCの40μmのOPSフィルム(OPS25/PSA10)に、スチレンブタジエン系粘着成分としてゴムが70重量%含まれている粘着性組成物を5μmの厚さで塗布し、常温で24時間乾燥して、総厚さ45μmの電極組立体の最外殻テープを製造した。
【0029】
[実施例2~4]
下記表1に示すように、ゴム系粘着層および厚さを異にしたことを除いては実施例1と同様な方法によって、電極組立体の最外殻テープを製造した。
厚さ20~40μmの場合、最終テープとして厚さ不良および外形不良が改善されたと判断し、反面、厚さ40μm以上の場合は最終テープとして厚さ不良および外形不良に不利な構造を有していると判断した。
【0030】
【表1】
【0031】
[実施例5]
実施例1においてOPSと粘着層との間に6μmの厚さのPETを付加したことを除いては、実施例1と同様な方法によって電極組立体の最外殻テープを製造した。
【0032】
[比較例1]
実施例1と同様な方法であるが、ただし、粘着層としてはアクリル系が主成分のアクリル酸エステル重合体を使って製造した。
【0033】
[実験例1:電極組立体の最外殻テープの物性実験]
実施例1から4および比較例1により製造された電極組立体の最外殻テープの物性をそれぞれ測定して下記表2に示す。表2において、実施例および比較例に使用されたOPSは同一のもので、粘着剤成分だけが異なる。したがって、フィルムの基本物性は同一である。電極組立体にOPSフィルムを貼り付けた後、電解液に浸し、オーブンに入れて、OPSの収縮の程度を調べた。その結果、アクリル系粘着層を有する比較例1の場合、50℃で収縮したが、ゴム系粘着層を有しているOPSフィルムは、80℃になってから収縮した。したがって、ゴム系粘着層を有しているOPSフィルムは、ゴム系粘着層が電解液に溶けにくく、OPSフィルムのより良好な維持が可能であることが明らかになった。
上記の電解液は、1.1M LiPF(EC/PC/EP=1/3/6)+1.2M LiBF+5.0% FEC(Flouroethylene carbonate)+2.0% VC(Vinylcarbonate)+1.0% SA(succinic anhydride)+3.0% SN(succinontrile)を使った。
【0034】
【表2】
【0035】
[実験例1]
実施例1から5および比較例1により製造された、OPSフィルムを含む電極組立体の最外殻テープのOPSフィルム側をステンレス金属板に貼り付けたサンプルを、それぞれ5つずつ作って、1.1M LiPF6(EC/PC/EP=1/3/6)+1.2M LiBF4+5.0% FEC(Flouroethylene carbonate)+2.0% VC(Vinyl carbonate)+1.0% SA(succinic anhydride)+3.0% SN(succinontrile)に含浸させ、高温60℃で10日間放置後、サンプルを1つずつ取り出して粘着力を測定した。その結果を表3に示す。電極組立体の最外殻テープを電解液に含浸すると、OPSのフィルムが溶けて電解液との反応でステンレス金属板とくっつく現象が発生する。ある一定以上の粘着力(300gf/25mm↑)を有していれば、電解液との反応による接着力に問題はないと判断する。
【0036】
【表3】
【0037】
上記表3から、本発明による電極組立体の最外殻テープが、粘着層としてアクリル系粘着層を用いた電極組立体の最外殻テープより粘着力に優れていることが分かる。アクリル系粘着層を有するテープの場合(比較例1)、初期は300gf/25mmの粘着力を有するが、時間が経過すると粘着剤が電解液に溶けて、11日経過後には粘着力が10gf/25mm以下に弱くなり、接着力を喪失することになる。
【符号の説明】
【0038】
10 電極組立体
12 セパレータ
20 ケース
100 電極組立体の最外殻テープ
110 粘着性テープ
120 粘着層
200 電解液
図1
図2
図3
図4
図5
図6