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特許7065128無溶媒型硬化性組成物、これを用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタ、ディスプレイ装置および前記硬化膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】無溶媒型硬化性組成物、これを用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタ、ディスプレイ装置および前記硬化膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220428BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220428BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220428BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20220428BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220428BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20220428BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B5/20
G03F7/027
G03F7/004 501
G03F7/004 504
G03F7/004 502
G03F7/075 501
G03F7/004 505
G09F9/30 349A
C08F2/44 A
C08F20/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020006789
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2020126234
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2020-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0014094
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 美 貞
(72)【発明者】
【氏名】姜 龍 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 東 俊
(72)【発明者】
【氏名】金 美 善
(72)【発明者】
【氏名】金 鐘 基
(72)【発明者】
【氏名】朴 民 志
(72)【発明者】
【氏名】李 範 珍
(72)【発明者】
【氏名】林 知 ▲げん▼
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/071308(WO,A1)
【文献】特開2002-121549(JP,A)
【文献】特開2018-091924(JP,A)
【文献】特開2020-118971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/027
G03F 7/004
G03F 7/075
G09F 9/30
C08F 2/44
C08F 20/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドット、および
末端に炭素-炭素二重結合を有し、20~25℃における蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体を含み、
前記量子ドットは、下記化学式1および化学式3で表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットであり、
前記重合性単量体は、無溶媒型硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含まれる、無溶媒型硬化性組成物:
【化1】

上記化学式1および化学式中、
およびR はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
、L 、L 、およびL はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n1およびn3はそれぞれ独立して、0~10の整数である
【請求項2】
前記重合性単量体は、下記化学式15で表される、請求項1に記載の無溶媒型硬化性組成物:
【化2】

上記化学式15中、
R’およびR”はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、置換もしくは非置換の炭素数5~20のアルキレン基である。
【請求項3】
前記量子ドットは、500nm~680nmで最大蛍光発光波長を有する、請求項1または2に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項4】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合開始剤、光拡散剤またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項5】
前記光拡散剤は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、ジルコニアまたはこれらの組み合わせを含む、請求項に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項6】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合禁止剤;マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項7】
前記無溶媒型硬化性組成物は、2μm~20μmの厚さで基板上に塗布後、光硬化時に90%以上の光硬化率を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項8】
前記無溶媒型硬化性組成物は、2μm~20μmの厚さで基板上に塗布されて60分が経過した後の残膜率が80%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の無溶媒型硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1~のうちのいずれか1項による無溶媒型硬化性組成物を用いて製造された硬化膜。
【請求項10】
請求項の硬化膜を含むカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項10のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【請求項12】
請求項1~のうちのいずれか1項による無溶媒型硬化性組成物を基板上にインクジェット噴射方法で塗布してパターンを形成する段階;および
前記パターンを硬化する段階を含む硬化膜製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無溶媒型硬化性組成物、これを用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタ、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置、および前記硬化膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な量子ドットの場合、疎水性を有する表面特性によって分散される溶媒が制限的であり、それにより、バインダーや硬化性モノマーなどのような極性システムへの導入に多く困っているのが事実である。
【0003】
一例として、活発に研究されている量子ドットインク組成物の場合にも、その初期段階では相対的に極性度が低く疎水性程度が高い硬化型組成物に使用される溶媒にせめて(かろうじて)分散される水準であった。そのため、全体組成物総量に対して20重量%以上の量子ドットを含ませにくくてインクの光効率を一定水準以上増加させることができなく、光効率を増加させるために無理に量子ドットを追加投入して分散させてもインク-ジェッティング(Ink-jetting)が可能な粘度範囲(12cPs)を超えるようになって、工程性を満足させることができなかった。
【0004】
また、ジェッティング(jetting)が可能な粘度範囲を実現するために全体組成物総量に対して50重量%以上の溶媒を含ませてインク固形分含量を低める方法を使用してきたが、この方法も粘度面ではある程度満足すべき結果を提供するが、ジェッティング(jetting)時溶媒揮発によるノズル乾燥、ノズル目詰り現象、ジェッティング(jetting)後時間による単膜減少などの問題と共に硬化後厚さ偏差が激しくなって、実際工程に適用し難い短所を有する。
【0005】
したがって、量子ドットインクは溶媒を含まない無溶媒タイプが実際工程に適用するのに最も好ましい形態であり、現在の量子ドット自体を溶媒型組成物に適用する技術はもうある程度限界に至ったと評価されている。
【0006】
現在まで報告されたところでは、実際工程に適用するのに最も好ましい溶媒型組成物の場合、リガンド置換など表面改質されていない量子ドットが溶媒型組成物総量に対して約20重量%~25重量%程度の含量で含まれており、したがって粘度の限界によって光効率および吸収率を増加させ難い状況である。一方、他の改善方向として量子ドット含量を低め光拡散剤(散乱体)の含量を増加させる方法も試みられているが、これも沈降問題や低い光効率問題を改善できずにいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第2016-0119149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態は、無溶媒型硬化性組成物を提供するためのものである。
【0009】
他の一実施形態は、前記組成物を用いて製造された硬化膜を提供するためのものである。
【0010】
また他の一実施形態は、前記硬化膜を含むカラーフィルタを提供するためのものである。
【0011】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供するためのものである。
【0012】
また他の一実施形態は、前記硬化膜の製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態は、量子ドット、および末端に炭素-炭素二重結合を有し、蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体を含む無溶媒型硬化性組成物を提供する。
【0014】
前記重合性単量体は、無溶媒型硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含まれてもよい。
【0015】
前記重合性単量体は、下記化学式15で表され得る。
【0016】
【化1】
【0017】
上記化学式15中、
R’およびR”はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、置換もしくは非置換の炭素数5~20のアルキレン基である。
【0018】
前記量子ドットは、下記化学式1~化学式14で表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットであってもよい。
【0019】
【化2】
【0020】
上記化学式1~化学式6中、
~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
~L16はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n1~n7はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0021】
【化3】
【0022】
上記化学式7~化学式9中、
およびRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
17~L23はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n8~n10はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0023】
【化4】
【0024】
上記化学式10~化学式13中、
10~R15はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
24~L29はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n11~n16はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0025】
【化5】
【0026】
上記化学式14中、
16~R18はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
30~L32はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n17~n19はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0027】
前記量子ドットは、500nm~680nmで最大蛍光発光波長を有することができる。
【0028】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合開始剤、光拡散剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0029】
前記光拡散剤は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、ジルコニアまたはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0030】
前記無溶媒型硬化性組成物は、重合禁止剤;マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レべリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。
【0031】
前記無溶媒型硬化性組成物は、2μm~20μmの厚さで基板上に塗布後、光硬化時に90%以上の光硬化率を有することができる。
【0032】
前記無溶媒型硬化性組成物は、2μm~20μmの厚さで基板上に塗布されて60分が経過した後の残膜率が80%以上であってもよい。
【0033】
他の一実施形態は、前記無溶媒型硬化性組成物を用いて製造された硬化膜を提供する。
【0034】
また他の一実施形態は、前記硬化膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0035】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0036】
また他の一実施形態は、前記無溶媒型硬化性組成物を基板上にインクジェット噴射方法で塗布してパターンを形成する段階;および前記パターンを硬化する段階を含む硬化膜製造方法を提供する。
【0037】
前記硬化は、光硬化または熱硬化であってもよい。
【0038】
その他の本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0039】
一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、硬化率および残膜率が同時に優れており、常温でのインクジェッティングが可能な粘度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によって定義されるだけである。
【0041】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、“シクロアルケニル基”とは炭素数3~20のシクロアルケニル基を意味し、“ヘテロシクロアルケニル基”とは炭素数3~20のヘテロシクロアルケニル基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、“アリールアルキル基”とは炭素数6~20のアリールアルキル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、“アルキルアリーレン基”とは炭素数6~20のアルキルアリーレン基を意味し、“ヘテロアリーレン基”とは炭素数3~20のヘテロアリーレン基を意味し、“アルコキシレン基”とは炭素数1~20のアルコキシレン基を意味する。
【0042】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”とは、少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸やその塩、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、炭素数3~20のヘテロアリール基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0043】
また、本明細書で特別な言及がない限り、“ヘテロ”とは、化学式内にN、O、SおよびPのうちの少なくとも一つのヘテロ原子が少なくとも一つ含まれたことを意味する。
【0044】
また、本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0045】
本明細書で特別な言及がない限り、“組み合わせ”とは混合または共重合を意味する。
【0046】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は、前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0047】
本明細書でカルド系樹脂とは、下記化学式16-1~化学式16-11からなる群より選択された一つ以上の官能基が樹脂内主鎖(backbone)に含まれる樹脂を意味する。
【0048】
また本明細書で特別な言及がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0049】
一実施形態は、量子ドットが含まれている無溶媒型硬化性組成物に関するものである。現在までの量子ドット含有硬化性組成物(インク)は量子ドットとの相溶性が良いチオール系バインダーまたはモノマー(4Tなど含まれている量子ドットシート用樹脂)を特化させる方向に開発が行われており、さらに製品化まで行われている。
【0050】
一方、一般的であり汎用的に使用されている重合性単量体である-ene系単量体(ビニル系単量体、アクリレート系単量体、メタクリレート系単量体などを全て含み、単官能から多官能まで含む)は量子ドットとの相溶性が少なく、量子ドットの分散性において限界があることによって、量子ドット含有硬化性組成物に有用に適用させるための多様な開発が難しいのが事実である。何よりも前記-ene系単量体は高濃縮量子ドット分散性を示さないという点で、量子ドット含有硬化性組成物に適用させるのに困難があった。
【0051】
このような短所によって、量子ドット含有硬化性組成物は、溶媒を相当量(50重量%以上)含む組成として開発されてきたが、溶媒含量が多くなる場合、インクジェッティング(Ink jetting;インク噴射又はインク吐出)工程性が低下される問題がある。したがって、インクジェッティング(Ink jetting)工程性を満足させるために無溶媒型硬化性組成物に対する需要が日増しに増加している。
【0052】
即ち、一実施形態は日増しに需要が増大している無溶媒型硬化性組成物に関するものであって、量子ドットと共に、末端に炭素-炭素二重結合を有し、20℃~25℃での蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体を使用することによって、硬化性組成物に対する量子ドットの親和性を向上させて無溶媒システム(solvent-free system;無溶媒系)でも量子ドットの高濃度分散性を与えることができ、量子ドット本来(本然)の光特性を阻害しないパッシベーション(passivation)効果まで与えることができる。
【0053】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0054】
[量子ドット]
一実施形態による無溶媒型硬化性組成物に含まれる量子ドットとして下記の化学式1~化学式14で表される化合物のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせで表面改質された量子ドットを使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0055】
即ち、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物に含まれる量子ドットは、極性基を有するリガンド、即ち、末端に炭素-炭素二重結合を有し、20℃~25℃での蒸気圧が1×10-4mmHg以下、例えば1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体と親和性の高いリガンドで表面改質された量子ドットであり得る。前記のように表面改質された量子ドットの場合、高濃度あるいは高濃縮量子ドット分散液の製造が非常に容易(単量体に対する量子ドットの分散性向上)であって、無溶媒型タイプのインク組成物実現および光効率改善に大きな影響を与えることができる。
【0056】
例えば、前記極性基を有するリガンドは、前記炭素-炭素二重結合を有する化合物を含む単量体の化学構造と親和性の高い構造を有することができる。
【0057】
例えば、前記極性基を有するリガンドは、下記化学式1~化学式14のうちのいずれか一つで表され得るが、必ずしもこれに限定されるのではない
【0058】
【化6】
【0059】
上記化学式1~化学式6中、
~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
~L16はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n1~n7はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0060】
【化7】
【0061】
上記化学式7~化学式9中、
およびRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
17~L23はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n8~n10はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0062】
【化8】
【0063】
上記化学式10~化学式13中、
10~R15はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
24~L29はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n11~n16はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0064】
【化9】
【0065】
上記化学式14中、
16~R18はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、
30~L32はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n17~n19はそれぞれ独立して、0~10の整数である。
【0066】
例えば、前記化学式1~化学式14で表される化合物は、下記化学式A~化学式Pで表される化合物のうちのいずれか一つで表され得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0067】
【化10】
【0068】
上記化学式D中、m1は0~10の整数である。
【0069】
【化11】
【0070】
【化12】
【0071】
前記リガンドを使用する場合、量子ドットの表面改質がさらに容易であって、前記リガンドで表面改質された量子ドットを前述の単量体に投入して攪拌すれば、非常に透明な分散液を得ることができ、これは量子ドットの表面改質が非常によく行われたのを確認する尺度となる。
【0072】
例えば、前記量子ドットは、360nm~780nmの波長領域、例えば400nm~780nmの波長領域の光を吸収して、500nm~700nmの波長領域、例えば500nm~580nmで蛍光を放出するか、600nm~680nmで蛍光を放出することができる。即ち、前記量子ドットは、500nm~680nmで最大蛍光発光波長(fluorescence λem)を有することができる。
【0073】
前記量子ドットはそれぞれ独立して、20nm~100nm、例えば20nm~50nmの半値幅(Full width at half maximum;FWHM)を有することができる。前記量子ドットが前記範囲の半値幅を有する場合、色純度が高いことによって、カラーフィルタ内色材料として使用時に色再現率が高まる効果がある。
【0074】
前記量子ドットはそれぞれ独立して、有機物であるか無機物または有機物と無機物のハイブリッド(混成物)であり得る。
【0075】
前記量子ドットはそれぞれ独立してコアおよび前記コアを囲むシェルから構成でき、前記コアおよびシェルはそれぞれ独立してII-IV族、III-V族などからなるコア、コア/シェル、コア/第1シェル/第2シェル、合金、合金/シェルなどの構造を有することができ、これに限定されるのではない。
【0076】
例えば、前記コアは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、InAsおよびこれらの合金からなる群より選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。前記コアを囲んだシェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、HgSeおよびこれらの合金からなる群より選択された少なくとも一つ以上の物質を含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0077】
一実施形態では、最近、全世界的に環境に対する関心が大きく増加し有毒性物質に対する規制が強化されているので、カドミウム系コアを有する発光物質の代わりに、量子効率(quantum yield)は多少低いが環境にやさしい非カドミウム系発光素材(InP/ZnS、InP/ZeSe/ZnSなど)を使用したが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0078】
前記コア/シェル構造の量子ドットの場合、シェルを含む全体量子ドットそれぞれの大きさ(平均粒径)は、1nm~15nm、例えば5nm~15nmであり得る。
【0079】
例えば、前記量子ドットはそれぞれ独立して、赤色量子ドット、緑色量子ドットまたはこれらの組み合わせを含むことができる。前記赤色量子ドットはそれぞれ独立して、10nm~15nmの平均粒径を有することができる。前記緑色量子ドットはそれぞれ独立して、5nm~8nmの平均粒径を有することができる。
【0080】
一方、前記量子ドットの分散安定性のために、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は分散剤をさらに含むこともできる。前記分散剤は、量子ドットのような光変換物質が無溶媒型硬化性組成物内で均一に分散するように助け、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性分散剤の全てを使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル類、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。前記分散剤は、量子ドットのような光変換物質の固形分に対して0.1重量%~100重量%、例えば10重量%~20重量%で使用できる。
【0081】
前記量子ドット、例えば、前記表面改質された量子ドットは、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%~40重量%、例えば3重量%~30重量%含まれ得る。前記量子ドット、例えば前記表面改質された量子ドットが前記範囲内に含まれる場合、光変換率に優れパターン特性と現像特性を阻害しないため優れた工程性を有することができる。
【0082】
[重合性単量体]
前記末端に炭素-炭素二重結合を有し、蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して40重量%~80重量%で含まれ得る。例えば、前記末端に炭素-炭素二重結合を有し、蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して50重量%~80重量%で含まれ得る。前記末端に炭素-炭素二重結合を有し、蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体の含量が前記範囲内であってこそ、インクジェッティングが可能な粘度を有する無溶媒型硬化性組成物の製造が可能であり、また製造された無溶媒型硬化性組成物内量子ドットが優れた分散性を有することができ、光特性も向上できる。
【0083】
また、前記重合性単量体は、20℃~25℃での蒸気圧が1×10-4mmHg以下、例えば1×10-5mmHg~1×10-4mmHgでなければならない。前記重合性単量体が前記範囲の蒸気圧を有してこそ、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物が優れた光硬化率と優れた残膜率を同時に確保することができる。例えば、前記重合性単量体が1×10-4mmHg超過の蒸気圧(20℃~25℃)を有する場合、光硬化率と残膜率の両方ともを向上させることができなく、前記重合性単量体が1×10-5mmHg未満の蒸気圧(20℃~25℃)を有する場合、常温でのインク吐出性が低下することがある。
【0084】
例えば、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、2μm~20μmの厚さで基板上に塗布後光硬化時に90%以上の光硬化率を有し、同時に前記塗布後60分が経過した後の残膜率が80%以上であり得る。
【0085】
例えば、前記末端に炭素-炭素二重結合を有し、蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体は下記化学式15で表され得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0086】
【化13】
【0087】
上記化学式15中、
R’およびR”はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、置換もしくは非置換の炭素数5~20のアルキレン基である。
【0088】
また、前記末端に炭素-炭素二重結合を有し、蒸気圧が1×10-5mmHg~1×10-4mmHgである重合性単量体とともに従来の熱硬化性または光硬化性組成物に一般に使用される単量体をさらに含むことができ、例えば前記単量体はビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテルなどのオキセタン系化合物などをさらに含むことができる。
【0089】
[重合開始剤]
一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は重合開始剤をさらに含むことができ、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0090】
前記光重合開始剤は感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、アミノケトン系化合物などを使用することができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0091】
前記アセトフェノン系の化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0092】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0093】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0094】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタルなどが挙げられる。
【0095】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0096】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタンオン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0097】
前記アミノケトン系化合物の例としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1(2-Benzyl-2-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-butanone-1)などが挙げられる。
【0098】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0099】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0100】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0101】
前記熱重合開始剤の例としては、ペルオキシド、具体的に、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ヒドロペルオキシド(例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、2,2-アゾ-ビス(イソブチロニトリル)、t-ブチルペルベンゾエートなどが挙げられ、2,2’-アゾビス-2-メチルプロピオニトリルなども挙げられるが、必ずしもこれに限定されるのではなく、当業界に広く知られたものであれば何れも使用することができる。
【0102】
前記重合開始剤は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して0.1重量%~5重量%、例えば、1重量%~4重量%で含まれ得る。重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、露光または熱硬化時に硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、未反応開始剤による透過率の低下を防止して量子ドットの光特性低下を防止することができる。
【0103】
[光拡散剤(または光拡散剤分散液)]
一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、光拡散剤をさらに含むことができる。
【0104】
例えば、前記光拡散剤は、硫酸バリウム(BaSO)、炭酸カルシウム(CaCO)、二酸化チタン(TiO)、ジルコニア(ZrO)またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0105】
前記光拡散剤は、前述の量子ドットに吸収されない光を反射させ、前記反射された光を量子ドットが再び吸収できるようにする。即ち、前記光拡散剤は、量子ドットに吸収される光の量を増加させて、硬化性組成物の光変換効率を増加させることができる。
【0106】
前記光拡散剤は、平均粒径(D50)が150nm~250nmであってもよく、具体的には180nm~230nmであり得る。前記光拡散剤の平均粒径が前記範囲内である場合、より優れた光拡散効果を有することができ、光変換効率を増加させることができる。
【0107】
前記光拡散剤は、前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%~20重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれ得る。前記光拡散剤が前記無溶媒型硬化性組成物総量に対して1重量%未満で含まれる場合、光拡散剤を使用することによる光変換効率向上効果を期待しにくく、20重量%を超過して含む場合には量子ドット沈降問題が発生するおそれがある。
【0108】
[その他の添加剤]
前記量子ドットの安定性および分散性向上のために、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は重合禁止剤をさらに含むことができる。
【0109】
前記重合禁止剤は、ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。一実施形態による無溶媒型硬化性組成物が前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせをさらに含むことによって、無溶媒型硬化性組成物を印刷(コーティング)後、露光する間に常温架橋を防止することができる。
【0110】
例えば、前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン、カテコール、t-ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、ピロガロール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-ナフトール、トリス(N-ヒドロキシ-N-ニトロソフェニルアミナト-O,O’)アルミニウム(Tris(N-hydroxy-N-nitrosophenylaminato-O,O’)aluminium)またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0111】
前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは分散液の形態で使用でき、前記分散液形態の重合禁止剤は無溶媒型硬化性組成物総量に対して0.001重量%~3重量%、例えば0.1重量%~2重量%で含まれ得る。前記重合禁止剤が前記範囲内に含まれる場合、常温経時問題を解決すると同時に、感度低下および表面剥離現象を防止することができる。
【0112】
また、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、耐熱性および信頼性向上のために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レべリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0113】
例えば、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、基板との密着性などを改善するために、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。
【0114】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0115】
前記シラン系カップリング剤は、前記無溶媒型硬化性組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれ得る。シラン系カップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などが優れる。
【0116】
また、前記無溶媒型硬化性組成物は、必要によってコーティング性向上および欠点生成防止効果のために、即ち、レベリング(leveling)性能を改善させるために界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0117】
前記フッ素系界面活性剤は、4,000g/mol~10,000g/molの低い重量平均分子量を有することができ、具体的には6,000g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができる。また前記フッ素系界面活性剤は、表面張力が18mN/m~23mN/m(0.1%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液で測定)であり得る。前記フッ素系界面活性剤の重量平均分子量および表面張力が前記範囲内である場合、レベリング性能をさらに改善することができ、高速コーティング(high speed coating)時に染み発生を防止することができ、気泡発生が少なく膜欠陥が少ないため、高速コーティング法のスリットコーティング(slit coating)に優れた特性を付与する。
【0118】
前記フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社製のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業株式会社製のメガファックF 142D(登録商標)、同F 172(登録商標)、同F 173(登録商標)、同F 183(登録商標)など;住友スリーエム株式会社製のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子株式会社製のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコン株式会社製のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)など;DIC株式会社製のF-482、F-484、F-478、F-554などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0119】
また、一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、前述のフッ素系界面活性剤と共にシリコン系界面活性剤を使用することもできる。前記シリコン系界面活性剤の具体的な例としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社(旧東芝シリコン株式会社製)のTSF400、TSF401、TSF410、TSF4440などがあるが、これに限定されるのではない。
【0120】
前記フッ素系界面活性剤などを含む界面活性剤は、前記無溶媒型硬化性組成物100重量部に対して0.01重量部~5重量部、例えば0.1重量部~2重量部で含まれ得る。前記界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、噴射されたインク内に異物が発生される現象が減るようになる。
【0121】
また一実施形態による無溶媒型硬化性組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤などのその他の添加剤が一定量さらに添加されてもよい。
【0122】
他の一実施形態は、前述の無溶媒型硬化性組成物を用いて製造された硬化膜、前記硬化膜を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0123】
前記硬化膜の製造方法のうちの一つは、前述の無溶媒型硬化性組成物を基板上にインクジェット噴射方法で塗布してパターンを形成する段階(S1);および前記パターンを硬化する段階(S2)を含む。
【0124】
(S1)パターンを形成する段階
前記無溶媒型硬化性組成物は、インクジェット噴射方式で0.5~20μmの厚さで基板上に塗布するのが好ましい。前記インクジェット噴射は、各ノズル当り単一カラーのみ噴射して必要な色の数によって反復的に噴射することによってパターンを形成することができ、工程を減らすために必要な色の数を各インクジェットノズルを通じて同時に噴射する方式でパターンを形成することもできる。
【0125】
(S2)硬化する段階
前記得られたパターンを硬化させて画素を得ることができる。この時、硬化させる方法としては、熱硬化工程または光硬化工程を全て適用することができる。前記熱硬化工程は100℃以上の温度で加熱して硬化させるのが好ましく、さらに好ましくは100℃~300℃で加熱して硬化させることができ、より一層好ましくは160℃~250℃で加熱して硬化させることができる。前記光硬化工程は、190nm~450nm、例えば200nm~500nmのUV光線などの化学線を照射する。照射に使用される光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によってX線、電子線なども用いることができる。
【0126】
前記硬化膜の製造方法のうちのまた他の一つは、前述の無溶媒型硬化性組成物を用いてリソグラフィ法を用いて硬化膜を製造することであって、製造方法は次の通りである。
【0127】
(1)塗布および塗膜形成段階
前述の無溶媒型硬化性組成物を所定の前処理を行った基板上にスピンまたはスリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケータ法などの方法を使用して所望の厚さ、例えば2μm~10μmの厚さで塗布した後、70℃~90℃の温度で1分~10分間加熱して溶媒を除去することによって塗膜を形成する。
【0128】
(2)露光段階
前記得られた塗膜に必要なパターン形成のために所定形態のマスクを介した後、190nm~450nm、例えば200nm~500nmのUV光線などの化学線を照射する。照射に使用される光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によってX線、電子線なども用いることができる。
【0129】
露光量は、前記硬化性組成物各成分の種類、配合量および乾燥膜の厚さによって異なるが、例えば、高圧水銀灯を使用する場合、500mJ/cm以下(365nmセンサーによる)である。
【0130】
(3)現像段階
前記露光段階に続き、アルカリ性水溶液を現像液として用いて不必要な部分を溶解、除去することによって露光部分のみを残存させて画像パターンを形成させる。即ち、アルカリ現像液で現像する場合、非露光部は溶解され、イメージカラーフィルタパターンが形成される。
【0131】
(4)後処理段階
前記現像によって得られた画像パターンを耐熱性、耐光性、密着性、耐クラック性、耐化学性、高強度、保存安定性などの面で優れたパターンを得るために、再び加熱するか化学線照射などを行って硬化させることができる。
【実施例
【0132】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記実施例によって限定されるのではない。
【0133】
(表面改質された量子ドット分散液の製造)
(製造例1)
3口丸底フラスコにマグネチックバーを入れて、量子ドット-CHA(cyclohexyl acetate:酢酸シクロヘキシル)溶液(固形分26wt%~27wt%)を計量投入した。ここに下記化学式Aで表されるリガンドを投入した。
【0134】
(化学式Aの合成方法:チオグリコール酸(thioglycolic acid)50g、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]-エタノール(2-[2-(2-methoxyethoxy)ethoxy]-ethanol)91g、p-トルエンスルホン酸一水和物(p-toluenesulfonic acid monohydrate)10.27gをフラスコに入れて窒素雰囲気でシクロヘキサン(cyclohexane)500mLに均一に分散した。フラスコ注入口にディーンスターク(dean stark)を連結し、ここにコンデンサー(condensor)を連結した。反応フラスコを80℃で加熱(heating)し、一定時間攪拌後、ディーンスターク(dean stark)内部に水が集まることを確認した。水が確認されれば、その後、12時間追加攪拌した。0.54molの水が出たことを確認して反応を終了した。エチルアセテート(Ethyl acetate)と過量の水を反応物に入れて抽出および中和後、真空蒸発装置(vacuum evaporator)で濃縮した後、真空オーブンで最終収得物を乾燥した。)
1分程度よく混合した後、80℃、窒素雰囲気で攪拌した。反応終了後、常温に冷却(cooling)した後、シクロヘキサン(Cyclohexane)に量子ドット反応液を入れて沈殿を取った。遠心分離を通じて沈殿した量子ドットパウダーとシクロヘキサン(cyclohexane)を分離した。澄んだ溶液は注いで廃棄し、沈殿は真空オーブンで一日間十分に乾燥して、表面改質された量子ドットを収得した。
【0135】
前記表面改質された量子ドットを1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate、美源商社)(20℃での蒸気圧:4×10-5mmHg)に12時間攪拌して表面改質された量子ドット分散液を収得した。
【0136】
【化14】
【0137】
(製造例2)
化学式Aで表されるリガンドの代わりに下記化学式Eで表されるリガンドを使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0138】
(化学式Eの合成方法:ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル(pentaethylene glycol monomethyl ether)100g、NaOH 14.3g、THF 500mL、HO 100mLが混合された溶液に、p-トルエンスルホン酸クロリド(p-toluenesulfonic chloride)79g、THF 150mL分散液を0℃で徐々に注入した。注入が終わって30分後から常温で12時間程度攪拌を継続的に行った。反応終了後、抽出と中和、濃縮過程を経て精製を終えた後、収得物を真空オーブンで十分に乾燥した。得られた収得物をフラスコに入れて窒素雰囲気下でエタノール(ethanol)に溶かした。チオ尿素(Thiourea)3~5当量を添加した後、100℃で12時間攪拌した。20当量程度のNaOH希釈液を反応物に注入した後、5時間程度さらに攪拌した。反応終了後、水と塩酸希釈液で数回洗浄(washing)および抽出、中和した後、濃縮した後、真空オーブンで十分に乾燥すれば製品が得られた。)
【0139】
【化15】
【0140】
(製造例3)
化学式Aで表されるリガンドの代わりに下記化学式Kで表されるリガンドを使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0141】
(化学式Kの合成方法:PH-4(韓農化成社)260g、アリルコハク酸無水物(allylsuccinic anhydride)140gを80℃で20時間攪拌して製造した。)
【0142】
【化16】
【0143】
(比較製造例1)
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)の代わりに、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート(2-(2-vinyloxyethoxy)ethyl acrylate、美源商社)(20℃での蒸気圧:1×10-2mmHg)を使用したことを除いては、製造例1と同様に行った。
【0144】
(比較製造例2)
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)の代わりに、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-butanediol dimethacrylate、美源商社)(20℃での蒸気圧:2×10-3mmHg)を使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0145】
(比較製造例3)
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)の代わりに、2-フェノキシエチルアクリレート(2-phenoxyethyl acrylate、美源商社)(20℃での蒸気圧:1.5×10-3mmHg)を使用したことを除いては製造例1と同様に行った。
【0146】
<評価1:分散性>
粒径分析器(Particle size analyzer)を用いて製造例1~製造例3および比較製造例1~比較製造例3から製造された量子ドット分散溶液上の粒度をマイクロ粒度分析器(Micro Particle Size Analyzer)でそれぞれ3回ずつ測定して平均を求め、その結果を下記表1に示した。
【0147】
【表1】
【0148】
上記表1から、製造例1~製造例3の量子ドット分散溶液は粒度分布が狭い特性を有し、量子ドットが重合性単量体によく分散するのを確認することができたが、比較製造例2~比較製造例3の量子ドット分散溶液は粒度分布が広い特性を有し、量子ドットが重合性単量体によく分散しないのを確認することができた。
【0149】
(無溶媒型硬化性組成物の製造)
(実施例1)
前記製造例1で得られた分散液を計量した後、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexanediol diacrylate)と混合して希釈し、重合禁止剤(メチルヒドロキノン、東京化成工業株式会社(TOKYO CHEMICAL社)製;5wt% in 化学式2-1で表される単量体)を入れて5分間攪拌した。その次に光開始剤(エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(Ethyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)phenylphosphinate、IGM Resins社製)を投入した後、光拡散剤(TiO;SDT89、イリドス社製)を入れた。全体分散液を1時間攪拌して無溶媒型硬化性組成物を製造した。無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは8重量%、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートは80重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれていた。
【0150】
(実施例2)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記製造例2で得られた分散液を使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0151】
(実施例3)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記製造例3で得られた分散液を使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0152】
(実施例4)
無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは48重量%、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートは40重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれるようにしたことを除いては実施例2と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0153】
(実施例5)
無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは50重量%、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートは38重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれるようにしたことを除いては実施例2と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0154】
(実施例6)
無溶媒型硬化性組成物総量に対して量子ドットは6重量%、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートは82重量%、重合禁止剤は1重量%、光開始剤は3重量%および光拡散剤は8重量%で含まれるようにしたことを除いては実施例2と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0155】
(比較例1)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記比較製造例1で得られた分散液を使用し、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの代わりに、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートを使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0156】
(比較例2)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記比較製造例2で得られた分散液を使用し、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの代わりに、1,4-ブタンジオールジメタクリレートを使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0157】
(比較例3)
製造例1で得られた分散液の代わりに前記比較製造例3で得られた分散液を使用し、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの代わりに、2-フェノキシエチルアクリレートを使用したことを除いては実施例1と同様に行って、無溶媒型硬化性組成物を製造した。
【0158】
<評価2:光硬化率および残膜率評価>
実施例1~実施例6および比較例1~比較例3で製造された無溶媒型硬化性組成物をそれぞれ隔壁が形成された基板上にインクジェットプリンタ(Omnijet100、ユニジェト社製)設備を使用して9picoliter/dropのvolumeで一定量滴下(drop)した後、待ち時間(Latency Time)によって顕微鏡(VK 9170、KEYENCE社製)で残膜率を観察し、滴下(drop)後、60分が経過した直後の残膜率を下記表2に示した。
【0159】
また、前記無溶媒型硬化性組成物それぞれに対してFT-IR(NICOLET 4700、Thermo社製)を使用して1635cm-1付近(C=C)、1720cm-1付近(C=O)での吸収ピークの強度を測定し、ガラス基板上に前記無溶媒型硬化性組成物それぞれをスピンコーティングで15μm厚さで塗布し5000mj/cmで照射してUV硬化させて、5cm×5cm×15μm(横×縦×厚さ)の試片を得た。硬化されたフィルムを分取し、FT-IR(NICOLET 4700、Thermo社製)を用いて1635cm-1付近(C=C)、1720cm-1付近(C=O)での吸収ピークの強度を測定した。光硬化率は、下記数式1によって計算し、その値を下記表2に示した。
【0160】
【数1】
【0161】
上記数式1中、Aは硬化されたフィルムに対して1720cm-1付近での吸収ピークの強度に対する1635cm-1付近での吸収ピークの強度の比であり、Bは無溶媒型硬化性組成物に対して1720cm-1付近での吸収ピークの強度に対する1635cm-1付近での吸収ピークの強度の比である。
【0162】
【表2】
【0163】
上記表2から分かるように、一実施形態による実施例1~6の無溶媒型硬化性組成物は、比較例1~3の無溶媒型硬化性組成物に比して、カラーフィルタ工程が行われることによる優れた光硬化率と優れた残膜率を同時に達成できるのを確認することができた。
【0164】
本発明は前記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態で製造でき、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施され得るのを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。