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特許7066985搬送装置、液体吐出装置及び姿勢検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】搬送装置、液体吐出装置及び姿勢検出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220509BHJP
   B41J 25/304 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 307
B41J25/304 R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017117296
(22)【出願日】2017-06-14
(65)【公開番号】P2019001046
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 真澄
(72)【発明者】
【氏名】林 智明
(72)【発明者】
【氏名】梅原 周
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069095(JP,A)
【文献】特開2010-149377(JP,A)
【文献】特開2010-142969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0015892(US,A1)
【文献】特開2017-077726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0066256(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 15/00-15/24
B41J 23/00-25/34
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の搬送を行う搬送部と、
前記被搬送物に対して処理を行うヘッドユニットと、
搬送経路において前記ヘッドユニットが前記処理を行う処理位置よりも上流に設けられ、前記被搬送物を支持する第1の支持部材と、
前記処理位置よりも下流に設けられ、前記被搬送物を支持する第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間に設置され、前記被搬送物の表面情報である第1検出結果を検出する第1検出部と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間、かつ、前記第1検出部よりも下流に設置され、前記被搬送物の表面情報である第2検出結果を検出する第2検出部と、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記被搬送物の姿勢を検出する姿勢検出部と
を備え、
前記姿勢検出部は、前記被搬送物が搬送方向に対して斜めに搬送された場合における斜行量を検出し、
前記斜行量に基づいて、前記搬送方向に対して進行軸回りに、前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材を傾ける支持部材回転制御部を更に備え、
前記被搬送物は、長尺であり、
前記第1検出部よりも上流に1個以上設置され、かつ、前記被搬送物の表面情報である第3検出結果を検出する第3検出部と、
前記第1検出結果及び前記第3検出結果に基づいて、直交方向に、前記ヘッドユニットを移動させる移動部とを更に備える搬送装置。
【請求項2】
被搬送物の搬送を行う搬送部と、
前記被搬送物に対して処理を行うヘッドユニットと、
搬送経路において前記ヘッドユニットが前記処理を行う処理位置よりも上流に設けられ、前記被搬送物を支持する第1の支持部材と、
前記処理位置よりも下流に設けられ、前記被搬送物を支持する第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間に設置され、前記被搬送物の表面情報である第1検出結果を検出する第1検出部と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間、かつ、前記第1検出部よりも下流に設置され、前記被搬送物の表面情報である第2検出結果を検出する第2検出部と、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記被搬送物の姿勢を検出する姿勢検出部と
を備え、
前記姿勢検出部は、前記被搬送物が搬送方向に対して斜めに搬送された場合における斜行量を検出し、
前記斜行量に基づいて、前記搬送方向に対して進行軸回りに、前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材を傾ける支持部材回転制御部を更に備え、
前記被搬送物は、長尺であり、
前記表面情報は、前記被搬送物が有するパターンであり、
前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記パターンに基づいて、前記第1検出結果及び前記第2検出結果を検出する搬送装置。
【請求項3】
前記姿勢検出部は、前記被搬送物が搬送方向に対して斜めに搬送された場合における斜行量を検出し、
前記斜行量に基づいて、前記搬送方向に対して垂直軸回りに、前記ヘッドユニットを回転させるヘッドユニット回転制御部を更に備える請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記パターンは、前記被搬送物に形成される凹凸形状に対して照射される光の干渉によって生成され、
前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記パターンを撮像した画像に基づいて、前記第1検出結果及び前記第2検出結果を検出する請求項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記パターンを異なる2以上のタイミングで検出した結果に基づいて、前記被搬送物の位置を検出する請求項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1検出部は、前記処理位置より前記第1の支持部材に近い位置に設置される請求項1乃至のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の搬送装置を備える液体吐出装置。
【請求項8】
被搬送物の搬送を行う搬送部と、前記被搬送物に対して処理を行うヘッドユニットと、
搬送経路において前記ヘッドユニットが前記処理を行う処理位置よりも上流に設けられ、前記被搬送物を支持する第1の支持部材と、前記処理位置よりも下流に設けられ、前記被搬送物を支持する第2の支持部材とを有する搬送装置が行う姿勢検出方法であって、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間に配置された第1検出部で、前記被搬送物の表面情報である第1検出結果を検出する第1検出手順と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間であって、前記第1検出手順よりも下流に配置された第2検出部で、前記被搬送物の表面情報である第2検出結果を検出する第2検出手順と、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記被搬送物の姿勢を検出する姿勢検出手順と
を含み、
前記姿勢検出手順において、前記被搬送物が搬送方向に対して斜めに搬送された場合における斜行量を検出し、
前記斜行量に基づいて、前記搬送方向に対して進行軸回りに、前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材を傾ける支持部材回転制御手順を更に備え、
前記被搬送物は、長尺であり、
前記表面情報は、前記被搬送物が有するパターンであり、
前記第1検出手順及び前記第2検出手順は、前記パターンに基づいて、前記第1検出結果及び前記第2検出結果を検出する、姿勢検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、液体吐出装置及び姿勢検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドユニットを用いて様々な処理を行う方法が知られている。例えば、プリントヘッドからインクを吐出する、いわゆるインクジェット方式によって画像形成等を行う方法が知られている。このように、被搬送物に対して処理を行う装置では、処理が行われる処理タイミング又は被搬送物が搬送される位置にずれが生じると、処理の結果にも、ずれが生じる。
【0003】
そこで、ヘッドユニットによって形成される画像の画質を向上させるため、記録媒体のずれ量を検出する方法が知られている。具体的には、連続用紙印刷システムが用いる記録媒体であるウェブ(web)の横方向における位置変動をセンサによって検出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、ヘッドユニットが処理を行う位置(以下「処理位置」という。)における被搬送物の姿勢が検出できない場合があるのが課題となる。
【0005】
本発明の1つの側面は、処理位置における被搬送物の姿勢を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である搬送装置は、
被搬送物の搬送を行う搬送部と、
前記被搬送物に対して処理を行うヘッドユニットと、
搬送経路において前記ヘッドユニットが前記処理を行う処理位置よりも上流に設けられ、前記被搬送物を支持する第1の支持部材と、
前記処理位置よりも下流に設けられ、前記被搬送物を支持する第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間に設置され、前記被搬送物の表面情報である第1検出結果を検出する第1検出部と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の間、かつ、前記第1検出部よりも下流に設置され、前記被搬送物の表面情報である第2検出結果を検出する第2検出部と、
前記第1検出結果及び前記第2検出結果に基づいて、前記被搬送物の姿勢を検出する姿勢検出部と
を備え、
前記姿勢検出部は、前記被搬送物が搬送方向に対して斜めに搬送された場合における斜行量を検出し、
前記斜行量に基づいて、前記搬送方向に対して進行軸回りに、前記第1の支持部材又は前記第2の支持部材を傾ける支持部材回転制御部を更に備え、前記被搬送物は、長尺であり、
前記第1検出部よりも上流に1個以上設置され、かつ、前記被搬送物の表面情報である第3検出結果を検出する第3検出部と、
前記第1検出結果及び前記第3検出結果に基づいて、直交方向に、前記ヘッドユニットを移動させる移動部とを更に備える
【発明の効果】
【0007】
処理位置における被搬送物の姿勢を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置の一例を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体構成例を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る姿勢検出装置を実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの一例を示す外観図である。
図6】本発明の一実施形態に係る姿勢検出装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る相関演算方法の一例を示す構成図である。
図8】本発明の一実施形態に係る相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る相関演算の演算結果例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る被搬送物の姿勢を検出するための構成例を示す概略図である。
図11】本発明の一実施形態に係る直交方向におけるずれ量の例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る搬送装置による姿勢検出処理例を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図14】本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図15】本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図16】本発明の第1変形例の一実施形態に係る搬送装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図17】本発明の一実施形態に係る搬送装置による被搬送物の位置等の検出例を示すタイミングチャートである。
図18】本発明の一実施形態に係る移動部を実現するためのハードウェア構成例を示す概略図である。
図19】本発明の第2実施形態の一実施形態に係る搬送装置によるヘッドユニットを回転制御する例を示す概念図である。
図20】第1比較例におけるハードウェア構成の一例を示す図である。
図21】本発明の第2実施形態の一実施形態に係る搬送装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図22】本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置の全体構成例を示す概略図である。
図23】本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置による支持部材の回転制御例を示す概略図である。
図24】本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置による斜行補正処理例を示すフローチャートである。
図25】本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図26】本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体構成の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
<第1実施形態>
<全体構成例>
以下、搬送装置が液体吐出装置を備え、かつ、液体吐出装置が有するヘッドユニットが、被搬送物に液体を吐出する処理を行う液体吐出ヘッドユニットである場合を例に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送装置の一例を示す概略図である。例えば、搬送装置の例である液体吐出装置は、図示するような画像形成装置である。このような画像形成装置では、吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。以下、液体吐出装置が画像形成装置110である例で説明する。
【0012】
被搬送物は、例えば、記録媒体等である。図示する例では、画像形成装置110は、ローラ130等によって搬送される記録媒体の例であるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状の紙等である。以下、被搬送物がウェブ120である例で説明する。
【0013】
このように、画像形成装置110は、いわゆるプロダクション・プリンタである。以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)にウェブ120が搬送される例で説明する。さらに、図では、搬送方向10に直交する方向を直交方向20とする例である。また、この例では、画像形成装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のインクを吐出してウェブ120に画像を形成するインクジェットプリンタである。
【0014】
また、以下の説明では、図示するように、搬送方向10に対して垂直軸回りとなる回転を「ヨー回転(Yaw)RY」という。さらに、搬送方向10に対して進行軸回りとなる回転を「ロール回転(Roll)RR」という。さらにまた、直交方向20に対して進行軸回りとなる回転を「ピッチ回転(Pitch)RP」という。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体構成例を示す概略図である。図2は、搬送装置の例として画像形成装置を用いた例の概略図である。図示するように、画像形成装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。
【0016】
各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する。また、ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。ローラ230は、駆動モータにより駆動力を与えられ、ウェブ120を駆動するローラであって搬送部の例である。以下、2対のニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。
【0017】
各ニップローラは、図示するように、ウェブ120を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120を所定の方向へ搬送する機構等である。
【0018】
また、ウェブ120は、長尺であるのが望ましい。具体的には、ウェブ120の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、被搬送物は、ウェブ120に限られない。すなわち、被搬送物は、折り畳まれて格納される紙、いわゆる「Z紙」等でもよい。
【0019】
以下、図示する全体構成例では、各液体吐出ヘッドユニットは、上流から下流に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。具体的には、最も上流に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。
【0020】
そして、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。なお、色の順番は、図示する以外の順番でもよい。
【0021】
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する処理を行う。また、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出する処理を行う処理位置(以下「吐出位置」という。)は、液体吐出ヘッドから吐出される液体がウェブ120に着弾する位置にほぼ等しい、すなわち、液体吐出ヘッドの直下等である。
【0022】
図示する例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出位置(以下「ブラック吐出位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出位置(以下「シアン吐出位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの吐出位置(以下「マゼンタ吐出位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの吐出位置(以下「イエロー吐出位置PY」という。)に吐出される。
【0023】
なお、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するそれぞれの処理タイミングは、各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520が制御する。
【0024】
以下、液体吐出ヘッドユニットによる処理位置を吐出位置とする例で説明する。
【0025】
また、図示する例では、液体吐出ヘッドユニットに対して、複数のローラが設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流と、下流とに設置される。
【0026】
具体的には、ウェブ120の搬送経路において、液体吐出ヘッドユニットごとに、各吐出位置の上流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第1ローラ」という。)が、設置される。また、各吐出位置から下流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第2ローラ」という。)が、設置される。このように、第1ローラ及び第2ローラが設置されると、各吐出位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくできる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等によって回転するローラであってもよい。
【0027】
なお、第1の支持部材の例である第1ローラと、第2の支持部材の例である第2ローラとは、従動ローラ等の回転体でなくてもよい。すなわち、第1の支持部材及び第2の支持部材は、対象物を支える部材であればよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、断面円形状のパイプ又はシャフト等でもよい。他にも、第1の支持部材及び第2の支持部材は、対象物と接する部位が円弧状となる湾曲板等であってもよい。以下、第1の支持部材が第1ローラであり、かつ、第2の支持部材が第2ローラである例で説明する。
【0028】
具体的には、ブラック吐出位置PKのウェブ120の搬送方向上流側にブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック吐出位置PKからウェブ120の搬送方向下流側にブラック用第2ローラCR2Kが設置される。
【0029】
同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cが設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mが設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yが設置される。
【0030】
図2では、例えば、液体吐出ヘッドユニットごとに、搬送方向、直交方向又は両方向におけるウェブの位置等を検出するためのセンサデバイスが2以上設置される。センサデバイスは、空気圧又は超音波等を利用するセンサを備える。又は、センサデバイスは、可視光、レーザ又は赤外線等の光を利用する光センサ等を備える。なお、光センサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等でもよい。すなわち、センサデバイスは、例えば、ウェブ100の表面情報を検出できるセンサ等を備える。そして、画像形成装置は、センサによって、ウェブ120の表面情報を検出し、複数の検出結果の間での相対位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を検出できる。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を示す図である。図3(A)は、各液体吐出ヘッドユニットの一例を示す概略平面図である。
【0032】
図示するように、液体吐出ヘッドユニットは、例えば、ライン型のヘッドユニットである。
【0033】
例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kは、直交方向20に、4つのヘッド210K-1、210K-2、210K-3及び210K-4を千鳥状に配置する。例えば、ヘッド210K-1は、図3(B)に示すような形状である。これにより、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kは、ウェブ120に画像が形成される領域(いわゆる印刷領域である。)の幅方向(すなわち、直交方向20である。)に、ブラックのインクによって画像を形成することができる。なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kと同様の構成とし、説明を省略する。
【0034】
なお、上記の説明では、4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、液体吐出ヘッドユニットは、単一のヘッドで構成されてもよい。
【0035】
<姿勢検出装置の例>
図4は、本発明の一実施形態に係る姿勢検出装置を実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。例えば、姿勢検出装置は、図示するようなセンサデバイスSEN、制御回路52、記憶装置53及びコントローラ520等のハードウェアによって実現される。
【0036】
まず、センサデバイスSENは、例えば、以下のような装置である。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの一例を示す外観図である。図示するセンサデバイスSENは、被搬送物に対して、光源から光を照射すると被搬送物に形成されるパターン等を撮像する構成である。パターンは、被搬送物の表面情報の一例である。具体的には、センサデバイスSENは、まず、光源としてレーザ光源LDを備える。また、コリメート光学系(CL)等の光学系を有する。また、センサデバイスSENは、パターンを撮像するため、センサとして光センサOSを備える。図5の光センサOSは、CMOSイメージセンサである。また、センサデバイスSENは、CMOSイメージセンサに集光結像するためのテレセントリック撮像光学系(TO)を有する。
【0038】
例えば、光センサOSが被搬送物に形成されるパターン等を撮像する。そして、コントローラ520は、撮像したパターンと、他のセンサデバイスSENが備える光センサOSで撮像したパターンとに基づいて、相関演算等の処理を行う。次に、相関演算等によって算出される相関ピーク位置の移動に基づいて、コントローラ520は、一方の光センサOSから、他方の光センサまでの間の相対位置等を算出する。なお、図示する例では、センサデバイスSENのサイズは、幅W×奥行きD×高さHを15×60×32[mm]とする例である。なお、相関演算の詳細は、後述する。
【0039】
なお、CMOSイメージセンサは、撮像部を実現するハードウェアの一例である。本例では、相関演算を行うハードウェアをコントローラ520として記載したが、相関演算は、いずれかのセンサデバイスに搭載されたFPGA回路で実行されても良い。
【0040】
制御回路52は、センサデバイスSEN内部の光センサ等を制御する。具体的には、制御回路52は、例えば、トリガ信号を光センサOSに対して出力して、光センサOSがシャッタを切るタイミングを制御する。また、制御回路52は、センサデバイスSENから、2次元画像データを取得できるように制御する。そして、制御回路52は、センサデバイスSENが撮像して生成する2次元画像データを記憶装置53等に送る。
【0041】
記憶装置53は、いわゆるメモリ等である。なお、記憶装置53は、制御回路52から送られる2次元画像データを分割して、異なる記憶領域に記憶できる構成であるのが望ましい。
【0042】
コントローラ520は、マイクロコンピュータ等である。コントローラ520は、記憶装置53に記憶される画像データ等を用いて演算を行う。
【0043】
記憶装置55は、コントローラ520の演算結果等を記憶する装置である。
【0044】
制御回路52及びコントローラ520は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又は電子回路等である。なお、制御回路52、記憶装置53、記憶装置55及びコントローラ520は、異なるデバイスでなくともよい。例えば、制御回路52及びコントローラ520は、1つのCPU等であってもよい。また、記憶装置53及び記憶装置55は、同じメモリであっても良い。
【0045】
図6は、本発明の一実施形態に係る姿勢検出装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。以下、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとに設置される2つ以上のセンサデバイスのうち、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに配置されるセンサデバイスSENK1及びセンサデバイスSENK2の組み合わせを例に説明する。
【0046】
検出部52Aは、例えば、撮像部16A、撮像制御部14A及び画像記憶部15A等で構成される。なお、この例では、検出部52Bは、例えば、検出部52Aと同様の構成であり、撮像部16B、撮像制御部14B及び画像記憶部15B等で構成される。例えば、検出部52Aは、センサデバイスSENK1等に対応し、検出部52Bは、センサデバイスSENK2等に対応する。以下、検出部52Aを例に説明する。
【0047】
撮像部16Aは、図示するように、搬送方向10に搬送されるウェブ120を撮像する。なお、撮像部16Aは、例えば、光センサOS(図4)によって実現される。
【0048】
撮像制御部14Aは、シャッタ制御部141A、画像取込部142Aを有する。なお、撮像制御部14Aは、例えば、制御回路52等(図4)によって実現される。
【0049】
画像取込部142Aは、撮像部16Aによって撮像される画像データを取得する。
【0050】
シャッタ制御部141Aは、撮像部16Aが撮像するタイミングを制御する。
【0051】
画像記憶部15Aは、撮像制御部14Aが取り込んだ画像データを記憶する。なお、画像記憶部15Aは、例えば、記憶装置53等(図4)によって実現される。
【0052】
計算部53Fは、画像記憶部15A及び15Bに記憶されるそれぞれの画像データに基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が移動する移動速度及びウェブ120が移動した移動量が算出できる。
【0053】
また、計算部53Fは、シャッタ制御部141Aに、シャッタを切るタイミングを示す時差Δtのデータを出力する。すなわち、計算部53Fは、「A位置」を示す画像データと、「B位置」を示す画像データとが時差Δtで、それぞれ撮像されるように、シャッタを切るタイミングをシャッタ制御部141Aに示す。なお、計算部53Fは、例えば、コントローラ520(図2)等によって実現される。
【0054】
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120にレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。この拡散反射によって、ウェブ120には、パターンが形成される。すなわち、パターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターン等である。また、パターンはウェブ120の表面情報の一例である。そのため、ウェブ120を撮像すると、パターンを示す画像データが得られる。この画像データからパターンのある位置がわかるため、画像形成装置110は、ウェブ120の所定の位置がどこにあるかが検出できる。なお、パターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、照射されるレーザ光が干渉するため、生成される。
【0055】
したがって、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120が有するパターンも一緒に搬送される。そのため、同一のパターンを異なる時間で検出すると、画像形成装置は、検出結果に基づいてウェブ120の移動量を計算できる。すなわち、上流側で検出されたパターンと同一のパターンを下流側で検出すると、画像形成装置110は、ウェブ120の相対位置又は移動量を計算できる。そして、搬送装置は、単位時間あたりの移動量を計算すると、移動量を計算できる。
【0056】
図示するように、撮像部16A及び撮像部16Bが、搬送方向10において一定の間隔で設置される。そして、撮像部16A及び撮像部16Bを介して、それぞれの位置でウェブ120が撮像される。
【0057】
そして、時差Δtの間隔で、シャッタ制御部141Aは、撮像部16A及び撮像部16Bに、ウェブ120を撮像させる。このようにして生成される画像データが示すパターンに基づいて、計算部53Fは、ウェブ120の移動量等を計算する。具体的には、理想の搬送速度を「V」とし、撮像部16A及び撮像部16Bが搬送方向10において設置される間隔である相対距離を「L」とすると、時差Δtは、下記(1)式のように示せる。

Δt=L/V (1)

上記(1)式において、相対距離Lは、センサデバイスSENK1及びセンサデバイスSENK2の間隔であるため、センサデバイスSENK1及びセンサデバイスSENK2の間隔をあらかじめ測定すると特定できる。
【0058】
さらに、画像形成装置は、検出部52A及び検出部52Bによって撮像されるそれぞれの画像を示す画像データ「D1(n)」及び「D2(n)」に対して相互相関演算を行う。以下、相互相関演算によって生成される画像データを「相関画像」という。例えば、画像形成装置は、相関画像に基づいて、2つの画像データの間での、直交方向の相対位置と搬送方向の相対位置の少なくともいずれかを計算する。
【0059】
例えば、相互相関演算は、下記(2)式で示す計算である。

D1★D2*=F-1[F[D1]・F[D2]*] (2)

なお、上記(2)式において、画像データ「D1(n)」、すなわち、「A位置」で撮像される画像を示す画像データを「D1」とする。同様に、上記(2)式において、画像データ「D2(n)」、すなわち、「B位置」で撮像される画像を示す画像データを「D2」とする。さらに、上記(2)式において、フーリエ変換を「F[]」で示し、逆フーリエ変換を「F-1[]」で示す。さらにまた、上記(2)式において、複素共役を「*」で示し、相互相関演算を「★」で示す。
【0060】
上記(2)式に示すように、画像データD1及びD2に対して、相互相関演算「D1★D2」を行うと、相関画像を示す画像データが、得られる。なお、画像データD1及びD2が2次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、2次元画像データとなる。また、画像データD1及びD2が1次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、1次元画像データとなる。
【0061】
なお、相関画像において、例えば、ブロードな輝度分布が問題となる場合には、位相限定相関法が用いられてもよい。位相限定相関法は、例えば、下記(3)式で示す計算である。

D1★D2*=F-1[P[F[D1]]・P[F[D2]*]] (3)

なお、上記(3)式において、「P[]」は、複素振幅において位相のみを取り出すことを示す。また、振幅は、すべて「1」とする。
【0062】
このようにすると、画像形成装置は、ブロードな輝度分布であっても、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算できる。
【0063】
相関画像は、画像データD1及びD2の相関関係を示す。具体的には、画像データD1及びD2の一致度が高いほど、相関画像の中心に近い位置には、急峻なピーク、いわゆる相関ピークとなる輝度が出力される。そして、画像データD1及びD2が一致すると、相関画像の中心及びピークの位置は、重なる。
【0064】
相関演算の結果に基づいて、時差Δtで撮像される画像データD1と、画像データD2との間での位置の差、移動量又は移動速度等の情報が出力される。例えば、計算部53Fは、直交方向においては、画像データD1から画像データD2までの間に、どの程度ウェブ120が直交方向に移動したかを算出することができる。なお、計算部53Fは、移動量でなく、移動速度を算出しても良い。
【0065】
さらに、計算部53Fは、相関演算の結果に基づき、搬送方向において、ウェブの移動量がどの程度相対距離Lに対してずれたかを求めることもできる。すなわち、撮像部16A及び16Bが撮像した2次元画像データから、計算部53Fは、搬送方向及び直交方向のそれぞれの位置を検出するのに兼用されてもよい。
【0066】
ずれ量記憶部55Fは、計算部53Fが算出した直交方向におけるずれ量を記憶する。ずれ量記憶部55Fは、記憶装置55等で実現される。
【0067】
姿勢検出部56Fは、ずれ量記憶部55Fが記憶したずれ量に基づいて、ウェブ120の姿勢を検出する機能である。例えば、姿勢検出部56Fは、コントローラ520等で実現される。
【0068】
また、相関演算は、例えば、以下のように計算されてもよい。
【0069】
図7は、本発明の一実施形態に係る相関演算方法の一例を示す構成図である。例えば、画像形成装置110は、図示するような構成によって、相関演算を行うと、センサの位置におけるウェブの相対位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等を示す検出結果を出力することができる。
【0070】
具体的には、画像形成装置110は、図示するように、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する構成である。
【0071】
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
【0072】
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
【0073】
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
【0074】
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
【0075】
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
【0076】
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
【0077】
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
【0078】
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
【0079】
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
【0080】
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
【0081】
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、画像形成装置110は、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
【0082】
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
【0083】
図8は、本発明の一実施形態に係る相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データにおける搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画素の輝度を示す。
【0084】
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SRは、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
【0085】
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画素毎の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
【0086】
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
【0087】
図9は、本発明の一実施形態に係る相関演算の演算結果例を示す図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SRによって探索される。
【0088】
演算部CALは、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
【0089】
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して移動速度を計算できる。
【0090】
以上のようにして、画像形成装置110は、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、画像形成装置110は、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
【0091】
まず、画像形成装置110は、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、画像形成装置110は、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、画像形成装置110は、相対位置を検出してもよい。
【0092】
なお、図では、Y方向に変動がある例を説明したが、X方向に変動がある場合には、ピーク位置は、X方向にもずれた位置に発生する。
【0093】
また、画像形成装置110は、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、画像形成装置110は、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
【0094】
以上のように相関演算を行うと、画像形成装置110は、搬送方向、直交方向又は両方向において、被搬送物が所定の位置からどれだけずれたかを示すずれ量を把握できる。
【0095】
<姿勢検出例及び構成例>
図10は、本発明の一実施形態に係る被搬送物の姿勢を検出するための構成例を示す概略図である。以下、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kにおける構成を例に説明する。すなわち、図10は、図2におけるブラック液体吐出ヘッドユニットに対応したブラック用第1ローラCR1K、センサデバイスSENK1、センサデバイスSENK2、ブラック用第2ローラCR2Kの上面透視図である。
【0096】
例えば、センサデバイスSENK2は、ブラック用第1ローラCR1Kと、ブラック用第2ローラCR2Kの間であって、センサデバイスSENK1よりも下流に設定される。また、センサデバイスSENK2は、センサデバイスSENK1で検出されたパターンと同一のパターンを少なくとも一部が検出できるタイミングで検出を行う。そして、センサデバイスSENK1の検出結果と、センサデバイスSENK2の検出結果とに基づいて、コントローラ520は、2つの検出位置の間における直交方向20におけるウェブ120のずれ量を検出できる。すなわち、図は、センサデバイスSENK1が第1検出部を実現し、センサデバイスSENK2が第2検出部を実現する例を示す。例えば、画像形成装置110は、複数回ずれ量を検出し、図4の記憶装置55に記憶する。
【0097】
図11は、本発明の一実施形態に係る直交方向におけるずれ量の例を示す図である。図は、図10に示す構成等によって、検出されたずれ量をプロットした結果の例である。例えば、画像形成装置110は、100回連続してずれ量を検出する処理を10回行い、合計で1000回分のずれ量を取得するとする。そして、1000回分のずれ量を時系列順にプロットすると、図示するようなデータが生成できる。
【0098】
図示するように、ずれ量は、時間に対してほぼ一定量である成分(以下「斜行成分ER1」という。)と、時間に対して周期的に量が変動する成分(以下「蛇行成分ER2」という。)を主に含む場合が多い。
【0099】
斜行成分ER1は、図10に示す例では、ウェブ120が搬送方向10に対して斜めに搬送される、いわゆる斜行状態120A等が原因で発生する。
【0100】
一方で、蛇行成分ER2は、図10に示す例では、ウェブ120が直交方向20において位置が変動する、いわゆる蛇行状態120B等が原因で発生する。
【0101】
例えば、斜行状態120Aは、ブラック用第1ローラCR1Kに対してブラック用第2ローラCR2Kが傾いた状態等であると発生する。
【0102】
さらに、蛇行状態120Bは、例えば、搬送に用いられるローラ230(図2)等の偏心、ミスアライメント又はブレードによるウェブ120の切断等によって発生する。特に、ウェブ120が直交方向に対して幅が狭い場合等には、ローラの熱膨張等が、直交方向20において、ウェブ120の位置の変動に対して影響する場合がある。
【0103】
したがって、蛇行状態120Bは、ローラ230の回転周期等に基づく周期的な現象となる場合が多い。そのため、蛇行成分ER2は、周期性を有する場合が多い。そこで、画像形成装置は、図11のように、十分な回数のずれ量を取得して図4の記憶装置55に記憶する。そして、コントローラ520は、記憶されたずれ量の平均値等を計算することでずれ量から蛇行成分ER2を除き、斜行成分ER1が計算できる。このように計算される斜行成分ER1が、斜行量となる。そして、画像形成装置110は、斜行量を計算することによって、ウェブ120が斜行状態120Aであるか否か等の姿勢を検出することができる。
【0104】
図12は、本発明の一実施形態に係る搬送装置による姿勢検出処理例を示すフローチャートである。例えば、図示するような処理を行うと、搬送装置は、図10に示す構成において、姿勢検出方法を行うことができる。
【0105】
ステップSP01では、搬送装置は、上流において、被搬送物の表面情報を検出する。具体的には、図10に示す例では、搬送装置は、センサデバイスSENK1の光センサOSにおいて、被搬送物のパターンを撮像して第1画像データを出力する。
【0106】
ステップSP02では、搬送装置は、下流において、被搬送物の表面情報を検出する。具体的には、図10に示す例では、搬送装置は、センサデバイスSENK2の光センサOSにおいて、被搬送物のパターンを撮像して第2画像データを出力する。
【0107】
ステップSP03では、コントローラ520が、センサデバイスSENK1が検出した検出結果と、センサデバイスSENK2が検出した検出結果とに基づいて、相関演算を行う。この結果、コントローラ520は、センサデバイスSENK1の位置と、センサデバイスSENK2の位置の間において発生する被搬送物のずれ量を算出する。
【0108】
図示するように、ステップSP01乃至ステップSP03を繰り返すと、搬送装置は、複数のずれ量を取得できる。
【0109】
ステップSP04では、搬送装置は、被搬送物の姿勢を検出する。例えば、搬送装置は、複数のずれ量を平均する等によって、図11に示すように斜行成分ER1及び蛇行成分ER2を計算すると、被搬送物が斜行状態120A、蛇行状態120B又はこれら両方を含む姿勢であるか否か等を検出できる。
【0110】
なお、図示するような処理は、搬送装置がヘッドユニットによって被搬送物に対して処理を行っている間に行われてもよい。すなわち、被搬送物に対して画像形成中に、図示するような姿勢検出方法の各処理が行われてもよい。
【0111】
<制御部の構成例>
制御部の例であるコントローラ520(図2)は、例えば、以下に説明する構成である。
【0112】
図13は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、本体側制御装置72とで構成される。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、本体側制御装置72の制御によって被搬送物に対して画像を形成させるように制御する。
【0113】
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、本体側制御装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
【0114】
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。そして、制御データを受信すると、制御データが示す印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
【0115】
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
【0116】
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、本体側制御装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
【0117】
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。
【0118】
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD-C、70LD-M、70LD-Y及び70LD-K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
【0119】
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
【0120】
図14は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
【0121】
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD-Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
【0122】
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
【0123】
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
【0124】
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
【0125】
図15は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yとを有する。
【0126】
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
【0127】
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
【0128】
なお、本体側制御装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及び本体側制御装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
【0129】
以上、図4乃至図12のように処理を行うことにより、被搬送物の姿勢を検出することができる。
【0130】
<第1の変形例>
図16は、本発明の第1変形例の一実施形態に係る搬送装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cについての機能構成を例に説明する。図示するように、画像形成装置110は、例えば、第1検出部52Aと、第3検出部52Cと、第4検出部52Dと、姿勢検出部56Fと、計算部53Fとを備える機能構成である。また、画像形成装置110は、図示するように、移動部110F3と、制御部54Fとを更に備える機能構成であるのが望ましい。以下、図示する機能構成を例に説明する。
【0131】
まず、画像形成装置110は、シアン吐出位置PCより上流に、シアン用第1ローラCR1Cを備える。一方で、画像形成装置110は、シアン吐出位置PCより下流に、シアン用第2ローラCR2Cを備える。
【0132】
第1検出部52Aは、例えば、ブラック用第1ローラCR1K及びブラック用第2ローラCR2Kの間であるブラック用ローラ間INTK1で、ウェブ120の表面情報を検出する。第1検出部は、図2に示すセンサデバイスSENK1によって実現される。検出部の説明は、図6と同様であるため省略する。なお、第1検出部52Aは、センサデバイスSENK1である必要はなく、シアン用ローラ間に配置されたセンサデバイスSENC1よりも上流に配置されたセンサデバイスSENにより実現されても良い。
【0133】
第3検出部52Cは、シアン用第1ローラCR1CK及びシアン用第2ローラCR1C2の間であるシアン用ローラ間INTC1で、ウェブ120の表面情報を検出する。第3検出部52Cは、図2に示すセンサデバイスSENC1で実現される機能である。
【0134】
第4検出部52Dは、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cの間であるシアン用ローラ間INTC1であって、第3検出部より下流でウェブ120の表面情報を検出する。第4検出部52Dは、センサデバイスSENC2で実現される。
【0135】
計算部53Fは、図2に示すコントローラ520で実現される。計算部53Fは、第3検出部及び第4検出部の検出結果を相関演算し、直交方向におけるずれ量を算出する。ずれ量記憶部55F及び姿勢検出部56Fの機能は、図6と同様であるため説明は省略する。
【0136】
また、計算部53Fは、第1検出部52A及び第3検出部52Cの検出結果に対して相関演算を行う。図6で説明したように、計算部53Fは、どの程度ウェブが直交方向に移動したかを算出することができる。計算部53Fは、第1検出部52A及び第3検出部52Cの検出結果に基づく演算結果から、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの直交方向の移動量を算出することができる。
【0137】
また、計算部53Fは、図6で説明したように、搬送方向のウェブの移動量がどの程度理想の移動量L2からずれたかを算出することができる。つまり、計算部53Fは第1検出部52Aと第3検出部52Cの検出結果に基づく演算結果から、はシアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出タイミングを算出することができる。
【0138】
計算部53Fの計算結果に基づいて、移動部110F3は、後述するアクチュエータACTを制御し、シアンの液体の着弾位置を制御する。移動部57Fは、例えば後述するアクチュエータコントローラCTLによって構成される。移動部57Fの機能は、アクチュエータコントローラCTLだけでなく、コントローラ520とで構成されても良い。また、コントローラ520で構成されても良い。
【0139】
制御部54Fは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cによる吐出タイミングを制御する。
【0140】
図17は、本発明の一実施形態に係る搬送装置による被搬送物の位置等の検出例を示すタイミングチャートである。
【0141】
画像形成装置110は、複数のセンサデータに基づいて、被搬送物の位置の変動量等を算出する。具体的には、第1センサデータS1及び第2センサデータS2に基づいて、画像形成装置は、変動量を示す算出結果を出力する。なお、図示する検出では、第1検出結果、すなわち、上流における検出部が出力する検出結果を示すセンサデータが、第1センサデータS1となる。一方で、第3検出結果、すなわち、第1検出結果より下流の検出部が出力する検出結果を示すセンサデータが、第2センサデータS2となる。
【0142】
変動量は、例えば、液体吐出ヘッドユニットごとに算出される。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の変動量を算出する例で説明する。この例では、センサデバイスSENK1が第1検出結果を示す第1センサデータS1を出力し、一方で、センサデバイスSENC1が第2検出結果を示す第2センサデータS2を出力する。
【0143】
以下、センサデバイスSENK1と、センサデバイスSENC1に設置されるセンサとの間隔、すなわち、センサ間の距離が、「L2」であるとする。また、センサデータに基づいて検出される移動速度が、「V」であるとする。さらに、センサデバイスSENK1からセンサデバイスSENC2まで被搬送物が搬送されるのに経過する移動時間が「T2」であるとする。この場合には、移動時間は、「T2=L2/V」と算出される。
【0144】
また、センサによるサンプリング間隔を「A」とする。さらに、センサ間でのサンプリング回数を「n」とする。この場合には、サンプリング回数は、「n=T2/A」と算出される。
【0145】
図示する算出結果、すなわち、変動量を「ΔX」とする。例えば、図示するように、検出周期が「0」である場合には、変動量は、移動時間「T2」前の第1センサデータS1と、検出周期「0」の第2センサデータS2とを比較して算出される。具体的には、変動量は、「ΔX=X2(0)-X1(n)」と算出される。
【0146】
次に、画像形成装置110は、変動量「ΔX」を補償するように、アクチュエータを制御し、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを直交方向において、移動させる。このようにすると、被搬送物の位置が変動しても、画像形成装置110は、被搬送物に対して、精度良く処理を行うことができる。また、最上流のセンサとの2点間のセンサデータに基づいて、変動量を算出すると、各センサの位置情報を積算せずに、変動量が算出できる。そのため、このようにすると、各センサによる検出誤差の累積が少なくできる。
【0147】
また、センサデータは、移動させる液体吐出ヘッドユニットより1つ上流側に設置されるセンサによって検出される検出結果に限られない。すなわち、センサは、移動させる液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるセンサであればよい。
【0148】
なお、第2センサデータS2は、移動させる液体吐出ヘッドユニットに最も近い位置に設置されるセンサによる検出結果であるのが望ましい。
【0149】
また、変動量等は、3つ以上の検出結果によって算出されてもよい。
【0150】
このように、複数のセンサデータから算出される変動量に基づいて、画像形成装置110は、液体吐出ヘッドユニットを移動させる制御を行い、ウェブ120に対して処理を行う。
【0151】
液体吐出ヘッドユニットの吐出タイミングの制御、又は液体吐出ヘッドユニットの直交方向の位置の制御を行うために用いられるセンサデバイスのうち、第2センサデータS2を出力するセンサデバイスの検出位置は、各吐出位置に近い位置であることが望ましい。各吐出位置に近い位置で検出を行えると、処理位置と、センサとの距離が短くなる。そして、処理位置と、センサとの距離が短くなると、検出における誤差が少なくなる。そのため、画像形成装置110は、搬送方向、直交方向又は両方向において、精度良く位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等を検出できる。
【0152】
また、吐出タイミングの制御又は液体吐出ヘッドユニットの直交方向における位置の制御を行うために用いられるセンサデバイスのうち、第2センサデータS2を出力するセンサデバイスの検出位置は、各ローラ間において、吐出位置より第1ローラに近い位置であるのがより望ましい。すなわち、センサが設置される位置は、各吐出位置より上流であるのがより望ましい。
【0153】
例えば、センサデバイスSENC1は、シアン吐出位置PCから上流に向かってシアン用第1ローラCR1Cが設置される位置までの間(以下「シアン用上流区間INTC2」という。)であるのが望ましい。他の液体吐出ヘッドユニットも同様である。
【0154】
このような位置にセンサが設置されると、相関演算が各吐出位置より上流のセンサデバイスの検出結果に基づいて行われる。そのため、画像形成装置110は、まず、上流でセンサによって直交方向、搬送方向又は両方向において被搬送物の位置等を算出する。ゆえに、画像形成装置110は、各液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出する処理タイミング、ヘッドユニットを移動させる量又は両方を計算できる。
【0155】
すなわち、上流で被搬送物の位置等が検出された後に、ウェブ120が吐出位置へ搬送されるので、画像形成装置110は、ウェブ120が吐出位置へ搬送される間に、処理タイミングの算出又はヘッドユニットの移動等を行うことができる。そのため、画像形成装置110は、精度良く処理位置を変更することができる。
【0156】
一方で、第2センサデータを出力するセンサデバイスが設置される位置を各液体吐出ヘッドユニットの直下とすると、制御動作分の遅れ等によって、処理が行われる位置にずれが生じてしまう場合がある。したがって、第2センサデータを出力するセンサデバイスが設置される位置は、各吐出位置より上流であると、画像形成装置110は、ずれを少なくし、精度良く処理を行うことができる。また、各吐出位置の付近は、センサ等を設置する位置とするのに制約される場合がある。そのため、センサが設置される位置は、各吐出位置より第1ローラに近い位置であるのが望ましい。
【0157】
ただし、第2センサデータを出力するセンサデバイスが設置される位置は、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下等でもよい場合がある。センサが直下にあると、直下における正確な移動量が、センサによって検出できるという効果がある。例えば、制御動作等が速く行えるのであれば、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下により近い位置にあるのが望ましい場合がある。他にも、誤差が許容できるのであれば、センサの位置は、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下又は各第1ローラ及び各第2ローラの間であって、各液体吐出ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
【0158】
図18は、本発明の一実施形態に係る移動部を実現するためのハードウェア構成例を示す概略図である。例えば、移動部110F3は、図示するようなハードウェアによって実現される。以下、図示するように、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させるハードウェア構成例で説明する。
【0159】
まず、図示する例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させるリニアアクチュエータ等のアクチュエータACTが、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに設置される。そして、アクチュエータACTには、アクチュエータACTを制御するアクチュエータコントローラCTLが接続される。
【0160】
アクチュエータACTは、例えば、リニアアクチュエータ又はモータである。また、アクチュエータACTは、制御回路、電源回路及び機構部品等を有してもよい。
【0161】
アクチュエータコントローラCTLは、例えば、ドライバ回路等である。そして、アクチュエータコントローラCTLは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを位置制御する。
【0162】
アクチュエータコントローラCTLには、図17のように算出された変動量等が入力される。そして、アクチュエータコントローラCTLは、ウェブ120の位置の変動を補償するように、アクチュエータACTによって、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる。具体的には、図示する例では、複数の検出結果に基づく変動量は、変動「Δ」である。したがって、この例では、アクチュエータコントローラCTLは、変動Δを補償するように、直交方向20へシアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる。
【0163】
なお、移動部を実現するためのハードウェアは、コントローラ520等のハードウェアと一体であってもよいし、別々であってもよい。
【0164】
以上のように、移動部110F3があると、画像形成装置110は、第1検出結果及び第3検出結果に基づいて算出される被搬送物の直交方向における位置の変動量、すなわち、ずれ量を補償して被搬送物に精度良く処理を行うことができる。特に、画像形成装置110は、移動部110F3によって、画像形成中に、ずれ量を補償することができる。
【0165】
また、第3検出部を姿勢検出部で用いられる検出結果を検出する検出部と兼ねることにより、効率的にずれ量の補償を行うことができる。
【0166】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の構成に加えて、ヘッドユニットをヨー回転させるヘッドユニット回転制御部を更に備える構成である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
【0167】
図19は、本発明の第2実施形態の一実施形態に係る搬送装置によるヘッドユニットを回転制御する例を示す概念図である。以下、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを例に説明する。なお、図では、回転制御が行われる前(回転制御が行われる前は、斜行がない状態に合わせているとする。)のブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを「制御前ヘッドユニットHU1」と示す。一方で、図では、回転制御が行われた後のブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを「制御後ヘッドユニットHU2」と示す。
【0168】
また、制御前ヘッドユニットHU1によって、ブラックのインクが吐出され、液体が被搬送物に着弾する位置を「制御前着弾位置PK1」という。一方で、制御後ヘッドユニットHU2によって、ブラックのインクが吐出され、液体が被搬送物に着弾する位置を「制御後着弾位置PK2」という。
【0169】
さらに、センサデバイスSENK1における検出結果が示す位置の座標を(x1,y1)とし、センサデバイスSENK2における検出結果が示す位置の座標を(x2,y2)とする。また、センサデバイスSENK1と、センサデバイスSENK2とのセンサ間距離を「ΔLx」という。なお、センサ間距離ΔLxは、あらかじめセンサ間の距離を計測すると、特定できる。
【0170】
また、以下の説明では、ウェブ120は、図示するように、斜行状態120Aであるとする。そして、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kは、斜行状態120Aにおけるウェブ120の端部P0(以下単に「端部P0」という。)を中心に回転制御が行われるとする。
【0171】
まず、図12に示すような処理が行われると、姿勢の検出結果から、端部P0の位置である(P0x,P0y)が計算できる。具体的には、「P0y」は、斜行量等から特定できる。
【0172】
また、「y2」及び「y1」の差分を「yd」とすると、「yd」は、下記(4)式のような計算によって特定できる。

yd=y2-y1 (4)

なお、斜行がない状態のウェブ端と、斜行状態120Aのウェブ端とがなす角度を「θ」とすると、「yd」は、下記(5)式のような計算でも特定できる。

yd=ΔLx×tanθ (5)

また、「θ」は、例えば、下記(6)式を計算すると特定できる。

θ=tan-1(yd/ΔLx) (6)

そして、「P0y」は、下記(7)式のように示せる。

P0y=yd×(P0x/ΔLx)
=(y2-y1)×(P0x/ΔLx)
=(ΔLx×tanθ)×(P0x/ΔLx)
=P0x×tanθ (7)

斜行状態120Aのウェブに精度良く処理を行うには、画像形成装置110は、図示するように、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kをヨー回転RYさせる。
【0173】
したがって、第2実施形態では、画像形成装置110は、各ヘッドユニットをヨー回転RYさせる自由度のアクチュエータを備える。そして、画像形成装置110は、上記式で計算される「θ」分、制御前ヘッドユニットHU1をヨー回転RYさせて、制御後ヘッドユニットHU2にする。
【0174】
このようにヘッドユニットを回転させると、画像形成装置110は、制御前着弾位置PK2に処理を行うようにできる。図示するように、制御前着弾位置PK2は、斜行状態120Aのウェブ端に対してほぼ直交する。したがって、画像形成装置110は、図示するように、回転制御を行うと、斜行等が起きても、精度良く処理を行うことができる。
【0175】
なお、図示するような回転制御は、ヘッドユニットによって処理が行われていない間、例えば、ヘッドユニットによって処理が行われる前又はヘッドユニットによる処理が停止中等に行われるのが望ましい。一方で、姿勢の検出等は、ヘッドユニットによって処理が行われている間等に行われてもよい。
【0176】
また、回転制御に加えて、図18等のように、直交方向にヘッドユニットを移動させる制御が行われてもよい。
【0177】
<比較例>
図20は、第1比較例におけるハードウェア構成の一例を示す図である。図示する第1比較例は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出位置に搬送される前に、ウェブ120の位置を検出する。この比較例では、センサが設置される位置は、液体吐出ヘッドユニットの直下から上流に「200mm」となる位置である。この場合における検出結果に基づいて、第1比較例に係る画像形成装置は、液体吐出ヘッドユニットを動かして、ウェブ120の位置の変動を補償する。
【0178】
第1比較例は、液体吐出ヘッドユニットより200mm上流で検出される検出結果に基づいて変動が補償されるため、検出誤差が大きく、色ずれ等が起きやすい。また、第1比較例のような構成では、ヨー回転RYの自由度がないため、第1比較例は、図19に示すような回転制御を行うのは難しい構成である。
【0179】
<機能構成例>
図21は、本発明の第2実施形態の一実施形態に係る搬送装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。第1実施形態と比較すると、第2実施形態は、ヘッドユニット回転制御部110F4がある点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
【0180】
ヘッドユニット回転制御部110F4は、姿勢検出部56Fが検出する斜行量に基づいて、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを搬送方向10に対して垂直軸回り(すなわち、ヨー回転RYである。)に回転させる。例えば、ヘッドユニット回転制御部110F4は、ヨー回転RYの自由度を持つアクチュエータ等によって実現される。姿勢検出部56Fの機能は、図6で説明したものと同様であるため省略する。
【0181】
姿勢検出部56Fによって検出される斜行量に基づいて、画像形成装置110は、例えば、ヘッドユニットをヨー回転RYさせる。このようにすると、画像形成装置110は、斜行等が起きても、被搬送物に対して精度良く処理を行うことができる。
【0182】
<第3実施形態>
図22は、本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置の全体構成例を示す概略図である。第3実施形態は、第1実施形態の構成に、第2ローラを傾けるアクチュエータが加わる点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
【0183】
例えば、図示するように、ブラック用第2ローラCR2Kには、ブラック用アクチュエータRAKが設置される。同様に、シアン用第2ローラCR2Cには、シアン用アクチュエータRACが設置される。さらに、マゼンタ用第2ローラCR2Mには、マゼンタ用アクチュエータRAMが設置される。さらにまた、イエロー用第2ローラCR2Yには、イエロー用アクチュエータRAYが設置される。そして、各アクチュエータは、調整装置521等によって制御される。
【0184】
なお、調整装置521は、情報処理装置である。また、調整装置521は、コントローラ520等と一体であってもよい。一方で、調整装置521は、複数の装置でもよい。
【0185】
各アクチュエータは、例えば、調整装置521によって、以下のように制御される。
【0186】
図23は、本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置による支持部材の回転制御例を示す概略図である。以下、ブラック用第2ローラCR2Kを例に説明する。
【0187】
例えば、ブラック用アクチュエータRAKは、ブラック用第2ローラCR2Kの一端を垂直方向30において、上下させる自由度を有する。図示するように、ブラック用アクチュエータRAKがブラック用第2ローラCR2Kの一端を上下させると、ブラック用第2ローラCR2Kは、他端を中心にロール回転RRする。したがって、ブラック用アクチュエータRAKによって、画像形成装置110は、ブラック用第2ローラCR2Kの傾きを調整することができる。
【0188】
ブラック用第2ローラCR2Kの傾きが変わると、斜行量が変化する場合が多い。そこで、画像形成装置110は、調整装置521によって、ブラック用第2ローラCR2Kの傾きを変更して、斜行量が所定量より小さい値となるように調整する。
【0189】
なお、所定量は、あらかじめ設定される値である。また、斜行量は、例えば、図11に示すような検出方法によって検出される。
【0190】
なお、画像形成装置110は、ローラの一端以外の箇所を動かす制御を行ってもよい。すなわち、画像形成装置110は、支持部材をロール回転RRさせることができるのであれば、ローラのいずれの箇所を動かしてもよい。
【0191】
また、画像形成装置110は、第2の支持部材に限られず、第1の支持部材又は両方の支持部材を回転させる制御を行ってもよい。
【0192】
例えば、ウェブ120の掛け替え等が行われると、ウェブ120の姿勢は、変化しやすい。したがって、ウェブ120の掛け替え等の際に、画像形成装置110は、以下のような全体処理を行うのが望ましい。
【0193】
図24は、本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置による斜行補正の処理例を示すフローチャートである。以下、第1実施形態と同様の処理には、同一の符号を付し重複する説明を省略する。第1実施形態と比較すると、第3実施形態では、ステップSP31乃至ステップSP36の処理が加わる点が異なる。
【0194】
ステップSP31では、画像形成装置110は、調整を行うか否かを判断する。例えば、ウェブ120の掛け替え等の際に、調整モードとして、画像形成装置110は、ウェブ120を搬送する。したがって、この例では、調整モードと設定されていると、画像形成装置110は、調整を行うと判断し(ステップSP31でYES)、ステップSP32に進む。一方で、調整モードと設定されていないと、画像形成装置110は、調整を行わないと判断し(ステップSP31でNO)、処理を終了する。
【0195】
ステップSP32では、画像形成装置110は、タイマをスタートさせる。すなわち、画像形成装置110は、調整モードとなってから経過した時間(以下単に「経過時間」という。)の計測を開始する。
【0196】
ステップSP01乃至ステップSP04が行われると、図14に示すような処理によって、ウェブ120の姿勢及び斜行量等が検出される。
【0197】
ステップSP33では、画像形成装置110は、斜行量が所定量以下であるか否かを判断する。次に、斜行量が所定量以下であると(ステップSP33でYES)、画像形成装置110は、処理を終了する。この場合は、斜行量が十分に小さい場合であるため、調整が不要な場合等である。一方で、斜行量が所定量以下でないと(ステップSP33でNO)、画像形成装置110は、ステップSP34に進む。
【0198】
ステップSP34では、画像形成装置110は、経過時間が所定時間以内であるか否かを判断する。所定時間は、あらかじめ設定される時間である。例えば、所定時間は、「5分」等のように設定される。そして、画像形成装置110は、経過時間と、所定時間とを比較して、経過時間が所定時間以内であると(ステップSP34でYES)、ステップSP35に進む。一方で、画像形成装置110は、経過時間が所定時間以内でないと判断すると(ステップSP34でNO)、ステップSP36に進む。
【0199】
ステップS35では、画像形成装置110は、支持部材を傾ける制御を行う。すなわち、画像形成装置110は、ステップSP04で検出される斜行量に基づいて、例えば、図27に示すように支持部材を傾ける制御を行う。このようにして、画像形成装置110は、斜行量が小さい値になるように支持部材を傾ける制御を行う。
【0200】
ステップS36では、画像形成装置110は、エラー処理を行う。例えば、画像形成装置110は、ユーザにエラーメッセージを送信する等によって、エラーが起きていることをユーザに通知する。ステップS36は、いわゆるタイムオーバとなった場合に行われる処理である。
【0201】
以上のような処理が行われると、斜行量が小さい値となる。したがって、画像形成装置110は、斜行が少ない状態で画像形成等の処理を行うことができる。ゆえに、画像形成装置110は、被搬送物に精度良く処理を行うことができる。
【0202】
<機能構成例>
図25は、本発明の第3実施形態の一実施形態に係る搬送装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。第1実施形態と比較すると、第3実施形態は、支持部材回転制御部110F5がある点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明を省略する。
【0203】
支持部材回転制御部110F5は、姿勢検出部56Fが検出する斜行量に基づいて、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを搬送方向10に対して進行軸回り(すなわち、ロール回転RRである。)に回転させる。例えば、支持部材回転制御部110F5は、図23に示すようなロール回転RRの自由度を持つアクチュエータ等によって実現される。姿勢検出部56Fの機能は、図6で説明したものと同様であるため省略する。
姿勢検出部56Fによって検出される斜行量に基づいて、画像形成装置110は、例えば、第2の支持部材等をロール回転RRさせる。このようにすると、画像形成装置110は、斜行量を小さい値にして、被搬送物に対して精度良く処理を行うことができる。
【0204】
<変形例>
図26は、本発明の一実施形態に係る搬送装置の全体構成の変形例を示す概略図である。図2と比較すると、図示する構成では、第1の支持部材及び第2の支持部材の配置が異なる。図示するように、第1の支持部材及び第2の支持部材は、例えば、第1部材RL1、第2部材RL2、第3部材RL3、第4部材RL4及び第5部材RL5によって実現されてもよい。すなわち、各液体吐出ヘッドユニットの上流側に設けられる第2の支持部材と、各液体吐出ヘッドユニットの下流側に設けられる第1の支持部材とは、兼用されてもよい。なお、第1の支持部材及び第2の支持部材は、ローラで兼ねられてもよく、湾曲板で兼ねられてもよい。
【0205】
また、本発明は、直交方向に並べられたライン状のヘッドユニットを用いて何らかの処理を行う装置に適用可能である。
【0206】
例えば、本発明に係る実施形態は、ヘッドユニットがレーザを発し、レーザによって、被搬送物である基板に、パターンニングの処理を行う搬送装置等でもよい。具体的には、搬送装置は、まず、レーザヘッドを直交方向にライン状に並べて有する。そして、搬送装置は、基板の位置等を検出し、検出結果に基づいて、ヘッドユニットを移動させる等を行う。また、この例では、処理位置は、レーザが基板に照射される位置が処理位置となる。
【0207】
他に、本発明に係る実施形態は、ヘッドユニットが被搬送物に形成されている画像を読み取る読取処理を行うでもよい。すなわち、ヘッドユニットが、いわゆるスキャナ等であると、ヘッドユニットは、被搬送物に形成されている画像を読み取り、画像データを生成することができる。この例では、ヘッドユニットが被搬送物に形成されている画像を読み取る位置が処理位置となる。
【0208】
さらに、搬送装置が有するヘッドユニットは、複数でなくともよい。すなわち、被搬送物に対して、基準となる位置に、処理を行い続ける等の場合には、本発明は、適用可能である。
【0209】
<その他の実施形態>
なお、光源は、レーザ光を用いるものに限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro-Luminescence)等でもよい。そして、光源によっては、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。
【0210】
また、光源は、単一の波長を持つ光源でも、ブロードな波長を持つ光源でもよい。
【0211】
上記の実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色の液体吐出ヘッドユニットを用いて画像形成を行う画像形成装置を例として説明を行った。しかしながら、画像形成装置は、例えばブラックの液体吐出ヘッドユニットを複数備え、画像形成を行う構成であっても良い。
【0212】
さらに被搬送物は、用紙等の記録媒体に限られない。被搬送物は、液体が付着可能な材質であればよい。例えば、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0213】
なお、実施形態は、1以上の装置を有する搬送システムによって実現されてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが同じ筐体の装置であり、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが同じ筐体の装置であり、この両者を有する搬送システムによって実現されても良い。
【0214】
また、各処理は、搬送システムが有する複数の情報処理装置によって、並列、冗長又は分散して行われてもよい。
【0215】
また、本発明に係る搬送装置、搬送装置を備える液体吐出装置及び搬送システムでは、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る搬送装置、搬送装置を備える液体吐出装置及び搬送システムは、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
【0216】
したがって、本発明に係る搬送装置、搬送装置を備える液体吐出装置及び搬送システムは、画像を形成する処理を行うに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
【0217】
また、本発明に係る実施形態では、搬送装置、搬送装置を備える液体吐出装置及び搬送システム等のコンピュータに姿勢検出方法を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。したがって、プログラムに基づいて姿勢検出方法が実行されると、コンピュータが有する演算装置及び制御装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて演算及び制御を行う。また、コンピュータが有する記憶装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて、処理に用いられるデータを記憶する。
【0218】
また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されて頒布することができる。なお、記録媒体は、磁気テープ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク又は磁気ディスク等のメディアである。さらに、プログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
【0219】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0220】
110 画像形成装置
120 ウェブ
210K ブラック液体吐出ヘッドユニット
210C シアン液体吐出ヘッドユニット
210M マゼンタ液体吐出ヘッドユニット
210Y イエロー液体吐出ヘッドユニット
520 コントローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0221】
【文献】特開2015-13476号公報
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