(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】粉体収納容器、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20220421BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220421BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G21/16 176
G03G21/18 114
G03G21/18 153
(21)【出願番号】P 2018100460
(22)【出願日】2018-05-25
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】仁枝 弘晃
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-276139(JP,A)
【文献】特開2018-036421(JP,A)
【文献】特開平05-088548(JP,A)
【文献】特開2009-169392(JP,A)
【文献】特開2018-017972(JP,A)
【文献】特開2013-205439(JP,A)
【文献】特開2008-276077(JP,A)
【文献】特開2007-199527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転する可撓性部材を備えた粉体収納容器であって、
前記可撓性部材は、
前記回転軸から異なる複数の径方向にそれぞれ延在するように形成されて、当該粉体収納容器の内壁面に摺接可能な櫛歯状先端部を具備
するとともに、
前記複数の径方向ごとに前記櫛歯状先端部が回転軸方向に間隔をあけて複数形成されて、前記複数の径方向のうち隣接する径方向にそれぞれ形成された複数の前記櫛歯状先端部が回転軸方向の同じ範囲に位置しないように交互に配置され、
前記複数の櫛歯状先端部は、
前記内壁面に当接していない状態において隣接する歯と歯とが繋がる歯底部から前記回転軸までの距離が、前記内壁面において前記回転軸からの距離が最も短い最短部から前記回転軸までの距離よりも、長くなるように形成
されて、
前記複数の径方向のうち同じ径方向において、複数の歯におけるそれぞれの歯先部から前記回転軸までの距離の平均値が、互いに異なるように形成されたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項2】
前記櫛歯状先端部は、前記内壁面に当接していない状態において、隣接する歯と歯とにおけるそれぞれの歯先部から前記回転軸までの距離が異なるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の粉体収納容器。
【請求項3】
前記複数の櫛歯状先端部は、それぞれ、複数の歯におけるそれぞれの歯先部から前記回転軸までの距離がすべて異なるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体収納容器。
【請求項4】
当該粉体収納容器の内部に収納された粉体を回転軸方向に沿った所定の搬送方向に搬送する搬送部材を備え、
前記複数の櫛歯状先端部は、それぞれ、複数の歯におけるそれぞれの歯先部から前記回転軸までの距離が、前記所定の搬送方向の上流側から下流側に沿って漸減するように形成されたことを特徴とする請求項3に記載の粉体収納容器。
【請求項5】
前記櫛歯状先端部は、少なくとも3つ以上の歯を具備し、前記内壁面に当接していない状態において隣接する歯と歯とにおける前記歯底部から前記回転軸までの距離が異なるように形成されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の粉体収納容器。
【請求項6】
当該粉体収納容器は、
粉体としてのトナーが収容されて、像担持体に形成された潜像を現像してトナー像を形成する現像装置、
前記現像装置に向けて粉体としてのトナーを補給するためのトナー容器、
のいずれかであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の粉体収納容器。
【請求項7】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1~請求項6のいずれかに記載の粉体収納容器を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の粉体収納容器を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に粉体が収納される粉体収納容器と、それを備えたプロセスカートリッジ、及び、画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、マイラーなどからなる可撓性部材を回転軸を中心にして回転させて、容器内の粉体を撹拌する粉体収納容器が設置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における粉体収容容器(粉体収納容器)は、駆動機構によって回転駆動される回転部材に、略板状の可撓性羽根部材(可撓性部材)が貼着された粉体供給部材が設置されている。そして、粉体供給部材(可撓性羽根部材、及び、回転部材)が所定方向に回転することで、粉体収容容器内に収容されたトナー(粉体)が撹拌されることになる。
【0004】
一方、特許文献1には、粉体収容容器においてトナー供給量を調整するとともにトナーブロッキングを抑制しつつトナー搬送を安定化することを目的として、粉体供給部材の可撓性羽根部材の先端部の一部に、複数の切込み(歯底部)を形成して、径方向の長さが異なる複数の短冊片(歯)を設ける技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の粉体収納容器は、可撓性部材の先端部に形成した複数の切込みの長さが長くて、複数の歯の歯たけ(径方向の長さ)が長いため、可撓性部材が容器の内壁面に摺接して大きく撓んだときに、歯と歯との間に大きな隙間が形成されてしまって、その隙間から粉体がすり抜けてしまう不具合があった。そのため、可撓性部材によって容器内の粉体が充分に撹拌されない不具合が生じてしまっていた。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、可撓性部材によって容器内の粉体が充分に撹拌される、粉体収納容器、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明における粉体収納容器は、回転軸を中心に回転する可撓性部材を備えた粉体収納容器であって、前記可撓性部材は、前記回転軸から異なる複数の径方向にそれぞれ延在するように形成されて、当該粉体収納容器の内壁面に摺接可能な櫛歯状先端部を具備するとともに、前記複数の径方向ごとに前記櫛歯状先端部が回転軸方向に間隔をあけて複数形成されて、前記複数の径方向のうち隣接する径方向にそれぞれ形成された複数の前記櫛歯状先端部が回転軸方向の同じ範囲に位置しないように交互に配置され、前記複数の櫛歯状先端部は、前記内壁面に当接していない状態において隣接する歯と歯とが繋がる歯底部から前記回転軸までの距離が、前記内壁面において前記回転軸からの距離が最も短い最短部から前記回転軸までの距離よりも、長くなるように形成されて、前記複数の径方向のうち同じ径方向において、複数の歯におけるそれぞれの歯先部から前記回転軸までの距離の平均値が、互いに異なるように形成されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可撓性部材によって容器内の粉体が充分に撹拌される、粉体収納容器、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】プロセスカートリッジとトナー容器とを示す概略図である。
【
図3】(A)画像形成装置を示す斜視図と、(B)開閉カバーが開放された状態の画像形成装置を示す斜視図と、である。
【
図4】トナー容器がプロセスカートリッジに装着された状態を示す斜視図である。
【
図5】プロセスカートリッジからトナー容器を分離した状態を示す斜視図である。
【
図7】トナー容器を下方から示す斜視図であって、第1シャッタ(排出口)が開放された状態を示す図である。
【
図8】トナー容器を回収口側から示す斜視図であって、第2シャッタ(回収口)が閉鎖された状態を示す図である。
【
図10】トナー容器におけるトナー回収部を示す概略図である。
【
図11】プロセスカートリッジにおける第2係合部の近傍を示す拡大斜視図である。
【
図12】第2開閉シャッタの開閉機構の動作を示す斜視図である。
【
図13】プロセスカートリッジにおける第1係合部の近傍を示す拡大斜視図である。
【
図14】第1開閉シャッタの開閉機構の動作を示す斜視図である。
【
図15】トナー容器におけるトナー収納部の要部を示す概略図である。
【
図17】第1撹拌部材とコイル状撹拌部材とを示す概略図である。
【
図18】トナー容器におけるトナー収納部の内部を示す斜視図である。
【
図19】外力が作用していない状態の可撓性部材を示す平面図である。
【
図20】トナー容器の内壁面と、可撓性部材と、の位置関係を示す概略図である。
【
図21】トナー容器の内壁面に可撓性部材が摺接した状態を示す概略図である。
【
図22】変形例としての、撹拌部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0011】
まず、
図1にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1において、100は画像形成装置としてのプリンタ、1は表面にトナー像が形成される感光体ドラム、7はパソコンなどの入力装置から入力された画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム1上に照射する露光部(書込み部)、を示す。
また、9は感光体ドラム1の表面に担持されたトナー像を転写ニップ部(転写位置)に搬送されるシートPに転写する転写ローラ、10は感光体ドラム1と帯電ローラ4と現像装置5とクリーニング装置2と廃トナー搬送部6とが一体化されたプロセスカートリッジ、12は用紙等のシートPが収納された給紙装置(給紙カセット)、を示す。
また、16は感光体ドラム1と転写ローラ9とが当接する転写ニップ部に向けてシートPを搬送するレジストローラ(タイミングローラ)、20はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、30は粉体収納容器としてのトナー容器、を示す。
【0012】
ここで、感光体ドラム1の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置2、廃トナー搬送部6、などが配設されている。そして、これらの部材(感光体ドラム1、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置2、廃トナー搬送部6、である。)は、プロセスカートリッジ10(着脱部材、着脱装置、着脱ユニット)として一体化されていて、画像形成装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。プロセスカートリッジ10は、一定の交換サイクルで新品のものに交換されることになる。
また、着脱部材としてのプロセスカートリッジ10(現像装置5)の上方には、粉体収納容器としてのトナー容器30が、画像形成装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。トナー容器30の内部(トナー収納部31)には、粉体としてのトナー(新品のトナーである。)が収納されている。そして、トナー容器30から現像装置5の内部に向けてトナーが適宜に補給されることになる。トナー容器30は、その内部に収容されたトナーが空になると(又は、現像装置5の内部に収容されたトナーが空になると)、新品のものに交換されることになる。なお、本実施の形態におけるトナー容器30には、新品のトナーが収納されたトナー収納部31(粉体収納部)の他に、粉体としての廃トナーが回収される廃トナー回収部32(粉体回収部)が設けられているが、これについては後で詳しく説明する。
【0013】
図1及び
図2を用いて、画像形成装置100における、通常の画像形成時の動作について説明する。
図1を参照して、まず、パソコン等の入力装置から画像形成装置100の露光部7に画像情報が送信されると、露光部7からその画像情報に基づいた露光光L(レーザ光)が、感光体ドラム1の表面に向けて発せられる。
一方、感光体ドラム1は、矢印方向(時計方向)に回転している。そして、まず、感光体ドラム1の表面は、帯電ローラ4との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム1上には、帯電電位(-900V程度である。)が形成される。その後、帯電された感光体ドラム1の表面は、露光光Lの照射位置に達する。そして、露光光Lが照射された部分の電位が潜像電位(0~-100V程度である。)となって、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面は、現像装置5との対向位置に達する。そして、現像装置5から感光体ドラム1上にトナーが供給されて、感光体ドラム1上の潜像が現像されてトナー像が形成される(現像工程である。)。
なお、
図2に示すように、現像装置5は、現像ローラ5a、2つの現像搬送スクリュ5b、5c、ドクターブレード5d、などで構成されている。現像装置5の内部にはトナー(1成分現像剤)が収容されている。また、現像装置5のトナーの消費に応じて、トナー容器30(トナー収納部31)の排出口36から現像装置5の流入口64を介して現像装置5内にトナーが補給される。そして、補給されたトナーは、現像搬送スクリュ5b、5cによって、もともと収容されていたトナーとともに撹拌されながら、長手方向(
図2の紙面垂直方向である。)に循環搬送される。そして、一方の現像搬送スクリュ5bによって搬送されるトナーの一部が現像ローラ5aに汲み上げられて、現像ローラ5aに汲み上げられたトナーがドクターブレード5dによって適量化された後に、感光体ドラム1との対向位置(現像領域)に達する。このとき、現像ローラ5a上のトナーは、ドクターブレード5dとの摺接によって摩擦帯電することになる。そして、現像領域で、適量化されたトナーが感光体ドラム1上の静電潜像に付着して、感光体ドラム1上にトナー像が形成されることになる。なお、現像ローラ5aと2つの現像搬送スクリュ5b、5cとは、画像形成装置本体100に設置された駆動モータから駆動を受けて、それぞれ
図2の矢印方向に回転駆動される。
【0015】
その後、現像工程後の感光体ドラム1の表面は、転写ローラ9との転写ニップ部(転写位置)に達する。そして、転写ローラ9との転写ニップ部で、電源部から転写ローラ9に転写バイアス(トナーの極性とは異なる極性のバイアスである。)が印可されることによって、レジストローラ16により搬送されたシートP上に、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が転写される(転写工程である。)。
【0016】
そして、転写工程後の感光体ドラム1の表面は、クリーニング装置2との対向位置に達する。そして、この位置で、クリーニングブレード2aによって感光体ドラム1上に残存する未転写トナーが機械的に除去されて、クリーニング装置2内に回収される(クリーニング工程である。)。
こうして、感光体ドラム1上における一連の作像プロセスが終了する。
なお、クリーニング装置2の内部に回収された未転写トナーは、クリーニング装置2内に設置された回収スクリュ2bによって幅方向(回転軸方向)の一端側に搬送されて、廃トナー搬送部6(廃トナー搬送コイル6aが内設されている。)によって
図2の斜め右上方に搬送された後に、廃トナー搬送部6の流出口74からトナー容器30の回収口37を介してトナー容器30(廃トナー回収部32)の内部に廃トナーとして回収される。
新品のトナー容器30は、トナー収納部31に新品のトナーが充填されていて、廃トナー回収部32が空の状態になっていることになる。
【0017】
一方、感光体ドラム1と転写ローラ9との転写ニップ部(転写位置)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、給紙装置12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給紙ローラ15によって、搬送経路に向けて給送される。
その後、シートPは、レジストローラ16の位置に達する。そして、レジストローラ16の位置に達したシートPは、感光体ドラム1上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写ニップ部(転写ローラ9と感光体ドラム1との当接位置である。)に向けて搬送される。
【0018】
そして、転写工程後のシートPは、転写ニップ部(転写ローラ9)の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着されたシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体100から排出されて、排紙トレイ上に載置される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0019】
ここで、本実施の形態における画像形成装置100は、
図3(A)に示すように、複数の外装カバーで覆われている。そして、
図3(B)に示すように、前方の外装カバーの一部が、回動可能に形成された開閉カバー90として構成されている。
詳しくは、開閉カバー90は、支軸90a(回転中心軸)を中心にして回動可能に、画像形成装置本体100に保持されている。そして、開閉カバー90は、支軸90aを中心に
図1の反時計方向に回動することで閉鎖状態(
図1、
図3(A)の状態である。)になったり、支軸90aを中心に
図1の時計方向に回動することで開放状態(
図3(B)の状態である。)になったり、することになる。
【0020】
そして、本実施の形態では、
図3(B)に示すように、開閉カバー90が開放状態であるときに、トナー容器30(粉体収納容器)が画像形成装置本体100に対して着脱可能に露呈するように構成されている。そして、開閉カバー90を開放した状態で、トナー容器30のみ(
図7の状態のものである。)を新品のものに交換したり、トナー容器30とプロセスカートリッジ10とを同時に新品のもの(
図4の状態のものである。)に交換したり、することになる。
また、
図1に示すように、開閉カバー90を閉鎖した状態で、先に
図1を用いて説明した画像形成プロセス(プリント動作)がおこなわれることになる。
【0021】
以下、本実施の形態において特徴的な、トナー容器30(粉体収納容器)の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、本実施の形態において、粉体収納容器としてのトナー容器30は、プロセスカートリッジ10に対して着脱可能に設置されるように構成されている。特に、本実施の形態において、トナー容器30は、プロセスカートリッジ10が画像形成装置100に対して装着された状態であっても取り外された状態であっても、プロセスカートリッジ10に対して着脱できるように構成されている。
ここで、先に
図3等を用いて説明したように、本実施の形態において、トナー容器30は、プロセスカートリッジ10が装着された状態の画像形成装置本体100に対して、着脱可能に設置されている。したがって、粉体収納容器としてのトナー容器30は、画像形成装置本体100に対して間接的に着脱可能に設置されるものであるとも言える。
なお、本実施の形態では、画像形成装置本体100に対してトナー容器30が間接的に着脱可能に設置されるように構成したが、画像形成装置本体100に対してトナー容器30が直接的に着脱可能に設置されるように構成することもできる。
また、プロセスカートリッジ10は、画像形成装置本体100に着脱可能な着脱部材であるが、プロセスカートリッジ以外にも、現像装置が着脱部材として機能しても良いし、別の装置が着脱部材として機能しても良い。そして、トナー容器30(粉体収納容器)をプロセスカートリッジ以外の着脱部材に対して着脱可能に構成することもできる。
【0022】
さらに補足すると、トナー容器30はプロセスカートリッジ10に装着された状態のまま、
図4に示すような1つの着脱ユニット(トナー容器30及びプロセスカートリッジ10)として、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置されることになる。また、
図5に示すように、トナー容器30を所定方向(
図5の白矢印方向である。)に移動させてプロセスカートリッジ10に装着することもできるし、トナー容器30をその逆方向に移動させてプロセスカートリッジ10から取り外すこともできる。トナー容器30は、
図7に示すように単独の状態でも、流通することになる。同様に、プロセスカートリッジ10も、
図6に示すように単独の状態でも流通することになる。
プロセスカートリッジ10(又は、画像形成装置本体100)に対してトナー容器30を着脱するときには、ユーザーなどの操作者は、トナー容器30の操作方向手前側(+X方向である。)に設置された取っ手38(
図2~
図5を参照できる。)を掴んだ状態で、トナー容器30を引き出したり押し込んだりすることになる。なお、この取っ手38は、可倒式のものであって、起立した状態(
図4、
図5の状態である。)のままトナー容器30が画像形成装置本体100に装着されてしまっても、開閉カバー90が開放状態から閉鎖される動作に連動して、開閉カバー90に押動されてトナー容器30の外装部に沿うように収納されることになる。
【0023】
なお、
図5等に示すように、トナー容器30には複数の位置決め部49、50とガイド部51(
図7、
図8参照)とが形成されていて、プロセスカートリッジ10にも複数のガイド溝77、79やガイド受部78が形成されていて、それらが嵌合しながらプロセスカートリッジ10に対するトナー容器30の着脱や位置決めがおこなわれることになる。
詳しくは、トナー容器30の幅方向一端側(+Y方向)に突起状に形成された2つの位置決め部49、50(位置決め突起)が、それぞれ、プロセスカートリッジ10の幅方向一端側に形成されたガイド受部78とガイド溝79とに案内されるとともに、トナー容器30の幅方向他端側(-Y方向)に形成されたガイド部51(+X方向に向けて上方に傾斜するように形成された略矩形状の突出部である。)が、プロセスカートリッジ10の幅方向他端側に形成されたガイド溝77に案内されながら、プロセスカートリッジ10におけるトナー容器30の装着がおこなわれる。そして、位置決め部49、50がガイド受部78やガイド溝79の終端に嵌合して、ガイド部51がガイド溝77の終端に嵌合する位置で、プロセスカートリッジ10におけるトナー容器30の位置が定められることになる。
【0024】
なお、一方の位置決め部49(第1位置決め部)は、トナーを撹拌する第1撹拌部材33A(
図2、
図9等参照)へ画像形成装置からの駆動を入力させるカップリングを囲むように周囲に立設されている突起である。そして、第1撹拌部材33Aに入力された駆動は、ギア列を介して第2撹拌部材33Bに入力され、第1、第2撹拌部材33A、33Bはそれぞれ
図9の時計方向に回転することになる。
また、他方の位置決め部50(第2位置決め部)は、廃トナー搬送スクリュ35(
図2、
図9等参照)を回転駆動するためのカップリングギアを囲むように周囲に立設されている突起である。このように、画像形成装置からの駆動を受け入れる入力部を位置決め部49、50の近傍(内部)に設けることで、駆動入力をより確実にすることができる。
【0025】
ここで、トナー容器30(粉体収納容器)には、排出口36、回収口37、第1シャッタ40、第2シャッタ41、などが設けられている。
トナー容器30の排出口36は、
図2、
図7、
図9等を参照して、トナー容器30(トナー収納部31)の内部に収納された粉体としてのトナーを現像装置5に向けて排出するための開口である。排出口36は、トナー容器30がプロセスカートリッジ10にセットされた状態であるとき、現像装置5の流入口64(第2現像搬送スクリュ5cの上方に形成された開口である。)に連通するものである。
トナー容器30の回収口37は、
図2、
図8、
図10等を参照して、トナー容器30の外部から粉体としての廃トナー(未転写トナー)を受け入れて回収するための開口である。回収口37は、トナー容器30がプロセスカートリッジ10にセットされた状態であるとき、廃トナー搬送部6の流出口74(廃トナー搬送部6の下流側端部の底面に形成された開口であって、
図5、
図6をも参照できる。)に連通するものである。
【0026】
なお、本実施の形態におけるトナー容器30は、
図2、
図9、
図10等を参照して、排出口36から排出されるトナー(粉体)が収容された粉体収納部としてのトナー収納部31と、回収口37から受け入れた廃トナー(粉体)が回収される粉体回収部としての廃トナー回収部32と、が壁部を隔てて仕切られている。
【0027】
また、トナー収納部31(粉体収納部)には、
図2、
図9の時計方向に回転駆動される搬送部材としての補給スクリュ34や、
図2、
図9の時計方向にそれぞれ回転駆動される2つの撹拌部材33A、33B(アジテータ)や、第1撹拌部材33Aとの接触によって
図2、
図9の反時計方向に回転駆動されるコイル状撹拌部材44、などが設置されている。
搬送部材としての補給スクリュ34は、その駆動タイミングと回転時間とが制御されて、トナー収納部31に収納されたトナーを排出口36から狙いの量だけ排出するためのものである。特に、本実施の形態において、補給スクリュ34は、トナー収納部31(トナー容器30)の内部に収納されたトナーを回転軸方向に沿った所定の搬送方向(
図18において破線矢印で示す方向である。)に搬送する搬送部材として機能して、Y方向の端部に形成された排出口36に向けてトナーを搬送することになる。
第1、第2撹拌部材33A、33B(第1、第2アジテータ)は、それぞれ、回転軸33cを中心に所定方向に回転して、トナー収納部31の内部に収納されたトナーが凝集しないように撹拌するものである。
図9に示すように、第1、第2撹拌部材33A、33Bは、回転軸33c(回転中心)を中心に回転する可撓性部材33a(薄板状のマイラーなどで形成されている。)、回転軸33cを跨ぐように配置されて可撓性部材33aを挟み込んで保持する板状の剛体部33b、などで構成されている。第1、第2撹拌部材33A、33Bは、それぞれ、その軸方向両端部がそれぞれ軸受を介してトナー容器30の筐体に回転可能に支持されている。なお、第1、第2撹拌部材33A、33Bの可撓性部材33aは、それぞれ、その先端部(自由端部)が略櫛歯状に形成されているが、これについては後で
図19、
図20等を用いて詳述する。
コイル状撹拌部材44は、第1撹拌部材33Aによって充分に撹拌できないトナー収納部31の領域を撹拌するためのものである。コイル状撹拌部材44は、複数の分割コイル部45a~45dからなるコイル状部材45や、コイル状部材45を保持する中空部材46(軸部材)などからなる。また、中空部材46には貫通軸部材47(第1シャッタ40と第2シャッタ41とを連動して開閉する機構の1部品である。)が挿通されている。なお、これらの構造については、後で
図15、
図16等を用いて詳述する。
【0028】
廃トナー回収部32(粉体回収部)には、
図2の反時計方向に回転駆動される廃トナー搬送スクリュ35などが設置されている。廃トナー搬送スクリュ35は、回収口37から流入された廃トナーがその近傍に堆積することなく廃トナー回収部32の内部に均等に回収されるように、廃トナーを搬送するものである。
【0029】
本実施の形態では、トナー容器30がプロセスカートリッジ10(又は、画像形成装置本体100)に装着された状態で、操作者がレバー39を回動することにより、第1シャッタ40(排出口36)の開閉動作と第2シャッタ41(回収口37)の開閉動作とが同じタイミングでおこなわれるとともに、プロセスカートリッジ10の流入口64と流出口74との開閉動作も同じタイミングでおこなわれる。そのため、第1、第2シャッタ40、41、及び、第1、第2開閉シャッタ63、73の開閉不良を抑止することができる。
レバー39は、画像形成装置本体100にトナー容器30が装着された状態で、開閉カバー90が開放されると、
図3(B)に示すように外部に露呈するように(操作者が操作できるように)、配置されている。
【0030】
詳しくは、
図8、
図12に示すように、トナー容器30には、レバー39が一体的に形成されていてレバー39とともに回動する第2回動部43が設けられている。この第2回動部43は、プロセスカートリッジ10側に設けられている略円弧状の第2係合部71(
図11、
図12等参照)に係合可能に形成されている。具体的に、第2回動部43は、円形の一部が略円弧状にかけたように形成されている。そして、トナー容器30がプロセスカートリッジ10に装着されるときに、
図12(A)に示すように、トナー容器側の第2回動部43内にプロセスカートリッジ10の第2係合部71が挿入され嵌合される。そして、
図12(B)に示すように、プロセスカートリッジ10側の第2係合部71が嵌合された状態でレバー39が回動されると、第2回動部43が第2係合部71とともに回動して、プロセスカートリッジ10とトナー容器30の係合が完了する。そして、トナー容器30をプロセスカートリッジ10から引き抜く方向に移動することができなくなる。
【0031】
また、レバー39の操作によって第2回動部43が第2係合部71とともに
図12(A)の状態から
図12(B)の状態に回動することで、プロセスカートリッジ10側の第2係合部71に繋がっている第2リンク機構72が連動して、プロセスカートリッジ10側の第2開閉シャッタ73を開放する方向に移動して流出口74の開放がおこなわれる。さらに、そのように開放方向に移動する第2開閉シャッタ73に押動されて、トナー容器30側の第2シャッタ41が開放する方向に移動して回収口37の開放がおこなわれる。そして、プロセスカートリッジ10側の流出口74と、トナー容器30側の回収口37と、が連通して、プロセスカートリッジ10からトナー容器30(廃トナー回収部32)への廃トナーの受け渡しが可能になる。
【0032】
これに対して、プロセスカートリッジ10に対してトナー容器30を取り外すときには、レバー39の逆方向の回動操作にともない第2回動部43が逆方向に回動することによって、第2リンク機構72が連動して、第2開閉シャッタ73(流出口74)の閉鎖がおこなわれるとともに、第2シャッタ41(回収口37)の閉鎖がおこなわれることになる。そして、トナー容器30側の第2回動部43と、プロセスカートリッジ10側の第2係合部71と、の係合が解除されることになる。
【0033】
他方、
図5、
図14、
図15に示すように、トナー容器30には、レバー39(及び、第2回動部43)に対して幅方向の反対側に、貫通軸部材47を介して第2回動部43に接続されてレバー39(及び、第2回動部43、貫通軸部材47)とともに回動する第1回動部42が設けられている。この第1回動部42は、プロセスカートリッジ10側に設けられている略円弧状の第1係合部61(
図13、
図14等参照)に係合可能に形成されている。具体的に、第1回動部42は、円形の一部が略円弧状にかけたように形成されている。そして、トナー容器30がプロセスカートリッジ10に装着されるときに、
図14(A)に示すように、トナー容器側の第1回動部42内にプロセスカートリッジ10の第1係合部61が挿入され嵌合される。そして、
図14(B)に示すように、プロセスカートリッジ10側の第1係合部61が嵌合された状態でレバー39(及び第2回動部43)が回動されると、貫通軸部材47を介して第1回動部42が第1係合部61とともに回動して、プロセスカートリッジ10とトナー容器30の係合が完了する。そして、トナー容器30をプロセスカートリッジ10から引き抜く方向に移動することができなくなる。
【0034】
また、レバー39の操作によって第1回動部42が第1係合部61とともに
図14(A)の状態から
図14(B)の状態に回動することで、プロセスカートリッジ10側の第1係合部61に繋がっている第1リンク機構62が連動して、プロセスカートリッジ10側の第1開閉シャッタ63を開放する方向に移動して流入口64の開放がおこなわれる。さらに、そのように開放方向に移動する第1開閉シャッタ63の押動部63aに押動されて、トナー容器30側の第1シャッタ40が開放する方向に移動して排出口36の開放がおこなわれる。そして、プロセスカートリッジ10側の流入口64と、トナー容器30側の排出口36と、が連通して、トナー容器30(トナー収納部31)からプロセスカートリッジ10(現像装置5)への新品トナーの受け渡しが可能になる。
【0035】
これに対して、プロセスカートリッジ10に対してトナー容器30を取り外すときには、レバー39の逆方向の回動操作にともない第1回動部42が逆方向に回動することによって、第1リンク機構62が連動して、第1開閉シャッタ63(流入口64)の閉鎖がおこなわれるとともに、第1シャッタ40(排出口36)の閉鎖がおこなわれることになる。そして、トナー容器30側の第1回動部42と、プロセスカートリッジ10側の第1係合部61と、の係合が解除されることになる。
【0036】
なお、レバー39が倒れた状態(
図5の状態である。)のままトナー容器30が画像形成装置本体100に装着されてしまっても、開閉カバー90が開放状態から閉鎖される動作に連動して、レバー39が開閉カバー90の押動部材91(
図3(B)を参照できる。)に押動されて、排出口36を第1シャッタ40で開放する動作(及び、流入口64を開放する動作)と、回収口37を第2シャッタ41で開放する動作(及び、流出口74を開放する動作)と、が同時におこなわれることになる。これにより、トナー容器30のセット不良が防止されることになる。
また、押動部材91は、起立した状態(
図3(B)の状態である。)で開閉カバー90に固定されたものではなく、起立した状態と倒れた状態とを切替可能な可倒式のものである。そして、押動部材91は、工場出荷時には、倒れた状態にされる。押動部材91が倒れた状態であるときには、開閉カバー90が閉鎖状態であっても、レバー39(
図4のように倒れた状態のものである。)が押動部材91に押動されずに排出口36や回収口37が閉鎖された状態のままになる。そして、そのように排出口36や回収口37がシャッタ40、41で閉鎖されたトナー容器30が装着された状態で、画像形成装置100が工場出荷されることになる。そのため、画像形成装置本体100とトナー容器30とを別々に梱包して工場出荷するような手間がかからず、輸送時の振動などによって画像形成装置本体100に装着されたトナー容器30からトナーが漏れる不具合も抑止されることになる。
そして、ユーザー先などでの着荷時には、ユーザー(又は、サービスマン)によって、倒れた状態にあった押動部材91を起立した状態に回動させる作業がおこなわれることになる。このような作業は、開閉カバー90が開放された状態(シャッタ40、41は閉鎖状態のままである。)でおこなわれるものである。そして、押動部材91を起立させた後に開閉カバー90を閉鎖するだけでシャッタ40、41が開放されて、トナー容器30から空の現像装置5にトナーが供給されて、現像装置5が使用可能な状態になる。
【0037】
ここで、
図15~
図17等を参照して、コイル状部材45は、回転中心を軸心とする軸部材としての中空部材46に保持されて、中空部材46とともに回転中心を中心に回転するコイル状撹拌部材44を構成するものである。すなわち、コイル状撹拌部材44は、コイル状部材45と中空部材46とからなる撹拌部材であって、第1、第2撹拌部材33A、33Bとともにトナー容器30(トナー収納部31)の内部に収納されたトナーを撹拌するものである。なお、
図17では、簡単のため、第2撹拌部材33Bの図示を省略している。
第1撹拌部材33Aは、コイル状部材45に接触してコイル状部材45(コイル状撹拌部材44)を回転させるための当接部としての剛体部33bと、剛体部33bに設置された可撓性部材33aと、からなるアジテータである。なお、第1撹拌部材33A(及び、第2撹拌部材33B)の可撓性部材33aは、コイル状撹拌部材44に接触しても撓んでコイル状撹拌部材44を傷つけない程度の可撓性を有するとともに、トナー収納部32内のトナーを撹拌できる程度の硬さを有している。
【0038】
コイル状撹拌部材44の中空部材46(軸部材)は、内部に中空部46aが軸方向(
図15の左右方向であって、
図17の紙面垂直方向である。)にわたって形成されるとともに、軸方向一端側と軸方向他端側とにそれぞれ被受部46b、46cが形成されている。
詳しくは、中空部材46は、樹脂材料で形成されている。両端の被受部46b、46cは、いずれも、中空部材46の主部(コイル状部材45が巻装される部分である。)の外径に比べて大きな外径になるように形成されている。中空部46aは、中空部材46の一端側から他端側にかけて貫通するように形成されている。被受部46b、46cは、コイル状撹拌部材44や貫通軸部材47を組み付けるときに用いられるものである。
なお、中空部46aは、後述する貫通軸部材47が挿通可能なものであれば良くて、必ずしも、その中空の空間が周方向にわたって閉鎖された空間(両端以外が開口されていないもの)でなくても良い。
【0039】
コイル状撹拌部材44のコイル状部材45は、その両端に形成された小径コイル部45e(その内径が中空部材46の外径とほぼ同等に形成されている。)が中空部材46に嵌合されて、中空部材46を覆うように、中空部材46に保持されている。
コイル状部材45は、中空部材46とともに
図17の反時計方向に回転して、コイル状撹拌部材44の主部として機能するものである。コイル状撹拌部材44(コイル状部材45)は、第1撹拌部材33Aによって充分に撹拌できないトナー収納部31の領域(第1、第2回動部42、43を連動して回動させるための貫通軸部材47が設置される領域である。)を撹拌するためのものである。すなわち、コイル状撹拌部材44を設置しないで、第1撹拌部材33Aのみでトナー収納部31内を撹拌しようとすると、第1撹拌部材33Aが貫通軸部材47に接触してしまい、トナー収容部31内の貫通軸部材47よりも奥側(第1撹拌部材33Aの位置を基準にした奥側である。)に、第1撹拌部材33Aによって充分に撹拌されないデットスペースが形成されてしまう。そして、そのデットスペースに滞留したトナーが、やがて凝集してしまい、トナー補給不良などの不具合が生じてしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、そのようなデットスペースを形成することなく、コイル状撹拌部材44によってトナーを充分に撹拌しているため、トナー容器30(トナー収納部31)においてトナーが凝集する不具合が生じにくくなる。
【0040】
ここで、本実施の形態において、貫通軸部材47は、コイル状撹拌部材44における中空部材46の中空部46aに挿通されている。そして、貫通軸部材47とコイル状撹拌部材44(中空部材46)とは一体的に回転しないように構成されている。
具体的に、貫通軸部材47の軸断面は円形であって、中空部材46の中空部46aの穴断面は、その軸径よりも僅かに大きな穴径となる円形である。このような構成により、トナー収納部31内のトナーを撹拌するコイル状撹拌部材44の回転とは無関係に、第1、第2回動部42、43(第1、第2シャッタ40、41、及び、第1、第2開閉シャッタ63、73)を連動して回動させるための貫通軸部材47の回動(レバー39の手動操作にともなう回動である。)をおこなうことができる。
【0041】
そして、コイル状部材45(コイル状撹拌部材44)は、コイル状部材45と第1撹拌部材33A(剛体部33b)との接触によって動力を受けて、回転されることになる。
具体的に、第1撹拌部材33Aの軸方向端部に設置されたカップリング33c(
図17参照)に画像形成装置本体側から駆動が入力されると、第1、第2撹拌部材33A、33Bがそれぞれ
図17の時計方向に回転して、第1撹拌部材33Aの剛体部33bがコイル状部材45(45a~45d)に衝突する。そして、その衝突によってコイル状部材45(45a~45d)が弾性変形して元の形状に戻ろうとするときに生じる反力(
図17の白矢印方向に作用する力である。)によって、コイル状撹拌部材44(コイル状部材45)が
図17の反時計方向に回転して、トナーを撹拌することになる。第1撹拌部材33Aの剛体部33bは、第1撹拌部材33Aが1回転する間にコイル状部材45(45a~45d)に2回衝突することになるため、コイル状撹拌部材44の回転速度は比較的ゆっくりしたものになるものの、第1撹拌部材33Aの回転負荷が大きくなり過ぎることもない。
【0042】
このように、コイル状撹拌部材44をギア駆動などで回転駆動するのではなくて、コイル状撹拌部材44を第1撹拌部材33Aとの接触によって回転駆動するように構成することで、トナー容器30において全体的な駆動機構を簡略化することができる。
また、本実施の形態では、貫通軸部材47を、第1撹拌部材33Aの軸部から離れた位置に設置しても、それによりトナー収容部31内にトナーのデットスペースが形成される不具合を防止できるため、第1、第2シャッタ40、41(及び、第1、第2開閉シャッタ63、73)の開閉機構の設置位置を比較的自由に設定することができる。したがって、設計の自由度を高めることができる。
なお、貫通軸部材47を中空部材46で完全に覆うように構成した場合には、トナー収納部31内を貫通するように設置される貫通軸部材47がトナーで汚れるようなこともない。
【0043】
ここで、
図15~
図17等に示すように、本実施の形態におけるコイル状部材45は、軸方向(回転中心に沿う方向であって、
図15、
図17の左右方向であって、「幅方向」と同義である。)に複数に分割された分割コイル部45a~45dが設けられている。
そして、
図17等に示すように、複数の分割コイル部45a~45dは、それぞれのコイル中心が回転中心(中空部材46の軸心)に対して偏心するように形成されている。また、
図17等に示すように、複数の分割コイル部45a~45dは、軸方向にみたときに複数のコイル中心が回転中心を囲むように形成されている。
【0044】
コイル状部材を中空部材の外周面に対して同心円状に偏心させずに軸方向にわたって一様に形成した場合には、第1撹拌部材33Aに衝突したコイル状部材の軸方向中央部が撓んでトナー収納部31内のトナーに埋もれて回転停止した状態(又は、スムーズに回転しない状態)になってしまう不具合などが生じやすくなる。換言すると、コイル状部材の一部が変形した状態のままになって、回転停止などにより撹拌不良が生じてしまう。
これに対して、本実施の形態では、それぞれ異なる方向に偏心した分割コイル部45a~45dが設けられているため、このような不具合が生じにくくなる。
また、本実施の形態において、第1撹拌部材33A(剛体部33b)に衝突するのは、4つの分割コイル部45a~45dのいずれか1つとなるため、衝突による負荷を低減することができる。
【0045】
ここで、
図15を参照して、トナー容器30(トナー収納部31)の内部には、中空部材46の被受部46b、46cを軸方向一端側と軸方向他端側とでそれぞれ受けてコイル状撹拌部材44を保持可能に形成された受部59a、59bが設けられている。
そして、貫通軸部材47は、コイル状撹拌部材44が受部59a、59bに保持された状態でトナー容器30の外部から貫通穴部59dを介して中空部材46の中空部46aに挿通可能に形成されるとともに、コイル状撹拌部材44を保持するように形成されている。
【0046】
詳しくは、トナー容器30(トナー収納部31)は、
図9、
図15に示すように、上ケース58と下ケース59とに分割可能に形成されている。下ケース59は、底部と四方を囲む側壁(59e、59f)とが一体的に形成された略箱状の部材であって、その上方の開口部を覆うように
図9、
図15の破線で囲んだ部分に上ケース58が嵌合されることになる。下ケース59には、受部59a、59bや貫通穴部59c、59dが設けられている。
【0047】
さらに具体的に、受部59a、59bは、下ケース59の軸方向両端にそれぞれ位置する2つの側壁59e、59fの内側において上方に向けて凹状に形成されている。受部59a、59bは、その断面が、略円弧状になるように形成されている。
また、
図15を参照して、貫通穴部59c、59dは、軸方向両端にそれぞれ位置する2つの側壁59e、59fにおいて受部59a、59bよりも高い位置(上方の位置)で内側から外側に貫通するようにそれぞれ形成されている。なお、本実施の形態において、貫通穴部59c、59dは、軸受の穴部であって、側壁59e、59fに間接的に形成されているが、側壁59e、59fに直接的に貫通穴部を形成することもできる。また、貫通穴部59c、59dと、貫通軸部材47と、の隙間からトナーが漏出する不具合を防止するため、貫通穴部59c、59dにGシール、Vリングなどのパッキンを設置することが好ましい。
また、コイル状撹拌部材44は、軸方向の長さが、2つの側壁59e、59fの内側の軸方向の距離よりも短くなるように形成されている。さらに、貫通軸部材47は、軸方向の長さが、2つの側壁59e、59fの外側の軸方向の距離よりも長くなるように形成されている。
【0048】
そして、トナー容器30が製造される工程において、コイル状撹拌部材44は、中空部材46の被受部46b、46cが下ケース59の受部59a、59bに載置され嵌合するように、上ケース58が取り外された状態の下ケース59に対して上方から装着される。
そして、貫通軸部材47は、下ケース59に装着された状態のコイル状撹拌部材44の中空部46aに挿通するように2つの側壁59e、59fのうち一方の貫通穴部を介して外側から装着されて、2つの側壁59e、59fの貫通穴部59c、59dをそれぞれ貫通した状態で下ケース59に保持される。
【0049】
このように、本実施の形態におけるトナー容器30には、コイル状撹拌部材44が受部59a、59bに保持された状態でトナー容器30の外部から貫通穴部59dを介して中空部材46の中空部46aに挿通可能に形成されるとともに、コイル状撹拌部材44を保持するように貫通軸部材47が設けられている。
そのため、略箱状に形成されたトナー容器30の内部で、コイル状撹拌部材44を回転可能に保持するように構成しても、トナー容器30を組み付ける製造工程において、組付けの手間がかかってしまう不具合や、組付け不良が生じてしまう不具合などが生じにくくなり、トナー容器30の組付け性が向上することになる。
【0050】
特に、本実施の形態におけるコイル状撹拌部材44にはコイル状部材45が設けられているため、中空部材46や受部59a、59bが設けられていない場合には、貫通軸部材47を容器外からコイル状部材45の内部(コイル内側)を挿通するように組み付けようとすると、作業者がコイル状部材45を手で支えた状態でコイル内に貫通軸部材47を挿通させなければならず、貫通軸部材47がコイル状部材45に引っ掛かってしまったりして、そのような不具合が無視できないものになる。さらに、本実施の形態におけるコイル状部材45は、コイル中心が四方に偏心した複数の分割コイル部45a~45dで構成されているため、中空部材46が設けられていない場合には、貫通軸部材47を挿通させるときに、さらに分割コイル部45a~45dに引っ掛かりやすくなる。
これに対して、本実施の形態では、貫通軸部材47をコイル状撹拌部材44(コイル状部材45)の内部を挿通させる一連の動作において、貫通軸部材47は中空部材46内を移動するため、コイル状部材45に引っ掛かるようなことは生じ得ない。したがって、トナー容器30の組付け性が向上することになる。
【0051】
以下、本実施の形態における粉体収納容器としてのトナー容器30において、さらに特徴的な構成・動作について詳述する。
先に
図9等を用いて説明したように、本実施の形態におけるトナー容器30(粉体収納容器)には、回転軸33cを中心に回転する可撓性部材33aが設置されている。この可撓性部材33aは、剛体部33bとともに、撹拌部材33A、33Bを構成するものである。本実施の形態では、トナー収納部31に、2つの可撓性部材33a(撹拌部材33A、33B)が設置されている。
なお、2つの撹拌部材33A、33Bは、全体的な大きさや、設置位置や、櫛歯状先端部の歯の数などが異なるものの、いずれも、可撓性部材33aや剛体部33bなどからなり、その大まかな構造はほぼ同じであるため、いずれか一方の説明を適宜省略することとする。
【0052】
図18、
図19に示すように、可撓性部材33aは、1枚の薄板状のマイラーなどで形成されていて、その短手方向の中央部が2枚の板状の剛体部33bで挟まれ接合されて撹拌部材33A、33Bを構成している。剛体部33bの短手方向の中央部は回転軸33cとなり、この回転軸33cを中心に可撓性部材33a(撹拌部材33A、33B)が回転することになる。
【0053】
ここで、可撓性部材33aには、トナー収納部31(トナー容器30)の内壁面(ケース59の内壁面であって、以下、適宜に符号59を付する。)に摺接可能な櫛歯状先端部331~334が設けられている。
図19に示すように、本実施の形態における可撓性部材33aには、4つの櫛歯状先端部331~334と、1つの非櫛歯状先端部335(櫛歯状でない先端部)と、が設けられている。そして、これらの先端部331~335が、撹拌部材33Aにおける可撓性部材33aの自由端としてトナーを撹拌することになる。
4つの櫛歯状先端部331~334は、それぞれ、複数の歯が切込みを挟んで回転軸方向に並んで形成されている。詳しくは、第1櫛歯状先端部331には3つの歯331a~331cが形成され、第2櫛歯状先端部332には3つの歯332a~332cが形成され、第3櫛歯状先端部333には2つの歯333a、333bが形成され、第4櫛歯状先端部334には3つの歯334a~334cが形成されている。
【0054】
そして、本実施の形態において、可撓性部材33aの櫛歯状先端部331~334は、
図20を参照して、内壁面(ケース59)に当接していない状態において隣接する歯と歯とが繋がる歯底部N(切込みの終端となる部分である。)から回転軸33cまでの距離Aが、内壁面において回転軸33cからの距離が最も短い最短部Rから回転軸33cまでの距離H1、H2よりも、長くなるように形成されている(A>H1、A>H2)。なお、
図20において、可撓性部材33aは、内壁面(ケース59)に当接していない状態をわかりやすく図示するため、トナー容器30において内壁面(ケース59)に干渉しない仮の状態を示すものである。
【0055】
詳しくは、
図19をも参照して、第1櫛歯状先端部331において、右方の歯331aと中央の歯331bとの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A1は最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長く(A1>H)、中央の歯331bと左方の歯331cとの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A2は最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長くなっている(A2>H)。同様に、第2櫛歯状先端部332において、右方の歯332aと中央の歯332bとの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A3は最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長く(A3>H)、中央の歯332bと左方の歯332cとの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A4は最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長くなっている(A4>H)。また、第3櫛歯状先端部333において、右方の歯333aと左方の歯332bとの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A5は最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長くなっている(A5>H)。また、第4櫛歯状先端部334において、右方の歯334aと中央の歯334bとの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A6は最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長く(A6>H)、中央の歯334bと左方の歯334cとの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A7は最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長くなっている(A7>H)。
すなわち、いずれの歯底部Nから回転軸33cまでの距離A1~A7も、最端部Rから回転軸33cまでの距離Hよりも長くなるように形成されている(A1~A7>H)。
【0056】
このように構成することにより、可撓性部材33a(撹拌部材33A、33B)によってトナー収納部31内のトナーが充分に撹拌されることになる。
詳しくは、比較例として、
図21(B)に示す撹拌部材133のように、可撓性部材133aに形成した複数の切込みの長さが長くて(歯底部Nから回転軸133cまでの距離が短くて)、櫛歯状先端部における複数の歯の歯たけ(径方向の長さ)が長いものは、可撓性部材133aが容器の内壁面59に摺接したときに大きく撓んで、櫛歯状先端部における複数の歯がばらばらに撓んでしまう。そのため、櫛歯状先端部における歯と歯との間に大きな隙間Sが形成されてしまって、その隙間Sからトナーがすり抜けてしまい、可撓性部材133aによって容器内のトナーが充分に撹拌されない不具合が生じてしまう。このような場合には、容器内のトナーが凝集してしまい、トナーの補給不良や、異常画像などが生じてしまうことがある。
これに対して、本実施の形態のものは、
図21(A)に示すように、可撓性部材33aに形成した複数の切込みの長さが短くて(歯底部Nから回転軸33cまでの距離Aが長くて)、櫛歯状先端部331~334における複数の歯の歯たけ(径方向の長さ)が短いため、可撓性部材33aが容器の内壁面59に摺接して大きく撓んでも、櫛歯状先端部331~334における複数の歯がばらばらに撓みにくくなる。そのため、櫛歯状先端部331~334における歯と歯との間に大きな隙間が形成されてトナーがすり抜けるような不具合も生じにくく、可撓性部材33aによって容器内のトナーが充分に撹拌されることになる。
【0057】
また、本実施の形態における可撓性部材とは異なり、その先端部(自由端)が略櫛歯状に形成されていない場合には、そのような可撓性部材が、容器の内壁面59に摺接して大きく撓んだ後に、内壁面59との接触が解除されて撓みも解除されることにより、その反動により比較的大きな音(騒音)が発生してしまう。
これに対して、本実施の形態における可撓性部材33aは、その先端部(自由端)が略櫛歯状に形成された櫛歯状先端部333~334となっているため、内壁面59との接触が解除されて撓みが解除されるときの反動(力)が分散されて、そのような騒音の発生が軽減されることになる。
【0058】
ここで、本実施の形態における可撓性部材33a(撹拌部材33A、33B)は、櫛歯状先端部331~334が、内壁面59に当接していない状態において、隣接する歯と歯とにおけるそれぞれの歯先部Mから回転軸33cまでの距離が異なるように形成されている。
詳しくは、
図19を参照して、第1櫛歯状先端部331において、右方の歯331aの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B1は、中央の歯331bの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B2よりも短く、左方の歯331cの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B3が最も長くなっている(B1<B2<B3)。同様に、第2櫛歯状先端部332において、右方の歯332aの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B4は、中央の歯332bの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B5よりも短く、左方の歯332cの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B6が最も長くなっている(B4<B5<B6)。また、第3櫛歯状先端部333において、右方の歯333aの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B7は、左方の歯333bの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B8よりも長くなっている(B7>B8)。また、第4櫛歯状先端部334において、右方の歯334aの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B9は、中央の歯334bの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B10よりも短く、左方の歯334cの歯先部Mから回転軸33cまでの距離B11が最も長くなっている(B9<B10<B11)。
【0059】
このように、櫛歯状先端部331~334において、それぞれ、隣接する歯と歯とにおけるそれぞれの歯先部Mから回転軸33cまでの距離が異なるように形成することで、歯先部Mから回転軸33cまでの距離が等しくなるように形成する場合に比べて、櫛歯状先端部333~334を構成する複数の歯に対して、内壁面59との接触が解除されて撓みが解除されるときのタイミングを分散させることができるため、騒音の発生がさらに軽減されることになる。
【0060】
また、本実施の形態において、可撓性部材33aは、
図20等に示すように、回転軸33cから異なる複数の径方向にそれぞれ延在するように形成されている。
詳しくは、可撓性部材33aは、回転軸33cを挟んで、回転方向に180度ずれた2方向にそれぞれ形成されている。換言すると、第1、第2撹拌部材33A、33Bは、回転軸33cを挟んで、回転方向に180度ずれた2方向にそれぞれ可撓性部材33aが延在するように形成されている。そして、一方の径方向には第1、第2櫛歯状先端部331、332が配置され、他方の径方向には第3、第4櫛歯状先端部333、334が配置されている。
このように複数の方向に可撓性部材(櫛歯状先端部331~334)を設けることで、撹拌部材33A、33Bが1回転する間に複数回にわたって容器内のトナーを撹拌することができるため、トナーの凝集を効率的に防止することができる。
【0061】
また、本実施の形態において、可撓性部材33aは、複数の径方向ごとに櫛歯状先端部331~334が回転軸方向に間隔をあけて複数形成されていて、その複数の径方向のうち隣接する径方向にそれぞれ形成された複数の櫛歯状先端部331~334が回転軸方向の同じ範囲に位置しないように交互に配置されている。
詳しくは、
図19に示すように、左方から順に、第2櫛歯状先端部332が一方の径方向(
図19の下方である。)に、第4櫛歯状先端部334が他方の径方向(
図19の上方である。)に、第1櫛歯状先端部331が一方の径方向(
図19の下方である。)に、第3櫛歯状先端部333が他方の径方向(
図19の上方である。)に、
図19の上下方向に交互に形成されている。
このように複数の櫛歯状先端部331~334を異なる径方向に交互に設けることで、複数の櫛歯状先端部をすべて同じ径方向に設ける場合に比べて、撹拌部材33A、33Bが1回転する間にかかる負荷変動を小さくすることができる。
【0062】
さらに、本実施の形態において、複数の櫛歯状先端部331~334は、それぞれ、複数の歯におけるそれぞれの歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bがすべて異なるように形成されている。
詳しくは、先に
図19を用いて説明したように、第1櫛歯状先端部331においてはB1≠B2≠B3なる関係が成立し、第2櫛歯状先端部332においてはB4≠B5≠B6なる関係が成立し、第3櫛歯状先端部333においてはB7≠B8なる関係が成立し、第4櫛歯状先端部334においてはB9≠B10≠B11なる関係が成立している。
このように構成することで、歯先部Mから回転軸33cまでの距離が等しくなる歯が複数ある場合に比べて、櫛歯状先端部333~334を構成する複数の歯に対して、内壁面59との接触が解除されて撓みが解除されるときのタイミングをすべて分散させることができるため、騒音の発生がさらに軽減されることになる。
【0063】
ここで、本実施の形態において、複数の櫛歯状先端部331~334は、複数の径方向のうち同じ径方向において、複数の歯におけるそれぞれの歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bの平均値が、互いに異なるように形成されている。
詳しくは、
図19を用いて説明したように、一方の径方向において、第1櫛歯状先端部331における複数の歯の歯先部Mから回転軸33cまでの距離の平均値(B1+B2+B3)/3と、第2櫛歯状先端部332における複数の歯の歯先部Mから回転軸33cまでの距離の平均値(B4+B5+B6)/3と、は異なる。すなわち、(B1+B2+B3)/3≠(B4+B5+B6)/3なる関係が成立する。
同様に、他方の径方向において、第3櫛歯状先端部333における複数の歯の歯先部Mから回転軸33cまでの距離の平均値(B7+B8)/2と、第4櫛歯状先端部334における複数の歯の歯先部Mから回転軸33cまでの距離の平均値(B9+B10+B11)/3と、は異なる。すなわち、(B7+B8)/2≠(B9+B10+B11)/3なる関係が成立する。
このように構成することで、同じ径方向において複数の歯におけるそれぞれの歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bの平均値が等しくなるように形成する場合に比べて、同じ径方向に設けられた複数の櫛歯状先端部が内壁面59から接触解除されて撓みが解除されるときのタイミングを分散させることができるため、騒音の発生がさらに軽減されることになる。
【0064】
また、本実施の形態において、3つ以上の歯が設けられた第1、第2、第4櫛歯状先端部331、332、334は、内壁面59に当接していない状態において、隣接する歯と歯とにおける歯底部Nから回転軸33cまでの距離Aが異なるように形成されている。
詳しくは、先に
図19を用いて説明したように、第1櫛歯状先端部331においてはA1≠A2なる関係が成立し、第2櫛歯状先端部332においてはA3≠A4なる関係が成立し、第4櫛歯状先端部334においてはA6≠A7なる関係が成立している。
このように構成することで、隣接する歯と歯とにおける歯底部Nから回転軸33cまでの距離Aが等しくなるように形成する場合に比べて、歯先部Mまでの距離Bが異なるように形成された複数の歯における歯と歯との隙間を小さくすることが可能になり、歯と歯との隙間からのトナーのすり抜けを防止することができる。
【0065】
ここで、先に
図9、
図18等を用いて説明したように、本実施の形態におけるトナー容器30(トナー収納部31)には、その内部に収納されたトナーを回転軸方向に沿った所定の搬送方向に搬送する補給スクリュ34(搬送部材)が設置されている。
本実施の形態において、排出口36は、可撓性部材33aとの位置関係において、
図19の破線Wで示す回転軸方向の位置に配置されている。そして、補給スクリュ34は、その軸部に螺旋状に巻装されたスクリュ部の巻き方向を調整することによって、
図19の左側から破線Wに向けてトナーを搬送するとともに、
図19の右側から破線Wに向けてトナーを搬送するように構成されている。
そして、本実施の形態において、複数の櫛歯状先端部331~334は、それぞれ、複数の歯におけるそれぞれの歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bが、補給スクリュ34の搬送方向の上流側から下流側に沿って漸減するように形成されている。
【0066】
詳しくは、
図19を参照して、破線Wに対して左方に設置された第1、第2、第4櫛歯状先端部331、332、334は、それぞれ、左方から右方に沿って歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bが漸減するように形成されている。すなわち、B3>B2>B1、B6>B5>B4、B11>B10>B9、なる関係がそれぞれ成立するように構成されている。
他方、破線Wに対して右方に設置された第3櫛歯状先端部333は、右方から左方に沿って歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bが漸減するように形成されている。すなわち、B7>B8なる関係がそれぞれ成立するように構成されている。
歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bが漸減する方向にトナーが流動しやすくなるため、このように構成することにより、上述した補給スクリュ34によるトナーの搬送が促進されることになる。
【0067】
<変形例>
図22は、変形例としての、撹拌部材33A、33Bを示す図である。
図22(A)に示すように、回転軸33cから1つの径方向にのみ延在するように可撓性部材33aを形成することもできる。
また、
図22(B)に示すように、回転軸33cから3つの径方向に延在するように可撓性部材33aを形成することもできる。さらには、回転軸33cから4つ以上の径方向に延在するように可撓性部材33aを形成することもできる。
そして、これらのように可撓性部材33aを構成した場合であっても、次に述べる本実施の形態のものとほぼ同じ効果を得ることができる。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態におけるトナー容器30(粉体収納容器)は、回転軸33cを中心に回転する可撓性部材33aに、トナー容器30(粉体収納容器)の内壁面59に摺接可能な櫛歯状先端部331~334が設けられている。そして、可撓性部材33aの櫛歯状先端部331~334は、内壁面59に当接していない状態において隣接する歯と歯とが繋がる歯底部Nから回転軸33cまでの距離Aが、内壁面59において回転軸33cからの距離が最も短い最短部Rから回転軸33cまでの距離H1、H2よりも、長くなるように形成されている。
これにより、可撓性部材33aによって容器内のトナーを充分に撹拌することができる。
【0069】
なお、本実施の形態においては、感光体ドラム1(像担持体)と帯電ローラ4(帯電装置)と現像装置5とクリーニング装置2と廃トナー搬送部6とが一体化されたプロセスカートリッジ10として構成されている場合に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、これらの装置1、2、4~6が、それぞれ単体で画像形成装置本体100に対して着脱されるユニットして構成されている場合であっても、当然に本発明を適用することができる。
そして、そのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱部材(着脱ユニット)と定義する。
【0070】
また、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置100に設置されるトナー容器30(粉体収納容器)に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置されるトナー容器(粉体収納容器)に対しても、当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、プロセスカートリッジ10を介して画像形成装置本体100に間接的に着脱可能に設置されるトナー容器30(粉体収納容器)に対して本発明を適用したが、プロセスカートリッジを介することなく画像形成装置本体に直接的に着脱可能に設置されるトナー容器(粉体収納容器)に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、トナー(1成分現像剤)が収容された1成分現像方式の現像装置5にトナーを補給するトナー容器30(粉体収納容器)に対して本発明を適用したが、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤が収容された2成分現像方式の現像装置にトナーを補給するトナー容器(粉体収納容器)に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、粉体としてのトナー(1成分現像剤)が収容されたり回収されたりするトナー容器30(粉体収納容器)に対して本発明を適用したが、粉体としての2成分現像剤(トナーとキャリアとが混合された現像剤である。)が収容されたり回収されたりする粉体収納容器に対しても、本発明を適用することができる。その場合、現像装置は2成分現像方式のものとなる。
また、本実施の形態では、トナー収納部31と廃トナー回収部32とが一体化されたトナー容器30(粉体収納容器)に対して本発明を適用したが、トナー収納部(粉体収納部)のみからなる粉体収納容器に対しても、当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、本実施の形態では、本発明を適用する粉体収納容器として、現像装置5に向けて粉体としてのトナーを補給するためのトナー容器30(トナー収納部31)を用いたが、本発明を適用する粉体収納容器はこれに限定されることなく、粉体としてのトナーが収容されて像担持体に形成された潜像を現像してトナー像を形成する現像装置(例えば、本実施の形態における現像装置5である。)とすることもできる。さらには、画像形成装置に設置されたその他の粉体収納容器(例えば、本実施の形態におけるクリーニング装置2や廃トナー回収部32などである。)に対して本発明を適用することもできるし、画像形成装置以外の粉体収納容器であっても、内部に粉体が収容されたものであれば、それらのすべてに対して本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、櫛歯状先端部331~334における歯の数を2又は3個としたが、歯の数はこれに限定されることはない。特に、
図18における可撓性部材33aの櫛歯状先端部の歯の数は、
図19における可撓性部材33aの櫛歯状先端部の歯の数とは一致せず、本実施の形態のものを厳密に図示したものとなっていないが、櫛歯状先端部における複数の歯の数はいくつであっても上述した本発明の効果を奏することになる。
また、本実施の形態では、撹拌部材33A、33Bにおいて4つの櫛歯状先端部331~334を設けたが、櫛歯状先端部の数はこれに限定されることなく、1~3、又は、5つ以上とすることもできる。
また、本実施の形態では、撹拌部材33A、33Bにおいて、一方の径方向に2つの櫛歯状先端部331、332を設けて、他方の径方向にも2つの櫛歯状先端部333、334を設けたが、それぞれの径方向における櫛歯状先端部の数はこれに限定されることなく、それぞれ、1、又は、3つ以上とすることもできる。
また、本実施の形態では、撹拌部材33A、33Bにおける複数の歯の歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bが一端側から他端側に向けて漸減又は漸増するように構成したが、複数の歯の歯先部Mから回転軸33cまでの距離Bが一端側から他端側に向けてばらばらに増減するように構成することもできる。
また、本実施の形態では、櫛歯状先端部331~334の歯先部Mがそれぞれ回転軸方向に対して略水平になるように形成したが、櫛歯状先端部の歯先部がそれぞれ回転軸方向に対して傾斜するように形成することもできる。
また、本実施の形態では、コイル状撹拌部材44が設置されて、2つの撹拌部材33A、33Bが設置されたトナー容器30(粉体収納容器)に対して、本発明を適用した。これに対して、コイル状撹拌部材が設置されていない粉体収納容器や、撹拌部材が1つ又は3つ以上設置された粉体収納容器に対しても、当然に本発明を適用することができる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0073】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0074】
なお、本願明細書等において、「粉体収納容器」は、主として、画像形成装置内で利用される粉体、又は、画像形成装置内で利用された粉体、を撹拌する装置である。したがって、「粉体収納容器」には、新規のトナーやキャリアを撹拌するものや、使用済みのトナーやキャリアを撹拌するものも含むものとする。
また、本願明細書等において、「幅方向」は、粉体収納容器をプロセスカートリッジに装着する方向に対して直交する方向である。粉体収納容器には、長手と短手とがあって、「幅方向」は粉体収納容器の長手方向でもある。また、「幅方向」は、回転体の軸が伸びる方向と同方向である。
また、本願明細書等において、「幅方向一端側」は、長手方向の中央部で分けて、片方を一端側として、他方を他端側としてときの、一端側である。また、本願明細書等において、「幅方向他端側」は、長手方向の中央部で分けて、片方を一端側として、他方を他端側としてときの、他端側である。
【符号の説明】
【0075】
1 感光体ドラム(像担持体)、
5 現像装置、
6 廃トナー搬送部、
10 プロセスカートリッジ(着脱部材)、
30 トナー容器(粉体収納容器)、
31 トナー収納部(粉体収納部)、
32 廃トナー回収部(粉体回収部)、
33A 第1撹拌部材(第1アジテータ)、
33B 第2撹拌部材(第2アジテータ)、
33a 可撓性部材、
33b 剛体部(当接部)、
33c 回転軸、
34 補給スクリュ(搬送部材)、
44 コイル状撹拌部材、
58 上ケース、
59 下ケース、
100 画像形成装置、
331~334 櫛歯状先端部、
331a~331c、332a~332c 歯(羽根部)、
333a~333b、334a~334c 歯(羽根部)、
M 歯先部、 N 歯底部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】