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  • 特許-洗浄装置、および洗浄方法 図1
  • 特許-洗浄装置、および洗浄方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】洗浄装置、および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/035 20060101AFI20220426BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220426BHJP
   B08B 9/093 20060101ALI20220426BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
C01B33/035
C23C16/44 J
B08B9/093
H01L21/205
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019523431
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2018019642
(87)【国際公開番号】W WO2018225497
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2017113665
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼藤 創
(72)【発明者】
【氏名】福江 真
(72)【発明者】
【氏名】三戸 美文
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-39617(JP,A)
【文献】特開2010-275183(JP,A)
【文献】特開2000-297342(JP,A)
【文献】国際公開第2012/063432(WO,A1)
【文献】特開2004-356299(JP,A)
【文献】特開2009-164435(JP,A)
【文献】特開2006-225189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00ー33/193
C23C 16/00ー16/56
B08B 1/00-1/04
B08B 5/00-13/00
H01L 21/205、21/31
H01L 21/365、21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから砥粒を含む洗浄液を吐出し、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内壁面に衝突させて、上記内壁面を洗浄する洗浄方法であって、
上記ノズルは、上記洗浄液による上記ノズルのエロージョンが500μm/時間以下となる吐出圧で上記洗浄液を吐出し、
上記洗浄液の上記内壁面への衝突圧が上記内壁面の汚れを除去できる圧力を確保するように、上記ノズルと上記内壁面との距離を調整することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
上記衝突圧は10MPa以上とすることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
上記ノズルの吐出口に至るまでの洗浄液流路における上記洗浄液の流速を、上記洗浄液による上記洗浄液流路の内壁のエロージョンが1μm/時間以下となるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
ノズルから砥粒を含む洗浄液を吐出し、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内壁面に衝突させて、上記内壁面を洗浄する洗浄装置であって、
上記ベルジャーの上部湾曲内壁面の頂点を通る弧の少なくとも半分の形状に沿って配置されている複数の上記ノズルを有する第1洗浄ユニットと、
上記ベルジャーの側部直胴内壁面の高さ方向の形状に沿って配置されている他の複数の上記ノズルを有する第2洗浄ユニットと、を備え、
上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態、かつ、第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態で、上記第1洗浄ユニットおよび上記第2洗浄ユニットを上記ベルジャーに対して相対的に移動させる駆動機構を備えていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
上記駆動機構は、
上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態で、上記第1洗浄ユニットを移動させる第1駆動部と、
上記第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態で、上記第2洗浄ユニットを移動させる第2駆動部と、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
上記第2洗浄ユニットは、上記ベルジャーの側部直胴内壁面の周方向の形状に沿って環状に配置されているさらに他の複数の上記ノズルを有し、
上記駆動機構は、
上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態で、上記第1洗浄ユニットを移動させる第1駆動部と、
上記第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態で、上記第2洗浄ユニットを移動させる第3駆動部と、
を備えていることを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項7】
上記駆動機構は、洗浄空間の外部に設けられていることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
当該洗浄装置の回転部からノズルまでの洗浄液流路は、可撓性を有することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項9】
上記駆動機構は、上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態、および、第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態のうちの少なくとも一方の状態で、上記ベルジャーを移動させるベルジャー駆動部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応器の洗浄装置および洗浄方法に関し、より詳しくは、シーメンス法により多結晶シリコンを気相成長する際に用いられる反応器の内壁面を洗浄するための洗浄装置および洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料となる高純度の多結晶シリコンの製造方法としてシーメンス法が知られている。シーメンス法は、クロロシランと水素との混合ガスからなる原料ガスが、加熱したシリコン芯棒に接触し、その表面上で熱分解および水素還元反応することにより多結晶シリコンが析出する製造方法である。この製造方法を実施する装置として、反応炉に多数のシリコン芯棒を立設したポリシリコン製造用反応器(ベルジャー)が用いられている。
【0003】
ベルジャーを用いて多結晶シリコンを製造する際には、冷却されたベルジャーの内壁面に副生物が付着する。ベルジャー内壁面に付着した副生物は、大気中の水分と加水分解反応し塩化水素を発生させる。この塩化水素が反応炉の内壁面を腐食する。さらに、副生物がベルジャー内壁面に付着した状態では、ベルジャー内壁面の反射率が低下する。ベルジャー内壁面の反射率が低下すると、電力効率が悪くなるほか、多結晶シリコンの製造時にベルジャー内の温度が上がらず、多結晶シリコンを析出できない。
【0004】
そのため、高純度の多結晶シリコンを効率よく製造するには、反応が終了し次の反応に移る前にベルジャーの内壁面を洗浄する必要がある。従来、ベルジャーの内壁面の洗浄方法について、様々な技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されている技術では、反応炉の炉壁内にスチームを供給して反応炉の内壁面を加熱し、調湿ガスを炉内に導入して反応炉の内壁面の付着物を加水分解する。次いで反応炉内にノズルを装入して不活性ガスの高速ジェット流を内壁面に噴射して反応炉の内壁面の付着物を除去する。特許文献2に記載されている技術では、反応炉の内壁面上のシリコン付着物に二酸化炭素ペレットを衝突させてシリコン付着物を除去する。特許文献3に記載されている技術では、中央部に配置したシャフトを回転させるとともに鉛直方向に移動しながら、該シャフトの上端部のノズルから三次元方向に純水または超純水の洗浄水を高圧噴射して反応炉の内壁面を洗浄する。特許文献4に記載されている技術では、反応炉の内壁面上の付着物に氷粒を高圧ガスで吹き付けて付着物を除去する。特許文献5に記載されている技術では、鉛直方向に移動可能な垂直軸の周りを公転し、かつ、自転するノズルから三次元方向に高圧噴射される純水または超純水の洗浄水により、反応炉の内壁面を洗浄する。特許文献6に記載されている技術では、自転しつつ液体を噴射する回転ブラシにより反応炉本体の内壁を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国公開特許公報「特開昭56-114815号公報」
【文献】日本国公開特許公報「特開平6-216036公報」
【文献】日本国公開特許公報「特開2009-196882公報」
【文献】日本国公開特許公報「特開2012-101984公報」
【文献】日本国公開特許公報「特開2012-20917公報」
【文献】日本国公開特許公報「特開平2-145767公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術は、以下の問題がある。反応炉の付着物は内壁面に強固に付着していることが多く、特許文献1に示す不活性ガスの高速ジェット流の噴射する技術や、特許文献3、および5に示す純水または超純水の高圧噴射により付着物除去する技術では、物理的な除去能力の面で不十分な場合がある。また、特許文献2に示す二酸化炭素ペレットを使用する技術や、特許文献4に示す氷粒を使用する技術は、付着物の加水分解を進行させるものではないため、付着物が残留していると、反応炉を開放した際に大気中の水分により塩化水素が発生するおそれがある。また、特許文献6に示す回転ブラシによる技術では、凹凸を有する反応炉の内壁面の全域にわたり満遍なくブラシを当てることは困難であり、付着物を完全に除去することができないおそれがある。
【0008】
本発明の一態様は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベルジャーの内壁面の付着物を確実に除去ことができる洗浄装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る洗浄方法は、ノズルから砥粒を含む洗浄液を吐出し、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内壁面に衝突させて、上記内壁面を洗浄する洗浄方法であって、上記ノズルは、上記洗浄液による上記ノズルのエロージョンが500μm/時間以下となる吐出圧で上記洗浄液を吐出し、上記洗浄液の上記内壁面への衝突圧が上記内壁面の汚れを除去できる圧力を確保するように、上記ノズルと上記内壁面との距離を調整することを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る洗浄装置は、ノズルから砥粒を含む洗浄液を吐出し、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内壁面に衝突させて、上記内壁面を洗浄する洗浄装置であって、上記ベルジャーの上部湾曲内壁面の頂点を通る弧の少なくとも半分の形状に沿って配置されている複数の上記ノズルを有する第1洗浄ユニットと、上記ベルジャーの側部直胴内壁面の高さ方向の形状に沿って配置されている他の複数の上記ノズルを有する第2洗浄ユニットと、を備え、上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態、かつ、第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態で、上記第1洗浄ユニットおよび上記第2洗浄ユニットを上記ベルジャーに対して相対的に移動させる駆動機構を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、ベルジャーの内壁面の付着物を確実に除去することができる効果を奏する。例えば、本発明の一態様に係る図1に示す態様の洗浄装置を用い、研磨性の高い砥粒を含む洗浄液を用い、ノズルのエロージョンが100μm/時間、衝突圧15MPaとなるようにノズルとベルジャー壁面との距離を調整し(約200mm)、洗浄時間を2時間としてベルジャー洗浄を行ったところ、反射率が0.7以上となる程度にベルジャーの内壁面を洗浄することができた。また、上記洗浄を30回実施した際にも、ノズルには異常は無く、同様の洗浄を行うことができた。
【0012】
これに対して、同様の洗浄液を使用して、上記従来技術に示す、中央部に配置したシャフトを回転させるとともに鉛直方向に移動しながら、該シャフトの上端部のノズルから三次元方向に上記洗浄液を噴射して反応炉の内壁面を洗浄する装置を使用して、衝突圧が15MPaとなるように洗浄を行った結果、洗浄開始から1.7時間で、エロージョンによりノズルが破損し、反射率が0.7以上となる程度にベルジャーの内壁面を洗浄することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る洗浄装置の概略構成を示す図である。
図2】上記洗浄装置の供給ユニットの概略構成を示す模式図である。
図3】(a)および(b)は、上記洗浄装置の洗浄方法を説明するフロー図である。
図4】本発明の実施形態2に係る洗浄装置の概略構成の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、適宜その説明を省略する。
【0015】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図1~図に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態1に係る洗浄装置100の概略構成を示す図である。図2は、洗浄装置100の供給ユニット170の概略構成を示す模式図である。
【0016】
(洗浄システム)
洗浄システム600は、ベルジャー500の本体501の内壁面502を洗浄するためのシステムである。洗浄システム600は、図1に示すように、洗浄装置100、高圧ポンプ200、および洗浄液タンク300を備えている。
【0017】
洗浄液タンク300は、砥粒を含む洗浄液を貯留するタンクである。また、洗浄液タンク300は、ベルジャー500の洗浄後の洗浄液を回収することもできる。高圧ポンプ200は、洗浄液タンク300から洗浄装置100に洗浄液を高圧で送液するポンプである。
【0018】
(洗浄装置)
洗浄装置100は、ノズル112・122にエロージョンが起きにくい吐出圧で砥粒を含む洗浄液をノズル112・122から吐出する。そして、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャー500の内壁面502に洗浄液を衝突させて、内壁面502を洗浄する。また、洗浄装置100は、洗浄液がベルジャー500の内壁面502に衝突するときの衝突圧が、内壁面502の汚れを除去できる圧力を確保するようにノズル112・122と洗浄面(内壁面502)との距離を一定に調整する。これにより、洗浄能力を犠牲にすることなく、ノズル112・122等のエロージョンをおきにくくすることができる。以下に洗浄装置100について詳しく説明する。
【0019】
洗浄装置100は、図1に示すように、第1洗浄ユニット110、第2洗浄ユニット120、メインシャフト140、駆動部160、および供給ユニット170を備えている。
【0020】
なお、洗浄装置100の洗浄対象であるベルジャー500はカプセル状であり、上部503が湾曲し、胴部504が寸胴となっている。以下、上部503の内壁面を上部湾曲内壁面503a、胴部504の内壁面を側部直胴内壁面504aと表記する。
【0021】
(第1洗浄ユニット110)
第1洗浄ユニット110は、上部湾曲内壁面503aを洗浄する。第1洗浄ユニット110は、ノズルフレーム111、ノズル112、ノズルヘッダ113、およびノズルホース114を備えている。
【0022】
ノズル112は、上部湾曲内壁面503aの頂点503bを通る弧の少なくとも半分の形状に沿うように、ノズルフレーム111に複数固定されている。複数のノズル112は、例えば、1つの上記弧に沿って一列に配置されていてもよく、複数の上記弧に分割して配置されていてもよい。複数のノズル112は、各々の洗浄範囲の合計範囲が上記半分をカバーするように配置されていればよい。
【0023】
ノズル112自体は回転せず、吐出口も回転しないように固定されている。ノズル112は、例えば、3個で1セットとし、ノズルフレーム111に10セット(10系列)のノズル112が配置されていてもよい。ノズル112は、内挿品がタングステンカーバイド製以上の硬度を有する材質であることが望ましい。ノズル112は、吐出圧が高いほどエロージョンが大きくなる。そのため、ノズル112は、洗浄液によるノズル112のエロージョンが500μm/時間以下となる吐出圧で洗浄液を吐出する。
【0024】
また、ノズル112と上部湾曲内壁面503aとの距離は、洗浄液の上部湾曲内壁面503aへの衝突圧が上部湾曲内壁面503aの汚れを除去できる圧力を確保するように、一定に調整される。上記衝突圧は、10MPa以上と設定することができる。上記衝突圧は、高いほど洗浄効果が大きくなるが、内壁面502(洗浄対象)の減肉を考慮する必要がある。また、衝突圧が小さすぎると、洗浄不足となる。したがって、砥粒の種類にもよるが、上記衝突圧は、10MPa以上にすることが望ましい。
【0025】
ノズル112のエロージョンが500μm/時間以下となるような吐出圧でノズル112が洗浄液を吐出し、上部湾曲内壁面503aの汚れを除去できる衝突圧を確保するためには、ノズル112と上部湾曲内壁面503aとの距離を調節する。具体的なノズル112と上部湾曲内壁面503aとの距離は、100~300mm程度、さらに好ましくは、150~250mmとすることが望ましい。上記距離は0mmに近い方ほど洗浄能力が高くなるが、かかる距離を上記範囲程度とすることで広角型のノズル112を採用することができ、1つのノズルに対する洗浄範囲を広げることができる。また、これにより、ベルジャー500の本体501と洗浄装置100との間に余裕ができ、ベルジャー500の洗浄装置100への脱着を容易にすることができる。上記吐出圧、および距離の調整は手動であってもよく、自動でなされてもよい。
【0026】
ノズルフレーム111は、ベルジャー500の高さ方向に延伸し、ベルジャー500の上部にむかって凸となる形状を有する複数の部材からなる。また、ベルジャー500の高さ方向と平行に並べられた当該複数の部材を1組としたとき、ノズルフレーム111は、2組から構成されるものであってもよい。その場合、2つの複数の板部材の組は頂点503bを通るベルジャー500の軸に対して、線対称となるように、後述するメインシャフト140にノズルフレーム121を介して接続されている。
【0027】
ノズルフレーム111は、ノズル112が上部湾曲内壁面503aに近づいた状態で、ノズル112と上部湾曲内壁面503aとの距離が一定になるように、メインシャフト140の回転にあわせて回転(移動)する。言い換えると、ノズルフレーム111は、駆動部160により回転するメインシャフト140の回転にあわせて回転する。ノズルフレーム111は、例えば、正転したのち反転する往復回転を行ってもよい。なお、ノズルフレーム111の移動は、回転のみであり、上下方向には移動させない。
【0028】
ノズルヘッダ113は、後述する供給ユニット170からノズルホース114・174により送液された洗浄水を、各ノズル112に分配する。
【0029】
ノズルホース114は高圧ホースであり、可撓性を有する。本実施形態では、上述したように、メインシャフト140からノズル112の間の洗浄液流路(ノズルホース114)は可撓性を有する。そのため、洗浄液流路は固定配管よりも急激な曲がりを避けることができる。その結果、メインシャフト140からノズル112までの洗浄液流路のエロージョンによるトラブルを防止することができる。また、可撓性を有することによりノズル112と壁面との距離調整を容易にすることができる。
【0030】
(第2洗浄ユニット)
第2洗浄ユニット120は、側部直胴内壁面504aを洗浄する。第2洗浄ユニット120は、ノズルフレーム121、ノズル122、ノズルヘッダ123、およびノズルホース124を備えている。
【0031】
ノズル122は、複数、側部直胴内壁面504aの高さ方向の形状に沿ってノズルフレーム121に固定されている。複数のノズル122は、固定されているベルジャー500の高さ方向の位置が異なっていればよく、例えば、側部直胴内壁面504aの高さ方向の形状に沿って一列に配置されていてもよい。ノズル122は、洗浄液によるノズル122のエロージョンが500μm/時間以下となる吐出圧で洗浄液を吐出する。
【0032】
また、ノズル122と側部直胴内壁面504aとの距離は、洗浄液の側部直胴内壁面504aへの衝突圧が側部直胴内壁面504aの汚れを除去できる圧力を確保するように、一定に調整される。上述したように、上記衝突圧は10MPa以上、上記距離は150~250mmとすることが望ましい。上記吐出圧、および距離の調整は手動であってもよく、自動でなされてもよい。
【0033】
ノズルフレーム121は、ベルジャー500の高さ方向と平行に延伸する4本の棒状部材を互いに固定させた部材である。ノズルフレーム121は、後述するメインシャフト140に接続されており、駆動部160により回転するメインシャフト140の回転、および上下方向の移動に合わせて移動(回転、および上下方向に移動)する。ノズルフレーム121は、ノズル122が側部直胴内壁面504aに近づいた状態で、ノズル122と側部直胴内壁面504aとの距離が一定になるように、メインシャフト140の回転、および上下方向の移動に合わせて移動(回転、および上下方向に移動)する。
【0034】
ノズルヘッダ123は、ノズルフレーム121に取り付けられており、後述する供給ユニット170から送液された洗浄水を、ノズル122に分配する。
【0035】
本実施形態において、ノズル122は、側部直胴内壁面504aの高さ方向の全範囲にわたって設けられておらず、側部直胴内壁面504aの高さ方向の全範囲の一部の範囲に設けられている。そのため、第2洗浄ユニット120は、ノズルフレーム121を回転、および上下方向に移動させることにより側部直胴内壁面504aの全域を洗浄する。
【0036】
なお、ノズルフレーム121を上下方向に移動させる場合、上下に移動させる距離は、例えば500mmと設定することができる。また、ノズルフレーム121に間隔をあけてノズル122を設けることにより、上下方向に移動させる距離を小さくすることができる。さらに、ノズルフレーム121の上下方向への移動は、回転と同時に螺旋状(スパイラル状)に移動してもよいし、回転後に上下方向に移動するなど別々に移動してもよい。ノズルフレーム121の上下方向への移動は、例えば、上限を原点として下降するものであってもよい。その場合、ノズルフレーム121の下降速度は回転数により決まる。
【0037】
ノズルホース124は、後述する供給ユニット170からの洗浄水を、ノズル122に送液する。ノズルホース124は高圧ホース、かつ可撓性を有するものであることが望ましい。
【0038】
本実施形態において、供給ユニット170からノズル112・122の吐出口に至るまでの洗浄液流路における洗浄液の流速は、洗浄液による洗浄液流路の内壁のエロージョンが1μm/時間以下となるように制御される。具体的には、上記流速は2.0m/s以下とすることが好ましい。これにより、洗浄液流路の摩耗によるトラブルを防止することができる。上記制御は、手動で行われるものであってもよく、自動で行われるものであってもよい。
【0039】
さらに、本実施形態では、ノズル112・122として、3Dノズル(ノズル112・122自体が回転するノズル)は採用せず、ノズル112・122はそれぞれノズルフレーム111・121に固定されている。吐出口を固定されたノズル112・122は、ノズルフレーム111・121が移動することにより内壁面502を洗浄する。3Dノズルは回転継手には摺動部があり、エロージョンの原因となる。3Dノズルを用いると、ノズルのエロージョンが2000μm/時間以上となり、また、3Dノズルが自転するためのギヤ機構部のエロージョンで回転不良となり、内壁面502を一度も洗浄することができない場合がある。それに対して、本実施形態では、ノズル112・122の摺動部をなくし、ノズル112・122のエロージョンを防ぐことで、砥粒が含む洗浄液での洗浄を可能にした。
【0040】
(メインシャフト)
メインシャフト140(回転部)は、ノズルフレーム111・121に接続されており、後述する駆動部160により、回転、および上下方向に移動する。これにより、ノズルフレーム111・121を介してノズル112・122の洗浄位置を移動させる。
【0041】
メインシャフト140は中空となっており、内部には、ノズル112・122への洗浄液流路である複数のノズルホース174(ノズルホース114・124)が収められている。メインシャフト140は、シャフトカバー(図示なし)を備えている。シャフトカバーにより、メインシャフト140表面への洗浄水の接触や、内壁面502の洗浄中にベルジャー500の内部から駆動部160に洗浄液が流入するのを防ぐことができる。また、シャフトカバーは上下に分かれており、シャフトカバーの上部は下部の一部に被さるように形成されている。当該上部および下部の間にはグランドパッキン(図示なし)が設けられており、メインシャフト140内へ洗浄液が流入するのを防いでいる。
【0042】
また、洗浄装置100は、洗浄後、熱風等をベルジャー500内部に送風し、ベルジャー500内部を乾燥させる乾燥ノズルを備えていてもよい。
【0043】
(駆動部)
駆動部160(駆動機構)は、回転・上下駆動力を発生させ、メインシャフト140を回転、および上下方向に移動させる。具体的には、第1洗浄ユニット110のノズル112を上部湾曲内壁面503aに近づけた状態、かつ、第2洗浄ユニット120のノズル122を側部直胴内壁面504aに近づけた状態を考える。駆動部160は、これらの状態で、第1洗浄ユニット110および第2洗浄ユニット120をベルジャー500に対して相対的に移動させる。
【0044】
駆動部160は昇降用モータ161(第2駆動部)、および回転用モータ162(第1駆動部、および第2駆動部)を備えている。駆動部160は、ベルジャー500の内部(洗浄空間)ではなく外部、つまり洗浄雰囲気外に設置されている。そのため、駆動部160の洗浄液によるエロージョンを防ぐことができる。
【0045】
昇降用モータ161は、減速機を介して、メインシャフト140を上下方向に移動させる。回転用モータ162は、減速機・ローラーチェンにより、メインシャフト140を回転移動させる。
【0046】
(供給ユニット)
供給ユニット170は、高圧ポンプ200により洗浄液タンク300から送液された洗浄水を、ノズルヘッダ113・123を介してノズル112・122に分給する。供給ユニット170は、図2に示すように、バルブヘッダサポート171、バルブヘッダ172、高圧バルブ173、およびノズルホース174を備えている。
【0047】
バルブヘッダサポート171は、水平方向に回転可能な台であり、メインシャフト140の回転に追従し回転する。バルブヘッダサポート171上にはバルブヘッダ172が設置されている。バルブヘッダ172は、バルブヘッダ172に取付けられた高圧バルブ173を切替えることにより、所定のノズル112・122に洗浄水を供給する。
【0048】
ノズルホース174(洗浄液流路)は、可撓性を有する。ノズルホース174が可撓性を有することにより、メインシャフト140と高圧バルブ173との間に発生する回転や上下方向への移動を吸収することができる。その結果、メインシャフト140と高圧バルブ173との間に摺動部がある継手を使用することなく、供給ユニット170からメインシャフト140までの洗浄液流路の摩耗によるトラブルを防止することができる。
【0049】
(変形例)
第2洗浄ユニット120には、ノズル122が、側部直胴内壁面504aの周方向の形状に沿って環状に配置されていてもよい。また、その場合、ノズルフレーム121は、回転せず、ノズル122が側部直胴内壁面504aに近づいた状態で、ノズル122と側部直胴内壁面504aとの距離が一定になるように、上下方向に移動する。上記上下方向の移動は、昇降用モータ161(第3駆動部)により行われる。
【0050】
また、ノズル122は、側部直胴内壁面504aの高さ方向の形状に沿って配置され、さらに周方向の形状に沿って環状に配置されているものであってもよい。
【0051】
(洗浄方法)
本実施形態の洗浄方法について、図3に基づいて説明する。図3は、洗浄装置100の洗浄方法を説明するフロー図である。具体的には、図3の(a)は、洗浄方法のフロー図であり、図3の(b)は高圧バルブ173の切り換えのフロー図である。
【0052】
まず、図3の(a)に示すように、プレ洗浄として純水によりベルジャー内部を水洗する。そして砥粒を含む洗浄液にて洗浄を開始する。洗浄は所定の高圧バルブ173(以降、高圧バルブV1と表記する)を一つ開き、駆動部160によりメインシャフト140が回転、または上下方向に移動することにより洗浄を行う。当該高圧バルブV1の洗浄範囲の洗浄が終了すると、次の高圧バルブ173(以降、高圧バルブV2と表記する)を開き洗浄を行う。全てのバルブによる洗浄が終了した後、純水によりリンスを行い、乾燥ノズルにより乾燥を行う。
【0053】
また、図3の(b)に示すように、所定の高圧バルブV1による洗浄が終了した後、高圧バルブV1を純水で洗浄し、高圧バルブV1に残留している砥粒を除去する。洗浄後、高圧バルブV2を開き、高圧バルブV1を閉めるまで、高圧ポンプ200を停止する。その後、高圧バルブV2に接続されているノズル112・122がカバーする洗浄範囲を洗浄する。
【0054】
高圧ポンプ200を停止させた後、高圧バルブV1を閉める前に次の高圧バルブV2を開けることにより、洗浄経路内を締め切らず、圧力が逃げられるようにすることができる。これにより、高圧バルブ173の切り替え時のバルブ開閉のトラブルを防止することができる。また、高圧バルブの開閉時に流路が絞られることにより流速が早くなることによるエロージョンを防ぐことができる。
【0055】
〔実施形態2〕
実施形態2について、図4に基づいて説明する。図4は、本発明の実施形態2に係る洗浄装置100Aの概略構成の一部を示す図である。洗浄装置100Aは、洗浄装置100と比較し、駆動部160に代えて駆動部160aを備える点が異なり、その他の構成は同様である。
【0056】
駆動部160aは、駆動部160と比較し、ベルジャー駆動部180、および昇降用モータ161を備える点が異なり、その他の構成は同様である。第1洗浄ユニット110のノズル112を上部湾曲内壁面503aに近づけた状態、および、第2洗浄ユニット120のノズル122を上記側部直胴内壁面504aに近づけた状態のうちの少なくとも一方の状態を考える。ベルジャー駆動部180は、この少なくとも一方の状態で、ベルジャー500を移動(回転)させる。ベルジャー駆動部180は、図4に示すように、回転テーブル181、ベルジャー回転用モータ182、テーブル駆動用タイヤ183、および、回転用ベアリング184を備えている。ベルジャー駆動部180は、洗浄雰囲気外に設置されている。
【0057】
回転テーブル181は設置面上に水平方向に回転可能に設けられている。回転テーブル181上にはベルジャー500が設置され、回転テーブル181が回転するのに伴い、ベルジャー500が回転する。回転テーブル181と設置面との間には、回転テーブル181の回転をスムーズにするための回転用ベアリング184が設けられている。
【0058】
ベルジャー回転用モータ182は、減速機・ローラーチェンによりテーブル駆動用タイヤ183の回転を介して、ベルジャー回転用モータ182の回転を回転テーブル181に伝えられることによりベルジャー500を回転させる。
【0059】
駆動部160a(駆動機構)は、昇降用モータ161(第2駆動部)を備えている。言い換えると、第1洗浄ユニット110、および第2洗浄ユニット120は回転しない。ただし、第2洗浄ユニット120の洗浄時は上下方向へのみ移動し(図4の両矢印)、洗浄を行う。
【0060】
つまり、洗浄装置100Aでは、ベルジャー500自体が回転し(図4の白抜き矢印)、第2洗浄ユニット120が上下方向に移動することにより内壁面502の洗浄を行う。これにより、図2に示すような供給ユニットの回転を吸収するための回転可能なバルブヘッダ172等が不要になる。設備的に上記機構を設置するためのスペースが確保できない場合は有効である。
【0061】
なお、第2洗浄ユニット120を上下方向に移動させずに、ベルジャー500を上下方向に移動させることにより内壁面502の洗浄を行ってもよい。
【0062】
(エロージョン対策まとめ)
本実施形態における、ノズル、および洗浄液流路エロージョンを防止するための対策について下記にまとめる。(1)ノズル112・122と内壁面502との距離を調整することで、ノズル112・122の吐出圧を抑えつつ、洗浄液の内壁面502への衝突圧を確保する。(2)ノズル112・122、および洗浄液流路に摺動部を設けない。(3)洗浄液流路の流速を抑える。(4)洗浄液流路において、極力急激な曲がりを避ける。(5)ノズル112・122の内挿品をタングステンカーバイド製以上の硬度を有する材質とする。(6)高圧バルブ173の摩耗対策として開閉間に純水洗浄を行い、配管およびバルブ内に残留している砥粒の洗浄を行う。(7)高圧バルブ173の摩耗対策、および開閉による急激な圧力変動によるトラブル防止として開閉時は高圧ポンプ200を停止する。(8)駆動部160は全て、ベルジャー500の外付けとする。
【0063】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0064】
(まとめ)
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る洗浄方法は、ノズルから砥粒を含む洗浄液を吐出し、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内壁面に衝突させて、上記内壁面を洗浄する洗浄方法であって、上記ノズルは、上記洗浄液による上記ノズルのエロージョンが500μm/時間以下となる吐出圧で上記洗浄液を吐出し、上記洗浄液の上記内壁面への衝突圧が上記内壁面の汚れを除去できる圧力を確保するように、上記ノズルと上記内壁面との距離を調整することを特徴とする。
【0065】
上記構成によれば、洗浄液に砥粒が含まれているため、洗浄液の物理的な除去能力が高くなり、確実にベルジャーの内壁面の付着物を除去することができる。
【0066】
また、洗浄液の内壁面への衝突圧を確保するように、ノズルと内壁面との距離が調整される。そのため、ノズルのエロージョンが500μm/時間以下となる吐出圧で洗浄液をノズルから吐出しても、ノズルを内壁面近傍に配置することにより洗浄液の内壁面への衝突圧を確保することができる。その結果、洗浄液を吐出するノズルのエロージョンを防止ししつつ、ベルジャーの内壁面の付着物を確実に除去ことができる。
【0067】
また、本発明の一態様に係る洗浄方法では、上記衝突圧は10MPa以上とすることが好ましい。
【0068】
上記構成によれば、砥粒を含む洗浄液で内壁面の汚れを除去する衝突圧を確保することができる。
【0069】
また、本発明の一態様に係る洗浄方法では、上記ノズルの吐出口に至るまでの洗浄液流路における上記洗浄液の流速を、上記洗浄液による上記洗浄液流路の内壁のエロージョンが1μm/時間以下となるように制御することが好ましい。
【0070】
上記構成によれば、洗浄液流路においてもエロージョンを防止することができる。
【0071】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る洗浄装置は、ノズルから砥粒を含む洗浄液を吐出し、多結晶シリコンの製造に用いられるベルジャーの内壁面に衝突させて、上記内壁面を洗浄する洗浄装置であって、上記ベルジャーの上部湾曲内壁面の頂点を通る弧の少なくとも半分の形状に沿って配置されている複数の上記ノズルを有する第1洗浄ユニットと、上記ベルジャーの側部直胴内壁面の高さ方向の形状に沿って配置されている他の複数の上記ノズルを有する第2洗浄ユニットと、を備え、上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態、かつ、第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態で、上記第1洗浄ユニットおよび上記第2洗浄ユニットを上記ベルジャーに対して相対的に移動させる駆動機構を備えていることを特徴とする。
【0072】
上記構成によれば、洗浄液に砥粒が含まれているため、洗浄液の物理的な除去能力が高くなり、確実にベルジャーの内壁面の付着物を除去することができる。
【0073】
また、(1)複数のノズルを上部湾曲内壁面に近づけた状態、かつ(2)他の複数のノズルを側部直胴内壁面に近づけた状態、で、駆動機構により、第1洗浄ユニット、および第2洗浄ユニットがベルジャーに対して相対的に移動する。これにより、ノズルと内壁面とを近づけたまま、内壁面全体を洗浄できるため、洗浄液の吐出圧を抑えたままであっても、内壁面への洗浄液の衝突圧を確保できる。そのため、洗浄液を吐出するノズルのエロージョンを防止ししつつ、ベルジャーの内壁面の付着物を確実に除去することができる。
【0074】
また、本発明の一態様に係る洗浄装置では、上記駆動機構は、上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態で、上記第1洗浄ユニットを移動させる第1駆動部と、上記第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態で、上記第2洗浄ユニットを移動させる第2駆動部と、を備えていることが好ましい。
【0075】
上記構成によれば、第1駆動部および第2駆動部により、第1洗浄ユニットおよび第2洗浄ユニットをベルジャーに対して相対的に移動させることができる。
【0076】
また、本発明の一態様に係る洗浄装置では、上記第2洗浄ユニットは、上記ベルジャーの側部直胴内壁面の周方向の形状に沿って環状に配置されているさらに他の複数の上記ノズルを有し、上記駆動機構は、上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態で、上記第1洗浄ユニットを移動させる第1駆動部と、上記第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態で、上記第2洗浄ユニットを移動させる第3駆動部と、を備えていることが好ましい。
【0077】
上記構成によれば、第2洗浄ユニットは側部直胴内壁面の周方向の形状に沿って環状に配置されているノズルを有する。また、(1)第1駆動部により、複数のノズルを内壁面に近づけた状態で第1洗浄ユニットがベルジャー内を移動する。また、(2)第3駆動部により、さらに他の複数のノズルを内壁面に近づけた状態で第2洗浄ユニットがベルジャー内を移動する。この(1)および(2)の動作によりベルジャーの内壁面が洗浄される。これにより、ノズルと内壁面とを近づけたまま、内壁面全体の洗浄が行われるため、洗浄液の吐出圧を抑えたままであっても、内壁面への洗浄液の衝突圧を確保することができる。
【0078】
また、本発明の一態様に係る洗浄装置では、上記駆動機構は、洗浄空間の外部に設けられていることが好ましい。
【0079】
上記構成によれば、駆動機構が洗浄空間の外部に設けられているため、駆動部の洗浄液によるエロージョンを防止することができる。
【0080】
また、本発明の一態様に係る洗浄装置では、当該洗浄装置の回転部からノズルまでの洗浄液流路は、可撓性を有することが好ましい。
【0081】
上記構成によれば、洗浄空間と駆動部の間に発生する回転と上下方向の移動を可撓性により吸収することができる。その結果、回転と上下方向の移動のために摺動部がある継手を使用する必要がなくなり、洗浄液供給ユニットからノズルまでの洗浄液流路の摩耗によるトラブルを防止することができる。
【0082】
また、本発明の一態様に係る洗浄装置では、上記駆動機構は、上記第1洗浄ユニットの上記ノズルを上記上部湾曲内壁面に近づけた状態、および、第2洗浄ユニットの上記ノズルを上記側部直胴内壁面に近づけた状態のうちの少なくとも一方の状態で、上記ベルジャーを移動させるベルジャー駆動部を備えていることが好ましい。
【0083】
上記構成によれば、(1)複数のノズルを内壁面に近づけた状態、および、(2)他の複数のノズルを内壁面に近づけた状態のうちの少なくとも一方の状態で、ベルジャーが移動することによりベルジャーの内壁面が洗浄される。これにより、ノズルと内壁面とを近づけたまま、内壁面全体の洗浄が行われるため、洗浄液の吐出圧を抑えたままであっても、内壁面への洗浄液の衝突圧を確保することができる。
【符号の説明】
【0084】
100 洗浄装置
110 第1洗浄ユニット
120 第2洗浄ユニット
112・122 ノズル
114、124 ノズルホース(洗浄液流路)
140 メインシャフト(回転部)
160 駆動部(駆動機構)
161 昇降用モータ(第2駆動部、第3駆動部)
162 回転用モータ(第1駆動部、第2駆動部)
174 ノズルホース(洗浄液流路)
180 ベルジャー駆動部
500 ベルジャー
502 内壁面
503a 上部湾曲内壁面
504a 側部直胴内壁面
図1
図2
図3
図4