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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】高温RF用途のための静電チャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220510BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220510BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H02N13/00 D
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020146736
(22)【出願日】2020-09-01
(62)【分割の表示】P 2017529626の分割
【原出願日】2015-12-08
(65)【公開番号】P2021002666
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】62/090,858
(32)【優先日】2014-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/962,446
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン リャン
(72)【発明者】
【氏名】コッパ マンジュナサ
(72)【発明者】
【氏名】パーケ ヴィジェイ ディー
(72)【発明者】
【氏名】フォースター ジョン シー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー キース エイ
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-507745(JP,A)
【文献】特開平08-335567(JP,A)
【文献】特開2007-281205(JP,A)
【文献】特開平06-326176(JP,A)
【文献】特開2001-338917(JP,A)
【文献】特開2002-043402(JP,A)
【文献】特開平06-124998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が上に配設されたとき前記基板を支持する支持表面と、反対の第2の表面とを有するパックであり、1つまたは複数のチャック電極が前記パックに埋め込まれる、パックと、
前記パックを支持するために前記パックの前記第2の表面に結合される支持表面を有する本体と、
前記パックの支持表面に配設されたDC電圧感知回路と、
前記本体の支持表面に隣接し、前記パックの支持表面および前記DC電圧感知回路の1.27センチメートルから6.35センチメートル下の前記本体に配設されたインダクタであり、前記インダクタがDC電圧感知回路に電気的に結合され、前記インダクタが、前記基板のDC電位を正確に測定するために高周波電流流れをフィルタ処理するように構成される、インダクタと
を含む静電チャック。
【請求項2】
前記パックが誘電体円板である、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記DC電圧感知回路には、前記パックの中心部に隣接し、前記パックの中心部のまわりに部分的に配設された導電性金属トレースが含まれる、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記導電性金属トレースが、前記パックの前記中心部から半径方向外側に1.27センチメートルから6.35センチメートルまで延びる直線トレース部分を含み、前記直線トレース部分が電気端子に電気的に結合され、前記電気端子が前記インダクタに電気的に結合される、請求項3に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記インダクタがセラミックインダクタである、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記1つまたは複数のチャック電極が、前記パックに埋め込まれた2つの独立に制御される電極を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記1つまたは複数のチャック電極の各々の厚さが、前記1つまたは複数のチャック電極の計算された表皮深さの倍~倍である、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記1つまたは複数のチャック電極が、3.56MHz電力~0MHz電力を搬送するように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電チャック。
【請求項9】
前記1つまたは複数のチャック電極の各々が、タングステンから製作され、0μm~0μmの厚さを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電チャック。
【請求項10】
前記1つまたは複数のチャック電極が、第1の組の1つまたは複数の高温同軸ケーブルを介してチャック電力供給部に結合される、請求項1から4のいずれか1項に記載の静電チャック。
【請求項11】
前記第1の組の1つまたは複数の高温同軸ケーブルが、0000℃の温度に耐えることができる高温ジャケットと、固体金属RFシールドと、誘電体コアと、中心導体とを含む、請求項10に記載の静電チャック。
【請求項12】
基板が上に配設されたとき前記基板を支持する支持表面と、反対の第2の表面とを有するパックであり、1つまたは複数のチャック電極が前記パックに埋め込まれ、前記1つまたは複数のチャック電極の各々の厚さが、前記1つまたは複数のチャック電極の計算された表皮深さの倍~倍である、パックと、
前記パックを支持するために前記パックの前記第2の表面に結合される支持表面を有する本体と、
前記パックの前記支持表面に配設されたDC電圧感知回路と、
前記本体の支持表面に隣接し、前記パックの支持表面および前記DC電圧感知回路の1.27センチメートルから6.35センチメートル下の前記本体に配設されたインダクタであり、前記インダクタがDC電圧感知回路に電気的に結合され、前記インダクタが、前記基板のDC電位を正確に測定するために高周波電流流れをフィルタ処理するように構成される、インダクタと
を含む静電チャック。
【請求項13】
前記1つまたは複数のチャック電極の各々が、タングステンから製作され、0μm~0μmの厚さを有する、請求項12に記載の静電チャック。
【請求項14】
基板が上に配設されたとき前記基板を支持する支持表面と、反対の第2の表面とを有するパックであり、1つまたは複数のチャック電極が前記パックに埋め込まれ、前記1つまたは複数のチャック電極の各々の厚さが、前記1つまたは複数のチャック電極の計算された表皮深さの倍~倍であり、前記1つまたは複数のチャック電極が、一組の1つまたは複数の高温同軸ケーブルを介してチャック電力供給部に結合される、パックと、
前記パックを支持するために前記パックの前記第2の表面に結合される支持表面を有する本体と、
前記パックの支持表面に配設されたDC電圧感知回路と、
前記本体に配設され、前記本体の支持表面に隣接し、前記パックの支持表面および前記DC電圧感知回路の1.27センチメートルから6.35センチメートル下の前記本体に配設されたインダクタであり、前記インダクタがDC電圧感知回路に電気的に結合され、前記インダクタが、前記基板のDC電位を正確に測定するために高周波電流流れをフィルタ処理するように構成される、インダクタと
を含む静電チャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、マイクロ電子デバイス製造プロセスにおいて基板を保持するために使用される静電チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
高温および高電力レベルで動作する物理的気相堆積(PVD)チャンバは、基板の処理のためのいくつかの利点を提供する。高温および高電力での動作は、膜特性(例えば、応力密度ρなど)を改善し、良好なRF受信機効率を提供するが、高温および高電力は、過熱、基板裏側アーク放電、およびチャンバ変動を引き起こす。具体的には、高温/高電力物理的気相堆積(PVD)用途で現在使用されている既存の静電チャック(ESC)は、RF電力で使用するとき制限がある。それらの制限は、限定はしないが、1)高電力プロセス中に電極のRF電流が高くなる過ぎるときのESC過熱、2)超高周波(VHF)用途においてESCの表面に配設されたDC電圧感知回路(すなわち、本明細書では、Vdc感知端子または中心タップ(cタップ)回路と呼ぶ)への基板裏側アーク放電、ならびに3)ESCに配設されたヒータおよび電極などの様々な構成要素に電力を供給するシールドなし配線によって引き起こされるプロセス変動を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の制限の観点から、高温/高電力PVDプロセスに関連する前述の問題を除去または軽減するための改善された静電チャックの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
静電チャックは、基板が上に配設されたとき基板を支持する支持表面と、反対の第2の表面とを有するパックであり、1つまたは複数のチャック電極がパックに埋め込まれる、パックと、パックを支持するためにパックの第2の表面に結合される支持表面を有する本体と、パックの支持表面に配設されたDC電圧感知回路と、本体に配設され、本体の支持表面に隣接するインダクタであり、インダクタがDC電圧感知回路に電気的に結合され、インダクタが、基板のDC電位を正確に測定するために高周波電流流れをフィルタ処理するように構成される、インダクタとを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、静電チャックは、基板が上に配設されたとき基板を支持する支持表面と、反対の第2の表面とを有するパックであり、1つまたは複数のチャック電極がパックに埋め込まれ、1つまたは複数のチャック電極の各々の厚さが、1つまたは複数のチャック電極の計算された表皮深さの約3倍~約5倍である、パックと、パックを支持するためにパックの第2の表面に結合される支持表面を有する本体とを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、静電チャックは、基板が上に配設されたとき基板を支持する支持表面と、反対の第2の表面とを有するパックであり、1つまたは複数のチャック電極がパックに埋め込まれ、1つまたは複数のチャック電極の各々の厚さが、1つまたは複数のチャック電極の計算された表皮深さの約3倍~約5倍であり、1つまたは複数のチャック電極が、一組の1つまたは複数の高温同軸ケーブルを介してチャック電力供給部に結合される、パックと、パックを支持するためにパックの第2の表面に結合される支持表面を有する本体と、パックの支持表面に配設されたDC電圧感知回路と、本体に配設され、本体の支持表面に隣接するインダクタであり、インダクタがDC電圧感知回路に電気的に結合され、インダクタが、基板のDC電位を正確に測定するために高周波電流流れをフィルタ処理するように構成される、インダクタとを含む。
【0007】
上述で簡単に要約し、以下でさらに詳細に論じる本開示の実施形態は、添付図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、それゆえに、本開示が他の等しく効果的な実施形態を認め得るためその範囲を限定すると考えるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のいくつかの実施形態による静電チャックとともに使用するのに好適なプロセスチャンバを示す図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による静電チャックの断面図である。
図3A】本開示のいくつかの実施形態による静電チャックのパック表面の上面図である。
図3B】本開示のいくつかの実施形態による静電チャックのパック表面の上面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による図1の同軸ケーブルの一部分の切取斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解しやすくするために、同一の参照番号が、可能である場合、図に共通する同一の要素を指定するために使用されている。図は一定の縮尺で描かれておらず、見やすいように簡単にされていることがある。1つの実施形態の要素および特徴は、さらなる詳述なしに、他の実施形態に有利に組み込むことができることが意図される。
【0010】
高温RF/VHF静電チャックの実施形態が、本明細書で提供される。本発明の静電チャックは、有利には、過熱を防止し、基板とESC支持表面との間の裏側アーク放電を減少させ、RF用途における再現可能性能およびより高い効率を可能にするように高温および/または高電力環境で動作することができる。具体的には、本明細書で提供されるESCの実施形態には、電流密度を減少させ、過熱することなくより高い電流を可能にするESCのパックのより厚い埋込型電極、RFインピーダンスを増加させ、それにより、より高いRF電力および周波数でのESCパック表面のDC電圧感知を可能にする、ESC DC電圧感知回路のすぐ近くの高温インダクタ、ならびに/またはRF用途における再現可能性能およびより高い効率を可能にする高温配線が含まれ得る。
【0011】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるプラズマ処理チャンバの概略断面図である。いくつかの実施形態では、プラズマ処理チャンバはPVD処理チャンバである。しかしながら、他のタイプの処理チャンバが、さらに、本明細書で説明する本発明の静電チャックの実施形態を使用してもよく、または本明細書で説明する本発明の静電チャックの実施形態とともに使用するように変更されてもよい。本明細書で説明するPVD処理チャンバおよびESCは、摂氏約200°~摂氏約500°の温度で、および約13MHz~約60MHzの周波数における約5kW~約10kWの電力の間の電力レベルで動作することができる。
【0012】
チャンバ100は、高温/高電力基板処理の間チャンバ内部容積部120内の大気未満の圧力を維持するように適切に構成された真空チャンバである。チャンバ100は、チャンバ内部容積部120の上半分に設置された処理容積部119を囲むリッド104によって覆われたチャンバ本体106を含む。チャンバ100は、様々なチャンバ部品とイオン化されたプロセス材料との間の不要な反応を防止するために、そのような部品を取り囲む1つまたは複数のシールド105をさらに含むことができる。チャンバ本体106およびリッド104は、アルミニウムなどの金属で製作することができる。チャンバ本体106は、接地115への結合を介して接地することができる。
【0013】
基板支持体124は、例えば半導体基板などの基板S、または静電的に保持され得るような他の基板を支持および保持するためにチャンバ内部容積部120内に配設される。基板支持体124は、一般に、静電チャック150(図2図4に関して以下でより詳細に説明する)と、静電チャック150を支持するための中空支持シャフト112とを含むことができる。中空支持シャフト112は、例えば、プロセスガス、流体、冷却剤、電力などを静電チャック150に供給する導管を備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、中空支持シャフト112は、上部の処理位置(図1に示すような)と下部の移送位置(図示せず)との間の静電チャック150の垂直移動を行うリフト機構113に結合される。ベローズアセンブリ110が、中空支持シャフト112のまわりに配設され、チャンバ100の内部からの真空の低下を防止しながら静電チャック150の垂直運動を可能にする可撓性密封を設けるために静電チャック150とチャンバ100の底面126との間に結合される。ベローズアセンブリ110は、チャンバの真空の低下を防止するのに役立つように底面126と接触するOリング165または他の好適な密封要素と接触する下部ベローズフランジ164をさらに含む。
【0015】
中空支持シャフト112は、ヒータ電力供給部142、ガス供給部141、チャック電力供給部140、RF源(例えば、RFプラズマ電力供給部170およびRFバイアス電力供給部117)を静電チャック150に結合するための導管、冷却のための流体/ガス源(図示せず)などを備える。実施形態によっては、RFプラズマ電力供給部170およびRFバイアス電力供給部117は、それぞれのRF整合ネットワーク(RF整合ネットワーク116のみが示されている)を介して静電チャックに結合される。
【0016】
基板リフト130は、シャフト111に接続されたプラットフォーム108に装着されたリフトピン109を含むことができ、シャフト111は、基板「S」を静電チャック150に置きまたは静電チャック150から取り外すことができるように基板リフト130を上げ下げするために第2のリフト機構132に結合される。静電チャック150は、リフトピン109を受け取るためにスルーホール(以下で説明する)を含む。ベローズアセンブリ131が、基板リフト130の垂直運動の間チャンバ真空を維持する可撓性密封を設けるために基板リフト130と底面126との間に結合される。
【0017】
チャンバ100は、チャンバ100を排気するために使用されるスロットルバルブ(図示せず)および真空ポンプ(図示せず)を含む真空システム114に結合され流体連結する。チャンバ100内部の圧力は、スロットルバルブおよび/または真空ポンプを調節することによって調整することができる。チャンバ100は、さらに、チャンバ100に配設された基板を処理するためにチャンバ100に1つまたは複数のプロセスガスを供給することができるプロセスガス供給部118に結合され流体連結する。
【0018】
動作時に、例えば、プラズマ102がチャンバ内部容積部120に作り出されて、1つまたは複数のプロセスを実行することができる。チャンバ内部容積部120に隣接するまたはチャンバ内部容積部120内の1つまたは複数の電極を介してプラズマ電源(例えば、RFプラズマ電力供給部170)からの電力をプロセスガスに結合させて、プロセスガスを点火し、プラズマ102を作り出すことによって、プラズマ102は作り出され得る。実施形態によっては、プラズマからのイオンを基板Sの方に引きつけるために、バイアス電力が、さらに、静電チャック150内に配設された1つまたは複数の電極(以下で説明する)にバイアス電力供給部(例えば、RFバイアス電力供給部117)から容量結合バイアスプレート(以下で説明する)を介して供給され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、例えば、チャンバ100がPVDチャンバである場合、基板Sに堆積させるべき原材料を含むターゲット166が、チャンバ内部容積部120内で基板の上方に配設され得る。ターゲット166は、誘電体アイソレータを介して、チャンバ100の接地された導電性部分、例えばアルミニウムアダプタによって支持され得る。他の実施形態では、チャンバ100は、同じチャンバを使用して異なる材料の層を堆積させるためにマルチカソード配列で複数のターゲットを含むことができる。
【0020】
制御可能なDC電源168をチャンバ100に結合して、電圧またはバイアスをターゲット166に印加することができる。本明細書で説明する本発明のESCと矛盾しないいくつかの実施形態では、DC電源168は、約2MHz~約162MHzの周波数で約5kW~約10kWの電力を供給することができる。本明細書で説明する本発明のESCと矛盾しないいくつかの実施形態では、DC電源168は、40MHzで7kWの電力を供給することができる。
【0021】
RFバイアス電力供給部117を基板支持体124に結合して、基板Sに負のDCバイアスを誘起することができる。いくつかの実施形態では、RFバイアス電力供給部117は、ESC150に埋め込まれた電極に13.566MHzバイアス電力を供給する。加えて、いくつかの実施形態では、負のDC自己バイアスが処理の間基板Sに発生し得る。いくつかの実施形態では、RFプラズマ電力供給部170をさらにチャンバ100に結合して、RF電力をターゲット166に印加し、それにより、基板Sへの堆積速度の半径方向分布を制御しやすくすることができる。動作時に、チャンバ100に作り出されるプラズマ102中のイオンは、ターゲット166からの原材料と反応する。この反応により、ターゲット166は原材料の原子を追い出し、次いで、原材料の原子は、基板Sの方に導かれ、それにより、材料が堆積される。
【0022】
図2は、本開示の実施形態による静電チャック(ESC150)の断面図を示している。ESC150は、基板を支持する支持表面と、反対の底部の第2の表面とを有するパック202を含む。ESCには、パックを支持するために、パック202の底部の第2の表面に結合され、パック202の底部の第2の表面から延びる本体203がさらに含まれる。いくつかの実施形態では、本体は、誘電体パックの下に配設された高周波(RF)バイアスプレートとして働く。さらに、ESC150によって使用される構成要素のうちのいくつかを収納する/統合するペデスタル統合ボックス220が図2に示されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、パック202は、セラミック材料から製作された誘電体円板である。パック202は、1つまたは複数の埋込型チャック電極204、206を含む。1つまたは複数の埋込型チャック電極204、206は、パック202の第1の側に配設されたA電極(例えば、204)と、パックの第2の側に配設されたB電極(例えば、206)とを含むことができる。電極の各々は、各電極に反対の電圧を供給して所望の静電力を作り出し、それにより、基板を保持するように独立に制御することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の埋込型チャック電極204、206は、約40MHzを受け取り、約13.56MHzを送り出すように構成される。
【0024】
典型的な薄型電極は高電力印加の間抵抗加熱要素のように過熱し作用することを発明者等は発見した。本明細書で使用する薄型電極は、厚さが約1表皮深さである電極である。RF電流は、主として、外側表面と、表皮深さと呼ばれる平面との間の導体の「表皮」のところで流れる。表皮深さは、電気伝導が導体中でどの程度の深さまで生じるかの尺度であり、周波数の関数である。表皮深さは、さらに、導体(すなわち、1つまたは複数の電極)の材料特性ならびに使用される周波数の関数である。周波数が低いほど、表皮深さは大きい。いくつかの実施形態では、チャック電極204、206は、タングステンから製作される。40MHzでのタングステン電極の典型的な薄型電極は約18μmである。タングステンの場合、約3~5表皮深さ、すなわち、約50μm~約90μmとなるように電極の厚さを増加させ、RF電流をより大きい表皮深さによって広げることによって、電極はそれほど加熱しないことを発明者等は発見した。すなわち、チャック電極204、206をより厚くすることによって、電流密度が減少し、それゆえに、電極の加熱効果が減少する。より厚い電極では、RF電流の約60%は第1の表皮深さで流れ、RF電流の20%は第2の表皮深さで流れ、RF電流の10%は第3の表皮深さで流れ、RF電流の5%は第4の表皮深さで流れるなどである。他の実施形態では、チャック電極204、206は、例えばステンレス鋼などのような他の導電性材料から製作することができる。いくつかの実施形態では、電極の厚さは、電極の選択された材料に対する計算された表皮深さと、使用されることになる周波数とに基づいて選択されることになる。
【0025】
表皮深さのよく知られた式は、以下の通りであり、(表皮深さ)は、3つの変数、すなわち、周波数(f)、抵抗(ρ)、および比透磁率(μR)の関数である。
【数1】
ただし、
ρ=バルク抵抗(オーム-メートル)
f=周波数(ヘルツ)
μ0=透磁率定数(ヘンリー/メートル)=4π×10-7
μR=比透磁率(通常約1)
【0026】
各電極に反対の電圧を供給することに加えて、パックの既存の表面電荷を補償するために1つまたは複数のチャック電極204、206の各々に異なる電力レベルを供給することができる。一般に、基板の底面と接触するDC電圧感知回路214(すなわち、中心タップまたはcタップ)を使用して、基板の既存のDC電位を決定/測定する。基板の決定/測定された既存のDC電位を使用して、チャック電力供給部140によってA電極(例えば、204)およびB電極(例えば、206)の各々に供給されるチャック電力を、基板の直径全体にわたって基板を均一にチャックできるように調節する。本開示と矛盾しない実施形態において、DC電圧感知回路214は、パック表面に近接してESC150の本体203に配設されたインダクタ216に端子215を介して結合される。いくつかの実施形態では、インダクタ216は、パック202の中心から半径方向外側に約0.5インチ~約2.5インチに配設される。いくつかの実施形態では、インダクタ216は、パック202の上面から約0.25インチ~約5インチに配設される。RFフィルタ/インダクタがESCの下側部分のパック表面から12インチを超えて離れたところに設置される典型的なcタップ構成では、高電力印加(すなわち、13MHz以上)の間、基板と、ESC支持表面のcタップ回路トレースとの間の裏側アーク放電が生じることを発明者等は発見した。DC電圧感知回路214およびインダクタ216(すなわち、フィルタ)をパックの表面により近接して設けることによって、本開示と矛盾しない実施形態は、有利には、裏側アーク放電を避けるかまたは少なくとも大幅に減少させる。いくつかの実施形態では、インダクタ216はセラミックインダクタである。いくつかの実施形態では、インダクタ216は、約1インチの高さである。インダクタ216は、基板のDC電位を正確に測定するために、RF電流が流れないようにし、高周波電流流れをフィルタ処理する。
【0027】
図3Aおよび図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、インダクタ216に結合される端子215に結合されたDC電圧感知回路214トレースを含むパック表面304の上面図を示している。いくつかの実施形態では、パック表面304は、例えば、裏側冷却を行い、および/またはデチャックガス圧を供給するために、裏側ガスチャネル306、ガス孔308、およびガスチューブ218をさらに含むことができる。
【0028】
チャック電力供給部140は、高温配線ケーブル207を介して、1つまたは複数の埋込型チャック電極204、206に結合され得る。同様に、ヒータ電力供給部142は、高温配線ケーブル213を介して、1つまたは複数の埋込型抵抗加熱器に結合され得る。1つまたは複数の埋込型抵抗加熱器は、独立に制御される外側ヒータ210および内側ヒータ212を含むことができる。本開示と矛盾しない実施形態において、高温配線ケーブル207および/または213は、高温同軸ケーブル(すなわち、RFシールドケーブル)である。特に、ESCに埋め込まれた電極におよびESCに埋め込まれた電極からRFを伝導するためのシールドなしケーブルはインピーダンス変動を引き起こすことがあることを発明者等は発見した。シールドなし配線および配線をどのように引き回すかに基づくこれらの変動は、チャンバ間は言うまでもなく、同じチャンバ内でのプロセスの再現性を極端に困難にする。すなわち、シールドなしケーブルを使用したチャンバは、シールドなしケーブルの引き回しの変動に敏感であり、基板均一性および一貫性に関する問題が生じる。したがって、発明者等は、高温用途(すなわち、摂氏約200°~摂氏約500°)のために特別に設計されたシールド同軸ケーブル(すなわち、高温ワイヤケーブル207、213)を使用することにより、RF用途における再現可能チャンバ性能およびより高い効率が可能になることを論じた。
【0029】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による図1の高温配線ケーブル207の一部分の切取斜視図を示している。具体的には、高温配線ケーブル207は、摂氏約200°~摂氏約500°の温度に耐えることができる高温ジャケット402を含む同軸ケーブルである。いくつかの実施形態では、高温ジャケット402は、高温に耐えるセラミック誘電絶縁体である。高温配線ケーブル207は、金属材料から形成されたRFシールド404を含むことができる。いくつかの実施形態では、RFシールドは固体金属チューブシールドである。高温配線ケーブル207は、誘電体コア406と中心導体408とをさらに含む。
【0030】
前述は本開示の実施形態に関するが、本開示の他のおよびさらなる実施形態がその基本範囲から逸脱することなく考案され得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4