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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】フォトポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/02 20060101AFI20220422BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20220422BHJP
   C08G 18/06 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
G03H1/02
C08F20/10
C08G18/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020543886
(86)(22)【出願日】2019-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2019005152
(87)【国際公開番号】W WO2019231117
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0063497
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】291,Daehak-ro Yuseong-gu,Daejeon 34141,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ホン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユシク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ライサ・カルバシュ
(72)【発明者】
【氏名】セ・ヒョン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンレ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ソクフン・ジャン
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-521254(JP,A)
【文献】特開2014-26116(JP,A)
【文献】特開2004-191919(JP,A)
【文献】特開2008-58838(JP,A)
【文献】国際公開第2015/129705(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/147285(WO,A1)
【文献】特開2017-3333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/00- 5/00
C08F20/10
C08G18/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物:
【化1】
前記化学式1において、
前記Xは炭素(C)、ケイ素(Si)または酸素(O)であり、
前記ZおよびZは互いに同一または異なり、それぞれ窒素(N)またはリン(P)であり、
前記R~R12は互いに同一または異なり、それぞれ水素、炭素数1~20のアルキル基;ハロゲン;ニトリル基;置換または非置換された炭素数1~20のアルコキシ基;置換または非置換された炭素数6~20のアリールオキシ基;または置換または非置換された炭素数6~20のアリール基であり、
前記nおよびmはそれぞれ0または1であり、前記Xが酸素であるとき前記nおよびmは0であり、
前記Anは陰イオンであり、
前記Arは炭素数1~20のアルキル基;ハロゲン;ニトリル基;炭素数1~20のアルコキシ基;炭素数6~20のアリールオキシ基および炭素数6~20のアリール基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で1以上置換または非置換された炭素数6~30の芳香族2価官能基であり、
前記Yは下記化学式2の官能基である、化合物:
【化2】
前記化学式2において、
はエーテル基またはエステルであり、
Arは炭素数1~20の脂肪族官能基またはハロゲンで1以上置換された炭素数6~20の芳香族官能基である。
【請求項2】
前記Anは、ハライド(Halide)イオン、シアノ(cyano)イオン、炭素数1~30のアルコキシ(alkoxy)イオン、炭素数1~30のアルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)イオン、スルホネートイオン、炭素数1~30のアルキルスルホネート(alkyl-sulfonate)イオン、置換または非置換された炭素数6~30の芳香族スルホネート(aromatic-sulfonate)イオン、炭素数1~30のアルキルスルファート(alkyl-sulfate)イオン、スルファートイオン、または置換または非置換された炭素数6~30の芳香族スルファート(aromatic-sulfate)イオンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式1において、
前記Xはケイ素(Si)であり、前記nおよびmは1であり、
前記ZおよびZはそれぞれ窒素(N)であり、
前記R~R 12 は互いに同一または異なり、それぞれ水素、炭素数1~20のアルキル基;またはハロゲン;であり、
前記Arは炭素数1~20のアルキル基またはハロゲンで1以上置換された炭素数6~20の芳香族2価官能基である、請求項1または2に記載の化合物
【請求項4】
高分子マトリックスまたはその前駆体;
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物を含む染料;
光反応性単量体;および
光開始剤;を含む、フォトポリマー組成物。
【請求項5】
前記高分子マトリックスまたはその前駆体は、1)1以上のイソシアネート基を含む化合物とポリオールとの間の反応生成物;または2)シラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート系(共)重合体およびシラン架橋剤を含む高分子マトリックス;を含む、請求項4に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項6】
前記シラン架橋剤は、重量平均分子量が100~2000である線状のポリエーテル主鎖および前記主鎖の末端または分枝鎖に結合したシラン系官能基を含む、請求項5に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項7】
前記シラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート系(共)重合体は、
シラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート繰り返し単位および(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み、
100,000~5,000,000の重量平均分子量を有する、請求項5または6に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項8】
前記光反応性単量体は、多官能(メタ)アクリレート単量体、または単官能(メタ)アクリレート単量体を含む、請求項4から7のいずれか一項に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項9】
前記高分子マトリックスまたはその前駆体1重量%~80重量%;前記光反応性単量体1重量%~80重量%;前記染料0.0001~10重量%;および光開始剤0.1重量%~20重量%;を含む、請求項4から8のいずれか一項に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項10】
触媒、ホスフェート系化合物および低屈折率フッ素系化合物からなる群より選ばれた1種以上をさらに含む、請求項4から9のいずれか一項に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項11】
前記低屈折率フッ素系化合物は、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群より選ばれた1種以上の官能基および2以上のジフルオロメチレン基を含む、請求項10に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項12】
ホログラム記録用に用いられる、請求項4から11のいずれか一項に記載のフォトポリマー組成物。
【請求項13】
請求項4から12のいずれか一項に記載のフォトポリマー組成物から製造された、ホログラム記録媒体。
【請求項14】
請求項13に記載のホログラム記録媒体を含む、光学素子。
【請求項15】
可干渉性光源によって請求項4から12のいずれか一項に記載のフォトポリマー組成物に含まれた光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年6月1日付韓国特許出願第10-2018-0063497号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、染料化合物、フォトポリマー組成物、ホログラム記録媒体、光学素子およびホログラフィック記録方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ホログラム(hologram)記録メディアは、露光過程により前記メディア内のホログラフィック記録層内の屈折率を変化させることによって情報を記録し、このように記録されたメディア内屈折率の変化を判読して情報を再生する。
【0004】
フォトポリマー(感光性樹脂、photopolymer)を利用する場合、低分子単量体の光重合によって光干渉パターンをホログラムとして容易に保存できるので、光学レンズ、ミラー、偏向ミラー、フィルタ、拡散スクリーン、回折部材、導光体、導波管、映写スクリーンおよび/またはマスクの機能を有するホログラフィック光学素子、光メモリシステムの媒質と光拡散板、光波長分割器、反射型、透過型カラーフィルタなど多様な分野に用いられる。
【0005】
通常ホログラム製造用フォトポリマー組成物は、高分子バインダ、単量体および光開始剤を含み、このような組成物から製造された感光性フィルムに対してレーザ干渉光を照射して局部的な単量体の光重合を誘導する。
【0006】
このような光重合過程において単量体が相対的に多く存在する部分では屈折率が高くなり、高分子バインダが相対的に多く存在する部分では屈折率が相対的に低くなり屈折率変調が生じ、このような屈折率変調により回折格子が生成される。屈折率変調値nはフォトポリマー層の厚さと回折効率(DE)の影響を受け、角度選択性は厚さが薄いほど広くなる。
【0007】
最近では高い回折効率と安定的にホログラムを維持できる材料の開発に対する要求とともに、薄い厚さを有しながらも屈折率変調値が大きいフォトポリマー層の製造のための多様な試みが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、新規な構造の化合物を提供する。
【0009】
また、本発明は、薄い厚さを有しながらも大きい屈折率変調値を具現し、相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮することができ、温度および湿度に対する耐久性が向上したホログラム記録媒体を提供できるフォトポリマー組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、薄い厚さを有しながらも大きい屈折率変調値を具現し、相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮することができ、温度および湿度に対する耐久性が向上したホログラム記録媒体を提供する。
【0011】
また、本発明は、ホログラム記録媒体を含む光学素子を提供する。
【0012】
また、本発明は、可干渉性のレーザによって前記ホログラム記録媒体に含まれた光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書では、新規な構造の化合物が提供される。このような化合物を染料として使用することができる。
【0014】
また、本明細書では、前記新規な構造の化合物を含むフォトポリマー組成物が提供される。
【0015】
また、本明細書では、前記フォトポリマー組成物から製造されたホログラム記録媒体が提供される。
【0016】
また、本明細書では、前記ホログラム記録媒体を含む光学素子が提供される。
【0017】
また、本明細書では、可干渉性光源によって前記フォトポリマー組成物に含まれた光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法が提供される。
【0018】
以下、発明の具体的な実施形態による新規な構造の化合物、フォトポリマー組成物、ホログラム記録媒体、光学素子、およびホログラフィック記録方法についてより詳細に説明する。
【0019】
本明細書において、(メタ)アクリレートはメタクリレートまたはアクリレートを意味する。
【0020】
本明細書において、(共)重合体は単独重合体または共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含む)を意味する。
【0021】
また、本明細書において、ホログラム(hologram)は、露光過程により全体可視範囲および近紫外線範囲(300~800nm)で光学的情報が記録された記録メディアを意味し、例えばインライン(ガボール(Gabor))ホログラム、オフアクシス(off-axis)ホログラム、完全アパーチャ(full-aperture)トランスファーホログラム、白色光透過ホログラム(「レインボーホログラム」)、デニシュク(Denisyuk)ホログラム、オフアクシス反射ホログラム、エッジ-リテラチュア(edge-literature)ホログラムまたはホログラフィーステレオグラム(stereogram)等の視覚的ホログラム(visual hologram)をすべて含む。
【0022】
本明細書において、アルキル基は直鎖または分枝鎖であり得、炭素数は特に限定されないが1~40であることが好ましい。一実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。他の一つの実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。他の一つの実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において、アルキレン基はアルカン(alkane)に由来した2価の官能基であり、例えば、直鎖状、分枝状または環状として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などでありうる。
【0024】
発明の一実施形態によれば、下記化学式1の化合物が提供される。
【0025】
【化1】
【0026】
前記化学式1において、
前記Xは炭素(C)、ケイ素(Si)または酸素(O)であり、
前記ZおよびZは互いに同一または異なり、それぞれ窒素(N)またはリン(P)であり、
前記R~R12は互いに同一または異なり、それぞれ水素、炭素数1~20のアルキル基;ハロゲン;ニトリル基;置換または非置換された炭素数1~20のアルコキシ基;置換または非置換された炭素数6~20のアリールオキシ基;または置換または非置換された炭素数6~20のアリール基であり、
前記nおよびmはそれぞれ0または1であり、前記Xが酸素であるとき前記nおよびmは0であり、
前記Anは陰イオンであり、
前記Arは炭素数1~20のアルキル基;ハロゲン;ニトリル基;炭素数1~20のアルコキシ基;炭素数6~20のアリールオキシ基および炭素数6~20のアリール基からなる群より選ばれた1種以上の官能基で1以上置換または非置換された炭素数6~30の芳香族2価官能基であり、
前記Yはカルボキシル基(-COOH)、エーテル基(-O-)またはエステル(-COO-)と芳香族基を含有した官能基であるか、または炭素数1~20の脂肪族官能基またはハロゲンで1以上置換された炭素数6~20の芳香族官能基である。
【0027】
本発明者らは、前記化学式1の化合物を新たに合成し、このような化学式1の化合物が上述した新規な構造により、高い蛍光収率や優れた耐光性を有し、向上した輝度および色再現率を具現することができ、またはホログラフィック媒体で高い屈折率変調を具現することができ、特に従来に知られている染料に比べてホログラフィック媒体に適用する際、相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮できることを実験により確認して発明を完成した。
【0028】
より具体的には、前記化学式1の化合物はホログラム記録媒体を提供するフォトポリマー組成物で染料として用いられる。
【0029】
前記化学式1において、それぞれの官能基に対する説明は上述したとおりである。
【0030】
前記化学式1の官能基のより具体的な例としては、
前記化学式1において、
前記Xはケイ素(Si)であり、
前記ZおよびZはそれぞれ窒素(N)であり、
前記nおよびmは1であり、
前記R~R12は互いに同一または異なり、それぞれ水素、炭素数1~20のアルキル基;またはハロゲン;であり、そのうち前記R~Rはそれぞれ炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。
【0031】
そして、前記Arは水素、炭素数1~20のアルキル基またはハロゲンで1以上置換された炭素数6~20の芳香族2価官能基であり得、
前記Yは下記化学式2の官能基でありうる。
【0032】
【化2】
【0033】
前記化学式2において、
はエーテル基またはエステルであり、
Arは炭素数1~20の脂肪族官能基またはハロゲンで1以上置換された炭素数6~20の芳香族官能基でありうる。
【0034】
また、前記化学式1において、前記Anはハライド(Halide)イオン、シアノ(cyano)イオン、炭素数1~30のアルコキシ(alkoxy)イオン、炭素数1~30のアルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)イオン、スルホネートイオン、炭素数1~30のアルキルスルホネート(alkyl-sulfonate)イオン、置換または非置換された炭素数6~30の芳香族スルホネート(aromatic-sulfonate)イオン、炭素数1~30のアルキルスルファート(alkyl-sulfate)イオン、スルファートイオン、または置換または非置換された炭素数6~30の芳香族スルファート(aromatic-sulfate)イオンでありうる。
【0035】
前記化学式1の化合物のより具体的な例としては、下記化学式3~5の化合物またはこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
【化3】
【0037】
一方、発明の他の実施形態によれば、高分子マトリックスまたはその前駆体;前記化学式1の化合物を含む染料;光反応性単量体;および光開始剤;を含む、フォトポリマー組成物が提供される。
【0038】
前述したように、本発明者らは、前記化学式1の化合物を新たに合成し、このような化学式1の化合物はホログラム記録媒体を提供するフォトポリマー組成物で染料として使用すると、薄い厚さの範囲でも高い屈折率変調値および高い回折効率を具現することができ、特に従来に知られている染料に比べてホログラフィック媒体に適用する際、相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮できることを実験により確認して発明を完成した。
【0039】
通常ホログラム記録媒体を提供するフォトポリマー組成物において、屈折率変調値および回折効率を上げるために使用する高分子マトリックスや記録単量体に一定の変化を与えたり特定の添加剤を使用するなどの方法が知られているが、上述した化学式1の化合物はそれほど高くない使用量を適用しても屈折率変調値および回折効率をより容易に向上させることができ、ホログラフィック媒体に適用する際、相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮することができる。
【0040】
前記化学式1の化合物に関する内容は上述したとおりである。
【0041】
一方、前記高分子マトリックスまたはその前駆体は、前記ホログラム記録媒体およびそれから製造された最終製品の支持体の役割をすることができ、前記光反応性単量体は、記録単量体としての役割をすることができ、これらの使用によりホログラフィック記録時前記高分子マトリックス上で前記光反応性単量体を選択的に重合し、屈折率が相異する部分による屈折率変調が現れうる。
【0042】
前記高分子マトリックスまたはその前駆体としては、ホログラム記録媒体を提供するフォトポリマー組成物において通常使用可能な化合物であれば、大きな制限なく使用することができる。
【0043】
前記高分子マトリックスまたはその前駆体の具体的な例としては、1)1以上のイソシアネート基を含む化合物とポリオールとの間の反応生成物;または2)シラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート系(共)重合体およびシラン架橋剤を含む高分子マトリックスでありうる。
【0044】
前記シラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート系(共)重合体およびシラン架橋剤を含む高分子マトリックスまたはその前駆体を含むフォトポリマー組成物から形成されるホログラムが、より薄い厚さの範囲でも従来に知られているホログラムに比べて大きく向上した屈折率変調値および優れた温度、湿度に対する耐久性を具現することができる。
【0045】
前記シラン架橋剤とシラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート系(共)重合体を含む高分子マトリックスまたはその前駆体を使用することにより、前記フォトポリマー組成物からコーティングフィルムやホログラムを製造する際に架橋密度が最適化され、従来マトリックスに比べて温度と湿度に対して優れた耐久性を確保することができる。それだけでなく、上述した架橋密度の最適化により、高い屈折率を有する光反応性単量体と低い屈折率を有する成分との間の流動性(mobility)を高め、そのため屈折率変調を極大化させて記録特性を向上させることができる。
【0046】
特に、シラン系官能基を含む変性(メタ)アクリレート系(共)重合体と末端のシラン系官能基を含むシラン架橋剤との間にはゾルゲル反応によりシロキサン結合を媒介とする架橋構造を容易に導入することができ、このようなシロキサン結合により温度と湿度に対して優れた耐久性を確保することができる。
【0047】
前記高分子マトリックス上で上述したシラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート系(共)重合体とシラン架橋剤は、それぞれ別個の成分として存在することができ、また、これらが互いに反応して形成される複合体の形態で存在することもできる。
【0048】
前記(メタ)アクリレート系(共)重合体でシラン系官能基が分枝鎖に位置することができる。前記シラン系官能基は、シラン官能基またはアルコキシシラン官能基を含み得、好ましくはアルコキシシラン官能基としてトリメトキシシラン基を使用することができる。
【0049】
前記シラン系官能基は、前記シラン架橋剤に含まれたシラン系官能基とゾルゲル反応によりシロキサン結合を形成して前記(メタ)アクリレート系(共)重合体とシラン架橋剤を架橋させることができる。
【0050】
前記シラン架橋剤は、分子当たり平均1個以上のシラン系官能基を有する化合物またはその混合物であり得、前記1以上のシラン系官能基を含む化合物でありうる。前記シラン系官能基は、シラン官能基またはアルコキシシラン官能基を含み得、好ましくはアルコキシシラン官能基としてトリエトキシシラン基を使用することができる。前記シラン系官能基は、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体に含まれたシラン系官能基とゾルゲル反応によりシロキサン結合を形成して前記(メタ)アクリレート系(共)重合体とシラン架橋剤を架橋させることができる。
【0051】
この時、前記シラン架橋剤は、前記シラン系官能基の当量が200g/個~1000g/個でありうる。そのため、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体とシラン架橋剤との間の架橋密度が最適化され、従来のマトリックスに比べて温度と湿度に対して優れた耐久性を確保することができる。それだけでなく、上述した架橋密度の最適化により、高い屈折率を有する光反応性単量体と低い屈折率を有する成分との間の流動性(mobility)を高めることで屈折率変調を極大化させて記録特性を向上させることができる。
【0052】
前記シラン架橋剤に含まれた前記シラン系官能基の当量が1000g/個以上で過度に増加すると、マトリックスの架橋密度低下によって記録後の回折格子の境界面が崩れ、緩い架橋密度および低いガラス転移温度によって単量体および可塑剤成分が表面に溶出されてヘイズを発生させうる。前記シラン架橋剤に含まれた前記シラン系官能基の当量が200g/個未満で過度に減少すると、架橋密度が過度に高くなりモノマーと可塑剤成分の流動性を阻害し、それによって記録特性が顕著に低くなる問題が発生しうる。
【0053】
より具体的には、前記シラン架橋剤は、重量平均分子量が100~2000、または300~1000、または300~700である線状のポリエーテル主鎖および前記主鎖の末端または分枝鎖に結合したシラン系官能基を含み得る。
【0054】
前記重量平均分子量が100~2000である線状のポリエーテル主鎖は下記化学式3で表される繰り返し単位を含み得る。
【0055】
[化学式3]
-(RO)-R
【0056】
前記化学式3において、Rは炭素数1~10のアルキレン基であり、nは1以上、または1~50、または5~20、または8~10の整数である。
【0057】
前記シラン架橋剤が柔軟なポリエーテルポリオールを主鎖として導入することによってマトリックスのガラス転移温度および架橋密度調整により成分の流動性を向上させることができる。
【0058】
一方、前記シラン系官能基とポリエーテル主鎖の結合は、ウレタン結合を媒介とすることができる。具体的には、前記シラン系官能基とポリエーテル主鎖はウレタン結合により相互間結合を形成することができ、より具体的には、前記シラン系官能基に含まれたケイ素原子がウレタン結合の窒素原子と直接または炭素数1~10のアルキレン基を媒介として結合し、前記ポリエーテル主鎖に含まれたR官能基がウレタン結合の酸素原子と直接結合することができる。
【0059】
このように前記シラン系官能基とポリエーテル主鎖がウレタン結合を媒介として結合するのは、前記シラン架橋剤がシラン系官能基を含むイソシアネート化合物と重量平均分子量が100~2000である線状のポリエーテルポリオール化合物との間の反応により製造された反応生成物であるからである。
【0060】
より具体的には、前記イソシアネート化合物は、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のモノ-イソシアネート、ジ-イソシアネート、トリ-イソシアネートまたはポリ-イソシアネート;またはウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビュレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有するジ-イソシアネートまたはトリイソシアネートのオリゴ-イソシアネートまたはポリ-イソシアネート;を含み得る。
【0061】
前記シラン系官能基を含むイソシアネート化合物の具体的な例としては、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0062】
また、前記ポリエーテルポリオールは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンの多重添加生成物とこれらの混合添加生成物およびグラフト生成物、そして多価アルコールまたはこれらの混合物の縮合によって収得されるポリエーテルポリオールおよび多価アルコール、アミンおよびアミノアルコールのアルコキシ化によって収得されるものである。
【0063】
前記ポリエーテルポリオールの具体的な例としては、1.5~6のOH官能度および200~18000g/モルの間の数平均分子量、好ましくは1.8~4.0のOH官能度および600~8000g/モルの数平均分子量、特に好ましくは1.9~3.1のOH官能度および650~4500g/モルの数平均分子量を有する、ランダムまたはブロック共重合体形態のポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびこれらの組み合わせ、またはポリ(テトラヒドロフラン)およびこれらの混合物である。
【0064】
このように、前記シラン系官能基とポリエーテル主鎖がウレタン結合を媒介として結合する場合、より容易にシラン架橋剤を合成することができる。
【0065】
前記シラン架橋剤の重量平均分子量(GPC測定)は、1000~5,000,000でありうる。重量平均分子量はGPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(単位:g/mol)を意味する。前記GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)等の検出器および分析用カラムを用い、通常適用される温度条件、溶媒、流速(flow rate)を適用することができる。前記測定条件の具体的な例として、30℃の温度、クロロホルム溶媒(Chloroform)および1mL/minの流速(flow rate)が挙げられる。
【0066】
一方、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体は、シラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート繰り返し単位および(メタ)アクリレート繰り返し単位を含み得る。
【0067】
シラン系官能基が分枝鎖に位置する(メタ)アクリレート繰り返し単位の例としては下記化学式1で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0068】
【化4】
【0069】
前記化学式1において、R~Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基であり、Rは水素または炭素数1~10のアルキル基であり、Rは炭素数1~10のアルキレン基である。
【0070】
好ましくは前記化学式1において、R~Rはそれぞれ独立して炭素数1のメチル基であり、Rは炭素数1のメチル基であり、Rは炭素数3のプロピレン基である、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(3-Methacryloxypropyltrimethoxysilane、KBM-503)由来の繰り返し単位またはR~Rはそれぞれ独立して炭素数1のメチル基であり、Rは水素であり、Rは炭素数3のプロピレン基である、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(3-Acryloxypropyltrimethoxysilane、KBM-5103)由来の繰り返し単位でありうる。
【0071】
また、前記(メタ)アクリレート繰り返し単位の例としては、下記化学式2で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0072】
【化5】
【0073】
前記化学式2において、Rは炭素数1~20のアルキル基であり、Rは水素または炭素数1~10のアルキル基であり、好ましくは前記化学式2において、Rは炭素数4のブチル基であり、Rは水素であるブチルアクリレート由来の繰り返し単位でありうる。
【0074】
前記化学式2の繰り返し単位:前記化学式1の繰り返し単位間のモル比は0.5:1~14:1でありうる。前記化学式1の繰り返し単位モル比が過度に減少すると、マトリックスの架橋密度が過度に低くなり支持体としての役割をすることができず、記録後の記録特性の減少が発生し得、前記化学式1の繰り返し単位モル比が過度に増加すると、マトリックスの架橋密度が過度に高くなり各成分の流動性が劣る。そのため屈折率変調値の減少が発生しうる。
【0075】
前記(メタ)アクリレート系(共)重合体の重量平均分子量(GPC測定)は、100,000~5,000,000、または300,000~900,000でありうる。重量平均分子量はGPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(単位:g/mol)を意味する。前記GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)等の検出器および分析用カラムを用い、通常適用される温度条件、溶媒、流速(flow rate)を適用することができる。前記測定条件の具体的な例として、30℃の温度、クロロホルム溶媒(Chloroform)および1mL/minの流速(flow rate)が挙げられる。
【0076】
一方、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体は、前記シラン系官能基の当量が300g/個~2000g/個、または500g/個~2000g/個、または550g/個~1800g/個、または580g/個~1600g/個、または586g/個~1562g/個でありうる。前記当量は、シラン官能基の間の分子量の平均値を意味し、前記当量値が小さいほど官能基の密度が高く、前記当量値が大きいほど官能基密度が小さくなる。
【0077】
そのため、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体とシラン架橋剤との間の架橋密度が最適化され、従来のマトリックスに比べて温度と湿度に対して優れた耐久性を確保することができる。それだけでなく、上述した架橋密度の最適化により、高い屈折率を有する光反応性単量体と低い屈折率を有する成分との間の流動性(mobility)を高めることで屈折率変調を極大化させて記録特性を向上させることができる。
【0078】
前記(メタ)アクリレート系(共)重合体に含まれた前記シラン系官能基の当量が300g/個未満で過度に減少すると、マトリックスの架橋密度が過度に高くなり成分の流動性を阻害し、それによって記録特性の減少が発生しうる。また、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体に含まれた前記シラン系官能基の当量が2000g/個超で過度に増加すると、架橋密度が低すぎて支持体としての役割をすることができなくなり記録後の生成された回折格子の境界面が崩れて屈折率変調値が時間の経過とともに減少しうる。
【0079】
一方、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体100重量部に対して、前記シラン架橋剤含有量が10重量部~90重量部、または20重量部~70重量部、または22重量部~65重量部でありうる。
【0080】
前記反応生成物において、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体100重量部に対して、前記シラン架橋剤含有量が過度に減少すると、マトリックスの硬化速度が顕著に遅くなり、支持体としての機能を失って記録後の回折格子の境界面が崩れやすく、前記反応生成物において、前記(メタ)アクリレート系(共)重合体100重量部に対して、前記シラン架橋剤含有量が過度に増加すると、マトリックスの硬化速度は速やかになるが、反応性シラン基含有量の過度な増加により他の成分との相溶性問題が発生してヘイズが発生する。
【0081】
また、前記反応生成物のモジュラス(貯蔵弾性率)が0.01MPa~5MPaでありうる。前記モジュラス測定方法の具体的な例として、TA InstrumentsのDHR(discovery hybrid rheometer)装備を用いて常温(20℃~25℃)で1Hzの周波数(frequency)で貯蔵弾性率(storage modulus)(G’)値を測定することができる。
【0082】
また、前記反応生成物のガラス転移温度が-40℃~10℃でありうる。前記ガラス転移温度測定方法の具体的な例として、DMA(dynamic mechanical analysis)測定装備を用いて歪み(strain)0.1%、周波数(frequency)1Hz、昇温速度5℃/minの設定条件で-80℃~30℃領域で光重合組成物がコートされたフィルムの位相角(phase angle)(損失弾性率、Loss modulus)変化を測定する方法が挙げられる。
【0083】
前記高分子マトリックスまたはその前駆体の他の一例として、1以上のイソシアネート基を含む化合物とポリオールとの間の反応生成物を含む高分子マトリックスが挙げられる。
【0084】
前記1以上のイソシアネート基を含む化合物は、分子当たり平均1個以上のNCO官能基を有する公知の化合物またはその混合物であり得、前記1以上のイソシアネート基を含む化合物でありうる。
【0085】
より具体的には、前記1以上のイソシアネート基を含む化合物は、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のモノ-、ジ-、トリ-またはポリ-イソシアネートである。また、前記1以上のイソシアネート基を含む化合物は、ウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビュレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有する単量体型ジ-および/またはトリイソシアネートの比較的分子量が大きい2次産物(オリゴ-およびポリイソシアネート)でありうる。
【0086】
前記1以上のイソシアネート基を含む化合物の具体的な例としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび任意の要望される異性体含有量を有するその混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4’-または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン4,4’,4”-トリイソシアネートなどが挙げられる。
【0087】
前記1以上のイソシアネート基を含む化合物と反応して高分子マトリックスを形成するポリオールは、2~20炭素数を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジオール、トリオールおよび/または高級ポリオールでありうる。
【0088】
前記ポリオールは、300g/mol~10,000g/molの水酸基当量と100,000~1,500,0000g/molの重量平均分子量を有することができる。
【0089】
前記ジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオール位置異性体、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネートがある。
【0090】
また、前記トリオールの例としてはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールがある。適する多官能性アルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。
【0091】
また、前記ポリオールとしては比較的大きい分子量の脂肪族および脂環式ポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒドロキシ-官能性アクリル樹脂、ヒドロキシ-官能性ポリウレタン、ヒドロキシ-官能性エポキシ樹脂などを使用することができる。
【0092】
前記ポリエステルポリオールは、例えばエタンジオール、ジ-、トリ-またはテトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジ-、トリ-またはテトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールまたはこれらの混合物などの多価アルコールを用い、任意にトリメチロールプロパンまたはグリセロールのようにより高い官能性のポリオールを同時に使用し、例えばコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸、および酸無水物、例えばo-フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物、またはこれらの混合物などの脂肪族、脂環式または芳香族のジ-またはポリカルボン酸またはその無水物から公知の方式で製造され得るような、線状ポリエステルジオールである。もちろん、脂環式および/または芳香族のジ-およびポリヒドロキシ化合物もポリエステルポリオールの製造のための多価アルコールとして適する。遊離ポリカルボン酸の代わりに、低級アルコールの相応するポリカルボン無水物または相応するポリカルボキシレート、またはこれらの混合物をポリエステル製造に使用することも可能である。
【0093】
また、前記高分子マトリックスの合成に用いられるポリエステルポリオールとしてはラクトンの単一-または共重合体があり、これは好ましくはブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトンなどのラクトンまたはラクトン混合物の、例えばポリエステルポリオール用合成成分として前記言及された小さい分子量の多価アルコールなどの適する2官能性および/またはより高い官能性の開始剤分子との添加反応によって収得される。
【0094】
また、ヒドロキシル基を有するポリカーボネートも予備重合体合成のためのポリヒドロキシ成分として適するが、例えばジオール、例えば1,4-ブタンジオールおよび/または1,6-ヘキサンジオールおよび/または3-メチルペンタンジオールの、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンとの反応によって製造されうるものである。
【0095】
また、前記高分子マトリックスの合成に用いられるポリエーテルポリオールは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンの多重添加生成物とこれらの混合添加生成物およびグラフト生成物、そして多価アルコールまたはこれらの混合物の縮合によって収得されるポリエーテルポリオールおよび多価アルコール、アミンおよびアミノアルコールのアルコキシ化によって収得されるものである。前記ポリエーテルポリオールの具体的な例としては、1.5~6のOH官能度および200~18000g/モルの間の数平均分子量、好ましくは1.8~4.0のOH官能度および600~8000g/モルの数平均分子量、特に好ましくは1.9~3.1のOH官能度および650~4500g/モルの数平均分子量を有する、ランダムまたはブロック共重合体形態のポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)およびこれらの組み合わせ、またはポリ(テトラヒドロフラン)およびこれらの混合物である。
【0096】
一方、前記光反応性単量体は、多官能(メタ)アクリレート単量体または単官能(メタ)アクリレート単量体を含み得る。
【0097】
前述したように、前記フォトポリマー組成物の光重合過程で単量体が重合されてポリマーが相対的に多く存在する部分では屈折率が高くなり、高分子バインダが相対的に多く存在する部分では屈折率が相対的に低くなり屈折率変調が生じ、このような屈折率変調により回折格子が生成される。
【0098】
具体的には、前記光反応性単量体の一例としては、(メタ)アクリレート系α、β-不飽和カルボン酸誘導体、例えば(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルまたは(メタ)アクリル酸などや、またはビニル基(vinyl)またはチオール基(thiol)を含む化合物が挙げられる。
【0099】
前記光反応性単量体の一例として、屈折率が1.5以上、または1.53以上、または1.5~1.7である多官能(メタ)アクリレート単量体が挙げられ、このような屈折率が1.5以上、または1.53以上、または1.5~1.7である多官能(メタ)アクリレート単量体はハロゲン原子(臭素(bromine)、ヨウ素(iodine)など)、硫黄(S)、リン(P)、または芳香族環(aromatic ring)を含み得る。
【0100】
前記屈折率が1.5以上である多官能(メタ)アクリレート単量体のより具体的な例としては、ビスフェノールA変性ジアクリレート(bisphenol A modified diacrylate)系、フルオレンアクリレート(fluorene acrylate)系(HR6022等-Miwon社)、ビスフェノールフルオレンエポキシアクリレート(bisphenol fluorene epoxy acrylate)系(HR6100,HR6060,HR6042等-Miwon社)、ハロゲン化エポキシアクリレート(Halogenated epoxy acrylate)系(HR1139,HR3362等-Miwon社)などが挙げられる。
【0101】
前記光反応性単量体の他の一例としては単官能(メタ)アクリレート単量体が挙げられる。前記単官能(メタ)アクリレート単量体は、分子内部にエーテル結合およびフルオレン官能基を含み得、このような単官能(メタ)アクリレート単量体の具体的な例としては、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールエチレンオキシド(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、またはビフェニルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0102】
一方、前記光反応性単量体としては、50g/mol~1000g/mol、または200g/mol~600g/molの重量平均分子量を有することができる。前記重量平均分子量はGPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0103】
一方、前記実施形態のフォトポリマー組成物は、光開始剤をさらに含み得る。前記光開始剤は光または化学放射線によって活性化する化合物であり、前記光反応性単量体など光反応性官能基を含有した化合物の重合を開始する。
【0104】
前記光開始剤としては通常知られている光開始剤を大きな制限なく使用できるが、その具体的な例としては光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、または光アニオン重合開始剤が挙げられる。
【0105】
前記光ラジカル重合開始剤の具体的な例としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N-アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン、アルミネート錯体、有機過酸化物、N-アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体、アミン誘導体などが挙げられる。より具体的には、前記光ラジカル重合開始剤としては1,3-ジ(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン(1,3-di(t-butyldioxycarbonyl)benzophenone)、3,3’,4,4”-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン(3,3’,4,4”-tetrakis(t-butyldioxycarbonyl)benzophenone)、3-フェニル-5-イソオキサゾリン(3-phenyl-5-isoxazolone)、2-メルカプトベンズイミダゾール(2-mercapto benzimidazole)、ビス(2,4,5-トリフェニル)イミダゾール(bis(2,4,5-triphenyl)imidazole)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(2,2-dimethoxy-1,2-diphenylethane-1-one、製品名:Irgacure 651/製造会社:BASF)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(1-hydroxy-cyclohexyl-phenyl-ketone、製品名:Irgacure 184/製造会社:BASF)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1(2-benzyl-2-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-butanone-1、製品名:Irgacure 369/製造会社:BASF)、およびビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタン(bis(η5-2,4-cyclopentadiene-1-yl)-bis(2,6-difluoro-3-(1H-pyrrole-1-yl)-phenyl)titanium、製品名:Irgacure 784製造会社:BASF)、Ebecryl P-115(製造会社:SK entis)などが挙げられる。
【0106】
前記光カチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩(diazonium salt)、スルホニウム塩(sulfonium salt)、またはヨードニウム塩(iodonium salt)が挙げられ、例えばスルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル-4-ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸-p-ニトロベンジルエステル、シラノール-アルミニウム錯体、(η6-ベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)などが挙げられる。また、ベンゾイントシレート、2,5-ジニトロベンジルトシレート、N-トシルフタル酸イミドなども挙げられる。前記光カチオン重合開始剤のより具体的な例としては、Cyracure UVI-6970、Cyracure UVI-6974およびCyracure UVI-6990(製造会社:Dow Chemical Co.in USA)やIrgacure 264およびIrgacure 250(製造会社:BASF)またはCIT-1682(製造会社:Nippon Soda)等の市販製品が挙げられる。
【0107】
前記光アニオン重合開始剤としては、ボレート塩(Borate salt)が挙げられ、例えばブチリルコリンブチルトリフェニルボレート(butyryl choline butyltriphenylborate)などが挙げられる。前記光アニオン重合開始剤のより具体的な例としては、Borate V(製造会社:Spectra group)等の市販製品が挙げられる。
【0108】
また、前記実施形態のフォトポリマー組成物は、一分子(類型I)または二分子(類型II)開始剤を使用することもできる。前記フリーラジカル光重合のための(類型I)システムは、例えば3次アミンと組合わせた芳香族ケトン化合物、例えばベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記類型の混合物である。前記二分子(類型II)開始剤としては、ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシルエステル、カンファーキノン、α-アミノアルキルフェノン、α,α-ジアルコキシアセトフェノン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)およびα-ヒドロキシアルキルフェノンなどが挙げられる。
【0109】
前記実施形態のフォトポリマー組成物は、前記高分子マトリックスまたはその前駆体1重量%~80重量%;前記光反応性単量体1重量%~80重量%;前記染料0.0001~10重量%;および光開始剤0.1重量%~20重量%;を含み得る。後述するように、前記フォトポリマー組成物が有機溶媒をさらに含む場合、上述した成分の含有量はこれら成分の総和(有機溶媒を除いた成分の総和)を基準とする。
【0110】
一方、前記フォトポリマー組成物は、触媒、ホスフェート系化合物および低屈折率フッ素系化合物からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。
【0111】
前記ホスフェート系化合物および低屈折率フッ素系化合物は、光反応性単量体に比べて低い屈折率を有しており、高分子マトリックスの屈折率を低くしてフォトポリマー組成物の屈折率変調を極大化させることができる。しかも、前記ホスフェート系化合物は可塑剤の役割をし、前記高分子マトリックスのガラス転移温度を低くして光反応性単量体と低屈折成分の流動性(mobility)を高め、フォトポリマー組成物の成形性向上にも寄与することができる。
【0112】
より具体的には、前記低屈折率フッ素系化合物は、反応性が殆どない安定性を有し、かつ低屈折特性を有するので、前記フォトポリマー組成物内に添加時の高分子マトリックスの屈折率をより低くすることができ、モノマーとの屈折率変調を極大化させることができる。
【0113】
前記フッ素系化合物は、エーテル基、エステル基およびアミド基からなる群より選ばれた1種以上の官能基および2以上のジフルオロメチレン基を含み得る。より具体的には、前記フッ素系化合物は2個のジフルオロメチレン基間の直接結合またはエーテル結合を含む中心官能基の両末端にエーテル基を含む官能基が結合した下記化学式4の構造を有することができる。
【0114】
【化6】
【0115】
前記化学式4において、R11およびR12はそれぞれ独立してジフルオロメチレン基であり、R13およびR16はそれぞれ独立してメチレン基であり、R14およびR15はそれぞれ独立してジフルオロメチレン基であり、R17およびR18はそれぞれ独立してポリアルキレンオキシド基であり、mは1以上、または1~10、または1~3の整数である。
【0116】
好ましくは前記化学式4において、R11およびR12はそれぞれ独立してジフルオロメチレン基であり、R13およびR16はそれぞれ独立してメチレン基であり、R14およびR15はそれぞれ独立してジフルオロメチレン基であり、R17およびR18はそれぞれ独立して2-メトキシエトキシメトキシ基であり、mは2の整数である。
【0117】
前記フッ素系化合物は、屈折率が1.45未満、または1.3以上1.45未満でありうる。前述したように光反応性単量体が1.5以上の屈折率を有するので、前記フッ素系化合物は光反応性単量体より低い屈折率により、高分子マトリックスの屈折率をより低くすることができ、モノマーとの屈折率変調を極大化させることができる。
【0118】
具体的には、前記フッ素系化合物含有量は、光反応性単量体100重量部に対して、30重量部~150重量部、または50重量部~110重量部でありうる。
【0119】
前記フッ素系化合物含有量は、光反応性単量体100重量部に対して過度に減少すると、低屈折成分の不足により記録後の屈折率変調値が低くなり、前記フッ素系化合物含有量が光反応性単量体100重量部に対して過度に増加すると、その他成分との相容性問題によりヘイズが発生したり一部フッ素系化合物がコート層の表面に溶出する問題が発生しうる。
【0120】
前記フッ素系化合物は、重量平均分子量(GPC測定)が300以上、または300~1000でありうる。重量平均分子量測定の具体的な方法は上述したとおりである。
【0121】
一方、前記ホスフェート系化合物の具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスファート、クレシルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェートなどが挙げられる。
【0122】
前記ホスフェート系化合物は、上述したフッ素系化合物と共に1:5~5:1の重量比率で添加することができる。前記ホスフェート系化合物は、屈折率が1.5未満であり、分子量が700以下でありうる。
【0123】
前記フォトポリマー組成物は、その他の添加剤、触媒などをさらに含み得る。例えば、前記フォトポリマー組成物は、前記高分子マトリックスや光反応性単量体の重合を促進するために通常知られている触媒を含み得る。前記触媒の例としては、スズオクタノエート、亜鉛オクタノエート、ジブチルスズジラウレート、ジメチルビス[(1-オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、ジメチルスズジカルボキシレート、ジルコニウムビス(エチルヘキサノエート)、ジルコニウムアセチルアセトネート、p-トルエンスルホン酸(p-toluenesulfonic acid)または3級アミン、例えば1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-1-メチル-2H-ピリミド(1,2-a)ピリミジンなどが挙げられる。
【0124】
前記その他の添加剤の例としては消泡剤が挙げられ、前記消泡剤としてはシリコン系反応性添加剤を使用することができ、その例としてTego Rad 2500が挙げられる。
【0125】
一方、前記実施形態のフォトポリマー組成物は、上述した化学式1の化合物に追加し、これと相異する光反応性染料をさらに含み得る。
【0126】
前記光感応染料は、前記光開始剤を増減させる増減色素の役割をするが、より具体的には、前記光感応染料は光重合体組成物に照射された光によって刺激され、モノマーおよび架橋モノマーの重合を開始する開始剤の役割も共にすることができる。
【0127】
前記化学式1の化合物と相異する光感応染料の例は大きく限定されるものではなく、通常知られている多様な化合物を使用することができる。前記光感応染料の具体的な例としては、セラミドニンのスルホニウム誘導体(sulfonium derivative)、ニューメチレンブルー(new methylene blue)、チオエリスロシントリエチルアンモニウム(thioerythrosine triethylammonium)、6-アセチルアミノ-2-メチルセラミドニン(6-acetylamino-2-methylceramidonin)、エオシン(eosin)、エリスロシン(erythrosine)、ローズベンガル(rose bengal)、チオニン(thionine)、ベーシックイエロー(baseic yellow)、ピナシアノールクロリド(Pinacyanol chloride)、ローダミン6G(rhodamine 6G)、ガロシアニン(gallocyanine)、エチルバイオレット(ethyl violet)、ビクトリアブルーR(Victoria blue R)、セレスチンブルー(Celestine blue)、キナルジンレッド(Quinaldine Red)、クリスタルバイオレット(crystal violet)、ブリリアントグリーン(Brilliant Green)、アストラゾンオレンジG(Astrazon orange G)、ダローレッド(darrow red)、ピロニンY(pyronin Y)、ベーシックレッド29(basic red 29)、ピリリウムI(pyrylium iodide)、サフラニンO(Safranin O)、シアニン、メチレンブルー、アズールA(Azure A)、またはこれらの2以上の組み合わせが挙げられる。
【0128】
一方、前記ホログラム記録媒体の製造時には有機溶媒が用いられる。前記有機溶媒の非制限的な例としては、ケトン類、アルコール類、アセテート類およびエーテル類、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0129】
このような有機溶媒の具体的な例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンまたはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、またはt-ブタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、i-プロピルアセテート、またはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0130】
前記有機溶媒は、前記ホログラム記録媒体を製造するためのフォトポリマー組成物に含まれる各成分を混合する時期に添加されたり各成分が有機溶媒に分散または混合された状態で添加されることにより、前記フォトポリマー組成物に含まれ得る。前記フォトポリマー組成物のうち有機溶媒の含有量が過度に小さいと、前記フォトポリマー組成物の流れ性が低下して最終的に製造されるフィルムに縞模様が生じるなど不良が発生しうる。また、前記有機溶媒の過量添加時には固形分含有量が低くなり、コーティングおよび成膜が十分でなくフィルムの物性や表面特性が低下し得、乾燥および硬化過程で不良が発生しうる。そのため、前記フォトポリマー組成物は、含まれる成分の全体固形分の濃度が1重量%~70重量%、または2重量%~50重量%になるように有機溶媒を含み得る。
【0131】
一方、前記ホログラム記録媒体は、5μm~30μmの厚さでも0.020以上または0.021以上、0.025以上、または0.027以上、または前記下限値のいずれか一つないし0.035の屈折率変調値(n)を具現することができる。
【0132】
また、前記ホログラム記録媒体は、5μm~30μmの厚さで50%以上、または85%以上、または85~99%の回折効率を具現することができる。
【0133】
前記ホログラム記録媒体を製造するためのフォトポリマー組成物は、これに含まれるそれぞれの成分を均一に混合して20℃以上の温度で乾燥および硬化をした以後に、所定の露光過程を経て全体可視範囲および近紫外線領域(300~800nm)での光学的適用のためのホログラムに製造することができる。
【0134】
前記フォトポリマー組成物のうち高分子マトリックスまたはその前駆体を形成する成分をまず均質に混合し、上述したシラン架橋剤を後に触媒とともに混合してホログラムの形成過程を準備することができる。
【0135】
前記フォトポリマー組成物は、これに含まれるそれぞれの成分の混合には通常知られている混合機、攪拌機またはミキサーなどを格別な制限なく使用することができ、前記混合過程での温度は、0℃~100℃、好ましくは10℃~80℃、特に好ましくは20℃~60℃でありうる。
【0136】
一方、前記フォトポリマー組成物のうち高分子マトリックスまたはその前駆体を形成する成分をまず均質に混合した後、20℃以上の温度で硬化する液体配合物になる。前記硬化の温度は、前記フォトポリマーの組成に応じて変わり、例えば30℃~180℃の温度で加熱することによって促進される。
【0137】
前記硬化時には前記フォトポリマーが所定の基板やモールドに注入されたりコーティングされた状態でありうる。
【0138】
一方、前記フォトポリマー組成物から製造されたホログラム記録媒体に視覚的ホログラムの記録する方法は、通常知られている方法を大きな制限なく使用することができ、後述する実施形態のホログラフィック記録方法で説明する方法を一つの例として採用することができる。
【0139】
一方、発明のまた他の実施形態によれば、可干渉性のレーザによって前記フォトポリマー組成物に含まれた光反応性単量体を選択的に重合させる段階を含む、ホログラフィック記録方法を提供することができる。
【0140】
前述したように、前記フォトポリマー組成物を混合および硬化する過程により視覚的ホログラムが記録されない状態の媒体を製造することができ、所定の露光過程により前記媒体上に視覚的ホログラムを記録することができる。
【0141】
前記フォトポリマー組成物を混合および硬化する過程により提供される媒体に、通常知られている条件下に公知の装置および方法を用いて視覚的ホログラムを記録することができる。
【0142】
一方、発明のまた他の実施形態によれば、ホログラム記録媒体を含む光学素子を提供することができる。
【0143】
前記光学素子の具体的な例としては、光学レンズ、ミラー、偏向ミラー、フィルタ、拡散スクリーン、回折部材、導光体、導波管、映写スクリーンおよび/またはマスクの機能を有するホログラフィック光学素子、光メモリシステムの媒質と光拡散板、光波長分割器、反射型、透過型カラーフィルタなどが挙げられる。
【0144】
前記ホログラム記録媒体を含む光学素子の一例としてホログラムディスプレイ装置が挙げられる。
【0145】
前記ホログラムディスプレイ装置は、光源部、入力部、光学系および表示部を含む。前記光源部は、入力部および表示部で物体の3次元映像情報を提供、記録および再生するのに使用されるレーザビームを照射する部分である。また、前記入力部は表示部に記録する物体の3次元映像情報をあらかじめ入力する部分であり、例えば、電気駆動液晶SLM(electrically addressed liquid crystal SLM)に空間別光の強さと位相のような物体の3次元情報を入力することができ、この時、入力ビームが用いられる。前記光学系は、ミラー、偏光器、ビームスプリッタ、ビームシャッター、レンズなどで構成され得、前記光学系は、光源部から放出されるレーザビームを入力部に送る入力ビーム、表示部に送る記録ビーム、基準ビーム、消去ビーム、読み出しビームなどに分配することができる。
【0146】
前記表示部は、入力部から物体の3次元映像情報の伝達を受けて光学駆動SLM(optically addressed SLM)からなるホログラムプレートに記録し、物体の3次元映像を再生することができる。この時、入力ビームと基準ビームの干渉により物体の3次元映像情報を記録することができる。前記ホログラムプレートに記録された物体の3次元映像情報は読み出しビームが生成する回折パターンによって3次元映像で再生することができ、消去ビームは形成された回折パターンを速やかに除去するために用いることができる。一方、前記ホログラムプレートは3次元映像を入力する位置と再生する位置との間で移動することができる。
【発明の効果】
【0147】
本発明によれば、新規な構造の化合物と、薄い厚さを有しながらも大きい屈折率変調値を具現して相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮することができ、温度および湿度に対する耐久性が向上したホログラム記録媒体を提供できるフォトポリマー組成物と、薄い厚さを有しながらも大きい屈折率変調値を具現して相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮することができ、温度および湿度に対する耐久性が向上したホログラム記録媒体、それを含む光学素子、および前記ホログラム記録媒体を用いたホログラフィック記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0148】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0149】
[製造例]
製造例1:染料化合物の合成
(1)3-ブロモ-N,N-ジメチルアニリン(3-Bromo-N,N-dimethylaniline)(化合物2)の製造
【化7】
【0150】
28ml 3M硫酸を37%ホルムアルデヒド(formaldehyde)が含まれている130mlのテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)水溶液に添加した。前記混合物を0℃に冷却させ、10分間さらに攪拌した。
【0151】
前記攪拌した後、0℃で3-ブロモアニリン(3-Bromoaniline;8g、0.0465mol)を滴加し、温度を0℃に維持しながら固体NaBH(7g、0.1860mol)を添加した。前記生成された混合物を室温に加温させ、1時間攪拌した。次いで、180mlの飽和した炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、反応混合物を50mlジクロロメタン(dichloromethane)で合計3回抽出した。前記得られた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過した後、溶媒を真空で除去した。
【0152】
収率:8.84g(95%)。
1H NMR (CDCl3) : 7.10-7.06 (1H, t, Ar), 6.84-6.81 (2H, m, Ar), 6.64-6.61 (1H, d, Ar), 2.94 (6H, s, 2CH3).
【0153】
(2)3,3’-(ジメチルシランジイル)-ビス(N,N-ジメチルアニリン)(3,3’-(Dimethylsilanediyl)-bis(N,N-dimethylaniline))(化合物4)の製造
【化8】
【0154】
3-ブロモジメチルアニリン(2番生成物;7g、0.0352mol)が溶けている60mlのジエチルエーテル溶液(diethyl ether)を0℃に冷却させ、窒素下でn-BuLi(2.4 M n-ヘキサン溶液、15.4ml、0.0369mol)を添加した。
【0155】
前記反応物を0℃で2時間攪拌し、ジクロロジメチルシラン(Dichlorodimethylsilane;2.5ml、0.0211mol)が溶解しているジエチルエーテル10mlを反応物に滴加した。前記混合物をゆっくり室温に加温して24時間攪拌した。以後、50mlの水を添加して水性層をエチルエーテルで抽出し、得られた有機層を収集して硫酸マグネシウム上で乾燥させた。建造物で溶媒を真空下に除去し、残留水をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EA:9/1)で精製した。
【0156】
収率:2.7g(52%)。
1H NMR (CDCl3): 7.25-7.21 (2 H, t, Ar), 6.94-6.90 (4 H, m, Ar), 6.77-6.74 (2 H, d, Ar), 2.91 (12 H, s, 4CH3), 0.53 (6 H, s, 2CH3).
【0157】
(3)2,4-ジブロモフェニル4-ホルミルベンゾエート(2,4-Dibromophenyl 4-formylbenzoate)(化合物6)の製造
【化9】
【0158】
室温でテレフタルアルデヒド酸(5番開始物;1g、0.0066mol)が溶解している20mlのジクロロメタン溶液にN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(N,N’-dicyclohexylcarbodiimide)(DCC、1.9g、0.0093mol)および4-ジメチルアミノピリジン(4-Dimethylaminopyridine)(DMAP、0.08g、0.0006mol)を添加した。その後、2,4-ジブロモフェノール(2,4-dibromophenol;1.6g、0.0066mol)を添加し、反応物を室温で24時間攪拌した後沈殿物を濾過した。前記得られたろ液を真空濃縮させて残留物を20mlのエタノールで30分間攪拌した後、濾過して乾燥させた。
【0159】
収率:2.2g(88%)。
1H NMR (CDCl3): 10.16 (1H, s, CHO), 8.41-8.38 (2H, d, Ar), 8.06-8.03 (2H, d, Ar), 7.83 (1H, s, Ar), 7.55-7.51 (1H, d, Ar), 7.21-7.18 (1H, d, Ar).
【0160】
(4)N-(10-(4-((2,4-ジブロモフェノキシ)カルボニル)フェニル)-7-(ジメチルアミノ)-5,5-ジメチルジベンゾ[b,e]シリン-3(5H)-イリデン)-p-メチルベンゼンスルホン酸塩(N-(10-(4-((2,4-dibromophenoxy)carbonyl)phenyl)-7-(dimethylamino)-5,5-dimethyldibenzo[b、e]silin-3(5H)-ylidene)-p-methylbenzenesulfonate salt)(化合物7の染料、Silarhodamine Dye)の製造
【化10】
【0161】
5mlエチレングリコール(ethylene glycol)に4番中間体(0.5g、0.0016mol)、6番中間体(0.64g、0.0016mol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(p-toluenesulfonic acid monohydrate;0.3g、0.0016mol)を圧力管に入れて密封して140℃で12時間加熱した。前記加熱した後反応物を室温で冷却し、メタノール5ml、ジクロロメタン5mlおよびクロラニル(chloranil;0.47g(0.0019mol)を添加して室温で1時間攪拌した。そして、50ml水を添加して生成物を20mlジクロロメタンで合計3回にわたって抽出した。その後得られた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させて濾過して真空濃縮させた。残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl/EA/MeOH:7/2/1)で精製してテトラヒドロフランから再結晶させた。
【0162】
収率:0.2g(20%)。
1H NMR (CDCl3): 8.40-8.37 (2 H, d, Ar), 7.85-7.81 (3 H, m, Ar), 7.57-7.53 (1 H, d, Ar), 7.45-7.42 (2 H, d, Ar), 7.25-7.21 (2 H, m, Ar), 7.10-7.03 (4 H, m, Ar), 6.67-6.63 (2 H, d, Ar), 3.40 (12 H, s, 4CH3), 2.30 (3 H, s, CH3), 0.64 (6 H, s, 2CH3).
【0163】
2)UV-VIS スペクトル(spectrum):λmax=657nm
UV-Vis分光光度計(Spectrophotometer)を用いてメチルエチルケトン(MEK)溶媒に合成した染料を0.001wt%に希釈して380nm~780nm波長(wavelength)領域の吸収率(Absorbance)(%)を測定して最大吸収波長を求めた。
【0164】
製造例2:非反応性低屈折物質(P-1)の製造
1000mlフラスコに2,2’-((オキシビス(1,1,2,2-テトラフルオロエタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(2,2-ジフルオロエタン-1-オール)(2,2’-((oxybis(1,1,2,2-tetrafluoroethane-2,1-diyl))bis(oxy))bis(2,2-difluoroethan-1-ol))20.51gを入れた後、テトラヒドロフラン500gに溶かして0℃で攪拌しながら水素化ナトリウム(sodium hydride)(60% 分散液、鉱油(mineral oil)中)4.40gを数回にわたって注意深く添加した。0℃で20分攪拌した後、2-メトキシエトキシメチルクロリド(2-methoxyethoxymethyl)chloride 12.50mlをゆっくり滴下(dropping)した。H NMRで反応物がすべて消耗したことが確認されると、減圧して反応溶媒をすべて除去した。ジクロロメタン300gで3回抽出して有機層を集めた後硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)でフィルタした後減圧してジクロロメタンをすべて除去して純度95%以上の液状生成物29gを98%の収率で収得した。
【0165】
製造例3:シラン系官能基が分枝鎖に位置した(メタ)アクリレート系(共)重合体の製造
2Lジャケット反応器にブチルアクリレート69.3g、KBM-503(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)20.7gを入れて酢酸エチル700gで希釈した。約70℃に反応温度を設定し、約1時間程度攪拌を行った。n-ドデシルメルカプタン0.02gを追加で入れ、30分程度さらに攪拌を行った。その後、重合開始剤であるAIBN 0.06gを入れ、反応温度で4時間以上重合を行って残留アクリレート含有量が1%未満になるまで維持し、シラン系官能基が分枝鎖に位置した(メタ)アクリレート系(共)重合体(重量平均分子量約900,000、Si-(OR)当量1019g/個)を製造した。
【0166】
製造例4:シラン架橋剤の製造
1000mlフラスコにKBE-9007(3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン)19.79g、PEG-400 12.80gとDBTDL 0.57gを入れ、テトラヒドロフラン300gで希釈した。TLCで反応物がすべて消耗したことが確認されるまで常温で攪拌した後、減圧して反応溶媒をすべて除去した。
【0167】
ジクロロメタン:メチルアルコール=30:1の展開液条件下でカラムクロマトグラフィーにより純度95%以上の液状生成物28gを91%の収率で分離してシラン架橋剤を得た。
【0168】
[実施例および比較例:フォトポリマー組成物の製造]
下記表1に記載されたように、前記製造例3のシラン系官能基が分枝鎖に位置した(メタ)アクリレート系(共)重合体、光反応性単量体(高屈折アクリレート、屈折率1.600,HR6022[MIWON])、製造例2の非反応性低屈折物質、トリブチルホスフェート(Tributyl phosphate[TBP],分子量266.31,屈折率1.424,シグマアルドリッチ社製)、Ethyl VioletおよびEosin(染料、シグマアルドリッチ社製)、前記製造例1の化合物7(Red感光用Dye,λmax=357nm)およびNew Methylene Blue N(Aldrich)およびVictoria Pure Blue BO(Aldrich)、Ebecryl P-115(SK entis)、Borate V(Spectra group)、Irgacure 250(Onium salt,BASF)およびメチルイソブチルケトン(MIBK)を光を遮断した状態で混合し、ペースト(Paste)ミキサーで約10分間攪拌して透明なコート液を収得した。
【0169】
前記コート液に前記製造例4の上述したシラン架橋剤を添加して5~10分間さらに攪拌した。その後、前記コート液に触媒であるDBTDLを入れて約1分間攪拌した後、メイヤーバー(meyer bar)を用いて80μm厚さのTAC基材に7μm厚さでコートして40℃で1時間乾燥させた。
【0170】
[実験例:ホログラフィックの記録]
(1)前記実施例および比較例それぞれで製造されたフォトポリマー(ホログラム記録媒体)コーティング面をスライドガラスにラミネートし、記録時レーザがガラス面を先に通過するように固定した。
【0171】
(2)回折効率(η)の測定
二つの干渉光(参照光および物体光)の干渉によりホログラフィックを記録し、透過型記録は二つのビームをサンプルの同一面に入射した。二つのビームの入射角に応じて回折効率は変わり、二つのビームの入射角が同じである場合non-slantedとなる。non-slanted記録は二つのビームの入射角が法線基準に同じであるので、回折格子はフィルムに垂直に生成される。
【0172】
532nm波長のレーザまたは633nm波長のレーザを用いて透過型non-slanted方式で記録(2θ=45°)し、下記一般式1で回折効率(η)を計算した。
【0173】
【数1】
【0174】
前記一般式1において、ηは回折効率であり、Pは記録後サンプルの回折したビームの出力量(mW/cm)であり、Pは記録したサンプルの透過したビームの出力量(mW/cm)である。
【0175】
(3)屈折率変調値(n)の測定
透過型ホログラムの可逆誘電体格子(Lossless Dielectric grating)は、下記一般式2から屈折率変調値(△n)を計算することができる。
【0176】
【数2】
【0177】
前記一般式2において、dはフォトポリマー層の厚さであり、△nは屈折率変調値であり、η(DE)は回折効率であり、λは記録波長である。
【0178】
【表1】
【0179】
前記表1に示すように、実施例1~3のホログラム記録媒体は6.5μmの厚さで0.027以上の屈折率変調値(△n)を具現することができることが確認された。これに対し、比較例1~3のホログラム記録媒体は実施例に比べて相対的に低い回折効率を有することが確認された。
【0180】
すなわち、実施例1~3に対するホログラム記録(632nm レーザー(Laser))後の評価結果、製造例1の化合物7染料(Silarhodamine Dye)を使用すると相対的に高い水準の屈折率変調値(△n)を具現し、比較例に使用された染料に比べて相対的に速い反応速度を有して記録時間を短縮できることが分かる。