(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】固定装置
(51)【国際特許分類】
B65D 85/68 20060101AFI20220511BHJP
B65D 19/44 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
B65D19/44 Z
(21)【出願番号】P 2018023909
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】合田秀之
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-116595(JP,U)
【文献】特公昭57-032238(JP,B2)
【文献】米国特許第09309915(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/68
B65D 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
穴部を備え、前記ベース部材上に載置されるシート部材と、
前記シート部材の前記穴部の位置に合わせて設置される固定補助部材と、
前記固定補助部材を介して前記シート部材を前記ベース部材に固定する結合部材と、を有し、
前記固定補助部材は、前記結合部材に接触する接触面を有し、当該接触面は切欠部を有し、前記固定補助部材は当該切欠部を介して前記結合部材から取り外し可能であり、
前記穴部の直径は前記結合部材の外径より大きく、前記固定補助部材を取り外すことで、前記結合部材を取り外さずに前記ベース部材と前記シート部材が分離さ
れ、
前記固定補助部材の側壁部が、第1平面部と、前記第1平面部に隣接する第2平面部とを有し、前記シート部材の隅角部に配置された前記固定補助部材の前記側壁部の前記第2平面部が、前記シート部材の立ち上げたフラップに又は前記立ち上げたフラップの内側に被せられた箱体と接し、前記シート部材の隅角部と隅角部の間に配置された前記固定補助部材の前記側壁部の前記第1平面部が、前記シート部材の立ち上げたフラップに又は前記立ち上げたフラップの内側に被せられた箱体と接する、ことを特徴とする固定装置。
【請求項2】
前記固定補助部材は、その裏面に突起部を有し、前記シート部材は、前記突起部を嵌めるための凹部を有する、ことを特徴とする請求項
1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記結合部材は、前記ベース部材に向かって前記シート部材の前記穴部に通される突出部材と、前記突出部材の一端側に設けられ、前記固定補助部材に当接する当接部材とを有し、
前記突出部材は、前記固定補助部材の前記切欠部から進出可能である、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記固定補助部材の前記側壁部の前記第1平面部及び前記第2平面部は、前記固定補助部材の前記切欠部とは反対側に設けられている、ことを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機・プリンタ等の大型製品を梱包するための梱包装置は、フォークリフトによって搬送することを前提として、フォーク挿入孔を備えたパレット部材の上に製品を配置し、その上側に包装用の箱体が配設されている。このような梱包装置では、パレット部材上に製品を包装した箱体を固定して一体とし、この一体となったパレット部材及び箱体を保管、移送する。
【0003】
ここで、梱包装置に使用される箱体としては段ボール製のものが一般的であり、また、パレット部材としては段ボール製のものも採用されるが、強度、耐久性を考慮すると合板製あるいは木製のものが使用されることが多い。
【0004】
このような梱包装置として、パレット部材に製品などの物品を格納した箱体を固定する技術としてさまざまなものが提案されている。
【0005】
特許文献1では、パレット部材110上に下敷部材130を載置し、製品10を下敷部材130に載せ、その上から箱体120を被せている。そして、パレット部材110の内部にシート部材140を掛け渡し、シート部材140と箱体120をジョイント部材150で結合している。
【0006】
しかしながら、シート部材140をパレット部材110に通して箱体120と結合しているために、下敷部材130とは別に2枚のシート部材140が別途必要となり、廃棄物とコストが増大し得る。また、開梱時に、ジョイント部材150を外した後でシート部材140をパレット部材110から抜き取るという作業が必要となるので、作業工程が増加する。
【0007】
図8に示すように、上記のようなシート部材を必要としない手段として、パレット部材110上に段ボール製のシート部材210を結合部材230にて固定する手段が知られている。結合部材230は、金属製のネジとワッシャから成る。しかし、パレット部材110とシート部材210を分離して廃棄するためには、全ての結合部材230を取り外す必要が有るため、作業工程が増加する。
【0008】
特許文献2では、ジョイントによりパレットの穴部とシート部材の穴部を貫通させ、パレットとシート部材を結合させるが、荷役機器の操作時に荷役機器とジョイントの接触及び破損が懸念される。また、この機構を用いるにはパレットに予め穴を開ける加工を行う必要があり、コストの増大を招く恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、従来よりも廃棄物とコストが増大せず、開梱時や廃棄時に作業工程が増加しない固定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、ベース部材と、穴部を備え、前記ベース部材上に載置されるシート部材と、前記シート部材の前記穴部の位置に合わせて設置される固定補助部材と、前記固定補助部材を介して前記シート部材を前記ベース部材に固定する結合部材と、を有し、前記固定補助部材は、前記結合部材に接触する接触面を有し、当該接触面は切欠部を有し、前記固定補助部材は当該切欠部を介して前記結合部材から取り外し可能であり、前記穴部の直径は前記結合部材の外径より大きく、前記固定補助部材を取り外すことで、前記結合部材を取り外さずに前記ベース部材と前記シート部材が分離され、前記固定補助部材の側壁部が、第1平面部と、前記第1平面部に隣接する第2平面部とを有し、前記シート部材の隅角部に配置された前記固定補助部材の前記側壁部の前記第2平面部が、前記シート部材の立ち上げたフラップに又は前記立ち上げたフラップの内側に被せられた箱体と接し、前記シート部材の隅角部と隅角部の間に配置された前記固定補助部材の前記側壁部の前記第1平面部が、前記シート部材の立ち上げたフラップに又は前記立ち上げたフラップの内側に被せられた箱体と接する、ことを特徴とする固定装置により解決される。
【発明の効果】
【0011】
従来よりも廃棄物とコストが増大せず、開梱時や廃棄時に作業工程が増加しない固定装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る固定装置を示す概略図である。
【
図2】スペーサ部材及び結合部材の概略斜視図である。
【
図3】スペーサ部材及びシート部材の取り外し手順を説明する図である。
【
図4】スペーサ部材の裏面と穴部などを示す概略図である。
【
図5】フラップを立ち上げた状態の固定装置の概略斜視図である。
【
図6】従来技術(特許文献1)に係る梱包装置の斜視図である。
【
図8】シート部材を必要としない従来の手段を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず、参考のために従来技術(特許文献1)に係る梱包装置について説明する。
図6は梱包装置の斜視図を示すものであり、
図7は
図6に示した梱包装置の分解斜視図である。
【0014】
この梱包装置100は、物品、例えばプリンタなどである製品10が梱包される。梱包装置100は、前記製品10が載置されるパレット部材110と、前記製品10の側方及び上方を覆う箱体120と、前記パレット部材110と製品10の間に配置される下敷部材130と、前記パレット部材110にかけ回され前記箱体120と結合される2枚のシート部材140と、前記箱体120と前記シート部材140とを締結するジョイント部材150と、製品10とパレット部材110及び箱体120の間に配置される8つの緩衝部材160とを備える。
【0015】
まず、パレット部材110について説明する。パレット部材110は、平面投影輪郭形状が略4角形となるように形成された合板製あるいは木製の部材である。しかし、パレット部材110は木製の部材に限定されない。
【0016】
パレット部材110は、下板部111と、下板部111の上に配置された支持部材である9個のブロック部材113と、ブロック部材113の上に配置された上板部114と、上板部114の上に配置されたデッキボード板材115と、スペーサ部材116とから構成されている。スペーサ部材116は、デッキボード板材115の間に形成される間隙部に配置され、デッキボード板材115との段差をなくすとともに、間隙部から箱体120の内部に塵芥等が進入するのを防止している。なお、パレット部材110の詳細な構造は特許文献1に記載されており、ここでは述べない。
【0017】
このような構成により、パレット部材110は、4辺を備える略正方形状の輪郭形状をなし、前記4辺のうち相対する2辺を前記下板部111と前記上板部114との間に荷役装置のフォーク部材が挿入されるフォーク挿入辺部180、他の対向する2辺をフォーク部材が挿入されないフォーク非挿入辺部190とされる。
【0018】
そして、フォーク挿入辺部180の一方からフォーク部材が挿入されると、上板部114の下面がフォーク部材の上面部に接触し、フォーク接触部となる。
【0019】
次に箱体120について説明する。箱体120は、段ボール製であり、前記パレット部材110の平面輪郭の内側に収まるよう、また、製品10の高さを考慮して作成される。箱体120は、
図7に示すように、下端部に前記パレット部材110に載置された製品10が挿入される開口部121と、上端部に製品10の上方を覆う蓋部122と、製品10の周囲を囲う4面の縦壁部123,124,125,126と、を備えて構成される。また、前記開口部121の周縁を構成する前記縦壁部123,124,125,126の下端縁が前記パレット部材110を構成するデッキボード板材115及びスペーサ部材116の上面に接触するように構成される。
【0020】
また、前記縦壁部123,124,125,126のうちフォーク非挿入辺部190側に位置する2面の縦壁部124,126には、前記開口部121に近接した位置のそれぞれ2個所に貫通穴部127,127が開設されている。
【0021】
次に下敷部材130について説明する。下敷部材130は、段ボール製の部材であり、前記箱体120の内側において前記パレット部材110に載置され、その上側に製品10が載置される。下敷部材130は、
図7に示すように、製品10が載置される四角形状の底板部131と、底板部131の4辺のうちフォーク非挿入辺部190側の2辺を境界線として上方に向け折曲げられる立上片132と、フォーク挿入辺部180側の2辺を境界として上方に向け折曲げられる立設片134とからなる。
【0022】
底板部131は、製品10が載置されるのに充分な大きさであり、前記箱体120の開口部121の内部に収まる寸法を備える。また、立上片132は、前記箱体120をパレット部材110上に載置したとき貫通穴部127,127の配置位置に相当する位置に開設された開口部133,133を備える。この開口部133,133は、前記箱体120とシート部材140とをジョイント部材150で連結するとき、ジョイント部材150が下敷部材130に接触しないように形成されるものであり、前記貫通穴部127,127より大きい形状寸法を備える。また、前記立上片132及び前記立設片134は、上方に折曲げられた状態で、前記緩衝部材160が配置され、製品10が位置決めできる。
【0023】
また、下敷部材130の底板部131には、緩衝部材160の位置決め用の穴部が形成されており、緩衝部材160の裏面に形成された突起状部分が嵌合され互いの位置関係を定めることができる。
【0024】
次にシート部材140について説明する。シート部材140は、段ボール製の部材であり、パレット部材110のフォーク非挿入辺部190から下板部111と上板部114との間に挿入され、パレット部材110に掛け渡され、ジョイント部材150で箱体120に連結されることにより、箱体120をパレット部材110に固定する。シート部材140は、前記パレット部材110の上板部114を構成するデッキボード板材115に下方から接触する略4角形状の平板部141と、平板部141の4辺のうち2つの相対向する辺を境界線として上方に向け折曲げられる立設部142,142とからなる。
【0025】
立設部142,142は、それぞれパレット部材110から突出し、上方に折曲げられた状態で前記箱体120の貫通穴部127,127を覆う寸法に形成される。また、立設部142,142には、貫通穴部127,127を覆った状態で、貫通穴部127,127に相対する位置に挿入穴部143,143が開設されている。
【0026】
次にジョイント部材150について説明する。ジョイント部材150は、合成樹脂で形成されており、工具等を使用することなく、シート部材140及び箱体120の外側からの操作により2枚の板材を連結、及び連結解除することができる。
【0027】
次に、緩衝部材160について説明する。緩衝部材160は発泡樹脂で製品10の下部と前記下敷部材130との間、製品10の上部と箱体120のとの間にそれぞれ4個配置される。緩衝部材160は、製品10の形状にあわせて発泡樹脂製、例えばEPS(発泡ポリスチレン)やEPE(発泡ポリエチレン)製で作成されている。下方に配置される緩衝部材160は、下敷部材130上での製品10の移動を防止する。また、上方に配置される緩衝部材160は、箱体120内での製品10の振れを防止する。なお、下側に配置される緩衝部材160には、その下面に突起部を形成しておき、下敷部材130にこの突起部が係合する開口を設けておき、突起部と開口とを係合すると緩衝部材160を下敷部材130上に確実に位置決めして配置できる。
【0028】
このような構成の梱包装置100で製品10を梱包するには次の手順で行う(
図7参照)。まず、パレット部材110に下敷部材130を載置する。このとき、立上片132,132及び立設片134,134を境界線から上方に折曲げておく。
【0029】
次に下側に配置される4個の緩衝部材160を下敷部材130の四隅部に配置する。このとき、緩衝部材160の下面の突起部を下敷部材130の開口に係合することで緩衝部材160を下敷部材130上に位置決めして配置できる。
【0030】
そして、製品10を緩衝部材160の上に配置する。これにより、パレット部材110上に製品10が配置されたことになる。
【0031】
この状態で、箱体120を被せる。箱体120は、開口部121を下にして、上方から被せられる。ここで、箱体120の上部は開放できるようになっており、上部が開放した状態の箱体120を被せ、その後製品10の上に4個の緩衝部材160を配置し、その後箱体120の開放部分を閉めてテープで封緘する。箱体120がパレット部材110上に配置された状態で、箱体120の縦壁部123,124,125,126は、下敷部材130の外側に位置し、縦壁部123,124,125,126の下縁であって、前記開口部121の周縁を形成する下縁部は、デッキボード板材115及び、スペーサ部材116に接触した状態となる。この状態で、デッキボード板材115,115の間には、スペーサ部材116,116が配置されているので、この下縁部は一様にパレット部材110の上面に接触し、梱包装置100が積み重ねられても加重が分散され、箱体120が破損することはない。また、箱体120内に塵埃等が進入することも防止される。
【0032】
そして、この状態で、パレット部材110のフォーク非挿入辺部190側から、2枚のシート部材140を差し込む。次いで各シート部材140の立設部142,142を境界線から上方に折曲げる一方、平板部141をデッキボード板材115の下側面に接触させ、シート部材140をパレット部材110に掛け渡す。そして、立設部142,142に開設された挿入穴部143,143を箱体120の縦壁部124,126に開設された貫通穴部127,127に位置合わせし、挿入状態としたジョイント部材150をこの両穴部127,127に差し込み、ジョイント部材150を操作して連結状態とする。
【0033】
これにより、パレット部材110上に製品10が配置された状態で、箱体120とパレット部材110とが固定された状態になる。この状態で、製品10は、パレット部材110や箱体120に直接固定されていないが、緩衝部材160を介して下敷部材130及び箱体120に固定されるので、パレット部材110上に安定して配置される。
【0034】
梱包装置100で梱包された製品10は、パレット部材110のフォーク挿入辺部180側から荷役装置のフォーク部材F(
図6参照)を差し込むことにより、荷役作業を行う状態となる。
【0035】
しかしながら、シート部材140をパレット部材110に通して箱体120と結合しているために、下敷部材130とは別に2枚のシート部材140が別途必要となり、廃棄物とコストが増大し得る。また、開梱時に、ジョイント部材150を外した後でシート部材140をパレット部材110から抜き取るという作業が必要となるので、作業工程が増加する。
【0036】
次に、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る固定装置を示す概略図である。
図1(a)は固定装置の斜視図、
図1(b)は固定装置の分解斜視図である。
図1(b)において、固定装置200は、ベース部材としてのパレット部材110と、穴部216を備え、パレット部材上に載置されるシート部材210と、シート部材210の穴部216の位置に合わせて設置される固定補助部材としてのスペーサ部材250と、スペーサ部材250を介してシート部材210をパレット部材110に固定する結合部材230と、を有する。スペーサ部材250は、結合部材230に接触する接触面251を有し、当該接触面251は切欠部253を有し、スペーサ部材250は当該切欠部253を介して結合部材230から取り外し可能である(
図2参照)。スペーサ部材250を取り外すことで、結合部材230を取り外さずにパレット部材110とシート部材210が分離される。
【0037】
これにより、固定装置200を使用している輸送過程では、パレット部材110とシート部材210が結合部材230により水平方向及び垂直方向に対し強固に結合され、積載される製品を安全に輸送することができる。一方、着荷後はスペーサ部材250を取り外すことにより、パレット部材110とシート部材210を容易に分離することができ、開梱時や廃棄時に作業工程が増加せず、材料毎の分離廃棄性が高められる。また、パレット部材110とシート部材210のほかに余計なシート部材が必要でないため、従来よりも廃棄物とコストが増大しない。さらに、特許文献2のように荷役機器に接触する位置に結合部材230が位置しないため、荷役作業時における結合部材230の破損を防ぐことができる。また、パレット部材110に複雑な加工を予め施すことなく部品を製作できるため、パレット部材110の提供が低コストで可能となる。
【0038】
図1において、パレット部材110は、平面投影輪郭形状が略4角形となるように形成された合板製又は木製の部材であって、その構成は
図6,7に関連して説明したパレット部材110と同一である。パレット部材110の上部には、製品及び緩衝材を積載するためのシート部材210が設けられており、このシート部材210は段ボール製である。シート部材210は、製品10が載置される四角形状の平板部211と、平板部211の4辺のうちフォーク挿入辺部180側の2辺を境界線として上方に向け折曲げられるフラップ212と、フォーク非挿入辺部190側の2辺を境界として上方に向け折曲げられるフラップ214とからなる。フラップ212及びフラップ214は長方形の形状を有する。
【0039】
なお、固定装置200に搭載する製品の一例は画像形成装置である。また、本発明の実施形態に係る固定装置200は、大型テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの画像形成装置以外の電気製品を運搬する装置にも適用できる。
【0040】
シート部材210には、フォーク挿入辺部180の方向に見て2列の穴部が形成されており、計6箇所の穴部216が形成されている。6箇所の穴部216のうち、4箇所はシート部材210の隅角部に配置され、他の2箇所は隅角部と隅角部の中央に配置されている。これらの穴部216は、シート部材210をパレット部材110上に載置したときに、デッキボード板材115上に位置するよう配置されている。
【0041】
シート部材210の取り付け手順としては、シート部材210をパレット部材110上に載置し、その後、これら穴部216の位置に合わせてスペーサ部材250を設置し、スペーサ部材250の上方から結合部材230を挿入することでシート部材210をパレット部材110に固定する。このスペーサ部材250は樹脂製であって、結合部材230は金属製のネジ230aとワッシャ230bからなる(
図2参照)。
【0042】
ネジ230aとして木ねじ又はパレットスクリューを用い、これを締め付けることにより、予めパレット部材110に加工を施す事無く、パレット部材110とシート部材210の締結が可能である。
【0043】
図2は、スペーサ部材及び結合部材の概略斜視図である。
スペーサ部材250は円形の基本形状を有する。スペーサ部材250は、スペーサ部材250の周囲に沿って位置する平坦な上面255と、上面255に隣接する側壁部257と、スペーサ部材250の略中央部にて上面255よりも低い位置に形成され、結合部材230と接触する平坦な接触面251と、接触面251に形成された切欠部253とを有する。側壁部257は、切欠部253と対向する位置に配置された第1平面部257aと、切欠部253と対向する位置に配置され第1平面部257aに隣接する第2平面部257bを有する。
【0044】
このように、スペーサ部材250は接触面251及び切欠部253を有しており、組み立て時はスペーサ部材250をシート部材210上に設置した状態で結合部材230(ネジ及びワッシャ)を取り付けることにより、固定装置200の組み立てが実現される。また、スペーサ部材250に切欠部253が形成されているため、結合部材230が切欠部253を通る方向にスペーサ部材250を引き抜くことで、スペーサ部材250をシート部材210及び結合部材230から取り外すことができる。
【0045】
結合部材230は、パレット部材110に向かってシート部材210の穴部216に通される突出部材としての金属製のネジ230aと、ネジ230aの一端側に設けられ、スペーサ部材250に当接する当接部材としてのワッシャ230bから成る。これにより、シート部材210とパレット部材110を容易に一体化し、固定装置200の組み立てを容易に実現できる。ネジ230aは、スペーサ部材250の切欠部253から進出可能である。スペーサ部材250の下部に位置するシート部材210上には、穴部216が形成されており、ネジ230aがこの穴部216を挿通されてパレット部材110にねじ込まれる。ワッシャ230bをスペーサ部材250上に配置した時、ワッシャ230bの下面がスペーサ部材250の接触面251に接触する。このとき、接触面251は上面255よりも低い位置に形成されているため、ネジ230aはスペーサ部材250の上面255より上方に突出しない。
【0046】
スペーサ部材250は樹脂製であり、樹脂製とすることで、スペーサ部材250の側壁部257の第1平面部257a及び第2平面部257bを、切欠部253の開放部とは反対側に設けつつ、第1平面部257a及び第2平面部257bと、切欠部253の開放部を一体の部材として成型することができる。第1平面部257a及び第2平面部257bを、切欠部253の開放部とは反対側に設けることで、開梱時や廃棄時におけるスペーサ部材250の固定装置200からの分離・引き抜きを容易化することができる。
【0047】
前記したように、スペーサ部材250は樹脂製であり、樹脂製とすることで、スペーサ部材250の複数の壁面、すなわち側壁部257の第1平面部257a及び第2平面部257bを一体の部材として成型することができる。同時に、
図5に関連して後述するように、パレット部材110上のスペーサ部材250の位置と外装箱(箱体120)との距離を考慮することにより、同一のスペーサ部材250を用いて、外装箱のコーナー部及び平面部にスペーサ部材を接触させることができる。スペーサ部材を一体の部材として成型することで、複数種類のスペーサ部材が不要となり、コスト低減に繋がる。
【0048】
次に、
図3を用いてスペーサ部材及びシート部材の取り外し手順を説明する。
図3(a)は、
図1(a)と同様に、シート部材210が結合部材230及びスペーサ部材250によってパレット部材110に固定されている状態を示す概略斜視図であり、シート部材210の1つの隅角部の拡大図も示されている。
シート部材210の取り外しのために、まず、スペーサ部材250を外側に、すなわち結合部材230が切欠部253を通る方向に引き抜く。このとき、下側に配置されたシート部材210は段ボール製のため、上側からの加圧によって潰れ、スペーサ部材250とシート部材210との摩擦力が低減し、スペーサ部材250を外側に容易に引き抜くことができる。スペーサ部材250を用いることで、シート部材210を確実に固定しつつ、専用の工具を用いずにスペーサ部材250を取り外すことができる。
【0049】
なお、
図4に関連して後述するように、スペーサ部材250の裏面に突起部259が設けられている場合は、スペーサ部材250の第1平面部257a及びこれに隣接する上面255の部分を上方に持ち上げることにより、樹脂製のスペーサ部材が撓むため、突起部259がシート部材210の凹部218を乗り越え、スペーサ部材250を引き抜くことが可能となる。
【0050】
図3(b)は、スペーサ部材250を引き抜いた状態を示す概略斜視図である。
スペーサ部材250を外側に引き抜くことで、拡大図に示すように、パレット部材110に固定された結合部材230及びシート部材210が残る。ここで、シート部材210に予め開けられた穴部216の直径Xは、ワッシャ230bの外径Yよりも大きく設定されている。よって、この状態で、シート部材210をワッシャ230bの上側に引き抜くことが可能となる。
【0051】
例えば、ワッシャ230bは直径25mmのものが使用され、このとき、シート部材210の穴部216の径として25mm以上を設定する。ただし、穴部216の最大径はスペーサ部材250に隠れる範囲、すなわちスペーサ部材250よりも小さいサイズとする。
【0052】
図3(c)は、シート部材210を上方に引き抜いた状態を示す概略斜視図である。
図示のように、シート部材210を引き抜くと、パレット部材110とパレット部材に固定された結合部材230のみが残る。
【0053】
図4は、スペーサ部材の裏面と穴部などを示す概略図である。
図4(a)はスペーサ部材の裏面の概略斜視図、
図4(b)はスペーサ部材の取り付け状態の概略斜視図、
図4(c)は穴部を示す概略斜視図である。
図4(a)に示すように、スペーサ部材250の裏面には突起部259が形成されており、突起部259は、裏面縁261が形成する一平面よりも上方に突出している。また、
図4(c)に示すように、シート部材210には突起部259を嵌めるための凹部218が設けられている。よって、スペーサ部材250の裏面に形成された突起部259をこの凹部218に嵌めることにより、
図4(b)に示すようにスペーサ部材250を位置決めできるとともに、スペーサ部材250の回転及び移動が抑制され、シート部材210から外れることが抑制される。ゆえに、製品の輸送過程及び梱包装置納品時における製品の破損が防止される。なお、凹部218は、シート部材210を貫通する貫通孔として構成されても、貫通していない陥没部として構成されてもよい。
【0054】
図5は、フラップを立ち上げた状態の固定装置の概略斜視図である。
前述したように、スペーサ部材250の側壁部257は、切欠部253と対向する位置に配置された第1平面部257aと、第1平面部257aに隣接する第2平面部257bを有する。図示のように、製品を積載した使用状態では、シート部材210の周囲に設けられたフラップ212,214を立ち上げ、四隅をテープ等で固定する。また点線で示される箱体120(
図7参照)を用いる時は、立ち上げたフラップ212,214の内側に箱体120を被せる。このとき、拡大図に示すように、スペーサ部材250の側壁部257が立ち上げたフラップ212,214又は箱体120の内面に接触する。具体的には、隅角部に配置されたスペーサ部材250の側壁部257の第2平面部257bが、立ち上げたフラップ212及び214に又は立ち上げたフラップ212及び214の内側に被せられた箱体120の内面に接する。また、隅角部と隅角部の間に配置されたスペーサ部材250の側壁部257の第1平面部257aが、立ち上げたフラップ212に又は立ち上げたフラップ212の内側に被せられた箱体120の内面に接する。これにより、スペーサ部材250及び結合部材230の移動や外れが確実に防止される。
【0055】
次に、固定装置を用いた梱包装置の開梱作業について説明する。
まず固定装置200を用いた梱包作業に関して、
図5に示すように固定装置200を組み立て、この固定装置200に、
図7に示すように製品10を載置し、その上から箱体120を被せ、最後に樹脂製のジョイント部材150を用いて箱体120とシート部材210を締結する。このように、箱体120は、
図6,7に記載した樹脂製のジョイント部材150によりシート部材210に結合される。
【0056】
なお、フラップ212は、箱体120をシート部材210上に載置したとき貫通穴部127,127の配置位置に相当する位置に開設された開口部213,213を備える。この開口部213,213を介して、箱体120とシート部材210とをジョイント部材150で連結することができる。
【0057】
従って開梱作業においては、着荷時にこのジョイント部材150を外すことにより、ジョイント部材150と箱体120のみを先行して取り外すことが可能である。箱体120を取り外すことにより、
図5に示すように固定装置200が残るため、その後はスペーサ部材250を
図3の手順に従って取り外すことができ、さらに、スペーサ部材250を取り外すことで結合部材230を取り外さずにシート部材210を上方に取り外すことができる。このようにしてパレット部材110とシート部材210が分離されるため、従来よりも廃棄物とコストが増大せず、開梱時や廃棄時に作業工程が増加しない。
【符号の説明】
【0058】
110 パレット部材(ベース部材)
200 固定装置
210 シート部材
216 穴部
230 結合部材
250 スペーサ部材(固定補助部材)
251 接触面
253 切欠部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【文献】特許5240464号公報
【文献】特開平05-193644号公報