(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】記録テープカートリッジ収納ケース及び記録テープカートリッジ入り収納ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 85/575 20060101AFI20220422BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
B65D85/575 T
B65D21/02 210
(21)【出願番号】P 2018085576
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2020-07-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香川 裕介
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-078829(JP,A)
【文献】特開2008-100707(JP,A)
【文献】実開平01-088848(JP,U)
【文献】特開2005-231699(JP,A)
【文献】特開2008-308200(JP,A)
【文献】特開2005-132485(JP,A)
【文献】米国特許第04896769(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/575
B65D 21/02
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面視で矩形状の底板と、前記底板の周縁から立設された周壁と、を有し、複数の記録テープカートリッジがそれぞれラベルエリアを上に向けて収容される樹脂製のケース本体と、
前記周壁の上端に取り付けられ、前記ケース本体を密閉する樹脂製の蓋部材であって、
全ての前記記録テープカートリッジの前記ラベルエリアと対向する部分に、上に積み重ねられた別のケース本体を支持する支持部よりも前記底板側に位置し、かつ前記ラベルエリアの少なくとも周縁部に接触
し、該ラベルエリアを外部から視認可能とする透明な平坦面を有する透過部が形成されている前記蓋部材と、
を備え
、
前記周壁は、その上端面が、前記ケース本体に収納された前記記録テープカートリッジの前記ラベルエリアと略面一となる高さに形成されている記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項2】
前記蓋部材は、上に積み重ねられた別のケース本体の位置を規制する規制部を有し、
前記ケース本体は、別の蓋部材における前記規制部に位置を規制される係合部を有する請求項1に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項3】
前記係合部は、前記別の蓋部材に対する前記ケース本体の積み重ね面から下方へ突出しない構成とされている請求項2に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項4】
前記係合部は、前記別の蓋部材に対する前記ケース本体の積み重ね面と面一となる構成とされている請求項2に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項5】
前記係合部は、前記ケース本体のコーナー部から前記積み重ね面に沿った方向へ突出されている請求項3又は請求項4に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項6】
前記蓋部材のコーナー部を除く周縁には、該周縁に沿った突条部が形成されており、
前記規制部は、前記突条部の長手方向を向く端面で構成されている請求項5に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項7】
前記周壁の外面に製品識別情報ラベルを貼付可能な平坦領域が形成されている請求項1~請求項6の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項8】
前記周壁の互いに対向する一部に、前記記録テープカートリッジの側面へ向かって突出する突出リブが形成されている請求項1~請求項7の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項9】
前記周壁の互いに対向する一部に、前記記録テープカートリッジの側面へ向かって突出する突出リブが形成され、
前記周壁の外面で、かつ前記突出リブが形成されていない部分に、製品識別情報ラベルを貼付可能な平坦領域が形成されている請求項1~請求項6の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ収納ケース。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ収納ケースと、
前記記録テープカートリッジ収納ケース内にラベルエリアを上に向けて収容された複数の記録テープカートリッジと、
を備えた記録テープカートリッジ入り収納ケース。
【請求項11】
前記蓋部材が弾性変形することにより、前記透過部が前記ラベルエリアの少なくとも周縁部に密着している請求項10に記載の記録テープカートリッジ入り収納ケース。
【請求項12】
前記ラベルエリアに個体識別情報ラベルが貼付されている請求項10又は請求項11に記載の記録テープカートリッジ入り収納ケース。
【請求項13】
前記記録テープカートリッジ収納ケースにおける前記周壁の外面に形成された平坦領域に製品識別情報ラベルが貼付されている請求項10~請求項12の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ入り収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録テープカートリッジ収納ケース及び記録テープカートリッジ入り収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気テープカートリッジ収納ケース(以下、単に「収納ケース」という場合がある)には、主として単巻用と20巻用の2種類が存在する。20巻用の収納ケースとしては、低コスト、良品質、開封容易性の観点から、真空成形品である樹脂製の上ケースと下ケースとを組み合わせたものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。このような収納ケースには、複雑なリブ形状が形成されているため、収納ケース自体には、規定サイズ(縦90mm×横140mm)の製品識別情報ラベルを歪みなく貼り付ける領域が無い。
【0003】
したがって、このような収納ケースは、規定サイズの製品識別情報ラベルを貼り付けるために、段ボール箱に封入されて納品されている(例えば、特許文献2参照)。換言すれば、このような収納ケースは、段ボール箱へ封入することなく納品することが困難になっている。これにより、収納ケースには、段ボール箱への梱包形態を踏まえた更なるリブ形状が形成されるなど、様々なリブ構造が提案されて実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-78821号公報
【文献】特開2007-197081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、記録テープカートリッジ(磁気テープカートリッジ)の後面に形成されたラベルエリアには、読取機器(バーコードリーダー)で読み取り可能なバーコード及び目視で読み取り可能な文字列が印字された個体識別情報ラベル(バーコードラベル)が貼り付けられる。この個体識別情報ラベルに印字されているバーコード又は文字列を読み取ることにより、記録テープカートリッジの個々の管理が行える。
【0006】
しかしながら、収納ケースは、上記の通り、段ボール箱に封入され、かつ複雑なリブ形状を有している。そのため、収納ケースの外部から、収納ケース内に収納された記録テープカートリッジの個体識別情報ラベルに印字されているバーコードを読取機器によって読み取ったり、文字列を目視によって読み取ったりすることが困難になっている。
【0007】
つまり、収納ケース内に収納された複数の記録テープカートリッジの中から所望とする記録テープカートリッジを探す際には、まず段ボール箱を開け、次いで収納ケースを開ける(下ケースから上ケースを外す)必要があり、その所望とする記録テープカートリッジを探す作業が非常に煩瑣で不便な作業になっている。
【0008】
そこで、本開示は、記録テープカートリッジのラベルエリアを外部から視認できる記録テープカートリッジ収納ケース及び記録テープカートリッジ入り収納ケースを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本開示に係る記録テープカートリッジ収納ケースは、底面視で矩形状の底板と、底板の周縁から立設された周壁と、を有し、複数の記録テープカートリッジがそれぞれラベルエリアを上に向けて収容される樹脂製のケース本体と、周壁の上端に取り付けられ、ケース本体を密閉する樹脂製の蓋部材であって、ラベルエリアと対向する部分に、上に積み重ねられた別のケース本体を支持する支持部よりも底板側に位置し、かつラベルエリアの少なくとも周縁部に接触する透明な平坦面を有する透過部が形成されている蓋部材と、を備えている。
【0010】
また、本開示に係る記録テープカートリッジ入り収納ケースは、上記記録テープカートリッジ収納ケースと、記録テープカートリッジ収納ケース内にラベルエリアを上に向けて収容された複数の記録テープカートリッジと、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、透過部により、記録テープカートリッジのラベルエリアを外部から視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る記録テープカートリッジ入り収納ケースを示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る記録テープカートリッジ収納ケースを構成するケース本体と蓋部材とを記録テープカートリッジと共に示す分解斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る記録テープカートリッジ入り収納ケースを示す側面図である。
【
図4】本実施形態に係る記録テープカートリッジ収納ケースを構成する蓋部材の平面図である。
【
図5】本実施形態に係る記録テープカートリッジ収納ケースの規制部と係合部とを拡大して示す平面図である。
【
図6】本実施形態に係る記録テープカートリッジ収納ケースの規制部と係合部とを拡大して示す側面図である。
【
図7】本実施形態に係る記録テープカートリッジ収納ケースに収納される記録テープカートリッジの後面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図に示される矢印UPを記録テープカートリッジ収納ケース(以下、単に「収納ケース」という)10の上方向とする。また、矢印FRを収納ケース10の前方向(正面側)とし、その反対方向を後方向(背面側)とし、矢印RHを収納ケース10の右方向とするが、前後方向及び左右方向は、図示のものに限定されるものではない。
【0014】
また、
図7に示されるように、記録テープカートリッジ40は、主にコンピューターなどのデータバックアップ用とされ、磁気テープ等の記録テープ(図示省略)が巻装された単一のリール(図示省略)が扁平直方体形状のケース42内に収納されて構成されている。記録テープにデータを記録したり、記録テープに記録されているデータを読み取ったりするときには、記録テープカートリッジ40がドライブ装置(図示省略)に装填され、そのケース42内から記録テープが引き出されるようになっている。
【0015】
なお、ケース42の寸法は、日本工業規格(JIS X6175)で定められている。具体的に言うと、ケース42の長さ(ドライブ装置への装填方向に沿った長さ)は、102.00mm±0.30mmであり、ケース42の幅は、105.40mm±0.30mmであり、ケース42の高さ(厚み)は、21.50mm±0.25mmである。また、後述するラベルエリア44の深さは、最小で0.20mm、最大で0.50mmである。更に、収納ケース10に貼付する製品識別情報ラベルLpのサイズも縦90mm×横140mmと規定されている。
【0016】
また、
図1、
図2に示されるように、収納ケース10内には、複数の記録テープカートリッジ40が、少なくとも2列で収納されるようになっており、本実施形態では、1列に10巻ずつで2列の計20巻が収納されるようになっている。なお、以下において、記録テープカートリッジ40が収納された収納ケース10を、記録テープカートリッジ40が収納されていない収納ケース10と区別する場合には、記録テープカートリッジ入り収納ケース11とする。
【0017】
図1、
図2に示されるように、本実施形態に係る収納ケース10は、樹脂製のケース本体12と樹脂製の蓋部材30とで構成されている。ケース本体12及び蓋部材30は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂材の真空成形によって形成されるが、ケース本体12及び蓋部材30を成形する樹脂材は、上記樹脂材に限定されるものではない。但し、蓋部材30は、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)等の非晶性の樹脂材で成形されることが好ましい。
【0018】
図1~
図3に示されるように、ケース本体12は、底面視で矩形状の底板14と、底板14の周縁から立設された矩形状の周壁16と、を有している。ケース本体12内には、20巻の記録テープカートリッジ40が、それぞれ後面に形成されたラベルエリア44(
図7も参照)を上(ケース本体12の開口側)に向け、かつケース42の厚み方向にほぼ隙間無く2列に並べられて収納されるようになっている。
【0019】
図2、
図3に示されるように、底板14には、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う側面同士の間、即ち一方の側面である右側面45と他方の側面である左側面43との間に介在させる底リブ22が形成されている。底リブ22は、底板14の左右方向中央部が上方側へ逆「U」字状に突出されることで、前後方向を長手方向として形成されている。
【0020】
換言すれば、底リブ22は、底面視で底板14における前後の対辺の一方から他方まで(後述する前壁16Fから後壁16Bまで)連続した直線状に形成されている。そして、底リブ22は、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う右側面45及び左側面43の各下部に側面視でオーバーラップする(重なる)ようになっている(
図3参照)。この底リブ22により、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う右側面45と左側面43との間に手指を挿入可能な隙間S1が形成されるようになっている。
【0021】
また、底リブ22の両側における底板14には、上方側へ矩形枠状に突出されることにより、収納された記録テープカートリッジ40を5巻ずつ支持する支持リブ24が形成されている。すなわち、支持リブ24は、底リブ22の両側に前後に2個ずつの計4個形成されており、各支持リブ24上に、各記録テープカートリッジ40が5巻ずつ、その前面47(
図3参照)を下に向けた状態(ラベルエリア44を上に向けた状態)で配置されるようになっている。
【0022】
また、
図1~
図3に示されるように、周壁16は、前壁16Fと後壁16Bと左側壁16Lと右側壁16Rとで構成されている。そして、周壁16の互いに対向する前壁16F及び後壁16Bの一部と左側壁16L及び右側壁16Rの一部には、それぞれ上下方向が長手方向とされ、かつケース本体12内に向けて突出した平面視略半円形状の突出リブ26が複数形成されている。
【0023】
具体的に説明すると、前壁16F及び後壁16Bには、それぞれの全高に亘る各2本の突出リブ26が左右方向に所定の間隔を空けて湾曲形成されている。前壁16Fに形成された2本の突出リブ26は、列を成す記録テープカートリッジ40の先頭の各天面46(
図7も参照)へ向かって突出し、後壁16Bに形成された2本の突出リブ26は、列を成す記録テープカートリッジ40の末尾の各底面48(
図3参照)へ向かって突出している。
【0024】
また、左側壁16L及び右側壁16Rには、それぞれの全高に亘る各3本の突出リブ26が前後方向に所定の間隔を空けて湾曲形成されている。左側壁16Lに形成された3本の突出リブ26は、列を成す記録テープカートリッジ40の各左側面43へ向かって突出し、右側壁16Rに形成された3本の突出リブ26は、列を成す記録テープカートリッジ40の各右側面45へ向かって突出している。
【0025】
そして、前壁16F(周壁16)の外面で、かつ突出リブ26の間(突出リブ26が形成されていない部分)には、製品識別情報ラベルLpを貼付可能な平坦領域20(
図2参照)が形成されている。また、左側壁16Lの外面で、かつ前後方向に離間した突出リブ26F、26Bの間には、中央の突出リブ26Cを跨ぐようにして、製品識別情報ラベルLpを貼付可能な平坦領域20(
図2参照)が形成されている。
【0026】
また、ケース本体12(周壁16)の各コーナー部(四隅)には、外方側へ(後述する積み重ね面に沿った外方向へ)突出する係合部28が一体に形成されている。
図5に示されるように、各係合部28は、平面視(又は底面視)で略円弧状に形成されており、ケース本体12が載せられる別の蓋部材30における後述する規制部38によって、その位置が規制されるようになっている。なお、係合部28は、例えば収納ケース10を落下させてしまったときの緩衝部としても機能するようになっている。
【0027】
また、
図6に示されるように、各係合部28の下面28Aは、上記した別の蓋部材30に対するケース本体12の積み重ね面である底板14の下面14Aから下方へ突出しない構成とされている。より詳しくは、各係合部28の下面28Aは、上記した別の蓋部材30に対するケース本体12の積み重ね面である底板14の下面14Aと面一になる構成とされている。
【0028】
また、
図2、
図3に示されるように、周壁16の上端には、外方側へ張り出す張出部18が全周に亘って一体に形成されている。張出部18の外周縁には、その外周縁に沿って下方側へ凹む凹溝部18Aが屈曲形成されている。また、張出部18の内周縁には、各コーナー部を除いて上方側へ突出する側面視略矩形状の突条部29が一体に形成されている。この突条部29の外壁が凹溝部18Aの内壁を構成するようになっている。
【0029】
図1~
図4に示されるように、蓋部材30は、周壁16の上端に取り付けられることで、ケース本体12を密閉するようになっている。具体的に説明すると、蓋部材30の外周縁には、その外周縁に沿って下方側へ突出する突出部30Aが屈曲形成されている。そして、突出部30Aの内方側にも、その突出部30Aと同じ高さで外周縁に沿って下方側へ突出する突出部30Bが屈曲形成されている。
【0030】
したがって、蓋部材30は、内側の突出部30Bが、ケース本体12における突条部29の内周縁に内側から接触した状態で配置され、かつ外側の突出部30Aが、凹溝部18Aに上方から嵌合することにより、ケース本体12に取り付けられ、そのケース本体12を密閉するようになっている。
【0031】
なお、ケース本体12内に記録テープカートリッジ40が収納されている場合には、内側の突出部30Bは、列を成す記録テープカートリッジ40の先頭の各天面46、末尾の各底面48、各右側面45、各左側面43と突条部29の内周縁との間(突出リブ26によって形成された隙間S2)に上方から嵌合するようになっている(
図3参照)。
【0032】
また、蓋部材30の突出部30Aと突出部30Bとの間で、かつ各コーナー部を除く部位には、蓋部材30の外周縁に沿って、直角部分が内方下側に位置する側面視略直角三角形状の突条部39が一体に形成されている。この突条部39の内方側を向く垂直面39B(
図6も参照)が、上に積み重ねられた別のケース本体12における周壁16の位置を規制する規制部37となっている。そして、突条部39の長手方向を向く端面39Aが、上に積み重ねられた別のケース本体12における係合部28の位置を規制する規制部38となっている。
【0033】
つまり、規制部37(垂直面39B)と規制部38(端面39A)とにより、蓋部材30の上に積み重ねられた別のケース本体12の位置ずれが抑制されるようになっている。また、この突条部39は、
図3に示されるように、ケース本体12における突条部29と隙間S3を有して上下方向で対向する構成になっており、突条部29とは直接的には嵌合しない構成になっている。
【0034】
更に、蓋部材30は、ケース本体12を密閉したときに、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う側面同士の間、即ち一方の側面である右側面45と他方の側面である左側面43との間に介在させる天リブ32を有している。詳細に説明すると、
図3に示されるように、天リブ32は、蓋部材30の左右方向中央部が下方側へ「U」字状に突出されることで、前後方向を長手方向として形成されている。
【0035】
換言すれば、天リブ32は、
図4に示される平面視で蓋部材30における対辺の一方から他方まで(前側の突出部30Bから後側の突出部30Bまで)連続した直線状に形成されている。また、天リブ32の突出高さは、突出部30A及び突出部30Bの突出高さと略同一とされている(
図3参照)。これにより、天リブ32は、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う右側面45及び左側面43の各上部に側面視でオーバーラップする(重なる)ようになっている。
【0036】
また、
図1~
図4に示されるように、突出部30Bの内方側における天リブ32の両側には、上に積み重ねられた別のケース本体12を支持する支持部としての平坦な支持面35が形成されている。そして、収納された記録テープカートリッジ40のラベルエリア44と上下方向で対向する蓋部材30の一部には、支持面35よりも下方側へ凹む(底板14側に位置する)底壁36Aを有する凹部36が形成されている。
【0037】
詳細に説明すると、凹部36を構成する底壁36Aは、平面視で前後方向が長手方向となる矩形平板状に形成されており、その上面及び下面は、透明な平坦面とされている。そして、この底壁36Aが、その下面を、収納された記録テープカートリッジ40におけるラベルエリア44の少なくとも周縁部44Aに上下方向で隙間無く接触させる(密着させる)透過部34となっている(
図3参照)。
【0038】
つまり、透過部34の下面(底壁36Aの下面)は、ラベルエリア44の周縁部44A(記録テープカートリッジ40の後面)のみか、又はラベルエリア44に貼付された後述する個体識別情報ラベルLi(
図7参照)の厚みによっては、その個体識別情報ラベルLiの印字面に対しても上下方向で隙間無く接触する(密着する)ようになっている。
【0039】
そして、この透過部34(凹部36の底壁36A)により、外部(上方側)からラベルエリア44を視認できるようになっている。すなわち、この透過部34を通して、後述する個体識別情報ラベルLiに印字されているバーコードを読取機器(バーコードリーダー)で読み取ったり、個体識別情報ラベルLiに印字されている文字列(数字等)を目視により読み取ったりすることができるようになっている。
【0040】
図7に示されるように、記録テープカートリッジ40のラベルエリア44には、ユーザーにより、個体識別情報ラベルLiが貼付されるようになっている。すなわち、収納ケース10内に収納されていた記録テープカートリッジ40は、ユーザーによって、その収納ケース10内から取り出され、個体識別情報ラベルLiが貼付された後、再び、収納ケース10内に収納されて保管されるようになっている。
【0041】
そして、記録テープカートリッジ40が封入された収納ケース10(記録テープカートリッジ入り収納ケース11)においては、蓋部材30の透過部34が、各記録テープカートリッジ40の後面によって相対的に上方側へ押されて弾性変形するようになっている。これにより、透過部34の下面(底壁36Aの下面)が、各記録テープカートリッジ40におけるラベルエリア44の少なくとも周縁部44A(周縁部44A及び個体識別情報ラベルLi)に所定の圧力で密着するようになっている。
【0042】
以上のような構成とされた収納ケース10において、次にその作用について説明する。
【0043】
出荷時に複数(5巻ずつを1組とし、4組で20巻)の記録テープカートリッジ40を収納ケース10内に収納する際には、各記録テープカートリッジ40を底板14の4個の支持リブ24上に配置する。すなわち、各記録テープカートリッジ40は、そのラベルエリア44を上方側へ向け(前面47を下方側へ向け)、かつケース42の厚み方向を前後方向に向けて、2列に並べられて収納される。
【0044】
そして、ケース本体12の周壁16の上端に蓋部材30が取り付けられることにより、収納ケース10が密閉される。すなわち、ケース本体12の張出部18に形成されている凹溝部18Aに、蓋部材30の外周縁に形成されている突出部30Aが上方から嵌合される。
【0045】
そして、ケース本体12の突条部29の内周縁と、列を成す記録テープカートリッジ40の先頭の各天面46、末尾の各底面48、各右側面45、各左側面43との間(突出リブ26によって形成された隙間S2)に、蓋部材30の突出部30Aよりも内方側に形成された突出部30Bが上方から嵌合される。
【0046】
また、蓋部材30における天リブ32が、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う右側面45と左側面43との間(底リブ22によって形成された隙間S1)に上方から入り込む。つまり、前後方向に沿って(一方から他方まで)連続した直線状に形成された天リブ32と底リブ22とが、右側面45と左側面43との間に入り込み、かつ上下方向に対向する。
【0047】
以上により、列を成す記録テープカートリッジ40が収納ケース10によって保持され、例えば収納ケース10を、その張出部18の対角となるコーナー部を把持して持ち上げても、その収納ケース10に歪みが発生することを底リブ22及び天リブ32によって抑制又は防止することができる。
【0048】
こうして記録テープカートリッジ40が封入された収納ケース10、即ち記録テープカートリッジ入り収納ケース11には、製品識別情報ラベルLpが貼付される。具体的には、ケース本体12の前壁16F(周壁16)の外面に形成されている平坦領域20に製品識別情報ラベルLpが貼付され、かつケース本体12の左側壁16L(周壁16)の外面に形成されている平坦領域20に製品識別情報ラベルLpが貼付される。
【0049】
このように、ケース本体12の周壁16の外面(特に突出リブ26が形成されていない部分の外面)には、製品識別情報ラベルLpを貼付する平坦領域20が形成されているので、例えば複雑なリブ形状が形成されている周壁(図示省略)の外面に製品識別情報ラベルLpを貼付する場合に比べて、製品識別情報ラベルLpを歪みなく、ケース本体12の周壁16の外面に貼付することができ、その周壁16の外面からの剥離を抑制又は防止することができる。
【0050】
製品識別情報ラベルLpが貼付された記録テープカートリッジ入り収納ケース11(収納ケース10)は、そのままの状態で出荷され、記録テープカートリッジ40のユーザーの元へ納品される。つまり、この記録テープカートリッジ入り収納ケース11(収納ケース10)は、段ボール箱に封入する必要がない。したがって、段ボール箱に封入していた作業及び段ボール箱に掛かっていたコストを不要にすることができる。
【0051】
そして、収納ケース10には、段ボール箱への梱包形態を踏まえた複雑なリブ形状を形成する必要もなくなるため、収納ケース10(ケース本体12及び蓋部材30)を成形する金型の形状を簡略化することができ、収納ケース10自体の製造コストも低減させることができる。また、記録テープカートリッジ40のユーザーにおいても、記録テープカートリッジ入り収納ケース11(収納ケース10)を段ボール箱から取り出すという煩瑣な作業から解放される。
【0052】
記録テープカートリッジ40にデータを記録する場合には、ユーザーが収納ケース10内から記録テープカートリッジ40を取り出す。すなわち、まずケース本体12から蓋部材30を取り外す。ここで、底板14には、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う右側面45と左側面43との間に介在させる底リブ22が形成されている。したがって、列を成す記録テープカートリッジ40の互いに隣り合う右側面45と左側面43との間には、手指を挿入可能な隙間S1が形成されている。
【0053】
また、ケース本体12の周壁16には、複数の突出リブ26が形成されており、列を成す記録テープカートリッジ40の先頭の各天面46、末尾の各底面48、各右側面45、各左側面43と周壁16の内面との間にも、それぞれ突出リブ26によって手指を挿入可能な隙間S2が形成されている。そのため、ケース本体12内から記録テープカートリッジ40を取り出すときには、その記録テープカートリッジ40の右側面45及び左側面43を手指で把持し易く、容易に取り出すことができる。
【0054】
こうして、ケース本体12内から取り出された記録テープカートリッジ40は、データの記録(及び再生)が可能なドライブ装置に装填される前に、そのケース42の後面に形成されているラベルエリア44に個体識別情報ラベルLiが貼付される(
図7参照)。そして、個体識別情報ラベルLiが貼付された記録テープカートリッジ40は、そのドライブ装置に装填され、ケース42内から引き出された記録テープにデータが記録される。なお、個体識別情報ラベルLiは、記録テープカートリッジ40(記録テープ)にデータが記録されてから貼付されてもよい。
【0055】
記録テープにデータが記録され、ドライブ装置から取り出された記録テープカートリッジ40は、ユーザーにより、その個体識別情報ラベルLiを上方側へ向けて(前面47を下方側へ向けて)、再びケース本体12内に戻される(収納される)。そして、蓋部材30により、ケース本体12が密閉される。
【0056】
すなわち、ケース本体12の張出部18に形成されている凹溝部18Aに、蓋部材30の突出部30Aが上方から嵌合される。そして、ケース本体12の突条部29の内周縁と、列をなす記録テープカートリッジ40の先頭の各天面46、末尾の各底面48、各右側面45、各左側面43との間(突出リブ26によって形成された隙間S2)に、蓋部材30の突出部30Bが上方から嵌合される。このように、蓋部材30は、再封可能な構成になっている。つまり、収納ケース10は、リユース可能になっている。
【0057】
ここで、記録テープカートリッジ40のラベルエリア44と上下方向で対向する蓋部材30の一部には、凹部36が形成されており、その凹部36の底壁36Aが、透明な平坦面(上面及び下面)を有する透過部34とされている。そのため、記録テープカートリッジ40が収納されたケース本体12の周壁16の上端に、蓋部材30が取り付けられたときには、その透過部34(底壁36A)が、各記録テープカートリッジ40の後面に相対的に上方側へ押される。これにより、その透過部34(底壁36A)が上方側へ弾性変形し、その下面(底壁36Aの下面)が、各記録テープカートリッジ40におけるラベルエリア44の少なくとも周縁部44A(周縁部44A及び個体識別情報ラベルLi)に所定の圧力で密着する。
【0058】
したがって、ケース本体12内に収納された記録テープカートリッジ40のラベルエリア44に貼付された個体識別情報ラベルLiを、その透過部34によって蓋部材30の外側(外部)から視認することができる。具体的には、透過部34の下面(底壁36Aの下面)が、各記録テープカートリッジ40におけるラベルエリア44の周縁部44Aに密着していない構成に比べて、そのラベルエリア44に貼付されている個体識別情報ラベルLiをより明確に視認することができる。
【0059】
よって、ケース本体12から蓋部材30を取り外さなくても(記録テープカートリッジ40を収納ケース10内から取り出さなくても)、ラベルエリア44に貼付された個体識別情報ラベルLiのバーコードを読取機器(バーコードリーダー)によって読み取ることができ、かつ個体識別情報ラベルLiの文字列をユーザーが目視によって読み取ることができる。これにより、所望とする記録テープカートリッジ40を収納ケース10の外側(外部)から探し易く、記録テープカートリッジ40を効率よく管理することができる。
【0060】
しかも、透過部34は、凹部36の底壁36Aで構成されているため、その上面が支持面35と面一で形成されている場合に比べて、その上面に傷が付き難い。換言すれば、蓋部材30の支持面35には、別のケース本体12が積み重ねられるため、その別のケース本体12の底板14(下面14A)が摺接することによって傷が付き易い。
【0061】
このような傷は、透明度を低下させるが、透過部34は、支持面35よりも一段低い凹部36の底壁36Aで構成されているため、その上面に別のケース本体12の底板14(下面14A)が摺接するおそれがなく、その透明度が維持される(透明度の低下が抑制又は防止される)。つまり、個体識別情報ラベルLiに対する視認性(読み取り精度)が維持される。
【0062】
なお、記録テープカートリッジ40のラベルエリア44には、ユーザーへ納品される以前に、個体識別情報ラベルLiが貼付されるようになっていてもよい。すなわち、ラベルエリア44に個体識別情報ラベルLiが予め貼付された記録テープカートリッジ40が、収納ケース10に封入されて出荷されるようになっていてもよい。
【0063】
この場合、出荷されてからユーザーの元へ納品されるまでの間の輸送時に、ラベルエリア44に貼付された個体識別情報ラベルLiのバーコードを読取機器(バーコードリーダー)によって読み取る必要性が生じたときでも、そのバーコードを収納ケース10の外側(外部)から読み取ることができる。よって、記録テープカートリッジ入り収納ケース11のバージン性を確保することができる。
【0064】
また、記録テープカートリッジ40が収納される以前に、ケース本体12の平坦領域20に、製品識別情報ラベルLpが貼付されるようになっていてもよい。更に、収納ケース10は、少なくとも蓋部材30の透過部34が透明になっていればよく、蓋部材30の透過部34を除く部分及びケース本体12は、透明になっていなくてもよい。また、ケース本体12における周壁16の高さは、その平坦領域20に貼付する規定サイズ(縦90mm×横140mm)の製品識別情報ラベルLpの大きさによって適宜決まる。
【0065】
また、蓋部材30のコーナー部を除く周縁には、その周縁に沿った突条部39が形成されており、その突条部39の垂直面39Bが、蓋部材30の上に積み重ねられた別のケース本体12の周壁16の位置を規制する規制部37とされている。そして、突条部39の長手方向を向く端面39Aが、蓋部材30の上に積み重ねられた別のケース本体12の係合部28の位置を規制する規制部38とされている。
【0066】
換言すれば、ケース本体12は、そのケース本体12が載せられる別の蓋部材30における規制部37(垂直面39B)に位置を規制される周壁16を有し、かつケース本体12が載せられる別の蓋部材30における規制部38(端面39A)に位置を規制される係合部28を有している。したがって、収納ケース10に別の収納ケース10が積み重ねられたときには、両者の位置が相対的にずれるのを効果的に抑制することができる。
【0067】
なお、係合部28は、上記した別の蓋部材30に対するケース本体12の積み重ね面である底板14の下面14Aから下方へ突出しない構成とされている。更に言えば、この係合部28は、上記した別の蓋部材30に対するケース本体12の積み重ね面である底板14の下面14Aと面一となる構成とされている。
【0068】
したがって、係合部28が、ケース本体12の底板14の下面14Aから下方へ突出している構成に比べて、ケース本体12を上記した別の蓋部材30の上に、より安定させた状態で積み重ねることができる。また、ケース本体12を成形する金型の形状を更に簡略化することができる。
【0069】
また、係合部28は、ケース本体12のコーナー部から底板14の下面14Aに沿った外方向へ突出されている。したがって、例えば収納ケース10を落下させてしまっても、その係合部28が緩衝部として機能し、収納ケース10の破損又は塑性変形等を抑制又は防止することができる。
【0070】
また、係合部28の位置を規制する規制部38は、突条部39の長手方向を向く端面39Aで構成されている。したがって、係合部28に対する規制部38の構成を簡略化することができ、蓋部材30の形状が複雑化されることを抑制することができる。つまり、このような構成にすれば、蓋部材30を成形する金型の形状を更に簡略化することができ、蓋部材30及びケース本体12からなる収納ケース10の製造コストを更に低減させることができる。
【0071】
以上、本実施形態に係る収納ケース10及び記録テープカートリッジ入り収納ケース11について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る収納ケース10及び記録テープカートリッジ入り収納ケース11は、図示のものに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0072】
例えば、底リブ22及び天リブ32は、連続的な直線形状に限定されるものではなく、断続的な直線形状とされていてもよい。また、突条部39の形状は、図示の側面視略直角三角形状に限定されるものではなく、係合部28の形状も、図示の平面視(又は底面視)略円弧状に限定されるものではない。
【0073】
更に、支持部も、平坦な支持面35に限定されるものではなく、上に積み重ねられた別のケース本体12を支持でき、かつ透過部34に傷が付くことを抑制又は防止できるようになっていれば、例えば上方側へ突出する複数の凸部(図示省略)等で構成されていてもよい。つまり、支持部は、上に積み重ねられた別のケース本体12を面接触で支持する構成に限定されるものではなく、線接触又は点接触で支持する構成になっていてもよい。
【0074】
また、周壁16の高さを図示のものより低くしてもよい。この場合、蓋部材30における支持面35の周囲に所定高さの周壁(図示省略)を形成し、ケース本体12の開口から上方側へ突出した記録テープカートリッジ40の後部を蓋部材30によって収納できるようにすればよい。
【0075】
更に、本実施形態に係る収納ケース10は、20巻の記録テープカートリッジ40が収納される大きさに形成されているが、収納ケース10の大きさは、これに限定されるものではない。すなわち、収納ケース10は、例えば10巻ずつで1列を成す記録テープカートリッジ40が3列以上収納される大きさに形成されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 収納ケース(記録テープカートリッジ収納ケース)
11 記録テープカートリッジ入り収納ケース
12 ケース本体
14 底板
14A 下面
16 周壁
16B 後壁
16F 前壁
16L 左側壁
16R 右側壁
18 張出部
18A 凹溝部
20 平坦領域
22 底リブ
24 支持リブ
26 突出リブ
26B 突出リブ
26C 突出リブ
26F 突出リブ
28 係合部
28A 下面
29 突条部
30 蓋部材
30A 突出部
30B 突出部
32 天リブ
34 透過部
35 支持面(支持部)
36 凹部
36A 底壁
37 規制部
38 規制部
39 突条部
39A 端面
39B 垂直面
40 記録テープカートリッジ
42 ケース
43 左側面
44 ラベルエリア
44A 周縁部
45 右側面
46 天面
47 前面
48 底面
Li 個体識別情報ラベル
Lp 製品識別情報ラベル
S1 隙間
S2 隙間
S3 隙間