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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-02
(45)【発行日】2022-05-13
(54)【発明の名称】高温蒸気供給システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/448 20060101AFI20220506BHJP
【FI】
C23C16/448
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016187671
(22)【出願日】2016-09-27
(65)【公開番号】P2017101318
(43)【公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-09-11
(31)【優先権主張番号】62/235,130
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/957,440
(32)【優先日】2015-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ババヤン, ヴィアチェスラフ
(72)【発明者】
【氏名】リャン, チーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】コーフマン-オズボーン, トービン
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】ネマニ, シュリーニヴァース ディー.
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-027218(JP,A)
【文献】特開平07-273052(JP,A)
【文献】特表2007-520059(JP,A)
【文献】特開2013-064200(JP,A)
【文献】特開2007-242648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/448
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定するチャンバ本体及びリッドであって、前記リッドがキャップを有するハウジングを支持するように構成された、チャンバ本体及びリッドと、
前記内部空間に配置された基板支持体と、
前記キャップに連結され、処理チャンバの前記内部空間に開放された排出口を有する気化器であって、前記気化器と前記基板支持体との間に画定された処理領域に前駆体ガスを供給するように構成される気化器と、
前記気化器に隣接して配置されたヒータであって、前記気化器を加熱するように構成されるヒータと、
前記基板支持体の中心線の第1の側に位置付けられた排気口であって、前記気化器が、前記基板支持体の前記中心線の第2の側に配置される排気口と
を備える、処理チャンバ。
【請求項2】
内部空間を画定するチャンバ本体及びリッドであって、前記リッドが、キャップを有するハウジングを支持するように構成され、前記キャップが、前記キャップ及び前記ハウジングの温度を制御するための水冷式ベースプレートを含む、チャンバ本体及びリッドと、
前記内部空間に配置された基板支持体アセンブリと、
熱絶縁物によって前記内部空間内で処理チャンバの前記キャップに連結された気化器であって、前記気化器と前記基板支持体アセンブリとの間に画定された処理領域に前駆体を供給するように構成される気化器と、
前記気化器に隣接して配置されたヒータであって、前記気化器を100℃から600℃の温度まで加熱するように構成されるヒータと
を備える処理チャンバ。
【請求項3】
前記チャンバ本体が、
水冷式壁と、
水冷式リッドと、
を備える、請求項1又は2に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記キャップが水冷式ベースプレートを含む、請求項に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
前記処理領域に配置された内側熱シールドであって、前記チャンバ本体から間隔を空けて配置され、前記気化器を少なくとも部分的に取り囲み、加熱される、内側熱シールド
を更に備える、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
前記処理領域に配置された内側熱シールドであって、前記チャンバ本体から間隔を空けて配置され、前記気化器を少なくとも部分的に取り囲み、加熱される、内側熱シールドと、
前記内側熱シールドに連結されたアクチュエータであって、前記キャップと前記基板支持体との間で前記内側熱シールドを移動させるように構成されたアクチュエータと
を更に備える、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記基板支持体を前記リッドの方へ移動させるように作動可能なアクチュエータ
を更に備える、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
前記気化器の前記排出口が複数の開口を備える、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項9】
前記ヒータが、抵抗ヒータ、ハロゲンランプ、発光ダイオード、レーザ、及びフラッシュランプから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の処理チャンバ。
【請求項10】
複数の基板を処理するための基板処理プラットフォームであって、
回転軌道機構と、
前記回転軌道機構周囲でアレイに配置された複数の処理チャンバであって、前記処理チャンバの1つが、
内部空間を画定するチャンバ本体及びリッドであって、前記リッドがキャップを有するハウジングを支持するように構成された、チャンバ本体及びリッドと、
前記内部空間に配置された基板支持体と、
前記キャップに連結され、前記処理チャンバの前記内部空間に開放された排出口を有する気化器であって、前記気化器と前記基板支持体との間に画定された処理領域に前駆体ガスを供給するように構成される気化器と、
前記気化器に隣接して配置されたヒータと、
前記処理領域に配置され、前記チャンバ本体から間隔を空けて配置され、前記気化器を少なくとも部分的に取り囲む内側熱シールドであって、加熱される内側熱シールドと
を更に備える、複数の処理チャンバと、
複数の基板を運び、同時に前記基板処理プラットフォーム内に及び前記基板処理プラットフォームから前記基板を移送するように構成された移送ロボットと
を備える基板処理プラットフォーム。
【請求項11】
前記処理チャンバが、
水冷式壁と、
水冷式リッドと、
を更に備える、請求項10に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項12】
前記処理チャンバが、
前記内側熱シールドに連結されたアクチュエータであって、前記キャップと前記基板支持体との間で前記内側熱シールドを移動させるように構成されたアクチュエータ
を更に備える、請求項10に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項13】
前記処理チャンバが、
前記基板支持体の中心線の第1の側に位置付けられた排気口であって、前記気化器が、前記基板支持体の前記中心線の第2の側に配置される排気口
を更に備える、請求項10に記載の基板処理プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体処理装置に関し、より具体的には、高い沸騰温度を有する前駆体を供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サブハーフミクロン及びより小さな特徴を確実に生産することが、半導体デバイスの次世代の超大規模集積(VLSI)及び極超大規模集積(ULSI)に対する主要な技術的挑戦の1つである。しかしながら、回路技術の限界が押し上げられたので、VLSI及びULSI技術の寸法が縮小され、加えて処理能力が要求されることとなった。基板上でのゲート構造の確実な形成が、VLSI及びULSIの成功及び回路密度を増やすための継続的な努力にとって重要である。
【0003】
次世代デバイス用の回路密度が増加すると、間にある誘電体材料だけではなく、バイアス、トレンチ、コンタクト、ゲート構造及び他の特徴などの相互接続の幅が、45nm、32nm、更にそれ以上低下する。次世代デバイス及び構造の製造を可能にするために、半導体チップにおける特徴の3次元(3D)スタッキングが用いられることが多い。特に、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)が、半導体チップの3次元(3D)構造を形成するためによく用いられる。従来の2次元の代わりに3次元のトランジスタを配置することによって、多数のトランジスタが、互いに非常に接近して集積化回路(IC)に載置され得る。回路密度及びスタッキングが増加すると、事前に堆積した材料の上に後続の材料を選択的に堆積させる能力の重要性が増す。
【0004】
したがって、半導体チップ又は他の半導体デバイスの3次元(3D)スタッキングに適した選択的堆積用の改良された装置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
1つの実施形態では、処理チャンバが本明細書で開示される。処理チャンバは、内部空間を画定するチャンバ本体及びリッドであって、リッドがキャップを有するハウジングを支持するように構成された、チャンバ本体及びリッドと;内部空間に配置された基板支持体と;処理チャンバの内部空間内で処理チャンバのキャップに連結された気化器であって、気化器と基板支持体との間に画定された処理領域に前駆体ガスを供給するように構成される気化器と;気化器に隣接して配置されたヒータであって、気化器を加熱するように構成されるヒータとを備える。
【0006】
別の実施形態では、処理チャンバが本明細書で開示される。処理チャンバは、内部空間を画定するチャンバ本体及びリッドであって、リッドが、キャップを有するハウジングを支持するように構成され、キャップが、キャップの温度を制御するための水冷式ベースプレートを含む、チャンバ本体及びリッドと;内部空間に配置された基板支持体アセンブリと;熱絶縁物によって内部空間内で処理チャンバのキャップに連結された気化器であって、気化器と基板支持体アセンブリとの間に画定された処理領域に前駆体を供給するように構成される気化器と;気化器に隣接して配置されたヒータであって、気化器を100℃から600℃の温度まで加熱するように構成されるヒータとを含む。
【0007】
1つの実施形態では、複数の基板を処理するための基板処理プラットフォームが、本明細書で開示される。基板処理プラットフォームは、回転軌道機構と、複数の処理チャンバと、移送ロボットとを含む。複数の処理チャンバは、回転軌道機構周囲でアレイに配置される。1つの処理チャンバは、内部空間を画定するチャンバ本体及びリッドであって、リッドがキャップを有するハウジングを支持するように構成された、チャンバ本体及びリッドと;内部空間に配置された基板支持体と;処理チャンバの内部空間内で処理チャンバのキャップに連結された気化器であって、気化器と基板支持体との間に画定された処理領域に前駆体ガスを供給するように構成される気化器と;気化器に隣接して配置されたヒータであって、気化器を加熱するように構成されるヒータとを備える。移送ロボットは、複数の基板を運び、同時に基板処理プラットフォーム内に及び基板処理プラットフォームから基板を移送するように構成される。
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、実施形態の一部は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを示しており、従って発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つの実施形態による、基板の上方に装着された加熱された側壁及び気化器を有する処理チャンバを示す。
図2】1つの実施形態による、気化器及び内側熱シールドを有する処理チャンバを示す。
図3】1つの実施形態による、加熱側壁及びマルチノズル式気化器を有する処理チャンバを示す。
図4】1つの実施形態による、クロスフロー構成の処理チャンバを示す。
図5】1つの実施形態による、マルチチャンバ処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号を使用した。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図される。
【0011】
しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態しか例示しておらず、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【0012】
図1は、1つの実施形態による処理チャンバ100を示す。例えば、処理チャンバ100は、化学気相堆積(CVD)チャンバ、又は高沸点及び低蒸気圧を有する前駆体を供給する任意の処理チャンバであり得る。処理チャンバ100は、側壁104、底部105、及びリッド106を有するチャンバ本体102を含む。側壁104及びリッド106は、内部空間108を画定する。1つの実施形態では、側壁104及びリッド106は、加熱される。例えば、側壁104及びリッド106が、摂氏250度(℃)の温度まで加熱され得るのに対して、基板支持体アセンブリ126は、220℃まで加熱され得る。1つの実施形態では、基板支持体アセンブリ126は、加熱された基板支持体アセンブリであり得る。例えば、基板支持体アセンブリ126は、約190℃、又は側壁104より約20℃から30℃低い温度まで加熱され得る。外側熱シールド140は、加熱された側壁104及びリッド106からユーザを保護するために、チャンバ本体102周囲に位置付けられ得る。内部空間108へかつ内部空間108から基板を移送するための基板移送口110が、側壁104に形成される。
【0013】
前駆体供給システム112が、前駆体材料を内部空間108に供給するために、処理チャンバ100に連結される。1つの実施形態では、前駆体は、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、六塩化タングステン、ドデカンチオールなどを含み得る。排気口115は、内部空間108の圧力を制御するために、内部空間108と連通した処理チャンバ100に連結され得る。処理チャンバ100内部のガス圧は、圧力センサ119によってモニタされ得る。例えば、1つの実施形態では、処理チャンバ100の圧力は、1mtorrから200torrまでの圧力で維持される。
【0014】
基板支持体アセンブリ126は、処理チャンバ100の内部空間108内に配置される。基板支持体アセンブリ126は、処理中に基板(図示されず)を支持するように構成される。基板支持体アセンブリ126は、当該アセンブリを貫通して移動可能に配置される複数のリフトピン128を含む。リフトピン128は、基板支持体アセンブリ126の支持体表面130から突出するように作動させることができ、これにより、基板支持体アセンブリ126と間隔を空けて基板を載置できるので、移送ロボット(図示されず)による移送を容易にする。
【0015】
リッド106は、ハウジング134を支持するように構成される。ハウジング134は、リッド106の反対側に配置されたキャップ136を含み、気化器114を取り囲む。気化器は、キャップ136から吊り下げられてもよく、ハウジング134の別の部分に連結されてもよい。気化器114は、内部空間108に直接開放されている排出口142を含む。気化器114は、前駆体供給システム112によって供給された前駆体を、基板支持体アセンブリ126と気化器114との間に画定された処理領域124に供給される蒸気に変換するように構成される。前駆体は、室温では固体又は液体であり得る。熱絶縁物113は、キャップ136を過熱から保護するために、キャップ136と気化器114との間に位置付けられ得る。加熱要素122は、気化器114に隣接したハウジング134内部に位置付けられる。1つの実施形態では、加熱要素122は、キャップ136又はハウジング134によって支持される。加熱要素122は、気化器114内部で前駆体を加熱するように構成される。加熱要素122は、例えば、ランプ、発光ダイオード、レーザ、抵抗ヒータ、又は任意の適したヒータであり得る。1つの実施形態では、加熱要素122は、前駆体が100℃から600℃までの温度に達するように、気化器114を加熱する。キャップ136は、キャップ136及びハウジング134の温度制御を補助するように構成された水冷式ベースプレート144を含み得る。
【0016】
コントローラ190は、処理チャンバ100に連結される。コントローラ190は、中央処理装置(CPU)192、メモリ194、及び支持回路196を含む。コントローラ190は、気化器114によって処理領域124に供給されるガスの速度、並びに側壁104、底部105及び基板支持体アセンブリ126の温度を制御するために用いられる。基板支持体アセンブリ126の温度を気化器114の温度未満に維持することは、チャンバ本体102の側壁104への堆積を低減する助けとなる。CPU192は、工業環境で使用することができる汎用コンピュータプロセッサの任意の形態であり得る。ソフトウェアルーチンは、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又はデジタルストレージの他の形態などのメモリ194に記憶することができる。支持回路196は、従来、CPU192に接続され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源などを含み得る。ソフトウェアルーチンは、CPU192によって実行されると、本開示に従って処理が実行されるように、CPU192を、処理チャンバ100を制御する特定用途コンピュータ(コントローラ)190に変換する。ソフトウェアルーチンはまた、チャンバから遠隔に位置する第2のコントローラ(図示されず)によって、記憶及び/又は実行され得る。
【0017】
コントローラ190は、複数のコントローラを含む制御システムの代表的なものであり得る。例えば、コントローラ190は、ヒータコントローラ、マルチチャネルヒータコントローラ、及びメインコントローラを含み得る。ヒータコントローラは、気化器114の加熱要素に電力供給するように構成される。マルチチャネルヒータコントローラは、側壁104、リッド106、基板支持体アセンブリ126、及び内側熱シールド(図2に示される)を加熱するように構成される。メインコントローラは、気化器114及び排気口115の位置の温度を変えることにより、チャンバ100圧力を調節するように構成される。メインコントローラはまた、ユーザ入力及び方策パラメータに基づき、マルチチャネルヒータコントローラに設定点を提供する。
【0018】
図2は、別の実施形態による処理チャンバ200を示す。処理チャンバ200は、処理チャンバ100と実質的に類似している。処理チャンバ200は、側壁204、底部205、及びリッド206を有するチャンバ本体202を含む。側壁204、リッド206、及び底部205は、内部空間208を画定する。1つの実施形態では、側壁204及びリッド206は、水冷式チャンバ壁である。水冷式チャンバ側壁204及びリッド206は、チャンバ本体202の温度制御の助けとなる。
【0019】
リッド206は、ハウジング234を支持するように構成される。ハウジング234は、リッド206の反対側に配置されたキャップ236を含み、気化器114を取り囲む。気化器114は、キャップ236から吊り下げられてもよく、ハウジング234の別の部分に連結されてもよい。内側熱シールド210は、内部空間208内でキャップ236又はハウジング234に装着される。熱絶縁物211は、内側熱シールド210とキャップ236又はハウジング234との間に位置付けられる。内側熱シールド210は、チャンバ本体202から間隔を空けて配置される。内側熱シールド210は、気化器114を少なくとも部分的に取り囲む。内側熱シールド210は、チャンバ本体202の側壁204及びリッド206を高温まで加熱する代わりに、加熱されることもある。内側熱シールド210は、チャンバ本体202における意図されない凝縮を防止し、外側熱シールド(図1の外側熱シールド140)を不要とし、またチャンバ壁及びリッドの加熱を不要とするため、エネルギーの有効なシステムがもたらされる。1つの実施形態では、内側熱シールド210は、圧力センサ119が内側熱シールド210外部の処理チャンバ200の圧力をモニタするのに対して、内側熱シールド210の空間内のガス圧力を測定するように構成される内圧センサ231を含む。
【0020】
気化器114は、内側熱シールド210を通って延びる排出口142を含む。排出口142は、熱シールド210と基板支持体アセンブリ126の支持体表面130に配置された基板との間の処理領域124内の空間に開放されている。別の実施形態では、均一蒸気分配用のシャワーヘッド(図示されず)が、内側熱シールド210内に組み込まれてもよい。排出口142は、シャワーヘッドのプレナム(図示されず)内に開放されるだろう。シャワーヘッドは、熱シールドと同じ温度まで加熱されるだろう。
【0021】
1つの実施形態では、処理チャンバ200は、キャップ236に連結された第1のアクチュエータ212を更に含む。キャップ236は、ベローズ214によってハウジング234に連結される。ベローズ214は、処理チャンバ200の内部空間208内の真空を維持しつつ、アクチュエータ212がキャップ236をz方向に移動できるようにする。キャップ236のz方向への移動は、キャップ236に連結した内側熱シールド210及び気化器114を上げ下げする。内側熱シールド210を下げると、基板と内側熱シールド210との間の処理領域124内の間隔が縮小し、処理ガスが基板上方に直接閉じ込められる。これにより、処理ガスの有効な処理材料及びエネルギー利用がもたらされる。1つの実施形態では、内側熱シールド210は、内側熱シールド210の底にOリング(図示されず)を含み得る。Oリングは、処理チャンバ200の底圧力より高い圧力まで加圧される基板上方に空洞を許容し、この結果、有効に処理材料が利用される。これは、内側熱シールド210内に位置付けられた内圧センサ231によって測定される。
【0022】
別の実施形態では、処理チャンバ200は、基板支持体アセンブリ126に連結された第2のアクチュエータ216を含み得る。第2のアクチュエータ216は、基板支持体アセンブリ126をz方向に移動させるように構成される。基板支持体アセンブリ126を上向きz方向に移動させることにより、アクチュエータ212で内側熱シールド210を下げることと同じように、処理領域124が閉じ込められるように、基板支持体アセンブリ126が内側熱シールド210により接近して位置付けられる。ベローズ250は、アクチュエータ216が基板支持体アセンブリ126を移動させるときに真空を維持するように、チャンバ本体202の底部205に連結される。
【0023】
図3は、処理チャンバ300の別の実施形態を示す。処理チャンバ300は、処理チャンバ200及び100と実質的に類似している。処理チャンバ300は、側壁304、底部305、及びリッド306を有するチャンバ本体302を含む。側壁304、リッド306、及び底部305は、内部空間308を画定する。1つの実施形態では、側壁304及びリッド306は、加熱される。例えば、側壁304及びリッド306は、250℃の温度まで加熱され得る。外側熱シールド340は、ユーザが加熱された側壁304及びリッド306から保護されるように、チャンバ本体302周囲に位置付けられ得る。別の実施形態では、内側熱シールド210に類似する内側熱シールドが、側壁304及びリッド306を加熱する代わりに使用されてもよい。
【0024】
リッド306は、ハウジング334を支持するように構成される。ハウジング334は、リッド306の反対側に配置されたキャップ336を含み、気化器314を取り囲む。気化器314は、キャップ336から吊り下げられてもよく、ハウジング334の別の部分に連結されてもよい。気化器314は、内部空間308に直接開放されている複数の排出口316を含む。気化器314は、前駆体供給システム112によって供給された前駆体を、基板支持体アセンブリ126と気化器114との間に画定された処理領域324に供給される蒸気に変換するように構成される。複数の排出口316は、基板に分散される蒸気が均一に流れるようにする。複数の加熱要素322は、気化器314に隣接して位置付けられる。1つの実施形態では、加熱要素322は、キャップ336と気化器314との間で、キャップ336に装着される。加熱要素322は、気化器314内部で前駆体を加熱するように構成される。加熱要素322は、例えば、ランプ、発光ダイオード、レーザ、抵抗ヒータ、又は任意の適した加熱要素であり得る。1つの実施形態では、加熱要素322は、前駆体が100℃から600℃までの温度に達するように、気化器314を加熱する。複数の加熱要素322及び複数の排出口316は、基板の表面にわたり異なる処理ゾーンを実現する。
【0025】
図4は、別の実施形態による処理チャンバ400を示す。処理チャンバ400は、処理チャンバ100と実質的に類似している。処理チャンバ400は、側壁404、底部405、及びリッド406を有するチャンバ本体402を含む。側壁404、リッド406、及び底部405は、内部空間408を画定する。1つの実施形態では、側壁404及びリッド406は、加熱される。例えば、側壁404及びリッド406は、250℃の温度まで加熱され得る。外側熱シールド440は、ユーザが加熱された側壁404及びリッド406から保護されるように、チャンバ本体402周囲に位置付けられ得る。内部空間408へかつ内部空間108から基板を移送するための基板移送口110が、側壁404に形成される。
【0026】
リッド406は、ハウジング434を支持するように構成される。ハウジング434は、リッド406の反対側に配置されたキャップ436を含み、気化器114を取り囲む。気化器114は、キャップ436から吊り下げられてもよく、ハウジング434の別の部分に連結されてもよい。気化器114は、内部空間408に直接開放されている排出口142を含む。リッド406は、基板支持体アセンブリ126の中心線422の第1の側420でハウジングを支持する。したがって、気化器114は、基板支持体アセンブリ126の中心線422の第1の側420でキャップ436に連結される。排気口115は、第1の側420と反対側の中心線422の第2の側426に位置付けられる。気化器114と排気口115を中心線422の反対側に位置付けることにより、処理領域424の中の基板(図示されず)の表面にわたる蒸気のクロスフローが可能になる。
【0027】
代替的には、別の実施形態において、ハウジング434は、基板の表面にわたり蒸気のクロスフローを提供するために、側壁404によって水平に支持され得る。気化器114は、基板支持体アセンブリ126の中心線422の第1の側420で側壁404に位置付けられる。
【0028】
別の実施形態では、チャンバ400は、垂直チャンバ構成を含み得、基板が垂直基板支持体アセンブリに垂直に装着され、ガスが基板の表面にわたり上部から底部まで流れる。
【0029】
図5は、1つの実施形態による、基板処理チャンバ500の概略図を示す。処理システム500は、複数の処理チャンバ506を有する処理プラットフォーム502を含む。処理プラットフォーム502は、移送チャンバ504に連結される。移送チャンバ504は、その内部に配置され、処理プラットフォーム502の中に及び処理プラットフォーム502から2つの基板(図示されず)を移送するように構成された、デュアルブレードロボット505を含む。任意選択的に、各処理チャンバ506を空間的に分離し及び/又は基板加熱若しくは硬化を行うための複数のバッファステーション508が、処理チャンバ506の中間に配置される。
【0030】
図5に示されるように、複数の基板は、処理チャンバ506の中に回転可能に配置することができる。基板処理中に、回転軌道機構510は、複数の基板が処理チャンバ506及びバッファステーション508の各々の下で回転して通過するように、第1の回転速度で水平方向512に(例えば、時計回りに又は反時計回りに)回転するように構成される。
【0031】
処理チャンバ506は、前駆体を基板に堆積させるように構成された、処理チャンバ100、200、300、又は400の任意の1つであり得る。処理チャンバ506はまた、基板の露出面からの自然酸化物、汚染物質、又はその両方を除去するための前洗浄処理チャンバと、堆積後処理チャンバと、基板表面に構造を形成するための堆積チャンバとを含み得る。
【0032】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の更なる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0033】
図1
図2
図3
図4
図5