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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220509BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220509BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
G03G21/00 398
B41J29/38
H04N1/00 885
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018106654
(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公開番号】P2019211584
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】細谷 隼平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 憲和
(72)【発明者】
【氏名】山下 友主
(72)【発明者】
【氏名】中山 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】川村 啓之
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-103796(JP,A)
【文献】特開2015-103966(JP,A)
【文献】特開2013-007976(JP,A)
【文献】特開2008-229989(JP,A)
【文献】特開2010-220460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から電力供給を受ける主電源と、
蓄電可能な補助電源を有する画像形成装置であって、
前記画像形成装置の少なくとも一部の機能の制御をする制御部と、
前記制御部による制御に用いられるデータを記憶する揮発性記憶部を有し、
非稼働状態で、前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給され、
前記補助電源の残量が0よりも大きい量である所定量以上の場合、前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給され、
前記補助電源の残量が前記所定量より少ない場合、前記主電源から前記制御部に電力供給されるが、前記揮発性記憶部には電力供給されないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記非稼働状態で、
前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給される状態と、前記主電源から前記制御部に電力供給されるが前記揮発性記憶部には電力供給されない状態とを切り替える請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
稼働状態では、前記主電源から前記制御部に電力供給され、前記補助電源からは前記制御部に電力供給されない請求項1または2いずれかの画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記主電源及び前記補助電源からの電力供給を制御する請求項1~3の何れか記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記非稼働状態における前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給される状態から前記稼働状態への移行に要する時間は、
前記非稼働状態における前記主電源から前記制御部に電力供給されるが前記揮発性記憶部には電力供給されない状態から前記稼働状態への移行に要する時間よりも短い請求項3の画像形成装置。
【請求項6】
前記商用電源から前記主電源への電力供給を遮断するスイッチを有し、
前記制御部は、前記補助電源から電力供給される場合は、前記商用電源から前記主電源への電力供給を遮断するように前記スイッチを制御する請求項1ないし5いずれかの画像形成装置。
【請求項7】
前記非稼働状態は、前記画像形成装置の起動スイッチがオフの状態である請求項1ないし6いずれかの画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記非稼働状態で前記画像形成装置の前記起動スイッチがオンされたことを検知し、前記非稼働状態で前記制御部に供給される電力は、前記画像形成装置の起動スイッチがオンされたことを検知するのに必要な電力以上である請求項7の画像形成装置。
【請求項9】
商用電源から電力供給を受ける主電源と、
蓄電可能な補助電源を有する画像形成装置であって、
前記画像形成装置を制御する制御部と、
前記画像形成装置への操作入力を受け付ける操作部を制御する操作部制御部と、
前記制御部による制御に用いられるデータを記憶する第一の揮発性記憶部と、
前記操作部制御部による制御に用いられるデータを記憶する第二の揮発性記憶部と有し、
前記制御部は、非稼働状態で、前記補助電源から前記制御部及び前記第一の揮発性記憶部及び前記操作部制御部及び前記第二の揮発性記憶部に電力供給し、
前記補助電源の残量が0よりも大きい量である所定量以上の場合、前記補助電源から前記制御部及び前記操作部制御部及び前記第一の揮発性記憶部及び前記第二の揮発性記憶部に電力供給され、
前記補助電源の残量が前記所定量より少ない場合、前記主電源から前記制御部及び前記操作部制御部に電力供給されるが、前記第一の揮発性記憶部及び前記第二の揮発性記憶部には電力供給されないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記非稼働状態で、
前記補助電源から前記制御部及び前記第一の揮発性記憶部及び前記操作部制御部及び前記第二の揮発性記憶部に電力供給される状態と、前記主電源から前記制御部及び前記操作部制御部に電力供給されるが前記第一の揮発性記憶部及び前記第二の揮発性記憶部には電力供給されない状態とを切り替える請求項9の画像形成装置。
【請求項11】
商用電源から電力供給を受ける主電源と、
蓄電可能な補助電源と、
前記画像形成装置の少なくとも一部の機能の制御をする制御部と、
前記制御部による制御に用いられるデータを記憶する揮発性記憶部を有する画像形成装置による画像形成方法であって、
非稼働状態で、前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給し、
前記補助電源の残量が0よりも大きい量である所定量以上の場合、前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給され、
前記補助電源の残量が前記所定量より少ない場合、前記主電源から前記制御部に電力供給されるが、前記揮発性記憶部には電力供給されないことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、画像形成装置のスイッチオフ状態、待機モード、省エネモード、スリープモード等の消費電力の低い状態を取ることが知られている。またこのような画像形成装置では、消費電力の低い状態から使用可能状態になるまでの待機時間を短縮して、ユーザ操作性や快適性向上する要求がされる。
【0003】
特許文献1には、消費電力の低い状態である待機状態(「省エネモード」)を有する像形成装置においてさらに、待機状態において補助電源から省エネ負荷に給電することにより、電源回路の効率が良くなり、エネルギー消費量を削減することができる画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、非稼働状態から稼働状態への移行が早く、かつエネルギー効率の良い画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、商用電源から電力供給を受ける主電源と、蓄電可能な補助電源を有する画像形成装置であって、前記画像形成装置の少なくとも一部の機能の制御をする制御部と、前記制御部による制御に用いられるデータを記憶する揮発性記憶部を有し、非稼働状態で、前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給され、前記補助電源の残量が0よりも大きい量である所定量以上の場合、前記補助電源から前記制御部及び前記揮発性記憶部に電力供給され、前記補助電源の残量が前記所定量より少ない場合、前記主電源から前記制御部に電力供給されるが、前記揮発性記憶部には電力供給されない画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、非稼働状態から稼働状態への移行が早く、かつエネルギー効率の良い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
図2】第1の実施形態の電力供給構成の説明図である。
図3】起動モードの説明図である。
図4】第1の実施形態の起動モード変更のシーケンスである。
図5】第1の実施形態の起動モード変更の処理フローである。
図6】電力供給構成の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
図1は、画像形成装置の部分的に内部を透視した側面図である。
【0010】
画像形成装置100は、コピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能、また、入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿や、プリンタ機能あるいはFAX機能により入力された画像)を保存や配信する機能等を複合して有するいわゆるMFP(Multi Function Peripheral/Printer)と称される複合機である。また、画像形成装置100は、PC(Personal Computer)等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じた動作を行うこともできる。なお、本実施形態において、画像形成装置100で処理される「画像」には画像データだけでなく、画像データが含まれていないデータ、つまりテキスト情報のみのデータも含むものとする。
【0011】
画像形成装置100は、帯電された感光体表面が選択的に露光されることにより書き込まれた静電潜像に、トナーを付着させ、付着させたトナーを用紙等の記録媒体に転写するいわゆる電子写真方式の画像形成装置である。
【0012】
画像形成装置100は、図1に示されるように、主電源であるPSU(Power Supply Unit)1と、補助電源である蓄電装置2と、画像形成装置100を起動するための起動スイッチ3と、画像形成装置100に操作入力するための操作部4と、操作部4の操作入力等に基づいて画像形成装置100を制御するコントローラ5と、原稿を搬送するADF(Auto Document Feeder)6と、ADF6から搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置7と、画像読取装置7が読み取った画像に対応する潜像を感光体に書き込む書込みユニット8と、書込みユニット8が書き込んだ潜像に基づき、用紙等の記録媒体上に画像を形成するプリンタユニット9と、記録媒体を収納する給紙カセット10Aと、給紙カセット10Bと、給紙カセット10A、給紙カセット10Bに収納された記録媒体をプリンタユニット9に対して搬送する搬送路11とを有する。なお、PSU1と、蓄電装置2と、コントローラ5と、プリンタユニット9と、給紙カセット10Aと、給紙カセット10Bと、搬送路11は画像形成装置100の外装の内部に設けられているが、図1においてこれらの部材については内部を透視して示している。
【0013】
PSU1は、商用電源からの電力を必要に応じて変換し、画像形成装置100内の各部に供給する。
【0014】
蓄電装置2は、PSU1を介して商用電源からの電力により蓄電可能であり、蓄電した電力を画像形成装置100内の各部に供給可能である。
【0015】
起動スイッチ3は、画像形成装置100の電源がオフの状態でユーザによって押圧されると、画像形成装置100を起動する。また画像形成装置100が起動した状態、つまり電源がオンの状態でユーザによって押下されると、画像形成装置をオフ状態とする。このように起動スイッチ3は、ユーザが押圧することによって画像形成装置100をオン/オフしてもよいがこれに限られず、外部装置から受信した指示に基づき画像形成装置100をオン/オフしてもよい。
【0016】
操作部4は、一例としてタッチパネルを有し、ユーザやカスタマーエンジニア等による操作や、それら操作によって入力される情報を受け付ける。
【0017】
コントローラ5は、画像形成装置100を統括的に制御する。一例として操作部4が受け付けた操作や情報に応じた動作を、画像形成装置100に実行させる。その他の例として、特定の条件を検知した場合、例えば起動スイッチ3の押下を検知した場合、さらにその他の例として、画像形成装置100に発生した異常を検知した場合等に、あらかじめ決められた動作を画像形成装置100に実行させる。
【0018】
コントローラ5の具体例としては、画像形成装置100を統括的に制御する回路を搭載したコントローラボードである。この回路には、一例としてCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)が搭載されており、CPUが、RAMを作業領域として、ROMやHDD(Hard Disc Drive)に記憶されたプログラムを実行することによって、画像形成装置100を制御する。
【0019】
ADF6は、ADF6上に置かれた原稿を画像読取装置7へと搬送する。複数の原稿からなる原稿束が置かれた場合は、原稿を順に画像読取装置7へと搬送する。
【0020】
画像読取り装置7は、原稿上の画像情報を光学的に読み取る。
【0021】
書込みユニット8は、画像読取装置7により読み取られた画像情報に基づいて、表面を帯電された感光体上を露光して、感光体上に静電潜像を書き込む。
【0022】
プリンタユニット9は、感光体としての感光体ドラム91と、感光体ドラム91の外表面を帯電させる帯電装置92と、帯電された感光体ドラム91上に書き込まれた潜像をトナーで現像する現像装置93と、トナー画像を形成する記録媒体を搬送する搬送ベルト94と、記録媒体上のトナーを記録媒体に定着させる定着装置95とを有し、記録媒体上にトナー画像を形成する。
【0023】
給紙カセット10A、10Bは画像形成前の記録媒体を収納する。図1においては一例として二つの給紙カセットを有し、それぞれにサイズの異なる記録媒体を収納しているが、一つであっても良いし、三つ以上であってもよい。
【0024】
搬送路11は、各種ローラを有し、給紙カセット10A、給紙カセット10Bに収納された記録媒体をプリンタユニット9に搬送する。
【0025】
ここで、コピーモードを例として画像形成装置100での画像形成の流れを説明する。まずユーザが、操作部4で機能切替キー等をユーザが操作することにより、画像形成装置100のコピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択し、各機能を動作させることが可能となる。コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能選択時にはファクシミリモードとなる。
【0026】
コピーモードでは、ADF6に置かれた原稿束が、順に画像読み取り装置7に給送され、画像読み取り装置7により、各原稿の画像情報が読み取られる。
【0027】
感光体ドラム91の外周面は、暗中にて帯電装置92により一様に帯電された後、書込みユニット8からの照射光(図1中に点線矢印Aで示す。)により露光され、その結果、感光体ドラム91の外周面上に静電潜像が形成される。現像装置93は、この静電潜像をトナーにより可視像化する。これにより、感光体ドラム91上にトナー画像が形成される。感光体ドラム92上に形成されたトナー画像は、搬送ベルト94上の記録媒体に転写される。そして定着装置95が記録媒体上のトナー画像のトナーを溶融して、記録媒体にトナー画像を定着し、記録媒体を画像形成装置100から排出する。
【0028】
なお、プリンタユニット9がモノクロの電子写真方式によって画像を形成する場合を説明したが、カラーの電子写真方式やインクジェット方式などであってもよく、画像形成方式はこれらに限られない。
【0029】
また、上述の操作部4は、コントローラ5によって制御されてもよいし、コントローラ5とは別に操作部4を制御するための制御回路を有し、制御されてもよい。その場合、コントローラ5の制御回路と操作部4の制御回路は、相互に通信可能に接続され、コントローラ5は操作部4を含む画像形成装置100全体を制御する。
【0030】
図2は、第一の実施例の電力供給構成である。
【0031】
操作部4は、操作部4を制御する操作部制御部である操作部制御回路41と、操作部4に関する情報等を記憶する揮発性記憶部であるRAM42と、RAM42への通電を切り替える通電切替部である切替回路43を有する。図2に示される各部をつなぐ実線は、各部間が通電されていることを示している。
【0032】
操作部制御回路41は、一例としてCPUとROMを搭載した回路であり、操作部4の動作を制御する。また操作部制御回路41は、マイクロコントローラ(マイコン)等と呼ばれることもある。
【0033】
RAM42は揮発性記憶媒体、つまり電力が供給されている間はデータ等を記憶可能な記憶媒体であり、操作部制御回路41が操作部4を起動するのに必要なデータや、操作部制御回路41が操作部4を制御するのに用いる各種設定データを記憶する。なお、操作部4は画像形成装置100の一部であるため、操作部4に関する各データは、画像形成装置100に関する情報ということもできる。
【0034】
切替回路43は、一例としてSoC(System on a chip)と呼ばれる集積回路等が用いられるがASIC(Application Specific Integrated Circuit)等でもよく、これらに限られない。
【0035】
コントローラ5は、画像形成装置100の制御部である制御回路51と、画像形成装置100に関する情報等を記憶する揮発性記憶部であるRAM52と、RAM52への通電を切り替える電力切替部である切替回路53とを有する。
【0036】
制御回路51は、一例としてCPUとROMを搭載した回路であり、コントローラ5の動作を統括的に制御する。制御回路51は、マイクロコントローラ(マイコン)等と呼ばれることもある。
【0037】
RAM52は、揮発性記憶媒体、つまり電力が供給されている間はデータ等を記憶可能な記憶媒体であり、制御回路51がコントローラ5を起動するのに必要なデータや、制御回路51が画像形成装置100の制御をするのに用いる各種設定データを記憶する。なお、コントローラ5は画像形成装置100の一部であるため、コントローラ5に関する各データは、画像形成装置100に関する情報ということもできる。
【0038】
切替回路53は、一例としてASICと呼ばれる集積回路等が用いられるがSoC等でもよく、これらに限られない。
【0039】
なお、上述した揮発性記憶部であるRAM42とRAM52を、RAM52を第一の揮発性記憶部、RAM42を第二の揮発性記憶部と呼んで区別することがある。
【0040】
図2において、PSU1とコントローラ5、PSU1と操作部4との間には、スイッチ13が設けられている。スイッチ13が閉じられた状態では、PSU1が操作部4またはコントローラ5の電力供給元となり、図2のようにスイッチ13が開いている場合は、蓄電装置2に蓄電された電力が電力供給元となる。
【0041】
具体的には蓄電装置2の出力はブロックダイオード12を介して常に操作部4及びコントローラ5に接続される。この際、蓄電装置2の出力電圧をPSU1の出力電圧より低くすることで、スイッチ13が閉じた状態、つまりPSU1から電力を供給している間は蓄電装置2の電力は使用されず、PSU1から電力が供給される。蓄電装置2は常に出力されているため、スイッチ13が開いた状態、つまりPSU1からの出力が無い状態になることにより、操作部4またはコントローラ5への電力供給元は蓄電装置2となる。この様な構成を取ることで、電力供給元切り替え時に電圧遮断が生じる可能性を低減出来る。
【0042】
制御回路51は、信号線14を用いて蓄電装置2から蓄電装置2の蓄電残量を取得する。また制御回路51は、信号線15を介してスイッチ13のオンオフを行う。
【0043】
図3は、画像形成装置の通常起動モードと高速起動モードを説明する概念図である。図3(a)(b)はいずれも、画像形成装置100が非稼働状態におけるPSU1から蓄電装置2、操作部4およびコントローラ5への電力供給について示している。
【0044】
なお、非稼働状態とは、画像形成装置100が最も電力消費が多い使用可能な状態を稼働状態とした場合の、電力消費量が稼働状態よりも少ない状態をいう。以降、非稼働状態の一例として、起動スイッチ3がオフの状態、つまり画像形成装置100の電源オフ状態であるとして説明する。起動スイッチ3がオフの状態とは、画像形成装置100内の各部に、操作部4およびコントローラ5以外には電力供給は行われず、その結果画像形成装置100において最も消費電力が低い状態である。なお、非稼働状態は、起動スイッチ3がオフの状態以外に、待機モード、省エネモード、スリープモード等と呼ばれる一部の機能を非稼働にした状態も含む。
【0045】
画像形成装置100は、電源オフ状態から稼働状態へ移行するための二つのモード、通常起動モードと高速起動モードとを有している。
【0046】
図3(a)に示される通常起動モードでは、操作部4の操作部制御回路41には通電し、RAM42には通電しない。また、コントローラ5の制御回路51には通電し、RAM52には通電しない。この図3(a)に示される通常起動モードでコントローラ5が実行する機能としては、起動スイッチ3がオンされたことを検知するために監視する程度である。したがって、非稼働状態で制御回路51に供給される電力は、起動スイッチ3がオンされたことを検知するのに必要な電力以上であればよい。
【0047】
一方図3(b)に示される高速起動モードでは、RAM42、RAM52に通電している。
【0048】
これにより制御回路51が起動スイッチ3のオンを検知して画像形成装置100を起動する際、RAM42、RAM52に保持された起動時に必要な各種データを利用できるため、高速起動モードでは通常起動モードよりも稼働状態へ移行する時間を短くできる。一方高速起動モードでは起動スイッチ3のオン/オフ切替を監視するのみである通常起動モードよりもRAM42、RAM52に通電している。したがって高速起動モードは通電箇所が多い分、通常起動モードよりも消費電流が大きい。
【0049】
図2を用いて、図3で説明した高速起動モードと通常起動モードへの移行について説明する。
【0050】
制御部である制御回路51は、画像形成装置100の起動スイッチ3がオフされると、蓄電装置2から信号線14を介して得られる蓄電残量に基づき、高速起動モードと通常起動モードのどちらに移行するか判断を行う。
【0051】
具体的には、制御回路51は、蓄電装置2の蓄電残量が所定量以上である場合は、高速起動モードへ移行すると判断し、切替回路43、53を制御してRAM42、RAM52へ電力供給を行う。そして制御回路51は、信号線15を介してスイッチ13をオフにする。
【0052】
一方制御回路51は、蓄電装置2蓄電残量が所定量より小さい場合は、通常起動モードへ移行すると判断し、切替回路43、53を制御してRAM42、RAM52へ通電を遮断し電力供給を行わない。そして信号線15を介してスイッチ13をオンにする。なお、制御回路51は、切替回路43を直接制御してもよいし、操作部制御回路41を介して制御してもよい。
【0053】
図4は、第1の実施形態の起動モード変更のシーケンスである。
【0054】
図4(a)(b)(c)(d)(e)の横軸は、時間Tの経過を示している。T1は、画像形成装置100の起動スイッチ3がオンの状態において、起動スイッチ3がオフされたタイミングを示している。T2は、起動スイッチ3がオフの状態で、起動モードと電力供給元が切り替わるタイミングを示している。
【0055】
図4(a)は、画像形成装置100の起動スイッチ3がオンの状態からオフの状態となった場合の、時間T経過に対応した画像形成装置100の動作モードを示している。電源オンの状態からT1で電源オフの状態のうち、初めに高速起動モードへ移行し、T2で通常起動モードへ移行している。
【0056】
図4(b)の縦軸は、画像形成装置100の起動スイッチ3がオンの状態からオフの状態となった場合の、画像形成装置100内に負荷される電流である装置負荷電流を示している。画像形成装置100の起動スイッチ3がオンの状態での装置負荷電流がA3であった場合、T1~T2の画像形成装置100の電源オフでかつ高速起動モード時は、製品負荷電流は電源オフされた分画像形成装置100の各部への電力供給が無くなる分、A3よりも少ないA2である。A2は、制御回路51および操作部制御回路41およびRAM52およびRAM42への電流である。そして、電源オフでかつ通常起動モード時は、製品負荷電流はA2よりもさらに少ないA1となる。A1は制御回路51および操作部制御回路41への電流である。一例として、最近の画像形成装置ではA1が6mA程度に対して、A2は40mA程度である。
【0057】
図4(c)は、画像形成装置100の起動スイッチ3がオンの状態からオフの状態となった場合の、時間T経過に対応した画像形成装置100の少なくとも操作部4およびコントローラ5への電力供給元を示している。電源オンの状態ではPSU1が電力供給元であり、らT1~T2の高速起動モードでは蓄電装置2が、T2以降の通常起動モードではPSU1が電力供給元である。
【0058】
図4(d)は、画像形成装置100の起動スイッチ3がオンの状態からオフの状態となった場合の、時間T経過に対応する蓄電残量を示している。起動スイッチ3がオンの状態では、蓄電装置2にはPSU1を経由して蓄電が行われている為、蓄電残量は100%である。その後、PSU1からの電力供給が無くなるT1以降は、蓄電装置2に対して蓄電のための電力供給がない状態で、蓄電装置2からRAM42およびRAM52に電力を供給するため残量が減っていく。そして、蓄電残量が10%になると通常起動モード、つまり電力供給元がPSU1になるため、以降の蓄電残量は一定となっている。
【0059】
図4(e)は、画像形成装置100の起動スイッチ3がオンの状態からオフの状態となった場合の、時間T経過に対応した画像形成装置100への入力電力を示している。起動スイッチ3がオンの状態では、画像形成装置100へはPSU1から電力が供給されており、入力電力はW3である。起動スイッチ3がオフされるT1~T2は、操作部4やコントローラ5には画像形成装置100内部の蓄電装置2から電力が供給されるため、商用電源ACからの入力電力はほぼゼロである。そしてT2以降は、電力供給元がPSU1に切り替わるため、入力電力がW1となる。電源オフの状態のため、電源オンの状態のW3と比べてW1は小さい。
【0060】
図4(e)に示されるように、T2で蓄電装置2の充電が10%と少なくなり電力供給元をPSU1に切り替えた際、例えば高速起動モードを維持したとすると、高速起動モードではRAM42、RAM52への通電を行うため、図4(e)に点線で示される入力電力W2が必要となる。しかし、T2で電力供給元を蓄電装置2からPSU1へと切り替える際に、高速起動モードから通常起動モードへ切り替えるため、入力電力をW2よりも少ないW1とすることができる。
【0061】
つまり、従来画像形成装置で消費電力の低い状態、一例として電源オフ状態から、稼働状態になるまでの起動時間を短くし、操作性を高める要求があった。そこでより高速に起動するために、電源オフ状態においても起動時間を短くするのに必要な箇所には通電を維持する高速起動モードを有することで、起動時間の短縮が可能な画像形成装置が知られていた。
【0062】
この場合、高速起動モードの通常起動モードよりも多い消費電力を、PSUではなく画像形成装置内部の蓄電装置から供給することで、入力電力を極力抑えつつ操作性を高めることが出来る反面、蓄電装置の残量が少なくなりPSUからの電力供給に切り替えると、通常起動モードよりも消費電流が大きい分、画像形成装置への入力電力が大きくなり、省エネ性が低くなる。
【0063】
それに対し図4で示したように、蓄電装置の残量に応じて画像形成装置の起動モードを切り替える、つまり画像形成装置100が電源オフ状態で蓄電装置の残量が十分ある場合には起動は早いが消費電流が多い高速起動モードにして蓄電装置2から電力供給を行い、蓄電装置2の残量が少ない場合には、起動は遅いが消費電流の少ない通常起動モードにしてPSU1から電力供給を行うことで、常に入力電力を低く維持できる。
【0064】
以上説明したように本実施形態は、非稼働状態において、消費電力の大きい高速起動モードでは商用電源から電力供給を受ける主電源からの電力供給は停止し、補助電源から制御部(操作部制御部または制御部)及び揮発性記憶部(第一の揮発性記憶部または第二の揮発性記憶部)に電力供給することで、操作性を高めながら入力電力を抑えることが出来る。すなわち、非稼働状態から稼働状態への移行が早く、かつエネルギー効率の良い画像形成装置を提供することができる。
【0065】
加えて非稼働状態において、電力供給元を商用電源から電力供給を受ける主電源に切り替えつつ、制御部(操作部制御部または制御部)に電力供給されるが、揮発性記憶部(第一の揮発性記憶部または第二の揮発性記憶部)には電力供給されない消費電流の小さいモードである通常起動モードも兼ね備えることで、商用電源から電力供給を受ける主電源を使用しながらも低入力電力を維持することができる。すなわち、高速起動モードと通常起動モードを兼ね備えることにより、装置全体として非稼働状態から稼働状態への移行が早く、かつエネルギー効率の良い画像形成装置を提供することができる。
【0066】
また、非稼働状態において、補助電源の残量が少ない場合には電力供給元を商用電源から電力供給を受ける主電源に切り替えつつ、制御部(操作部制御部または制御部)に電力供給されるが、揮発性記憶部(第一の揮発性記憶部または第二の揮発性記憶部)には電力供給されない消費電流の小さいモードである通常起動モードに変更することで、商用電源から電力供給を受ける主電源を使用しながらも低入力電力を維持することができる。すなわち、蓄電可能な補助電源の残量に応じて、高速起動モードと通常起動モードを適切に切り替えることができる。
【0067】
また、非稼働状態において、蓄電装置の残量が少なくなった場合には電力供給元を商用電源から電力供給を受ける主電源に切り替えつつ、制御部(操作部制御部または制御部)に電力供給されるが、揮発性記憶部(第一の揮発性記憶部または第二の揮発性記憶部)には電力供給されない、消費電流の小さい通常起動モードに変更することで、商用電源から電力供給を受ける主電源を使用しながらも低入力電力を維持することができる。すなわち、蓄電可能な補助電源の残量に応じて、高速起動モードと通常起動モードを適切に切り替えることができる。
【0068】
図5は、第1の実施形態の起動モード変更フロー図である。
【0069】
図5に示されるフロー図は画像形成装置の稼働状態からスタートする。まず制御部である制御回路51は、起動スイッチ3のオフを検知する(ステップS1)。そして制御回路51は、蓄電装置2の残量を取得する(ステップS2)。次に制御回路51は、取得した残量が閾値より小さい場合は、通常起動モードに移行する(ステップS8)。具体的には、切替回路43、53を制御しRAM42,RAM52への通電を遮断する。すると制御回路51は、電力供給元をPSU1に設定して(ステップS9)、本処理フローは終了する。
【0070】
ステップS3に戻ると、制御回路51は、取得した残量が閾値以上であった場合、高速起動モードに設定する(ステップS4)。具体的には、切替回路43、53を制御しRAM42,RAM52への通電を行う。次に制御回路51は、電力供給元を蓄電装置2に切り替える(ステップS5)。そして制御回路51は、蓄電装置2の蓄電残量を取得する(ステップS6)。さらに制御回路51は、蓄電装置2の蓄電残量を判断する(ステップS7)。そして蓄電残量が閾値以上であった場合、一例としてあらかじめ決められた所定時間経過毎に、蓄電残量の取得(ステップS6)を実行し、蓄電残量の判断(ステップS7)を繰り返す。
【0071】
一方制御回路51は、ステップS7で蓄電残量が閾値より小さい場合は、通常起動モードに移行する(ステップS8)。具体的には、切替回路43、53を制御しRAM42,RAM52への通電を遮断する。その後制御回路51は、電力供給元をPSU1に設定して(ステップS9)、本処理フローは終了する。
【0072】
図6は、図2で説明した通電構成の変形例である。図6では、図2で示した構成に加えて、商用電源ACとPSU1の間にスイッチ16を有する。図2の構成では、蓄電装置2から電力を供給している間も、PSU1には商用電源が接続されている為、画像形成装置100は入力電力を消費し続けている。一例として図4(e)のT1~T2の間も入力電力がゼロにはならない。それに対し本変形例では、スイッチ16を設け、蓄電装置2から電力供給している間は、制御回路51がスイッチ16をオフとなるように制御する。したがってPSU1は商用電源ACから完全に切り離され、画像形成装置100への入力電力をゼロにすることが可能である。図6の例では、スイッチ13とスイッチ16は共通の信号線15を介してコントローラ5に接続されている為、制御回路51によるオン/オフの切り替えは両スイッチについて同じタイミングで行われる。
【符号の説明】
【0073】
100 画像形成装置
1 PSU
2 蓄電装置
3 起動スイッチ
4 操作部
5 コントローラ
12 ブロックダイオード
13、16 スイッチ
14、15 信号線
41 操作部制御回路
51 制御回路
42、52 RAM
43、53 切替回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【文献】特開2010-220460
図1
図2
図3
図4
図5
図6