(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】積層体及びこれを含む液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220510BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/13363
(21)【出願番号】P 2020543969
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 KR2019006661
(87)【国際公開番号】W WO2019235794
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0064879
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュンウォン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ナヨン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ムン・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】キョン・イル・ラ
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-026797(JP,A)
【文献】特開2009-031402(JP,A)
【文献】特開2015-175994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0192297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のλ/2波長板(half wave plate);
第2のλ/2波長板(half wave plate);及び
前記第1のλ/2波長板と第2のλ/2波長板との間に備えられたポジティブCプレート(positive C plate)
を含
み、
前記ポジティブCプレートは、前記第1のλ/2波長板及び前記第2のλ/2波長板に直接結合されている、積層体。
【請求項2】
前記ポジティブCプレートは、550nmにおける下記数式1で表される厚み方向位相差値(R
th)が50nm~190nmであり、550nmにおける下記数式2で表される正面位相差値(R
o)が-5nm~5nmである、請求項1に記載の積層体:
[数式1]
R
th=(n
z-n
y)×d
[数式2]
R
o=(n
x-n
y)×d
前記数式1及び2において、
n
xは、ポジティブCプレートの
面方向において、面方向屈折率が最大になる方向の屈折率であり、
n
yは、ポジティブCプレートの面方向において、n
x方向
に直交する方向の屈折率であり、
n
zは、ポジティブCプレートの厚み方向の屈折率であり、
dは、ポジティブCプレートの厚みである。
【請求項3】
前記ポジティブCプレートの厚み方向位相差値(R
th)は、下記数式3を満たすものである、請求項2に記載の積層体:
[数式3]
R
th(450)<R
th(550)<R
th(650)
前記数式3において、
R
th(450)は、450nmにおける厚み方向位相差値を意味し、R
th(550)は、550nmにおける厚み方向位相差値を意味し、R
th(650)は、650nmにおける厚み方向位相差値を意味する。
【請求項4】
前記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、それぞれ独立して、R
o(550)値がR
o(450)値よりさらに大きい値を有し、
前記R
o(450)は、450nmにおける正面位相差値を意味し、R
o(550)は、550nmにおける正面位相差値を意味し、
前記正面位相差値(R
o)は、下記数式5で表されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体:
[数式5]
R
o=(n
x-n
y)×d
前記数式5において、
n
xは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の
面方向において、面方向屈折率が最大になる方向の屈折率であり、
n
yは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の面方向において、n
x方向
に直交する方向の屈折率であり、
dは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の厚みである。
【請求項5】
上部偏光板;下部偏光板;及び前記上部偏光板と下部偏光板との間に備えられる液晶パネルを含み、
前記上部偏光板及び下部偏光板は、吸収軸が互いに平行になるように備えられ、
前記上部偏光板と液晶パネルとの間に、第1のλ/2波長板(half wave plate)、ポジティブCプレート(positive C plate)及び第2のλ/2波長板(half wave plate)を順次含み、
前記液晶パネルは、水平配向液晶モードであ
り、
前記ポジティブCプレートは、前記第1のλ/2波長板及び前記第2のλ/2波長板に直接結合されている、液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板のうちいずれか一つのλ/2波長板の光軸と前記上部偏光板の吸収軸とのなす角度は、17.5度~27.5度であり、
他の一つのλ/2波長板の光軸と前記上部偏光板の吸収軸とのなす角度は、62.5度~72.5度である、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記ポジティブCプレートは、550nmにおける下記数式1で表される厚み方向位相差値(R
th)が50nm~190nmであり、550nmにおける下記数式2で表される正面位相差値(R
o)が-5nm~5nmである、請求項5又は6に記載の液晶表示装置:
[数式1]
R
th=(n
z-n
y)×d
[数式2]
R
o=(n
x-n
y)×d
前記数式1及び2において、
n
xは、ポジティブCプレートの
面方向において、面方向屈折率が最大になる方向の屈折率であり、
n
yは、ポジティブCプレートの面方向において、n
x方向
に直交する方向の屈折率であり,
n
zは、ポジティブCプレートの厚み方向の屈折率であり、
dは、ポジティブCプレートの厚みである。
【請求項8】
前記ポジティブCプレートの厚み方向位相差値(R
th)は、下記数式3を満たすものである、請求項7に記載の液晶表示装置:
[数式3]
R
th(450)<R
th(550)<R
th(650)
前記数式3において、
R
th(450)は、450nmにおける厚み方向位相差値を意味し、R
th(550)は、550nmにおける厚み方向位相差値を意味し、R
th(650)は、650nmにおける厚み方向位相差値を意味する。
【請求項9】
前記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、それぞれ独立して、R
o(550)値がR
o(450)値よりさらに大きい値を有し、
前記R
o(450)は、450nmにおける正面位相差値を意味し、R
o(550)は、550nmにおける正面位相差値を意味し、
前記正面位相差値(R
o)は、下記数式5で表されるものである、請求項5~8のいずれか一項に記載の液晶表示装置:
[数式5]
R
o=(n
x-n
y)×d
前記数式5において、
n
xは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の
面方向において、面方向屈折率が最大になる方向の屈折率であり、
n
yは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の面方向において、n
x方向
に直交する方向の屈折率であり、
dは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の厚みである。
【請求項10】
前記第2のλ/2波長板と液晶パネルとの間、又は前記液晶パネルと下部偏光板との間に視野角補償フィルムをさらに含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記上部偏光板及び下部偏光板は、それぞれ独立して、ヨウ素及び二色性染料のうち少なくとも一つ以上が染着されたポリビニルアルコール系偏光板である、請求項5~10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記液晶パネルは、IPS(In Plane Switching)モード液晶パネル、又はPLS(Plane to Line Switching)モード液晶パネルである、請求項5~11のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年6月5日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0064879号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み含まれる。
【0002】
本願は、積層体及びこれを含む液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、情報ディスプレイに関する関心が高まり、携帯可能な情報媒体を利用しようとする要求が高くなりながら、既存の表示装置であるブラウン管(Cathode Ray Tube;CRT)を代替する軽量薄膜型フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display;FPD)に関する研究及び商業化が重点的になされている。特に、このようなフラットパネルディスプレイの中で液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)は、液晶の光学的異方性を用いて画像を表現する装置であって、解像度とカラー表示及び画質などに優れており、ノートパソコンやデスクトップモニタなどに活発に適用されている。
【0004】
かかる液晶表示装置は、共通電極と画素電極とに印加された電圧の差によって、液晶層の液晶分子を駆動する。
【0005】
液晶は、誘電率異方性と屈折率異方性の特徴がある。誘電率異方性は、電場によって誘導される分極の程度が、液晶の長軸と短軸方向とで異なることを言い、屈折率異方性は、液晶の長軸と短軸方向とで異なる屈折率値を有することを言い、光が液晶分子を通過する時に方向によって感じる屈折率が変わるので、偏光状態を変化させる原因になる。
【0006】
このため、液晶表示装置は、液晶層を挟んで互いに向かい合う面で形成された一対の透明絶縁基板からなる液晶パネルを必須構成要素とし、各電界生成電極の間の電場変化を通じて液晶分子の分極を人為的に調節し、この時に変化される光の透過率を用いて様々な画像を表示する。
【0007】
このとき、液晶パネルの上部及び下部にそれぞれ偏光板が位置するようになるが、偏光板は、透過軸と一致する偏光成分の光を透過させて、2つの偏光板の透過軸の配置と液晶の配列特性によって光の透過程度を決定するようになる。
【0008】
従来の液晶表示装置に使用される偏光板は、ヨウ素との吸着力の良いポリビニルアルコール(Poly Vinyl Alcohol;PVA)を使用して、これを延伸を通じてヨウ素イオンを整列したPVA延伸型が主に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願は、偏光板のサイズ制約性を解消することができ、正面CR特性が向上した液晶表示装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の一実施態様は、
第1のλ/2波長板(half wave plate);
第2のλ/2波長板(half wave plate);及び
上記第1のλ/2波長板と第2のλ/2波長板との間に備えられたポジティブCプレート(positive C plate)
を含む積層体を提供する。
【0011】
また、本願の別の実施態様は、
上部偏光板;下部偏光板;及び上記上部偏光板と下部偏光板との間に備えられる液晶パネルを含み、
上記上部偏光板及び下部偏光板は、吸収軸が互いに平行になるように備えられ、
上記上部偏光板と液晶パネルとの間に、第1のλ/2波長板(half wave plate)、ポジティブCプレート(positive C plate)及び第2のλ/2波長板(half wave plate)を順次含み、
上記液晶パネルは、水平配向液晶モードである、液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願の一実施態様によれば、液晶表示装置の上部偏光板と下部偏光板との吸収軸を互いに平行になるように形成することにより、偏光板原反の幅による偏光板のサイズ制約性を解消することができる。
【0013】
また、本願の一実施態様によれば、上部偏光板と液晶パネルとの間に上記第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板を含むことにより、上記第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板が下部偏光板と液晶パネルとの間に備えられる場合よりも、側面光散乱による黒(black)輝度を減少して、正面CR(contrast ratio)を上昇させることができる。
【0014】
また、本願の一実施態様によれば、上記第1のλ/2波長板と第2のλ/2波長板との間にポジティブCプレートを含むことにより、暗状態で視野角における光漏れを最小限に抑えることができ、これによって、最終的にCR(contrast ratio)の減少を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の一実施態様に係る液晶表示装置の構造を概略的に示す図である。
【
図2】本願の比較例1及び2に係る液晶表示装置の構造を概略的に示す図である。
【
図3】本願の参考例1に係る液晶表示装置の構造を概略的に示す図である。
【
図4】実施例1に係る液晶表示装置の全方向光特性を示す図である。
【
図5】比較例1に係る液晶表示装置の全方向光特性を示す図である。
【
図6】比較例2に係る液晶表示装置の全方向光特性を示す図である。
【
図7】参考例1に係る液晶表示装置の全方向光特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願の好ましい実施形態を説明する。ところが、本願の実施形態は、種々の異なる形態に変形されることができ、本願の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。 また、本願の実施形態は、当該技術分野における平均的な知識を有する者に本願をより完全に説明するために提供されるものである。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0018】
従来の液晶表示装置は、上部偏光板及び下部偏光板のうちいずれか一つの偏光板の吸収軸は0度であり、他の一つの偏光板の吸収軸は90度として、上部偏光板と下部偏光板との吸収軸が互いに直交していた。しかしながら、偏光板の吸収軸が90度の場合には、偏光板の横の長さが偏光板を製造するロールの幅により制限を受けるようになって、製品のサイズ拡大において制約要素となる。現在の偏光板を製造するロールの最大幅は約2,600mmであり、これは21:9基準テレビの最大サイズが約110インチ水準である。
【0019】
このような偏光板のサイズが制限されることを改善するために、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを横延伸して、偏光板ロールの吸収軸をTDに形成する方法が提案された。しかしながら、このような場合にも、横延伸の均一性低下によるムラが発生するおそれがあり、延伸比の低下による偏光度が低下するおそれがある。
【0020】
そこで、本願においては、液晶表示装置の上部偏光板及び下部偏光板の吸収軸をいずれも0度に形成することにより、偏光板原反の幅による偏光板のサイズ制約性を解消した。
【0021】
本願の一実施態様に係る積層体は、第1のλ/2波長板(half wave plate);第2のλ/2波長板(half wave plate);及び上記第1のλ/2波長板と第2のλ/2波長板との間に備えられたポジティブCプレート(positive C plate)を含む。
【0022】
また、本願の一実施態様に係る液晶表示装置は、上部偏光板;下部偏光板;及び上記上部偏光板と下部偏光板との間に備えられる液晶パネルを含み、上記上部偏光板及び下部偏光板は、吸収軸が互いに平行になるように備えられ、上記上部偏光板と液晶パネルとの間に、第1のλ/2波長板(half wave plate)、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板(half wave plate)を順次含み、上記液晶パネルは、水平配向液晶モードである。
【0023】
本願において、上記上部偏光板及び下部偏光板は、吸収軸が互いに平行になるように備えられる。上述したように、偏光板原反の幅による偏光板のサイズ制約性を解消するために、上記上部偏光板及び下部偏光板の吸収軸は、いずれも0度であってもよい。
【0024】
本願において、上記下部偏光板と液晶パネルとの間に第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板を含む場合よりも、上記上部偏光板と液晶パネルとの間に第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板を含むことがより好ましい。
【0025】
本願において、上記上部偏光板と下部偏光板は、液晶パネルを基準に液晶パネルの下部であるTFTガラス面に貼り付けられるものを下部偏光板と言い、反対側である液晶パネルの上部に貼り付けられるものを上部偏光板と言う。
【0026】
バックライトユニット(BLU)から出光されて下部偏光板に入射される光が、パネル下板におけるセル内部の散乱によって、正面で黒輝度上昇要素がある。この場合、下板のリタデーション(retardation)がないほど上板の偏光子によって散乱光が吸収されることができるので、上記下部偏光板と液晶パネルとの間に第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板を含む場合よりも、上記上部偏光板と液晶パネルとの間に第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板を含む場合に、側面光散乱による黒輝度が減少して正面CRが上昇するようになる。
【0027】
本願の一実施態様において、上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板のうちいずれか一つのλ/2波長板の光軸と上記上部偏光板の吸収軸とのなす角度は、17.5度~27.5度であってもよく、20度~25度であってもよく、他の一つのλ/2波長板の光軸と上記上部偏光板の吸収軸とのなす角度は、62.5度~72.5度であってもよく、65度~70度であってもよい。上記角度から外れる場合、90度直線偏光変換にならないから(例えば、0度→90度)、上部偏光板の吸収軸と直交にならず、黒(black)で光漏れが発生して、C/R低下が発生するようになる。理想的な光軸角度は、上記第1のλ/2波長板の光軸と上記上部偏光板の吸収軸とのなす角度は22.5度であり、上記第2のλ/2波長板の光軸と上記上部偏光板の吸収軸とのなす角度は67.5度であって、上記範囲を設定した理由は、一般的な光学フィルムの製作公差を考慮した事項である。
【0028】
上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、当該技術分野に知られている材料を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネンなど)、非晶質ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、セルロース系重合体(トリアセチルセルロースなど)、PVA、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂などをそれぞれ単独で又は2種以上混合して使用することができるが、これにのみ限定されるものではない。
【0029】
上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、これらの樹脂組成物を成膜し、一軸延伸又は二軸延伸などを行うことで得ることができる。また、上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板として、液晶性重合体又は液晶性単量体を配向させた配向フィルムを用いることもできる。
【0030】
上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、e-rayとo-ray間の相対位相差がπになるように位相差をλ/2で実現したリターダ(retarder)である。位相差は△ndで示すことができ、材料の△nによって厚みを調整して作製することができる。
【0031】
本願の一実施態様において、上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、それぞれ独立して、Ro(550)値がRo(450)値よりさらに大きい値を有することが好ましい。上記Ro(450)は、450nmにおける正面位相差値を意味し、Ro(550)は、550nmにおける正面位相差値を意味し、上記正面位相差値(Ro)は、下記数式5で表されることができる。
【0032】
[数式5]
Ro=(nx-ny)×d
上記数式5において、
nxは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の面方向屈折率が最大になる方向の屈折率であり、
nyは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の面方向において、nx方向の垂直方向の屈折率であり、
dは、第1のλ/2波長板又は第2のλ/2波長板の厚みである。
【0033】
より具体的に、上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、それぞれ独立して、Ro(450)/Ro(550)値は、0.8~0.9であってもよい。
【0034】
本願の一実施態様において、上記第1のλ/2波長板と第2のλ/2波長板との間にはポジティブCプレートが備えられる。
【0035】
本願において、上記ポジティブCプレートは、nz > nx=nyの屈折率分布を有するフィルムを意味する。このとき、nxは、フィルムの面方向屈折率が最大になる方向の屈折率であり、 nyは、フィルムの面方向において、nx方向の垂直方向の屈折率であり、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率である。
【0036】
上記ポジティブCプレートは、当該技術分野に知られているものを用いることができ、特に制限されるものではない。より具体的に、上記ポジティブCプレートは、高分子フィルムを適切な方法で配向させることで製造されるか、重合性コレステリック液晶化合物を基板の一面に塗工し、一定の方向に配向させた後に硬化させて製造されることができる。上記重合性コレステリック液晶化合物を使用する場合には、基板としてゼロ(zero)位相差フィルムを使用することができる。本願において、上記ゼロ位相差フィルムとは、光が透過しても実質的な位相差が発生しないフィルムを意味することにする。
【0037】
一般的に使用されるポジティブCプレートは、垂直配向液晶層であり、実質的に垂直配向された液晶を含む液晶高分子層を意味し、上記高分子層は、いわゆるポジティブCプレートの特性を示すことができる。上記において、ポジティブCプレートの特性は、その遅相軸方向の屈折率(nx)と進相軸方向の屈折率(ny)とが実質的に同一であり、厚み方向の屈折率(nz)が進相軸方向の屈折率(ny)に比べて大きい場合(nz > ny)を意味することができる。上記において、遅相軸方向の屈折率(nx)と進相軸方向の屈折率(ny)との同一は、実質的な同一であり、よって、工程誤差などによって発生する微細な差がある場合も、実質的同一の範疇に含まれる。また、垂直配向液晶層は、ポジティブCプレートの特性を見せる限り、一部垂直配向されていない液晶を含むこともできる。また、分散特性が正分散特性又は逆分散特性を有することができる。
【0038】
上記ポジティブCプレートは、550nmにおける下記数式1で表される厚み方向位相差値(Rth)が、50nm~190nmであってもよい。また、上記ポジティブCプレートは、550nmにおける下記数式2で表される正面位相差値(Ro)が、-5nm~5nmであってもよく、0であってもよい。
【0039】
[数式1]
Rth=(nz-ny)×d
[数式2]
Ro=(nx-ny)×d
上記数式1及び2において、
nxは、ポジティブCプレートの面方向屈折率が最大になる方向の屈折率であり、
nyは、ポジティブCプレートの面方向において、nx方向の垂直方向の屈折率であり、
nzは、ポジティブCプレートの厚み方向の屈折率であり、
dは、ポジティブCプレートの厚みである。
【0040】
上記ポジティブCプレートの厚み方向位相差値(Rth)が上記数値範囲から外れる場合には、光学特性の左右上下非対称が発生するおそれがあり、黒(black)効率が低くなるおそれがあり、これによって正面CR値が低くなるおそれがある。
【0041】
上記ポジティブCプレートの厚み方向位相差値(Rth)は、下記数式3又は数式4を満たすことができる。
【0042】
[数式3]
Rth(450)< Rth(550)< Rth(650)
[数式4]
Rth(450)≧ Rth(550)≧ Rth(650)
上記数式3及び4において、
Rth(450)は、450nmにおける厚み方向位相差値を意味し、Rth(550)は、550nmにおける厚み方向位相差値を意味し、Rth(650)は、650nmにおける厚み方向位相差値を意味する。
【0043】
特に、上記ポジティブCプレートの厚み方向位相差値(Rth)は、上記数式3を満たすことがより好ましい。上記ポジティブCプレートの厚み方向位相差値(Rth)が上記数式3を満たす場合に、逆波長分散性を有することにより各波長別に広がっている光の状態を最大限一点に集まることができるようにする役割をして、視野角での光漏れと色変化を防止する役割を果たすことができる。
【0044】
本願の一実施態様に係る液晶表示装置の構造を
図1に概略的に示す。下記
図1に示すように、本願の一実施態様に係る液晶表示装置は、上部偏光板10;下部偏光板20;及び上記上部偏光板10と下部偏光板20との間に備えられる液晶パネル30を含み、上記上部偏光板10及び下部偏光板20は、吸収軸が互いに平行になるように備えられ、上記上部偏光板10と液晶パネル30との間に、第1のλ/2波長板40、ポジティブCプレート50及び第2のλ/2波長板60を順次含み、上記液晶パネルは、水平配向液晶モードである。
【0045】
本願の一実施態様に係る液晶表示装置は、第1のλ/2波長板と第2のλ/2波長板との間にポジティブCプレートを備えさせることにより、視野角でのCR(contrast ratio)の減少を最小限に抑えることができる。
【0046】
本願の一実施態様において、上記第2のλ/2波長板と液晶パネルとの間、又は上記液晶パネルと下部偏光板との間に視野角補償フィルムをさらに含むことができる。上記視野角補償フィルムは、当該技術分野に知られているものを用いることができ、特に制限されるものではない。
【0047】
本願の一実施態様において、上記上部偏光板、下部偏光板、液晶パネル、第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート、第2のλ/2波長板などの貼り合わせは、水系接着剤又はUV硬化型接着剤を用いて貼り合わせることができ、PSA粘着剤を用いて貼り合わせることもできる。
【0048】
本願において、上記上部偏光板及び下部偏光板は、それぞれ独立して、ヨウ素及び二色性染料のうち少なくとも一つ以上が染着されたポリビニルアルコール系偏光板であってもよい。
【0049】
上記ポリビニルアルコール系偏光板の製造方法の例として、ヨウ素及び/又は二色性染料が染着されたポリビニルアルコール系偏光子を準備するステップ、及び上記偏光子の一面に保護フィルムを積層させるステップを含む方法を使用することができる。例えば、これに限定されるものではないが、上記ポリビニルアルコール系偏光子を準備するステップは、ポリビニルアルコール系(Polyvinyl alcohol)ポリマーフィルムをヨウ素及び/又は二色性染料で染着する 染着ステップ、上記ポリビニルアルコール系フィルムと染料とを架橋させる架橋ステップ、及び上記ポリビニルアルコール系フィルムを延伸する延伸ステップを通じて行われることができる。
【0050】
上記偏光子を保護するためのフィルムは、偏光子の一面に貼り付ける透明フィルムを言うものであり、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れたフィルムを使用することができる。例えば、トリアセチルセルロース(TriAcethyl Cellulose;TAC)のようなアセテート系、ポリエステル系、ポリエーテルスルホン系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、シクロオレフィン系、ポリウレタン系及びアクリル系樹脂フィルムなどを使用することができるが、これに限定するものではない。
【0051】
また、上記保護フィルムは等方性フィルムであってもよく、位相差のような光学補償機能が付与された異方性フィルムであってもよく、1枚で構成されるか又は2枚以上が貼り合わせられて構成されたものであってもよい。また、上記保護フィルムは、未延伸、一軸又は二軸延伸されたフィルムであってもよく、保護フィルムの厚みは、一般的には1μm~500μm、好ましくは1μm~300μmであることが良い。
【0052】
一方、上記ポリビニルアルコール系偏光子の一面に保護フィルムを積層するステップは、偏光子に保護フィルムを貼り合わせることであり、接着剤を用いて貼り合わせることができる。このとき、当該技術分野によく知られているフィルムの貼り合わせ方法を通じて行われることができ、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤のような水系接着剤、ウレタン系接着剤などのような熱硬化性接着剤、エポキシ系接着剤などのような光カチオン硬化型接着剤、アクリル系接着剤などのような光ラジカル硬化型接着剤などといった当該技術分野によく知られている接着剤を用いて行われることができる。
【0053】
本願の一実施態様に係る液晶表示装置は、バックライトユニットをさらに含むことができる。 上記バックライトユニットは、液晶パネルに光を供給する役割を果たし、上記バックライトユニットの光源としては、CCFL(cold cathode fluorescent lamp)、EEFL(external electrode fluorescent lamp)、HCFL(hot cold fluorescent lamp)の蛍光ランプ又は LED(light emitting diode) のうちいずれか一つを適用することができる。
【0054】
本願の一実施態様において、上記液晶パネルは、IPS(In Plane Switching) モード液晶パネル、又はPLS(Plane to Line Switching) モード液晶パネルであってもよい。
【0055】
また、液晶表示装置を構成するその他の構成、例えば、上部及び下部基板(ex. カラーフィルタ基板又はアレイ基板)などの種類も特に制限されず、この分野に公知されている構成が制限なく採用されることができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を通じて、本発明についてより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、これに本発明を限定するものではない。
【0057】
<実施例>
<実施例1>
TAC/PVA/TAC構造に積層された量産中の偏光板(LG化学社)を吸収軸が0度になるように裁断して、ベース基材として用い、ここに光軸が22.5度である第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び光軸が67.5度である第2のλ/2波長板を粘着剤(厚み20μmのU1 grade粘着剤)を用いて順次貼り合わせた。上記貼り合わせられた積層体をIPSパネル(43インチのIPD LCDパネル、LG display)の上部に貼り付け、IPSパネルの下部にはベース基材として使用した一般の偏光板を吸収軸0度として貼り付けた。
【0058】
このとき、上記第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、それぞれ波長分散性がRo(450)/Ro(550)=0.86であるλ/2波長板を適用した。また、上記ポジティブCプレートは、厚み方向位相差値が140nmであり、正面位相差値が0であるポジティブCプレート(液晶フィルム、LG化学社)を適用した。
【0059】
【0060】
<比較例1>
下記
図2の構造のように、ポジティブCプレートを適用せずに、実施例1と同様に行った。
【0061】
<比較例2>
下記
図2の構造のように、ポジティブCプレートを適用せずに、実施例1と同様に行うが、第1のλ/2波長板及び第2のλ/2波長板は、それぞれ波長分散性がR(450)/R(550)=1.01であるλ/2波長板を適用した。
【0062】
<参考例1>
下記
図3の構造のように、上部偏光板と下部偏光板との吸収軸が互いに直交する液晶表示装置を製造した。
【0063】
<実験例1>
上記実施例1、比較例1、比較例2及び参考例1の液晶表示装置について、Techwiz LCD 1Dプログラムを用いてシミュレーションを進行し、43インチのIPS LCD TVを用いて検証した。評価装備は、ELDIM社のEZ Contrast装備とBM7を用いて正面輝度と視野角特性を評価した。
【0064】
上記実施例1の液晶表示装置の全方向光特性を下記
図4に示し、上記比較例1の液晶表示装置の全方向光特性を下記
図5に示し、上記比較例2の液晶表示装置の全方向光特性を下記
図6に示し、上記参考例1の液晶表示装置の全方向光特性を下記
図7に示す。
【0065】
【0066】
上記結果のように、本願の一実施態様によれば、液晶表示装置の上部偏光板及び下部偏光板の吸収軸を互いに平行になるように形成することにより、偏光板原反の幅による偏光板のサイズ制約性を解消することができる。
【0067】
また、本願の一実施態様によれば、上部偏光板と液晶パネルとの間に上記第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板を含むことにより、上記第1のλ/2波長板、ポジティブCプレート及び第2のλ/2波長板が下部偏光板と液晶パネルとの間に備えられる場合よりも、側面光散乱による黒(black)輝度を減少して正面CR(contrast ratio)を上昇させることができる。
【0068】
また、本願の一実施態様によれば、上記第1のλ/2波長板と第2のλ/2波長板との間にポジティブCプレートを含むことにより、暗状態で視野角での光漏れを最小限に抑えることができ、これによって、最終的にCT(contrast ratio)の減少を最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0069】
10:上部偏光板
20:下部偏光板
30:液晶パネル
40:第1のλ/2波長板
50:ポジティブCプレート
60:第2のλ/2波長板