(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220427BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/18
B41J2/14 307
(21)【出願番号】P 2017053955
(22)【出願日】2017-03-21
【審査請求日】2020-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】小山内 進一郎
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106364164(CN,A)
【文献】特開2014-054828(JP,A)
【文献】特開2016-124191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0125175(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0047129(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
供給側共通液室と、
排出側共通液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記排出流路は、前記排出側共通液室と連通する排出側導出部と、前記排出側導出部に連通する少なくとも2つの排出側流体抵抗部を有し、
前記供給流路は、前記供給側共通液室と連通する供給側導入部と、前記供給側導入部に連通する少なくとも2つの供給側流体抵抗部を有し、
ノズル配列方向及び液体吐出方向に直交する方向において、前記供給側共通液室と前記排出側共通液室が前記ノズルに対して同じ側に配置され、
前記供
給側流体抵抗部よりも、前記排出側流体抵抗部は、ノズル配列方向及び液体吐出方向に直交する方向において長い
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
供給側共通液室と、
排出側共通液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記排出流路は、前記排出側共通液室と連通する少なくとも2つの排出側導出部と、それぞれの前記排出側導出部に連通する少なくとも2つの排出側流体抵抗部を有し、
前記供給流路は、前記供給側共通液室と連通する供給側導入部と、前記供給側導入部に連通する少なくとも2つの供給側流体抵抗部を有し、
ノズル配列方向及び液体吐出方向に直交する方向において、前記供給側共通液室と前記排出側共通液室が前記ノズルに対して同じ側に配置され、
前記供
給側流体抵抗部よりも、前記排出側流体抵抗部は、ノズル配列方向及び液体吐出方向に直交する方向において長い
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記2つの排出側流体抵抗部のそれぞれは前記ノズルが形成された面と平行な異なる面内に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記2つの排出側流体抵抗部は前記ノズルが形成された面と平行な同一面内に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記2つの供給側流体抵抗部のぞれぞれは前記ノズルが形成された面と平行な異なる面内に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記2つの供給側流体抵抗部は前記ノズルが形成された面と平行な同一面内に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含むことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ユニット。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項7若しくは8に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして、個別液室に供給された液体の内の吐出されなかった液体を排出流路から排出側共通液室に戻し、液体を循環させることで、個別液室内に混入した気泡の排出性の向上及び液体の特性変化の抑制を図る循環型ヘッドが知られている。
【0003】
従来、液滴が吐出されるノズル、ノズルと連通する圧力室、及び圧力室の壁面を変位させる圧電素子を含んで構成される複数の液滴吐出素子と、複数の液滴吐出素子にそれぞれ供給路を介して連通する共通流路と、複数の液滴吐出素子にそれぞれ回収路を介して連通する共通循環路を備えるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
循環型ヘッドにおいては、常にヘッド内を液体が流れているために排出流路側の流体抵抗のバラツキによってノズル間、あるいは、ヘッド間で、吐出特性にバラツキが発生するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出特性のバラツキを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する個別液室と、
供給側共通液室と、
排出側共通液室と、
前記個別液室に連通して前記液体を供給する供給流路と、
前記個別液室に連通して前記液体を排出する排出流路と、を備え、
前記排出流路は、前記排出側共通液室と連通する排出側導出部と、前記排出側導出部に連通する少なくとも2つの排出側流体抵抗部を有し、
前記供給流路は、前記供給側共通液室と連通する供給側導入部と、前記供給側導入部に連通する少なくとも2つの供給側流体抵抗部を有し、
ノズル配列方向及び液体吐出方向に直交する方向において、前記供給側共通液室と前記排出側共通液室が前記ノズルに対して同じ側に配置され、
前記供給側流体抵抗部よりも、前記排出側流体抵抗部は、ノズル配列方向及び液体吐出方向に直交する方向において長い
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吐出特性のバラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。
【
図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【
図3】同ヘッドの流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面説明図である。
【
図4】比較例のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【
図5】同じく流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。
【
図6】比較例の1ノズル分の電気的等価回路の説明図である。
【
図7】比較例の複数のノズルが配列されたときの電気的等価回路の説明図である。
【
図8】
図7におけるメニスカス圧力に対応する電位VAの分布の説明図である。
【
図9】第1実施形態の1ノズル分の電気的等価回路の説明図である。
【
図10】第1実施形態の複数のノズルが配列されたときの電気的等価回路の説明図である。
【
図11】
図10におけるメニスカス圧力に対応する電位VAの分布の説明図である。
【
図12】本発明の第2実施形態のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【
図13】同じく流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【
図15】同じく流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。
【
図16】本発明の第4実施形態のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【
図17】本発明の第5実施形態の流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。
【
図18】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
【
図20】本発明に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
【
図21】本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
【
図22】本発明に係る液体を吐出する装置の他の例の概略説明図である。
【
図23】同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【
図24】同装置における液体循環システムの一例の説明に供するブロック説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に第1実施形態係る液体吐出ヘッドについて
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、
図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。
【0011】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材20と、カバー29を備えている。なお、流路板2と振動板部材3で構成される部分を流路部材40という。
【0012】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。
【0013】
流路板2は、ノズル4にノズル連通路5を介して通じる個別液室6、個別液室6に連通する供給流路を構成する2つの供給側流体抵抗部7A,7B(以下、区別しないときは「供給側流体抵抗部7」という。他の部材も同様とする)、各供給側流体抵抗部7に通じる供給側導入部8を形成している。ここでは、2つの供給側流体抵抗部7A、7Bは異なる面内に配置されている。
【0014】
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を有する。ここでは、振動板部材3は3層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層、第3層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
【0015】
そして、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0016】
この圧電アクチュエータ11は、例えば、圧電部材に対してハーフカットダイシングによって溝加工して形成した所要数の柱状の圧電素子12を所定の間隔で有している。圧電素子12は振動板部材3の振動領域(振動板)30に形成した島状の厚肉部である凸部30aに接合している。
【0017】
共通液室部材20は、供給側共通液室10と排出側共通液室50を形成する。供給側共通液室10は供給ポート41に通じ、排出側共通液室50は排出ポート42に通じている(
図1)。
【0018】
供給側共通液室10は、フィルタ部材9を介して供給側導入部8に通じている。フィルタ部材9は、振動板部材3の第1層にて形成している。
【0019】
また、流路板2は、各個別液室6にノズル連通路5を介して連通する排出流路を構成する2つの排出側流体抵抗部57A、57Bと、2つの排出側導出部58A、58Bを形成している。2つの排出側流体抵抗部57A、57Bは異なる面内に配置されている。
【0020】
排出側導出部58はフィルタ部材59を介して排出側共通液室50に通じている。フィルタ部材59は、振動板部材3の第1層にて形成している。
【0021】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子12に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12が収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
【0022】
その後、圧電素子12に印加する電圧を上げて圧電素子12を積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0023】
このとき、本実施形態では、排出流路を構成する2つの排出側流体抵抗部57A、57Bを有しているので、1つの排出側流体抵抗部57を設けた場合に比べて、排出側流体抵抗部の製造上のバラツキによる吐出特性のバラツキを低減することができる。なお、この点の詳細については後述する。
【0024】
また、ノズル4から吐出されない液体はノズル4を通過して個別排出流路51から排出側共通液室50に排出され、排出側共通液室50から外部の循環経路を通じて供給側共通液室10に再度供給される。また、液体吐出を行っていないときも、供給側共通液室10から排出側共通液室50に流れ、更に外部の循環経路を通じて供給側共通液室10に再度供給される。
【0025】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0026】
次に、本実施形態における流路板の一例について
図3も参照して説明する。
図3は同流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面説明図である。
【0027】
流路板2は、
図3(a)ないし(h)に示すように、振動板部材3側から
図3(i)のノズル板1に向かって、8枚の板状部材2A~2Hを積層して構成している。
【0028】
板状部材2Aは、
図3(a)に示すように、個別液室6を形成する貫通溝部(溝形状の貫通穴の意味)6aと、供給側導入部8の一部を形成する2つの貫通溝部8aと、排出側導出部58の一部を形成する2つの貫通溝部58aが形成されている。
【0029】
板状部材2Bは、
図3(b)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5bと、流体抵抗部7Aと共に、供給側導入部8Aの一部及び流体抵抗部7Aと個別液室6との間の流路を形成する貫通溝部7bと、供給側導入部8Bの一部を形成する貫通溝部8bと、排出側導出部58の一部を形成する2つの貫通溝部58bが形成されている。
【0030】
板状部材2Cは、
図3(c)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5cと、流体抵抗部7Aと個別液室6との間の流路を形成する貫通溝部7cと、供給側導入部8Bの一部を形成する貫通穴部8cと、排出側導出部58の一部を形成する2つの貫通溝部58cが形成されている。
【0031】
板状部材2Dは、
図3(d)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5dと、流体抵抗部7Bと共に、供給側導入部8Bの一部及び流体抵抗部7Bと個別液室6との間の流路を形成する貫通溝部7dと、排出側導出部58の一部を形成する2つの貫通溝部58dが形成されている。
【0032】
板状部材2Eは、
図3(e)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5eと、排出側導出部58の一部を形成する2つの貫通溝部58eが形成されている。
【0033】
板状部材2Fは、
図3(f)に示すように、ノズル連通路5の一部及び排出側流体抵抗部57Bと共に、排出側導出部58Aの一部を形成する貫通溝部57fと、排出側導出部58Bの一部を形成する貫通溝部58fが形成されている。
【0034】
板状部材2Gは、
図3(g)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5gと、排出側導出部58Bの一部を形成する貫通溝部58gが形成されている。
【0035】
板状部材2Hは、
図3(h)に示すように、ノズル連通路5の一部及び排出側流体抵抗部57Bと共に、排出側導出部58Aの一部を形成する貫通溝部57hが形成されている。
【0036】
次に、複数の排出側流体抵抗部を備えることによる流体抵抗値のバラツキの低減について説明する。
【0037】
まず、比較例について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は同比較例のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、
図5は同じく流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。
【0038】
この比較例は、1つの供給側導入部8と、1つの供給側流体抵抗部7と、1つの排出側流体抵抗部57と、1つの排出側導入部58とを有する構成としている。
【0039】
この比較例では、
図5に示すように、4枚の板状部材2Aないし2Dで流路板2を構成している。
【0040】
そして、板状部材2Aは、
図5(a)に示すように、個別液室6を形成する貫通溝部6aと、供給側導入部8の一部を形成する貫通溝部8aと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58aが形成されている。
【0041】
板状部材2Bは、
図5(b)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5bと、供給側流体抵抗部7を形成する貫通溝部7bと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58bが形成されている。
【0042】
板状部材2Cは、
図5(c)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5cと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58cが形成されている。
【0043】
板状部材2Dは、
図5(d)に示すように、ノズル連通路5の一部、排出側流体抵抗部57、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部57dが形成されている。
【0044】
ここで、1つの個別液室6に圧力を与えたときの電気的等価回路は
図6に示すようになる。つまり、供給側共通液室10の圧力をV1、供給側導入部8及び供給側流体抵抗部7の合成流体抵抗値をR1、排出側流体抵抗部57及び排出側導出部58の合成流体艇庫値をR2、排出側共通液室50の圧力をV2とするとき、ノズル4の部分にかかる圧力は節点Aの電位VAに相当する。
【0045】
電位VAは、(1)式で求められる。
【0046】
【0047】
そして、ヘッドにおいては、複数のノズル4が配列されるので、電気的等価回路は
図7に示すようになる。
【0048】
このとき、節点Anに係る電位VAは、製造バラツキによって、
図8に示すように、分布を持ってしまうことになる。電位VAはノズル4にかかる圧力、つまりノズル孔に張るメニスカス状態を表しており、電位VAが分布を持つということは、個々のノズル4のメニスカス状態が分布を持つことを意味している。
【0049】
このように、個々のノズルでメニスカス状態が異なると、液滴の吐出速度、吐出体積(吐出特性)の差(バラツキ)につながり、結果として、画像品質が低下してしまうことになる。
【0050】
これに対し、本実施形態のように、1つのノズル4について、2つの供給側導入部8、2つの供給側流体抵抗部7、2つの排出側流体抵抗部57、2つの排出側導出部58を備える構成の電気的等価回路は
図9に示すようになる。つまり、節点Aに対して流体抵抗がブリッジ接続された回路となる。
【0051】
そして、ヘッドにおいて、複数のノズル4を備えるので、電気的等価回路は
図10に示すようになる。
【0052】
このとき、節点Anに係る電位VAは、製造バラツキによって、分布を持ってしまうが、
図11に示すように、破線で示す比較例の分布に対して、本実施形態の方の分布が小さく(狭く)なる。
【0053】
節点Anの電位分布が小さくなるということは、メニスカス圧力の分布が小さくなるということである。これにより、吐出される液滴の体積・速度のバラツキが小さくなり、良好な画像品質が得られる。
【0054】
次に、本発明の第2実施形態について
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は同実施形態のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、
図13は同じく流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。
【0055】
本実施形態では、2つの供給側流体抵抗部7A、7Bに共通の1つ供給側導入部8を配置し、2つの排出側流体抵抗部57A、57Bに共通の1つ排出側導出部58を配置している。
【0056】
ここでも、流路板2は、
図13(a)ないし(h)に示すように、振動板部材3側から
図13(i)のノズル板1に向かって、8枚の板状部材2A~2Hを積層して構成している。
【0057】
板状部材2Aは、
図13(a)に示すように、個別液室6を形成する貫通溝部6aと、供給側導入部8の一部を形成する貫通溝部8aと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58aが形成されている。
【0058】
板状部材2Bは、
図13(b)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5bと、流体抵抗部7Aと共に、供給側導入部8の一部及び流体抵抗部7Aと個別液室6との間の流路を形成する貫通溝部7bと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58bが形成されている。
【0059】
板状部材2Cは、
図13(c)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5cと、流体抵抗部7Aと個別液室6との間の流路を形成する貫通溝部7cと、供給側導入部8の一部を形成する貫通穴部8cと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58cが形成されている。
【0060】
板状部材2Dは、
図13(d)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5dと、流体抵抗部7Bと共に、供給側導入部8の一部及び流体抵抗部7Bと個別液室6との間の流路を形成する貫通溝部7dと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58dが形成されている。
【0061】
板状部材2Eは、
図13(e)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5eと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58eが形成されている。
【0062】
板状部材2Fは、
図13(f)に示すように、ノズル連通路5の一部及び排出側流体抵抗部57Bと共に、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部57fが形成されている。
【0063】
板状部材2Gは、
図13(g)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5gと、排出側導出部58Bの一部を形成する貫通溝部58gが形成されている。
【0064】
板状部材2Hは、
図13(h)に示すように、ノズル連通路5の一部及び排出側流体抵抗部57Bと共に、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部57hが形成されている。
【0065】
本実施形態では、排出側導出部58が2つの排出側流体抵抗部57A、57Bに共通であることにより、排出側導出部58が対向するフィルタ部材59のフィルタ面積が大きくなり、気泡排出性が向上する。
【0066】
次に、本発明の第3実施形態について
図14及び
図15を参照して説明する。
図14は同実施形態のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、
図15は同じく流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。
【0067】
本実施形態では、2つの供給側流体抵抗部7A、7Bを同じ面内に配置し、同様に、2つの排出側流体抵抗部57A、57Bを同じ面内に配置している。したがって、2つの供給側流体抵抗部7A、7Bに共通の1つ供給側導入部8を配置し、2つの排出側流体抵抗部57A、57Bに共通の1つ排出側導出部58を配置する。
【0068】
ここでは、流路板2は、
図15(a)ないし(e)に示すように、振動板部材3側から
図15(f)のノズル板1に向かって、5枚の板状部材2A~2Eを積層して構成している。
【0069】
板状部材2Aは、
図15(a)に示すように、個別液室6を形成する貫通溝部6aと、供給側導入部8の一部を形成する貫通溝部8aと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58aが形成されている。
【0070】
板状部材2Bは、
図15(b)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5bと、2つの供給側流体抵抗部7A、7Bと共に、供給側導入部8の一部及び2つの供給側流体抵抗部7A、7Bと個別液室6との間の流路を形成する2つの貫通溝部7bと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58bが形成されている。2つの供給側流体抵抗部7A、7Bを形成する2つの貫通溝部7b、7bは同じ面内に配置されている。
【0071】
板状部材2Cは、
図15(c)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5cと、排出側導出部58の一部を形成する貫通溝部58cが形成されている。
【0072】
板状部材2Dは、
図15(d)に示すように、ノズル連通路5の一部、2つの排出側流体抵抗部57A、57B、排出側導出部58の一部を形成する2つの貫通溝部57dが同じ面内に形成されている。
【0073】
板状部材2Eは、
図15(e)に示すように、ノズル連通路5の一部を形成する貫通溝部5eが形成されている。
【0074】
本実施形態では、複数の排出側流体抵抗部57A、57Bを同じ面内に配置する(並置する)ことで、厚み(高さ)を低くすることができる。排出側流体抵抗部57A、57Bに共通する排出側導出部58が対向するフィルタ部材59のフィルタ面積が大きくなり、気泡排出性が向上する。
【0075】
次に、本発明の第4実施形態について
図16を参照して説明する。
図16は同実施形態のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【0076】
本実施形態では、前記第1実施形態において、供給側を1つの供給側流体抵抗部7とし、排出側のみを2つの排出側流体抵抗部57A、57Bとしている。
【0077】
排出側流体抵抗部を複数配置するだけでも、前記
図10の電気的等価回路における排出側がブリッジ配置になることは変わらないので、その分メニスカス圧力の分布を小さくすることができ、吐出特性のバラツキを低減できる。
【0078】
次に、本発明の第5実施形態について
図17を参照して説明する。
図17は同実施形態の流路板及びノズル板の1ノズル分の分解平面図である。なお、同実施形態のノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図は
図14と同じであるので省略する。
【0079】
本実施形態は、前記第3実施形態において、供給側を1つの供給側流体抵抗部7とし、排出側を2つの排出側流体抵抗部57A、57Bとしている。
【0080】
このようにしても、前記第4実施形態と同様に、メニスカス圧力の分布を小さくすることができ、吐出特性のバラツキを低減できる。
【0081】
なお、上記各実施形態において、排出側流体抵抗部、供給側流体抵抗部は、1つの個別液室について3つ以上とすることもできる。
【0082】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図18及び
図19を参照して説明する。
図18は同装置の要部平面説明図、
図19は同装置の要部側面説明図である。
【0083】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0084】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0085】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0086】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0087】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0088】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0089】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0090】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0091】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0092】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0093】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0094】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0095】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0096】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図20を参照して説明する。
図2は同ユニットの要部平面説明図である。
【0097】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0098】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0099】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図21を参照して説明する。
図21は同ユニットの正面説明図である。
【0100】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0101】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0102】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の他の例について
図22及び
図23を参照して説明する。
図22は同装置の概略説明図、
図23は同装置のヘッドユニットの平面説明図である。
【0103】
この装置は、連続媒体510を搬入する搬入手段501と、搬入手段501から搬入された連続媒体510を印刷手段505に案内搬送する案内搬送手段503と、連続媒体510に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段505と、連続媒体510を乾燥する乾燥手段507と、連続媒体510を排出する排出手段509などを備えている。
【0104】
連続媒体510は搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、排出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、排出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。
【0105】
この連続媒体510は、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550及びヘッドユニット555に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が形成され、ヘッドユニット55から吐出される処理液で後処理が行われる。
【0106】
ここで、ヘッドユニット550には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ551K、551C、551M、551Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドアレイ551」という。)が配置されている。
【0107】
各ヘッドアレイ551は、液体吐出手段であり、それぞれ、搬送される連続媒体510に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0108】
ヘッドアレイ551は、本発明に係る複数の液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)1000をベース部材552上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0109】
次に、この装置における液体循環システムの一例について
図24を参照して説明する。
図24は同システムの説明に供するブロック説明図である。
【0110】
液体循環システム630は、メインタンク602、ヘッド1000、供給タンク631、循環タンク632、コンプレッサ633、真空ポンプ634、第1送液ポンプ635、第2送液ポンプ636、供給側圧力センサ637、循環側圧力センサ638、レギュレータ(R)639a,639bなどで構成されている。
【0111】
供給側圧力センサ637は、供給タンク631とヘッド1000との間であって、ヘッド1000の供給ポート41(
図1参照)に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサ638は、ヘッド1000と循環タンク632との間であって、ヘッド1000の排出ポート42(
図1参照)に繋がった排出流路側に接続されている。
【0112】
循環タンク632の一方は、第1送液ポンプ635を介して供給タンク631と接続されており、循環タンク632の他方は第2送液ポンプ636を介してメインタンク602と接続されている。
【0113】
これにより、供給タンク631から供給ポート41を通ってヘッド1000内に液体が流入し、排出ポート42から排出されて循環タンク632へ排出される。そして、さらに第1送液ポンプ635によって循環タンク632から供給タンク631へ液体が送られることによって液体が循環する。
【0114】
また、供給タンク631にはコンプレッサ633がつなげられており、供給側圧力センサ637で所定の正圧が検知されるように制御される。一方、循環タンク632には真空ポンプ634がつなげられており、循環側圧力センサ638で所定の負圧が検知されるよう制御される。
【0115】
これにより、ヘッド1000内を通って液体を循環させつつ、メニスカスの負圧を一定に保つことができる。
【0116】
また、ヘッド1000のノズル4から液体を吐出すると、供給タンク631及び循環タンク632内の液体量が減少していく。そのため、適宜、第2送液ポンプ636を用いて、メインタンク602から循環タンク632に液体を補充する。メインタンク602から循環タンク632への液体補充のタイミングは、循環タンク632内の液体の液面高さが所定高さよりも下がったときに液体補充を行うなど、循環タンク632内に設けた液面センサなどの検知結果によって制御することができる。
【0117】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0118】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0119】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0120】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0121】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0122】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0123】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0124】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0125】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0126】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0127】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0128】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0129】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0130】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0131】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0132】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0133】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0134】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0135】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0136】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板
4 ノズル
5 ノズル連通路
6 個別液室
7、7A、7B 供給側流体抵抗部
8、8A、8B 供給側導入部
10 供給側共通液室
11 圧電アクチュエータ
20 共通液室部材(フレーム部材)
50 排出側共通液室
57、57A、57B 排出側流体抵抗部
58、58A、58B 排出側導出部
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
630 液体循環システム
1000 液体吐出ヘッド