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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】粉体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/34 20060101AFI20220510BHJP
【FI】
B65G65/34 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017190560
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2018135210
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2017029055
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 之仁
(72)【発明者】
【氏名】石川 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】槙 孝一郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 修
(72)【発明者】
【氏名】森 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】大高 聖
(72)【発明者】
【氏名】山本 恵介
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-079285(JP,A)
【文献】特開2010-271128(JP,A)
【文献】特開2008-007274(JP,A)
【文献】実開平02-037896(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する収容空間を有し、下端に該収容空間内の粉体を排出する開口が形成された平面視長方形状の本体部を備えており、
該本体部は、
開口に向かって傾斜する傾斜壁を備えており、
前記収容空間内には、
鉛直仕切り板を有する仕切り部が設けられており、
該仕切り部の鉛直仕切り板は、
鉛直方向および前記傾斜壁の下端縁に沿った方向に延びる板状部材であり、下端縁に沿った方向の端部が本体部の内壁に固定されている
ことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記仕切り部は、
前記傾斜壁の下端縁に沿った方向に並ぶように間隔を空けて設けられた、前記鉛直仕切り板と交差する複数の交差仕切り板を備えており、
該複数の交差仕切り板は、
その内端が前記鉛直仕切り板に連結され、かつ、その外端が前記傾斜壁に連結されるように設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記本体部は、
その下端に向かって互いに接近するように傾斜し、下端間に前記開口が形成される2つの対向する傾斜壁を備えており、
前記仕切り部の鉛直仕切り板は、
前記対向する傾斜壁間に設けられた、鉛直方向および前記傾斜壁の下端縁に沿った方向に延びる板状部材である
ことを特徴とする請求項1または2記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記本体部は、
その下端に向かって互いに接近するように傾斜し、下端間に前記開口が形成される2つの対向する傾斜壁を備えており、
前記仕切り部は、
その下端が前記対向する傾斜壁の下端縁と同じ高さに位置するように設けられている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記仕切り部は、
前記鉛直仕切り板を複数備えている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の粉体供給装置。
【請求項6】
前記本体部における開口の下方に配置された、該開口から排出される粉体を搬送する搬送部を備えている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の粉体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置に関する。さらに詳しくは、ガス吸着剤、触媒、電池正極材等の機能性粉体や、銅鉱石、ニッケル鉱石等の鉱石、蛍石粉、小麦粉等、種々の乾燥状態にある粉体の供給状態を調整する粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥状態の粉体を貯留して、貯留した粉体を外部に供給する装置としてホッパーなどが使用される。一般的なホッパーなどは、粉体を貯留する本体部の下端に開口が設けられており、その下端部の内面が開口に向かって傾斜する傾斜面となっている。したがって、開口を閉じれば本体部内に粉体を収容しておくことができ、開口を開けば開口を通して粉体を外部に供給することができる。
【0003】
上述したようなホッパーには、重力だけで粉体を外部に排出するものや、開口の位置に搬送装置を設けて一定量の粉体を外部に供給できるようにしたものがある。後者のホッパーの場合、搬送装置としてスクリューコンベア等のコンベアを設けたものが使用されている。
【0004】
搬送装置によって一定量の粉体を外部に供給するホッパーでは、ホッパー内部の粉体の流動状態が一定であれば、搬送装置によって一定量の粉体を連続して搬送することができる。しかし、ホッパー内における粉体の流動状態が一定でない場合は、粉体が結合してブリッジが形成される可能性がある。この場合などには、流動状態が変化し開口から粉体を適切に排出できなくなる。そこで、ホッパー内に粉体のブリッジが形成されることを防止する技術が開発されている(特許文献1、2)。
【0005】
特許文献1には、ホッパー内に下端が漏斗状に開いたパイプを設け、このパイプの上端部をコイルバネによって昇降自在に懸垂させた状態で、パイプの下端をホッパーの開口の真上に配置したものが開示されている。
また、特許文献2には、ホッパーの開口近傍にコーン状部品が配置されたものが開示されている。
【0006】
特許文献1、2の技術のように、ホッパーの開口近傍に下端が漏斗状に開いたパイプやコーン状部品を配置すれば、これらの部材が障害となってホッパー内に粉体のブリッジが形成されにくくなる。 しかも、パイプやコーン状部品を上下に移動させたり振動させたりすれば、粉体のブリッジが形成されてもすぐに破壊できる。 したがって、特許文献1、2の技術を採用すれば、ホッパー内に粉体のブリッジが形成されたことに起因する粉体の排出不良が生じることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3352590号公報
【文献】特開平8-301387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、特許文献1、2の技術は粉体のブリッジが形成されることを防止するものであり、ホッパーの内部や開口近傍における粉体の流動状態を調整することまでは想定しておらず、粉体の流動状態を調整して開口から排出される粉体の状態を調整する方法は開示されていない。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、粉体の流動状態を調整して開口から排出される粉体の状態を制御できる粉体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の粉体供給装置は、粉体を収容する収容空間を有し、下端に該収容空間内の粉体を排出する開口が形成された平面視長方形状の本体部を備えており、該本体部は、開口に向かって傾斜する傾斜壁を備えており、前記収容空間内には、鉛直仕切り板を有する仕切り部が設けられており、該仕切り部の鉛直仕切り板は、鉛直方向および前記傾斜壁の下端縁に沿った方向に延びる板状部材であり、下端縁に沿った方向の端部が本体部の内壁に連結されていることを特徴とする。
第2発明の粉体供給装置は、第1発明において、前記仕切り部は、前記傾斜壁の下端縁に沿った方向に並ぶように間隔を空けて設けられた、前記鉛直仕切り板と交差する複数の交差仕切り板を備えており、該複数の交差仕切り板は、その内端が前記鉛直仕切り板に連結され、かつ、その外端が前記傾斜壁に連結されるように設けられていることを特徴とする。
第3発明の粉体供給装置は、第1または第2発明において、前記本体部は、その下端に向かって互いに接近するように傾斜し、下端間に前記開口が形成される2つの対向する傾斜壁を備えており、前記仕切り部の鉛直仕切り板は、前記対向する傾斜壁間に設けられた、鉛直方向および前記傾斜壁の下端縁に沿った方向に延びる板状部材である
ことを特徴とする。
第4発明の粉体供給装置は、第1、第2または第3発明において、前記本体部は、その下端に向かって互いに接近するように傾斜し、下端間に前記開口が形成される2つの対向する傾斜壁を備えており、前記仕切り部は、その下端が前記対向する傾斜壁の下端縁と同じ高さに位置するように設けられていることを特徴とする。
第5発明の粉体供給装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記仕切り部は、前記鉛直仕切り板を複数備えていることを特徴とする。
第6発明の粉体供給装置は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記本体部における開口の下方に配置された、該開口から排出される粉体を搬送する搬送部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、本体部の収容空間内の粉体の流動状態を調整できるので、開口から排出される粉体の状態を制御できる。
第2発明によれば、本体部の収容空間内を複数の空間に分割できるので、分割された各空間における粉体の移動を均一に近づけやすくなる。したがって、開口から排出される粉体の状態をより制御しやすくなる。
第3発明によれば、開口近傍における粉体の流動状態を調整しやすくなるので、開口から排出される粉体の状態を制御しやすくなる。
第4発明によれば、本体部の収容空間内における粉体の移動を均一に近づけやすくなるので、開口から排出される粉体の状態をより制御しやすくなる。
第5発明によれば、開口に向かう粉体の流動に対する流動抵抗をより大きくできるので、本体部の収容空間内における粉体の移動状態を均一に近づけやすくなる。
第6発明によれば、搬送部によって外部に供給する粉体の量を調整しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の粉体供給装置1の概略説明図であって、(A)は概略縦断面図であり、(B)は(A)のB-B線断面矢視図である。
図2】(A)は鉛直仕切り板13の下端の位置を開口2aよりも下方に配置した状態の説明図であり、(B)は鉛直仕切り板13の下端の位置を開口2aよりも上方に配置した状態の説明図である。
図3】仕切部10が鉛直仕切り板13を複数有する場合の説明図である。
図4】本実施形態の粉体供給装置1の概略説明図である。
図5】交差仕切り板15を有する仕切部10を備えた本実施形態の粉体供給装置1の概略説明図であって、(A)は概略縦断面図であり、(B)は(A)のB-B線断面矢視図である。
図6】仕切部10が交差仕切り板15を有する場合における本実施形態の粉体供給装置1の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の粉体供給装置は、粉体を一旦貯留して外部に供給する装置であって、安定して外部に粉体を供給できるようにしたことに特徴を有している。
【0014】
本実施形態の粉体供給装置はどのような設備にも適用することができる。例えば、粉体を安定して次工程に供給することが要求される設備において、粉体を貯留し供給する装置として使用できる。例えば、機能性材料製造工場において機能性粉末原料を反応装置や次工程に供給する場合、製錬工場において鉱石を熔錬炉に供給する場合、種々の製品の製造設備において小麦粉などの粉体を次工程に供給する場合等、にも適用することが可能である。
【0015】
本実施形態の粉体供給装置によって貯留供給される粉体もとくに限定されない。例えば、平均粒径が数μm~数百μmのものや、平均粒径が数μm~数十μmのもの等、を本実施形態の粉体供給装置に貯留供給される粉体として挙げることができる。また、粉体の種類もとくに限定されず、例えば、機能性粒子、鉱石、蛍石、小麦粉等を本実施形態の粉体供給装置に貯留供給される粉体として挙げることができる。とくに、粉体間に空気などの気体が存在する状態で供給される粉体を貯留供給する装置として本発明の粉体供給装置は適している。
【0016】
(粉体供給装置1)
図1および図4に示すように、本実施形態の粉体供給装置1は、粉体を貯留する本体部2と、本体部2内に設けられた仕切部10と、この本体部2の下方に配置された搬送部20と、を備えている。
【0017】
(本体部2)
図1および図4に示すように、本体部2は、内部に収容空間2hを有する中空な部材である。この本体部2には、その下端に収容空間2h内の粉体を外部に排出する開口2aを備えている。なお、本体部2は、図示しないが、その上部に設けられた供給部から収容空間2h内に粉体が供給されるようになっている。
【0018】
この本体部2は、その下端に向かって互いに接近するように傾斜した2つの対向する傾斜壁2f,2fを有している。この2つの対向する傾斜壁2f,2fの下端縁2s間に開口2aが形成されている。このため、開口2aは、傾斜壁2f,2fの下端縁2sに沿って長い略長方形状になっている(図1(B))。
【0019】
なお、対向する傾斜壁2f,2fは、本体部2の幅方向の中間線CL(図1(A)参照)に対して対称となるように形成されている。つまり、対向する傾斜壁2f,2fの水平方向に対する傾斜角度θ2、θ3は同じ角度となるように設けられている。この傾斜角度θ2、θ3は、収容空間2h内に収容する粉体の種類や、密度、粒径、水分率、表面状態によって定まる粉体特性(粉粒特性や流動性)等に応じて適宜設定されるが、一般的には50~90度、好ましくは、50~80度程度である。
【0020】
(仕切部10)
図1および図4に示すように、本体部2の収容空間2h内には仕切部10が設けられている。この仕切部10は、本体部2の幅方向の中間線CL上に配置された鉛直仕切り板13を備えている。この鉛直仕切り板13は、鉛直方向および傾斜壁2fの下端縁2sに沿った方向に延びた板状の部材である。
【0021】
この鉛直仕切り板13は、その鉛直方向や水平方向(図1(B)の左右方向)の長さに比べて厚さが薄い部材であればよく、板状の部材に限られない。鉛直仕切り板13として板状の部材を採用すれば、本体部2の収容空間2hの容積の減少を防ぐことができるし、粉体の流動抵抗を必要以上に増加させる等の問題が生じにくくなる。かかる鉛直仕切り板13は、例えば、表面が平坦面である平板によって形成することができる。この場合には、その表面が鉛直方向と平行かつ傾斜壁2fの下端縁2sと平行となるように設けることが望ましい。また、上述したような平板以外にも、波板や表面に突起等を有する板状部材を鉛直仕切り板13として使用することもできる。
【0022】
(搬送部20)
図1および図4に示すように、本体部2の開口2aの下方には、搬送部20が配置されている(なお、図では搬送部20の詳細な構造は記載を割愛している)。搬送部20は、本体部2内の粉体を次工程等に搬送するための装置である。搬送部20は、本体部2内の粉体を一定量ずつ連続して搬送することができる機能を有するものであればよく、とくに限定されない。例えば、スクリューコンベアやベルトコンベア、チェーンコンベア等の公知の粉体搬送装置を搬送部20として使用することができる。
【0023】
以上のごとき構成であるので、搬送部20を作動させれば、本体部2の収容空間2h内の粉体を開口2aから排出して、粉体を搬送部20によって外部に搬送することができる。
【0024】
粉体が開口2aから排出されることによって、収容空間2h内には開口2aに向かう粉体の流動が発生する。このとき、収容空間2h内には、上述したような仕切り部10の鉛直仕切り板13が設けられているので、粉体の流動に対する抵抗を大きくすることができる。つまり、収容空間2h内に鉛直仕切り板13が配設されることによって鉛直仕切り板13が粉体の流動の抵抗となるので、粉体の流動状態が調整しやすくなる。
【0025】
(仕切り部10の鉛直仕切り板13の鉛直方向の配置)
仕切り部10の鉛直仕切り板13は、その鉛直方向の位置はとくに限定されない。しかし、図1(A)に示すように、鉛直仕切り板13の下端が対向する傾斜壁2f,2fの下端2とほぼ同じ高さに配置されていることが望ましい。この場合、開口2aの近傍における粉体の流動状態を調整しやすくなるので、開口2aから排出される粉体の状態を制御しやすくなる。
【0026】
また、図2(B)に示すように、仕切り部10の鉛直仕切り板13の下端を対向する傾斜壁2f,2fの下端2よりも上方に位置するように配置してもよい。この場合、鉛直仕切り板13の下端から対向する傾斜壁2f,2fの下端2までの距離L1はとくに限定されない。本体部2に供給される粉体の種類や粉体の状態、開口2aから粉体を排出する量等に応じて、粉体の移動状態が均一に近づくように適切に調整すればよい。
【0027】
また、図2(A)に示すように、本体部2の開口2aと搬送部2との間に接続空間4が設けられているような場合には、鉛直仕切り板13の下端が対向する傾斜壁2f,2fの下端2よりも下方に位置するように配置してもよい。この場合、鉛直仕切り板13の下端から対向する傾斜壁2f,2fの下端2までの距離L2はとくに限定されない。本体部2に供給される粉体の種類や粉体の状態、開口2aから粉体を排出する量、開口2aから搬送部20までの距離等に応じて、粉体の移動状態が均一に近づくように適切に調整すればよい。
【0028】
(仕切り部10の鉛直仕切り板13の幅方向の配置)
上記例では、仕切り部10の鉛直仕切り板13が本体部2の幅方向の中間線CL上に配置された場合を説明したが、本体部2の幅方向において、鉛直仕切り板13を配置する位置はとくに限定されない。本体部2に供給される粉体の種類や粉体の状態、対向する対向する傾斜壁2f,2fの傾斜角度等に応じて、粉体の移動状態が均一に近づくように適切に調整すればよい。
【0029】
(複数の鉛直仕切り板13)
上記例では、仕切部10が一つの鉛直仕切り板13を備えている場合を説明したが、仕切部10は鉛直仕切り板13を複数備えていてもよい。例えば、複数の鉛直仕切り板13を本体部2の幅方向に並ぶように配置する。つまり、対向する傾斜壁2f,2fにおいて、一方の傾斜壁2fから他方の傾斜壁2fに向かって並ぶように複数の鉛直仕切り板13を配置する(図3参照)。すると、開口2aに向かう粉体の流動に対する流動抵抗をより大きくできるので、本体部2の収容空間2h内における粉体の移動状態を均一に近づけやすくなる。また、隣接する鉛直仕切り板13間や隣接する鉛直仕切り板13と傾斜壁2fとの距離を調整すれば、収容空間2h内の位置によって流動抵抗を変化させることができるので、収容空間2h内の粉体の流動状態を調整しやすくなる。
【0030】
また、複数の鉛直仕切り板13を設ける場合、隣接する鉛直仕切り板13間の距離および隣接する鉛直仕切り板13と傾斜壁2fとの距離は等距離に配置してもよいし、位置によって距離を変えてもよい。本体部2に供給される粉体の種類や粉体の状態、開口2aから粉体を排出する量等に応じて、粉体の移動状態が均一に近づくように適切に調整すればよい。
【0031】
さらに、複数の鉛直仕切り板13は全て同じ鉛直仕切り板13としてもよいし、位置によって異なる鉛直仕切り板13(例えば、平板と波板等)を配置してもよい。本体部2に供給される粉体の種類や粉体の状態、開口2aから粉体を排出する量等に応じて、粉体の移動状態が均一に近づくように適切な鉛直仕切り板13を採用すればよい。
【0032】
(仕切部10に設けられた交差仕切り板15)
図5および図6に示すように、仕切り部10は、鉛直仕切り板13に加えて、交差仕切り板15を備えていてもよい。交差仕切り板15は、鉛直仕切り板13と交差するように設けられた板状の部材である。具体的には、この交差仕切り板15は、その表面が鉛直方向と平行かつ傾斜壁2fの下端縁2sに沿った方向と交差するように設けられている。しかも、交差仕切り板15は、その内端が鉛直仕切り板13に連結され、かつ、その外端が傾斜壁2fに連結されるように設けられている。つまり、交差仕切り板15は、その内端と鉛直仕切り板13との間およびその外端と傾斜壁2fとの間に隙間ができないように設けられている。
【0033】
かかる交差仕切り板15を設ければ、本体部2の収容空間2hをより小さい空間に分割できるので、分割された各空間内の粉体の移動を制御しやすくなる。つまり、分割された各空間内の粉体の移動状態を均一に近づけやすくなる。すると、各空間の粉体の移動状態を均一に近づけ易くなるので、開口2a全体における粉体の状態も均一に近づけ易くなる。
【0034】
なお、交差仕切り板15は、その鉛直方向や水平方向(図5(B)の上下方向)の長さに比べて厚さが薄い部材であればよく、板状の部材に限られない。交差仕切り板15として板状の部材を採用すれば、本体部2の収容空間2hの容積の減少を防ぐことができるし、粉体の流動抵抗を必要以上に増加させる等の問題が生じにくくなる。かかる交差仕切り板15は、例えば、表面が平坦面である平板によって形成することができる。この場合には、その表面が鉛直方向と平行かつ傾斜壁2fの下端縁2sに沿った方向と交差するように設けることが望ましい。また、上述したような平板以外にも、波板や表面に突起等を有する板状部材を交差仕切り板15として使用することもできる。
【0035】
交差仕切り板15を設ける数はとくに限定されない。図5および図6では、4枚の交差仕切り板15を設けた場合を説明したが、交差仕切り板15の数は3枚以下でもよいし5枚以上設けてもよい。仕切部10を設置する本体部2の収容空間2hの大きさや収容する粉体の種類や粉体の状態、開口2aから粉体を排出する量等に合わせて、分割された空間が適切な大きさになる枚数とすればよい。言い換えれば、仕切部10を設置する本体部2の収容空間2hの大きさや収容する粉体に合わせて、分割された各空間内における粉体の移動を制御しやすい(例えば粉体の移動状態を均一にしやすい)枚数とすればよい。
【0036】
また、複数の交差仕切り板15を設ける場合、傾斜壁2fの下端縁2sに沿った方向における間隔はとくに限定されない。例えば、図5(B)において、隣接する交差仕切り板15間の間隔および、本体部2において傾斜壁2fを挟む壁面2d,2dと交差仕切り板15の間隔は、全て同じ間隔としてもよい。また、これらの間隔は異なっていてもよい。本体部2に供給される粉体の種類や粉体の状態、開口2aから粉体を排出する量等に応じて、粉体の移動状態が均一に近づくように間隔D1~D5は適切に調整すればよい。
【0037】
複数の交差仕切り板15は、その表面は鉛直方向と平行かつ傾斜壁2fの下端縁2sに沿った方向と直交するように設けられれば、交差仕切り板15で区切られた空間の粉体の移動状態を調整しやすくなるという利点が得られる。
【0038】
さらに、複数の交差仕切り板15は、全て同じ形状・大きさとしてもよいし、位置によって異なる形状・大きさとしてもよい。また、位置によって異なる交差仕切り板15(例えば、平板と波板等)を配置してもよい。本体部2に供給される粉体の種類や粉体の状態、開口2aから粉体を排出する量等に応じて、粉体の移動状態が均一に近づくように適切な交差仕切り板15を採用すればよい。
【0039】
また、図5(A)および図6に示すように、交差仕切り板15は、その下端が鉛直仕切り板13の下端と同じ高さに配置してもよいし、その下端が鉛直仕切り板13の上端よりも上方または下方に位置するように配設してもよい。しかし、交差仕切り板15を、その下端が鉛直仕切り板13の下端と同じ高さになるように配置すれば、鉛直仕切り板13、交差仕切り板15、傾斜壁2fによって囲まれた空間内の粉体の流動状態を調整しやすくなる。
【0040】
また、図5(A)および図6に示すように、交差仕切り板15は、その上端が鉛直仕切り板13の上端と同じ高さに配置してもよいし、その上端が鉛直仕切り板13の上端よりも上方または下方に位置するように配設してもよい。しかし、交差仕切り板15を、その上端が鉛直仕切り板13の上端と同じ高さになるように配置することが、粉体の移動状態を均一化する点で好ましい。
【0041】
(本体部2について)
本体部2は、上述したように、その下端に向かって互いに接近するように傾斜した2つの対向する傾斜壁2f,2fを有し、その2つの傾斜壁2f,2fの下端によって開口2aが形成されるようになっているものであればよく、その他の形状はとくに限定されない。例えば、本体部2として、平面視で略矩形であってその上部が直方体や立方体になっているものを採用することもできるし(図1および図4参照)、上部が円筒状のものも採用できる。また、下部も2つの対向する傾斜壁2f,2fを有していれば、2つの傾斜壁2f,2f以外の壁の形状などはとくに限定されない。例えば、他の壁は鉛直な壁となっていてもよいし(図1(B)参照)、開口2aに向かって傾斜した壁となっていてもよい。
【0042】
また、本体部2は、傾斜壁2fを必ずしも2つ有していなくてもよいし、開口2aの形状も必ずしも略長方形でなくてもよい。その場合でも、開口2aの位置に仕切り部10の鉛直仕切り板13や交差仕切り板15が設けられていれば、本体部2の収容空間2h内の粉体の流動状態を調整することは可能であり、開口2aから排出される粉体の状態をある程度を制御することは可能となる。
【0043】
(搬送部20について)
搬送部20は、本体部2内の粉体を一定量ずつ連続して搬送することができる機能を有するものであればよく、とくに限定されない。例えば、スクリューコンベアやベルトコンベア、チェーンコンベア等の公知の粉体搬送装置を搬送部20として使用することができる。とくに、スクリューコンベアを使用し本体部2の開口2aが伸びる方向に沿って粉体を搬送するようにすれば、本体部2の開口2aから排出される粉体の量のバラつきを抑えやすくなる。例えば、等比ピッチのスクリューコンベアを使用すれば、本体部2の開口2aから排出される粉体の量について、開口2aの位置(図2(B)であれば上下方向の位置)による差を小さくできる。すると、本体部2の開口2aから搬送部20に供給される粉体の量、言い換えれば、本体部2の開口2aから排出される粉体の量を安定させ、かつ調整することができる。
【0044】
また、上記例では、本実施形態の粉体供給装置1が搬送部20を備えている場合を説明したが、本実施形態の粉体供給装置1は必ずしも搬送部20を備えていなくてもよい。例えば、重力により開口2aから粉体を排出する場合には、上述したような搬送部20を設けず、本実施形態の粉体供給装置1を本体部2だけで構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の粉体供給装置は、粉体を安定して次工程に供給することが要求される設備において粉体を貯留し供給する装置として適している。
【符号の説明】
【0046】
1 粉体供給装置
2 本体部
2a 開口
2h 収容空間
2f 傾斜壁
2s 傾斜壁2fの下端縁
10 仕切部
13 鉛直仕切り板
15 交差仕切り板
20 搬送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6