(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】液滴吐出手段、液滴形成装置、及び撹拌装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220426BHJP
B05B 9/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
C12M1/00 A
B05B9/00
(21)【出願番号】P 2018012354
(22)【出願日】2018-01-29
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】赤井 武志
(72)【発明者】
【氏名】藤榮 博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恵介
(72)【発明者】
【氏名】高木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】杣田 浩紀
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0286064(US,A1)
【文献】特開2005-205407(JP,A)
【文献】特開2007-136451(JP,A)
【文献】特開2017-083439(JP,A)
【文献】国際公開第2016/042722(WO,A1)
【文献】実開平02-091677(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00 -3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出口と、
前記液滴吐出口を有する液保持部と、
前記液保持部に連通して配置される2本の管と、
前記2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材と、
を有する液滴吐出手段であって、
前記第一の液吸引排出部材が吸引又は排出中は、前記第二の液吸引排出部材はそれぞれ非吸引又は非排出であ
り、
前記第一及び第二の液吸引排出部材のうちのいずれか一つの液吸引排出部材の液吸引動作に同期させて、他の液吸引排出部材が液排出動作を行う
ことを特徴とする液滴吐出手段。
【請求項2】
前記2本の管が前記液滴吐出口に対して傾斜配置されている請求項1に記載の液滴吐出手段。
【請求項3】
前記液滴吐出口が設けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートを振動させて、前記液滴吐出口から液滴を吐出させる振動部材と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出手段。
【請求項4】
前記2本の管が、前記液滴吐出口を通る中心軸に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液滴吐出手段。
【請求項5】
前記2本の管の中心軸線がそれぞれ同一平面とならない
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液滴吐出手段。
【請求項6】
前記第一の液吸引排出部材及び前記第二の液吸引排出部材が、複数の送液速度に切替え可能である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液滴吐出手段。
【請求項7】
前記第一の液吸引排出部材及び前記第二の液吸引排出部材が、複数の送液量に切替え可能である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の液滴吐出手段。
【請求項8】
前記液保持部の前記ノズルプレートと対向する面が大気開放されている
ことを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の液滴吐出手段。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の液滴吐出手段を備えたことを特徴とする液滴形成装置。
【請求項10】
液滴に含まれる粒子を計数する粒子数計数手段を有する請求項9に記載の液滴形成装置。
【請求項11】
液を保持する液保持部と、
前記液保持部に連通して配置される2本の管と、
前記2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材と、
を有する撹拌装置であって、
前記第一の液吸引排出部材が吸引又は排出中は、前記第二の液吸引排出部材はそれぞれ非吸引又は非排出であり、
前記第一及び第二の液吸引排出部材のうちのいずれか一つの液吸引排出部材の液吸引動作に同期させて、他の液吸引排出部材が液排出動作を行う
ことを特徴とする撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出手段、液滴形成装置、及び撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、溶媒中に細胞を分散させた液体をインクジェットヘッドにより液滴吐出することにより、所定数の細胞を分注する技術が既に知られている。
【0003】
しかし、今までのインクジェットヘッドによる細胞分注では従来のインクジェットで使用される顔料インクの粒子径がナノスケールであるのに対し、細胞の粒子径が数μm~数十μmと大径であることに起因する細胞の沈降により、経時でタンク内の細胞濃度の分布が変化し、吐出安定性が低下するという問題がある。
【0004】
そこで、例えば、2つのインクタンクと、2つのインクタンクを連結する流路と、2つのインクタンクの間で流路に連結されるようにインクジェットヘッドと、が配置されており、それぞれのインクタンクに異なる圧力を印加することでインク流を発生させて流路内のインクを撹拌する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、
図1に示すように、第一のポンプ13の圧力により第一の流路15を通って第一のインクタンク10からインクジェットヘッド30にインクが流入し、同時に第二のポンプ23の第一のポンプと異なる圧力により第二の流路25を通ってインクジェットヘッド30から第二のインクタンク20にインクが流入することで、インクが存在する全領域でインク流を発生させることができるため、インクに含まれる固形成分の沈降を防止できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液滴吐出手段における液保持部内の粒子を含む液体の粒子濃度を一定に維持することができる液滴吐出手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための手段としての本発明の液滴吐出手段は、液滴吐出口と、前記液滴吐出口を有する液保持部と、前記液保持部に連通して配置される2本の管と、前記2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材と、を有する液滴吐出手段であって、前記第一の液吸引排出部材が吸引又は排出中は、前記第二の液吸引排出部材はそれぞれ非吸引又は非排出である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、液滴吐出手段における液保持部内の粒子を含む液体の粒子濃度を一定に維持することができる液滴吐出手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、従来の液滴形成装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る液滴形成装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る液滴形成装置の液滴吐出手段により液滴が形成される過程の一例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、第2の実施形態に係る液滴形成装置における第1及び第2の液吸引排出部材を用いた液の撹拌について説明する一例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、第2の実施形態に係る液滴形成装置における第一及び第二の液吸引排出部材を用いた液の撹拌について説明する他の一例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、第2の実施形態に係る液滴形成装置における第一及び第二の液吸引排出部材を用いた液の撹拌について説明する他の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係る液滴形成装置における第一及び第二の管の配置を説明する一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態に係る液滴形成装置における第一及び第二の管の配置を説明する他の一例を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、第4の実施形態に係る液滴形成装置における具体的な吸引排出動作のタイミングについて説明する一例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、第4の実施形態に係る液滴形成装置における具体的な吸引排出動作のタイミングについて説明する他の一例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、細胞Aについて、異なる細胞濃度の溶液での撹拌動作の有無による吐出された液滴中の細胞濃度の評価結果を示すグラフである。
【
図8B】
図8Bは、細胞Bについて、異なる細胞濃度の溶液での撹拌動作の有無による吐出された液滴中の細胞濃度の評価結果を示すグラフである。
【
図9】
図9は、液滴形成装置の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、液滴形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15A】
図15Aは、飛翔する液滴に2個の蛍光粒子が含まれる場合を例示する図である。
【
図15B】
図15Bは、飛翔する液滴に2個の蛍光粒子が含まれる場合を例示する図である。
【
図16】
図16は、粒子同士の重なりが生じない場合の輝度値Liと、実測される輝度値Leとの関係を例示する図である。
【
図18】
図18は、マイクロ流路中を通過してきた細胞をカウントする方法の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、吐出ヘッドのノズル部近傍の画像を取得する方法の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、確率P(>2)と平均細胞数の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(液滴吐出手段)
本発明の液滴吐出手段は、液滴吐出口と、前記液滴吐出口を有する液保持部と、前記液保持部に連通して配置される2本の管と、前記2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材と、を有し、第一の液吸引排出部材が吸引又は排出中は、第二の液吸引排出部材はそれぞれ非吸引又は非排出であり、更に必要に応じてその他の部材を有する。
【0010】
本発明の液滴吐出手段は、従来技術では、ノズルプレートに対して直角方向の一方向への撹拌流しか発生させることができないため、タンク隅部などでの粒子の滞留により、経時でタンク内の粒子濃度分布が変化してしまうという問題は解決できていないという知見に基づくものである。
また、従来のインク流による沈降防止機構では、最も固形成分が堆積するインクジェットヘッドの隅部にインク流が発生しにくく、隅部に固形成分が堆積することにより、経時で隅部以外のインクの粒子濃度低下が発生することが懸念されるという知見に基づくものである。
【0011】
本発明においては、液滴吐出口と、液滴吐出口を有する液保持部と、液保持部に連通して配置される2本の管と、2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材とを有しているので、2本の管からの液体がノズルプレート及び液保持部壁面に沿って流れることにより、液保持部内に上昇流を発生させ、液保持部の底部に堆積した粒子を分散させることができる。
また、液保持部内の液体に複数の方向に撹拌流を連続して発生させることにより液体内の粒子を分散させ、時間が経過しても液保持部内の粒子を含む液体の粒子濃度を一定に維持することができる。
【0012】
<液保持部>
液保持部は、液滴吐出口を有するノズルプレートと、振動部材とを有することが好ましく、更に必要に応じてその他の部材を有することがより好ましい。
液滴吐出手段がオープンヘッドの場合には、大気開放部を上部側に有していることが好ましい。なお、大気開放部の位置は上部に限定されない。液体中に混入した気泡は大気開放部から排出可能に構成されている。
【0013】
液保持部の形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液保持部の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム等や、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。
これらの中でも、粒子として細胞やタンパク質を用いる際には、細胞やタンパク質に対する付着性の低い材料を用いることが好ましい。
細胞の付着性は一般的に材質の水との接触角に依存性があると言われており、材質の親水性が高い又は疎水性が高いときには細胞の付着性が低い。親水性の高い材料としては各種金属材料やセラミックス(金属酸化物)を用いることが可能であり、疎水性が高い材料としてはフッ素樹脂等を用いることが可能である。
これら以外にも、材料表面をコーティングすることで細胞接着性を低下させることも考えられる。例えば、材料表面を前述の金属又は金属酸化物材料でコーティングすることや、細胞膜を模した合成リン脂質ポリマー(例えば、日油株式会社製、Lipidure)によってコーティングすることが可能である。
【0014】
-ノズルプレート-
ノズルプレートは、液滴吐出口(ノズル)が形成され、液保持部に保持された液体をその振幅運動による振動により液滴吐出口から液滴として吐出する部材である。
ノズルプレートは、液滴吐出手段がオープンヘッドの場合には、液保持部の下端部に固定されている。
ノズルプレートは、液滴吐出手段がクローズヘッドの場合には、液保持部の上端部に固定されている。
液保持部に保持された液体は、ノズルプレートの振動により貫通孔である液滴吐出口から液滴として吐出される。
【0015】
ノズルプレートの平面形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ノズルプレートの平面形状としては、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、菱形などが挙げられる。
ノズルプレートの材質としては、柔らかすぎるとノズルプレートが簡単に振動し、吐出しないときに直ちに振動を抑えることが困難であるため、ある程度の硬さを有する材質を用いることが好ましく、例えば、金属、セラミックス、高分子材料などが挙げられ、具体的には、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、二酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。これらの中でも、液保持部と同様に、粒子として細胞やタンパク質を用いる場合には、細胞やタンパク質に対する付着性の低い材料を用いることが好ましい。
【0016】
-液滴吐出口-
液滴吐出口としては、その配列数、配列態様、間隔(ピッチ)、開口形状、開口の大きさなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液滴吐出口の配列数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴吐出手段の吐出面の長さ方向に沿って1列以上配設されていることが好ましく、1列以上4列以下がより好ましい。液滴吐出口を1列以上設けることにより、単位時間当りの吐出する液滴数を増加させることができると共に、粒子の種類(例えば、細胞の種類など)応じて列を変えて一度に吐出することができる。
1列当たりの液滴吐出口の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、2個以上100個以下が好ましく、2個以上50個以下がより好ましく、2個以上12個以下が更に好ましい。1列当たりの液滴吐出口の数が2個以上100個以下であると、単位時間当りの吐出する液滴数を増加させることができる高い生産性を有する液滴形成装置を提供することができる。
液滴吐出口の配列態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、規則配列(例えば、千鳥格子配列など)であっても、不規則配列であってもよい。
液滴吐出口が、複数列である場合には、隣接する液滴吐出口から吐出される液滴同士の干渉を防止でき、粒子の検出感度を向上させるため、各列の間に仕切り部材を設けることが好ましい。仕切り部材としては、例えば、仕切り板などが挙げられる。
液滴吐出口は、等間隔に並んで配列されていることが好ましく、隣接する液滴吐出口の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、50μm以上1,000μm以下が好ましい。
液滴吐出口の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。
液滴吐出口の平均径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子が液滴吐出口に詰まることを避けるため、粒子の大きさの2倍以上とすることが好ましい。
粒子が、例えば、動物細胞、特にヒトの細胞である場合、ヒトの細胞の大きさは、一般的に、5μm以上50μm以下であるため、液滴吐出口の平均径は、使用する細胞に合わせて、10μm以上100μm以下が好ましい。
一方で、液滴が大きくなり過ぎると、微小液滴を形成するという目的の達成が困難となるため、液滴吐出口の平均径は、200μm以下であることが好ましい。したがって、液滴吐出口の平均径は、10μm以上200μm以下がより好ましい。
【0017】
-振動部材-
振動部材は、ノズルプレートを振動させて液滴吐出口(ノズル)から液滴を吐出させる部材である。
振動部材は、液滴吐出手段がオープンヘッドである場合には、ノズルプレートの下面側に形成されている。
振動部材は、液滴吐出手段がクローズヘッドである場合には、ノズルプレートの上面側に形成されている。
振動部材の形状、大きさ、材質、及び構造については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
振動部材の形状としては、特に制限はなく、ノズルプレートの形状に合わせて適宜設計することができるが、例えば、ノズルプレートの平面形状が円形である場合には、クローズヘッドの場合には、円形の振動部材を設けることが好ましい。また、オープンヘッドの場合には、液滴吐出口の周囲に平面形状が円環状(リング状)の振動部材を形成することが好ましい。
【0018】
振動部材としては、圧電素子が好適に用いられる。
圧電素子としては、例えば、圧電材料の上面及び下面に電圧を印加するための電極を設けた構造とすることができる。この場合、駆動手段から圧電素子の上下電極間に電圧を印加することによって膜の面横方向に圧縮応力が加わり、ノズルプレートを膜の面上下方向に振動させることができる。
圧電材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ビスマス鉄酸化物、ニオブ酸金属物、チタン酸バリウム、又はこれらの材料に金属や異なる酸化物を加えたものなどが挙げられる。これらの中でも、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)が好ましい。
【0019】
液保持部は、粒子を含む液体を保持し、ノズルプレートの液滴吐出口から液滴として吐出される。
【0020】
<液滴>
液滴は、粒子を含むことが好ましい。
液滴中に含まれる粒子の個数は、1個以上が好ましく、1個以上5個以下がより好ましい。
液滴の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25μm以上150μm以下が好ましい。液滴の直径が25μm以上であると、内包する粒子の直径が適正となり、適用できる粒子の種類が多くなる。また、液滴の直径が150μm以下であると、液滴の吐出が安定となる。
また、液滴の直径をRとし、粒子の直径をrとすると、R>3rであることが好ましい。R>3rであると、粒子の直径と液滴の直径との関係が適正であり、液滴の縁の影響を受けることがないため、粒子の計数精度が向上する。
液滴の液量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000pL以下が好ましく、100pL以下がより好ましい。
液滴の液量は、例えば、液滴の画像から液滴の大きさを求め、液量を算出する方法などにより測定することができる。
【0021】
液滴に含まれる粒子としては、例えば、金属微粒子、無機微粒子、細胞などが挙げられる。これらの中でも、細胞が好ましい。
【0022】
細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真核細胞、原核細胞、多細胞生物細胞、単細胞生物細胞を問わず、すべての細胞について使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
真核細胞としては、特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができ、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌、藻類、原生動物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、動物細胞、真菌が好ましく、ヒト由来の細胞がより好ましい。
【0024】
接着性細胞としては、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、組織や器官から直接採取した初代細胞を何代か継代させたものでもよく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分化した細胞、未分化の細胞などが挙げられる。
【0025】
分化した細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞;星細胞;クッパー細胞;血管内皮細胞;類道内皮細胞、角膜内皮細胞等の内皮細胞;繊維芽細胞;骨芽細胞;砕骨細胞;歯根膜由来細胞;表皮角化細胞等の表皮細胞;気管上皮細胞;消化管上皮細胞;子宮頸部上皮細胞;角膜上皮細胞等の上皮細胞;乳腺細胞;ペリサイト;平滑筋細胞、心筋細胞等の筋細胞;腎細胞;膵ランゲルハンス島細胞;末梢神経細胞、視神経細胞等の神経細胞;軟骨細胞;骨細胞などが挙げられる。
【0026】
未分化の細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞;単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞;iPS細胞などが挙げられる。
【0027】
真菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カビ、酵母菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、細胞周期を調節することができ、1倍体を使用することができる点から、酵母菌が好ましい。
細胞周期とは、細胞が増えるとき、細胞分裂が生じ、細胞分裂で生じた細胞(娘細胞)が再び細胞分裂を行う細胞(母細胞)となって新しい娘細胞を生み出す過程を意味する。
【0028】
酵母菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細胞周期をG1期に制御するフェロモン(性ホルモン)の感受性が増加したBar-1欠損酵母が好ましい。酵母菌がBar-1欠損酵母であると、細胞周期が制御できていない酵母菌の存在比率を低くすることができるため、容器内に収容された細胞の特定の核酸の数の増加等を防ぐことができる。
【0029】
原核細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真正細菌、古細菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
細胞としては、死細胞が好ましい。死細胞であると、分取後に細胞分裂が起こることを防ぐことができる。
【0031】
細胞としては、光を受光したときに発光可能な細胞であることが好ましい。光を受光したときに発光可能な細胞であると、細胞の数を高精度に制御して被着対象物に着弾させることができる。
受光とは、光を受けることを意味する。
光学センサとは、人間の目で見ることができる可視光線と、それより波長の長い近赤外線や短波長赤外線、熱赤外線領域までの光のいずれかの光をレンズで集め、対象物である細胞の形状などを画像データとして取得する受動型センサを意味する。
【0032】
--光を受光したときに発光可能な細胞--
光を受光したときに発光可能な細胞としては、光を受光したときに発光可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、蛍光色素によって染色された細胞、蛍光タンパク質を発現した細胞、蛍光標識抗体により標識された細胞などが挙げられる。
細胞における蛍光色素による染色部位、蛍光タンパク質の発現部位、又は蛍光標識抗体による標識部位としては、特に制限はなく、細胞全体、細胞核、細胞膜などが挙げられる。
【0033】
---蛍光色素---
蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン類、アゾ類、ローダミン類、クマリン類、ピレン類、シアニン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、フルオレセイン類、アゾ類、ローダミン類が好ましく、エオシン、エバンスブルー、トリパンブルー、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン123がより好ましい。
【0034】
蛍光色素としては、市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、商品名:EosinY(和光純薬工業株式会社製)、商品名:エバンスブルー(和光純薬工業株式会社製)、商品名:トリパンブルー(和光純薬工業株式会社製)、商品名:ローダミン6G(和光純薬工業株式会社製)、商品名:ローダミンB(和光純薬工業株式会社製)、商品名:ローダミン123(和光純薬工業株式会社製)などが挙げられる。
【0035】
---蛍光タンパク質---
蛍光タンパク質としては、例えば、Sirius、EBFP、ECFP、mTurquoise、TagCFP、AmCyan、mTFP1、MidoriishiCyan、CFP、TurboGFP、AcGFP、TagGFP、Azami-Green、ZsGreen、EmGFP、EGFP、GFP2、HyPer、TagYFP、EYFP、Venus、YFP、PhiYFP、PhiYFP-m、TurboYFP、ZsYellow、mBanana、KusabiraOrange、mOrange、TurboRFP、DsRed-Express、DsRed2、TagRFP、DsRed-Monomer、AsRed2、mStrawberry、TurboFP602、mRFP1、JRed、KillerRed、mCherry、mPlum、PS-CFP、Dendra2、Kaede、EosFP、KikumeGRなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
---蛍光標識抗体---
蛍光標識抗体としては、蛍光標識されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CD4-FITC、CD8-PEなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
細胞は、特定の核酸を有することが好ましい。特定の核酸を有する細胞の細胞数は、複数であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0038】
---特定の核酸---
特定の核酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感染症検査に用いられる塩基配列、自然界には存在しない核酸、動物細胞由来の塩基配列、植物細胞由来の塩基配列などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、特定の核酸としては、プラスミドも好適に使用することができる。
核酸とは、プリン又はピリミジンから導かれる含窒素塩基、糖、及びリン酸が規則的に結合した高分子の有機化合物を意味する。
【0039】
特定の核酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DNA、RNAなどが挙げられる。これらの中でも、ノロウイルスなどの感染症固定領域に由来するRNAに対応するDNA、自然界に存在しないDNAなどが好適に用いることができる。
【0040】
特定の核酸を有する複数の細胞は、使用する細胞由来の特定の核酸であってもよく、遺伝子導入により導入された特定の核酸であってもよい。特定の核酸として、遺伝子導入により導入された特定の核酸、及びプラスミドを使用する場合は、1細胞に1コピーの特定の核酸が導入されていることを確認することが好ましい。1コピーの特定の核酸が導入されていることの確認方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シーケンサー、PCR法、サザンブロット法などを用いて確認することができる。
【0041】
遺伝子導入の方法としては、特定の核酸配列が狙いの場所に狙いの分子数導入できれば特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、相同組換え、CRISPR/Cas9、TALEN、Zinc finger nuclease、Flip-in、Jump-inなどが挙げられる。特に、酵母菌の場合は、効率の高さ、及び制御のしやすさの点から、相同組換えが好ましい。
【0042】
金属微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銀粒子、銅粒子などが挙げられる。これらは吐出した液滴によって配線を描画する用途に用いることができる。
【0043】
無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素等が白色インクとしての用途やスペーサ材料の塗布用途等で用いられる。
【0044】
粒子が凝集する場合には、粒子を含む液体の粒子の濃度を調整することにより、液体中の粒子の濃度と、液体中の粒子の個数とがポアソン分布に従う理論から、液体中の粒子の個数を適宜調整することができる。
液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、蒸留水、純水、生理食塩水、アルコール、鉱物油、植物油等の様々な有機溶媒を用いることができる。
溶媒として水を使用する際には、水分の蒸発を抑えるための湿潤剤や、表面張力を下げるための界面活性剤が含まれていることが好ましい。これらの処方には、インクジェットインクに用いられるごく一般的な材料を用いることができる。
【0045】
<2本の管>
2本の管(第一の管、第二の管)は、液保持部に連通して配置される。
第一の管及び第二の管の形状、材質、大きさ、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第一の管及び第二の管の形状としては、例えば、チューブ状、管状などが挙げられる。
第一の管及び第二の管の材質としては、例えば、樹脂、ゴム、エラストマー、金属などが挙げられる。これらの中でも、樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、シリコーンゴム、ナイロン、ウレタンなどが挙げられる。
第一の管及び第二の管は、交換可能であることが、吐出対象の種類を変更する際に管のみの交換で対応が可能である点から好ましい。
第一の管の容積及び第二の管の容積は、変更可能であることが、吐出対象に応じて攪拌に必要な液量が異なり、不必要に容積を大きくすると空気の圧縮による液量および撹拌動作開始から液が吸引あるいは排出開始されるタイミングがずれてしまうため、必要最小限の容積に調整できる点から好ましく、第一及び第二の管の内径、長さ、形状などを調整することにより変更することができる。
第一の管の容積及び第二の管の容積は、例えば、第一の管及び第二の管の内径Aと長さBとから、次式、容積=(A/2)2π×B、により求めることができる。
第一の管の容積と第二の管の容積は、同じであることが、圧縮される空気量を同一とすることで、撹拌動作開始から実際に液体が吸引又は排出されるまでの間隔を同一にできる点から好ましい。
【0046】
2本の管は、液保持部に連通し液滴吐出口(ノズルプレート)に対して傾斜配置されることが好ましく、液滴吐出口を通る中心軸に対して傾けて配置されることがより好ましい。
2本の管の傾斜角度は、液滴吐出口(ノズルプレート)に対して、45°以上80°以下であることが好ましい。2本の管の傾斜角度が、45°以上80°以下であることにより、液保持部内に上昇流を発生させ、液保持部の底部に堆積した粒子を分散させることができる。
2本の管は、液滴吐出口を通る中心軸に対して対称に配置されていることが、液保持部内の粒子の分布を均一にする点から好ましい。
2本の管の中心軸線がそれぞれ同一平面とならないことが、液保持部の内壁付近の粒子も分散させることが可能となる点から好ましい。
2本の管の形状、材質、大きさ、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0047】
<第一及び第二の液吸引排出部材>
第一及び第二の液吸引排出部材は、2本の管(第一の管、第二の管)のそれぞれに接続される。
第一及び第二の液吸引排出部材は、液保持部内の液を吸引及び排出する部材である。
第一及び第二の液吸引排出部材の形状、材質、大きさ、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
第一及び第二の液吸引排出部材としては、例えば、シリンジタイプ、プランジャータイプの電動ポンプ等の定量の液量を吸引、保持、排出可能なポンプなどが挙げられる。
【0048】
第一及び第二の液吸引排出部材のうちのいずれか一つの液吸引排出部材の吸引動作に同期させて、他の液吸引排出部材が排出動作を行うことが好ましい。これにより、液滴形成装置は、液保持部内の溶液に含まれる粒子の均一分散状態を維持しながら吐出動作を実施しても、液滴吐出口(ノズルプレート)からの液面高さが変化せず、液滴吐出口(ノズルプレート)にかかる静圧力が一定であるため、液滴の落下速度が変化することは無く、一定の落下速度かつ一定の含有される粒子濃度の液滴を吐出することが可能となる。
第一の液吸引排出部材及び第二の液吸引排出部材は、複数の送液量に切替え可能であることが、吐出対象の種類や液保持部の容積を変化させた際、吐出対象を十分撹拌するために必要な液吸引排出量に切り替えることができる点から好ましい。
第一の液吸引排出部材の送液量と第二の液吸引排出部材の送液量とは同じであることが、撹拌時に液保持部内の液量を変化させず、液面高さを一定に保持することができる点から好ましい。
ここで、送液量としては、例えば、吸引液量、排出液量などが挙げられる。
【0049】
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、制御部材を有することが好ましい。
【0050】
(液滴形成装置)
本発明の液滴形成装置は、本発明の液滴吐出手段を備え、駆動手段及び粒子数計数手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を備える。
【0051】
<駆動手段>
駆動手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液滴吐出手段が圧電加圧方式によるインクジェットヘッドである場合、液滴吐出手段に駆動電圧を入力する手段などが挙げられる。この場合、駆動手段が圧電素子を変形させることにより微小な液滴を吐出させることができる。
【0052】
<粒子数計数手段>
粒子数計数手段は、液滴に含まれる粒子を計数する手段であり、液滴の吐出後、かつ液滴の被着対象物への着弾前に、液滴に含まれる粒子数をセンサによって計数する手段であることが好ましい。
センサとは、自然現象や人工物の機械的・電磁気的、熱的、音響的、又は化学的性質、或いはそれらにより示される空間情報・時間情報を、何らかの科学的原理を応用して、人間や機械が扱い易い別媒体の信号に置き換える装置を意味する。
【0053】
粒子数計数手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、吐出前に粒子を観測する処理、着弾後の粒子をカウントする処理を含んでもよい。
【0054】
液滴の吐出後、かつ液滴の被着対象物への着弾前に、液滴に含まれる粒子数の計数としては、液滴が被着対象物としてのプレートのウェルに確実に入ることが予測されるウェル開口部の直上の位置にあるタイミングにて液滴中の粒子を観測することが好ましい。
【0055】
プレートとしては、特に制限はなく、バイオ分野において一般的に用いられる穴が形成されたものを用いることが可能である。
プレートにおけるウェルの数は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単数であってもよく、複数であってもよい。
ウェルの数が複数であるプレートとしては、ウェルの数が24個、96個、384個など業界において一般的な個数及び寸法で穴が形成されたものを用いることが好ましい。
プレートの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後の処理のために、細胞や核酸の壁面への付着が抑制されているものを用いることが好ましい。
【0056】
液滴中の粒子を観測する方法としては、例えば、光学的に検出する方法、電気的・磁気的に検出する方法などが挙げられる。
【0057】
<その他の手段>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段、記録手段などを有することが好ましい。
【0058】
(撹拌装置)
本発明の撹拌装置は、液を保持する液保持部と、液保持部に連通して配置される2本の管と、2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材と、を有する撹拌装置であって、第一の液吸引排出部材が吸引又は排出中は、第二の液吸引排出部材はそれぞれ非吸引又は非排出であり、更に必要に応じてその他の部材を有する。
2本の管は、液保持部の底面に対して傾斜配置されることが好ましい。
撹拌装置によれば、液保持部内での粒子の沈降を抑制し、常に均一な分散状態を維持することができる。
撹拌装置における液保持部、2本の管、第一及び第二の液吸引排出部材、並びにその他の部材としては、上述した液滴吐出手段の液保持部、2本の管、第一及び第二の液吸引排出部材、並びにその他の部材と同様である。
【0059】
ここで、本発明の液滴形成装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の液滴形成装置は、液滴吐出手段として本発明の液滴吐出手段を用いており、本発明の液滴吐出手段は本発明の液滴形成装置に含まれるため、以下の本発明の液滴形成装置の実施形態の説明を通じて、本発明の液滴吐出手段の実施形態についても説明する。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
【0060】
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態に係る液滴形成装置の構成について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る液滴形成装置200の一例を示す図である。
図2を参照すると、液滴形成装置200は、液滴吐出手段100と、駆動手段40とを有する。
液滴吐出手段100は、液保持部1と、振動部材2と、液滴吐出口(ノズル)131を有するノズルプレート3と、2本の管(第一の管211及び第二の管212)と、第一及び第二の液吸引排出部材201及び202とを有する。
図2では、液保持部1に粒子350を含有する溶液300が保持されている状態を模式的に示している。
【0061】
なお、本実施形態では、便宜上、液保持部1側を上側、ノズルプレート3側を下側とする。各部位の液保持部1側の面を上面、ノズルプレート3側の面を下面とする。平面視とは対象物をノズルプレート3の上面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をノズルプレート3の上面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0062】
液滴吐出手段100において、液保持部1は、粒子350を含有する(粒子350が分散された)溶液300を保持しており、例えば、金属、樹脂、シリコン、セラミック等から形成することができる。
液保持部1は、液保持部1内を大気に開放する大気開放部111を上部に有しており、溶液300中に混入した気泡を大気開放部111から排出可能に構成されている。
【0063】
ノズルプレート3は、振動部材2を介して液保持部1の下端部に固定されている。
ノズルプレート3の略中心には貫通孔である液滴吐出口(ノズル)131が形成されており、液保持部1に保持された溶液300はノズルプレート3の振動によりノズル131から液滴として吐出される。ノズルプレート3の平面形状は、例えば、円形とすることができるが、楕円状や四角形等としてもよい。
ノズルプレート3の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、柔らか過ぎるとノズルプレート3が簡単に振動し、吐出しないときに直ちに振動を抑えることが困難であるため、ある程度の硬さがある材質を用いることが好ましく、金属材料やセラミック材料、ある程度硬さのある高分子材料等を用いることができる。なお、特に粒子350に対する付着性の低い材料であることが好ましい。
【0064】
液滴吐出口(ノズル)131は、ノズルプレート3の略中心に実質的に真円状の貫通孔として形成されていることが好ましい。この場合、ノズル131の径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子350がノズル131に詰まることを避けるため、粒子350の大きさの2倍以上とすることが好ましい。
【0065】
振動部材2は、ノズルプレート3の上面側に形成されている。
振動部材2の形状は、ノズルプレート3の形状に合わせて設計することができ、例えば、ノズルプレート3の平面形状が円形である場合には、ノズル131の周囲に平面形状が円環状(リング状)の振動部材2を形成することが好ましい。
振動部材2は、例えば、圧電材料の上面及び下面に電圧を印加するための電極を設けた圧電素子であり、振動部材2の上下電極に電圧を印加することによって紙面横方向に圧縮応力が加わりノズルプレート3を振動させることができる。
【0066】
但し、ノズルプレート3を振動させる振動部材は圧電素子に限られない。例えば、ノズルプレート3上にノズルプレート3とは線膨張係数が異なる材料を貼り付け、加熱することによって線膨張係数の差を利用してノズルプレート3を振動させることが可能である。この際、線膨張係数の異なる材料にヒータを形成し、通電によってヒータを加熱してノズルプレート3を振動させる構成とすることが好ましい。
【0067】
駆動手段40は、振動部材2を駆動する手段である。駆動手段40は、ノズルプレート3を振動させて液滴を形成する吐出波形を振動部材2に付与することができる。
つまり、駆動手段40は、吐出波形を振動部材2に加え、ノズルプレート3の振動状態を制御することにより、液保持部1に保持された溶液300をノズル131から液滴として吐出させることができる。
【0068】
粒子350を含有する溶液300において、粒子350としては、例えば、金属微粒子、無機微粒子、細胞などが挙げられる。これらの中でも、細胞が好ましい。
【0069】
溶液300の溶媒としては、水が最も一般的であるが、これに限定されることはなく、アルコール、鉱物油、植物油等の様々な有機溶媒を用いることができる。
液保持部1に保持される溶液300の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μL~1mLであることが好ましい。特に、細胞懸濁液のように高価な液を使用する際には、少量の液量で液滴を形成する点から、1μL~200μLがより好ましい。
【0070】
第一の管211及び第二の管212は、いずれも内径2mm、長さ50mmのシリコーンゴムチューブである。なお、シリコーンゴムチューブの内径及び長さは、特に制限はなく、適宜選定することができる。
第一の管211及び第二の管212は交換可能であり、長さや内径を調整することにより容量を変更可能である。
2本の管(第一の管211及び第二の管212)は、ノズル131(ノズルプレート3)に対して傾斜配置されている。即ち、ノズル131を通る中心軸に対して傾いて配置されている。
第一の管211及び第二の管212の配置としては連結部の中心軸の延長線がノズルプレート3と振動部材2により形成される隅部と一致、又は隅部よりもややノズル131側になるように配置するのが好適である。
【0071】
第一及び第二の液吸引排出部材201及び202は、2本の管(第一の管211及び第二の管212)により液保持部1と連通されている。
第一及び第二の液吸引排出部材201及び202としては、例えば、シリンジタイプやプランジャータイプの電動ポンプなどの定量液量を吸引、保持、排出可能なポンプなどが挙げられる。
【0072】
次に、第1の実施形態に係る液滴形成装置200によって、液滴が形成される過程について説明する。
図3は、液滴形成装置200により液滴が形成される過程を示す図である。
図3は、駆動手段40から振動部材2に吐出波形を入力し、ノズルプレート3の振動によって液滴310を形成した状態を模式的に示している。吐出波形に応じて振動部材2を介してノズルプレート3の振動部材2と接しない部分が振動を起こし、ノズル131部分が最も振幅が大きくなる。ノズル131の振動により液保持部1内の溶液300が液滴310として吐出される。
【0073】
<第2の実施形態>
図4A~
図4Cは、第一及び第二の液吸引排出部材201、202を用いた液の撹拌動作について説明する図である。
図4Aは、粒子350を含有する溶液300を液保持部1に入れ静置した時の様子を示す図である。粒子350の自由沈降により、液保持部1の底部に粒子350が沈降し、堆積した状態となっている。この状態のまま、駆動手段40から吐出波形を入力し液滴吐出動作を行うと、ノズル131近傍に粒子350が凝集しているため、ノズル131内に凝集した粒子350が詰まってしまい液滴が形成されない、所謂不吐出という不具合が発生する恐れがある。
また、液滴が形成できたとしても、初期の液滴内には大量の粒子350が含まれた状態で吐出され、徐々に液滴内に含まれる粒子350の含有量は減少し、ノズル上方の粒子350が排出されてしまうと上澄み液だけが吐出される状態となり、経時での液滴内の粒子350の含有量に大きなばらつきが発生してしまうという不具合がある。
【0074】
図4B及び
図4Cは、第一及び第二の液吸引排出部材201、202を用いた液保持部1に保持された溶液300の撹拌による粒子350の再分散過程を示した図である。
第一及び第二の液吸引排出部材201、202は、2本の管(第一の管211及び第二の管212)により液保持部1と連通されている。第一の管211及び第二の管212はノズル131(ノズルプレート3)に対して傾斜配置されている。即ち、ノズル131を通る中心軸に対して傾いて配置されている。
第一の管211及び第二の管212の配置としては、2本の管が液保持部1と連結する部分の中心軸の延長線がノズルプレート3と振動部材2により形成される隅部と一致、又は隅部よりもややノズル131側になるように配置するのが好ましい。
第一及び第二の液吸引排出部材201、202としては、例えば、シリンジタイプ、プランジャータイプの電動ポンプなどの定量液量を吸引、保持、排出可能なポンプが挙げられる。
【0075】
図4Aに示すように、第一及び第二の液吸引排出部材201、202のいずれか一方は予め、吸引動作を行い、第一の管211内を負圧状態とすることで、液保持部1内の溶液300を一定量吸引し、保持する。本実施形態では第一の液吸引排出部材201が吸引し、保持する例を示している。
【0076】
図4Bは、第一の液吸引排出部材201が排出動作を実行し、第二の液吸引排出部材202が吸引動作を実行している。
第一の液吸引排出部材201の排出動作により、第一の管211内を正圧状態とし、吸引保持していた溶液300を液保持部1内に排出する。排出された溶液300は第一の管211が液保持部1と連結する部分の中心軸と略平行な流れを形成し、ノズルプレート3と振動部材2により形成される隅部に堆積した粒子131を液保持部1の壁面に沿った上昇流により、液保持部1の上方に舞い上げる作用をする。液保持部1の壁面に沿って上昇した流れは液面付近で液保持部1の中心に向かう流れとなり、液の流れによってノズル131の中心より第二の管212側の粒子350が分散された状態となる。
第二の液吸引排出部材202は吸引動作を行い、第二の管212内を負圧状態とすることで、液保持部1内の溶液300を一定量吸引し、保持する。
【0077】
続けて、
図4Cに示すように、第二の液吸引排出部材202が排出動作をすることにより、液保持部1内のノズル131を通る中心軸より第一の管211側の粒子350が分散された状態となる。
上記の動作を繰り返すことにより、少量の液量で液保持部1の底部に沈降した粒子350を再分散させることが可能である。再分散した状態で
図3に示した液滴形成動作をすることにより、粒子350の沈降による不吐出や、経時での吐出された液滴310に含まれる粒子350の含有濃度の変化を防止することが可能である。
第一の管211と第二の管212は、ノズル131を通る中心軸に対して片側によった配置とすると、液保持部1内の粒子350の分布が偏ってしまうため、対称配置であることが好ましい。
また、第一及び第二の液吸引排出部材201、202の吸引速度、排出速度、吸引液量、及び排出液量はそれぞれ、液保持部1内の粒子350を均一分散させるためには、第一及び第二の液吸引排出部材201と202で同じ値であることが好ましい。
【0078】
<第3の実施形態>
図5及び
図6は、第一の管211及び第二の管212の配置について説明する図である。
図5及び
図6は、液保持部1、第一の管211、及び第二の管212を平面視した図である。
図5に示すように、管の吸引排出口の直径に対して、液保持部の水平断面積が図のように大きく、第一の管211と第二の管212の中心軸線が同一平面となるように配置した場合、第一の液吸引排出部材201と第二の液吸引排出部材202が交互に動作する場合はよいが、いずれかの液吸引排出部材の吸引動作ともう一方の液吸引排出部材の排出動作の一部、又はすべてが同時に実施される場合に、排出動作によって液保持部1内に発生させた撹拌流がもう一方の液吸引排出部材の吸引動作により、撹拌流が液保持部1内で広がらず、第一の管211と第二の管212の中心軸線を繋いだ平面付近のみの撹拌流となることが想定される。言い換えると、液保持部1の上面から見て、各管211,212の吸引排出口が互いに完全対向する構成の場合は、その対向している一部領域が主に撹拌されることが想定される。
これに対し、
図6に示すように、第一の管211と第二の管212の中心軸線が同一平面とならないように配置することにより、液保持部1の内壁付近の粒子350も分散させることが可能となる。また、第一の管211と第二の管212の吸引口(又は排出口)の高さや管の傾斜角度を互いに違えるようにすることでもよい。また、液保持部1の水平断面が本実施例のように円筒形状の場合に、第一の管211と第二の管212とがそれぞれ対向配置され且つ各吸引排出口の鉛直断面が接線に平行となるように配置してもよい。
【0079】
<第4の実施形態>
図7A及び
図7Bは、具体的な吸引排出動作のタイミングについて説明する図である。
図7A及び
図7Bは、第一の液吸引排出部材201と第二の液吸引排出部材202とが交互の動作する例を示している。
図7Aは、第一の液吸引排出部材201が排出動作を実施することで液保持部1内の溶液300内に撹拌流を発生させ、沈降した粒子350を再分散させる状態を示している。この時、第一の管211内に予め吸引されていた溶液が液保持部1内に流入するため、液保持部1内の溶液300の液量が増加し、液面が上昇する。
【0080】
図7Bは、第一の液吸引排出部材201の排出動作中、又は排出動作完了後に第二の液吸引排出部材202が吸引動作を行っている状態を示している。
図7Aで流入した液量を第二の液吸引排出部材202で第二の管212に吸引することにより、液保持部1内の溶液300の液量は動作前の状態に戻すことができる。液滴の吐出を停止させた状態で、沈降した粒子350を再分散させる場合には本動作によって再分散が可能である。
【0081】
一方、溶液300の撹拌には、一般的に上記の沈降した粒子350の再分散の他に、分散状態にある粒子350の沈降抑制の効果も期待できる。
図3の液滴吐出動作中に撹拌動作を実行することで、粒子350の沈降を抑制し、常に均一な分散状態を維持しながら液滴吐出を実施することができ、経時での液滴に含まれる粒子濃度を一定に維持することが可能である。
しかしながら、
図7A及び
図7Bのように、第一と第二の液吸引排出部材201、202が交互に動作する場合には、上述した通り、液保持部1内の溶液300の液面が上昇することで、ノズルプレート3にかかる水圧が増加し、吐出される液滴310の落下速度が上昇する。液滴310を一ヶ所に連続して吐出を続ける場合にはよいが、液滴310を等間隔に並べる場合には、一般的に、液滴吐出手段100又は液滴を載置する液保持部1を一定速度で移動させながら一定の周期で吐出動作を行うため、液滴310の落下速度が変化すると、液滴310の着弾位置が変化してしまい、液保持部1上での液滴310の間隔が均一にならない。
【0082】
第一の液吸引排出部材201の吸引動作に同期させて第二の液吸引排出部材202の排出動作を、第二の液吸引排出部材202の吸引動作に同期させて第一の液吸引排出部材201の排出動作を行い、それぞれの吸引速度、排出速度、吸引液量、及び排出液量を同じ値とすることで、
図4A~
図4Cに示すように、液保持部1内の液量を一定に維持したまま溶液300を撹拌することができる。本動作とすることで、液保持部1内の溶液300に含まれる粒子350の均一分散状態を維持しながら吐出動作を実施しても液滴の落下速度が変化することは無く、一定の落下速度かつ一定の含有される粒子濃度の液滴を吐出することが可能となる。
【0083】
この点について、
図8A及び
図8Bに異なる細胞種、異なる細胞濃度の溶液での撹拌動作の有無による吐出された液滴中の細胞濃度の評価結果の一例を示す。
図8A及び
図8Bの結果から、撹拌動作無し(点線グラフ)の場合、時間の経過とともに吐出液滴中の細胞濃度が上昇、下降しており、細胞濃度が一定になっていない。これに対し、撹拌動作有り(実太線グラフ)の場合、時間の経過に依らず一定の細胞濃度の液滴が吐出できている。
【0084】
また、液保持部1内の溶液300の液量が多い場合や溶液300中に含まれる粒子350の粒径が大きい場合、粒子の含有濃度が高い場合などは粒子を均一に分散させるためには、第一及び第二の液吸引排出部材201、202の撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は大きい方がよい。一方、含有される粒子350が動物細胞などの衝撃によりダメージを受けてしまうような粒子の場合には極力、撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は小さく、撹拌の頻度も少ない方が好ましい。
また、上述のとおり、
図4Aのように、粒子350が完全に沈降した状態から粒子を再分散させる場合と、分散した状態の粒子350の沈降を抑制する場合では必要な撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は異なり、前者の方が大きな撹拌液量、吸引速度、又は排出速度が必要である。
以上のように、溶液300の量や粒子350の種類あるいは濃度、沈降の状態などにより必要な撹拌液量、吸引速度、又は排出速度が変化するため、撹拌液量、吸引速度、又は排出速度は切替可能であることが好ましい。
【0085】
<第5の実施形態>
-光学的に検出する方法-
図9、
図13、及び
図14を用いて、光学的に検出する方法に関して以下に説明する。
図9は、液滴形成装置の一例を示す模式図である。
図13、及び
図14は、液滴形成装置の他の一例を示す模式図である。
図9に示すように、液滴形成装置200Aは、液滴吐出手段100と、駆動手段40と、光源50と、受光素子60と、制御手段70とを有する。液滴吐出手段100としては、第1の実施形態と同様である。
【0086】
図9では、細胞懸濁液として細胞を特定の色素によって蛍光染色した後に所定の溶液に分散した液を用いており、液滴吐出手段100から形成した液滴310に光源50から発せられる特定の波長を有する光Lを照射し細胞から発せられる蛍光を受光素子60によって検出することによって計数を行う。このとき、蛍光色素によって細胞を染色する方法に加え、細胞中に元々含まれる分子が発する自家蛍光を利用してもよいし、細胞に蛍光タンパク質(例えば、GFP(Green Fluorescent Protein))を生産するための遺伝子を予め導入しておき細胞が蛍光を発するようにしておいてもよい。
【0087】
光源50は、飛翔中の液滴310に光Lを照射する。なお、飛翔中とは、液滴310が液滴吐出手段100から吐出されてから、着滴対象物に着滴するまでの状態を意味する。飛翔中の液滴310は、光Lが照射される位置では略球状となっている。また、光Lのビーム形状は略円形状である。
【0088】
ここで、液滴310の直径に対し、光Lのビーム直径が10倍~100倍程度であることが好ましい。これは、液滴310の位置ばらつきが存在する場合においても、光源50からの光Lを確実に液滴310に照射するためである。
ただし、液滴310の直径に対し、光Lのビーム直径が100倍を大きく超えることは好ましくない。これは、液滴310に照射される光のエネルギー密度が下がるため、光Lを励起光として発する蛍光Lfの光量が低下し、受光素子60で検出し難くなるからである。
【0089】
光源50から発せられる光Lはパルス光であることが好ましく、例えば、固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザー等が好適に用いられる。光Lがパルス光である場合のパルス幅は10μs以下が好ましく、1μs以下がより好ましい。単位パルス当たりのエネルギーとしては、集光の有無等、光学系に大きく依存するが、概ね0.1μJ以上が好ましく、1μJ以上がより好ましい。
【0090】
受光素子60は、飛翔中の液滴310に蛍光染色細胞350が含有されていた場合に、蛍光染色細胞350が光Lを励起光として吸収して発する蛍光Lfを受光する。蛍光Lfは、蛍光染色細胞350から四方八方に発せられるため、受光素子60は蛍光Lfを受光可能な任意の位置に配置することができる。この際、コントラストを向上するため、光源50から出射される光Lが直接入射しない位置に受光素子60を配置することが好ましい。
【0091】
受光素子60は、蛍光染色細胞350から発せられる蛍光Lfを受光できる素子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴に特定の波長を有する光を照射して液滴内の細胞からの蛍光を受光する光学センサが好ましい。
受光素子60としては、例えば、フォトダイオード、フォトセンサ等の1次元素子が挙げられるが、高感度な測定が必要な場合には、光電子増倍管やアバランシェフォトダイオードを用いることが好ましい。受光素子60として、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、ゲートCCD等の2次元素子を用いてもよい。
【0092】
なお、光源50が発する光Lと比較して蛍光染色細胞350の発する蛍光Lfが弱いため、受光素子60の前段(受光面側)に光Lの波長域を減衰させるフィルタを設置してもよい。これにより、受光素子60において、非常にコントラストの高い蛍光染色細胞350の画像を得ることができる。フィルタとしては、例えば、光Lの波長を含む特定波長域を減衰させるノッチフィルタ等を用いることができる。
【0093】
また、前述のように、光源50から発せられる光Lはパルス光であることが好ましいが、光源50から発せられる光Lを連続発振の光としてもよい。この場合には、連続発振の光が飛翔中の液滴310に照射されるタイミングで受光素子60が光を取り込み可能となるように制御し、受光素子60に蛍光Lfを受光させることが好ましい。
【0094】
制御手段70は、駆動手段40及び光源50を制御する機能を有している。また、制御手段70は、受光素子60が受光した光量に基づく情報を入手し、液滴310に含有された蛍光染色細胞350の個数(ゼロである場合も含む)を計数する機能を有している。
以下、
図10~
図12を参照し、制御手段70の動作を含む液滴形成装置200Aの動作について説明する。
【0095】
図10は、
図9の制御手段70のハードウェアブロックを例示する図である。
図11は、
図9の制御手段70の機能ブロックを例示する図である。
図12は、液滴形成装置200Aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0096】
図10に示すように、制御手段70は、CPU71と、ROM72と、RAM73と、I/F74と、バスライン75とを有している。CPU71、ROM72、RAM73、及びI/F74は、バスライン75を介して相互に接続されている。
【0097】
CPU71は、制御手段70の各機能を制御する。記憶手段であるROM72は、CPU71が制御手段70の各機能を制御するために実行するプログラムや、各種情報を記憶している。記憶手段であるRAM73は、CPU71のワークエリア等として使用される。また、RAM73は、所定の情報を一時的に記憶することができる。I/F74は、液滴形成装置200Aを他の機器等と接続するためのインターフェイスである。液滴形成装置200Aは、I/F74を介して、外部ネットワーク等と接続されてもよい。
【0098】
図11に示すように、制御手段70は、機能ブロックとして、吐出制御手段701と、光源制御手段702と、細胞数計数手段(細胞数検知手段)703とを有している。
【0099】
図11及び
図12を参照しながら、液滴形成装置200Aの粒子数計数について説明する。
まず、ステップS11において、制御手段70の吐出制御手段701は、駆動手段40に吐出の指令を出す。吐出制御手段701から吐出の指令を受けた駆動手段40は、駆動部材2に駆動信号を供給してノズルプレート3を振動させる。ノズルプレート3の振動により、蛍光染色細胞350を含有する液滴310が、ノズル131から吐出される。
【0100】
次に、ステップS12において、制御手段70の光源制御手段702は、液滴310の吐出に同期して(駆動手段40から液滴吐出手段100に供給される駆動信号に同期して)光源50に点灯の指令を出す。これにより、光源50が点灯し、飛翔中の液滴310に光Lを照射する。
【0101】
なお、ここで、同期するとは、液滴吐出手段100による液滴310の吐出と同時に(駆動手段40が液滴吐出手段100に駆動信号を供給するのと同時に)発光することではなく、液滴310が飛翔して所定位置に達したときに液滴310に光Lが照射されるタイミングで、光源50が発光することを意味する。つまり、光源制御手段702は、液滴吐出手段100による液滴310の吐出(駆動手段40から液滴吐出手段100に供給される駆動信号)に対して、所定時間だけ遅延して発光するように光源50を制御する。
【0102】
例えば、液滴吐出手段100に駆動信号を供給した際に吐出する液滴310の速度vを予め測定する。そして、測定した速度vに基づいて液滴310が吐出されてから所定位置まで到達する時間tを算出し、液滴吐出手段100に駆動信号を供給するタイミングに対して、光源50が光を照射するタイミングをtだけ遅延させる。これにより、良好な発光制御が可能となり、光源50からの光を確実に液滴310に照射することができる。
【0103】
次に、ステップS13において、制御手段70の細胞数計数手段703は、受光素子60からの情報に基づいて、液滴310に含有された蛍光染色細胞350の個数(ゼロである場合も含む)を計数する。ここで、受光素子60からの情報とは、蛍光染色細胞350の輝度値(光量)や面積値である。
【0104】
細胞数計数手段703は、例えば、受光素子60が受光した光量と予め設定された閾値とを比較して、蛍光染色細胞350の個数を計数することができる。この場合には、受光素子60として1次元素子を用いても2次元素子を用いても構わない。
【0105】
受光素子60として2次元素子を用いる場合は、細胞数計数手段703は、受光素子60から得られた2次元画像に基づいて、蛍光染色細胞350の輝度値或いは面積を算出するための画像処理を行う手法を用いてもよい。この場合、細胞数計数手段703は、画像処理により蛍光染色細胞350の輝度値或いは面積値を算出し、算出された輝度値或いは面積値と、予め設定された閾値とを比較することにより、蛍光染色細胞350の個数を計数することができる。
【0106】
なお、蛍光染色細胞350は、細胞や染色細胞であってもよい。染色細胞とは、蛍光色素によって染色された細胞、又は蛍光タンパク質を発現可能な細胞を意味する。
【0107】
このように、液滴形成装置200Aでは、蛍光染色細胞350を縣濁した細胞懸濁液300を保持する液滴吐出手段100に、駆動手段40から駆動信号を供給して、蛍光染色細胞350を含有する液滴310を吐出させ、飛翔中の液滴310に光源50から光Lを照射する。そして、飛翔する液滴310に含有された蛍光染色細胞350が光Lを励起光として蛍光Lfを発し、蛍光Lfを受光素子60が受光する。更に、受光素子60からの情報に基づいて、細胞数計数手段703が、飛翔する液滴310に含有された蛍光染色細胞350の個数を計数(カウント)する。
【0108】
つまり、液滴形成装置200Aでは、飛翔する液滴310に含有された蛍光染色細胞350の個数を実際にその場で観察するため、蛍光染色細胞350の個数の計数精度を従来よりも向上することが可能となる。また、飛翔する液滴310に含有された蛍光染色細胞350に光Lを照射して蛍光Lfを発光させて蛍光Lfを受光素子60で受光するため、高いコントラストで蛍光染色細胞350の画像を得ることが可能となり、蛍光染色細胞350の個数の誤計数の発生頻度を低減できる。
【0109】
<第6の実施形態>
図13は、
図9の液滴形成装置200Aの変形例を示す模式図である。
図13に示すように、液滴形成装置200Bは、受光素子60の前段にミラー45を配置した点が、液滴形成装置200A(
図9参照)と相違する。なお、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0110】
このように、液滴形成装置200Bでは、受光素子60の前段にミラー45を配置したことにより、受光素子60のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0111】
例えば、ノズル131と着滴対象物を近づけた際に、
図9のレイアウトでは着滴対象物と液滴形成装置200Aの光学系(特に受光素子60)との干渉が発生するおそれがあるが、
図13のレイアウトにすることで、干渉の発生を回避することができる。
即ち、
図13のように受光素子60のレイアウトを変更することにより、液滴310が着滴する着滴対象物とノズル131との距離(ギャップ)を縮めることが可能となり、着滴位置のばらつきを抑制することができる。その結果、分注の精度を向上することが可能となる。
【0112】
<第7の実施形態>
図14は、
図9の液滴形成装置200Aの他の変形例を示す模式図である。
図14に示すように、液滴形成装置200Cは、蛍光染色細胞350から発せられる蛍光Lf
1を受光する受光素子60に加え、蛍光染色細胞350から発せられる蛍光Lf
2を受光する受光素子61を設けた点が、液滴形成装置200A(
図9参照)と相違する。なお、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0113】
ここで、蛍光Lf1及びLf2は、蛍光染色細胞350から四方八方に発せられる蛍光の一部を示している。受光素子60及び61は、蛍光染色細胞350から異なる方向に発せられる蛍光を受光できる任意の位置に配置することができる。なお、蛍光染色細胞350から異なる方向に発せられる蛍光を受光できる位置に3つ以上の受光素子を配置してもよい。また、各受光素子は同一仕様としてもよいし、異なる仕様としてもよい。
【0114】
受光素子が1つであると、飛翔する液滴310に複数個の蛍光染色細胞350が含まれる場合に、蛍光染色細胞350同士が重なることに起因して、細胞数計数手段703が液滴310に含有された蛍光染色細胞350の個数を誤計数する(カウントエラーが発生する)おそれがある。
【0115】
図15A及び
図15Bは、飛翔する液滴に2個の蛍光染色細胞が含まれる場合を例示する図である。例えば、
図15Aに示すように、蛍光染色細胞350
1と350
2とに重なりが発生する場合や、
図15Bに示すように、蛍光染色細胞350
1と350
2とに重なりが発生しない場合があり得る。受光素子を2つ以上設けることで、蛍光染色細胞が重なる影響を低減することが可能である。
【0116】
前述のように、細胞数計数手段703は、画像処理により蛍光粒子の輝度値或いは面積値を算出し、算出された輝度値或いは面積値と、予め設定された閾値とを比較することにより、蛍光粒子の個数を計数することができる。
【0117】
受光素子を2つ以上設置する場合、それぞれの受光素子から得られる輝度値或いは面積値のうち、最大値を示すデータを採択することで、カウントエラーの発生を抑制することが可能である。これに関して、
図16を参照して、より詳しく説明する。
【0118】
図16は、粒子同士の重なりが生じない場合の輝度値Liと、実測される輝度値Leとの関係を例示する図である。
図16に示すように、液滴内の粒子同士の重なりがない場合には、Le=Liとなる。例えば、細胞1個の輝度値をLuとすると、細胞数/滴=1個の場合には、Le=Luであり、粒子数/滴=n個の場合はLe=nLuである(n:自然数)。
【0119】
しかし、実際には、nが2以上の場合には粒子同士の重なりが発生し得るため、実測される輝度値はLu≦Le≦nLu(
図16の網掛部分)となる。そこで、細胞数/滴=n個の場合、例えば、閾値を(nLu-Lu/2)≦閾値<(nLu+Lu/2)と設定することができる。そして、複数の受光素子を設置する場合、それぞれの受光素子から得られたデータのうち最大値を示すものを採択することで、カウントエラーの発生を抑制することが可能となる。なお、輝度値に代えて面積値を用いてもよい。
【0120】
また、受光素子を複数設置する場合、得られる複数の形状データを基に、細胞数を推定するアルゴリズムにより粒子数を決定づけてもよい。
このように、液滴形成装置200Cでは、蛍光染色細胞350が異なる方向に発した蛍光を受光する複数の受光素子を有しているため、蛍光染色細胞350の個数の誤計数の発生頻度を更に低減できる。
【0121】
<第8の実施形態>
-電気的又は磁気的な検出する方法-
電気的又は磁気的な検出する方法としては、
図17に示すように、液室11’から細胞懸濁液を液滴310’としてプレート700’に吐出する吐出ヘッドの直下に、細胞計数ためのコイル200がセンサとして設置されている。細胞は特定のタンパク質によって修飾され細胞に接着することが可能な磁気ビーズによって覆うことにより、磁気ビーズが付着した細胞がコイル中を通過する際に発生する誘導電流によって、飛翔液滴中の細胞の有無を検出することが可能である。一般的に、細胞はその表面に細胞特有のタンパク質を有しており、このタンパク質に接着することが可能な抗体を磁気ビーズに修飾することによって、細胞に磁気ビーズを付着させることが可能である。
このような磁気ビーズとしては既製品を用いることが可能であり、例えば、株式会社ベリタス製のDynabeads(登録商標)が利用可能である。
【0122】
<第9の実施形態>
-吐出前に細胞を観測する処理-
吐出前に細胞を観測する処理としては、
図18に示すマイクロ流路250中を通過してきた細胞350’をカウントする方法や、
図19に示す液滴吐出手段のノズル部近傍の画像を取得する方法などが挙げられる。
図18はセルソーター装置において用いられている方法であり、例えば、ソニー株式会社製のセルソーターSH800を用いることができる。
図18では、マイクロ流路250中に光源260からレーザー光を照射して散乱光や蛍光を、集光レンズ265を用いて検出器255により検出することによって細胞の有無や、細胞の種類を識別しながら液滴を形成することが可能である。本方法を用いることによって、マイクロ流路250中に通過した細胞の数から所定のウェル中に着弾した細胞の数を推測することが可能である。
また、
図19に示す吐出ヘッド10’としては、Cytena社のシングルセルプリンターを用いることが可能である。
図19では、吐出前において、ノズル部近傍をレンズ265’を介して、画像取得部255’において画像取得した結果からノズル部近傍の細胞350”が吐出されたと推定することや、吐出前後の画像から差分により吐出されたと考えられる細胞の数を推定することによって、所定のウェル中に着弾した細胞の数を推測することができる。
図18に示すマイクロ流路中を通過してきた細胞をカウントする方法では、液滴が連続的に生成されるのに対して、
図19は、オンデマンドで液滴形成が可能であるため、より好ましい。
【0123】
<第10の実施形態>
-着弾後の細胞をカウントする処理-
着弾後の細胞をカウントする処理としては、被着対象物としてのプレートにおけるウェルを蛍光顕微鏡などにより観測することにより、蛍光染色した細胞を検出する方法を取ることが可能である。この方法は、例えば、Sangjun et al., PLoS One, Volume 6(3), e17455などに記載されている。
【0124】
液滴の吐出前及び着弾後に、細胞を観測する方法では、以下に述べる問題があるが、生成するプレートの種類によっては吐出中の液滴内の細胞を観測することがもっとも好ましい。吐出前に細胞を観測する手法においては、流路中を通過した細胞数や吐出前(及び吐出後)の画像観測から、着弾したと思われる細胞数を計数するため、実際にその細胞が吐出されたのかどうかの確認は行われておらず、思いがけないエラーが発生することがある。例えば、ノズル部が汚れていることにより液滴が正しく吐出せず、ノズルプレートに付着し、それに伴い液滴中の細胞も着弾しない、といったケースが発生する。他にも、ノズル部の狭い領域に細胞が残留することや、細胞が吐出動作によって想定以上に移動し観測範囲外に出てしまうといった問題の発生も起こりうる。また、着弾後のプレート上の細胞を検出する手法においても問題がある。
【0125】
まず、プレートとして顕微鏡観察が可能であるものを準備する必要がある。観測可能なプレートとして、一般的に底面が透明かつ平坦なプレート、特に底面がガラス製となっているプレートが用いられるが、特殊なプレートとなってしまうため、一般的なウェルを使用することができなくなる問題がある。また、細胞数が数十個などの多いときには、細胞の重なりが発生するため正確な計数ができなくなる問題もある。そのため、液滴の吐出後、かつ液滴のウェルへの着弾前に、液滴に含まれる細胞数をセンサ及び粒子数(細胞数)計数手段によって計数することに加えて、吐出前に細胞を観測する処理、着弾後の細胞をカウントする処理を行うことが好ましい。
【0126】
また、受光素子としては1又は少数の受光部を有する受光素子、例えば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管を用いることが可能であるし、その他に2次元アレイ状に受光素子が設けられたCCD(Charge Copuled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、ゲートCCDなど二次元センサを用いることも可能である。
1又は少数の受光部を有する受光素子を用いる際には、蛍光強度から細胞が何個入っているかを予め用意された検量線を用いて決定することも考えられるが、主として飛翔液滴中の細胞有無を二値的に検出することが行われる。細胞懸濁液の細胞濃度が十分に低く、液滴中に細胞が1個又は0個しかほぼ入らない状態で吐出を行う際には、二値的な検出で十分精度よく計数を行うことが可能である。細胞懸濁液中で細胞はランダムに配置していることを前提とすれば、飛翔液滴中の細胞数はポアソン分布に従うと考えられ、液滴中に細胞数が2個以上入る確率P(>2)は下記式(1)で表される。
図20は、確率P(>2)と平均細胞数の関係を表すグラフである。ここで、λは液滴中の平均細胞数であり、細胞懸濁液中の細胞濃度に吐出液滴の体積を乗じたものになる。
P(>2)=1-(1+λ)×e
-λ ・・・ 式(1)
【0127】
二値的な検出で細胞計数を行う場合には、確率P(>2)が十分小さい値であることが精度を確保する上では好ましく、確率P(>2)が1%以下となるλ<0.15であることが好ましい。
光源としては、細胞の蛍光を励起できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水銀ランプやハロゲンランプ等の一般的なランプに特定の波長を照射するようにフィルタをかけたものや、LED(Light Emitting Diode)、レーザーなどを用いることが可能である。ただし、特に1nL以下の微小な液滴を形成するときには、狭い領域に高い光強度を照射する必要があるため、レーザーを用いるのが好ましい。
レーザー光源としては、例えば、固体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー等の一般的に知られている多種のレーザーを用いることが可能である。また、励起光源としては、液滴が通過する領域を連続的に照射したものであってもよいし、液滴の吐出に同期して液滴吐出動作に対して所定時間遅延を付けたタイミングでパルス的に照射するものであってもよい。
【0128】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、例えば、液吸引排出部材、及び液保持部に連通して配置される管を3つ以上有する態様を含んでいてもよく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0129】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 液滴吐出口と、
前記液滴吐出口を有する液保持部と、
前記液保持部に連通して配置される2本の管と、
前記2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材と、
を有する液滴吐出手段であって、
前記第一の液吸引排出部材が吸引又は排出中は、前記第二の液吸引排出部材はそれぞれ非吸引又は非排出である
ことを特徴とする液滴吐出手段である。
<2> 前記2本の管が前記液滴吐出口に対して傾斜配置されている前記<1>に記載の液滴吐出手段である。
<3> 前記液滴吐出口が設けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートを振動させて、前記液滴吐出口から液滴を吐出させる振動部材と、を有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の液滴吐出手段である。
<4> 前記2本の管が、前記液滴吐出口を通る中心軸に対して対称に配置されていることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<5> 前記2本の管の中心軸線がそれぞれ同一平面とならない
ことを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<6> 前記第一及び第二の液吸引排出部材のうちのいずれか一つの液吸引排出部材の液吸引動作に同期させて、他の液吸引排出部材が液排出動作を行う
ことを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<7> 前記第一の液吸引排出部材及び前記第二の液吸引排出部材が、複数の送液速度に切替え可能である
ことを特徴とする前記<1>から<6>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<8> 前記第一の液吸引排出部材及び前記第二の液吸引排出部材が、複数の送液量に切替え可能である
ことを特徴とする前記<1>から<7>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<9> 前記液保持部の前記ノズルプレートと対向する面が大気開放されている
ことを特徴とする前記<3>から<8>のいずれかに記載の液滴吐出手段である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の液滴吐出手段を備えたことを特徴とする液滴形成装置である。
<11> 液滴に含まれる粒子を計数する粒子数計数手段を有する前記<10>に記載の液滴形成装置である。
<12> 前記液滴が、光を照射されたときに発光可能な粒子を含む前記<10>又は<11>に記載の液滴形成装置である。
<13> 前記光を照射されたときに発光可能な粒子が、細胞である前記<12>に記載の液滴形成装置である。
<14> 前記光を照射されたときに発光可能な粒子が、蛍光色素によって染色された細胞及び蛍光タンパク質を発現可能な細胞の少なくともいずれかである前記<12>又は<13>に記載の液滴形成装置である。
<15> 液を保持する液保持部と、
前記液保持部に連通して配置される2本の管と、
前記2本の管のそれぞれに接続される第一及び第二の液吸引排出部材と、
を有する撹拌装置であって、
前記第一の液吸引排出部材が吸引又は排出中は、前記第二の液吸引排出部材はそれぞれ非吸引又は非排出である
ことを特徴とする撹拌装置である。
<16> 前記2本の管が、前記液保持部の底面に対して傾斜配置される前記<15>に記載の撹拌装置である。
【0130】
前述の<1>から<9>のいずれかに記載の液滴吐出手段、前述の<10>から<14>のいずれかに記載の液滴形成装置、及び前述の<15>から<16>のいずれかに記載の撹拌装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【符号の説明】
【0132】
1 液保持部
2 振動部材
3 ノズルプレート
40 駆動手段
100 液滴吐出手段
131 液滴吐出口
200 液滴形成装置
201 第一の液吸引排出部材
202 第二の液吸引排出部材
211 第一の管
212 第二の管
310 液滴
350 粒子