(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】基板上に被膜を被覆する装置及び堆積装置の2つの堆積源間にガス分離を提供する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/54 20060101AFI20220510BHJP
C23C 14/56 20060101ALI20220510BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220510BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220510BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
C23C16/54
C23C14/56 C
H01L21/205
H01L21/31 C
H05H1/46 A
(21)【出願番号】P 2015555651
(86)(22)【出願日】2014-01-22
(86)【国際出願番号】 EP2014051261
(87)【国際公開番号】W WO2014118063
(87)【国際公開日】2014-08-07
【審査請求日】2017-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-03
(32)【優先日】2013-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロッツ, ハンス-ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】モリソン, ニール
(72)【発明者】
【氏名】ディエゲス-カンポ, ホセ マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ランドグラフ, ハイケ
(72)【発明者】
【氏名】ストーレイ, トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ハイン, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】リース, フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュベック, ヴォルフガング
【合議体】
【審判長】日比野 隆治
【審判官】大光 太朗
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-31521(JP,A)
【文献】特開平4-9474(JP,A)
【文献】米国特許第05399254(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0033638(US,A1)
【文献】特開2001-23907(JP,A)
【文献】特開2006-344758(JP,A)
【文献】特開2006-32795(JP,A)
【文献】特開2011-42848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C14/00-14/58
C23C16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を被覆する装置であって、
第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って前記基板を案内するための外面を有する基板支持体と、
前記第1の真空処理領域を前記少なくとも1つの第2の真空処理領域から分離するガス分離ユニットとを備え、前記ガス分離ユニットが、前記基板支持体の前記外面と前記ガス分離ユニットとの間を前記基板が通過することができるスリットを形成するように適合され、
前記ガス分離ユニットが、前記第1の真空処理領域と前記第2の真空処理領域との間の流体連通を制御するように適合され、前記流体連通が、前記ガス分離ユニットの位置を調整することによって制御され、
前記ガス分離ユニットが、前記第1の真空処理領域のガスが前記第2の真空処理領域に入るのを防止する壁を含み、前記壁が、前記第1の真空処理領域または前記第2の真空処理領域内の堆積源の本体に取り付けられており、
前記堆積源の前記本体が前記第1の真空処理領域または第2の真空処理領域のそれぞれに提供されたフレーム部分を有し、
前記基板支持体が被覆ドラムであり、前記少なくとも1つのガス分離ユニットが、
支持要素を介して前記被覆ドラムの軸に機械的に接続された、装置。
【請求項2】
前記支持要素が、ディスクまたはディスクの一部分であり、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記被覆ドラムまたは前記被覆ドラムに前記スリットの幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、異なる熱膨張係数を有する前記被覆ドラムの材料とは異なる材料からなり、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分の直径を前記被覆ドラムの直径に調整するように適合された温度レベルで保たれるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持要素が、ディスクまたはディスクの一部分であり、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記被覆ドラムまたは前記被覆ドラムに前記スリットの幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記被覆ドラムの材料と同じ材料である材料からなり、前記ディスクが、同じ温度で維持されるように構成され、または前記ディスクもしくは前記ディスクの前記一部分が、前記ディスクもしくは前記ディスクの前記一部分の直径を前記被覆ドラムの直径に調整するように適合された温度レベルで保たれるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スリットの幅を監視する監視デバイス、および少なくとも
1つのプラズマ堆積
源をさらに備える、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記監視デバイスが、前記スリットの幅を光学的または電気的に監視する光または電気モニタを含む、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記監視デバイスが、1つまたは複数のプラズマ状態を監視する前記少なくとも2つのプラズマ堆積源の少なくとも1つに接続されたプラズマモニタである、請求項
4または
5に記載の装置。
【請求項7】
前記ガス分離ユニットと前記基板との間の前記スリット内に分離ガスを提供する少なくとも1つのガス入口をさらに備える、請求項1から
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
堆積装置の2つの堆積源間にガス分離を提供する方法であって、
第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板支持体の上で基板を案内することと、
ガス分離ユニットの位置を調整することによって、前記第1の真空処理領域と前記第2の真空処理領域との間の流体連通を制御することとを含み、
前記ガス分離ユニットが、前記第1の真空処理領域のガスが前記第2の真空処理領域に入るのを防止する壁を含み、前記壁が、前記第1の真空処理領域または前記第2の真空処理領域内の堆積源の本体に取り付けられており、
前記堆積源の前記本体が前記第1の真空処理領域または第2の真空処理領域のそれぞれに提供されたフレーム部分を有し、
前記基板支持体が被覆ドラムであり、前記少なくとも1つのガス分離ユニットが、
支持要素を介して前記被覆ドラムの軸に機械的に接続された、方法。
【請求項9】
前記ガス分離ユニットの前記位置が、前記基板支持体の温度および/または位置に応じて調整される、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、薄膜処理装置に関し、詳細には堆積システムに関し、より詳細には、ロールツーロール(R2R)堆積システムおよびその動作方法に関する。本発明の実施形態は、詳細には、ロールツーロールシステムにおけるガス分離およびガス分離方法に関し、具体的には、フレキシブル基板上に薄膜を被覆する装置および堆積装置の2つの堆積源間にガス分離を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック膜または箔などのフレキシブル基板の処理は、包装業界、半導体業界、および他の業界で強く求められている。処理は、金属、特にアルミニウムなどの所望の材料でフレキシブル基板を被覆することからなることができる。この作業を実行するシステムは、概して、基板を輸送するように処理システムに結合された処理ドラム、たとえば円筒形のローラを含み、その処理ドラム上で基板の少なくとも一部分が処理される。それによって、ロールツーロール被覆システムは、スループットの高いシステムを提供することができる。
【0003】
典型的には、熱蒸発プロセスなどの蒸発プロセスを利用して、薄い金属層を堆積させることができ、これらの金属層をフレキシブル基板上へ金属蒸着させることができる。しかし、ロールツーロール堆積システムはまた、ディスプレイ業界および光電池(PV)業界でも需要がますます増大している。たとえば、タッチパネル要素、フレキシブルディスプレイ、およびフレキシブルPVモジュールでは、特に低い製造コストで、ロールツーロールコータ内で適した層を堆積させることがますます求められている。しかし、そのようなデバイスは、典型的にはいくつかの層を有し、これらの層は、典型的にはCVDプロセス、特にPECVDプロセスで製造される。
【0004】
異なる混合ガスおよび/または異なる作業圧力で働くいくつかのCVD、PECVD、および/またはPVD源を組み合わせるには、後の処理における相互汚染作用を回避し、長期的な処理安定性を確保するために、優れたプロセスガス分離が必要とされる。現況技術と比較すると、ガス分離レベルは、少なくとも数桁は有益に改善されるべきである。典型的には、その後、それぞれ特別な堆積技法の必要に合わせて設計された異なるR2Rコータ内で複雑な薄膜層構造の堆積が実行される。しかし、この概念により、製造機器に対する維持費(CoO)が高くなる。
【0005】
いくつかのロールツーロール被覆機械では、被覆ドラムの湾曲をたどるスリットによって、区画、たとえばスパッタ区画を分離することができる。ガス分離は、被覆ドラムとガス分離ユニットとの間のスリット幅およびスリットの長さに強く依存する。最適のガス分離係数は、スリット幅が可能な限り小さいときに実現される。スリット幅は、ガス分離ユニットの調整、プラスチック膜の厚さ、および被覆ドラムの温度に依存する。被覆ドラムの直径は温度とともに増大するため、ガス分離スリットは、指定される最大の被覆ドラム温度(たとえば、80℃)および最大のプラスチック膜の厚さ(たとえば、最高500ミクロン)に合わせて調整される。そのような設定でより薄い膜およびより低いドラム温度が処理される場合、状況を改善する唯一の方法は、所与のプロセス条件に合わせてガス分離壁に新しい幾何学的調整を加えることである。所与のプロセス条件に合わせたガス分離壁に新しい幾何学的調整が行われる場合、機械の操作者は、より高い被覆ドラム温度などの異なるプロセス条件下で、被覆ドラムの直径が拡大し、分離壁が回転式の被覆ドラムに機械的に接触する可能性があることを認識していなければならない。接触により、被覆ドラムが引っ掻かれて、被覆ドラムの長時間にわたる高額の補修が避けられなくなるため、操作者にとっては甚大な失敗になる。したがって、被覆温度が低い場合のガス分離調整は、現実にはほとんど行われない。
【0006】
OLEDディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)と比較すると応答時間が速く、視野角が大きく、コントラストが高く、軽量であり、電力が低く、フレキシブル基板に適用できることから、ディスプレイの適用分野で最近大きく注目されている。OLEDで使用される有機材料に加えて、小分子フレキシブル有機発光ダイオード(FOLED)および高分子発光ダイオード(PLED)ディスプレイ向けに、多くの高分子材料も開発されている。有機高分子材料の多くは、種々の基板上における複雑な多層デバイスの製造に対して柔軟であり、薄型のフラットパネルディスプレイ(FPD)、電気励起式有機レーザ、および有機光増幅器などの様々な透明多色ディスプレイの適用分野にとって理想的である。
【0007】
長年にわたって、ディスプレイデバイス内の層は、それぞれ異なる機能を担う複数の層に進化してきた。複数の層を複数の基板上に堆積させるには、複数の処理チャンバが必要とされることがある。複数の処理チャンバを通って複数の基板を移送することで、基板のスループットが低下することがある。したがって、基板のスループットが最大になり、基板の移送が減少することを確実にするために、そのようなOLED構造および他の現代のより高度なデバイスを処理する効率的な方法および装置が、当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
上記を考慮すると、独立請求項に記載のフレキシブル基板上に薄膜を被覆する装置および独立請求項に記載の堆積装置の2つの堆積源間でガス分離を提供する方法が提供される。本発明のさらなる態様、利点、および特徴は、従属請求項、説明、および添付の図面から明らかである。
【0009】
一実施形態によれば、基板上に薄膜を被覆させる装置が提供される。この装置は、第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板を案内するための外面を有する基板支持体と、第1の真空処理領域を少なくとも1つの第2の真空処理領域から分離するガス分離ユニットとを含み、ガス分離ユニットは、基板支持体の外面とガス分離ユニットとの間を基板が通過することができるスリットを形成するように適合され、ガス分離ユニットは、第1の処理領域と第2の処理領域との間の流体連通を制御するように適合され、この流体連通は、ガス分離ユニットの位置を調整することによって制御される。
【0010】
別の実施形態によれば、堆積装置の2つの堆積源間にガス分離を提供する方法が提供される。この方法は、第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板支持体の上で基板を案内することと、ガス分離ユニットの位置を調整することによって第1の処理領域と第2の処理領域との間の流体連通を制御することとを含み、特にこの位置は、基板支持体の温度および/または位置に応じて変動させられる。
【0011】
本発明の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本発明のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。添付の図面は、本発明の実施形態に関連するものであり、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するロールツーロール堆積装置の概略図である。
【
図2】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の概略図である。
【
図3A】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の異なる概略図である。
【
図3B】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の異なる概略図である。
【
図4】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の概略図である。
【
図5】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の概略図である。
【
図6】本明細書に記載の実施形態によるロールツーロール堆積システムおよび装置内で使用される堆積源の概略図である。
【
図7】本明細書に記載の実施形態によるフレキシブル基板上に薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の概略図である。
【
図8】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の概略図である。
【
図9】本明細書に記載の実施形態による薄膜を堆積または被覆するロールツーロール堆積装置の真空チャンバの内部部分の概略図である。
【
図10】本明細書に記載の実施形態によるガス分離ユニットを有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の概略図である。
【
図11A】本明細書に記載の実施形態によるロールツーロール堆積装置内のガス分離ユニットのガス分離の概念の概略図である。
【
図11B】本明細書に記載の実施形態によるロールツーロール堆積装置内のガス分離ユニットのガス分離の概念の概略図である。
【
図11C】本明細書に記載の実施形態によるロールツーロール堆積装置内のガス分離ユニットのガス分離の概念の概略図である。
【
図12】ガス分離ユニットの概念を3次元図で示す、薄膜を堆積または被覆するロールツーロール堆積装置に対する本明細書に記載の実施形態による堆積源の概略図である。
【
図13A】本明細書に記載の実施形態によるプラズマ堆積源を有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の異なる概略図である。
【
図13B】本明細書に記載の実施形態によるプラズマ堆積源を有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の異なる概略図である。
【
図14A】本明細書に記載の実施形態によるプラズマ堆積源を有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の異なる概略図である。
【
図14B】本明細書に記載の実施形態によるプラズマ堆積源を有する、薄膜を堆積または被覆するさらなるロールツーロール堆積装置の異なる概略図である。
【
図15】本明細書に記載の実施形態による基板からのソース要素の距離を調整するようにソース要素の位置を変動させるガス分離および/または基板処理方法を示す流れ図である。
【
図16】本明細書に記載の実施形態による分離ガス入口を含む基板上に薄膜を堆積させる方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の様々な実施形態を次に詳細に参照する。これらの実施形態の1つまたは複数の例を図に示す。以下の図面の説明では、同じ参照番号が同じ構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する違いのみを説明する。各例は、本発明を説明する目的で提供されるものであり、本発明の限定を意味するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示または説明する特徴を、他の実施形態で使用し、または他の実施形態と組み合わせて使用して、さらなる実施形態を得ることができる。本説明は、そのような修正形態および変形形態を含むことが意図される。
【0014】
ここでは、本明細書に記載の実施形態内で使用されるフレキシブル基板またはウエブは、典型的には、屈曲可能であることを特徴とすることができることに留意されたい。「ウエブ」という用語は、「ストリップ」という用語または「フレキシブル基板」という用語と同義語として使用することができる。たとえば、本明細書の実施形態に記載するウエブは、箔または別のフレキシブル基板とすることができる。しかし、以下により詳細に記載するように、本明細書に記載の実施形態の利益はまた、他のインライン堆積システムの非フレキシブル基板またはキャリアに提供することもできる。さらに、フレキシブル基板およびフレキシブル基板上にデバイスを製造する適用分野に対して、特定の利益を利用することができることが理解される。
【0015】
図1は、堆積装置100を示す。堆積装置100はチャンバ102を含み、チャンバ102は、典型的には、チャンバ内に真空を生成することができるように設けることができる
。基板を処理し、または基板上に薄膜を堆積させるために、様々な真空処理技法、特に真空堆積技法を使用することができる。
図1に示し、本明細書で参照するように、装置100はロールツーロール堆積装置であり、案内および処理されているフレキシブル基板106を有する。しかし、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載のガス分離の態様、詳細、および特徴は、ガラス基板、ウエハ、または別の基板が処理される他の堆積装置にも適用することができ、この基板は、非フレキシブルとすることができ、または非フレキシブルキャリア内に提供される。
【0016】
フレキシブル基板106は、
図1で、矢印108によって示すように、チャンバ102内へ案内される。たとえば、フレキシブル基板106は、繰り出しステーションからチャンバ102内へ案内することができる。フレキシブル基板は、処理および/または堆積中に基板を支持するように構成された基板支持体110へローラ104によって誘導される。
図1に示すように、特にロールツーロール堆積装置の場合、基板支持体は、被覆ドラムとすることができる。基板106は、被覆ドラム110からさらなるローラ104へ案内され、第2の矢印108によって示すようにチャンバ102から出る。
【0017】
図1に示す実施形態は、2つの堆積源130を含む。堆積源は、処理領域内に設けられ、被覆ドラムによって支持されている基板は、それぞれの区域内で処理される。さらに、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、2つ以上の堆積源130を設けることもできることを理解されたい。たとえば、4つ、5つ、6つ、またはさらには8つ、10個、もしくは12個など、それ以上の堆積源を設けることができる。処理領域は、ガス分離ユニット120によって、チャンバ102内の隣接する処理領域またはさらなる区域から分離される。
【0018】
本明細書に記載の実施形態によれば、ガス分離ユニット120は、矢印126によって示すように変動する位置を有するように構成される。ガス分離ユニット120は、典型的には、1つの処理領域内のガスが近接する処理領域などの近接する区域に入るのを防止する壁122を含む。ガス分離ユニット120の要素124は、ガス分離ユニット120と基板106との間にスリットを提供する。要素124は、スリットの長さを画定し、要素124の位置は、ガス分離ユニット120と基板106との間のスリットの幅を画定する。
【0019】
本明細書に記載の実施形態によれば、基板上に薄膜を被覆する装置が提供される。この装置は、第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板を案内するための外面を有する基板支持体と、第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を分離するガス分離ユニットとを含み、ガス分離ユニットは、基板支持体の外面とガス分離ユニットとの間を基板が通過することができるスリットを形成するように適合され、ガス分離ユニットは、第1の処理領域と第2の処理領域との間の流体連通を制御するように適合され、この流体連通は、ガス分離ユニットの位置を調整することによって制御される。
【0020】
図2は、別の堆積装置100を示すものであり、本発明のさらなる実施形態を説明するために使用される。
図2に示す堆積装置100は、ローラ104と、処理ドラムまたは被覆ドラム110とを含む。
図1に関して記載した例と同様に、被覆ドラム110は、基板106が堆積装置100を通って輸送される間に、軸111の周りを回転する。
図2に示すチャンバ102内では、スリット幅監視デバイスが光学測定デバイス342の形で示されている。カメラなどを使用して、ガス分離ユニット120と基板106との間のスリットの幅を測定することができる。スリット幅監視デバイスは、信号線343によってコントローラ340に接続される。コントローラ340は、信号線341によってそれぞれのガス分離ユニット120のアクチュエータ226に接続される。アクチュエータ226は、矢印126によって示すように、ガス分離ユニット120、特に要素124の位置を変動させることができる。
【0021】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、ガス分離ユニット120のアクチュエータ226は、電気モータ、空気圧シリンダなどの空気圧アクチュエータ、線形ドライバ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、および支持体からなる群から選択することができ、
図3Aおよび
図3Bに関してより詳細に記載するように、所定の加熱または冷却に露出されているときに所定の熱膨張係数を有する。
【0022】
上記を考慮すると、チャンバ102が閉じられており、装置100が動作中である間に、ガス分離ユニットのスリット幅を調整することができる。したがって、たとえば基板支持体、たとえば被覆ドラム110の熱膨張によるスリット幅の変動を補償することができ、ガス分離ユニットのスリット幅は、個々の動作状態に合わせて調整することができる。
【0023】
熱膨張の補償とスリット幅の調整は、高度なガス分離が必要とされる適用分野、たとえばPECVDプロセスで、特に有用となることができる。したがって、様々な堆積源に対する区画を有する本明細書に記載の装置は、単一の堆積装置、たとえばR2Rコータ内で、いくつかのCVD、PECVD、および/またはPVDプロセスのモジュール式の組合せを可能にする。非常に良好なガス分離を必要とするものを含むあらゆる種類の堆積源を、本明細書に記載の実施形態による堆積装置内で使用することができるというモジュールの概念は、異なる堆積技術またはプロセスパラメータの煩雑な組合せを適用して堆積させなければならない複雑な層スタックの堆積に対するコストを引き下げるのに役立つ。
【0024】
概して、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、プラズマ堆積源は、フレキシブル基板、たとえばウエブもしくは箔、ガラス基板、またはシリコン基板上に薄膜を堆積させるように適合させることができる。典型的には、プラズマ堆積源は、フレキシブル基板上に薄膜を堆積させて、たとえばフレキシブルTFT、タッチスクリーンデバイス構成要素、またはフレキシブルPVモジュールを形成するように適合させることができ、そのために使用することができる。
【0025】
さらに、本明細書に記載の実施形態は、多くのプロセスの実行に0℃前後の低い被覆ドラム温度が必要とされる態様に対して有益となることができる。低温では、薄いプラスチック膜(たとえば、50ミクロン)が使用される場合、より高い被覆ドラム温度に対して調整された固定のスリット幅は、1.5~2.0mm程度になる。この場合、ガス分離係数は、その機械に対する指定のガス分離係数(1:100)を下回ることが多い。ガス分離係数がその機械に対する指定のガス分離係数を下回ることは、近接する処理領域、たとえばスパッタチャンバ内で、異なる反応性ガス組成を有する層材料が堆積されるプロセスの実行にとって重要である。そのような状態が当てはまることがあるのは、たとえば、Nb2O5およびITOの堆積中である。これは、たとえば、タッチパネルの製造に該当する可能性がある。したがって、本明細書に記載の実施形態は、特にそのようなデバイスを製造するそのような適用分野で使用することができる。
【0026】
本明細書に記載の実施形態では、堆積システム、特にR2Rスパッタコータ内に、修正されたガス分離ユニットが設けられる。ガス分離ユニットの位置は、たとえば電気モータまたは代替の機械デバイスによって調整することができる。ガス分離ユニットの要素124の位置を調整および/または変動させるアクチュエータは、遠隔制御することができる。これは、機械チャンバの外側に設けられたコントローラまたは制御インターフェースとすることができる。
図2に例示的に示すように、被覆ドラムとガス分離ユニットとの間の距離を測定するセンサユニットが設けられる場合、スリット幅の調整を自動化することができる。したがって、改善または最適化されたガス分離係数を常に提供することができる。
改善または最適化されたガス分離係数はまた、被覆ドラムの温度が増大したときに被覆ドラムを引っ掻くリスクを防止することができる。
【0027】
上記のように、実施形態は、機械動作中、特に自動化された調整中のガス分離ユニットの調整、または「自己」調整可能なガス分離壁を参照する。
ガス分離ユニットの調整はまた、ガラス基板またはあらゆる種類の1つもしくは複数の基板に対するキャリアが堆積区画から近接区画へ輸送されるインライン式表示機械で使用することができる。これは、スパッタ堆積だけではなく、CVDおよびPECVD堆積に適用することができ、特に処理ガスが反応性ガス成分を含む堆積に適用することができ、反応性ガス成分は、堆積させるべき層内に部分的または完全に組み込まれる。スパッタウエブコータ(R2Rコータ)と同様に、反応性の雰囲気中で堆積された層にとって、ガス分離は
望ましい。自己調整可能または自動調整可能なガス分離ユニットを使用することによって、ガラス基板の異なる厚さ値に応じて、スリット幅を変化させることができる。改善されたガス分離係数はまた、被覆機械の設計にも影響を与えることができる。2つの区画間のガス分離ユニットの長さを低減させることができ、すなわち、たとえば
図1および
図2に示すスリットおよび/または要素124の長さを低減させることができる。
2つの区画間のガス分離ユニットの長さを低減させることには、機械の長さ、コスト、および設置面積を低減させる影響がある。
【0028】
本明細書に記載の堆積装置を動作および使用するさらなる実施形態によれば、超高バリアスタックまたはフレキシブルTFTデバイスに対する層または層スタックの堆積を提供することができる。超高バリアスタックまたはフレキシブルTFTデバイスは、典型的には一連の層から構成され、これらの層は、典型的には、PECVDもしくはPVDプロセスまたはそれらの組合せによって堆積される。異なる膜の品質に対する要求が高いため、単一の膜ごとに特別に設計されたシステム内で単一の膜を堆積させることが一般に使用される。コストを引き下げてこの応用例を商業的に利用可能にするために、改善形態では、1つの単一のコータ内で少なくとも数組の膜または膜の組合せの堆積を組み合わせる。本明細書に記載の実施形態によれば、いくつかの処理モジュールの組合せを可能にするモジュールの概念が提供される。本明細書に記載の実施形態によれば、ガスまたはプロセス分離は、1つまたは複数の異なる技法の組合せで実現することができ、それによって、従来のシステムと比較すると分離係数が著しく高いガス分離を可能にし、特に異なるプロセスが同じ装置上で実行されるという変形形態をさらに可能にする。上記を考慮すると、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、隣接する環境からの保護を必要とするOLEDディスプレイおよび/または照明、フレックス太陽電池、もしくは他の電子装置向けのフレキシブル超高バリアを提供することができる。たとえば、これは、フレキシブルTFT向けのエッチング停止、ゲート誘電体、チャネル、ソース、ゲート、およびドレイン電極の堆積を含むことができる。
【0029】
図3Aおよび
図3Bを参照して、さらなる堆積装置100について説明する。前述の装置と同様に、基板106は、矢印108によって示すように、ローラ104および被覆ドラム110の上を案内される。処理領域内に堆積源130が設けられる。処理領域は、ガス分離ユニット120によって分離される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、ガス分離ユニット120の要素124によって画定されるガス分離ユニット120と基板106との間のスリットの幅は、ガス分離ユニットの支持体の配置によって調整することができる。
図3Aおよび
図3Bは、被覆ドラム110と本質的に同じ直径を有するディスク310を示す。
図3Aでは被覆ドラム110がわずかに拡大して描かれているが、被覆ドラム110とディスク310が同じ直径を有することができるため、これは主に例示を目的とする。ディスク310は、軸111に取り付けられる
。ディスク310は、被覆ドラム110の回転中に静止したままであ
ってよく、すなわちディスク310は、被覆ドラムとともに回転しない。
【0030】
ガス分離ユニットまたはそれぞれの壁要素322は、接続要素312によってディスク310に接続される。いくつかの実施形態によれば、接続要素312によりスリット20の幅が決まる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる代替実施形態によれば、ディスク310、接続要素312、および壁要素322を単体として設けることもでき、またはディスク310および接続要素312もしくは壁要素322および接続要素312を一体形成された単体として設けることができる。
【0031】
被覆ドラム110の温度が変動する場合、被覆ドラム110の直径も変動する。したがって、スリット20の幅は、被覆ドラムの直径の変動による影響を受け、本明細書に記載の実施形態によれば、スリットの幅の調整を提供することができる。ディスク310と、ディスク310と任意選択で一体形成することができる接続要素312とを有する、ガス分離ユニット120の支持体は、矢印326によって示すように、スリット20の幅の調整を提供する。いくつかの実施形態によれば、ディスク310は、被覆ドラム110によって受動的に加熱または受動的に冷却することができる。ディスク310は、被覆ドラム110の温度と本質的に同じ温度で設けることができ、たとえば、ディスク310の温度は、被覆ドラム110の温度から±10℃変動することができる。したがって、ディスク310も熱膨張を受け、その結果、被覆ドラム110の熱膨張に続いて、ディスク310の熱膨張が生じる。
【0032】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、追加または別法として、ディスク310またはガス分離ユニット120用の類似の支持体は、冷却チャネルまたは加熱要素を備えることができる。ディスク310の温度は、個々に制御することができる。したがって、ディスク310の熱膨張は、被覆ドラムの温度とは無関係に制御することができる。スリット20の幅を調整することができる。
【0033】
被覆ドラムまたは処理ドラムの温度に関して、次の態様を考慮することができる。
l
0:θ=0℃での長さ
【0034】
ステンレス鋼の熱膨張係数αss=0.000016K-1およびアルミニウムの熱膨張係数αAl=0.0000238K-1の場合、αdrum/αdisk=0.6723を得ることができる。たとえば、400℃のドラム温度に対応して400℃におけるドラムの熱膨張を補償するために、268.91℃のディスク温度を提供することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ディスク310が被覆ドラム110と同じ熱膨張係数を有する材料からなり、または被覆ドラム110と同じ材料からなり、かつ被覆ドラム110の温度と本質的に同じになるようにディスク310の温度を制御することができる場合、熱膨張(たとえば、矢印326参照)は本質的に同じである。したがって、スリット20の幅は、接続要素312の熱膨張によってのみ変動する。第1に、接続要素312の長さは、被覆ドラムの半径と比較するとより短い。したがって、熱膨張に対するスリット幅の変動は著しく低減される。第2に、いくつかの実施形態によれば、低い熱膨張係数を有する接続要素312の材料を選択することが可能であり、その結果、温度が接続要素312の熱膨張に与える影響をさらに低減させることができる。
【0036】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、ディスク310の材料は、被覆ドラムの材料とは異なるように選択することができ、被覆ドラムと比較すると異なる熱膨張係数を有するように選択することができる。被覆ドラム110の熱膨張に対応するディスク310の熱膨張は、異なる温度によって提供することができ、その結果、被覆ドラム110と比較すると同じ温度をディスク310で提供する必要がなくなる。さらに、特にディスク310と接続要素312が一体形成される場合、熱膨張係数が異なることで、ディスク310と接続要素312を組み合わせた径方向の寸法がより大きくなることを補償することもできる。概して、上記のように、ディスク310の径方向の寸法またはディスク310が作られる材料とは無関係に、ディスク310の温度を調節または適合することによって、スリット20の幅を調整することが可能である。
【0037】
図3Aおよび
図3Bは、被覆ドラム110のものに類似の円であるディスク310を参照する。しかし、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、ガス分離ユニット1
20を支持する支持要素はまた、ディスク、ロッド、または別の形状の一部分とすることができる。典型的には、ガス分離ユニット120の支持体は、軸111に接続され、その結果、矢印326によって示す熱膨張により、温度が増大し、被覆ドラム110と比較すると同じ方向に延びる。
【0038】
上記の態様および詳細は熱膨張を参照するが、動作中、たとえば、より高い温度の第1のプロセス後に、処理ドラムまたは被覆ドラムがより低い温度まで冷却された場合、収縮を提供することもできる。したがって、「膨張」という用語は、要素の熱膨張係数に起因する挙動を指し、すなわち熱膨張は、正または負の符号を有することができることが理解される。
【0039】
図4は、さらなる堆積装置100を示す。本明細書に記載の他の堆積装置と同様に、基板106は、ローラ104および被覆ドラム110を介して2つ以上の処理領域を通って案内される
。被覆ドラム110は、軸111の周りを回転する。
図4は、3つのガス分離ユニット120を示し、矢印126によって示すように、アクチュエータ226が要素124を動かす。ガス分離ユニット120は、2つ以上の処理領域およびさらなる領域をチャンバ102内に形成する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、処理領域およびさらなる区域はそれぞれ、互いとは無関係に排気することができる。たとえば、
図4に示すように、これらの区域はそれぞれ、真空フランジ402を有する。堆積装置100は、1つまたは複数の真空ポンプまたは真空ポンプ配置を対応する真空フランジ402のそれぞれに接続することができるように構成される。したがって、各処理領域および/またはそれぞれのさらなる区域は、所望の処理条件に応じて無関係に排気することができる。
【0040】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、1つまたは複数の堆積源130は、接続432を備える。接続432は、電気接続および/または処理ガスの入出力のための接続とすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、堆積源130に対して1つまたは複数の監視デバイス434を設けることができる。
【0041】
典型的には、監視デバイスは、たとえば整合回路後に、堆積源における電極電圧、電極電流、およびプラズマインピーダンスを測定するデバイスとすることができる。追加または別法として、堆積源の処理領域に出入りするガス流も監視することができる。たとえば、それぞれの導管および/またはさらに混合ガスの圧力を分析することもできる。スリットの幅が増大した場合、ガス分離係数は減少し、隣接する処理領域のプロセスガスが入ることができ、それによってガス圧力および混合ガスを変化させ、したがってプラズマ状態が変動する。堆積源で電極電圧、電極電流、およびプラズマインピーダンスを測定する監視デバイスなどの監視デバイス434を利用して、プラズマ状態を判定することができる。たとえば熱膨張により被覆ドラム110の直径が増大した場合にプラズマ状態が変動することを考慮すると、プラズマモニタを利用して、堆積源と被覆ドラム、すなわち基板支持体との間のスリット幅を判定することができ、それによって、ガス分離ユニットの1つまたは複数のスリット幅も判定することができる。
【0042】
スリット幅および/またはプラズマ状態に関係する1つまたは複数の対応する信号を、信号線343によってコントローラ340へ提供することができる。コントローラ340は、
図4に示すように、信号線341によってアクチュエータ226に接続される。したがって、ガス分離ユニットのスリット幅を調整することができる。アクチュエータ226は、本明細書に記載の他の実施形態に関して記載した任意の種類のアクチュエータとすることができる。たとえば、これは、ガス分離ユニットに対する支持体の温度制御を含み、支持体は、被覆ドラムの軸111に接続され、その結果、支持体の熱膨張は、支持体の温度調整によって制御することができる。
【0043】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、監視デバイスは、CVDプロセスモニタとすることができる。たとえば、監視デバイスは、堆積源の電圧、電流、位相、高調波、インピーダンス、またはアルゴリズムを使用することにより、プラズマ密度からなる群の少なくとも1つを測定することができる。対応するプラズマ監視デバイスは、洗浄プロセスの終点検出、シラン粉塵形成の通知、およびたとえばシステム制御式のアルゴリズムに対するプラズマ密度の形のリアルタイムの非侵襲的プロセスフィードバックに使用することができる。しかし、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、追加として、監視デバイスは、基板、および/または基板、たとえば被覆ドラムの後ろに設けられた対応する対向電極からのPECVD源の電極の距離を判定するために利用することができる。さらに、ガス分離デバイスのスリット幅の変動によるさらなるプロセスガス変動も、監視デバイスによって測定することができる。
【0044】
したがって、インピーダンスセンサ測定によって、非侵襲的なプラズマ同定方法を提供することができる。異なる実施形態によれば、インピーダンスセンサは、整合前または整合後センサとして、すなわち整合回路に対して、または整合回路後に使用することができる。監視センサを整合後に取り付けることで、電極上のRF電圧および実際のプラズマインピーダンスに関する直接的な情報を提供できる。典型的には、プラズマの電子「指紋」を提供することができ、基板からの電極の距離または隣接する領域からのプロセスガス汚染を判定することもできる。位相角度および/または高調波信号の振幅の差は、プロセス状態のわずかな変化、たとえばプロセスドリフトの始まりを示すことができる。したがって、特に堆積源に電力供給するシステム内の高調波の測定によって、電力供給された電極表面に入射するイオン束、したがって、プラズマ密度に関する間接的な情報を提供することができる。
【0045】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、プラズマ堆積源は、2MHz~90MHzの周波数、たとえば40.68MHzの周波数で動作することができ、一体化されたインピーダンスセンサは、それぞれのプロセスパラメータ、たとえばガス分離ユニットのスリットの幅および/または基板からの堆積源の電極の距離のインライン式のプロセス監視および制御をリアルタイムで提供することができる。
【0046】
図5は、さらなる堆積装置100を示す。それによって、
図5に示す堆積装置は、主に
図3Aに示す堆積装置に対応する。
図3Aに関して記載した詳細、態様、特徴、および実施形態は、
図5に示す堆積装置100に対してもやはり実施することができ、繰返しを回避するために省略する。追加として、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、堆積源130または少なくとも1つの堆積源130は、
接続要素512を備えることができる。それによって、
接続要素512は、
図3Aおよび
図3Bに関して記載したディスク310または別の対応する支持体に機械的に接続される。
接続要素512がディスク310に接続されることを考慮すると、堆積源130は、ディスク310の熱膨張または収縮に追従する。したがって、いくつかの実施形態によれば、堆積源の位置は変動することができる。典型的には、堆積源130の位置は、被覆ドラムの温度に応じて変動する。したがって、本明細書に記載の実施形態によれば、堆積源と基板との間の距離の調整を提供することができる。
【0047】
図13Aおよび
図13Bを参照して、さらなる堆積装置100について説明する。前述の装置と同様に、基板106は、矢印108によって示すように、ローラ104および被覆ドラム110の上を案内される。処理領域内に堆積源130が設けられる。処理領域は、ガス分離ユニット120によって分離することができる。典型的には、堆積源は、それぞれ基板支持体または基板に対向する電極531を含む。したがって、堆積源または電極531と基板106はそれぞれ、薄膜堆積中にプラズマが着火される真空処理領域の両側に位置する。
【0048】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、電極531と基板106との間のスリットの幅、すなわち真空処理領域の幅は、ガス分離ユニットの支持体の配置によって調整することができる。
図13Aおよび
図13Bは、被覆ドラム110と本質的に同じ直径を有するディスク310を示す。
図13Aでは被覆ドラム110がわずかに拡大して描かれているが、被覆ドラム110とディスク310が同じ直径を有することができるため、これは主に例示を目的とする。ディスク310は、軸111に取り付けられる
。ディスク310は、被覆ドラム110の回転中に静止したままであ
ってよく、すなわちディスク310は、被覆ドラムとともに回転しない。
【0049】
堆積源、堆積源の電極、または堆積源130のそれぞれの要素は、支持要素512、たとえば接続要素によってディスク310に接続される。いくつかの実施形態によれば、接続要素により処理領域520の幅が決まる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる代替実施形態によれば、ディスク310と接続要素は、単体として設けることもできる。
【0050】
基板処理中、たとえば基板上での薄膜の堆積中に、被覆ドラム110の温度が変動する場合、被覆ドラム110の直径も変動する。したがって、真空処理領域520の幅は、被覆ドラムの直径の変動による影響を受け、本明細書に記載の実施形態によれば、電極と基板との間の距離、すなわち真空処理領域の幅の調整を提供することができる。ディスク310と、ディスク310と任意選択で一体形成することができる支持要素512、たとえば接続要素とを有する、プラズマ堆積源130またはそれぞれの電極531の支持体は、矢印526によって示すように、処理領域520の幅の調整を提供する。いくつかの実施形態によれば、ディスク310は、被覆ドラム110によって受動的に加熱または冷却することができる。ディスク310は、被覆ドラム110の温度と本質的に同じ温度で設けることができ、たとえば、ディスク310の温度は、被覆ドラム110の温度から±10℃変動することができる。したがって、ディスク310も熱膨張を受け、その結果、被覆ドラム110の熱膨張に続いて、ディスク310の熱膨張が生じる。
【0051】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、追加または別法として、ディスク310またはプラズマ堆積源130用の類似の支持体は、冷却チャネルまたは加熱要素を備えることができる。ディスク310の温度は、個々に制御することができる。ディスク310の熱膨張は、被覆ドラムの温度とは無関係に制御することができる。それによって、電極とそれぞれ基板または基板支持体表面との間の距離の幅を調整することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ディスク310が被覆ドラム110と同じ熱膨張係数を有する材料からなり、または被覆ドラム110と同じ材料からなり、かつ被覆ドラム110の温度と本質的に同じになるようにディスク310の温度を制御することができる場合、熱膨張(たとえば、矢印326参照)は本質的に同じである。したがって、スリット20の幅は、支持要素512、たとえば接続要素の熱膨張によってのみ変動する。第1に、接続要素の長さは、被覆ドラムの半径と比較するとより短い。したがって、熱膨張に対するスリット幅の変動は著しく低減される。第2に、いくつかの実施形態によれば、低い熱膨張係数を有する接続要素の材料を選択することが可能であり、その結果、温度が接続要素の熱膨張に与える影響をさらに低減させることができる。
【0053】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、ディスク310の材料は、被覆ドラムの材料とは異なるように選択することができ、被覆ドラムと比較すると異なる熱膨張係数を有するように選択することができる。被覆ドラム110の熱膨張に対応するディスク310の熱膨張は、異なる温度によって提供することができ、その結果、被覆ドラム110と比較すると同じ温度をディスク310で提供する必要がなくなる。さらに、特にディスク310と支持要素512、たとえば接続要素が一体形成される場合、熱膨張係数が異なることで、ディスク310と接続要素を組み合わせた径方向の寸法がより大きくなることを補償することもできる。
【0054】
図13Aおよび
図13Bは、被覆ドラム110に類似の円であるディスク310を参照した。しかし、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、それぞれ堆積源または堆積源の電極を支持する支持要素はまた、ディスク、ロッド、または別の形状の一部分とすることができる。典型的には、支持体は、軸111に接続され、その結果、矢印526によって示す熱膨張により、温度が増大し、被覆ドラム110と比較すると同じ方向に延びる。
【0055】
上記の態様および詳細は熱膨張を参照するが、動作中、たとえば、より高い温度の第1のプロセス後に、処理ドラムまたは被覆ドラムがより低い温度まで冷却された場合、収縮を提供することもできる。したがって、「膨張」という用語は、要素の熱膨張係数に起因する挙動を指し、すなわち熱膨張は、正または負の符号を有することができることが理解される。
【0056】
図5に関して前述したように、少なくとも1つの堆積源130は、支持要素512を備えることができ、ガス分離ユニット120は、支持体312
または接続要素を備えることができる
。支持体312は、
図13Aおよび
図13Bに関して記載したディスク310または別の対応する支持体に機械的に接続される。支持体312がディスク310に接続されることを考慮すると、ガス分離ユニット120は、ディスク310の熱膨張または収縮に追従する。したがって、いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載のように、ガス分離ユニットの位置も変動することができる。
【0057】
図6は堆積源630を示し、本明細書に記載の実施形態による堆積源のさらなる実施形態について説明するために使用される。堆積源630は、本体603を含む。この本体によって電極602が支持される。電極602は、堆積源630の処理領域におけるプラズマ発生のために整合回路680に接続される
。動作中に電極602と基板との間でプラズマを生成することができる。堆積源は、処理領域内へ混合処理ガスを提供するガス入口612と、処理領域から混合処理ガスを除去する排気出口614とをさらに含む。したがって、処理ガスは、入口612から出口614へ流れる。
図6は、堆積源630の概略横断面図を示す。典型的には、処理ガス入口および処理ガス出口は、
図6の紙面に直交する方向に延びることができる
。複数の開口またはスリット開口を設けることができる。典型的には、処理ガス入口および出口は、少なくとも処理すべき基板の幅に沿って、かつ/または少なくとも処理領域の所望の長さに沿って、延びるように設けられる。典型的には、入口および出口は、被覆すべき区域内で均一の状態を提供するために、最大基板幅を少なくともわずかに越えて延びる。
【0058】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、堆積源とガス分離ユニットは、1つの配置として形成することができる。たとえば、
図6は、堆積源の本体603に取り付けられたガス分離ユニット620を示す
。ガス分離ユニットのスリット幅の調整および電極602と基板との間の距離の調整を組み合わせて提供することができる。
【0059】
図6に示すように、堆積源は壁部分102に接続することができ、その結果、本体603と壁102の距離が変動することができる。
変動する距離は、ベローズ632および634によって示されている。したがって、本体603、電極602、および/またはガス分離ユニット620は、支持体が被覆ドラムの軸に機械的に接触することによって支持することができる
。ガス分離ユニットのスリット幅ならびに電極602と基板との間の距離を調整することができる。
調整は、たとえば、
図5に関して説明されており、本明細書に記載の様々な実施形態による。さらに、別法として、堆積源630の本体603と壁102との間にアクチュエータを設けることができ、その結果、本体の位置、それによってガス分離ユニットおよび電極の位置を変動させて、基板に対する距離を調整することができる。
【0060】
図7は、さらなる堆積装置700を示す。フレキシブル基板106は、たとえば巻き取りシャフトを有する第1のロール764上に提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、処理すべきフレキシブル基板は、インターリーフ706とともにロール764上に提供することができる
。インターリーフは、フレキシブル基板の隣接する層間に提供することができ、その結果、ロール764上でフレキシブル基板の1つの層がフレキシブル基板の隣接する層と直接接触しないようにすることができる。フレキシブル基板106は、矢印108によって示す基板が動く方向によって示すように、ロール764から繰り出される。フレキシブル基板106をロール764から繰り出すと、インターリーフ706はインターリーフロール766上に巻き取られる。
【0061】
次いで、基板106は、被覆ドラム110に設けられた堆積源730の位置に対応する堆積区域を通って動く。動作中、被覆ドラム110は、軸111の周りを回転し、その結果、基板は矢印108の方向に動く。典型的な実施形態によれば、基板は、1つ、2つ、またはそれ以上のローラ104を介して、ロール764から被覆ドラムへ案内され、被覆ドラムから第2のロール764’へ案内される。第2のロール764’は、たとえば巻き取りシャフトを有し、基板の処理後、基板は巻き取りシャフト上に巻き取られる。処理後、ロール764’上に巻き取られるフレキシブル基板106の層間に、インターリーフロール766’からさらなるインターリーフを提供することができる。
【0062】
基板106は、1つまたは複数の薄膜で被覆され、すなわち1つまたは複数の層が、堆積源730によって基板106上に堆積させられる。堆積は、基板が被覆ドラム110上を案内されている間に行われる。本明細書に記載の実施形態で提供することができる
図7に示す堆積源730は、2つの電極702を含み、2つの電極702は、電極に電力を提供するように整合回路680に電気的に接続される。堆積源730は、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、堆積源の両側に位置する2つのガス入口712と、2つの電極702間に位置するガス出口714とを含むことができる。したがって、その堆積源730の外側部分からその堆積源内側部分へ、処理ガスのガス流を提供することができる。
図7に示すように、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、基板輸送方向108は、ガス流方向に対して平行である。
【0063】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、ガス入口またはガス出口は、ガスランス、ガスチャネル、ガスダクト、ガス通路、ガスチューブ、導管などとして設けることができる。さらに、ガス出口は、ポンプのうちプラズマ体積からガスを抽出する部分として構成することができる。
【0064】
ガス分離ユニット120は、堆積源の少なくとも片側、典型的には両側に設けられる
。本明細書に記載の実施形態のいずれかによれば、ガス分離ユニットのスリット幅、すなわちガス分離ユニットの
図1~5に示す要素124などの要素と基板との間の距離を調整することができる。追加として、基板に対する電極702の距離も調整することができる
。基板に対する距離の調整のために、ガス分離ユニット、任意選択で電極を有する堆積源の支持体を提供することができる。
【0065】
図6および
図7に関して特に記載するように、本明細書に記載の実施形態は特に、動いている基板上へプラズマ相から薄膜を堆積させるプラズマ堆積システムを参照する。基板は、真空チャンバ内で基板輸送方向に動くことができ、真空チャンバには、堆積ガスをプラズマ相内へ移送してプラズマ相から動いている基板上へ薄膜を堆積させるプラズマ堆積源が位置する。
【0066】
図7に示すように、本明細書に記載の実施形態によれば、プラズマ堆積源630は、動いている基板に対向して配置された2つ、3つ、またはさらにはそれ以上のRF電極702を含む多領域電極デバイスを有するPECVD(プラズマ化学気相堆積)源として設けることができる。
【0067】
個々の電極702はそれぞれ、電極幅および電極長さを有し、電極幅は、基板輸送方向108に対して平行な方向に測定され、電極長さは、動いている基板106の基板輸送方向108に直交する方向に対して測定される。
【0068】
電極区域はプラズマ領域に対応し、その結果、少なくとも2つの電極702のプラズマ領域は、1つの真空処理領域内に位置するプラズマ領域の組合せを形成する。電極幅は、それぞれのRF電極で提供される堆積ガス流、プラズマ圧力、RF電力、およびRF周波数、ならびに堆積ガスの空乏プロファイルなどのプラズマパラメータに基づいて決定することができる。さらなる実施形態によれば、多領域プラズマ堆積源はまた、MF堆積のために設けることもできる。
【0069】
個々の電極702の電極長さは、電極長さが基板輸送方向に直交する動いている基板の横方向の寸法を超過するように調整することができる。本開示では主にプラズマ堆積プロセスについて記載するが、本明細書に記載の実施形態によるプラズマ堆積源はまた、プラズマエッチングプロセス、プラズマ表面変形プロセス、プラズマ表面活性化または不活性化プロセス、および当業者には知られている他のプラズマプロセスに使用することもできることを理解されたい。
【0070】
ここでは、「ガス入口」という用語は、堆積領域(プラズマ体積または処理領域)内へのガス供給を指し、「ガス出口」という用語は、堆積領域からの堆積ガスのガス放出または排気を指すことに留意されたい。ガス入口712およびガス出口714は、典型的な実施形態によれば、基板輸送方向に本質的に直交して配置される。
【0071】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、
図7に示す堆積源730は、40.68MHzの周波数で動作することができる
。プラズマ電極への効率的な電力結合を実現することができ、イオン衝撃エネルギーを低減させることができ、その結果、膜の損傷が少なくなる。
膜の損傷が少ないことは、箔などの影響されやすいフレキシブル基板にとって特に有用となることができる。電極702を有する2電極源は、シャワーヘッドなしで動作し、電極側からプロセスガスを導入することができ、電極側のポンピングの結果、動いている基板に沿って混合処理ガスの流れが生じる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、2つの電極は、1つの電力供給および1つの整合ネットワーク、すなわち整合回路と並列で駆動することができる。堆積源を拡大するために、追加の電極を設けることもさらに可能である。
【0072】
概して、本明細書に記載の実施形態は、たとえばH2およびSiH4などの異なるプロセスガスを用いる異なるプロセスが、隣接する処理領域またはチャンバ内で実行される場合に、特に有用である。1つの処理領域から他の処理領域への望ましくない流れを回避する必要があり、逆も同様である。たとえばフレキシブルTFT、フレキシブルPVなど、本明細書に記載の実施形態が有益な本明細書に参照する適用分野のいくつかでは、10000以上の分離係数を提供する必要があり、これは共通のガス分離ユニットでは不可能である。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載するように、ガス分離ユニットのスリット幅を変動させることができる。追加または別法として、パージガス配置を設けることができる。パージガスを分離ガスと呼ぶこともできる。パージガスの典型的な例は、H2、アルゴンなどの希ガス、または窒素とすることができる。パージまたは分離ガスは、処理ガスの望ましくないガス流とは反対の方向に誘導される方向にスリット内を流れる。したがって、いくつかの実施形態によれば、パージまたは分離ガスの入口および排気または吸引出口が設けられる2つの処理電極間の中間空間または中間区域によって、ガス分離を提供することができる。
【0073】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、隣接する真空処理領域間に設けられた吸引または排気ダクトが含まれる場合、吸引または排気ダクトが設けられた区域内の圧力は、周囲の処理領域のいずれの圧力よりも低い。本明細書に記載の実施形態は、吸引または排気ダクトの区域からの汚染ガスが処理領域のいずれかに入る可能性を回避することの役に立つ。しかし、汚染ガスが処理領域に入ることが回避された結果、吸引または排気ダクトの方へ流れる処理ガスの流量が大きくなる。したがって、処理ガス、特に未使用の処理ガスの損失が増大する。ガスの損失の結果、CoOが増大する。
【0074】
本明細書に記載の堆積装置の不要なプロセスガス消費を回避するために、パージガスの入口のための1つまたは複数の中間ガス入口区域が設けられる。典型的には、1つまたは複数の中間ガス入口区域は、処理領域を取り囲むように設けることができる。典型的には、パージガスまたは分離ガスは、水素、または処理領域内で処理ガスとして使用される別のガスとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、パージガスの流量は、中間ガス入口区域内の全圧が処理領域内の圧力をわずかにだけ下回るように調整される。したがって、処理領域からの制御されたガスの流れを提供することができ、ガスの損失が制限される。中間ガス入口区域内の典型的な全圧は、処理領域内の全圧の50%~99%、たとえば75%~99%であってよい。
【0075】
図8に示すように、プラズマ堆積源830などの堆積源が設けられる。堆積源は、電極602を含む。電極は、電極に電力を提供するように整合回路680に接続される
。処理領域内でプラズマを着火および維持することができる。堆積源は、処理領域内へ混合処理ガスを提供するガス入口612と、処理領域から混合処理ガスを除去する排気出口614とをさらに含む。したがって、処理ガスは、矢印801によって示すように、入口612から出口614へ流れる。
図8は、入口および出口のチャネルを示しており、矢印801によって示すガス流方向に本質的に直交するそれぞれのスリットのスリット開口は、
図8に示す斜視図から容易に見ることができない。典型的な実装形態によれば、複数の開口またはスリット開口を設けることができる。
【0076】
電極602と基板との間に設けられた処理領域の周りに、1つまたは複数のガス分離ユニット620を設けることができる。
図8に示す断面斜視図は、電極602の3つの側に位置するガス分離ユニットを示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、1つまたは複数の分離ガス入口842を設けることができる。
図8に示すように、2つの分離ガス入口を設けることができる
。矢印843によって示すように、分離ガス入口842とガス分離ユニット620との間の中間ガス入口区域内に、分離またはパージガスが提供され
うる。さらなるガス分離ユニット834が、ガス流バリアを提供するように設けられる。したがって、これらの区域内に、上記の対応する圧力を提供することができる。
図8には図示しないが、矢印843によって示す分離またはパージガスはまた、近接するプラズマ堆積源に対してパージガスを提供するために、反対の方向に提供することもできる。
【0077】
典型的には、各堆積源および対応する処理領域、たとえば真空処理領域は、それぞれの区域の排気のために個々の対応する真空ポンプまたはポンピングステーションを有する。さらに、この装置のハウジングのチャンバ102は、共通の真空ポンプまたはポンピングステーションを含み、すなわちチャンバは、それぞれのフランジを含む。動作中、ポンピングステーションまたは真空ポンプは、中間ガス入口区域の1つの最低圧力を下回る全体的なチャンバ圧力を提供するために使用される。したがって、チャンバから中間ガス入口区域内へのガス流を回避することができる。さらに、上記のように、中間ガス入口区域から処理領域内へのガス流を回避することができる。これらの境界条件下で、所望のガス分離係数を提供するように圧力およびガス流量を調整することができる。
【0078】
本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、
図8に示すように、電極602は、湾曲した電極とすることができる
。湾曲した電極は、処理中に基板を支持するために被覆ドラムから本質的に一定の距離を有するように成形され
うる。処理領域は、被覆ドラムの異なる角度位置に設けられる。典型的な実施形態によれば、処理ドラムまたは被覆ドラムは、20℃~400℃の温度に加熱および/または冷却されるように構成することができる。異なる処理適用分野に利用することができる温度差の結果、処理ドラムの熱膨張が生じる可能性がある。熱膨張(正または負、すなわちドラムがより高い温度からより低い温度へ冷却される場合は収縮)は、数ミリメートルの範囲内とすることができる。
【0079】
本明細書に記載のように、いくつかの実施形態によれば、ガス分離ユニット、堆積源の電極、または堆積源、ガス分離ユニット、および分離ガス入口を含む処理ステーション全体の少なくとも1つは、可動に取り付けられ、その結果、基板支持体表面とそれぞれの要素との間の距離を変動させることができる。円筒形の被覆ドラムを有する実施形態では、それぞれの要素を径方向に可動に取り付けることができる。
【0080】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、ガス分離ユニットおよび堆積源の電極、または堆積源、ガス分離ユニット、および分離ガス入口を含む処理ステーション全体の少なくとも1つは、それぞれのベローズに取り付けることができる。処理ステーションと基板支持体表面との間に、ガス分離が提供される。したがって、基板支持体表面は、基板が動く方向に直交する方向に、少なくともガス分離ユニット、中間ガス入口区域、分離ガス入口、および存在する場合は分離ガス入口の周りのさらなるガス分離ユニットを含む各処理ステーションの長さ全体に沿って延びる(たとえば、
図12参照)。基板支持体表面、たとえば被覆ドラムの湾曲表面に対して本質的に一定または所定の距離を提供するためのそれぞれの要素の1つまたは複数の位置の変動は、本明細書に記載のアクチュエータまたは支持体によって提供することができる。
【0081】
たとえば
図3Aおよび
図3Bに関して記載したように、回転式の処理ドラムまたは被覆ドラムと静止している支持体との組合せはより複雑になることを考慮すると、基板106上に薄膜を堆積させるさらなる装置900は、回転式の被覆ドラムの代わりに、ガスクッションデバイス(GCD)を含むことができる。それぞれの装置を
図9に示す。この装置は、チャンバ902と、基板を提供する第1のロール764と、基板106を受け取る第2のロール764’とを含む。しかし、基板が動く方向は、逆にすることもできる。堆積源は、ガスクッションデバイス910とともに、処理区域を形成するように設けられる。
【0082】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、ガスクッションデバイスは、凸状の要素であり、たとえば円筒セグメントの形または別の凸状の横断面形状である。GCDは静止しており、たとえば金属、セラミックなどから作られた基板支持体表面を有する。GCDは、冷却チャネルおよびホバリングガス導管配置を備えることができる。基板支持体表面と基板との間にホバリングガス、たとえば水素を導入する結果、ガスクッションが生成され、その結果、基板は基板支持体表面上に浮くようになる。ガスクッションは、処理区域の1つもしくは複数を通って本質的に摩擦のない基板の動きを提供することができ、かつ/または基板とGCDの表面との間に熱伝導を提供することができる。
【0083】
GCDは、処理ステーションまたはその一部分、たとえば堆積源の1つもしくは複数の電極、1つもしくは複数のガス分離ユニット、および/または1つもしくは複数の分離ガス入口に、固定して接続することができる。GCDが処理ステーションまたはその一部分に固定して接続される場合、熱膨張はその接続にのみ影響を与える。上記のように、接続は被覆ドラムの半径全体より小さい寸法を有するため、熱膨張はそれほど影響しない。さらに、流体および電気信号および電力のフィードスルーは、動作中に回転するように構成された被覆ドラムと比較すると、より容易に提供することができる。
【0084】
本明細書に記載の典型的な実施形態と組み合わせることができる異なる実装形態によれば、GCDまたは処理/被覆ドラムの温度制御または調整は、熱伝達流体、たとえば熱伝達油によって提供することができる。さらに、冷却流体、たとえば水冷却のための冷却チャネルと組み合わせた電気加熱を提供することができる。温度は、基板処理によって導入される熱、放射による熱損失、および冷却流体への熱伝導性による影響を受ける。1つまたは複数の温度センサにより、1つまたは複数の位置で熱を監視することができる。また、1つまたは複数の熱要素は、それぞれ基板または基板支持体表面の所望の温度を提供するように制御することができる。いくつかの適用分野では、基板温度の代わりに、または基板温度に加えて、基板支持体表面の温度が制御されることに留意されたい。基板支持体表面の温度の制御により、基板温度の測定がより複雑になることを回避する。
【0085】
図10は、さらなる堆積装置1000を示す。フレキシブル基板106は、第1のロール764上に提供される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、処理すべきフレキシブル基板は、インターリーフ706とともにロール764上に提供することができる
。インターリーフは、フレキシブル基板の隣接する層間に提供することができ、その結果、ロール764上でフレキシブル基板の1つの層がフレキシブル基板の隣接する層と直接接触しないようにすることができる。フレキシブル基板106は、矢印108によって示す基板が動く方向によって示すように、ロール764から繰り出される。フレキシブル基板106をロール764から繰り出すと、インターリーフ706はインターリーフロール766上に巻き取られる。
【0086】
次いで、基板106は、被覆ドラム110に設けられた堆積源130の位置に対応する堆積区域を通って動く。動作中、被覆ドラム110は、軸111の周りを回転し、その結果、基板は矢印108の方向に動く。典型的な実施形態によれば、基板は、1つ、2つ、またはそれ以上のローラ104を介して、ロール764から被覆ドラムへ案内され、被覆ドラムから第2のロール764’へ案内される。基板の処理後、基板は第2のロール764’の周りに巻き取られる。処理後、ロール764’上に巻き取られるフレキシブル基板106の層間に、インターリーフロール766’からさらなるインターリーフを提供することができる。
【0087】
基板106は、1つまたは複数の薄膜で被覆され、すなわち1つまたは複数の層が、堆積源130によって基板106上に堆積させられる。堆積は、基板が被覆ドラム110上を案内されている間に行われる。本明細書に記載の実施形態で提供することができる
図10に示す堆積源130は、1つの電極602を含み、電極602は、電極に電力を提供するように整合回路680に電気的に接続される。堆積源130は、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、堆積源の一方の側に位置するガス入口と、堆積源の他方の側、すなわち堆積源のそれぞれの電極に位置するガス出口とを含むことができる。したがって、電極に沿って堆積源の上に処理ガスのガス流を提供することができる。
図10に示すように、本明細書に記載のいくつかの実施形態によれば、基板輸送方向108は、ガス流方向に対して平行である。ここでは、「ガス入口」という用語は、堆積領域(プラズマ体積または処理領域)内へのガス供給を指し、「ガス出口」という用語は、堆積領域からの堆積ガスのガス放出または排気を指すことに留意されたい。ガス入口およびガス出口は、典型的な実施形態によれば、基板輸送方向に本質的に直交して配置される。
【0088】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、ガス入口またはガス出口は、ガスランス、ガスチャネル、ガスダクト、ガス通路、ガスチューブ、導管などとして設けることができる。さらに、ガス出口は、ポンプのうちプラズマ体積からガスを抽出する部分として構成することができる。
【0089】
ガス分離ユニット620は、堆積源の少なくとも片側、典型的には両側に設けられる
。本明細書に記載の実施形態のいずれかによれば、ガス分離ユニットのスリット幅、すなわちガス分離ユニットの
図1~5に示す要素124などの要素と基板との間の距離を調整することができる。追加または別法として、基板に対する電極602の距離も調整することができる
。基板に対する距離の調整のために、ガス分離ユニット、任意選択で電極を有する堆積源の支持体を提供することができる。
【0090】
図6および
図7に関して特に記載するように、本明細書に記載の実施形態は特に、動いている基板上へプラズマ相から薄膜を堆積させるプラズマ堆積システムを参照する。基板は、真空チャンバ内で基板輸送方向に動くことができ、真空チャンバには、堆積ガスをプラズマ相内へ移送してプラズマ相から動いている基板上へ薄膜を堆積させるプラズマ堆積源が位置する。
【0091】
図10に示すように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、1つまたは複数の分離ガス入口842を設けることができる。典型的には、分離ガス入口は、それぞれ近接する処理領域および/または堆積源間に設けることができる
。分離ガス入口842とガス分離ユニット620との間の中間ガス入口区域内に、分離またはパージガスが提供され
うる。
【0092】
基板106をロール764からロール764’へ案内しまたは逆も同様に案内するローラ104は、張力測定向けに構成される。本明細書に記載の実施形態の典型的な実装形態によれば、少なくとも1つの張力測定ローラが装置内に設けられる。さらに、2つの張力測定ローラを被覆ドラムの両側に配置することで、被覆ドラムの巻き取り側および繰り出し側における張力測定が可能になる。典型的には、張力測定ローラは、フレキシブル基板の張力を測定するように構成される。基板輸送をより良好に制御することができ、被覆ドラムにかかる基板の圧力を制御することができ、かつ/または基板の損傷を低減もしくは回避することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、インターリーフの案内のために、追加の張力測定ローラまたは追加の1組の張力測定ローラ、すなわち被覆ドラムの巻き取り側および繰り出し側に位置する張力測定ローラを設けることができる。
【0093】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、フレキシブル基板を案内するためにさらに使用されるローラ104は、13°、典型的には15°またはそれ以上の最小巻き付けを有することができる。本明細書に記載の実施形態によると、最小の巻き付け角度は、巻き付きが、ロール764および764’がそれぞれ空になったとき、または基板で完全に充填されたときの2つの動作状態に依存することに関係する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、間隙水路1004が、真空気密型のバルブを提供し、その結果、フレキシブル基板が間隙水路を通って送出されて間隙水路にクランプされている間、巻き取りおよび繰り出し領域のガス雰囲気を、装置の処理領域のガス雰囲気から分離することができる。
【0094】
図10にさらに示すように、堆積装置は、堆積源が被覆ドラムの下半分に設けられるように配置される。言い換えれば、すべての堆積源の配置全体または少なくとも中間の3つの堆積源の配置は、被覆ドラム110の軸111の下に設けられる
。基板およびプロセスを汚染しうる生成された粒子は、重力のために堆積ステーション内に留まる
。基板上に望ましくない粒子が生成されるのを回避することができる。
【0095】
本明細書に記載の実施形態は特に、堆積装置およびその動作方法を参照する。チャンバまたはハウジングに、堆積源を取り付けることができる区画が設けられうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、2つ以上の区画が設けられる。たとえば、4つ、5つ、6つ、8つ、または12個の区画を設けることができる。堆積源は、CVD源、PECVD源、およびPVD源からなる群から選択することができる。区画を利用するという概念により、堆積源の交換が可能になり、その結果、堆積装置は、異なる適用分野または一適用分野の異なる処理パートに柔軟に適用することができる。典型的な実装形態によれば、装置は、フレキシブルTFTディスプレイ、特にフレキシブルTFTディスプレイ向けのバリア層スタックを製造するために使用することができる。
【0096】
すでに上述したように、本明細書に記載の実施形態による装置および方法は、別法としてまたは組み合わせて実施することができる複数の任意選択の特徴、態様、および詳細を含むことができる。たとえば、インターリーフの巻き取りおよび繰り出しロールである。したがって、これらの方法は、ロール上の基板の層間にインターリーフを提供すること、または繰り出し側でインターリーフを受け取ることを含むことができる。さらに、基板の温度または被覆ドラムの温度は、20℃~250℃またはさらには最高400℃とすることができる。典型的には、これらの装置は、500m以上、たとえば900m以上、たとえば1000mの基板の長さに合わせて構成される。基板幅は、300mm以上、たとえば400mmとすることができる。典型的には、基板の厚さは、50μm~125μmとすることができる。
【0097】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、たとえば
図7、
図9、および
図10に示すように、被覆(またはそれぞれGCD)ならびにローラ104および1004(存在する場合)と、ロール764および764’は、基板の裏側、すなわち基板のうち処理領域内で処理すべき側とは反対側のみで、基板がローラによって接触されるように構成される。
【0098】
図11A~11Cは、本明細書に記載の実施形態による処理ガスの流れ、パージまたは分離ガスの流れ、および吸引またはポンピング領域の異なる実施形態を示す。
図11Aは、それぞれの処理領域に互いに隣接して設けられた2つの堆積ステーションを示す。これらの処理領域は、被覆ドラム110に設けられる。被覆ドラム110は、湾曲した基板支持体表面を形成する。しかし、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる代替実施形態によれば、平坦な基板支持体表面を提供する異なる基板支持体を設けることもできる。この場合、処理ステーションおよびそれぞれの電極は、湾曲表面に対応するように成形されるのではなく、平坦な表面に対応するように成形および位置決めされる。
【0099】
処理ステーション1130はそれぞれ、電極602を有する。電極の一方の側には、ガス入口612が設けられる。典型的な実装形態によれば、ガス入口は、被覆ドラム110の軸方向に延びるスリットまたは複数の開口とすることができる。ガス入口612に隣接して、ガス分離ユニット620を形成する壁部分が設けられる。堆積ステーション1130は、電極602に接続可能な整合回路680を有し、その結果、処理領域内にプラズマを着火および維持するための電力を電極に提供することができる。
【0100】
堆積ステーションまたはそれぞれの処理領域間に、水素などの分離ガスのためのガス入口1842が設けられる。さらに、処理ステーションまたはそれぞれの処理領域間に、ポンピングまたは吸引チャネルが設けられる。
図11Aの分離ガス入口1842の両側に、真空チャネル1142、たとえばポンピングポートが位置決めされる。
【0101】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、分離ガス入口1842は、さらなるガス分離ユニット1620を提供する壁部分をさらに含むことができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、堆積ステーション1130または堆積ステーション1130の少なくとも1つは、被覆ドラム110からの堆積ステーションの距離を変動させるためのアクチュエータを含む
。距離の変動は、
図1および
図2に関して記載したアクチュエータによって提供することができ、または
図3Aおよび
図3Bならびに
図5、
図13A、および
図13Bに関して記載した支持体によって提供することができる
。電極602の被覆ドラム110の軸、第1のガス分離ユニット620、および第2のガス分離ユニット1620に対する径方向の位置を変動させて調整することができる。たとえば、変動および調整は、被覆ドラム110の温度変動時の被覆ドラムの熱膨張または収縮を補償するために利用することができる。
【0102】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、隣接する処理区域間の分離係数の増大を提供するために、ガス分離ユニットの要素または壁部分、ポンピングまたは排気ダクト、および分離ガス入口の組合せを提供する。
図11Aに示すように、分離ガス入口1842が堆積ステーション間に設けられ、分離ガス入口1842の両側に真空チャネル1142、たとえば排気ダクトが設けられる
。処理ドラムまたは被覆ドラム110は、
図11Aの紙面に直交する方向に延びることを理解されたい。さらに、電極、ならびにガス入口、ガス出口、および排気ダクトは、
図11Aで紙面に直交する方向に延びる。したがって、これらの要素の相対的な位置について、たとえば
図11Aおよび
図11Bに示すように、基板輸送方向および/または対応する横断面を参照して説明する。
【0103】
図11Bはまた、それぞれ電極602を有する2つの堆積ステーションを示す。
図11Bでは、1つの堆積源のみに対して整合回路680が示されている。
図11Bは別の実施形態を示し、
図11Aとは異なり、それぞれの堆積ステーション間に両方の堆積ステーションに対して処理ガス入口が設けられ、その結果、プロセスガス流方向は、堆積源の一方に対しては基板輸送方向と同じ方向に提供され、堆積源の対応する他方に対しては反対の方向に提供される。
【0104】
図11Cは、隣接する堆積源に対する様々なガス入口および排気または吸引チャネルに関する概略的な概念を示す。
図11Cは、2つの近接する電極602を示し、電極602は、それぞれの位置で堆積源の一部分と見なされる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、電極602は、PECVD源の電極など、プラズマ堆積処理向けの電極とすることができる。
【0105】
図11Cに示すように、処理ガス用のガス入口612および処理ガス用のガス出口614は、近接する堆積源のそれぞれに対する電極602の両側に設けられる。さらに、分離ガス入口1842が設けられる。分離ガス入口1842は、電極602の両側に設けられ、その結果、ガス入口612およびガス出口614はそれぞれ、電極とそれぞれの分離ガス入口との間に位置決めされる。真空チャネル1142、すなわち吸引チャネルまたは排気ダクトが設けられる
。排気ダクトは、電極602のそれぞれの両側に設けられ
てよく、その結果、分離ガス入口1842ならびにガス入口612およびガス出口614は、排気ダクトと電極602との間に設けられる。
【0106】
図11Cは、平坦な表面に沿って位置決めされた電極602と、それぞれのガス入口およびガス出口ならびに排気ダクトとを示す。本明細書に記載のガス分離の原理により、平坦な基板支持体表面が設けられる堆積装置を提供することができる。しかし、他の実施形態によれば、湾曲した基板支持体表面、たとえば処理ドラムまたは被覆ドラムの表面を設けることもできる。このとき、電極602ならびにガス入口、ガス出口、および排気ダクトは、湾曲した基板支持体表面に対応するように成形および/または位置決めすることができることを理解されたい。
【0107】
図11Cは、ガス入口、ガス出口、および排気ダクトを矢印として示す。それぞれのチャネルおよびダクトは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによって設けることができることを理解されたい。
【0108】
本明細書に記載の実施形態は、隣接または近接する堆積ステーション内に異なるプロセスが提供される適用分野にとって特に有用である。たとえば、
図11Cの左側に電極602によって示す堆積源は、第1の堆積プロセスを実行することができ、
図11Cの右側に電極602によって示す堆積源は、第2の異なる堆積プロセスを実行することができる。たとえば、左側の処理領域内の圧力が0.3ミリバールであり、右側の処理領域内の圧力が1.7ミリバールであった場合、中間の真空チャネル1142、たとえば排気ダクトの領域内の圧力は、典型的には、2つの処理区域のうち低い方の圧力を下回るように提供される。上記の例では、圧力は、0.2ミリバールとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、3つ以上の堆積源が設けられる場合、排気ダクトの領域内の圧力は、あらゆる処理領域内の最小の圧力より低くなるように提供される。
【0109】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、ガス分離ユニットの壁部分または要素は、
図11Cに関して記載した配置になるように設けることができる
。ガス分離ユニットの壁部分または要素は、プロセスガス入口と分離ガス入口との間、ならびにプロセスガス出口と分離ガス入口との間に設けることができ、分離ガス入口と排気ダクトとの間にさらに設けることができる。これは、以下の
図12を参照すれば、よりよく理解することができ、より詳細に説明されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、壁部分の少なくとも1つおよび/または電極の少なくとも1つは、たとえば、熱膨張および基板支持体表面の位置の対応する変動を補償するために、基板支持体表面からの距離を調整または変動することができるように設けることができる。さらに、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態によれば、堆積源または堆積ステーションの少なくとも1つは、本明細書に記載の実施形態に関して記載するように設けられることを理解されたい。
【0110】
図12は、堆積ステーション1230を示す。堆積ステーション1230は、電極602を含む。電極は、整合回路680に接続することができ、その結果、電極602に電力が供給される。
図12に示すように、電極602は、湾曲表面を備えることができ、その結果、電極は、処理ドラムまたは被覆ドラムに対応し、すなわちドラムの表面に対して本質的に平行な表面を有する。矢印801は、電極602に沿った処理領域内の処理ガスのガス流を概略的に示す。
図12では、プロセスガス入口612およびプロセスガス出口614のそれぞれのスリットを線によって強調している
。特にPECVDプロセスに対する本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実装形態によれば、プロセスガス流は非対称であり、すなわち基板が動く方向または基板が動く方向とは反対の方向に流れる。
【0111】
概して、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態は、その表面に沿って第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板を案内するための外面を有する基板支持体と、第1の処理領域に対応する第1の堆積ステーションと、少なくとも1つの第2の真空処理領域に対応する少なくとも1つの第2の堆積源とを含むことができ、少なくとも第1の堆積ステーションは、基板支持体の表面に対向する表面を有する電極と、電極の表面の両側に配置された処理ガス入口および処理ガス出口と、電極の表面ならびに処理ガス入口および処理ガス出口を取り囲む第1の分離壁と、第1の分離壁を取り囲む少なくとも1つの分離ガス入口と、少なくとも1つの分離ガス入口を取り囲む少なくとも第2の分離壁とを含む。この堆積装置は、第1の堆積ステーションと少なくとも1つの第2の堆積源との間に少なくともさらなるガス出口を提供する1つまたは複数の真空フランジをさらに含む。
【0112】
電極602の周りに、ガス分離ユニット620が設けられる
。ガス分離ユニット620は、電極602の一方の側に位置する第1の部分620Aと、電極602の反対の側に位置する第2の部分620Bとを有
しうる。ガス分離ユニット620のさらなる側面部分620Cが設けられる。代替実施形態によれば、別個のガス分離ユニットを設けることができ、その結果、第1の部分620Aと第2の部分620Bはそれぞれ、別個のガス分離ユニットによって形成される。しかし、電極602を取り囲むガス分離ユニット620は、改善された分離係数を提供する
。本明細書および特許請求の範囲のいくつかの部分によれば、電極602の片側と電極602の反対側に設けられたガス分離ユニットが参照されることを理解されたい。
図12を参照すると、電極602を取り囲む単一のガス分離ユニットを設けることができ、その結果、単一のガス分離ユニットが同じ電極の2つの両側に設けられることを理解することができる。
【0113】
電極602の第1の側および電極602の反対側に、分離ガス入口842の1つまたは複数の開口が設けられる。電極602を取り囲む分離ガス入口842は、
図12で破線によって示されている。典型的には、分離ガス入口842は、電極602の両側に設けられ、または電極602を均一に取り囲むように設けられ、その結果、分離ガス入口842と電極との間にガス分離ユニット620が位置する。
【0114】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、さらなるガス分離ユニット1620を設けることができる
。電極602の両側に、第1の部分1620Aおよび第2の部分1620Bを設けることができる。別法として、
図12に示すさらなるガス分離ユニット1620の第1の部分および第2の部分ではなく、2つのガス分離ユニットを設けることができる。
図12に示すさらなるガス分離ユニット1620は、側面部分1620Cをさらに有し、その結果、さらなるガス分離ユニット1620は、電極602、第1のガス分離ユニット620、および分離ガス入口842を取り囲む。
【0115】
図12に示すように、上記の堆積ステーション1230の要素は、堆積源または堆積ステーションの本体603に取り付けられる。本体は、フレーム部分を有することができ、フレーム部分は、本明細書に記載の実施形態によれば、堆積装置のチャンバに取り付けることができ、かつ/または堆積装置のそれぞれの区画内に設けることができる
。さらなるガス分離ユニット1620の外側に、すなわちさらなるガス分離ユニット1620の周囲に、真空領域が設けられ
うる
。真空領域は、たとえば
図11A~11Cに示す排気ダクト1142に対応する排気ダクト
または真空チャネルによって排気される。
【0116】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、ガス分離ユニット620、さらなるガス分離ユニット1620、および電極からなる群から選択される要素の少なくとも1つは、本体603、アクチュエータ、または処理ドラムもしくは被覆ドラムの軸に接続された支持要素によって支持および/または接続することができ、その結果、基板支持体表面に対する距離を変動させることができる。スリット幅に強く依存するガス分離を改善することができる。たとえば、-20℃~400℃、たとえば0℃~200℃または-20℃~80℃の温度まで加熱および/または冷却することができる被覆ドラムの熱膨張を補償することができる。温度に依存して変動するガス分離ユニットとドラムとの間のスリットバルブのスリット幅の変動を補償することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる典型的な実施形態によれば、たとえばPVDの場合は1:100以上のガス分離係数、またはさらにはたとえばCVDの場合は1:100.000など、1:10.000以上のガス分離係数を提供することができる。
【0117】
追加または代替の実装形態によれば、スリット幅またはガス分離ユニットの位置の自動調整を提供することができる。カメラ、距離センサなどの測定デバイスを利用することができる。さらに、熱膨張が補償される場合、ガス分離ユニットに対する支持要素が基板支持体表面の熱膨張変動位置に対応する熱膨張を有することによって、ガス分離ユニットの位置の変動を提供することができる。基板に損傷、引っ掻き、または破壊を与える危険を冒すことなく、ガス分離ユニットと基板支持体表面との間のスリット幅を可能な限り(最良の分離係数になるように)小さくするべきであることを考慮できる。上記を考慮すると、本明細書に記載の実施形態は、近接する処理領域における異なる堆積プロセス、たとえばCVDプロセスもしくはPECVDプロセスに対して異なる圧力が使用される堆積プロセスにとって、かつ/または近接する処理領域における異なる堆積プロセスに対して異なる処理ガスが使用される堆積プロセスにとって、特に1つの処理ガスが近接する処理領域におけるプロセスにとって有害である場合、特に有用である。
【0118】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、堆積装置のチャンバまたはハウジングは、区画または開口を有することができ、堆積源または堆積源を有する堆積ステーションは、チャンバまたはハウジングとの接続を提供するように開口または区画内に位置決めすることができ、その結果、チャンバまたはハウジングは、真空気密筐体を形成し、すなわち、約0.2~10ミリバールの圧力で真空まで排気することができ、またはさらには1*10-4~1*10-2ミリバールの圧力で真空まで排気することができる。異なる圧力範囲は、具体的には、PVDプロセスの場合は10-3ミリバールの範囲内、CVDの場合はミリバールの範囲内であると考えられ、これらは異なる圧力領域で実行される。さらに、チャンバまたはハウジングは、1*10-6ミリバール以下の圧力で背景の真空まで排気することができる。背景圧力とは、いかなるガスも入ることなくチャンバまたはハウジングの排気によって到達される圧力を意味する。
【0119】
堆積装置は、基板が堆積装置内の2つ以上の処理領域を通って動く間に組み合わせることができる様々なプロセスおよび蒸発またはスパッタリングなどのPVDプロセスまたはPECVDプロセスなどのCVDプロセスに対する共通のプラットフォームを形成しうる。具体的には、異なるPECVDプロセスを組み合わせて、たとえばTFTまたはフレキシブルTFTの製造、より具体的には超高バリアに利用することができる。
【0120】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、フレキシブル基板の巻き取りおよび繰り出しを行うローラ、基板を案内するローラ、処理または被覆ドラム、ならびにフレキシブル基板に接触する他の要素は、フレキシブル基板の裏側、すなわち処理領域内で処理されない側のみに接触するように、堆積チャンバ内に位置決めおよび/または配置される。さらなる実施形態によれば、そのような堆積装置は、上向きの堆積源を備えることができ、その結果、基板上の粒子生成が回避される。特に処理または被覆ドラムの適用分野では、上向きの堆積源は、被覆ドラムの回転軸の下に配置される堆積源として理解することができる。
【0121】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、1つまたは複数のそれぞれの電極、1つまたは複数のガス分離ユニット、および任意選択で設けられた分離またはパージガス用の入力を有する堆積源は、堆積ステーションとして設けることができ、堆積ステーションは、1つのアセンブリとして堆積装置のハウジングまたはチャンバ内の開口または区画内へ配置したりそこから取り出したりすることができる。
【0122】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、分離またはパージガスの挿入は、典型的には、分離ガス入口によって画定されるそれぞれの領域内にH2などのプロセスガス、アルゴンなどの希ガス、または窒素を挿入することによって実行される。分離ガス入口は、ガス分離ユニット、すなわちガス分離ユニットのそれぞれの壁要素間に設けられたスリット開口とすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、堆積源、ガス入口区域、およびガス分離ユニットは、排気または吸引ダクトに接続された区域によって取り囲まれ、その結果、チャンバ内の背景の真空は、いずれの堆積源のいずれの圧力よりも低い圧力になるように、または少なくとも堆積源の少なくとも50%になるように提供することができる。典型的な実装形態によれば、この概念は、少なくとも1つの第1の真空ポンプまたは第1のポンピングステーションが、処理領域または堆積ステーションのそれぞれに付随し、少なくとも1つの第2の真空ポンプまたは第2のポンピングステーションが、全体的なチャンバ圧力を制御するようにチャンバに付随する場合、最も容易に提供することができる。
【0123】
図14Aおよび
図14Bを参照して、さらなる堆積装置100について説明する。前述の装置と同様に、基板106は、矢印108によって示すように、ローラ104および被覆ドラム110の上を案内される。処理領域内に堆積源130が設けられる。処理領域は、ガス分離ユニット120によって分離することができる。典型的には、堆積源は、それぞれ基板支持体または基板に対向する電極531を含む。したがって、堆積源または電極531のそれぞれ、および基板106は、薄膜堆積中にプラズマが着火される真空処理領域の両側に位置する。
【0124】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、電極531と基板106との間のスリットの幅、すなわち真空処理領域の幅は、ガス分離ユニットの支持体の配置によって調整することができる。
図14Aおよび
図14Bは、被覆ドラム110と本質的に同じ直径を有するディスク310を示す。
図14Aでは被覆ドラム110がわずかに拡大して描かれているが、被覆ドラム110とディスク310が同じ直径を有することができるため、これは主に例示を目的とする。ディスク310は、軸111に取り付けられる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、ディスクは、被覆ドラムとともに回転することができる。別法として、軸方向の被覆ドラムの長さが上記のようにガス分離ユニットおよび/または堆積源を支持するように構成される場合、ディスクを省略することができる。
【0125】
堆積源、堆積源の電極、または堆積源130のそれぞれの要素は、ディスク310およびロール1412によって支持される。いくつかの実施形態によれば、ロール1412によって、処理領域520の幅および/またはガス分離ユニットのスリット幅が決まる。これらのロールは、ディスクまたは被覆ドラムの一部分上を転がることができる。ディスクまたは回転ドラムの回転は、堆積源130および/またはガス分離ユニット120の支持体に影響を与えない。
【0126】
被覆ドラム110の温度が変動する場合、被覆ドラム110の直径も変動する。したがって、真空処理領域520の幅は、被覆ドラムの直径の変動による影響を受け、本明細書に記載の実施形態によれば、電極と基板との間の距離、すなわち真空処理領域の幅の調整を提供することができる。ロール1412によるガス分離ユニット120、プラズマ堆積源130、またはそれぞれの電極531の支持体は、矢印526によって示すように、処理領域520の幅の調整を提供する。
図14Bは、ロール1412のそれぞれの回転軸を示し、ロールが回転式ディスクまたは被覆ドラムの上を転がって、静止回転位置を提供することができることを示す。いくつかの実施形態によれば、ディスク310が利用される場合、ディスク310は、被覆ドラム110によって受動的に加熱または冷却することができる。追加または別法として、ディスク310またはプラズマ堆積源130および/もしくはガス分離ユニット120用の類似の支持体は、冷却チャネルまたは加熱要素を備えることができる
。ディスク310の温度は、個々に制御することができる。したがって、ディスク310の熱膨張は、被覆ドラムの温度とは無関係に制御することができる
。電極とそれぞれ基板または基板支持体表面との間の距離の幅を調整することができ、この幅は、ロール1412によって主に画定される。ロール1412は、ガス分離ユニット、堆積源、および/または堆積源の電極に対する接続要素または支持体、具体的には被覆ドラムまたはその軸に対する機械的接続を提供することが理解される。さらに、上記の他の類似の支持体によって実施形態を導出することができる。
【0127】
本明細書に記載の異なる実施形態によれば、基板上に薄膜を被覆する装置が特に提供される。この装置は、第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板を案内するための外面を有する基板支持体と、第1の真空処理領域を少なくとも1つの第2の真空処理領域から分離するガス分離ユニットとを含み、ガス分離ユニットは、基板支持体の外面とガス分離ユニットとの間を基板が通過することができるスリットを形成するように適合され、ガス分離ユニットは、第1の処理領域と第2の処理領域との間の流体連通を制御するように適合され、この流体連通は、ガス分離ユニットの位置を調整することによって制御される。この装置の典型的な修正形態によれば、次の特徴、詳細、態様の少なくとも1つを提供することができる。少なくとも1つのガス分離ユニットは、スリットの幅を調整するように構成されたアクチュエータを含むことができ、基板支持体は、被覆ドラムとすることができ、少なくとも1つのガス分離ユニットは、ガス分離ユニットおよび被覆ドラムの軸に機械的に接続された支持要素を備え、さらに、支持要素は、たとえばディスクまたはディスクの一部分とすることができ、ディスクまたはディスクの一部分は、被覆ドラムまたは被覆ドラムにスリット幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、ディスクまたはディスクの一部分は、異なる熱膨張係数を有する被覆ドラムの材料とは異なる材料からなり、ディスクまたはディスクの一部分は、ドラムと同じ温度で、またはディスクもしくはディスクの一部分の直径を被覆ドラムもしくは支持要素の直径に調整するように適合されたドラムとは異なる温度で保たれ、あるいは、ディスクまたはディスクの一部分は、被覆ドラムまたは被覆ドラムにスリット幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、ディスクまたはディスクの一部分は、被覆ドラムの材料と同じ材料である材料からなり、ディスクは、同じ温度で維持され、またはディスクもしくはディスクの一部分は、ディスクもしくはディスクの一部分の直径を被覆ドラムの直径に調整するように適合された温度レベルで保たれる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、この装置は、スリットの幅を監視する監視デバイスおよび/または少なくとも2つのプラズマ堆積源をさらに含むことができ、さらなる代替形態または追加の修正形態として、監視デバイスは、スリット幅を光学的もしくは電気的に監視する光または電気モニタを含み、および/または監視デバイスは、1つもしくは複数のプラズマ状態を監視するように少なくとも2つのプラズマ堆積源の少なくとも1つに接続されたプラズマモニタである。追加または別法として、さらなる詳細、態様、および特徴は、ガス分離ユニットと基板との間のスリット内に分離ガスを提供する少なくとも1つのガス入口、および/または真空ポンプを接続する真空チャネルを含むことができる。
【0128】
さらなる実施形態によれば、堆積装置の2つの堆積源間にガス分離を提供する方法が提供される。この方法は、基板支持体の上で基板を案内すること(たとえば、
図15の
フィーチャ1502参照)と、基板支持体からのガス分離のために構成されたガス分離ユニットの距離を変動させること(たとえば、
図15の
フィーチャ1504参照)とを含み、特にこの距離は、基板支持体の温度および/または位置に応じて変動させられる。この方法のさらなる追加または代替の修正形態によれば、距離は、アクチュエータによって変動させることができ、径方向の距離は、分離ユニットに対するホルダの熱膨張によって変動させることができ、かつ/または基板支持体は、被覆ドラムとすることができる。さらなる実施形態によれば、堆積装置内で基板上に薄膜を堆積させる方法が提供される。この方法は、基板支持体の上で基板を案内すること(たとえば、
図15の
フィーチャ1502参照)と、基板支持体からのプラズマ堆積源の電極の距離を変動させること(たとえば、
図15の
フィーチャ1506参照)とを含み、特にこの距離は、基板支持体の温度および/または位置に応じて変動させられる。この方法のさらなる追加または代替の修正形態によれば、距離は、アクチュエータによって変動させることができ、かつ/または基板支持体は、被覆ドラムとすることができ、距離は、プラズマ堆積源に対するホルダの熱膨張によって変動させられる径方向の距離である。上記のように、
フィーチャ1506における電極の距離の変動に加えて、基板支持体からのガス分離のために構成されたガス分離ユニットの距離は、
フィーチャ1504で変動させることができる。
図15は、
フィーチャ1504および1506の両方を示すが、本明細書に記載の実施形態によれば、
フィーチャ1504もしくは
フィーチャ1506のいずれか、または
フィーチャ1504および1506の両方を提供することができることが理解される。さらに、別の任意選択の実装形態として、1つまたは複数のガス分離ユニット、電極、および他の要素を含む本明細書に記載の堆積ステーションの位置は、単体として変動させることができる。
【0129】
さらなる実施形態によれば、基板上に薄膜を堆積させる装置が提供される。この装置は、その表面に沿って第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板を案内するための外面を有する基板支持体と、第1の処理領域に対応する第1の堆積源と、少なくとも1つの第2の真空処理領域に対応する少なくとも1つの第2の堆積源とを含み、少なくとも第1の堆積源は、基板支持体の表面に対向する表面を有する電極と、電極の表面の両側に配置された処理ガス入口および処理ガス出口と、1つまたは複数の分離ガス入口開口を有する少なくとも1つの分離ガス入口とを含み、1つまたは複数の分離ガス入口開口は、少なくとも電極の表面の両側の一方に設けられ、その結果、処理ガス入口および/または処理ガス出口が、1つまたは複数の分離ガス入口開口と電極の表面との間に設けられる。この装置は、第1の堆積源と少なくとも1つの第2の堆積源との間に少なくともさらなるガス出口を提供する1つまたは複数の真空フランジをさらに含む。この装置の典型的な修正形態によれば、次の特徴、詳細、態様の少なくとも1つを提供することができる。第1の堆積源の少なくとも1つの分離ガス入口の第1の分離ガス入口と第2の堆積源の少なくとも1つの分離ガス入口の第2の分離ガス入口との間に、1つまたは複数の真空フランジを設けることができ、少なくとも第1の堆積源の分離ガス入口は、1つまたは複数の分離ガス入口開口を含み、その結果、1つまたは複数の分離ガス入口開口は、電極の表面を取り囲み、または電極の表面の周りに分散され、少なくとも第1の堆積源は、少なくとも1つの第1の分離壁をさらに含むことができ、少なくとも1つの第1の分離壁は、電極の表面の両側に設けられ、その結果、処理ガス入口および処理ガス出口は、少なくとも1つの第1の分離壁と電極の表面との間に設けられ、特に少なくとも1つの第1の分離壁は、電極の表面を取り囲み、処理ガス入口および処理ガス出口は、第1の分離壁の外周内に設けられ、かつ/または少なくとも第1の堆積源は、少なくとも1つの第2の分離壁をさらに含むことができ、少なくとも1つの第2の分離壁は、電極の表面の両側に設けられ、その結果、少なくとも1つの分離ガス入口は、少なくとも1つの第2の分離壁と少なくとも1つの第1の分離壁との間に設けられ、特に少なくとも1つの第2の分離壁は、電極の表面を取り囲み、少なくとも1つの分離ガス入口は、第2の分離壁の外周内に設けられる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、基板支持体の表面は被覆ドラムの湾曲表面であり、電極の表面は湾曲表面であり、特に被覆ドラムの湾曲表面と少なくとも第1の堆積源の電極の湾曲表面は距離を有し、この距離は、少なくとも第1の堆積源を位置決めすることによって調整することができ、少なくとも第1の堆積源は、堆積ステーション内に含むことができ、堆積ステーションは、堆積源と、対応する処理ガス入口と、対応する処理ガス出口と、少なくとも1つの分離ガス入口とを含み、これらは単体として形成され、特に少なくとも1つの分離壁はガス分離ユニットを形成し、ガス分離ユニットは、ガス分離ユニットの位置を調整するように構成されたアクチュエータを備え、特にガス分離ユニットは、ガス分離ユニットおよび基板支持体に機械的に接続された支持要素を備え、かつ/または基板は、フレキシブル基板とすることができ、フレキシブル基板は、被覆ドラムおよび複数のローラの配置を介して繰り出しロールから巻き取りロールへ案内され、複数のローラの配置は、フレキシブル基板の裏側のみに接触するように配置される。
【0130】
さらなる実施形態によれば、第1の堆積源および少なくとも1つの第2の堆積源によって少なくとも2つの層を基板上に堆積させるさらなる方法が提供される。この方法は、基板支持体の上で表面に沿って基板を案内すること(たとえば、
図16の
フィーチャ1602参照)と、少なくとも第1の堆積源の両側の少なくとも2つの位置に分離ガスを提供すること(たとえば、
図16の
フィーチャ1606参照)と、少なくとも2つの位置間にプロセスガスを提供し、そのプロセスガスを排気すること(たとえば、
図16の
フィーチャ1604)と、第1の堆積源と少なくとも1つの第2の堆積源との間の少なくとも1つの真空出口でポンピングすること(たとえば、
図16の
フィーチャ1608)とを含む。この方法の典型的な実装形態によれば、分離ガスは、水素、窒素、もしくは希ガスとすることができ、かつ/または少なくとも1つの真空出口の圧力は、第1の堆積源および少なくとも1つの第2の堆積源のあらゆる区域の圧力より小さくすることができる。
【0131】
さらなる実施形態によれば、基板上に薄膜を堆積させる装置が提供される。この装置は、真空処理領域を通って基板を案内するための外面を有する基板支持体と、真空処理領域内で基板上に薄膜を堆積させる、電極を備えるプラズマ堆積源と、電極と外面との間の距離を調整するように構成されたアクチュエータとを含む。この装置は、以下の態様、詳細、および特徴の1つまたは複数を含むことができる。基板支持体は、被覆ドラムとすることができ、基板はフレキシブル基板であり、プラズマ堆積源は、電極および被覆ドラムの軸に機械的に接続された支持要素を含むことができ、支持要素は、ディスクまたはディスクの一部分とすることができ、ディスクまたはディスクの一部分は、被覆ドラムまたは被覆ドラムに真空処理領域の幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、ディスクまたはディスクの一部分は、異なる熱膨張係数を有する被覆ドラムの材料とは異なる材料からなり、ディスクまたはディスクの一部分は、ディスクまたはディスクの一部分の直径を被覆ドラムの直径に調整するように適合された温度レベルで保たれ、あるいは、支持要素は、ディスクまたはディスクの一部分とすることができ、ディスクまたはディスクの一部分は、被覆ドラムまたは被覆ドラムにスリット幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、ディスクまたはディスクの一部分は、被覆ドラムの材料と同じ材料である材料からなり、ディスクは、同じ温度で維持され、またはディスクもしくはディスクの一部分は、ディスクもしくはディスクの一部分の直径を被覆ドラムの直径に調整するように適合された温度レベルで保たれ、この装置は、真空処理領域の幅を監視する監視デバイスをさらに含むことができ、特に監視デバイスは、真空処理領域の幅を光学的または電気的に監視する光または電気モニタを含むことができ、たとえば監視デバイスは、1つまたは複数のプラズマ状態を監視するようにプラズマ堆積源に接続されたプラズマモニタとすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるさらなる実施形態によれば、この装置は、真空処理領域をさらなる第2の真空処理領域から分離するガス分離ユニットをさらに含むことができ、ガス分離ユニットは、基板支持体の外面とガス分離ユニットとの間を基板が通過することができるスリットを形成するように適合され、ガス分離ユニットは、処理領域とさらなる処理領域との間の流体連通を制御するように適合され、この流体連通は、ガス分離ユニットの位置を調整することによって制御され、特に少なくとも1つのガス分離ユニットは、スリットの幅を調整するように構成されたアクチュエータを備え、かつ/または基板支持体は、被覆ドラムであり、少なくとも1つのガス分離ユニットは、ガス分離ユニットおよび被覆ドラムの軸に機械的に接続された支持要素を備える。
【0132】
上記は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することができ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
基板上に薄膜を被覆する装置であって、
第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って前記基板を案内するための外面を有する基板支持体と、
前記第1の真空処理領域を前記少なくとも1つの第2の真空処理領域から分離するガス分離ユニットとを備え、前記ガス分離ユニットが、前記基板支持体の前記外面と前記ガス分離ユニットとの間を前記基板が通過することができるスリットを形成するように適合され、
前記ガス分離ユニットが、前記第1の処理領域と前記第2の処理領域との間の流体連通を制御するように適合され、前記流体連通が、前記ガス分離ユニットの位置を調整することによって制御される、装置。
(態様2)
前記少なくとも1つのガス分離ユニットが、前記スリットの幅を調整するように構成されたアクチュエータを備える、態様1に記載の装置。
(態様3)
前記基板支持体が被覆ドラムであり、前記少なくとも1つのガス分離ユニットが、前記ガス分離ユニットおよび前記被覆ドラムの軸に機械的に接続された支持要素を備える、態様1または2に記載の装置。
(態様4)
前記支持要素が、ディスクまたはディスクの一部分であり、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記被覆ドラムまたは前記被覆ドラムに前記スリット幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、異なる熱膨張係数を有する前記被覆ドラムの材料とは異なる材料からなり、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分の直径を前記被覆ドラムの直径に調整するように適合された温度レベルで保たれるように構成される、態様3に記載の装置。
(態様5)
前記支持要素が、ディスクまたはディスクの一部分であり、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記被覆ドラムまたは前記被覆ドラムに前記スリット幅を加えた和と本質的に同じ直径を有し、前記ディスクまたは前記ディスクの前記一部分が、前記被覆ドラムの材料と同じ材料である材料からなり、前記ディスクが、同じ温度で維持されるように構成され、または前記ディスクもしくは前記ディスクの前記一部分が、前記ディスクもしくは前記ディスクの前記一部分の直径を前記被覆ドラムの直径に調整するように適合された温度レベルで保たれるように構成される、態様3に記載の装置。
(態様6)
前記スリットの前記幅を監視する監視デバイス、および
少なくとも2つのプラズマ堆積源
の少なくとも1つをさらに備える、態様1から5のいずれか一項に記載の装置。
(態様7)
前記監視デバイスが、前記スリット幅を光学的または電気的に監視する光または電気モニタを含む、態様6に記載の装置。
(態様8)
前記監視デバイスが、1つまたは複数のプラズマ状態を監視する前記少なくとも2つのプラズマ堆積源の少なくとも1つに接続されたプラズマモニタである、態様6または7に記載の装置。
(態様9)
前記堆積装置が、前記ガス分離ユニットと前記基板との間の前記スリット内に分離ガスを提供する少なくとも1つのガス入口をさらに備える、態様1から7のいずれか一項に記載の装置。
(態様10)
前記堆積装置が、真空ポンプを接続する真空チャネルをさらに備える、態様1から9のいずれか一項に記載の装置。
(態様11)
堆積装置の2つの堆積源間にガス分離を提供する方法であって、
第1の真空処理領域および少なくとも1つの第2の真空処理領域を通って基板支持体の上で基板を案内することと、
ガス分離ユニットの位置を調整することによって、前記第1の処理領域と前記第2の処理領域との間の流体連通を制御することとを含む方法。
(態様12)
前記ガス分離ユニットの前記位置が、アクチュエータによって調整される、態様11に記載の方法。
(態様13)
径方向の前記ガス分離ユニットの前記位置が、前記分離ユニットに対するホルダの熱膨張によって調整される、態様11または12に記載の方法。
(態様14)
前記基板支持体が被覆ドラムである、態様11から13のいずれか一項に記載の方法。
(態様15)
前記ガス分離ユニットの前記位置が、前記基板支持体の温度および/または位置に応じて調整される、態様11に記載の方法。