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特許7067112情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び画像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220509BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
B41J29/38 501
H04N1/00 E
H04N1/00 127B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018029442
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019142136
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 勇二
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-010211(JP,A)
【文献】特開平07-132666(JP,A)
【文献】特開平06-024100(JP,A)
【文献】特開2013-067030(JP,A)
【文献】特開2017-114121(JP,A)
【文献】特開平11-151837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0085203(US,A1)
【文献】特開2004-139414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続されるホスト装置から印刷ジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理した画像データを生成し、生成した画像データを所定の記憶領域に格納する画像データ生成手段と、
前記記憶領域に格納されている画像データを、ネットワークを介して接続される印刷装置に送信する送信手段と、
前記画像データの受信が完了したことを示す第1の通知を前記印刷装置から受信した場合、前記画像データが印刷された記録媒体の排紙が完了したことを示す第2の通知を前記印刷装置から受信する前に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する削除手段と、
を有し、
前記削除手段は、
前記第1の通知を前記印刷装置から受信した場合であって、かつ、記録媒体の給紙を開始したことを示す第3の通知を前記印刷装置から受信した場合に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記画像データ生成手段は、
前記画像データが印刷される記録媒体の印刷面を識別するシートID毎に、該印刷面に印刷される画像データを生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像データが印刷された記録媒体が排紙された場合、該排紙された記録媒体の印刷面のシートIDを保持する排紙シートID管理手段を有し、
前記画像データ生成手段は、
前記画像データが印刷された記録媒体が排紙できなかったことを示す第の通知を前記印刷装置から受信した場合、前記排紙シートID管理手段が保持しているシートIDの次のシートIDから、該次のシートIDによって識別される記録媒体に印刷される画像データを生成する、ことを特徴する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ネットワークを介して接続されるホスト装置から印刷ジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理した画像データを生成し、生成した画像データを所定の記憶領域に格納する画像データ生成手段と、
前記記憶領域に格納されている画像データを、ネットワークを介して接続される印刷装置に送信する送信手段と、
前記画像データの受信が完了したことを示す第1の通知を前記印刷装置から受信した場合、前記画像データが印刷された記録媒体の排紙が完了したことを示す第2の通知を前記印刷装置から受信する前に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する削除手段と、
を有し、
前記削除手段は、
前記第1の通知を受信する度に、該第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
ネットワークを介して接続されるホスト装置から印刷ジョブを受信する受信手順と、
前記受信手順により受信した印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理した画像データを生成し、生成した画像データを所定の記憶領域に格納する画像データ生成手順と、
前記記憶領域に格納されている画像データを、ネットワークを介して接続される印刷装置に送信する送信手順と、
前記画像データの受信が完了したことを示す第1の通知を前記印刷装置から受信した場合、前記画像データが印刷された記録媒体の排紙が完了したことを示す第2の通知を前記印刷装置から受信する前に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する削除手順と、
をコンピュータが実行し、
前記削除手順は、
前記第1の通知を前記印刷装置から受信した場合であって、かつ、記録媒体の給紙を開始したことを示す第3の通知を前記印刷装置から受信した場合に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する、ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
ネットワークを介して接続されるホスト装置から印刷ジョブを受信する受信手順と、
前記受信手順により受信した印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理した画像データを生成し、生成した画像データを所定の記憶領域に格納する画像データ生成手順と、
前記記憶領域に格納されている画像データを、ネットワークを介して接続される印刷装置に送信する送信手順と、
前記画像データの受信が完了したことを示す第1の通知を前記印刷装置から受信した場合、前記画像データが印刷された記録媒体の排紙が完了したことを示す第2の通知を前記印刷装置から受信する前に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する削除手順と、
をコンピュータに実行させ
前記削除手順は、
前記第1の通知を前記印刷装置から受信した場合であって、かつ、記録媒体の給紙を開始したことを示す第3の通知を前記印刷装置から受信した場合に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する、ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
画像処理エンジンを有する画像処理装置であって、
ネットワークを介して接続されるホスト装置から印刷ジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理した画像データを生成し、生成した画像データを所定の記憶領域に格納する画像データ生成手段と、
前記記憶領域に格納されている画像データを、前記画像処理エンジンに送信する送信手段と、
前記画像データの受信が完了したことを示す第1の通知を前記画像処理エンジンから受信した場合、前記画像データが印刷された記録媒体の排紙が完了したことを示す第2の通知を前記画像処理エンジンから受信する前に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する削除手段と、
を有し、
前記削除手段は、
前記第1の通知を前記画像処理エンジンから受信した場合であって、かつ、記録媒体の給紙を開始したことを示す第3の通知を前記画像処理エンジンから受信した場合に、前記第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する、ことを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)等のホスト装置と、ホスト装置からの印刷要求に基づくラスタライズ処理を行って画像データを生成する外部コントローラと、外部コントローラからの画像データを記録媒体に印刷する印刷装置とが含まれる印刷システムが従来から知られている。このような外部コントローラでは、例えば、印刷装置で発生したジャム等に伴う再印刷(これは「リカバリ印刷」とも称される。)に備えて、画像データが記録媒体に印刷された印刷物が排紙されるまで、当該画像データをバッファメモリ上に保持している。
【0003】
また、プリンタに送信する印刷データを保存するホスト装置において、排紙が終了したか否かをプリンタに問い合わせて、プリンタでの排紙が終了した場合に、保存している印刷データを消去する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、外部コントローラは、印刷装置における高速な連続印刷処理に追従するために、印刷処理に先立って、画像データを印刷装置に連続して供給する必要がある。
【0005】
他方で、例えばページサイズの大きな画像を大量に印刷する印刷要求が行われた場合、外部コントローラは、ページサイズの大きな画像データを大量にバッファメモリ上に保持しておく必要があり、バッファメモリの記憶容量が上限に達することがある。このような場合、外部コントローラは、ラスタライズ処理を行えないため、バッファメモリに空き容量ができるまで待つ必要がある。
【0006】
したがって、外部コントローラは、画像データを印刷装置に連続して供給することができなくなり、印刷装置における印刷処理にも待ち時間が発生してしまう場合があった。このため、印刷物の生産性が低下する場合がった。なお、印刷処理の待ち時間は「間欠区間」とも称される。
【0007】
本発明の実施の形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、印刷物の生産性の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の実施の形態は、ネットワークを介して接続されるホスト装置から印刷ジョブを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理した画像データを生成し、生成した画像データを所定の記憶領域に格納する画像データ生成手段と、前記記憶領域に格納されている画像データを、ネットワークを介して接続される印刷装置に送信する送信手段と、前記画像データの受信が完了したことを示す第1の通知を前記印刷装置から受信した場合、該第1の通知に対応する画像データを前記記憶領域から削除する削除手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
印刷物の生産性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る印刷システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る印刷制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る印刷装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る印刷システムにおけるバッファメモリの解放タイミングを説明するための図である。
図5】本実施形態に係る印刷システムの機能構成の一例を示す図である。
図6】シート管理データの一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る印刷制御装置が画像データを生成及び格納する処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る印刷実行処理の一例を示すシーケンス図である。
図9】本実施形態に係る印刷制御装置が各種通知を受信した場合の処理の一例を示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係る印刷制御装置が各種通知を受信した場合の処理の他の例を示すフローチャートである。
図11】排紙完了通知の受信時に画像データを破棄する場合と画像データ受信完了通知の受信時に画像データを破棄する場合との比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<全体構成>
まず、本実施形態に係る印刷システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る印刷システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る印刷システム1には、1台以上のホスト装置10と、印刷制御装置20と、印刷装置30とが含まれる。ホスト装置10と印刷制御装置20とは、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続されている。また、印刷制御装置20と印刷装置30とは、例えば専用線等の通信線を介して通信可能に接続されている。
【0014】
ただし、ホスト装置10と印刷制御装置20との間は、LANに限られず、任意の通信規格を用いて接続されていても良い。また、ホスト装置10と印刷制御装置20との間の接続は、有線又は無線のいずれであっても良いし、有線及び無線の両方が混在していても良い。更に、印刷制御装置20と印刷装置30との間は、専用線等に限られず、例えばLAN等のネットワークを介して通信可能に接続されていても良い。
【0015】
ホスト装置10は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)等である。ホスト装置10には、印刷対象となる文書や画像等(これら印刷対象となる文書や画像等を「印刷対象データ」とも表す。)を作成するためのアプリケーションが搭載されている。ホスト装置10は、当該アプリケーションにおける印刷設定操作及び印刷指示操作等に応じて、任意のPDL(Page Description Language)によって記述された印刷データと、印刷設定情報とが含まれる印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを印刷制御装置20に送信する。なお、印刷データには、例えば、文字や図形等の描画命令、これらの文字や図形等の属性、ページ内での描画位置、縮尺等がPDLによって記述されている。また、印刷設定情報には、例えば、ユーザにより指定された各種印刷設定(例えば、両面/片面、N-up印刷(又は割付印刷)、カラー/モノクロ等)を示す情報、印刷物を出力する排紙トレイやスタッカ等を示す情報、印刷部数を示す情報等が含まれる。
【0016】
なお、ホスト装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、電子黒板装置等の各種の情報処理装置であっても良い。
【0017】
印刷制御装置20は、例えばDFE(Digital Front End)等の外部コントローラである。印刷制御装置20は、ホスト装置10から印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタライズ処理して、ラスタイメージ形式の画像データを生成する。以降では、単に「画像データ」と表した場合は、印刷データをラスタライズ処理して生成した画像データ(つまり、ラスタイメージ形式の画像データ)であるものとする。なお、ラスタライズ処理は、RIP(Raster Image Processor)処理とも称される。
【0018】
そして、印刷制御装置20は、生成した画像データをバッファメモリに格納した上で、印刷設定情報が含まれる印刷指示を印刷装置30に送信する。その後、印刷制御装置20は、印刷装置30からの要求に応じて、当該画像データを印刷装置30に送信する。これにより、印刷装置30では、印刷設定情報に従って、画像データ(より正確には、画像データが表す画像)が記録媒体に印刷される。
【0019】
印刷装置30は、プロッタ等の画像処理エンジンが搭載された画像処理装置である。印刷装置30は、印刷制御装置20から受信した印刷設定情報に従って、画像データを記録媒体に印刷する。これにより、画像データが記録媒体上に印刷された印刷物が作成及び出力される。なお、記録媒体は、紙に限られない。記録媒体としては、例えば、コート紙、厚紙、OHT(Overhead Projector)シート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等であっても良い。
【0020】
なお、図1に示す印刷システム1の全体構成は一例であって、他の構成であっても良い。例えば、印刷制御装置20と印刷装置30とが1対1に接続されている場合に限られず、1台の印刷制御装置20に対して複数台の印刷装置30が接続されていても良い。また、印刷制御装置20と印刷装置30とが1台の画像処理装置40で実現されていても良い。
【0021】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る印刷システム1に含まれる印刷制御装置20及び印刷装置30のハードウェア構成について説明する。
【0022】
≪印刷制御装置20≫
以降では、本実施形態に係る印刷制御装置20のハードウェア構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る印刷制御装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態に係る印刷制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、補助記憶装置24とを有する。また、本実施形態に係る印刷制御装置20は、通信I/F25と、入力装置26と、表示装置27と、専用I/F28とを有する。これら各ハードウェアは、バス29により相互に通信可能に接続されている。
【0024】
入力装置26は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等であり、各種操作を入力するのに用いられる。表示装置27は、ディスプレイ等であり、各種の処理結果を表示する。なお、印刷制御装置20は、入力装置26及び表示装置27のうちの少なくとも一方を有していなくても良い。
【0025】
RAM23は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM22は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。
【0026】
補助記憶装置24は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置24に格納されるプログラムやデータには、印刷制御装置20全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、OS上で動作する各種アプリケーション、本実施形態を実現するプログラム等がある。
【0027】
CPU21は、例えば補助記憶装置24やROM22等からプログラムやデータをRAM23上に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。通信I/F25は、ホスト装置10との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。印刷制御装置20は、通信I/F25を介して、ホスト装置10から印刷ジョブ等を受信することができる。
【0028】
専用I/F28は、印刷装置30との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。印刷制御装置20は、専用I/F28を介して、画像データや印刷設定等を印刷装置30に送信することができる。
【0029】
本実施形態に係る印刷制御装置20は、図2に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。
【0030】
なお、ホスト装置10は、専用I/F28を有しない点を除けば、印刷制御装置20と同様のハードウェア構成を有する。
【0031】
≪印刷装置30≫
以降では、本実施形態に係る印刷装置30のハードウェア構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る印刷装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0032】
図3に示すように、本実施形態に係る印刷装置30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、補助記憶装置34と、通信I/F35と、操作パネル36と、専用I/F37と、プロッタ38とを有する。これら各ハードウェアは、バス39により相互に通信可能に接続されている。
【0033】
操作パネル36は、ユーザの入力操作を受け付ける入力部と、ユーザに対して各種画面等を表示する表示部とを備えるユーザインタフェースである。
【0034】
RAM33は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM32は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。
【0035】
補助記憶装置34は、例えば、HDDやSSD等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置34に格納されるプログラムやデータには、印刷装置30全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、OS上で動作する各種アプリケーション、本実施形態を実現するプログラム等がある。
【0036】
CPU31は、例えば補助記憶装置34やROM32等からプログラムやデータをRAM33上に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。通信I/F35は、他の装置等との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。専用I/F37は、印刷制御装置20との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。印刷装置30は、専用I/F37を介して、印刷制御装置20から画像データや印刷設定情報等を受信することができる。プロッタ38は、画像データを記録媒体上に印刷する画像処理エンジンである。
【0037】
本実施形態に係る印刷装置30は、図3に示すハードウェア構成を有することにより、後述する各種処理を実現することができる。
【0038】
<バッファメモリの解放タイミング>
ここで、上述したように、画像データは、印刷制御装置20が有するバッファメモリに格納される。そこで、以降では、バッファメモリから画像データを削除(破棄)して、当該バッファメモリの記憶領域を解放するタイミングについて、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る印刷システム1におけるバッファメモリの解放タイミングを説明するための図である。
【0039】
以降では、一例として、1つのシートに対して、1ページ分の画像を示す画像データを印刷するものとし、各画像データのデータ容量が同じであるものとする。また、印刷制御装置20が有するバッファメモリ210には、最大で4つ画像データが格納可能であるものとする。
【0040】
なお、シートとは、1枚の記録媒体のことである。また、1つのシートに対して印刷される画像データは、最大で2つであり、印刷設定によって異なる。例えば、印刷設定として片面印刷が指定されている場合は、1つのシートに対し1つの画像データが印刷される。一方で、例えば、印刷設定として両面印刷が指定されている場合は、1つのシートに対して2つの画像データが印刷される。更に、1つの画像データが示す画像のページ数も印刷設定によって異なる。例えば、印刷設定としてN-up印刷が指定されている場合、1つの画像データは、Nページ分の画像を示す画像データとなる。
【0041】
図4では、シート1~シート3の印刷処理が行われ、シート1及びシート2に画像データが印刷された印刷物が排紙済みである一方、シート3に画像データが印刷された印刷物は未排紙である様子を表している。また、バッファメモリ210には、画像データ(ページ4)から画像データ(ページ7)までが格納されているものとする。
【0042】
このとき、印刷制御装置20は、印刷装置30からの要求に応じて、バッファメモリ210に格納されている画像データを印刷装置30に送信する。すなわち、印刷制御装置20は、印刷装置30からの要求に応じて、画像データ(ページ4)を印刷装置30に送信する。そして、印刷制御装置20は、当該画像データ(ページ4)の受信完了通知を印刷装置30から受信した場合、当該画像データ(ページ4)をバッファメモリ210から削除(破棄)する。これにより、バッファメモリ210における画像データ(ページ4)の記憶領域が解放される。したがって、印刷制御装置20は、次の画像データである画像データ(ページ8)を生成し、バッファメモリ210に格納することができるようになる。
【0043】
以降も同様に、印刷制御装置20は、画像データ(ページ5)を印刷装置30に送信した後、当該画像データ(ページ5)の受信完了通知を印刷装置30から受信した場合、当該画像データ(ページ5)をバッファメモリ210から破棄する。
【0044】
このように、本実施形態に係る印刷制御装置20は、当該画像データが印刷された記録媒体(すなわち、印刷物)が排紙される前に当該画像データをバッファメモリ210から破棄する。これにより、本実施形態に係る印刷制御装置20では、画像データをバッファメモリ210上に保持しておく時間が短くなるため、間欠区間の発生頻度を低減させることができると共に、間欠区間の期間を短くさせることができる。
【0045】
なお、例えば、印刷装置30でジャム等が発生し、リカバリ印刷が必要となった場合、印刷制御装置20は、排紙が完了したシート(図4に示す例ではシート2)の次のシート(図4に示す例ではシート3)から画像データを再生成する。画像データの再生成には、既存技術が用いられる。例えば、印刷データがページの途中から印刷が可能なデータ形式(例えば、PDF(Portable Document Format)等)である場合は、シート3に印刷される画像データ(ページ3)から画像データが順に生成される。一方で、例えば、印刷データが先頭ページから順にラスタライズ処理する必要があるデータ形式(例えば、PostScript等)である場合、ページ1及びページ2のラスタライズ処理を順にスキップされた後に、画像データ(ページ3)から画像データが順に生成される。
【0046】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る印刷システム1に含まれる印刷制御装置20及び印刷装置30の機能構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る印刷システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0047】
≪印刷制御装置20≫
図5に示すように、本実施形態に係る印刷制御装置20は、第1の受信部201と、シート管理データ作成部202と、画像データ生成部203と、印刷指示部204とを有する。また、本実施形態に係る印刷制御装置20は、画像データ送信部205と、第2の受信部206と、排紙完了シートID管理部207と、領域解放部208とを有する。これら各部は、印刷制御装置20にインストールされた1以上のプログラムがCPU21に実行させる処理により実現される。
【0048】
更に、本実施形態に係る印刷制御装置20は、バッファメモリ210を有する。バッファメモリ210は、例えば、補助記憶装置24を用いて実現可能である。
【0049】
第1の受信部201は、ホスト装置10で生成された印刷ジョブを受信する。シート管理データ作成部202は、第1の受信部201により受信された印刷ジョブに基づいて、シート毎に、シート管理データ1000を作成する。シート管理データ1000とは、シート単位で、当該シート上に印刷される画像及びページに関する情報等を管理するデータである。
【0050】
ここで、シート管理データ1000の一例を図6に示す。図6は、シート管理データ1000の一例を示す図である。
【0051】
図6に示すように、シート管理データ1000には、シートID、画像ID及びページID等が含まれる。シートIDとは、シートを識別する識別情報である。画像IDとは、画像データ生成部203により生成された画像データを識別する識別情報である。ページIDとは、ページを識別する識別情報である。
【0052】
例えば、図6に示すシート管理データ1000には、シートID「sheet001」と、画像ID「image001」と、ページID「page001」とが対応付けられている。これは、シートID「sheet001」のシート上には、画像ID「image001」の画像データが印刷され、この画像データが示す画像はページID「page001」のページであることを示している。
【0053】
なお、図6に示す例は、1つのシート上に1ページ分の画像データが印刷される場合のシート管理データ1000である。例えば、印刷設定として両面印刷が指定されている場合、シート管理データ1000には、1つのシートIDと、2つの画像IDと、これらの画像IDにそれぞれ対応付けられた2つのページIDが含まれる。また、例えば、片面印刷とN-up印刷(又は割付印刷)とが指定されている場合、シート管理データ1000には、1つのシートIDと、1つの画像IDと、この画像IDに対応付けられたNページ分のページIDとが含まれることになる。
【0054】
また、図6に示すシート管理データ1000には、シートID、ページID及び画像ID以外にも、例えば、当該画像IDの画像データの格納先(すなわち、バッファメモリ210の格納先)が含まれていても良い。
【0055】
このように、シート管理データ1000では、シート毎に、当該シートに印刷される画像データの画像IDと、当該画像データが示す画像上に配置されるページのページIDとが対応付けて管理されている。
【0056】
図5に戻る。画像データ生成部203は、バッファメモリ210に空き領域が存在する場合、第1の受信部201により受信された印刷ジョブに基づいて、画像データを生成し、生成した画像データをバッファメモリ210に格納する。また、このとき、画像データ生成部203は、画像データの画像ID及びページIDを生成した上で、該当のシート管理データ1000に対して、当該画像IDと当該ページIDとを対応付けて記憶させる。
【0057】
一方で、画像データ生成部203は、バッファメモリ210に空き領域が存在しない場合、バッファメモリ210に空き領域ができるまで待機した上で、画像データを生成し、生成した画像データをバッファメモリ210に格納する。
【0058】
なお、画像データと画像IDとを対応付けは、例えば、画像データと当該画像データの画像IDとが対応付けられてバッファメモリ210に格納されていても良いし、シート管理データ1000で画像IDと当該画像IDの画像データの格納先とが対応付けられていても良い。
【0059】
印刷指示部204は、シート毎に、当該シートに印刷される画像データの画像ID等を指定した印刷指示を印刷装置30に送信する。画像データ送信部205は、印刷装置30からの要求に応じて、当該要求に含まれる画像IDの画像データをバッファメモリ210から読み出して、当該画像データを、要求元の印刷装置30に送信する。
【0060】
第2の受信部206は、印刷装置30からの各種通知や要求等を受信する。ここで、印刷装置30からの各種通知には、画像データ受信完了通知、排紙完了通知、ジャム発生通知等が存在する。画像データ受信完了通知とは、印刷装置30が画像データの受信を完了したことを示す通知である。排紙完了通知とは、印刷装置30が印刷物の排紙を完了したことを示す通知である。ジャム発生通知とは、印刷装置30でジャム(用紙詰まり)が発生したことを示す通知である。なお、これら以外にも、各種通知には、例えば、用紙切れを示す通知や何らかの故障が発生したことを示す通知等、種々の通知が存在する。
【0061】
また、印刷装置30からの要求には、画像データの送信要求等が存在する。画像データの送信要求とは、印刷制御装置20に対して画像データの送信を依頼することを示す要求である。
【0062】
排紙完了シートID管理部207は、第2の受信部206により排紙完了通知が受信された場合、排紙が完了したシートのシートIDを、排紙完了シートID2000として管理する。排紙完了シートID2000は、排紙が完了したシートのうち、最後のシートのシートIDのことである。ただし、排紙完了シートID2000は、例えば、排紙が完了した全てのシートのシートIDが含まれる情報であっても良い。なお、排紙完了シートID2000は、例えば、補助記憶装置24やRAM23等に記憶される。
【0063】
領域解放部208は、第2の受信部206により画像データ受信完了通知が受信された場合、バッファメモリ210に格納されている画像データのうち、該当の画像データを削除(破棄)する。これにより、バッファメモリ210における当該画像データの記憶領域が解放される。
【0064】
また、領域解放部208は、第2の受信部206によりジャム発生通知が受信された場合、バッファメモリ210に格納されている全ての画像データを削除(破棄)する。このように、ジャムが発生した場合は、領域解放部208は、バッファメモリ210に格納されている全ての画像データを破棄する。その後、画像データ生成部203により、排紙完了シートIDが示すシートの次のシートから画像データが再生成される。
【0065】
≪印刷装置30≫
図5に示すように、本実施形態に係る印刷装置30は、受信部301と、印刷処理部302と、送信部303とを有する。これら各部は、印刷装置30にインストールされた1以上のプログラムがCPU31に実行させる処理により実現される。
【0066】
受信部301は、印刷制御装置20からの印刷指示や画像データ等を受信する。印刷処理部302は、印刷制御装置20からの印刷指示に応じて、画像データの印刷処理を行う。送信部303は、画像データの送信要求や各種通知等を印刷制御装置に送信する。
【0067】
<処理の詳細>
以降では、本実施形態に係る印刷システム1の処理の詳細について説明する。
【0068】
≪画像データを生成及び格納する処理≫
まず、印刷制御装置20が画像データを生成し、生成した画像データをバッファメモリ210に格納する処理について、図7を参照しながら説明する。図7は、本実施形態に係る印刷制御装置20が画像データを生成及び格納する処理の一例を示すフローチャートである。
【0069】
第1の受信部201は、ホスト装置10で生成された印刷ジョブを受信する(ステップS101)。なお、印刷ジョブには、印刷データと、印刷設定情報とが含まれる。
【0070】
以降のステップS102~ステップS105の処理は、シート毎に実行される。例えば、シート数をMとした場合、シート1,・・・,シートm,・・・,シートMの順に繰り返し実行される。ただし、複数のシートに対して、ステップS102~ステップS105の処理が並列で実行されても良い。
【0071】
なお、シート数Mは、印刷データ及び印刷設定情報によって決定される。例えば、印刷データに含まれるページ数が10ページであり、かつ、印刷設定情報にN-up印刷が設定されていることを示す情報が含まれない場合、1つのシートには1ページが配置されるため、シート数Mは「10」となる。一方で、例えば、印刷データに含まれるページ数が10ページであり、かつ、印刷設定情報に2-up印刷が設定されていることを示す情報が含まれる場合、1つのシートには2ページが配置されるため、シート数Mは「5」となる。
【0072】
本実施形態では、一例として、印刷設定情報に「片面」が設定されていると共に、N-up印刷は設定されていないものとして説明する。したがって、本実施形態では、1つのシートには、1つの画像データが印刷され、この画像データが示す画像は1ページ分の画像である。
【0073】
シート管理データ作成部202は、第1の受信部201により受信された印刷ジョブに基づいて、該当のシート(以降では、「シートm」とする。)のシート管理データ1000を作成する(ステップS102)。このシート管理データ1000には、シートmのシートIDが含まれる。なお、画像ID及びページIDには、例えばブランク又は空値が設定される。
【0074】
次に、画像データ生成部203は、バッファメモリ210に空き領域が存在するか否かを判定する(ステップS103)。
【0075】
ステップS103において、バッファメモリ210に空き領域が存在すると判定した場合、画像データ生成部203は、印刷ジョブに含まれる印刷データ及び印刷設定情報に基づいて、シート管理データ1000に含まれるシートIDのシート上に印刷される画像データを生成する。そして、画像データ生成部203は、生成した画像データをバッファメモリ210に格納する(ステップS104)。
【0076】
例えば、上記のステップS102で作成されたシート管理データ1000に含まれるシートIDが「sheet001」である場合、画像データ生成部203は、シートIDが「sheet001」のシート上に印刷される1ページ分の画像を示す画像データを生成する。
【0077】
また、このとき、画像データ生成部203は、生成した画像データの画像ID及びページIDを生成し、シート管理データ1000に含まれるシートIDに対して、当該画像IDとページIDとを対応付けて記憶させる。すなわち、1ページ目の画像を示す画像データを生成した場合、画像データ生成部203は、例えば、画像ID「image001」及びページID「page001」を生成して、シートID「sheet001」と対応付けてシート管理データ1000に記憶させる。なお、画像データ生成部203は、更に、ページID及び画像IDに対して、バッファメモリ210における画像データの格納先を対応付けてシート管理データ1000に記憶させても良い。
【0078】
一方で、ステップS103において、バッファメモリ210に空き領域が存在しないと判定した場合、画像データ生成部203は、空き領域ができるまで待機する。そして、空き領域ができた場合に、画像データ生成部203は、上記のステップS104と同様に、画像データの生成とバッファメモリ210への格納とを行う(ステップS105)。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る印刷制御装置20は、シートの昇順に画像データを生成し、生成した画像データをバッファメモリ210に格納する。なお、このとき、上述したように、バッファメモリ210に空き領域が存在しない場合、印刷制御装置20は、空き領域ができるまで待機した後、画像データを生成する。
【0080】
本実施形態に係る印刷制御装置20は、後述する印刷実行処理により、バッファメモリ210に空き領域が存在しない頻度を低減させると共に、空き領域が存在しない場合であっても空き領域ができるまでの待機時間を削減させることができる。
【0081】
≪印刷実行処理≫
次に、印刷制御装置20のバッファメモリ210に格納されている画像データの印刷を印刷装置30で実行させる処理について、図8を参照しながら説明する。図8は、本実施形態に係る印刷実行処理の一例を示すシーケンス図である。以降のステップS201~ステップS211の処理は、シート毎に繰り返し実行される。
【0082】
印刷制御装置20の印刷指示部204は、該当のシート(以降では、「シートm」とする。)の印刷指示を印刷装置30に送信する(ステップS201)。印刷指示には、シートmのシート管理データ1000に含まれる画像IDと、印刷設定情報とが含まれる。なお、シート管理データ1000に複数の画像IDが含まれる場合、印刷指示には、これら複数の画像IDが含まれても良い。
【0083】
印刷装置30の送信部303は、受信部301が印刷指示を受信すると、画像データの送信要求を印刷制御装置20に送信する(ステップS202)。この画像データの送信要求には、当該印刷指示に含まれる画像ID又は当該印刷指示に含まれる画像IDのうちの1つの画像IDが含まれる。
【0084】
印刷制御装置20の画像データ送信部205は、第2の受信部206により画像データの送信要求が受信されると、当該送信要求に含まれる画像IDの画像データをバッファメモリ210から読み出して、印刷装置30に送信する(ステップS203)。
【0085】
なお、画像IDと画像データとが対応付けられてバッファメモリ210に格納されている場合は、画像データ送信部205は、当該送信要求に含まれる画像IDに対応付けられている画像データをバッファメモリ210から読み出せば良い。また、シート管理データ1000で画像IDと画像データの格納先とが対応付けられている場合は、画像データ送信部205は、当該送信要求に含まれる画像IDに対応付けられている格納先から画像データを読み出せば良い。
【0086】
印刷装置30の送信部303は、受信部301による画像データの受信が完了した場合、画像データ受信完了通知を印刷制御装置20に送信する(ステップS204)。画像データ受信完了通知には、受信が完了した画像データの画像ID(すなわち、上記のステップS203で印刷制御装置20から送信され、印刷装置30が受信した画像データの画像ID)が含まれる。
【0087】
印刷制御装置20の領域解放部208は、第2の受信部206により画像データ受信完了通知が受信されると、当該完了通知に含まれる画像IDの画像データをバッファメモリ210から削除(破棄)する(ステップS205)。これより、当該画像データにおけるバッファメモリ210の記憶領域が解放される。
【0088】
なお、画像IDと画像データとが対応付けられてバッファメモリ210に格納されている場合は、領域解放部208は、当該完了通知に含まれる画像IDに対応付けられている画像データをバッファメモリ210から削除すれば良い。また、シート管理データ1000で画像IDと画像データの格納先とが対応付けられている場合は、領域解放部208は、当該完了通知に含まれる画像IDに対応付けられている格納先の画像データを削除すれば良い。
【0089】
このように、印刷制御装置20は、当該画像データが印刷された印刷物が排紙される前に、当該画像データをバッファメモリ210から削除(破棄)する。これにより、上述したように、画像データをバッファメモリ210上に保持しておく時間が短くなるため、間欠区間の発生頻度を低減させることができると共に、間欠区間の期間を短くさせることができるようになる。
【0090】
他方で、印刷装置30の印刷処理部302は、送信部303により画像データ受信完了通知が送信されると、受信部301が受信した画像データを印刷設定情報に従って印刷して、印刷物を作成する。そして、印刷装置30の印刷処理部302は、作成した印刷物を排紙する(ステップS206)。これにより、印刷物が作成及び排紙される。
【0091】
なお、上記のステップS206の処理は、画像データ受信完了通知の送信後に開始されるため、上記のステップS205の処理よりも先に開始される。このため、バッファメモリ210の解放は、印刷処理の開始後、印刷物の排紙前に行われることになる。
【0092】
以降のステップS207~ステップS208の処理は、上記のステップS206の排紙処理が正常に終了した場合に実行される。一方で、以降のステップS209~ステップS211の処理は、上記のステップS206の排紙処理で、例えばジャムが発生した場合に実行される。
【0093】
上記のステップS206の排紙処理が正常に終了した場合、印刷装置30の送信部303は、排紙完了通知を印刷制御装置20に送信する(ステップS207)。排紙完了通知には、排紙が完了した印刷物のシートID(排紙完了シートID)が含まれる。
【0094】
次に、印刷制御装置20の排紙完了シートID管理部207は、第2の受信部206により排紙完了通知を受信すると、当該排紙完了通知に含まれるシートIDを、排紙完了シートID2000として管理する(ステップS208)。なお、既に排紙完了シートID2000が存在する場合、排紙完了シートID管理部207は、この排紙完了シートID2000を、排紙完了通知に含まれるシートIDで上書きすれば良い。
【0095】
ただし、これに限られず、排紙完了シートID管理部207は、既に存在する排紙完了シートID2000に対して、排紙完了通知に含まれるシートIDを追加しても良い。この場合、排紙完了シートID2000には、排紙が完了した複数のシートのシートIDが含まれることになる。
【0096】
一方で、上記のステップS206の排紙処理でジャムが発生した場合、印刷装置30の送信部303は、ジャム発生通知を印刷制御装置20に送信する(ステップS209)。
【0097】
印刷制御装置20の領域解放部208は、第2の受信部206によりジャム発生通知を受信すると、バッファメモリ210に格納されている全ての画像データを削除(破棄)する(ステップS210)。
【0098】
次に、印刷制御装置20の画像データ生成部203は、排紙が完了したシートの次のシート(すなわち、排紙完了シートID2000の次のシートIDのシート)から画像データを再生成する(ステップS211)。より具体的には、例えば、排紙完了シートID2000が「sheet009」であった場合、画像データ生成部203は、この排紙完了シートID2000の次のシートID「sheet010」のシートから画像データを再生成する。すなわち、印刷制御装置20は、シートID「sheet010」のシートから順に、図7のステップS102~ステップS105の処理を繰り返せば良い。なお、このとき、既にシート管理データ1000が作成済みである場合は、シート管理データ1000の再作成を行っても良いし、再作成を行わなくても良い。
【0099】
≪印刷制御装置20が各種通知を受信した場合の処理≫
次に、図8で説明した印刷実行処理において、印刷装置30から何等かの通知を印刷制御装置20が受信した場合における処理の流れについて、図9を参照しながら説明する。図9は、本実施形態に係る印刷制御装置20が各種通知を受信した場合の処理の一例を示すフローチャートである。以降のステップS301~ステップS308の処理は、印刷制御装置20の第2の受信部206が何等かの通知を受信した場合に実行される。
【0100】
第2の受信部206は、印刷装置30から排紙完了通知を受信したか否かを判定する(ステップS301)。
【0101】
ステップS301において、印刷装置30から排紙完了通知を受信したと判定された場合、排紙完了シートID管理部207は、当該排紙完了通知に含まれるシートIDが、最終シートのシートIDであるか否かを判定する(ステップS302)。例えば、印刷ジョブに含まれる印刷データ及び印刷設定情報によって決定されたシート数がMであった場合、排紙完了シートID管理部207は、当該排紙完了通知に含まれるシートIDが、シートMのシートIDであるか否かを判定する。
【0102】
ステップS302において、最終シートIDでないと判定された場合、排紙完了シートID管理部207は、当該排紙完了通知に含まれるシートIDを排紙完了シートID2000として管理する(ステップS303)。そして、印刷制御装置20は、処理を終了する。
【0103】
一方で、ステップS302において、最終シートIDであると判定された場合、印刷制御装置20は、処理を終了する。
【0104】
ステップS301において、印刷装置30から排紙完了通知を受信したと判定されなかった場合、第2の受信部206は、画像データ受信完了通知を受信したか否かを判定する(ステップS304)。
【0105】
ステップS304において、画像データ受信完了通知を受信したと判定された場合、領域解放部208は、当該画像データ受信完了通知に含まれる画像IDに対応する画像データをバッファメモリ210から破棄する(ステップS305)。そして、印刷制御装置20は、処理を終了する。
【0106】
一方で、ステップS304において、画像データ受信完了通知を受信したと判定されなかった場合、第2の受信部206は、ジャム発生通知を受信したか否かを判定する(ステップS306)。
【0107】
ステップS306において、ジャム発生通知を受信したと判定された場合、領域解放部208は、バッファメモリ210に格納されている全ての画像データを削除(破棄)する(ステップS307)。
【0108】
そして、画像データ生成部203は、排紙が完了したシートの次のシート(すなわち、排紙完了シートID2000の次のシートIDのシート)から画像データを再生成する(ステップS308)。
【0109】
一方で、ステップS306において、ジャム発生通知を受信したと判定されなかった場合、印刷制御装置20は、処理を終了する。この場合、排紙完了通知、画像データ受信完了通知及びジャム発生通知以外の通知を第2の受信部206が受信したことになる。したがって、この場合、印刷制御装置20は、第2の受信部206が受信した通知に応じた処理を実行する。
【0110】
≪印刷制御装置20が各種通知を受信した場合の処理の他の例≫
ところで、印刷装置30が画像データ受信完了通知を印刷制御装置20に送信し、印刷処理を開始した後に、例えば、用紙切れにより印刷処理を開始することができない場合がある。このような場合、印刷装置30は、用紙が給紙トレイに補充された後に、印刷制御装置20に対して、再度、画像データの送信要求を行う場合がある。このような場合、印刷制御装置20は、給紙開始通知を受信したタイミングで該当の画像データをバッファメモリ210から削除した方が、用紙切れに伴う画像データの再生成を防止することができる。なお、給紙開始通知とは、給紙トレイから用紙(記録媒体)の取得を開始したことを示す通知である。
【0111】
そこで、印刷装置30から何等かの通知を印刷制御装置20が受信した場合に、給紙開始通知を受信したタイミングで画像データを削除する場合の処理について、図10を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る印刷制御装置20が各種通知を受信した場合の処理の他の例を示すフローチャートである。なお、図10のステップS301~ステップS303及びステップS305~ステップS308の処理は、図9と同様であるため、その説明を省略する。
【0112】
ステップS304において、印刷装置30から排紙完了通知を受信したと判定されなかった場合、第2の受信部206は、給紙開始通知を受信したか否かを判定する(ステップS401)。そして、ステップS401において、給紙開始通知を受信したと判定された場合、印刷制御装置20は、ステップS305の処理に進む。一方で、ステップS401において、給紙開始通知を受信したと判定されなかった場合、印刷制御装置20は、ステップS306の処理に進む。
【0113】
これにより、印刷制御装置20は、印刷装置30で印刷に用いられる用紙(記録媒体)の給紙が開始したことに応じて、当該用紙に印刷される画像データをバッファメモリ210から削除することができる。なお、印刷装置30は、画像データ受信完了通知よりも後に給紙開始通知を印刷制御装置20に送信する。したがって、印刷制御装置20は、該当の画像データをバッファメモリ210から削除する条件として、画像データ受信完了通知と給紙開始通知との両方を受信した場合としても良い。
【0114】
<従来技術との比較例>
ここで、従来技術と、本実施形態との比較例について、図11を参照しながら説明する。図11は、排紙完了通知の受信時に画像データを破棄する場合と画像データ受信完了通知の受信時に画像データを破棄する場合との比較例を示す図である。
【0115】
図11に示す例では、図3と同様に、各ページの画像データのデータ容量が同じであり、バッファメモリ210には最大で4つの画像データが格納可能であるものとする。
【0116】
このとき、排紙完了通知を受信時に画像データをバッファメモリ210から破棄する場合を図11(a)に示す。また、画像データ受信完了通知の受信時に画像データをバッファメモリ210から破棄する場合を図11(b)に示す。
【0117】
図11(a)では、印刷制御装置20が画像データを印刷装置30に送信してから排紙完了通知を受信するまでに要する時間をΔt、画像データの生成間隔をΔtとしている。このとき、一般に、Δt>Δtである。このため、図11(a)に示すように、時刻tの時点でバッファメモリ210の空き容量が無くなり、時刻tから時刻tまで間が間欠区間となっている。
【0118】
一方で、図11(b)に示すように、印刷制御装置20が画像データを印刷装置30に送信してから画像データ受信完了通知を受信するまでに要する時間をΔtとすれば、一般に、Δt>Δt>Δtである。このため、図(b)に示すように、画像データ受信完了通知を受信した時刻tで、画像データ(ページ1)の記憶領域が解放され、画像データ(ページ5)の生成及び格納を行うことができ、間欠区間の発生が防止されている。
【0119】
このように、本実施形態では、従来技術と比較して、画像データをバッファメモリ210に格納しておく時間を短くすることで、間欠区間の発生頻度を低減させると共に、仮に間欠区間が発生した場合であっても間欠区間の時間を削減させることができる。
【0120】
本発明は、具体的に開示された上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 印刷システム
10 ホスト装置
20 印刷制御装置
30 印刷装置
201 第1の受信部
202 シート管理データ作成部
203 画像データ生成部
204 印刷指示部
205 画像データ送信部
206 第2の受信部
207 排紙完了シートID管理部
208 領域解放部
210 バッファメモリ
301 受信部
302 印刷処理部
303 送信部
1000 シート管理データ
2000 排紙完了シートID
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【文献】特開平9-282114号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11