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特許7065076金属含有レジストからのエッジビード領域における金属残留物を低減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】金属含有レジストからのエッジビード領域における金属残留物を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220428BHJP
   G03F 7/16 20060101ALI20220428BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20220428BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20220428BHJP
   C11D 7/28 20060101ALI20220428BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20220428BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
G03F7/16 502
C11D7/50
C11D7/26
C11D7/28
C11D7/32
H01L21/304 643A
H01L21/30 565
H01L21/30 563
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019507178
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017046518
(87)【国際公開番号】W WO2018031896
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】62/430,722
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/374,582
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511130955
【氏名又は名称】インプリア・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Inpria Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】モリー・ウォラー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジェイ・カーディノー
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ジアン
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ジェイ・テレッキー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ティ・マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エル・クラーク
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0116839(US,A1)
【文献】特開2014-045171(JP,A)
【文献】特開2007-134671(JP,A)
【文献】特開2005-332950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
G03F 7/16
C11D 7/50
C11D 7/26
C11D 7/28
C11D 7/32
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スズ有機金属のレジスト組成物を含むレジストコーティングに関連したウエハ上のエッジビードを除去するための方法であって、前記スズ有機金属のレジスト組成物で前記ウエハをスピンコーティングした後、ウエハエッジに沿って第1のエッジビードリンス溶液を塗布するステップを含み、前記第1のエッジビードリンス溶液は、有機溶媒と、カルボン酸、スルホン酸、硫酸(HSO)、リン酸エステル、リン酸、無機フッ素化酸、テトラアルキルアンモニウム化合物またはそれらの混合物を含む添加剤とを含み、
VPD-ICP-MSを用いて、前記ウエハエッジに沿った残留スズ測定値が50×1010原子/cm以下である、方法。
【請求項2】
前記スズ有機金属のレジスト組成物は、アルキルオキソ/ヒドロキソスズ部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のエッジビードリンス溶液は、前記ウエハエッジに沿って0.5mL~20mLの量で塗布され、前記方法は、前記第1のエッジビードリンス溶液の送達後、少なくとも500rpmの速度で前記ウエハをスピン回転させて、前記残留スズ測定値を得るステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記塗布するステップおよび前記スピン回転させるステップは、前記第1のエッジビードリンス溶液を用いて1回~20回繰り返される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塗布するステップおよび前記スピン回転させるステップは、前記第1のエッジビードリンス溶液とは別の第2のエッジビードリンス溶液を用いて、前記ステップを少なくとも1回繰り返して1回~20回繰り返される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒は、グリコールエーテルもしくはそのエステル、アルコール、ケトン、液体環状炭酸塩またはそれらの混合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記添加剤は、酢酸、クエン酸、シュウ酸、2-ニトロフェニル酢酸、2-エチルヘキサン酸、ドデカン酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルクロン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸(HSO)またはそれらの混合物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記添加剤は、ヘキサフルオロケイ酸を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記添加剤は、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオロケイ酸またはそれらの混合物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
放射線ベースのパターニングのためのウエハを準備するための方法であって、
前記ウエハに保護組成物を塗布するステップと、
前記保護組成物を塗布した後、金属ベースの放射線感受性レジスト組成物をスピンコーティングするステップと、
前記金属ベースの放射線感受性レジスト組成物をスピンコーティングした後、前記ウエハのエッジに沿ったエッジビードリンス溶液の塗布を通してエッジビードリンスを行うステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記保護組成物は、前記ウエハのエッジに沿って塗布される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記保護組成物は、25℃で30ダイン/cm以下の乾燥臨界表面張力を有する不揮発性成分を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記不揮発性成分は、フッ化ビニル重合体またはアルキルハロゲン化シランを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記保護組成物は、前記エッジに沿った金属の除去を容易にする犠牲ポリマー材料を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項15】
前記犠牲ポリマー材料は、ポリスチレンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記保護組成物は、0.5mL~20mLの量で塗布され、前記方法は、前記保護組成物の送達後、少なくとも500rpmの速度で前記ウエハをスピン回転させるステップをさらに含み、
前記保護組成物は、25℃で50ダイン/cm以下の乾燥臨界表面張力を有する不揮発性成分を含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記エッジビードリンス溶液は、グリコールエーテルもしくはそのエステル、アルコール、ケトン、液体環状炭酸塩またはそれらの混合物を含む有機溶媒を含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記エッジビードリンス溶液は、カルボン酸、糖酸、スルホン酸、リン酸、硫酸(HSO)、無機フルオロ酸、テトラアルキルアンモニウム化合物またはそれらの混合物を含む添加剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エッジビード除去を実施するための装置であって、
ウエハ支持体を含むスピンドルであって、前記スピンドルを回転させるように構成されたモータに動作可能に接続される、スピンドルと、
スズ有機金属レジスト組成物の表面層を含むウエハと、
前記スピンドルに装着されたウエハのエッジに沿って流体を塗布させるように構成されたノズルを有するディスペンサと、
分配するために前記流体を前記ノズルに送達するように構成された流体の貯留部と
を含み、前記流体は、カルボン酸、スルホン酸、硫酸(HSO)、リン酸エステル、リン酸、無機フッ素化酸、テトラアルキルアンモニウム化合物またはそれらの混合物、25℃で30ダイン/cm以下の乾燥臨界表面張力を有する犠牲ポリマーまたは化合物、を含む添加剤を加えた有機溶媒を含む、装置。
【請求項20】
前記スピンドルは、中空コアを有し、および前記ウエハ支持体は、前記中空コア内に負圧を加えて、前記負圧に基づいて、前記スピンドル上に支持されたウエハを保持するように構成された負圧装置を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記有機溶媒は、グリコールエーテルもしくはそのエステル、アルコール、ケトン、液体環状炭酸塩またはそれらの混合物を含む、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記有機溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールブチルエーテル(PGBE)、エチレングリコールメチルエーテル、エタノール、プロパノール、イソブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘプタノン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンまたはそれらの混合物を含む、請求項19または20に記載の装置。
【請求項23】
前記流体は、濃度が0.1重量%~25重量%である前記添加剤を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記添加剤は、糖酸を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
装置であって、
ウエハ支持体を含むスピンドルであって、前記スピンドルを回転させるように構成されたモータに動作可能に接続される、スピンドルと、
前記スピンドルに装着されたウエハのエッジに沿って流体を塗布させるように構成されたノズルを有するディスペンサと、
分配するために前記流体を前記ノズルに送達するように構成された流体の貯留部と
を含み、前記流体は、25℃で30ダイン/cm以下の乾燥臨界表面張力を有する犠牲ポリマーまたは化合物、を含む添加剤を加えた有機溶媒を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年8月12日に出願されたClarkらに対する「Bead Washing for Metal Oxide Based Resists」という名称の同時係争中の米国仮特許出願第62/374,582号明細書および2016年12月6日に出願されたCardineauらに対する「Method of Reducing Metal Residue in Edge Bead Region from Metal-Containing Resists」という名称の同時係争中の米国仮特許出願第62/430,722号明細書に対する優先権を主張するものであり、それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、金属ベースのパターニングレジストの使用から潜在的に生じるウエハエッジに沿った金属汚染を低減するための処理に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体回路およびデバイスの加工は、各世代にわたって限界寸法の継続的な縮小を伴ってきた。これらの寸法が縮小するにつれて、ますます小型のフィーチャを加工およびパターニングするという要求を満たすために新たな材料および方法が必要とされている。パターニングは、概して、放射線感受性材料(レジスト)の薄層を選択的に露光して、次に後続の層または機能性材料に転写されるパターンを形成することを伴う。極紫外光および電子ビーム放射の良好な吸収を提供するのに特に適する一方、同時に非常に高いエッチングコントラストを提供する有望な新たなクラスの金属ベースの放射線レジストが発見されている。これらの新たなクラスのレジストの実用化を提供するために、所望の最終製品を実現するためのプロセス統合を考慮することは、重要なステップであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、本発明は、金属を含むレジスト組成物を含むレジストコーティングに関連したウエハ上のエッジビードを除去するための方法であって、レジスト組成物でウエハをスピンコーティングした後、ウエハエッジに沿って第1のビードエッジリンス溶液を塗布するステップを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、エッジビード溶液は、有機溶媒と、カルボン酸、無機フッ素化酸、テトラアルキルアンモニウム化合物またはそれらの混合物を含む添加剤とを含む。
【0005】
さらなる態様では、本発明は、放射線ベースのパターニングのためにウエハを準備するための方法であって、ウエハに保護組成物を塗布するステップと、保護組成物を塗布した後、金属を含むレジスト組成物をスピンコーティングするステップと、レジスト組成物をスピンコーティングした後、ウエハのエッジに沿ったエッジビードリンス溶液の塗布を通してエッジビードリンスを行うステップとを含む方法に関する。
【0006】
他の態様では、本発明は、装置であって、ウエハ支持体を含むスピンドルと、スピンドルに装着されたウエハのエッジに沿って流体を堆積させるように構成されたノズルを有するディスペンサと、分配するために流体をノズルに送達するように構成された流体の貯留部とを含む装置に関する。概して、スピンドルは、スピンドルを回転させるように構成されたモータに動作可能に接続される。いくつかの実施形態では、流体は、表面改質剤、酸性化合物、テトラアルキルアンモニウム化合物またはそれらの混合物を含む添加剤を加えた有機溶媒を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】エッジビードリンスを行うために処理するためのウエハ位置とともに示されたエッジビードリンス装置の概略斜視図である。
図2】2つの処理ステップが示された、エッジビードリンス後にレジスト層を有するウエハを準備するためのステップを表す概略図である。
図3】エッジビードリンス後のウエハエッジを表す顕微鏡画像の写真である。
図4】基板上に犠牲層を形成するために用いられるステップを表す概略図であり、犠牲層は、その後、リンスステップにおいてエッジビードの除去を容易にするために使用される。挿入図Aは、最終的なリンス後のウエハの上面図を示す。
図5】エッジビードの除去を容易にする犠牲エッジコーティングまたは犠牲リングを基板上に形成するために用いられるステップを表す概略図であり、挿入図Aは、犠牲リングを有するウエハの上面図であり、および挿入図Bは、ビードエッジがリンスされた最終的な構造物を表す。
図6】エッジに沿ったレジストの堆積を実質的に回避するための付着防止エッジコーティングおよび処理後のエッジに沿った残留金属汚染をさらに低減するためのビードエッジリンスを用いた処理を表す概略図であり、挿入図Aは、付着防止エッジコーティングを有するウエハの上面図を表し、挿入図Bは、レジスト堆積後の構造物の上面図を表し、および挿入図Cは、エッジビードリンス後の構造物の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
エッジビード除去プロセスは、金属および有機金属ベースのレジスト材料および残留物をより効果的に除去するために開発されてきた。基板エッジレジストの堆積は、レジスト材料によるプロセス装置の汚染を低減するために、基板を放射線でパターニングする前に除去することができる。従来の有機フォトレジストのために設計されたエッジビード除去溶液は、金属含有レジストの除去に十分に効果的でない場合がある。改良されたエッジビード除去溶液は、選択された溶媒を使用することができ、レジストの堆積の除去を容易にするために、酸などの添加剤をさらに含有し得る。追加的または代替的な実施形態では、犠牲層、例えばポリマー層は、ビードエッジからのレジストの除去を容易にするために、ウエハエッジ上またはウエハ表面全体にわたって配置することができる。さらに、付着防止層、例えば臨界表面張力が十分に低いコーティングを基板エッジに沿って配置して、基板エッジに沿ったレジストの初期の付着を低減または排除することができる。特に極紫外(EUV)光を用いた微細パターニングのための、金属ベースのレジストのパターニング性能が向上したため、対応する高性能装置を用いたパターニングプロセスに金属ベースのレジストを効果的に組み込むことができる処理手法を提供することが有利である。したがって、本明細書に記載の処理および対応する組成物は、金属ベースのレジストの実用化に大きく貢献する。本明細書で使用される場合、基板およびウエハは、そうでないことが言及されない限り、概して、しかし必ず円筒形状であり、通常、平面の広がりに関連する寸法に対して小さい厚さを有する構造物を指すために交換可能に使用される。
【0009】
エッジビード除去を補助するために、金属ベースまたは金属含有パターニングレジストで被覆されたウエハを処理するための新たなリンス溶液が特定されている。金属を含むレジスト組成物は、概して、汚染物質量を超える金属、例えば少なくとも0.1重量パーセントの金属を含むと見なすことができ、特に対象となるいくつかの金属含有レジストをさらに以下で説明する。半導体の微細パターニングおよび他の放射線ベースのリソグラフィ処理のために、パターニングレジストは、概して、ウエハ上にスピンコートされて、ウエハ表面の大部分にわたって比較的均一なレジスト層を形成する。余分なレジストの一部がウエハ表面からスピンオフする場合でも、スピンコーティングにより、ウエハの大部分を覆うレジスト層に対してレジストが堆積されたウエハエッジに沿ってビードが生じる可能性がある。エッジ自体は、リソグラフィを使用してパターニングされないため、エッジビードを除去してパターニングのためのウエハの処理を容易にし、汚染を低減することが一般に望ましい。金属ベースまたは金属含有レジストのエッジビードを効果的に除去するための新たなリンス組成物は、適切な有機溶媒および添加剤、例えばカルボン酸、無機フッ素化酸、強酸を含むフッ化テトラアルキルアンモニウムまたはそれらの組み合わせを含み得る。金属ベースまたは金属含有レジストのエッジビードの除去は、パターニングプロセス後の望ましくない残留金属の低減にも役立つ可能性がある。ビードエッジリンス後、ウエハのパターニングは、概して、レジストに基づくパターニングのための通常のステップを用いて続けられる。
【0010】
フォトレジスト処理中、エッジビード除去(EBR)リンスステップが一般に用いられる。EBR処理は、通常、フォトレジストの堆積後の任意の熱処理またはベーキング前に行われ、ウエハまたは基板の周縁部を溶媒でリンスして、選択された領域内のフォトレジストを除去することを伴う。このEBR処理は、ウエハもしくは基板を取り扱うか、または操作するツールおよび機械類の汚染を低減する役割を果たす。金属ベースのフォトレジストを使用して、EBR領域における金属、例えばスズの残留量を低減させることが望ましい。ポリマーレジストを除去するために設計された有機溶媒に基づく標準的なEBR溶媒は、単独では、ウエハ表面のエッジ領域上の残留金属、例えばスズの濃度を所望のレベルまで低減させるのに望ましい程度に効果的でない場合がある。加えて、本明細書に記載の方法および材料は、広範囲の様々な金属、例えばHf、Zr、In、Te、Sb、Ni、Co、Ti、W、Ta、Moおよびそれらの組み合わせなどを含有するレジストを処理するのに有利であり得、本開示は、そのような使用を企図している。
【0011】
新たなクラスの放射線ベースのレジストは、レジストの安定性および加工性を制御するために放射線感受性配位子を用いる金属酸化物化学(金属オキソ/ヒドロキソ組成物)に基づき得る。新たな放射線ベースのレジストの第1のセットは、放射線感受性安定化配位子としてペルオキソ配位子を使用する。ペルオキソベースの金属オキソ-ヒドロキソ化合物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるStowersらに対する「Patterned Inorganic Layers,Radiation Based Patterning Compositions and Corresponding Methods」という名称の米国特許第9,176,377B2号明細書に記載されている。関連するレジスト化合物は、参照により本明細書に組み込まれるBassらに対する「Metal Peroxo Compounds With Organic Co-ligands for Electron Beam,Deep UV and Extreme UV Photoresist Applications」という名称の米国特許出願公開第2013/0224652A1号明細書に論じられている。Meyersらに対する「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions」という名称の米国特許第9,310,684B2号明細書、Meyersらに対する「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions and Corresponding Methods」という名称の米国特許出願公開第2016/0116839A1号明細書および「Organotin Oxide Hydroxide Patterning Compositions,Precursors,and Patterning」という名称の米国特許出願公開第15/291738号明細書に記載されているようなアルキル配位子を用いて効果的なタイプのレジストが開発されており、これらは、すべて参照により本明細書に組み込まれる。スズ組成物は、これらの特許文献に例証されており、本明細書で提示されたデータは、スズベースのレジストに焦点を当てているが、本明細書に記載のエッジビード除去溶液は、下記の他の金属ベースのレジストに有効であると期待される。
【0012】
特に対象となるスズベースのレジストに関して、これらのレジストは、式RSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)によって表される有機金属組成物の化学に基づく。式中、0<z≦2および0<(z+x)≦4であり、Rは、炭素原子数1~31のヒドロカルビル基である。しかしながら、オキソ/ヒドロキソ配位子の少なくともいくつかは、式RSnX4-nによって表される組成物に基づくインサイチューの加水分解に基づく堆積後に形成され得ることが見出されている。式中、n=1または2であり、Xは、加水分解性M-X結合を有する配位子である。概して、適切な加水分解性配位子(RSnX中のX)としては、アルキニドRC≡C、アルコキシドRO、アジドN 、カルボン酸塩RCOO、ハロゲン化物およびジアルキルアミドが挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、オキソ-ヒドロキソ組成物の全部または一部は、Sn-X組成物またはそれらの混合物で置き換えることができる。R-Sn境界は、概して、放射線感受性であり、レジストの放射線処理可能な態様の根拠となっている。しかし、RSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)組成物のいくつかは、MO((m/2)-l/2)(OH)で置き換えることができ、式中、0<z≦2、0<(z+w)≦4、m=Mm+の公式原子価、0≦l≦m、y/z=(0.05~0.6)およびM=M’またはSnであり、ここで、M’は、周期表の2~16族の非スズ金属であり、Rは、炭素原子数1~31のヒドロカルビル基である。したがって、エッジビードリンス中に処理されるレジストは、RSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)、R’SnX4-nおよび/またはMO((m/2)-l/2)(OH)の選択された混合を含み得る。この場合、概して、組成物のかなりの部分がアルキル-スズ結合を含む。他のレジスト組成物としては、例えば、ジブチルスズジアセタートなどの金属カルボン酸塩結合を有する組成物(例えば、アセタート、プロパノアート、ブタノアート、ベンゾアートなどの配位子)が挙げられる。
【0013】
上記で言及した金属オキソ/ヒドロキソまたはカルボン酸塩ベースのレジストが特に望ましいが、いくつかの実施形態では、いくつかの他の高性能レジストが適切な場合がある。具体的には、他の金属ベースのレジストとしては、テンプレート、充填材料およびバッファハードマスクに対して高いエッチング選択性を有するものが挙げられる。これらは、金属酸化物ナノ粒子レジスト(例えば、参照により本明細書に組み込まれるJiang,Jing;Chakrabarty,Souvik;Yu,Mufei et al.,“Metal Oxide Nanoparticle Photoresists for EUV Patterning”,Journal Of Photopolymer Science And Technology 27(5),663-666 2014)または他の金属含有レジスト(参照により本明細書に組み込まれるA Platinum-Fullerene Complex for Patterning Metal Containing Nanostructures,D.X.Yang,A.Frommhold,D.S.He,Z.Y.Li,R.E.Palmer,M.A.Lebedeva,T.W.Chamberlain,A.N.Khlobystov,A.P.G.Robinson,Proc SPIE Advanced Lithography,2014)などのレジストを含む場合がある。他の金属ベースのレジストは、Yamashitaらに対する「Film-Forming Composition,Method for Pattern Formation,and Three-Dimensional Mold」という名称の米国特許出願公開第2009/0155546A1号明細書およびMaloneyらに対する「Method of Making Electronic Materials」という名称の米国特許第6,566,276号明細書に記載されており、それらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
電子機器の加工では、概して、微量金属汚染を軽減することが望ましく、そのため、有機金属ベースのレジストを使用して、潜在的にレジストから生じるスズおよび/または他の金属残留物を除去することが望ましい。改良されたエッジビード除去溶液は、概して、有機溶媒と、添加剤によって金属除去の改善が可能である場合には1つまたは複数の添加剤とを含む。適切な添加剤としては、例えば、有機酸、無機フルオロ酸、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムおよびそれらの混合物が挙げられる。適切な添加剤は、カルボン酸塩、ジカルボン酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩およびそれらの混合物などの錯化剤またはキレート剤としても機能し得る。添加剤は、界面活性剤および/またはキレート剤としても機能し得る。したがって、本明細書に列挙されている様々な酸の共役陰イオンをキレート剤として添加することができる。同様に、非イオン界面活性剤であるTritonTM-Xなどの界面活性剤も添加剤として使用することができる。添加剤は、有機溶媒中で溶解可能であるように選択することができる。溶液は、約0.1重量%~約25重量%、さらなる実施形態では約0.2重量%~約20重量%、および追加の実施形態では約0.25重量%~約20重量%の添加剤を含み得る。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲の添加剤濃度が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。適切な有機溶媒としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールブチルエーテル(PGBE)、エチレングリコールメチルエーテルなどのグリコールエーテルおよびそれらのエステル、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール、ガンマ-ブチロラクトンなどの環状エステル、酢酸n-ブチル、酢酸エチルなどのエステルおよび/またはそれらの混合物、ヘプタノンなどのケトン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンなどの液体環状炭酸塩ならびにそれらの任意の混合物が挙げられる。約50~約90重量%のPGMEA、約1重量%~約20重量%のPGME、約1重量%~約10重量%のγ-ブリロラクトンおよび約1重量%~約20重量%の酢酸n-ブチルを含む混合溶媒は、参照により本明細書に組み込まれるLeeらに対する「Methods of Forming a Photosensitive Film」という名称の米国特許第8,227,182号明細書において、望ましいレオロジーおよび蒸発特性を有する望ましいEBR溶液として提案されている。適切な有機酸としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、2-ニトロフェニル酢酸、2-エチルヘキサン酸、ドデカン酸などのカルボン酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルクロン酸などの糖酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸エステルおよびリン酸ビス(2-エチルヘキシル)などのリン酸、フッ化水素酸(HF)、硫酸(HSO)およびそれらの任意の混合物が挙げられる。適切な無機フルオロ酸としては、例えば、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロホウ酸などが挙げられる。適切なテトラアルキルアンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムフルオロケイ酸などまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0015】
所望のレベルのエッジ洗浄を実現するために複数のリンスステップを行うことができる。いくつかの実施形態では、金属の所望の低減を実現するために、エッジリンスは、同じ溶液で1回、2回、3回、4回、5回、6回、10回または11回以上行うことができる。さらに、エッジビードリンスプロセス中に2つの異なるリンス溶液を塗布することができる。異なる溶液は、それぞれ上記溶液から独立して選択することができる。概して直径が約3インチ~約18インチのウエハの場合、それぞれの塗布中、溶液は、約0.05ミリリットル(mL)~約50mLの量、さらなる実施形態では約0.075mL~約40mLの量、および他の実施形態では約0.1mL~約25mLの量で送達することができる。いくつかの実施形態では、溶液は、約5mL/分~約50mL/分の流量で噴霧することができ、溶液は、約1秒~約5分間、さらなる実施形態では約5秒~約2分間にわたって塗布することができる。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲の溶液塗布回数および塗布量が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0016】
エッジビード除去を行う装置を図1に示す。図1を参照すると、ウエハ処理装置100は、中空コア104を有するスピンドル102であって、スピンドルを回転させるモータおよびスピンドルの中空コアに負圧を加えるように構成されたポンプに接続されたスピンドル102と、スピンドルに動作可能に接続されてスピンドルとともに回転するチャック106と、チャック106上に支持され、かつ中空コア104内の負圧によって所定の位置に保持されたウエハの片面または両面のエッジに流体110を分配するように構成された流体ディスペンサ108とを含む。装置内に適切に配置されたウエハ112が図1に示されている。流体ディスペンサ108は、流体をウエハの方に向けるノズルなどを含み得る。貯留部114は、流体を供給する流体ディスペンサ108に動作可能に接続されている。貯留部は、管類、ホースなどと接続された流体を保持するのに適した容器であり得、重力またはポンプなどを用いて貯留部114からの流体移動を駆動することができる。中空コア104に加えられる負圧は、負圧装置116によって供給することができる。負圧装置は、ポンプ、アスピレータ、送風機などであり得る。スピンドル102は、モータ118にも接続することができる。モータは、ウエハ処理のためにスピンドル102をスピン回転させるために適切な設計および取り付け具を有することができる。エッジビード処理のための具体的な装置設計は、参照により本明細書に組み込まれるChalomらに対する「Methods of Profiling Edges and Removing Edge Beads」という名称の米国特許第8,826,926B2号明細書に記載されている。
【0017】
エッジビードリンスプロセスを図2に概略的に示す。左側の画像に示されるように、基板120が得られ、金属ベースのレジスト124で被覆122されている。次に、ビードエッジリンスステップ126を行って、基板120のエッジ128に沿ってレジストを除去し、エッジ付きレジスト層130を形成する。エッジビードリンスプロセスは、組成物、組成物の量および送達装置の観点から上記でさらに説明されている。結果として生じるエッジ付きレジスト層130を有する構造物132は、次に、基板120のパターニングステップに用いることができる。レジストを用いたウエハのコーティングは、例えば、適切な構成で約0.25mL~約20mLのレジスト溶液を静止ウエハ上に堆積させ、次に例えば250rpm~10,000rpmで約5秒~約15分の時間にわたってウエハをスピン回転させてレジストを広げることによって行うことができる。必要に応じて、スピン回転時間にわたってスピン回転速度を変えることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲の流体量、スピン回転速度およびスピン回転時間が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0018】
リンスステップを行うために、ウエハは、概して、流体堆積中に低速~中速でスピン回転させることができ、次いで流体堆積後により高速でスピン回転させることができる。エッジビードリンス溶液は、ウエハのエッジだけでなく、背面にも塗布することができる。例えば、ウエハは、流体堆積中に5rpm~10,000rpm、さらなる実施形態では50rpm~5000rpmでスピン回転させることができる。液体堆積プロセスは、1秒~5分間、さらなる実施形態では約5秒~約3分間にわたって行うことができる。液体堆積に続いて、ウエハは、少なくとも500rpmの速度、さらなる実施形態では750rpm~6000rpmの速度でスピン回転させることができ、液体堆積後のスピン回転は、2秒~10分間、さらなる実施形態では5秒~約5分間にわたって行うことができる。必要に応じて、スピン回転時間にわたってスピン回転速度を変えることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲のスピン回転速度およびスピン回転時間が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。堆積後のスピン回転に続いて、後続のリンスステップを行うことができ、この処理は、選択に応じて繰り返すことができる。
【0019】
エッジビードを除去するためにエッジビード溶液を塗布した後、ウエハのエッジは、クリーンなエッジ134を有する図3に示すように、検査に対して明らかにクリーンに見える場合がある。上述したように、エッジビードリンスプロセスは、所望の結果を実現するために、同じおよび/または別のリンス溶液を用いた複数のリンスステップを含み得る。金属の除去を十分に評価するために、残留金属がないかウエハを検査することができる。微量金属を評価するために実用化されている適切な手法は、概して、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を伴うものである。シリコンウエハ表面を評価するために、気相分解-誘導結合プラズマ質量分析法(VPD-ICP-MS)と呼ばれる、この分析技法の変形形態を用いることができる。この技法を用いて、エッジに沿ったウエハ表面の単位面積当りの残留金属を判定することができる。実施例に記載されているスズベースのレジストの場合、得られる残留スズの量は、リンス領域のウエハ面積を基準にしてウエハ面積の約100×1010原子/cm以下、さらなる実施形態では約25×1010原子/cm以下、および追加の実施形態では約10×1010原子/cm以下であることが望ましい。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲の残留スズが企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0020】
上述したような改良されたEBR溶液の使用に加えて、基板エッジに沿ってまたは基板全体にわたってコーティングを施して、EBR処理後のウエハエッジに沿った残留金属の低減をさらに容易にすることができる。このようなコーティングは、概して、フォトレジストコーティング溶液中で不溶性であり、後続のEBR処理の一部として完全にまたは実質的に除去されてもされなくてもよい。コーティングを施した後、レジスト溶液を堆積させることができるが、これは、以下でさらに説明するようにコーティングを覆っていてもいなくてもよい。いくつかの実施形態では、適切なコーティングは、ポリスチレンまたは無定形炭素などの犠牲材料であり得るが、これは、基板全体を覆っていてもいなくてもよい。また、後続のEBR処理中にレジストコーティングで選択的に除去してもしなくてもよい。コーティングがウエハ全体を覆う場合、残りのコーティングは、無定形炭素の場合のように、パターニングスタック内で異なるようにエッチング可能な層として使用することができる。他の実施形態では、適切なポリマーコーティング、例えばポリスチレンは、ウエハの周辺のみに沿って被覆することができ、後続のEBR処理において少なくとも部分的に除去することができる。この場合、コーティングは、レジスト材料のEBR処理により除去することができ、または代わりに別個のEBR処理により交互に除去することができる。他の実施形態では、表面改質層コーティングまたは付着防止コーティングなどの適切なコーティングは、レジスト堆積中にレジスト溶液がコーティングの表面に付着することを防ぐためにウエハの周縁部のみを覆うことができ、後続のEBR処理において除去されてもされなくてもよい。
【0021】
したがって、改良された処理は、金属ベースのレジストを被覆する前にウエハのエッジ表面領域または表面全体を二次犠牲材料で被覆することに関し得る。追加的または代替的な実施形態では、改良された処理は、ウエハエッジ表面領域を、エッジ表面領域がレジスト前駆物質溶液で濡れることを防ぐ表面処理層で被覆することを含み得る。概して、犠牲層も付着防止層も、レジストのコーティングおよびEBR前にベーキングステップを必要とせず、望ましいプロセスフローを提供する。理論に制限されることを望まないが、付着防止材料およびプロセスが金属含有種の基板表面への付着を抑制し、これにより、適切なEBR溶媒または混合物を塗布すると、金属残留物が低減されたフォトレジストをより完全に除去し易くすると考えられる。本明細書に記載の改良されたリンス溶液は、残留スズ原子の除去に特に有効であることが証明されており、独立型のEBR溶液としてまたは本明細書に記載の犠牲層もしくは表面処理層と組み合わせて使用することができる。実施例の材料および方法によって例示されるように、EBR処理後の残留スズのレベルは、本明細書に記載の方法を用いて許容可能なレベルまで低減することができる。
【0022】
犠牲材料のための組成物の選択は、コーティングがエッジのみの基板/ウエハ全体を覆うかどうかによって影響を受ける可能性がある。概して、犠牲材料は、犠牲材料の存在がビードエッジからのビードエッジに沿った金属イオンの除去に好都合である限り、ビードエッジリンス中に完全に除去されてもされなくてもよい。犠牲層がウエハを覆っている場合、照射の有無にかかわらず対応するレジストが除去されるとき、犠牲層が除去可能でもあり得る。具体的には、犠牲材料は、レジストのための現像剤を使用して除去するために選択することができる。加えてまたは代わりに、無定形炭素層またはスピンオン炭素層などの犠牲層は、ウエハ/基板材料上でのエッチングステップ中に除去することができる。スピンオン炭素材料は、JSR株式会社(日本)から市販されている。さらに、例えば、参照により本明細書に組み込まれるKrishnamurthyらに対する「Spin-on Carbon Compositions for Lithographic Processing」という名称の米国特許第9,102,129B2号明細書を参照されたい。スピンオン炭素材料は、適切なコーティング処理を用いて被覆することができ、また例えば加熱により乾燥させることができる。CVD炭素層の堆積は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるNagataに対する「Method of Forming a Protective Film and a Magnetic Recording Medium Having a Protective Film Formed by the Method」という名称の米国特許出願公開第2007/0037014号明細書に記載されている。加熱または他の後処理がない状態で基板の表面エッジを改質する犠牲コーティングが記載されており、EBR処理中に保護コーティングのエッジ部分とともにスズベースのレジストの除去が可能になっている。スズベースのレジストとともに使用するためのエッジコーティングとして、ポリスチレンを使用した具体的な例を以下に記載する。
【0023】
基板全体にわたって犠牲材料で基板を覆う処理を図4に概略的に示す。基板150が得られた後、犠牲材料の層が基板150上に塗布152され、犠牲層154を形成する。犠牲層154の塗布は、例えば、上述したようなスピンコーティング、スプレーコーティング、ナイフエッジコーティング、化学気相成長法(CVD)を用いた無定形炭素の堆積に適したコーティング溶液もしくは他の適切なコーティング技法またはそれらの組み合わせを使用して行うことができる。次に、レジスト前駆物質溶液を堆積156させて、レジスト層158を形成することができる。レジスト前駆物質溶液は、概して、スピンコーティングによって塗布されるが、スプレーコーティングまたは他のコーティング処理を使用することができる。レジスト層158を形成した後、エッジビードリンスステップ160を行って、エッジ付き犠牲層164およびエッジ付きレジスト層166を有するエッジ付き構造物162を形成することができる。エッジビードリンスプロセスは、上記でさらに説明されており、図4の処理に関しても同様に用いることができる。エッジ付き構造物162の上面図を図4の挿入図Aに示す。
【0024】
基板を犠牲材料で覆う処理は、レジストを堆積させるのに用いられる手順に従うことができる。犠牲材料のための前駆物質溶液は、適切な覆域で静止ウエハ上に堆積させることができる。次に、ウエハをスピン回転させてウエハ表面上に流体を分配することができる。流体の量は、濃度、粘性などの流体特性、乾燥後の犠牲材料の所望の厚さおよび経験的評価に基づいて調節される他の関連パラメータに基づいて選択することができる。概して、流体の量は、約0.1mL~約100mL、さらなる実施形態では約0.25mL~約25mLであり得る。流体を堆積させた後、流体を広げるために、ウエハをスピン回転させてウエハ上に流体を分配することができる。この場合、250rpm~10,000rpm、さらなる実施形態では450rpm~6000rpmで2秒~10分の時間、さらなる実施形態では5秒~5分の時間にわたってウエハをスピン回転させることができる。必要に応じて、スピン回転時間にわたってスピン回転速度を変えることができる。所望のコーティングを実現するために、必要に応じて複数回の堆積ステップおよびスピン回転ステップを用いることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲の流体量、スピン回転速度およびスピン回転時間が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0025】
エッジに沿った犠牲層の使用を図5に概略的に図示する。基板180を得た後、基板180のエッジに沿って犠牲層のコーティング材料を塗布182して、基板180上に犠牲リング186を有する、エッジが保護された構造物184を形成することができる。犠牲層のコーティング材料の塗布は、エッジに沿って、例えばエッジに沿ってコーティング材料を送達するように改変されたビードリンス装置を使用して行うことができる。コーティング材料の送達中、エッジに沿ってコーティング材料の少なくともかなりの部分を維持するのに矛盾しない速度で基板をスピン回転させることができる。エッジが保護された構造物184の上面図を図5の挿入図Aに示す。次に、エッジが保護された構造物184上にレジスト溶液を堆積188させてレジスト層190を形成することができる。次に、エッジビードリンスプロセス192は、犠牲リング186およびレジスト材料の両方をエッジに沿って除去して、基板180の上にエッジ付きレジスト層196を有するエッジ付き構造物194を形成する。エッジビードリンスプロセスは、上記でさらに説明されており、図5の処理に関しても同様に用いることができる。エッジ付き構造物194の上面図を図5の挿入図Bに示す。
【0026】
クリーンなビードエッジを提供する代替的な手法は、エッジに沿ってレジストが表面に堆積することを抑制するエッジコーティング表面処理を施すことを伴う。特に、臨界表面張力がレジストコーティング組成物の表面張力未満であるエッジコーティング組成物を塗布することができる。臨界表面張力(CST)は、固体表面の特性である。シリコンウエハの表面など、ほとんどの無機固体は、硬く、それに相応して高い臨界表面張力を有する。したがって、ほとんどの液体は、シリコンウエハを濡らす。ウエハエッジに沿った付着防止コーティングとして機能する表面処理剤として、シランまたはフッ素化化合物など、表面張力が低いコーティングを塗布することができる。付着防止コーティングは、レジストを塗布する前にウエハエッジ上に塗布することができる。レジストが塗布されると、レジストは、実質的にエッジに沿って粘着しない。次に、レジストの塗布に続いてビードエッジリンスを行い、エッジに沿って残留している可能性がある少量のレジストをすべて除去する。ビードエッジリンス後、処理が通常通り続けられる。エッジは、パターニングされないため、エッジに沿った付着防止コーティングは、ウエハのパターニングプロセス中に除去する必要もなく、処理可能である必要もない。
【0027】
適切な付着防止組成物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンおよびそれらの共重合体などのフッ素化ビニル重合体が挙げられる。フルオロポリマーは、完全にフッ素化され得るか、または完全にフッ素化されておらず、すなわちペルフルオロポリマーであり得る。アルキルハロゲン化シランも、臨界表面張力の低い付着防止表面を供給するのに有用な場合がある。適切なシランとしては、例えば、ヘンエイコサフルオロドデシルトリクロロシラン(25℃でCST≒6~7ダイン/cm)、ヘプタデシルフルオロデシルトリクロロシラン(25℃でCST≒12ダイン/cm)、オクタデシルトリクロロシラン(25℃でCST≒20~24ダイン/cm)などのアルキルトリクロロシランが挙げられる。表面張力が幾分より高いレジストに対して、アルキルトリアルコキシシランも十分な付着防止特性を提供することができる。適切なアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン(25℃でCST≒22.5ダイン/cm)、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン(25℃でCST≒23ダイン/cm)またはそれらの混合物が挙げられる。本明細書中に例示される例証されたアルキルオキシヒドロキシスズベースのレジストは、表面張力が25℃で約23ダイン/cmであった。付着防止コーティング材料の選択は、概して、レジストの組成物によって影響を受ける可能性があるが、コーティング組成物は、概して、臨界表面張力が25℃で約50ダイン/cm以下であり、さらなる実施形態では約30ダイン/cm以下であり、さらなる実施形態では約22ダイン/cm以下である。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲の臨界表面張力が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0028】
フルオロポリマーは、例えば、ポリマー微粒子の分散物として分配することができる。分散物の液体は、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタンなどまたはそれらの混合物などのフッ素化アルカンであり得る。シランは、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエンもしくは他の適切な有機溶媒またはそれらの混合物などの適切な溶媒中に分配することができる。
【0029】
基板エッジに沿った付着防止コーティングの塗布を図6に概略的に示す。基板210を得た後、表面改質材料の溶液を塗布212し、基板210に沿って付着防止エッジコーティング216を有するエッジが保護された構造物214を形成する。付着防止エッジコーティング216を形成するための表面改質材料の塗布は、例えば、適切な条件下で材料を送達して相当量のコーティング材料を基板エッジ上に残すことができるように改変されたエッジビードリンス装置を用いて行うことができる。エッジが保護された構造物214の上面図を図6の挿入図Aに示す。次に、レジスト前駆物質溶液は、エッジが保護された構造物214上に堆積218され、エッジ付きレジスト層220を形成する。レジスト前駆物質溶液の塗布は、スピンコーティング、スプレーコーティングまたは他の適切な技法を用いて行うことができる。エッジ付きレジスト層220を有する構造物の上面図を図6の挿入図Bに示す。次に、エッジビードリンスを実行222してエッジに沿った残留レジストをすべて除去し、任意選択的に付着防止エッジコーティング216の全部または一部も除去し、リンス後のエッジ226を有するリンス後の構造物224を形成する。リンス後のエッジは、残留付着防止エッジコーティングを含んでも含まなくてもよい。エッジビードリンスは、上述のように行われる。リンス後の構造物224の上面図を図6の挿入図Cに示す。
【0030】
図5に概略的に示されているようなウエハエッジに沿った犠牲コーティングの塗布または図6に概略的に示されているような表面改質組成物の塗布に関して、ウエハは、概して、流体堆積中に低速~中速でスピン回転させることができ、次いで流体堆積後により高速でスピン回転させることができる。例えば、ウエハは、流体堆積中に5rpm~500rpm、さらなる実施形態では10rpm~250rpmでスピン回転させることができる。液体堆積プロセスは、5秒~5分間、さらなる実施形態では約15秒~約3分間にわたって行うことができる。液体堆積に続いて、ウエハは、少なくとも500rpmの速度、さらなる実施形態では750rpm~4000rpmの速度でスピン回転させることができ、液体堆積後のスピン回転は、5秒~10分間、さらなる実施形態では10秒~約5分間にわたって行うことができる。必要に応じて、スピン回転時間にわたってスピン回転速度を変えることができる。当業者は、上記の明示的な範囲内で他の範囲のスピン回転速度およびスピン回転時間が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。堆積後のスピン回転に続いて、後続のリンスステップを行うことができ、この処理は、選択に応じて繰り返すことができる。
【0031】
概して、エッジに沿ったまたはウエハ表面上のいずれかの表面改質コーティング(例えば、犠牲コーティングまたは付着防止コーティング)に関して、乾燥後のコーティングは、いくつかの実施形態では厚さ約10ミクロン以下、いくつかの実施形態では厚さ約5ミクロン以下、およびさらなる実施形態では厚さ約1ミクロン以下であり得る。追加的または代替的な実施形態では、より薄いコーティング、例えば約1nm~約500nmのコーティング、さらなる実施形態では約5nm~約250nmのコーティング、および他の実施形態では約7nm~約100nmのコーティングが望ましい場合がある。当業者は、上記の明示的な厚さの範囲内で他の範囲が企図され、それらが本開示の範囲内にあることを認識するであろう。濃度および液状コーティングの厚さは、いずれも所望の厚さのコーティングを実現するように調節することができる。
【0032】
すべての実施形態において、当業者は、プロセス装置に適合したサイズおよび処理に耐える十分な機械的強度など、当業者によって認識される妥当な制約による場合以外に基板の同一性が制限されないことを認識するであろう。適切な基板表面は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン、酸化ケイ素、酸化チタンなどもしくは他の適切な材料またはそれらの組み合わせなどのセラミックスを含み得る。基板表面は、EBR処理が特定のパターニングステップの一部であるさらなるパターニングプロセスの開始前にすでにパターニングされていてもされていなくてもよい。
【実施例
【0033】
実施例1 - 選択されたEBR溶媒およびカルボン酸添加剤
本実施例は、スズベースの放射線パターニング可能レジストを用いた効果的な残留物除去を行うためのカルボン酸添加剤を含む有機溶媒の有効性を実証する。
【0034】
2つの異なる放射線パターニング可能レジストを用いて実験を行った。R1レジストは、2つの別のアルキル配位子の混合物を含む有機金属オキシ水酸化スズレジストを含み、R2レジストは、アルキル配位子を含む有機金属オキシ水酸化スズレジストと、アルキル配位子を含まないオキシ水酸化スズ組成物との混合物を含んでいた。レジストをスピンコーティングによって単結晶シリコンウエハ上に堆積させた。レジストの堆積に続いて直ちに50rpmで回転するようにウエハを設定する一方、5mLのリンス溶液をウエハ上に分配してウエハ表面全体を覆うようにした。リンス溶液の分配直後に乾燥するまで1500rpmで45秒間にわたってウエハをスピン回転させた。場合により、表1に示すように、第1のリンス溶液のスピン乾燥後に続いて、第2の別のリンス溶液をウエハ上に分配し、同じ方法で処理して、すなわち50rpmで回転させながらウエハ上に分配して、続いて1500rpmで45秒間にわたってスピン回転させて乾燥させた。適宜、この高速スピン回転の直後に次の容量のリンス溶液を分配し、最終のリンス溶液を塗布した後の高速スピン回転後まで、上記のように、典型的には5回手順を繰り返した。これらの試験において評価される残留物の除去は、ウエハエッジのみをリンスするエッジビードリンスプロセスの有効性に近いものになると考えられる。
【0035】
残留金属の測定は、べベルエッジの気相分解-誘導結合プラズマ-質量分析(VPD-ICP-MS)を用いてChemTrace(登録商標)によって行った。表1および表2の結果は、レジストR1を用いて得られ、表3の結果は、レジストR2を用いて得られた。表1の結果を得るために、1回のリンスステップ当たり5mlで、また各リンスステップ間に1回の乾燥スピンで合計5回のリンスステップを行った。表2および表3において、4×3mLなどの「n×mL」は、同じ溶液を用いた特定容量の複数回のリンスステップを示す。したがって、4×3mLであれば、各回が3mLの溶液を使用する4回のリンスステップを示すことになる。表4は、前の表で使用された溶媒および添加剤の一覧を示す。結果が示すように、R2は、スズの所望の除去に関してさらに大きい課題を提供しているものの、適切なリンス溶液を用いて望ましい結果が得られた。しかしながら、いずれのレジストについても、添加剤を含むリンス溶液は、低減に成功した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
実施例2 - 選択されたEBR溶媒およびフッ素化酸添加剤
本実施例は、スズベースの放射線パターニング可能レジストを用いた効果的なビードエッジリンスを行うためのフッ素化酸添加剤を含む有機溶媒の有効性を実証する。
【0041】
これらの実験は、実施例1において言及したスズベースのレジストR1およびレジストR2を使用して行われた。試験は、フッ素化添加剤に置き換えて、実施例1に記載されているように行われた。本実施例における試験のすべては、1回の5mLのEBRリンス段階、続いてPGME/PGMEA溶媒混成物を用いた5×5mLのリンスで行われた。R1で得られた結果を表5に、またR2で得られた結果を表6に示す。表中の表記Nは、標準表記を用いた1リットル当たりの等価量を表す。これらの添加剤は、R2レジストに特に有効であった。本実施例の溶媒および添加剤を表7に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
【表7】
【0045】
実施例3 - 犠牲エッジ下地層
本実施例は、ウエハの表面にわたって犠牲層を塗布することに基づくEBR処理の改善を実証する。
【0046】
コーティング溶液を塗布して、ウエハ全体にわたって犠牲下地層コーティングを形成した。コーティング溶液は、PGMEA中に溶解した5重量%のポリスチレンを含み、これを2つのウエハに塗布し、さらに2つのウエハを対照として使用した。それぞれの場合、5mLの量のコーティング溶液を50rpmで回転している100mmのウエハ上に分配した。分配プロセスの終了直後にウエハを1500rpmで45秒間にわたってスピン回転させた。次に、1.5mLの量の有機-スズベースのレジスト溶液R2を静止位置で3つのウエハ(2つは、エッジがコーティングされたウエハであり、1つは、対照用ウエハである)上に分配し、レジスト溶液の分配直後にそれぞれのウエハを1500rpmで45秒間にわたってスピン回転させた。
【0047】
レジスト溶液を広げるためのウエハのスピン回転の終了時、実施例1に記載されているように、また5mLのEBRリンス溶液で5サイクルのリンスを用いてエッジビードリンス(EBR)を行った。ただし、EBRリンスが行われなかった、レジストを含まない対照用ウエハを除く。EBRリンス溶液は、レジストを含むが、エッジコーティングのない対照用ウエハには65/35容量%のPGME/PGMEAであり、犠牲エッジコーティングを含むウエハには、EBR溶媒は、PGMEAまたは2-ヘプタノンのいずれかであった。4つのウエハのエッジに沿ったスズ濃度を評価するために測定を行い、結果を表8に示す。エッジコーティングにより、EBR処理が大幅に改善された。
【0048】
【表8】
【0049】
実施例4 - 円周方向への付着防止コーティング
本実施例は、ウエハ上に付着防止エッジコーティングを塗布することに基づくEBR処理の改善を実証する。
【0050】
コーティング溶液を塗布して付着防止エッジコーティングを形成した。コーティング溶液は、ペルフルオロオクタン(溶液1)またはテトラデカフルオロヘキサン(溶液2)中に溶解した1重量%のポリ(4,5-ジフルオロ-2,2-ビス(トリフルオロ-メチル)-1,3-ジオキソール-コ-テトラフルオロエチレン(FEO))を含んでいた。溶液1および溶液2を別個のウエハに塗布し、さらに2つのウエハを対照として使用した。コーティング溶液を塗布するために、5mLの量のコーティング溶液を500rpmで回転している100mmのウエハのエッジに沿ってEBR装置内に分配した。分配プロセスの終了直後にウエハを1500rpmで45秒間にわたってスピン回転させた。次に、1.5mLの量の有機-スズベースのレジスト溶液R2を静止位置で3つのウエハ(2つは、コーティングされたウエハであり、1つは、対照用ウエハである)上に分配し、レジスト溶液の分配直後にそれぞれのウエハを1500rpmで45秒間にわたってスピン回転させた。
【0051】
レジスト溶液を広げるためのウエハのスピン回転の終了時、実施例1に記載されているように、また5mLのEBRリンス溶液で5サイクルのリンスを用いてエッジビードリンス(EBR)を行った。ただし、EBRリンスが行われなかった、レジストを含まない対照用ウエハを除く。EBRリンス溶液は、レジストを含むが、コーティングのない対照用ウエハには65/35容量%のPGME/PGMEAであり、犠牲コーティングを含む第1のウエハには、EBRは、PGMEAであり、および付着防止エッジコーティングを含むウエハには、EBRに使用される溶媒は、コーティング溶液を堆積させるために使用される溶媒と同じであった。4つのウエハのエッジに沿ったスズ濃度を評価するために測定を行い、結果を表9に示す。エッジコーティングにより、EBR処理が大幅に改善された。
【0052】
【表9】
【0053】
上記の実施形態は、例示的であるように意図されており、限定するものではない。追加の実施形態が特許請求の範囲内にある。加えて、特定の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における変更形態がなされ得ることを認識するであろう。上記の文献の参照によるいずれの組み込みも、本明細書における明示的な開示に反するいかなる主題も組み込まれないように限定されている。特定の構造物、組成物および/またはプロセスが、構成要素、要素、成分または他の区分を用いて本明細書に記載される限り、本明細書における開示は、そうでないことが特に示されない限り、特定の実施形態、特定の構成要素、要素、成分、他の区分またはそれらの組み合わせを含む実施形態だけでなく、説明において示唆されているような、主題の根本的な性質を変化させない追加の特徴を含み得るそのような特定の構成要素、成分もしくは他の区分またはそれらの組み合わせから実質的に構成される実施形態も網羅すると理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6