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特許7067831化合物、これを含むフォトレジスト組成物、これを含むフォトレジストパターン及びフォトレジストパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】化合物、これを含むフォトレジスト組成物、これを含むフォトレジストパターン及びフォトレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 381/12 20060101AFI20220509BHJP
   C07C 309/12 20060101ALI20220509BHJP
   C07C 321/30 20060101ALI20220509BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220509BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20220509BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C07C381/12
C07C309/12
C07C321/30
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020539834
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2019013364
(87)【国際公開番号】W WO2020076122
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0120977
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒョンミン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ミニョン
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-106045(JP,A)
【文献】特開2013-092618(JP,A)
【文献】特開2012-003249(JP,A)
【文献】特表2013-520458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
G03F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される
化合物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
pは、2~4の整数であり、
pが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一であるか異なっており、
pが2の場合、Xは、Sであり、
pが3の場合、Xは、置換もしくは非置換の3価のアルキル基であり、
が4の場合、Xは、置換もしくは非置換の4価のアルキル基であり、
、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
Rbは、置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
は、オニウム陽イオンであり、
は、酸の陰イオンであり、
m及びnは、1~10の整数である。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式2~4のうちいずれか一つで表されるものである、
請求項1に記載の化合物:
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
前記化学式2~4において、
、Rb、Y、Q、m、n及びpの定義は、前記化学式1での定義と同一であり、
は、Sであり、
は、置換もしくは非置換の3価のアルキル基であり、
は、置換もしくは非置換の4価のアルキル基である
【請求項3】
前記化学式3のX、C31であり、
前記R31は、水素である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化学式4のXは、C;又は置換もしくは非置換のC ~C10のアルキル基である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
前記Rbは、下記構造式で表される
請求項1からのいずれか1項に記載の化合物:
【化8】
前記構造式において、
【化9】
は、前記化学式1と連結される位置を意味する。
【請求項6】
前記Qは、S;I;O;N;P;Cl;Br;F;As;Se;Sn;Sb;Te;又はBi元素を含むオニウム陽イオンである、
請求項1からのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記Qは、下記化学式2-1で表されるものである、
請求項1からのいずれか1項に記載の化合物:
[化学式2-1]
【化10】
前記化学式2-1において、
41~R43は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物;
バインダー樹脂;及び
溶媒
を含む
フォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記フォトレジスト組成物は、前記フォトレジスト組成物100重量部を基準に、前記化合物1~10重量部を含むものである、
請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
請求項またはに記載のフォトレジスト組成物を含む
フォトレジストパターン。
【請求項11】
請求項またはに記載のフォトレジスト組成物を半導体基板上に塗布してフォトレジスト層を形成するステップ;
前記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び
露光されたフォトレジスト層を現像(develope)するステップ
を含む
フォトレジストパターンの製造方法。
【請求項12】
前記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップは、マスクをフォトレジスト上に整列(alignment)させた後、前記マスクで覆われていないフォトレジスト層の領域を紫外線に露出させるステップである、
請求項11に記載のフォトレジストパターンの製造方法。
【請求項13】
前記露光されたフォトレジスト層を現像(develope)するステップは、フォトレジスト層中の露光部を現像液に浸漬して除去するステップである、
請求項11または12に記載のフォトレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年10月11日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0120977号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、化合物、これを含むフォトレジスト組成物及びパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フォトレジスト組成物は、例えば、コンピュータチップ及び集積回路の作製の際に、小型電子部品を製造するためのマイクロ電子デバイスの工程に使用される。一般に、集積回路の製造のために使用されるシリコン(silicon)系ウェハのような基板材料を使用するマイクロ電子デバイスの工程は、下記の通りである。
【0004】
基板上にフォトレジスト組成物又はフォトレジストフィルムを用いて薄いコーティング膜のフォトレジスト層を形成した後、ベーキング(baking)してコーティング膜を基板上に固定させる。上記基板上に固定されたコーティング膜を像様に露光(image-wise exposure to radiation)させる。上記露光されたコーティング膜を現像液で処理して、フォトレジストの露光領域又は非露光領域を溶解及び除去することにより、マイクロ電子デバイスを製造する。
【0005】
半導体の高集積化は、性能、信頼性、そして人的/物的インフラの面で、他のパターニング技法の追随を許さないフォトリソグラフィ技術の発展に伴って進展してきている。
【0006】
特に、より短い光源と、これに合う光化学反応のフォトレジストを適用できるようになり、高感度化学増幅型フォトレジストを適用したKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFレーザ(193nm)リソグラフィ技術の発展により、デバイスの集積度は急激に増加してきている。
【0007】
現在、193iリソグラフィ技術がクアッドパターニング(Quadruple Patterning)を通じて10nm中/後半台の最小線幅を有するデバイス作製工程を進行する水準に発展したが、非常に高い工程単価と具現可能なパターンの形状が限定されていて、一般的に適用が不可能であり、解像度も16nmが限界点と認識されている。数nmのパターニングが可能な技術は、現在まで極端紫外線(EUV, extreme ultraviolet)が唯一のものと予測されているが、この場合にも、高解像度フォトレジストの不在のため、現在12nmの解像度が限界と予測されている。
【0008】
このような限界点を克服するために、極端紫外線フォトレジストを開発しようとする努力が活発になされているが、感度の低下、解像度、線幅のラフネス(Line Width Roughness;LWR)の改善など、解決しなければならない問題点を内包している。
【0009】
[先行技術文献]
[特許文献]大韓民国特許登録公報10-1673890
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書は、化合物、これを含むフォトレジスト組成物、これを含むフォトレジストパターン及びフォトレジストパターンの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0012】
[化学式1]
【化1】
【0013】
上記化学式1において、
pは、2~4の整数であり、
pが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一であるか異なっており、
pが2の場合、Xは、S;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
pが3又は4の整数の場合、Xは、置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Rbは、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
は、オニウム陽イオンであり、
は、酸の陰イオンであり、
m及びnは、1~10の整数である。
【0014】
また別の一実施態様によれば、本発明に係る化合物;バインダー樹脂;及び溶媒を含むフォトレジスト組成物を提供しようとする。
【0015】
また別の一実施態様において、本発明に係るフォトレジスト組成物を含むフォトレジストパターンを提供する。
【0016】
最後に、本発明の一実施態様において、本発明のフォトレジスト組成物を半導体基板上に塗布してフォトレジスト層を形成するステップ;上記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び露光されたフォトレジスト層を現像(develope)するステップを含むフォトレジストパターンの製造方法を提供しようとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施態様に係る化合物は、酸によって解離されてアルカリ現像液に対する溶解性が増大する物質であって、高解像度の具現が可能であるという特徴を有する。
【0018】
本発明の一実施態様に係る化合物は、化学式1のように構造内に光酸発生剤(PAG, Photo acid generator)を含むことにより、その後のフォトレジスト工程において露光部と非露光部とのコントラスト(contrast)をより向上することができ、また、感度を低下させることなくLWR(Line width roughness)も改善可能であるという特徴を有する。
【0019】
また、本発明に係る化合物を含むフォトレジスト組成物は、上記化合物を含むことにより、高解像度及びパターンの形状を自由に構成できるという特徴を有する。
【0020】
また、本発明に係る化合物を含むフォトレジスト組成物は、単分子から構成されたものであって、フォトレジスト内の樹脂が高分子ではない単分子から構成されていて、線幅ラフネス(LWR)が改善するという特徴を有するようになる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0022】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明する。ところが、本発明は、種々の異なる形態に具現でき、ここで説明する実施例に限定されない。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、化学式1で表される化合物を提供する。
【0025】
[化学式1]
【化2】
【0026】
上記化学式1において、
pは、2~4の整数であり、
pが2以上の場合、括弧内の置換基は互いに同一であるか異なっており、
pが2の場合、Xは、S;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
pが3又は4の整数の場合、Xは、置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;又は置換もしくは非置換のアルキル基であり、
は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Rbは、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
は、オニウム陽イオンであり、
は、酸の陰イオンであり、
m及びnは、1~10の整数である。
【0027】
本発明の一実施態様に係る化合物は、酸によって解離されてアルカリ現像液に対する溶解性が増大する物質であって、高解像度の具現が可能であるという特徴を有し、上記化学式1のように構造内に光酸発生剤(PAG, Photo acid generator)を含むことにより、その後のフォトレジスト工程において露光部と非露光部とのコントラスト(contrast)をより向上することができ、また、感度を低下させることなくLWR(Line width roughness)も改善可能であるという特徴を有する。
【0028】
本明細書において、置換基の例示は、以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0029】
上記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変えられることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一であるか異なっていてもよい。
【0030】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、ハロゲン基;ニトリル基;イミド基;アミド基;カルボニル基;エステル基;ヒドロキシ基;カルボキシ基(-COOH);スルホン酸基(-SOH);置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;及び置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択された1又は2以上の置換基で置換されたか、上記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、又はいずれの置換基も持たないことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基はアリール基であってもよく、2つのフェニル基が連結された置換基と解釈されることができる。
【0031】
本明細書において、
【化3】
は、他の置換基又は結合部に結合される部位を意味する。
【0032】
本明細書において、ハロゲン基は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であってもよい。
【0033】
本明細書において、イミド基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【0034】
【化4】
【0035】
本明細書において、アミド基は、アミド基の窒素が、水素、炭素数1~30の直鎖、分枝鎖又は環鎖アルキル基又は炭素数6~30のアリール基で置換されることができる。具体的に、下記構造式の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
【化5】
【0037】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
【化6】
【0039】
本明細書において、エステル基は、エステル基の酸素が、炭素数1~25の直鎖、分枝鎖又は環鎖アルキル基で置換されるアルキルエステル基;炭素数3~30の単環又は多環のシクロアルキル基で置換されるシクロアルキルエステル基又は炭素数6~30のアリール基で置換されるアリールエステル基であってもよい。具体的に、下記構造式の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
【化7】
【0041】
本明細書において、上記アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0042】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、上記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖又は環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0044】
本明細書において、アミン基は、-NH;モノアルキルアミン基;ジアルキルアミン基;N-アルキルアリールアミン基;モノアリールアミン基;ジアリールアミン基;N-アリールヘテロアリールアミン基;N-アルキルヘテロアリールアミン基、モノヘテロアリールアミン基及びジヘテロアリールアミン基からなる群より選択されることができ、炭素数は、特に限定されないが、1~30であることが好ましい。アミン基の具体的な例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基;N-フェニルナフチルアミン基;N-ビフェニルナフチルアミン基;N-ナフチルフルオレニルアミン基;N-フェニルフェナントレニルアミン基;N-ビフェニルフェナントレニルアミン基;N-フェニルフルオレニルアミン基;N-フェニルターフェニルアミン基;N-フェナントレニルフルオレニルアミン基;N-ビフェニルフルオレニルアミン基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0045】
本明細書において、N-アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基及びアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0046】
本明細書において、N-アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基及びヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0047】
本明細書において、N-アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基及びヘテロアリールアミン基が置換されたアミン基を意味する。
【0048】
本明細書において、モノアルキルアミン基、ジアルキルアミン基、N-アルキルアリールアミン基、アルキルチオキシ基、アルキルスルホキシ基、N-アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基は、上述したアルキル基の例示の通りである。具体的に、アルキルチオキシ基としては、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert-ブチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、オクチルチオキシ基などがあり、アルキルスルホキシ基としては、メシル、エチルスルホキシ基、プロピルスルホキシ基、ブチルスルホキシ基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本明細書において、シリル基は、具体的に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0050】
本明細書において、ホウ素基は、-BR100101であってもよく、上記R100及びR101は、同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;ニトリル基;置換もしくは非置換の炭素数3~30の単環又は多環のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環又は多環のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環又は多環のヘテロアリール基からなる群より選択されることができる。
【0051】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、具体的に、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0052】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、 上記アリール基は、単環式又は多環式であってもよい。
【0053】
上記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましい。具体的に、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0054】
上記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は、特に限定されないが、炭素数10~30であることが好ましい。具体的に、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、トリフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0055】
本明細書において、上記フルオレニル基は、置換されることができ、隣接する基が互いに結合して環を形成することができる。
【0056】
上記フルオレニル基が置換される場合、下記の構造式になることができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
【化8】
【0058】
本明細書において、「隣接する」基は、該当置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、該当置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、又は該当置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環でオルト(ortho)位に置換された2個の置換基及び脂肪族環で同一の炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接する」基と解釈されることができる。
【0059】
本明細書において、モノアリールアミン基、ジアリールアミン基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基、N-アリールアルキルアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基及びアリールホスフィン基中のアリール基は、上述したアリール基の例示の通りである。具体的に、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2-メチルフェニルチオキシ基、4-tert-ブチルフェニルチオキシ基などがあり、アリールスルホキシ基としては、ベンゼンスルホキシ基、p-トルエンスルホキシ基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0060】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、上記異種原子は、O、N、Se及びSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は、特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、上記ヘテロアリール基は、単環式又は多環式であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基及びジベンゾフラニル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0061】
本明細書において、モノヘテロアリールアミン基、ジヘテロアリールアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基及びN-アルキルヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基の例示は、上述したヘテロアリール基の例示の通りである。
【0062】
本明細書において、炭化水素環は、芳香族、脂肪族又は芳香族と脂肪族との縮合環であってもよく、上記1価でないことを除き、上記シクロアルキル基又はアリール基の例示の中から選択されることができる。
【0063】
本明細書において、芳香族炭化水素環は、単環又は多環であってもよく、1価でないことを除き、上記アリール基の例示の中から選択されることができる。
【0064】
本明細書において、ヘテロ環は、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、上記異種原子は、O、N、Se及びSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。上記ヘテロ環は、単環又は多環であってもよく、芳香族、脂肪族又は芳香族と脂肪族との縮合環であってもよく、1価でないことを除き、上記ヘテロアリール基の例示の中から選択されることができる。
【0065】
本発明の一実施態様において、上記化学式1は、下記化学式2~4のうちいずれか一つで表されることができる。
【0066】
[化学式2]
【化9】
【0067】
[化学式3]
【化10】
【0068】
[化学式4]
【化11】
【0069】
上記化学式2~4において、
、Rb、Y、Q、m、n及びpの定義は、上記化学式1での定義と同一であり、
は、S;又はCRであり、
は、置換もしくは非置換のアルキル基;又は置換もしくは非置換のアリール基であり、
は、置換もしくは非置換のアルキル基であり、
上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接する基は、互いに結合して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環又は置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素環を形成する。
【0070】
本発明の一実施態様において、Xは、S;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;又は置換もしくは非置換のアルキル基であってもよい。
【0071】
本発明の一実施態様において、XがSの場合、pは2の整数であってもよい。
【0072】
また別の一実施態様において、Xは、S;置換もしくは非置換のC~C60のアリール基;置換もしくは非置換のC~C60のヘテロアリール基;又は置換もしくは非置換のC~C60のアルキル基であってもよい。
【0073】
また別の一実施態様において、Xは、S;置換もしくは非置換のC~C40のアリール基;置換もしくは非置換のC~C40のヘテロアリール基;又は置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基であってもよい。
【0074】
また別の一実施態様において、Xは、S;C~C40のアリール基;又は-OH基及びC~C40のアルキル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基であってもよい。
【0075】
また別の一実施態様において、Xは、S;フルオレニル基;フェニル基;メチル基で置換もしくは非置換のメチル基;-OH基で置換もしくは非置換のエチル基であってもよい。
【0076】
本発明の一実施態様において、Lは、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0077】
また別の一実施態様において、Lは、直接結合;置換もしくは非置換のC~C60のアルキレン基;置換もしくは非置換のC~C60のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のC~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0078】
また別の一実施態様において、Lは、直接結合;置換もしくは非置換のC~C30のアルキレン基;置換もしくは非置換のC~C30のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のC~C30のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0079】
また別の一実施態様において、Lは、直接結合;C~C30のアルキレン基;又はC~C30のアリーレン基であってもよい。
【0080】
また別の一実施態様において、Lは、直接結合;フェニレン基;又はメチレン基であってもよい。
【0081】
本発明の一実施態様において、Rbは、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0082】
また別の一実施態様において、Rbは、置換もしくは非置換のC~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC~C60のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のC~C60のアリール基;又は置換もしくは非置換のC~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0083】
また別の一実施態様において、Rbは、置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基;又は置換もしくは非置換のC~C40のシクロアルキル基であってもよい。
【0084】
また別の一実施態様において、Rbは、C~C40のシクロアルキル基で置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基であってもよい。
【0085】
本発明の一実施態様において、上記Rbは、下記構造式のうちいずれか一つのものである化合物を提供する。
【0086】
【化12】
【0087】
上記構造式において、
【化13】
は、上記化学式1と連結される位置を意味する。
【0088】
本発明の一実施態様において、Qは、オニウム陽イオンであってもよい。
【0089】
上記オニウム陽イオンは、S;I;O;N;P;Cl;Br;F;As;Se;Sn;Sb;Te;又はBi元素を含むオニウム陽イオンであってもよい。
【0090】
また別の一実施態様において、上記Qは、下記化学式2-1で表されるものである化合物を提供する。
【0091】
[化学式2-1]
【化14】
【0092】
上記化学式2-1において、
上記R41~R43は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0093】
本発明の一実施態様において、上記Yは、酸の陰イオンであり、上記酸の陰イオンとしては、スルホン酸陰イオン、カルボン酸陰イオン、スルホニルイミド陰イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミド陰イオン及びトリス(アルキルスルホニル)メチド陰イオンからなる群より選択される1種の陰イオン基であってもよい。
【0094】
本発明の一実施態様において、上記Yは、-SO であってもよい。
【0095】
本発明の一実施態様において、R41~R43は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC~C40のアリール基;又は置換もしくは非置換のC~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0096】
また別の一実施態様において、R41~R43は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;C~C40のアルキル基;C~C40のアリール基;又はC~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0097】
また別の一実施態様において、R41~R43は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、フェニル基であってもよい。
【0098】
本発明の一実施態様において、m及びnは、1~10の整数であってもよい。
【0099】
本発明の一実施態様において、m及びnは、1の整数であってもよい。
【0100】
本発明の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、 それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接する基は、互いに結合して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環又は置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素環を形成する。
【0101】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC~C60のアリール基であるか、隣接する基は、互いに結合して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環又は置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素環を形成することができる。
【0102】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに結合して、置換もしくは非置換のC~C60の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0103】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに結合して、C~C60の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0104】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに結合して、C~C40の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0105】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに結合して、フルオレニル環を形成することができる。
【0106】
本発明の一実施態様において、上記化学式2のXは、S;及び下記化学式1-1~1-3のうちいずれか一つで表されるものである化合物を提供する。
【0107】
[化学式1-1]
【化15】
【0108】
[化学式1-2]
【化16】
【0109】
[化学式1-3]
【化17】
【0110】
上記化学式1-1~1-3において、
*は、Lと連結される位置であり、
11~R22は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接する基は、互いに結合して、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環又は置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素環を形成し、
aは、0~2の整数であり、
b及びcは、0~3の整数である。
【0111】
本発明の一実施態様において、R11~R22は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;又は置換もしくは非置換のアリール基であってもよい。
【0112】
また別の一実施態様において、R11~R22は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基;又は置換もしくは非置換のC~C40のアリール基であってもよい。
【0113】
また別の一実施態様において、R11~R22は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;C~C40のアルキル基;又はC~C40のアリール基であってもよい。
【0114】
また別の一実施態様において、R11~R22は、水素であってもよい。
【0115】
本発明の一実施態様において、上記化学式3のXは、置換もしくは非置換のフェニル基;又はCR31であり、上記R31は、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基である化合物を提供する。
【0116】
また別の一実施態様において、上記化学式3のXは、フェニル基;又はCR31であってもよい。
【0117】
本発明の一実施態様において、上記R31は、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であってもよい。
【0118】
また別の一実施態様において、上記R31は、水素;置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC~C40のアリール基;又は置換もしくは非置換のC~C40のヘテロ環基であってもよい。
【0119】
また別の一実施態様において、上記R31は、水素;C~C40のアルキル基;C~C40のアリール基;又はC~C40のヘテロ環基であってもよい。
【0120】
また別の一実施態様において、上記R31は、水素;又はメチル基であってもよい。
【0121】
本発明の一実施態様において、上記化学式4のXは、C;又は置換もしくは非置換のC~C10のアルキル基であってもよい。
【0122】
また別の一実施態様において、上記化学式4のXは、C;又は置換もしくは非置換のC~Cのアルキル基であってもよい。
【0123】
また別の一実施態様において、上記化学式4のXは、C;又は-OH基で置換もしくは非置換の C~Cのアルキル基であってもよい。
【0124】
また別の一実施態様において、上記化学式4のXは、C;又は-OH基で置換もしくは非置換のエチル基であってもよい。
【0125】
本発明の一実施態様において、上記化学式1のXは、下記化合物のうちいずれか一つで表されることができる。
【0126】
【化18】
【0127】
上記化合物において、
【化19】
は、Lと連結される位置を意味する。
【0128】
本発明において、上記化学式1のXは、下記化合物のうちいずれか一つで表されることができ、上記化合物において、
【化20】
は、p個のLと連結される位置を意味する。
【0129】
本発明の一実施態様において、本発明の化合物;バインダー樹脂;及び溶媒を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0130】
本発明に係る化合物を含むフォトレジスト組成物は、上記化合物を含むことにより、高解像度及びパターンの形状を自由に構成できるという特徴を有する。
【0131】
フォトレジスト組成物は、例えばコンピュータチップ及び集積回路の作製の際に、小型電子部品を製造するためのマイクロ電子デバイスの製造工程に使用されるマイクロ又はナノパターンの形成に用いられ、このようなパターンを形成する工程をリソグラフィ工程と言う。一般に、集積回路の製造のために使用されるシリコン(silicon)系ウェハのような基板材料を使用するリソグラフィ工程は、下記の通りである。
【0132】
基板上にフォトレジスト組成物コーティング膜又はフォトレジストフィルムを用いて薄いフォトレジスト層を形成した後、ベーキング(baking)してフォトレジスト層を基板上に固定させる。上記基板上に固定されたフォトレジスト層を像様に露光(image-wise exposure to radiation)させる。上記露光されたフォトレジスト層を現像液で処理して、フォトレジスト層の露光領域を溶解及び除去することにより、マイクロ又はナノパターンを形成する。
【0133】
本発明の一実施態様において、上記溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1, 1,2-トリクロロエテン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、t-ブタノール、2-エトキシプロパノール、2-メトキシプロパノール、3-メトキシブタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチル3-エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【0134】
本発明の一実施態様において、上記溶媒は、具体的に、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、 エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類(セロソルブ);酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、カルビトール、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン(NEP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホアミド、テトラメチル尿素、N-メチルカプロラクタム、テトラヒドロフラン、m-ジオキサン、P-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス[2-(2-メトキシエトキシ)]エーテル及びこれらの混合物からなる群より選択されるものが使用されることができる。
【0135】
上記溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA, Propylene glycol monomethyl ether acetate)が使用されることができる。
【0136】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記フォトレジスト組成物100重量部を基準に、上記化合物1~10重量部を含むものであるフォトレジスト組成物を提供する。
【0137】
また別の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記フォトレジスト組成物100重量部を基準に、上記化合物1~10重量部、好ましくは1~8重量部、より好ましくは1~5重量部で含まれることができる。
【0138】
本発明において、フォトレジスト組成物に上記重量範囲の上記化合物が含まれることによって、上記化合物が酸によって解離されてアルカリ現像液に対する溶解性が増大し、高解像度の具現が可能な特徴を有する。
【0139】
本明細書の一実施態様は、本発明の一実施態様に係るフォトレジスト組成物を含むフォトレジストパターンを提供する。
【0140】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記フォトレジストパターンにそのまま含まれることができる。
【0141】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物を用いて形成されたフォトレジストパターンを提供する。
【0142】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジストパターンは、下記の製造方法によって製造されることができる。
【0143】
本明細書の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物を用いたフォトレジストパターンを形成するフォトリソグラフィ(Photo Lithography)工程は、上記フォトレジスト組成物を用いて半導体基板上にフォトレジスト層を形成するステップ;上記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び露光されたフォトレジスト層を現像(develope)するステップを含むことができる。
【0144】
本発明の一実施態様において、フォトレジスト組成物を半導体基板上に塗布してフォトレジスト層を形成するステップ;上記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び露光されたフォトレジスト層を現像(develope)するステップを含むフォトレジストパターンの製造方法を提供する。
【0145】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジスト層を形成するステップは、フォトレジスト組成物を基板上に塗布するステップ;及び上記塗布物を乾燥するステップ(soft baked)を含む。
【0146】
本明細書の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物の塗布方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機などで塗布する方法やスプレーコーターで噴霧する方法などを使用することができるが、上記フォトレジスト組成物を塗布できる方法であれば、制限なく使用することができる。
【0147】
上記塗布物を乾燥(soft bake)するステップにおいて、上記塗布物を70℃~200℃で30秒~ 120秒の条件で乾燥することができる。乾燥方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート、真空乾燥などがあるが、これに限定されない。上記乾燥ステップを経ると、フォトレジスト組成物から溶媒が除去されてウェハと感光性樹脂層との接着力が増加し、半導体基板上にフォトレジスト層を形成することができる。
【0148】
本発明の一実施態様において、フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップは、マスクをフォトレジスト上に整列(alignment)させた後、マスクで覆われていないフォトレジスト層の領域を紫外線に露出させるステップである。上記マスクは、フォトレジスト層に接することもでき、 フォトレジスト層から一定の距離離れて整列されることもできる。
【0149】
上記露光工程において、光照射手段で照射される光源としては、電磁波、極端紫外線(EUV, extreme ultraviolet)、紫外線から可視光、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。また、光源の照射方法としては、高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、コピー機用冷陰極管、LED、半導体レーザなど公知の手段を使用することができる。
【0150】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジスト層を選択的に露光するステップは、露光後、露光されたフォトレジスト層を加熱(post-exposure bake)するステップをさらに含むことができる。露光されたフォトレジスト層を加熱することにより、フォトレジスト組成物内の成分を再整列させて、 フォトレジスト層の波現象(standing wave)を減少させることができる。
【0151】
上記加熱(post-exposure bake)は、フォトレジスト層を70℃~150℃で30秒~2分の条件で行うことができる。
【0152】
本発明の一実施態様において、上記露光されたフォトレジスト層を現像(develope)するステップは、フォトレジスト層中の露光部を現像液に浸漬して除去するステップである。上記現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法などを使用することができるが、これに限定されない。
【0153】
上記現像液としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア水第4級アンモニウム塩のような塩基性水溶液を使用することができる。この中で、テトラメチルアンモニウム水溶液のようなアンモニア第4級アンモニウム水溶液が特に好ましい。
【0154】
上記のようなステップを通じて、本発明の一実施態様に係るフォトレジストパターンを形成することができる。
【0155】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジスト層のパターン形成方法は、半導体製造工程に使用されることができる。
【0156】
具体的に、半導体製造工程の一実施態様において、上記フォトリソグラフィ工程に、フォトレジスト層によって覆われていない半導体基板の領域をエッチング(etching)し、フォトレジスト層を半導体基板から除去(ashing)するステップをさらに含む。
【0157】
上記フォトレジスト層によって覆われていない半導体基板の領域をエッチング(etching)するステップは、フォトレジスト層のパターン以外の半導体基板領域を食刻するステップである。
【0158】
上記フォトレジスト層を半導体基板から除去するステップは、公知の方法を使用することができ、例えば、反応チャンバを用いて低圧状態でウェハを加熱した後、酸素基や酸素イオンを含むプラズマを注入して行うことができる。
【0159】
上記半導体基板は、制限されるものではなく、当該技術分野に知られている公知のものを使用することができる。例えば、電子部品用基板や、これに所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。上記電子部品用基板としては、例えば、シリコン、窒化シリコン、チタン、タンタル、パラジウム、チタンタングステン、銅、クロム、鉄、アルミニウム、金、ニッケルなどの金属製基板やガラス基板などが挙げられる。上記配線パターンの材料としては、例えば、銅、半田、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが使用されることができるが、これに限定されるものではない。
【0160】
本明細書の一実施態様は、上記フォトレジストパターンを含む電子機器を提供する。
【0161】
上記電子機器は、本明細書に係る組成物から製造されたフォトレジスト層が適用できるものであれば、制限なく使用することができる。例えば、回路基板の製造、電子部品の製造、バンプやメタルポストなどの接続端子、配線パターンなどのように広範囲な用途に適用可能である。
【実施例
【0162】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。ところが、本明細書に係る実施例は、種々の異なる形態に変形されることができ、本明細書の範囲が以下に述べる実施例に限定されるものとは解釈されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0163】
<製造例>
【0164】
製造例1- <化合物3の製造>
【0165】
【化21】
【0166】
シクロペンタジエン(Cyclopentadiene)(132.2g、2.0mol)と2-カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethyl acrylate)(130.1g、1.0mol)、4-メトキシフェノール(4-methoxyphenol)(2.4g、0.02mol)を高圧反応器に入れて180℃で18時間反応させた後、減圧蒸留して、化合物1(190g、97%)を得た。
【0167】
上記化合物1(196g、1.0mol)、ソジウム1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタン-1-スルホネート(sodium 1,1-difluoro-2-hydroxyethane-1-sulfonate)(220.9g、1.2mol)、HSO(19.6g、0.2mol)を入れて60℃で6時間反応させる。反応終了後、 HO 1Lを投入して酢酸エチル(ethyl acetate)1Lで3回抽出した後、溶媒を除去する。得られた結果物をエタノール(EtOH)で再結晶して、化合物2(330g、91%)を得た。
【0168】
上記化合物2(181g、0.5mol)、トリフェニルスルホニウムブロミド(triphenylsulfonium bromide)(172g、0.5mol)をHO:ジクロロメタン(dichloromethane)=1:1溶液1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、有機層をHO 1Lで3回洗浄した後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、化合物3(280g、93%)を得た。
【0169】
化合物3の合成確認資料は、下記の通りである。
【0170】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm)δ = 7.4 - 7.3(m, 15H), 6.1 - 6.0(m, 2H), 4.5 - 4.3(m, 2H), 3.8 - 3.5(m, 5H), 3.1 - 2.9(m, 2H), 1.8 - 1.4(m, 2H)
【0171】
製造例2- <化合物7の製造>
【0172】
【化22】
【0173】
フマル酸(Fumaric acid)(117g、1mol)をテトラヒドロフラン(THF, Tetrahydrofuran)に適当に溶かしてシクロペンタジエン(cyclopentadien)(198g、3mol)を0℃で滴下漏斗(Dropping funnel)で30分にかけて注入し、常温で12時間撹拌した。減圧蒸留(Vacuum distillation)を通じて残留シクロペンタジエン(cyclopentadiene)を除去して、化合物 4(173g、95%)を得た。
【0174】
上記化合物4(164g、0.9mol)とソジウム1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタン-1-スルホネート(sodium 1,1-difluoro-2-hydroxyethane-1-sulfonate)(166g、0.9mol)と硫酸(19g、0.18mol)を入れて60℃で6時間撹拌させた。反応が完了した後、酢酸エチルで相分離後、溶媒を飛ばして生成物を得た。得た生成物をエタノールに溶かして再結晶して、化合物5(298g、95%)を得た。
【0175】
ジクロロメタン(Dichlorometane)(1050mL)と2-メチル-2-アダマンタノール(2-Methyl-2-adamantanol)(50g、0.3mol)、トリエチルアミン(TEA, trimethylamine)(67g、0.66mol)をフラスコに入れて撹拌させた。上記化合物5(105g、0.3mol)とEDCI(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopro-pyl)carbodiimide)(56g、0.36mol)、 HOBT(1-Hydroxybenzotriazole hydrate)(56g、0.36mol)をジクロロメタン(dichlorometane)(1グラム当たり10ml)に溶かしたものを滴下漏斗(dropping funnel)を用いてゆっくり滴加した。約5時間程度常温で反応後、クエン酸(citric acid)とブライン(brine)で洗浄(washing)しながらジクロロメタン(dichlorometane)で抽出(Extraction)して分離した後、MgSO処理をした後に乾燥して、化合物6(144g、97%)を得た。
【0176】
上記化合物6(125g、0.25mol)とトリフェニルスルホニウムブロミド(triphenylsulfonium bromide)(86g、0.25mol)をHO:ジクロロメタン(dichloromethane)=1:1溶液1Lに入れて常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、有機層をHO 1Lで3回洗浄した後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、化合物7(171g、93%)を得た。
【0177】
化合物7の合成確認資料は、下記の通りである。
【0178】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm)δ = 7.5 - 7.0(m, 15H), 6.1 - 6.0(m, 2H), 4.5 - 4.3(m, 2H), 3.8 - 3.5(m, 5H), 3.1 - 2.9(m, 2H), 2.7 - 2.4(m, 2H), 1.8 - 1.6(m, 5H), 1.5 - 1.3(m, 7H), 1.2 - 0.9(m, 5H)
【0179】
製造例3-<化合物8の製造>
【0180】
【化23】
【0181】
反応フラスコに上記製造例2で合成した化合物7を386.45g、32.84gのAIBN、4,4'-チオジベンゼンチオール(4,4'-thiodibenzenethiol)62.60gを入れる。重合温度と同じ65℃で3時間チオール-エンクリック反応させて、上記化合物がエチレンスルフィドを含んだ作用基を介して相互結合された化合物8を製造した。反応が完了すれば、常温(25℃)に温度を下げた後、IPAとPGMEAで希釈して水に注いで沈殿させる。フィルターして得た高分子をさらにIPAとPGMEAとの混合溶媒に注いで沈殿させ、フィルターして、40℃のオーブンで一日間乾燥させた。
【0182】
化合物8の合成確認資料は、下記の通りである。
【0183】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm) δ = 7.6 - 7.0(m, 38H), 5.3 - 4.9(m, 4H), 2.9 - 2.5(m, 10H), 2.4 - 2.3(m, 2H), 2.2 - 2.0(m, 4H), 1.9 - 0.9(m, 36H)
【0184】
製造例4-<化合物9の製造>
【0185】
【化24】
【0186】
反応フラスコに上記製造例2で合成した化合物7を386.45g、32.84gのAIBN、4,4',4''-メタントリイルトリベンゼンチオール(4,4',4''-methanetriyltribenzenethiol) 56.76gを入れる。重合温度と同じ65℃で3時間チオール-エンクリック反応させて、上記化合物がエチレンスルフィドを含んだ作用基を介して相互結合された化合物9を製造した。反応が完了すれば、常温(25℃)に温度を下げた後、IPAとPGMEAで希釈して水に注いで沈殿させる。フィルターして得た高分子をさらにIPAとPGMEAとの混合溶媒に注いで沈殿させ、フィルターして、40℃のオーブンで一日間乾燥させた。
【0187】
化合物9の合成確認資料は、下記の通りである。
【0188】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm)δ = 7.6 - 7.0(m, 57H), 5.6 - 5.4(m, 1H), 4.6 - 4.1(m, 6H), 2.9 - 2.5(m, 15H), 2.4 - 2.3(m, 3H), 2.2 - 2.0(m, 6H), 1.9 - 0.9(m, 54H)
【0189】
製造例5-<化合物10の製造>
【0190】
【化25】
【0191】
反応フラスコに上記製造例2で合成した化合物7を386.45g、32.84gのAIBN、4,4',4'', 4'''-(エタン-1,1,2,2-テトライル)テトラベンゼンチオール(4,4',4",4'''-(ethane-1,1,2,2-tetrayl)tetrabenzenethiol)115.68gを入れる。重合温度と同じ65℃で3時間チオール-エンクリック反応させて、上記化合物がエチレンスルフィドを含んだ作用基を介して相互結合された化合物10を製造した。反応が完了すれば、常温(25℃)に温度を下げた後、IPAとPGMEAで希釈して水に注いで沈殿させる。フィルターして得た高分子をさらにIPAとPGMEAとの混合溶媒に注いで沈殿させ、フィルターして、40℃のオーブンで一日間乾燥させた。
【0192】
化合物10の合成確認資料は、下記の通りである。
【0193】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm)δ = 7.6 - 7.0(m, 76H), 4.6 - 4.1(m, 10H), 2.9 - 2.5(m, 20H), 2.4 - 2.3(m, 4H), 2.2 - 2.0(m, 8H), 1.9 - 0.9(m, 72H)
【0194】
製造例6-<重合体1の製造>
【0195】
反応フラスコに上記製造例1で合成した化合物3を301.33g(0.5mol)入れて、アニソール150.67g(50wt%)を入れた。窒素雰囲気下に20分間撹拌させた。アルゴン雰囲気下でパラジウム金属触媒をアニソールに溶解させてパラジウム触媒溶液を調製した。反応溶液を65℃として、調製したパラジウム金属触媒溶液を注射器で注入して18時間撹拌した。反応終了後、アニソールで反応溶液を薄めた後、過量のヘキサンに入れて沈殿させた。このようにして得られた固体はフィルター後、40℃のオーブンで18時間乾燥して、重合体1を得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重合体1の重量平均分子量は、4,300g/molであった。
【0196】
【化26】
【0197】
製造例7-<重合体2の製造>
【0198】
反応フラスコに上記製造例2で合成した化合物7を386.45g(0.5mol)入れてアニソール184.22g(50wt%)を入れた。窒素雰囲気下に20分間撹拌させた。アルゴン雰囲気下でパラジウム金属触媒をアニソールに溶解させて、パラジウム触媒溶液を調製した。反応溶液を65℃として、調製したパラジウム金属触媒溶液を注射器で注入して18時間撹拌した。反応終了後、アニソールで反応溶液を薄めた後、過量のヘキサンに入れて沈殿させた。このようにして得られた固体はフィルター後、40℃のオーブンで18時間乾燥して、重合体2を得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重合体2の重量平均分子量は、4,500g/molであった。
【0199】
【化27】
【0200】
製造例8- <化合物11の製造>
【0201】
【化28】
【0202】
シクロペンタジエン(Cyclopentadiene)(132.2g、2.0mol)と2-カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethyl acrylate)(130.1g、1.0mol)、4-メトキシフェノール(4-methoxyphenol)(2.4g、0.02mol)を高圧反応器に入れて180℃で18時間反応させた後、減圧蒸留して、化合物1(190g、97%)を得る。
【0203】
ジクロロメタン(Dichlorometane)(1050mL)と2-メチル-2-アダマンタノール(2-Methyl-2-adamantanol)(50g、0.3mol)、トリエチルアミン(TEA, trimethylamine)(67g、0.66mol)をフラスコに入れて撹拌させた。上記化合物1(59g、0.3mol)とEDCI(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopro-pyl)carbodiimide)(56g、0.36mol)、HOBT(1-Hydroxybenzotriazole hydrate)(56g、0.36mol)をジクロロメタン(dichlorometane)(1グラム当たり10ml)に溶かしたものを滴下漏斗(dropping funnel)を用いてゆっくり滴加した。約5時間程度常温で反応後、クエン酸(citric acid)とブライン(brine)で洗浄(washing)しながらジクロロメタン(dichlorometane)で抽出(Extraction)して分離した後、 MgSO処理をした後に乾燥して、化合物11(144g、97%)を得た。
【0204】
化合物11の合成確認資料は、下記の通りである。
【0205】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm)δ = 6.1 - 6.0(m, 2H), 3.7 - 3.6(m, 5H), 3.1 - 3.0(m, 2H), 2.6 - 2.5(m, 2H), 1.8 - 1.3(m, 12H), 1.2 - 1.0(m, 5H)
【0206】
製造例9-<重合体3の製造>
【0207】
反応フラスコに上記製造例8で合成した化合物11を172.23g(0.5mol)入れてアニソール150.67g(50wt%)を入れた。窒素雰囲気下に20分間撹拌させた。アルゴン雰囲気下でパラジウム金属触媒をアニソールに溶解させてパラジウム触媒溶液を調製した。反応溶液を65℃とし、調製したパラジウム金属触媒溶液を注射器で注入して18時間撹拌した。反応終了後、アニソールで反応溶液を薄めた後、過量のヘキサンに入れて沈殿させた。このようにして得られた固体はフィルター後、40℃のオーブンで18時間乾燥して、重合体3を得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重合体3の重量平均分子量は、3,800g/molであった。
【0208】
【化29】
【0209】
<フォトレジスト組成物の製造例>
【0210】
実施例1
【0211】
上記製造例3で製造した化合物8を樹脂(Resin)とし、クエンチャー(Quencher)であるN-tert-アミルオキシカルボニル-4-ヒドロキシペピリジン(N-tert-Amyloxycarbonyl-4-hydroxypiperidine)を樹脂(Resin)の全体質量に対し0.5質量%、溶媒としてPGMEA(Propylene glycol monomethyl ether acetate)を加えて、固形分(樹脂、クエンチャーを含む)4%の混合液を製造した。得られた混合液は、0.1μmのフィルターで濾過して、レジスト液(組成物)を製造した。
【0212】
実施例2及び3
【0213】
下記表1のように構成要素を変更したことを除き、上記実施例1の製造方法と同じ方法で製造して、実施例2及び3を製造した。
【0214】
比較例1
【0215】
上記製造例6で製造した重合体1を樹脂(Resin)とし、光酸発生剤としてスルホニウム(Sulfonium)、[4-(1,1-dimethylethyl)phenyl]diphenyl-、salt with 1-tricyclo[3.3.1.13,7]dec-1-yl 2,2-difluoro-2-sulfoacetate(1:1)を樹脂の全体質量に対し2.0質量%、クエンチャーであるN-tert-アミルオキシカルボニル-4-ヒドロキシペピリジン(N-tert-Amyloxycarbonyl-4-hydroxypiperidine)を樹脂の全体質量に対し0.5質量%、溶媒としてPGMEA(Propylene glycol monomethyl ether acetate)を加えて、固形分(樹脂、光酸発生剤及びクエンチャーを含む)4%の混合液を製造した。得られた混合液は、0.1μmのフィルターで濾過して、レジスト液(組成物)を製造した。
【0216】
比較例2
【0217】
下記表1のように構成要素を変更したことを除き、上記比較例1の製造方法と同じ方法で製造して、比較例2を製造した。
【0218】
比較例3
【0219】
下記表1のように構成要素を変更したことを除き、上記比較例1の製造方法と同じ方法で製造して、比較例3を製造した。
【0220】
【表1】
【0221】
<実験例>
【0222】
フォトレジスト層の製造
【0223】
シリコンウェハ上に反射防止膜を形成した後、それぞれのレジスト液(実施例1~3、比較例1~3)をスピンコートした。ホットプレートを用いて120℃で60秒間べーク(SOB)を行って、フォトレジスト層を形成した。
【0224】
これを電子線を照射してパターニングを行った。酸拡散のために110℃で90秒間べーク(PEB)し、2.38%TMAH(Tetramethylammonium hydroxide)水溶液で60秒間現像した。製造したレジスト膜の厚さは、走査電子顕微鏡(SEM)で測定すると、30~32nmであった。
【0225】
フォトレジスト層の最適露光量(Dose)及び線幅ラフネス(LWR)の評価
【0226】
上記実施例1~3及び比較例1~3の組成物について、下記のような方法でフォトレジストの最適露光量及び線幅ラフネス(LWR)を評価した。
【0227】
評価条件は、SOB 120℃/60s、PEB 110℃/90sであった。
【0228】
SOBとは、ソフトベーク(Soft bake)であって、露光前のベーク(bake)工程を意味し、一般に、フォトレジスト層のコーティング後にフォトレジスト層に残っている溶媒を除去するための工程である。
【0229】
PEBとは、Post exposure bakeであって、露光後のベーク(bake)工程を意味し、露光後に酸拡散のために行った。
【0230】
評価した結果を下記表2に記載する。具体的に、Doseは最適露光量を意味し、32nmの1:1ラインアンドスペースパターンを対象として電子顕微鏡で観察して、ライン寸法幅が40nmとなる露光量を最適露光量とした。
【0231】
50mJ/cm以下(◎)、70mJ/cm以下(○)、90mJ/cm以下(△)、90mJ/cm超過(×)として、下記表2に示す。
【0232】
また、LWRは線幅ラフネスを意味し、32nmの1:1ラインアンドスペースでラインの線幅ばらつきを走査電子顕微鏡(SEM)で測定した。7nm以下(◎)、10nm以下(○)、13nm 以下(△)、13nm超過(×)として、下記表2に示す。
【0233】
【表2】
【0234】
上記表2から分かるように、実施例1~3は、比較例1~3に比べて、最適露光量が低くて、微細パターンの製造に有用であることを確認することができた。これは露光によって発生した光酸発生剤が近接している樹脂内の置換基をすぐに脱保護化させることができるので、既存のレジストより感度が高くて、小さな露光量でも高解像度のパターンの具現が可能であることが確認できた。また、実施例1~3は、フォトレジスト内の樹脂が単分子から構成されたものであり、フォトレジスト内の樹脂が高分子ではない単分子から構成されていて、線幅ラフネス(LWR)が改善したことが確認できた。
【0235】
また、実施例1~3は、比較例1~3に比べて、線幅ラフネス(LWR)が低くて、微細なフォトレジストパターンを形成できることを確認することができた。さらに、本発明の一実施態様に係る化合物は、実施例1~3から分かるように、SO とSのイオン性基を有する化合物を含むものであって、これを含んでいない比較例3の場合、光酸発生剤としての機能ができなくて、評価結果が良くないことが確認できた。