(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】基板
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20220509BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
(21)【出願番号】P 2020503705
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 KR2018008553
(87)【国際公開番号】W WO2019022566
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-01-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0095466
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087287
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バエ、ナム ソク
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ソン ホ
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ハン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョル オク
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-128799(JP,A)
【文献】特開2010-079240(JP,A)
【文献】特開2006-184505(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057281(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/1335
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基材層;
前記
フレキシブル基材層上に形成された透明コラムスペーサ
;
前記透明コラムスペーサと
前記フレキシブル基材層との間に存在する黒色層
;及び
前記黒色層と前記フレキシブル基材層との間に存在し、前記黒色層及び前記フレキシブル基材層と接触する電極層
を含み、
前記黒色層は、
物理的延性値が0.55以上である金属の金属層
である第1層と、
物理的延性値が0.55以上である金属の金属酸化物層
、物理的延性値が0.55以上である金属の金属窒化物層
、又は物理的延性値が0.55以上である金属の金属酸窒化物層
である第2層を含む、
基板。
【請求項2】
黒色層の面積(B)と透明コラムスペーサの底部の面積(T)の割合(T/B)は、0.5~1.5の範囲内である、
請求項
1に記載の基板。
【請求項3】
黒色層は、前記透明コラムスペーサの底部と同一であるかそれより小さい面積を有する、
請求項1
又は請求項2に記載の基板。
【請求項4】
黒色層と透明コラムスペーサは、互いに重畳されている、
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の基板。
【請求項5】
黒色層は、
前記金属層である第1層の両側に
前記金属酸化物層、前記金属窒化物層又は前記金属酸窒化物層である第2層
を含む
多層構造である、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の基板。
【請求項6】
黒色層は、厚さが30nm~5000nmの範囲内にある、
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の基板。
【請求項7】
第1層と第2層の厚さは、
それぞれ30nm~200nmの範囲内にある、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基板。
【請求項8】
透明スペーサは、上部に半球部を有する半球型スペーサである、
請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の基板。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の基板及び、
前記基板と対向配置されており、前記基板の透明スペーサにより前記基板との間隔が維持された第2基板
を含む、
光学デバイス。
【請求項10】
基板の間の間隔には液晶物質が存在する、
請求項
9に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2017年7月27日に出願された大韓民国特許出願第10-2017-0095466号及び2018年7月26日に出願された大韓民国特許出願第10-2018-0087287号に基づく優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、基板に関する。
【背景技術】
【0003】
対向配置された基板の間に液晶化合物や液晶化合物と染料の混合物などのような光変調物質を配置して、光の透過率や色相又は反射度などを調節するようにした光学デバイスは公知のものである。例えば、特許文献1は、液晶ホスト(liqid crystal host)と二色性染料ゲスト(dichroic dye guest)の混合物を適用した、いわゆるGHセル(Guest host cell)を開示している。
【0004】
このような装置では、基板の間の間隔を維持するために、いわゆるスペーサが上記基板の間に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で言及する物性のうち測定温度がその結果に影響を及ぼす場合には、特に異に規定しない限り、該当物性は常温で測定した物性である。用語「常温」は、加温したり減温しない自然そのままの温度であって、通常、約10℃~30℃の範囲内のある温度、又は約23℃又は約25℃程度の温度である。また、本明細書で特に異に言及しない限り、温度の単位は、「℃」である。
【0008】
本明細書で言及する物性のうち測定圧力がその結果に影響を及ぼす場合には、特に異に規定しない限り、該当物性は常圧で測定した物性である。用語「常圧」は、加圧したり減圧しない自然そのままの圧力であって、通常、約1気圧程度を常圧と指称する。
【0009】
本出願の基板は、基材層及び前記基材層上に存在するスペーサを含み、また、前記基材層とスペーサとの間に黒色層を含んでいてもよい。このとき、前記スペーサは、多様な形状に形成でき、例えば、
図1は、半球型、円柱型、四角柱型又はメッシュ型スペーサの下部に黒色層が形成された場合を示す図である。
【0010】
図2及び
図3は、本出願の例示的な基板であって、基材層10上に前記スペーサ20が存在する場合を示す図である。
【0011】
基材層としては、特に制限はなく、LCD(Liquid Crystal Display)のような公知の光学デバイスの構成において基板に用いられる任意の基材層が適用できる。例えば、基材層は、無機基材層であるか有機基材層であってもよい。無機基材層としては、ガラス(glass)基材層などが例示され得、有機基材層としては、多様なプラスチックフィルムなどが例示され得る。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)又はPP(polypropylene)などのポリオレフィンフィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム;PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム又はPAR(polyarylate)フィルムなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0012】
一つの例示で、前記基材層は、いわゆるフレキシブル基材層であってもよい。本出願の場合、フレキシブル基材層に対しても後述する黒色層をクラック(crack)などの欠陥なしに効果的に形成することができ、基材層が適用用途などによってベンディング(bending)される場合にも黒色層の耐久性が確保され得る。フレキシブル基材層の具体的な種類は特に制限されず、前述した基材層のうち主にプラスチックフィルムや、薄膜ガラス(thin glass)のような非常に薄い無機基材などもフレキシブル基材層として用いられる。
【0013】
本出願の基板で前記基材層の厚さも特に制限されず、用途に応じて適正範囲が選択できる。
【0014】
基材層上にはスペーサが存在する。前記スペーサは、前記基材層に固定されていてもよい。このような場合に、前記スペーサは、前記基材層に直接接して固定されているか、あるいは基材層とスペーサとの間に他の層が存在する場合に該当の他の層上に固定されていてもよい。前記他の層の種類には、光学デバイスの駆動に必要な公知の層が含まれ、例えば、後述する電極層や黒色層などが例示され得る。
【0015】
本出願の基板の一つの例示では、前記スペーサは透明コラムスペーサであってもよく、前記透明コラムスペーサの下部に黒色層が形成されていてもよい。
【0016】
上記で透明スペーサとは、可視光領域のうち少なくともいずれか一つの波長領域又はその全体波長領域の光に対する透過率が、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上又は90%以上である場合を意味し、このような場合に前記透過率の上限は特に制限されない。上記のような透明コラムスペーサは、透明な樹脂を用いて一般的なコラムスペーサの製造方法によって形成することができる。通常、可視光領域は、約380nm~720nmの範囲内であり、一つの例示で、前記透過率は、約550nmの波長で測定することができる。
【0017】
本出願で前記コラムスペーサの形態は特に制限されず、例えば、円柱型や三角、四角、五角又は六角柱型のような多角柱型や、後述する半球型、メッシュ型又はその他の形態が全て適用され得る。
図1は、四角柱型のスペーサ20が適用された断面図であり、
図2は、半球型スペーサ20が適用された断面図である。
【0018】
本出願で前記透明コラムスペーサの下部、すなわち、前記透明コラムスペーサと基材層との間には黒色層が存在する。
【0019】
本明細書で用語「上部」は、基材層で前記基材層上に形成されたスペーサに向かう方向を意味し、「下部」は、前記上部の反対方向を意味する。また、上記で黒色層は、光学密度(optical density)が約1~6程度である層を意味し得る。前記黒色層は、基板の上部及び下部のうちいずれか一つの方向から観察したときに前記光学密度を示すことができ、場合によっては、上部及び下部の両側から観察したときに前記光学密度を示すことができる。前記光学密度は、前記黒色層の透過率(transmittance、単位:%)を測定した後、それを光学密度の数式(光学密度=-log10(T)、Tは、前記透過率)に代入して求めることができる。光学密度は、他の例示で、約1.5以上、2以上、2.5以上、3以上、3.5以上、4以上又は4.5以上程度であってもよく、約5.5以下又は5以下程度であってもよい。
【0020】
光の透過率、色相及び/又は反射度を調節することができる光学デバイスにおいてスペーサが存在する領域は光学的に非活性領域になる。したがって、場合によっては、前記スペーサが存在する領域をブラック化する必要がある。そのために、例えば、スペーサ自体をブラックにする方法、例えば、ブラック樹脂を用いてコラムスペーサを製作する方法を考慮することができるが、このような場合には、ブラック樹脂自体が光を吸収するようになって硬化工程が難しくなるので、高段差のスペーサを製作することが難しい。しかし、上記のような構造の導入を通じて高段差に形成されるとともに光学デバイスの駆動時に非活性領域による光学特性の低下を防止する基板を形成することができる。
【0021】
例えば、前記スペーサの高さは、1μm~50μmの範囲内にあってもよい。前記高さは、他の例示で、3μm以上、5μm以上、7μm以上、9μm以上、11μm以上、13μm以上、15μm以上、17μm以上、19μm以上、21μm以上、23μm以上、25μm以上又は27μm以上であってもよく、48μm以下、46μm以下、44μm以下、42μm以下、40μm以下、38μm以下、36μm以下、34μm以下、32μm以下、30μm以下、28μm以下又は26μm以下であってもよい。
【0022】
前記黒色層は、黒色を具現することができる多様な素材を用いて形成できる。例えば、前記黒色層は、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層又は金属酸窒化物層であるか、顔料又は染料を含む層であってもよい。
【0023】
黒色層の具体的な素材は特に制限されず、例えば、金(Au)、鉛(Pb、lead)、ニオビウム(Nb)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、バナジウム(V)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、クロム(Cr)又はコバルト(Co)などの金属、前記金属のうち2種以上を含む合金金属、前記金属の酸化物、窒化物又は酸窒化物などが用いられ、黒色を具現することができる多様な顔料又は染料も用いることができる。
【0024】
目的に応じて、前記黒色層は、断層構造であるか多層構造であってもよい。一つの例示で、工程の効率性を確保すると共に目的とする暗色化が達成できるようにするために、前記黒色層は多層構造であってもよい。例えば、前記黒色層は、金属層である第1層と金属酸化物層、金属窒化物層又は金属酸窒化物層である第2層を含む2層構造、又は前記第1層の両側に前記第2層が形成されている3層構造の多層構造であってもよい。前記第2層は、一つの例示で、金属酸窒化物層であってもよい。
図4及び
図5は、上記のような第1層301と第2層302が形成された3層構造の黒色層が形成された基板の例示である。このような多層構造では、前記第1層と第2層が示す固有の屈折率、透過特性及び/又は反射特性が互いに連携されて適切な暗色化が達成され得、特に、上記言及した3層以上の多層構造の場合、黒色層の両面で適切な暗色化が達成され得る。前記第1層及び第2層で用いられる金属、金属酸化物、金属窒化物及び/又は金属酸窒化物の具体的な種類は特に制限されず、例えば、上記言及された材料のうち適切な種類が選択できる。一つの例示では、前記第2層は、前記第1層で適用されたものと同一の金属を含む酸化物、窒化物又は酸窒化物を有することができる。
【0025】
上記のようなスペーサと黒色層は、上部又は下部から観察したときに互いに重畳されていてもよい。
【0026】
前記黒色層は、前記スペーサの底部と同一であるかそれより小さい面積を有することができる。すなわち、例えば、黒色層は、実質的にスペーサが存在する面積内でのみ存在することができる。例えば、前記黒色層の面積(B)と前記スペーサの底部の面積(T)の割合(T/B)は、0.5~1.5の範囲内であってもよい。上記割合(T/B)は、他の例示で、約0.55以上、約0.6以上、約0.65以上、約0.7以上、約0.75以上、約0.8以上、約0.85以上、約0.9以上又は約0.95以上であってもよい。また、上記割合(T/B)は、他の例示で、約1.45以下、約1.4以下、約1.35以下、約1.3以下、約1.25以下、約1.2以下、約1.15以下、約1.1以下又は約1.05以下であってもよい。このような配置によりスペーサの基板に対する適切な付着力を確保すると共に、光学デバイスの駆動時に光漏れなどが誘発されることを適切に防止することができる。
【0027】
上記のような黒色層は、目的とする段差及び暗色化などを考慮して適切な厚さを有することができる。例えば、前記黒色層の厚さは、30nm~5000nmの範囲内にあってもよい。また、黒色層が多層構造に形成される場合の各層の厚さも目的とする段差及び/又は暗色化などを考慮して選択することができる。例えば、上記言及した多層構造で第1層及び第2層は、それぞれ30nm~200nmの範囲内で厚さを有することができる。
【0028】
一つの例示で、前記黒色層は、物理的延性(Physical Ductility)値が0.6以上である素材を基盤として形成され得る。本明細書で用語「物理的延性値」は、素材別に業界で公知にされた値であり、材料のポアソン比(Poisson ratio)(v)を基盤とする数式A及び数式Bを通じて求められる値である。物理的延性値は、0~1の範囲内の値を有し、1に近いほど延性のある特性を有することを意味する。
【0029】
【0030】
数式Aで、vは、材料のポアソン比である。
【0031】
【0032】
数式Bで、Dは、物理的延性値であり、xは、数式
【数3】
から求められる値であり、上記でκは、数式Aから求められる値である。
【0033】
前記黒色層は、前記物理的延性(Physical Ductility)値が0.55以上である素材を含んでいてもよく、前記素材は、例えば、金属であってもよい。上記のような素材を適用することで黒色層の形成過程や基板が用途に応じてベンディングされる場合などにおいて、クラックが発生したり、その他の欠点(Defect)が発生する問題を解決することができる。前記物理的延性値は、他の例示で、約1以下、約0.95以下、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下、約0.7以下又は約0.65以下程度であってもよく、約0.6以上であってもよい。このような素材としては、例えば、金(Au、Physical Ductility:約0.93)、鉛(Pb、lead、Physical Ductility:約0.93)、ニオビウム(Nb、Physical Ductility:約0.82)、パラジウム(Pd、Physical Ductility:約0.80)、白金(Pt、Physical Ductility:約0.76)、銀(Ag、Physical Ductility:約0.73)、バナジウム(V、Physical Ductility:約0.73)、スズ(Sn、Physical Ductility:約0.69)、アルミニウム(Al、Physical Ductility:約0.65)又は銅(Cu、Physical Ductility:約0.62)などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0034】
本明細書で上述した黒色層と関連した内容は、前記物理的延性値が0.6以上である素材を用いて同一に適用することができる。
【0035】
例えば、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層及び/又は金属酸窒化物層は、前記物理的延性値が0.6以上である金属を用いて形成することができ、単層であるか多層であるか、厚さ、その他の形態などについての内容も同一に適用することができる。
【0036】
黒色層と共に形成されるスペーサの形態は、上述したように特に制限されない。
【0037】
一つの例示で、前記スペーサは、少なくとも上部には半球部が形成されている半球型スペーサであってもよい。このような半球部を有するスペーサを適用することで、前記スペーサが形成された基材層に配向膜を形成した後にラビング配向又は光配向などの配向処理を進める場合にも前記スペーサによる段差の影響なしにスペーサが存在する領域でも均一な配向処理が可能になる。
【0038】
本出願で用語「半球部」は、その断面の軌跡が所定の曲率を有する曲線形態を含むスペーサの部位を意味し得る。また、前記半球部の断面の軌跡は、少なくとも曲率中心が前記断面軌跡の内部に存在する曲線部位を含んでいてもよい。
【0039】
一つの例示で、前記半球部は、その断面軌跡の最大曲率が2,000mm-1以下であってもよい。公知にされたように、曲率は、線の曲がっている程度を表する数値であり、該当曲線の所定の地点の接触円の半径である曲率半径の逆数で定義される。直線の場合、曲率は0であり、曲率が大きいほど曲線はさらに曲がって存在する。
【0040】
前記半球部の断面軌跡の最大曲率が2,000mm-1以下になるように半球部が曲がっている程度を制御することで、該当半球部の上部で配向膜の配向処理が行われる場合にも均一な配向処理が進められ得る。上記で半球部の断面軌跡を確認する断面は、前記基材層に対する任意の法平面であってもよい。また、最大曲率は、前記半球部の断面軌跡上で求められる全ての接触円に対する曲率のうち最も大きい曲率を意味し得る。言い替えると、前記半球部の断面軌跡は、曲率が2,000mm-1を超過する程度に曲がった部位を含まないこともある。
【0041】
最大曲率は、他の例示で、1,800mm-1以下、1,600mm-1以下、1,400mm-1以下、1,200mm-1以下、1,000mm-1以下、900mm-1以下、950mm-1以下、850mm-1以下、800mm-1以下、750mm-1以下、700mm-1以下、650mm-1以下、600mm-1以下、550mm-1以下、500mm-1以下、450mm-1以下、400mm-1以下、350mm-1以下、300mm-1以下、250mm-1以下、200mm-1以下又は150mm-1以下程度であってもよい。前記最大曲率は、他の例示で、5mm-1以上、10mm-1以上、15mm-1以上、20mm-1以上、25mm-1以上、30mm-1以上、35mm-1以上、40mm-1以上、45mm-1以上又は50mm-1以上であってもよい。
【0042】
前記半球部の断面軌跡は、曲率が0である部位、すなわち、直線形態の部位を含んでもよく、含まなくてもよい。
【0043】
例えば、
図8は、前記曲率が0である部位を含まない半球部の断面軌跡の例示であり、
図9は、曲率が0である部位を含む半球部の断面軌跡の例示である。
【0044】
前記スペーサは、上記のような半球部を少なくとも上部に含んでいてもよい。スペーサは、前記半球部を含む限り多様な形態に形成できる。例えば、前記半球型スペーサは、
図8又は
図9に示したように、基材層100の表面上に前記半球部が直接形成された形態であるか、
図10又は
図11に示したように、上部に前記半球部を含む柱状のスペーサであってもよい。
【0045】
前記半球型スペーサの半球部は、
図8又は
図10に示したように、その断面軌跡が曲率が0である部位を含まないものであってもよく、又は
図9や
図11に示したように、その断面軌跡が曲率が0である部位(頂上部の平らな面)を含んでいてもよい。以下、明細書では、便宜上
図8又は
図10のスペーサの半球部のような形態の半球部を「通常半球部」と称し、
図9又は
図11のスペーサの半球部のように上部に平らな面が形成されている形態の半球部を「扁平半球部」と称することができる。
【0046】
図8~
図11で、H2は、半球部の高さであり、Rは、半球部の曲率半径であり、W1は、扁平半球部の平らな面の長さ(幅)であり、W2は、スペーサの幅であり、H1は、スペーサの全体高さから半球部の高さH2を引いた値である。
【0047】
前記半球部は、完全な半球形態であるか、あるいは大略的に半球形態を有するものであり得る。完全な半球形態は、後述する関係式1を満足する半球形態であり、大略的な半球形態は、下記関係式2~4のうちいずれか一つを満足する半球形態であり得る。
【0048】
前記半球部は、その断面形態が下記関係式1~4のうちいずれか一つを満足する形態であり得る。
【0049】
[関係式1]
a=b=R
【0050】
[関係式2]
a≠b=R or b≠a=R
【0051】
[関係式3]
a=b<R
【0052】
[関係式4]
a≠b<R
【0053】
関係式1~4で、aは、半球部断面の仮想接触円の中心で測定した半球部断面の水平長さであり、bは、半球部断面の仮想接触円の中心で測定した半球部断面の垂直長さであり、Rは、半球部断面の仮想接触円の曲率半径である。
【0054】
関係式1~4での曲率半径は、
図8~
図11のRで表示されている長さに対応する。
【0055】
関係式1~4で、仮想接触円は、半球部を形成する曲線に接する複数の仮想の接触円のうち最も曲率半径が大きい接触円を意味し得る。
【0056】
半球部が
図8及び
図10に示したような通常半球部である場合、半球部全体の断面が曲線であるため、該当曲線の任意の地点である複数の仮想の接触円のうち最も曲率半径が大きい接触円が関係式1~4で意味する仮想接触円である。また、半球部が
図9及び
図11に示したように半球部である場合、半球部断面のうち上部の平らな線を除外した両側曲線の任意の地点である複数の仮想の接触円のうち最も曲率半径が大きい接触円が関係式1~4で意味する仮想接触円になる。
【0057】
関係式1~4で、水平長さは、前記仮想接触円の中心点から基材層の表面(
図8~
図11の符号100)と水平方向に測定した長さであり、垂直長さは、前記仮想接触円の中心点から基材層の表面(
図8~
図11の符号100)と垂直方向に測定した長さである。
【0058】
関係式1~4で、aは、半球部断面の前記仮想接触円の中心から水平方向に進めながら測定した半球部が終わる地点までの長さである。このような水平長さは、前記仮想接触円の中心から右側方向に進めながら測定される長さと左側方向に進めながら測定される2個の長さがあり、関係式1~4で適用されるaは、前記2個の長さのうち短い長さを意味する。
図8及び
図10の形態の半球部の場合、前記水平長さ(a)は、スペーサの幅W2の1/2に対応する数値である。また、
図9及び
図11のような場合に、前記水平長さ(a)の2倍に扁平部の長さ(幅)W1を加えた数値(2a+W1)がスペーサの幅W2に対応し得る。
【0059】
関係式1~4で、bは、半球部断面の前記仮想接触円の中心から垂直方向に上部に進めながら半球部と最初に会う地点までの長さである。このような垂直長さ(b)は、通常的に半球部の高さ、例えば、
図8~
図11において符号H2で表示される長さとほぼ同じであってもよい。
【0060】
図12は、前記関係式1を満足する半球部の断面曲線の形態であって、半球部の曲線が完全な円の曲線、すなわち、前記仮想接触円と一致する曲線を有する場合を示す。
【0061】
また、
図13~
図17は、関係式2~4のうちいずれか一つを満足する大略的な半球部の曲線形態を示す。
【0062】
前記スペーサの下部、例えば、前記基材層側と接触する下部には、その断面軌跡が曲率中心が前記断面の外部に形成される曲線形態であるテーパー部が形成されていてもよい。このような形態により本出願のスペーサの特有の形状による優れた効果、例えば、均一な配向処理の達成などが一層向上し得る。
【0063】
上記のような形態のスペーサの寸法は特に制限されず、例えば、目的とする光学デバイスのセルギャップ(cell gap)や、開口率などを考慮して適切に選択され得る。
【0064】
例えば、前記半球部の高さ(
図8~
図11でのH2)は、1μm~20μmの範囲内にあってもよい。前記高さは、他の例示で、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上又は11μm以上であってもよい。前記高さは、また他の例示で、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下又は11μm以下であってもよい。
【0065】
また、前記半球部の幅(
図8~
図11でのW2)は、2μm~40μmの範囲内にあってもよい。前記幅は、他の例示で、4μm以上、6μm以上、8μm以上、10μm以上、12μm以上、14μm以上、16μm以上、18μm以上、20μm以上又は22μm以上であってもよい。前記幅は、他の例示で、38μm以下、36μm以下、34μm以下、32μm以下、30μm以下、28μm以下、26μm以下、24μm以下又は22μm以下であってもよい。
【0066】
前記スペーサの高さは、スペーサが
図8又は
図9のような形態である場合に、上述した半球部の高さと同一であり、
図10及び
図11のような形態である場合、前記半球部の高さに柱部の高さH1を加えた数値であってもよい。前記高さは、一つの例示で、1μm~50μmの範囲内にあってもよい。
【0067】
前記高さは、他の例示で、3μm以上、5μm以上、7μm以上、9μm以上、11μm以上、13μm以上、15μm以上、17μm以上、19μm以上、21μm以上、23μm以上、25μm以上又は27μm以上であってもよい。前記高さは、他の例示で、48μm以下、46μm以下、44μm以下、42μm以下、40μm以下、38μm以下、36μm以下、34μm以下、32μm以下、30μm以下、28μm以下又は26μm以下であってもよい。
【0068】
上記のように半球型スペーサ又は半球柱型スペーサの寸法を制御することで、スペーサの上部に形成された配向膜に対しても均一な配向処理が可能であり、均一なセルギャップの維持が可能であるので、前記基板が光学デバイスの製造に適用されたときに該当デバイスの性能を優れて維持することができる。
【0069】
前記スペーサは、例えば、上述したように透明樹脂を用いて形成することができる。一つの例示で、前記スペーサは、透明な紫外線硬化型樹脂を含んで形成してもよい。例えば、後述するインプリンティング方式で前記紫外線硬化型化合物の形状を目的とする形態を形成することができる状態に維持した状態で硬化して形成することができ、このような場合に、前記紫外線硬化型化合物の硬化体である紫外線硬化型樹脂が前記スペーサを形成することができる。スペーサの形成に用いられる紫外線硬化型化合物の具体的な種類は特に制限されず、例えば、アクリレート系列の高分子材料又はエポキシ系列の高分子などが用いられるが、これに制限されるものではない。
【0070】
本出願で上記のような材料を適用して上述した形態のスペーサを製造する方式は特に制限されない。例えば、前記スペーサは、インプリンティングを適用して製造することができる。
【0071】
ただし、上述したスペーサの多様な形態のうち半球型スペーサの場合、一般的な方式では製造が難しいか不可能であり、下記提示された方式に製造しなければならない。
【0072】
すなわち、前記半球型スペーサは、
図18に模式的に示したような遮光膜が形成されたインプリンティングマスクを適用して製造することができる。
図18の遮光膜が形成されたインプリンティングマスクは、光透過性、例えば、紫外線透過性の本体の一表面に凹の半球形状9011が形成されており、前記半球形状9011が形成されている表面で半球形状が形成されていない部分には、遮光膜902が形成されている形態である。図面のように前記半球形状9011は、インプリンティングマスクの本体9の一面にインプリンティングモールド901を形成し、そのモールド901に前記半球形状9011及び遮光膜902を形成して製造することができる。必要な場合に、前記遮光膜902が形成されているモールド901の表面には適切な異形処理が行われ得る。
【0073】
上記のような形態のマスクを用いて前記スペーサを製造する例示的な工程が
図19に示されている。
図19のように、まず、基材層100の表面に紫外線硬化型化合物の層200を形成し、その層200上に前記マスク900の凹部を圧着する。その後、前記遮光膜が形成されたマスクの上部から紫外線などを照射して前記化合物の層200を硬化すると、マスク900に形成された半球形態によって前記化合物が硬化されてスペーサが形成される。その後、マスクを除去し、未硬化された化合物を除去することで、スペーサを基材層100上に固定された形態で形成することができる。
【0074】
上記過程で照射される紫外線の光量、マスクの圧着程度及び/又はマスク900の半球形状の形態などを調節することで、目的とする半球型又は半球柱型スペーサを製造することができる。
【0075】
上記した黒色層の形成のためには、前記
図19の方式で紫外線硬化型化合物の層200と基材層100との間にあらかじめ前記黒色層を形成しておいてもよい。すなわち、あらかじめ基材層100上に黒色層を形成しておく、前記硬化工程を進めた後に、未硬化された樹脂層200を除去し、残存する硬化された樹脂層をさらにマスクとして適用して基材層100上の黒色層を除去することで、スペーサと基材層との間に黒色層が存在する前記基板を製作することができる。また、
図19の場合、半球型スペーサを製造するためのマスクを用いる方式を示しているが、上述したように、スペーサの形状は制限されないので、前記マスクの形態は目的とするスペーサの形態によって変更され得る。また、スペーサの上部に黒色層を形成する方式は、レジストインク(resist ink)を陽刻部(スペーサ上部)に選択的にコーティングする方式などのReverse Offset工程などの方式が用いられる。
【0076】
本出願の基板は、前記基材層とスペーサに追加して光学デバイスの駆動に要求される他の要素を含んでいてもよい。このような要素は多様に公知にされており、代表的には電極層などがある。
図6は、
図1の構造の基板で黒色層30と基材層10との間に電極層40が形成された構造の例示であり、
図7は、
図2の構造の基板で黒色層30と基材層10との間に電極層40が形成された構造の例示である。
【0077】
図面のように前記基板は、前記基材層と前記スペーサとの間に電極層をさらに含んでいてもよい。電極層としては、公知の素材が適用できる。例えば、電極層は、金属合金、電気伝導性化合物又は上記のうち2種以上の混合物を含んでいてもよい。このような材料としては、金などの金属、CuI、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZTO(Zinc Tin Oxide)、アルミニウム又はインジウムがドーピングされた亜鉛オキサイド、マグネシウムインジウムオキサイド、ニッケルタングステンオキサイド、ZnO、SnO2又はIn2O3などの酸化物材料や、ガリウムナイトライドのような金属ナイトライド、セレン化亜鉛などのような金属セレン化物、亜鉛スルフィドのような金属スルフィドなどが例示され得る。また、透明な正孔注入性電極層は、Au、Ag又はCuなどの金属薄膜とZnS、TiO2又はITOなどのような高屈折の透明物質の積層体などを用いても形成することができる。
【0078】
電極層は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着又は電気化学的手段などの任意の手段で形成できる。電極層のパターン化も特に制限なしに公知の方式で可能であり、例えば、公知にされたフォトリソグラフィーやシャドーマスクなどを用いた工程を通じてパターン化してもよい。
【0079】
また、本出願の基板は、前記基材層とスペーサ上に存在する配向膜をさらに含んでいてもよい。
【0080】
したがって、他の例示的な本出願の基板は、基材層;前記基材層上に存在するスペーサ;及び前記基材層とスペーサ上に形成された配向膜を含んでいてもよい。
【0081】
上記で基材層とスペーサに対する具体的な内容は上述した通りである。
【0082】
また、前記基材層とスペーサ上に形成される配向膜の種類も特に制限されず、公知の配向膜、例えば、公知のラビング配向膜又は光配向膜が適用できる。
【0083】
前記配向膜を基材層とスペーサ上に形成し、それに対する配向処理を行う方式も公知の方式による。
【0084】
ただし、一つの例示で、前記配向膜が上述した半球型スペーサ上に形成される場合、前記配向膜もスペーサの形状による特有の形状を有することができる。
図20は、このような配向膜の断面軌跡を模式的に示した図である。
図20は、前記スペーサ上に形成された配向膜の断面形態の例示であって、所定の幅W3と高さH3を有するとともに上部が曲率中心が断面内側に形成される半球形態を示す。
【0085】
例えば、前記配向膜もその上部に上述した半球部を含んでいてもよい。この場合、前記半球部は、スペーサの場合と同様にその断面軌跡の最大曲率が2,000mm-1以下であってもよい。前記最大曲率は、他の例示で、1,800mm-1以下、1,600mm-1以下、1,400mm-1以下、1,200mm-1以下、1,000mm-1以下、900mm-1以下、950mm-1以下、850mm-1以下、800mm-1以下、750mm-1以下、700mm-1以下、650mm-1以下、600mm-1以下、550mm-1以下、500mm-1以下、450mm-1以下、400mm-1以下、350mm-1以下、300mm-1以下、250mm-1以下、200mm-1以下又は150mm-1以下程度であってもよい。前記最大曲率は、他の例示で、5mm-1以上、10mm-1以上、15mm-1以上、20mm-1以上、25mm-1以上、30mm-1以上、35mm-1以上、40mm-1以上、45mm-1以上又は50mm-1以上であってもよい。
【0086】
前配向膜の半球部の断面軌跡も曲率が0である部位、すなわち、直線形態の部位を含んでもよく、含まなくてもよい。
【0087】
上記のようなスペーサ上に形成された配向膜の高さまたは幅もその下部に存在するスペーサの高さと幅、そして形成された配向膜の厚さなどに応じて決まることで、特に制限されるものではない。
【0088】
例えば、前記半球部の高さ(
図20のH3)は、1μm~50μmの範囲内にあってもよい。前記高さは、他の例示で、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上又は11μm以上であってもよい。前記高さは、また他の例示で、48μm以下、46μm以下、44μm以下、42μm以下、40μm以下、38μm以下、36μm以下、34μm以下、32μm以下、30μm以下、28μm以下 、26μm以下、24μm、22μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下又は11μm以下であってもよい。
【0089】
前記半球部の幅(
図20のW3)は、1μm~80μmの範囲内であってもよい。前記幅は、他の例示で、2μm以上、3μm以上、4μm以上、6μm以上、8μm以上、10μm以上、12μm以上、14μm以上、16μm以上、18μm以上、20μm以上又は22μm以上であってもよい。前記幅は、他の例示で、78μm以下、76μm以下、74μm以下、72μm以下、70μm以下、68μm以下、66μm以下、64μm以下、62μm以下、60μm以下、58μm以下、56μm以下、54μm以下、52μm以下、50μm以下、48μm以下、46μm以下、44μm以下、42μm以下、40μm以下、38μm以下、36μm以下、34μm以下、32μm以下、30μm以下、28μm以下、26μm以下、24μm以下又は22μm以下であってもよい。
【0090】
上述したように、本出願の基板の場合、スペーサの形態を特有の形態に調節することで、スペーサ上に形成された配向膜の配向処理もスペーサの段差の影響を受けずに均一に行われ得る。
【0091】
このような効果を極大化するために前記配向膜の形態がさらに制御され得る。
【0092】
例えば、前記配向膜の断面は、
図20及び
図21に示したように、前記配向膜の断面で基材層と接する地点から上部に向かう領域は、曲率中心が前記断面の外側に形成される曲線形態であってもよい。このような形態は、例えば、前記スペーサの形態と配向膜の形成条件によって形成され得る。これによって、前記配向膜にラビング処理のような配向処理が行われる場合にもスペーサの段差に影響を受けない均一な配向処理が進められ得る。
【0093】
前記基材層は、上記で言及したような半球型スペーサを含み、それと同一であるか異なるスペーサを含むことで、複数のスペーサを含むことができる。このような複数のスペーサは、前記基材層上で所定の規則性と不規則性を同時に有しつつ配置されていてもよい。具体的に、前記基材層上の複数のスペーサのうち少なくとも一部は互いに異なるピッチを有するように配置されているという側面では不規則な配置であるが、所定の規則によって定められた領域の間では実質的に同一の密度を有しつつ配置されるという側面では規則的である。
【0094】
すなわち、一つの例示で、前記基材層上に配置されるスペーサの少なくとも一部は互いに異なるピッチを有するように配置できる。
【0095】
上記で用語「ピッチ」は、前記複数のスペーサのうち一部を、内部に他のスペーサが存在しない状態の閉図形を形成するように選択したとき、前記閉図形の辺の長さで定義できる。また、特に異に規定しない限り、ピッチの単位は、「μm」である。
【0096】
上記形成される閉図形は、三角形、四角形又は六角形であってもよい。すなわち、複数のスペーサのうち任意に3個のスペーサを選択してそれらを互いに連結したときには、前記三角形が形成され、4個のスペーサを選択してそれらを互いに連結したときは、前記四角形が形成され、6個のスペーサを選択してそれらを互いに連結したときは、前記六角形が形成される。ただし、前記ピッチを決定するときに形成される前記閉図形は、その内部にスペーサが存在しないように形成されるものであるので、例えば、内部に他のスペーサが存在するようにスペーサが選択される場合は前記ピッチの決定時に除外される。
【0097】
一つの例示で、上記のように形成された閉図形である三角形、四角形又は六角形の辺のうち同一の長さを有する辺の数の割合(%)(三角形の場合に100×(同一長さの辺の数)/3、四角形の場合に100×(同一長さの辺の数)/4、六角形の場合に100×(同一長さの辺の数)/6)は、85%以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、84%以下、80%以下、76%以下、67%以下、55%以下又は40%以下であってもよい。前記割合の下限は特に制限されない。すなわち、場合によって、前記閉図形の全ての辺の長さが同一であるとは限らないので、前記割合の下限は、0%であってもよい。
【0098】
上記のように本出願のスペーサの配置は、その少なくとも一部が互いに異なるピッチを有している点で不規則的であるが、このような不規則性は一定の規則性下で制御される。上記で規則性は、スペーサの配置密度が一定領域の間では実質的に近接することを意味し得る。
【0099】
例えば、上記不規則的に配置された複数のスペーサの正常ピッチをPとすれば、前記基材層の表面で10Pを一辺の長さとする正四角形領域を任意に2個以上複数選択したときに、各正四角形領域内に存在するスペーサの個数の標準偏差は2以下である。
【0100】
用語「正常ピッチ」は、実際は不規則的に基材層上に配置されている複数のスペーサを前記スペーサの個数と前記基材層の面積を考慮して仮想的に全てのスペーサが同一のピッチで配置されるように位置させた状態で隣接するスペーサの中心間の距離を意味する。
【0101】
上記で言及した全てのスペーサが同一ピッチを有するように配置された仮想の状態を確認する方式は公知にされており、例えば、CAD、MATLAB、STELLA又はエクセル(Excel)などのような乱数座標発生プログラムを用いて達成することができる。
【0102】
また、前記標準偏差(standard deviation)は、スペーサ個数の散布度を示す数値であり、分散の正の平方根により定められる数値である。
【0103】
すなわち、基材層のスペーサが形成された表面に任意に前記四角形領域を少なくとも2個以上複数指定した後、その領域内に存在するスペーサの個数の標準偏差を求めたときに、その標準偏差は2以下である。前記標準偏差は、他の例示で、1.5以下、1以下又は0.5以下であってもよい。また、前記標準偏差は、その数値が低いほど目的とする規則性が達成されたことを意味するため、その下限は特に制限されず、例えば、0であってもよい。
【0104】
また、上記で指定される四角形領域の数は、2個以上である限り、特に制限されるものではないが、一つの例示で、前記四角形領域が基材層の表面上で互いに重ならないように任意に選択し、その任意に選択された領域が占める面積が前記基材層の全体面積の約10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90% 以上になるようにする個数で選択できる。
【0105】
また、前記任意の四角形領域の一辺を形成する正常ピッチ(P)の範囲は、上述したように基材層上に存在するスペーサの個数と該当基材層の面積により決定できるのであって、特に制限されず、通常的に約100μm~1,000μmの範囲内で決定できる。
【0106】
特に制限されるわけではないが、上記のように任意に選択された正四角形領域内に存在するスペーサの平均個数は、例えば、約80個~150個程度であってもよい。前記平均個数は、他の例示で、82個以上、84個以上、86個以上、88個以上、90個以上、92個以上、94個以上、96個以上又は98個以上であってもよい。また、他の例示で、前記平均個数は、148個以下、146個以下、144個以下、142個以下、140個以下、138個以下、136個以下、134個以下、132個以下、130個以下、128個以下、126個以下、124個以下、122個以下、120個以下、118個以下、116個以下、114個以下又は112個以下であってもよい。
【0107】
また、前記スペーサの平均個数(A)と上記で言及した標準偏差(SD)の割合(SD/A)は、0.1以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、0.04以下又は0.03以下であってもよい。
【0108】
前記平均個数(A)や割合(SD/A)は、場合に応じて変更でき、例えば、前記基板が適用されるデバイスで要求される透過率、セルギャップ(cell gap)及び/又はセルギャップの均一度などを考慮して前記数値は変更できる。
【0109】
他の例示で、前記不規則的に配置されたスペーサが形成されている基材層の表面を同一面積を有する2個以上の領域に分割したとき、各単位領域内に前記スペーサの個数の標準偏差が2以下であってもよい。
【0110】
上記で標準偏差の意味とその具体的な例示は上述した通りである。
【0111】
すなわち、上記例示では、基材層を同一面積を有する少なくとも2個以上の領域に分割し、分割された各単位領域内に存在するスペーサの個数の標準偏差を求めたときに、その標準偏差は2以下である。このような場合に、分割された各単位領域の形態は、該当単位領域が同一の面積を有するように分割される限り特に制限されず、例えば、三角、四角又は六角形領域であってもよい。また、上記状態で標準偏差は、他の例示で、1.5以下、1以下又は0.5以下であってもよく、その下限は、上述したように特に制限されず、例えば、0であってもよい。
【0112】
上記で単位領域の個数は特に制限されるわけではないが、一つの例示で、前記基材層は、同一面積を有する2個以上、4個以上、6個以上、8個以上又は10個以上の領域に分割できる。上記で分割される領域の数が多いほどスペーサの密度がより均一に維持されることを意味するため、分割領域の個数の上限は特別に制限されない。
【0113】
上記のように規則性と不規則性を同時に有するように複数のスペーサが配置されている基板上で前記正常ピッチであるPを一辺とする仮想の正四角形領域を選択したときに、該当領域内に存在するスペーサの平均個数は、0~4の範囲内であってもよい。前記平均個数は、他の例示で、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下又は1.5以下であってもよい。また、前記平均個数は、他の例示で、0.5以上であってもよい。上記で任意に指定される一辺の長さが正常ピッチ(P)である正四角形領域の数は、2個以上である限り、特に制限されるわけではないが、一つの例示で、前記正四角形領域が基材層の表面上で互いに重ならないように任意に選択し、その任意に選択された領域が占める面積が前記基材層の全体面積の約10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上になるようにする個数で選択できる。
【0114】
前記複数のスペーサの全体密度は、基材層の全面積に対してスペーサが占める面積の割合が、約50%以下になるように調節できる。前記割合は、他の例示で、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約9.5%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下又は1.5%以下であってもよい。他の例示で、前記割合は、約0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、0.4%以上、0.5%以上、0.6%以上、0.7%以上、0.8%以上、0.9%以上又は0.95%以上であってもよい。
【0115】
上記のような形態で複数のスペーサが基材層上に配置されることで、光学デバイスを具現したときにスペーサが基板間のピッチ(cell gap)を均一に維持するとともに、いわゆるモアレ現象を誘発せず、均一な光学特性が確保できる。
【0116】
前記各数値は、必要な場合に変更でき、例えば、前記基板が適用されるデバイスから要求される透過率、セルギャップ(cell gap)及び/又はセルギャップの均一度などを考慮して前記数値は変更できる。
【0117】
前記複数のスペーサは、そのスペーシング正規分布図が所定の形態を示すように配置され得る。
【0118】
上記でスペーシング正規分布図は、スペーサ間のピッチをX軸とし、全体スペーサのうち該当ピッチを有するスペーサの割合をY軸として図示した分布図であり、このとき、スペーサの割合は、全体スペーサの数を1としたときに求められる割合である。
【0119】
本明細書で前記スペーシング正規分布図と関連した説明でのピッチは、上記で言及した閉図形である三角形、四角形又は六角形での辺の長さである。
【0120】
前記分布図は、公知の乱数座標プログラム、例えば、CAD、MATLAB又はSTELLA乱数座標プログラムなどを用いて求めることができる。
【0121】
一つの例示で、前記複数のスペーサは、前記分布図での半分の高さ面積が0.4~0.95の範囲内になるように配置され得る。前記半分の高さ面積は、他の例示で、0.6以上、0.7以上又は0.85以上であってもよい。また、前記半分の高さ面積は、他の例示では、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下又は0.5以下であってもよい。
【0122】
前記複数のスペーサは、前記分布図での半分の高さ幅(FWHM)と平均ピッチ(Pm)の比(FWHM/Pm)が1以下になるように配置され得る。前記比(FWHM/Pm)は、他の例示で、0.05以上、0.1以上、0.11以上、0.12以上又は0.13以上であってもよい。また、前記比(FWHM/Pm)は、他の例示では、約0.95以下、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下、約0.7以下、約0.65以下、約0.6以下、約0.55以下、約0.5以下、約0.45以下又は約0.4以下であってもよい。
【0123】
前記で言及する平均ピッチ(Pm)は、上記した閉図形である三角形、四角形又は六角形を形成するように少なくとも80%以上、85%以上、90%以上又は95%以上のスペーサを選択したときに選択されたスペーサにより形成される三角形、四角形又は六角形の各辺の長さの平均である。また、上記でスペーサは、形成された三角形、四角形又は六角形が互いに頂点は共有しないように選択される。
【0124】
前記複数のスペーサは、前記分布図での半分の高さ幅(FWHM)が0.5μm~1,000μmの範囲内にあるように配置され得る。前記半分の高さ幅(FWHM)は、他の例示で、約1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上、11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、15μm以上、16μm以上、17μm以上、18μm以上、19μm以上、20μm以上、21μm以上、22μm以上、23μm以上又は24μm以上であってもよい。他の例示で、前記半分の高さ幅(FWHM)は、約900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下又は30μm以下であってもよい。
【0125】
前記複数のスペーサは、前記スペーシング正規分布図の最大高さ(Fmax)が0.006以上であり、1未満になるように配置され得る。前記最大高さ(Fmax)は、他の例示で、約0.007以上、約0.008以上、約0.009以上又は約0.0095以上であってもよい。また、前記最大高さ(Fmax)は、他の例示で、約0.9以下、約0.8以下、約0.7以下、約0.6以下、約0.5以下、約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下、約0.1以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下又は約0.02以下であってもよい。
【0126】
複数のスペーサが上記のような形態のスペーシング正規分布図を有するように配置されることで、前記基板を通じて光学デバイスを具現したときに、スペーサが基板間のピッチ(cell gap)を均一に維持するとともに、いわゆるモアレ現象を誘発せず、均一な光学特性が確保されるようにすることができる。
【0127】
複数のスペーサが上記のように不規則性と規則性を同時に有するように配置されるために不規則度という概念が導入される。以下、上記のような形態のスペーサの配置を設計するための方法を説明する。
【0128】
上記で言及した規則性と不規則性を同時に有するスペーサの配置を達成するためには、正常配置状態から出発して不規則性を有するようにスペーサを再配置するステップを行う。
【0129】
上記で正常配置状態は、複数のスペーサが基材層上で全ての辺の長さが同一の正三角形、正四角形又は正六角形を形成するように配置された状態である。
図22は、一つの例示であって、スペーサが前記正四角形を形成するように配置された状態である。この状態での正四角形の一辺の長さPは、上述した正常ピッチと同一であり得る。上記のような配置状態で一つのスペーサが存在する地点を基準として上記の一辺の長さPに対して一定割合になる長さの半径を有する円領域を指定し、その領域内で上記一つのスペーサが無作為的に移動するようにプログラムをセッティングする。例えば、
図22は、前記長さPに対して50%の長さ(0.5P)の半径を有する円領域を設定し、その領域内の任意の地点に前記スペーサが移動する形態を模式的に示している。上記のような移動を少なくとも80%以上、85%以上、90%以上、95%以上又は100%(全てのスペーサ)のスペーサに適用して上述した配置を達成することができる。
【0130】
上記のような設計方式で、前記円領域の半径となる長さPに対する割合が不規則度と定義され得る。一つの例示で、前記設計方式での不規則度は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上又は約65%以上であってもよい。前記不規則度は、一つの例示で、約95%以下、約90%以下、約85%以下又は約80%以下であってもよい。
【0131】
上記のような方式でスペーサの配置を設計し、設計された配置によってスペーサを形成することで、上述した不規則性と規則性を同時に有する配置を達成することができる。
【0132】
また、上記では正常状態が正方形から出発する場合を例示したが、前記正常状態は正三角形又は正六角形など他の図形であってもよく、その場合にも上述した配置が達成できる。
【0133】
また、上記のような方式でスペーサの配置を設計する手段は特に制限されず、公知の乱数座標プログラム、例えば、CAD、MATLAB、STELLA又はExcel乱数座標プログラムなどを用いることができる。
【0134】
例えば、上記のような方式で、まず、スペーサの配置を設計した後に該当設計によるパターンを有するマスクなどを製造し、該当マスクを上述したリソグラフィー又はインプリンティング方式などに適用して上記のようなスペーサを具現することができる。
【0135】
また、本出願は、上記のような基板を用いて形成した光学デバイスに関する。
【0136】
本出願の例示的な光学デバイスは、前記基板及び前記基板と対向配置されており、前記基板のスペーサにより前記基板との間隔が維持された第2基板を含んでいてもよい。
【0137】
前記光学デバイスで2個の基板の間の間隔には光変調層が存在することができる。本出願で用語「光変調層」には、入射した光の偏光状態、透過率、色調及び反射率などの特性のうち少なくとも一つの特性を目的によって変化させることができる公知の全ての種類の層が含まれ得る。
【0138】
例えば、前記光変調層は、液晶物質を含む層であって、電圧、例えば、垂直電界や水平電界のオン-オプ(on-off)によって拡散モードと透過モードの間でスイッチングされる液晶層であるか、透過モードと遮断モードの間でスイッチングされる液晶層であるか、透過モードとカラーモードでスイッチングされる液晶層又は互いに異なる色のカラーモードの間をスイッチングする液晶層であってもよい。
【0139】
上記のような光変調層、例えば、液晶層は、多様に公知にされている。一つの例示的な光変調層としては、通常的な液晶ディスプレイに用いられる液晶層の使用が可能である。他の例示で、光変調層は、多様な形態のいわゆるゲストホスト液晶層(Guest Host Liquid Crystal Layer)、高分子分散型液晶層(Polymer Dispersed Liquid Crystal)、画素孤立型液晶層(Pixcel-isolated Liquid Crystal)、浮遊粒子デバイス(Suspended Particle Deivice)又は電気変色ディスプレイ(Electrochromic device)などであってもよい。
【0140】
上記で高分子分散型液晶層(PDLC)は、いわゆるPILC(pixel isolated liquid crystal)、PDLC(polymer dispersed liquid crystal)、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)又はPSLC(Polymer Stabilized Liquid Crystal)などを含む上位概念である。高分子分散型液晶層(PDLC)は、例えば、高分子ネットワーク及び前記高分子ネットワークと相分離された状態で分散している液晶化合物を含む液晶領域を含んでいてもよい。
【0141】
上記のような光変調層の具現方式や形態は特に制限されず、目的に応じて公知にされた方式を制限なしに採択することができる。
【0142】
また、前記光学デバイスは、必要な場合、さらなる公知の機能性層、例えば、偏光層、ハードコーティング層及び/又は反射防止層などもさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0143】
本出願は、特定形態のスペーサが形成された基板、前記スペーサ上に形成された配向膜を含む基板及びそのような基板を用いた光学デバイスなどに関する。本出願では、目的とする暗色化が確保された高段差のスペーサを形成することができる構造が提示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【
図3】スペーサの形成形態を示す例示的な図である。
【
図8】本出願のスペーサの例示的な形態の模式図である。
【
図9】本出願のスペーサの例示的な形態の模式図である。
【
図10】本出願のスペーサの例示的な形態の模式図である。
【
図11】本出願のスペーサの例示的な形態の模式図である。
【
図12】本出願のスペーサの例示的な形態を説明するための図である。
【
図13】本出願のスペーサの例示的な形態を説明するための図である。
【
図14】本出願のスペーサの例示的な形態を説明するための図である。
【
図15】本出願のスペーサの例示的な形態を説明するための図である。
【
図16】本出願のスペーサの例示的な形態を説明するための図である。
【
図17】本出願のスペーサの例示的な形態を説明するための図である。
【
図18】一つの例示によって本出願のスペーサの製作に用いられるマスクの形態を示す図である。
【
図19】
図18のマスクを用いてスペーサを製作する過程の模式図である。
【
図20】スペーサ上に形成された配向膜の例示的な断面の模式図である。
【
図21】スペーサ上に形成された配向膜の例示的な断面の模式図である。
【
図22】不規則度を具現する方式を説明するための図である。
【
図23】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図24】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図25】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図26】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図27】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図28】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図29】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図30】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図31】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図32】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図33】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図34】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図35】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【
図36】実施例又は比較例で形成された黒色層又はスペーサの写真、又は実施例又は比較例の性能を比較する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0145】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は、下記実施例によって制限されるわけではない。
【0146】
<実施例1>
図18に示したような形態のインプリンティングマスクを製造し、それを用いて半球型スペーサを製造した。インプリンティングマスクは、
図18に示した形態によってPET(poly(ethylene terephthalate))本体9にインプリンティングモールド901を形成し、前記モールド901に凹部9011を形成した後、凹部9011が形成されていない面に黒色層(AlOxNy)902を形成し、黒色層902と凹部9011上に離型層を形成して製造した。このとき、凹部は、幅が約24μm~26μmの範囲内であり、約9μm~10μm程度である半球形状に形成した。また、スペーサの配置は、
図22に記載された不規則度が約70%程度になるように前記凹部を形成した。
【0147】
PC(polycarbonate)基材層(
図6及び
図7の10)上に結晶質のITO(Indium Tin Oxide)電極層(
図6及び
図7の40)を形成し、その上に黒色層(
図6及び
図7の30)を形成した。前記黒色層は、アルミニウム酸窒化物(AlON)、アルミニウム(Al)及びアルミニウム酸窒化物(AlON)をそれぞれ約60nm、80nm及び60nm程度の厚さで蒸着して全体厚さが約200nm程度である3層構造(AlON/Al/AlON)に形成した。上記でアルミニウムは、物理的延性(physical ductility)値が約0.65程度と知られている金属である。
図24は、上記形成された黒色層が形成された基材層を上部から観察した図であり、フレキシブル基材層であるPC基材層上でクラック(crack)などを誘発せず、安定的に黒色層が形成されたことが確認できる。
【0148】
次に、前記黒色層上にコラムスペースの製造に用いられる通常の紫外線硬化型アクリレート系列のバインダー及び開始剤の混合物(UV(Ultraviolet)樹脂)を約2~3mL程度滴下(dropping)し、前記インプリンティングマスクで前記滴下された混合物を圧着して、基材層、電極層、黒色層、UV樹脂層及びインプリンティングマスク層を含む積層体を形成した状態で紫外線を照射して前記UV樹脂層を硬化した。このような工程を通じてマスク900の凹部のパターンによるレンズの集光効果が得られるため、硬化部位の硬化度を高めることができる。
【0149】
その後、未硬化されたUV樹脂層200を除去(現像)し、未硬化されたUV樹脂層が除去された部位の黒色層を除去(エッチング)して、PC基材層のITO電極層及び黒色層上に半球型スペーサを形成した。
【0150】
図23は、上記のような方式で製造された半球型スペーサの側面であり、形成された半球型スペーサは、高さが約12μm程度であり、幅が約25μm程度であった。
図25は、実施例の基板を適用して製作した液晶セルの遮光状態での写真である。
【0151】
<実施例2>
実施例1のように、PC(polycarbonate)基材層(
図6及び
図7の10)上に結晶質のITO(Indium Tin Oxide)電極層(
図6及び
図7の40)を形成し、その上に黒色層(
図6及び
図7の30)を形成した。黒色層は、まず、銅(Cu)をITO電極層上に約80nm程度の厚さで蒸着した後、さらに銅酸化物(CuOx)約30nm程度の厚さで蒸着して、2層構造(Cu/CuOx)に形成した。上記で銅は、物理的軟性(physical ductility)が約0.62程度と知られた金属である。その後、スペーサとして、円柱状のコラムスペーサが形成されるようにマスクを変更して適用したこと以外は、実施例1と同じ方式でスペーサを製作した。前記円柱状のコラムスペーサの形成時には、遮光層が含まれたフォトマスクとしてポリエステルフィルムである本体の一面に遮光層が形成され、その後、保護層が形成されたコアリンク社の常用製品を適用した。
図26は、上記のように形成されたスペーサの写真である。
図26の(a)は、OM形状であり、(b)は、SEMイメージである。
【0152】
<実施例3>
ハニカム形態に配置されたスペーサを形成したこと以外は、実施例1と同じ方式でスペーサを製作した。
図27は、上記のように形成されたスペーサの写真である。
図27で(A)及び(B)は、それぞれ低段差パターンの低倍率及び高倍率SEM(Scanning electron microscope)イメージであり、(C)は、高段差パターンの高倍率SEM(Scanning electron microscope)イメージであり、(D)は、反射モードのOM(Optical Microscopy)低倍率イメージであり、(E)は、透過モードの高倍率写真である。
【0153】
<比較例1>
黒色層を形成しないこと以外は、実施例1と同じ方式でスペーサを製作した。
図28は、前記比較例1の基板を適用した液晶セルの遮光状態での写真である。
【0154】
<比較例2>
実施例のように黒色層とコラムスペーサを形成せずに、スペーサとして公知にされたブラックボールスペーサ(Black Ball Spacer)(Sekisui Chem社、KBN-512)を適用して、液晶セルを製造した。前記液晶セルは、下部基材層であるITO電極層が形成されたフィルムの前記ITO電極層上に前記ブラックボールスペーサが分散された配向膜をコーティングした後に、同一にITO電極層が形成されたフィルムの前記ITO電極層をボールスペーサが分散された配向膜がコーティングされた下部基材層のITO電極層と対向配置させた状態で、その間に液晶を満たして合着して製作した。
図29は、前記液晶セルの遮光状態での写真である。
【0155】
<比較例3>
黒色層を形成せずに、その代わりに紫外線硬化型樹脂(UV)内にカーボンブラックを約3重量%の量で適用してコラムスペーサを形成したこと以外は、実施例1と同じ方式でスペーサを製作した。
図30は、前記比較例3の基板を適用した液晶セルの遮光状態での写真である。
【0156】
<試験例1>
図31及び
図32は、それぞれ実施例1及び比較例1で形成されたコラムスペーサフィルムのOM(Optical Microscopy)イメージである。
【0157】
図31は、左側からそれぞれ実施例1の低倍率(x200)反射モードイメージ、低倍率(x200)透過モードイメージ、高倍率(x500)反射モードイメージ及び高倍率(x500)透過モードイメージであり、
図32は、左側からそれぞれ比較例1の低倍率(x200)反射モードイメージ、低倍率(x200)透過モードイメージ、高倍率(x500)反射モードイメージ及び高倍率(x500)透過モードイメージである。
【0158】
図33及び
図34は、それぞれ実施例1のコラムスペーサフィルムを適用して製作した液晶セルにおいて遮光モードでの低倍率(x200)及び高配率(x500)透過モードのOM(Optical Microscopy)イメージであり、
図35及び
図36は、それぞれ比較例1のコラムスペーサフィルムを適用して製作した液晶セルにおいて遮光モードでの低倍率(x200)及び高配率(x500)透過モードのOM(Optical Microscopy)イメージである。図面を参照すると、比較例1は、コラムスペーサの形成部位から発生する光漏れが観察され、これにより透過率が増加する問題が発生した。
【0159】
また、Black Inkコーティング後の測定結果、実施例1は、コーティングされたBlack Inkに比べて高い光学密度により全体透過率が全面Black Inkコーティングより低く現われ(11.7μm全面Black Inkコーティング透過率:約1.7%)、比較例1の場合、光漏れにより、全体透過率が全面Black Inkコーティングより高く現われた(12.5μm全面Black Inkコーティング透過率:約2.2%)。