IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-認定及び修復ステーション 図1
  • 特許-認定及び修復ステーション 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】認定及び修復ステーション
(51)【国際特許分類】
   D06H 3/08 20060101AFI20220422BHJP
   D02J 13/00 20060101ALI20220422BHJP
   D06H 1/00 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
D06H3/08
D02J13/00 A
D06H1/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018563169
(86)(22)【出願日】2017-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2017035707
(87)【国際公開番号】W WO2017210571
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-06-01
(31)【優先権主張番号】62/344,966
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】バロウズ, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】イシカワ, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ユドフスキー, ジョゼフ
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-183979(JP,A)
【文献】特開昭49-035627(JP,A)
【文献】特開平04-370906(JP,A)
【文献】特表2009-536272(JP,A)
【文献】特開2002-173846(JP,A)
【文献】特開平06-017339(JP,A)
【文献】特開2010-180516(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141134(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/126338(WO,A1)
【文献】特開平2-229231(JP,A)
【文献】特表2015-534915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
B65H51/00-51/32
59/00-59/40
D01F9/08-9/32
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
C04B35/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチフィラメントトウを検査及び修復するためのシステムであって、
第1のスプールに巻かれたマルチフィラメントトウを有する第1のスプールと、
前記マルチフィラメントトウに所定の張力を付与するために前記第1のスプールに続く第1のトウテンショナと、
前記マルチフィラメントトウの上のコーティングを除去するのに適した第1の温度まで前記マルチフィラメントトウを加熱するためのヒータを含むデサイジングチャンバと、
前記マルチフィラメントトウの欠陥を検査するように構成された検査チャンバと、
前記マルチフィラメントトウ内の前記欠陥を修復するように構成された修復チャンバと、
前記マルチフィラメントトウに所定の張力を付与するために前記修復チャンバに続く第2のトウテンショナと、
前記マルチフィラメントトウを集めるために前記第2のトウテンショナに続く第2のスプールと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1のスプールを回転させ、前記第1のスプールから前記マルチフィラメントトウを巻き出すために前記第1のスプールに連結された第1のモータを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マルチフィラメントトウを制御されるようデスプールすることができるように、前記第1のスプールと前記第1のトウテンショナとの間で、前記第1のスプールとインラインの第1のピッチ制御装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のピッチ制御装置が一対の対向するプーリであり、前記第1のトウテンショナがプーリであり、前記第2のトウテンショナがプーリである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のトウテンショナによって前記マルチフィラメントトウに誘起される力を測定するために、前記第1のピッチ制御装置と前記第1のトウテンショナとの間で、前記第1のスプールとインラインの第1の張力センサを更に備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のトウテンショナを垂直に移動させ、前記第1のトウテンショナと前記第1のスプールとの間の第1の垂直距離を増減させるために、前記第1のトウテンショナが第3のモータに連結される、請求項1から5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のトウテンショナと前記デサイジングチャンバとの間で、前記第1のスプールとインラインの第1のプーリを更に備える、請求項1から5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の温度が、約500℃から約1000℃までである、請求項1から5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記修復チャンバと前記第2のトウテンショナとの間で、前記第1のスプールとインラインの第2のプーリを更に備える、請求項1から5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2のトウテンショナを垂直に移動させ、前記第2のトウテンショナと前記第2のプーリとの間の第2の垂直距離を増減させるために、前記第2のトウテンショナが第4のモータに連結される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のトウテンショナによって前記マルチフィラメントトウに誘起される力を測定するために、前記第2のプーリとインラインであり、前記第2のトウテンショナに続く第2の張力センサを更に含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記マルチフィラメントトウが、制御されるよう第2のスプール上にスプールできるように、前記第2のプーリとインラインであり、第2の張力センサに続く第2のピッチ制御装置を更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2のスプールを回転させ、前記マルチフィラメントトウを前記第2のスプール上に巻くために、前記第2のスプールに連結された第2のモータを更に備える、請求項1から5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項14】
マルチフィラメントトウを検査及び修復する方法であって、
第1のスプールからマルチフィラメントトウをデスプールすることと、
デサイジングチャンバ内の前記マルチフィラメントトウの上のコーティングを除去するのに適した第1の温度まで前記マルチフィラメントトウを加熱することと、
検査チャンバ内の前記マルチフィラメントトウの個々のフィラメントの欠陥を検査することと、
欠陥のあるフィラメントが見つかった場合、修復チャンバ内で前記欠陥のあるフィラメントを修復すること、又は前記マルチフィラメントトウから前記欠陥のあるフィラメントを除去することと、
前記修復チャンバを出る前記マルチフィラメントトウを第2のスプール上にスプールすることと
を含む方法。
【請求項15】
前記第1の温度が約500℃から約1000℃であり、前記欠陥のあるフィラメントを除去することが、前記欠陥のあるフィラメントを廃棄用のリジェクト経路に案内することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般的に、連続トウ処理システムに関し、特に、トウ材料上にコーティングを堆積する前の、マルチフィラメントトウにおける個々のフィラメント欠陥の認証及び修復のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックマトリックス複合材(CMC)は、セラミックマトリックスに埋め込まれたセラミック繊維で構成される。CMCは、高温及び酸化環境での使用を禁止する従来の技術的セラミックの限界に対処するために開発された。アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及びジルコニアを含む従来の補強されていない技術的セラミックは、機械的及び熱機械的荷重下での耐亀裂性が低く、したがって容易に破損する。これらの材料の限界は、破断伸び、破壊靭性、耐熱衝撃性及び動的疲労抵抗をより大きくできるように、マルチストランド長セラミック繊維を組み込むことによって対処することができる。
【0003】
非酸化物多結晶セラミック繊維、典型的には炭化ケイ素(SiC)繊維は、セラミックマトリックス複合材(CMC)の連続長構造補強材として使用される。CMC製造用のSiC系セラミック繊維は、直径が小さく、熱伝導率が高く、表面粗さが低く、炭素を含まない表面を有する。更に、SiC系セラミック繊維は、高温で、機械的応力が高く、酸化環境において、生産時に高い引張強度を有する。
【0004】
化学気相浸透(CVI)は、セラミック繊維上の薄い共形性カプセル化層の形態で、環境バリアを生成するために使用される。一般には、コーティングされた繊維は、コーティングされていない繊維に対して機械的、熱的、そして化学的な利点を有する。SiC系繊維表面上の窒化ホウ素(BN)及び炭素含有亀裂偏向界面コーティングは、高温におけるSiC系繊維の耐酸化性を改善する。
【0005】
しかしながら、本発明者らは、マルチフィラメントSiCトウ(例えば、連続フィラメントのねじられていない束)上のポリビニルアセテート(PVA)コーティングにおける壊れた又はルーズなフィラメント及び不均一性などの欠陥が、コーティングプロセスにおいて摂動を引き起こす可能性があることを観察した。そのような摂動は、不均一なコーティング厚さ及びフィラメントが共に粘着することなどの問題につながる可能性がある。更に、壊れた又はルーズなフィラメントは、更なるフィラメント破損及びトウ破裂を引き起こす可能性があるトウ輸送システムで毛羽を生成することになる(will create fuzz)。
【0006】
したがって、発明者らは、マルチフィラメントトウの認定及び修復のための改良された装置を提供した。
【発明の概要】
【0007】
マルチフィラメントトウを認定及び修復するための装置が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、マルチフィラメントトウを検査及び修復するための装置は、第1のスプールに巻かれたマルチフィラメントトウを有する第1のスプールと、マルチフィラメントトウに所定の張力を付与するために第1のスプールに続く第1のトウテンショナと、マルチフィラメントトウの上のコーティングを除去するのに適した第1の温度までマルチフィラメントトウを加熱するためのヒータを含むデサイジングチャンバと、マルチフィラメントトウの欠陥を検査するように構成された検査チャンバと、マルチフィラメントトウ内の欠陥を修復するように構成された修復チャンバと、マルチフィラメントトウに所定の張力を付与するために修復チャンバに続く第2のトウテンショナと、マルチフィラメントトウを集めるために第2のトウテンショナに続く第2のスプールとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、マルチフィラメントトウを検査及び修復する方法は、第1のスプールからマルチフィラメントトウをデスプールすることと、デサイジングチャンバ内のマルチフィラメントトウの上のコーティングを除去するのに適した第1の温度までマルチフィラメントトウを加熱することと、検査チャンバ内のマルチフィラメントトウの個々のフィラメントの欠陥を検査することと、欠陥のあるフィラメントが見つかった場合、修復チャンバ内で欠陥のあるフィラメントを修復すること、又はマルチフィラメントトウから欠陥のあるフィラメントを除去することと、修復チャンバを出るマルチフィラメントトウを第2のスプール上にスプールすることとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、マルチフィラメントトウを検査及び修復するための装置は、第1のスプールに巻かれたマルチフィラメントトウを有する第1のスプールと、第1のスプールを回転させ、第1のスプールからマルチフィラメントトウを巻き出すために第1のスプールに連結された第1のモータと、マルチフィラメントトウに所定の張力を付与するために第1のスプールに続く第1のトウテンショナと、マルチフィラメントトウを制御されるようデスプールすることができるように、第1のスプールと第1のトウテンショナとの間で、第1のスプールとインラインの第1のピッチ制御装置と、第1のトウテンショナによってマルチフィラメントトウに誘起される力を測定するために、第1のピッチ制御装置と第1のトウテンショナとの間で、第1のスプールとインラインの第1の張力センサと、マルチフィラメントトウの上のコーティングを除去するのに適した第1の温度までマルチフィラメントトウを加熱するためのヒータを含むデサイジングチャンバと、第1のトウテンショナとデサイジングチャンバとの間で、第1のスプールとインラインの第1のプーリと、マルチフィラメントトウの欠陥を検査するように構成された検査チャンバと、マルチフィラメントトウ内の欠陥を修復するように構成された修復チャンバと、マルチフィラメントトウに所定の張力を付与するために修復チャンバに続く第2のトウテンショナと、修復チャンバと第2のトウテンショナとの間で、第1のスプールとインラインの第2のプーリと、第2のトウテンショナによってマルチフィラメントトウに誘起される力を測定するために、第2のプーリとインラインであり、第2のトウテンショナに続く第2の張力センサと、マルチフィラメントトウが、制御されるよう第2のスプール上にスプールできるように、第2のプーリとインラインであり、第2の張力センサに続く第2のピッチ制御装置と、マルチフィラメントトウを集めるために第2のトウテンショナに続く第2のスプールと、第2のスプールを回転させ、マルチフィラメントトウを第2のスプール上に巻くために、第2のスプールに連結された第2のモータとを含む。
【0010】
本開示の他の実施形態及び更なる実施形態について、以下で説明する。
【0011】
上記で簡潔に要約し、下記でより詳細に述べる本開示の実施形態は、添付する図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することにより、理解することができる。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容しうることから、添付の図面は、この開示の典型的な実施形態のみを例示しており、従って、範囲を限定していると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、マルチフィラメントトウの認定及び修復のための装置の概略図を示す。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、マルチフィラメントトウを検査及び修復する方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりには描かれておらず、分かり易くするために簡略化されていることがある。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込まれうる。
【0014】
本開示の実施形態は、有利には、マルチフィラメントトウの認定及び修復のための改良された装置を提供する。本開示の実施形態は、有利には、マルチフィラメントトウをバリアコーティングプロセスに曝露する前に、個々のフィラメントの欠陥を特定及び除去又は修復する。本開示の実施形態は、改善された稼働時間、スループット、及び歩留まり、並びに改良された品質トウを有利に提供する。
【0015】
例えば、本発明の実施形態は、化学気相浸透を介して、後続の環境バリア形成のために入ってくるセラミックトウを認定するための自動システムを提供する。セラミックトウ化学気相浸透(CVI)のための従来の機器は、トウ破損又はトウ跳躍時にインシトゥ(その場)での修復に依存し、結果としてCVIシステムの生産性が低下する。本発明の実施形態は、エクスシトゥで(CVIプロセスを開始する前に)トウを認定及び修復することによって、CVIシステム性能を向上させる。トウ、特にSiC系セラミック繊維は、従来のスプール(又はボビン)からデスプールされ、デサイズされ(ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール、エポキシ、ポリエチレンオキシドと混ぜ合わされたPVAが剥ぎ取られ)、オプションで破断部分(breaks)、様々なポリマースプライス技術を使用して修復された破断部分が光学的に特徴づけられ、その後、処理リールに移され及び/又は他の方法でCVIプロセスに搬送される。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、マルチフィラメントトウの認定及び修復のためのシステム100の例を示す。いくつかの実施形態では、マルチフィラメントトウは、連続フィラメントの束、例えばセラミック繊維(例えば、アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア)である。いくつかの実施形態では、システム100は、システム100を真空下で作動可能とし、大気とマルチフィラメントトウ102との間の化学反応を回避するために排気することができるエンクロージャ134内にある。いくつかの実施形態では、エンクロージャ内の温度及び湿度は、マルチフィラメントトウ102の酸化を最小にするために調節することができる。
【0017】
システム100は、第1のスプール104に巻かれたマルチフィラメントトウ102を備える。第1のスプール104は、スプールを回転させ、第1のスプール104からマルチフィラメントトウ102を巻き出すために、第1のモータ114に連結される。マルチフィラメントトウ102は、マルチフィラメントトウ102のデスプールを制御する第1のピッチ制御装置106を通過し、マルチフィラメントトウ102への損傷を最小化又は防止し、マルチフィラメントトウ102内の個々のフィラメントが、デスプーリング中に互いに対するそれらの位置を維持できるようにする。いくつかの実施形態では、第1のピッチ制御装置106は、第1のスプール104に対して位置決めされ、マルチフィラメントトウ102を実質的に水平配向に維持する。いくつかの実施形態では、第1のピッチ制御装置106は、マルチフィラメントトウ102が通過する際に回転する対向するプーリ又はローラを備える。対向するプーリの間の距離は、マルチフィラメントトウ102の厚さによって決まる。いくつかの実施形態では、第1のピッチ制御装置106は、第1のピッチ制御装置106を通過したトウの長さ(すなわち量)を測定するためのセンサを更に含む。
【0018】
システム100は、第1の張力センサ108を更に備える。いくつかの実施形態では、マルチフィラメントトウ102は、第1のピッチ制御装置106から第1の張力センサ108を通過する。いくつかの実施形態では、マルチフィラメントトウ102が第1のスプール104から第1の張力センサ108まで実質的に水平に移動するように、第1の張力センサ108が第1のスプール104とほぼ同じ高さに位置決めされる。いくつかの実施形態では、第1の張力センサ108は、マルチフィラメントトウ102上の力を測定するためにアイドラプーリに連結された張力ひずみゲージである。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のトウテンショナ110は、マルチフィラメントトウ102の張力を制御するために設けられる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のトウテンショナ110は、第1の張力センサ108によって測定されるように、マルチフィラメントトウ102に約0.4ニュートンの張力を提供する。いくつかの実施形態では、第1のトウテンショナ110は、第1の張力センサ108の高さより低いとことに置かれる。いくつかの実施形態では、第1のトウテンショナ110は、マルチフィラメントトウ102の張力を増減させるために、可動軸位置を有するプーリである。いくつかの実施形態では、第1のトウテンショナ110は、第1のトウテンショナ110と第1の張力センサ108との間の直線的距離を制御するために第1のトウテンショナ110を移動させる第3のモータに連結される。例えば、第1のトウテンショナ110と第1の張力センサ108アイドラプーリとの間の距離が増加すると、マルチフィラメントトウ102の張力が増加し、その一方で、第1のトウテンショナ110と第1の張力センサ108アイドラプーリとの間の距離が減少すると、マルチフィラメントトウ102の張力が減少するだろう。スプーリング及びアンスプーリング中の張力制御は、デサイジング、検査、修復及び再スプーリングのための均一な条件を提供する。いくつかの実施形態では、第1のトウテンショナ110は、実質的に垂直方向に移動するように構成される。図1は、第1の張力センサ108の高さよりも低い第1の垂直距離に配置された第1のトウテンショナ110を示すが、代替的には、第1のトウテンショナ110は、マルチフィラメントトウ102がアイドラプーリ周囲を反対方向に巻かれた状態で、第1の張力センサ108の上に配置されてもよい。
【0020】
マルチフィラメントトウ102は、例えば第1のスプール104の高さ付近にありうる第1のプーリ112の上を通過し、デサイジングチャンバ116に入る。デサイジングチャンバ116内で、マルチフィラメントトウ102は、マルチフィラメントトウ102上のポリビニルアセテート(PVA)コーティングを除去するために、約500℃から約1000℃の温度まで加熱される。PVAコーティングは、個々のフィラメントを束で保持する。デサイジングチャンバ116は、熱交換器、熱ランプなどのような、マルチフィラメントトウ102を、約500℃から約1000℃まで加熱可能な任意の適切な加熱機構を用いて、マルチフィラメントトウ102を加熱しうる。
【0021】
PVAコーティングがいったん除去されると、マルチフィラメントトウ102は、検査チャンバ118を通過し、次に修復チャンバ120を通過する。検査チャンバ118内で、マルチフィラメントトウ102は、マルチフィラメントトウ102内の個々のフィラメントの破損などの欠陥について検査される。検査チャンバ118は、マルチフィラメントトウ102内の欠陥を特定及び定量化するための光学検出プロセスを使用する。いくつかの実施形態では、欠陥のあるフィラメントが物理的にマーキングされてもよく、又は欠陥のあるフィラメントの位置が、例えばメートル又は他の適切な単位で測定され、記録されてもよい。修復チャンバ120内で、特定された欠陥が、修復又は除去される。例えば、いくつかの実施形態では、破損したフィラメントが、マルチフィラメントトウ102から除去され、廃棄用のリジェクト経路に案内されるか、又は可能であれば、再びスプールされて再利用される。
【0022】
修復チャンバ120を出ると、マルチフィラメントトウ102は、例えば、第1のスプール104の高さにありうる第2のプーリ122の上を通り、第2のトウテンショナ124に到達する。第2のトウテンショナ124は、第2のプーリ122の高さの下に配置されうる。いくつかの実施形態では、第2のトウテンショナ124は、第2のトウテンショナ124と第2のプーリ122との間の距離を制御する可動軸を有するプーリである。いくつかの実施形態では、第2のトウテンショナ124は、第2の張力センサ126によって測定されるように、マルチフィラメントトウ102に約0.4ニュートンの張力を提供する。いくつかの実施形態では、第2のトウテンショナ124は、第2のトウテンショナ124と第2のプーリ122との間の距離を制御するように第2のトウテンショナ124を移動させる第4のモータに連結される。第2のトウテンショナ124と第2のプーリ122との間の距離を増加させると、マルチフィラメントトウ102の張力が増加し、その一方で、第2のトウテンショナ124と第2のプーリ122との間の垂直距離を減少させると、マルチフィラメントトウ102の張力が減少する。いくつかの実施形態では、第2のトウテンショナ124は、実質的に垂直方向に移動する。
【0023】
マルチフィラメントトウ102は、第2の張力センサ126の上を通過する。いくつかの実施形態では、第2の張力センサ126は、第2のトウテンショナ124によって誘起された力を測定するアイドラプーリに連結された張力ひずみゲージである。マルチフィラメントトウ102は、次いで、第2のピッチ制御装置128を通過し、マルチフィラメントトウ102への損傷を防止するように制御された方法で、マルチフィラメントを第2のスプール130の上にスプールできるようにし、個々のフィラメントが、再スプーリング中に互いに対するそれらの位置を維持できるようにする。いくつかの実施形態では、第2のピッチ制御装置128は、対向するプーリ又はローラを備える。マルチフィラメントトウ102は、プーリ又はローラの間を通過する。いくつかの実施形態では、第2のピッチ制御装置128は、マルチフィラメントトウ102の位置を測定するためのセンサを更に備える。
【0024】
マルチフィラメントトウ102は、第2のスプール130に巻かれる。第2のスプール130は、スプールを回転させ、マルチフィラメントトウ102を第2のスプール130に巻くために、第2のモータ132に連結される。いくつかの実施形態では、第2のスプールは、マルチフィラメントトウにわずかな曲げ応力しか提供しない大きな直径のスプールである。マルチフィラメントトウ102のスプール全体がいったん検査され修復されると、スプールは、更に処理される可能性がある。例えば、検査及び修復されたスプールは、フィラメント上にバリア材料を堆積するために、化学気相堆積チャンバ内に配置することができる。
【0025】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、マルチフィラメントトウを検査及び修復する方法200を示すフローチャートを示す。202において、マルチフィラメントトウは、第1のスプールからデスプールされる。204において、マルチフィラメントトウは、マルチフィラメントトウ上のポリビニルアセテート(PVA)コーティングを除去するために、約500℃から約1000℃の第1の温度まで加熱される。PVAコーティングの除去は、例えば、デサイジングチャンバ116に関して上述したように達成されうる。
【0026】
206において、マルチフィラメントトウの個々のフィラメントの欠陥が検査される。フィラメントの検査は、上述のように検査チャンバ118内で行うことができる。例えば、検査チャンバ118内で、マルチフィラメントトウ102は、マルチフィラメントトウ102内の個々のフィラメントの破損などの欠陥について検査される。検査チャンバ118は、マルチフィラメントトウ102内の欠陥を特定及び定量化するための光学検出プロセスを使用する。いくつかの実施形態では、欠陥のあるフィラメントが物理的にマーキングされてもよく、又は欠陥のあるフィラメントの位置が、例えばメートル又は他の適切な単位で測定され、記録されてもよい。
【0027】
208において、欠陥のあるフィラメントが見つかったかどうかが判定される。欠陥のあるフィラメントが見つからなかった場合、マルチフィラメントトウは、212で第2のスプール上にスプールされる。欠陥のあるフィラメントが見つかった場合には、210で、欠陥のあるフィラメントが修復又は除去される。欠陥のあるフィラメントは、例えば上述した修復チャンバ120において、修復又は除去することができる。いくつかの実施形態では、破損したフィラメントのような欠陥のあるフィラメントは、マルチフィラメントトウから除去され、廃棄用のリジェクト経路に案内されるか、又は可能であれば再びスプールされて再利用される。
【0028】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されうる。
図1
図2