(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】レーザ放電チャンバにおけるダスト捕捉のための不織スクリーン
(51)【国際特許分類】
H01S 3/036 20060101AFI20220428BHJP
H01S 3/041 20060101ALI20220428BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20220428BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
H01S3/036
H01S3/041
B01D45/08 Z
B01D46/10 Z
(21)【出願番号】P 2020527759
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(86)【国際出願番号】 US2018062323
(87)【国際公開番号】W WO2019112809
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-06-19
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニーマン,ウールリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ガレスピー,ウォルター,デール
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-041790(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01243304(EP,A2)
【文献】特表2007-531312(JP,A)
【文献】特開平11-042867(JP,A)
【文献】特開2017-159629(JP,A)
【文献】特開平10-118569(JP,A)
【文献】特開2001-164923(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0039291(US,A1)
【文献】特開平04-137574(JP,A)
【文献】特開平05-175583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00、45/04-08、46/00-16
H01S 3/036
H01S 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放電レーザの放電チャンバ内のガスから粒子物質を除去するためのシステムであって、
前記放電チャンバと流体連通しているフィルタであって、少なくとも1つの不織スクリーンを含むフィルタ、
を備え
、
前記少なくとも1つの不織スクリーンは、各々に隆起特徴部が関連付けられた複数の細孔を有し、各細孔のための前記関連付けられた隆起特徴部は、前記ガスが第1の方向に流される場合に前記細孔の上流にあるように位置決めされている、システム。
【請求項2】
前記フィルタは前記放電チャンバ内に位置付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィルタは前記放電チャンバ
の外部に位置付けられ、前記システムは前記フィルタを前記放電チャンバの内部に接続する少なくとも1つのポートを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記隆起特徴部の寸法及び位置決めは、
前記隆起特徴部の周囲
の前記スクリーンの上を通過する前記ガスの一部の速度が前記ガスに混入した粒子物質の沈降速度未満に低下するようなものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記
複数の細孔の各々は前記複数の隆起特徴部の各1つに隣接している、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数
の細孔
は実質的に矩形の形状を有し、各細孔のための前記関連付けられた隆起特徴部は
実質的に矩形の形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記不織スクリーンはフォトエッチング技法を用いて製造される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記不織スクリーンは金属スタンピング技法を用いて製造される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記不織スクリーンは化学エッチング技法を用いて製造される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記不織スクリーンはエキスパンドメタル技法を用いて製造される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
ガス放電レーザの放電チャンバ内のガスから粒子物質を除去する方法であって、
前記放電チャンバと流体連通しているフィルタであって、少なくとも1つの不織スクリーンを含むフィルタを配置するステップと、
前記フィルタ
の上に前記ガスを流すステップと、
を含
み、
前記ガスは前記少なくとも1つの不織スクリーンの表面上を第1の方向に流され、前記少なくとも1つの不織スクリーンは隆起特徴部が関連付けられた複数の細孔を有し、各細孔のための前記関連付けられた隆起特徴部は、前記ガスが前記第1の方向に流れている場合に前記細孔の上流にあるように位置決めされている、方法。
【請求項12】
前記配置するステップは前記フィルタを前記放電チャンバ内に位置付けることを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記配置するステップは前記フィルタを前記放電チャンバ
の外部に位置付けることを含み、前記フィルタ
の上に前記ガスを流すステップは、前記フィルタを前記放電チャンバの内部に接続する少なくとも1つのポートを介してガスを流すことを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
金属スタンピングを用いてスクリーン要素のアレイを生成することを含む、不織スクリーンを作製する方法であって、前記スクリーン要素の各々は、孔を画定する第1の構造と、前記孔に隣接した隆起特徴部を画定する第2の構造と、を備
え、
ガスは前記スクリーン要素の少なくとも1つの表面上を第1の方向に流され、前記少なくとも1つのスクリーン要素の前記孔は前記少なくとも1つのスクリーン要素の前記隆起特徴部と関連付けられ、前記関連付けられた隆起特徴部は、前記ガスが前記第1の方向に流れている場合に前記孔の上流にあるように位置決めされている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2017年12月5日に出願された米国出願第62/594,768号の優先権を主張する。これは援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、集積回路リソグラフィ製造プロセスにおいて集積回路フォトレジストを露光するための、例えばDUV光等の光源を生成する際に使用されるガス放電レーザに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 例えばKrF、ArF、及びF2ガス放電レーザ等、レーザガスにおいてフッ素を用いるガス放電レーザでは、レーザガス放電チャンバ内の金属製コンポーネントとフッ素との相互作用によって、金属フッ化物の形態のデブリが生成される傾向がある。このようなガス放電レーザは具体的には、選択された所望の中心波長において又はその付近において使用され、例えばKrFガス放電レーザでは約248nm、ArFガス放電レーザでは約193nmで使用され得る。このデブリは、時間が経つと、例えばチャンバウィンドウのようなレーザチャンバの光コンポーネントの表面等の様々な表面上に薄く蓄積する(plate)可能性があり、これは、例えば光学系からのレーザ光の望ましくない反射及び/又は光学系を通るレーザ光の透過の妨害のように、多くの理由で出力パワーを低減させる恐れがある。これにより、望ましくない増大した放電電圧でレーザを動作させる必要が生じ、結果としてレーザチャンバの寿命が短くなる可能性がある。
【0004】
[0004] 更に、いくつかの条件では、とりわけフルエンスレベル及び波長によっては、薄く蓄積されたデブリが光学要素において局所的な高い吸収を生じるので、例えば高いフルエンスにおけるDUVのもとでは光学要素が通常よりも早く故障する場合がある。また、流れているガスに混入したダストの形態のデブリが散乱損失を引き起こす可能性もある。この現象によって、ガス放電レーザの電極間のガス放電で発生した光子が散乱するため、放電中に励起されたガス媒質において適切なレージングを生じるのに充分な量でレーザ共振キャビティ内のミラーに到達しないことがある。ダスト量が充分に多い場合、これは、所与の1又は複数のパルスにおいてレージングが全く発生しないほど顕著である可能性がある。
【0005】
[0005] 例えば数十億パルス単位で測定されるチャンバの寿命を通してダストがチャンバ内に蓄積するにつれて、この現象の頻度及び可能性が高くなり、最終的には、この業界において老年症候群(「OAS」:old age syndrome)と呼ばれるものを引き起こすか又は少なくともその主な原因となる恐れがある。これが開始すると、一般に、必要な出力レーザパルスエネルギ(ドーズ)を維持するためチャンバを交換する必要があり、また、パルス間パラメータ安定性要件のような他の要件に影響を及ぼす恐れもある。
【0006】
[0006] 一例として1つのタイプの金属コンポーネントについて取り上げると、チャンバ内の電極は、動作中に摩耗して金属フッ化物(MF:Metal Fluoride)ダストを発生させる。このダストがチャンバ動作を妨害するのを防ぐため、現在2つのシステムが採用されている。チャンバの下部にいくつかのメッシュスクリーン層を設置して、ガス流から粒子を分離させる。更に、追加のスクリーン及び電気集塵装置を収容している小さい円筒形チャンバ(金属フッ化物トラップすなわちMFT:metal fluoride trap)をメインチャンバに取り付ける。MFTは、チャンバからの入力ポート及びチャンバに戻る出力ポートを有し、チャンバガスがチャンバ外へ流出してデブリトラップを通りチャンバ内へ戻るようになっている。MFTは例えば、1991年5月21日に発行された「Compact Excimer Laser」と題する米国特許第5,018,161号、1994年12月13日に発行された「Excimer Laser Apparatus」と題する米国特許第5,373,523号、及び2003年5月27日に発行されたGas Laser Deviceと題する米国特許第6,570,899号に開示されている。これらは全て援用により全体が本願に含まれる。ダスト捕捉システムの様々な態様は、例えば、2009年4月29日に発行された米国特許第7,722,650号及び2010年5月6日に公開された米国特許出願公報第2010/0107870号に開示されている。これらは双方とも援用により全体が本願に含まれる。
【0007】
[0007] 従来のシステムでは、MFT内及びチャンバの下部に設置されたメッシュスクリーンは標準的な真鍮製の織りメッシュ(weave mesh)であり、高純度用途の要件に適合する特別な清浄度を必要とする。チャンバの寿命の終了時に、これらのスクリーンはその構造のため充分なレベルまで容易に洗浄することができず、従って廃棄する必要がある。更に、充分な収集能力を得るためいくつかの層を用いるので、表面積が極めて大きく、汚染物質を捕捉する可能性が非常に高い。MFTでは、これらのスクリーンは、所望の流路に沿ってガスを誘導する流れバリアとしても機能する。スクリーンにダストが蓄積されるにつれて、流れ誘導特性、従って流路は、チャンバ寿命中に予測できない変化を生じる。製造中にこれらのスクリーンの複数の層を配置することはエラーが起きやすく、意図した通りに流れを誘導する能力及びダスト粒子の蓄積に影響を及ぼし得る。
【0008】
[0008] 従って、効率的にダストを捕捉するダスト捕捉システム設計を提供できることが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 以下に、1つ以上の実施形態の基本的な理解を得るため、これらの実施形態の簡略化された概要を提示する。この概要は想定される全ての実施形態の広範にわたる概説でなく、全ての実施形態の重要な又は不可欠な要素を識別することも、任意の又は全ての実施形態の範囲を示すことも意図していない。その唯一の目的は、後述されるより詳細な説明の前置きとして、1つ以上の実施形態のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0010】
[00010] ここに提案される発明は、現在の織りタイプのスクリーンの代わりに、孔パターンと組み合わせることができるカスタム隆起構造特徴部(feature)を備えた薄い金属シートを使用することを目指している。この隆起構造特徴部と孔は、金属スタンピング又はフォトエッチング又は化学エッチング等の製造技法によって実現され得る。このような製造技法を使用できることで、所与の用途に特有の表面積、ボイド率、及び隆起特徴部に合わせてスクリーンパターンを作製することが可能となる。これによって流れを精密に誘導して、ガス流からの粒子の分離を最適化すると共に、ダスト付着のために充分な表面積を与えることができる。第2に、スクリーン構造によって、ラッチのような搭載及び固定特徴部の一体化を可能とする製造方法を、パターニングプロセスの一部として、その後の製造後ステップを用いることなく使用できる。これらのスクリーンは、メッシュ状スクリーンに利用可能であるよりも著しく広い範囲の合金から製造できるので、耐腐食性及び粒子吸引に関して最適化することができる。必要なカスタム仕上げも、より容易に適用できる場合。これは、構造の単純さ(折り目、節点の減少)から生じる結果であり、構造の単純さによって、これらの部品を高い清浄基準で洗うことも可能となる。
【0011】
[00011] 従って、第1の態様によれば、ガス放電レーザの放電チャンバ内のガスから粒子物質を除去するためのシステムが開示される。このシステムは、放電チャンバと流体連通しているフィルタであって、少なくとも1つの不織スクリーンを含むフィルタを備える。フィルタは放電チャンバ内に位置付けられ得る。放電チャンバは下部を有することができ、その場合フィルタは放電チャンバの下部に隣接して位置付けられ得る。フィルタは放電チャンバ外部に位置付けてもよい。システムは、フィルタを放電チャンバの内部に接続する少なくとも1つのポートを更に備え得る。少なくとも1つの不織スクリーンは複数の隆起特徴部を有し、複数の細孔も有し得る。隆起特徴部の寸法及び位置決め並びに細孔の寸法及び位置決めは、スクリーン上の隆起特徴部の周囲を通過するガスの一部の速度が、ガスに混入した粒子物質の相当な量(例えば大部分)の沈降速度未満に低下するようなものであり得る。ガスは少なくとも1つの不織スクリーンの表面上を第1の方向に流され、少なくとも1つの不織スクリーンは隆起特徴部が関連付けられた複数の細孔を有し、各細孔のための関連付けられた隆起特徴部は、ガスが第1の方向に流れている場合に細孔の上流にあるように位置決めされ得る。
【0012】
[00012] ガスは少なくとも1つの不織スクリーンの表面上を第1の方向に流され、少なくとも1つの不織スクリーンは実質的に矩形の隆起特徴部が関連付けられた複数の実質的に矩形の細孔を有し、各細孔のための関連付けられた隆起特徴部は、ガスが第1の方向に流れている場合に細孔の上流にあるように位置決めされ得る。細孔は、第1の方向で測定される長さが約1mmから約10mmの範囲内であり得る。細孔は、第1の方向を横断する方向で測定される幅が約1mmから約10mmの範囲内であり得る。
【0013】
[00013] ガスは、少なくとも1つの不織スクリーンの表面上を第1の方向に流され、少なくとも1つの不織スクリーンは実質的に矩形の隆起特徴部が関連付けられた複数の実質的に矩形の細孔を有し、各細孔のための関連付けられた隆起特徴部は、ガスが第1の方向に流れている場合に細孔の下流にあるように位置決めされ得る。
【0014】
[00014] 不織スクリーンは、レーザエッチング技法、フォトエッチング技法、金属スタンピング技法、堆積技法、エキスパンドメタル技法、又はこれらの技法の何らかの組み合わせを用いて製造され得る。
【0015】
[00015] 別の態様によれば、ガス放電レーザの放電チャンバ内のガスから粒子物質を除去する方法が開示される。この方法は、放電チャンバと流体連通しているフィルタであって、少なくとも1つの不織スクリーンを含むフィルタを配置するステップと、フィルタ上にガスを流すステップと、を含む。配置するステップは、フィルタを放電チャンバ内に位置付けることを含み得る。放電チャンバは下部を有し、配置するステップはフィルタを放電チャンバの下部に隣接して位置付けることを含み得る。配置するステップはフィルタを放電チャンバ外部に位置付けることを含み、フィルタ上にガスを流すステップは、フィルタを放電チャンバの内部に接続する少なくとも1つのポートを介してガスを流すことを含み得る。
【0016】
[00016] 別の態様によれば、フォトエッチングを用いて隆起特徴部のアレイ又は隆起特徴部と細孔のアレイを生成することを含む、不織スクリーンを作製する方法が開示される。
【0017】
[00017] 別の態様によれば、金属スタンピングを用いてスクリーン要素のアレイを生成することを含む、不織スクリーンを作製する方法が開示される。スクリーン要素の各々は、孔に隣接した隆起特徴部を画定する第1の構造を含む。スクリーンは、穴を画定する第2の構造も含み得る。
【0018】
[00018] 本発明の別の実施形態、特徴、及び利点、並びに様々な実施形態の構造及び動作は、添付図面を参照して以下で詳しく記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[00019] 本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付図面は、限定ではなく一例として本発明の実施形態の方法及びシステムを説明する。詳細な説明と共に、図面は更に、本明細書に提示されている方法及びシステムの原理を説明するように、また、当業者がこの方法及びシステムを作製し使用できるように機能する。図面において、同様の参照番号は同一の又は機能的に同様の要素を示す。
【0020】
【
図1】[00020] 本発明の一実施形態の態様に従ったガス放電レーザチャンバの断面部分概略図であり、この断面は、ガス放電レーザチャンバ内に生成されるレーザ出力光ビームの光軸を横断する方向で切り取られている。
【
図2】[00021] 本発明の一実施形態の態様に従ったスクリーンの斜視図である。
【
図3】[00022] 本発明の別の実施形態の態様に従ったスクリーンの斜視図である。
【
図4A】[00023] 本発明の別の実施形態の態様に従ったスクリーンの斜視図である。
【
図4B】[00023]
図4Aのスクリーンの側面図である。
【
図5】[00024] 本発明の別の実施形態の態様に従ったスクリーンの側面図である。
【
図6】[00025] 本発明の別の実施形態の態様に従ったスクリーンの側面図である。
【
図7】[00026] 本発明のいくつかの実施形態の態様の基礎にあるいくつかの原理を示すことに関連付けて用いられるグラフである。
【
図8A】[00027] 本発明の別の実施形態の態様に従ったスクリーンの上面図である。
【
図8B】[00027] 本発明の別の実施形態の態様に従ったスクリーンの側面図である。
【
図9A】[00028] 本発明の別の実施形態の態様に従ったスクリーンの切り取り側面図である。
【
図9B】[00028]
図9Aの実施形態のコンポーネントの部分切り取り斜視図である。
【
図9C】[00028]
図9Bのコンポーネントの真横からの図である。
【0021】
[00029] 本発明の更に別の特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作は、添付図面を参照して以下で詳しく説明される。本発明が本明細書に記載される特定の実施形態に限定されないことに留意するべきである。そのような実施形態は本明細書において例示のみを目的として提示される。本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者には追加の実施形態が明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[00030] これより図面を参照して様々な実施形態について記載する。図面全体を通して、同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。以下の記載では、説明の目的で、1つ以上の実施形態の完全な理解を促進するため多数の具体的な詳細事項について述べる。しかしながら、いくつかの場合又はあらゆる場合において、以下に記載されるどの実施形態も、以下に記載される具体的な設計の詳細事項を採用することなく実施できることは明らかであろう。場合によっては、1つ以上の実施形態の記載を容易にするため、周知の構造及びデバイスはブロック図の形態で示されている。以下に、1つ以上の実施形態の基本的な理解を得るため、これらの実施形態の簡略化された概要を提示する。この概要は想定される全ての実施形態の広範にわたる概説でなく、全ての実施形態の重要な又は不可欠な要素を識別することも、任意の又は全ての実施形態の範囲を示すことも意図していない。
【0023】
[00031] 以下の記載において及び特許請求の範囲において、「上方(up)」、「下方(down)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」等の用語を使用することがある。これらの用語は相対的な向きを示すだけであり、重力に対する向きは示さないことが意図される。
【0024】
[00032] また、本明細書において用いる場合、「画面」という用語は、孔、細孔、又はアパーチャを含む場合も含まない場合もある構造、デバイス、及び機構を指すために用いられる。
【0025】
[00033] ここで
図1を参照すると、本発明の一実施形態の態様に従ったガス放電レーザシステムのガス放電チャンバ20が示されている。チャンバ20は、例えばチャンバ上半分22及びチャンバ下半分24から構成することができ、これらは、例えばボルト締めのような適切な手段によって相互に接続された場合にチャンバ内部26を画定するよう機能し得る。また、チャンバ上半分22及びチャンバ下半分は例えばチャンバ内部垂直壁28を画定し、チャンバ下半分24はチャンバ内部水平下壁29を画定する。
【0026】
[00034] また、チャンバ内26には例えば、2つの細長い対向電極すなわちカソード30及びアノード32を含むガス放電システムも収容されている。これらの間にはガス放電領域34が画定されており、カソード30及びアノード32間に充分な電圧が存在することに応答して、これも細長い放電領域34内の電極間でガスが伝導し、放電の電離プラズマにおいて特定の化学的及び電気的な反応が生じ、この結果、例えば固有中心波長において又はその付近において放射が生成される。この放射は、電極30及び32の長手方向軸に概ね位置合わせされた出力レーザ光パルスの光軸に沿って光学的に誘導される。
【0027】
[00035] また、チャンバ内26には例えばアノードサポートバー36も存在し得る。アノードは、複数の電流リターンを介してチャンバ上半分22に接続することができる。チャンバ上部22は、チャンバ下部24と共に、例えば接地電圧のような共通の電圧に保持されている。
【0028】
[00036] カソード32は、例えば主絶縁体44を貫通する高電圧フィードスルー42によって、放電高電圧フィードスルーアセンブリ40に接続することができる。主絶縁体44は、カソードをチャンバ上半分22から電気的に絶縁した状態に維持できる。また、チャンバ内部26には、例えばカソード30の近傍のプレイオナイザ(preionizer)50も存在し得る。
【0029】
[00037] また、ガス放電チャンバ内26には、例えば概ね円筒形のクロスフローファン60とすることができるガス循環ファン60を含むガス循環システムも存在し得る。ファン60は、連続したガス放電とガス放電との間に、放電領域34から、電離粒子及びデブリ及び消耗した(depleted)F2を含むガスを除去して、次のガス放電の前に新たなガスを放電領域に補充するため、チャンバ内部26内のガスを
図1の断面図で見られるように概ね円形に移動させるよう機能する。また、ガス循環システムは、例えば放電及びファン60の動作によってガスに加わった熱を除去するため、概ね円形のガス流路において複数の熱交換器70も含むことができる。
【0030】
[00038] また、ガス循環システムは複数の湾曲バッフル80及び流れ誘導羽根62も含むことができる。これらは、放電領域34から熱交換器70へ、最終的にはファン60の吸気口への、及びファン60の出力から放電領域34への、概ね円形のガス流路をそれぞれ整形するように機能し得る。
【0031】
[00039] また、チャンバ26は、チャンバ26の内部と流体連通している金属フッ化物トラップ(MFT)90に取り付けることができ、チャンバ26の下部24の水平下部内壁29に沿って位置決めされたダストトラップ100も有することができる。ダストとは例えば、ガス循環によって循環し、肉眼ではほこり状(dust-like)又は糸くず状に見える、ほとんどの場合は金属フッ化物物質である様々な形態のデブリを意味することは理解されよう。MFT90は環状チャネルとして構成され得る。このチャネル内に1つ以上のスクリーンを丸めて配置し、チャネルを通って流れるガスから粒子を除去する。
【0032】
[00040] MFT90及びダストトラップ100は、チャンバ26内のガスからダストを除去するためのスクリーンを含む。これらのスクリーンは典型的には織りメッシュスクリーンであり、洗浄が難しいので一般に再使用が不可能であることを含むいくつかの問題を有する傾向がある。ここで「織り(woven)」とは、ワイヤ又は他の細い材料片をからみ合わせることによって形成されることを意味する。本発明の一実施形態の態様によれば、MFT90及びダストトラップ100のスクリーンは織りでなく、金属スタンピング及び/又はフォトエッチング等の不織技術を用いて製造される。ここで「織りでない(not woven)」及び「不織(nonwoven)」は、ワイヤ又は他の細い材料片をからみ合わせること以外の方法で形成されることを意味する。
【0033】
[00041]
図2に、そのようなスクリーンが示されている。
図2は、例えば全体的に金属製材料で作製されたプレート210から成るスクリーン200を示す。スクリーン200は、細孔220のアレイ(整列しているか又は整列していない)を含む。図示されている構成において、アレイは一連の行及び列として整列し、隣接する行は交互に配置されている。また、図示されている構成において、細孔220の各々は三日月形であるが、細孔220は例えば矩形、円形、楕円形、曲線、台形、多角形、三日月形のような異なる形状を有し得ることは認められよう。アレイ内の細孔220は全て同一の大きさ及び形状であるが、これは必須でなく、一般にアレイは様々な大きさ及び形状の細孔220を含み得ることは認められよう。
【0034】
[00042] 図示されている構成において、細孔220の各々に隆起特徴部230が関連付けられている。細孔220の全てが必ずしも隆起特徴部230を有する必要はなく、隆起特徴部230を有する細孔220もあればそうでない細孔220もあるスクリーン200を構築できることは認められよう。また、隆起特徴部230の全てに細孔220が関連付けられている必要はなく、細孔220を有する隆起特徴部230もあればそうでない隆起特徴部230もあるスクリーン200を構築できることは認められよう。図示されている構成では、隆起特徴部230の各々は概ねドーム形状であり、矢印Aの方向にプレート210の表面上を流れるガスを遮って方向転換させて隆起特徴部の下流に低圧ゾーンを生成するようになっているが、隆起特徴部230は、例えば矩形、円形、楕円形、曲線、台形、多角形、三日月形のような異なる形状を有し得ることは認められよう。アレイ内の隆起特徴部230は全て同一の大きさ及び形状であるが、これは必須でなく、概してアレイは様々な大きさ及び形状の隆起特徴部230を含み得ることは認められよう。図示されている構成において、隆起特徴部又は突起230は細孔220の上流にあるが、隆起特徴部が細孔の下流に位置決めされて隆起特徴部230の上流に低圧/低速度ゾーンを生成することも可能である。
【0035】
[00043]
図3は、例えば全体的に金属製材料で作製されたプレート310から成るスクリーン300を示す。スクリーン300は、細孔320のアレイ(整列しているか又は整列していない)を含む。図示されている構成において、アレイは一連の行と列として整列し、隣接する行は交互に配置されている。また、図示されている構成において、細孔320の各々は矩形であるが、細孔320は例えば円形、楕円形、曲線、台形、多角形、三日月形のような異なる形状を有し得ることは認められよう。アレイ内の細孔320は全て同一の大きさ及び形状であるが、これは必須でなく、一般にアレイは様々な大きさ及び形状の細孔320を含み得ることは認められよう。
【0036】
[00044]
図3に図示されている構成において、細孔320の各々に隆起特徴部330が関連付けられている。細孔320の全てが必ずしも隆起特徴部330を有する必要はなく、隆起特徴部330を有する細孔320もあればそうでない細孔320もあるスクリーン300を構築できることは認められよう。また、隆起特徴部330の全てに細孔320が関連付けられている必要はなく、細孔320を有する隆起特徴部330もあればそうでない隆起特徴部330もあるスクリーン300を構築できることは認められよう。図示されている構成では、隆起特徴部330の各々は矩形であり、矢印Bの方向にプレート310の表面上を流れるガスを遮って方向転換させて隆起特徴部330の各々の下流に低圧ゾーンを生成するようになっている。隆起特徴部330は、例えば円形、楕円形、曲線、台形、多角形、三日月形のような異なる形状を有し得ることは認められよう。アレイ内の隆起特徴部330は全て同一の大きさ及び形状であるが、これは必須ではなく、概してアレイは様々な大きさ及び形状の隆起特徴部330を含み得ることは認められよう。
【0037】
[00045] 図示されている構成では、ガスが矢印Bとは反対の方向にプレート310の表面上を流れて、隆起特徴部の上流に低圧ゾーンを生成することも可能である。しかしながら、ガスは主としてプレート310内を通って流れるのではなく主としてプレート310の上を流れている。
【0038】
[00046] スクリーン200及びスクリーン300は、その上及び/又はその中を通って流れているガス流をそらすように構成されている。隆起特徴部と適切な寸法の細孔又は開口との組み合わせによって、圧力低下に基づくだけでなく層流の操作によってもガス制御を可能とする。また、スクリーンの幾何学的特徴及びパターニングは、スクリーンを再使用できる可能性が高くなるように織りメッシュに比べて洗浄が容易であるよう構成することができる。
【0039】
[00047] これらのスクリーンは、隆起特徴部の下流に形成され、ある程度は上流にも形成される低圧/低粒子速度のエリアで、スクリーン上を流れるガス中の粒子物質の相当な量(例えば大部分)を除去する。アパーチャ又は細孔が存在する場合、細孔の両側の圧力差及びそれによって生じた細孔を通るガス流のいずれかによって粒子物質は細孔を通過させられ、これによって主ガス流から除去され得る。また、スクリーンの向きに応じて、重力がこの効果に寄与する可能性がある。しかしながら、粒子は粘着性である傾向があるので、減速するとスクリーンの表面に付着し、別の効果的な除去機構が与えられる。例えば、
図4Aはアパーチャが存在しないスクリーン340を示す。このような構成では、粒子物質の除去は主として、スクリーン340の表面にくっつくほど粒子物質を減速させることによって行われる。この効果は、
図4Bに示されているように、隆起特徴部330の下流の低圧ゾーンにおいて最も顕著である。
図4Bにおいて、粒子物質の塊334は隆起特徴部330の下流側の基部に蓄積する。また、粒子物質の塊336は隆起特徴部330の上流側の基部に蓄積する。粒子は粘着性であるので、他の表面にも付着して蓄積する。
【0040】
[00048]
図5は、貫通アパーチャが存在しないが、代わりにくぼみ325を備えたスクリーン5を示す。このような構成では、粒子物質の除去は主として、スクリーンの表面にくっつくほど粒子物質を減速させることによって行われる。この効果は、隆起特徴部330の下流の低圧ゾーンのくぼみ325において最も顕著である。
【0041】
[00049]
図6は、隆起特徴部330及び開口320を備えたスクリーンを示す。開口320は導管又はプレナム360に開口している。このような構成において、粒子物質の除去は、開口320を通ってプレナム360内で蓄積するのに充分なほど粒子物質を減速させることによって行われる。また、プレナム360でガス流を提供して、開口に低圧ゾーンを生成すると共に、粒子後者を別の場所へ運ぶことができる。また、粒子物質の一部はプレナム360内で塊362として蓄積し得る。粒子は粘着性であるので、他の表面にも付着して蓄積する傾向がある。
【0042】
[00050] 寸法及び形状の選択に関して、ダスト粒子、特に放電チャンバ内に存在する金属フッ化物粒子は、機会があればどんな表面にも容易に付着する。付着を引き起こす力は、粒子対表面の相対移動が低速になればなるほど、又は滞留時間が長くなればなるほど(静止粒子)効果的になる。第2に、流れは、粒子が頻繁に固体表面と接触するようなものでなければならない。関連する多くの物理的パラメータ及び特性があるが、支配的なのは流れレジーム(flow regime)及び流速である。
【0043】
[00051] 流れレジームに関して、乱流は、局所的な速度上昇と、沈降した粒子をランダムにガス流へ戻す可能性のある移動渦(moving eddy)の可能性を高めるので、スクリーンにおけるガス流は好ましくは層流であるべきである。これらの局所的な速度上昇及び移動渦は、トラップの設計において工学的な課題となる。従って、安定した層流が望ましい。流れレジームを予測するために使用される量であるレイノルズ数は、ここで検討されるチャンバスクリーン設計では50未満でなければならない。
【0044】
[00052] Re=ρuL/μ=uL/ν
ここで、ρは流体の密度であり(SI単位:kg/m3)、
uは物体に対する流体の速度であり(m/s)、
Lは固有線形寸法であり(m)、
μは流体の動的粘度であり(Pa・s又はN・s/m2又はkg/m・s)、
νは流体の動粘性率である(m2/s)。
【0045】
[00053] この数は後ろ向きステップ理論から導出することができる。障害物が流れを部分的に遮る場合、障害物の後ろ側に低圧環境が生成され、ガスは後ろ側へ向かって流れる。発生した渦は、小さいレイノルズ数では安定している。レイノルズ数が大きくなると、これらの渦は振動し始め、最終的に不安定になる。粒子トラップの状況において、これらの渦は、主流よりも数桁遅い局所速度を有するエリアを生じ、これによってダストを沈降させる最適な条件が与えられる。
【0046】
[00054] これによって流速が検討される。チャンバガスは約20~40m/sの速度で流れる。特定の大きさ及び重量の粒子では、ガスによって加わる力が粒子を浮遊したまま保つには充分でない流速がある。これを沈降速度と呼ぶ。粒子が小さくなればなるほど、粒子が落ちて重力により沈降するために必要な流速は遅くなる。
【0047】
[00055] w=2(ρp-ρt)gr2/9μ
ここで、wは沈降速度であり、
ρpは粒子密度であり、
ρfは流体密度であり、
gは重力による加速であり、
rは粒子の半径であり、
μは流体の動的粘度である。
【0048】
[00056] 個別の粒子又は一般的に発生する凝集のどちらを検討するか否かに応じて、0.5~50ミクロンであるチャンバダストの粒径分布を用いて、ガス粘度及び各密度に関連付けて、このパラメータを導出することができる。
図7は、粒径の関数として沈降速度を示すグラフである。
【0049】
[00057] この計算から、ダスト捕捉デバイスの所望の機能性を達成するには、ガス流を自由流から<1m/sに低減させる必要があることが仮定できる。
【0050】
[00058] 例えば
図8A及び
図8Bに示されているようなスクリーン300では、細孔320は、流れを横断する方向で測定される幅(寸法C)がミクロンからミリメートルの範囲内である。細孔320は、流れと平行に測定される長さ(寸法D)が約1mmから約10mmの範囲内である。細孔220は交互配置された行で配列され、1つの隆起特徴部230から次の行の隆起特徴部230までの距離(寸法E)はミリメートルのオーダーである。隆起特徴部は、高さ(
図5Bの寸法F)が約3mm~約15mmの範囲内であり得るが、この寸法は、スクリーン300と隣接構造との間の空間を埋めるように決定することができる。隣接構造とは例えば、MFT90の環状壁、別のスクリーン、又はスクリーンが丸められるかもしくは折り畳まれる場合は同一スクリーンの別の部分である。
【0051】
[00059]
図9Aに示されているように、MFT90では、ガスは最初に環状ダクト900を通って流れる。環状ダクト900の内殻と外殻との間の隙間はミリメートルのオーダーである。レーザ動作中にMFTを通る流量は100cm
3/秒のオーダーであり、このため流速はcm/秒のオーダーとなる。上述の概念を実施するため、隆起特徴部又は突起の寸法及び間隔を後ろ向きステップ理論から導出することができる。突起の高さは、殻間の空間全部を占めることで迂回が発生しないように選択すればよい。幅及び横方向分離距離は、ガスを局所的に加速させると共にレイノルズ数に影響を及ぼすガスの「スロットル調整(throttling)」を決定する。注意深くこれらのパラメータのバランスを取ることで、適正な流れレジームを確立できる。次いで、ダストが蓄積する突起の背後の再循環エリアの長さを計算することができる。ここに記載されている条件では、これらは突起の幅に等しい。流れが次の突起に当たる前に流れをまっすぐにするようにスクリーンを設計する場合、突起の行の間隔を2倍にする。従って流れは、本明細書における教示に従って作製されたスクリーン920又は層状スクリーン920の表面上を通るプロセスにおいて、ラムスクープ(ram scoop)910及び環状ダクト900を通過する。次いでガスは方向を変えて電気集塵装置930上を通り、その後、出口ポート940へ誘導される。
【0052】
[00060]
図9Bは、環状ダクト900及びその内部に位置決めされたスクリーン920の部分切断斜視図である。図示されている構成のスクリーン920は、環状ダクト900を半径方向に事実上充填するような大きさの突起又は隆起特徴部を有する。ガスは環状ダクト900内を流れ、ガス流中の粒子物質は減速して、スクリーン920の表面や環状ダクト900の内面のような表面に付着する。これは
図9Cに関連付けて示されている。環状ダクト900が図示のような向きである場合、矢印Gで示されている方向の重力により、粒子物質は太い線で示されるような上向きの表面に蓄積する傾向があるが、粒子は一般に他の向きの表面にも付着する傾向がある。
【0053】
[00061] 上記のように、スクリーン200及びスクリーン300等の不織スクリーンに孔及び突起のような搭載特徴部を組み込むことは、織りスクリーンに同じ特徴部を設けるよりも容易である。このような特徴部は、同じ技法を用いて隆起特徴部又は隆起特徴部と細孔を製造するのと同時にスクリーンに組み込むことができる。
【0054】
[00062] スクリーン200及びスクリーン300のような不織スクリーンは、技法のいずれか1つ又は組み合わせを用いて製造され得る。例えばスクリーンは、フォトエッチング又は化学エッチングを用いて細孔を生成すると共に堆積技法を用いて隆起特徴部を構築することにより製造すればよい。この技法は、極めて小さい寸法の細孔及び隆起特徴部を備えたスクリーンを作製するには特に有用である。突起を生成するため、材料を除去する「切断線」をエッチングすることができる。次いで、これらの切断部の端部間の短い線が曲げ線となり、これを中心として突起をフラップのように折り曲げればよい。実際の障害物は、フラップを所望の位置に押しやるスタンプ等の機械的手段によって生成される。
【0055】
[00063] レーザエッチングを用いて細孔を作製することができる。機械的形成方法を用いて特徴部を所望の位置に曲げることで突起を生成することができる。あるいは、金属スタンピングを用いて単一のステッププロセスで隆起特徴部又は隆起特徴部と細孔を作製することも可能である。3D印刷のような追加の製造技法を用いてスクリーンを作製してもよい。規則的なパターンを形成するように金属材料シートを切って引き伸ばすエキスパンドメタル(expanded metal)技法を用いてもよい。
【0056】
[00064] 不織スクリーンは多種多様な材料を用いて製造することができる。フォトエッチングは多くのタイプの金属に対して有効であり、これによって耐食性及び粒子付着特性を満足させる材料選択を可能とする。
【0057】
[00065] 上記の記載は複数の実施形態の例を含む。むろん、上述の実施形態を説明する目的のために全ての想定されるコンポーネント又は方法の組み合わせを記載することはできないが、当業者には、様々な実施形態の多くの別の組み合わせ及び並べ替えが可能であることは認められよう。従って、記載される実施形態は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に該当する全てのそのような修正、変更、及び変形を包含することが意図される。更に、「含む(includes)」という用語が詳細な説明又は特許請求の範囲で用いられる限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprising)」という用語が請求項で移行語として用いられる場合に解釈されるのと同様に、包含的である(inclusive)ことが意図される。更に、記載される態様及び/又は実施形態の要素は単数で記載又は特許請求され得るが、単数に対する限定が明示的に述べられていない限り複数が想定される。更に、特に明記しない限り、任意の態様及び/又は実施形態の全て又は一部は他の任意の態様及び/又は実施形態の全て又は一部と共に利用され得る。
【0058】
[00066] 本発明の他の態様は、以下に番号を付けた条項に述べられている。
1. ガス放電レーザの放電チャンバ内のガスから粒子物質を除去するためのシステムであって、
放電チャンバと流体連通しているフィルタであって、少なくとも1つの不織スクリーンを含むフィルタ、
を備えるシステム。
2. フィルタは放電チャンバ内に位置付けられている、条項1に記載のシステム。
3. 放電チャンバは下部を有し、フィルタは放電チャンバの下部に隣接して位置付けられている、条項2に記載のシステム。
4. フィルタは放電チャンバ外部に位置付けられ、システムはフィルタを放電チャンバの内部に接続する少なくとも1つのポートを更に備える、条項1に記載のシステム。
5. 少なくとも1つの不織スクリーンは複数の隆起特徴部を有し、隆起特徴部の寸法及び位置決めは、スクリーン上の隆起特徴部の周囲を通過するガスの一部の速度がガスに混入した粒子物質の沈降速度未満に低下するようなものである、条項1に記載のシステム。
6. 少なくとも1つの不織スクリーンは複数の細孔を有し、細孔の各々は複数の隆起特徴部の各1つに隣接している、条項5に記載のシステム。
7. ガスは少なくとも1つの不織スクリーンの表面上を第1の方向に流され、少なくとも1つの不織スクリーンは隆起特徴部が関連付けられた複数の細孔を有し、各細孔のための関連付けられた隆起特徴部は、ガスが第1の方向に流れている場合に細孔の上流にあるように位置決めされている、条項1に記載のシステム。
8. ガスは少なくとも1つの不織スクリーンの表面上を第1の方向に流され、少なくとも1つの不織スクリーンは実質的に矩形の隆起特徴部が関連付けられた複数の実質的に矩形の細孔を有し、各細孔のための関連付けられた隆起特徴部は、ガスが第1の方向に流れている場合に細孔の上流にあるように位置決めされている、条項1に記載のシステム。
9. 細孔は第1の方向で測定される長さが約1mmから約10mmの範囲内である、条項8に記載のシステム。
10. 細孔は第1の方向を横断する方向で測定される幅が約1mmから約10mmの範囲内である、条項8に記載のシステム。
11. ガスは少なくとも1つの不織スクリーンの表面上を第1の方向に流され、少なくとも1つの不織スクリーンは実質的に矩形の隆起特徴部が関連付けられた複数の実質的に矩形の細孔を有し、各細孔のための関連付けられた隆起特徴部は、ガスが第1の方向に流れている場合に細孔の下流にあるように位置決めされている、条項1に記載のシステム。
12. 不織スクリーンはフォトエッチング技法を用いて製造される、条項1に記載のシステム。
13. 不織スクリーンは金属スタンピング技法を用いて製造される、条項1に記載のシステム。
14. 不織スクリーンは化学エッチング技法を用いて製造される、条項1に記載のシステム。
15. 不織スクリーンはレーザ切断技法を用いて製造される、条項1に記載のシステム。
16. 不織スクリーンはエキスパンドメタル技法を用いて製造される、条項1に記載のシステム。
17. 不織スクリーンは堆積技法を用いて製造される、条項1に記載のシステム。
18. ガス放電レーザの放電チャンバ内のガスから粒子物質を除去する方法であって、
放電チャンバと流体連通しているフィルタであって、少なくとも1つの不織スクリーンを含むフィルタを配置するステップと、
フィルタ上にガスを流すステップと、
を含む方法。
19. 配置するステップはフィルタを放電チャンバ内に位置付けることを含む、条項18に記載の方法。
20. 放電チャンバは下部を有し、配置するステップはフィルタを放電チャンバの下部に隣接して位置付けることを含む、条項19に記載の方法。
21. 配置するステップはフィルタを放電チャンバ外部に位置付けることを含み、フィルタ上にガスを流すステップは、フィルタを放電チャンバの内部に接続する少なくとも1つのポートを介してガスを流すことを含む、条項18に記載の方法。
22. フォトエッチングを用いて細孔のアレイを生成することを含む、不織スクリーンを作製する方法。
23. 金属スタンピングを用いてスクリーン要素のアレイを生成することを含む、不織スクリーンを作製する方法であって、スクリーン要素の各々は、孔を画定する第1の構造と、孔に隣接した隆起特徴部を画定する第2の構造と、を備える、方法。
【0059】
[00067] 他の実施は以下の特許請求の範囲の範囲内である。