(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】半導体フォトリソグラフィで使用するためのアセンブリ及び同一のものを製造する方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220421BHJP
G02B 7/00 20210101ALI20220421BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G02B7/00 F
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020520802
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2018077076
(87)【国際公開番号】W WO2019086198
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】リード,クリストファー,ウィリアム
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-520501(JP,A)
【文献】特開昭63-064011(JP,A)
【文献】特開平11-287936(JP,A)
【文献】国際公開第2016/086983(WO,A1)
【文献】特開2001-051174(JP,A)
【文献】特開2004-126502(JP,A)
【文献】特開2001-343576(JP,A)
【文献】特開2003-188066(JP,A)
【文献】特表2010-507911(JP,A)
【文献】特開2002-267907(JP,A)
【文献】特開2000-056113(JP,A)
【文献】特開2004-258273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
9/00
H01L 21/027
G02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品であって、
リソグラフィ装置の
光学要素、及び、
前記
光学要素上に形成される支持構造
、を備え、
前記支持構造は、
格子構造を有する遷移インターフェース部分
であって、前記格子構造は前記
光学要素上に形成される、
遷移インターフェース部分と、
前記遷移インターフェース部分に一体的に形成された機械的取付け領域と、
を備
え、
前記遷移インターフェース部分は、前記機械的取り付け領域の側から前記光学要素の側へと材料組成が変更するように形成されている、
製品。
【請求項2】
前記
光学要素は、ガラスを含
む、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記
光学要素は、金属を含
む、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記
光学要素は、セラミック材料を含
む、請求項1に記載の製品。
【請求項5】
前記
光学要素は、複合材料を含
む、請求項1に記載の製品。
【請求項6】
前記
光学要素は接着層を有し、前記支持構造は前記接着層上に形成される、請求項1に記載の製品。
【請求項7】
前記接着層はスパッタ接着層である、請求項6に記載の製品。
【請求項8】
前記支持構造は金属材料を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項9】
前記格子構造は、少なくとも1つの屈曲部を備える、請求項1に記載の製品。
【請求項10】
製品であって、
光学要素、及び、
支持構造、
を備
え、
前記支持構造は、
格子構造を有する遷移インターフェース部分であって、ろう付けを使用して前記光学要素に接着された遷移インターフェース部分と、
前記遷移インターフェース部分に一体的に形成された機械的取付け領域と、
を備え、
前記遷移インターフェース部分は、前記機械的取り付け領域の側から前記光学要素の側へと材料組成が変更するように形成されている、
製品。
【請求項11】
前記光学要素は接着層を有し、前記支持構造は接着層に接着される、請求項
10に記載の製品。
【請求項12】
前記接着層はスパッタ接着層である、請求項
11に記載の製品。
【請求項13】
前記格子構造は少なくとも1つの屈曲部を備える、請求項
10に記載の製品。
【請求項14】
製品であって、
キャリアと、
前記キャリア上に形成される支持構造と、
前記キャリアに光学的に接触する光学要素と、
を備
え、
前記支持構造は、
格子構造を有する遷移インターフェース部分であって、前記格子構造は前記キャリア上に形成される、遷移インターフェース部分と、
前記遷移インターフェース部分に一体的に形成された機械的取付け領域と、
を備え、
前記遷移インターフェース部分は、前記機械的取り付け領域の側から前記キャリアの側へと材料組成が変更するように形成されている、
製品。
【請求項15】
前記キャリアはガラスを含む、請求項
14に記載の製品。
【請求項16】
前記キャリアはガラスセラミック複合材料を含む、請求項
14に記載の製品。
【請求項17】
前記キャリアはセラミック材料を含む、請求項
14に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2017年10月30日出願の米国特許仮出願第62/578,572号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、リソグラフィ装置内で使用され得るようなアセンブリ、及びこうしたアセンブリを作成及び位置合わせする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを半導体材料のウェーハなどの基板上に、通常は基板のターゲット部分上に、付与する機械である。パターニングデバイスは、代替としてマスク又はレチクルと呼ばれ、ウェーハの個別の層上に形成されるべき回路パターンを生成するために使用可能である。パターンの転写は、典型的には、基板上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上に結像することよって達成される。一般に、単一の基板は、連続してパターン付与された近接するターゲット部分を含むことになる。ミラーアレイを変調することによってパターンが転写される、マスクレスリソグラフィと呼ばれる技術もある。
【0004】
[0004] リソグラフィは、IC並びに他のデバイス及び/又は構造の製造時の主要ステップのうちの1つとして広義に理解されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作成されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは、小型IC並びに他のデバイス及び/又は構造を製造可能にするためのより重要な要素となってきている。
【0005】
[0005] 現在使用されている多くのリソグラフィツールは、レーザを光源として採用し、スペクトルの深紫外線(DUV)部分、典型的には248nm又は193nmで動作する。露光波長を短くし、したがって最小プリント可能サイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)放射源が使用される。EUV放射は、約5nmから約20nmのレンジ内、例えば約13nmから約14nmのレンジ内の波長、また更には、10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなどの、約5から約10nmのレンジ内の波長を有する、電磁放射である。可能なEUV放射源は、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子蓄積リングによって提供されるシンクロトロン放射に基づくソースを含む。DUV及びEUV放射はどちらも、電磁スペクトルの可視部分に存在しないにもかかわらず、光と呼ばれる。
【0006】
[0006] リソグラフィ機器は、多種多様なコンポーネントを組み込む。これらには、プリズム、レンズ、ミラー、アパーチャ、及び、作製のため、並びに(光の強度又は他の特性の)監視のため、及び/又は合焦及びアライメントなどの条件の感知のために、光の偏光、位相、コヒーレンスなどを操作する他の要素などの、反射型又は透過型の光学要素が含まれる。これらには、例えば、レチクルステージチャック、及び光ファイバ用のフェルールなどの、例えばレチクル保持に使用される低膨張セラミックスで作られるガラス様構造などの、支持構造及びマウント構造も含まれる。
【0007】
[0007] これらのコンポーネントは、典型的には、極端に安定した様式で、例えば、マウント構造への光学コンポーネントのように、他のコンポーネントに接合されなければならない。光学コンポーネントはガラスで作ることが可能であり、光学コンポーネントを、例えば、金属で作られたマウントブロックに機械的に結合することが必要である。この例では金属が使用されるが、マウントブロックは、プラスチック、複合材料、又はセラミックスなどの、他の材料で作ることもできることを理解されよう。従来、エポキシ樹脂などの接着剤、ばねクリップなどの機械的留め具、摩擦係合、光学的接着、又はヒドロキシル接着を含む、いくつかの方法のうちのいずれか1つを使用して、ガラスを金属に取り付けることができる。これらの方法のすべてに欠点がある。例えば、エポキシ樹脂は吸湿性であり、湿気によって寸法が変化する。水分を吸収する(又は、例えば湿度の変化に起因して、後にその水を脱着する)とき、膨張(又は収縮)するため、例えばエンコーダスケール、基準板、プリズム、及び他の光学系内にある場合など、接合しているオブジェクトの相対的な位置に不安定性を生じさせることになる。エポキシ樹脂は、ピール内に装填された場合、剥離の影響を受ける。エポキシ樹脂は、金属よりもほぼ1桁大きい、また超低膨張(ULE)ガラスよりも2桁大きい可能性のある、高い熱膨張係数を有する。また、エポキシ樹脂は、負荷がかかった場合にクリープを生じさせるため、長期的な安定性の問題が発生する。エポキシ樹脂は、ガラス又は金属基板への接着力が足りず、アセンブリの完全な失敗を生じさせることも知られている。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本明細書又はその他の場所で識別されるかどうかに関わらず、問題のうちの少なくとも1つを未然に防ぐか又は緩和すること、あるいは、既存の装置又は方法に対して代替を提供することが望ましい。
【0009】
[0009] 一態様に従い、例えば、接着剤としてエポキシ樹脂から作られる中間接着層への依存を最小にするか、あるいは消去するための、積層造形技法の使用が開示される。積層造形は、本明細書ではその従来の意味で、1つ以上の材料の連続層を増分的に使用する3次元構造の作成を可能にする技術を指すものとして使用される。例えば、3Dプリント、ラピッドプロトタイピング、直接デジタル製造、積層製造、及び積層造形などの技法を包含することが意図される。本質的に、接着剤を共有金属結合に置き換えることで、上記の問題の多くが回避される。
【0010】
[0010] 一態様に従い、リソグラフィ装置、及び、積層造形を使用してコンポーネント上に形成される支持構造の、コンポーネントを備える製品が開示され、支持構造は、格子構造を有する遷移インターフェース部分を備え、格子構造はコンポーネント上に形成される。コンポーネントは、例えば、ガラス、金属、セラミック材料、又は複合材料を含む、光学要素とすることができる。コンポーネントは接着層を有することが可能であり、その場合、支持構造は接着層上に形成され得る。接着層はスパッタ接着層とすることができる。支持構造は金属材料を含むことができる。支持構造は、第1の金属材料及び第2の金属材料を含み、更に、第2の金属材料よりも濃度の高い第1の金属材料を含む第1の領域と、第1の金属材料よりも濃度の高い第2の金属材料を含む第2の領域とを含む。支持構造は、第1の非金属材料及び第2の金属材料を含み、更に、第2の金属材料よりも濃度の高い第1の非金属材料を含む第1の領域と、第1の金属材料よりも濃度の高い第2の非金属材料を含む第2の領域とを含む。第1の非金属材料はガラス材料を含むことができる。格子構造は、少なくとも1つの屈曲部を備えることができる。
【0011】
[0011] 別の態様に従い、光学要素と、ろう付けを使用して光学要素に接着された支持構造とを備える製品を備える、製品が開示される。光学要素は接着層を有することが可能であり、その場合、支持構造は接着層に接着可能である。接着層はスパッタ接着層とすることができる。支持構造は格子構造を有する遷移インターフェース領域を含むことが可能であり、格子構造を有する部分は光学要素に接着することができる。格子構造は少なくとも1つの屈曲部を備えることができる。支持構造は、積層造形を使用して作製可能である。
【0012】
[0012] 別の態様に従い、キャリアと、積層造形を使用してキャリア上に形成される支持構造と、キャリアに光学的に接触する光学要素とを備える、製品が開示される。キャリアは、例えばガラス、ガラスセラミック複合材料、又はセラミック材料を含むことができる。
【0013】
[0013] 別の態様に従い、製品を作る方法が開示され、方法は、リソグラフィ装置のコンポーネントを提供するステップと、積層造形を使用してコンポーネントの上に支持構造を形成するステップとを含み、支持構造は、格子構造を有する遷移インターフェース部分を備え、格子構造はコンポーネント上に形成される。形成するステップは、コンポーネント上に支持構造を3Dプリントするステップを含むことができる。方法は、形成するステップの前に、コンポーネントに接着層を提供するステップを含むことが可能であり、その場合、形成するステップは接着層上に支持構造を形成するステップを含むことができる。接着層を提供するステップは、例えば、コンポーネントの表面上に接着層をスパッタするステップ、蒸発によってコンポーネントの表面上に接着層を堆積させるステップ、又は、PVD又はCVDプロセスによって光学要素の表面上に接着層を堆積させるステップを含むことができる。格子構造は少なくとも1つの屈曲部を備えることができる。
【0014】
[0014] 別の態様に従い、製品を作る方法が開示され、方法は、キャリアを提供するステップ、積層造形を使用して、キャリア上に支持構造を形成するステップ、光学要素を提供するステップ、及び、キャリアを光学要素に光学的に接触させるステップを含む。形成するステップは、キャリア上に支持構造を3Dプリントするステップを含むことができる。方法は、追加として、形成するステップの前にキャリアに接着層を提供するステップを更に含むことが可能であり、その場合、形成するステップは接着層上に支持構造を形成するステップを含むことができる。格子構造は少なくとも1つの屈曲部を備えることができる。
【0015】
[0015] 別の態様に従い、未仕上げの光学要素を提供するステップ、未仕上げの光学要素上に支持構造を形成するステップ、及び、光学要素を仕上げるステップを含む方法が開示される。未仕上げの光学要素は、例えば、光学ブランク又は部分的に仕上げられた光学ブランクとすることができる。
【0016】
[0016] 別の態様に従い、光学要素を提供するステップ、積層造形を使用して少なくとも1つの金属フランジを光学要素に取り付けるステップ、及び、少なくとも1つの金属フランジを支持構造に接続するステップを含む、方法が開示される。
【0017】
[0017] 別の態様に従い、キャリアを提供するステップ、支持構造を提供するステップ、ろう付けを使用してキャリアを支持構造に接合するステップ、光学要素を提供するステップ、及び、キャリアを光学要素に光学的に接触させるステップを含む、方法が開示される。
【0018】
[0018] 別の態様に従い、製品を作る方法が開示され、方法は、少なくとも1つの基準を備えるツーリングを提供するステップ、ツーリングとの固定関係においてツーリング内にリソグラフィシステムのコンポーネントを配置するステップ、少なくとも1つの基準上にフィーチャを3Dプリントするステップ、少なくとも1つの基準上にプリントされたフィーチャの位置に基づいてプリントオフセットを決定するステップ、及び、決定されたプリントオフセットを使用してコンポーネント上に3Dプリントするステップを含む、方法が開示される。
【0019】
[0019] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思いつくであろう。
【0020】
[0020] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明を図示し説明とともに、更に本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】[0021]本発明の実施形態に従った、リソグラフィ装置を示す図である。
【
図2】[0022]一実施形態に従った、
図1の装置のより詳細な図である。
【
図3A】[0023]一実施形態に従った、光学アセンブリを示す平面部分図である。
【
図3B】[0024]
図3Aに示されたような光学アセンブリを作成する方法を示すフローチャートである。
【
図4A】[0025]一実施形態に従った、別の光学アセンブリを示す平面部分図である。
【
図4B】[0026]一実施形態に従った、更に別の光学アセンブリを示す平面部分図である。
【
図4C】[0027]
図4Aに示されたような光学アセンブリを作成する方法を示すフローチャートである。
【
図5A】[0028]一実施形態に従った、別の光学アセンブリを示す平面部分図である。
【
図5B】[0029]
図5Aに示されたような光学アセンブリを作成する方法を示すフローチャートである。
【
図6A】[0030]一実施形態に従った、光学アセンブリを示す平面図である。
【
図6B】[0030]一実施形態に従った、光学アセンブリを示す平面図である。
【
図6C】[0030]一実施形態に従った、光学アセンブリを示す平面図である。
【
図6D】[0030]一実施形態に従った、光学アセンブリを示す平面図である。
【
図6E】[0031]
図6Aから
図6Dに示されたような光学アセンブリを作成する方法を示すフローチャートである。
【
図7A】[0032]一実施形態に従った、光学要素及び光学要素の処理を支援するためのツーリングを示す平面部分図である。
【
図7B】[0033]
図7Aに示されたツーリングを使用する方法を示すフローチャートである。
【0022】
[0034] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0035] 本明細書は、本明細書で開示され、請求される主題の特徴を組み込む1つ以上の実施形態を開示する。開示された実施形態は、その主題を例示するにすぎない。本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0024】
[0036] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0025】
[0037] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を記載することができるが、そのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0026】
[0038] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0027】
[0039]
図1は、本発明の実施形態による放射源コレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構成され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(たとえば、1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(たとえば反射投影システム)PSと、を含む。
【0028】
[0040] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0029】
[0041] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を用いて、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定又は可動式にできるフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
【0030】
[0042] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0031】
[0043] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを付与する。
【0032】
[0044] 投影システムは、照明システムと同様に、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折、反射、磁気、電磁気、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空環境は、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供してもよい。
【0033】
[0045] 図示されているように、装置は反射タイプである(例えば、反射マスクを使用する)。リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0034】
[0046]
図1を参照すると、イルミネータILは、ソースコレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法には、材料を、例えば、キセノン、リチウム又はスズなど少なくとも1つの元素を有し、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有するプラズマ状態へと変換することが含まれるが、必ずしもこれに限定されない。そのような方法のうちの1つであり、しばしばレーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれる方法では、所望の線発光元素を有する材料の小滴、流れ又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することにより所望のプラズマを生成することができる。ソースコレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためのレーザ(
図1中図示なし)を含むEUV放射システムの一部であってよい。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、この出力放射はソースコレクタモジュール内に配置される放射コレクタを使って集光される。例えば、CO2レーザを使用して燃料励起のためのレーザビームを提供する場合、レーザとソースコレクタモジュールとは別個の構成要素とすることができる。
【0035】
[0047] そのような場合には、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、レーザからソースコレクタモジュールへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば、放射源がしばしばDPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合においては、放射源は、ソースコレクタモジュールの一体部分であってもよい。
【0036】
[0048] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般に、それぞれa-outer及びa-innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、ファセットフィールド及び瞳ミラーデバイスなどの様々な他のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを使用して放射ビームを調整し、その断面に所望の均一性及び強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0037】
[0049] 放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に入射し、パターニングデバイスによってパターン付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサPS2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ又は容量性センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTを、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPM及び別の位置センサPS1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされる。
【0038】
[0050] 図示の装置は、いくつかのモードのうちの少なくとも1つで使用することができる。例えば、ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
【0039】
[0051] スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに付与されるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
【0040】
[0052] 別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
【0041】
[0053] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0042】
[0054]
図2は、ソースコレクタモジュールSO、照明システムIL、及び投影システムPSを含む、リソグラフィ装置LAPをより詳細に示す。ソースコレクタモジュールSOは、真空環境がソースコレクタモジュールの閉構造2内で維持可能なように構築及び配置される。
【0043】
[0055] レーザ4は、燃料供給8(時には、燃料ストリーム発生器と呼ばれる)から提供されるキセノン(Xe)、スズ(Sn)、又はリチウム(Li)などの、燃料の容積内にレーザビーム6を介してレーザエネルギーを堆積させるように配置される。スズ、あるいは別の溶融金属又は金属間(液滴の形の可能性が最も高い)が、現在はEUV放射源として最も有望であり、したがって最も選択される可能性が高い燃料であると思われる。レーザエネルギーを燃料内に堆積させることで、数十電子ボルト(eV)の電子温度を有するプラズマ形成ロケーション12において、高イオン化プラズマ10を作成する。これらのイオンの脱励起及び再結合の間に発生するエネルギー放射は、プラズマ10から放出され、近法線入射放射コレクタ14によって収集及び合焦される。レーザ4及び燃料供給8(及び/又は、コレクタ14)はまとめて、放射源、具体的にはEUV放射源を備えるものと見なすことができる。EUV放射源は、レーザ生成プラズマ(LPP)放射源と呼ぶことができる。
【0044】
[0056] 第2のレーザ(図示せず)が提供可能であり、第2のレーザは、レーザビーム6が入射する前に燃料の容積をプレヒート又はその他の方法で事前調節するように構成される。この手法を使用するLPP源は、デュアルレーザパルシング(DLP)源と呼ぶことができる。
【0045】
[0057] 図示されていないが、燃料ストリーム発生器は、燃料液滴のストリームを軌道に沿ってプラズマ形成ロケーション12に向けて誘導するように構成されたノズルを備えるか、又はノズルと接続することになる。
【0046】
[0058] 放射コレクタ14によって反射される放射Bは、仮想ソースポイント16で合焦される。仮想ソースポイント16は一般に中間焦点と呼ばれ、ソースコレクタモジュールSOは、中間焦点16が閉構造2内の開口18に、又は開口18近くに位置するように配置される。仮想ソースポイント16は、放射放出プラズマ10のイメージである。
【0047】
[0059] その後、放射Bは、パターニングデバイスMAにおける放射ビームBの所望の角度分布、並びにパターニングデバイスMAにおける放射強度の所望の均一性を提供するように配置された、ファセットフィールドミラーデバイス20及びファセット瞳ミラーデバイス22を含み得る、照明システムILを横断する。支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAにおける放射ビームの反射時に、パターン付きビーム24が形成され、パターン付きビーム24は、反射要素26、28を介して投影システムPSによって、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持される基板W上に結像される。
【0048】
[0060] 照明システムIL及び投影システムPS内には、一般に、図示されたよりも多くの要素が存在可能である。更に、図に示されたよりも多くのミラーも存在可能であり、例えば投影システムPS内には
図2に示されるよりも追加の反射要素が存在可能である。
【0049】
[0061] こうしたEUVリソグラフィシステム、及びDUVシステムは、かなり精密に位置決めし、延長期間にわたって精密な位置決めを維持するようにしなければならない、光学要素などのコンポーネントを含む。これには典型的には、こうしたコンポーネントをハウジング内に機械的に固定することが含まれ、ハウジングは、例えば、ボルト又はクランプなどの機械式留め具を使用して固定される。
【0050】
[0062] 一態様によれば、これらの問題を回避するために、コンポーネント上、又はコンポーネントに結合されたキャリア上に、マウント構造が直接形成される。適切な材料(例えば、金属)のマウント構造を、コンポーネント上に直接プリントすることができる。金属(例えば、ステンレススチール、インバール、チタン、コバール、純ニッケル)、純又は合金又はセラミックス、及び/又はセラミック/金属化合物などの材料の、3Dプリントが使用可能である。
【0051】
[0063] こうした化合物上の直接金属プリントは、応力を引き起こす可能性がある。結果として生じるアセンブリも、下にあるコンポーネント及びコンポーネント上にプリントされる材料の熱膨張係数における不一致に起因して、熱によって引き起こされる応力を受ける可能性がある。これらの力は、遷移インターフェース部分を伴うマウント構造を作成するために、3Dプリントを使用して管理することができる。構造は、遷移インターフェース部分から、他のシステムコンポーネントへの機械的結合に適したより中実なマウント部分へと、徐々に構築される。遷移インターフェース部分は、例えば、支柱、樹枝状構造、連結を介して力を平均に分散させる多くの小さく細いバー又は筋かいの遊動棒構造、屈曲部、又は他の要素、あるいは要素の組み合わせを含むことが可能な、格子の形とすることができる。本明細書で使用される場合、格子という用語は、規則的に、例えば、周期性又は並進対称性を有する、又は、周期性なく無秩序な、あるいは、規則的及び無秩序の組み合わせの、構造を指す。遷移インターフェース部分は、末端が、コンポーネントと直接物理的に接触する小さなチップの規則的又は無秩序なアレイになるものとすることができる。
【0052】
[0064] 本実施形態の遷移インターフェース部分は、本質的に、3Dプリントからの応力、並びに他の応力を管理する、例えば3Dプリンタ内で作成される柔軟層である。これらの他の応力は、熱膨張係数の不一致によって引き起こされる応力、伝達されたマウント応力、作動又はアライメント応力、表面形状又は応力複屈折最適化に起因した応力、及び、ダイナミクスの調節に起因する応力を、含むことができる。遷移インターフェース部分は、コンポーネントに分散剛性を提供することもできる。この3Dプリントを使用することで、コンポーネントと、例えばコンポーネントを含むハウジングとの間に金属(共有金属)結合のみが存在するように、コンポーネントとシステムの残りの部分との間の荷重経路内のいずれの地点でも、任意の接着剤又は他のポリマーの使用を回避することができる。追加の利点は、3Dプリントの使用によって、エポキシ樹脂などの接着剤を塗布する際に技術者のスキルに依拠することを回避できることである。これにより、より少ない材料を使用する構造も可能になる。
【0053】
[0065] 代替として、マウント構造は、別々に製造した後、ろう付けなどの技法を使用してコンポーネントに取り付けることができる。課題の1つは、光学コンポーネントに関する設計の場合、ろう付けによって行われるガラス対金属の接合は、最終アセンブリに大きな応力を与える高温プロセスにさらされることである。これらの閉じ込め応力は、後に応力緩和が起こる場合、光学系のディストーション及び場合によっては不安定性を引き起こす。光学コンポーネント及びマウント構造についての熱膨張係数を十分に一致させる能力に欠ける場合、厳しい問題になり得る。この問題は、光学要素とインターフェースするための小さなチップ構造の表面を用いて遷移インターフェース部分を作成するように、支持構造を形成することによって、対処することもできる。これらのチップは、その後、好適な充填材料及びろう付けプロセスを伴う炉内ろう付けを使用して、光学要素に取り付けられる。誘導ろう付けも使用可能である。光学コンポーネント及びマウント構造が接続されると、小型サイズ及び最適化されたそのフィーチャのジオメトリに起因した相当な力を伝達するための遷移インターフェース部分の構造不能に起因して、応力誘導ディストーションは最小になる。
【0054】
[0066] マウント構造は、単一材料で作るか又は複数の材料で作ることができる。したがって、遷移インターフェース部分及び機械的取付け領域のうちの1つは、例えば、他の領域でのインバールなどの別の材料に遷移する材料と共に、主に、ステンレススチールで作ることができる。言い換えれば、いくつかの適用例では、恐らくは特定の金属、ガラス、又は金属とガラスの混合などの、1つの積層造形材料を用いる光学要素表面(例えば、ガラス表面)から始まり、マウント構造の層が積層造形を使用して構築されるにつれて、徐々に又は突然、別の材料に、例えばすべての金属に遷移することが望ましい場合がある。これは、層の作成プロセス中に層を作成するために使用される(例えば、粉末又はワイヤの形の)材料の組成を変更することによって、積層造形技法を使用して達成可能である。
【0055】
[0067] マウント構造には、ハウジング、又はステージ、又は他の構造へのクランプなどによって、マウント構造を、システム内の1つ以上の他のコンポーネントに機械的に結合するためのインターフェースが提供される。これらのインターフェースは、例えば、マウント構造の中実(無孔)バルク材料部分において必要な剛性及び強度を有する遷移インターフェース領域と十分に区別可能な、マウント構造の機械的取付け領域に接続される。
【0056】
[0068] 次に
図3Aを参照すると、光学アセンブリ30が光学要素32及びマウント構造34を有する例が示されている。光学アセンブリ30は、例えば、ガラスで作られたプリズムとすることができる。マウント構造34は、インバールなどの金属で作ることができる。マウント構造34は、遷移インターフェース部分36及び機械的取付け領域38を含む。遷移インターフェース部分36は、フィンガ型要素のグループとして示されるが、それらのサイズは例示のためにかなり誇張されていること、及びこれらの構造は一般に小さく、変動ジオメトリを有し得ることを理解されよう。
図3Aでは、遷移インターフェース部分36と機械的取付け領域との間の変化は、突然であるように示されているが、この変化は漸進的であってもよいことを理解されよう。実際には、マウント構造34内には、光が光学要素32にアクセスできるようにするためにアパーチャが存在し得、遷移インターフェース部分36の要素はこのアパーチャを避けた状態にしておく必要がある。機械的取付け領域38は、穴、突起、及びアパーチャを伴う統合3Dプリントベースプレートを含むことができる。次のアセンブリレベルとのアライメント及び取付けを最適化するために、マウント構造34にフィーチャを追加することができる。
【0057】
[0069] したがって、
図3Bに示されるように、光学アセンブリを作る方法は、光学要素を提供するステップS30、光学要素上に遷移インターフェース領域を3DプリントするステップS32、及び、遷移インターフェース領域上にマウント領域をプリントするステップS34を含むことができる。ステップS32及びS34は別個である必要がないこと、並びに、プロセスは1つのステップから次のステップへ徐々に遷移可能であることを理解されよう。
【0058】
[0070]
図4Aに示されるように、いくつかの適用例では、光学要素32上に接着層40を提供し、その後、接着層状にマウント構造34をプリントすることが望ましい場合がある。
図4Aでは、接着層30の厚みが誇張されていること、及び、より厚い層を構築する際に固有の難しさから、この層は一般に非常に薄い可能性があることを理解されよう。接着層は、例えば、クロムで作ることが可能であり、スパッタリング、蒸発、又は他の同様のPVD/CVDプロセスによって印加可能である。したがって、
図4Cに示されるように、光学アセンブリを作る方法は、光学要素を提供するステップS30、光学要素上に接着層を形成するステップS40、及び、接着層上に支持構造を3DプリントするステップS42を含むことができる。
【0059】
[0071]
図3A及び
図4Aに示されるように、遷移インターフェース部分36は、例示のためにサイズがかなり誇張されたフィンガ型要素のグループとして示される。グループの要素は、
図3A及び
図4Aに示されるように互いに交差し、示された角度で延在する必要はない。遷移インターフェース部分36は、他の配置を有することができる。例えば、
図4Bに示されるように、遷移インターフェース部分36は、互いにすべてほぼ平行な直毛又は支柱の大きなアレイのように構成することができる。このアレイは、図のように規則的又は無秩序とすることができる。また、遷移インターフェース部分36は、規則的及び無秩序な要素の組み合わせとして構成可能である。
【0060】
[0072] 前述の説明では、マウント構造34は光学要素32に直接結合される。
図5Aに示されるように、マウント構造34を中間構造50に、すなわち、バルクULEガラスステージ本体などのキャリアに結合し、次いでこの中間構造50を光学要素32に結合することも可能である。中間構造50は、セラミック又はゼロデュア(登録商標)などのガラスセラミック複合物で作ることも可能である。この中間構造50を光学要素32に光学的に接触させるべきである場合、光学要素32に光学的に接触されることになる中間構造50の表面を、光学的に研磨することが必要となる可能性がある。この光学接触が行われると、どちらもULEガラスとすることが可能な中間構造50と光学要素32との間に熱融着を作成するために、マウント構造/中間構造/光学要素アセンブリの全体が、炉内熱サイクルにさらされる可能性がある。金属対中間構造の接合は、大きな温度逸脱の間の柔軟性について最適化されるため、完全に燃焼した部分の残留応力は低く、最終平坦化ステップはドリフトにさらされない。溶融の間に中間構造50と光学要素32との間の接触の損失がないことを保証するために何らかのツーリングが必要となる可能性があるか、又は、重力が接触損失を抑制できるようにアセンブリを配向することができる。
【0061】
[0073] ガラスキャリア上への直接金属プリントが使用される場合、ガラスキャリアは後研磨及び改良可能であり、その後、対象となる光学要素32に光学的に接触可能である。この配置が使用される場合、3Dプリントによって生じる応力を管理する必要がない限り、遷移インターフェース領域に先行することが可能であり得る。この方法は、光学要素32から、そのハウジングなどのマウントされるコンポーネントへの金属的及び光学的な接触接着の利点も有する。また、光学表面は3Dプリント環境に露光されない。しかしながら、アライメント技法の適合、及び光学接触ステップも必要であり得る。
【0062】
[0074] したがって、
図5Bに示されるように、光学アセンブリを作る方法は、キャリアを提供するステップS50、キャリア上に支持構造を3DプリントするステップS52、及び、光学要素にキャリアを接着するステップS54を含むことができる。
【0063】
[0075] こうした配置は、強力なバルク構造から、本質的にかなりの量のディストーションを透過する能力に欠ける遷移インターフェース領域へ遷移する好適な金属構造を作成するために、積層造形を使用することによって、ステージ、センサ、任意のガラス対金属接着、及びセラミック対金属構造を含む、安定性が重要な、すべての光学ガラス対金属、又はセラミック対金属のシステムにおいて、有利に採用可能である。
【0064】
[0076] 3Dプリント許容差は、現在およそ50umであり、いくつかの適用例について半導体リソグラフィコンポーネントを位置合わせする際に一般的に許容される許容差よりも大きい。これを補償するために、これらの適用例にとって、1つ以上の部分からマウント構造を作ること、部分を位置合わせすること、及びその後、例えば電子ビーム溶接、レーザ溶接、又は機械的固定又はクランプ機構を使用して、これらの部分を共に結合することが望ましい場合がある。
【0065】
[0077] 積層造形技法の使用には、光学要素のアライメントのための技法の適合、並びに、積層造形の間、光学表面を保護するためのツーリングも必要とし得る。
【0066】
[0078] 光学要素などのいくつかのタイプのコンポーネント上に直接プリントする場合、コンポーネントを保護することが必要な場合がある。このため、テーピング、マスキング、又はクランピングのツーリングが使用可能である。アセンブル及び位置合わせされると、光軸は、傾斜及びZにおいて、フランジ上の基準表面と位置合わせされることになる。
【0067】
[0079]
図6Aから
図6Dに示されるように、1つの作製技法は、光学要素32などのコンポーネントの周辺上にタブ構造60(
図6B)を作成し、その後、例えば、レーザ溶接、又は所望であれば、電子ビーム溶接接合64(
図6D)、又は、レーザタック溶接、及びそれに続く応力及び熱を最小にするための電子ビーム溶接を使用して、これらのタブ60を支持構造に取り付けるために、積層造形を使用することを含むことができる。
【0068】
[0080] 一方法において、光学要素32の光軸は、支持構造上の1つ以上の基準表面(フランジ)に関して位置合わせ可能である。光学要素32及び支持構造62は、エポキシ樹脂66(
図6C)を使用したアライメントでロックすることができる。その後、アセンブリをアライメントツールから溶接ツールへと移動し、位置合わせされた向きを永続的にするように溶接することができる。溶接ステップが完了した後、アライメントが依然として存在することを確認することが望ましい場合がある。所望であれば、その後エポキシ樹脂を除去することができる。
【0069】
[0081] したがって、
図6Eに示されるように、光学アセンブリを作る方法は、光学要素を提供するステップS30、光学要素上のタブ構造(上述のディストーション制限構造及び技法のいくつか又はすべてを含み得る)ステップS60、光学要素及びタブの組み合わせをサポートと位置合わせするステップS62、並びに、タブ構造をサポートに取り付けるステップS64を含むことができる。
【0070】
[0082]
図7に示される別の方法によれば、光学要素32は、3Dプリントの間、光学要素32を保護するツーリング70内にマウントすることが可能である。ツーリング70はツーリング基準72を含む。これは、
図7BにステップS70として示される。その後、光学要素32及びツーリング70は3Dプリンタ内に配置され、ステップS72において、テストフィーチャ74がツーリング基準72上にプリントされる。ステップS74において、基準72を検査することによって、オフセットが読み取られる。読み取られたオフセットは、x、y、及びRz(xオフセット、yオフセット、及びz軸周囲の回転オフセット)の測定に基づいて3Dプリンタにプログラミングされ、ステップS76において光学要素上に3Dプリントするために使用される。任意選択として、ツーリング基準72への光学要素32の登録が適切であることを確認するステップもあり得る。図に示されたように、
図7は、格子の形の基準72を伴う2つの小さなプレートを備えるツーリングを示す。各々にスポット74をプリントすることで、x、y、及びRzオフセットを提供し、その後これらを使用して、光学要素32上に正確に3Dプリントする。
【0071】
[0083] 上記の方法は、ツーリング上の基準を使用して部分の登録を可能にする。これは、アライメントツーリングの除去及び外側溶接を可能にするために、エポキシ樹脂又は他の一時的な手段を用いて支持構造(セル)に対して光学アセンブリを保持するステップを含むことができる。
【0072】
[0084] 別の方法において、支持構造が光学ブランク上に直接プリントされる。光学ブランクは、大まかな形状及び外観に仕上げることが可能であり、その後、積層造形を使用して支持構造がブランク上に形成される。その後、更にブランクを処理(例えば、必要に応じて、最終整形、研磨、及びコーティング)し、仕上げ済み光学要素を生成することができる。この方法は、金属接着からのいずれの応力及びディストーションにも、後続の仕上げステップにおいて対処可能であるという、追加の利点を有する。また、支持構造は、光学要素作製の最終ステップにおいて、及び保持及び位置合わせのためのメトロロジについて、非常に高精度のツーリングを可能にすることができる。また、金属3Dプリントは最終研磨済み表面が作成される前に実行されるため、ツーリング要件はそれほど厳しくなくてよい。
【0073】
[0085] 以下の条項を使用して、実施形態を更に詳細に説明することができる。
1. 製品であって、
リソグラフィ装置のコンポーネント、及び、
積層造形を使用してコンポーネント上に形成される支持構造であって、支持構造は、格子構造を有する遷移インターフェース部分を備え、格子構造はコンポーネント上に形成される、支持構造、
を備える、製品。
2. コンポーネントは、ガラスを含む光学要素を備える、条項1の製品。
3. コンポーネントは、金属を含む光学要素を備える、条項1の製品。
4. コンポーネントは、セラミック材料を含む光学要素を備える、条項1の製品。
5. コンポーネントは、複合材料を含む光学要素を備える、条項1の製品。
6. コンポーネントは接着層を有し、支持構造は接着層上に形成される、条項1の製品。
7. 接着層はスパッタ接着層である、条項6の製品。
8. 支持構造は金属材料を含む、条項1の製品。
9. 支持構造は、第1の金属材料及び第2の金属材料を含み、更に、第2の金属材料よりも濃度の高い第1の金属材料を含む第1の領域と、第1の金属材料よりも濃度の高い第2の金属材料を含む第2の領域とを含む、条項1の製品。
10. 支持構造は、第1の非金属材料及び第2の金属材料を含み、更に、第2の金属材料よりも濃度の高い第1の非金属材料を含む第1の領域と、第1の金属材料よりも濃度の高い第2の非金属材料を含む第2の領域とを含む、条項1の製品。
11. 第1の非金属材料はガラス材料を含む、条項10の製品。
12. 格子構造は、少なくとも1つの屈曲部を備える、条項1の製品。
13. 製品であって、
光学要素、及び、
ろう付けを使用して光学要素に接着された支持構造、
を備える製品。
14. 光学要素は接着層を有し、支持構造は接着層に接着される、条項13の製品。
15. 接着層はスパッタ接着層である、条項14の製品。
16. 支持構造は格子構造を有する遷移インターフェース領域を含み、格子構造を有する部分は光学要素に接着される、条項15の製品。
17. 格子構造は少なくとも1つの屈曲部を備える、条項16の製品。
18. 支持構造は、積層造形を使用して作製される、条項13の製品。
19. 製品であって、
キャリアと、
積層造形を使用してキャリア上に形成される支持構造と、
キャリアに光学的に接触する光学要素と、
を備える、製品。
20. キャリアはガラスを含む、条項19の製品。
21. キャリアはガラスセラミック複合材料を含む、条項19の製品。
22. キャリアはセラミック材料を含む、条項19の製品。
23. 製品を作る方法であって、
リソグラフィ装置のコンポーネントを提供するステップと、
積層造形を使用してコンポーネントの上に支持構造を形成するステップであって、支持構造は、格子構造を有する遷移インターフェース部分を備え、格子構造はコンポーネント上に形成される、支持構造を形成するステップと、
を含む、製品を作る方法。
24. 形成するステップは、コンポーネント上に支持構造を3Dプリントするステップを含む、条項23の方法。
25. 形成するステップの前に、コンポーネントに接着層を提供するステップを含み、形成するステップは接着層上に支持構造を形成するステップを含む、条項23の方法。
26. 接着層を提供するステップは、コンポーネントの表面上に接着層をスパッタするステップを含む、条項25の方法。
27. 接着層を提供するステップは、蒸発によってコンポーネントの表面上に接着層を堆積させるステップを含む、条項25の方法。
28. 接着層を提供するステップは、PVD又はCVDプロセスによって光学要素の表面上に接着層を堆積させるステップを含む、条項25の方法。
29. 格子構造は少なくとも1つの屈曲部を備える、条項23の方法。
30. 製品を作る方法であって、
キャリアを提供するステップ、
積層造形を使用して、キャリア上に支持構造を形成するステップ、
光学要素を提供するステップ、及び、
キャリアを光学要素に光学的に接触させるステップ、
を含む、製品を作る方法。
31. 形成するステップは、キャリア上に支持構造を3Dプリントするステップを含む、条項30の方法。
32. 形成するステップの前にキャリアに接着層を提供するステップを更に含み、形成するステップは接着層上に支持構造を形成するステップを含む、条項30の方法。
33. 格子構造は少なくとも1つの屈曲部を備える、条項30の方法。
34. 未仕上げの光学要素を提供するステップ、
未仕上げの光学要素上に支持構造を形成するステップ、及び、
光学要素を仕上げるステップ、
を含む、方法。
35. 未仕上げの光学要素は光学ブランクである、条項34の方法。
36. 未仕上げの光学要素は部分的に仕上げられた光学ブランクである、条項34の方法。
37. 光学要素を提供するステップ、
積層造形を使用して少なくとも1つの金属フランジを光学要素に取り付けるステップ、及び、
少なくとも1つの金属フランジを支持構造に接続するステップ、
を含む、方法。
38. 製品を作る方法であって、
キャリアを提供するステップ、
支持構造を提供するステップ、
ろう付けを使用してキャリアを支持構造に接合するステップ、
光学要素を提供するステップ、及び、
キャリアを光学要素に光学的に接触させるステップ
を含む、製品を作る方法。
39. 製品を作る方法であって、
少なくとも1つの基準を備えるツーリングを提供するステップ、
ツーリングとの固定関係においてツーリング内にリソグラフィシステムのコンポーネントを配置するステップ、
少なくとも1つの基準上にフィーチャを3Dプリントするステップ、
少なくとも1つの基準上にプリントされたフィーチャの位置に基づいてプリントオフセットを決定するステップ、及び、
決定されたプリントオフセットを使用して、コンポーネント上に3Dプリントするステップ、
を含む、製品を作る方法。
【0074】
[0086] 上記説明では、本開示の教示が適用可能な半導体リソグラフィコンポーネントの主な例として光学構成要素を使用しているが、当業者であれば、本教示は、チャック及びレチクルサポートを含むウェーハサポートなどの他の半導体リソグラフィコンポーネント、及び、光ファイバ用のフェルールの作成にも適用可能であることが明らかとなろう。また、本書では、半導体リソグラフィ装置の使用について特に言及しているが、本明細書で説明する主題は、統合された光学システム、磁気領域メモリのためのパターンの誘導及び検出、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの、他の適用例を有し得ることを理解されたい。適用可能であれば、本明細書に記載の開示は、他の基板処理ツールに適用可能である。
【0075】
[0087] 以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は、説明された以外の方法で実施されてもよいことが理解されよう。上記の説明は、限定ではなく例示を意図したものである。したがって、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0076】
[0088] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0077】
[0089] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
【0078】
[0090] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。本明細書における表現又は用語は限定でなく例示による記載のためのものであるので、本明細書の表現又は用語は、当業者によって教示及び案内の観点から解釈されるべきであることは理解されよう。
【0079】
[0091] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。