(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】ミスト回収装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20220511BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 301
(21)【出願番号】P 2018020771
(22)【出願日】2018-02-08
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】立花 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】榎本 忠保
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-034057(JP,A)
【文献】特開2005-297372(JP,A)
【文献】特開2003-236323(JP,A)
【文献】特開2000-229423(JP,A)
【文献】特開2015-214164(JP,A)
【文献】特開平07-017037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を発生させる排気ファンと、
前記排気ファンの下流側に順次並んで配置された複数の開口部材と、を有し、
前記開口部材には、開口部と壁部とが設けられ、
隣り合う2つの前記開口部材の内、上流側の前記開口部材の少なくとも一部の前記開口部は、下流側の前記開口部材の前記壁部と少なくとも一部分が対向し
、
前記複数の開口部材には、前記排気ファンに遠い側の前記開口部の開口面積が前記排気ファンに近い側の前記開口部の開口面積よりも大きい前記開口部材を含む
ことを特徴とするミスト回収装置。
【請求項2】
前記開口部材の前記開口部はスリット形状である
ことを特徴とする請求項1に記載のミスト回収装置。
【請求項3】
前記排気ファンは、前記開口部材に対して偏って配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のミスト回収装置。
【請求項4】
前記複数の
開口部材は一体化されている
ことを特徴とする請求項1ないし
3のいずれかに記載のミスト回収装置。
【請求項5】
前記排気ファンの排気方向は、前記複数の開口部材の並び方向に対して斜めである
ことを特徴とする請求項1ないし
4のいずれかに記載のミスト回収装置。
【請求項6】
液体を吐出する液体吐出手段と、
請求項1ないし
5のいずれかに記載のミスト回収装置と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミスト回収装置、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える印刷装置などの液体を吐出する装置にあっては、液体の吐出に伴って発生するミストをフィルタなどで回収することが行われている。
【0003】
従来、例えば、空気を濾過して排出するフィルタと、フィルタに向かって空気を流通させて排出する排気ダクトとを備え、排気ダクトは、対向する上側内面と下側内面とで排気方向に沿って交互に配置される複数の仕切板を備え、複数の仕切板は、排気方向の逆方向に傾斜して形成される仕切板を含むものが知られている(特許文献1)。
(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示の構成にあっては、フィルタを通過したミストが排気口から排出されるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、排気口からのミストの排出を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係るミスト回収装置は、
気流を発生させる排気ファンと、
前記排気ファンの下流側に順次並んで配置された複数の開口部材と、を有し、
前記開口部材には、開口部と壁部とが設けられ、
隣り合う2つの前記開口部材の内、上流側の前記開口部材の少なくとも一部の前記開口部は、下流側の前記開口部材の前記壁部と少なくとも一部分が対向し、
前記複数の開口部材には、前記排気ファンに遠い側の前記開口部の開口面積が前記排気ファンに近い側の前記開口部の開口面積よりも大きい前記開口部材を含む
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排気口からのミストの排出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の正面説明図である。
【
図4】同実施形態におけるミスト回収装置が駆動されているときの空気の流れの説明に供する側面説明図である。
【
図5】同実施形態における第1開口部材及び第2開口部材の説明に供する正面説明図である。
【
図6】同じく排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【
図7】本発明の第2実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【
図8】本発明の第3実施形態における第1開口部材及び第2開口部材の説明に供する正面説明図である。
【
図9】同じく排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【
図10】本発明の第4実施形態における第1開口部材及び第2開口部材の説明に供する正面説明図である。
【
図11】本発明の第5実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【
図12】本発明の第6実施形態の説明に供する第1開口部材及び第2開口部材の正面説明図である。
【
図13】本発明の第7実施形態におけるミスト回収装置の側面説明図である。
【
図14】本発明の第8実施形態におけるミスト回収装置の側面説明図である。
【
図15】本発明の第9実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【
図16】本発明の第10実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について
図1ないし
図3を参照して説明する。
図1は同印刷装置の正面説明図、
図2は同じく側面説明図、
図3は同じく平面説明図である。
【0011】
印刷装置1は、装置本体100内に、被印刷部材である布地などを保持するプラテン部材300を有するカセット200が着脱可能であり、カセット200を保持して進退移動するステージ111と、ステージ111で保持されたカセット200に保持されている被印刷部材に印刷する印刷手段112とを備えている。
【0012】
ステージ111はスライダ部材113に取付けられ、スライダ部材113はガイド部材114、114に矢印Y方向(送り方向)に往復移動可能に保持されている。スライダ部材113が送り方向に往復移動されることでステージ111が往復移動する。これにより、ステージ111に着脱可能に装着されたカセット200及びカセット200のプラテン部材300に保持されている被印刷部材もY方向に往復移動する。
【0013】
印刷手段112は、ステージ111に対して矢印X方向(主走査方向)に移動するキャリッジ121を有し、キャリッジ121には液体を吐出する液体吐出手段である液体吐出ヘッド122を備えている。
【0014】
また、矢印X方向の一端部側には、キャリッジ121の下方に、液体吐出ヘッド122のメンテナンスを行うメンテナンスユニット130を配置している。メンテナンスユニット130は、液体吐出ヘッド122のノズル面をキャッピングするキャップ131などを備えている。
【0015】
この印刷装置1においては、カセット200のプラテン部材300に被印刷部材をセットした状態で、装置本体100内のステージ111にカセット200を装着して保持する。そして、ステージ111の矢印Y方向への移動と印刷手段112(キャリッジ121)の矢印X方向への往復移動を繰り返すことで、被印刷部材に所要の画像を印刷する。
【0016】
ここで、装置本体100に対するカセット200の着脱側を装置本体100の前側とし、矢印Y方向において、前側の反対側を装置本体100の後側とする。
【0017】
そして、本実施形態の印刷装置1には、装置本体100の両側部であって、装置本体100の後側に、本発明に係るミスト回収装置500、500を配置している。
【0018】
ミスト回収装置500は、排気ダクト501と、ミストを捕集するフィルタ502と、フィルタ502を通過する気流を発生させる排気ファン503と、第1開口部材504と、第2開口部材505とを備えている。
【0019】
排気ダクト501は、カセット200と略同じ高さで吸入口511を有して、吸入される空気を上方に案内する吸入ダクト部501aと、吸入ダクト部501aからフィルタ502を介して空気を吸引する排気ファン503が配置された中間ダクト部501bと、排気ファン503から送り出される空気を後方の排気口515に向けて案内する排出ダクト部501cとを含む。
【0020】
ここで、排出ダクト部501cの矢印Y方向における幅は、中間ダクト部501bの矢印X方向における幅よりも広くしている。
【0021】
排出ダクト部501c内には、排気ファン503の下流側であって、排気口515の上流側に、排気ファン503側から、順次、複数の開口部材を構成する第1開口部材504及び第2開口部材505を配置している。
【0022】
これにより、第1開口部材504及び第2開口部材505は、矢印X方向における幅を排気ファン503の口径よりも広くしている。つまり、排気ファン503は、第1開口部材504、第2開口部材505に対して偏って配置されている。
【0023】
次に、このミスト回収装置500が駆動されているときの空気の流れについて
図4を参照して説明する。
図4は同説明に供する側面説明図である。
【0024】
ミスト回収装置500の排気ファン503を駆動することによって排気ダクト501の吸入口511から装置本体100内の空気が吸引され、気流600が生じる。気流600は、キャリッジ121の近傍から吸入ダクト部501aに吸入され、フィルタ502を通過し、排気ファン503から送り出されて、第1開口部材504及び第2開口部材505を経て、排気口515をから吹き出される。
【0025】
次に、第1実施形態における第1開口部材及び第2開口部材について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は同第1開口部材及び第2開口部材の説明に供する正面説明図であり、(a)は第1開口部材の正面説明図、(b)は第2開口部材、(c)は第1開口部材と第2開口部材とが重なる方向から見た説明図である。
図6は排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【0026】
第1開口部材504は、気流600が通過するスリット形状の複数の第1開口部504aと、気流600の通過を阻止する第1開口部504a以外の壁部504bとを有している。
【0027】
第2開口部材505は、気流600が通過するスリット形状の複数の第2開口部505aと、気流600の通過を阻止する第2開口部505a以外の壁部505bとを有している。
【0028】
本実施形態では、第1開口部材504の複数の第1開口部504a及び複数の第2開口部材505の第2開口部505aは、それぞれX方向に配列している。
【0029】
そして、
図5(c)及び
図6に示すように、隣り合う2つの開口部材となる第1開口部材504と第2開口部材505の内、上流側の開口部材となる第1開口部材504の第1開口部504aは、下流側の開口部材となる第2開口部材505の壁部505bに対向して配置されている。
【0030】
本実施形態では、上流側の第1開口部材504のすべての第1開口部504aが、下流側の第2開口部材505の壁部505bと全部が対向している構成としているが、これに限るものではない。
【0031】
このように構成したので、
図6に示すように、排気ファン503から吹き出される気流600は、第1開口部材504の第1開口部504aに直接流入し、あるいは、壁部504bで方向を曲げられて、第1開口部504aを通過する。
【0032】
この第1開口部材504の第1開口部504aを通過した気流600は、本実施形態では、第2開口部材505の壁部505bに衝突することで方向を曲げられて、第2開口部材505の第2開口部505aを通過して、排気口515から外部に排出される。
【0033】
ここで、排気ファン503から吹き出される気流600には、フィルタ502によって回収されなかったミストが含まれている。
【0034】
このとき、気流600が蛇行しながら第1開口部材504の第1開口部504a、第2開口部材505の第2開口部505aを通過することで、気流600の流速が低下している。したがって、気流600に含まれるミストは、排気ダクト501の壁面、第1開口部材504の壁部504b、第2開口部材505の壁部505bなどに付着し易くなる。
【0035】
これにより、排気口515から排出されるミストが低減する。
【0036】
なお、本実施形態のように第1開口部504a、及び、第2開口部505aをスリット形状の開口部とすることで、形状を簡略化できる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態について
図7を参照して説明する。
図7は同実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【0038】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、排気ファン503は、第1開口部材504及び第2開口部材505に対して偏って配置している。
【0039】
そして、第1開口部材504には、幅W1の第1開口部504aを設けている。一方、第2開口部材505には、排気ファン503から離れるに従って幅W1~W3と広くなる3種類の第2開口部505a1、505a2,505a3を設けている。
【0040】
つまり、第2開口部材505には、排気ファン503から相対的に遠い側には、排気ファン503に近い側の第2開口部505a1よりも開口面積の大きい第2開口部505a2、505a3を設けている。また、この第2開口部505a2,505a3の開口面積は、第1開口部材504の第1開口部504aよりも大きくしている。
【0041】
また、本実施形態では、上流側の第1開口部材504の一部の第1開口部504aが、下流側の第2開口部材505の壁部505bと全部が対向し、残部の第1開口部504aは第2開口部材505の第2開口部505a2,505a3に対向する構成としている。
【0042】
このように、排気ファン503を第2開口部材505に対して偏って配置することで、第2開口部材505の排気ファン503から遠い部分の第2開口部505a2、505a3の開口面積を大きくしても、気流600は第2開口部材505により蛇行されて排気口515から排気される。
【0043】
また、第2開口部材505の排気ファン503から遠い部分の第2開口部505a2.505a3の開口面積を近い部分の第2開口部505a1の開口面積より大きくすることで、気流600は第2開口部505a2、505a3側では流れやすくなる。
【0044】
したがって、通常は、排気ファン503から近い箇所の方が排気量は多いが、第2開口部の開口面積(大きさ)を変えることで、排気口515全体に分散されて排気されるようになる。
【0045】
これにより、排気されるミストを含んだ気流600は、より広い範囲に、より流速が遅い状態で排出されるので、ミストの装置外への付着を低減させることができる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は同実施形態における第1開口部材及び第2開口部材の説明に供する正面説明図であり、(a)は第1開口部材の正面説明図、(b)は第2開口部材、(c)は第1開口部材と第2開口部材とが重なる方向から見た説明図である。
図9は排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【0047】
本実施形態では、排気ファン503のX方向における幅と第1開口部材504及び第2開口部材505の幅はほぼ同じにしている。
【0048】
そして、第1開口部材504は、マトリクス状に配置された複数の第1開口部504a
を有し、第1開口部504a以外の部分は壁部504bとしている。同様に、第2開口部材505は、マトリクス状に配置された複数の第2開口部505aを有し、第2開口部505a以外の部分は壁部505bとしている。
【0049】
そして、
図8(c)及び
図9に示すように、第1開口部材504の第1開口部504aの全部(一部でもよい。)は、第2開口部材505の壁部505bに対向している。
【0050】
これにより、前記第1実施形態と同様に、排気ファン503から排気される気流600は蛇行しながら第1開口部材504の第1開口部504a、第2開口部材505の第2開口部505aを通過して排気口515から排出される。
【0051】
このとき、第1開口部材504の第1開口部504aをマトリクス状に配置して第2開口部材505の壁部505bと対向させているので、矢印X方向だけでなく、矢印Z方向でも気流600の流れが乱れて、気流600は第1実施形態よりも複雑な流れを生じることになる。
【0052】
これにより、排気口515から排出されるミストをより低減することができる。
【0053】
次に、本発明の第4実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は同実施形態における第1開口部材及び第2開口部材の説明に供する正面説明図であり、(a)は第1開口部材の正面説明図、(b)は第2開口部材、(c)は第1開口部材と第2開口部材とが重なる方向から見た説明図である。
【0054】
本実施形態では、第1開口部材504のスリット形状の複数の第1開口部504a、第2開口部材505のスリット形状の複数の第2開口部505aは、Z方向に並べて配置している。
【0055】
このような構成であっても、前記実施形態と同様に、排気ファン503からの気流600が蛇行、乱れることで、排気口515から排出されるミストを低減することができる。
【0056】
次に、本発明の第5実施形態について
図11を参照して説明する。
図11は同実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【0057】
本実施形態では、前記第2実施形態の第1開口部材504及び第2開口部材505を架橋部506で一体化している。
【0058】
このように構成することで、部品点数を削減でき、組立て作業が容易になる。
【0059】
また、第1開口部材、第2開口部材は排気ダクト501と一体化することもできる。
【0060】
次に、本発明の第6実施形態について
図12を参照して説明する。
図12は同実施形態における第1開口部材及び第2開口部材の説明に供する正面説明図であり、(a)は第1開口部材の正面説明図、(b)は第2開口部材、(c)は第1開口部材と第2開口部材とが重なる方向から見た説明図である。
【0061】
本実施形態では、第1開口部材504は、市松模様状(チェッカー状)に配置された複数の第1開口部504aを有し、第1開口部504a以外の部分は壁部504bとしている。同様に、第2開口部材505は、市松模様状(チェッカー状)に配置された複数の第2開口部505aを有し、第2開口部505a以外の部分は壁部505bとしている。
【0062】
そして、
図8(c)に示すように、第1開口部材504の第1開口部504aの全部(一部でもよい。)は、第2開口部材505の壁部505bに対向している。
【0063】
このように構成することで、前記第2実施形態と同様に、より複雑な流れを生じさせて、排気口515から排出されるミストをより低減することができる。
【0064】
次に、本発明の第7実施形態について
図13を参照して説明する。
図13は同実施形態におけるミスト回収装置の側面説明図である。
【0065】
本実施形態では、排気ファン503は、排気方向が第1開口部材504及び第2開口部材505の並び方向に対して斜めになるように、下流側が斜め上方を向く姿勢で傾けて配置している。
【0066】
これにより、排気ファン503から排出される気流600が直接第1開口部材504及び第2開口部材505に直接向かわないので、より気流を乱すことができ、排気口515から排出されるミストをより低減することができる。
【0067】
次に、本発明の第8実施形態について
図14を参照して説明する。
図14は同実施形態におけるミスト回収装置の側面説明図である。
【0068】
本実施形態では、第6実施形態と同様に、排気ファン503は、排気方向が第1開口部材504及び第2開口部材505の並び方向に対して斜めになるように、下流側が斜め上方を向く姿勢に傾けて配置している。
【0069】
そして、第2開口部材505として、上下方向(Z方向)で開口面積の大きさを変化させたものを使用している。ここでは、第2開口部材505の第2開口部505aは、排気ファン503から遠くなるに従って開口面積が広くなる第2開口部505a1、505a2を形成している。
【0070】
これにより、排気ファン503を斜めに配置した場合でも、第2実施形態と同様に、気流600が排気口515全体に分散されて排気されるようになり、より広い範囲に、より流速が遅い状態で排出されるので、ミストの装置外への付着を低減させることができる。
【0071】
次に、本発明の第9実施形態について
図15を参照して説明する。
図15は同実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【0072】
本実施形態では、上流側の開口部材である第1開口部材504の全部(一部でもよい)第1開口部504aが、下流側の開口部材である第2開口部材505の壁部505bの一部分と対向する構成としている。
【0073】
このような構成でも、気流600を乱して流速を遅くし、排気口515から排出されるミストを低減できる。
【0074】
次に、本発明の第10実施形態について
図16を参照して説明する。
図16は同実施形態における排気ファンから排気口までの部分の平断面説明図である。
【0075】
本実施形態では、3枚の開口部材である第1開口部材504、第2開口部材505、第3開口部材507を順次配置している。第3開口部材507は、第3開口部507aと壁部507bとを有している。
【0076】
隣り合う2枚の開口部材となる第1開口部材504の第1開口部504aと第2開口部材505の壁部505bとの対向関係、第2開口部材505の第2開口部505aと第3開口部材507の壁部507bの対向関係は、前記各実施形態で説明したのと同様にすることができる。
【0077】
このように3枚以上の開口部材を配置することで、排気口515から排出されるミストをより低減することができる。
【0078】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0079】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0080】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0081】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0082】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0083】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0084】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0085】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0086】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0087】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0088】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0089】
1 印刷装置
111 ステージ
112 印刷手段
200 カセット
300 プラテン部材
500 ミスト回収装置
501 排気ダクト
502 フィルタ
503 排気ファン
504 第1開口部材
505 第2開口部材
507 第3開口部材
511 吸入口
515 排気口