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特許7069716生体機能計測解析システム、生体機能計測解析プログラム及び生体機能計測解析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】生体機能計測解析システム、生体機能計測解析プログラム及び生体機能計測解析方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/246 20210101AFI20220511BHJP
【FI】
A61B5/246
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017254677
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019118536
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森瀬 博史
(72)【発明者】
【氏名】工藤 究
(72)【発明者】
【氏名】三坂 好央
(72)【発明者】
【氏名】奥村 栄一
(72)【発明者】
【氏名】木村 友哉
(72)【発明者】
【氏名】川渕 泰之
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-194453(JP,A)
【文献】特開2007-054138(JP,A)
【文献】特開2000-197619(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0148657(US,A1)
【文献】特表2016-501056(JP,A)
【文献】特開2010-036026(JP,A)
【文献】特開2017-162442(JP,A)
【文献】特開2001-037733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/245-5/246
A61B 5/369-5/383
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳の神経活動から発せられる信号を検出するためのセンサにより生体の脳の機能を計測及び解析する生体機能計測解析システムであって、
計測しようとする生体の脳の機能の選択を受け付ける入力受付部と、
生体の脳の機能毎の刺激による生体の脳の反応の計測と解析の組み合わせを示す計測解析手順情報が格納された記憶部を参照し、選択された生体の脳の機能に対応した計測解析手順情報を特定する計測解析手順決定部と、
前記計測解析手順情報にしたがって、対応する刺激装置に対し、前記計測解析手順情報において決められた順に、前記刺激を出力させるように指示する刺激指示部と、
前記刺激と対応して前記センサにより検出される信号を解析する解析部と、を有する生体機能計測解析システム。
【請求項2】
前記計測解析手順情報は、前記刺激を前記刺激装置に出力させる刺激プログラムと、前記信号の解析を実行する解析プログラムと、を対応付けた組を示す情報を含み、
前記刺激指示部は、前記刺激プログラムを実行し、前記解析部は、前記解析プログラムを実行する、請求項1記載の生体機能計測解析システム。
【請求項3】
前記計測解析手順情報は、複数の前記組を示す情報と、複数の前記組の実行順序を示す情報と、を含む、請求項2記載の生体機能計測解析システム。
【請求項4】
前記計測解析手順情報は、
複数の前記組を示す情報と、前記組と組との間のインターバルの時間を示す情報と、を含む、請求項3記載の生体機能計測解析システム。
【請求項5】
複数の前記組における、第一の組の解析プログラムの実行結果に応じて、第二の組の刺激プログラムに含まれるパラメータを変更するパラメータ設定部を有する、請求項3又は4記載の生体機能計測解析システム。
【請求項6】
前記第一の組の解析プログラムと対応付けられた刺激プログラムによる刺激の種類と、前記第二の組の刺激プログラムによる刺激の種類と、が同じである、請求項5記載の生体機能計測解析システム。
【請求項7】
前記生体の脳の機能毎の計測解析手順情報が格納された記憶部と、
複数の刺激プログラムを含む刺激プログラム群と、複数の解析プログラムを含む解析プログラム群とが格納されたプログラム格納部と、
前記センサと、
前記刺激装置と、を有する、請求項3乃至6の何れか一項に記載の生体機能計測解析システム。
【請求項8】
前記刺激プログラム群は、
前記刺激装置からの刺激の出力を停止させるプログラムを含み、
前記刺激の出力を停止させるプログラムは、前記刺激を出力させる刺激プログラムよりも先に実行される、請求項7記載の生体機能計測解析システム。
【請求項9】
前記計測解析手順決定部を有する生体機能計測解析装置と、
前記記憶部と、前記プログラム格納部と、前記解析部と、を有するサーバ装置と、を有する請求項7又は8記載の生体機能計測解析システム。
【請求項10】
前記記憶部と、前記計測解析手順決定部と、前記刺激プログラム群が格納された第一のプログラム格納部と、を有する生体機能計測解析装置と、
前記解析プログラム群が格納された第二のプログラム格納部と、前記解析部と、を有するサーバ装置と、を有する請求項7又は8記載の生体機能計測解析システム。
【請求項11】
前記センサは、磁気センサである、請求項1乃至10の何れか一項に記載の生体機能計測解析システム。
【請求項12】
脳の神経活動から発せられる信号を検出するためのセンサにより生体の脳の機能を計測及び解析する生体機能計測解析システムによる生体機能計測解析方法であって、前記生体機能計測解析システムが、
計測しようとする生体の脳の機能の選択を受け付け、
生体の脳の機能毎の刺激による生体の脳の反応の計測と解析の組み合わせを示す計測解析手順情報が格納された記憶部を参照し、選択された生体の脳の機能に対応した計測解析手順情報を特定し、
前記計測解析手順情報にしたがって、対応する刺激装置に対し、前記計測解析手順情報において決められた順に、刺激を出力させるように指示し、
前記刺激と対応して前記センサにより検出される信号を解析する、生体機能計測解析方法。
【請求項13】
脳の神経活動から発せられる信号を検出するためのセンサにより生体の脳の機能を計測及び解析する生体機能計測解析装置により実行される生体機能計測解析プログラムであって、
計測しようとする生体の脳の機能の選択を受け付ける処理と、
生体の脳の機能毎の刺激による生体の脳の反応の計測と解析の組み合わせを示す計測解析手順情報が格納された記憶部を参照し、選択された生体の脳の機能に対応した計測解析手順情報を特定する処理と、
前記計測解析手順情報にしたがって、対応する刺激装置に対し、前記計測解析手順情報において決められた順に、刺激を出力させるように指示する処理と、
前記刺激と対応して前記センサにより検出される信号を解析する処理と、
を前記生体機能計測解析装置に実行させる生体機能計測解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体機能計測解析システム、生体機能計測解析プログラム及び生体機能計測解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、脳の機能に応じた刺激を被検者に与え、被検者の脳の神経活動を計測して脳の活動を解析し、脳の機能についての情報を取得するシステムが知られている。また、このような従来のシステムでは、計測者による、計測目的の脳の機能の選択を可能とし、選択結果に応じて、刺激を与える時間等を変化させるプログラムを備えたものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のシステムでは、脳の機能の計測の手順が標準化されていない。そのため、従来では、刺激の与え方や解析等の手順が、計測者によって異なるものとなり、計測結果同士を客観的に比較することが困難であった。
【0004】
本発明は、計測結果同士の客観的な比較を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、脳の神経活動から発せられる信号を検出するためのセンサにより生体の脳の機能を計測及び解析する生体機能計測解析システムであって、計測しようとする生体の脳の機能の選択を受け付ける入力受付部と、生体の脳の機能毎の刺激による生体の脳の反応の計測と解析の組み合わせを示す計測解析手順情報が格納された記憶部を参照し、選択された生体の脳の機能に対応した計測解析手順情報を特定する計測解析手順決定部と、前記計測解析手順情報にしたがって、対応する刺激装置に対し、前記計測解析手順情報において決められた順に、前記刺激を出力させるように指示する刺激指示部と、前記刺激と対応して前記センサにより検出される信号を解析する解析部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、計測結果同士の客観的な比較を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第一の実施形態の生体機能計測解析システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】第一の実施形態の生体機能計測解析装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】第一の実施形態の生体機能計測解析装置の機能を説明する図である。
図4】第一の実施形態の手順データベースの一例を示す図である。
図5】第一の実施形態の生体機能計測解析装置の動作を説明する第一のフローチャートである。
図6】第一の実施形態の計測解析処理部の動作を説明する第二のフローチャートである。
図7】第一の実施形態の選択画面の一例を示す図である。
図8】第二の実施形態の生体機能計測解析装置の機能を説明する図である。
図9】第二の実施形態の計測解析処理部の動作を説明するフローチャートである。
図10】第三の実施形態の生体機能計測解析システムを説明する図である。
図11】第四の実施形態の生体機能計測解析システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の生体機能計測解析システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0009】
本実施形態の生体機能計測解析システム100は、生体機能計測解析装置200と、刺激装置300と、磁気センサ400と、を有する。
【0010】
本実施形態の生体機能計測解析システム100では、刺激装置300により、被検者Pに対して刺激を与え、脳の神経活動を誘発させ、磁気センサ400によって、神経活動から発生られる磁場を検出する。磁気センサ400は、検出結果を生体機能計測解析装置200へ出力する。磁気センサ400から生体機能計測解析装置200に対して出力される信号を、センサ出力信号と呼ぶ。
【0011】
生体機能計測解析装置200は、磁気センサ400からセンサ出力信号を取得し、取得した信号を解析した結果を、脳の機能(生体機能)に関する情報(計測結果)として出力する。
【0012】
本実施形態の生体機能計測解析装置200は、手順データベース210と、プログラム格納部215と、計測解析処理部220とを有する。
【0013】
本実施形態の手順データベース210は、刺激装置300に刺激を生成させる刺激プログラムと、刺激と対応したセンサ出力信号の解析に用いる解析プログラムと、が対応付けられた組が、脳の機能毎に組み合わされた計測解析手順情報が格納される。計測解析手順情報の詳細は後述する。
【0014】
本実施形態のプログラム格納部215は、刺激プログラムと、解析プログラムとのそれぞれの実体が格納される。
【0015】
本実施形態の計測解析処理部220は、計測する脳の機能の選択を受け付けて、手順データベース210を参照し、選択された機能に応じた計測解析手順情報を特定する。そして、計測解析処理部220は、特定した計測解析手順情報が示す刺激プログラムと解析プログラムにしたがって、刺激装置300に刺激を生成させ、この刺激と対応して磁気センサ400により検出されるセンサ出力信号の解析を行い、計測結果として出力する。
【0016】
本実施形態では、このように、選択された脳の機能に応じて計測解析手順情報を特定することで、機能毎に決められた手順に従った計測を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、計測者によって計測手順が異なることはなく、計測結果同士を客観的に比較することが可能となる。
【0017】
以下に、本実施形態の生体機能計測解析装置200について、さらに説明する。図2は、第一の実施形態の生体機能計測解析装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0018】
本実施形態の生体機能計測解析装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置21、出力装置22、ドライブ装置23、補助記憶装置24、メモリ装置25、演算処理装置26及びインターフェース装置27を含む情報処理装置である。
【0019】
入力装置21は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置22は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置27は、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0020】
生体機能計測解析プログラムは、生体機能計測解析装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。生体機能計測解析プログラムは例えば記憶媒体28の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。生体機能計測解析プログラムを記録した記憶媒体28は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0021】
また、生体機能計測解析プログラムは、生体機能計測解析プログラムを記録した記憶媒体28がドライブ装置23にセットされると、記憶媒体28からドライブ装置23を介して補助記憶装置24にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた生体機能計測解析プログラムは、インターフェース装置27を介して補助記憶装置24にインストールされる。
【0022】
補助記憶装置24は、インストールされた生体機能計測解析プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置25は、生体機能計測解析装置200の起動時に補助記憶装置24から生体機能計測解析プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置26はメモリ装置25に格納された生体機能計測解析プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0023】
尚、本実施形態の刺激装置300は、生体機能計測解析装置200によって制御される。具体的には、刺激装置300は、生体機能計測解析装置200で実行される刺激プログラムに応じて、被検者Pに与える刺激を生成して出力する。また、刺激装置300は、生体機能計測解析装置200で実行される刺激プログラムに応じて、被検者Pから発せられる磁場等の信号をモニタする。
【0024】
本実施形態の刺激装置300は、例えば、ベルトに設けられた電極等であっても良い。この場合には、刺激装置300は、例えば、被検者Pの腕等に装着され、電気信号あるいは機械的信号が刺激として被検者Pに与えられることになる。
【0025】
また、本実施形態の刺激装置300は、例えば、表示装置や音声出力装置等であっても良い。この場合には、刺激装置300は、例えば、刺激装置300に表示された映像や、刺激装置300から出力される音声等を、刺激として被検者Pに与えることになる。本実施形態の刺激装置300は、このように、計測手順で決められた各種の刺激を被検者Pに対して与えることができる。
【0026】
また、本実施形態の生体機能計測解析システム100では、被検者Pの脳の神経活動から発せられる信号を磁気センサ400により検出するものとしたが、これに限定されない。本実施形態の生体機能計測解析システム100では、脳の神経活動から発せられる信号を検出するためのセンサを有していれば良く、且つ、被検者の生体機能を正確に計測するため、低侵襲であるか、さらに好ましくは非侵襲であると良い。このようなセンサの例として磁気センサ以外に、脳波、光トポグラフィなどがある。また、本実施形態のセンサは、これらセンサを複数種類含んでいても構わない。ただし、その場合、1つのセンサの動作が他のセンサによる計測に影響を与えないことが必要である。とくに、センサの1つとして磁気センサを用いる場合、生体と磁気センサが非接触であっても生体から発せられる信号を取得できるという特徴があるため、センサの装着状態が計測結果に影響を与えない。したがって本発明の実施例として好適である。
このセンサは磁気センサに限定されない。
【0027】
次に、図3を参照して、本実施形態の生体機能計測解析装置200の機能について説明する。図3は、第一の実施形態の生体機能計測解析装置の機能を説明する図である。
【0028】
本実施形態の生体機能計測解析装置200は、手順データベース210と、プログラム格納部215と、計測解析処理部220とを有する。
【0029】
手順データベース210と、プログラム格納部215とは、例えば、生体機能計測解析装置200の補助記憶装置24やメモリ装置25等により実現される。また、本実施形態の計測解析処理部220は、演算処理装置26が、補助記憶装置24やメモリ装置25等に格納された生体機能計測解析プログラムを読み出して実行することで実現される。
【0030】
本実施形態のプログラム格納部215には、刺激装置300に刺激を生成して出力させるための刺激プログラム群216と、磁気センサ400から出力されるセンサ出力信号を解析するための解析プログラム群217とが格納されている。尚、刺激プログラム群216と、解析プログラム群217とは、予めプログラム格納部215に格納されていても良いし、生体機能計測解析装置200が外部装置と通信を行って、ダウンロードしてきても良い。
【0031】
計測解析処理部220は、入力受付部221、手順決定部222、刺激指示部223、センサ出力取得部224、解析部225、結果出力部226を有する。
【0032】
入力受付部221は、生体機能計測解析装置200に対する各種の情報の入力を受け付ける。具体的には、入力受付部221は、例えば、生体機能計測解析システム100において計測される脳の機能(生体機能)を選択する操作を受け付ける。
【0033】
手順決定部222は、入力受付部221において、脳の機能を選択する操作が受け付けられると、手順データベース210を参照し、選択された機能と対応する計測解析手順情報を特定する。言い換えれば、手順決定部222は、選択された脳の機能に応じて、計測手順を決定する。
【0034】
刺激指示部223は、手順決定部222により特定された計測解析手順情報に含まれる刺激プログラムに基づき、刺激装置300に対して刺激を生成させるための指示を行う。言い換えれば、刺激指示部223は、プログラム格納部215の刺激プログラム群216から、特定された計測解析手順情報に含まれる刺激プログラムを読み出して、計測解析手順情報において決められた順に実行する。
【0035】
センサ出力取得部224は、刺激プログラムが実行されているときの磁気センサ400から出力されるセンサ出力信号を取得する。具体的に、センサ出力取得部224は、磁気センサ400の出力端子等と接続されており、出力端子等から接続されるセンサ出力信号を取得する。
【0036】
解析部225は、手順決定部222により特定された計測解析手順情報に含まれる解析プレプログラムのうち、刺激指示部223により刺激の生成が指示された刺激プログラムと対応付けられた解析プログラムに基づき、センサ出力信号の解析を行う。言い換えれば、解析部225は、プログラム格納部215の解析プログラム群217から、刺激の生成が指示された刺激プログラムと対応付けられた解析プログラムを読み出して実行する。
【0037】
結果出力部226は、解析部225による解析結果を、脳の機能の計測結果とし出力する。言い換えれば、結果出力部226は、解析プログラムの実行結果を脳の機能の計測結果として出力する。
【0038】
次に、図4を参照して、本実施形態の手順データベース210について説明する。図4は、第一の実施形態の手順データベースの一例を示す図である。
【0039】
本実施形態の手順データベース210は、情報の項目として、脳の機能、組1、組2、・・・、組N、実行手順を有する。
【0040】
手順データベース210において、項目「脳の機能」と、その他の項目とは対応付けられている。本実施形態の計測解析手順情報は、項目「脳の機能」の値と、その他の項目の値とを含む情報である。
【0041】
項目「脳の機能」の値は、計測の対象となる脳の機能を示す。項目「組1」~「組N」の値は、刺激プログラムと解析プログラムとの対応付けを示す。項目「実行手順」の値は、項目「組1」~「組N」を実行する順番を示す。
【0042】
つまり、本実施形態の計測解析手順情報は、刺激プログラムと解析プログラムとの対応付けを示す情報を含む。言い換えれば、計測解析手順情報は、計測手順としての刺激と解析の組み合わせを示す情報である。
【0043】
図4の例では、例えば、脳の「てんかん活動」の計測を行う場合には、組1、組2の順に刺激プログラムと解析プログラムとが実行されることがわかる。ここで、組1は、刺激プログラムPr1と、解析プログラムPrs1とを対応付けた組であり、組2は、刺激プログラムPr2と、解析プログラムPrs2とを対応付けた組である。
【0044】
したがって、図4の例では、脳の「てんかん活動」の計測手順は、刺激プログラムPr1の実行、解析プログラムPrs1の実行、刺激プログラムPr2の実行、解析プログラムPrs2の実行であることがわかる。
【0045】
また、同様に、図4の例では、脳の「認知機能」の計測を行う場合には、組2、組N、・・・、組1の順に刺激プログラムと解析プログラムとが実行されることがわかる。ここで、 組1は、刺激プログラムPr1と、解析プログラムPrs3とを対応付けた組であり、組2は、刺激プログラムPr3と、解析プログラムPrs4とを対応付けた組である。また、組Nは、刺激プログラムPrxと解析プログラムPryとを対応付けた組である。
【0046】
したがって、脳の「認知機能」の計測手順は、刺激プログラムPr3の実行、解析プログラムPrs5の実行、刺激プログラムPrxの実行、解析プログラムPrsyの実行、・・・、刺激プログラムPr1の実行、解析プログラムPrs3の実行であることがわかる。
【0047】
尚、図4の例では、1つの刺激プログラムに対して1つの解析プログラムが対応付けられるものとしたが、これに限定されない。本実施形態では、1つの刺激プログラムに複数の解析プログラムが対応付けられていても良いし、複数の刺激プログラムに1つの解析プログラムが対応付けられていても良い。
【0048】
また、図4の例では、項目「実行手順」の値として、実行される組の順番のみが示されているが、これに限定されない。手順データベース210では、例えば、項目「実行手順」の値に、ある組(手順)を実行してから、次の組(次の手順)が実行されるまでのインターバル(所定時間)を示す値が含まれていても良い。
【0049】
具体的には、本実施形態では、例えば、項目「脳の機能」の値が、「認知機能」である場合に、項目「実行手順」の値に、組と組の間のインターバルを示す時間が含まれていても良い。
【0050】
この場合、刺激指示部223は、例えば、組1の刺激プログラムPr1に基づき刺激装置300に刺激の生成及び出力を指示した後に、インターバルを示す時間が経過してから、組2の刺激プログラムPr2に基づく指示を刺激装置300に行う。
【0051】
尚、インターバルが示す時間の計測を開始するタイミングは、刺激指示部223が組1の刺激プログラムPr1に基づく指示を行ったタイミングであっても良いし、組1の解析プログラムPrs1の実行が完了したタイミングであっても良い。
【0052】
「てんかん活動」「認知機能」などの計測には、聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚、体性感覚、運動、言語、記憶、注意、遂行、社会性など低次から高次までの様々な脳機能に関連する計測が含まれる。
【0053】
言語、記憶、注意、遂行、社会性等の高次脳機能の計測を行った直後において被検者Pの脳の状態が計測前の状態から変化している場合がある。したがって、本実施形態では、刺激と刺激との間にインターバルを設けることで、被検者Pの脳の状態をそろえることができる。また、聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚、体性感覚、運動等の低次の脳機能の計測においても、複数の低次脳機能を同時に誘発する刺激を用いる場合、同様に刺激と刺激との間にインターバルを設けることで、被検者Pの脳の状態をそろえることができる。
【0054】
例えば、被検者Pに与えられる刺激に、音声を含む映像が含まれる場合、この刺激は聴覚機能と視覚機能に関連した刺激である。したがって、項目「実行手順」の値として、音声を含む映像が刺激として与える刺激プログラムを含む組と次の組の間に、インターバルを示す時間が含まれていることが望ましい。
【0055】
以下に、本実施形態の刺激プログラムにより被検者Pに与えられる刺激について、さらに説明する。
【0056】
本実施形態の生体機能計測解析システム100において、被検者Pに与える刺激には、様々なパターンのものが含まれる。この様々なパターンは、様々なパターンの刺激プログラムを含む組を、様々な手順で実行することで実現される。
【0057】
具体的には、例えば、ある刺激(第一の刺激)を被検者Pに与えた結果を解析した後に、ある刺激とは異なる刺激(第二の刺激)を被検者Pに与えて解析と、さらにその後に再度ある刺激(第一の刺激)を被検者Pに与えて解析しても良い。
【0058】
この場合、実行手順を、第一の刺激を生成させる刺激プログラムを含む第一の組の次に、第二の刺激を生成させる刺激プログラムを含む第二の組を実行し、そして、再度、第一の組を実行させるようにすれば良い。
【0059】
本実施形態では、このように、被検者Pに刺激を与えることで、例えば、最初に被検者Pに与えた第一の刺激に対応した解析結果と、次に被検者Pに与えた第一の刺激に対応した解析結果と、を比較し、第二の刺激が被検者Pに及ぼす影響を推定することができる。
【0060】
また、本実施形態では、例えば、一定時間被検者Pに与える刺激を生成させる刺激プログラムを含む組の次に、この刺激と同じ刺激を一定時間よりも十分長い時間被検者Pに与える刺激プログラムを含む組を組み合わせても良い。
【0061】
この場合は、例えば、一定時間の間被検者Pに与えられる刺激を、機能の計測のテストとし、この刺激を与える刺激プログラムと対応付けられた解析プログラムによる解析結果に応じて、一定時間よりも十分長い時間被検者Pに与える刺激プログラムを含む組を実行するようにしても良い。
【0062】
本実施形態では、一定時間の間被検者Pに与えられる刺激を、単位刺激と呼ぶ。また、一定時間より十分長い時間とは、一定時間の10倍程度の期間であっても良い。
【0063】
さらに、本実施形態では、刺激プログラムと解析プログラムとを対応付けた組には、被検者Pに刺激を与えない刺激プログラムを含む組があっても良い。これにより、いわゆる脳のレスティング・ステイト(安静状態)を計測できる。レスティング・ステイトの解析プログラムとして、脳活動領域の個数を限定しない解析方法、例えばビームフォーマー法を用いることができる。また、複数の脳活動領域の関連性を評価する機能性接続解析を含んでいても良い。
【0064】
この場合の刺激プログラムは、一定期間は刺激装置300に対して、刺激の生成及び出力を停止させるためのプログラムとなる。また、このとき、刺激プログラムは、刺激装置300に、被検者Pから発せられる信号をモニタ(計測)させても良い。被検者Pから発せられる信号とは、例えば、被検者Pの脳波等である。
【0065】
このような、刺激の出力を停止させ、被検者Pをモニタする刺激プログラムを含む実行手順では、この刺激プログラムを含む組を、実行手順の前半、例えば、最初の組としても良い。
【0066】
本実施形態では、刺激の出力を停止させて被検者Pをモニタする刺激プログラムを含む組を、実行手順における前半、例えば、最初の組とすることで、被検者Pに刺激が与えられる前に、被検者Pの安静な状態における脳の神経活動の状態を計測しておくことができる。
【0067】
被検者Pに刺激を与える前の安静な状態で、被検者Pの脳の神経活動の状態を計測しておけば、解析プログラムにおいて、刺激を与えた後の被検者Pの脳の神経活動の状態と比較することで、刺激による影響を考慮した解析を行うことができ、その場合、被検者の状態が一定条件になるよう刺激プログラムの実行フローやパラメータ等を調整した機能計測を行うことができる。
【0068】
例えば、安静な状態における被検者Pの脳波等をモニタすることで、被検者Pが睡眠状態であるか否かを判定することができる。このようにすれば、被検者Pの睡眠中に機能を計測する場合に、生体機能計測解析装置200は、例えば、センサ出力信号の解析結果により、被検者Pが睡眠状態となったことを検出した後に、刺激を与えるようにすることができる。あるいは、被検者Pの覚醒中に機能を計測する場合に、生体機能計測解析装置200は、例えば、眼覚めを誘導するような刺激を与えた後、センサ出力信号の解析結果により、被検者Pが覚醒状態となったことを検出した後に、生体機能計測のための刺激を与えるようにすることができる。
【0069】
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態の生体機能計測解析装置200の処理について説明する。図5は、第一の実施形態の生体機能計測解析装置の動作を説明する第一のフローチャートである。
【0070】
本実施形態の生体機能計測解析装置200は、生体機能計測解析装置200の入力受付部221により、生体機能計測解析装置200のディスプレイ等に、計測する脳の機能を選択させるための選択画面を表示させる(ステップS501)。尚、選択画面が表示されるディスプレイは、生体機能計測解析装置200が有するものでなくても良く、生体機能計測解析装置200と通信を行う端末装置等であっても良い。選択画面の詳細は後述する。
【0071】
続いて、計測解析処理部220は、入力受付部221が、計測する脳の機能の選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS502)。ステップS502において、選択を受け付けない場合、計測解析処理部220は、選択を受け付けるまで待機する。
【0072】
ステップS502において、入力受付部221が選択を受け付けると、計測解析処理部220は、手順決定部222により、手順データベース210を参照し、選択された脳の機能と対応する計測手順を決定する(ステップS503)。
【0073】
言い換えれば、手順決定部222は、手順データベース210を参照し、選択された脳の機能を含む計測解析手順情報を特定する。
【0074】
続いて、計測解析処理部220は、手順決定部222によって決定された計測手順を実行する(ステップS504)。ステップS504の処理の詳細は後述する。
【0075】
続いて、計測解析処理部220は、結果出力部226により、計測結果を出力し(ステップS505)、処理を終了する。
【0076】
以下に、図6を参照して、計測解析処理部220による計測手順の実行の処理について説明する。図6は、第一の実施形態の計測解析処理部の動作を説明する第二のフローチャートである。図6では、図5のステップS504の処理の詳細を示している。
【0077】
本実施形態の計測解析処理部220は、計測解析手順情報が特定されると、刺激指示部223により、計測解析手順情報に含まれる実行手順の組のうち、最初の組に含まれる刺激プログラムをプログラム格納部215から読み出して実行する(ステップS601)。言い換えれば、刺激指示部223は、刺激プログラムを読み出して実行することで、刺激装置300に対して、刺激プログラムに基づく制御を行う。
【0078】
例えば、このときの刺激プログラムが、単位刺激を与えるためのものである場合、刺激指示部223は、単位刺激を被検者Pに出力させるように、刺激装置300を制御する。
【0079】
また、このときの刺激プログラムが、刺激の出力を停止させるものである場合、刺激指示部223は、刺激の出力を停止し、被検者Pから発せられる信号をモニタするように、刺激装置300を制御する。
【0080】
続いて、計測解析処理部220は、センサ出力取得部224により、磁気センサ400から出力されるセンサ出力信号を取得する(ステップS602)。続いて、計測解析処理部220は、解析部225により、ステップS601で実行した刺激プログラムと対応付けられた解析プログラムをプログラム格納部215から読み出して実行する(ステップS603)。
【0081】
続いて、計測解析処理部220は、結果出力部226により、解析プログラムを実行した結果を計測結果として出力する(ステップS604)。
【0082】
次に、計測解析処理部220は、計測解析手順情報の実行手順に、次の組が存在するか否かを判定する(ステップS605)。ステップS605において、次の組が存在しない場合、計測解析処理部220は、処理を終了する。
【0083】
ステップS605において、次の処理が存在する場合、計測解析処理部220は、刺激指示部223により、次の組に含まれる刺激プログラムをプログラム格納部215から読み出して実行する(ステップS606)。
【0084】
続いて、計測解析処理部220は、センサ出力取得部224により、磁気センサ400から出力されるセンサ出力信号を取得する(ステップS607)。次に、計測解析処理部220は、解析部225により、ステップS606で実行された刺激プログラムと対応する解析プログラムを読み出して実行する(ステップS608)。
【0085】
続いて、計測解析処理部220は、結果出力部226により、解析プログラムを実行した結果を計測結果として出力し(ステップS609)、ステップS605へ戻る。
【0086】
本実施形態では、以上のようにして、計測解析手順情報において決められた計測手順を実行する。尚、図6の例では、解析プログラムが実行される度に、解析プログラムの実行結果を計測結果として出力するものとしたが、これに限定されない。本実施形態では、解析プログラムの実行結果を保持しておき、計測手順に含まれる全ての組の実行が終了した後に、計測結果をまとめて出力しても良い。
【0087】
また、図6の例では、各組が時系列に実行されるものとしたが、これに限定されない。本実施形態では、ある組の解析プログラムと、次の組の刺激プログラムとが並列に実行されても良い。
【0088】
また、図6の例では、1つの刺激プログラムに対して1つの解析プログラムが実行されるものとしたが、これに限定されない。本実施形態では、例えば、1つの刺激プログラムを実行して取得されたセンサ出力信号に対し、複数の異なる解析方法を実現する複数の解析プログラムが実行されても良い。複数の解析方法とは、例えば、ダイポール法やビームフォーマー法等である。
【0089】
次に、図7を参照して、生体機能計測解析装置200が表示させる脳の機能の選択画面について説明する。図7は、第一の実施形態の選択画面の一例を示す図である。
【0090】
図7に示す選択画面71には、メッセージ72と、選択欄73とが表示されている。メッセージ72は、計測する脳の機能の選択を促すメッセージである。
【0091】
選択欄73は、脳の機能の一覧と、それぞれの脳の機能毎を選択するためのチェックボックスとを含む。また、別の実施形態として、選択画面は、複数項目から1つだけを選択させる選択画面もありうる。この場合、選択肢として、例えば、「幼児脳機能」「高齢者脳機能」のように、計測者が容易に選択できる選択肢であっても構わない。この場合、計測者が十分な知識がなくても適切な選択を行うことができるため、本発明の生体機能計測解析装置の計測結果どうしを容易に客観的に比較することができるというメリットがある。
【0092】
また、年齢層、性別、等の被検者の客観的属性や、各種心理検査、本発明とは異なる画像検査の結果、あるいは血液検査や髄液検査などの各種検査結果を基にした選択肢は、計測者が容易に選択できるため好ましい。
【0093】
本実施形態では、選択欄73において、計測する脳の機能が選択されると、入力受付部221がその選択を受け付けて、手順決定部222が選択された脳の機能と対応付けられた計測解析手順情報を特定する。
【0094】
したがって、本実施形態によれば、計測者は、計測する脳の機能を選択するだけでよく、被検者Pに刺激を与える順番や、解析を行う順番等を決める必要がない。このため、本実施形態によれば、刺激の与え方や解析等の手順が、計測者によって異なることがなく、計測結果同士を客観的に比較することを可能とする。
【0095】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、解析プログラムによる解析の結果に応じて、刺激プログラムに含まれるパラメータを変更する点が第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0096】
図8は、第二の実施形態の生体機能計測解析装置の機能を説明する図である。本実施形態の生体機能計測解析システム100Aは、生体機能計測解析装置200Aを有する。
【0097】
生体機能計測解析装置200Aは、手順データベース210、プログラム格納部215、計測解析処理部220Aを有する。
【0098】
本実施形態の計測解析処理部220Aは、入力受付部221、手順決定部222、刺激指示部223、センサ出力取得部224、解析部225、結果出力部226、パラメータ設定部227を有する。
【0099】
本実施形態のパラメータ設定部227は、解析部225による解析プログラムの実行結果に応じて、次に実行される刺激プログラムのパラメータを変更する。刺激プログラムに含まれるパラメータとは、例えば、刺激が与えられる時間や、刺激の強度等である。
【0100】
本実施形態のパラメータ設定部227は、例えば、解析部225の解析結果に対して、所定の閾値等を有しており、解析プログラムを実行した結果として出力される値が所定の閾値以上であった場合等に、次に実行される刺激プログラムのパラメータを変更しても良い。ここで、次に実行される刺激プログラムによる刺激は、その前に実行される刺激と同一のものであり、そのパラメータのみが異なる。言い換えれば、次に実行される刺激プログラム(第二の組の刺激プログラム)による刺激の種類は、その前に実行される刺激プログラム(第一の組の刺激プログラム)による刺激の種類と、同一のものであり、そのパラメータのみが異なる。
【0101】
例えば、パラメータ設定部227は、解析プログラムを実行した結果、所定の閾値未満となった場合等には、次の刺激プログラムにおける刺激の強度を大きくしたり、刺激を与える時間を長くしたりしても良い。同一刺激の複数回の試行(例えば、100回以上)からなる刺激に対する反応を要する脳の機能の計測を行う場合、被検者の注意欠如のために、そのうち一部の試行(例えば、10回)は有意な反応とならないことがあるが、そのようなことを避けるために、解析プログラムを実行した結果、有意な試行が脳の機能の計測のために必要な回数に達しなかった場合には、次の刺激プログラムが必要回数以上の追加の同一刺激を与えるようにパラメータを設定する(例えば、12回)。また、例えば、音声刺激の場合には、被検者の注意を引き出すために、音声圧力レベル(SPL)を適当なSPLよりも大きくする(例えば、5dBほど)ことも有効である。
【0102】
次に、本実施形態の生体機能計測解析装置200Aの動作を説明する。本実施形態の生体機能計測解析装置200Aの動作は、計測手順を実行する処理(図5のステップS504)のみが、第一の実施形態と相違する。
【0103】
したがって、以下の図9では、第二の実施形態における計測手順の実行について説明する。図9は、第二の実施形態の計測解析処理部の動作を説明するフローチャートである。図9では、生体機能計測解析装置200Aの手順決定部222によって決定された計測手順を実行する処理を示している。
【0104】
図9のステップS901からステップS905までの処理は、図6のステップS601からステップS605までの処理と同様であるから、説明を省略する。
【0105】
ステップS905において、次の組が存在する場合、計測解析処理部220Aは、パラメータ設定部227により、ステップS903における解析プログラムの実行結果に基づき、次の組に含まれる刺激プログラムのパラメータを設定し(ステップS906)、ステップS907へ進む。
【0106】
ステップS907からステップS910までの処理は、ステップS606からステップS609までの処理と同様であるから、説明を省略する。
【0107】
以上のように、本実施形態によれば、ある刺激を被検者Pに与えた結果に応じて、次に被検者Pに与える刺激の強度や時間を変更することができる。
【0108】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、手順データベース210、プログラム格納部215、解析部225、結果出力部226が生体機能計測解析装置200の外部装置に設けられている点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0109】
図10は、第三の実施形態の生体機能計測解析システムを説明する図である。本実施形態の生体機能計測解析システム100Bは、生体機能計測解析装置200Bと、刺激装置300と、磁気センサ400と、サーバ装置500と、を有する。
【0110】
本実施形態の生体機能計測解析装置200Bは、計測解析処理部220Bを有する。計測解析処理部220Bは、入力受付部221、手順決定部222、刺激指示部223、センサ出力取得部224、通信部228を有する。通信部228は、サーバ装置500を含む外部装置と通信を行う。
【0111】
本実施形態のサーバ装置500は、手順データベース210、プログラム格納部215、解析部225、結果出力部226、通信部510を有する。通信部510は、生体機能計測解析装置200Bを含む他の装置との通信を行う。
【0112】
本実施形態の生体機能計測解析装置200Bは、入力受付部221が計測する脳の機能の選択を受け付けると、通信部228により、サーバ装置500の有する手順データベース210を参照し、手順決定部222により、計測解析手順情報を特定する。このとき、通信部228は、特定された計測解析手順情報をサーバ装置500の解析部225に渡しても良い。
【0113】
また、本実施形態の生体機能計測解析装置200Bは、計測解析手順情報が特定されると、通信部228を介してサーバ装置500を参照し、計測解析手順情報に応じて刺激プログラムを読み出し、刺激指示部223に刺激プログラムを実行させる。
【0114】
そして、生体機能計測解析装置200Bは、刺激指示部223により刺激プログラムが実行されると、通信部228を介して、実行された刺激プログラムを示す情報と、刺激プログラムが実行されたことを示す通知とを、サーバ装置500に送信する。
【0115】
そして、生体機能計測解析装置200Bは、センサ出力取得部224により、磁気センサ400からセンサ出力信号を取得すると、通信部228を介してセンサ出力信号をサーバ装置500へ送信する。
【0116】
サーバ装置500は、刺激プログラムが実行されたことを示す通知と、解析部225により、センサ出力信号に対して計測解析手順情報に応じた解析プログラムを実行し、結果出力部226により、計測結果を出力させる。
【0117】
このように、本実施形態によれば、刺激プログラム群216と解析プログラム群217を格納するプログラム格納部215と、解析処理を行う解析部225と、をサーバ装置500へ設けたため、生体機能計測解析装置200Bにおいて要求される記憶容量や処理負荷を低減することができる。
【0118】
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して、第四の実施形態について説明する。第四の実施形態は、解析プログラム群217を格納する格納部、解析部225、結果出力部226が生体機能計測解析装置200の外部装置に設けられている点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第四の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0119】
図11は、第四の実施形態の生体機能計測解析システムを説明する図である。本実施形態の生体機能計測解析システム100Cは、生体機能計測解析装置200Cと、刺激装置300と、磁気センサ400と、サーバ装置500Aと、を有する。
【0120】
本実施形態の生体機能計測解析装置200Cは、手順データベース210、刺激プログラム群216が格納されたプログラム格納部215A(第一のプログラム格納部)、計測解析処理部220Bを有する。計測解析処理部220Bは、入力受付部221、手順決定部222、刺激指示部223、センサ出力取得部224、通信部228を有する。通信部228は、サーバ装置500Aを含む外部装置と通信を行う。
【0121】
本実施形態のサーバ装置500Aは、解析プログラム群217が格納されたプログラム格納部215B(第二のプログラム格納部)、解析部225、結果出力部226、通信部510を有する。通信部510は、生体機能計測解析装置200Cを含む他の装置との通信を行う。
【0122】
本実施形態の生体機能計測解析装置200Cは、入力受付部221が計測する脳の機能の選択を受け付けると、手順データベース210を参照し、手順決定部222により、計測解析手順情報を特定する。
【0123】
また、本実施形態の生体機能計測解析装置200Cは、計測解析手順情報が特定されると、プログラム格納部215Aに格納された刺激プログラム群216に含まれる刺激プログラムを読み出し、刺激指示部223に刺激プログラムを実行させる。
【0124】
このとき、生体機能計測解析装置200Cは、通信部228を介して、特定された計測解析手順情報をサーバ装置500Aへ送信しても良い。
【0125】
そして、生体機能計測解析装置200Cは、センサ出力取得部224により、磁気センサ400からセンサ出力信号を取得すると、通信部228を介してセンサ出力信号をサーバ装置500Aへ送信する。
【0126】
サーバ装置500Aは、計測解析手順情報を受信すると、解析部225により、プログラム格納部215Bに格納された解析プログラム群217から、計測解析手順情報に応じた解析プログラムを読み出して実行し、結果出力部226により、計測結果を出力させる。
【0127】
このように、本実施形態によれば、解析プログラム群217を格納するプログラム格納部215Bと、解析処理を行う解析部225と、をサーバ装置500Aへ設けたため、解析に関する処理をサーバ装置500Aに実行させることができる。したがって、本実施形態によれば、生体機能計測解析装置200Cの処理負荷を軽減することができる。
【0128】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0129】
100、100A、100B、100C 生体機能計測解析システム
210 手順データベース
215、215A、215B プログラム格納部
220、220A、220B 計測解析処理部
221 入力受付部
222 手順決定部
223 刺激指示部
224 センサ出力取得部
225 解析部
226 結果出力部
227 パラメータ設定部
300 刺激装置
400 磁気センサ
500、500A サーバ装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【文献】特開2001-37733号公報
【文献】特開2008-194453号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11