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特許7067696炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/83 20060101AFI20220509BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20220509BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20220509BHJP
   C07C 19/03 20060101ALI20220509BHJP
   C07C 19/04 20060101ALI20220509BHJP
   C07C 17/154 20060101ALI20220509BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220509BHJP
【FI】
B01J23/83 Z
B01J35/10 301J
B01J37/02 101C
C07C19/03
C07C19/04
C07C17/154
C07B61/00 300
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020536777
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 KR2019002232
(87)【国際公開番号】W WO2019164342
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0022215
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】513246872
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バン、ジュンウプ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ド ヘイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ギョ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】バン、ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】リョウ、ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョングン
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05113027(US,A)
【文献】特開平11-221465(JP,A)
【文献】特開2008-018358(JP,A)
【文献】特表2016-518968(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0037900(KR,A)
【文献】特開2010-149115(JP,A)
【文献】特開平08-243395(JP,A)
【文献】SCHARFE, M. et al.,ACS Catalysis,American Chemical Society,2018年02月15日,Vol.8,pp.2651-2663,<DOI:10.1021/acscatal.7b04431>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07C 17/15 - 17/156
C07C 19/01 - 19/055
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅を含む触媒物質、および
セリウムオキサイド(CeO)を含む担体を含み、
前記触媒物質は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される1以上の第1助触媒、およびランタドを含む第2助触媒をさらに含むものであり、
前記担体は、セリウムオキサイド(CeO )の単一組成を有するものである、
炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒。
【請求項2】
前記触媒物質は、前記炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒全体の重量を基準として、5重量%以上25重量%以下で含まれるものである請求項1に記載の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒。
【請求項3】
前記第1助触媒および第2助触媒の含量は、同一または異なり、それぞれ前記銅100重量部に対して10重量部以上2,000重量部以下で含まれるものである請求項1または2に記載の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒。
【請求項4】
前記第1助触媒は、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択される1以上を含むものである請求項1から3の何れか一項に記載の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒。
【請求項5】
前記第2助触媒は、イットリウムおよび希土類元素からなる群から選択される1以上をさらに含むものである請求項1から4の何れか一項に記載の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒。
【請求項6】
前記担体の比表面積は、50m/g以上250m/g以下のものである請求項1から5の何れか一項に記載の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒。
【請求項7】
直径が0.1mm以上1.0mm以下のものである請求項1からの何れか一項に記載の炭化水素の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒。
【請求項8】
セリウムオキサイド(CeO)を含む担体を用意するステップ、および
銅を含む活性物質、第1助触媒、および第2助触媒を前記担体に担持するステップを含むものである請求項1からのいずれか一項に記載の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒の製造方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒下で行われ、
炭化水素のオキシクロロ化反応を含む炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法。
【請求項10】
450℃以上550℃以下の工程温度、0.5atm以上3atm以下の圧力および2,000h-1以上20,000h-1以下の空間速度下で行われるものである請求項に記載の炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法。
【請求項11】
固定層反応器、流動層反応器または循環流動層反応器内で行われるものである請求項または1に記載の炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年2月23日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0022215号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
原油価格の持続的な上昇により、安価でかつ埋蔵量の豊かな天然ガスの活用方案に関する研究は、その重要性がさらに増大しており、主に天然ガス中のメタンに対し、酸素を用いる熱分解反応および触媒を用いるカップリング反応に関する先行技術が多く報告されている。これと共にメタンの活性化のためにクロリン化合物を用いることができる従来の方案として、メタンとクロリンとを高温で熱分解する方法が、米国登録特許第4199533号、米国登録特許第4804797号、米国登録特許第4714796号および米国登録特許第4983783号などに開示されている。しかし、前記メタンのクロリンによる高温熱分解方法は、選択度の調節において単に提供される熱供給量および反応時間に依存するので、メチレンクロライドやコークスのような副産物の発生が付加的に多く生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許10-2010-0074017号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒、その製造方法およびそれを用いた炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施形態は、銅を含む触媒物質、およびセリウムオキサイド(CeO)を含む担体を含み、前記触媒物質は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される1以上の第1助触媒、およびランタナイドを含む第2助触媒をさらに含むものである炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒を提供する。
【0007】
また、本明細書の一実施形態は、セリウムオキサイド(CeO)を含む担体を用意するステップ、および銅を含む触媒物質、第1助触媒、および第2助触媒を前記担体に担持するステップを含むものである前記炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒の製造方法を提供する。
【0008】
また、本明細書の一実施形態は、前記炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒下で行われ、炭化水素のオキシクロロ化反応を含む炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒は、オキシクロロ化工程に用いられる場合、目的生成物の選択度を高めることができる効果を有する。
【0010】
また、本明細書の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒は、オキシクロロ化工程に用いられる場合、一酸化炭素または二酸化炭素のような副産物の生成を抑制できる効果を有する。
【0011】
また、本明細書の炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒は、オキシクロロ化工程に用いられる場合、低い温度でも目的生成物の選択度を高めることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に係る触媒のXRDパターンを示すものである。
図2】実験例1または実験例2の結果を示すものである。
図3】実験例1または実験例2の結果を示すものである。
図4】実験例1または実験例2の結果を示すものである。
図5】工程試験で使用された反応器を示すものである。
図6】実施例2の触媒のEDS資料である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本明細書について説明する。
【0014】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にさらに別の部材が存在する場合も含む。
【0015】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
本明細書において、「触媒物質」は、触媒活性を有する「活性物質」であってもよい。
【0017】
本明細書において、別の言及がない限り、「触媒」は、炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒であってもよい。
【0018】
本明細書において、「炭化水素のオキシクロロ化工程」は、炭化水素の水素を塩素に置換するための工程を意味し、炭化水素の酸化的クロロ化工程とも命名することができる。例えば、メタン気体(CH)の水素を塩素に置換してクロロメタン(CHCl、CHClまたはCHCl)を生成する工程であってもよいし、下記化学式(I)で表されることができる。下記一般式(I)を通じて生成されたクロロメタンは、下記一般式(II)を通じて有用な化学物質製品に切り換えられる。下記一般式(I)ではクロロメタンだけでなく、一酸化炭素または二酸化炭素のような副産物が生成され得る。
【0019】
CH+HCl+O→クロロメタン+HO (I)
クロロメタン→化学物質製品+HCl (II)
【0020】
本明細書では、前記一般式(I)の工程で使用される触媒で、かつ生成物のうちクロロメタンの選択度は高めながらも、副産物の選択度は最小化することができる触媒を提供しようとする。
【0021】
本明細書は、銅を含む触媒物質、およびセリウムオキサイド(CeO)を含む担体を含み、前記触媒物質は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される1以上の第1助触媒、およびランタナイドを含む第2助触媒をさらに含むものである炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒を提供する。前記担体がセリウムオキサイドを含むことによって、セリウムオキサイドの優れた酸素吸・脱着性能によって触媒安定性、寿命増加および生産量増加の効果を誘導することができる。また、セリウムオキサイド担体に前記銅および助触媒を同時に含むことによって、前述した効果を増大することができる。
【0022】
本明細書は、炭化水素のオキシクロロ化反応を通じてクロロ化合物を製造するにおいて、担体としてセリウムオキサイドを含み、触媒物質に含まれる活性物質として銅を使用し、前述した第1助触媒と第2助触媒を使用することによって、固定層、流動層または循環流動層反応器で使用することができる。
【0023】
また、本明細書の一実施形態に係る触媒を使用することによって、炭化水素のオキシクロロ化工程時に生じる副産物の生成を極力抑制し、目的生成物の生成を最大化しようとする。例えば、反応物がメタン(CH)であり、目的生成物がメタンのクロロ化化合物であるCHCl、CHClおよびCHClである場合、副産物であるCOおよびCOが生じるが、このとき、前記クロロ化メタンCHCl、CHClおよびCHClの生成量を最大化し、副産物であるCOおよびCOの発生を最小化しようとする。この場合、有害な物質である二酸化炭素および一酸化炭素の発生量を最小化し、工程によって生じ得る危険を抑制しながら、目的生成物の生産量を増加させて工程コストの節減を誘導しようとする。
【0024】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒は、銅、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される1以上の第1助触媒、およびランタナイドを含む第2助触媒が前記セリウムオキサイド(CeO)を含む担体に担持されたものであってもよい。前記担持方法は、この技術が属する分野において一般的に使用される方法であれば、特に制限されず、具体的な方法については後述することにする。
【0025】
本明細書の一実施形態において、前記触媒物質に含まれる銅は活性物質として使用することができる。具体的に、銅が触媒物質に含まれることによって、炭化水素のオキシクロロ化工程で生じ得る一酸化炭素または二酸化炭素のような副産物の選択度を減らすことができる効果がある。
【0026】
本明細書の一実施形態において、前記触媒物質は、銅のほかに活性物質として白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、チタニウム(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)または錫(Zn)をさらに含むことができ、これらは単独で、または合金の形態で使用することができる。
【0027】
本明細書の一実施形態において、前記触媒物質は、前記担体に担持されたものであってもよい。担持される方法は、この技術が属する分野において一般的に使用される方法であれば、特に制限されず、具体的な方法については後述することにする。
【0028】
本明細書の一実施形態において、前記触媒物質は、前記炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒全体の重量を基準として、5重量%以上25重量%以下、好ましくは10重量%以上23重量%以下、より好ましくは15重量%以上20重量%以下で含まれるものであってもよい。前記数値範囲を満足する場合、触媒物質による触媒の機能が効率的に行われることができ、触媒の非活性化現象が抑制できる効果がある。
【0029】
本明細書の一実施形態において、前記第1助触媒および第2助触媒の含量は、同一または異なり、それぞれ前記銅100重量部に対して10重量部以上2,000重量部以下、15重量部以上1,000重量部以下、20重量部以上500重量部以下、80重量部以上300重量部以下、または100重量部以上200重量部以下であってもよい。前記数値範囲を満足する場合、触媒の反応活性点が多くなることができる。前記触媒物質(または第1助触媒および第2助触媒)の含量は、触媒物質(または第1助触媒および第2助触媒)が担体に担持される程度を意味する。
【0030】
本明細書の一実施形態において、前記第1助触媒は、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択される1以上を含むものであってもよい。
【0031】
本明細書の一実施形態において、前記第1助触媒は、カリウムを含むことができる。第1助触媒としてカリウムが含まれる場合、活性物質への寄与度が高くなり得る効果がある。
【0032】
本明細書の一実施形態において、前記第2助触媒は、イットリウムおよび希土類元素からなる群から選択される1以上をさらに含むものであってもよい。
【0033】
本明細書の一実施形態において、前記希土類元素は、スカンジウム(Sc)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)またはルテニウム(Lu)であってもよい。
【0034】
本明細書の一実施形態において、前記第2助触媒は、ランタンを含むことができる。第2助触媒としてランタンが含まれる場合、活性物質への寄与度が高くなり得る効果がある。
【0035】
本明細書の一実施形態において、前記第1助触媒は、カリウムであり、第2助触媒は、ランタンであってもよい。この場合、活性物質への寄与度を最大化できる。
【0036】
本明細書の一実施形態において、前記担体は、セリウムオキサイド(CeO)の単一組成を有するものであってもよい。前記セリウムオキサイド(CeO)の単一組成とは、前記担体がセリウムオキサイドのほかに、別の物質をほとんど含まないか、含んでいても少量含むことを意味する。例えば、前記担体全体100重量基準として前記セリウムオキサイドの含量が80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上であってもよいし、最も好ましくは100重量%であってもよい。
【0037】
前記担体がセリウムオキサイド(CeO)の単一組成を有することは、この技術が属する分野において使用される一般的な方法によって確認することができる。例えば、X-Ray Diffraction peak patternsを確認してCeOの存在有無を確認することができる。具体的に、(111)、(200)、(220)、(311)結晶面に該当するpeakが存在する場合、キュービック上のCeOが存在することを確認することができる。また、Energy dispersive spectroscopy(EDS)の測定を通じてCeおよびO原子の存在有無および重量%を確認することができる。前記EDS分析は、SEM写真と共に試料の化学的組成を確認するために使用されるものである。前記セリウムオキサイドに対するEDS測定時、CeおよびO原子に該当するpeakが観察される。一方、CeおよびO原子ではない他の原子のpeakがほとんど観察されない場合、前記担体がセリウムオキサイドの単一組成を有するものであることを確認することができる。
【0038】
本明細書の一実施形態において、前記担体は、セリウムオキサイドのみで構成されてもよい。
【0039】
本明細書の一実施形態において、前記セリウムオキサイド(CeO)を含む担体は、粉末形状であってもよいし、粉末は球体形状であってもよいし、前記担体を含む触媒の直径については後述することにする。
【0040】
本明細書の一実施形態において、「A-B-C/CeO触媒」は、CeO担体に金属または金属酸化物であるA、BおよびCが担持されたことを意味することができる。
【0041】
本明細書の一実施形態において、前記担体の比表面積は、50m/g以上250m/g以下であってもよいし、100m/g以上200m/g以下、好ましくは130m/g以上150m/g以下であってもよい。前記数値範囲を満足する場合、触媒の活性成分との接触面積が広く確保でき、流入ガスが触媒内に伝達されるとき、物質伝達抵抗が適宜制御され、優れた原料ガスの転換率が達成できる。前記担体の比表面積は、担体の総重量(g)に対する担体内部気孔の面積(m)を意味することができる。前記担体の比表面積は、この技術分野において一般的に使用される方法によって測定することができ、例えば、BET(Brunauer、Emmett and Teller)法によって測定することができる。担体表面に分子やイオンを吸着させ、その吸着量から表面積を測定する気相吸着法の一種であり、サンプルを250℃で5時間保管した後、Micromeritics ASAP 2010機械を用いて、N adsorption-desorption isothermを用いて測定することができる。
【0042】
本明細書の一実施形態において、前記担体は、Zr、Y、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、ランタナイド元素および希土類元素からなる群から選択された1以上の元素を含む複合酸化物をさらに含むことができる。アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、ランタナイド元素および希土類元素に関する具体的な例は、前述の通りである。
【0043】
本明細書の一実施形態において、前記複合酸化物の例は、CeZr複合酸化物(70:30)、CeZrLa複合酸化物(86:10:4)、CeZrLa複合酸化物(66:29:5)、CeZrLaY複合酸化物(40:50:5:5)、CeZrPr複合酸化物(40:55:5)、CeZrLaNdPr複合酸化物またはCeZrNdPrCa複合酸化物などがある。後段の括弧内の数字は、各元素の重量比率を意味する。
【0044】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒の直径は、0.1mm以上1.0mm、好ましくは0.1mm以下0.5mm、より好ましくは0.18mm以下0.25mmであってもよい。触媒の直径が0.1mmよりも小さい場合、反応器内の圧力降下現象が大きく生じ、転換率または反応速度が低下し得る。一方、触媒の直径が1.0mmを超過する場合、反応物が触媒層を通さない偏流(channeling)現象が生じ得る。前記触媒の直径は、触媒粒子の平均粒子径を意味することができる。前記触媒の直径は、この技術分野において一般的に使用される方法によって測定することができ、例えば、SEM(走査電子顕微鏡、Scanning Electron Microscopy)またはTEM(透過電子顕微鏡、Transmission Electron Microscopy)を用いて、2つ以上の触媒粒子の各直径を測定し、測定された粒子の直径の平均を平均粒子径として計算することができる。
【0045】
本明細書の一実施形態は、セリウムオキサイド(CeO)を含む担体を用意するステップ、および銅を含む活性物質、第1助触媒、および第2助触媒を前記担体に担持するステップを含むものである前述した炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒の製造方法を提供する。
【0046】
本明細書の一実施形態において、前記銅を含む活性物質、第1助触媒、および第2助触媒を前記担体に担持するステップは、初期含浸法(incipient wetness method)を用いることができ、そのほかに、別の含浸法も用いることができる。前記沈殿法では、共沈法(coprecipitation method)、均一沈殿法(homogeneous precipitation method)または連次沈殿法(sequential precipitation method)などを用いることができる。沈殿法で触媒粉末の製造時、構成要素である活性物質と担体とを同時に沈殿させることによって、粉末状の触媒が得られ、活性物質の比率を自由に調節することができ、活性物質と担体との間の相互結合力を強くして、安定性に優れた触媒粉末の製造が可能である。
【0047】
本明細書の一実施形態において、銅を含む活性物質、第1助触媒、および第2助触媒を前記担体に担持するステップは、活性物質前駆体を含む活性物質前駆体、第1助触媒を含む第1助触媒前駆体、および第2助触媒を含む第2助触媒前駆体を含む前駆体水溶液に前記担体を入れて撹拌する方法で行うことができる。
【0048】
本明細書の一実施形態において、前記活性物質前駆体、第1助触媒前駆体および第2助触媒前駆体は、目的物質の種類に応じて異なってもよい。例えば、活性物質が銅である場合、活性物質前駆体は、カッパクロライドディハイドレート(Copper chloride dihydrate、CuCl・2HO)であり、第1助触媒物質がカリウムである場合、第1助触媒前駆体は、カリウムクロライド(Potassium chloride、KCl)であり、第2助触媒がランタンである場合、第2助触媒前駆体は、ランタンクロライドヘプタハイドレート(Lanthanum chloride heptahydrate、LaCl・7HO)であってもよい。
【0049】
本明細書の一実施形態において、前記撹拌は、前駆体水溶液が担体によく担持できるように行われるものであって、0.5時間以上、好ましくは1時間以上行うことができる。
【0050】
本明細書の一実施形態において、炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒の製造方法は、触媒を乾燥するステップ、および触媒をか焼するステップを含むことができる。
【0051】
本明細書の一実施形態において、前記触媒を乾燥するステップは、触媒の水分を蒸発させるためのものであって、この技術が属する分野において一般的に使用される方法であれば、大きく制限されない。例えば、回転蒸発器(Rotary evaporator)を用いて水分を蒸発させ、100℃の温度で10時間以上乾燥する方法で行うことができる。
【0052】
本明細書の一実施形態において、前記触媒をか焼するステップは、担持した後、触媒に残っている前駆体物質を除去するために行われるものであって、この技術が属する分野において一般的に使用される方法であれば、大きく制限されず、例えば、400℃以上の温度で1から10時間の温度で行うことができる。前記遂行温度および遂行時間を満足する場合、前駆体物質を効果的に除去することができ、担体の相変化が起こることによって生じる耐久性低下の問題を抑制できる。
【0053】
本明細書の一実施形態は、前述した炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒下で行われ、炭化水素のオキシクロロ化反応を含む炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法を提供する。前述した炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒を適用する場合、炭化水素のオキシクロロ化化合物の生産量の増大および触媒の活性低下が低い。つまり、前述した炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒は、低温でも優れた活性を示し、低温工程に適したメリットを有する。
【0054】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法は、本明細書において、「工程」と表現することができる。
【0055】
本明細書の一実施形態において、炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒下で行われるということは、炭化水素のオキシクロロ化工程用触媒が設けられた反応器内に反応気体などを流入させて反応を誘導することであってもよい。
【0056】
本明細書の一実施形態において、炭化水素のオキシクロロ化反応は、炭化水素原料ガスの水素を塩素に置換させる反応を意味するものであり、前述の通りである。
【0057】
本明細書の一実施形態において、流入ガスは、反応器内に流入されるガスの集合体を意味するものであって、反応後、反応器の外部に排出される排出ガスとは区別されるものである。
【0058】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法は、流入ガスと前述した触媒とを接触させることによるものであってもよい。前記炭化水素の部分酸化反応は、炭化水素原料ガスおよび塩化水素ガスを含む流入ガスと触媒とを接触させることによる。前記接触の意味は、触媒理論によって説明することができる。具体的に、触媒は、如何なる活性点(active sites)または活性中心(centers)を含み、前記活性点または活性中心で触媒作用が行われるようになる。前記活性点または活性中心に流入ガスが接して触媒反応が起こるようになる。例えば、反応器に触媒を充填して前記反応器内に前記流入ガスを流通させる方法がある。
【0059】
本明細書の一実施形態において、前記流入ガスは、炭化水素原料ガス、塩化水素ガスおよび酸素ガスを含むことができる。
【0060】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素原料ガスは、炭素および水素を含むガスであって、目的生成物の原料となるガスを意味する。例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの炭素数1から16の直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式飽和炭化水素、単環および多環芳香族炭化水素、都市ガス、LPG、ナフサ、および灯油などの炭化水素が挙げられる。
【0061】
本明細書の一実施形態において、前記塩化水素ガス(HCl)は、塩素原子の供給源として機能することができる。
【0062】
本明細書の一実施形態において、前記流入ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび二酸化炭素からなる群から選択された1または2以上の不活性ガスをさらに含むことができる。
【0063】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素原料ガスに対する塩化水素ガスの体積流量の比は、1:1から10:1、好ましくは1:1から5:1、より好ましくは1:1から3:1、最も好ましくは1.5:1から2.5:1であってもよい。前記数値範囲を満足する場合、優れた触媒の活性を維持することができる。これにより、目的生成物の選択度を高く維持できるというメリットがある。
【0064】
本明細書の一実施形態において、前記流入ガスは、酸素ガスをさらに含み、前記炭化水素原料ガスに対する酸素ガスの体積流量の比は、1:1から10:1、好ましくは2:1から6:1、より好ましくは3:1から5:1であってもよい。炭化水素原料ガスに対する酸素ガスの体積流量の比が1:1よりも小さい場合、目的生成物であるクロロメタンの選択度が減少し、炭化水素原料ガスに対する酸素ガスの体積流量の比が10:1よりも大きい場合、一酸化炭素または二酸化炭素のような副産物の選択度が増加する問題があり得る。
【0065】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素原料ガスに対する不活性ガスの体積流量の比は、1:0.5から1:10、好ましくは1:0.5から1:5であるものであってもよい。
【0066】
前記体積流量の比は、この技術が属する技術分野において一般的に使用される方法によって測定することができ、反応器内に流入される流入ガスの温度および圧力を調節して達成することができる。例えば、前記体積流量の比は、常温(25℃)および常圧(1atm)で測定されたものであってもよいし、この技術分野において一般的に使用される体積流量計を使用して測定することができる。
【0067】
本明細書の一実施形態において、前記工程は、450℃以上550℃以下の工程温度、0.5atm以上3atm以下の圧力および2,000h-1以上20,000h-1以下の空間速度下で行われるものであってもよい。
【0068】
本明細書の一実施形態において、前記工程は、450℃以上530℃以下、450℃以上530℃未満、450℃以上520℃以下、または450℃以上510℃以下の温度条件で行うことができる。前記の範囲を満足する場合、副産物が生成されることを抑制することができ、目的生成物の選択度を高めることができる。例えば、炭化水素原料がメタンである場合。1)塩化水素の酸化によるCl活性化種の生成、2)メタンとCl活性化種との反応によるCHClへの生成、および3)生成されたCHClの追加的な反応またはメタンの酸化から一酸化炭素または二酸化炭素の副産物の生成の順に反応が進む。このとき、工程温度が低温である場合、反応に対する触媒の影響が支配的であるので、触媒自体の酸化還元能力によって、1)の反応のCl活性化種の生成速度が、2)の反応のCl活性化種の消耗速度よりも速くなる。しかし、温度が高温である場合、温度の影響が徐々に増加し、3)の反応の速度がより速くなるので副産物の生成が増加するようになる問題がある。
【0069】
本明細書では、工程条件を前記のように調節して、前述した3)の反応の速度を制御しながら、1)および2)の反応の速度を適宜維持して一酸化炭素または二酸化炭素のような副産物が生成されることを抑制しようとする。
【0070】
本明細書の一実施形態において、前記流入ガスの流入速度は、10,000ml/(h・gcat)以上50,000ml/(h・gcat)以下であってもよい。前記の範囲を満足する場合、流入ガスが十分に流動的であるので、コークスが生じることを効果的に抑制できる。前記gcatは反応器に充填される触媒の含量を意味する。
【0071】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法は、固定層反応器、流動層反応器または循環流動層反応器内で行われるものであってもよい。
【0072】
本明細書の一実施形態において、前記炭化水素のオキシクロロ化化合物の製造方法は、中和工程をさらに含むことができる。中和工程は、反応物に含まれた塩化水素気体を除去するための工程である。具体的に、前記中和工程は、反応物を炭酸ナトリウムベッド(bed)がロードされた反応器に通すことによって行うことができる。前記中和工程は、1当量の炭酸ナトリウムに2当量の塩化水素が反応して1当量の二酸化炭素気体および2当量の塩化ナトリウムを生成するものであってもよいし、下記化学式で表されることができる。
【0073】
【化1】
【0074】
以下、実施例を通じて、前述した内容を説明することにする。但し、本明細書の権利範囲は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0075】
<実施例1>
担体として、セリウムオキサイド担体(CeO)粉末(3g、Rhodia(登録商標)製、surface area130m/g以上)を用意した。触媒物質である銅(Cu)、カリウム(K)およびランタン(La)は、CeO担体に下記方法によって担持された。このとき、銅(Cu)前駆体としては、カッパクロライドディハイドレート(Copper chloride dihydrate、CuCl・2HO)を使用した。カリウム(K)前駆体としては、カリウムクロライド(Potassium chloride、KCl)を使用した。ランタン(La)前駆体としては、ランタンクロライドヘプタハイドレート(Lanthanum chloride heptahydrate、LaCl・7HO)を使用した。
【0076】
前記前駆体を計算された量だけ秤量して蒸留水に溶かして前駆体溶液を製造し、前記前駆体溶液に前記セリウムオキサイド担体を粉末状にして入れて1時間よく撹拌した後、回転蒸発器(Rotary evaporator)を用いて水を蒸発させ、触媒物質をセリウムオキサイド担体に担持させた。以後、100℃の温度で約12時間以上乾燥した後、600℃の温度で6時間焼成して製造した。
【0077】
このとき、触媒に担持された銅、カリウムおよびランタンの重量比率は、それぞれCu:K:La=5:6:5の重量比率を維持し、触媒内のそれぞれの成分の含量は、触媒全体の重量(担体および触媒物質重量の総和)を基準として、それぞれ5重量%、6重量%および5重量%であった。
【0078】
図1は、実施例1に係る触媒のX線回折分析法(XRD、X-ray diffraction)による図である。前記X線回折分析は、Ultra X18(Rigaku corp)を用いて、40kVおよび30mAの測定条件で測定することができる。Cu K-alphaがradiation sourceとして使用することができ、0.02°のscanning stepで測定した。
【0079】
<実施例2>
触媒物質である銅、カリウムおよびランタンの重量比率をCu:K:La=7:2:2の重量比率に調整した以外には、前記実施例1と同一な方法で触媒を製造した。このとき、触媒に担持された銅、カリウムおよびランタンの重量比率は、それぞれCu:K:La=7:2:2の重量比率を維持し、触媒内のそれぞれの成分の含量は、触媒全体の重量(担体および触媒物質重量の総和)を基準として、それぞれ7重量%、2重量%および2重量%であった。
【0080】
前記実施例2の触媒のEDS確認資料を図6に示した。これにより、前記触媒は、Cu、KおよびLaが担持されており、特にCeおよびO元素を含むCeO担体が使用されたことを確認することができた。特に、前記触媒物質とCeOの元素のほかに別の元素が確認されていないことから、前記触媒がセリウムオキサイド(CeO)の単一組成であることを確認することができた。
【0081】
<比較例1>
担体として、γ-Al粉末(3g、Sasol Co.製、表面積:192m/g)を用意した。触媒物質である銅(Cu)、カリウム(K)およびランタン(La)は、γ-Al担体に下記方法によって担持された。このとき、銅(Cu)前駆体としては、カッパクロライドディハイドレート(Copper chloride dihydrate、CuCl・2HO)を使用した。カリウム(K)前駆体としては、カリウムクロライド(Potassium chloride、KCl)を使用した。ランタン(La)前駆体としては、ランタンクロライドヘプタハイドレート(Lanthanum chloride heptahydrate、LaCl・7HO)を使用した。
【0082】
前記前駆体を計算された量だけ秤量して蒸留水に溶かして前駆体溶液を製造し、前記前駆体溶液に前記γ-Al担体を粉末状にして入れて1時間よく撹拌した後、回転蒸発器(Rotary evaporator)を用いて水を蒸発させ、触媒物質をセリウムオキサイド担体に担持させた。以後、120℃の温度で約12時間乾燥した後、550℃の温度で4時間焼成して製造した。
【0083】
このとき、触媒上の銅、カリウムおよびランタンの比率は、それぞれCu:K:La=5:6:5の重量比率を維持し、触媒内のそれぞれの成分の含量は、触媒全体の重量(担体および触媒物質の重量の総和)を基準として、それぞれ5重量%、6重量%および5重量%であった。
【0084】
<比較例2>
担体として、γ-Al粉末(3g、Sasol Co.製、表面積:192m/g)を用意した。触媒物質である銅(Cu)、カリウム(K)およびランタン(La)は、γ-Al担体に下記方法によって担持された。このとき、銅(Cu)前駆体としては、カッパクロライドディハイドレート(Copper chloride dihydrate、CuCl・2HO)を使用した。カリウム(K)前駆体としては、カリウムクロライド(Potassium chloride、KCl)を使用した。ランタン(La)前駆体としては、ランタンクロライドヘプタハイドレート(Lanthanum chloride heptahydrate、LaCl・7HO)を使用した。
【0085】
前記前駆体を計算された量だけ秤量して蒸留水に溶かして前駆体溶液を製造し、前記前駆体溶液に前記γ-Al担体を粉末状にして入れて1時間よく撹拌した後、回転蒸発器(Rotary evaporator)を用いて水を蒸発させ、触媒物質をセリウムオキサイド担体に担持させた。以後、100℃の温度で約12時間乾燥した後、600℃の温度で4時間焼成して製造した。
【0086】
このとき、触媒上の銅、カリウムおよびランタンの比率は、それぞれCu:K:La=7:2:2の重量比率を維持し、触媒内のそれぞれの成分の含量は、触媒全体の重量(担体および触媒物質の重量の総和)を基準として、それぞれ7重量%、2重量%および2重量%であった。
【0087】
<比較例3>
担体として、CeZr粉末(3g、Sasol Co.製、表面積:192m/g)を用意した。前記担体に前記比較例1と同一な方法で銅、カリウムおよびランタンをそれぞれ担持し、触媒内のそれぞれの成分の含量は、触媒全体の重量(担体および触媒物質の重量の総和)を基準として、7重量%、2重量%および2重量%であり、担体のCe:Zrの重量比は7:3であった。
【0088】
<比較例4>
他の金属が担持されていないことを除いては、実施例1と同一な方法で触媒を製造した。このとき、セリウムオキサイド担体(CeO)粉末は、実施例1で説明したものと同一なものを使用した。
【0089】
<比較例5>
セリウムオキサイド担体に銅のみ担持したことを除いては、実施例1と同一な方法を通じて製造した。このとき、銅の前駆体溶液およびセリウムオキサイド担体(CeO)粉末は、実施例1で説明したものと同一なものを使用した。
【0090】
<比較例6>
セリウムオキサイド担体にカリウム(K)のみ担持したことを除いては、実施例1と同一な方法を通じて製造した。このとき、カリウムの前駆体溶液およびセリウムオキサイド担体(CeO)粉末は、実施例1で説明したものと同一なものを使用した。
【0091】
<比較例7>
セリウムオキサイド担体にランタン(La)のみ担持したことを除いては、実施例1と同一な方法を通じて製造した。このとき、ランタンの前駆体溶液およびセリウムオキサイド担体(CeO)粉末は、実施例1で説明したものと同一なものを使用した。
【0092】
<比較例8>
セリウムオキサイド担体に銅(Cu)およびカリウム(K)のみ担持したことを除いては、実施例1と同一な方法を通じて製造した。このとき、銅およびカリウムの前駆体溶液およびセリウムオキサイド担体(CeO)粉末は、実施例1で説明したものと同一なものを使用した。
【0093】
<比較例9>
セリウムオキサイド担体に銅(Cu)およびランタン(La)のみ担持したことを除いては、実施例1と同一な方法を通じて製造した。このとき、銅およびランタンの前駆体溶液およびセリウムオキサイド担体(CeO)粉末は、実施例1で説明したものと同一なものを使用した。
【0094】
<比較例10>
担体として、セリウムオキサイド担体(CeO)粉末(3g、Rhodia(登録商標)製、surface area130m/g以上)を用意した。触媒物質である鉄(Fe)、カリウム(K)およびランタン(La)は、CeO担体に下記方法によって担持された。
【0095】
このとき、鉄の前駆体としては、Iron(III) nitrate nonahydrateを使用した。残りのKおよびLaの前駆体、担持条件、乾燥およびか焼条件は、前記実施例1と同一である。
【0096】
このとき、触媒に担持された鉄、カリウムおよびランタンの重量比率は、それぞれFe:K:La=5:6:5の重量比率を維持し、触媒内のそれぞれの成分の含量は、触媒全体の重量(担体および触媒物質重量の総和)を基準として、それぞれ5重量%、6重量%および5重量%であった。
【0097】
<メタンのオキシクロロ化反応実験>
試験条件
前記実施例および比較例で製造された触媒の粒子の大きさは、180μmから250μmにふるいにかけて(sieve)調節した。
【0098】
図5のようなquartz材質の固定層反応器(PBR)を実験に適用した。図面の青色で表示した部分に、前記実施例および比較例に係る触媒を充填(loading)した。工程温度は、前記固定層反応器の外部に備えられたthermocoupleを用いて調節した。
【0099】
Inlet気体の組成は、CH:O:HCl:Ar:N=4:1:2:3:10の体積比からなっており、反応器内の圧力を調節して、Inlet気体の体積流量(υ)が50ml/minで、かつFlow rate/catalyst weightの比率[F/Wcat]は30,000ml/(h・gcat)になるように調節した。前記CH:O:HClは反応気体(reactnant)であり、前記Arは希釈剤(diluent)として作用する。
【0100】
すべての気体の条件の設定が完了した後、反応器を450℃まで予熱した後、実験を始め、生成される気体の組成をモニターリングした。
【0101】
生成される気体の濃度をGCダウンストリーム(Gas Chromatograph downstream)によって測定した。CH、CHCl、CHCl、CHClの濃度は、FID(Flame Ionization Detector)を通じて測定し、CH、N、O、COおよびCOの濃度は、TCD(Thermal Conductivity Detector)を通じて測定した。生成される気体の凝縮を防止するために、生成される気体を150℃まで加熱することができる。
【0102】
気体に関連する歩留まりおよび選択度は、下記数学式(1)から3によって計算することができる。流入および流出される窒素気体に関連する補正係数(α)は、下記数学式(1)を通じて計算される。
【0103】
[数学式1]
【数1】
【0104】
前記
【数2】
は、反応器に流入される窒素気体のモル数であり、前記
【数3】
は反応器から抜け出す窒素気体のモル数である。
【0105】
メタン転換率(X:conversion、%)は、下記数学式2を通じて計算される。
【0106】
[数学式2]
【数4】
【0107】
前記
【数5】
は、反応器に流入されるメタン気体のモル数であり、前記
【数6】
は、反応器から抜け出すメタン気体のモル数である。
生成される気体の選択度(S:selectivity)は、下記数学式3を通じて計算される。
【0108】
[数学式3]
【数7】
【0109】
前記
【数8】
は、反応器から抜け出す各生成気体のモル数であり、
【数9】
は、前記生成気体の総モル数である。
【0110】
また、各実施例および比較例の触媒に対する実験時、工程温度は、表1および表2の通りである。
【0111】
<実験例1:担持物質および担体の種類による実験>
実施例および比較例に係る触媒を使用してメタンのオキシクロロ化反応を行った。このとき、各生成物の歩留まりを表1、表2および図2に示した。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
同じ物質が担持されるが、担体の種類が異なる場合を比較した。具体的に、担体の種類がCeOである触媒の場合(実施例1および実施例2)、担体の種類が従来のアルミニウム酸化物(比較例1:γ-Al)またはCeZr(比較例3)である場合に比べて、目的生成物であるクロロ化合物の選択度が高く、副産物である二酸化炭素および一酸化炭素の選択度が低いことを確認することができた。
【0115】
担体の種類が同一であるが、異なる物質が担持される場合を比較した。実施例1に係る触媒の場合、銅-カリウム-ランタンをいずれも含む触媒物質を使用することによって、目的生成物(CHCl、CHCl2、CHCl)の選択度を高めながらも、副産物の生成を下げる効果を有する。具体的に、触媒物質として銅を含む場合(比較例5)、銅を含まない比較例4、6および7に比べて生成物の選択度に優れていることを確認することができた。しかし、比較例5の場合、副産物である二酸化炭素および一酸化炭素が生じるという問題があった。
【0116】
これを解決するために、触媒物質として銅のほかに、さらにカリウムを含むか(比較例8)、ランタン(比較例9)をさらに含む場合、副産物の生成問題がある程度解消されているが、目的生成物の選択度が比較例4に比べて減少していることを確認することができた。
【0117】
したがって、前記実施例1では、触媒物質として銅、カリウムおよびランタンをいずれも含ませることによって、目的生成物の選択度を最大化しながらも、副産物の生成を最小化することができた。
【0118】
一方、触媒物質として、銅の代わりに鉄を含む場合(比較例10)、副産物の生成が少ないが、目的生成物の選択度が低いことを確認することができた。これは、銅の活性が鉄の活性よりも優れているからである。
【0119】
<実験例2:工程温度による実験>
実施例1に係る触媒を使用し、温度による気体の生成程度を測定して選択度を計算し、表3および図3に示した。
【0120】
【表3】
【0121】
工程温度が550℃以上である場合、副産物である二酸化炭素および一酸化炭素が一部生成され、工程温度が上昇するほど副産物がより多く生成されることを確認することができた。このような結果は、工程温度が530℃超過である場合、工程過程において、工程温度による影響が増加して生成されたCHClが追加的に反応するか、CHが直接酸化して副産物である二酸化炭素および一酸化炭素が多く生成されたからである。一方、処理温度が530℃以下である場合、CHClが追加的に反応することを抑制するか、CHが直接酸化することを抑制して副産物である二酸化炭素および一酸化炭素が生成されることを防止することができた。
【0122】
前記実験例1および実験例2の各触媒に対する結果は、図2から図4に示した通りである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6