(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】移動可能エッジリングおよびガス注入調節によるウエハ上CD均一性の制御
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220419BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220419BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220419BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 B
C23C16/455
C23C16/458
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017154893
(22)【出願日】2017-08-10
【審査請求日】2020-08-05
(32)【優先日】2016-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーティン・ジャーン
(72)【発明者】
【氏名】サラバナプリヤン・スリラマン
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・パターソン
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-280173(JP,A)
【文献】特開2007-234867(JP,A)
【文献】特開2002-217171(JP,A)
【文献】特開2012-049376(JP,A)
【文献】特開2006-344701(JP,A)
【文献】特開2012-222235(JP,A)
【文献】特表2009-527921(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105470125(CN,A)
【文献】特開平07-074155(JP,A)
【文献】特開2000-058512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システム内の基板支持体であって、
ガス分配装置の下方に配置された内側部分であって、前記ガス分配装置は、前記内側部分に向かって第1処理ガスを方向付けるように構成されている、内側部分と、
エッジリングを含む外側部分であって、前記エッジリングは、前記内側部分と前記内側部分上に配置された基板とを少なくとも部分的に囲むように前記内側部分の外周の周りに配置され、前記エッジリングは、前記内側部分に対して上下されるように構成され、前記エッジリングは、前記内側部分に向かって第2処理ガスを方向付けるように構成されている、外側部分と、
前記基板上に蒸着された材料の分布を
前記基板の処理中に決定し、前記決定された分布に基づいて、(i)
前記基板の処理中に前記エッジリングの位置を選択的に調節し、(ii)
前記基板の処理中に前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの少なくとも一方の流量を選択的に調節するコントローラと、
を備える、基板支持体。
【請求項2】
請求項1に記載の基板支持体であって、前記材料は、エッチング副生成物を含む、基板支持体。
【請求項3】
請求項1に記載の基板支持体であって、前記コントローラは、前記基板上に蒸着された前記材料の分布を、エッジリング位置、前記ガス分配装置によって方向付けられる前記第1処理ガス、および、前記エッジリングによって方向付けられる前記第2処理ガスの内の少なくとも1つと関連付けるデータに基づいて、前記材料の分布を決定する、基板支持体。
【請求項4】
請求項3に記載の基板支持体であって、前記データは、(i)前記第1処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料および(ii)前記第2処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料の平均を含む、基板支持体。
【請求項5】
請求項3に記載の基板支持体であって、前記コントローラは、前記データに基づいて、(i)第1所定期間中に、前記エッジリングの位置を第1位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第1流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第2流量に調節し、(ii)前記第1所定期間の後、第2所定期間中に、前記エッジリングの位置を第2位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第3流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第4流量に調節する、基板支持体。
【請求項6】
請求項5に記載の基板支持体であって、前記流量を前記第1流量、前記第2流量、前記第3流量、および、前記第4流量の内の少なくとも1つに調節することは、前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの内の対応する処理ガスをオフにすることを含む、基板支持体。
【請求項7】
請求項1に記載の基板支持体であって、前記エッジリングは、複数のガス注入ノズルを備える、基板支持体。
【請求項8】
請求項7に記載の基板支持体であって、前記複数のガス注入ノズルは、前記エッジリングによって規定されたプレナムと、前記第2処理ガスの供給源に接続された少なくとも1つの導管とを介して、ガス源と流体連通している、基板支持体。
【請求項9】
基板処理システム内で基板を処理するための方法であって、
内側部分および外側部分を有する基板支持体を準備する工程であって、前記内側部分は、ガス分配装置の下方に配置され、前記外側部分は、前記内側部分と前記内側部分上に配置された基板とを少なくとも部分的に囲むように前記内側部分の外周の周りに配置されたエッジリングを備える、工程と、
前記ガス分配装置を用いて、前記内側部分に第1処理ガスを方向付ける工程と、
前記エッジリングを用いて、前記内側部分に第2処理ガスを方向付ける工程と、
前記基板上に蒸着された材料の分布を
前記基板の処理中に決定する工程と、
前記基板の処理中に前記エッジリングの位置を前記内側部分に対して上または下へ選択的に調節する工程と、
前記基板の処理中に前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの少なくとも一方の流量を選択的に調節する工程と、
を備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記材料は、エッチング副生成物を含む、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記材料の分布を決定する工程は、前記基板上に蒸着された前記材料の分布を、エッジリング位置、前記ガス分配装置によって方向付けられる前記第1処理ガス、および、前記エッジリングによって方向付けられる前記第2処理ガスの内の少なくとも1つと関連付けるデータに基づいて、前記材料の分布を決定する工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記データは、(i)前記第1処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料および(ii)前記第2処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料の平均を含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、さらに、前記データに基づいて、(i)第1所定期間中に、前記エッジリングの位置を第1位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第1流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第2流量に調節する工程と、(ii)前記第1所定期間の後、第2所定期間中に、前記エッジリングの位置を第2位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第3流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第4流量に調節する工程と、を備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記流量を前記第1流量、前記第2流量、前記第3流量、および、前記第4流量の内の少なくとも1つに調節する工程は、前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの内の対応する処理ガスをオフにする工程を含む、方法。
【請求項15】
請求項9に記載の方法であって、前記エッジリングは、複数のガス注入ノズルを備える、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記複数のガス注入ノズルは、前記エッジリングによって規定されたプレナムと、前記第2処理ガスの供給源に接続された少なくとも1つの導管とを介して、ガス源と流体連通している、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理に関し、特に、基板処理におけるエッチング均一性を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0003】
半導体ウエハなどの基板を処理するために、基板処理システムが利用されうる。基板に実行されうる処理の例は、化学蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)、導電体エッチング、および/または、その他のエッチング、蒸着、もしくは、洗浄処理を含むが、これらに限定されない。基板は、基板処理システムの処理チャンバ内の基板支持体(ペデスタル、静電チャック(ESC)など)上に配置されうる。エッチング中、1または複数の前駆体を含むガス混合物が、処理チャンバに導入されてよく、プラズマが、化学反応を開始するために利用されうる。
【0004】
基板支持体は、ウエハを支持するように構成されたセラミック層を備えうる。例えば、ウエハは、処理中にセラミック層にクランプされうる。基板支持体は、基板支持体の外側部分の周りに(例えば、周囲の外側におよび/または周囲に隣接して)配置されたエッジリングを備えうる。エッジリングは、基板上方の空間にプラズマを閉じこめる、プラズマによって引き起こされる腐食から基板支持体を保護する、などのために提供されうる。
【発明の概要】
【0005】
基板処理システム内の基板支持体が、内側部分および外側部分を備える。内側部分は、内側部分に向かって第1処理ガスを方向付けるように構成されたガス分配装置の下方に配置される。外側部分は、内側部分と内側部分上に配置された基板とを少なくとも部分的に囲むように内側部分の外周の周りに配置されたエッジリングを備える。エッジリングは、内側部分に対して上下され、内側部分に向かって第2処理ガスを方向付けるように構成される。コントローラが、処理中に基板上に蒸着された材料の分布を決定し、決定された分布に基づいて、エッジリングの位置を選択的に調節し、第1処理ガスおよび第2処理ガスの少なくとも一方の流量を選択的に調節する。
【0006】
基板処理システム内で基板を処理するための方法が、内側部分および外側部分を有する基板支持体を準備する工程を備える。内側部分は、ガス分配装置の下方に配置されており、外側部分は、内側部分と内側部分上に配置された基板とを少なくとも部分的に囲むように内側部分の外周の周りに配置されたエッジリングを備える。方法は、さらに、ガス分配装置を用いて、内側部分に第1処理ガスを方向付ける工程と、エッジリングを用いて、内側部分に第2処理ガスを方向付ける工程と、処理中に基板上に蒸着された材料の分布を決定する工程と、エッジリングの位置を内側部分に対して上または下へ選択的に調節する工程と、第1処理ガスおよび第2処理ガスの少なくとも一方の流量を選択的に調節する工程と、を備える。
【0007】
詳細な説明、特許請求の範囲、および、図面から、本開示を適用可能なさらなる領域が明らかになる。詳細な説明および具体的な例は、単に例示を目的としており、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、詳細な説明および以下に説明する添付図面から、より十分に理解できる。
【0009】
【
図1】本開示に従って、処理チャンバの一例を示す機能ブロック図。
【0010】
【
図2A】本開示に従って、中央注入処理ガスについて基板における副生成物分布の例を示す図。
【0011】
【
図2B】本開示に従って、サイド注入処理ガスについて基板における副生成物分布の例を示す図。
【0012】
【
図3】本開示に従って、中央注入処理ガスおよびサイド注入処理ガスの副生成物分布の制御範囲および平均プロファイルの例を示す図。
【0013】
【
図4A】本開示に従って、下げ位置にある可変深さエッジリングの一例を示す図。
【0014】
【
図4B】本開示に従って、上げ位置にある可変深さエッジリングの一例を示す図。
【0015】
【
図5A】本開示に従って、エッジリングガス注入ノズルを備えたエッジリング例を示す図。
【
図5B】本開示に従って、エッジリングガス注入ノズルを備えたエッジリング例を示す図。
【0016】
【
図6】本開示に従って、基板にわたって副生成物分布を制御するための方法例の工程を示す図。
【0017】
図面において、同様および/または同一の要素を特定するために、同じ符号を用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
基板処理システム内の基板支持体が、エッジリングを備えうる。エッジリングの上面は、基板支持体の上面よりも上に伸びてよく、それにより、基板支持体の上面(および、一部の例では、基板支持体上に配置された基板の上面)がエッジリングに対して陥凹する。この陥凹部は、ポケットと呼ばれてもよい。エッジリングの上面と基板の上面との間の距離が、「ポケット深さ」と見なされてよい。一般に、ポケット深さは、基板の上面に対するエッジリングの高さに従って固定される。異なるポケット深さが求められた場合、エッジリングを手動で交換する必要があり、これは、ウエハハンドリングの制約、処理の制約、チャンバの制約などによって制限されうる。
【0019】
エッチング処理のいくつかの態様は、基板処理システム、基板、ガス混合物などの特徴により、様々でありうる。例えば、フローパターンひいてはエッチング速度およびエッチング均一性が、エッジリングのポケット深さ、エッジリング形状(すなわち、形)などに従って様々でありうる。一部の処理の例では、エッチング速度全体が、基板の上面とガス分配装置の底面との間の距離が増すにつれて変化する。さらに、エッチング速度は、基板の中心から基板の外周までで変化しうる。例えば、基板の外周では、シースの屈曲およびイオンの傾斜が、シャロートレンチアイソレーション(STI)を引き起こす場合があり、反応種(例えば、エッチャントおよび/または蒸着前駆体)に関連する化学的負荷が、ハードマスククリティカルディメンションのロールオフを引き起こす場合がある。さらに、エッチング副生成物などの材料が、基板上に再蒸着されることがある。エッチング速度は、基板の上面におけるガス速度を含むがこれに限定されない他の処理パラメータに従って変化しうる。例えば、処理結果に影響しうる様々な処理ガスの注入(例えば、中心ノズル、サイド調整ノズルなどからの注入など)に関連するパラメータは、ガス流量、ガス種、注入角度、注入位置などを含むが、これらに限定されない。
【0020】
したがって、エッジリングの構成(例えば、エッジリングの高さおよび/または形状など)を変化させることで、基板の表面にわたるガス速度プロファイルを変更できる。同様に、様々な処理ガスの注入に関連するパラメータを調節しても、処理結果に影響を与えうる。単に例として、ガス注入パラメータは、ガス流量、ガス種、注入角度、注入位置などを含みうるが、これらに限定されない。本開示の原理に従った可変深さエッジリングのシステムおよび方法は、基板処理中にエッジリング高さの調節および処理ガス注入のパラメータの調節を併用して、エッチング均一性を制御する。このように、ガス流再循環および関連する副生成物の蒸着が調節されうる。
【0021】
例えば、エッジリングは、コントローラ、ユーザインターフェースなどに応答して、エッジリングを上下させるように構成されたアクチュエータに結合されてよい。一例では、基板処理システムのコントローラが、実行される特定のレシピおよび関連するガス注入パラメータに従って、処理中、処理工程の合間などに、エッジリングの高さを制御する。コントローラは、その結果、ガス注入パラメータを調節するように構成されうる。単に例として、コントローラは、処理ガス注入に関連する1または複数のパラメータに対してエッジリング高さなどをインデックス付けするデータ(例えば、ルックアップテーブル)を格納してよい。データは、さらに、エッジリング高さおよびガス注入パラメータを基板にわたるエッチング副生成物分布に関連付けてもよい。データは、所定の(例えば、較正またはプログラムされた)データ、インターフェースを介してユーザによって提供されたデータなどに対応しうる。このように、所望のエッチング均一性が、エッチング副生成物分布に従って、処理中にエッジリング高さおよびガス注入パラメータを動的に調節することによって達成されうる。一部の例において、エッジリングは、さらなるサイド調整ガスを注入するためのガス注入ノズルを備えてもよい。
【0022】
ここで、
図1を参照すると、基板処理システム100の一例が示されている。単に例として、基板処理システム100は、RFプラズマを用いたエッチングおよび/またはその他の適切な基板処理を実行するために用いられてよい。基板処理システム100は、基板処理システム100の他の構成要素を収容すると共にRFプラズマを閉じ込める処理チャンバ102を備える。基板処理チャンバ102は、上側電極104と、基板支持体106(静電チャック(ESC)など)とを備える。動作中、基板108が、基板支持体106上に配置される。具体的な基板処理システム100およびチャンバ102が一例として示されているが、本開示の原理は、その場でプラズマを生成する基板処理システム、(例えば、プラズマチューブ、マイクロ波チューブを用いて)遠隔プラズマの生成および供給を実施する基板処理システムなど、他のタイプの基板処理システムおよびチャンバに適用されてもよい。
【0023】
単に例として、上側電極104は、処理ガスを導入して分散させるガス分配装置(シャワーヘッド109など)を備えてよい。シャワーヘッド109は、処理チャンバの上面に接続された一端を備えるステム部分を備えてよい。ベース部分は、略円筒形であり、処理チャンバの上面から離れた位置でステム部分の反対側の端部から半径方向外向きに広がる。シャワーヘッドのベース部分の基板対向面すなわちフェースプレートは、処理ガスまたはパージガスが流れる複数の穴を備える。あるいは、上側電極104は、導電性のプレートを備えてもよく、処理ガスは、別の方法で導入されてよい。
【0024】
基板支持体106は、下側電極として機能する導電性のベースプレート110を備える。ベースプレート110は、セラミック層112を支持する。一部の例において、セラミック層112は、加熱層(セラミックマルチゾーン加熱プレートなど)を備えてよい。熱抵抗層114(例えば、ボンド層)が、セラミック層112とベースプレート110との間に配置されてよい。ベースプレート110は、ベースプレート110に冷却材を流すための1または複数の冷却材流路116を備えてよい。
【0025】
RF発生システム120が、RF電圧を生成して、上側電極104および下側電極(例えば、基板支持体106のベースプレート110)の一方に出力する。上側電極104およびベースプレート110のもう一方は、DC接地、AC接地されるか、または、浮遊していてよい。単に例として、RF発生システム120は、整合/配電ネットワーク124によって上側電極104またはベースプレート110に供給されるRF電圧を生成するRF電圧発生器122を備えてよい。他の例において、プラズマは、誘導的にまたは遠隔で生成されてよい。例示の目的で示すように、RF発生システム120は、容量結合プラズマ(CCP)システムに対応するが、本開示の原理は、単に例として、トランス結合プラズマ(TCP)システム、CCPカソードシステム、遠隔マイクロ波プラズマ生成/供給システムなど、他の適切なシステムで実施されてもよい。
【0026】
ガス供給システム130は、1または複数のガス源132-1、132-2、・・・、および、132-N(集合的に、ガス源132)を備えており、ここで、Nはゼロより大きい整数である。ガス源は、1または複数の前駆体およびそれらの混合物を供給する。ガス源は、パージガスを供給してもよい。気化した前駆体が用いられてもよい。ガス源132は、バルブ134-1、134-2、・・・、および、134-N(集合的に、バルブ134)ならびにマスフローコントローラ136-1、136-2、・・・、および、136-N(集合的に、マスフローコントローラ136)によってマニホルド140に接続されている。マニホルド140の出力は、処理チャンバ102に供給される。単に例として、マニホルド140の出力は、シャワーヘッド109に供給される。
【0027】
温度コントローラ142が、加熱プレート112上に配置された複数の加熱素子(熱制御素子(TCE:thermal control element)144など)に接続されてよい。例えば、加熱素子144は、マルチゾーン加熱プレートにおけるそれぞれの区画に対応するマクロ加熱素子、および/または、マルチゾーン加熱プレートの複数の区画にわたって配置されたマイクロ加熱素子のアレイを含みうるが、これらに限定されない。温度コントローラ142は、複数の加熱素子144を制御して基板支持体106および基板108の温度を制御するために用いられる。
【0028】
温度コントローラ142は、流路116を通る冷却材の流れを制御するための冷却材アセンブリ146と連通してよい。例えば、冷却材アセンブリ146は、冷却材ポンプおよび冷却材リザーバを備えてよい。温度コントローラ142は、基板支持体106を冷却するために流路116を通して冷却材を選択的に流すように、冷却材アセンブリ146を作動させる。
【0029】
バルブ150およびポンプ152が、処理チャンバ102から反応物質を排出するために用いられてよい。システムコントローラ160が、基板処理システム100の構成要素を制御するために用いられてよい。ロボット170が、基板支持体106上へ基板を供給すると共に、基板支持体106から基板を除去するために用いられてよい。例えば、ロボット170は、基板支持体106およびロードロック172の間で基板を移送してよい。別個のコントローラとして示しているが、温度コントローラ142は、システムコントローラ160内に実装されてもよい。一部の例において、保護シール176が、セラミック層112とベースプレート110との間のボンド層114の周囲に提供されてもよい。
【0030】
基板支持体106は、エッジリング180を備える。本開示の原理に従ったエッジリング180は、基板108に対して移動可能(例えば、垂直方向に上下に移動可能)である。例えば、エッジリング180は、後に詳述するように、コントローラ160に応答して、アクチュエータを介して制御されてよい。エッジリング180は、ガス注入パラメータに従って基板処理中に調節されてよい。一部の例において、エッジリング180は、さらなるサイド調整ガスを注入するためのガス注入ノズルを備えてもよい。
【0031】
ここで、
図2Aおよび2Bを参照すると、上げ(高い)エッジリング位置および下げ(低い)エッジリング位置について基板にわたる副生成物分布が示されている。
図2Aは、中央注入の処理ガス(すなわち、シャワーヘッドの中央または内側部分から注入されたガス)についての副生成物分布を示す。副生成物分布200は、エッジリングが下げ位置にある状態での副生成物分布(例えば、基板の中心から0~160mmの半径で測定した基板/ウエハの対応する位置の上方でSiCl
4のモル分率で測定したもの)を示す。逆に、副生成物分布204は、エッジリングが上げ位置にある状態での副生成物分布を示す。図に示すように、中央注入の処理ガスについては、下げエッジリング位置および上げエッジリング位置の両方で、基板の中央領域よりも基板のエッジ領域の近くで多くの量の副生成物が蒸着されるが、エッジリングを下げると、エッジ領域付近の副生成物分布が比較的少なくなる。
【0032】
図2Bは、サイド注入の処理ガス(すなわち、シャワーヘッドの外側のサイド調整部分から注入されたガス、および/または、一部の例では、後に詳述するようにエッジリングノズルから注入されたガス)についての副生成物分布を示す。副生成物分布208は、エッジリングが下げ位置にある状態での副生成物分布を示す。逆に、副生成物分布212は、エッジリングが上げ位置にある状態での副生成物分布を示す。図に示すように、サイド注入の処理ガスについては、下げエッジリング位置および上げエッジリング位置の両方で、基板のエッジ領域よりも基板の中央領域の近くで多くの量の副生成物が蒸着されるが、エッジリングを下げると、エッジ領域付近の副生成物分布が比較的少なくなる。
【0033】
図3は、基板の半径にわたって、中央注入ガスおよびサイド注入処理ガスにそれぞれ関連する副生成物分布304および308の平均副生成物分布例300を示す。平均副生成物分布300は、エッジリングの所定の位置についての所定の期間にわたる(例えば、所与の処理工程に対応する所定の期間にわたる)平均副生成物分布に対応しうる。副生成物分布304および308は、中央注入ガスおよびサイド注入ガスに対応するそれぞれの所定のガス流量、ガス種などにも関連しうる。
【0034】
したがって、上限316と下限320との間の領域312は、エッジリングの位置を調節すること(すなわち、上下させること)によって達成可能な副生成物分布の調整可能な範囲に対応しうる。例えば、上限316は、達成可能な副生成物分布の最大量の一例に対応し、下限320は、達成可能な副生成物分布の最小量の一例に対応しうる。副生成物分布は、さらに、中央注入ガス流量およびサイド注入ガス流量を選択的に調節することによって調節されてもよい。エッジリング高さおよびガス流量は、所定の期間中に所望の副生成物分布324を達成するために、処理中に動的に調節されうる。
【0035】
例えば、システムコントローラ160は、基板の各領域の平均副生成物分布を、エッジリング位置、サイド注入ガス流量、中央注入ガス流量、ガス種、エッジリング形状などを含むがこれらに限定されない様々なパラメータと関連付けるデータ(モデルなど)を格納してよい。データは、複数の異なるエッジリング位置、処理ガス注入流量、ガス種などに対する副生成物分布304および308を示すデータを含みうる。単に例として、平均副生成物分布などのデータは、以前の基板の評価、モデル、処理後の分析などに基づいて決定されてよい。したがって、処理中に調節できない所与のパラメータセット(例えば、エッジリング形状、所望の副生成物分布など)について、コントローラ160は、所望の副生成物分布を達成するために処理中に調節できる関連パラメータ(例えば、エッジリング高さ、ならびに、中央注入ガス流およびサイド注入ガス流のそれぞれの量)を計算するように構成される。一部の例において、コントローラ160は、処理中に副生成物分布を動的に計算してて、それに従って調節を行ってよい。例えば、
図2Aに示したように、所与のエッジリング高さについて、中央注入ガスによると、基板のエッジでの副生成物分布がより大きいが、サイド注入ガスによると、基板のエッジでの副生成物分布がより小さい。
【0036】
したがって、処理は、エッジリングが第1位置にある状態で、それぞれの中央注入ガス流量およびサイド注入ガス流量で開始してよく、その結果、基板のエッジ領域での比較的大きい副生成物分布、および、基板の中央領域での比較的小さい副生成物分布が実現される。次いで、システムコントローラ160は、第2位置へエッジリングを上げさせる(または下げさせる)と共に、中央注入およびサイド注入ガスのそれぞれの流量を調節してよい。例えば、エッジリングは、中央注入ガスの流量を減少させて(または完全に遮断して)サイド注入ガスの流量を増加させると同時に下げられてよく、その結果、基板のエッジ領域での比較的小さい副生成物分布、および、基板の中心領域での比較的大きい副生成物が実現される。それぞれの流量を調節することは、中央注入ガス流またはサイド注入ガス流を完全にオフにすること、中央注入ガス流またはサイド注入ガス流がオフになった状態で処理を開始した後に中央注入ガス流またはサイド注入ガス流をオンにすること、などを含んでよい。
【0037】
一部の例において、コントローラ160は、特定の処理のために一連の所定の調節を実行するように構成されてもよい。例えば、第1所定期間中に、コントローラ160は、エッジリングを第1高さに調節しつつ、それぞれの第1中央注入ガス流量および第1サイド注入ガス流量を選択してよい。第2所定期間中に、コントローラ160は、エッジリングを第2高さに調節しつつ、それぞれの第2中央注入ガス流量および第2サイド注入ガス流量を選択してよい。このように、処理または処理工程が、それぞれのエッジリング位置およびガス流量を有する2以上の所定の期間に分割されてよい。
【0038】
ここで、
図4A、
図4B、および、
図4Cを参照すると、本開示の原理に従って基板404を上に配置された基板支持体400が示されている。基板支持体400は、(例えば、ESCに対応する)内側部分408および外側部分412を有するベースまたはペデスタルを備えてよい。例において、外側部分412は、内側部分408から独立しており、内側部分408に対して移動可能であってよい。基板404は、処理中に内側部分408上に配置される。コントローラ416が、1または複数のアクチュエータ420と通信して、支持体400のポケット深さを調節するためにエッジリング424を選択的に上下させる。単に例として、エッジリング424は、
図4Aでは完全下げ位置、そして、
図4Bでは完全上げ位置の一例に示されている。図に示すように、アクチュエータ420は、垂直方向にピン428を選択的に伸び縮みさせるように構成されたピンアクチュエータに対応する。その他の適切なタイプのアクチュエータが、別の例で用いられてもよい。単に例として、エッジリング424は、セラミックまたは石英のエッジリングに対応する。
図4Aにおいて、コントローラ416は、アクチュエータ420と通信して、ピン428を介してエッジリング424を直接的に上下させる。一部の例において、内側部分408は、エッジリング424に対して移動可能である。
【0039】
ここで、
図5Aおよび
図5Bを参照すると、基板504を上に配置された基板支持体の一例500が示されている。基板支持体500は、内側部分508および外側部分512を有するベースまたはペデスタルを備える。外側部分は、
図1~
図4に関して上述したように、選択的に移動可能である(すなわち、上下される)エッジリング516を備える。ただし、エッジリング516の移動の制御に関連する基板支持体500の部分は、簡単のために
図5では省略されている。
【0040】
基板支持体500は、シャワーヘッド520などのガス分配装置の下方に配置される。シャワーヘッド520は、中央部分524を備えており、任意選択的に、外側部分528を備えてもよい。中央部分524は、基板504の真上で処理ガスを下向きに方向付けるように配置された中央ガスノズル532を備える。外側部分520は、基板504の外周エッジに向かって処理ガスを方向付けるように配置されたサイド調整ガスノズル536を備えてよい。
【0041】
一部の例において、エッジリング516は、エッジリングノズル540を備える。エッジリングノズル540は、シャワーヘッド520の外側部分528におけるサイド調整ガスノズル536の代わりにまたはそれに加えて提供されてよい。エッジリングノズル540は、
図1~
図3において上述したように副生成物分布をさらに制御するために、さらなるサイド調整ガスを提供するように構成される。例えば、エッジリング516は、1または複数の導管548を介して1または複数のガス源552からのガスを受け入れるように構成されたプレナム544を規定してよい。例えば、1または複数のガス源552は、上述のようにコントローラ(例えば、
図1のシステムコントローラ160)によって生成された制御信号に従って、処理ガスを供給する。
【0042】
エッジリングノズル540の特徴は、異なる処理、処理チャンバなどに対して異なってもよい。変更されうるエッジリングノズル540の特徴の例は、数、サイズ、形状、および、注入角度を含むが、これらに限定されない。したがって、エッジリング位置、ガス流量などを調節することに加えて、所望の特徴を有するエッジリングノズル540を備えたエッジリングを選択することによって、副生成物分布をさらに制御できる。一部の例において、エッジリング516の形状は、副生成物分布をさらに制御するために、様々であってよい。例えば、長方形の内径556で示されているが、内径556は、その他の例において、ベベル形状、曲線状などであってもよい。
【0043】
ここで、
図6を参照すると、基板にわたる副生成物分布を制御するための方法の例600が、工程604で始まる。工程608で、方法600(例えば、システムコントローラ160)は、選択された処理、処理工程などに基づいて、処理チャンバの調節可能なパラメータを設定する。例えば、方法600は、選択された処理の特徴(例えば、処理タイプ、ガス種、エッジリングの特徴など)を、様々な調節可能なパラメータと関連付ける格納済みのデータに従って、調節可能なパラメータを設定してよい。パラメータは、エッジリング位置、ならびに、(例えば、シャワーヘッドのサイド調整位置および/またはエッジリングのエッジリングノズルから注入される)中央注入処理ガスおよびサイド注入処理ガスのそれぞれのガス流量を含むが、これらに限定されない。
【0044】
工程612で、方法600は、処理または処理工程を開始する。工程616で、方法600は、処理工程が完了したか否かを判定する。完了している場合、方法600は、工程620で終了する。完了していない場合、方法600は、工程624に進む。工程624で、方法600は、
図1~
図5に関して上述したように副生成物分布の制御に関連するパラメータを調節するか否かを決定する。例えば、方法600は、処理中の副生成物分布の計算または推定などに基づいて、所定の期間後にエッジリング位置および/または処理ガス流量を調節してよい。調節する場合、方法600は、工程628に進む。調節しない場合、方法600は、工程616に進む。
【0045】
工程628で、方法600(例えば、システムコントローラ160)は、エッジリング位置および/またはガス流量を調節する。一部の例において、方法600は、(例えば、処理/処理工程が始まってから経過した時間に基づいて)、エッジリング位置およびガス流量を所定の値に調節する。別の例において、方法600は、(例えば、現在および以前のエッジリング位置、ガス流量などに基づいて)、基板の様々な領域における副生成物分布を計算または推定し、それに従ってエッジリング位置および/またはガス流量を調節する。次いで、方法600は、工程616へ続く。
【0046】
上述の記載は、本質的に例示に過ぎず、本開示、応用例、または、利用法を限定する意図はない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施されうる。したがって、本開示には特定の例が含まれるが、図面、明細書、および、以下の特許請求の範囲を研究すれば他の変形例が明らかになるため、本開示の真の範囲は、それらの例には限定されない。方法に含まれる1または複数の工程が、本開示の原理を改変することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして記載されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載された特徴の内の任意の1または複数の特徴を、他の実施形態のいずれかに実装することができる、および/または、組み合わせが明確に記載されていないとしても、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができる。換言すると、上述の実施形態は互いに排他的ではなく、1または複数の実施形態を互いに置き換えることは本開示の範囲内にある。
【0047】
要素の間(例えば、モジュールの間、回路要素の間、半導体層の間)の空間的関係および機能的関係性が、「接続される」、「係合される」、「結合される」、「隣接する」、「近接する」、「の上部に」、「上方に」、「下方に」、および、「配置される」など、様々な用語を用いて記載されている。第1および第2要素の間の関係性を本開示で記載する時に、「直接」であると明確に記載されていない限り、その関係性は、他に介在する要素が第1および第2の要素の間に存在しない直接的な関係性でありうるが、1または複数の介在する要素が第1および第2の要素の間に(空間的または機能的に)存在する間接的な関係性でもありうる。本明細書で用いられているように、「A、B、および、Cの少なくとも1つ」という表現は、非排他的な論理和ORを用いて、論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、および、Cの少なくとも1つ」という意味であると解釈されるべきではない。
【0048】
いくつかの実施例において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0049】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0050】
コントローラは、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0051】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0052】
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
本開示は、以下の適用例としても実現可能である。
<適用例1>
基板処理システム内の基板支持体であって、
ガス分配装置の下方に配置された内側部分であって、前記ガス分配装置は、前記内側部分に向かって第1処理ガスを方向付けるように構成されている、内側部分と、
エッジリングを含む外側部分であって、前記エッジリングは、前記内側部分と前記内側部分上に配置された基板とを少なくとも部分的に囲むように前記内側部分の外周の周りに配置され、前記エッジリングは、前記内側部分に対して上下されるように構成され、前記エッジリングは、前記内側部分に向かって第2処理ガスを方向付けるように構成されている、外側部分と、
処理中に前記基板上に蒸着された材料の分布を決定し、前記決定された分布に基づいて、(i)前記エッジリングの位置を選択的に調節し、(ii)前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの少なくとも一方の流量を選択的に調節するコントローラと、
を備える、基板支持体。
<適用例2>
適用例1に記載の基板支持体であって、前記材料は、エッチング副生成物を含む、基板支持体。
<適用例3>
適用例1に記載の基板支持体であって、前記コントローラは、前記基板上に蒸着された前記材料の分布を、エッジリング位置、前記ガス分配装置によって方向付けられる前記第1処理ガス、および、前記エッジリングによって方向付けられる前記第2処理ガスの内の少なくとも1つと関連付けるデータに基づいて、前記材料の分布を決定する、基板支持体。
<適用例4>
適用例3に記載の基板支持体であって、前記データは、(i)前記第1処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料および(ii)前記第2処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料の平均を含む、基板支持体。
<適用例5>
適用例3に記載の基板支持体であって、前記コントローラは、前記データに基づいて、(i)第1所定期間中に、前記エッジリングの位置を第1位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第1流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第2流量に調節し、(ii)前記第1所定期間の後、第2所定期間中に、前記エッジリングの位置を第2位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第3流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第4流量に調節する、基板支持体。
<適用例6>
適用例5に記載の基板支持体であって、前記流量を前記第1流量、前記第2流量、前記第3流量、および、前記第4流量の内の少なくとも1つに調節することは、前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの内の対応する処理ガスをオフにすることを含む、基板支持体。
<適用例7>
適用例1に記載の基板支持体であって、前記エッジリングは、複数のガス注入ノズルを備える、基板支持体。
<適用例8>
適用例7に記載の基板支持体であって、前記複数のガス注入ノズルは、前記エッジリングによって規定されたプレナムと、前記第2処理ガスの供給源に接続された少なくとも1つの導管とを介して、ガス源と流体連通している、基板支持体。
<適用例9>
基板処理システム内で基板を処理するための方法であって、
内側部分および外側部分を有する基板支持体を準備する工程であって、前記内側部分は、ガス分配装置の下方に配置され、前記外側部分は、前記内側部分と前記内側部分上に配置された基板とを少なくとも部分的に囲むように前記内側部分の外周の周りに配置されたエッジリングを備える、工程と、
前記ガス分配装置を用いて、前記内側部分に第1処理ガスを方向付ける工程と、
前記エッジリングを用いて、前記内側部分に第2処理ガスを方向付ける工程と、
処理中に前記基板上に蒸着された材料の分布を決定する工程と、
前記エッジリングの位置を前記内側部分に対して上または下へ選択的に調節する工程と、
前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの少なくとも一方の流量を選択的に調節する工程と、
を備える、方法。
<適用例10>
適用例9に記載の方法であって、前記材料は、エッチング副生成物を含む、方法。
<適用例11>
適用例9に記載の方法であって、前記材料の分布を決定する工程は、前記基板上に蒸着された前記材料の分布を、エッジリング位置、前記ガス分配装置によって方向付けられる前記第1処理ガス、および、前記エッジリングによって方向付けられる前記第2処理ガスの内の少なくとも1つと関連付けるデータに基づいて、前記材料の分布を決定する工程を含む、方法。
<適用例12>
適用例11に記載の方法であって、前記データは、(i)前記第1処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料および(ii)前記第2処理ガスによって引き起こされた前記基板上の蒸着材料の平均を含む、方法。
<適用例13>
適用例11に記載の方法であって、さらに、前記データに基づいて、(i)第1所定期間中に、前記エッジリングの位置を第1位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第1流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第2流量に調節する工程と、(ii)前記第1所定期間の後、第2所定期間中に、前記エッジリングの位置を第2位置に調節し、前記第1処理ガスの流量を第3流量に調節し、前記第2処理ガスの流量を第4流量に調節する工程と、を備える、方法。
<適用例14>
適用例13に記載の方法であって、前記流量を前記第1流量、前記第2流量、前記第3流量、および、前記第4流量の内の少なくとも1つに調節する工程は、前記第1処理ガスおよび前記第2処理ガスの内の対応する処理ガスをオフにする工程を含む、方法。
<適用例15>
適用例9に記載の方法であって、前記エッジリングは、複数のガス注入ノズルを備える、方法。
<適用例16>
適用例15に記載の方法であって、前記複数のガス注入ノズルは、前記エッジリングによって規定されたプレナムと、前記第2処理ガスの供給源に接続された少なくとも1つの導管とを介して、ガス源と流体連通している、方法。