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特許7065883色変換体としての1,6,7,12-テトラ-(2-イソプロピルフェノキシ)置換ペリレンテトラカルボン酸ジイミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】色変換体としての1,6,7,12-テトラ-(2-イソプロピルフェノキシ)置換ペリレンテトラカルボン酸ジイミド
(51)【国際特許分類】
   C09B 5/62 20060101AFI20220502BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220502BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20220502BHJP
   C09B 57/12 20060101ALI20220502BHJP
   C09B 3/14 20060101ALI20220502BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20220502BHJP
   C07D 471/06 20060101ALN20220502BHJP
【FI】
C09B5/62 CSP
C09K11/06
H01L33/50
C09B57/12
C09B3/14
C09D11/037
C07D471/06
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019559393
(86)(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2018051123
(87)【国際公開番号】W WO2018134263
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】17151931.7
(32)【優先日】2017-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17187765.7
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ケーネマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート ヴァーゲンブラスト
(72)【発明者】
【氏名】ハンナー シュテファニー マンゴルト
(72)【発明者】
【氏名】ソリン イヴァノヴィチ
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-519191(JP,A)
【文献】特表2016-534100(JP,A)
【文献】国際公開第2015/169935(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/151068(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0002591(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0253198(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0284811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 5/62
C09K 11/06
H01L 33/50
C09B 57/12
C09B 3/14
C09D 11/037
C07D 471/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物
【化1】
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-シクロアルキル、C-C24-アリールおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンからなる群から選択され、前記最後に言及された3つの基における前記シクロアルキル、アリールおよびアリール-アルキレンの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基Rにより置換されており
は、C-C24-アルキル、C-C24-フルオロアルキル、C-C24-アルコキシ、フッ素、塩素または臭素である]。
【請求項2】
およびRが、それぞれ独立して、直鎖C-C24-アルキル、分岐鎖C-C24-アルキル、C-C24-アリールおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンからなる群から選択され、前記最後に言及された2つの基における前記アリールおよびアリール-アルキレンの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基Rにより置換されている、請求項1記載の式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物。
【請求項3】
およびRが、それぞれ独立して、直鎖C-C24-アルキル、式(A.1)で示される基、式(A.2)で示される基、基(A.3)、式(B.1)で示される基、式(B.2)で示される基および式(B.3)で示される基
【化2】
[式中、
#が、窒素原子に対する結合部位を表し、
前記式(A.1)において、RおよびRが、それぞれ独立して、C-C22-アルキルから選択され、前記RおよびR基の炭素原子の合計が、2~23の整数であり、
前記式(A.2)において、R、RおよびRが、C~C21-アルキルから独立して選択され、前記R、RおよびR基の炭素原子の合計が、3~23の整数であり、
前記式(A.3)において、RおよびRが、C~C21-アルキルから独立して選択され、前記RおよびR基の炭素原子の合計が、2~22の整数であり、
Bが存在する場合、前記式(B.1)、(B.2)および(B.3)において、Bが、C-C10-アルキレン基であり
が、0または1であり、
が、それぞれ独立して、C-C24-アルキル、C-C24-フルオロアルキル、フッ素、塩素または臭素から選択され、
が、それぞれ独立して、C-C24-アルキルから選択され、
式B.2およびB.3において、xが、1、2、3、4または5である]
からなる群から選択される、請求項1または2記載の式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物。
【請求項4】
マトリックスとしての少なくとも1種のポリマーと、蛍光着色剤としての請求項1から3までのいずれか1項記載の式(I)で示される少なくとも1種のペリレンビスイミド化合物とを含み、前記少なくとも1種のポリマーは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、シリコーン、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)-コポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、2,5-フランジカルボキシレートポリエステル、ポリビニルブチレート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミドまたはそれらの混合物から実質的になる、色変換体。
【請求項5】
前記色変換体が、散乱体として少なくとも1種の無機白色顔料をさらに含む、請求項4記載の色変換体。
【請求項6】
以下の群から選択される少なくとも1種のさらなる有機蛍光着色剤(B)を含む、請求項4または5記載の色変換体:
(B1)式(II)で示されるシアン化ナフトイルベンゾイミダゾール化合物
【化3】
[式中、
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29およびR210が、それぞれ独立して、水素、シアノまたはアリールであり、同アリールが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なる置換基R2Arを有し、
各R2Arが、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ハロゲン、C-C20-アルコキシ、C-C20-アルキルチオ、ニトロ、-NR2Ar22Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar22Ar3、-SONR2Ar22Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、C-C30-アルキル、C-C30-アルケニル、C-C30-アルキニル(後者の前記3つの基が、非置換であるかまたは1つ以上のR2a基を有する)、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル(後者の前記2つの基が、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有する)、アリール、U-アリール、ヘテロアリールおよびU-ヘテロアリール(後者の前記4つの基が、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有する)から独立して選択され、
各R2aが、シアノ、ヒドロキシル、オキソ、メルカプト、ハロゲン、C-C20-アルコキシ、C-C20-アルキルチオ、ニトロ、-NR2Ar2Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar2Ar3、-SONR2Ar2Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、前記シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール基が、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有し、
各R2bが、シアノ、ヒドロキシル、オキソ、メルカプト、ハロゲン、C-C20-アルコキシ、C-C20-アルキルチオ、ニトロ、-NR2Ar22Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar22Ar3、-SONR2Ar22Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、後者の4つの前記基が、非置換であるかまたは1つ以上のR2b1基を有し、
各R2b1が、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、オキソ、ニトロ、ハロゲン、-NR2Ar22Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar22Ar3、-SONR2Ar22Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、-SO2Ar2、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C12-アルコキシおよびC-C12-アルキルチオから独立して選択され、
Uが、-O-、-S-、-NR2Ar1-、-CO-、-SO-または-SO-部分であり、
2Ar1、R2Ar2、R2Ar3が、それぞれ独立して、水素、C-C18-アルキル、3~8員のシクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり、アルキルが、非置換であるかまたは1つ以上のR2a基を有し、3~8員のシクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールが、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有するが、
ただし、式(II)で示される化合物が、少なくとも1つのシアノ基を含むことを条件とする]
およびそれらの混合物;
(B2)式(III)で示されるシアン化ペリレン化合物
【化4】
[式中、
置換基の一方が、シアノであり、他方のZ置換基が、CO39、CONR310311、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3a置換基を有し、
-C12-シクロアルキルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3b置換基を有し、
-C14-アリールが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3Ar置換基を有し、
3*置換基の一方が、シアノであり、他方のZ3*置換基が、CO39、CONR310311、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3a置換基を有し、
-C12-シクロアルキルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3b置換基を有し、
-C14-アリールが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3Ar置換基を有し、
31、R32、R33、R34、R35、R36、R37およびR38が、それぞれ独立して、水素、シアノ、臭素および塩素から選択されるが、
ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37またはR38置換基のうちの1、2、3、4、5、6、7または8個が、シアノであることを条件とし、
39が、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3a置換基を有し、C-C12-シクロアルキルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3b置換基を有し、C-C14-アリールが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3Ar置換基を有し、
310およびR311が、それぞれ独立して、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3a置換基を有し、C-C12-シクロアルキルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3b置換基を有し、C-C14-アリールが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3Ar置換基を有し、
各Z3aが、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、NR310a311a、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C-C12-シクロアルキル、C-C14-アリール、C(=O)R39a、C(=O)OR39aまたはC(O)NR310a311aであり、C-C12-シクロアルキルが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3b置換基を有し、C-C14-アリールが、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3Ar置換基を有し、
各Z3bおよび各Z3Arが、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、NR310a311a、C-C10-アルキル、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C(=O)R39a、C(=O)OR39aまたはC(O)NR310a311aであり、
各R3aが、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C-C10-アルコキシ、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
各R3bが、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C-C10-アルキル、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
各R3Arが、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C-C10-アルキル、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
39aが、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
310a、R311aが、それぞれ独立して、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールである]
およびそれらの混合物;
(B3)式(IV)で示されるシアン化化合物
【化5】
[式中、
m4が、0、1、2、3または4であり、
各R41が、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、-NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、前記最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、アリールオキシの環が、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R41aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンの前記アルキレン部分が、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
基R42、R43、R44およびR45の少なくとも1つが、CNであり、残りの基が、それぞれ独立して、水素、塩素および臭素から選択され、
40が、O、S、SOまたはSOであり、
Aが、一般式(A.1)、(A.2)、(A.3)および(A.4)
【化6】
[式中、
が、各場合において、分子の残り部分への結合点を指し、
n4が、0、1、2、3または4であり、
o4が、0、1、2または3であり、
p4が、0、1、2または3であり、
46が、水素、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-シクロアルキル、C-C24-アリールまたはC-C24-アリール-C-C10-アルキレンであり、前記最後に言及された3つの基におけるシクロアルキル、アリールおよびアリール-アルキレンの環が、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R46aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキルおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンのアルキレン部分が、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子基により中断されていてもよく、
各R47が、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、-NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、前記最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリールおよびアリール-アルキレンの環が、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R47aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンの前記アルキレン部分が、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
各R48が、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、前記最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリールおよびアリール-アルキレンの環が、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R48aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンの前記アルキレン部分が、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
各R49が、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、前記最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリールおよびアリール-アルキレンの環が、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R49aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンの前記アルキレン部分が、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
41a、R46a、R47a、R48a、R49aが、それぞれ独立して、C-C24-アルキル、C-C24-フルオロアルキル、C-C24-アルコキシ、フッ素、塩素および臭素から選択され、
4a、R4b、R4cが、それぞれ独立して、水素、C-C20-アルキル、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールおよびC-C24-アリールから選択される]
で示されるジラジカルから選択されるジラジカルである]
およびそれらの混合物;
(B4)式(V)で示されるベンゾ(チオ)キサンテン化合物
【化7】
[式中、
が、酸素または硫黄であり、
51が、非置換であるかまたはハロゲン、R511、OR552、NHR552およびNR552557から選択される1、2、3、4もしくは5つの置換基を有するフェニルであり、
52、R53、R54、R55、R56、R57、R58およびR59が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、R553、OR553、NHR553およびNR553554から選択され、R511が、C-C24-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択され、R552およびR557が、それぞれ独立して、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択され、R553およびR554が、それぞれ独立して、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択される]
およびそれらの混合物;
(B5)式(VIA)または(VIB)で示されるベンゾイミダゾキサンテンイソキノリン化合物
【化8】
[式中、
が、酸素または硫黄であり、
61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R610、R611およびR612が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、R661、OR661、NHR661およびNR661662から選択され、
各R661が、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択され、
各R662が、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択される]
およびそれらの混合物;
(B6)式(VII)で示される少なくとも1つの構造単位を含む蛍光化合物
【化9】
[式中、
示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1つ以上のCH基が、窒素により置き換えられていてもよく、記号がそれぞれ、下記のように定義される:
n7が、式(VII)で示される各構造単位についての0~(10-p7)の数であり、p7が、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環において窒素により置き換えられたCH単位の数であり、
X7が、化学結合、O、S、SO、SO、NR71であり、
Rが、脂肪族基、脂環式基、アリール、ヘテロアリール(それらがそれぞれ、置換基を有してもよい)、芳香族または複素芳香族環または環系(それらがそれぞれ、式(VII)で示される構造単位の他の芳香環に縮合している)であり、X7が化学結合でない場合、F、Cl、Br、CN、Hであり、
2つのR基が結合して1つの環状基となってもよく、n7>1の場合、X7およびRが、同じかまたは異なってもよく、
71が、それぞれ独立して、水素、C-C18-アルキルまたはシクロアルキル(それらの炭素鎖が、1つ以上の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO-部分を含んでもよく、単置換または多置換されていてもよい)、アリールまたはヘテロアリール(それらが、単置換または多置換されていてもよい)である]
およびそれらの混合物;
(B7)式(VIII)または(IX)で示されるペリレン化合物
【化10】
[式中、
81、R82が、それぞれ独立して、C-C30-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、C-C10-アリール、ヘテロアリール、C-C10-アリール-C-C10-アルキレンであり、前記3つの後者の基における芳香環が、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されており、
92が、C-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C-C10-アルキレンであり、前記3つの後者の基における芳香環が、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されている];
(B8)式(X)で示されるナフタレンモノイミド化合物
【化11】
[式中、
各R101が、それぞれ独立して、水素、C-C30-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、C-C10-アリール、ヘテロアリール、C-C10-アリール-C-C10-アルキレンであり、前記3つの後者の基における芳香環が、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されており、
102が、水素、C-C30-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、C-C10-アリール、ヘテロアリール、C-C10-アリール-C-C10-アルキレンであり、前記3つの後者の基における芳香環が、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されている];
(B9)7-(ジエチルアミノ)-3-(5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2H-クロメン-2-オン;
(B10)式(XIA)または(XIB)で示されるペリレン化合物
【化12】
[式中、
各R111が、それぞれ独立して、C-C18アルキル、C-Cシクロアルキル(これらが、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)またはフェニルもしくはナフチル(これらが、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)である]
およびそれらの混合物;
(B11)式(XIIA)または(XIIB)で示されるシアン化ペリレン化合物
【化13】
[式中、
各R121が、それぞれ独立して、C-C18アルキル、C-Cシクロアルキル(これらが、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)またはフェニルもしくはナフチル(これらが、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)である]
およびそれらの混合物;
(B12)式(XIII)で示されるナフトイルベンゾイミダゾール化合物
【化14】
[式中、
基R131、R132、R133、R134、R135、R136、R137、R138、R139およびR1310の少なくとも1つが、それぞれ独立して、1、2または3つのシアノ基および0、1、2、3または4つの置換基RAr13を有するアリールであり、残りの基R131、R132、R133、R134、R135、R136、R137、R138、R139およびR1310が、それぞれ独立して、水素および非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの置換基RAr13を有するアリールから選択され、
Ar13が、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン、C-C30-アルキル、C-C30-アルケニル、C-C30-アルキニル(前記3つの後者の基が、非置換であるかまたは1つ以上のR13a基を有する)、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル(前記2つの後者の基が、非置換であるかまたは1つ以上のR13b基を有する)、アリールおよびヘテロアリール(前記2つの後者の基が、非置換であるかまたは1つ以上のR13c基を有する)から選択され、
13aが、各出現においてそれぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルが、非置換であるかまたは1つ以上のR13b1基を有し、アリールおよびヘテロアリールが、非置換であるかまたは1つ以上のR13c1基を有し、
13bが、各出現においてそれぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、C-C18-アルキル、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルが、非置換であるかまたは1つ以上のR13b1基を有し、アリールおよびヘテロアリールが、非置換であるかまたは1つ以上のR13c1基を有し、
13cが、各出現においてそれぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、C-C18-アルキル、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルが、非置換であるかまたは1つ以上のR13b1基を有し、アリールおよびヘテロアリールが、非置換であるかまたは1つ以上のR13c1基を有し、
13b1が、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン、C-C18-アルキルおよびC-C18-ハロアルキルから選択され、
13c1が、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン、C-C18-アルキルおよびC-C18-ハロアルキルから選択される]
およびそれらの混合物;
(B13)式(XIV)で示されるペリレン化合物
【化15】
[式中、
141およびR142が、それぞれ独立して、水素、それぞれ非置換のまたは置換されたC-C30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C-C30-アルコキシ、C-C30-アルキルチオ、C-C20-シクロアルキル、C-C20-シクロアルキルオキシ、C-C24-アリールおよびC-C24-アリールオキシから選択され、
143、R144、R145、R146、R147、R148、R149、R1410、R1411、R1412、R1413、R1414、R1415、R1416、R1417およびR1418が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、-NE141142、-NRAr141CORA142、-CONRAr141Ar142、-SONRA141A142、-COORAr141、-SOAr142、それぞれ非置換のまたは置換されたC-C30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C-C30-アルコキシ、C-C30-アルキルチオ、C-C20-シクロアルキル、C-C20-シクロアルコキシ、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシおよびC-C24-アリールチオから選択され、
143およびR144、R144およびR145、R145およびR146、R146およびR147、R147およびR148、R148およびR149、R149およびR1410、R1411およびR1412、R1412およびR1413、R1413およびR1414、R1414およびR1415、R1415およびR1416、R1416およびR1417ならびに/またはR1417およびR1418が、それらが結合しているビフェニルイル部分の炭素原子と共に、さらなる縮合芳香環系または非芳香環系を形成してもよく、前記縮合環系が、非置換であるかまたは置換されており、
141およびE142が、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、
Ar141およびRAr142が、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである]
およびそれらの混合物;
(B14)化合物(I)とは異なる式(XV)で示されるペリレンビスイミド化合物
【化16】
[式中、
p15が、1、2、3または4であり、
151およびR152が、それぞれ独立して、C-C10-アルキル(これが、非置換であるかまたはC-C10-アリールにより置換されており、該C-C10-アリールが、非置換であるかまたは1、2もしくは3つのC-C10-アルキルにより置換されている)、1つ以上の酸素により中断されているC-C20-アルキル、C-C-シクロアルキル(これが、非置換であるかまたは1、2もしくは3つのC-C10-アルキルにより置換されている)またはC-C10-アリール(これが、非置換であるかまたは1、2もしくは3つのC-C10-アルキルにより置換されている)であり、
各R153が、それぞれ独立して、フッ素、塩素、C-C16-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C16-アルキル、C-C16-アルコキシ、非置換であるかまたはフッ素、塩素、C-C16-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C16-アルキル、C-C16-アルコキシにより単置換もしくは多置換されているC-C10-アリールオキシまたは非置換であるかまたはC-C-アルキル、C-C-アルコキシ-C-C-アルキルおよびC-C-アルコキシから選択される1、2または3つの基により置換されているC-C10-アリールであり、
133基が、により示される位置にある]
およびそれらの混合物。
【請求項7】
ガーネット、ケイ酸塩、硫化物、窒化物および酸窒化物から選択される少なくとも1種の無機蛍光材料をさらなる蛍光材料として含む、請求項4から6までのいずれか1項記載の色変換体。
【請求項8】
結晶質半導体材料から構成される少なくとも1種の量子ドットを含む、請求項4から7までのいずれか1項記載の色変換体。
【請求項9】
400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDにより発せられる光を変換して、白色光を提供するため、または4000K~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDにより発せられる光を変換して、より低い相関色温度を有する白色光を提供するための、請求項4から8までのいずれか1項記載の色変換体の使用。
【請求項10】
ディスプレイにおける、請求項4から8までのいずれか1項記載の色変換体の使用。
【請求項11】
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDおよび3000K~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDから選択される少なくとも1つのLEDと、
(ii)請求項4から8までのいずれか1項記載の少なくとも1つの色変換体とを含み、
前記少なくとも1つの色変換体は、前記少なくとも1つのLEDから離れて配置されている、照明装置。
【請求項12】
光電池と、請求項4から8までのいずれか1項記載の色変換体とを含み、
前記光電池により吸収されない光の少なくとも一部が、前記色変換体により吸収される、照光時に電力を生成する装置。
【請求項13】
400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDから発せられる光を、より長い波長の第2の光に変換するため、または3000K~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDから発せられる光を変換して、より低い相関色温度を有する白色光を提供するため、コーティング、印刷インキおよびプラスチックを着色するため、電磁放射線を吸収しかつ/もしくは発する水性ポリマー分散液を製造するため、データ記憶のため、データ送信のため、光学ラベルのため、文書中のセキュリティラベルのためならびにブランド保護のためまたは生体分子の蛍光ラベルとしての、請求項1から3までのいずれか1項記載の式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物の色変換体における使用。
【請求項14】
セキュリティ印刷のためのセキュリティインキにおける、請求項1から3までのいずれか1項記載の式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物の使用。
【請求項15】
データを送信するためおよび可視スペクトル範囲の電磁放射線を放出するための送信機であって、前記送信機は、
- 第1の電磁放射線を生成し、放出するための放射源と、
- 前記第1の電磁放射線を、送信されるデータに応じて変調して、変調された第1の電磁放射線を生成するように適合された変調器とを含み、
前記送信機は、
- 前記変調された第1の電磁放射線の少なくとも一部を、変調された第2の電磁放射線に変換するための請求項4から8までのいずれか1項記載の色変換体をさらに含み、前記変調された第2の電磁放射線は、前記変調された第1の電磁放射線と異なることを特徴とする、送信機。
【請求項16】
請求項1から3までのいずれか1項記載の式(I)で示される少なくとも1種の化合物を含む、セキュリティ印刷のための印刷インキ配合物。
【請求項17】
a)請求項1から3までのいずれか1項記載の式(I)で示される少なくとも1種の化合物と、
b)ポリマーバインダーと、
c)場合により、有機溶媒と、
d)場合により、少なくとも1種の着色剤と、
e)場合により、少なくとも1種のさらなる添加剤とを含む、
セキュリティ印刷のための、請求項16記載の印刷インキ配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,6,7,12-テトラ-(2-イソプロピルフェノキシ)置換ペリレンテトラカルボン酸ジイミドおよびその使用に関する。特に本発明は、色変換体における、データ送信のためおよびセキュリティ印刷のためのセキュリティインキにおける、前記ペリレン化合物の使用に関する。また、本発明は、前記色変換体の使用、照明装置におけるその使用、少なくとも1つのLEDと少なくとも前記色変換体とを含む照明装置、および照光時に電力を生成する、光電池と前記色変換体とを含む装置に関する。
発明の背景
【0002】
現在、発光ダイオード(LED)は、既存の光源、例えば、白熱灯および蛍光灯からますます置き換わっている。LEDにより、幾つかの利点、例えば、低電力消費、低コスト、高輝度効率、演色の容易さおよび長寿命が提供される。効率的なLEDは、多くの場合、青色発光材料をベースとしている。所望の色出力、例えば、白色出力を生成するLED照光装置を製造するために、少なくとも1つのポリマー層と、LEDの出力の一部または全部をより長波長に変換する1つ以上の波長変換材料とを一般的に含む適切な色変換体が使用される。
【0003】
LED光源から白色光を発させるには、種々の方法が存在する。1つの方法によれば、波長変換材料(蛍光体としても知られる)が、LEDダイ上に直接適用されてもよい。この方法は、「蛍光体オンチップ」とも呼ばれる。蛍光体オンチップLEDでは、蛍光体は、総じて、その高い熱安定性および放射安定性ゆえに、無機物である。この方法によれば、ヒトの観察者にとって白色に見える光源を、蛍光体、例えば、セリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)で覆われた青色LEDから構成することができる。Ce:YAGは、青色LED発光の一部を吸収し、黄色スペクトルを再発光する。青色光と黄色光との比が正しく選択される場合、得られる光源は、ヒトの観察者には白色に見える。白色光を発するLED系光源は、良好な演色評価数(CRI)も有することが望ましい。CRIは、光源が物体の色をどの程度正確に表現するかを測定するのに広く使用されている。蛍光体オンチップコンセプトによる照光装置は、6000K超の相関色温度CCTを有する冷白色光を発し、その平均演色評価数(CRI)は、多くの場合低く、通常、約70~85である。したがって、標準的なCe:YAG系白色LEDの光は、多くの場合、その構成では(赤色発光蛍光体を加えずに)暖白色光を発生させることが不可能であるので、魅力的でないと考えられる。快適な白色光出力を生成するために、緑色/黄色蛍光体と赤色蛍光体との組み合わせを使用する必要がある。しかしながら、無機蛍光体は多くの欠点を有し、例えば、それらは比較的高価であり、環境に優しくない。さらに、それらの量子効率は、多くの場合、不十分である。
【0004】
6000Kを下回るCCTを有する、より快適で自然な白色光を提供するために、別の方法を使用することができる。この方法によれば、ポリマーマトリックス中に溶解または分散させた蛍光体を含む色変換体は、青色LEDチップから特定の距離にある。このコンセプトは、「遠隔蛍光体」コンセプトと呼ばれる。「遠隔蛍光体」コンセプトによるLEDは、「蛍光体オンチップ」コンセプトによるLEDよりエネルギー効率が高い。空間的に離れていることによって、安定性に対する要件が多くの有機蛍光体により達成され得る程度まで、熱および放射から生じる応力が減少する。有機蛍光体は、単一の有機蛍光体でもよいし、スペクトルを広げるために異なる有機蛍光体の混合物でもよい。CCTが6000K未満、例えば2700~5000Kの範囲で、CRIが80以上である場合、遠隔蛍光体構成を有するほとんどの青色LED照光装置は、黄緑色スペクトル範囲で発光する有機蛍光体と赤色スペクトル範囲で発光する有機蛍光体との混合物を含む。光の組成/色相は、最適化された量の有機蛍光体を適用することにより正確に調節することができる。このため、得られる光は、より豊富で広い波長スペクトルを有し、より高い色品質の光を生じる。
【0005】
6000K未満の相関色温度(CCT)を有する白色光照光装置は、青色発光LEDおよび無機黄色蛍光体、例えば、セリウムドープイットリウムアルミニウムガーネットから構成される蛍光体オンチップLEDと、少なくとも1種の有機蛍光体、多くの場合、黄緑色スペクトル範囲で発光する有機蛍光体と赤色スペクトル範囲で発光する有機蛍光体との組み合わせを含む色変換体とを組み合わせて構成することもできる。この場合、蛍光体オンチップLEDと色変換体とは、空間的に離れている(遠隔蛍光体配置)。黄緑色ないし赤色スペクトル範囲の発光を有する有機蛍光体の混合物について、80以上の高いCRI値を達成することができる。
【0006】
総じて、有機蛍光体は、無機蛍光体と比較して非常に高い吸収率を示し、これは、無機蛍光体の場合より、効率的な波長変換に必要とされる材料がかなり少ないことを意味する。加えて、有機蛍光体は、低コストで入手可能である。希土類金属のような高価な材料を必要としない。
【0007】
現在、照光とデータ送信とを組み合わせることができる色変換体のための蛍光体も非常に必要とされている。照光とデータ送信との両方に白色LEDを利用する新しい技術は、可視光通信(VLC)として知られている。VLCは、既存の無線技術に取って代わるかまたはそれを補完するために、高速かつ安全な無線通信を実現することを目的とする、急速に成長している技術分野である。とりわけ、遠隔蛍光体LEDにおける色変換体として使用することができる有機蛍光体は、その可視バンドギャップ、短い放射寿命および高い蛍光量子収率ゆえ、VLCに多くの潜在的な利点を提供する。Li-Fi(Light Fidelity)は、高速無線通信のためにその強度が変化するLED照明を使用した照光によりデータを送信するために確立された用語である。Li-Fiは、オフィス、街灯および家庭でのLED照明の広範な使用と共に、既存の照明インフラストラクチャへの付加的な利点である。
【0008】
一部の有機蛍光体についての特別な適用分野は、「セキュリティ印刷」とも呼ばれる、通貨および他のセキュリティ文書を印刷するのに使用される印刷プロセスのためのインキに関する。
【0009】
米国特許第4,845,223号明細書(US 4,845,223)には、アリールオキシ置換ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミドおよび集光するためのその使用が記載されている。
【0010】
国際公開第2007/006717号(WO 2007/006717)には、アリールオキシ置換リレン誘導体が記載されている。
【0011】
国際公開第2012/042438号(WO 2012/042438)には、ポリマー骨格に組み込まれた芳香族部分を有するポリエステルを含むポリマー材料中にペリレンテトラカルボン酸ジイミドを含む色変換体が記載されている。ペリレンテトラカルボン酸ジイミドは、ペリレンコアのベイエリアに最高で4つの置換基を有し、この置換基は、フッ素、メトキシ、非置換C-C16-アルキルおよび場合によりフッ素、メトキシまたはC-C16-アルキルにより置換されているフェノキシから選択される。
【0012】
国際公開第2017/121833号(WO 2017/121833)には、ベイエリア(1位、6位、7位、12位)に堅固な2,2’-ビフェノキシ架橋を有するペリレンビスイミドが記載されており、これは、色変換体における蛍光染料として有用であるかまたはセキュリティ印刷のためのセキュリティインキにおいても使用することができる。
【0013】
未公開の欧州特許出願第16192617.5号明細書(EP 16192617.5)(未公開の国際出願第PCT/EP2017/075274号明細書(PCT/EP2017/075274))には、共役ペリレンコアの各ベイエリア(1-、6-、7-、12位)に2-フェニルフェノキシ置換基を有するペリレンビスイミド、ならびに特に色変換体およびセキュリティ印刷のためのセキュリティインキにおけるその使用が記載されている。
【0014】
これらの文献のいずれにも、ペリレン骨格の位置(1位、6位、7位、12位)にそれぞれ2-ジイソプロピルフェノキシ置換基を有するペリレンビスイミド化合物は具体的に記載されていない。
【0015】
本願は、未公開の欧州特許出願第17151931号明細書(EP 17151931)の優先権を主張する。未公開の欧州特許出願第17151931.7号明細書(EP 17151931.7)には、シアノアリール置換ナフトイレンベンゾイミダゾール化合物に基づく蛍光着色剤が記載されている。また、この参考文献には、黄色着色剤、橙色着色剤および赤色着色剤の混合物を含む色変換体も記載されており、赤色着色剤は、特にN,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ-(2-イソプロイル)フェノキシペリレン-3,4;9,10-テトラカルボン酸ジイミドである。
【0016】
現在、低い相関色温度、好ましくは2700~5000Kの範囲の相関色温度と、良好な色再現性とを有し、特にCRIが少なくとも85、好ましくは90であることが望ましく、またそれと同時に高い効率および安定性を有する、白色LEDが強く求められている。これらの目的は、青色LEDまたは白色LEDを、黄色/緑色スペクトル範囲で発光する有機蛍光体および赤色スペクトル範囲で発光する有機蛍光体と組み合わせることにより達成することができる。非常に多様な有機赤色蛍光体が入手可能であったが、それらは、多くの場合、LED照射条件下で不十分な蛍光量子収率および/または不十分な安定性を示しかつ/または湿気および酸素に敏感である。
【0017】
したがって、実用条件下におけるポリマー中での量子収率が高く、安定性に優れた橙色/赤色スペクトル範囲で発光する有機蛍光体が強く求められている。さらに、同時に、良好な色再現性および色温度を有するLED照明装置を提供できることが望ましい。好ましくはLED照明装置は、6000Kを下回るCCTおよび85超の平均演色評価数CRIを有することが望ましい。
【0018】
また、良好な発光効率を維持しつつ、数ナノ秒のオーダーの、好ましくはさらに短い蛍光寿命を有するデータ送信のための蛍光体が強く求められている。さらに、同時に、良好な色再現性および色温度を有する照明装置を提供できることが望ましい。
【0019】
また、セキュリティ印刷に適した化合物も強く求められている。
【0020】
従来技術から公知の一部の有機蛍光体は、その安定性の観点から、不十分であるかまたは他の欠点、例えば、低い蛍光量子収率もしくは長すぎる蛍光寿命を有する。蛍光寿命が長すぎると、変調周波数、ひいてはLi-Fi用途における送信速度が制限される。したがって、本発明の目的は、特に上記で言及された欠点を克服し、さらなる蛍光体と組み合わせて使用した場合に高い色再現性を示す、色変換体に使用するための有機蛍光体を提供することである。これとは別に、またはこれに加えて、本発明の目的は、Li-Fi用途の色変換体において使用するための有機蛍光体を提供することである。これとは別に、またはこれに加えて、本発明の目的は、セキュリティ印刷のための技術的安定性要件(化学的安定性、熱安定性および/または光安定性)を満たす化合物を提供することである。
【0021】
好ましくは有機蛍光体は、下記特性の1つ以上を特徴とすることが望ましい。
【0022】
- 高い蛍光量子収率(QY);
- 数ナノ秒のオーダーの短い蛍光寿命;
- 長寿命;
- 青色および/または白色光照射条件下での高い光安定性;
- 青色および/または白色光照射条件下での高い熱安定性;
- 湿気および酸素に対する高い化学的安定性;
- 高い化学的安定性、特に次亜塩素酸塩による漂白に対する堅牢性および溶媒(トルエン、アセトンまたはジクロロメタン等)に対する堅牢性;
- 沸騰水に対する高い化学的安定性;
- 多数の配合物、特にセキュリティ印刷に使用される印刷インキ配合物およびレーザー溶接に使用される熱可塑性ポリマー配合物との高い適合性。
【0023】
驚くべきことに、以下に記載される式(I)で示される化合物は、これらの目的を達成し、したがって、2700~6000Kの範囲の低い相関色温度および良好な色再現性を有する白色光を発するための色変換体、Li-Fi用途におけるデータ送信のための変換体;およびセキュリティ印刷のためのセキュリティインキにおける使用に有利に適していることが見出された。
【0024】
発明の概要
したがって、第1の態様では、本発明は、式(I)
【化1】
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-シクロアルキル、C-C24-アリールおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンからなる群から選択され、最後に言及された3つの基におけるシクロアルキル、アリールおよびアリール-アルキレンの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基Rにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキルおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンのアルキレン部分は、O、SおよびNRから選択される1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子基により中断されていてもよく、
は、C-C24-アルキル、C-C24-フルオロアルキル、C-C24-アルコキシ、フッ素、塩素または臭素であり、
は、水素、C-C20-アルキル、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘタリールまたはC-C24-アリールである]
で示される新規なペリレンビスイミド化合物を提供する。
【0025】
式(I)で示される化合物は、その高い安定性、特に化学的および光化学的安定性ならびに非常に短い蛍光減衰時間により区別される。
【0026】
本発明のさらなる態様は、マトリックスとしての少なくとも1種のポリマーと、蛍光着色剤としての上記で定義された式(I)で示される少なくとも1種のペリレンビスイミド化合物とを含み、少なくとも1種のポリマーは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、シリコーン、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)-コポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、2,5-フランジカルボキシレートポリエステル、ポリビニルブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミドまたはそれらの混合物から実質的になる、色変換体に関する。
【0027】
本発明のさらなる態様は、400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDにより発せられる光を変換して白色光を提供するため、または3000K~20000K、特に4000K~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDにより発せられる光を変換して、より低い相関色温度を有する白色光を提供するための、上記で定義された色変換体の使用に関する。
【0028】
また、本発明のさらなる態様は、ディスプレイにおける、上記で定義された色変換体の使用に関する。
【0029】
本発明のさらなる態様は、
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDおよび3000K~20000K、特に4000~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDから選択される少なくとも1つのLEDと、
(ii)上記で定義された少なくとも1つの色変換体とを含み、
少なくとも1つの色変換体は、少なくとも1つのLEDから離れて配置されている、照明装置に関する。
【0030】
本発明のさらなる態様は、光電池と上記で定義された色変換体とを含み、光電池により吸収されない光の少なくとも一部が色変換体により吸収される、照光時に電力を生成する装置に関する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDから発せられる光を、より長い波長の第2の光に変換するため、または3000K~20000K、特に4000~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDから発せられる光を変換して、より低い相関色温度を有する白色光を提供するため、コーティング、印刷インキおよびプラスチックを着色するため、電磁放射線を吸収しかつ/もしくは発する水性ポリマー分散液を製造するため、データ記憶のため、データ送信のため、光学ラベルのため、文書中のセキュリティラベルのためならびにブランド保護のためまたは生体分子の蛍光ラベルとしての色変換体における、上記で定義された式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物の使用に関する。
【0032】
本発明のさらなる態様は、セキュリティ印刷のためのセキュリティインキにおける、本明細書で定義された式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物の使用に関する。
【0033】
本発明のさらなる態様は、データを送信するためおよび可視スペクトル範囲の電磁放射線を放出するための送信機であって、前記送信機は、
- 第1の電磁放射線を生成し、放出するための放射源と、
- 第1の電磁放射線を、送信されるデータに応じて変調して、変調された第1の電磁放射線を生成するように適合された変調器とを含み、送信機は、
- 変調された第1の電磁放射線の少なくとも一部を、変調された第2の電磁放射線に変換するための本明細書で定義された色変換体をさらに含み、前記変調された第2の電磁放射線は、変調された第1の電磁放射線と異なることを特徴とする、送信機に関する。
【0034】
本発明のさらなる態様は、本明細書で定義された式(I)で示される少なくとも1種の化合物を含む、セキュリティ印刷のための印刷インキ配合物に関する。
【0035】
詳細な説明
本発明の文脈において、「発光材料」という用語は、蛍光体または着色剤とも呼ばれる。発光材料は、無機固体または有機蛍光着色剤でもよい。
【0036】
本発明の文脈において、有機「蛍光体」および「着色剤」という用語は、第1の波長の光を第2の波長の光に変換する有機材料を説明するのに互換的に使用される。
【0037】
蛍光着色剤は、特定の波長の光を吸収し、それを別の波長の光に変換することができる全ての材料を含む。有機蛍光着色剤は、有機蛍光顔料または有機蛍光染料でもよい。好ましくはそれらは、有機蛍光染料である。
【0038】
「変換材料」という用語は、第1の波長の光子により励起され、第2の異なる波長の光子を放出する材料を指す。
【0039】
量子ドットは、量子力学的特性を示すのに十分小さい半導体材料で作られたナノ結晶である。量子ドットは、かなり狭い発光スペクトル、すなわち、かなり小さいFWHM(半値全幅)を示す。ドットの色出力は、結晶サイズを制御することにより調整することができる。量子ドットのサイズが小さいほど、量子ドットは、より短い波長の光を発する。
【0040】
本発明の文脈において、「色変換体」という用語は、特定の波長の光を吸収し、それを第2の波長の光に変換することができる全ての物理的装置を意味すると理解される。色変換体は、例えば、照明装置、特に光源としてUV光またはLEDもしくはOLEDを利用する照明装置または蛍光変換太陽電池の一部である。
【0041】
本発明の文脈において、所定のスペクトル分布F(λ)の「中心波長」という用語は、下記平均:λ=∫λ・F(λ)dλ/∫F(λ)dλと定義される。
【0042】
本発明の文脈において、「青色LED」とは、420~480nm、好ましくは440~470nm、最も好ましくは440~460nmの範囲の発光中心波長を有する電磁スペクトルの青色範囲の光を発するLEDを意味すると理解される。適切な半導体材料は、炭化ケイ素、セレン化亜鉛ならびに窒化物、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)および窒化インジウムガリウム(InGaN)である。LEDは、典型的には、それらのピーク波長に密接に集中する狭い波長分布を有する。標準的なInGaN系青色LEDは、サファイア基板上に作製され、ピーク発光波長は、通常、445~455nmを中心とする。
【0043】
本発明の文脈において、「白色LED」とは、白色出力を生成するLED照光源を意味すると理解される。例は、赤色、緑色および青色LEDからなるマルチLED(RGB LEDシステムとも呼ばれる)であり、その発光は、白色光を形成するように混合される。さらなる例は、青色または紫外線LEDから発せられた光の一部を白色光の広いスペクトルに変換するために、蛍光体でコーティングされたLEDである。
【0044】
UV-LEDとは、紫外電磁放射線、すなわち、400nmを下回る波長を有する電磁放射線を放出する発光ダイオードである。
【0045】
本発明の文脈において、「白色光」という用語は、2000~20000K、特に2500~20000Kの相関色温度(CCT)を有する光に関する。冷白色LEDは、総じて、4000K以上、例えば、4000~20000Kの範囲の相関色温度を有する。
【0046】
本発明の文脈において、「青色光」という用語は、400~480nm、特に440~480nmの範囲の波長を有する光に関する。
【0047】
本発明の文脈において、可視スペクトル範囲を含む電磁放射線は、光とも呼ばれる。
【0048】
LEDは、黒体でも白熱光源でもないため、相関色温度(CCT)を有する。CCTは、LEDと同じ白色光を発するとヒトの目により知覚される黒体放射体の温度である。CCTは、電気光源から発せられる白色光の色の外観を表し、ケルビンで測定される。CCTは、CIE国際規格に従って決定される。白色光源からのCCTは、通常、1500K~20000K、特に2000K~20000Kの範囲にある。より高いCCTを有する白色光は、より低いCCTを有する白色光と比較して、短波長領域(青色)では相対的に高い強度を含み、より長い波長領域(赤色)では相対的に低い強度を含む。したがって、より高いCCTは、総じて、より顕著な青色成分または冷色調を有する白色光を示し、一方、より低いCCTは、総じて、より顕著な赤色または暖色調を有する光を示す。4500K~20000Kの範囲のCCTを有する白色光は、多くの場合、冷白色光と呼ばれ、2700K~3200Kの範囲のCCTを有する白色光は、多くの場合、温白色光と呼ばれ、3200K~4500Kの範囲のCCTを有する白色光は、多くの場合、中性白色と呼ばれる。より暖かい色温度は、生活空間に特に適している。
【0049】
演色(CRI)は、光源がどのように物体の色をヒトの目に見せるかおよび色合いの微妙な変化がどのようにうまく明らかにされるかの尺度である。総じて、CRIは、色温度より重要な照明品質であると考えられる。CIE 17.4,International Lighting Vocabularyによれば、演色(CRI)は、「基準光源の下での色の外観との意識的または無意識的な比較による、物体の色の外観に対する光源の効果」と定義されている。平均または全体演色評価数Raは、8つのパステルCIE標準(参照)色サンプルR1~R8(CIE 13.3-1995)の色度の差から計算される。負の値も可能である。基準光源、例えば、黒体放射は、CRI指数(Ra)が100(これが最大値である)であると定義され、すなわち、100の値は、光源が基準と同一の様式で演色することを示す。CRI評価が低いほど、より正確でない色が再現されるであろう。多くの一般的な室内照光用途では、80超のCRI値(Ra)が許容可能である。一般的な照明の場合、演色評価数は、85超であることが望ましい。正確な演色が必要とされる用途では、少なくとも90の高いCRI Raが、通常非常に望ましく、その結果、その光源により照射される物体は、ヒトの目により自然な色を有するように見えることができる。
【0050】
CRI Raは、6つの高飽和色(R9~R14)に対応する係数を含まない。これらのうち、R9は、強い赤色に対応し、これは、演色に有益であり得る赤-緑コントラストに影響を及ぼし得る。多くの場合、赤色が処理された色に混ざって見られることが多いので、赤色を十分に再現する能力は、正確に演色するのに必須である。このため、光源が赤色を正しく演色できない場合、赤みがかったものは鈍くなるであろう。したがって、高いCRI Raおよび正のR9値を有する光源は、最も鮮明な色を生じる傾向がある。
【0051】
CIE 1931標準表色系によれば、色は、特定の色曲線に従ってヒトの目により知覚される。標準光度曲線Vλは、ヒトの目の感度の波長依存性を説明する。光度曲線は、波長555nm(緑色)の単色光の場合、683lm/Wの最大可能値を有する。光束は、知覚される光の力の尺度である。
【0052】
本発明の文脈において、「実質的に」という語は、「完全に」、「全体的に」および「全て」という語を包含する。この語は、90%以上、例えば、95%以上またはとりわけ99%もしくは100%の割合を包含する。
【0053】
上記式で特定された可変部の定義は、それぞれの置換基を総じて代表する集合的な用語を使用する。C-Cという定義は、それぞれの置換基または置換基部分における各場合において、可能な炭素原子の個数を示す。
【0054】
「ハロゲン」という表現は、各場合において、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素、特に塩素、臭化物またはヨウ素を指す。
【0055】
本発明の文脈において、「各場合において、非置換のまたは置換されたアルキル、シクロアルキルおよびアリール」という表現は、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルおよび非置換のまたは置換されたアリールを表す。
【0056】
同様に、本発明の文脈において、「各場合において、非置換のまたは置換されたC-C30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C-C30-アルコキシ、C-C30-アルキルチオ、C-C20-シクロアルキル、C-C20-シクロアルキルオキシ、C-C24-アリールおよびC-C24-アリールオキシ」という表現は、非置換のまたは置換されたC-C30-アルキル、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたC-C30-アルコキシ、非置換のまたは置換されたC-C30-アルキルチオ、非置換のまたは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のまたは置換されたC-C20-シクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたC-C24-アリールおよび非置換のまたは置換されたC-C24-アリールオキシを表す。
【0057】
本発明において「脂肪族基」という用語は、非環式飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基を指す。通常、脂肪族基は、1~100個の炭素原子を有する。脂肪族基の例は、アルキル、アルケニルおよびアルキニルである。
【0058】
本発明において「脂環式基」という用語は、通常、3~20個の環炭素原子を有する、環状の非芳香族飽和または不飽和炭化水素基を指す。例は、シクロアルカン、シクロアルケンおよびシクロアルキンである。また、脂環式基は、N、O、SおよびSOから選択されるヘテロ原子またはヘテロ原子基を含むこともできる。
【0059】
本明細書およびアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル等のアルキル部分において使用する場合、「アルキル」という用語は、通常、1~100個(「C-C100-アルキル」)、1~30個(「C-C30-アルキル」)、1~18個(「C-C18-アルキル」)、1~12個(「C-C12-アルキル」)、1~8個(「C-C-アルキル」)または1~6個(「C-C-アルキル」)の炭素原子を有する飽和で直鎖または分枝鎖の炭化水素基を指す。アルキルは、好ましくはC-C30-アルキル、より好ましくはC-C20-アルキルである。アルキル基の例は、特にメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、neo-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、1-エチルペンチル、1-プロピルブチル、2-エチルペンチル、n-オクチル、1-メチルヘプチル、2-メチルヘプチル、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシル、1-プロピルペンチル、2-プロピルペンチル、n-ノニル等である。
【0060】
置換されているアルキル基は、アルキル鎖の長さに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つまたは5つ超)の置換基を有する。これらは、好ましくはそれぞれ独立して、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ、非置換のまたは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、非置換のまたは置換されたヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メルカプト、非置換のまたは置換されたアルコキシ、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたアルキルチオ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、シアノ、ニトロ、非置換のまたは置換されたアルキルカルボニルオキシ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、-COORAr1、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される。ここで、EおよびEは、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。特に置換されているアルキル基は、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される1つ以上、例えば、1、2または3つの置換基を有する。ここで、E、Eは、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。
【0061】
置換されているアルキル基の特別な実施形態は、1つの水素原子がアリール基(「アラルキル」、以下、アリールアルキルまたはアリールアルキレンとも呼ばれる)、特にフェニル基により置き換えられている、アルキル基である。次に、アリール基は、置換されていなくてもまたは置換されていてもよく、適切な置換基は、アリールについて以下で言及される置換基である。アリール-C-C-アルキルの特定の例は、ベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニル-1-プロピル、2-フェニル-2-プロピル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等を含む。
【0062】
置換されているアルキル基のさらに特別な実施形態は、これらの基における水素原子の一部または全部が上記で言及されたハロゲン原子により置き換えられていることができる、アルキル基、例えば、C-C-ハロアルキルである。
【0063】
本明細書で使用する場合、「アルケニル」という用語は、通常、2~100個(「C-C100-アルケニル」)、2~18個(「C-C18-アルケニル」)、2~10個(「C-C10-アルケニル」)、2~8個(「C-C-アルケニル」)または2~6個(「C-C-アルケニル」)の炭素原子および任意の位置に1つ以上、例えば、2または3つの二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す。置換されているアルケニル基は、アルケニル鎖の長さに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つまたは5つ超)の置換基を有する。これらは、好ましくはそれぞれ独立して、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ、非置換のまたは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、非置換のまたは置換されたヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メルカプト、非置換のまたは置換されたアルコキシ、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたアルキルチオ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、シアノ、ニトロ、非置換のまたは置換されたアルキルカルボニルオキシ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、-COORAr1、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される。ここで、EおよびEは、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。特に置換されているアルケニル基は、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される1つ以上、例えば、1、2または3つの置換基を有する。ここで、E、Eは、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。
【0064】
本明細書で使用する場合、「アルキニル」(炭素鎖が1つ以上の三重結合を含む場合があるアルキルとも呼ばれる)という用語は、通常、2~100個(「C-C100-アルキニル」)、2~18個(「C-C18-アルキニル」)、2~10個(「C-C10-アルキニル」)、2~8個(「C-C-アルキニル」)または2~6個(「C-C-アルキニル」)の炭素原子および任意の位置に1つ以上、例えば、2または3つの三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す。置換されているアルキニル基は、アルキニル鎖の長さに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つまたは5つ超)の置換基を有する。これらは、好ましくはそれぞれ独立して、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ、非置換のまたは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、非置換のまたは置換されたヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メルカプト、非置換のまたは置換されたアルコキシ、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたアルキルチオ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、シアノ、ニトロ、アルキルカルボニルオキシ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、-COORAr1、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される。ここで、EおよびEは、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。特に置換されているアルキニル基は、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される1つ以上、例えば、1、2または3つの置換基を有する。ここで、E、Eは、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。
【0065】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して結合しているアルキル基を指す。すなわち、「アルコキシ」基は、-O-アルキルと表すことができる。式中、アルキルは、上記で定義されたとおりである。C-C-アルコキシは、メトキシまたはエトキシである。C-C-アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、ブトキシ、1-メチルプロポキシ(sec-ブトキシ)、2-メチルプロポキシ(イソブトキシ)または1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ)である。
【0066】
したがって、本明細書で使用する場合、「非置換のまたは置換されたアルコキシ」という用語は、アルキルが非置換であるかまたは上記で定義されたように置換されている-O-アルキルを指す。
【0067】
本明細書で使用する場合、「ポリオキシアルキレン」という用語は、酸素原子を介して分子の残り部分に結合しているアルキル基を指す。アルキルは、1つ以上の非隣接酸素原子により中断され、アルキルは、上記で定義されたとおりである。
【0068】
したがって、本明細書で使用する場合、「非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ」という用語は、アルキルが1つ以上の非隣接酸素原子により中断され、アルキルが非置換であるかまたは上記で定義されたように置換されている-O-アルキルを指す。
【0069】
本明細書で使用する場合、「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子を介して結合しているアルキル基を指す。すなわち、「アルキルチオ」基は、アルキルが上記で定義されたとおりである-S-アルキルと表すことができる。C-C-アルキルチオは、メチルチオまたはエチルチオである。C-C-アルキルチオは、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、1-メチルエチルチオ(イソプロピルチオ)、ブチルチオ、1-メチルプロピルチオ(sec-ブチルチオ)、2-メチルプロピルチオ(イソブチルチオ)または1,1-ジメチルエチルチオ(tert-ブチルチオ)である。
【0070】
したがって、本明細書で使用する場合、「非置換のまたは置換されたアルキルチオ」という用語は、アルキルが非置換であるかまたは上記で定義されたように置換されている-S-アルキルを指す。
【0071】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、通常、3~24個(C-C24-シクロアルキル)、3~20個(「C-C20-シクロアルキル」)の原子、好ましくは3~8個(「C-C-シクロアルキル」)または3~6個の炭素原子(「C-C-シクロアルキル」)を有する単環式もしくは二環式または多環式飽和炭化水素基を指す。3~6個の炭素原子を有する単環式基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。3~8個の炭素原子を有する単環式基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。7~12個の炭素原子を有する二環式基の例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシル、ビシクロ[3.3.2]デシル、ビシクロ[4.4.0]デシル、ビシクロ[4.2.2]デシル、ビシクロ[4.3.2]ウンデシル、ビシクロ[3.3.3]ウンデシル、ビシクロ[4.3.3]ドデシルおよびペルヒドロナフチルを含む。多環式環の例は、ペルヒドロアントラシル、ペルヒドロフルオレニル、ペルヒドロクリセニル、ペルヒドロピセニルおよびアダマンチルである。
【0072】
置換されているシクロアルキル基は、環のサイズに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つまたは5つ超)の置換基を有することができる。これらは、好ましくはそれぞれ独立して、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたアルケニル、非置換のまたは置換されたアルキニル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ、非置換のまたは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、非置換のまたは置換されたヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メルカプト、非置換のまたは置換されたアルコキシ、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたアルキルチオ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、シアノ、ニトロ、非置換のまたは置換されたアルキルカルボニルオキシ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、-COORAr1、-NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される。ここで、EおよびEは、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。特に置換されているシクロアルキル基は、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される1つ以上、例えば、1、2または3つの置換基を有する。ここで、E、Eは、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。
【0073】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキルオキシ」という用語は、酸素原子を介して結合しているシクロアルキル基を指す。すなわち、「シクロアルキルオキシ」基は、シクロアルキルが上記で定義されたとおりである-O-シクロアルキルと表すことができる。
【0074】
したがって、本明細書で使用する場合、「非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ」という用語は、シクロアルキルが非置換であるかまたは上記で定義されたように置換されている-O-シクロアルキルを指す。
【0075】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキルチオ」という用語は、硫黄原子を介して結合しているシクロアルキル基を指す。すなわち、「シクロアルキルチオ」基は、シクロアルキルが上記で定義されたとおりである-S-シクロアルキルと表すことができる。
【0076】
したがって、本明細書で使用する場合、「非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ」という用語は、シクロアルキルが非置換であるかまたは上記で定義されたように置換されている-S-シクロアルキルを指す。
【0077】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環員として炭素原子の他に、環員としてO、N、NRcc、S、SOおよびS(O)から選択される1、2、3または4つのヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を含む、総じて、5~8個の環員、好ましくは5または6個の環員を有する非芳香族で、部分的に不飽和または完全に飽和の複素環を指す。ここで、Rccは、水素、C-C20-アルキル、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C-C24-アリールまたはヘテロアリールである。ヘテロシクロアルキル基の例は、特にピロリジニル、ピペリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロピラニル、2-オキサゾリニル、3-オキサゾリニル、4-オキサゾリニルおよびジオキサニルである。
【0078】
置換されているヘテロシクロアルキル基は、環のサイズに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つまたは5つ超)の置換基を有することができる。これらは、好ましくはそれぞれ独立して、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたアルケニル、非置換のまたは置換されたアルキニル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ、非置換のまたは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、非置換のまたは置換されたヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メルカプト、非置換のまたは置換されたアルコキシ、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたアルキルチオ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、シアノ、ニトロ、非置換のまたは置換されたアルキルカルボニルオキシ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、-COORAr1、-NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される。ここで、EおよびEは、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。特に置換されているヘテロシクロアルキル基は、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される1つ以上、例えば、1、2または3つの置換基を有する。ここで、E、Eは、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。
【0079】
本発明において「アリール」という用語は、環員として9~24個の炭素原子を有し、分子の残り部分に結合している少なくとも1つの縮合フェニレン環を有するフェニルおよび二環式または多環式の炭素環を指す。少なくとも1つのフェニレン環を有する二環式または多環式の炭素環の例は、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、アントラセニル、フルオレニル等を含む。好ましくは「アリール」という用語は、フェニルおよびナフチルを指す。
【0080】
置換されているアリールは、その環系の員数およびサイズに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つまたは5つ超)の置換基を有することができる。これらは、好ましくはそれぞれ独立して、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたアルケニル、非置換のまたは置換されたアルキニル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ、非置換のまたは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、非置換のまたは置換されたヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メルカプト、非置換のまたは置換されたアルコキシ、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたアルキルチオ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、シアノ、ニトロ、非置換のまたは置換されたアルキルカルボニルオキシ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、-COORAr1、-NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される。ここで、EおよびEは、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。特に置換されているアリール基は、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される1つ以上、例えば、1、2または3つの置換基を有する。ここで、E、Eは、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。
【0081】
置換されているアリールは、好ましくは少なくとも1つのアルキル基により置換されているアリール(「アルカリール」、以下、アルキルアリールとも呼ばれる)である。アルカリール基は、芳香環系のサイズに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9個または9個超)のアルキル置換基を有することができる。アルキル置換基は、置換されていなくてもよいしまたは置換されていてもよい。この点に関して、非置換および置換アルキルに関する上記記述が参照される。特別な実施形態は、アルキルが非置換であるアルカリール基に関する。アルカリールは、好ましくは1、2、3、4または5つ、好ましくは1、2または3つ、より好ましくは1または2つのアルキル置換基を有するフェニルである。1つ以上のアルキル置換基を有するアリールは、例えば、2-、3-および4-メチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2-、3-および4-エチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジエチルフェニル、2,4,6-トリエチルフェニル、2-、3-および4-n-プロピルフェニル、2-、3-および4-イソ-プロピルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジ-n-プロピルフェニル、2,4,6-トリプロピルフェニル、2-、3-および4-イソプロピルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジイソプロピルフェニル、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、2-、3-および4-ブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジブチルフェニル、2,4,6-トリブチルフェニル、2-、3-および4-イソブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジイソブチルフェニル、2,4,6-トリイソブチルフェニル、2-、3-および4-sec-ブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジ-sec-ブチルフェニル、2,4,6-トリ-sec-ブチルフェニル、2-、3-および4-tert-ブチルフェニル、2,4-、2,5-、3,5-および2,6-ジ-tert-ブチルフェニルならびに2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニルである。
【0082】
-C24-アリールオキシ:酸素原子(-O-)を介して骨格に結合している上記で定義されたC-C24-アリール。フェノキシおよびナフチルオキシが好ましい。
【0083】
したがって、本明細書で使用する場合、「非置換のまたは置換されたアリールオキシ」という用語は、アリールが非置換であるかまたは上記で定義されたように置換されている-O-アリールを指す。
【0084】
-C24-アリールチオ:硫黄原子(-S-)を介して骨格に結合している上記で定義されたC-C24-アリール。フェニルチオおよびナフチルチオが好ましい。
【0085】
したがって、本明細書で使用する場合、「非置換のまたは置換されたアリールチオ」という用語は、アリールが非置換であるかまたは上記で定義されたように置換されている-S-アリールを指す。
【0086】
本発明の文脈において、「ヘタリール」(ヘテロアリールとも呼ばれる)という表現は、ヘテロ芳香族の単環または多環基を含む。環炭素原子に加えて、これらは、環員として1、2、3、4つまたは4個超のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子は、好ましくは酸素、窒素、セレンおよび硫黄から選択される。ヘタリール基は、好ましくは5~18個、例えば5、6、8、9、10、11、12、13または14個の環原子を有する。
【0087】
単環式ヘタリール基は、好ましくは5または6員のヘタリール基、例えば、2-フリル(フラン-2-イル)、3-フリル(フラン-3-イル)、2-チエニル(チオフェン-2-イル)、3-チエニル(チオフェン-3-イル)、1H-ピロール-2-イル、1H-ピロール-3-イル、ピロール-1-イル、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-1-イル、イミダゾール-4-イル、ピラゾール-1-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-4-イル、ピラゾール-5-イル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、4H-[1,2,4]-トリアゾール-3-イル、1,3,4-トリアゾール-2-イル、1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾール-1-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、2-ピラジニル、1,3,5-トリアジン-2-イルおよび1,2,4-トリアジン-3-イルである。
【0088】
多環式ヘタリール基は、2、3、4つまたは4個超の縮合環を有する。縮合環は、芳香族で、飽和または部分的に不飽和でもよい。多環式ヘタリール基の例は、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾキサジニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジニル、ベンゾセレノフェニル、チエノチオフェニル、チエノピリミジル、チアゾロチアゾリル、ジベンゾピロリル(カルバゾリル)、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ナフト[2,3-b]チオフェニル、ナフタ[2,3-b]フリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロインドリジニル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキノリニルおよびジヒドロイソキノリニルである。
【0089】
置換されているヘタリール基は、その環系の員数およびサイズに応じて、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5つまたは5つ超)の置換基を有することができる。これらは、好ましくはそれぞれ独立して、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたアルケニル、非置換のまたは置換されたアルキニル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルチオ、非置換のまたは置換されたヘテロシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、非置換のまたは置換されたヘタリール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メルカプト、非置換のまたは置換されたアルコキシ、非置換のまたは置換されたポリアルキレンオキシ、非置換のまたは置換されたアルキルチオ、非置換のまたは置換されたシクロアルキルオキシ、非置換のまたは置換されたアリールオキシ、非置換のまたは置換されたアリールチオ、シアノ、ニトロ、非置換のまたは置換されたアルキルカルボニルオキシ、ホルミル、アシル、COOH、カルボキシレート、-COORAr1、-NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される。ここで、EおよびEは、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、RAr1およびRAr2は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである。特に置換されているヘタリール基は、非置換のまたは置換されたアルキル、非置換のまたは置換されたシクロアルキル、非置換のまたは置換されたアリール、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、アルコキシ、ポリアルキレンオキシ、メルカプト、アルキルチオ、シアノ、ニトロ、NE、-NRAr1CORAr2、-CONRAr1Ar2、-SONRAr1Ar2および-SOAr2から選択される1つ以上、例えば、1、2または3つの置換基を有する。ここで、E、E、RAr1およびRAr2は、上記で定義されたとおりである。
【0090】
縮合環系は、脂環式、脂肪族複素環式、芳香族および複素芳香族環ならびに縮合により結合している水素化芳香族であるそれらの組合せを含むことができる。縮合環系は、2つ、3つまたはそれ以上(例えば、4、5、6、7または8つ)の環を含む。縮合した環系における環が結合している様式に応じて、オルト縮合(すなわち、各環が少なくとも1つの縁またはそれぞれ隣接する環を伴う2つの原子を共有する)と、炭素原子が3つ以上の環に属するペリ融合との区別がなされる。好ましい縮合環系は、オルト縮合環系である。
【0091】
#またはが、本発明の化合物の部分構造を示す式に出現する場合、これは、分子の残り部分における結合を指す。
【0092】
式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物
好ましい実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立して、直鎖C-C24-アルキル、分岐鎖C-C24-アルキル、C-C24-アリールおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンからなる群から選択され、最後に言及された2つの基におけるアリールおよびアリール-アルキレンの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4または5つの同一もしくは異なる基Rにより置換されている。
【0093】
より好ましくはRおよびRは、それぞれ独立して、直鎖C-C24-アルキル、式(A.1)で示される基、式(A.2)で示される基、基(A.3)、式(B.1)で示される基、式(B.2)で示される基および式(B.3)で示される基
【化2】
[式中、
#は、窒素原子に対する結合部位を表し、
式(A.1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、C-C22-アルキルから選択され、RおよびR基の炭素原子の合計は、2~23の整数であり、
式(A.2)において、R、RおよびRは、C~C21-アルキルから独立して選択され、R、RおよびR基の炭素原子の合計は、3~23の整数であり、
式(A.3)において、RおよびRは、C~C21-アルキルから独立して選択され、RおよびR基の炭素原子の合計は、2~22の整数であり、
Bが存在する場合、式(B.1)、(B.2)および(B.3)において、Bは、C-C10-アルキレン基であり、同アルキレン基は、-O-および-S-から選択される1つ以上の非隣接基により中断されていてもよく、
yは、0または1であり、
は、それぞれ独立して、C-C24-アルキル、C-C24-フルオロアルキル、フッ素、塩素または臭素から選択され、
は、それぞれ独立して、C-C24-アルキルから選択され、
式B.2およびB.3において、xが、1、2、3、4または5である]
からなる群から選択される。
【0094】
式(A.1)で示される基の具体例は、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、1-メチルブチル、1-メチルペンチル、1-メチルヘキシル、1-メチルヘプチル、1-メチルオクチル、1-エチルプロピル、1-エチルブチル、1-エチルペンチル、1-エチルヘキシル、1-エチルヘプチル、1-エチルオクチル、1-プロピルブチル、1-プロピルペンチル、1-プロピルヘキシル、1-プロピルヘプチル、1-プロピルオクチル、1-ブチルペンチル、1-ブチルヘキシル、1-ブチルヘプチル、1-ブチルオクチル、1-ペンチルヘキシル、1-ペンチルヘプチル、1-ペンチルオクチル、1-ヘキシルヘプチル、1-ヘキシルオクチル、1-ヘプチルオクチル、特に1-メチルエチルである。
【0095】
式(A.2)で示される基の具体例は、tert-ブチルおよび1,1,3,3-テトラメチルブチルである。
【0096】
式(A.3)で示される基の具体例は、イソブチル、2-メチルブチルまたは2-エチルブチルである。
【0097】
式(B.1)、(B.2)および(B.3)で示される基の中でも、yが0である、すなわち、可変部Bが存在しないものが好ましい。式(B.2)および(B.3)における可変部xは、好ましくは1、2または3である。その出現に関係なく、Rは、好ましくはC-C24-アルキル、より好ましくは直鎖C-C10-アルキルまたは分岐鎖C-C10-アルキル、特にイソプロピルまたはtert-ブチルから選択される。その出現に関係なく、Rは、好ましくはC-C24-アルキル、より好ましくは直鎖C-C10-アルキルまたは分岐鎖C-C10-アルキルから選択される。特に式(B.2)で示される基が好ましい。式(B.2)で示される基の具体例は、2,6-ジメチルフェニル、2,4-ジ(tert-ブチル)フェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルまたは2,6-ジ(tert-ブチル)フェニルである。
【0098】
好ましくはRおよびRは、同じ意味を有する。特にRおよびRは両方とも、2,4-ジ(tert-ブチル)フェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルまたは2,6-ジ(tert-ブチル)フェニル、特に2,6-ジイソプロピルフェニルである。
【0099】
式(I)で示される化合物は、従来の方法、例えば、米国特許第4,845,223号に記載されている方法と同様の方法により製造することができる。それらは、式(1)
【化3】
[式中、
Halは、それぞれ臭素またはそれぞれ塩素であり、
およびRは、上記で定義されたとおりである]
で示される適切な塩素化または臭素化ペリレンビスイミドを、2-イソプロピルフェノールと反応させることにより製造することができる。
【0100】
この反応は、通常、塩基の存在下で行われる。適切な塩基は、特に無機アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基であり、アルカリ金属塩基が特に適切である。無機塩基の例は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩および炭酸水素塩、水酸化物、水素化物およびアミドである。好ましい塩基は、炭酸塩および炭酸水素塩であり、特に好ましくは炭酸塩である。好ましいアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウムおよびセシウムであり、特に適切なアルカリ土類金属は、マグネシウムおよびカルシウムである。塩基混合物を使用することも可能であると理解されるであろう。特に非常に好ましい塩基は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムである。
【0101】
この反応は、通常、極性の非プロトン性溶媒の存在下で行われる。適切な溶媒は、特に脂肪族カルボキサミド、好ましくはN,N-ジ-C-C-アルキル-C-C-カルボキサミド、ラクタム、例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルブチルアミドおよびN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ニトリル、例えば、アセトニトリルである。極性の非プロトン性溶媒の混合物を使用することも可能である。NMPが特に好ましい。
【0102】
反応温度は、総じて、室温から溶媒の沸点までの範囲内、好ましくは40~160℃である。
【0103】
式(1)で示される化合物は、文献の方法に従って、例えば、式(2)
【化4】
[式中、
Halは、それぞれ臭素またはそれぞれ塩素である]
で示される化合物、すなわち、1,6,7,12-テトラクロロペリレンテトラカルボン酸二無水物または1,6,7,12-テトラブロモペリレンテトラカルボン酸二無水物から、式R-NHで示される第一級アミンおよび適切な場合には、式R-NHで示される第一級アミンとの縮合により製造することができる。式中、RおよびRは、上記で定義されたとおりであり、Rは、(式R-NHで示される1つのアミンのみがイミド化のために使用される場合には)、Rについて定義されたものと同じでもよい。イミド化反応は、標準的な方法に従って、例えば、Bartholomew et al.,in Chem.Commun.,2008,6594-6596(Supplementary Material(ESI)for Chemical Communicationsを含む)に記載のとおりに行われる。
【0104】
1,6,7,12-テトラクロロペリレンテトラカルボン酸二無水物は市販されており、1,6,7,12-テトラブロモペリレンテトラカルボン酸二無水物は、Bartholomew et al.,in Chem.Commun.,2008,6594-6596(Supplementary Material(ESI)を含む)に記載のとおりに製造することができる。2-イソプロピルフェノールは市販されている。
【0105】
式(I)で示される化合物は、通常、赤色蛍光化合物である。
【0106】
式(I)で示される化合物およびそれらの混合物は、有機および無機材料に問題なく包含させることができるため、一連の最終用途全体に適している。
【0107】
式(I)で示される本発明のペリレンビスイミド化合物およびそれらの混合物は、色変換体における蛍光着色剤として特に注目に値する。
【0108】
色変換体
したがって、本発明は、マトリックスとしての少なくとも1種のポリマーと、蛍光着色剤としての上記で定義された式(I)で示される少なくとも1種のペリレンビスイミド化合物とを含み、少なくとも1種のポリマーは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、シリコーン、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)-コポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、2,5-フランジカルボキシレートポリエステル、ポリビニルブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミドまたはそれらの混合物から実質的になる、色変換体をさらに提供する。
【0109】
特に少なくとも1種のポリマーは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフラノエートから実質的になる。
【0110】
本明細書において、ポリスチレンは、とりわけ、スチレンおよび/またはスチレン誘導体の重合により生じる全てのホモポリマーまたはコポリマーを意味すると理解される。スチレン誘導体は、例えば、アルキルスチレン、例えば、アルファ-メチルスチレン、オルト-、メタ-、パラ-メチルスチレン、パラ-ブチルスチレン、特にパラ-tert-ブチルスチレン、アルコキシスチレン、例えば、パラ-メトキシスチレン、パラ-ブトキシスチレン、パラ-tert-ブトキシスチレンである。総じて、適切なポリスチレンは、10000~1000000g/mol(GPCにより測定)、好ましくは20000~750000g/mol、より好ましくは30000~500000g/molの平均モル質量Mnを有する。
【0111】
好ましい実施形態では、色変換体のマトリックスは、実質的にまたは完全に、スチレンまたはスチレン誘導体のホモポリマーからなる。とりわけ、ポリマーは、完全にポリスチレンからなる。
【0112】
本発明のさらに好ましい実施形態では、マトリックスは、実質的にまたは完全に、スチレンコポリマーからなり、これらは、本願の文脈において、同様にポリスチレンとみなされる。スチレンコポリマーは、さらなる成分として、例えば、ブタジエン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、ビニルカルバゾールまたはモノマーとしてのアクリル酸、メタクリル酸もしくはイタコン酸のエステルを含んでもよい。適切なスチレンコポリマーは、総じて、少なくとも20重量%のスチレン、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%のスチレンを含む。別の実施形態では、それらは、少なくとも90重量%のスチレンを含む。
【0113】
好ましいスチレンコポリマーは、スチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN)およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、スチレン-1,1’-ジフェニルエテンコポリマー、アクリル酸エステル-スチレン-アクリロニトリルコポリマー(ASA)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(MABS)である。さらに好ましいポリマーは、アルファ-メチルスチレン-アクリロニトリルコポリマー(AMSAN)である。スチレンホモポリマーまたはコポリマーは、例えば、フリーラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合によりまたは有機金属触媒(例えば、チーグラー-ナッタ触媒)の影響下で製造することができる。これにより、アイソタクティック、シンジオタクティックまたはアタクティックポリスチレンまたはコポリマーをもたらすことができる。それらは、好ましくはフリーラジカル重合により製造される。重合は、懸濁重合、エマルジョン重合、溶液重合またはバルク重合として行うことができる。適切なポリスチレンの製造は、例えば、Oscar Nuyken,Polystyrenes and Other Aromatic Polyvinyl Compounds,in Kricheldorf,Nuyken,Swift,New York 2005,p.73-150およびそこで引用された参考文献ならびにElias,Macromolecules,Weinheim 2007,p.269-275に記載されている。
【0114】
別の好ましい実施形態では、ポリマーは、実質的にまたは完全に、ポリエチレンテレフタレートからなる。ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコールとテレフタル酸との縮合により得ることができる。好ましくはポリマーは、完全にポリエチレンテレフタレートからなる。
【0115】
同様に、とりわけ、ポリマーは、実質的にまたは完全に、ポリカーボネートからなる。より好ましくはポリマーは、完全にポリカーボネートからなる。ポリカーボネートは、炭酸と芳香族または脂肪族ジヒドロキシル化合物とのポリエステルである。好ましいジヒドロキシル化合物は、例えば、メチレンジフェニレンジヒドロキシル化合物、例えば、ビスフェノールAである。ポリカーボネートを製造する1つの手段は、界面重合における適切なジヒドロキシル化合物とホスゲンとの反応である。別の手段は、縮合重合における炭酸ジエステル、例えば、炭酸ジフェニルとの反応である。適切なポリカーボネートの製造は、例えば、Elias,Macromolecules,Weinheim 2007,p.343-347に記載されている。
【0116】
同様に、とりわけ、ポリマーは、実質的にまたは完全に、2,5-フランジカルボキシレートポリエステルからなる。2,5-フランジカルボキシレートポリエステルは、(i)脂肪族C-C20-ジオールおよび脂環式C-C20-ジオールから選択される少なくとも1種のジオールと、(ii)2,5-フランジカルボン酸および/またはそれらのエステル形成誘導体ならびに(iii)場合により、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、テレフタル酸および2,6-ナフタル酸ならびに/またはそれらのエステル形成誘導体から選択される少なくとも1種のさらなるジカルボン酸とを反応させることにより得ることができる。
【0117】
適切な脂肪族C-C20-ジオールは、好ましくは直鎖または分岐鎖C-C15-アルカンジオール、特に直鎖または分岐鎖C-C10-アルカンジオール、例えば、エタン-1,2-ジオール(エチレングリコール)、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール(プロピレングリコール)、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール(ブチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、デカン-1,10-ジオール等である。適切な脂環式C-C20-ジオールは、好ましくはC-C10-シクロアルキレンジオール、例えば、1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘプタンジオールまたは1,4-シクロヘプタンジオールである。他の適切な脂環式C-C20-ジオールは、1,3-シクロヘキサンジメタノールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールもしくは2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールまたはそれらの組み合わせを含む。特に好ましいジオールは、C-C-アルカンジオール、特にエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールおよびそれらの混合物である。とりわけ、エタン-1,2-ジオールおよびプロパン-1,3-ジオール、特にエタン-1,2-ジオールが好ましい。
【0118】
とりわけ、生物学的に得られた(「生物由来」)C-C10-アルカンジオール、特にC-C-アルカンジオール、例えば、エタン-1,2-ジオールおよびプロパン-1,3-ジオールが好ましい。生物系エタン-1,2-ジオールは、リグノセルロース系バイオマス源から、その中に含まれる炭水化物の変換により得ることができる。バイオマスからC-C10-アルカンジオールを製造するための方法は、当技術分野において、例えば、米国特許出願公開第2011/0306804号明細書(US 2011/0306804)から公知である。
【0119】
好ましくはジオール成分(i)は、好ましいものとして言及された1つのジオール、特にエタン-1,2-ジオールのみから構成される。また、ジオール成分(i)は、2つ、3つまたは4つ以上の異なるジオールを含むこともできる。2、3または4つ以上の異なるジオールが使用される場合、好ましいものとして上記で言及されたものが好ましい。この場合、成分(i)の総重量に対して、エタン-1,2-ジオールが、好ましくは主成分である。
【0120】
2,5-フランジカルボン酸のエステル形成誘導体は、特に2,5-フランジカルボン酸のC-C10-ジアルキルエステルである。特に好ましいジエステルは、2,5-フランジカルボン酸のC-C-ジアルキルエステル、特にジメチルエステルおよびジエチルエステルである。また、成分(ii)は、2,5-フランジカルボン酸の2、3または4つ以上の異なるジエステルを含むこともできる。2,5-フランジカルボン酸は、生物系の糖から製造することができる。Co、Mnおよび/またはCeを含む触媒による、2,5-二置換フラン、例えば、5-ヒドロキシメチルフルフラールの空気酸化を使用する2,5-フランジカルボン酸の製造のための経路は、近年、国際公開第2010/132740号(WO 2010/132740)、同第2011/043660号(WO 2011/043660)、同第2011/043661号(WO 2011/043661)、米国特許出願公開第2011/0282020号明細書(US 2011/0282020)、同第2014/0336349号明細書(US 2014/0336349)および国際公開第2015/137804号(WO 2015/137804)に報告された。2,5-フランジカルボン酸のジアルキルエステルの製造経路も、例えば、国際公開第2011/043661号(WO 2011/043661)に記載されている。
【0121】
好ましくはポリマーは、(i)脂肪族C-C20-ジオールおよび脂環式C-C20-ジオールから選択される1つのジオールと、(ii)2,5-フランジカルボン酸または2,5-フランジカルボン酸のジエステルとからのみ構成される。
【0122】
好ましくは2,5-フランジカルボキシレートポリエステルは、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-co-プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ペンチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ネオペンチレン-2,5-フランジカルボキシレート)およびそれらの混合物から選択される。特に本発明による色変換体において使用するためのポリマーマトリックス材料は、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート)およびポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)からなるかまたは実質的にこれらからなることができる。特に本発明による色変換体において使用するためのポリマーマトリックス材料は、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)からなる。さらに具体的な実施形態では、色変換体のポリマーマトリックス材料は、上記で定義された異なる2,5-フランジカルボキシレートポリエステルの混合物(ブレンド)、例えば、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)とポリ(プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)とのブレンドを含む。ポリ(プロピレン-2,5-フランジカルボキシレート)は、ポリ(トリメチレン 2,5-フランジカルボキシレート)とも呼ばれる。ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)は、ポリ(テトラメチレン 2,5-フラン-ジカルボキシレート)とも呼ばれる。ポリ(ペンチレン-2,5-フランジカルボキシレート)は、ポリ(ペンタメチレン 2,5-フランジカルボキシレート)とも呼ばれる。
【0123】
同様に、上記で定義された少なくとも1種のジオール成分(i)、上記で定義された成分(ii)ならびに1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、テレフタル酸および2,6-ナフタル酸ならびに/またはそのエステル形成誘導体から選択される少なくとも1種のさらなる二酸またはジエステル成分(iii)を反応させることにより得ることができる2,5-フランジカルボキシレートポリエステルが適切である。1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸、テレフタル酸および2,6-ナフタル酸のエステル形成誘導体は、特にC-C10-ジアルキルエステルである。特に好ましいエステルは、C-C-ジアルキルエステル、特にジメチルエステルおよびジエチルエステルである。成分(ii)と成分(iii)との組み合わせを使用する場合、成分(ii)は、成分(ii)および(iii)の総重量に基づく主成分である。例は、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-テレフタレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-2,6-ナフタレート)またはポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-3,4-フランジカルボキシレート)、好ましくはポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-テレフタレート)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-2,6-ナフタレート)またはポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート-co-3,4-フランジカルボキシレート)である。
【0124】
2,5-フランジカルボキシレートポリエステル(A)は、米国特許第2,551,731号明細書(US 2,551,731)に記載のとおりに製造することができる。
【0125】
特にポリマーは、ポリスチレンからなる。同様に、特にポリマーは、ポリカーボネートからなる。同様に、特にポリマーは、ポリエチレンテレフタレートからなる。同様に、特にポリマーは、ポリエチレンフラノエートからなる。
【0126】
好ましい実施形態では、酸素を排除して重合されたポリマーが使用される。好ましくは重合中のモノマーは、合計で1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下、特に好ましくは10ppm以下の酸素を含んでいた。
【0127】
典型的には、式(I)で示される化合物の濃度は、使用されるポリマーの量に対して、0.0001~0.5重量%、好ましくは0.001~0.1重量%の範囲にある。
【0128】
適切なポリマーは、さらなる成分として、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤、フリーラジカルスカベンジャー、帯電防止剤等の添加剤を含んでもよい。この種の安定剤は、当業者に公知である。
【0129】
適切な酸化防止剤またはフリーラジカルスカベンジャーは、例えば、フェノール、特に立体障害フェノール、例えば、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)または立体障害アミン(HALS)である。この種の安定剤は、例えば、Irganox(登録商標)の商品名でBASFにより販売されている。場合により、酸化防止剤およびフリーラジカルスカベンジャーは、例えば、Irgafos(登録商標)の商品名でBASFにより販売されているような、ホスファイトまたはホスホナイト等の二次安定剤により補完することができる。
【0130】
適切なUV吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール、例えば、2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(BTZ)、トリアジン、例えば、(2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン(HPT)、ヒドロキシベンゾフェノン(BP)またはオキサラニリドである。この種のUV吸収剤は、例えば、Uvinul(登録商標)の商品名で、BASFにより販売されている。
【0131】
本発明の好ましい実施形態では、適切なポリマーは、酸化防止剤またはフリーラジカルスカベンジャーを何ら含まない。
【0132】
本発明のさらなる実施形態では、適切なポリマーは、透明ポリマーである。
【0133】
別の実施形態では、適切なポリマーは、不透明ポリマーである。
【0134】
好ましい実施形態によれば、色変換体は、付加的に、散乱体として少なくとも1種の無機白色顔料を含む。
【0135】
適切な散乱体は、DIN 13320に対する平均粒径が0.01~10μm、好ましくは0.1~1μm、より好ましくは0.15~0.4μmである、無機白色顔料、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、リトポン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、特にTiOに基づく散乱体である。
【0136】
散乱体は、典型的には、散乱体を含む層のポリマーに対して、それぞれ0.01~2.0重量%、好ましくは0.05~1重量%、より好ましくは0.1~0.5重量%の量で含まれる。
【0137】
上記で言及されたポリマーは、式(I)で示される化合物と、存在する場合には、以下に記載される他の有機蛍光着色剤のためのマトリックス材料として機能する。式(I)で示される蛍光着色剤、ただし、場合により、以下に記載される他の有機蛍光着色剤も、ポリマー中に溶解させることができるかまたは均一に分散された混合物の形態であることができるかのいずれかである。好ましい実施形態では、色変換体は、式(I)で示される少なくとも1種の本発明の蛍光着色剤またはそれらの混合物と、少なくとも1種のさらなる有機蛍光着色剤とを含む。
【0138】
好ましくは色変換体は、以下の群から選択される少なくとも1種のさらなる有機蛍光着色剤(B)を含む。
【0139】
(B1)式(II)
【化5】
[式中、
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29およびR210は、それぞれ独立して、水素、シアノまたはアリールであり、同アリールは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なる置換基R2Arを有し、
各R2Arは、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ハロゲン、C-C20-アルコキシ、C-C20-アルキルチオ、ニトロ、-NR2Ar22Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar22Ar3、-SONR2Ar22Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、C-C30-アルキル、C-C30-アルケニル、C-C30-アルキニル(後者の3つの基は、非置換であるかまたは1つ以上のR2a基を有する)、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル(後者の2つの基は、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有する)、アリール、U-アリール、ヘテロアリールおよびU-ヘテロアリール(後者の4つの基は、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有する)から独立して選択され、
各R2aは、シアノ、ヒドロキシル、オキソ、メルカプト、ハロゲン、C-C20-アルコキシ、C-C20-アルキルチオ、ニトロ、-NR2Ar2Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar2Ar3、-SONR2Ar2Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール基は、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有し、
各R2bは、シアノ、ヒドロキシル、オキソ、メルカプト、ハロゲン、C-C20-アルコキシ、C-C20-アルキルチオ、ニトロ、-NR2Ar22Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar22Ar3、-SONR2Ar22Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、後者の4つの基は、非置換であるかまたは1つ以上のR2b1基を有し、
各R2b1は、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、オキソ、ニトロ、ハロゲン、-NR2Ar22Ar3、-NR2Ar2COR2Ar3、-CONR2Ar22Ar3、-SONR2Ar22Ar3、-COOR2Ar2、-SO2Ar2、-SO2Ar2、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C12-アルコキシおよびC-C12-アルキルチオから独立して選択され、
Uは、-O-、-S-、-NR2Ar1-、-CO-、-SO-または-SO-部分であり、
2Ar1、R2Ar2、R2Ar3は、それぞれ独立して、水素、C-C18-アルキル、3~8員のシクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり、アルキルは、非置換であるかまたは1つ以上のR2a基を有し、3~8員のシクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるかまたは1つ以上のR2b基を有するが、
ただし、式IIで示される化合物が、少なくとも1つのシアノ基を含むことを条件とする]
で示されるシアン化ナフトイルベンゾイミダゾール化合物およびそれらの混合物。
【0140】
(B2)式(III)
【化6】
[式中、
置換基の一方は、シアノであり、他方のZ置換基は、CO39、CONR310311、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3a置換基を有し、C-C12-シクロアルキルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3b置換基を有し、C-C14-アリールは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3Ar置換基を有し、
3*置換基の一方は、シアノであり、他方のZ3*置換基は、CO39、CONR310311、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、C-C18-アルキル、C-C18-アルケニル、C-C18-アルキニルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3a置換基を有し、C-C12-シクロアルキルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3b置換基を有し、C-C14-アリールは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるZ3Ar置換基を有し、
31、R32、R33、R34、R35、R36、R37およびR38は、それぞれ独立して、水素、シアノ、臭素および塩素から選択されるが、
ただし、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37またはR38置換基のうちの1、2、3、4、5、6、7または8個が、シアノであることを条件とし、
39は、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3a置換基を有し、C-C12-シクロアルキルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3b置換基を有し、C-C14-アリールは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3Ar置換基を有し、
310およびR311は、それぞれ独立して、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3a置換基を有し、C-C12-シクロアルキルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3b置換基を有し、C-C14-アリールは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3Ar置換基を有し、
各Z3aは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、NR310a311a、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C-C12-シクロアルキル、C-C14-アリール、C(=O)R39a、C(=O)OR39aまたはC(O)NR310a311aであり、C-C12-シクロアルキルは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3b置換基を有し、C-C14-アリールは、非置換であるかまたは1つ以上の同一もしくは異なるR3Ar置換基を有し、
各Z3bおよび各Z3Arは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、NR310a311a、C-C10-アルキル、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C(=O)R39a、C(=O)OR39aまたはC(O)NR310a311aであり、
各R3aは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C-C10-アルコキシ、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
各R3bは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C-C10-アルキル、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
各R3Arは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、C-C10-アルキル、C-C10-アルコキシ、C-C10-ハロアルコキシ、C-C10-アルキルチオ、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
39aは、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールであり、
310a、R311aは、それぞれ独立して、水素、C-C10-アルキル、C-C10-アルケニル、C-C10-アルキニル、C-C12-シクロアルキルまたはC-C14-アリールである]
で示されるシアン化ペリレン化合物およびそれらの混合物。
【0141】
(B3)式(IV)
【化7】
[式中、
m4は、0、1、2、3または4であり、
各R41は、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、-NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、アリールオキシの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R41aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンのアルキレン部分は、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
基R42、R43、R44およびR45の少なくとも1つは、CNであり、残りの基は、それぞれ独立して、水素、塩素および臭素から選択され、
40は、O、S、SOまたはSOであり、
Aは、一般式(A.1)、(A.2)、(A.3)および(A.4)
【化8】
[式中、
は、各場合において、分子の残り部分への結合点を指し、
n4は、0、1、2、3または4であり、
o4は、0、1、2または3であり、
p4は、0、1、2または3であり、
46は、水素、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-シクロアルキル、C-C24-アリールまたはC-C24-アリール-C-C10-アルキレンであり、最後に言及された3つの基におけるシクロアルキル、アリールおよびアリール-アルキレンの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R46aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキルおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンのアルキレン部分は、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ原子基により中断されていてもよく、
各R47は、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、-NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリールおよびアリール-アルキレンの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R47aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンのアルキレン部分は、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
各R48は、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリールおよびアリール-アルキレンの環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R48aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンのアルキレン部分は、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
各R49は、それぞれ独立して、臭素、塩素、シアノ、NR4a4b、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシ、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシ、C-C24-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、最後に言及された6つの基におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリールおよびアリール-アルキレンの環が、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R49aにより置換されており、C-C24-アルキル、C-C24-ハロアルキル、C-C24-アルコキシ、C-C24-ハロアルコキシおよびC-C24-アリール-C-C10-アルキレンのアルキレン部分は、O、SおよびNR4cから選択される1つ以上の基により中断されていてもよく、
41a、R46a、R47a、R48a、R49aは、それぞれ独立して、C-C24-アルキル、C-C24-フルオロアルキル、C-C24-アルコキシ、フッ素、塩素および臭素から選択され、
4a、R4b、R4cは、それぞれ独立して、水素、C-C20-アルキル、C-C24-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールおよびC-C24-アリールから選択される]
で示されるジラジカルから選択されるジラジカルである]
で示されるシアン化化合物およびそれらの混合物。
【0142】
(B4)式(V)
【化9】
[式中、
は、酸素または硫黄であり、
51は、非置換であるかまたはハロゲン、R511、OR552、NHR552およびNR552557から選択される1、2、3、4もしくは5つの置換基を有するフェニルであり、
52、R53、R54、R55、R56、R57、R58およびR59は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、R553、OR553、NHR553およびNR553554から選択され、R511は、C-C24-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択され、R552およびR557は、それぞれ独立して、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択され、R553およびR554は、それぞれ独立して、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択される]
で示されるベンゾ(チオ)キサンテン化合物およびそれらの混合物。
【0143】
(B5)式(VIA)または(VIB)
【化10】
[式中、
は、酸素または硫黄であり、
61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R610、R611およびR612は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、R661、OR661、NHR661およびNR661662から選択され、
各R661は、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択され、
各R662は、C-C18-アルキル、C-C24-アリールおよびヘテロアリールから選択される]
で示されるベンゾイミダゾキサンテンイソキノリン化合物およびそれらの混合物。
【0144】
(B6)式(VII)
【化11】
[式中、
示されるベンゾイミダゾール構造の6員環の1つ以上のCH基は、窒素により置き換えられていてもよく、記号はそれぞれ、下記のように定義される:
n7は、式(VII)で示される各構造単位についての0~(10-p7)の数であり、p7は、示されるベンゾイミダゾール構造の6員環において窒素により置き換えられたCH単位の数であり、
X7は、化学結合、O、S、SO、SO、NR71であり、
Rは、脂肪族基、脂環式基、アリール、ヘテロアリール(それらはそれぞれ、置換基を有してもよい)、芳香族または複素芳香族環または環系(それらはそれぞれ、式(VII)で示される構造単位の他の芳香環に縮合している)であり、X7が化学結合でない場合、F、Cl、Br、CN、Hであり、
2つのR基が結合して1つの環状基となってもよく、n7>1の場合、X7およびRは、同じかまたは異なってもよく、
71は、それぞれ独立して、水素、C-C18-アルキルまたはシクロアルキル(それらの炭素鎖は、1つ以上の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO-部分を含んでもよく、単置換または多置換されていてもよい)、アリールまたはヘテロアリール(それらは、単置換または多置換されていてもよい)である]
で示される少なくとも1つの構造単位を含む蛍光化合物およびそれらの混合物。
【0145】
(B7)式(VIII)または(IX)
【化12】
[式中、
81、R82は、それぞれ独立して、C-C30-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、C-C10-アリール、ヘテロアリール、C-C10-アリール-C-C10-アルキレンであり、3つの後者の基における芳香環は、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されており、
92は、C-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C-C10-アルキレンであり、3つの後者の基における芳香環は、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されている]
で示されるペリレン化合物。
【0146】
(B8)式(X)
【化13】
[式中、
各R101は、それぞれ独立して、水素、C-C30-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、C-C10-アリール、ヘテロアリール、C-C10-アリール-C-C10-アルキレンであり、3つの後者の基における芳香環は、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されており、
102は、水素、C-C30-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C30-アルキル、C-C-シクロアルキル、C-C10-アリール、ヘテロアリール、C-C10-アリール-C-C10-アルキレンであり、3つの後者の基における芳香環は、非置換であるかまたはC-C10-アルキルにより単置換もしくは多置換されている]
で示されるナフタレンモノイミド化合物。
【0147】
(B9)7-(ジエチルアミノ)-3-(5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2H-クロメン-2-オン。
【0148】
(B10)式(XIA)または(XIB)
【化14】
[式中、
各R111は、それぞれ独立して、C-C18アルキル、C-Cシクロアルキル(これらは、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)またはフェニルもしくはナフチル(これらは、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)である]
で示されるペリレン化合物およびそれらの混合物。
【0149】
(B11)式(XIIA)または(XIIB)
【化15】
[式中、
各R121は、それぞれ独立して、C-C18アルキル、C-Cシクロアルキル(これらは、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)またはフェニルもしくはナフチル(これらは、ハロゲンまたは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換または多置換されていてもよい)である]
で示されるシアン化ペリレン化合物およびそれらの混合物。
【0150】
(B12)式(XIII)
【化16】
[式中、
基R131、R132、R133、R134、R135、R136、R137、R138、R139およびR1310の少なくとも1つは、それぞれ独立して、1、2または3つのシアノ基および0、1、2、3または4つの置換基RAr13を有するアリールであり、残りの基R131、R132、R133、R134、R135、R136、R137、R138、R139およびR1310は、それぞれ独立して、水素および非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの置換基RAr13を有するアリールから選択され、
Ar13は、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン、C-C30-アルキル、C-C30-アルケニル、C-C30-アルキニル(3つの後者の基は、非置換であるかまたは1つ以上のR13a基を有する)、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル(2つの後者の基は、非置換であるかまたは1つ以上のR13b基を有する)、アリールおよびヘテロアリール(2つの後者の基は、非置換であるかまたは1つ以上のR13c基を有する)から選択され、
13aは、各出現においてそれぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルは、非置換であるかまたは1つ以上のR13b1基を有し、アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるかまたは1つ以上のR13c1基を有し、
13bは、各出現においてそれぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、C-C18-アルキル、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルは、非置換であるかまたは1つ以上のR13b1基を有し、アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるかまたは1つ以上のR13c1基を有し、
13cは、各出現においてそれぞれ独立して、シアノ、ハロゲン、C-C18-アルキル、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、C-C-シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルは、非置換であるかまたは1つ以上のR13b1基を有し、アリールおよびヘテロアリールは、非置換であるかまたは1つ以上のR13c1基を有し、
13b1は、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン、C-C18-アルキルおよびC-C18-ハロアルキルから選択され、
13c1は、各出現においてそれぞれ独立して、ハロゲン、C-C18-アルキルおよびC-C18-ハロアルキルから選択される]
で示されるナフトイルベンゾイミダゾール化合物およびそれらの混合物。
【0151】
(B13)式(XIV)
【化17】
[式中、
141およびR142は、それぞれ独立して、水素、それぞれ非置換のまたは置換されたC-C30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C-C30-アルコキシ、C-C30-アルキルチオ、C-C20-シクロアルキル、C-C20-シクロアルキルオキシ、C-C24-アリールおよびC-C24-アリールオキシから選択され、
143、R144、R145、R146、R147、R148、R149、R1410、R1411、R1412、R1413、R1414、R1415、R1416、R1417およびR1418は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、-NE141142、-NRAr141CORA142、-CONRAr141Ar142、-SONRA141A142、-COORAr141、-SOAr142、それぞれ非置換のまたは置換されたC-C30-アルキル、ポリアルキレンオキシ、C-C30-アルコキシ、C-C30-アルキルチオ、C-C20-シクロアルキル、C-C20-シクロアルコキシ、C-C24-アリール、C-C24-アリールオキシおよびC-C24-アリールチオから選択され、
143およびR144、R144およびR145、R145およびR146、R146およびR147、R147およびR148、R148およびR149、R149およびR1410、R1411およびR1412、R1412およびR1413、R1413およびR1414、R1414およびR1415、R1415およびR1416、R1416およびR1417ならびに/またはR1417およびR1418は、それらが結合しているビフェニルイル部分の炭素原子と共に、さらなる縮合芳香環系または非芳香環系を形成してもよく、縮合環系は、非置換であるかまたは置換されており、
141およびE142は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルケニル、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキニル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキルまたは非置換のもしくは置換されたC-C10-アリールであり、
Ar141およびRAr142は、それぞれ独立して、水素、非置換のもしくは置換されたC-C18-アルキル、非置換のもしくは置換されたC-C20-シクロアルキル、非置換のもしくは置換されたヘテロシクリル、非置換のもしくは置換されたC-C20-アリールまたは非置換のもしくは置換されたヘテロアリールである]
で示されるペリレン化合物およびそれらの混合物。
【0152】
(B14)化合物(I)とは異なる、式(XV)
【化18】
[式中、
p15は、1、2、3または4であり、
151およびR152は、それぞれ独立して、C-C10-アルキル(これは、非置換であるかまたはC-C10-アリールにより置換されており、該C-C10-アリールは、非置換であるかまたは1、2もしくは3つのC-C10-アルキルにより置換されている)、1つ以上の酸素により中断されているC-C20-アルキル、C-C-シクロアルキル(これは、非置換であるかまたは1、2もしくは3つのC-C10-アルキルにより置換されている)またはC-C10-アリール(これは、非置換であるかまたは1、2もしくは3つのC-C10-アルキルにより置換されている)であり、
各R153は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、C-C16-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C16-アルキル、C-C16-アルコキシ、非置換であるかまたはフッ素、塩素、C-C16-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C16-アルキル、C-C16-アルコキシにより単置換もしくは多置換されているC-C10-アリールオキシまたは非置換であるかまたはC-C-アルキル、C-C-アルコキシ-C-C-アルキルおよびC-C-アルコキシから選択される1、2または3つの基により置換されているC-C10-アリールであり、
133基は、により示される位置にある]
で示されるペリレンビスイミド化合物およびそれらの混合物。
【0153】
有機蛍光着色剤(B1)
式(II)で示されるシアン化ナフトイルベンゾイミダゾール化合物は、国際公開第2015/019270号(WO 2015/019270)から公知である。式(II)で示される化合物は、通常、緑色、黄緑色または黄色の蛍光着色剤である。本発明の色変換体における使用に関して、化合物(II)は、好ましくは式(II-A)
【化19】
[式中、
23およびR24は、それぞれ独立して、シアノ、フェニル、4-シアノフェニルまたはC-C10-アルキルから選択される1、2もしくは3つの置換基を有するフェニル、特にシアノ、フェニルまたは4-シアノフェニルであり、
27、R28、R29およびR210は、それぞれ独立して、水素、シアノ、フェニル、4-シアノフェニルまたはC-C10-アルキルから選択される1、2もしくは3つの置換基を有するフェニル、特に水素、シアノ、フェニルまたは4-シアノフェニルである]
で示される化合物およびそれらの混合物から選択される。
【0154】
国際公開第2015/019270号(WO 2015/019270)の第16頁、第2段落~第20頁、第3段落に明記されている化合物がより好ましい。本発明の色変換体における使用に関して、式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)、(II-5)、(II-6)、(II-7)、(II-8)、(II-9)、(II-10)、(II-11)、(II-12)、(II-13)、(II-14)、(II-15)、(II-16)、(II-17)、(II-18)、(II-19)、(II-20)、(II-21)、(II-22)、(II-23)、(II-24)、(II-25)、(II-26)、(II-27)、(II-28)、(II-29)、(II-30)、(II-31)、(II-32)、(II-33)、(II-34)、(II-35)、(II-36)、(II-37)、(II-38)、(II-39)、(II-40)、(II-41)、(II-42)、(II-43)、(II-44)、(II-45)、(II-46)、(II-47)、(II-48)、(II-49)および(II-50)
【化20-1】
【化20-2】
【化20-3】
【化20-4】
【化20-5】
で示される化合物ならびにそれらの混合物から選択される式(II)で示される化合物が特に好ましい。
【0155】
化合物(II-11)、(II-12)、(II-13)および(II-14)ならびにそれらの混合物が特により好ましい。
【0156】
有機蛍光着色剤(B2)
式(III)で示される化合物は、国際公開第2015/169935号(WO 2015/169935)から公知である。式(III)で示される化合物は、通常、黄色または黄緑色の蛍光着色剤である。本発明の色変換体における使用に関して、式(III)で示される化合物は、下記式(III-a)および(III-b)で示される化合物ならびに式(III-c)および(III-d)で示される化合物
【化21】
[式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、ZおよびZ3*はそれぞれ、上記で定義されたとおりである]
を、個々に包含し、かつそれらの混合物を包含する。
【0157】
特に国際公開第2015/169935号(WO 2015/169935)の第12頁9行目~第13頁31行目に明記されている化合物が好ましい。本発明の色変換体における使用に関して、式(III-1)、(III-2)、(III-3)、(III-4)、(III-5)、(III-6)、(III-7)、(III-8)、(III-9)、(III-10)、(III-11)、(III-12)、(III-13)、(III-14)、(III-15)、(III-16)、(III-17)、(III-18)、(III-19)、(III-20)
【化22-1】
【化22-2】
[式中、
は、C-C-アルキル、C-C-アルコキシカルボニル、フェニルおよび1、2または3つのC-C-アルキル基を有するフェニルから選択され、
3*は、C-C-アルキル、C-C-アルコキシカルボニル、フェニルおよび1、2または3つのC-C-アルキル基を有するフェニルから選択される]
で示される化合物およびそれらの混合物から選択される式(III)で示される化合物が好ましい。
【0158】
特別な実施形態では、Z3*は、Zと同じ意味を有する。
【0159】
これらの中でも、式(10.a)、(10.b)
【化23】
[式中、
、R、RおよびR置換基のうちの3つは、水素であり、
、R、RおよびR置換基のうちの1つは、シアノである]
のペリレン化合物およびそれらの混合物が特に好ましい。
【0160】
有機蛍光着色剤(B3)
式(IV)で示されるシアン化化合物は、国際公開第2016/151068号(WO 2016/151068)の主題である。式(IV)で示される化合物は、通常、黄色または黄緑色の蛍光着色剤である。本発明の色変換体における使用に関して、式(IV)で示される化合物は、好ましくはX40がOである化合物である。また、X40がSである式(IV)で示される化合物も好ましい。国際公開第2016/151068号(WO 2016/151068)の第24頁10行目~第34頁4行目に明記されている化合物が好ましい。
【0161】
これらの中でも、Aが式(A.2)で示される基である式(IV)で示される化合物が特に好ましい。Aが式(A.2)で示される基である式(IV)で示される化合物は、式(IV-A.2)
【化24】
[式中、m4、X40、R41、R42、R43、R44、R45およびR46は、上記で定義されたとおりである]
で示される化合物とも呼ばれる。
【0162】
式(I-A.2)で示される化合物において、R46は、好ましくは水素、直鎖C-C24-アルキル、分岐鎖C-C24-アルキル、C-C10-アリールおよびC-C10-アリール-C-C10-アルキレンから選択され、最後に言及された2つの部分におけるアリール環は、非置換であるかまたは1、2、3、4もしくは5つの同一もしくは異なる基R46aにより置換されている。特にR46は、直鎖C-C24-アルキル、式(B.1)で示される基および式(B.2)で示される基
【化25】
[式中、
#は、窒素原子に対する結合部位であり、
式(B.1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、C-C23-アルキルから選択され、RおよびR基の炭素原子の合計は、2~23の整数であり、
式(B.2)において、R、RおよびRは、C~C20-アルキルから独立して選択され、R、RおよびR基の炭素原子の合計は、3~23の整数である]
から選択される。
【0163】
式(B.1)で示される好ましい基は、1-メチルエチル、1-メチルプロピル、1-メチルブチル、1-メチルペンチル、1-メチルヘキシル、1-メチルヘプチル、1-メチルオクチル、1-エチルプロピル、1-エチルブチル、1-エチルペンチル、1-エチルヘキシル、1-エチルヘプチル、1-エチルオクチル、1-プロピルブチル、1-プロピルペンチル、1-プロピルヘキシル、1-プロピルヘプチル、1-プロピルオクチル、1-ブチルペンチル、1-ブチルヘキシル、1-ブチルヘプチル、1-ブチルオクチル、1-ペンチルヘキシル、1-ペンチルヘプチル、1-ペンチルオクチル、1-ヘキシルヘプチル、1-ヘキシルオクチル、1-ヘプチルオクチルである。
【0164】
式(B.2)で示される特に好ましい基は、tert-ブチルである。
【0165】
同様に、特にR46は、式(C.1)で示される基、式(C.2)で示される基または式(C.3)で示される基
【化26】
[式中、
#は、窒素原子への結合側を表し、
Bが存在する場合、Bは、C-C10-アルキレン基であり、同アルキレン基は、-O-および-S-から選択される1つ以上の非隣接基により中断されてもよく、
yは、0または1であり、
は、それぞれ独立して、C-C24-アルキル、C-C24-フルオロアルキル、フッ素、塩素または臭素から選択され、
は、それぞれ独立して、C-C24-アルキルから選択され、
xは、式C.2およびC.3において、1、2、3、4または5である]
である。
【0166】
好ましくはyは、0であり、すなわち、可変部Bは存在しない。
【0167】
その出現に関係なく、Rは、好ましくはC-C24-アルキル、より好ましくは直鎖C-C10-アルキルまたは分岐鎖C-C10-アルキル、特にイソプロピルから選択される。その出現に関係なく、Rは、好ましくは直鎖C-C10-アルキルまたは分岐鎖C-C10-アルキルから選択される。式(C.2)および(C.3)中の可変部xは、好ましくは1、2または3である。
【0168】
特別の群の実施形態は、可変部m4、X40、R41、R42、R43、R44およびR45がそれぞれ独立してまたは特に組み合わせにおいて下記意味を有する、式(IV-A.2)で示される化合物に関する。
【0169】
40は、OまたはSであり、
42およびR44はそれぞれ、シアノであり、
43およびR45はそれぞれ、水素であるかまたはR43およびR45の一方は、臭素であり、R43およびR45の他方は、水素であり、
41は、シアノ、臭素および非置換であるかまたはC-C-アルキルから選択される1もしくは2つの基を有するフェニルから選択され、
46は、水素、C-C24-直鎖アルキル、分岐鎖C-C24-アルキル、式(C.1)で示される基、式(C.2)で示される基および式(C.3)で示される基から選択され、
m4は、0または1である。
【0170】
さらにより好ましくは
40は、OまたはSであり、
42およびR44はそれぞれ、シアノであり、
43およびR45はそれぞれ、水素であり、
41は、シアノ、臭素および非置換であるかまたはC-C-アルキルから選択される1もしくは2つの基を有するフェニル、特にシアノから選択され、
46は、直鎖C-C24-アルキル、分岐鎖C-C24-アルキル、式(C.1)で示される基、式(C.2)で示される基および式(C.3)で示される基、特に直鎖C-C24-アルキル、分岐鎖C-C24-アルキルまたはC-C-アルキルから選択される1もしくは2つの基を有するフェニル、例えば、2,6-ジイソプロピルフェニルから選択され、
m4は、0または1である。
【0171】
式(IV-A.2)の好ましい化合物の例を以下に示す。
【化27-1】
【化27-2】
【0172】
特に有機蛍光着色剤(B4)は、化合物IV-A.2-1、IV-A.2-6およびIV-A.2-9から選択される。
【0173】
有機蛍光着色剤(B4)
式(V)で示されるベンゾキサンテン化合物は、国際公開第2014/131628号(WO 2014/131628)から公知である。それらは、通常、黄色蛍光剤である。適切な化合物は、国際公開第2014/131628号(WO 2014/131628)の図2A図2Bおよび図2Cに示されている。それらは、通常、黄色または黄緑色の蛍光着色剤である。式(V)で示されるベンゾチオキサンテン化合物は、例えば、米国特許第3,357,985号明細書(US 3,357,985)から公知である。XがOまたはSであり、R51がC-C24-アルキルであり、R52~R59が水素である、式(V)で示されるベンゾ(オチ)オキサンテン化合物が好ましい。好ましくはR51は、C-C20-アルキルである。
【0174】
有機蛍光着色剤(B5)
式(VIA)および(VIB)で示されるベンゾイミダゾキサンテンイソキノリン化合物は、国際公開第2015/062916号(WO 2015/062916)から公知である。適切な化合物は、国際公開第2015/062916号(WO 2015/062916)の第3頁24行目~第8頁24行目、特に図3A図3B図3Cに示されている。
【0175】
有機蛍光着色剤(B6)
式(VII)で示される構造単位を有する化合物は、国際公開第2012/168395号(WO 2012/168395)から公知である。総じて、それらは、黄色の蛍光着色剤である。本発明の色変換体における使用に関して、式(VII)で示される構造単位を有する化合物は、好ましくは国際公開第2012/168395号(WO 2012/168395)の第28頁14行目~第32頁5行目に明記されている化合物である。
【0176】
本発明の色変換体における使用に関して、式(VII)で示される構造単位を有する化合物は、より好ましくは式(VII-1)、(VII-2)、(VII-3)、(VII-4)、(VII-5)、(VII-6)、(VII-7)、(VII-8)、(VII-9)、(VII-10)、(VII-11)、(VII-12)、(VII-13)、(VII-14)、(VII-15)、(VII-16)、(VII-17)、(VII-18)、(VII-19)、(VII-20)、(VII-21)、(VII-22)、(VII-23)、(VII-24)、(VII-25)、(VII-26)、(VII-27)、(VII-28)、(VII-29)、(VII-30)、(VII-31)、(VII-32)、(VII-33)、(VII-34)、(VII-35)、(VII-36)、(VII-37)、(VII-38)、(VII-39)、(VII-40)、(VII-41)、(VII-42)、(VII-43)、(VII-44)、(VII-45)、(VII-46)、(VII-47)、(VII-48)、(VII-49)、(VII-50)、(VII-51)、(VII-52)、(VII-53)、(VII-54)、(VII-55)
【化28-1】
【化28-2】
【化28-3】
【化28-4】
【化28-5】
[式中、
n7は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10からの数であり、
71は、独立して、水素、C-C18-アルキルまたはシクロアルキル(それらの炭素鎖は、1つ以上の-O-、-S-、-CO-、-SO-および/または-SO-部分を含んでもよく、単置換または多置換されていてもよい)、単置換または多置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである]
で示される化合物およびそれらの混合物から選択される。
【0177】
式(VII-5)、(VII-6)、(VII-7)および(VII-8)で示される化合物ならびにそれらの混合物が特に好ましい。式(VII-56)、(VII-57)、(VII-58)および(VII-59)で示される化合物ならびにそれらの混合物も特に好ましい。
【0178】
有機蛍光着色剤(B7)
式(VIII)および(IX)で示されるペリレンイミド化合物は、当技術分野において、例えば、国際公開第2007/006717号(WO 2007/006717)または米国特許第6,472,050号明細書(US 6,472,050)から公知である。式(IX)で示される9-シアノ置換ペリレン-3,4-ジカルボン酸モノイミドも、国際公開第2004/029028号(WO 2004/029028)から公知である。それらは、通常、橙色の蛍光着色剤である。
【0179】
好ましくは式(VIII)で示される化合物において、R81およびR82は、直鎖または分岐鎖C-C18アルキル基、ハロゲンもしくは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換もしくは多置換されていてもよいC-Cシクロアルキル基またはハロゲンもしくは直鎖または分岐鎖C-C18アルキルにより単置換もしくは多置換されていてもよいフェニルもしくはナフチルである。
【0180】
好ましくはR81およびR82は、同じ意味を有する。
【0181】
一実施形態では、式VIIIにおけるR81およびR82は、国際公開第2009/037283号(WO 2009/037283 A1)の第16頁19行目~第25頁8行目に明記されているように、いわゆる、スワローテール置換を有する化合物を表す。好ましい実施形態では、R81およびR82は、それぞれ独立して、1-アルキルアルキル、例えば、1-エチルプロピル、1-プロピルブチル、1-ブチルペンチル、1-ペンチルヘキシルまたは1-ヘキシルヘプチルである。
【0182】
特別な実施形態では、有機蛍光着色剤(B7)は、化合物(VIII-1)
【化29】
[式中、
x8は、1、2または3であり、
y8は、1、2または3であり、
181は、C-C-アルキルであり、
182は、C-C-アルキルである]
から選択される。
【0183】
好ましくはx8は、2である。好ましくはy8は、2である。好ましくはR181およびR182は、イソプロピルおよびtert-ブチルから選択される。
【0184】
式(VIII)で示される好ましい化合物は、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(CAS番号:82953-57-9)である。
【0185】
式(IX)で示される適切な9-シアノ置換ペリレン-3,4-ジカルボン酸モノイミドは、好ましくはR92が直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキル基、ハロゲンもしくは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換もしくは多置換されていてもよいC-Cシクロアルキル基またはハロゲンもしくは直鎖もしくは分岐鎖C-C18アルキルにより単置換もしくは多置換されていてもよいフェニルもしくはナフチルであるものである。
【0186】
一実施形態では、式IXにおけるR92は、国際公開第2009/037283号(WO 2009/037283 A1)の第16頁19行目~第25頁8行目に明記されているように、いわゆる、スワローテール置換を有する化合物を表す。好ましい実施形態では、R92は、1-アルキルアルキル、例えば、1-エチルプロピル、1-プロピルブチル、1-ブチルペンチル、1-ペンチルヘキシルまたは1-ヘキシルヘプチルである。
【0187】
好ましい実施形態では、R92は、2,4-ジ(tert-ブチル)フェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルまたは2,6-ジ(tert-ブチル)フェニルである。特にR92は、2,6-ジイソプロピルフェニルである。
【0188】
有機蛍光着色剤(B8)
式(X)で示される4-アミノ置換ナフタルイミド化合物は、当技術分野において公知である。式(X)で示される適切な4-アミノ置換ナフタルイミド化合物は、好ましくはR101が直鎖もしくは分岐鎖C-C10-アルキル、1つ以上の酸素により中断されているC-C10-アルキルまたはC-C-シクロアルキルであるものである。R102は、好ましくは水素である。式(X)で示される適切な化合物は、4-(ブチルアミノ)-N-ブチル-1,8-ナフタルイミド(CAS番号:19125-99-6)である。同様に、好ましくはR102は、直鎖または分岐鎖C-C10-アルキルである。式(X)で示される化合物は、2段階で合成することができる。第1の工程は、還流下で、溶媒、例えば、1,4-ジオキサンまたは2-メトキシエタノール中において、4-クロロ-1,8-ナフタル酸無水物とアミンとを縮合して、対応する4-クロロ-1,8-ナフタルイミドを生成することである。第2の工程は、塩素原子を脂肪族第1級または第2級アミンで置換することを含む。
【0189】
有機蛍光着色剤(B9)
7-(ジエチルアミノ)-3-(5-メチルベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)-2H-クロメン-2-オンは、Disperse Yellow(CAS登録番号.34564-13-1)としても公知である。
【0190】
有機蛍光着色剤(B10)
式(XIA)および(XIB)で示される化合物は、米国特許第5,470,502号明細書(US 5,470,502)から公知である。それらは、通常、黄色の蛍光着色剤である。R111が直鎖C-C10-アルキルまたは分岐鎖C-C10-アルキルである、式(XIA)および(XIB)で示される化合物が好ましい。好ましい例は、ジイソブチル-3,9-ペリレンジカルボキシレート、ジイソブチル-3,10-ペリレンジカルボキシレートおよびそれらの混合物である。ジイソブチル-3,9-ペリレンジカルボキシレートとジイソブチル-3,10-ペリレンジカルボキシレートとの混合物が特に好ましい。
【0191】
有機蛍光着色剤(B11)
式(XIIA)および(XIIB)で示される化合物は、米国特許第5,470,502号明細書(US 5,470,502)から公知である。それらは、通常、黄色の蛍光着色剤である。R121が直鎖C-C10-アルキルまたは分岐鎖C-C10-アルキルである、式(XIIA)および(XIIB)で示される化合物が好ましい。好ましい例は、ジイソブチル 4,10-ジシアノペリレン-3,9-ジカルボキシレートおよびジイソブチル 4,9-ジシアノペリレン-3,10-ジカルボキシレートおよびそれらの混合物である。ジイソブチル 4,10-ジシアノペリレン-3,9-ジカルボキシレートとジイソブチル 4,9-ジシアノペリレン-3,10-ジカルボキシレートとの混合物が特に好ましい。
【0192】
有機蛍光着色剤(B12)
式(XIII)で示されるナフトイルベンゾイミダゾール化合物は、欧州特許出願公開第17151931.7号明細書(EP 17151931.7)から公知である。式(XIII)で示される化合物は、通常、黄色の蛍光化合物である。
【0193】
色変換体における使用に関して、式(XIII-A)
【化30】
[式中、
133およびR134は、それぞれ独立して、水素、フェニル、1もしくは2つのシアノ基を有するフェニルまたはC-C10-アルキルから選択される1、2もしくは3つの置換基を有するフェニルであり、
137、R138、R139およびR1310は、それぞれ独立して、水素、フェニル、1もしくは2つのシアノ基を有するフェニルまたはC-C10-アルキルから選択される1、2もしくは3つの置換基を有するフェニルである]
で示される化合物に対応する式(XIII)で示される化合物が好ましい。
【0194】
式(XIII-A)で示される化合物の中でも、R138およびR1310が同じ意味を有する化合物が好ましい。同様に、R137およびR139が同じ意味を有し、特に水素である化合物が好ましい。特にR138およびR1310は、同じ意味を有し、R137およびR139は、同じ意味を有する。
【0195】
本発明の特に好ましい実施形態は、
133とR134が、それぞれ独立して、水素、フェニル、1または2つのシアノ基を有するフェニルおよび1、2または3つのC-C10-アルキル置換基を有するフェニル、特に水素、フェニルまたは1つのシアノ基を有するフェニルから選択され、
137が、水素であり、
138が、1もしくは2つのシアノ基を有するフェニル、フェニルまたは1、2もしくは3つの置換基C-C10-アルキルを有するフェニル、特に4-シアノフェニルであり、
139が、水素であり、
1310が、1もしくは2つのシアノ基を有するフェニル、フェニルまたは1、2もしくは3つの置換基C-C10-アルキルを有するフェニル、特に4-シアノフェニルである、式(XIII-A)で示される化合物に関する。
【0196】
本発明の特により好ましい実施形態は、
133が、フェニル、1つのシアノ基を有するフェニルまたはC-C10-アルキルから選択される1つの置換基を有するフェニル、特に1つのシアノ基を有するフェニルであり、
134が、水素であり、
138およびR1310がそれぞれ、1つのシアノ基を有するフェニルであり、
137およびR139がそれぞれ、水素である、式(XIII-A)で示される化合物に関する。
【0197】
本発明のさらに特に好ましい実施形態は、
133が、水素であり、
134が、フェニル、1つのシアノ基を有するフェニルまたはC-C10-アルキルから選択される1つの置換基を有するフェニル、特に1つのシアノ基を有するフェニルであり、
138およびR1310がそれぞれ、1つのシアノ基を有するフェニルであり、
137およびR139がそれぞれ、水素である、式(XIII-A)で示される化合物に関する。
【0198】
式(XIII-A)で示される好ましい化合物の例は、式(XIII-A.1)、式(XIII-A.2)、式(XIII-A.3)および式(XIII-A.4)
【化31】
で示される化合物である。
【0199】
式(XIII)で示される化合物およびそれらの混合物は、例えば、国際公開第2012/168395号(WO 2012/168395)の特に第64~81頁または国際公開第2015/019270号(WO 2015/019270)の第21~30頁に記載されているような標準的な方法と同様に製造することができる。
【0200】
有機蛍光着色剤(B13)
式(XIV)で示される化合物は、国際公開第2017/121833号(WO 2017/121833)の主題である。式(XIV)で示される化合物は、通常、橙色または赤色の蛍光着色剤である。R141およびR142がそれぞれ独立して非置換であるかまたは1、2もしくは3つのC-C-アルキルにより置換されているフェニルから選択され、R143、R144、R145、R146、R147、R148、R149、R1410、R1411、R1412、R1413、R1414、R1415、R1416、R1417およびR1418がそれぞれ水素である、式(XIV)で示される化合物が好ましい。式(XIV)で示される好ましい着色剤は、下記化合物である。
【化32】
【0201】
有機蛍光着色剤(B14)
式(XV)で示される化合物の適切な例は、例えば、国際公開第2007/006717号(WO 2007/006717)、特に第1頁5行目~第22頁6行目;米国特許第4,845,223号明細書(US 4,845,223)、特に第2欄54行目~第6欄54行目、国際公開第2014/122549号(WO 2014/122549)、特に第3頁20行目~第9頁11行目、欧州特許出願公開第3072887号明細書(EP 3072887)および同第16192617.5号明細書(EP 16192617.5)、特に第35頁34行目~第37頁29行目に明示されているペリレン誘導体である。式(XV)で示される化合物は、通常、橙色または赤色の蛍光着色剤である。R151およびR152がそれぞれ独立してC-C10-アルキル、2,6-ジ(C-C10-アルキル)アリールおよび2,4-ジ(C-C10-アルキル)アリールから選択される、式(XV)で示される化合物が好ましい。より好ましくはR151およびR152は同一である。とりわけ、R151およびR152はそれぞれ、2,6-ジイソプロピルフェニルまたは2,4-ジ-tert-ブチルフェニルである。R153は、好ましくは非置換であるかまたはフッ素、塩素、C-C10-アルキルおよびフェニルから選択される1もしくは2つの同一もしくは異なる置換基により置換されているフェノキシである。好ましくはp15は、2、3または4、特に2または4である。
【0202】
式(XV)で示される化合物は、例えば、国際公開第2007/006717号(WO 2007/006717)、米国特許第4,845,223号明細書(US 4,845,223)、欧州特許出願公開第3072887号明細書(EP 3072887)および国際公開第2014/122549号(WO 2014/122549)に記載された方法と同様に製造することができる。
【0203】
適切な有機蛍光着色剤B14は、例えば、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラフェノキシペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6-ジ(2,6-ジイソプロピルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(p-tert-オクチルフェノキシ)ペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジフェノキシペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(2,6-ジフェニルフェノキシ)ペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6-ジ(2,6-ジフェニルフェノキシ)ペリレン-3,4;9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2-フェニルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(p-tert-オクチルフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,7-ジ(2,3-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,3-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(3-フルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,6-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,5-ジフルオロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,3-ジクロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(3-クロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,6-ジクロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラ(2,5-ジクロロフェノキシ)ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキサミドである。
【0204】
色変換体は、本発明による少なくとも1種の有機蛍光着色剤と、1、2、3、4、5、6、7または8種以上の上記で定義された有機蛍光着色剤(B)とを含んでもよく、混合光が、例えば、特定の色温度および/または演色評価数を有する白色光を生じるように、各着色剤が異なる色を発する。好ましくは色変換体は、1または2種の有機蛍光着色剤Bをさらに含む。具体的な実施形態では、色変換体は、式(I)で示される化合物および黄色の発光着色剤を含む。2つの異なる着色剤(B)、例えば、黄色の発光着色剤(B)と赤色の発光着色剤(B)との組み合わせを使用することも有益である場合がある。
【0205】
具体的な実施形態では、色変換体は、特に上記で定義された式(VII)で示される少なくとも1つの構造単位、特に好ましいとして言及されたものを含む少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0206】
さらに具体的な実施形態では、色変換体は、特に式(VIII)で示される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。さらに具体的な実施形態では、色変換体は、特に式(IX)で示される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。さらに具体的な実施形態では、色変換体は、特に式(XIA)で示される少なくとも1種の化合物、特に好ましいとして言及されたものを含んでもよい。さらに具体的な実施形態では、色変換体は、特に式(XIB)で示される少なくとも1種の化合物、特に好ましいとして言及されたものを含んでもよい。さらに具体的な実施形態では、色変換体は、特に式(XIIA)で示される少なくとも1種の化合物、特に好ましいとして言及されたものを含んでもよい。さらに具体的な実施形態では、色変換体は、特に式(XIIB)で示される少なくとも1種の化合物、特に好ましいとして言及されたものを含んでもよい。さらに具体的な実施形態では、色変換体は、特に式(XIII)で示される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0207】
ポリマーマトリックス中の上記で定義された式(I)で示される化合物および有機蛍光着色剤(B)の濃度は、色変換体の厚みおよびポリマーの種類の関数として設定される。薄いポリマー層が使用される場合、これらの有機蛍光着色剤の濃度は、総じて、厚いポリマー層の場合より高い。典型的には、ポリマー中の有機蛍光着色剤の総量は、達成されるべき相関色温度CCTにも依存する。当業者であれば、黄色の蛍光着色剤および赤色の蛍光着色剤の濃度を上昇させることにより、LEDから発せられる光が必要なCCTを有する白色光を得るために、より長い波長に調整されることを理解するであろう。
【0208】
典型的には、色変換体に使用される赤色の有機蛍光着色剤(すなわち、式(I)で示される化合物および場合により、さらなる赤色の有機蛍光着色剤(B))の総濃度は、使用されるポリマーの量に対して、0.0001~0.5重量%、好ましくは0.001~0.1重量%の範囲にある。黄色または黄緑色の有機蛍光着色剤Bの総濃度は、典型的には、使用されるポリマーの量に対して、0.002~0.5重量%、好ましくは0.003~0.4重量%である。
【0209】
例えば、CCTおよび/または演色評価数(CRI)の観点から、式(I)で示される本発明の蛍光着色剤、黄色の蛍光着色剤およびさらなる赤色の蛍光着色剤の混合物を使用することが有利である場合がある。色変換体中に存在する黄色または黄緑色の発光有機蛍光着色剤と赤色の有機蛍光着色剤との比は、典型的には、1:1~25:1、好ましくは2:1~20:1、より好ましくは2:1~15:1、例えば、10:1または3:1または4:1の範囲にある。当業者であれば、着色剤の比率が、選択された光源により決まることを容易に理解するであろう。所望のCCTについて、光が、6000~20000KのCCTを有する白色LEDにより発せられる場合の黄色の着色剤/赤色の着色剤の比と比較して、420nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDにより発せられた場合、黄色の着色剤/赤色の着色剤の比は、非常に大きい。
【0210】
上記実施形態のいずれかによれば、本発明による色変換体は、場合によりまたは代替的に、さらなる蛍光材料として、少なくとも1種の無機蛍光材料を含んでもよい。少なくとも1種の無機蛍光材料は、好ましくはガーネット、ケイ酸塩、硫化物、窒化物および酸窒化物から選択される。
【0211】
ガーネット、ケイ酸塩、硫化物、窒化物および酸窒化物の適切な例を以下の表Iにまとめる。
表I
【表1】
【0212】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の色変換体は、少なくとも1種の量子ドットを含む。量子ドットは、約20nm以下の直径を有する半導体材料のナノ結晶である。量子ドットは、Si系ナノ結晶、II-VI族化合物半導体ナノ結晶、III-V族化合物半導体ナノ結晶、IV-VI族化合物ナノ結晶およびそれらの混合物のうちの1つを含んでもよい。II-VI族化合物半導体ナノ結晶は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HggZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTeおよびHgZnSTeからなる群から選択される1つを含んでもよい。III-V族化合物半導体ナノ結晶は、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAsおよびInAlPAsからなる群から選択される1つを含んでもよい。IV-VI化合物半導体ナノ結晶は、SnTeでもよい。
【0213】
量子ドットの形態でナノ結晶を合成するために、量子ドットは、蒸着、例えば、有機金属化学蒸着もしくは分子線エピタキシーによりまたは1つ以上の前駆体を有機溶媒に加えることにより結晶を成長させる湿式化学プロセスにより製造することができる。
【0214】
本発明のより好ましい実施形態では、本発明の色変換体は、量子ドットを含まない。同様に、本発明のより好ましい実施形態では、本発明の色変換体は、無機蛍光材料を含まない。
【0215】
本発明の一実施形態では、本発明の色変換体は、積層構造を有する。それらは、単層構造または多層構造のいずれかを有することができ、総じて、1種以上の蛍光着色剤および/または散乱体を含む複数のポリマー層から構成される。色変換体が多層構造を有する場合、1つの層は、本発明による蛍光着色剤を含み、別の層は、本発明により包含される少なくとも1種の蛍光着色剤を含む。
【0216】
一実施形態では、式(I)で示される少なくとも1種の化合物が、LEDに面する色変換体の層に存在する。別の実施形態では、少なくとも1種のさらなる蛍光着色剤が、LEDに面する色変換体の層に存在する。
【0217】
本発明の色変換体が少なくとも1種のさらなる有機蛍光着色剤を含む場合、本発明の一実施形態では、複数の蛍光着色剤が1つの層内に互いに並んで存在することが可能である。別の実施形態では、種々の蛍光着色剤が、種々の層に存在する。
【0218】
具体的な実施形態では、有機蛍光着色剤を含む層またはマトリックスの少なくとも1つは、光のための散乱体を含む。
【0219】
特別な実施形態では、色変換体は、多層構造、好ましくは2層構造を有し、各層は、少なくとも1種の有機蛍光着色剤を含む。この実施形態では、層のうちの1つまたは層の全てではないが2つ以上または全ての層は、散乱体、好ましくはTiOを含む。
【0220】
一実施形態では、色変換体は、複合体を形成するために共に積層された複数のポリマー層からなり、種々の蛍光着色剤および/または散乱体が、異なるポリマー層に存在してもよい。
【0221】
さらなる実施形態では、色変換体の少なくとも1つのポリマー層は、ガラス繊維で機械的に強化されている。
【0222】
適切な色変換体は、任意の所望の幾何学的配置にあってもよい。色変換体は、例えば、フィルム、シートまたはプラークの形態にあってもよい。同様に、有機蛍光着色剤を含有するマトリックスは、液滴形態もしくは半球形態でもよく、また凸および/もしくは凹、平坦または球面を有するレンズの形態でもよい。「キャスティング」は、LEDまたはLEDを含むコンポーネントが有機蛍光着色剤を含むポリマーで完全にキャストされるかまたは包まれる実施形態を指す。本発明の一実施形態では、少なくとも1種の有機蛍光着色剤を含むポリマー層(マトリックス)は、厚み25~1000マイクロメートル(μm)、好ましくは35~400μm、特に50~300μmである。
【0223】
別の実施形態では、有機蛍光着色剤を含むポリマー層は、厚み0.2~5ミリメートル、好ましくは0.3~3mm、より好ましくは0.4~1mmである。
【0224】
色変換体が1つの層からなるかまたはそれらが積層構造を有する場合、好ましい実施形態では、個々の層は、連続的であり、孔または中断を何ら有さない。
【0225】
本発明の色変換体は、場合により、さらなる構成、例えば、バッキング層を含んでもよい。
【0226】
バッキング層は、色変換体に機械的安定性を付与する役割を担う。バッキング層の材料の種類は、それが透明であり、所望の機械的強度を有するのであれば、重要ではない。バッキング層に適した材料は、例えばガラスまたは透明な硬質有機ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンまたはポリメタクリレートもしくはポリメチルメタクリレートである。
【0227】
バッキング層は、総じて、0.1mm~10mm、好ましくは0.2mm~5mm、より好ましくは0.3mm~2mmの厚みを有する。
【0228】
本発明の一実施形態では、本発明の色変換体は、国際公開第2012/152812号(WO 2012/152812)に開示されているように、酸素および/または水に対する少なくとも1つのバリア層を有する。バリア層に適したバリア材料の例は、例えば、ガラス、石英、金属酸化物、SiO、Al層とSiO層の交互の層から構成される多層系、窒化チタン、SiO/金属酸化物多層材料、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、液晶ポリマー(LCP)、ポリスチレン-アクリロニトリル(SAN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルブチレート(PBT)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、エチレン-酢酸ビニル(EVA)から得られるポリマーおよびエチレン-ビニルアルコール(EVOH)から得られるポリマーである。
【0229】
バリア層に好ましい材料は、ガラスまたはAl層とSiO層の交互の層から構成される多層系である。好ましくは適切なバリア層は、酸素に対する透過性が低い。より好ましくは適切なバリア層は、酸素および水に対する透過性が低い。
【0230】
本発明の色変換体は、種々の方法により製造することができる。一実施形態では、本発明の色変換体の製造方法は、溶媒に少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の有機蛍光着色剤を溶解させ、次いで溶媒を除去することを含む。別の実施形態では、本発明の色変換体の製造方法は、少なくとも1種の有機蛍光着色剤を少なくとも1種のポリマーと共に押出成形することを含む。
【0231】
本発明の色変換体は、ディスプレイにおける使用に特に適している。
【0232】
本発明の色変換体は、青色光を白色光に変換するのに特に適している。とりわけ、それらは、400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDにより発せられる光を変換して、白色光を提供するのに適している。適切な青色LEDは、例えば、窒化ガリウム(GaN)または窒化インジウムガリウム(InGaN)に基づくものである。それらは市販されている。
【0233】
また、本発明の色変換体は、3000K~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDにより発せられる光を変換して、より低い相関色温度を有する白色光を提供するのにも特に適している。適切な白色LEDに関して、本明細書において上記されたことを参照されたい。3000~20000K、特に4000K~20000KのCCTを有する冷白色LEDも市販されている。
【0234】
同様に、水銀ランプまたは有機発光ダイオード(OLED)により発せられる光の変換のためのそれらの使用も可能である。
【0235】
照明装置において使用するための本発明の色変換体は、遠隔蛍光体セットアップで使用される。この場合、色変換体は、LEDから空間的に分離される。総じて、LEDと色変換体との間の距離は、0.1mm超、例えば、0.2mm以上、一部の実施形態では、0.1以上~10cm、例えば、0.3~5cmまたは0.5~3cmである。色変換体とLEDとの間は、種々の媒体、例えば、空気、希ガス、窒素もしくは他のガスまたはそれらの混合物でもよい。
【0236】
本発明の色変換体は、付加的に、太陽光発電および蛍光変換太陽電池における集光システム(蛍光コレクタ)としての用途に適している。
【0237】
本発明のさらなる態様は、
(i)400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDおよび3000K~20000K、特に4000~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDから選択される少なくとも1つのLEDと、
(ii)本明細書において上記で定義された少なくとも1つの色変換体とを含み、
少なくとも1つの色変換体が、少なくとも1つのLEDから離れて配置されている、すなわち、色変換体がLEDから空間的に分離されている、照明装置(照光装置)に関する。
【0238】
一実施形態では、本発明の照明装置は、正確に1種のLEDを含む。別の実施形態では、本発明の照明装置は、複数種のLEDを含む。一実施形態では、本発明の照明装置は、複数種のLEDを含み、それらは全て、青色である。別の実施形態では、本発明の照明装置は、複数種のLEDを含み、少なくとも1種のLEDは、青色であり、少なくとも1種のLEDは、青色ではなく、別の色の光を発する。
【0239】
総じて、使用されるLEDの種類は、本発明の照明装置にとって重要ではない。好ましい実施形態では、変換板の面に入射する青色LED光の出力密度は、通常、200mW/cm未満、好ましくは120mW/cm未満、より好ましくは80mW/cm未満である。より高い出力密度、例えば、150または200mW/cmのLEDの使用も同様に可能である。
【0240】
色変換体は、例えば、LEDの周りに同心円状に配置されてもよく、また平面形状を有してもよい。色変換体は、例えば、プラーク、シートまたはフィルムの形態をとってもよく、液滴形態をとってもよく、またキャスティングの形態をとってもよい。
【0241】
本発明の照明装置は、室内、屋外、オフィス、車両、トーチ、ゲームコンソール、街灯、交通標識の照明に適している。本発明の照明装置は、高い平均演色評価数を有する暖色調の白色光を示す。加えて、本発明の照明装置は、長寿命、特に青色光の照光に対する高い光安定性を有する。本発明の照明装置は、高い量子収率を示す。加えて、本発明の照明装置は、長寿命、特に青色光の照光に対する高い光安定性を有する。本発明の照明装置は、良好な色再現性を有する快適な光を発する。
【0242】
さらに、本発明は、光電池(太陽電池)と、本明細書において上記で定義された色変換体とを含み、光電池(太陽電池)により吸収されない光の少なくとも一部が色変換体により吸収される、照光時に電力を生成する装置を提供する。色変換体は、通常、光電池の上部にある。色変換体は、UVおよび可視光が、太陽電池によってより高効率で変換されるより深色のスペクトルに変換されるように、スペクトルを修正するのに使用される。
【0243】
式(I)で示される本発明の化合物およびそれらの混合物は、400nm~480nmの発光中心波長を有する青色LEDから発せられる光を、より長い波長の第2の光に変換するためまたは3000K~20000Kの相関色温度を有する冷白色LEDから発せられる光を変換して、より低い相関色温度を有する白色光を提供するため、コーティング、印刷インキおよびプラスチックを着色するため、電磁放射線を吸収しかつ/もしくは発する水性ポリマー分散液を製造するため、データ記憶のため、データ伝送のため、光学ラベルのため、文書中のセキュリティラベルのためならびにブランド保護のためまたは生体分子の蛍光ラベルとしての色変換体における使用が注目される。
【0244】
通常、0.1~9nsの範囲のその短い蛍光減衰時間のために、式(I)で示されるペリレンビスイミド化合物は、データを送信するためおよび可視範囲の電磁放射線を放出するための送信機を含むLi-Fi用途におけるデータ送信のための色変換体における使用にも特に興味深い。
【0245】
したがって、また、本発明は、データを送信するためおよび可視スペクトル範囲の電磁放射線を放出するための送信機であって、前記送信機は、
- 第1の電磁放射線を生成し、放出するための放射源と、
- 第1の電磁放射線を、送信されるデータに応じて変調して、変調された第1の電磁放射線を生成するように適合された変調器とを含み、
送信機は、
- 変調された第1の電磁放射線の少なくとも一部を、変調された第2の電磁放射線に変換するための色変換体をさらに含み、前記変調された第2の電磁放射線は、変調された第1の電磁放射線と異なることを特徴とし、
色変換体は、上記で定義された式(I)で示される化合物とポリマーマトリックスとを含む、送信機に関する。
【0246】
本発明の送信機により、多くの異なる放射源を使用することができる。ただし、本発明の実施形態によれば、放射源は、発光ダイオード(LED)である。さらに、レーザダイオードを、放射源として使用してもよい。好ましくは本発明の送信機の放射源は、UV-LED、青色LED、RGB LEDシステム、有機LEDおよび冷白色LEDからなる群から選択される。
【0247】
送信機に使用される色変換体に関して、本明細書において上記されたことが参照される。特に放射源と色変換体との間の距離は、0.01~10cmの範囲にある。
【0248】
蛍光材料についての用途の特別な分野は、セキュリティ印刷に使用される印刷プロセスのためのインキに関する。
【0249】
したがって、また、本発明は、上記で定義された式(I)で示される少なくとも1つの化合物またはそれらの混合物を含む、セキュリティ印刷のための印刷インキ配合物に関する。式(I)で示される化合物は、450nmでの励起下において、580~650nmで強い蛍光を示す。
【0250】
セキュリティ印刷は、通貨、パスポート、不正開封防止ラベル、株券、税印、郵便切手、身分証明書等の品目の印刷を扱う分野である。セキュリティ印刷の主な目的は、偽造、改竄または模造を防止することである。全てのセキュリティ文書は、良好な安定性および耐久性を有することが要求される。銀行券の場合、これらの要件は、銀行券が公衆により最もきつい使用条件に供されるため、極端であり、銀行券は、折り畳み、しわ寄せ等により材料応力に供され、磨耗に供され、天候に曝され、体液、例えば、汗に曝され、洗濯され、ドライクリーニングされ、アイロン掛けされる等、これに供された後、銀行券は、銀行券が使用開始時と同様に判読可能であることが期待される。さらに、文書は、それにもかかわらず、前述の条件を受けたにもかかわらず、理想的には数年間の合理的な寿命を有することが必須である。この間、文書、ひいては文書上のインキ(目に見えないセキュリティマーキングを含む)は、退色または変色に耐えることが望ましい。したがって、セキュリティ印刷プロセスに使用されるインキは、硬化されると、堅牢で、耐水性があり、種々の化学薬品に耐性があり、可撓性でなければならない。さらに、特定の状態では、銀行券の基材としての紙の使用から離れているため、利用される印刷インキ配合物は、紙だけでなくプラスチックにも使用可能であることが望ましい。一般式(I)で示される化合物は、その固有の適用特性のために、セキュリティ印刷、特に銀行券に利用される印刷インキ配合物に特に適していることが今回見出された。
【0251】
セキュリティ印刷では、式(I)で示される蛍光着色剤が、印刷インキ配合物に添加される。適切な印刷インキは、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、オフセット印刷、レーザー印刷または凸版印刷のためおよび電子写真において使用するための、顔料または染料をベースとする、水性、油性または溶媒性印刷インキである。これらの印刷プロセス用の印刷インキは、通常、溶剤、バインダーおよび種々の添加剤、例えば、可塑剤、帯電防止剤またはワックスを含む。オフセット印刷、凸版印刷および凹版印刷用の印刷インキは、通常、高粘度ペースト印刷インキとして配合され、一方、フレキソ印刷およびインクジェット印刷用の印刷インキは、通常、比較的低粘度を有する液体印刷インキとして配合される。
【0252】
本発明の文脈において、「印刷インキ」という表現は、一般式(I)で示される少なくとも1種の蛍光着色剤に加えて、着色剤を含む配合物も包含する。「印刷インキ」という表現は、着色剤を含まない印刷ラッカーも包含する。
【0253】
本発明によるセキュリティ印刷のための印刷インキ配合物は、好ましくは
a)本明細書において上記で定義された式(I)で示される少なくとも1種の化合物またはそれらの混合物と、
b)ポリマーバインダーと、
c)場合により、有機溶媒と、
d)場合により、少なくとも1種の着色剤と、
e)場合により、少なくとも1種のさらなる添加剤とを含む。
【0254】
印刷インキの適切な成分は、従来のものであり、当業者に周知である。このような成分の例は、「Printing Ink Manual」,fourth edition,Leach R.H.et al.(eds.),Van Nostrand Reinhold,Wokingham,(1988)に記載されている。印刷インキおよびその配合物の詳細は、「Printing Inks」-Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Edition,1999 Electronic Releaseにも開示されている。
【0255】
本発明による印刷インキ配合物は、総じて、印刷インキ配合物の総重量に対して、成分a)を0.0001~25重量%、好ましくは0.001~15重量%、特に0.01~5重量%含有する。
【0256】
一般式(I)で示される化合物は、溶解形態または固体形態(細かく分割された状態)で印刷インキ配合物中に存在する。
【0257】
本発明による印刷インキ配合物は、総じて、印刷インキ配合物の総重量に対して、成分b)を5~75重量%、好ましくは10~60重量%、より好ましくは15~40重量%含有する。
【0258】
本発明による印刷インキ配合物に適したポリマーバインダーb)は、例えば、天然樹脂、フェノール樹脂、フェノール変性樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレンホモポリマーおよびコポリマー、テルペン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、塩素化ゴム、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ニトロセルロース、炭化水素樹脂、酢酸セルロースおよびそれらの混合物から選択される。
【0259】
また、本発明による印刷インキ配合物は、硬化プロセスによりポリマーバインダーを形成する成分も含むことができる。このため、本発明による印刷インキ配合物は、エネルギー硬化性、例えば、UV光またはEB(電子ビーム)放射により硬化可能であるように配合することもできる。この実施形態では、バインダーは、1つ以上の硬化性モノマーおよび/またはオリゴマーを含む。対応する配合物は、当技術分野において公知であり、標準的な教書、例えば、シリーズ「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints」,published in 7 volumes in 1997-1998 by John Wiley & Sons in association with SITA Technology Limitedに見出すことができる。
【0260】
適切なモノマーおよびオリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)は、エポキシアクリレート、アクリル化オイル、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコーンアクリレート、アクリル化アミンおよびアクリル飽和樹脂を含む。さらなる詳細および例示は、「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings、Inks & Paints」,Volume II: Prepolymers & Reactive Diluents,edited by G Websterに示されている。
【0261】
硬化性ポリマーバインダーが利用される場合、同バインダーは、反応性希釈剤、すなわち、溶媒として作用し、硬化時にポリマーバインダーに組み込まれるモノマーを含有してもよい。反応性モノマーは、典型的には、アクリレートまたはメタクリレートから選択され、単官能性または多官能性であることができる。多官能性モノマーの例は、ポリエステルアクリレートまたはメタクリレート、ポリオールアクリレートまたはメタクリレートおよびポリエーテルアクリレートまたはメタクリレートを含む。
【0262】
UV放射により硬化される印刷インキ配合物の場合、UV放射への暴露時にモノマーの硬化反応を開始させるために、通常、少なくとも1種の光開始剤を含む必要がある。有用な光開始剤の例は、標準的な教書、例えば、「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints」,Volume III,「Photoinitiators for Free Radical Cationic and Anionic Polymerisation」,2nd edition,by J.V.Crivello & K.Dietliker,edited by G.Bradley and published in 1998 by John Wiley & Sons in association with SITA Technology Limitedに見出すことができる。効率的な硬化を達成するために、光開始剤と共に増感剤を含ませることも有利である場合がある。
【0263】
本発明による印刷インキ配合物は、総じて、印刷インキ配合物の総重量に対して、溶媒c)を0~94.9999重量%、好ましくは5~90重量%、特に10~85重量%含有する。
【0264】
適切な溶媒は、水、有機溶媒およびそれらの混合物から選択される。本発明において溶媒としても作用する反応性モノマーは、前述のバインダー成分b)の一部とみなされる。
【0265】
溶媒の例は、水;アルコール、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびエトキシプロパノール;エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピルおよび酢酸n-ブチル;炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、鉱油および植物油ならびにそれらの混合物を含む。
【0266】
本発明による印刷インキ配合物は、追加の着色剤d)を含有してもよい。好ましくは印刷インキ配合物は、印刷インキ配合物の総重量に対して、着色剤d)を0~25重量%、より好ましくは0.1~20重量%、特に1~15重量%含有する。
【0267】
適切な着色剤d)は、従来の染料および特に従来の顔料から選択される。「顔料」という用語は、本発明の文脈において、全ての顔料および充填剤を総合的に特定するのに使用され、例は、着色顔料、白色顔料および無機充填剤である。これらは、無機白色顔料、例えば、二酸化チタン(好ましくはルチル型)、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛、三酸化アンチモン、リトポン(硫化亜鉛+硫酸バリウム)または着色顔料を含み、この例は、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、亜鉛イエロー、亜鉛グリーン、ウルトラマリン、マンガンブラック、アンチモンブラック、マンガンバイオレット、パリスブルーまたはシュバインフルトグリーンである。無機顔料の他に、本発明の印刷インキ配合物は、有機着色顔料も含んでもよく、例は、セピア、ガンボージ、カセルブラウン、トルイジンレッド、パラレッド、ハンサイエロー、インジゴ、アゾ染料、アントラキノイドおよびインジゴイド染料ならびにジオキサジン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリノン、イソインドリン、ペリレンおよび金属錯体顔料である。また、Rhopaque(登録商標)分散体等の光散乱を増大させるための含有空気を有する合成白色顔料も適切である。適切な充填剤は、例えば、アルミノケイ酸塩、例えば、長石、ケイ酸塩、例えば、カオリン、タルク、マイカ、マグネサイト、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(例えば、カルサイトまたはチョークの形態)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、アルカリ土類金属硫酸塩、例えば、硫酸カルシウム、二酸化ケイ素等である。
【0268】
本発明による印刷インキ配合物は、少なくとも1種の添加剤e)を含有してもよい。好ましくは印刷インキ配合物は、印刷インキ配合物の総重量に対して、少なくとも1種の成分e)を0~25重量%、より好ましくは0.1~20重量%、特に1~15重量%含有する。
【0269】
適切な添加剤(成分e))は、可塑剤、ワックス、乾燥剤、帯電防止剤、キレート剤、酸化防止剤、安定剤、接着促進剤、界面活性剤、流動制御剤、消泡剤、殺生物剤、増粘剤等およびそれらの組み合わせから選択される。これらの添加剤は、特に印刷インキの適用関連特性の微調整に役立つ。例は、接着性、耐摩耗性、乾燥速度またはスリップである。
【0270】
特に本発明によるセキュリティ印刷のための印刷インキ配合物は、好ましくは
a)0.0001~25重量%の上記で定義された式(I)の少なくとも1種の化合物またはそれらの混合物と、
b)5~75重量%の少なくとも1種のポリマーバインダーと、
c)0~94.9999重量%の少なくとも1種の溶媒と、
d)0~25重量%の少なくとも1種の着色剤と、
e)0~25重量%の少なくとも1種のさらなる添加剤とを含有し、
成分a)~e)の合計は、最高で100%である。
【0271】
本発明による印刷インキ配合物は、有利に、従来の様式で、例えば、個々の成分を混合することにより製造される。先に言及されたように、式(I)で示される蛍光着色剤は、溶解形態または微細に分割された固体形態で印刷インキ配合物中に存在する。さらなる着色剤は、本発明の印刷インキ配合物中にまたは別個のインキ配合物に利用することができる。さらなる着色剤を別個の配合物に利用する場合、本発明による印刷インキ配合物の適用時間は、通常重要ではない。本発明による印刷インキ配合物が、例えば、最初に適用され、次いで、従来の印刷インキで重ね印刷することができる。ただし、この順序を逆にすることも可能であり、また、本発明による印刷インキ配合物を従来の印刷インキと混合して適用することも可能である。いずれの場合においても、印刷は、適切な光源を用いて読み取り可能である。
【0272】
プライマーは、本発明による印刷インキ配合物の前に適用することができる。例として、プライマーは、基材への接着性を改善するために適用される。印刷された画像を保護するために、さらなる印刷ラッカーを、例えば、被覆の形態で適用することも可能である。また、さらなる印刷ラッカーは、美的目的を果たすためにまたは適用関連特性を制御するために適用されてもよい。例として、適切に配合されたさらなる印刷ラッカーを使用して、基材の表面の粗さ、電気的特性または水蒸気凝縮特性に影響を及ぼすことができる。印刷ラッカーは、通常、本発明による印刷インキ配合物を印刷するのに利用される印刷機上にラッカー塗装システムによりインラインで適用される。
【0273】
また、本発明による印刷インキ配合物は、多層材料における使用にも適している。多層材料は、例えば、2つ以上のプラスチック箔、例えば、ポリオレフィン箔、金属箔または金属化プラスチック箔から構成され、これらは、一例として、積層によりまたは適切な積層接着剤の助けを借りて互いに結合される。また、これらの複合体は、他の機能層、例えば、光学的に可変な層、臭気バリア層または水蒸気バリアを含んでもよい。
【0274】
本発明による印刷インキ配合物は、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷および凹版印刷に特に適している。
【0275】
透明基板が使用される場合、式(I)で示される蛍光着色剤を励起するためのランプの種類は、一般的には重要ではない。すなわち、式(I)で示される蛍光着色剤の吸収プロファイル内の波長で光を発する全ての光源である。
【0276】
本発明のさらなる目的は、上記で定義された印刷インキ配合物を基材上に印刷する工程を含む、セキュリティ文書の製造のための方法である。
【0277】
さらなる目的は、基材と、上記で定義された式(I)で示される少なくとも1種の化合物またはそれらの混合物を含む硬化インキとを含む、セキュリティ文書である。
【0278】
さらなる目的は、上記で定義された印刷インキ配合物が利用される印刷プロセスにより得ることができる、上記で定義されたセキュリティ文書である。セキュリティ文書は、好ましくは銀行券、パスポート、小切手、伝票、IDまたはトランザクションカード、スタンプ、および税金ラベルから選択される。また、セキュリティ文書は、硬質または柔軟な包装、厚紙またはブランドまたは製品ラベルの一部であることもできる。
実施例
【0279】
下記実施例は、本発明を実証するのに役立つものであり、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0280】
実施例1
【化33】
【0281】
2.2g(2.6mmol)の1,6,7,12-テトラクロロ-N,N’-2,6-ジイソプロピルフェニルペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド、4.25g(31.2mmol)の2-イソプロピルフェノール、2.52g(18.2mmol)のKCOおよび170mLのN-メチルピロリドンの混合物を、90℃で17時間加熱した。その後、この混合物を、10時間にわたって110℃に加熱した。さらに、2.12g(15.6mmol)の2-イソプロピルフェノールおよび1.26gのKCOを添加し、加熱を23時間続けた。さらに、2.12g(15.6mmol)の2-イソプロピルフェノールおよび1.26gのKCOを添加し、加熱を6時間続けた。生成物を、1Lの希HClで沈殿させた。ジクロロメタンで抽出した後、7.5gの液体粗製物質を得た。これを、トルエンジクロロメタンを使用したカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した。1.66g(51.4%)の純粋な標題化合物を単離した。
【0282】
Rf(石油エーテル/酢酸エチル 8:1)=0.3
ラムダ最大発光:616nm(ポリカーボネート中)
ラムダ最大発光:620nm(ポリスチレン中)。
【0283】
光安定性試験:
実施例1の化合物および比較化合物C-1、すなわち、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,6,7,12-テトラフェノキシペリレン-3,4:9,10-テトラカルボキシイミド
【化34】
の光安定性を試験した。実施例1の化合物は、1位、6位、7位および12位に結合している置換基が比較化合物C-1と異なる。本発明の実施例1の化合物は、それらの位置に2-イソプロピルフェノキシ置換基を有するのに対して、化合物C-1は、フェノキシ置換基を有する。
【0284】
この目的で、以下の表IIに従った蛍光着色剤を有するポリカーボネートフィルム(Bayer製Macrolon(登録商標)2808)を準備した。このフィルムに、Philips製Fortimo LED DLM 2000 21W/830 Gen5を使用して、100mW/cmの光束強度で450nmの青色光を照射した。蛍光強度を、照射時間の関数として測定した。蛍光強度がその初期値の80%(T80)に達したときに、照光を停止した。結果を、表IIにまとめる。
【0285】
表II:照射時の寿命(T80)(日数)
【表2】
【0286】
表IIから分かるように、本発明による化合物は、従来技術から知られている構造的に類似した化合物C-1より、照射条件下ではるかに長い寿命を有する。