(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 9/14 20060101AFI20220428BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220428BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
B65H9/14
G03G15/00 445
B65H5/06 J
(21)【出願番号】P 2018050382
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】原口 陽介
(72)【発明者】
【氏名】浅見 真治
(72)【発明者】
【氏名】古橋 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】星野 智道
(72)【発明者】
【氏名】米山 史晴
(72)【発明者】
【氏名】國枝 晶
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】日高 信
(72)【発明者】
【氏名】坂野 広樹
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-101938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0119435(US,A1)
【文献】特開2005-060106(JP,A)
【文献】特開2012-140246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0146280(US,A1)
【文献】特開2000-327208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00-9/20
G03G 15/00
B65H 5/06
B65H 5/02
B65H 5/22
B65H 13/00-15/02
B65H 29/12-29/24
B65H 31/00-31/40
B65H 37/04
B65H 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ローラ対と、
シート束を前記搬送ローラ対へ搬送するシート束搬送手段とを備え、
前記シート束の先端を前記搬送ローラ対に突き当てて前記シート束の先端揃えを行なうシート処理装置において、
前記シート束が前記搬送ローラ対に突き当たった後、前記搬送ローラ対を逆回転させて前記シート束の先端揃えを行なうことを特徴とするシート処理装置
。
【請求項2】
請求項
1に記載のシート処理装置において、
シートの種類に応じて前記シート束の先端揃えを行なうときの前記搬送ローラ対の逆回転量を変更することを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項
2に記載のシート処理装置において、
前記逆回転量は、前記シートの厚さが厚いほど多くすることを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記搬送ローラ対に前記シート束の先端を突き当てた後に、搬入部から搬入されてきた後続シートの先端を前記搬送ローラ対に突き当てて前記後続シートと、前記シート束との先端揃えを行なうことを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項
4に記載のシート処理装置において、
前記搬送ローラ対を逆回転させて前記後続シートと、前記シート束との先端揃えを行なうことを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項
4または5に記載のシート処理装置において、
前記後続シートと、前記シート束との先端揃えは、重ね合わせ枚数が設定枚数となる最後の後続シートとシート束との重ね合わせ時に行なうことを特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6いずれか一項に記載のシート処理装置において、
シートには、画像が形成されており、
前記搬送ローラ対の下流には、前記シート束に対して処理を行なう処理手段が配置されていることを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記シートに所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記シート処理装置として、請求項1乃至
7いずれか一項に記載のシート処理装置を用いたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送ローラ対と、シート束を搬送ローラ対へ搬送するシート束搬送手段とを備え、シート束の先端を搬送ローラ対に突き当ててシート束の先端揃えを行なうシート処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記シート処理装置として、次のような搬送制御を行って、設定枚数のシート束を形成するものが記載されている。すなわち、搬送ローラ対に先行シートと後続シートの先端を突き当てて重ね合わせシート束とする。次に、そのシート束の枚数が設定枚数未満のときは、このシート束を略ループ状に搬送し、搬送ローラ対へ戻し、先端を搬送ローラ対に突き当てて、シート束の先端揃えを行なって次のシートがくるのを待機する。この待機状態で、搬送されてきた次のシートの先端を搬送ローラ対に突き当て、待機していたシート束に重ね合わせる。そして、次のシートが重ね合わされたシート束が、設定枚数に達したときは、シート処理部へ搬送し、設定枚数以下のときは、略ループ状に搬送して搬送ローラ対へ戻す搬送制御である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シート束の先端を搬送ローラ対に突き当てるときに、シート束の硬さなどによってシート束の一部のシートがニップに入り込み、シート束の先端の揃え精度が悪化するおそれがあった。その結果、搬送ローラ対のニップに入り込んで、他のシートよりも先端が下流側に位置するシートの処理位置が、他のシートの処理位置と異なってしまうという不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送ローラ対と、シート束を前記搬送ローラ対へ搬送するシート束搬送手段とを備え、前記シート束の先端を前記搬送ローラ対に突き当てて前記シート束の先端揃えを行なうシート処理装置において、前記シート束が前記搬送ローラ対に突き当たった後、前記搬送ローラ対を逆回転させて前記シート束の先端揃えを行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シート束の先端を良好に揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図。
【
図2】実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置の概略構成図。
【
図3】実施形態に係る画像形成システムに備えられた後処理装置の概略構成図。
【
図4】実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置の概略構成図。
【
図5】本画像形成システムの折り処理装置の制御に関する制御回路の一例を示すブロック図。
【
図6】(a)~(f)は、本折り処理装置の重ね合わせ部によるシートの重ね合わせ動作について説明する図。
【
図7】(a)~(d)は、折り処理部によりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図9】シート束をレジストローラ対に突き当てる際の不具合について説明する図。
【
図10】本実施形態における重ね処理部Aによるシートの重ね合わせ動作について説明する図。
【
図12】後続シートのスキュー補正制御について説明する図。
【
図13】変形例1におけるシート束のスキュー補正制御について説明する図。
【
図14】後続のシートに対して、変形例1のスキュー補正制御を実施する場合の動作について説明する図。
【
図15】変形例2におけるシート束のスキュー補正制御について説明する図。
【
図16】変形例3におけるシート束のスキュー補正制御について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システム4のシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置3の後段に、シート処理装置である折り処理装置1と、後処理装置2とが順に設けられている。
【0009】
画像形成装置3は、入力された画像データまたは読み取った画像の画像データに基づいて、シートに画像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、これらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。画像形成装置3は、例えば電子写真方式や液滴射出方式など公知の方式のものであり、画像形成方式は何れでも良い。なお、本実施形態においては、電子写真方式の複写機を用いている。
【0010】
後処理装置2としては、例えば、シートにパンチ孔を開けるパンチ穿孔装置、ステープラ等によりシート束を綴じるシート綴じ装置、画像形成済みシートを複数の排出トレイへ仕分けして排出する仕分排出装置などが挙げられる。
【0011】
図2は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置3の概略構成図である。
画像形成装置本体400は、画像形成部の下部に、記録媒体であるシートを収納する給送カセットが配置されている。給送カセットに収納されたシートは、それぞれ、給送ローラ414a,414bによって給送された後、所定の搬送路に沿って上方へ搬送され、レジストローラ対413へ到達する。
【0012】
画像形成部は、像担持体としての感光体ドラム401と、帯電装置402と、露光装置410と、現像装置404と、転写装置405と、クリーニング装置406とを備えている。
【0013】
帯電装置402は、感光体ドラム401の表面を一様に帯電する帯電手段である。露光装置410は、画像読取装置100で読み取った画像情報に基づいて感光体ドラム401上に静電潜像を形成する潜像形成手段である。現像装置404は、感光体ドラム401上の静電潜像にトナーを付着させて可視像化する現像手段である。転写装置405は、感光体ドラム401上のトナー画像をシートに転写する転写手段である。クリーニング装置406は、転写後の感光体ドラム401上に残留したトナーを除去するクリーニング手段である。
【0014】
また、画像形成部のシート搬送方向下流側には、トナー画像をシートに定着する定着手段としての定着装置407が配置されている。
【0015】
露光装置410は、制御部の制御の下で画像情報に基づくレーザー光を発射するレーザーユニット411と、レーザーユニット411からのレーザー光を感光体ドラム401の回転軸方向(主走査方向)に走査するポリゴンミラー412を具備する。
【0016】
また、画像読取装置100の上部には、自動原稿搬送装置500が接続されている。この自動原稿搬送装置500は、原稿テーブル501、原稿分離給送ローラ502、搬送ベルト503、原稿排紙トレイ504を具備している。
【0017】
原稿テーブル501に原稿がセットされて読み取り開始指示を受けると、自動原稿搬送装置500では、原稿テーブル501上の原稿が原稿分離給送ローラ502により1枚ずつ送り出される。そして、その原稿は搬送ベルト503によりプラテンガラス309上に案内され、一時停止する。
【0018】
そして、プラテンガラス309上に一時停止した原稿は、画像読取装置100によりその画像情報が読み取られる。その後、搬送ベルト503が原稿の搬送を再開し、その原稿は原稿排紙トレイ504に排出される。
【0019】
次に、画像読取動作と画像形成動作について説明する。
自動原稿搬送装置500によりプラテンガラス309上に原稿が搬送されるか、ユーザーによりプラテンガラス309上に原稿が載置されて、操作パネルにコピー開始操作がなされると、第一走行体303上の光源301が点灯する。また、これとともに、第一走行体303及び第二走行体306を、ガイドレールに沿って移動させる。
【0020】
そして、プラテンガラス309上の原稿に光源301からの光が照射され、その反射光が、第一走行体303上のミラー302、第二走行体306上のミラー304,305、レンズ307に案内されて、CCD308で受光される。これにより、CCD308は原稿の画像情報を読み取り、その画像情報はA/D変換回路によってアナログデータからデジタルデータに変換される。この画像情報は、情報出力部から画像形成装置本体400の制御部へ送られる。
【0021】
一方、画像形成装置本体400は、感光体ドラム401の駆動を開始し、感光体ドラム401が所定速度で回転したら、帯電装置402により感光体ドラム401の表面を一様に帯電させる。そして、この帯電した感光体ドラム401の表面に、画像読取装置で読み取った画像情報に基づいた静電潜像が露光装置410により形成する。
【0022】
その後、感光体ドラム401の表面上の静電潜像は、現像装置404により現像されてトナー画像となる。また、給送カセットに収納されたシートは、給送ローラ414a,414bによって給送され、レジストローラ対413で一時停止させる。
【0023】
そして、感光体ドラム401の表面に形成されたトナー画像の先端部分が転写装置405と対向する転写部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対413により転写部に送り込まれる。転写部をシートが通過する際、転写電界の作用によって感光体ドラム401の表面に形成されたトナー像がシート上に転写される。
【0024】
その後、トナー像を載せたシートは、定着装置407に搬送され、定着装置407により定着処理を受けた後、後段の折り処理装置1に排出される。なお、転写部においてシートに転写されることなく感光体ドラム401の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置406により除去される。
【0025】
図3は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた後処理装置2の概略構成図である。
後処理装置2は、折り処理装置1からシートが導入される導入経路201、導入経路201からは、上トレイ205へシートを排出するための第一排出経路202、シフトトレイ206へシートを排出するための第二搬出経路203および綴じ処理部230へシートを搬送する搬送路204と分岐している。導入経路201には、シートにパンチ穴を施す穿孔部210が配置されている。穿孔部210は、折り処理装置1から排出された、折られたシート、重ね折りされたシート束、および、折り処理されずに搬送されてきた一枚のシートの所定の位置にパンチ穴を施す。
【0026】
搬送路204には、重ね合わせ部220が配置されている。重ね合わせ部220には、3つの搬送路220a、220b、220cを有しており、搬送されてきたシートを各搬送路へ振り分けて、各搬送路で一時待機させることで、最大3枚までシートを重ね合わせて搬送することが可能となっている。
【0027】
綴じ処理部230には、処理トレイ233、処理トレイ233の複数のシート(シート束)に対して整合処理を行なうジョガーフェンス234、処理トレイ233のシート束に対して綴じ処理を行うステイプラユニット231および綴じ処理されたシート束を、シフトトレイ206へ向けて搬送する搬送ベルト232などを主に備えている。
【0028】
折り処理が施されたシートや、折り処理されていないシートが、所定枚数処理トレイ233へ搬送されたら、処理トレイ233のシート束に対して整合処理を行なう。そして、ステイプラユニット231で、処理トレイ233のシート束に対して綴じ処理を行った後、搬送ベルト332により綴じられたシート束を搬送し、シフトトレイ206へ排出する。
【0029】
図4は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置1の概略構成図である。
図4に示すように、折り処理装置1は、画像形成装置3から受け入れたシートを搬送する入口ローラ対10が設けられている。この入口ローラ対10の下流で、シートの搬送経路が、折り処理を行なうときにシートを搬送する折り処理搬送経路W2と、折り処理を行なわないときにシートを搬送するスルー搬送経路W1とに分岐している。折り処理搬送経路W2とスルー搬送経路W1との分岐部には、シートをスルー搬送経路W1または折り処理搬送経路W2へ案内する第一分岐爪11が設けられている。
【0030】
折り処理搬送経路W2には、複数枚のシートの重ね合わせを行なう重ね処理部A、1枚のシートまたは重ね処理部Aで重ね合わせたシートを折る折り処理部B、折れたシートの折り部を増し折りする増し折り部Cなどを主に有している。
【0031】
重ね処理部Aは、レジストローラ対15と、後述する折り機構17の第一押圧ローラ17aと、第一折りローラ17bとで構成された第一搬送ローラ対117aと、シートをレジストローラ対15に向けて搬送する搬送ローラ対12とを備えている。また、搬送ローラ対12とレジストローラ対15との間の折り処理搬送経路W2から分岐し、レジストローラ対15により逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されてきたシートが搬送されるスイッチバック搬送路W3と、このスイッチバック搬送路W3に配置されたスイッチバック搬送ローラ対13とも備えている。また、搬送ローラ対12とレジストローラ対15との間の折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部に設けられ、逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されてきたシートをスイッチバック搬送路W3へ案内するための第二分岐爪14も有している。
【0032】
重ね処理部Aの下流には、折り処理部Bが配置されている。折り処理部Bは、上記レジストローラ対15と、折り機構17と、第二搬送ローラ対18とで構成されている。折り機構17は、第一折りローラ17bと、第一折りローラ17bに当接し、シートをスイッチバック搬送するための第一押圧ローラ17aと、第一折りローラ17bに当接して第一折りニップB1を形成する第二折りローラ17cと、第二折りローラ17cに当接して第二折りニップB2を形成する第二押圧ローラ17dとで構成されている。折り機構17を構成する複数のローラのうちのひとつに駆動力が伝達され、他のローラは、従動回転する。
【0033】
また、レジストローラ対15の下流には、シートを、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとのニップまたは第一折りニップB1に案内する第三分岐爪16が設けられている。
【0034】
折り処理部Bの下流には、増し折り部Cが配置されている。増し折り部Cは、増し折りローラ20を備えている。増し折りローラ20は、押圧凸部を有しており、この押圧凸部が、シートの折り部を押圧し、シートの折り部が増し折りされる。
【0035】
図5は、本画像形成システムの折り処理装置の制御に関する制御回路の一例を示すブロック図である。
折り処理装置1を制御する制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、折り処理装置1内に配置された用紙検知センサなどの各種センサを制御するセンサコントローラ44、折り処理装置1のシートを搬送する複数の搬送モータを制御する第一モータコントローラ45、増し折りローラ20の駆動する増し折りモータ49を制御する第二モータコントローラ46、通信インターフェース48などを備えている。
【0036】
これらの各構成要素はアドレスバス、データバス等のバスライン47を介して相互に電気的に接続されている。通信インターフェース48は
図1の画像形成装置3及び後処理装置2と通信を行い、制御に必要なデータのやり取りを行なう。ROM42にはCPU41が実行するデータやプログラム等が記憶されている。CPU41はROM42に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することにより、折り処理装置1を制御する。RAM43は、CPU41がプログラムを実行する際に一時的にデータ等を記憶する。
【0037】
図6(a)~(f)は、本折り処理装置1の重ね処理部Aによるシートの重ね合わせ動作について説明する図である。
図6(a)に示すように、一枚目のシートP1を折り処理搬送経路W2に搬送する。折り処理搬送経路W2に搬送されてきた一枚目のシートP1は、先端がレジストローラ対15に突き当たりスキュー補正される。なお、このスキュー補正は、行なわなくてもよい。
【0038】
次に、レジストローラ対15と、第一押圧ローラ17aと第一折りローラ17bとからなる第一搬送部材たる第一搬送ローラ対117aとにより、一枚目のシートP1を正搬送(所定方向の搬送)する。次に、一枚目のシートP1後端が折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部を抜けたら、シートの搬送を停止する。次に、第二分岐爪14を図中時計回りに回転させ、シートをスイッチバック搬送路W3へガイドする姿勢に切り替える。次に、
図6(b)に示すように、レジストローラ対15、第一搬送ローラ対117a、および、スイッチバック搬送ローラ対13を逆回転させる。これにより、一枚目のシートP1が逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)され、一枚目のシートP1がスイッチバック搬送路W3へ搬送される。一枚目のシートP1の正搬送(所定方向の搬送)時の先端が、スイッチバック搬送路W3に搬送されたら、スイッチバック搬送ローラ対13のシート搬送を停止する。停止後、
図6(c)に示すように、スイッチバック搬送ローラ対13により一枚目のシートP1を正搬送(所定方向に搬送)し、一枚目のシートの先端をレジストローラ対15に突き当ててスキュー補正した状態で待機させる。
【0039】
このように、先行のシートP1をスイッチバック搬送路W3へ搬送し、折り処理搬送経路W2から退避させることで、先行のシートP1が後続シートの搬送を邪魔することがなく、良好に後続シートP2を搬送することができる。
【0040】
次に、二枚目のシートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てる。
図6(d)に示すように、後続のシートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てた後も搬送ローラ対12による後続シートP2のシート搬送を続け、後続シートを撓ませ、スキュー補正を行う。後続シートが所定の撓み量となる所定時間経過したら、
図6(e)に示すようにレジストローラ対15、スイッチバック搬送ローラ対13、および、第一搬送ローラ対117aを回転させて、レジストローラ対15により一枚目のシートP1と二枚目のシートP2とを重ね合わせて搬送する(
図6(f))。
【0041】
ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達しているときは、折り処理部Bによる重ね折り処理へ移行する。一方、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たないときは、重ね合わせシートの後端が分岐爪を抜けたタイミングで逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)してスイッチバック搬送路W3へ退避させる。重ね合わせる枚数に応じて以上の動作を繰り返すことで用紙重ねを行うことができる。
【0042】
本実施形態においては、上述したように、後続シートP2のスキュー補正において、搬送ローラ対12の回転を停止せず、後続シートP2の撓み量が所定量となったら、レジストローラ対15の回転を開始することで、生産性を落とさずに、先行シートと後続シートとの重ね合わせを行なうことができる。
【0043】
また、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たない枚数の重ね合わせ処理は、レジストローラ対15によるスキュー補正を行わない重ね合わせ処理とし、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する際の重ね合わせ処理は、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理としてもよい。なお、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した状態で待機し、後続のシートをレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した後に重ね合わせてシートを搬送する処理である。一方、スキュー補正を行なわない重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をスイッチバック搬送路W3に退避した状態で待機させる。そして、後続シートP2がレジストローラ対15に到達するタイミングでスイッチバック搬送路W3に退避した先行シート(シート束)もレジストローラ対15に到達するように、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送を開始し、シートを重ねわせ、レジストローラ対15により搬送する処理である。
【0044】
図7(a)~(d)は、折り処理部BによりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。
レジストローラ対15により搬送されてきた重ね合わせ処理されたシート束Ptの先端は、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとからなる第一搬送ローラ対117aに進入する。次に、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ1搬送されたら、折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させる。このときの突出量は、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0045】
折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させることで、第一搬送ローラ対117aに挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)される。これにより、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとの間のシート束部分に撓みが形成される(
図7(a))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ17bと第二折りローラ17cとからなる第一折りローラ対117bのニップに進入することで、その折り返し部分に第一折り部が形成される。第一折りローラ17bのニップを通過した第一折り部は、第二搬送部材としての第二搬送ローラ対18に向けて搬送される。
【0046】
そして、シート束Ptの第一折り部は、第二搬送ローラ対18のニップに進入し、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ2搬送されたら、第二搬送ローラ対18を逆回転させ、第二搬送ローラ対18に挟まれたシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)する。このときの搬送量Δ2も、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0047】
第二搬送ローラ対18に挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されることで、第一折りローラ対117bと第二搬送ローラ対18との間のシート部分に撓みが形成される。そして、
図7(b)に示すように、この撓み部分(折り返し部分)が第二折りローラ17cと第二押圧ローラ17dとからなる第二折り部材たる第二折りローラ対117cのニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0048】
第二折りローラ対117cのニップを通過した2つの折り部が形成されたシート束Ptは、
図7(c)に示すように、中間搬送ローラ対19により増し折りローラ20に向けて搬送される。
図7(d)に示すように、第二折り部が増し折りローラ20と対向位置に到達したら、シート束Ptの搬送を停止する。次に、増し折りローラ20を回転させ、第二折り部の折り目を強化した後、シート束Ptの搬送を再開し、第一折り部が増し折りローラ20と対向したら、シート束Ptの搬送を停止する。そして、増し折りローラ20により第一折り部の折り目を強化したら、シート束Ptの搬送を再開し、搬送ローラ対21,22によりシート束Ptを搬送し、後処理装置へ排出する。
【0049】
なお、上記では、重ね合わせ処理されたシート束Ptを折る場合について説明したが、シート一枚を折る場合の折り処理動作も同様である。また、上記では、Z折りについて説明したが、上記搬送量Δ1及び上記搬送量Δ2を適宜変更することで、Z折り処理と同様の動作によりシートに対して内三つ折り、外三つ折りを行なうことができる。二つ折り処理については、第三分岐爪16を図中時計回りに回転し、シートを第一折りローラ対117bへガイドする姿勢にし、レジストローラ対15から搬送されてきたシートを第一折りローラ対117bへ搬送する。そして、上記第二折り部を形成する動作と同様の動作で、シートの搬送方向中央の折り部を形成することで、二つ折りを行うことができる。
【0050】
図8は、本実施形態の重ね処理部Aの拡大構成図である。
図8に示すように、スイッチバック搬送路W3は、スイッチバック搬送ローラ対13のニップと、レジストローラ対15のニップと結んだ線分T1を基準にして、折り処理搬送経路W2側の空間よりも折り処理搬送経路W2側と反対側の空間を広くして、折り処理搬送経路W2側と反対側に先行シート撓み空間51を設けている。具体的には、スイッチバック搬送路W3のシートまたはシート束をガイドする一対のガイド部材のうち折り処理搬送経路W2側と反対側のガイド部材を折り処理搬送経路W2側と反対側に湾曲させることで、折り処理搬送経路W2側と反対側に先行シート撓み空間51を形成している。
【0051】
また、折り処理搬送経路W2の搬送ローラ対12からレジストローラ対15までの間には、後続シート撓み空間52が設けられている。本実施形態においては、後続シート撓み空間52をスイッチバック搬送路W3側と反対側に設けているが、スイッチバック搬送路W3側に設けてもよい。
【0052】
上記先行シート撓み空間51および後続シート撓み空間52の広さは、シートの先端が突き当たるまでのシート搬送において生じる最大スキュー量以上シートが撓めるような広さとなっている。また、先行シートP1のスキュー補正制御および後続シートP2のスキュー補正制御も、最大スキュー量以上シートが撓むように制御する。具体的には、先行シートP1のスキュー補正制御においては、先行シートP1がレジストローラ対15に突き当たってから、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送量が、最大スキュー量以上となるように、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送を制御する。一方、後続シートP2のスキュー補正制御においては、後続シートP2がレジストローラ対15に突き当たってから、搬送ローラ対12の搬送量が、最大スキュー量以上となったら、レジストローラ対15の搬送を開始するように、レジストローラ対15の搬送を制御する。
【0053】
本実施形態においては、スイッチバック搬送路W3の折り処理搬送経路W2側と反対側に先行シート撓み空間51を設けることで、先行シート(シート束)は、スキュー補正の際に、折り処理搬送経路W2側とは反対側の先行シート撓み空間51へ先行シートP1を撓ませることができる。これにより、スキュー補正後の先行シートP1により、折り処理搬送経路W2が塞がれるのを防止することができ、後続シートP2を、スムーズにレジストローラ対15へ搬送することができ、後続シートの搬送量が生じるのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、先行シート(シート束)と後続シートとをレジストローラ対15でスキュー補正することで、先行シート(シート束)と後続シート(シート束)との先端を揃えることができ、重ね合わせズレを良好に抑制することができる。
【0055】
図9は、シート束をレジストローラ対15に突き当てる際の不具合について説明する図である。
3枚以上のシートを重ね合わせするときは、スイッチバック搬送路W3には、シート束が搬送され、このシート束がレジストローラ対15に突き当たりスキュー補正がなされて、シート束の各シートの先端が揃えられる。しかしながら、シート束の硬さにより、シート束の一部のシートが、レジストローラ対のニップに入り込んでしまい、シート束の先端揃え精度が悪化してしまう。その結果、このレジストローラ対のニップに入り込んで、他のシートよりも先端が下流側に位置するシートの折り部の位置が、他のシートの折り部の位置と異なってしまうという不具合が発生する。
なお、ここで言うシート束の先端揃えは、シート束を構成する複数のシート間の先端の位置を一致させることをいう。
【0056】
また、シート束のスキュー量により
図9(a)に示すように、レジストローラ対15にシート束の先端を突き当てる際に、シート束の一部のシートのシート幅方向一端側が、レジストローラ対のニップに入り込んでしまう場合がある(
図9(a)のα参照)。この場合は、上記一部のシートの幅方向一端側が、レジストローラ対のニップに入り込んだ後に、後ろ側がスキュー補正されて幅方向他端側がレジストローラ対15に突き当たる。この際に、上記一部のシートの先端側にシート搬送方向に沿った楔状の撓みが生じたり、シート先端の幅方向他端側が浮き上がってしまうおそれがある。シート束の一部のシートに先端側にシート搬送方向に沿った楔状の撓みが生じた状態でシート束がレジストローラ対15により搬送されると、一部のシートの先端側に縦皺が生じるおれがある。また、一部のシート先端の幅方向他端側が浮き上がった状態でシート束がレジストローラ対15により搬送されると、幅方向他端に耳折れが生じるおそれがある。
【0057】
そこで、本実施形態では、シート束をレジストローラ対15に突き当てる際に、レジストローラ対15を逆回転させるようにした。以下、図面を用いて、具体的に説明する。
【0058】
図10は、本実施形態における重ね処理部Aによるシートの重ね合わせ動作について説明する図である。
上述と同様にして、スイッチバック搬送路W3へ搬送されたシート束Ptを、シート束搬送手段たるスイッチバック搬送ローラ対13によりレジストローラ対15に突き当てて、シート束を撓ませてスキュー補正を行いシート束ptの先端揃えを行う。(
図10(a)~
図10(c))。
【0059】
次に、
図10(d)に示すように、レジストローラ対15を一定期間逆回転する。その後、後続シートP2の搬送を待って(
図10(e))、後続シートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てて、後続シートを撓ませてスキュー補正を行って、シート束と後続シートの先端揃えを行なった後、シート束を搬送する(
図10(f))。
【0060】
図11は、先の
図10(c)~
図10(e)の動作におけるレジストローラ対15付近の拡大図である。
図11(c)に示すように、シート束ptの先端を突き当ててスキュー補正した後において、シート束の一部のシートの先端がレジストローラ対15のニップに入り込んでいる。かかる状態において、レジストローラ対15を一定期間逆回転することで、
図11(d)に示すように、レジストローラ対15のニップに入り込んでいたシート束の一部のシートの先端が、レジストローラ対15のニップからニップの手前に排出される。このとき、スイッチバック搬送ローラ対13とレジストローラ対15との間でシートは撓んでいるため、ニップから排出されたシート先端をレジストローラ対15へ向かう方向にシートの復元力が働く。その結果、ニップから排出されたシート先端は、レジストローラ対15に突き当たる。これにより、シート束を構成するすべてのシートが、レジストローラ対に突き当たり、シート束の先端を良好に揃えることができる。
【0061】
また、レジストローラ対15のニップに入り込んでいたシート束の一部のシートの先端が、レジストローラ対15のニップから抜けることにより、シート先端の搬送方向に沿った楔状の撓みや、シート先端のニップに入り込んでいない側の端部の浮き上がりが解消される。これにより、シート束の一部のシートに縦皺や耳折れが生じるのを抑制することができる。
【0062】
また、スキュー補正を行なわない重ね合わせ処理を行い、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達したら、そのシート束を、スイッチバック搬送して、スイッチバック搬送路W3へ搬送する。そして、
図10(a)~(d)に示したスキュー補正を行ってシート束の先端を揃えた後、折り処理部Bへ搬送するようにしてもよい。このときのレジストローラ対15の逆回転開始のタイミングを、レジストローラ対を正回転開始するときにシート束が規定の撓み量となるように、逆回転する期間などを算出し、設定するのが好ましい。これにより、スイッチバック搬送ローラ対13の回転を停止しなくてもよくなり、生産性の低下を抑制することができる。
【0063】
また、後続シートについてもシート束と同様に、後続シートの先端をレジストローラ対15に突き当てた後、レジストローラ対を逆回転させてもよい。
【0064】
図12は、後続シートP2のスキュー補正制御について説明する図である。
先の
図10(a)~(d)と同様な制御で、シート束のスキュー補正制御を行った後、後続シートP2をレジストローラ対15に突き当てて、後続シートを撓ませてスキュー補正を行いシート束ptと後続シートとの先端揃えを行う。(
図12(e´)~
図12(f’))。このとき、後続シートP2の先端が、レジストローラ対15のニップに入り込むと、後続シートの先端とシート束の先端とが揃わず、シート搬送方向に重ね合わせずれが生じる。また、後続シートのスキュー量によっては、後続シートP2の幅方向一端側が、レジストローラ対15のニップに入り込み、後続シートP2に先端側にシート搬送方向に沿った楔状の撓みが生じたり、シート先端の幅方向他端側が浮き上がってしまうおそれがある。
【0065】
そのため、
図12(g’)に示すように、後続シートP2の先端が、レジストローラ対15に突き当たった後、レジストローラ対15を一定期間逆回転する。これによりレジストローラ対15のニップに入り込んでいた後続シートP2の先端が、レジストローラ対15のニップからニップの手前に排出される。このとき、搬送ローラ対12とレジストローラ対15との間で後続シートは撓んでいるため、ニップから排出されたシート先端をレジストローラ対15へ向かう方向にシートの復元力が働く。その結果、ニップから排出された後続シートの先端は、レジストローラ対15に突き当たる。これにより、後続シートの先端とシート束の先端とを精度よく揃えることができる。また、後続シート先端の搬送方向に沿った楔状の撓みや、後続シート先端のニップに入り込んでいない側の端部の浮き上がりが解消される。これにより、後続シートに縦皺や耳折れが生じるのを抑制することができる。
【0066】
レジストローラ対15の逆回転動作が終了したら、レジストローラ対15とスイッチバック搬送ローラ対13と正回転させて、後続シートとシート束とを重ね合わせたシート束を、搬送する(
図12(h’)、
図12(i’))。
【0067】
また、レジストローラ対15が正回転するときに後続シートが規定の撓み量となるように、レジストローラ対15の逆回転開始タイミングが設定されている。これにより、
図12(g’)~
図12(i’)に示すように、搬送ローラ対12は、レジストローラ対15の逆転動作から、レジストローラ対15とスイッチバック搬送ローラ対13とを正回転させてシート束を搬送する間中も回転駆動を続け、後続シートを搬送し続けることができる。これにより、生産性を落とさずに重ね合わせ処理を行なうことができる。
【0068】
また、
図12に示す処理は、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する最後の重ね合わせ処理時のみ行うようにしてもよい。すなわち、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たないときは、先の
図10に示すように、後続シートに関して、スキュー補正を行わずに搬送し、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する最後の重ね合わせ処理時においては、
図12に示すように、後続シートに対してスキュー補正を行うのである。これにより、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する最後の重ね合わせ処理を行なった後、スイッチバック搬送路W3へ搬送しレジストローラ対に突き当てて、スキュー補正を行ってシート束の先端を揃えるものや、毎回、後続シートに対してスキュー補正を行うものに比べて、生産性を高めることができる。
【0069】
また、上記レジストローラ対15を逆回転させる期間は、シートの種類により変更してもよい。例えば、薄紙などのシートのコシの弱いシートの場合は、先端がニップに入り込み難い。よって、シートが薄紙のときは、逆回転量が少なくても、シートの先端を確実にレジストローラ対15のニップから排出することができる。一方、厚紙などのコシの強いシートは、レジストローラ対15のニップ深くまでシートの先端が入り込むおそれがある。よって、厚紙などのコシの強いシートは、レジストローラ対15を逆回転させる期間を長くして、レジストローラ対15の逆回転量を多くしないと、シートの先端をニップから排出できないおそれがある。
【0070】
よって、シート束を構成するシートの厚さが厚いほど、レジストローラ対15を逆回転させる期間を長くして、逆回転量を多くするのが好ましい。これにより、シート束を構成するシートが薄いときは、レジストローラ対15を逆回転させる期間を短くでき、生産性の低下を抑制できる。シート束を構成するシートが厚いときは、レジストローラ対15を逆回転させる期間を長くすることで、確実にシートの先端をレジストローラ対のニップから排出することができ、シート束の先端を揃えることができる。また、縦皺や耳折れの発生を抑制することができる。
【0071】
シート束を構成するシートの厚み情報は、ユーザーが画像形成装置の操作表示部に、給送カセットに収納されたシートの坪量を入力させることで、把握することができる。また、シートの搬送経路に、透過型光学センサなどの厚み検知センサを配置し、その検知結果から、シート束を構成するシートの厚みを把握してもよい。
【0072】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0073】
[変形例1]
図13は、変形例1におけるシート束のスキュー補正制御について説明する図である。
この変形例1は、シート束の先端をレジストローラ対に突き当てる前からレジストローラ対を逆回転させるものである。
【0074】
スイッチバック搬送路W3へシート束Ptを搬送した後も、レジストローラ対15は逆回転を続ける。次に、
図13(a)に示すように、スイッチバック搬送ローラ対13を正回転させて、シート束の先端をレジストローラ対15に突き当てる(
図13(b))。このとき、レジストローラ対15は逆回転しているので、ニップに入り込もうとするシートの先端を、レジストローラ対の逆回転で押し出すことができる。これにより、シート束の一部のシートがレジストローラ対のニップに入り込むのを抑制することができ、シート束の先端を良好に揃えることができる。また、シート束の一部のシートの先端に楔状の撓みなどが生じるのを抑制でき、縦皺や耳折れの発生を抑制することができる。
【0075】
この変形例では、実施形態とは異なり、シート束が所定量撓んだ後に、所定期間、レジストローラ対を逆回転させる必要がなく、生産性を高めることができるというメリットがある。一方、シートが薄紙など、コシが弱いシートの場合、逆回転しているレジストローラ対に突き当たるときにシートの先端が捲れ上がるおそれがあり、耳折れなどが発生するおそれがある。これに対し、実施形態のように、突き当てた後レジストローラ対を逆回転させることで、コシが弱いシートの捲くれ上がりを抑制できるというメリットがある。従って、突き当てた後、レジストローラ対を逆回転させる方式にするか、突き当てる前にレジストローラ対を逆回転させる方式にするかを、シート束を構成するシートの厚みに応じて、選択するようにするのが好ましい。
【0076】
図14は、後続のシートに対して、変形例1のスキュー補正制御を実施する場合の動作について説明する図である。
図10(a)~(c)で示した方式(シート束突き当て後、レジストローラ対逆回転)また
図13(a)~(c)で示した方式(シート束突き当て前にレジストローラ対逆回転)でシート束について、スキュー補正を行って、シート束先端揃えを行なった後、レジストローラ対15を逆回転させる(
図14(d’))。次に、逆回転しているレジストローラ対に後続シートを突き当てて(
図14(e’))、後続シートが所定量撓んだら、レジストローラ対15を一時停止する(
図14(f’))。そして、レジストローラ対15、スイッチバック搬送ローラ対13を正回転させて、後続シートをシート束に重ね合わせたシート束を搬送する(
図14(h’))。
【0077】
逆回転しているレジストローラ対に後続シートを突き当てることで、後続シートの先端が、レジストローラ対15に入り込むことがなく、レジストローラ対に後続シートの先端を突き当てることができる。これにより、後続シートの先端とシート束の先端とを揃えることができ、シート束と後続シートとの重ね合わせズレを抑制することができる。また、後続シートに楔状の撓み等が生じるのを抑制することができ、後続シートの縦皺や耳折れが生じるの抑制することができる。
【0078】
[変形例2]
図15は、変形例2におけるシート束のスキュー補正制御について説明する図である。
【0079】
この変形例2では、第一搬送ローラ対117aでスキュー補正を行なって、シート束Ptの先端を揃えるようにしたものである。
図15(a)に示すように、後続シートP2がレジストローラ対15に到達するタイミングで、スイッチバック搬送路W3に退避して待機していたシート束Pt’がレジストローラ対15に到達するように、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送を開始し、シートを重ねわせ、レジストローラ対15により搬送する。
【0080】
第一搬送ローラ対117aは停止しており、
図15(b)に示すように、シート束Ptの先端が第一搬送ローラ対117aに突き当たった後も、レジストローラ対15を回転させ、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとの間でシート束Ptを撓ませてスキュー補正を行う。
【0081】
次に、
図15(c)に示すように、第一搬送ローラ対117aを逆回転させ、第一搬送ローラ対117aのニップに入り込んだシートの先端を第一搬送ローラ対117aの手前へ排出する。これにより、シート束の先端を良好に揃えることができる。また、先端に楔状の撓みが生じるのを抑制できる。
【0082】
第一搬送ローラ対117aを所定期間逆回転させたら、
図15(d)に示すように、第一搬送ローラ対117aの回転を一旦停止した後、第一搬送ローラ対117aを正回転させシート束を搬送する。ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達しているときは、シート束を規定搬送量Δ1搬送した後、第一搬送ローラ対117aを逆回転させて、折り処理を行う。ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達していないときは、シート束の後端が、スイッチバック搬送路W3と折り処理搬送経路W2との分岐部を抜けたら、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとを逆回転させ、シート束をスイッチバック搬送路W3へ搬送する。
【0083】
この変形例2においても、第一搬送ローラ対117aが、正回転するときにシート束が規定の撓み量となるように、第一搬送ローラ対117aの逆回転開始タイミングが設定されている。これにより、レジストローラ対15を停止することなくスキュー補正を行え、生産性の低下を抑制することができる。
【0084】
なお、レジストローラ対15でスキュー補正を行い、さらに第一搬送ローラ対117aでスキュー補正を行ってもよい。
また、スキュー補正を行なわない重ね合わせ処理を行い、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達したときに、第一搬送ローラ対117aでスキュー補正を行ってもよい。
【0085】
[変形例3]
図16は、変形例3におけるシート束のスキュー補正制御について説明する図である。
この変形例3は、シート束の先端が第一搬送ローラ対117aに突き当たる前に、第一搬送ローラ対を逆回転させるようにした以外は、変形例2と同様である。
【0086】
図16(a)に示すように、後続シートP2がレジストローラ対15に到達するタイミングで、スイッチバック搬送路W3に退避して待機していたシート束Pt’がレジストローラ対15に到達するように、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送を開始し、シートを重ねわせ、レジストローラ対15により搬送する。
【0087】
また、第一搬送ローラ対117aを逆回転させ、
図15(b)に示すように、シート束Ptの先端が逆回転する第一搬送ローラ対117aに突き当てる。これにより、シート束の一部のシートが、第一搬送ローラ対117aにニップに入り込むのを防止することができ、シート束の先端を良好に揃えることができる。また、先端に楔状の撓みが生じるのを抑制できる。
【0088】
シート束Ptの先端が逆回転する第一搬送ローラ対117aに突き当てた後も、レジストローラ対15を回転させ、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとの間でシート束Ptを撓ませてスキュー補正を行う(
図15(c))。
【0089】
第一搬送ローラ対117aを所定期間逆回転させたら、
図15(d)に示すように、第一搬送ローラ対117aの回転を一旦停止した後、第一搬送ローラ対117aを正回転させシート束を搬送する。ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達しているときは、シート束を規定搬送量Δ1搬送した後、第一搬送ローラ対117aを逆回転させて、折り処理を行う。ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達していないときは、シート束の後端が、スイッチバック搬送路W3と折り処理搬送経路W2との分岐部を抜けたら、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとを逆回転させ、シート束をスイッチバック搬送路W3へ搬送する。
【0090】
本実施形態では、重ね処理部Aの下流に折り処理部Bを配置しているが、重ね処理部Aの下流にシート束にステイプル処理を施すステイプル処理部や、シート束にパンチ穴を開ける穿孔処理部などを配置してもよい。
【0091】
また、シートとしては、用紙、プラスチックフィルムや布などのシート状媒体を挙げることができる。
【0092】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
レジストローラ対15などの搬送ローラ対と、シート束を前記搬送ローラ対へ搬送するスイッチバック搬送ローラ対13などのシート束搬送手段とを備え、シート束の先端を搬送ローラ対に突き当ててシート束の先端揃えを行なうシート処理装置において、搬送ローラ対を逆回転させてシート束の先端揃えを行なう。
これによれば、シート束の先端を搬送ローラ対に突き当てるときに、搬送ローラ対を逆回転させているので、ニップ入り込んだシート束の一部のシートを、ニップの手前に排出することができる。その結果、シート束の先端全体を搬送ローラ対に突き当てることができ、シート束の複数のシートの先端を良好に揃えることができる。これにより、シート束の各シートに対して所望の位置に処理を行なうことができる。
【0093】
(態様2)
態様1において、シート束がレジストローラ対15などの搬送ローラ対に突き当たった後、搬送ローラ対を逆回転させる。
これによれば、実施形態で説明したように、搬送ローラ対のニップに入り込んだシート束の一部のシート先端を、搬送ローラ対のニップ手前に排出することができる。これにより、シート束のすべてのシートの先端を搬送ローラ対に突き当てることができ、良好にシート束のシート先端を揃えることができる。また、先端に楔状の撓みなどが生じるのを抑制することができ、シート束のシートに縦皺や耳折れが発生するのを抑制することができる。
また、レジストローラ対15などの搬送ローラ対に突き当たる前に、搬送ローラ対を逆回転させるものとは異なり、シート束がレジストローラ対15などの搬送ローラ対に突き当たったときにシートの先端が捲り上がるのを抑制することができ、耳折れなどの発生を抑制することができる。
【0094】
(態様3)
態様1において、シート束がレジストローラ対15などの搬送ローラ対に突き当たる前に、搬送ローラ対を逆回転させる。
これによれば、変形例1で説明したように、ニップに入り込もうとするシートの先端を、搬送ローラ対の逆回転で押し出すことができる。これにより、シート束の一部のシートが搬送ローラ対のニップに入り込むのを防止でき、シート束の先端を良好に揃えることができる。また、シート束の一部のシートの先端に楔状の撓みなどが生じるのを抑制でき、縦皺や耳折れの発生を抑制することができる。
さらに、シート束がレジストローラ対15などの搬送ローラ対に突き当たった後に逆回転するものに比べて、生産性を高めることが可能となる。
【0095】
(態様4)
態様1または2において、シートの種類に応じてシート束の先端揃えを行なうときの搬送ローラ対の逆回転量を変更する。
これによれば、実施形態で説明したように、厚紙などのコシの強いシートの方が、薄紙などのコシの弱いシートよりも搬送ローラ対のニップに入り込みやすく、薄紙よりもニップに深く入り込む。よって、シートの種類に応じてシート束の先端揃えを行なうときの搬送ローラ対の逆回転量を変更することで、確実に、ニップに入り込んだシートを、搬送ローラ対の手前に排出することができ、良好にシート束のシート先端を揃えることができる。また、先端に楔状の撓みなどが生じるのを抑制することができ、シート束のシートに縦皺や耳折れが発生するのを抑制することができる。
また、薄紙などのニップに入り込みにくいシートにおいては、逆回転量を少なくすることで、生産性の低下を抑制することができる。
【0096】
(態様5)
態様4において、逆回転量は、シートの厚さが厚いほど多くする。
これによれば、実施形態で説明したように、確実に、ニップに入り込んだシートを、搬送ローラ対の手前に排出することができ、良好にシート束のシート先端を揃えることができる。
【0097】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、レジストローラ対15などの搬送ローラ対にシート束の先端を突き当てた後に、搬入部から搬入されてきた後続シートの先端を搬送ローラ対に突き当てて後続シートと、シート束との先端揃えを行なう。
これによれば、重ね合わせ処理と同時に、後続シートとシート束との先端揃えを行なうことができ、重ね合わせ処理後に、後続シートとシート束との先端揃えを行なうものに比べて、生産性の低下を抑制することができる。
【0098】
(態様7)
態様6において、レジストローラ対15などの搬送ローラ対を逆回転させて後続シートと、シート束との先端揃えを行なう。
これによれば、実施形態で説明したように、後続シートが搬送ローラ対のニップに入り込むのを抑制することができ、後続シートとシート束との先端揃えを良好に行なうことができる。また、後続シートの先端に楔状の撓みなどが生じるのを抑制することができ、後続シートに縦皺や耳折れが発生するのを抑制することができる。
【0099】
(態様8)
態様6または7において、後続シートとシート束との先端揃えは、重ね合わせ枚数が設定枚数となる最後の後続シートとシート束との重ね合わせ時に行なう。
これによれば、実施形態で説明したように、後続シートとシート束との重ね処理時に毎回、後続シートとシート束との先端揃えを行なうものや、設定枚数となった後に、スイッチバック搬送を行なって、シート束の先端揃えを行なうものに比べて、生産性を高めることができる。
【0100】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、前記シートには、画像が形成されており、前記搬送ローラ対の下流には、シート束に対して処理を行なう折り処理部Bなどの処理手段が配置されている。
これによれば、画像が形成された複数のシートからなるシート束の各シートの所望の位置に処理を施すことができる。
【0101】
(態様10)
シートに画像を形成する画像形成装置と、シートに所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、シート処理装置として、態様1乃至9いずれか一項のシート処理装置を用いた。
これによれば、シート束に対して、良好に処理を行なうことができる。
【符号の説明】
【0102】
1 :折り処理装置
2 :後処理装置
3 :画像形成装置
4 :画像形成システム
10 :入口ローラ対
11 :第一分岐爪
12 :搬送ローラ対
13 :スイッチバック搬送ローラ対
14 :第二分岐爪
15 :レジストローラ対
16 :第三分岐爪
17 :折り機構
17a :第一押圧ローラ
17b :第一折りローラ
17c :第二折りローラ
17d :第二押圧ローラ
18 :第二搬送ローラ対
19 :中間搬送ローラ対
20 :増し折りローラ
21 :搬送ローラ対
40 :制御部
51 :先行シート撓み空間
52 :後続シート撓み空間
117a :第一搬送ローラ対
117b :第一折りローラ対
117c :第二折りローラ対
A :重ね処理部
B :折り処理部
C :増し折り部
P2 :後続シート
Pt :シート束
Pt' :シート束
T1 :線分
W1 :スルー搬送経路
W2 :折り処理搬送経路
W3 :スイッチバック搬送路
Δ1 :搬送量
Δ2 :搬送量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0103】