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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-21
(45)【発行日】2022-05-02
(54)【発明の名称】受信装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/431 20110101AFI20220422BHJP
   H04N 21/2362 20110101ALI20220422BHJP
   H04N 21/434 20110101ALI20220422BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20220422BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20220422BHJP
   H04H 60/13 20080101ALI20220422BHJP
【FI】
H04N21/431
H04N21/2362
H04N21/434
H04H20/28
H04H40/18
H04H60/13
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021079081
(22)【出願日】2021-05-07
(62)【分割の表示】P 2020120169の分割
【原出願日】2016-09-15
(65)【公開番号】P2021122139
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】P 2015191347
(32)【優先日】2015-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】所 洋一
(72)【発明者】
【氏名】砂崎 俊二
(72)【発明者】
【氏名】大村 耕平
(72)【発明者】
【氏名】勘解由 哲
(72)【発明者】
【氏名】塚口 馨介
(72)【発明者】
【氏名】天野 好輝
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】花田 彰
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-175793(JP,A)
【文献】特開2005-039794(JP,A)
【文献】国際公開第2014/038522(WO,A1)
【文献】特開2013-150089(JP,A)
【文献】10.16.4 アプリケーション情報の伝送に用いる記述子,ARIB STD-B23 1.2版,社団法人 電波産業会,2009年07月
【文献】10.3.3 MH-アプリケーション情報テーブルで用いる記述子,ARIB STD-B60 1.0版 デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式,社団法人 電波産業会,2014年07月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/431
H04N 21/2362
H04N 21/434
H04H 20/28
H04H 40/18
H04H 60/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記放送信号から映像信号を分離する分離部と、
前記分離部で分離された映像信号を表示可能な映像として復元する映像処理部と、
アプリケーションを実行させるアプリケーション実行部と、
前記放送信号から、アプリケーションサービス記述子を取得するアプリケーションサービス記述子取得部と、
前記アプリケーションサービス記述子取得部が取得した前記アプリケーションサービス記述子から前記アプリケーションの出力解像度に関する情報を取り出すアプリケーション制御部と、
前記アプリケーション制御部によって取り出された前記アプリケーションの出力解像度に関する情報と、前記映像処理部によって復元された前記映像の解像度とに基づいて、前記映像と前記アプリケーションからの出力画像との解像度を整合させる提示制御部と、
を具備し、
前記アプリケーションの出力解像度は、1920×1080、3840×2160、または7680×4320である、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
コンピューターを、請求項1に記載の受信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ等の放送信号を受信する受信装置、およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送の受信装置においてアプリケーションプログラムを稼働させ、そのアプリケーションプログラムからの出力を、テレビの映像と同一の画面に表示させる技術が一般化しつつある。例えば、特許文献1の図2には、ビデオレコーダ(35)からの出力とアプリ制御部(42)からの出力とを合成部(36)において合成し、ディスプレイに出力する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-150089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビ放送の映像とアプリケーションからの出力とを合成するためには、両者の映像(画像)の解像度が整合していることが必要である。テレビ放送の映像の解像度が一定である場合には、単にアプリケーションからの出力の解像度をテレビ映像の解像度に合わせるだけでよかった。しかし、テレビ放送の映像の解像度が変わり得る場合には、アプリケーションからの出力の解像度がうまくテレビ映像と整合しない場合が生じ得る。両者の解像度が整合しないと、両者をテレビ画面にバランスよく配置することができないという問題が生じ得る。なお、テレビ放送の映像の解像度が変わり得る場合とは、例えば、マルチ編成等のためにテレビ放送の映像の解像度を意図的に落として放送する場合や、階層伝送を行っている状況において放送信号の伝搬状況に応じて映像の解像度が動的に変化する場合などである。
【0005】
アプリケーションから出力する画像等の解像度を切り替えることができるようにアプリケーションを設計することも考えられるが、そのためにはアプリケーションの開発量が増加してしまうという問題がある。また、テレビ放送の映像の解像度が動的に変化してしまう場合に、アプリケーションからの出力解像度をテレビ放送の解像度の変化に無遅延で追従させるような制御を行うことは困難である。
【0006】
また、例えばアプリケーションがHTML5(ハイパーテキストマークアップ言語の第5版)で記述されている場合、受信装置が備えるウェブブラウザ機能がHMTLを解釈することによって初めてアプリケーションからの出力解像度が判明する場合もある。このような場合には、アプリケーションからの出力を表示するためのメモリの確保や、表示エンジンにおける解像度パラメーターの設定が、HTMLを解釈する処理の後になってしまい、表示を開始できるまでに時間を要してしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれたものであり、テレビ放送の映像の解像度が変化しても、アプリケーションから出力される画像・映像を適切に画面上に表示させることのできる受信装置、およびそのプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による受信装置は、放送信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した前記放送信号から映像信号を分離する分離部と、前記分離部で分離された映像信号を表示可能な映像として復元する映像処理部と、アプリケーションを実行させるアプリケーション実行部と、前記放送信号から、アプリケーションサービス記述子を取得するアプリケーションサービス記述子取得部と、前記アプリケーションサービス記述子取得部が取得した前記アプリケーションサービス記述子から前記アプリケーションの出力解像度に関する情報を取り出すアプリケーション制御部と、前記アプリケーション制御部によって取り出された前記アプリケーションの出力解像度に関する情報と、前記映像処理部によって復元された前記映像の解像度とに基づいて、前記映像と前記アプリケーションからの出力画像との解像度を整合させる提示制御部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
[2]また、本発明の一態様、上記の受信装置において、前記提示制御部は、前記映像の解像度と前記アプリケーションの出力解像度とが異なるときには、前記映像の解像度に合うように前記アプリケーションからの出力画像の解像度を変更して、前記映像と前記アプリケーションからの出力画像と整合させる、ことを特徴とする。
【0010】
[3]また、本発明の一態様は、コンピューターを、上記のいずれかの受信装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像の様々な解像度、およびアプリケーションからの出力の様々な解像度に対応して適切な表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による受信装置の概略機能構成を示す機能ブロック図である。
図2】同実施形態によるアプリケーション情報テーブル(AIT)の構成を示す概略図である。
図3】同実施形態による提示制御部によって行われるオーバーレイ処理を説明するための画面例である。
図4】同実施形態による提示制御部がコンテンツ間の解像度調整を行うための対応関係を示す図であり、アプリケーションからの出力解像度を放送映像の解像度に合わせる場合を示すものである。
図5】同実施形態による提示制御部がコンテンツ間の解像度調整を行うための対応関係を示す図であり、放送映像の解像度をアプリケーションからの出力解像度に合わせる場合を示すものである。
図6】同実施形態による提示制御部がコンテンツ間の解像度調整を行うための対応関係を示す図であり、解像度の高いほうの画像(映像)を解像度の低いほうに合わせる場合を示すものである。
図7】同実施形態による提示制御部がコンテンツ間の解像度調整を行うための対応関係を示す図であり、解像度の低いほうの画像(映像)を解像度の高いほうに合わせる場合を示すものである。
図8】同実施形態の変形例の一つによる受信装置の概略機能構成を示す機能ブロック図である。
図9】同実施形態のさらなる変形例の一つによる受信装置の概略機能構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[実施形態]
図1は、本実施形態による受信装置の概略機能構成を示す機能ブロック図である。受信装置1は、テレビ放送の信号を受信してその映像および音声を出力するとともに、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」または「アプリ」と称する)を取得して実行する機能を有している。なお、アプリケーションの一種が、データコンテンツである。図示するように、受信装置1は、受信部11と、分離部12と、AIT取得部14と、アプリ制御部15と、アプリ取得部16と、アプリ実行部17と、映像・音声処理部21と、提示制御部22と、出力部23とを含んで構成される。
【0014】
受信部11は、外部からの放送信号を受信する。このとき、受信部11は、特定の放送チャンネルの放送信号のみを受信する。受信部11が受信するチャンネルは不図示の選局部によって選択される。放送信号は、放送局側の送信設備から送信され、電波として、あるいはケーブルテレビ放送の電気信号等として伝送される。受信部11が受信する放送信号は、映像や音声やテキスト(字幕や文字スーパー)やデータ(データ放送等)や制御情報を含んで多重されているデジタル信号である。受信部11は、受信した放送信号を復調し、分離部12に渡す。
【0015】
分離部12は、受信部11によって受信された放送信号を映像や音声やテキストやデータや制御情報などに分離する。分離部12は、分離した映像信号および音声信号を、映像・音声処理部21に渡す。また、分離部12は、放送信号から抽出したアプリケーション情報テーブル(AIT,Application Information Table)をAIT取得部14に渡す。
また、分離部12は、放送信号の一部として伝送されるアプリケーションのコードを、アプリ取得部16に渡す。
【0016】
AIT取得部14は、分離部12から渡されるAITを取得する。AITは、アプリケーションに関する情報を保持するテーブルである。AIT取得部14は、取得したAITに含まれる情報を、アプリ制御部15に渡す。なお、AIT取得部14からアプリ制御部15に渡される情報には、アプリごとの、画像(映像)出力の解像度に関する情報が含まれている。
また、AIT取得部14は、AIT内に記述されている、アプリの取得に必要な情報(アプリの識別情報や、アプリの所在を示す情報など)をアプリ取得部16に渡す。アプリの所在を示す情報とは、放送信号内においてアプリケーションコードが存在する位置を示す情報である。なおAITは、放送信号内において、制御情報の一部として伝送される。
または、AITは、SI(Service Information、またはSignaling Information)情報として伝送される。または、AITは、データ放送の一部として伝送される。
【0017】
アプリ制御部15は、AIT取得部14から取得した情報に従って、アプリの実行を制御する。例えば、アプリ制御部15は、AIT内に含まれるアプリのライフサイクル制御情報(PRESENT(取得),PREFETCH(予め取得してキャッシュする)、AUTOSTART(自動起動),KILL(終了)等)にしたがって、アプリのライフサイクルを制御する。
また、アプリ制御部15は、AIT取得部14から渡されたAITから、アプリからの出力解像度に関する情報を取り出し、その解像度に関する情報を提示制御部22に渡す。
【0018】
アプリ取得部16は、AIT取得部14から受け取る情報にしたがって、アプリケーションコードを分離部12から取得する。また、アプリ取得部16は、取得したアプリケーションコードを、必要に応じて、保存する。アプリケーションコードは、例えば、HTML5(ハイパーテキストマークアップ言語の第5版)とJavaScript(登録商標)を用いて記述されたデータファイルである。
【0019】
アプリ実行部17は、アプリ制御部15からの制御に基づいて、アプリを実行させる。
なお、アプリ実行部17は、実行させるべきアプリケーションコードをアプリ取得部16から受け取る。アプリ実行部17は、例えば、HTML5を解釈して表示したり、JavaScript(登録商標)のコードを実行したりするウェブブラウザとして実現される。アプリ実行部17は、画面に表示すべき内容を表すデータを、提示制御部22に渡す。
【0020】
映像・音声処理部21は、分離部12から渡される映像および音声の信号を復号し、提示制御部22に渡す。つまり、映像・音声処理部21は、分離部12で分離された映像信号を表示可能な映像として復元するとともに、音声信号を音声として復元する。
【0021】
提示制御部22は、映像・音声処理部21から受け取った映像(テレビ放送の映像)のデータと、アプリ実行部17から受け取った表示内容のデータとを重ね合わせ(オーバーレイし)、出力部23に渡す。また、提示制御部22は、映像・音声処理部21から受け取った音声のデータに基づき、アナログ変換した音声信号を出力部23に渡す。
なお、提示制御部22は、テレビ放送の映像の解像度とアプリからの出力の解像度とを調整して、両者をオーバーレイする。具体的には、提示制御部22は、アプリ制御部15によって取り出されたアプリケーションの出力解像度に関する情報と映像・音声処理部21によって復元された映像の解像度とに基づいて、映像とアプリケーションからの出力画像との解像度を整合させる処理を行う。この解像度の調整の詳細については、後述する。
なお、提示制御部22が利用するアプリケーションの出力解像度の情報は、AITから取得されたものであるので、アプリケーションを実際に読み込む前から解像度情報を認識することができる。
出力部23は、提示制御部22から渡された映像を画面に出力する。また、出力部23は、提示制御部22から渡された音声を、スピーカー等から出力する。
【0022】
次に、アプリケーションからの出力解像度に関する情報について説明する。本実施形態では、アプリケーションから出力される画像(映像)の解像度の情報を、AIT内に格納して、放送局側から受信装置1に伝達する。放送局側の送信装置が、放送信号内に多重した状態でAITを送信し、受信装置1がこれを受信する。
図2は、本実施形態によるAITの構成を示す概略図である。AITは一つまたは複数のアプリケーションに関する情報を保持するテーブルである。
【0023】
同図に示すように、AIT内には、複数のアプリケーション情報記述子を含む、アプリケーション情報記述子ループ(application descriptors loop)の領域が存在する。アプリケーション情報記述子ループ内の各々のアプリケーション情報記述子の種類は、記述子タグ(descriptor tag)によって識別される。このアプリケーション情報記述子ループに含まれる記述子の一つが、アプリケーション記述子(application descriptor)である。
そして、このアプリケーション記述子は、アプリケーションプロファイルループ(application profile loop)を含んでいる。アプリケーションプロファイルループは、複数のアプリケーションプロファイル(application profile)を含む。個々のアプリケーションプロファイルは、16ビットの符号なし整数である。本実施形態では、一つのアプリケーションプロファイルが、アプリケーションからの出力解像度を表すようにする。なお、アプリケーションごとに、出力解像度の値が設定される。
【0024】
一例としては、アプリケーションからの出力解像度を示すプロファイルは、水平方向画素数の値を保持するようにする。例えば、アプリケーションからの出力解像度が1920(水平方向)×1080(垂直方向)である場合、プロファイルの値を「1920」(16進数では「0x0780」)とする。また、出力解像度が3840(水平方向)×2160(垂直方向)である場合、プロファイルの値を「3840」(16進数では「0x0F00」)とする。また、出力解像度が7680(水平方向)×4320(垂直方向)である場合、プロファイルの値を「7680」(16進数では「0x1E00」)とする。
【0025】
他の例としては、アプリケーションからの出力解像度を示すプロファイルは、出力解像度を指標する整数値を保持するようにする。例えば、アプリケーションからの出力解像度が1920(水平方向)×1080(垂直方向)である場合、プロファイルの値を「1」(16進数では「0x0001」)とする。また、出力解像度が3840(水平方向)×2160(垂直方向)である場合、プロファイルの値を「2」(16進数では「0x0002」)とする。また、出力解像度が7680(水平方向)×4320(垂直方向)である場合、プロファイルの値を「3」(16進数では「0x0003」)とする。
【0026】
また、他の例としては、プロファイルにおける所定の桁(例えば、16進数表現における最下位の桁)が出力解像度を指標する値を保持するようにする。例えば、アプリケーションからの出力解像度が1920(水平方向)×1080(垂直方向)である場合、16進数表現によるプロファイルの最下位の桁を「0」とする。また、出力解像度が3840(水平方向)×2160(垂直方向)である場合、16進数表現によるプロファイルの最下位の桁を「1」とする。また、出力解像度が7680(水平方向)×4320(垂直方向)である場合、16進数表現によるプロファイルの最下位の桁を「2」とする。
なお、上記の三例では、出力解像度が3種類である場合について例示したが、出力解像度の種類数は3に限られず、異なっていても良い。
【0027】
次に、放送の映像と、アプリケーションからの出力とをオーバーレイする処理の詳細について説明する。
図3は、提示制御部22によるオーバーレイ処理を説明するための画面例の図である。
同図(a)は、テレビ放送の映像を示している。同図(b)は、アプリケーションから出力される画面の例を示している。同図(c)は、テレビ放送の映像と、アプリケーションから出力される画面とを重ね合わせて表示した状態を示している。同図(a)と同図(c)との間の差は、画面の下のほうに配置されている横長の長方形の領域であり、この領域がアプリケーションからの出力である。同図(c)に示す例では、アプリケーションからの出力には、ニュース見出しのテキストや、天気予報や、アプリケーションプログラムへの指示のためのメニューなどを含んでいる。
【0028】
テレビ放送番組の制作者は、この映像が画面全体に表示されることを意図してこの映像を制作している。また、同図(b)や(c)に示すアプリケーション(マルチメディアコンテンツ)の制作者は、アプリケーションからの出力が画面全体に程よく配置されることを意図してアプリケーションを制作している。提示制御部22は、テレビ放送の映像の解像度とアプリケーションからの出力解像度が異なっている場合にも、両者が同図(c)のように良いバランスで表示されるように、オーバーレイのしかたを制御する。言い換えれば、提示制御部22によるこのような制御の結果として、解像度の低いほうのコンテンツが画面内で小さく縮小されて表示されることを防いでいる。
【0029】
提示制御部22は、映像の解像度とアプリケーションからの出力の解像度が異なるときには、映像の解像度に合うように、アプリケーションからの出力の解像度を変更する。また逆に、提示制御部22が、アプリケーションからの出力の解像度に合うように映像の解像度を変更しても良い。これらの場合、提示制御部22は、変更するほうのコンテンツを適宜、アップサンプリングまたはダウンサンプリングする。
図4および図5は、提示制御部22によるコンテンツの解像度調整の対応関係を示すものである。図4は、提示制御部22がアプリケーションからの出力解像度を放送映像の解像度に合わせる場合の対応関係図である。図5は、提示制御部22が放送映像の解像度をアプリケーションからの出力解像度に合わせる場合の対応関係図である。提示制御部22は、図4または図5のいずれの方法を用いても良い。
【0030】
図4が示すものは2次元の表であり、横方向はアプリケーションからの出力解像度に対応し、縦方向は放送の映像の解像度に対応する。本例では、アプリケーションからの出力解像度も、放送映像の解像度も、横1920画素×縦1080画素(いわゆる「2K」)、横3840画素×縦2160画素(いわゆる「4K」)、横7680画素×縦4320画素(いわゆる「8K」)の3通りである。但し、解像度の種類はこれらの3種類に限られず、他の解像度を用いても良い。図4の対応関係を用いる場合、アプリケーションからの出力を、適宜アップサンプリングまたはダウンサンプリングすることによって、放送映像の解像度に合わせる。なお、アプリケーションからの出力解像度と放送映像の解像度が元々等しい場合には、解像度を変えずにそのままオーバーレイする。図4に示す通り、(4-1)放送映像の解像度が横1920画素×縦1080画素である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横1920画素×縦1080画素である。また、(4-2)放送映像の解像度が横3840画素×縦2160画素である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横3840画素×縦2160画素である。また、(4-3)放送映像の解像度が横7680×縦4320である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横7680画素×縦4320画素である。
つまり、提示制御部22は、映像の解像度とアプリケーションの出力解像度とが異なるときには、映像の解像度に合うようにアプリケーションからの出力画像の解像度を変更することによって、映像とアプリケーションからの出力画像と整合させる。
【0031】
図5も、図4と同様の2次元の表であり、解像度は、横1920画素×縦1080画素、横3840画素×縦2160画素、横7680画素×縦4320画素の3通りである。
図5の対応関係を用いる場合、提示制御部22は、放送映像を、適宜アップサンプリングまたはダウンサンプリングすることによって、アプリケーションからの解像度に合わせる。なお、アプリケーションからの出力解像度と放送映像の解像度が等しい場合には、解像度を変えずにそのままオーバーレイする。図5に示す通り、(5-1)アプリケーションからの出力の解像度が横1920画素×縦1080画素である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横1920画素×縦1080画素である。また、(5-2)アプリケーションからの出力の解像度が横3840画素×縦2160画素である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横3840画素×縦2160画素である。また、(5-3)アプリケーションからの出力の解像度が横7680×縦4320である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横7680画素×縦4320画素である。
つまり、提示制御部22は、映像の解像度とアプリケーションの出力解像度とが異なるときには、アプリケーションからの出力画像の解像度に合うように映像の解像度を変更することによって、映像とアプリケーションからの出力画像と整合させる。
【0032】
また、提示制御部22が、各コンテンツの実際の解像度によって動的にどちらのコンテンツの解像度に合わせるかを決定するようにしても良い。
図6および図7は、提示制御部22によるコンテンツの解像度調整の対応関係を示すものである。図6は、提示制御部22が解像度の高いほうの画像(映像)を解像度の低いほうに合わせる場合の対応関係図である。図7は、提示制御部22が解像度の低いほうの画像(映像)を解像度の高いほうに合わせる場合の対応関係図である。提示制御部22は、図4図5の方法に代えて、図6または図7のいずれかの方法を用いても良い。
【0033】
図6が示すものは2次元の表であり、横方向はアプリケーションからの出力解像度に対応し、縦方向は放送の映像の解像度に対応する。本例では、アプリケーションからの出力解像度も、放送映像の解像度も、横1920画素×縦1080画素(いわゆる「2K」)、横3840画素×縦2160画素(いわゆる「4K」)、横7680画素×縦4320画素(いわゆる「8K」)の3通りである。但し、解像度の種類はこれらの3種類に限られず、他の解像度を用いても良い。図6の対応関係を用いる場合、アプリケーションからの出力と放送映像からの出力のうち、提示制御部22は、解像度の高いほうの画像(映像)をダウンサンプリングすることによって、低いほうの解像度に合わせる。なお、アプリケーションからの出力解像度と放送映像の解像度が等しい場合には、解像度を変えずにそのままオーバーレイする。図6に示す通り、(6-1)アプリケーションからの解像度と放送映像の解像度のどちらか一方が横1920画素×縦1080画素である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横1920画素×縦1080画素である。また、(6-2)アプリケーションからの解像度と放送映像の解像度のどちらか一方が横3840画素×縦2160画素であって、且つ他方の解像度が横3840画素×縦2160画素またはそれ以上である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横3840画素×縦2160画素である。(6-3)アプリケーションからの解像度と放送映像の解像度の両方が横7680×縦4320である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横7680画素×縦4320画素である。
つまり、提示制御部22は、映像の解像度とアプリケーションの出力解像度とが異なるときには、解像度の低いほうに合うように映像または画像の解像度を変更することによって、映像とアプリケーションからの出力画像と整合させる。
【0034】
図7も、図6と同様の2次元の表であり、解像度は、横1920画素×縦1080画素、横3840画素×縦2160画素、横7680画素×縦4320画素の3通りである。
図7の対応関係を用いる場合、アプリケーションからの出力と放送映像からの出力のうち、提示制御部22は、解像度の低いほうの画像(映像)をアップサンプリングすることによって、高いほうの解像度に合わせる。なお、アプリケーションからの出力解像度と放送映像の解像度が等しい場合には、解像度を変えずにそのままオーバーレイする。図7に示す通り、(7-1)アプリケーションからの解像度と放送映像の解像度のどちらか一方が横7680画素×縦4320画素である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横7680画素×縦4320画素である。また、(7-2)アプリケーションからの解像度と放送映像の解像度のどちらか一方が横3840画素×縦2160画素であって、且つ他方の解像度が横3840画素×縦2160画素またはそれ以下である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横3840画素×縦2160画素である。(7-3)アプリケーションからの解像度と放送映像の解像度の両方が横1920×縦1080である場合、提示制御部22から出力部23に渡す画像(映像)の解像度は横1920画素×縦1080画素である。
つまり、提示制御部22は、映像の解像度とアプリケーションの出力解像度とが異なるときには、解像度の高いほうに合うように映像または画像の解像度を変更することによって、映像とアプリケーションからの出力画像と整合させる。
【0035】
以上、受信装置の構成と動作について説明したが、ここで、送信側の装置について説明する。放送局側の送信設備は、アプリケーションごとの出力解像度の情報をAITに設定する。そして、送信設備は、映像、音声、データ、制御情報等を多重化し、デジタル放送信号として送信する。デジタル放送信号には上記のAITも含まれている。
出力解像度の情報をAITに設定するための具体的な装置構成例は次の通りである。アプリケーションを制作するためのアプリ制作装置は、制作者によって制作されたアプリケーションコードを有するファイルを出力する。また、アプリ制作装置はアプリケーションの制作時に設定された出力解像度の情報を有するファイルを出力する。これらのファイルは共通のものであっても良い。上記のアプリ制作装置は、予め定められたデータ交換方式により、アプリケーションコードを含んだファイルと出力解像度情報を含んだファイルを、外部に送信する。これらのファイルを、アプリ登録装置が受信する。アプリ登録装置は、上記のデータ交換方式によりこれらのファイルを受信する。そして、アプリ登録装置は、当該アプリケーションに関する諸情報をAIT内のそれぞれ所定の領域にセットする。
このとき、アプリ登録装置は、アプリケーションからの出力解像度の情報をもAIT内の所定領域にセットする。このように作成されたAITは、他のデータとともに多重され、放送信号の一部として送出される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、アプリケーションごとの出力解像度の情報がAITにセットされている。そして、受信装置1におけるAIT取得部14は、分離部12によって分離された信号からAITを抽出する。抽出されたAITはアプリ制御部15に渡される。アプリ制御部15は、アプリケーションの出力解像度の情報を提示制御部22に渡す。提示制御部22は、アプリ制御部15から渡された情報に基づき、放送番組の映像の解像度と、アプリケーションの出力解像度との間の調整を行う。具体的にこの調整は、提示制御部22が、放送の映像の解像度とアプリケーションからの出力解像度とを整合させる処理である。このとき提示制御部22は、双方の解像度が互いに異なる場合には、解像度の高いほうのコンテンツ(放送映像またはアプリケーションからの出力)を解像度の低いほうに合わせるか、あるいは解像度の低いほうのコンテンツを解像度の高いほうに合わせるか、いずれかの方法による調整を行う。なお、受信装置1は、放送映像の解像度に関する情報を、放送信号の中から抽出する。
【0037】
本実施形態により、受信装置1は、放送映像の解像度に関わらず、アプリケーションからの出力(マルチメディアコンテンツ)を適切にオーバーレイして画面に表示することができる。なお、アプリケーションがHTMLおよびスタイルシート(カスケードスタイルシート,CSS)として記述されている場合に、受信装置1が、それらのデータを解析することによってアプリケーションからの出力を推定することも不可能とは言い切れない。
しかしながら、本実施形態のようにAITからアプリケーションの出力解像度の情報を得るほうが、アプリケーションそのもの(HTMLやスタイルシート)から解像度を求めるよりも、早く、確実に、解像度を把握することができる。つまり、本実施形態によれば、アプリケーションからの出力解像度の情報をAITで伝送しているため、アプリケーションの起動時にはそのアプリケーションからの出力の解像度の情報を予め認識できている。
それにより例えば、本実施形態による提示制御部22は、遅滞なく、放送映像とアプリケーション出力との間の解像度調整を行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では、AIT内のアプリケーションプロファイル内にアプリケーションの出力解像度の情報を格納することとした。このような構成により、AIT内の記述子を新たに定義する必要がない。また、アプリケーション記述子以外の新たな領域を設ける必要がない。また、新たなテーブルを設ける必要がない。
【0039】
なお、上述した実施形態における受信装置の機能の一部をコンピューターで実現するようにしても良い。その場合、この受信装置の内部の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0040】
以上、実施形態を説明したが、本発明はさらに次のような変形例でも実施することが可能である。なお、組み合わせ可能な場合には、以下に述べる変形例の複数を組み合わせて実施しても良い。
[変形例1]
上記の実施形態では、AIT取得部14は、放送信号から抽出されたAITを取得するものであった。本変形例では、AIT取得部14は、インターネット等の通信回線を介して、外部のコンピューターサーバー装置からAITを取得する。なおこの場合、受信装置1は、不図示の通信入出力部を備える。通信入出力部は、インターネットプロトコル(IP)等を用いて、外部の装置との間で通信を行うことができる。なお、AIT取得部14が、放送信号からも、通信回線を介して外部のコンピューターサーバー装置からも、AITを取得できるようにしても良い。
【0041】
[変形例2]
上記の実施形態では、アプリ取得部16は、放送信号から抽出されたアプリケーションコードを取得するものであった。本変形例では、アプリ取得部16は、インターネット等の通信回線を介して、外部のコンピューターサーバー装置からアプリケーションコードを取得する。この場合も、上記の変形例1と同様に、受信装置1は、通信入出力部を備える。
【0042】
[変形例3]
上記の実施形態では、AIT内のアプリケーションプロファイルの領域にアプリケーションの出力解像度の情報を格納することとした。本変形例では、アプリケーションの出力解像度の情報を格納するための新たな記述子を設ける。また、さらなる変形例として、AIT内の他のフィールドにアプリケーションの出力解像度の情報を格納するようにしても良い。
【0043】
上記の「変形例3」において「アプリケーションの出力解像度の情報を格納するための新たな記述子を設ける」場合について記載したが、その具体的な一例は、次の通りである。本例では、放送局側の送信装置は、MPT内のMH-データ符号化方式記述子の中にアプリケーションの出力解像度の情報を含めるようにして、放送信号を送信する。なお、「MPT」は「MMTパッケージテーブル」の略である。また、「MMT」は「MPEGメディアトランスポート」の略である。また、「MH」は「MPEG-H」の略である。
【0044】
図8は、本例による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、この受信装置2は、受信装置1(図1)が備えていた各部に加えて、MH-データ符号化方式記述子取得部31を含んで構成される。
【0045】
MH-データ符号化方式記述子取得部31は、分離部12が分離した信号のうち、MH-データ符号化方式記述子を取得する。そして、アプリ制御部15は、MH-データ符号化方式記述子取得部31が取得したMH-データ符号化方式記述子からアプリケーションの出力解像度に関する情報を取り出す。一例として、アプリ制御部15は、MH-データ符号化方式記述子取得部31が取得したMH-データ符号化方式記述子の中の付加情報(付加識別情報)から、アプリケーションの出力解像度に関する情報を取り出す。そして、提示制御部22が、このアプリケーション制御部15によって取り出されたアプリケーションの出力解像度に関する情報と、映像・音声処理部21によって復元された映像の解像度とに基づいて、映像と前記アプリケーションからの出力画像との解像度を整合させる。
【0046】
受信装置2において複数のアプリケーションが稼働する場合、MH-データ符号化方式記述子内におけるアプリケーションの出力解像度の情報を、どのアプリケーションに対応付けるかは、次の(a)~(d)の方法のいずれかによる。
【0047】
(a)この方法では、MH-データ符号化方式記述子内に、アプリケーションの出力解像度の情報を一種類だけ設けて、すべてのアプリケーションにその出力解像度を適用する。
(b)この方法では、MH-データ符号化方式記述子内に、アプリケーションごとの識別情報とアプリケーションの出力解像度の情報とを関連付ける形で、複数組の情報を格納する。そして、アプリケーションごとに、識別情報によって該当する出力解像度の情報を取得し、その出力解像度を適用する。
(c)この方法では、MH-データ符号化方式記述子内に、アプリケーションの属性情報(上記の識別情報以外の属性情報)とアプリケーションの出力解像度の情報とを関連付ける形で、複数組の情報を格納する。そして、アプリケーションの属性ごとに、該当する出力解像度の情報を取得し、その出力解像度を適用する。ここで、アプリケーションの属性とは、例えば、アプリケーションの提供事業者や、放送マネージドアプリであるか否か、などといった情報である。
(d)なお、上記の(a)~(c)以外の方法によって、アプリケーションに対応する複数の出力解像度の情報をMH-データ符号化方式記述子内に格納して伝送するようにしても良い。
【0048】
なお、本例においても、放送映像の解像度とアプリケーションから出力される画像の解像度とを合わせるために、図4図5図6図7のそれぞれに示したいずれかの方法を用いれば良い。
例えば、図4に示した方法を用いるとき、提示制御部22は、映像の解像度とアプリケーションの出力解像度とが異なるときには、映像の解像度に合うようにアプリケーションからの出力画像の解像度を変更することによって、映像とアプリケーションからの出力画像と整合させる。
【0049】
[変形例4]
上記の実施形態では、AIT内のアプリケーションプロファイルの領域にアプリケーションの出力解像度の情報を格納することとした。本変形例では、MPT(MPテーブル,MMTパッケージテーブル)内のアプリケーションサービス記述子(Application_Service_Descriptor)内に、アプリケーションの出力解像度の情報を格納するためのデータ項目の領域を設ける。具体的には、MPT内のMPテーブル記述子領域(MPT_descriptors_byte)内に上記のアプリケーションサービス記述子は配置されている。そして、放送局側の送信装置は、MPT内のアプリケーションサービス記述子の中にアプリケーションの出力解像度の情報を含めるようにして、放送信号を送信する。
【0050】
図9は、本変形例による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、この受信装置3は、受信装置1(図1)が備えていた各部に加えて、アプリケーションサービス記述子取得部32を含んで構成される。
【0051】
アプリケーションサービス記述子取得部32は、分離部12が分離した信号のうち、アプリケーションサービス記述子を取得する。そして、アプリ制御部15は、アプリケーションサービス記述子取得部32が取得したアプリケーションサービス記述子からアプリケーションの出力解像度に関する情報を取り出す。そして、提示制御部22が、このアプリケーション制御部15によって取り出されたアプリケーションの出力解像度に関する情報と、映像・音声処理部21によって復元された映像の解像度とに基づいて、映像と前記アプリケーションからの出力画像との解像度を整合させる。
【0052】
受信装置3において複数のアプリケーションが稼働する場合、アプリケーションサービス記述子内におけるアプリケーションの出力解像度の情報を、どのアプリケーションに対応付けるかは、次の(a)~(d)の方法のいずれかによる。
【0053】
(a)この方法では、アプリケーションサービス記述子内に、アプリケーションの出力解像度の情報を一種類だけ設けて、すべてのアプリケーションにその出力解像度を適用する。
(b)この方法では、アプリケーションサービス記述子内に、アプリケーションごとの識別情報とアプリケーションの出力解像度の情報とを関連付ける形で、複数組の情報を格納する。そして、アプリケーションごとに、識別情報によって該当する出力解像度の情報を取得し、その出力解像度を適用する。
(c)この方法では、アプリケーションサービス記述子内に、アプリケーションの属性情報(上記の識別情報以外の属性情報)とアプリケーションの出力解像度の情報とを関連付ける形で、複数組の情報を格納する。そして、アプリケーションの属性ごとに、該当する出力解像度の情報を取得し、その出力解像度を適用する。ここで、アプリケーションの属性とは、例えば、アプリケーションの提供事業者や、放送マネージドアプリであるか否か、などといった情報である。
(d)なお、上記の(a)~(c)以外の方法によって、アプリケーションに対応する複数の出力解像度の情報をアプリケーションサービス記述子内に格納して伝送するようにしても良い。
【0054】
上記のように、本変形例では、アプリケーションサービス記述子にコンテンツの解像度情報の項目を追加してシグナリングする方法をとる。
なお、本例においても、放送映像の解像度とアプリケーションから出力される画像の解像度とを合わせるために、図4図5図6図7のそれぞれに示したいずれかの方法を用いれば良い。
例えば、図4に示した方法を用いるとき、提示制御部22は、映像の解像度とアプリケーションの出力解像度とが異なるときには、映像の解像度に合うようにアプリケーションからの出力画像の解像度を変更することによって、映像とアプリケーションからの出力画像と整合させる。
【0055】
以上説明した実施形態、およびその複数の変形例では、受信装置は、放送信号内の制御情報の一部として、アプリケーションからの出力解像度の情報を取得する。したがって、アプリ実行部(ウェブブラウザ機能)がHTMLを解釈する処理を行う前に、アプリケーションからの出力解像度を設定することができる。つまり、表示のために確保が必要となるメモリの量を、HTML解釈前に算出することができる。また、表示エンジンにおける解像度パラメーターの設定も、HTML解釈前に行うことができる。つまり、アプリケーションからの表示を開始するまでに要する時間を短くすることができる。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、テレビ放送の受信機等に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1,2,3 受信装置
11 受信部
12 分離部
14 AIT取得部(アプリケーション情報テーブル取得部)
15 アプリ制御部(アプリケーション制御部)
16 アプリ取得部(アプリケーション取得部)
17 アプリ実行部(アプリケーション実行部)
21 映像・音声処理部(映像処理部)
22 提示制御部
23 出力部
31 MH-データ符号化方式記述子取得部
32 アプリケーションサービス記述子取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9