(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】映像信号送信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 11/20 20060101AFI20220510BHJP
H04N 9/00 20060101ALI20220510BHJP
H04N 21/2343 20110101ALI20220510BHJP
【FI】
H04N11/20
H04N9/00 A
H04N21/2343
(21)【出願番号】P 2017156880
(22)【出願日】2017-08-15
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】菊地 幸大
(72)【発明者】
【氏名】梶山 岳士
(72)【発明者】
【氏名】船津 良平
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】安江 俊夫
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-106825(JP,A)
【文献】国際公開第2010/004726(WO,A1)
【文献】特開2009-010821(JP,A)
【文献】特開2011-061327(JP,A)
【文献】特開2016-192595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 11/00
H04N 9/00
H04N 7/01
H04N 7/18
H04N 21/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号から所定数のリンク信号を生成し、前記所定数のリンク信号を、所定数の光ファイバーケーブルを用いて送信する映像信号送信装置において、
所定の解像度、120Hzを超える所定のフレーム周波数、所定の色空間フォーマット及び所定のサンプリング構造のフォーマットを有する前記映像信号を入力し、当該映像信号を構成するデータが少なくなるように、前記解像度及び前記フレーム周波数を維持したまま前記フォーマットを変換し、フォーマット変換後の前記映像信号をフレームバッファに格納するフォーマット変換部と、
前記フレームバッファから、所定数の系統毎に、フォーマット変換後の前記映像信号よりも低いフレーム周波数の速度にて前記映像信号を読み出し、当該映像信号から所定数のベーシックイメージを生成するベーシックイメージ生成部と、
前記所定数の系統毎に、前記ベーシックイメージ生成部により生成された前記ベーシックイメージから、当該ベーシックイメージに対応するベーシックストリームを生成するベーシックストリーム生成部と、
前記所定数の系統毎に、前記ベーシックストリーム生成部により生成された所定数の前記ベーシックストリームから前記リンク信号を生成し、前記所定数の系統における全ての前記リンク信号をマッピングし、前記フォーマット変換部が入力した映像信号
について前記フォーマットの変換を行うことなく送信する際の光ファイバーケーブルより少ない本数の前記所定数の光ファイバーケーブルを用いて
、前記リンク信号を送信するマッピング部と、
を備えたことを特徴とする映像信号送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像信号送信装置において、
前記フォーマット変換部は、
赤色信号、緑色信号及び青色信号により表現されるRGBの色空間フォーマットを有する前記映像信号を入力し、前記RGBの色空間フォーマットを、輝度信号、青の色差信号及び赤の色差信号により表現されるYC
BC
Rの色空間フォーマットに変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部により変換された前記YC
BC
Rの色空間フォーマットを有する前記映像信号に対し、前記青の色差信号及び前記赤の色差信号の間引き処理を行い、間引き処理後の前記映像信号を、フォーマット変換後の前記映像信号として前記フレームバッファに格納する色差信号間引き部と、
を備えたことを特徴とする映像信号送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像信号送信装置において、
前記フォーマット変換部は、
輝度信号、青の色差信号及び赤の色差信号により表現されるYC
BC
Rの色空間フォーマットを有する前記映像信号を入力し、当該映像信号に対し、前記青の色差信号及び前記赤の色差信号の間引き処理を行い、間引き処理後の前記映像信号を、フォーマット変換後の前記映像信号として前記フレームバッファに格納する色差信号間引き部、を備えたことを特徴とする映像信号送信装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の映像信号送信装置において、
前記フォーマット変換部は、
入力する前記映像信号のフォーマットに応じて予め設定された変換データに従い、当該映像信号のフォーマットを変換し、
前記所定数の系統は、前記フォーマット変換部によりフォーマット変換された前記映像信号のフォーマットに応じて予め設定される、ことを特徴とする映像信号送信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の映像信号送信装置において、
前記フォーマット変換部は、
8Kの解像度、240Hz、240/1.001Hz、480Hz、480/1.001Hz、960Hzまたは960/1.001Hzのフレーム周波数、及び、RGB4:4:4、YC
BC
R4:4:4若しくはYC
BC
R4:2:2のフォーマットを有する映像信号、または、4Kの解像度、960Hzまたは960/1.001Hzのフレーム周波数、及び、RGB4:4:4、YC
BC
R4:4:4若しくはYC
BC
R4:2:2のフォーマットを有する映像信号を入力し、当該映像信号におけるRGB4:4:4、YC
BC
R4:4:4またはYC
BC
R4:2:2のフォーマットを、YC
BC
R4:2:0のフォーマットに変換する、ことを特徴とする映像信号送信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の映像信号送信装置において、
前記マッピング部は、
フォーマット変換後の前記映像信号よりも低いフレーム周波数であって、受信側で復元可能な前記フレーム周波数の映像信号を、前記所定数の光ファイバーケーブルのうち1本の光ファイバーケーブルを用いて送信するように、前記所定数の系統における全ての前記リンク信号をマッピングする、ことを特徴とする映像信号送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン等の動画像の映像信号を伝送するための映像信号送信装置に関し、特に、120Hzを超えるフレーム周波数の高速映像を伝送するデジタルインターフェースの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、4K(3840×2160画素)または8K(7680×4320画素)の解像度を有するSHV(スーパーハイビジョン、超高精細映像(非特許文献1を参照))のコンテンツの制作が盛んに行われている。特に、スポーツコンテンツまたは科学コンテンツにおいては、120Hzを超える高いフレーム周波数(240Hz、480Hz等)の高速映像を撮影及び記録し、60Hzまたは120Hzのフレーム周波数の映像にて再生するスロー映像表現が効果的である。
【0003】
4Kまたは8Kの解像度を有し、60Hzまたは120Hzのフレーム周波数のSHVの非圧縮映像信号を伝送する手法が開示されている(特許文献1、非特許文献2を参照)。この手法は、放送機器間での映像信号の伝送を円滑に行うために、多芯による10Gマルチリンクまたは10G波長多重により、1本の光ファイバーケーブルを用いたデジタルインターフェースに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ARIB STD-B56、「超高精細度テレビジョン信号スタジオ規格」
【文献】ARIB STD-B58、「超高精細度テレビジョン信号スタジオ機器間インタフェース規格」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献1及び非特許文献2の手法は、60Hzまたは120Hzのフレーム周波数の映像信号を、1本の光ファイバーケーブルによるデジタルインターフェースを用いて伝送するものである。
【0007】
例えば、8Kの解像度、120Hzのフレーム周波数及びRGB4:4:4のサンプリング構造を有する映像信号は、24芯の10Gマルチリンク光ファイバー技術により、1本の光ファイバーケーブルを用いて伝送することができる。
【0008】
しかしながら、この手法を、120Hzを超えるフレーム周波数の映像信号を伝送する際にそのまま適用した場合には、映像信号を時間的または空間的に分割する必要があり、結果として、多数の光ファイバーケーブルが必要となってしまう。
【0009】
例えば、8Kの解像度、120Hzを超える240Hzのフレーム周波数及びRGB4:4:4のサンプリング構造を有する映像信号を伝送するためには、映像信号を時間的または空間的に分割することで、2本の光ファイバーケーブルを用いる必要がある。前述の非特許文献2は、60Hzまたは120Hzのフレーム周波数の映像信号を伝送するための機器間インターフェースについて規定しているが、120Hzを超えるフレーム周波数の映像を伝送するための機器間インターフェースの規格は、現在のところ存在しない。
【0010】
多数の光ファイバーケーブルを用いた伝送システムではシステムが複雑になり、光ファイバーケーブルの挿抜が煩雑となり誤配線が生じたり、その確認作業の負荷が高くなったりして、作業効率が低下するという問題がある。また、コストが高くなるという問題もある。
【0011】
前述の例では、240Hzのフレーム周波数の映像信号を伝送するために、120Hzの場合と同様の伝送帯域及びハードウェア規模をそのまま利用することができれば、1本の光ファイバーケーブルの使用で済む。これにより、誤配線がなくなり、作業効率が低下することはなく、コストも高くなることはない。
【0012】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を、より少ない数の光ファイバーケーブルを用いて伝送可能な映像信号送信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1の映像信号送信装置は、映像信号から所定数のリンク信号を生成し、前記所定数のリンク信号を、所定数の光ファイバーケーブルを用いて送信する映像信号送信装置において、所定の解像度、120Hzを超える所定のフレーム周波数、所定の色空間フォーマット及び所定のサンプリング構造のフォーマットを有する前記映像信号を入力し、当該映像信号を構成するデータが少なくなるように、前記解像度及び前記フレーム周波数を維持したまま前記フォーマットを変換し、フォーマット変換後の前記映像信号をフレームバッファに格納するフォーマット変換部と、前記フレームバッファから、所定数の系統毎に、フォーマット変換後の前記映像信号よりも低いフレーム周波数の速度にて前記映像信号を読み出し、当該映像信号から所定数のベーシックイメージを生成するベーシックイメージ生成部と、前記所定数の系統毎に、前記ベーシックイメージ生成部により生成された前記ベーシックイメージから、当該ベーシックイメージに対応するベーシックストリームを生成するベーシックストリーム生成部と、前記所定数の系統毎に、前記ベーシックストリーム生成部により生成された所定数の前記ベーシックストリームから前記リンク信号を生成し、前記所定数の系統における全ての前記リンク信号をマッピングし、前記フォーマット変換部が入力した映像信号について前記フォーマットの変換を行うことなく送信する際の光ファイバーケーブルより少ない本数の前記所定数の光ファイバーケーブルを用いて、前記リンク信号を送信するマッピング部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の映像信号送信装置は、請求項1に記載の映像信号送信装置において、前記フォーマット変換部が、赤色信号、緑色信号及び青色信号により表現されるRGBの色空間フォーマットを有する前記映像信号を入力し、前記RGBの色空間フォーマットを、輝度信号、青の色差信号及び赤の色差信号により表現されるYCBCRの色空間フォーマットに変換する色空間変換部と、前記色空間変換部により変換された前記YCBCRの色空間フォーマットを有する前記映像信号に対し、前記青の色差信号及び前記赤の色差信号の間引き処理を行い、間引き処理後の前記映像信号を、フォーマット変換後の前記映像信号として前記フレームバッファに格納する色差信号間引き部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の映像信号送信装置は、請求項1に記載の映像信号送信装置において、前記フォーマット変換部が、輝度信号、青の色差信号及び赤の色差信号により表現されるYCBCRの色空間フォーマットを有する前記映像信号を入力し、当該映像信号に対し、前記青の色差信号及び前記赤の色差信号の間引き処理を行い、間引き処理後の前記映像信号を、フォーマット変換後の前記映像信号として前記フレームバッファに格納する色差信号間引き部、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の映像信号送信装置は、請求項1から3までのいずれか一項に記載の映像信号送信装置において、前記フォーマット変換部が、入力する前記映像信号のフォーマットに応じて予め設定された変換データに従い、当該映像信号のフォーマットを変換し、前記所定数の系統が、前記フォーマット変換部によりフォーマット変換された前記映像信号のフォーマットに応じて予め設定される、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の映像信号送信装置は、請求項1に記載の映像信号送信装置において、前記フォーマット変換部が、8Kの解像度、240Hz、240/1.001Hz、480Hz、480/1.001Hz、960Hzまたは960/1.001Hzのフレーム周波数、及び、RGB4:4:4、YCBCR4:4:4若しくはYCBCR4:2:2のフォーマットを有する映像信号、または、4Kの解像度、960Hzまたは960/1.001Hzのフレーム周波数、及び、RGB4:4:4、YCBCR4:4:4若しくはYCBCR4:2:2のフォーマットを有する映像信号を入力し、当該映像信号におけるRGB4:4:4、YCBCR4:4:4またはYCBCR4:2:2のフォーマットを、YCBCR4:2:0のフォーマットに変換する、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項6の映像信号送信装置は、請求項1に記載の映像信号送信装置において、前記マッピング部が、フォーマット変換後の前記映像信号よりも低いフレーム周波数であって、受信側で復元可能な前記フレーム周波数の映像信号を、前記所定数の光ファイバーケーブルのうち1本の光ファイバーケーブルを用いて送信するように、前記所定数の系統における全ての前記リンク信号をマッピングする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を、より少ない数の光ファイバーケーブルを用いて伝送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態による映像信号送信装置及び映像信号受信装置を含む伝送システムの概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】映像信号送信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】フォーマット変換部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号の遷移について説明する図である。
【
図5】8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
【
図6】フォーマット変換部の入出力映像信号及びケーブル本数を説明する図である。
【
図7】ペイロードIDパケットのUDWのビット割当てを示す図である。
【
図8】ペイロードIDパケットに含まれるフレーム周波数のビット割当てを示す図である。
【
図9】光ファイバーケーブルのコネクタへの10Gリンク信号の割当てを示す図である。
【
図10】コンテンツIDのビット割当てを示す図である。
【
図11】コンテンツIDに含まれるケーブル番号のビット割当てを示す図である。
【
図12】コンテンツIDに含まれるシステムIDのビット割当てを示す図である。
【
図13】映像信号受信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図14】8K/480Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
【
図15】4K/480Hz/RGB4:4:4,YC
BC
R4:4:4,YC
BC
R4:2:2,YC
BC
R4:2:0の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
【
図16】4K/960Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
【
図17】コンテンツIDに含まれるシステムIDについて、120Hzを超えるフレーム周波数の映像信号に関するビット割当ての他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、超高解像度及び120Hzを超えるフレーム周波数の映像信号を伝送する際に、映像信号を構成するデータ(サンプル数)が少なくなるように、解像度及びフレーム周波数を維持したまま映像信号のフォーマットを変換し、変換後の映像信号を、フレーム周波数の低い複数系統の映像信号に分けて(所定間隔のフレーム毎に分けて)リンク信号を生成し、リンク信号を所定数の光ファイバーケーブルを用いて伝送することを特徴とする。
【0025】
これにより、映像信号を構成するデータが少なくなるから、10Gリンク信号の数を減らすことができる。したがって、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を、より少ない数の光ファイバーケーブルを用いて伝送することが可能となる。
【0026】
〔伝送システム〕
まず、本発明の実施形態による映像信号送信装置及び映像信号受信装置を含む伝送システムについて説明する。
図1は、伝送システムの概略構成例を示すブロック図である。この伝送システムは、映像信号送信装置1及び映像信号受信装置2を備えて構成される。
【0027】
映像信号送信装置1は、例えば、カメラ等からの映像信号を入力して所定数の10Gリンク信号を生成し、所定数の10Gリンク信号を10Gマルチリンクにより映像信号受信装置2へ送信する。映像信号受信装置2は、所定数の10Gリンク信号を受信して映像信号を復元し、ディスプレイ等に出力する。映像信号送信装置1と映像信号受信装置2とは、光ファイバーケーブルの伝送路3を介して接続される。尚、10Gマルチリンクの方式を用いる代わりに、光波長多重の方式を用いるようにしてもよい。
【0028】
映像信号送信装置1は、4Kまたは8Kの超高解像度、120Hzを超える240Hz等の所定のフレーム周波数、及び、RGB4:4:4等の所定の色空間フォーマット及びサンプリング構造を有する映像信号を入力する。そして、映像信号送信装置1は、映像信号を構成するデータが少なくなるように、解像度及びフレーム周波数を維持したままで、そのフォーマットを変換する。具体的には、映像信号送信装置1は、色空間フォーマット及びサンプリング構造のフォーマット変換を行うか、またはサンプリング構造のみのフォーマット変換を行う。尚、映像信号送信装置1は、フォーマット変換を行わない場合もある。そして、映像信号送信装置1は、フォーマット変換後の映像信号をフレームバッファに格納し、フレームバッファから、所定数の系統毎に、フレーム周波数の低い映像信号(ソースイメージ)を読み出す。
【0029】
映像信号送信装置1は、各系統において、フレーム周波数の低いソースイメージに対し、色信号コンポーネント毎に、所定数のサブイメージ、ベーシックイメージ及びベーシックストリームを生成する。この場合、映像信号送信装置1は、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造に基づいて、フレーム周波数の低いソースイメージ、所定数のサブイメージ、ベーシックイメージ及びベーシックストリームを生成するためのマッピング手順を特定する。
【0030】
ここで、映像信号送信装置1は、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造等からなるペイロードID(ペイロード識別子)を生成し、当該ペイロードIDを含むベーシックストリームを生成する。
【0031】
映像信号送信装置1は、所定数のベーシックストリームを多重して10Gリンク信号を生成し、10Gリンク信号を、光ファイバーケーブルを構成する複数の芯(光ファイバーケーブルのコネクタの各芯に対応するピン)のいずれかにマッピングする。そして、映像信号送信装置1は、所定数の10Gリンク信号を、光ファイバーケーブルの伝送路3を介して映像信号受信装置2へ送信する。
【0032】
ここで、映像信号送信装置1は、光ファイバーケーブルのケーブル番号、10Gリンク信号の番号、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造等からなるコンテンツID(コンテンツ識別子)を生成する。そして、映像信号送信装置1は、当該コンテンツIDを含む10Gリンク信号を生成する。
【0033】
映像信号受信装置2は、映像信号送信装置1から光ファイバーケーブルの伝送路3を介して、所定数の10Gリンク信号を入力し、10Gリンク信号からコンテンツIDを抽出する。そして、映像信号受信装置2は、コンテンツIDから映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造等を特定する。また、映像信号受信装置2は、コンテンツIDに基づいて、所定数の10Gリンク信号から、所定数のベーシックストリーム、ベーシックイメージ、サブイメージ及びソースイメージを復元するためのマッピング手順を特定する。
【0034】
映像信号受信装置2は、映像信号送信装置1に対して逆の処理を行い、系統毎に、マッピング手順に従い、10Gリンク信号からベーシックストリーム、ベーシックイメージ、サブイメージ及びソースイメージを復元し、所定数の系統のソースイメージをフレームバッファに格納する。そして、映像信号受信装置2は、コンテンツIDに基づいて、フレームバッファから、所定数の系統のソースイメージを所定のフレーム周波数の速度にて読み出す。これにより、映像信号送信装置1におけるフォーマット変換後の映像信号である、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を復元することができる。
【0035】
〔映像信号送信装置1〕
次に、
図1に示した映像信号送信装置1について説明する。
図2は、映像信号送信装置1の構成例を示すブロック図である。この映像信号送信装置1は、フォーマット変換部10、フレームバッファ11、ベーシックイメージ生成部12、ベーシックストリーム生成部13及び10Gリンクマッピング部14を備えている。
【0036】
フォーマット変換部10は、4Kまたは8Kの超高解像度、120Hzを超える240Hz等の所定のフレーム周波数、及び、RGB4:4:4等の所定の色空間フォーマット及びサンプリング構造を有するフォーマットの映像信号を入力する。
【0037】
フォーマット変換部10は、予め設定された変換データに従い、映像信号を構成するデータが少なくなるように、解像度及びフレーム周波数を維持したまま、映像信号のフォーマットを変換する。そして、フォーマット変換部10は、フォーマット変換後の映像信号をフレームバッファ11に格納する。
【0038】
つまり、フォーマット変換部10は、入力した映像信号のフォーマットに応じた変換データに従い、後述する色空間変換処理及び色差信号間引き処理を行う。これにより、入力した映像信号は、所定の伝送帯域の中で高品質な映像を伝送するため新たな映像信号に変換される。
【0039】
後述するように、色空間変換処理により、RGBの色空間フォーマットがYCBCRの色空間フォーマットに変換される。RGBの色空間フォーマットは、赤色信号R、緑色信号G及び青色信号Bにより表現される色空間のフォーマットである。YCBCRの色空間フォーマットは、輝度信号Y、青の色差信号CB及び赤の色差信号CRにより表現される色空間のフォーマットである。
【0040】
また、色差信号間引き処理により、4:4:4のサンプリング構造が4:2:2または4:2:0のサンプリング構造に間引きされる。例えばRGB4:4:4のサンプリング構造である4:4:4は、赤色信号R、緑色信号G及び青色信号Bのそれぞれについて間引きが行われていないことを示す。また、YCBCR4:2:2のサンプリング構造4:2:2は、青の色差信号CB及び赤の色差信号CRのそれぞれについて、YCBCR4:4:4に対し水平方向に半分の間引きが行われていることを示す。また、YCBCR4:2:0のサンプリング構造4:2:0は、青の色差信号CB及び赤の色差信号CRのそれぞれについて、YCBCR4:4:4に対し水平方向及び垂直方向に半分の間引きが行われていることを示す。
【0041】
例えば、フォーマット変換部10により、RGB4:4:4の色空間フォーマット及びサンプリング構造が、YCBCR4:2:0の色空間フォーマット及びサンプリング構造に変換される。詳細には、例えば、8Kの解像度、240Hzのフレーム周波数及びRGB4:4:4のサンプリング構造を有する映像信号(8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号)が、8Kの解像度、240Hzのフレーム周波数及びYCBCR4:2:0のサンプリング構造を有する映像信号(8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号)に変換される。
【0042】
図3は、フォーマット変換部10の構成例を示すブロック図である。このフォーマット変換部10は、色空間変換部30及び色差信号間引き部31を備えている。色空間変換部30は、映像信号を入力し、映像信号の色空間を変換し、色空間変換後の映像信号を色差信号間引き部31に出力する。具体的には、色空間変換部30は、RGBの色空間フォーマットをYC
BC
Rの色空間フォーマットに変換する。色空間変換におけるYC
BC
Rの定義式は、例えば非特許文献1に記載された公知の式が使用される。
【0043】
例えば、色空間変換部30により、8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号が、8K/240Hz/YCBCR4:4:4の映像信号に変換される。
【0044】
色差信号間引き部31は、色空間変換部30から色空間変換後の映像信号(YCBCRの色空間フォーマットを有する映像信号)を入力する。そして、色差信号間引き部31は、映像信号を構成する輝度信号Y及び色差信号CB,CRのうち色差信号CB,CRのデータ(サンプル)を間引くための処理を行う。ここで、色差信号間引き部31は、間引き処理により発生する高周波数領域のエイリアシングを抑制するために、間引き処理に先駆けて、色差信号CB,CRに対してローパスフィルタ処理を行うようにしてもよい。色差信号間引き部31は、色差信号間引き後の映像信号をフォーマット変換後の映像信号としてフレームバッファ11に格納する。
【0045】
具体的には、色差信号間引き部31は、YCBCR4:4:4の色空間フォーマット及びサンプリング構造を有する映像信号を入力した場合、当該映像信号から色差信号CB,CRのデータを間引く。そして、色差信号間引き部31は、YCBCR4:2:0の色空間フォーマット及びサンプリング構造を有する映像信号を生成する。また、色差信号間引き部31は、YCBCR4:2:2の色空間フォーマット及びサンプリング構造を有する映像信号を入力した場合、当該映像信号から色差信号CRのデータを間引く。そして、色差信号間引き部31は、YCBCR4:2:0の色空間フォーマット及びサンプリング構造を有する映像信号を生成する。
【0046】
例えば、色差信号間引き部31により、8K/240Hz/YCBCR4:4:4の映像信号が、8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号に変換される。また、8K/240Hz/YCBCR4:2:2の映像信号が、8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号に変換される。
【0047】
尚、フォーマット変換部10は、入力する映像信号のフォーマット(解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造)に応じて、変換処理を行わない場合もある。フォーマット変換部10の色空間変換部30は、色空間変換処理を行わない場合があり、また、色差信号間引き部31も、色差信号間引き処理を行わない場合もある。
【0048】
図6は、フォーマット変換部10の入出力映像信号及びケーブル本数を説明する図である。
図6の左から、フォーマット変換部10が入力する映像信号のフォーマット、フォーマット変換部10が出力する映像信号のフォーマット、及び光ファイバーケーブルのケーブル本数(括弧内は10Gリンク信号数)を示す。フォーマット変換部10が入力する映像信号のフォーマット及びフォーマット変換部10が出力する映像信号のフォーマットは、フォーマット変換部10がフォーマット変換する際に用いる、予め設定された変換データである。
【0049】
図6の第1行目に示すように、入力映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4、YC
BC
R4:4:4、YC
BC
R4:2:2またはYC
BC
R4:2:0のとき、出力映像信号は8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0となる。このとき、光ファイバーケーブルは1本必要となり、10Gリンク信号の数は24chとなる。尚、映像信号が8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の場合、入力映像信号及び出力映像信号のフォーマットは同じである。
【0050】
また、第2行目に示すように、入力映像信号が8K/480Hz/RGB4:4:4、YCBCR4:4:4、YCBCR4:2:2またはYCBCR4:2:0のとき、出力映像信号は8K/480Hz/YCBCR4:2:0となる。このとき、光ファイバーケーブルは2本必要となり、1本あたりの10Gリンク信号の数は24chとなり、合計で48chとなる。尚、映像信号が8K/480Hz/YCBCR4:2:0の場合、入力映像信号及び出力映像信号のフォーマットは同じである。
【0051】
また、第3行目から最終行の手前の行までは、入力映像信号のフォーマットと出力映像信号のフォーマットとが同じ例である。
【0052】
また、最終行に示すように、入力映像信号が4K/960Hz/RGB4:4:4、YCBCR4:4:4、YCBCR4:2:2またはYCBCR4:2:0のとき、出力映像信号は4K/960Hz/YCBCR4:2:0となる。このとき、光ファイバーケーブルは1本必要となり、10Gリンク信号の数は24chとなる。
【0053】
尚、
図6には記載されていないが、入力映像信号が8K/960Hz/RGB4:4:4、YC
BC
R4:4:4、YC
BC
R4:2:2またはYC
BC
R4:2:0の場合、出力映像信号は8K/960Hz/YC
BC
R4:2:0となる。このとき、光ファイバーケーブルは4本必要となり、1本あたりの10Gリンク信号の数は24chとなり、合計で48chとなる。
図6に記載されている周波数に対し、いずれも1/1.001を掛けた周波数の映像信号についても、同様のフォーマット変換が行われるものとする。例えば第1行目を参照して、入力映像信号が8K/240/1.001Hz/RGB4:4:4、YC
BC
R4:4:4、YC
BC
R4:2:2またはYC
BC
R4:2:0の場合、出力映像信号は8K/240/1.001Hz/YC
BC
R4:2:0となる。このとき、光ファイバーケーブルは1本必要となり、10Gリンク信号の数は24chとなる。
【0054】
図6において、矢印の箇所は、フォーマット変換部10にて変換処理が行われる映像信号及び変換処理が行われない映像信号が含まれることを示している。矢印以外の箇所は、フォーマット変換部10にて変換処理が行われないことを示している。
【0055】
例えば、第1行目において、8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号は、フォーマット変換部10の色空間変換部30により色空間変換処理が行われ、色差信号間引き部31により色差信号間引き処理が行われる。そして、8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が出力される。
【0056】
8K/240Hz/YCBCR4:4:4またはYCBCR4:2:2の映像信号は、色空間変換部30により色空間変換処理は行われず、色差信号間引き部31により色差信号間引き処理が行われる。そして、8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が出力される。また、8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号は、色空間変換部30により色空間変換処理は行われず、色差信号間引き部31により色差信号間引き処理も行われない。この場合、入力した8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号がそのまま出力される。
【0057】
図2に戻って、フレームバッファ11には、フォーマット変換部10により、フォーマット変換後の映像信号が格納される。例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4の場合、フォーマット変換後の映像信号として8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号が格納される。
【0058】
ベーシックイメージ生成部12は、映像信号のフォーマットに応じて所定数の系統の処理部を備えている。例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4であり、フォーマット変換後の映像信号が8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の場合を想定する。この場合、ベーシックイメージ生成部12は、2系統の処理部を備えており、それぞれの処理部がベーシックイメージを生成する。
図2の構成例は、フレームバッファ11から10Gリンクマッピング部14までの間で、前述の映像信号に対し、2系統の処理部により処理が行われることを示している。
【0059】
ベーシックイメージ生成部12は、フレームバッファ11から、フレーム周波数を低くした映像信号をソースイメージ(ソースI)として系統毎に読み出す。そして、ベーシックイメージ生成部12は、系統毎に、ソースイメージを構成する色信号コンポーネント毎に、1フレームのソースイメージを分割して所定数のサブイメージ(SI)を生成する。具体的には、ベーシックイメージ生成部12は、色信号コンポーネントのソースイメージを構成する画素を2次元的に均等間隔で取り出し、取り出した画素が所定の配置になるように、2次元的に配列した所定数のサブイメージを生成する。
【0060】
ベーシックイメージ生成部12は、色信号コンポーネント毎の所定数のサブイメージについて、サブイメージ毎に、当該サブイメージを分割して所定数のベーシックイメージ(BI)を生成する。具体的には、ベーシックイメージ生成部12は、サブイメージを構成する画素を所定位置から取り出し、取り出した画素が所定の配置になるように、2次元的に配列した所定数のベーシックイメージを生成する。
【0061】
ベーシックイメージ生成部12は、系統毎に、所定数のベーシックイメージをベーシックストリーム生成部13に出力する。ソースイメージからサブイメージを生成し、サブイメージからベーシックイメージを生成する処理の詳細については、特許文献1及び非特許文献2を参照されたい。
【0062】
図4は、8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号の遷移について説明する図であり、
図5は、8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
図4を参照して、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4の場合、前述のとおり、フォーマット変換部10により8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号にフォーマット変換される。そして、フレームバッファ11には、8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号が格納される。フレームバッファ11に格納された映像信号のフレーム周波数は240Hzである。
【0063】
尚、
図4及び
図5は、
図6に示したとおり、元の映像信号が8K/240Hz/YC
BC
R4:4:4、YC
BC
R4:2:2またはYC
BC
R4:2:0の場合も同様である。
【0064】
ベーシックイメージ生成部12は、240Hzのフレーム周波数の映像信号が格納されたフレームバッファ11から、偶数フレーム(偶数番目のフレーム)の映像信号をソースイメージとして読み出す。偶数フレームの映像信号は、240Hzのフレーム周波数を低くした1/2倍のフレーム周波数である120Hzの映像信号である。また、ベーシックイメージ生成部12は、フレームバッファ11から、奇数フレーム(奇数番目のフレーム)の映像信号、すなわち240Hzのフレーム周波数を低くした120Hzの映像信号をソースイメージとして読み出す。
【0065】
つまり、
図4及び
図5を参照して、フレームバッファ11から、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームのソースイメージが読み出される<1-1>。また、フレームバッファ11から、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームのソースイメージが読み出される<1-2>。
【0066】
8K/120Hz/YCBCR4:2:0の偶数フレームのソースイメージは、第1系統にて処理され、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の奇数フレームのソースイメージは、第2系統にて処理される。
【0067】
ベーシックイメージ生成部12は、系統毎に、ソースイメージを構成する色信号コンポーネントC1について、ソースイメージを4つに分割し、4つのサブイメージSI1.1~SI4.1を生成する。また、ベーシックイメージ生成部12は、系統毎に、色信号コンポーネントC2,C3について、ソースイメージをそのままサブイメージSI1.2,SI1.3として生成する。そして、ベーシックイメージ生成部12は、系統毎に、サブイメージをそれぞれ4つに分割してベーシックイメージBI1.1.1~BI4.4.1,BI1.1.2~BI4.1.2,BI1.1.3~BI4.1.3をそれぞれ生成する。
【0068】
つまり、
図4及び
図5を参照して、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームについて、ソースイメージからサブイメージが生成され<2-1>、サブイメージからベーシックイメージが生成される<3-1>。また、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームについて、ソースイメージからサブイメージが生成され<2-2>、サブイメージからベーシックイメージが生成される<3-2>。
【0069】
尚、
図5において、ソースイメージからサブイメージが生成され、サブイメージからベーシックイメージが生成され、ベーシックイメージからベーシックストリームが生成され、ベーシックストリームから10Gリンク信号が生成される際に、偶数フレーム及び奇数フレームでは、空間的に同位相の信号が用いられ、同じマッピング手順となる。また、このマッピング手順は、映像信号のフォーマットに応じて予め設定され、ソースイメージの数、ベーシックイメージの数、10Gリンク信号の数等も、映像信号のフォーマットに応じて予め設定される。これは、映像信号受信装置2においても同様である。
【0070】
図2に戻って、ベーシックストリーム生成部13は、映像信号のフォーマットに応じて所定数の系統の処理部を備えている。例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4であり、フォーマット変換後の映像信号が8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の場合を想定する。この場合、ベーシックストリーム生成部13は、2系統の処理部を備えており、それぞれの処理部がベーシックストリームを生成する。
【0071】
ベーシックストリーム生成部13は、系統毎に、ベーシックイメージ生成部12からベーシックイメージを入力する。そして、ベーシックストリーム生成部13は、ペイロードIDを生成し、ベーシックイメージから画素のラインデータを順次取り出し、取り出した画素のラインデータに、ペイロードID等の補助データを付加する。ベーシックストリーム生成部13は、ペイロードIDを含むベーシックストリームを生成し、系統毎にベーシックストリームを10Gリンクマッピング部14に出力する。ベーシックイメージからベーシックストリームを生成する処理の詳細については、特許文献1及び非特許文献2を参照されたい。
【0072】
前述のとおり、ペイロードIDは、フォーマット変換後のソースイメージの解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造等からなるデータであり、映像信号のフォーマットに応じて予め設定されている。具体的には、ベーシックストリーム生成部13は、ペイロードIDをラインデータに付加する際に、フォーマット変換後のソースイメージの解像度等からなるペイロードIDを生成し、ペイロードIDを含むペイロードIDパケットを生成する。そして、ベーシックストリーム生成部13は、ペイロードIDパケットを、ラインデータに含まれる補助データの領域に格納する。ここで、ペイロードIDパケットは、UDW(ユニークデータワード)の領域を有し、ペイロードIDは、ペイロードIDパケットのUDWの領域に格納される。詳細については、非特許文献2を参照されたい。
【0073】
図7は、ペイロードIDパケットのUDWのビット割当てを示す図である。ペイロードIDは、フォーマット変換後のソースイメージの解像度(4K/8K)、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造、ベーシックストリーム番号、10Gリンク信号番号、映像サンプルのビット数等から構成され、
図7に示すビット位置に割り当てられる。
【0074】
図8は、ペイロードIDパケットに含まれるフレーム周波数のビット割当てを示す図であり、
図7に示したフレーム周波数のビット割当てを示している。フォーマット変換後のソースイメージのフレーム周波数は、ワード2のb4が「0」の場合、60Hz、120Hz等のフレーム周波数が割り当てられ、ワード2のb4が「1」の場合、240Hz、480Hz、960Hz等のフレーム周波数が割り当てられる。
【0075】
例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4であり、フォーマット変換後の映像信号が8K/240Hz/YCBCR4:2:0の場合を想定する。この場合、ベーシックストリーム生成部13は、ワード1のb0,b1における解像度の領域に「2h」を設定する。また、ベーシックストリーム生成部13は、ワード2のb0~b4のフレーム周波数の領域につき、b4に「1」を、b0~b3に「7h」を設定する。さらに、ベーシックストリーム生成部13は、ワード3のb0~b3の色空間フォーマット及びサンプリング構造の領域に「3h」を設定し、ワード4のb3~b7の10Gリンク信号番号の領域に、所定のデータを設定する。ベーシックストリーム生成部13は、ベーシックストリーム番号及び映像サンプルのビット数についても同様に、所定のデータを設定する。
【0076】
図4及び
図5を参照して、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームについて、ベーシックイメージから、当該ベーシックイメージに対応するベーシックストリームが生成される<4-1>。また、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームについて、ベーシックイメージから、当該ベーシックイメージに対応するベーシックストリームが生成される<4-2>。
【0077】
図2に戻って、10Gリンクマッピング部14は、映像信号のフォーマットに応じて所定数の系統の処理部を備えている。例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4であり、フォーマット変換後の映像信号が8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の場合を想定する。この場合、10Gリンクマッピング部14は、2系統の処理部を備えており、それぞれの処理部が10Gリンク信号を生成する。
【0078】
10Gリンクマッピング部14は、系統毎に、ベーシックストリーム生成部13からベーシックストリームを入力し、所定の2つのベーシックストリームに対して多重化処理を行い、1ワードあたり12ビットで構成される多重データ系列を生成する。
【0079】
10Gリンクマッピング部14は、多重データ系列をバイト化し、1ワードあたり8ビットで構成される多重データ系列を生成する。10Gリンクマッピング部14は、1ワードあたり8ビットで構成される多重データ系列を生成する際に、コンテンツIDを生成し、当該コンテンツIDを、その多重データ系列に付加する。
【0080】
前述のとおり、コンテンツIDは、当該多重データ系列に基づいて生成される10Gリンク信号が送信される光ファイバーケーブルのケーブル番号、10Gリンク信号の番号、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造等からなるデータである。このコンテンツIDは、映像信号のフォーマットに応じて予め設定されている。10Gリンクマッピング部14は、予め設定されたケーブル番号等からなるコンテンツIDを生成する。
【0081】
10Gリンクマッピング部14は、コンテンツIDを含む、1ワードあたり8ビットで構成される多重データ系列に対し、8B/10B符号化を行い、1ワードあたり10ビットで構成される8B/10B符号化データを生成する。
【0082】
10Gリンクマッピング部14は、8B/10B符号化データを直列化し、10Gリンク信号を生成する。そして、10Gリンクマッピング部14は、10Gリンク信号を、光ファイバーケーブルを構成する複数の芯のいずれかに対応させるマッピングを行い、光ファイバーケーブルの伝送路3を介して映像信号受信装置2へ送信する。10Gリンク信号のマッピング手順は、映像信号のフォーマットに応じて予め設定されている。
【0083】
例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4であり、フォーマット変換後の映像信号が8K/240Hz/YCBCR4:2:0の場合を想定する。この場合、10Gリンクマッピング部14は、前述の処理にて、24本の10Gリンク信号を生成する。そして、10Gリンクマッピング部14は、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の偶数フレームについて、12本の10Gリンク信号1~12を、24芯により構成される光ファイバーケーブルにおける所定の12芯にマッピングする。また、10Gリンクマッピング部14は、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の奇数フレームについて、12本の10Gリンク信号13~24を、1本の光ファイバーケーブルにおける他の12芯にマッピングする。そして、10Gリンクマッピング部14は、10Gリンク信号1~24を、1本の光ファイバーケーブルの伝送路3を介して映像信号受信装置2へ送信する。
【0084】
図4及び
図5を参照して、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームについて、所定の2つのベーシックストリームが多重され、1本の10Gリンク信号が生成され、合計12chの10Gリンク信号1~12が生成される<5-1>。また、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームについて、所定の2つのベーシックストリームが多重され、1本の10Gリンク信号が生成され、合計12chの10Gリンク信号13~24が生成される<5-2>。
【0085】
図9は、光ファイバーケーブルのコネクタへの10Gリンク信号の割当てを示す図であり、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4であり、フォーマット変換後の映像信号が8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の場合を示している。この場合、
図5に示したとおり、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームについて、12chの10Gリンク信号1~12が生成される。また、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームについて、12chの10Gリンク信号13~24が生成される。
図9において、24個の丸印は、光ファイバーケーブルの24芯に対応するコネクタの物理的な位置(光ファイバーケーブルを構成する各芯に対応するピンの位置)を示す。
【0086】
10Gリンク信号1は、光ファイバーケーブルのコネクタにおける上列の右から1番目の位置にマッピングされ、10Gリンク信号2は、上列の右から2番目の位置にマッピングされる。10Gリンク信号3~24は、
図9に示すようにマッピングされる。
【0087】
図10は、コンテンツIDのビット割当てを示す図である。コンテンツIDは、コンテンツID1及びコンテンツID2から構成され、コンテンツID1は、ケーブル番号及びシステムIDから構成され、コンテンツID2は、ケーブル番号及び10Gリンク信号番号から構成される。ケーブル番号は、コンテンツID1及びコンテンツID2に重複しているが、いずれか一方が用いられる。
【0088】
図11は、コンテンツIDに含まれるケーブル番号のビット割当てを示す図である。全ての10Gリンク信号が1本の光ファイバーケーブルにて伝送される場合、ケーブル番号として、コンテンツID1のb6,b7またはコンテンツID2のb5~b7に、それぞれ「00」または「000」が設定される。また、全ての10Gリンク信号が複数本の光ファイバーケーブルにて伝送される場合であって、第1番目のケーブルが用いられる場合、ケーブル番号として、コンテンツID1のb6,b7またはコンテンツID2のb5~b7に、それぞれ「00」または「001」が設定される。同様に、第2番目のケーブルが用いられる場合、ケーブル番号として、コンテンツID1,ID2の対応するビット位置に、それぞれ「01」または「010」が設定される。第3番目のケーブルが用いられる場合、それぞれ「10」または「011」が設定され、第4番目のケーブルが用いられる場合、それぞれ「11」または「100」が設定される。
【0089】
この場合、コンテンツID2のb5~b7には、第1~4番目のケーブル番号「001」「010」「011」「100」の代わりに、「000」「001」「010」「011」が設定されるようにしてもよい。
【0090】
図12は、コンテンツIDに含まれるシステムIDのビット割当てを示す図である。システムIDは、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造に応じたデータが、コンテンツID1のb0~b5に設定される。
【0091】
例えば、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造を示すシステム番号がU1.1である場合、コンテンツID1のb0~b5(システムID)には「000000」が設定される。U1.1は、4K/120Hzまたは120/1.001Hz/RGB4:4:4の映像信号であることを示す。その他のシステム番号(U1.3,U2.1等)については、非特許文献2を参照されたい。
【0092】
また、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造を示すシステム番号が*1(4K/240Hzまたは240/1.001Hz/RGB4:4:4)である場合、システムIDに「011111」が設定される。同様に、*2~*6の場合、
図12に示すように、システムIDに所定のデータが設定される。*2は、4K/480Hzまたは480/1.001Hz/RGB4:4:4の映像信号であることを示し、*3は、4K/960Hzまたは960/1.001Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号であることを示す。*4~*6は、
図12に示すとおりである。尚、システムIDに対応するシステム番号が空白の箇所は、未定義であることを示す。
【0093】
図17は、コンテンツIDに含まれるシステムIDについて、120Hzを超えるフレーム周波数の映像信号に関するビット割当ての他の例を示す図である。この例は、コンテンツIDのケーブル番号としてコンテンツID2のb5~b7を使用し、コンテンツID1のb6,b7を使用しない場合に適用がある。
【0094】
120Hzを超えるフレーム周波数(240Hz,240/1.001Hz,480Hz,480/1.001Hz,960Hz,960/1.001Hz)の映像信号の場合、コンテンツID1のb6に「1」が設定される。
【0095】
また、システム番号が*1(4K/240Hzまたは240/1.001Hz/RGB4:4:4)である場合、システムIDに「000100」が設定される。同様に、*2~*6の場合、
図17に示すように、システムIDに所定のデータが設定される。尚、システムIDに対応するシステム番号が空白の箇所は、未定義であることを示す。
【0096】
図10~
図12を参照して、例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4であり、フォーマット変換後の映像信号が8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の場合を想定する。この場合、全ての10Gリンク信号は、1本の光ファイバーケーブルにて送信される。このため、10Gリンク信号1~24のそれぞれについて、コンテンツIDのケーブル番号として、コンテンツID1のb6,b7に「00」が設定され、または、コンテンツID2のb5~b7に「000」が設定される。
【0097】
また、10Gリンク信号1~24のそれぞれについて、フォーマット変換後の映像信号は8K/240Hz/YCBCR4:2:0であるから、コンテンツIDのシステムIDとして、コンテンツID1のb0~b5には「111111」(*4)が設定される。さらに、10Gリンク信号1~24について、コンテンツIDの10Gリンク信号番号として、コンテンツID2のb0~b4に、それぞれ「00h」~「17h」が設定される。
【0098】
以上のように、本発明の実施形態の映像信号送信装置1によれば、フォーマット変換部10は、超高解像度、120Hzを超える所定のフレーム周波数、所定の色空間フォーマット及びサンプリング構造を有する映像信号を入力する。そして、フォーマット変換部10は、映像信号を構成するデータが少なくなるように、解像度及びフレーム周波数を維持したまま、映像信号のフォーマットを変換し、フォーマット変換後の映像信号をフレームバッファ11に格納する。
【0099】
ベーシックイメージ生成部12は、フレームバッファ11から、所定数の系統毎に、当該フレームバッファ11に格納された映像信号よりもフレーム周波数の低い映像信号(例えばフレーム周波数を1/2倍した映像信号)をソースイメージとして読み出す。そして、ベーシックイメージ生成部12は、ソースイメージから所定数のサブイメージを生成し、サブイメージ毎に、当該サブイメージから所定数のベーシックイメージを生成する。
【0100】
ベーシックストリーム生成部13は、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造等からなるペイロードIDを生成する。ベーシックストリーム生成部13は、ベーシックイメージから、ペイロードIDを含むベーシックストリームを生成する。
【0101】
10Gリンクマッピング部14は、10Gリンク信号が送信される光ファイバーケーブルのケーブル番号、10Gリンク信号の番号、フォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造等からなるコンテンツIDを生成する。10Gリンクマッピング部14は、所定の2つのベーシックストリームから、コンテンツIDを含む10Gリンク信号を生成する。そして、10Gリンクマッピング部14は、10Gリンク信号を、光ファイバーケーブルを構成する複数の芯のいずれかに対応させたマッピングを行い、光ファイバーケーブルの伝送路3を介して映像信号受信装置2へ送信する。
【0102】
例えば、従来の手法では、8K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号は、24芯の10Gマルチリンク光ファイバー技術により、1本の光ファイバーケーブルを用いて伝送することができる。ここで、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像の例として8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号を伝送する場合、従来の手法を用いて、映像信号を時間的に分割したとすると、2本の光ファイバーケーブルが必要となってしまう。
【0103】
本発明の実施形態では、例えば8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号について、8K/240Hzを維持したままデータが少なくなるようにフォーマット変換した映像信号であって、かつフレーム周波数の低い8K/120Hz/YC
bC
R4:2:0のソースイメージを用いて、10Gリンク信号が生成される。このため、
図5に示したとおり、24本の10Gリンク信号が生成されるから、1本の光ファイバーケーブルで済むようになる。
【0104】
したがって、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を、より少ない数の光ファイバーケーブルを用いて伝送することが可能となる。つまり、光ファイバーケーブルの挿抜が煩雑となることはなく、その確認作業の負荷も高くなることはないから、結果として、誤配線がなくなり、作業効率が低下することはなく、コストも高くなることはない。
【0105】
〔映像信号受信装置2〕
次に、
図1に示した映像信号受信装置2について説明する。
図13は、映像信号受信装置2の構成例を示すブロック図である。この映像信号受信装置2は、10Gリンク受信部20、ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22、ソースイメージ復元部23、フレームバッファ24及び読み出し部25を備えている。
【0106】
10Gリンク受信部20は、映像信号送信装置1から光ファイバーケーブルの伝送路3を介して、所定数の10Gリンク信号を受信し、10Gリンク信号からコンテンツIDを抽出する。
【0107】
具体的には、10Gリンク受信部20は、光ファイバーケーブルを構成する24芯のうちの所定の10Gリンク信号(例えば10Gリンク信号1)について、10Gリンク信号に含まれる直列のデータを並列化し、元の8B/10B符号化データを生成する。そして、10Gリンク受信部20は、8B/10B符号化データに対し、8B/10B復号を行い、1ワードあたり8ビットで構成される多重データ系列を生成し、当該多重データ系列からコンテンツIDを抽出する。
【0108】
10Gリンク受信部20は、受信した全ての10Gリンク信号をベーシックストリーム復元部21に出力すると共に、コンテンツIDを読み出し部25に出力する。
【0109】
また、10Gリンク受信部20は、コンテンツIDをベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23に出力する。ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、コンテンツIDに基づいて、映像信号のフォーマットに応じて所定数の系統の処理部を構成する。
【0110】
例えば、コンテンツIDに含まれるフォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造が8K/240Hz/YCBCR4:2:0の場合を想定する。この場合、ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、それぞれ2系統の処理部を構成する。
【0111】
ベーシックストリーム復元部21は、10Gリンク受信部20から10Gリンク信号を入力し、
図2に示した10Gリンクマッピング部14の逆の処理を行い、系統毎にベーシックストリームを生成する。そして、ベーシックストリーム復元部21は、系統毎にベーシックストリームをベーシックイメージ復元部22に出力する。
【0112】
具体的には、ベーシックストリーム復元部21は、
図2に示した10Gリンクマッピング部14によるマッピングの逆の処理を行う。ベーシックストリーム復元部21は、入力した10Gリンク信号の番号を特定し、10Gリンク信号に含まれる直列のデータを並列化して元の8B/10B符号化データを生成する。ベーシックストリーム復元部21は、8B/10B符号化データに対して8B/10B復号を行い、1ワードあたり8ビットで構成される多重データ系列を生成する。
【0113】
ベーシックストリーム復元部21は、1ワードあたり8ビットで構成される多重データ系列に対して12ビット化処理を行い、1ワードあたり12ビットで構成される多重データ系列を生成する。そして、ベーシックストリーム復元部21は、ワードあたり12ビットで構成される多重データ系列を2つのベーシックストリームに分離する。そして、ベーシックストリーム復元部21は、系統毎にベーシックストリームをベーシックイメージ復元部22に出力する。
【0114】
図4及び
図5を参照して、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームについて、1本の10Gリンク信号から所定の2つのベーシックストリームが生成され、合計12chの10Gリンク信号1~12から24個のベーシックストリームが生成される<4-1>。また、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームについて、1本の10Gリンク信号から所定の2つのベーシックストリームが生成され、合計12chの10Gリンク信号13~24から24個のベーシックストリームが生成される<4-2>。
【0115】
8K/120Hz/YCBCR4:2:0の偶数フレームのベーシックストリームは、第1系統にて処理され、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の奇数フレームのベーシックストリームは、第2系統にて処理される。
【0116】
図13に戻って、ベーシックイメージ復元部22は、系統毎に、ベーシックストリーム復元部21からベーシックストリームを入力し、
図2に示したベーシックストリーム生成部13の逆の処理を行い、系統毎にベーシックイメージを生成する。そして、ベーシックイメージ復元部22は、系統毎にベーシックイメージをソースイメージ復元部23に出力する。
【0117】
具体的には、ベーシックイメージ復元部22は、ベーシックストリームから画素のラインデータを抽出し、抽出した画素のラインデータを所定の順序で配列してベーシックイメージを復元する。また、ベーシックイメージ復元部22は、ベーシックストリームからペイロードID等の補助データを抽出し、補助データからペイロードIDを抽出する。
【0118】
図4及び
図5を参照して、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームについて、ベーシックストリームから、当該ベーシックストリームに対応するベーシックイメージが生成される<3-1>。また、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームについて、ベーシックストリームから、当該ベーシックストリームに対応するベーシックイメージが生成される<3-2>。
【0119】
図13に戻って、ソースイメージ復元部23は、系統毎に、ベーシックイメージ復元部22からベーシックイメージを入力し、
図2に示したベーシックイメージ生成部12の逆の処理を行い、系統毎にソースイメージを生成する。そして、ソースイメージ復元部23は、系統毎にソースイメージをフレームバッファ24に格納する。
【0120】
これにより、フレームバッファ24には、
図2に示したベーシックイメージ生成部12によりフレームバッファ11から読み出された所定数の系統のソースイメージと同じソースイメージが格納される。
【0121】
具体的には、ソースイメージ復元部23は、所定数のベーシックイメージを、所定の順序で多重化し、1つのサブイメージを生成し、所定数のサブイメージを、所定の順序で多重化し、ソースイメージを復元する。
【0122】
図4及び
図5を参照して、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームについて、所定数のベーシックイメージから1つのサブイメージが生成され<2-1>、所定数のサブイメージから1つのソースイメージが生成される<1-1>。また、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームについて、所定数のベーシックイメージから1つのサブイメージが生成され<2-2>、所定数のサブイメージから1つのソースイメージが生成される<1-2>。これにより、フレームバッファ24には、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームの映像信号、及び8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームの映像信号が格納される。
【0123】
図13に戻って、読み出し部25は、10Gリンク受信部20からコンテンツIDを入力する。そして、読み出し部25は、コンテンツIDに含まれるフォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造から特定される映像信号のフォーマットに従い、フレームバッファ24から映像信号を読み出す速度(周波数)を特定する。具体的には、読み出し部25は、コンテンツIDに含まれるフォーマット変換後の映像信号のフレーム周波数に対応する速度を特定する。
【0124】
読み出し部25は、特定した速度にて、フレームバッファ24からソースイメージの映像信号をフレーム番号の順に読み出す。そして、読み出し部25は、コンテンツIDに含まれるフォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造の示す映像信号を復元し、復元した映像信号を出力する。これにより、
図2に示したフォーマット変換部10によりフォーマット変換された映像信号と同じ映像信号が復元される。
【0125】
図4及び
図5を参照して、フレームバッファ24に、8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の偶数フレームのソースイメージ、及び8K/120Hz/YC
BC
R4:2:0の奇数フレームのソースイメージが格納されるものとする。この場合のコンテンツIDに含まれるフォーマット変換後の映像信号の解像度、フレーム周波数、色空間フォーマット及びサンプリング構造は、8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0を示している。
【0126】
読み出し部25は、コンテンツIDから、映像信号のフォーマットが8K/240Hz/YCBCR4:2:0であると特定する。そして、読み出し部25は、フレームバッファ24から、240Hzのフレーム周波数に対応する速度にて、ソースイメージの映像信号を偶数フレーム及び奇数フレームの順に交互に読み出す。そして、読み出し部25は、8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号を復元する。
【0127】
以上のように、本発明の実施形態の映像信号受信装置2によれば、10Gリンク受信部20は、映像信号送信装置1から光ファイバーケーブルの伝送路3を介して、所定数の10Gリンク信号を受信する。そして、10Gリンク受信部20は、10Gリンク信号からコンテンツIDを抽出する。
【0128】
ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、コンテンツIDに基づいて、映像信号のフォーマットに応じた所定数の系統の処理部を構成する。
【0129】
ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、それぞれ
図2に示した10Gリンクマッピング部14、ベーシックストリーム生成部13及びベーシックイメージ生成部12の逆の処理を行う。これにより、フレームバッファ24には、
図2に示したベーシックイメージ生成部12によりフレームバッファ11から読み出された所定数の系統のソースイメージと同じソースイメージが格納される。
【0130】
読み出し部25は、フレームバッファ24から、コンテンツIDに含まれるフォーマット変換後の映像信号のフレーム周波数に対応する速度にて、映像信号を読み出す。
【0131】
これにより、
図2に示したフォーマット変換部10によりフォーマット変換された映像信号と同じ映像信号である120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像が復元される。
【0132】
したがって、映像信号送信装置1は、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を、より少ない数の光ファイバーケーブルを用いて送信し、映像信号受信装置2は、当該超高精細映像を受信して復元することが可能となる。つまり、光ファイバーケーブルの挿抜が煩雑となることはなく、その確認作業の負荷も高くなることはないから、結果として、誤配線がなくなり、作業効率が低下することがなく、コストも高くなることはない。
【0133】
図6を参照して、例えば、元の映像信号が8K/240Hz/RGB4:4:4、YC
BC
R4:4:4またはYC
BC
R4:2:2である場合、この元の映像信号は、映像信号送信装置1において、8K/240Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号にフォーマット変換される。そして、24本の10Gリンク信号が、映像信号送信装置1から1本の光ファイバーケーブルを介して映像信号受信装置2へ送信される。
【0134】
そして、映像信号受信装置2により、24本の10Gリンク信号から8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が復元され、120Hzを超える240Hzのフレーム周波数の8K映像を再生することができる。
【0135】
図6において、元の映像信号が映像信号(入力)の箇所に示す映像信号である場合、ケーブル本数の箇所に示す数の10Gリンク信号が、映像信号送信装置1から所定数の光ファイバーケーブルを介して映像信号受信装置2へ送信される。そして、映像信号受信装置2により、映像信号(出力)の箇所に示す映像信号が復元され、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像が再生される。
【0136】
〔元の映像信号が8K/480Hz/RGB4:4:4である場合〕
次に、元の映像信号が8K/480Hz/RGB4:4:4である場合について説明する。
図14は、元の映像信号が8K/480Hz/RGB4:4:4であり、8K/480Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
【0137】
尚、
図14は、
図6に示したとおり、元の映像信号が8K/480Hz/YC
BC
R4:4:4、YC
BC
R4:2:2の場合も同様である。元の映像信号が8K/480Hz/YC
BC
R4:2:0の場合、フォーマット変換部10によるフォーマット変換は行われない。
【0138】
(映像信号送信装置1)
映像信号送信装置1のフォーマット変換部10は、8K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号を入力し、この映像信号を8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号にフォーマット変換してフレームバッファ11に格納する。フレームバッファ11には、8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が格納される。
【0139】
ベーシックイメージ生成部12は、フレームバッファ11から、4系統のそれぞれについて、480Hzのフレーム周波数を1/4倍に低くした映像信号、すなわち8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号をソースイメージとして読み出す。そして、ベーシックイメージ生成部12は、ソースイメージから所定数のサブイメージを生成し、サブイメージからベーシックイメージを生成する。
【0140】
ベーシックストリーム生成部13は、フォーマット変換後の映像信号の解像度等を含むペイロードID(8K/480Hz/YCBCR4:2:0等のデータからなるペイロードID)を生成し、ベーシックイメージから、ペイロードIDを含むベーシックストリームを生成する。
【0141】
10Gリンクマッピング部14は、フォーマット変換後の映像信号の解像度等を含むコンテンツID(8K/480Hz/YCBCR4:2:0等のデータからなるコンテンツID)を生成する。そして、10Gリンクマッピング部14は、所定の2つのベーシックストリームから、コンテンツIDを含む10Gリンク信号を生成し、合計48本の10Gリンク信号を生成する。
【0142】
10Gリンクマッピング部14は、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の(4×N-3)フレーム((4×N-3)番目のフレーム)について、12本の10Gリンク信号1~12を、ケーブル番号1の光ファイバーケーブルにおける所定の12芯にマッピングする。Nは、1以上の整数とする。また、10Gリンクマッピング部14は、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の(4×N-1)フレームについて、12本の10Gリンク信号13~24を、ケーブル番号1の光ファイバーケーブルにおける他の12芯にマッピングする。
【0143】
同様に、10Gリンクマッピング部14は、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の(4×N-2)フレームについて、12本の10Gリンク信号1~12を、ケーブル番号2の光ファイバーケーブルにおける所定の12芯にマッピングする。また、10Gリンクマッピング部14は、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の(4×N)フレームについて、12本の10Gリンク信号13~24を、ケーブル番号2の光ファイバーケーブルにおける他の12芯にマッピングする。
【0144】
10Gリンクマッピング部14は、48本の10Gリンク信号を、2本の光ファイバーケーブルの伝送路3を介して映像信号受信装置2へ送信する。
【0145】
(映像信号受信装置2)
映像信号受信装置2の10Gリンク受信部20は、映像信号送信装置1から2本の光ファイバーケーブルの伝送路3を介して、48本の10Gリンク信号を受信し、10Gリンク信号からコンテンツIDを抽出する。ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、コンテンツIDに基づいて、4系統の処理部を構成する。
【0146】
ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、10Gリンクマッピング部14、ベーシックストリーム生成部13及びベーシックイメージ生成部12の逆の処理を行う。これにより、フレームバッファ24には、4系統の8K/120Hz/YCBCR4:2:0のソースイメージが格納される。
【0147】
読み出し部25は、コンテンツIDに基づいて、フレームバッファ24から480Hzのフレーム周波数の速度にて、フレーム番号の順に映像信号を読み出す。
【0148】
これにより、映像信号送信装置1のフォーマット変換部10によりフォーマット変換された映像信号と同じ8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が復元される。
【0149】
以上のように、元の映像信号が8K/480Hz/RGB4:4:4である場合、映像信号送信装置1において、8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号にフォーマット変換される。そして、8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号から4系統の8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が生成される。4系統のそれぞれにおいて、12本の10Gリンク信号が生成され、合計48本の10Gリンク信号が、2本の光ファイバーケーブルを介して映像信号受信装置2へ送信される。
【0150】
そして、映像信号受信装置2により、48本の10Gリンク信号から4系統の8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が復元される。4系統の8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号から8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が復元される。これにより、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を再生することができる。
【0151】
また、ケーブル番号1の光ファイバーケーブルにより、8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号における(4×N-3)フレーム及び(4×N-1)フレームである奇数フレームの映像信号が送信される。さらに、ケーブル番号2の光ファイバーケーブルにより、(4×N-2)フレーム及び(4×N)フレームである偶数フレームの映像信号が送信される。つまり、1本の光ファイバーケーブルにより、所定間隔(2フレームを単位として1つ飛ばしの間隔)のフレームの映像信号、すなわち、フォーマット変換後の映像信号よりも低いフレーム周波数であって、映像信号受信装置2にて復元可能なフレーム周波数の映像信号が送信される。
【0152】
これにより、映像信号受信装置2において、2本の光ファイバーケーブルにより送信された映像信号を用いて、8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号を再生することができる。また、1本の光ファイバーケーブルにより送信された映像信号を用いて、8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号を再生することができる。つまり、2本の光ファイバーケーブルのうち1本の光ファイバーケーブルが断線したとしても、1/2シャッタ相当の8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号を再生することができる。
【0153】
尚、元の映像信号が8K/960Hz/RGB4:4:4、YCBCR4:4:4またはYCBCR4:2:2である場合、映像信号送信装置1において、8K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号にフォーマット変換される。そして、8K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号から8系統の8K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が生成される。8系統のそれぞれにおいて、12本の10Gリンク信号が生成され、合計96本の10Gリンク信号が、4本の光ファイバーケーブルを介して映像信号受信装置2へ送信される。
【0154】
この場合も、4本の光ファイバーケーブルのうち所定の2本の光ファイバーケーブルが断線したとしても、1/2シャッタ相当の8K/480Hz/YCBCR4:2:0の映像信号を再生することができる。また、4本の光ファイバーケーブルのうち3本の光ファイバーケーブルが断線したとしても、1/4シャッタ相当の8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号を再生することができる。
【0155】
〔4K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号の場合〕
次に、元の映像信号が4K/480Hz/RGB4:4:4である場合について説明する。
図15は、元の映像信号が4K/480Hz/RGB4:4:4であり、4K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
【0156】
尚、
図15は、
図6に示したとおり、元の映像信号が4K/480Hz/YC
BC
R4:4:4またはYC
BC
R4:2:2またはYC
BC
R4:2:0であり、これらの映像信号を伝送する場合も同様である。
【0157】
(映像信号送信装置1)
映像信号送信装置1のフォーマット変換部10は、4K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号を入力し、この映像信号のフォーマット変換を行わないで、入力した映像信号をそのままフレームバッファ11に格納する。フレームバッファ11には、4K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号が格納される。
【0158】
ベーシックイメージ生成部12は、フレームバッファ11から、4系統のそれぞれについて、480Hzのフレーム周波数を1/4倍に低くした映像信号、すなわち4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号をソースイメージとして読み出す。そして、ベーシックイメージ生成部12は、ソースイメージから所定数のサブイメージを生成し、サブイメージからベーシックイメージを生成する。
【0159】
ベーシックストリーム生成部13は、フォーマット変換後の映像信号の解像度等を含むペイロードID(4K/480Hz/RGB4:4:4等のデータからなるペイロードID)を生成する。そして、ベーシックストリーム生成部13は、ベーシックイメージから、ペイロードIDを含むベーシックストリームを生成する。
【0160】
10Gリンクマッピング部14は、フォーマット変換後の映像信号の解像度等を含むコンテンツID(4K/480Hz/RGB4:4:4等のデータからなるコンテンツID)を生成する。そして、10Gリンクマッピング部14は、所定の2つのベーシックストリームから、コンテンツIDを含む10Gリンク信号を生成し、合計24本の10Gリンク信号を生成する。
【0161】
10Gリンクマッピング部14は、4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号の(4×N-3)フレームについて、6本の10Gリンク信号1,2,5,6,9,10を、1本の光ファイバーケーブルにおける所定の6芯にマッピングする。Nは、1以上の整数とする。また、10Gリンクマッピング部14は、4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号の(4×N-2)フレームについて、6本の10Gリンク信号3,4,7,8,11,12を、1本の光ファイバーケーブルにおける他の6芯にマッピングする。
【0162】
同様に、10Gリンクマッピング部14は、4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号の(4×N-1)フレームについて、6本の10Gリンク信号13,14,17,18,21,22を、1本の光ファイバーケーブルにおける他の6芯にマッピングする。また、10Gリンクマッピング部14は、4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号の(4×N)フレームについて、6本の10Gリンク信号15,16,19,20,23,24を、1本の光ファイバーケーブルにおける他の6芯にマッピングする。
【0163】
10Gリンクマッピング部14は、24本の10Gリンク信号を、1本の光ファイバーケーブルの伝送路3を介して映像信号受信装置2へ送信する。
【0164】
尚、元の映像信号が4K/480Hz/YC
BC
R4:2:2またはYC
BC
R4:2:0であり、これらの映像信号を伝送する場合、
図15に示すαの箇所の信号は生成されない。
【0165】
(映像信号受信装置2)
映像信号受信装置2の10Gリンク受信部20は、映像信号送信装置1から1本の光ファイバーケーブルの伝送路3を介して、24本の10Gリンク信号を受信し、10Gリンク信号からコンテンツIDを抽出する。ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、コンテンツIDに基づいて、4系統の処理部を構成する。
【0166】
ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、10Gリンクマッピング部14、ベーシックストリーム生成部13及びベーシックイメージ生成部12の逆の処理を行う。これにより、フレームバッファ24には、4系統の4K/120Hz/RGB4:4:4のソースイメージが格納される。
【0167】
読み出し部25は、コンテンツIDに基づいて、フレームバッファ24から480Hzのフレーム周波数の速度にて、フレーム番号の順に映像信号を読み出す。
【0168】
これにより、映像信号送信装置1のフォーマット変換部10がフレームバッファ11に格納した映像信号と同じ4K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号が復元される。
【0169】
以上のように、元の映像信号が4K/480Hz/RGB4:4:4である場合、映像信号送信装置1において、4K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号から4系統の4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号が生成される。4系統のそれぞれにおいて、6本の10Gリンク信号が生成され、合計24本の10Gリンク信号が、1本の光ファイバーケーブルを介して映像信号受信装置2へ送信される。
【0170】
そして、映像信号受信装置2により、24本の10Gリンク信号から4系統の4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号が復元される。そして、4系統の4K/120Hz/RGB4:4:4の映像信号から4K/480Hz/RGB4:4:4の映像信号が復元される。これにより、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を再生することができる。
【0171】
尚、元の映像信号が4K/240Hz/RGB4:4:4、YCBCR4:4:4、YCBCR4:2:2またはYCBCR4:2:0であり、これらの映像信号を伝送する場合には、10Gリンク信号1~12が使用される。または、10Gリンク信号1,2,5,6,9,10,13,14,17,18,21,22が使用される。
【0172】
〔4K/960Hz/RGB4:4:4の映像信号の場合〕
次に、元の映像信号が4K/960Hz/RGB4:4:4である場合について説明する。
図16は、元の映像信号が4K/960Hz/RGB4:4:4であり、4K/960Hz/YC
BC
R4:2:0の映像信号を伝送する場合について説明する図である。
【0173】
尚、
図16は、
図6に示したとおり、元の映像信号が4K/960Hz/YC
BC
R4:4:4,YC
BC
R4:2:2,YC
BC
R4:2:0の場合も同様である。元の映像信号が4K/960Hz/YC
BC
R4:2:0の場合、フォーマット変換部10によるフォーマット変換は行われない。
【0174】
(映像信号送信装置1)
映像信号送信装置1のフォーマット変換部10は、4K/960Hz/RGB4:4:4の映像信号を入力し、この映像信号を4K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号にフォーマット変換してフレームバッファ11に格納する。フレームバッファ11には、4K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が格納される。
【0175】
ベーシックイメージ生成部12は、フレームバッファ11から、8系統のそれぞれについて、960Hzのフレーム周波数を1/8倍に低くした映像信号、すなわち4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号をソースイメージとして読み出す。そして、ベーシックイメージ生成部12は、ソースイメージから所定数のサブイメージを生成し、サブイメージからベーシックイメージを生成する。
【0176】
ベーシックストリーム生成部13は、フォーマット変換後の映像信号の解像度等を含むペイロードID(4K/960Hz/YCBCR4:2:0等のデータからなるペイロードID)を生成し、ベーシックイメージから、ペイロードIDを含むベーシックストリームを生成する。
【0177】
10Gリンクマッピング部14は、フォーマット変換後の映像信号の解像度等を含むコンテンツID(4K/960Hz/YCBCR4:2:0等のデータからなるコンテンツID)を生成する。そして、10Gリンクマッピング部14は、所定の2つのベーシックストリームから、コンテンツIDを含む10Gリンク信号を生成し、合計24本の10Gリンク信号を生成する。
【0178】
この場合、10Gリンクマッピング部14は、4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の(8×N-7)フレームにおける色信号コンポーネントC2のベーシックストリーム、及び(8×N-6)フレームにおける色信号コンポーネントC2のベーシックストリームから、10Gリンク信号5を生成する。また、10Gリンクマッピング部14は、(8×N-7)フレームにおける色信号コンポーネントC3のベーシックストリーム、及び(8×N-6)フレームにおける色信号コンポーネントC3のベーシックストリームから、10Gリンク信号9を生成する。同様に、10Gリンクマッピング部14は、隣り合うフレームにおける色信号コンポーネントC2の2つのベーシックフレームから、10Gリンク信号8,17,20をそれぞれ生成する。また、10Gリンクマッピング部14は、隣り合うフレームにおける色信号コンポーネントC3の2つのベーシックフレームから、10Gリンク信号10,21,22をそれぞれ生成する。
【0179】
つまり、10Gリンクマッピング部14は、4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の(8×N-7)フレームの色信号コンポーネントC1,C2,C3及び(8×N-6)フレームにおける色信号コンポーネントC2,C3について、4本の10Gリンク信号1,2,5,9を、1本の光ファイバーケーブルにおける所定の4芯にマッピングする。Nは、1以上の整数とする。また、10Gリンクマッピング部14は、4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号の(8×N-6)フレームの色信号コンポーネントC1について、2本の10Gリンク信号3,4を、1本の光ファイバーケーブルにおける他の2芯にマッピングする。
【0180】
同様に、10Gリンクマッピング部14は、それぞれのフレームの色信号コンポーネントC1,C2,C3について、10Gリンク信号6,7,8,10及び10Gリンク信号11,12等を、1本の光ファイバーケーブルにおける他の芯にマッピングする。
【0181】
10Gリンクマッピング部14は、24本の10Gリンク信号を、1本の光ファイバーケーブルの伝送路3を介して映像信号受信装置2へ送信する。
【0182】
(映像信号受信装置2)
映像信号受信装置2の10Gリンク受信部20は、映像信号送信装置1から2本の光ファイバーケーブルの伝送路3を介して、24本の10Gリンク信号を受信し、10Gリンク信号からコンテンツIDを抽出する。ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、コンテンツIDに基づいて、8系統の処理部を構成する。
【0183】
ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22及びソースイメージ復元部23は、10Gリンクマッピング部14、ベーシックストリーム生成部13及びベーシックイメージ生成部12の逆の処理を行う。これにより、フレームバッファ24には、8系統の4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が格納される。
【0184】
読み出し部25は、コンテンツIDに基づいて、フレームバッファ24から960Hzのフレーム周波数の速度にて、フレーム番号の順に映像信号を読み出す。
【0185】
これにより、映像信号送信装置1のフォーマット変換部10によりフォーマット変換された映像信号と同じ4K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が復元される。
【0186】
以上のように、元の映像信号が4K/960Hz/RGB4:4:4である場合、映像信号送信装置1において、4K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号にフォーマット変換される。そして、4K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号から8系統の4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が生成される。8系統のそれぞれにおいて、4または2本の10Gリンク信号が生成され、合計24本の10Gリンク信号が、1本の光ファイバーケーブルを介して映像信号受信装置2へ送信される。
【0187】
そして、映像信号受信装置2により、24本の10Gリンク信号から8系統の4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が復元される。そして、8系統の4K/120Hz/YCBCR4:2:0の映像信号から4K/960Hz/YCBCR4:2:0の映像信号が復元される。これにより、120Hzを超えるフレーム周波数の超高精細映像を再生することができる。
【0188】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施形態では、映像信号受信装置2の読み出し部25は、コンテンツIDに含まれるフレーム周波数の対応する速度にて、フレームバッファ24から映像信号を読み出すことにより、映像信号送信装置1のフォーマット変換部10によりフォーマット変換された映像信号と同じ映像信号を復元する。この場合、映像信号受信装置2は、フレームバッファ24から読み出した映像信号に対し、映像信号送信装置1のフォーマット変換部10とは逆のフォーマット変換を行い、元の映像信号を復元するようにしてもよい。例えば、映像信号受信装置2は、フレームバッファ24から8K/240Hz/YCBCR4:2:0の映像信号を読み出し、この映像信号をフォーマット変換し、元の8K/240Hz/RGB4:4:4の映像信号を復元する。
【0189】
また、前記実施形態では、デジタルインターフェースとして10Gリンク信号を用いて伝送する例を挙げたが、他のデジタル信号を用いて伝送するようにしてもよい。
【0190】
尚、本発明の実施形態による映像信号送信装置1及び映像信号受信装置2のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。映像信号送信装置1及び映像信号受信装置2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
【0191】
映像信号送信装置1に備えたフォーマット変換部10、フレームバッファ11、ベーシックイメージ生成部12、ベーシックストリーム生成部13及び10Gリンクマッピング部14の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、映像信号受信装置2に備えた10Gリンク受信部20、ベーシックストリーム復元部21、ベーシックイメージ復元部22、ソースイメージ復元部23、フレームバッファ24及び読み出し部25の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0192】
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0193】
1 映像信号送信装置
2 映像信号受信装置
3 伝送路
10 フォーマット変換部
11,24 フレームバッファ
12 ベーシックイメージ生成部
13 ベーシックストリーム生成部
14 10Gリンクマッピング部
20 10Gリンク受信部
21 ベーシックストリーム復元部
22 ベーシックイメージ復元部
23 ソースイメージ復元部
25 読み出し部
30 色空間変換部
31 色差信号間引き部