(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】シリコン微粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/03 20060101AFI20220509BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C01B33/03
H01M4/38 Z
(21)【出願番号】P 2018096067
(22)【出願日】2018-05-18
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】望月 直人
(72)【発明者】
【氏名】石田 晴之
(72)【発明者】
【氏名】有行 正男
(72)【発明者】
【氏名】福原 浩二
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112057(JP,A)
【文献】特開2018-70443(JP,A)
【文献】特表2011-520763(JP,A)
【文献】特表2012-524022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/03
H01M 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次粒子の平均直径が30~900nmであり、
結晶子径が10nm未満であり、
塩素濃度が、1~10質量%にあり、
酸素濃度(C
o:質量%)と比表面積(S:m
2/g)との比(C
o/S)が0.05未満であることを特徴とするシリコン微粒子。
【請求項2】
反応器内で、トリクロロシランを含むガスを600~950℃の温度に加熱し、トリクロロシランを熱分解させて塩素含有シリコン微粒子前駆体を生成させたのち、前記シリコン微粒子前駆体を捕集し、次いで、捕集したシリコン微粒子前駆体を、不活性ガスの供給下、または減圧下で、750~900℃の温度で加熱して脱塩素を行うことを特徴とするシリコン微粒子の製造方法。
【請求項3】
シリコン微粒子前駆体を捕集する際に、分離された反応排ガスから、未反応トリクロロシランおよび四塩化ケイ素を回収し、四塩化ケイ素は、金属シリコンおよび水素と反応させてトリクロロシランに転化させて、反応原料として用いることを特徴とする請求項2に記載のシリコン微粒子の製造方法。
【請求項4】
反応排ガスから、未反応のトリクロロシランを蒸留によって分離回収して反応原料として用いることを特徴とする請求項2または3に記載のシリコン微粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なシリコン微粒子とその製造方法に関する。詳しくは、微量の塩素を含有し、酸素量が所定の範囲に制御された、特定の一次粒子径および結晶子径を有するシリコン微粒子および、該微粒子の製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、シリコンは、リチウムイオン二次電池の電極材(負極材)をはじめとして種々の用途に使用され或いはその使用が提案されている。
従来、リチウムイオン電池の負極材にはグラファイト、黒鉛などのカーボン系材料が一般的に使用されているが、理論容量が372mAh/g(LiC6までリチウム化した場合)と低く、より高容量の負極材料が望まれている。シリコンは、カーボン材料に比べて単位質量あたりリチウムの吸蔵量が大きく、理論容量が3,579mAh/g(Li15Si4までリチウム化した場合)と非常に高容量であり、次世代の負極材として検討されている。
【0003】
シリコンをリチウムイオン二次電池の負極材として使用する場合の課題として、シリコンとリチウムが合金を形成してリチウムを吸蔵する際の体積膨張が大きく、充放電による膨張収縮の繰り返しによって、歪エネルギーが内部に蓄積して、シリコンが粉々に破断して空隙が発生し、電気伝導性やイオン伝導性を喪失することで負極の充電容量が低下することが挙げられる。
【0004】
この課題に対し、シリコンを微粒子化すると、膨張収縮の際にシリコン微粒子が破断し難くなり、耐久性を高くできることが知られている。(非特許文献1)
シリコンは、リチウムと弱い共有結合を構成する充放電サイトとして機能するが、シリコン中にSi-Oとして存在する酸素不純物は、リチウムと強いイオン結合を形成する不可逆容量サイトとなる。そのため、シリコン中の酸素不純物はなるべく少ないことが望ましい。しかし、シリコンの表面には一般に自然酸化膜と呼ばれる酸化層が存在するため、シリコンを微粒子化することで表面積が増大すると、それに比してシリコン中の酸素濃度も増大するという課題がある。特に、破砕によってシリコンを微粒子化すると、破砕エネルギーに起因するシリコンの表面変質層(不安定で活性の高い部位)の形成によって、シリコン表面の酸化層が厚く形成され、酸素濃度が高くなりやすい。
【0005】
また、アモルファス状のシリコンは、結晶性のシリコンに比してリチウムが均等に分布しやすく、シリコンがリチウムとの合金を作る際、膨張時に局所応力がかかり難く割れにくくなるため、耐久性を高くできることが知られている。アモルファスシリコンとは、シリコンの結晶性を限りなく低くしたものであり、原子半径の非常に小さい水素をシリコンの一部に結合させ、シリコンの結晶性を下げることで得られる水素化アモルファスシリコンが最も一般的に知られている。しかし、シリコンと水素との結合エネルギーは比較的低く不安定であるため、リチウムイオン電池の負極材に使用した場合、シリコンのリチウム化・脱リチウム化の繰り返しの過程で結晶化を起こし、大きな結晶に変化してしまうおそれがある。
【0006】
アモルファスシリコンの製造方法として、例えば、特許文献1には、a)シリコン源ガス及びポリシリコンシリコンシードを反応区域に供給するステップ;b)反応区域内で、シリコン源ガスの熱分解の反応平衡に到達して元素シリコンが生成するように、シリコン源ガスを反応区域内で十分な温度と滞留時間に維持するステップ;およびc)ポリシリコンシリコンシードに元素シリコンが蒸着されて被覆粒子が生成するように、反応区域中に十分な量のポリシリコンシリコンシードを維持するステップ;を含む製造方法が開示されている。
【0007】
特許文献1には、i)少なくとも1種のシリコン源ガスの分解が、4HSiCl3←→Si+3SiCl4+2H2によって進行するものであり;ii)十分な温度が、約700℃~約1000℃の温度範囲であり;iii)十分な滞留時間が、約5秒未満であることが開示されている。しかしながら、特許文献1の方法では反応温度が上記範囲の上限付近になると、シリコンの析出によって反応管が閉塞するため、連続生産が困難であり、また、温度を下げると、塩素が多く残存したシリコンとなり、容易に空気中の水分と反応して酸化してしまうという欠点がある。
【0008】
特許文献2には20~150m2/gのBET表面積を有する凝集結晶質シリコン粉末が開示され、その製造方法として、ガス状のシラン、不活性ガスおよび、水素をホットウォール反応器中で加熱したのち、反応物を冷却させて粉末を分離回収する、凝集結晶質シリコン粉末の製造方法が開示されている。しかし、特許文献2に記載の製造方法は、シラン原料に、反応性が高く爆発性のあるモノシランが使用されているため、安定生産が難しい。また、得られるシリコンは結晶質のシリコンである。
【0009】
特許文献3には、ハロゲン化ポリシランを熱分解して得られる粉粒状の形態のハロゲン含有シリコンが開示されている。特許文献3で最終的に得られる塩化物含有シリコンは、実施例では33%という大量の塩素を含んでおり、残存した塩素と空気中などの水分との反応によるシリコン酸化は避けられない。
【0010】
特許文献4には、組成式(SiH)nで示される層状ポリシランを熱処理することで製造されたナノシリコン材料と、Pt,Ir,Pd,Cu,W及びTiから選ばれた少なくとも一種の金属よりなり該ナノシリコン材料のSiと複合化した複合化金属とからなる負極活物質が開示されている。上記層状ポリシランは水溶液中で調製されるため、水酸基が残存していると考えられ、これを使用して得られるナノシリコン材料は、本発明の目的とする低酸素のシリコンを得ることが困難であると予測される。
【0011】
以上のように、リチウムと合金化する際の膨張収縮に付随した破壊・変形が少なく、しかも低酸素濃度で、耐酸化性にも優れているシリコンは必ずしも得られていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特表2012-524022号公報
【文献】特表2007-511460号公報
【文献】特表2011-520763号公報
【文献】特開2014-120429号公報
【非特許文献】
【0013】
【文献】X. H. Liu et al., “Size-Dependent Fracture of Silicon Nanoparticles During Lithiation”, ACSNANO Vol. 6, No. 2, pp. 1522-1531 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、リチウムとの反応(合金化)・リチウムの脱離(非合金化)の際の膨張収縮による破断が少なく、しかも低酸素濃度で、耐酸化性にも優れるシリコン微粒子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために、以下の点に着目した。
シリコンを微粒子化すると、リチウムとの合金化・非合金化に伴う膨張収縮が生じても、粒子の破断が起こりにくくなる。しかし、粒子径を小さくすると、単位質量当たりの表面(比表面積)が増えることになり、シリコン表面に形成される酸化膜によって酸素不純物量が多くなる。
【0016】
また、粒子中の結晶ドメイン(結晶子)が小さくアモルファスに近いものであるほど、リチウムとの合金化・非合金化に伴う膨張収縮が抑制される傾向があり望ましい。シリコンはリチウムとの合金化の過程でアモルファス状態を経ることが知られており、結晶質のシリコンからアモルファス合金への相変化と比較して、アモルファス状のシリコンからアモルファス合金への相変化の方が、体積変化が小さいためと考えられる。
【0017】
また、トリクロロシランの熱分解によってシリコンを製造する場合、反応器内で
式(1);
4SiHCl3 → 3SiCl4 + Si + 2H2 (1)
で表される分解反応が行われ、シリコン(Si)が生成する。
【0018】
この熱分解は主に1,000℃以上の高温で進行するため、生成したシリコンが反応容器に融着し、その結果、シリコン微粒子の捕集率が極めて低くなるという問題がある。また、このような高温反応によって得られたシリコンは冷却の過程で結晶化が進行するため、結晶子径が増大する問題点もある。
【0019】
シリコン微粒子中に残存する塩素は、一般的に空気中などの水分と容易に反応して酸化の原因となると考えられているが、粒子表面近傍に露出する塩素のみ反応性が高く、粒子内部に存在する塩素はほとんど反応性を有しない。また、シリコン微粒子内に所定量の塩素を含有させておくと、シリコンの結晶化を阻害して結晶子径を小さく保つことができ、リチウム合金化の際の膨張を抑制することができる。
【0020】
この残存塩素、すなわちSi-Cl結合(386kJ/mol)の結合エネルギーは、Si-H結合(316kJ/mol)よりも大きく安定であるうえ、塩素は水素よりも原子半径が大きく、単位体積あたりのSi原子密度を下げることができる。このため、一般にシリコンをアモルファス化する方法として知られている水素化よりも、化学的に安定であり、リチウム合金化の際の膨張の抑制効果が高い。
そして、上記着目点に鑑み、本発明者はさらに鋭意検討した結果、以下の発明を完成するに至った。
【0021】
本発明にかかるシリコン微粒子は
一次粒子の平均直径が30~900nmであり、
結晶子径が10nm未満であり、
塩素濃度が、1~10質量%にあり、
酸素濃度(Co:質量%)と比表面積(S:m2/g)との比(Co/S)が0.05未満である。
【0022】
本発明は、前記シリコン微粒子を製造するための好適な製造方法をも提供する。
即ち、本発明にかかる製造方法によれば、
反応器内で、トリクロロシランを含むガスを600~950℃の温度に加熱し、トリクロロシランを熱分解させて塩素含有シリコン微粒子前駆体を生成させたのち、前記シリコン微粒子前駆体を捕集し、次いで、捕集したシリコン微粒子前駆体を、不活性ガスの供給下、または減圧下で、750~900℃の温度で加熱して脱塩素を行うことを特徴とする。
【0023】
また、シリコン微粒子前駆体を捕集する際に、分離された反応排ガスから、未反応のトリクロロシランを蒸留によって分離回収して反応原料として用いることは好ましい態様である。
【0024】
さらに、反応排ガスから、未反応トリクロロシランおよび四塩化ケイ素を回収し、四塩化ケイ素は、金属シリコンおよび水素と反応させてトリクロロシランに転化させて、反応原料として用いることも好ましい態様である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のシリコン微粒子は、一次粒子径および結晶子径が所定の範囲にあるため、リチウムイオン電池の負極材に用いた場合、充放電の際にリチウムとの合金化・非合金化によって膨張収縮を繰り返しても破断が起こりにくい。また、比表面積と酸素量を定義しているので、酸素不純物によるリチウムの不可逆反応が少ない上に、塩素を所定の範囲で含むために、低結晶性を維持し体積変化が少ない。
【0026】
本発明の製造方法として、トリクロロシランの熱分解工程と、得られたシリコン微粒子前駆体の脱塩素工程とからなる2段階の加熱工程を採用することで上記の特徴を有するシリコン微粒子を効率的に生産できる。
【0027】
このような本発明のシリコン微粒子を、リチウムイオン電池の負極材として使用した場合、リチウムの吸収、放出に伴って起こるシリコンの合金化と非合金化の繰り返しにおいて粒子の膨張収縮による電極構造の破壊や粒子の破断による導電経路の喪失による性能劣化が起こり難く、長期間安定した性能を発揮することが期待できる。
【0028】
本発明のシリコン微粒子は、グラファイト、黒鉛などのカーボン材料や、酸化ケイ素、スズ、アンチモン、マグネシウム、ビスマスなどの既知の負極材料と混合した複合物の形態、またはシリコン単体で、全固体電池やゲル状の電解質を用いた電池を含むリチウムイオン二次電池の負極の活物質として使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明のシリコン微粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図2】本発明のシリコン微粒子の製造プロセスを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を説明するが本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。
<シリコン微粒子>
本発明のシリコン微粒子は、一次粒子の平均直径が30~900nm、好ましくは60~500nm、より好ましくは80~250nmの範囲にある。通常、負極材として使用する場合、シリコン微粒子がリチウムと合金化する際に、粒子の外殻から合金化が進む。合金化に伴い、コアのシリコンとシェルの合金層からなるコアシェル構造となり、コアのシリコンが合金化に使われて小さくなりながら、シェルの合金層の体積膨張が進む。シェルのリチウム合金は、コアのシリコンよりも体積が大きいために、シリコン微粒子の径が大きいと、膨張したシェルおよびコアとシェルの界面にクラックが発生する。また、このクラックは、充放電を繰り返すうちに粒子自体が破断する原因となり、破断面でイオン伝導及び電気伝導の経路を喪失することでリチウムと反応できないシリコンの割合が増え、充放電効率を低下する原因となる。これに対し、本発明では所定の範囲の平均粒子径に調整されているため、合金化に伴う体積膨張が進んでも、クラックが発生する前に合金化が完了し、シリコン微粒子の破断が起こりにくい。
【0031】
シリコン微粒子の結晶子径は10nm未満であり、好ましくは3~8nmの範囲にある。このようなシリコン微粒子を構成する結晶子は特に制限されず、多結晶、アモルファスのいずれでもよく、これらが混在していてもよい。
【0032】
シリコンとリチウムが合金化する際、リチウムイオンの挿入によって、シリコンはアモルファス合金化する。結晶シリコンからアモルファスへの構造変化時の膨張は非常に大きいが、本発明では、あらかじめシリコンの結晶子径が小さくアモルファスに近い形態であるため、構造変化による膨張を少なくでき、体積膨張による影響をより抑制できる。
【0033】
シリコン微粒子の酸素濃度(Co:質量%)と比表面積(S:m2/g)との比(Co/S)は0.05未満、好ましくは0.03未満である。シリコンの酸素濃度はシリコン微粒子表面の表面酸化層に起因するものが主体であるため、シリコン微粒子の粒子径が小さくなれは比表面積が増え、酸素濃度は高くなる。このため比表面積と酸素濃度をそれぞれ定義することが難しい。そこで本発明では、比(Co/S)によって、シリコン中の酸素不純物の影響が少ない範囲を定義している。シリコン中の酸素不純物は、リチウムと不可逆的に結合することで、充放電サイクルの不可逆容量の原因となるが、本発明の所定の比率に比(Co/S)を調整することで、酸素の影響を極めて少なく抑制することができる。
【0034】
またシリコン微粒子中の塩素濃度は、1~10質量%、好ましくは3~7質量%の範囲にある。塩素を所定の範囲で含んでいると、シリコンの結晶子径の増大を抑制し、リチウムとシリコンが合金化する際の膨張を抑制する効果がある。塩素が少なすぎると、塩素を含む効果が薄くなり膨張の抑制効果は得られず、塩素が多すぎると粒子表面に残存した反応性の高い塩素が空気中の水分と反応して酸素不純物が増えたり、その他の電池材料と反応して塩化物を生成する場合がある。
【0035】
このような本発明のシリコン微粒子の走査型電子顕微鏡写真を
図1に示す。
図1では、50~300nm程度の球状の微粒子が複数、数珠つなぎ状に連なっているが、これに限定されず、個々の微粒子が連結していない単分散微粒子であってもよい。
【0036】
<シリコン微粒子の製造方法>
本発明は、前記シリコン微粒子を製造するための好適な製造方法も提供する。
即ち、本発明にかかる製造方法によれば、
反応器内で、トリクロロシランを熱分解させてシリコン微粒子前駆体を生成させる熱分解工程と、捕集したシリコン微粒子前駆体を加熱して脱塩素を行う脱塩素工程を含む。
【0037】
・熱分解工程
本発明では、Si源として、トリクロロシランが主成分として使用される。またトリクロロシラン以外のSi源として、ジクロロシラン、四塩化珪素などが含まれていてもよく、これらを含む場合、Si源中の全モル中に30モル%以下の量で使用されることが望ましい。
【0038】
反応容器に、Si源とともに、窒素やアルゴン、ヘリウム等の本発明の製造方法の反応に対して本質的に不活性なガスを同伴ガスとして混合することができる。主要なSi源であるトリクロロシランは沸点が約32℃と高く液化しやすいが、同伴ガスを混合することでガス状態を保ち容易に定量供給することができる。同伴ガスの量は特に制限されず、トリクロロシランに対して、5~80体積%の範囲で使用されることが、トリクロロシランの気化安定化のために望ましい。また、気化条件およびガス配管の加温を適切に実施することで、工業的には同伴ガスは使用しなくともよい。
【0039】
本発明における熱分解工程では、下記のようにトリクロロシランが熱分解して、中間生成物であるSiClx(xは一般的に0.1~0.3である)をシリコン微粒子前駆体として生成する。この熱分解工程での代表的な反応は、下記式(2)で表される。
SiHCl3 → (1-n)SiCl4 + nSiClx + (1/2)H2 (2)
なお、副生物には、四塩化珪素の他に、ジクロロシランやポリマー状のシランも含まれる。
【0040】
熱分解工程では、Si源を600~950℃、好ましくは650~900℃、より好ましくは700~850℃の温度に加熱する。シリコン微粒子前駆体を生成するには、加熱温度が重要となり、加熱温度が所定の温度より高い場合、反応物が反応器の内壁に融着して反応器を閉塞し、また、所定の温度より低い場合、目的とするシリコン微粒子前駆体が得られない。反応容器としては、通常、内壁がカーボン等の材質よりなる管型反応容器が使用され、所定の温度に内壁を加熱しうる加熱装置が設けられている。
【0041】
前記式(2)で表されるシリコン微粒子前駆体を生成する反応を経由することで、前記したような従来になかった結晶子径が小さく、酸素量、塩素量が所定の範囲に調整されたシリコン微粒子を得ることができる。
【0042】
反応容器内部の温度は前記の範囲に加熱できれば特に制限なく、段階的に温度を変えてもよい。またSi源のガス流速や滞留時間も、反応容器の大きさや伝熱面積(効率)に応じて適宜選択される。
【0043】
Si源は反応容器に導入する前にあらかじめ40℃以上、600℃未満の温度に予熱しておくことが好ましく、次いで、前記温度に上昇することが望ましい。反応容器内で低温のSi源を前記温度まで速やかに加熱しようとする場合、反応容器の内壁(加熱体)温度が前記温度を越えて高温になり、反応容器の内壁近傍で局所的にSi源の温度が前記温度範囲を越えることで反応容器壁面に反応物の融着が発生する原因となりやすい。予熱をすることで前記温度までの加熱を緩やかに行うことができ、反応容器内壁の温度を前記Si源の熱分解温度の範囲に適切に保つことができる。また、反応容器内のSi源の予熱に必要な領域を小さくすることができる。さらには、Si源の温度を均一に保ちやすいため得られるシリコン微粒子の粒子径のばらつきを抑制できる。
【0044】
反応生成物のシリコン微粒子前駆体は捕集され、水素や四塩化珪素、窒素、未反応トリクロロシラン、副生物のジクロロシラン、ポリマー状のシランなどと分離される。捕集方法は特に制限なく、たとえば、サイクロン式の捕集手段や、バグフィルター、電気集塵などの既知の方法を使用できる。
【0045】
シリコン微粒子前駆体が分離された反応排ガスから、未反応トリクロロシランおよび四塩化珪素、窒素ガスを回収し、四塩化珪素は、金属シリコンおよび水素と反応させてトリクロロシランに転化させて、再度反応原料として用いることも可能である。
【0046】
反応排ガスから、シラン類とその他のガス成分との分離は、深冷などによって行うことができる。深冷は、加圧下、一般的には、500乃至800kPaG程度の圧力下で、熱交換器などにより-30乃至-50℃程度に冷却して行われる。このような深冷により、トリクロロシランおよび四塩化珪素が凝縮して、窒素ガス、水素ガスや塩化水素ガスなどのガス成分と分離される。一方、ガス成分は、活性炭等の吸着剤を充填した吸着塔で塩化水素ガスを除去した後、分離回収された水素を含む窒素ガスは同伴ガスとして再利用してもよい。
【0047】
凝縮液から、蒸留等によってトリクロロシランを回収し、上記反応に再利用することができる。
分離された四塩化珪素は、水素と金属シリコンと反応させて(式(3))、トリクロロシランに転化して、Si源として再利用することが好ましい。
Si + 2H2 + 3SiCl4 → 4SiHCl3 (3)
得られたトリクロロシランを含む反応生成物を蒸留してトリクロロシランを回収し、反応原料として再利用する。前記深冷によって回収された凝縮液と、上記反応の反応生成物とを混合してトリクロロシランを回収してもよい。式(3)の反応式で、未反応の四塩化珪素は、再度上記反応によるトリクロロシランに転化することも可能であり、このループを繰り返して、副生物の排出ロスを抑制し、原料を有効活用することができる。なお、蒸留工程を多段にして、さらにトリクロロシランを精製してもよい。
【0048】
一方、捕集されたシリコン微粒子前駆体は、脱塩素工程に送られる。移送手段は、酸素および水分に触れず、かつ容器からのコンタミがない限り、特に制限されない。
たとえば、シリコン微粒子前駆体を、カーボン製、アルミニウム製、ニッケル被覆されたSUS製などの容器に窒素置換後、充填し、脱塩素工程に移送してもよい。カーボン製容器は特に電池材料として使用する際に問題となる金属系コンタミの影響が少なく、高温の粒子を充填しても変性することがないため好ましい。あるいは、前記既知の捕集手段で捕集されたシリコン微粒子前駆体をホッパー等に蓄積し、これを窒素などの酸素および水を含まないガスに同伴させて配管で空送することもできる。
【0049】
・脱塩素工程
次いで、捕集したシリコン微粒子前駆体を、脱塩素反応容器に装入し、750~900℃、好ましくは780~820℃の温度に加熱して脱塩素処理を行う。脱塩素処理は、脱塩素反応容器中で、不活性ガスの供給下に行うか、減圧下で行われる。上記脱塩素反応容器に供給し、流通せしめる不活性ガスは、シリコン微粒子前駆体と反応しないものであれば特に限定されない。前記不活性なガスは、前記トリクロロシラン、四塩化珪素(ただし脱塩素反応より生成する四塩化珪素は含まず)、酸素、水を含まない限り制限はなく、窒素、アルゴン、ヘリウム等のガスが好適に使用される。上記不活性ガスは、水分を可及的に減少せしめたガスが好ましく、露点が-50℃以下のものが特に好ましい。また、前記減圧下に行う場合、その圧力が、1kPa以下となるように脱塩素反応容器よりガスを排気することが好ましい。
【0050】
脱塩素処理によって、式(4)の反応が進み、シリコン微粒子が得られる。
SiClx → (1-x/4)Si + (x/4)SiCl4 (4)
前記脱塩素処理の加熱においては、シリコン微粒子前駆体を均一に加熱するため、前駆体を撹拌しながら加熱することが好ましい。撹拌は、反応器が転動するもの、反応器に撹拌翼を設けたもの、気流で撹拌するものなどの既知のいずれの方法であってもよく、さらに、邪魔板を設けて撹拌効率を向上させてもよい。
【0051】
前記シリコン微粒子前駆体を前記所定の加熱温度で加熱する時間(保持時間)は、前記目的とする塩素濃度となる時間であれば特に制限されないが、5~60分程度が一般的である。
【0052】
前記脱塩素処理には、加熱温度が重要であり、前記温度範囲で加熱することで、微粒子表面近傍の反応性の高い塩素が除去されて、前記した本発明にかかるシリコン微粒子が得られる。脱塩素処理後に得られたシリコン微粒子は安定であり、冷却後大気に解放しても、品質が変化することはない。シリコン微粒子の結晶内に閉じ込められた塩素は、反応性が低く、リチウムと合金を形成する際に、アモルファス化する際の体積変化を抑制する機能を有する。脱塩素処理の加熱温度が低いと、表面近傍の反応性の高い塩素が残存し、大気開放時に空気中の水分と反応してシリコン微粒子が酸化する原因となる。一方、加熱温度が高いと、結晶内部の反応性の低い塩素も除去され、結晶化が進行して、本発明が目的とする、結晶子径および塩素濃度を有するものを得ることが困難となる。
【0053】
上記脱塩素反応では四塩化珪素が生じるが、脱塩素反応時に雰囲気に四塩化珪素が高濃度で存在していると、上記式(4)の進行が阻害されるため、前記不活性ガスの供給下に行うか、減圧下に行うことにより、生成した四塩化珪素を系外に排出しながら脱塩素反応を行う。また、回収された四塩化珪素は、前記の深冷分離で回収し、水素と金属シリコンと反応させて(式(3))、トリクロロシランに転化し、前記熱分解の原料として再利用できる。
【0054】
上記のようにして得られた本発明のシリコン微粒子は、必要に応じて解砕、または任意の凝集粒子径で造粒し、さらに必要に応じて任意の溶媒に均一分散したのち、特にリチウムイオン二次電池の負極材として好適に使用することができる。
【0055】
本発明のシリコン微粒子は、結晶子径が小さく、所定の酸素量、塩素量に調整されているため、リチウムイオンの吸蔵時の体積変化で破断することがなく、高い充放電容量を長期間持続可能な負極を構成することが可能である。また、本発明のシリコン微粒子は、急激な酸化が有効に抑制されているため、極めて安全に取り扱うことができる。
【実施例】
【0056】
本発明を、次の実験例で説明する。
各物性の評価方法
(1)トリクロロシランの反応率
トリクロロシランの反応率は、反応後の排出ガスの組成をガスクロマトグラフで分析し、検出されるトリクロロシラン、四塩化ケイ素、ジクロロシランの比率から算出した。
(2)シリコン微粒子前駆体およびシリコン微粒子中の塩素濃度
試料を蛍光X線分析によって計測して求めた。
(3)シリコン微粒子前駆体およびシリコン微粒子中の酸素濃度
試料を酸素窒素濃度分析計(LECO社製TC-600)で計測して求めた。
(4)シリコン微粒子前駆体およびシリコン微粒子の比表面積
試料を、窒素ガスBET吸着法を用いた比表面積測定装置で計測して求めた。
(5)シリコン微粒子の平均直径
比表面積から
d=6/ρ・S
により求めた。なお、dは平均直径、ρはシリコンの密度、Sは比表面積を表す。
(6)シリコン微粒子の結晶子径
試料のX線回折によって得られる回折プロファイルを、Halder-Wagner法で解析することにより求めた。
【0057】
実施例1
・シリコン微粒子前駆体の合成
内径80mm、長さ2500mmのグラファイト製反応筒を750℃に加熱し、ここにトリクロロシランを900g/min、同伴窒素を37NL(Lはリットル)/minの速度で供給してシリコン微粒子前駆体を合成し、バグフィルターで未反応ガスと分離・捕集した。トリクロロシランの反応率は約40%であり、生成したシリコン微粒子前駆体の約70%がバグフィルターで捕集された。捕集したシリコン微粒子前駆体は雰囲気を窒素で置換された貯蔵容器に蓄積した。
【0058】
捕集されたシリコン微粒子前駆体の一部を大気開放したところ、空気中の水分と反応し、塩化水素からなる白煙を生じて酸化した。大気開放後のシリコン微粒子前駆体を分析したところ、酸素濃度は15.2%であった。比表面積(S)は79m2/gであり、酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.192となった。また、結晶子径は3nmであった。
【0059】
・シリコン微粒子前駆体の脱塩素
前記、貯蔵容器に蓄積されたシリコン微粒子前駆体(大気開放されていないもの)を、大気に触れないよう注意しながら窒素置換されたグラファイト製の加熱坩堝に供給した。このグラファイト容器の内部に適量の窒素を供給し、流通させながら、800℃まで加熱した。800℃に到達後、すぐに加熱を停止し、自然冷却を行った。その結果、750℃以上の温度に保持された時間は、5分となった。
【0060】
冷却後、加熱坩堝を大気開放し、内部よりシリコン微粒子を取り出した。得られたシリコン微粒子は大気に曝されても塩化水素ガスに起因する臭気などは感じられなかった。得られたシリコン微粒子の酸素濃度(Co)は0.6質量%、塩素濃度は4.8質量%、比表面積(S)は21m2/gであった。酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.029となった。また、粒子の平均直径は123nm、結晶子径は7nmであった。
【0061】
実施例2
実施例1において、シリコン微粒子前駆体を合成時の反応筒の温度を850℃とした以外は同様の条件でシリコン微粒子前駆体を得た。
得られたシリコン微粒子前駆体を実施例1と同様な脱塩素条件で脱塩素を実施した。その結果、得られたシリコン微粒子の酸素濃度(Co)は0.6質量%、塩素濃度は4.7質量%、比表面積(S)は20m2/gであった。酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.030となった。また、粒子の平均直径は129nm、結晶子径は8nmであった。
【0062】
実施例3
実施例1において、シリコン微粒子前駆体を合成時の反応筒の温度を700℃とした以外は同様の条件でシリコン微粒子前駆体を得た。
得られたシリコン微粒子前駆体を実施例と同様な脱塩素条件で脱塩素を実施した。その結果、得られたシリコン微粒子の酸素濃度(Co)は0.8質量%、塩素濃度は4.8質量%、比表面積(S)は22m2/gであった。酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.036となった。また、粒子の平均直径は117nm、結晶子径は7nmであった。
【0063】
実施例4
実施例1記載のシリコン微粒子前駆体の合成条件に従って得たシリコン微粒子前駆体を、大気に触れないよう注意しながら窒素置換されたグラファイト製の加熱坩堝に供給した。このグラファイト容器の内部に適量の窒素を流通させながら、850℃まで加熱した。850℃に到達後、すぐに加熱を停止し、自然冷却を行った。その結果、750℃以上の温度に保持された時間は、10分となった。
【0064】
冷却後、加熱坩堝を大気開放し、内部よりシリコン微粒子を取り出した。得られたシリコン微粒子の酸素濃度(Co)は0.6質量%、塩素濃度は3.2質量%、比表面積(S)は19m2/gであった。酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.032となった。また、粒子の平均直径は136nm、結晶子径は9nmであった。
【0065】
実施例5
実施例1記載のシリコン微粒子前駆体の合成条件に従って得たシリコン微粒子前駆体を、大気に触れないよう注意しながら窒素置換されたグラファイト製の加熱坩堝に供給した。このグラファイト容器の内部に適量の窒素を流通させながら、780℃まで加熱した。780℃に到達後、すぐに加熱を停止し、自然冷却を行った。その結果、750℃以上の温度に保持された時間は、3分となった。
【0066】
冷却後、加熱坩堝を大気開放し、内部よりシリコン微粒子を取り出した。得られたシリコン微粒子の酸素濃度(Co)は1.0質量%、塩素濃度は4.8質量%、比表面積(S)は22m2/gであった。酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.045となった。また、粒子の平均直径は117nm、結晶子径は6nmであった。
【0067】
比較例1
実施例1と同様の反応筒を1000℃に加熱し、トリクロロシランを実施例1と同等の速度で供給してシリコン微粒子前駆体を合成することを試みた。しかし、1時間以内に反応筒が閉塞し、製造を中断しなければならなかった。トリクロロシランの反応率は約70%であったが、バグフィルターにはシリコン微粒子前駆体は捕集されず、生成したシリコンのほぼすべてが反応筒表面に析出することで、微粒子としては得られていないものと思われた。
【0068】
比較例2
実施例1と同様の反応筒を550℃に加熱し、トリクロロシランを実施例1と同等の速度で供給してシリコン微粒子前駆体を合成することを試みた。しかし、トリクロロシランの反応率は10%未満であり、バグフィルターにもシリコン微粒子前駆体はまったく捕集されなかった。
【0069】
比較例3
実施例1記載のシリコン微粒子前駆体の合成に従って得たシリコン微粒子前駆体を、大気に触れないよう注意しながら窒素置換されたグラファイト製の加熱坩堝に供給した。このグラファイト容器の内部に適量の窒素を流通させながら、950℃まで加熱した。950℃に到達後、すぐに加熱を停止し、自然冷却を行った。
【0070】
冷却後、加熱坩堝を大気開放し、内部よりシリコン微粒子を取り出した。得られた微粒子の酸素濃度(Co)は0.8質量%、塩素濃度は1.5質量%、比表面積(S)は17m2/gであった。酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.047となった。また、粒子の平均直径は151nm、結晶子径は18nmであり、本発明の目的とする結晶子径の範囲(10nm未満)を越えていた。
【0071】
比較例4
実施例1記載のシリコン微粒子前駆体の合成に従って得たシリコン微粒子前駆体を、大気に触れないよう注意しながら窒素置換されたグラファイト製の加熱坩堝に供給した。このグラファイト容器の内部に適量の窒素を流通させながら、700℃まで加熱した。700℃に到達後、すぐに加熱を停止し、自然冷却を行った。
【0072】
冷却後、加熱坩堝を大気開放し、内部よりシリコン微粒子を取り出した。得られたシリコン微粒子は空気中の水分と反応し、塩化水素ガスの臭気が感じられた。シリコン微粒子の酸素濃度(Co)は3.0質量%、塩素濃度は4.9質量%、比表面積(S)は25m2/gであった。酸素濃度と比表面積との比(Co/S)は0.120となった。また、粒子の平均直径は103nm、結晶子径は4nmであった。
以下に電池材料としての評価の例を示す。
【0073】
実験例1
実施例1で得られたシリコン微粒子を活物質として用い、活物質:導電助剤(アセチレンブラック):バインダー(ポリイミド)を7:1:2の重量比となるよう混錬し、NMP溶媒を加えて粘度0.8~1.5Pa・Sのペーストを得た。このペーストを集電体(銅箔)上に塗布し、乾燥、プレスしたのち、窒素流通下で350℃、0.5h加熱して負極シートを得た。この負極シートを負極、リチウム箔を正極とし、ビニレンカーボネートとフルオロエチレンカーボネートをそれぞれ10vol%添加した電解液を用いてハーフセルを作成し、0.05Cの充放電レートでサイクル試験を実施した。結果、50サイクル後においても2,300mAh/g以上の高い充電容量を示した。
【0074】
実験例2
比較例4で得られたシリコン微粒子を活物質として用い、実験例1と同様の方法でハーフセルを作成して充放電試験を実施した。結果、50サイクル後の充電容量は約1,800mAh/gとなり、実験例1に劣る結果となった。
【0075】
実験例3
粒子の平均直径が5μm(5,000nm)の破砕シリコン粒子を活物質として用い、実験例1と同様の方法でハーフセルを作成して充放電試験を実施した。結果、50サイクル後の充電容量は約200mAh/gとなり、充電容量は大きく低下した。