(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報表示方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20220426BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220426BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220426BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220426BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220426BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220426BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220426BHJP
【FI】
G09G5/00 510H
G09G5/00 555D
G09G5/00 550C
G09G5/00 550B
G09G5/00 530D
G09G5/36 520B
G09G5/00 530T
B41J29/00 E
B41J29/42 F
B41J29/38
B41J29/00 T
G03G21/00 396
G03G21/00 386
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2018050841
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】江森 基倫
【審査官】斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-186607(JP,A)
【文献】特開2016-058778(JP,A)
【文献】特開2014-016941(JP,A)
【文献】特開2017-054379(JP,A)
【文献】特開2016-110208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
B41J 29/00
B41J 29/42
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と前記本体を操作する操作部とを有する情報処理装置であって、
前記操作部は、
前記本体と無線通信する無線通信手段と、
前記無線通信手段と前記本体との無線通信による通信状態に応じて表示する情報を決定する情報決定手段と、
前記情報決定手段が決定した前記情報を表示装置に表示する表示制御手段と、を有し、
前記通信状態は、前記操作部と前記本体が無線通信している接続
状態、又は、前記操作部と前記本体が無線通信していない切断状態であり、
前記表示制御手段は、前記接続状態か又は前記切断状態か
と、前記無線通信における電波強度値に応じて、異なる情報を表示装置に表示し、前記無線通信における電波強度値に応じた情報を表示し、
前記操作部と前記本体が前記切断状態又は前記接続状態であり、更に、前記操作部と前記本体とが第三の距離未満に接近したと判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、
前記表示制御手段は、前記操作部を前記本体に取り付ける取付方法に関する情報を前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記操作部が前記本体と第一の距離以上離れていると判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、
前記表示制御手段は、前記操作部に対する操作を受け付けない画面を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記操作部に対する操作を受け付けない画面が表示されてから所定時間が経過した場合、前記情報決定手段は、前記操作部と前記本体との無線通信を切断することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記操作部と前記本体が前記切断状態であり、更に、前記操作部と前記本体とが操作に適さない前記第一の距離以上離れていると判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、
前記表示制御手段は、前記操作部と前記本体との無線通信の接続を促す旨を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記操作部と前記本体が前記切断状態であり、更に、前記操作部と前記本体との距離が操作に適した第二の距離にあると判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、
前記表示制御手段は、前記操作部と前記本体とを無線通信で接続させる接続ボタンを前記表示装置に表示し、
前記操作部と前記本体が前記接続状態であり、更に、前記操作部と前記本体との距離が操作に適した前記第二の距離にあると判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、
前記表示制御手段は、前記操作部に対する操作を受け付けない画面を非表示にすることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
本体と、前記本体を操作する操作部を有する情報処理システムであって、
前記操作部は、
前記本体と無線通信する無線通信手段と、
前記無線通信手段と前記本体との無線通信による通信状態に応じて表示する情報を決定する情報決定手段と、
前記情報決定手段が決定した前記情報を表示装置に表示する表示制御手段と、を有し、
前記通信状態は、前記操作部と前記本体が無線通信している接続
状態、又は、前記操作部と前記本体が無線通信していない切断状態であり、
前記表示制御手段は、前記接続状態か又は前記切断状態か
と、前記無線通信における電波強度値に応じて、異なる情報を表示装置に表示し、前記無線通信における電波強度値に応じた情報を表示し、
前記操作部と前記本体が前記切断状態又は前記接続状態であり、更に、前記操作部と前記本体とが第三の距離未満に接近したと判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、
前記表示制御手段は、前記操作部を前記本体に取り付ける取付方法に関する情報を前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
本体と操作部を有する情報処理装置が行う情報表示方法であって、
前記操作部は、
無線通信手段が前記本体と無線通信するステップと、
情報決定手段が、前記無線通信手段と前記本体との無線通信による通信状態に応じて表示する情報を決定するステップと、
表示制御手段が、前記情報を決定するステップで決定された前記情報を表示装置に表示するステップと、を有し、
前記通信状態は、前記操作部と前記本体が無線通信している接続
状態、又は、前記操作部と前記本体が無線通信していない切断状態であり、
前記表示制御手段は、前記接続状態か又は前記切断状態か
と、前記無線通信における電波強度値に応じて、異なる情報を表示装置に表示し、前記無線通信における電波強度値に応じた情報を表示し、
前記操作部と前記本体が前記切断状態又は前記接続状態であり、更に、前記操作部と前記本体とが第三の距離未満に接近したと判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、
前記表示制御手段は、前記操作部を前記本体に取り付ける取付方法に関する情報を前記表示装置に表示することを特徴とする情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及び、情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置の操作部を本体から取り外して持ち運び可能にし、遠隔からの操作を可能にした各種の情報処理装置が知られている。例えば、複合機においても操作部を複合機の本体から取り外し可能にして利便性を向上させたり異機種間で共通の操作部を用いたりすることなどによりコストを低減する試みがあり、本体から操作部を取り外せる複合機の開発が検討されている。
【0003】
このような複合機において本体に対する操作部の位置を検出し操作部の位置に応じて、操作部が表示する表示内容を変更する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、操作部が本体の側面にあると認識される場合、本体正面への移動を促すメッセージを表示する複合機について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、本体と操作部との通信状態に応じて操作部が表示する情報を変更できないという問題があった。例えば、本体と操作部の距離が長くなり、無線通信が切断された場合、ユーザは再度、接続する手順がわからない。また、ユーザが操作部を本体に取り付けようとした場合に、取り付け方がわからないこともあり得る。このような状況を、通信状態で検出して操作部が適切な情報を表示できれば操作性が向上すると期待できる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、本体と操作部との通信状態に応じて操作部が表示する情報を変更できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、本体と前記本体を操作する操作部とを有する情報処理装置であって、前記操作部は、前記本体と無線通信する無線通信手段と、前記無線通信手段と前記本体との無線通信による通信状態に応じて表示する情報を決定する情報決定手段と、前記情報決定手段が決定した前記情報を表示装置に表示する表示制御手段と、を有し、前記通信状態は、前記操作部と前記本体が無線通信している接続状態、又は、前記操作部と前記本体が無線通信していない切断状態であり、前記表示制御手段は、前記接続状態か又は前記切断状態かと、前記無線通信における電波強度値に応じて、異なる情報を表示装置に表示し、前記無線通信における電波強度値に応じた情報を表示し、前記操作部と前記本体が前記切断状態又は前記接続状態であり、更に、前記操作部と前記本体とが第三の距離未満に接近したと判断できる前記電波強度値を前記情報決定手段が検出した場合、前記表示制御手段は、前記操作部を前記本体に取り付ける取付方法に関する情報を前記表示装置に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本体と操作部との通信状態に応じて操作部が表示する情報を変更できる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の複合機の外観斜視図の一例である。
【
図2】本体からの操作部の取り外しと取り付けを説明する図の一例である。
【
図3】複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】複合機が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図5】操作部と本体の間の無線通信が接続状態において、本体からの距離により操作部が表示する画面を説明する図の一例である。
【
図6】操作部と本体の間の無線通信が切断状態において、本体からの距離により操作部が表示する画面を説明する図の一例である。
【
図7】操作部が無線通信の通信状態に応じて画面を切り替える手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図14】接続ボタンが押下された後の操作部の処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図15】操作部が本体をスキャンする手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図16】操作部と本体が接続する際のシーケンス図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、複合機と複合機が行う情報表示方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<用語について>
着脱可能とは、操作部が情報処理装置に対して装着された(設置された)状態と、取り外された状態とを取り得ることをいう。着脱には工具を要しても要さなくてもよい。また、本体10と接している必要はなく、単に近くのケースに置かれた状態でも装着された状態という場合がある。
【0011】
通信状態とは操作部がどのような状態で通信しているか又は通信していないかをいう。本実施形態では、電波強度又は距離によりこの状態が判断される。電波強度又は距離の他、本体の移動状態(速度、加速度等)、姿勢(ユーザが操作できる状態の姿勢であるか)、等を含めてもよい。
【0012】
通信状態に応じた情報は、操作部がその通信状態の場合にユーザに提供されることが有用な情報であればよい。本実施形態では、接続状態又は接続状態のどちらか、機能がロック中であること、無線通信の接続方法等が表示される。情報は画面、コンテンツ、メニュー、UIなどと呼ばれてよい。
【0013】
機能のロックとは、少なくともユーザが操作部20を介して本体10を操作できなくなることをいう。操作部20に対する操作も全て又は一部が制限されていてよい。機能がロックされた状態で操作部20が表示する画面をロック画面という場合がある。
【0014】
<構成例>
図1は、本実施形態の複合機100の外観斜視図の一例である。複合機100は、主に本体10と操作部20を有している。本体10は複合機100が有する機能を実現するための稼働部を含み、操作部20はユーザに情報を表示しまたユーザの操作を受け付けるユーザインタフェースを提供する。
【0015】
本体10は、大きく分けると、スキャナ部101とプリンタ部102を有している。スキャナ部101は、コンタクトガラス上の原稿を光学的に読み取って画像データを生成する。
図1では、コンタクトガラス上にADF103(Auto Document Feeder)が搭載されている。ADF103は自動的に原稿を紙送りする装置である。
【0016】
プリンタ部102は、PC(Personal Computer)からの印刷データ又はスキャナ部101が読み取った画像データにガンマ変換などの画像処理を施して、電子写真方式やインクジェット方式などの画像形成方式で用紙などの記録媒体に画像を印刷する。あるいは、ファクスで受信した画像データを記録媒体に印刷する。
【0017】
プリンタ部102は、1つ以上の用紙トレイ104と手差しトレイ105を有する。使用時の手差しトレイ105は本体10の右側に開放される。また、プリンタ部102はスキャナ部101の下方に排紙トレイ106を有し、画像が形成された記録媒体は排紙トレイ106に排紙される。
【0018】
図1では、本体10の手前に操作部20が脱着可能に取り付けられている。図示する操作部20の取り付け位置はあくまで一例であって、本体10の側面、又はスキャナ部101の周辺等に取り付けられてもよい。また、複合機100が複数の操作部20を有していてもよい。この場合、全ての操作部20が本体10から取り外し可能でもよいし、一部の操作部20が本体10に固定されていてもよい。
【0019】
なお、複合機100が"複合"という文字を含むのは、複数の機能を有する場合があるためである。すなわち、複合機100は、用紙などの印刷媒体に画像を形成するプリンタ機能、スキャナとプリンタ機能により実現されるコピー機能、スキャナと電話回線(又はネットワーク)により実現されるFAX機能、データを蓄積する機能等を有している。また、複合機100は、これらの機能を反映して、画像形成装置、プリンタ、複写機、コピー機、FAX装置などと呼ばれていてもよい。なお、複合機100はMFP(Multi-Function Peripherals)と呼ばれる場合がある。
【0020】
しかしながら、本実施形態の複合機100は本体10から操作部20を着脱可能な情報処理装置の一例に過ぎず、複合機100が複数の機能を有することは必須でない。また、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、又は、データを蓄積する機能の1つ以上を有すれば、他の機能を有していなくてもよい。
【0021】
また、電子黒板、プロジェクタ、テレビ会議端末等の機器でも、本体10から操作部20を着脱可能な機器があれば、本実施形態を適用できる。
【0022】
図2は、本体10からの操作部20の取り外しと取り付けを説明する図の一例である。
図2(a)は本体10に操作部20が取り付けられた状態を示し、
図2(b)は操作部20が取り外された本体10の取り付け部を示す。本体10に操作部20が取り付けられた状態はどのように実現されてもよいが、例えば、本体10に形成された溝や凹部に操作部20をはめ込む形態、本体10の棒状部材を操作部20の孔部に際込む形態、本体10と操作部20をマグネットで固定する形態、等がある。また、道具がなくても脱着が可能な状態で取り付けられていることが好ましいが、ネジ、ドライバ等で取り付けられた状態が維持されてもよい。
図2(b)では本体10に設けられた凹部201に操作部20がはめ込まれると共に、マグネットで固定されている。凹部201の少なくとも一辺には弾性部材で凹部201の中央に向けて付勢された突起部202が形成されており、操作部20が凹部201に取り付けられると突起部202が中央とは反対側に押し戻されると共に弾性部材の付勢力が操作部20を保持する。
【0023】
また、凹部201又はその周囲に、操作部20が本体10と有線接続するための接続I/F16(メス)が形成されている。操作部20が凹部201に取り付けられる場合、操作部20の接続I/F(オス)が接続I/F16に挿入されることで、操作部20と本体10が有線接続される。したがって、操作部20と本体10が有線接続されると本体10における操作部20が位置決めされる。また、有線接続におり、本体10に操作部20が取り付けられていることが確認される。
【0024】
なお、操作部20と本体10のオス・メスは逆でもよいし、接続I/F16の配置や形状はどのようなものでもよい。
【0025】
操作部20は充電可能なバッテリーで動作するため、有線接続されると接続I/F16を介して、本体から操作部20に充電される。あるいは、充電はワイヤレスで行われてもよい。ワイヤレス充電の方式には、電磁誘導方式と磁気共鳴方式があるが、どのような方式が採用されてもよい。
【0026】
なお、
図2で説明した本体10と操作部20の取り付け方法はあくまで一例に過ぎず、本実施形態では本体10と操作部20が脱着可能であればよい。
【0027】
<<複合機>>
図3は、複合機100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、複合機100は、本体10と、操作部20と、を備える。本体10と操作部20は、有線通信と無線通信のいずれであっても相互に通信可能である。例えば、操作部20が本体10に取り付けられた状態では有線で通信すると共に充電し、操作部20が本体10に取り付けられていない状態では無線で通信する。
【0028】
なお、本体10は、操作部20で受け付けた操作に応じた動作を行うことができる。また、本体10は、クライアントPC(パーソナルコンピュータ)等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じた動作を行うこともできる。
【0029】
次に、本体10のハードウェア構成について説明する。
図3に示すように、本体10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、HDD(Hard Disk Drive)14と、通信I/F(Interface)15と、接続I/F16と、エンジン部17と、無線通信I/F19とを備え、これらがシステムバス18を介して相互に接続されている。説明の便宜上、
図3では、本体10はHDD14を有している構成を例に挙げて説明したが、例えばHDD14を有しておらず、十分な記憶領域を確保できない構成もあり得る。
【0030】
CPU11は、本体10の動作を統括的に制御する。CPU11は、RAM13をワークエリア(作業領域)としてROM12又はHDD14等に格納されたプログラムを実行することで、本体10全体の動作を制御し、上記したコピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能を実現する。
【0031】
通信I/F15は、ネットワーク8と接続するためのインタフェースである。接続I/F16は、通信路300を介して操作部20と通信するためのインタフェースである。例えばUSB(Universal Serial Bus)規格などで通信すれば、通信と充電を1つのケーブルで行うことができる。
【0032】
無線通信I/F19は、主に、無線通信により操作部20と通信するための通信装置(通信モジュール、通信ユニット、通信チップ等)である。通信規格としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、ZigBee(登録商標)、無線LAN(Wi-Fi)、無線LANのアドホックモード、Wi-Fiダイレクト、NFC(Near Field Communication)、RFIDなどがある。あるいは、独自規格の無線通信でもよい。
【0033】
エンジン部17は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、及び、プリンタ機能を実現させるための、汎用的な情報処理及び通信以外の処理を行うハードウェアである。例えば、原稿の画像をスキャンして読み取るスキャナ、用紙等のシート材への印刷を行うプロッタ(画像形成部)、ファクス通信を行うファクス部などを備えている。更に、印刷済みシート材を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(自動原稿給送装置)のような特定のオプションを備えることもできる。画像形成方式は電子写真方式でもインクジェット方式でもよい。
【0034】
次に、操作部20のハードウェア構成について説明する。
図3に示すように、操作部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、フラッシュメモリ24と、通信I/F25と、接続I/F26と、操作パネル27と、無線通信I/F29とを備え、これらがシステムバス28を介して相互に接続されている。これらは本体10と同様の機能を果たすものであるか、本体10と相違があるとしても本実施形態の説明の上では支障がないものとする。
【0035】
なお、操作パネル27は液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイであり、タッチパネルを一体に備えることが好ましい。操作パネル27は表示装置及び入力装置として利用される。操作パネル27はソフトキーを表示してその押下を受け付ける。また、操作パネル27はハードキーを有していてもよい。
【0036】
説明の便宜上、
図3では、操作部20はフラッシュメモリ24を有している構成を例に挙げて説明したが、例えばフラッシュメモリ24を有していない構成もあり得る。
【0037】
<機能について>
図4は、複合機100が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
<<操作部>>
操作部20は、表示部31、制御部32、記憶部33、無線通信部34、及び、有線通信部35を有する。操作部20が有するこれらの機能は、
図3に示された各構成要素のいずれかが、フラッシュメモリ24からRAM23に展開されたプログラムに従ったCPU21からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されるか又は記憶媒体に記憶された状態で配布される。なお、記憶部33は
図3に示されたROM22、RAM23、及びフラッシュメモリ24のいずれか1つ以上に構築される。
【0038】
表示部31は、ユーザが操作する各種の画面を操作パネル27に表示することでユーザインタフェースを提供する。また、表示部31はタッチパネルを介して操作部20に対するユーザの操作を受け付ける。後述するように表示部31は、本体10と操作部20との通信状態に応じて種々の画面を表示する。
【0039】
制御部32は無線通信部34及び有線通信部35を制御すると共に、これらの通信状態に応じた画面を決定し、この画面の表示を表示部31に指示する。制御部32は画面の表示関する全体的な制御を行う。無線通信部34は本体10と無線通信を確立し、情報を送信したり受信したりする。有線通信部35は、操作部20が本体10に取り付けられた場合に、本体10と操作部20を接続する有線ケーブルを介して、情報を送信したり受信したりする。有線通信部35は電圧の変化などにより有線ケーブルが本体10に接続されたことを検出する機能を有している。制御部32は有線ケーブルが接続されている場合は有線通信部35に通信させ、有線ケーブルが接続されていない場合は無線通信部34に通信させる。なお、記憶部33には表示部31が表示する画面に関する情報が記憶されている。
【0040】
<<本体>>
本体10は、操作部取付部41、制御部42、無線通信部43、及び、有線通信部44を有する。本体10が有するこれらの機能は、
図3に示された各構成要素のいずれかが、HDD14からRAM13に展開されたプログラムに従ったCPU11からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されるか又は記憶媒体に記憶された状態で配布される。
【0041】
操作部取付部41は操作部20が取り付けられた状態を維持する
図2のような構成と、本体10側で操作部20が取り付けられたことを検出する機能を有する。例えば、操作部20が当接するとONとなり、取り外されるとOFFになる突起部202のような機械的なスイッチにより検出できる。
【0042】
制御部42は本体10の全体的な機能を制御する。有線通信部44が有線ケーブルの接続を検出した場合、制御部42は有線通信部44に操作部20と通信させる。また、制御部42は有線ケーブルが接続されていない場合は無線通信部43に通信させる。無線通信部43は、例えば、パッシブ・スキャンを定期的に行うことで、操作部20から発見が可能になっている。
【0043】
<無線通信の通信状態に応じた表示制御>
図5、
図6を用いて、無線通信の通信状態に応じた操作部20の表示制御について説明する。以下では、無線通信で接続状態の場合と、切断状態の場合をそれぞれ説明する。
【0044】
図5は、操作部20と本体10の間の無線通信が接続状態において、本体10からの距離により操作部20が表示する画面を説明する図の一例である。
【0045】
(A-1)操作部20を把持したユーザが操作部20を本体10から徐々に離していくと、操作部20による本体10の操作に適さない距離L1(第一の距離)以上離れた時に、操作部20の表示部31はガイド表示G1(ロック画面)を表示する。ロック画面とは上記のように機能のロック時に表示される画面であり、操作部20に対する全て又は一部の操作が制限されることで、本体10を使用できなくなる(又は制限される)画面である。また、操作部20による本体10の操作に適さない距離L1とは例えば電波が届かないおそれがある距離、換言すると電波強度が後述する閾値2より小さくなる距離である。また、「ガイド」とは「案内する」という意味であり、ガイド画面はユーザの操作を案内する画面である。
【0046】
無線通信が接続状態であっても、ロックにより操作部20はユーザの操作を受け付けなくなり、ユーザは本体10を使用できなくなる。また、表示部31は、ガイド表示G1で本体10に近づいて使用するようユーザに促すメッセージを表示する。このように、ロックすることで、盗難時のデータ漏洩の防止や紛失の防止が可能になる。また、メッセージを表示することで、ユーザに操作部20を本体10に近づけさせることができる。すなわち、距離L1以上離れると電波強度が小さくなるため、操作中に切断される可能性が生じるが、それを低減できる。ガイド表示G1(ロック画面)の一例を
図8に示す。
【0047】
(A-2)ユーザが操作部20を本体10に近づけていき、操作部20による本体10の操作に適した距離L2(<L1)未満に入ると、操作部20の表示部31はガイド表示G1を非表示にして、通常画面301(例えばホーム画面)を表示する(距離L2は第二の距離の一例)。したがって、ユーザが操作部20から本体10を使用できる状態になる。通常画面301の一例を
図9に示す。距離L2は例えば電波が安定して届く距離、電波強度が閾値2より十分に大きくなる距離である。
【0048】
(A-3)ユーザが操作部20を本体10に更に近づけていき、操作部20を本体10にユーザが取り付けると判断できる距離L3(<L2)未満の距離になると、操作部20の表示部31はガイド表示G2(取付ガイド画面)を表示する(距離L3は第三の距離の一例)。取付ガイド画面とは操作部20を本体10に取り付けるための取付方法が表示される画面である。すなわち、操作部20が本体10から距離L3未満に接近した場合、ユーザが本体10に操作部20を取り付けたいのだと判断できるため、それをサポートするガイド表示G2が表示される。操作部20が本体10に取り付けられると、表示部31はガイド表示G2を非表示にして、再び通常画面301を表示する。これにより、使用可能な状態となる。距離L3は例えば電波が非常に強い距離、換言すると電波強度が閾値1より大きくなる距離である。ガイド表示G2の一例を
図10に示す。
【0049】
このように複合機100は電波強度(すなわち距離)に応じてユーザに適切な操作を促すことができる。
【0050】
なお、
図7にて説明するように、距離L1~L3は電波強度で判断されるため距離L1~L3は一定であるとは限らない。距離L1~L3の具体値は適宜、設定される。また、ユーザが距離L1~L3を任意に設定できてもよい。一例として距離L1を10~20メートル、距離L2を5~15メートル、距離L3を0.5~2メートル程度にすること考えられる。
【0051】
図6は、操作部20と本体10の間の無線通信が切断状態において、本体10からの距離により操作部20が表示する画面を説明する図の一例である。
【0052】
(B-1)操作部20を把持するユーザが本体10から離れていくとやがて、本体10と操作部20の無線通信が切断される。電波は届いているがノイズなどにより通信できない状態になったことにより本体10又は操作部20が切断する場合と、電波強度が一定値以下になったため、無線通信I/F19,29が自動的に切断する場合とがある。
図6ではこの距離をL
MAXとした。
【0053】
なお、
図5で説明したガイド表示G1(ロック画面)が表示されてから所定時間が経過した場合も無線通信が切断される。
【0054】
無線通信が切断されると、操作部20の表示部31はガイド表示G3(ロック画面)を表示する。このロック画面は、ガイド表示G1のロック画面と同様に、ユーザの操作を受け付けないようにするための画面である。したがって、無線通信が切断状態であるのと、ロック画面とにより、ユーザは本体10を使用できなくなる。ただし、ガイド表示G1のロック画面とメッセージなどが異なる。
【0055】
ガイド表示G3(ロック画面)で表示されるメッセージは、本体10に近づくことで操作部20を本体10に無線通信で接続させるようユーザに促す旨である。切断状態の場合にユーザの操作を制限でき、ユーザに適切な操作を促すことができる。なお、メッセージには、接続すべき本体10の名前等の情報が含まれることが好ましい。ガイド表示G3(ロック画面)の一例を
図11に示す。
【0056】
(B-2)ユーザが操作部20を本体10に近づけ、無線通信に好適な距離L2未満の距離になった時、表示部31はガイド表示G3を非表示にして、操作部20と本体10が接続可能な旨を含むガイド表示G4(接続ボタン画面)を操作パネル27に表示する。ガイド表示G4には、例えば、操作部20と本体10とを無線通信で接続させるための接続ボタンが表示される。ユーザが接続ボタンを押下すると、表示部31がこれを受け付け無線通信が再開される。ガイド表示G4(接続ボタン画面)の一例を
図11に示す。
【0057】
(B-3)ユーザが操作部20を更に本体10に近づけ、本体10に対し距離L3未満に入ると、操作部20の表示部31は操作パネル27にガイド表示G5(取付ガイド画面)を表示する。ガイド表示G5(取付ガイド画面)は接続ボタンが押下されたか否かに関わらず、本体10に対し距離L3未満に入ると表示される。本体10は無線通信で使用されてもよいが、本体10に直接、取り付けて使用してもよいためである。ユーザが操作部20を本体10に取り付けると、表示部31はガイド表示G5(取付ガイド画面)を非表示にして、通常画面301を表示する。
【0058】
図5,
図6で説明したように、接続状態か切断状態かにより、操作部が適切な情報を表示するので、ユーザは接続状態と切断状態のそれぞれで適切な操作を行うことができる。
【0059】
<制御手順>
図7は、操作部20が無線通信の通信状態に応じて画面を切り替える手順を示すフローチャート図の一例である。
図7の処理は、例えば定期的に実行される。
【0060】
操作部20の制御部32は、まず操作部20が本体10に取り付けられているか否かを判断するために、有線通信部35から有線ケーブルの着脱状態を取得する(S1)。ここでの判断は、単に有線ケーブルが物理的に接続されているか否かを判断すればよい(通信しているかどうかは判断しなくてよい)。
【0061】
制御部32は、ステップS1の着脱状態に基づいて、本体10と操作部20が分離しているか否かを判断する(S2)。分離しているとは本体10から操作部20が取り外されていることをいう。分離していない場合は(S2のNo)、制御部32は、更に有線ケーブルを介して有線通信が接続状態か否かを判断する(S11)。例えば、操作部20の有線通信部35からの送信に対し本体10の有線通信部44が何らかの応答をするかどうかを判断する。つまり、実際に通信しているかどうかを判断する。
【0062】
ステップS11の判断がYesの場合、操作部20は本体10に取り付けられ有線で通信している状態なので
図7の処理は終了する。
【0063】
ステップS11の判断がNoの場合、制御部32は有線通信部35に有線ケーブルを介した有線通信を開始させる(S12)。ただし、USBのように有線ケーブルの着脱が自動的に認識される場合は、ステップS12の明示的な接続処理は不要である。
【0064】
また、この時、機能がロック中か否かを制御部32が判断する(S13)。有線ケーブルで接続中に機能がロック中であるのは例えばガイド表示G4が表示されていたケースである。
【0065】
ステップS13の判断がYesの場合、制御部32はガイド表示G4を非表示にして機能のロックも解除する(S14)。
【0066】
次に、制御部32は距離L3未満で表示されるガイド表示G3,G5を表示しているか否かを判断する(S15)。ガイド表示G3,G5を表示中かどうかは制御部32により管理されている。
【0067】
ステップS15の判断がYesの場合、制御部32はガイド表示G3,G5を非表示にする(S16)。これにより、操作部20と本体10が接続されるとガイド表示G3,G5を非表示にできる。
【0068】
ステップS15の判断がNoの場合、操作パネル27は通常画面を表示しているので
図7の処理は終了する。
【0069】
ステップS2に戻り、本体10と操作部20が分離されている場合は(S2のYes)、操作部20の制御部32は無線通信部34から接続状態と無線パケット受信時における電波強度値を取得する(S3)。電波強度値は受信時に検出されるRSSI(Received Signal Strength Indicator)という指標が知られている。
【0070】
そして、制御部32は無線通信が接続状態か否かを判断する(S4)。これは、何らかのデータの送受信が可能かどうかにより判断できる。
【0071】
ステップS4の判断がYesの場合(本体10と操作部20が無線通信で接続中である場合)、制御部32は電波強度値が閾値1よりも大きいか否かを判断する(S5)。閾値1は距離L3の電波強度値に相当する。
【0072】
ステップS5の判断がYesの場合、制御部32は機能ロック中か否かを判断する(S6)。機能ロック中となっているのは例えば過去に距離L3以上になっていた場合である。機能ロック中かどうかは制御部32により管理されている。
【0073】
ステップS6の判断がYesの場合、距離L3未満なので、制御部32は機能のロックを解除する(S7)。すなわち、表示部31はガイド表示G1(ロック画面)を非表示にする。
【0074】
制御部32は操作部20が操作に適した本体10との距離にあると判断し、表示部31にガイド表示G2(取付ガイド画面)を表示させる(S8)。
【0075】
ステップS5で、電波強度値が閾値1以下の場合は(S5のNo)、制御部32は電波強度値が閾値2より小さいか否かを判断する(S31)。閾値2は距離L1に相当する距離である。
【0076】
ステップS31の判断がYesの場合、制御部32は、操作部20が本体10から十分に遠くに離れていると判断する。
【0077】
このため、制御部32は機能ロック中か否かを判断する(S32)。機能ロック中でない場合(S32のNo)、制御部32はまず、時刻1(変数)に現在時刻を設定する(S33)。所定時間の経過により無線通信を切断するためである。
【0078】
また、制御部32は操作部の機能をロックする(S34)。また、本体10に近づいて使用するよう促すガイド表示G1(ロック画面)を表示部31に表示させる(S35)。
【0079】
ステップS32で機能ロック中であると判断された場合は、制御部32は時刻1から所定時間が経過したか否かを判断する(S36)。
【0080】
所定時間が経過している場合(S36のYes)、ユーザが操作部20を使用していないと制御部32が判断し、制御部32は無線通信を切断する(S37)。操作部20が使用されていない場合に無線通信を切断することで、操作部20の電力消費を抑制し、本体の通信用リソースを開放できる。
【0081】
通信状態が切断状態になったので、制御部32は、本体10に近づいて接続するよう促すガイド表示G3(ロック画面)を表示部31に表示させる(S38)。
【0082】
ステップS31で電波強度値が閾値2以上の場合(S31のNo)、制御部32は操作部20が本体10から好適な範囲内にあると判断する。そこで、制御部32は機能ロック中か否かを判断する(S41)。
【0083】
ステップS41の判断がYesの場合、制御部32は機能のロックを解除する(S42)。また、制御部32は、ガイド表示G1を表示中か否かを判断する(S43)。
【0084】
ステップS43の判断がYesの場合、制御部32はガイド表示G1を非表示にする(S44)。これにより、通常画面301が表示され、ユーザが操作部20を操作して本体10を使用できるようになる。
【0085】
ステップS4において、操作部20が本体10と無線通信で接続されていない場合、制御部32は機能ロック中か否かを判断し(S51)、機能ロック中でない場合は機能をロックする(S52)。切断状態では操作部20から本体10を使用できないためである。
【0086】
次に、制御部32は、電波強度値が閾値1よりも大きいか否かを判断する(S53)。電波強度値が閾値1よりも大きい場合(S53のYes)、制御部32は、操作部20が本体10に十分に近い距離にあると判断し、ガイド表示G5(取付ガイド画面)を表示部31に表示させる(S54)。
【0087】
電波強度値が閾値1以下の場合(S53のNo)、制御部32は電波強度値が閾値2より小さいか否かを比較する(S55)。
【0088】
電波強度値が閾値2よりも小さい場合(S55のYes)、制御部32は、操作部20が本体10から十分に遠くに離れていると判断し、本体10に近づいて接続するよう促すガイド表示G3を表示部31に表示させる(S56)。
【0089】
電波強度値が閾値2以上の場合(S55のNo)、制御部32は、操作部20が本体10から好適な範囲内にあると判断し、ガイド表示G4を表示部31に表示させる(S57)。
【0090】
制御部32は、操作パネル27に表示される情報を制御するため、
図7の処理を定期的に実行する。定期的に実行する代わりに、有線通信部35が着脱状態の変化イベントを制御部32に通知したり、無線通信部34が電波強度を含む無線パケット受信イベントを制御部32に通知したりすることで、イベント駆動で同様の制御を行うよう構成してもよい。
【0091】
<画面の一例>
以下では、操作部20が表示するガイド表示G1~5について説明する。
【0092】
<<ガイド表示G1>>
図8は、ガイド表示G1の一例を示す。上記のように、ガイド表示G1は、無線通信が接続中であり、かつ、電波強度値が閾値2より小さい場合に操作パネル27に表示される画面である。
【0093】
ガイド表示G1には「LOCKED」という文字401、「本体10から離れたので機能をロックしました。機能を有効にするには、本体10に近づくか、本体10に取り付けて下さい。」というメッセージ402、及び、本体情報403が表示される。
【0094】
すなわち、ガイド表示G1を表示する際、操作部20が本体10から十分離れているので、制御部32が機能をロックしている。そこで、機能がロックされている旨と、本体10に近づいて使用するよう促すメッセージが表示される。これにより、ユーザは機能がロックされたこと及びロックを解除するにはどうすればよいかを把握できる。
【0095】
また、本体情報403には、複合機100の識別情報として、複合機100の名称とMACアドレスが表示されている。これらにより、ユーザは操作部20をどの複合機100の本体10に近づければよいかを判断できる。複合機100の名称は型番でもよいし、製造番号などでもよい。また、MACアドレスはIPアドレス、FAX番号等でもよい。これにより、ユーザは操作部20をどの本体10に近づければよいかを把握できる。
【0096】
<<通常画面>>
図9は、通常画面301の一例を示す。操作部20と本体10が接続状態で、更に、操作部20が本体10から好適な範囲内にある場合、操作部20は通常画面301を表示して使用可能な状態となる。
【0097】
通常画面301は、複合機100が有するコピー、プリンタ、ファクス、スキャナ、データ蓄積などの機能によって異なるし、各機能が同じでも状況によって表示される画面は異なる。
図9はデータ蓄積機能の通常画面301であり、蓄積されているいくつかの文書が表示されている。ただし、あくまで一例である。
【0098】
<<ガイド表示G2>>
図10はガイド表示G2の一例を示す図である。ガイド表示G2は、無線通信が接続状態、かつ、電波強度値が閾値1より大きい場合に操作部20が表示する画面である。
【0099】
ガイド表示G2は、本体10のイメージ
図411、操作部20のイメージ
図412、操作部20の取付位置413、取付方向414、及び、閉じるボタン415を有する。操作部20が本体10の十分に近くにあるので、ユーザが操作部20を取り付けたいと判断されるため、このような取付ガイドが表示される。ユーザはガイド表示G2を見て、操作部20をどこにどのように取り付ければよいかを確認できる。
【0100】
なお、ガイド表示G2は閉じるボタン415の押下により消すことができる。この場合、
図9のような通常画面301が表示される。また、ガイド表示G2はロック中の画面でないので、操作ボタン416が表示される。
【0101】
<<ガイド表示G3>>
図11は、ガイド表示G3の一例を示す。上記のように、ガイド表示G3は、無線通信が切断状態、かつ、電波強度値が閾値2より小さい場合に操作部20が表示する画面である。
【0102】
ガイド表示G3は「DISCONNECTED」という文字421、「本体10から切断されました。本体10に近づいて接続ボタンを押してください」というメッセージ422、及び、本体情報423が表示される。
【0103】
すなわち、ガイド表示G3が表示される際は切断中なので、その旨(DISCONNECTED)と本体10に近づいて接続するよう促すメッセージ422が表示される。ユーザは無線通信されていないこと、及び、接続するにはどうすればよいかを把握できる。なお、本体情報423についてはガイド表示G1と同様でよい。
【0104】
ガイド表示G3は接続ボタン424を有するが、ガイド表示G3の接続ボタン424は無効状態である。無効状態とはユーザが押下してもこれを受け付けないことをいう。
図11の接続ボタン424は低輝度で表示されている。したがって、ガイド表示G3の接続ボタンは非表示にされていてもよい。接続ボタン424が無効状態なのは、操作部20と本体10との距離が遠いため無線通信が困難なためである。低輝度であることで、ユーザは接続ボタン424を押下できないことを把握できる。
【0105】
なお、ガイド表示G3では、操作部20が本体10から切断されている状態なので、機能がロックされている。
【0106】
<<ガイド表示G4>>
図12は、ガイド表示G4の一例を示す。上記のように、ガイド表示G4は、無線通信が切断中、かつ、操作部20が本体10から好適な範囲内にある場合に操作部20が表示する画面である。
【0107】
ガイド表示G4は「DISCONNECTED」という文字431、「本体10から切断されました。接続ボタンを押してください」というメッセージ432、及び、本体情報433が表示される。
【0108】
すなわち、ガイド表示G4を表示する際は切断中なので、その旨と接続するよう促すメッセージが表示される。ユーザは無線通信されていないこと、及び、接続するにはどうすればよいかを把握できる。なお、本体情報433についてはガイド表示G1と同様でよい。
【0109】
ガイド表示G4は接続ボタン434を有するが、ガイド表示G4の接続ボタン434は有効状態である。有効状態とはユーザが押下するとこれを受け付けることをいう。接続ボタン434が有効状態なのは、操作部20と本体10との距離が近いため無線通信が可能だからである。ガイド表示G4の接続ボタン434はガイド表示G3の接続ボタンよりも高輝度で表示される。ユーザは接続ボタン434が有効であることを把握できる。したがって、操作部20が本体10から好適な範囲内に入ったらユーザは接続ボタン434を押下するという簡単な操作ですぐに接続できる。
【0110】
なお、ガイド表示G4では、操作部20が本体10から切断されている状態なので、機能がロックされている。
【0111】
<<ガイド表示G5>>
図13はガイド表示G5の一例を示す図である。ガイド表示G5は、無線通信が切断中、かつ、電波強度値が閾値1より大きい場合に操作部20が表示する画面である。
【0112】
ガイド表示G5は、本体10のイメージ
図411、操作部20のイメージ
図412、操作部20の取付位置413、取付方向414、及び、閉じるボタン415を有する。操作部20が本体10の十分に近くにあるので、ユーザが操作部20を取り付けたいと判断され、ガイド表示G5(取付ガイド画面)が表示される。ユーザはガイド表示G5を見て、操作部20をどこにどのように取り付ければよいかを確認できる。
【0113】
なお、ガイド表示G5(取付ガイド画面)は閉じるボタン415の押下により非表示にすることができる。しかし、操作部20が本体10から切断されているので、機能がロックされている。したがって、閉じるボタン415が押下されると
図12のようなガイド表示G4が表示される。また、ガイド表示G4はロック中の画面なので、ガイド表示G2のような操作ボタン416が表示されない。
【0114】
<接続ボタンが押下された際の動作>
図14を用いて、ガイド表示G4の接続ボタンが押下された後の操作部20の動作を説明する。
図14は、ガイド表示G4の接続ボタンが押下された後の操作部20の処理を説明するフローチャート図の一例である。
【0115】
まず、制御部32は、無線通信部34に対し本体10と無線通信を接続させる(S101)。
【0116】
次に、無線通信が切断中であったため、機能がロック中である可能性が高いため、制御部32は機能ロックかどうかを判断し(S102)、ロック中ならば機能ロックを解除する(S103)。
【0117】
また、制御部32は操作ボタンを有するガイド表示G4を表示しているか否かを判断し(S104)、表示中の場合はガイド表示G4を非表示にする(S105)。
【0118】
こうすることで、本体10と操作部20が無線通信を再開し、通常画面が表示されるのでユーザは操作部20を操作して本体10を使用できるようになる。
【0119】
<本体のスキャン>
操作部20は、接続ボタンが押下されると本体10と接続するため本体10をスキャンする。また、このスキャンは、操作部20が電波強度を測定する際にも使用される。
【0120】
スキャンには、本体10が発信した電波を操作部20が受信するパッシブ・スキャンと、操作部20が発信した電波に本体10が応答するアクティブ・スキャンの2種類がある。スキャンは操作部20と本体10が接続されていないときにも有効なので、切断状態において操作部20が電波強度値を測定するときに有効である。
【0121】
図15は、操作部20が本体10をスキャンする手順を示すシーケンス図の一例である。
図15では、無線通信方式としてWi-Fiを用いた場合を説明する。
【0122】
S201:Wi-Fiの場合、本体10は一定間隔でBeaconという管理フレームを送信する。操作部20がこれを受信すると本体10を発見し、電波強度を測定することができる。このように、操作部20が、本体10が発信するBeaconを受信することをパッシブ・スキャンという。
【0123】
S202:操作部20が本体10を探すためのProbe Requestをブロードキャストし、本体10がそれに応答してProbe Responseを送信することで、操作部20が本体10を発見して、電波強度を測定することができる。このように、操作部20がProbe Requestをブロードキャストすることをアクティブ・スキャンという。
【0124】
なお、無線通信方式として、BluetoothやZigBee等が用いられた場合は、それぞれの無線通信方式に応じて本体10がスキャンされる。
【0125】
続いて、
図16を用いて操作部20と本体10が接続する手順を説明する。
図16は操作部20と本体10が接続する際のシーケンス図の一例である。
図16の処理は、スキャンにより本体10が見つかると開始される。
図16では、無線通信方式としてWi-Fiを用いた場合を説明する。本体10はAccess Point(AP)として動作するものとして説明する。
【0126】
S301:操作部20は本体10をスキャンにより発見した後、認証のために、Authentication を本体10に送信する。
【0127】
S302:本体10はこれに応答してAuthenticationを送信すると、認証が完了する。
【0128】
S303:次に、操作部20がAssociation Requestを送信する。
【0129】
S304:本体10がこれに応答して、Association Responseを送信すると、操作部20と本体10の接続が完了する。
【0130】
接続完了後は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)によって、本体10が操作部20にIPを割り当てる。これにより、IPレイヤの通信が開始される。
【0131】
なお、無線通信方式として、BluetoothやZigBee等が用いられた場合は、それぞれの無線通信方式に応じて本体10と操作部20が接続される。
【0132】
<まとめ>
以上、説明したように、本実施形態の複合機100は、操作部20と本体10の通信状態に応じて、操作パネル27に表示される情報を変更できる。操作部20が通信状態に対し適切な情報を表示するので操作性を向上させることができる。
【0133】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0134】
例えば、本実施形態では複合機100について説明したが、本体から操作部を取り外し可能で電源状態が変化する情報処理装置であれば、本実施形態を適用可能である。例えば、本体とリモコンが無線で通信するゲーム機、受像器とリモコンが無線で通信するテレビ、本体からスピーカを取り外して使用できる音響装置、本体とリモコンが無線で通信するエアコン、等にも利用できる。なお、これらの装置は情報処理装置の機能を有する。
【0135】
また、このような情報処理装置は情報処理システムと呼ばれていてもよく、操作部と本体が別売りされていてよい。
【0136】
操作部20としては、複合機100に着脱可能な情報処理装置に限られず、複合機とは独立に販売される汎用的な情報処理装置でもよい。例えば、タブレット、スマートフォン、PC(Personal Computer)等でもよい。
【0137】
また、本実施形態では、ガイド表示G1~5の表示に電波強度値が使用されたが、距離を使用してもよい。例えば、本体10の無線通信部43が送信時の電波強度値を無線で操作部20に送信する。操作部20の制御部は、送信時の電波強度値が距離によりどのくらい減衰するかという計算式に、送信時の電波強度値と受信時の電波強度値を代入して、操作部20と本体10の距離を算出する。したがって、本実施形態の電波強度値は距離に置き換えることができる。
【0138】
また、
図5と
図6の説明で、距離L2、L3が共通であるとしたが、無線通信が接続状態と切断状態とで距離L2、L3は異なっていてよい。
【0139】
また、本実施形態では、通信状態に応じて操作部が表示する情報が変更されたが、通信状態に応じて操作部が出力する音楽が変更されてもよい。例えば、接続状態と切断状態で異なる音楽を出力したり、接続方法を音声メッセージで案内したりする。あるいは、通信状態に応じて操作部20の振動の仕方を変更してもよい。
【0140】
また、
図4などの構成例は、操作部20と本体10による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。操作部20と本体10の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0141】
無線通信部34は無線通信手段の一例であり、制御部32は情報決定手段の一例であり、表示部31は表示制御手段の一例である。
【符号の説明】
【0142】
10 本体
20 操作部
27 操作パネル
31 表示部
32 制御部
34 無線通信部
35 有線通信部
100 複合機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】