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特許7069879画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018047335
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019155782
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】横山 敦至
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-246879(JP,A)
【文献】特開2017-132151(JP,A)
【文献】特開2009-279817(JP,A)
【文献】特開2009-255386(JP,A)
【文献】特開2018-008505(JP,A)
【文献】特開2013-128916(JP,A)
【文献】特開2000-158745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の凹凸形状を検知する検知部と、
前記記録媒体に液体を吐出する吐出部と、
前記凹凸形状を示す情報に基づいて、印刷品質を保証可能な値として登録された複数のギャップ候補値の中から前記吐出部と前記記録媒体との接触を回避可能なギャップ候補値を選択する選択部と、
前記吐出部と前記記録媒体との間のギャップが前記選択されたギャップ候補値となるように前記吐出部と前記記録媒体との相対的位置を調整する調整部と、
を備え
前記選択部は、前記記録媒体上の凸部の高さと接触回避のための第1のマージンとの和である仮想ギャップ値が第1のギャップ候補値以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と、印刷品質を保証するための第2のマージンとの和以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と前記第2のマージンとの和より大きい場合には、前記第1のギャップ候補値より大きい第2のギャップ候補値を選択する、画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体の凹凸形状を検知する検知部と、
前記記録媒体に液体を吐出する吐出部と、
前記凹凸形状を示す情報に基づいて、印刷品質を保証可能な値として登録された複数のギャップ候補値の中から前記吐出部と前記記録媒体との接触を回避可能なギャップ候補値を選択する選択部と、
前記吐出部と前記記録媒体との間のギャップが前記選択されたギャップ候補値となるように前記吐出部と前記記録媒体との相対的位置を調整する調整部と、
前記凹凸形状と印刷領域との重なりを判定する重なり判定部
え、
前記選択部は、前記記録媒体上の凸部と前記印刷領域とが重なる場合には、前記複数のギャップ候補値の中から、前記吐出部と前記凸部との接触を回避可能であると共に前記凸部への印刷に対する印刷品質を保証可能な前記ギャップ候補値を選択する、画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体の凹凸形状を検知する検知部と、
前記記録媒体に液体を吐出する吐出部と、
前記凹凸形状を示す情報に基づいて、印刷品質を保証可能な値として登録された複数のギャップ候補値の中から前記吐出部と前記記録媒体との接触を回避可能なギャップ候補値を選択する選択部と、
前記吐出部と前記記録媒体との間のギャップが前記選択されたギャップ候補値となるように前記吐出部と前記記録媒体との相対的位置を調整する調整部と、
を備え、
前記検知部は、
前記記録媒体の存在を検知するための光を水平方向に射出する発光素子と、前記記録媒体を水平方向及び垂直方向に変位させる機構とを含み、
前記記録媒体を垂直方向に変位させて前記記録媒体上の凹部を検知した後に前記記録媒体を水平方向に変位させることにより前記記録媒体の凸部を検知する、画像形成装置。
【請求項4】
前記検知部は、
垂直方向に沿って配置された複数の前記発光素子を含み、
上部に配置された第1の発光素子により前記凸部の始端を検知し、下部に配置された第2の発光素子により前記凸部の終端を検知する、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体の凹凸形状を検知するステップと、
前記凹凸形状を示す情報に基づいて、印刷品質を保証可能な値として登録された複数のギャップ候補値の中から前記記録媒体に液体を吐出する吐出部と前記記録媒体との接触を回避可能なギャップ候補値を選択するステップと、
前記吐出部と前記記録媒体との間のギャップが前記選択されたギャップ候補値となるように前記吐出部と前記記録媒体との相対的位置を調整するステップと、
を含み、
前記選択するステップでは、前記記録媒体上の凸部の高さと接触回避のための第1のマージンとの和である仮想ギャップ値が第1のギャップ候補値以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と、印刷品質を保証するための第2のマージンとの和以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と前記第2のマージンとの和より大きい場合には、前記第1のギャップ候補値より大きい第2のギャップ候補値を選択する、画像形成方法。
【請求項6】
コンピュータに、
記録媒体の凹凸形状を検知する処理と、
前記凹凸形状を示す情報に基づいて、印刷品質を保証可能な値として登録された複数のギャップ候補値の中から前記記録媒体に液体を吐出する吐出部と前記記録媒体との接触を回避可能なギャップ候補値を選択する処理と、
前記吐出部と前記記録媒体との間のギャップが前記選択されたギャップ候補値となるように前記吐出部と前記記録媒体との相対的位置を調整する処理と、
を実行させ
前記選択する処理では、前記記録媒体上の凸部の高さと接触回避のための第1のマージンとの和である仮想ギャップ値が第1のギャップ候補値以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と、印刷品質を保証するための第2のマージンとの和以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と前記第2のマージンとの和より大きい場合には、前記第1のギャップ候補値より大きい第2のギャップ候補値を選択する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
衣服等の凹凸のある記録媒体に画像を印刷することが可能なインクジェット方式の画像形成装置が利用されている。このような画像形成装置においては、インクを吐出する吐出部が記録媒体の凸部に接触しないように、吐出部と記録媒体との間のギャップ(間隔)を調整する機構が必要となる。
【0003】
例えば、揺動フラップの揺動自由端を記録媒体の凹凸に接触させることにより生ずる揺動量に基づいて記録媒体の凹凸情報を取得し、取得された凹凸情報に基づいて吐出部と記録媒体との間のギャップを調整する画像形成装置が開示されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐出部と記録媒体との接触を回避するためには、記録媒体の凸部を検知し、吐出部と凸部との間に所定のギャップが形成されるように吐出部と記録媒体との相対的位置を調整する必要がある。しかしながら、凸部のみを基準としてギャップを設定すると、凹部に印刷される画像の品質が損なわれる場合がある。また、全ての凹凸形状に合わせて逐次ギャップを調整すると、印刷速度が大きく低下する。従って、凹凸のある記録媒体に画像を印刷するインクジェット方式の画像処理装置において、吐出部と記録媒体との接触回避の確実性の低下や印刷速度の低下を招くことなく、印刷品質の向上を図ることは困難であった。このような問題は、従来技術によっては解決することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、吐出部と記録媒体との接触回避の確実性の低下や印刷速度の低下を招くことなく、印刷品質の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一形態である画像形成装置は、記録媒体の凹凸形状を検知する検知部と、前記記録媒体に液体を吐出する吐出部と、前記凹凸形状を示す情報に基づいて、印刷品質を保証可能な値として登録された複数のギャップ候補値の中から前記吐出部と前記記録媒体との接触を回避可能なギャップ候補値を選択する選択部と、前記吐出部と前記記録媒体との間のギャップが前記選択されたギャップ候補値となるように前記吐出部と前記記録媒体との相対的位置を調整する調整部と、を備え、前記選択部は、前記記録媒体上の凸部の高さと接触回避のための第1のマージンとの和である仮想ギャップ値が第1のギャップ候補値以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と、印刷品質を保証するための第2のマージンとの和以下である場合には、前記第1のギャップ候補値を選択し、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値より大きい場合、かつ、前記仮想ギャップ値が前記第1のギャップ候補値と前記第2のマージンとの和より大きい場合には、前記第1のギャップ候補値より大きい第2のギャップ候補値を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出部と記録媒体との接触回避の確実性の低下や印刷速度の低下を招くことなく、印刷品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す正面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る画像形成装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る記録媒体の凹凸形状の検知方法例を示す正面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る記録媒体の凹凸形状の検知方法例を示す側面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る制御部のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るプロッタ制御部の機能構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るギャップ調整制御部の機能構成例を示すブロック図である。
図8図8は、比較例に係る記録媒体とキャリッジとの間のギャップの例を示す側面図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る仮想ギャップ値が第1のギャップ候補値以下である場合の例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る仮想ギャップ値が第1のギャップ候補値より大きく且つ第2のギャップ候補値以下である場合の例を示す図である。
図11図11は、第1の実施形態に係るギャップの設定処理例を示すフローチャートである。
図12図12は、第2の実施形態に係る画像形成装置におけるギャップの設定例を示す図である。
図13図13は、第2の実施形態に係るギャップの設定処理例を示すフローチャートである。
図14図14は、第3の実施形態に係るギャップ調整制御部の機能構成例を示すブロック図である。
図15図15は、第3の実施形態に係る凸部と印刷領域とが重なっている場合の例を示す図である。
図16図16は、第3の実施形態に係る凸部と印刷領域とが重なっている場合の例を示す図である。
図17図17は、第3の実施形態に係るギャップの設定処理例を示すフローチャートである。
図18図18は、第4の実施形態に係る記録媒体の凹凸形状の検知方法例を示す側面図である。
図19図19は、第5の実施形態に係る記録媒体の凹凸形状の検知方法例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更、及び組み合わせを行うことができる。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の構成例を示す正面図である。画像形成装置1は、インクジェット方式の印刷機構により、衣服、布帛等の凹凸を有する記録媒体10に印刷が可能な装置である。画像形成装置1は、印刷専用機であってもよいし、印刷以外の機能(例えば複写機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等)を有する複合機であってもよい。図中、X軸は主走査方向(キャリッジ12の主な移動方向)に対応し、Y軸は副走査方向(記録媒体10の主な移動方向)に対応し、Z軸は上下(垂直)方向に対応する。「正面図」とは、主走査方向を図面の左右方向としたときの図である。
【0011】
画像形成装置1は、プラテン11、キャリッジ12(吐出部)、発光素子13、及び受光素子14を含む。プラテン11は、記録媒体10が載置され、適宜な駆動機構により少なくとも副走査方向及び上下方向に変位する。キャリッジ12は、インク(液体)を吐出する吐出ヘッドを内蔵し、適宜な駆動機構により少なくとも主走査方向に変位する。発光素子13は、レーザ光15を射出するデバイスであり、例えばLED等を利用して構成され得る。本実施形態に係る発光素子13は、レーザ光15を水平方向、すなわち記録媒体10の主要な面と平行な方向に射出する。受光素子14は、発光素子13から射出されたレーザ光15を受光して電流を発生させるデバイスであり、光電変換素子等を利用して構成され得る。
【0012】
図2は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の制御部101の構成例を示すブロック図である。制御部101は、画像形成装置1全体の制御を司る電子制御ユニットであり、本例では、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、NVRAM(Non-volatile Random Access Memory)114、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)115、ホストI/F(Interface)116、I/O(Input/Output)ポート117、印刷制御部121、主走査モータ駆動部122、副走査モータ駆動部123、及びギャップ調整部124を含む。
【0013】
CPU111は、ROM112等に記憶されたプログラムに従って画像形成装置1の機能を実現するための各種演算処理を実行する。ROM112は、プログラム、その他の固定データ等を記憶する。RAM113は、CPU111のワークエリアや画像データ等を一時的に保持する記憶領域として利用される。NVRAM114は、電源が遮断されている間もデータを保持し、書き換え可能な記憶領域として利用される。ASIC115は、画像処理(例えば、画像データに対する各種信号処理、並び替え等)、その他の入出力信号処理等を行う回路である。ホストI/F116は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読取装置、デジタルカメラ等の撮像装置等のホストに備えられたプリンタドライバ51との間でデータ及び信号の送受を行う。I/Oポート117は、キャリッジ12の主走査方向の位置を検知する主走査エンコーダ55からの検知信号、記録媒体10の副走査方向の位置を検知する副走査エンコーダ57からの検知信号、及び受光素子14からの検知信号を受信する。制御部101は、ユーザとの間で各種情報の入出力を可能にする操作パネル52と接続している。
【0014】
印刷制御部121は、1つ又は複数の駆動パルスで構成される駆動波形を、吐出ヘッド21を制御するヘッドドライバ53に対して出力する。印刷制御部121は、ROM112に記憶されCPU111により読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器、増幅器等を利用して構成され得る。ヘッドドライバ53は、シリアルに入力される吐出ヘッド21の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて生成された駆動パルスを吐出ヘッド21へ出力する。ヘッドドライバ53は、例えば、クロック信号及びシリアルデータを入力するシフトレジスタ、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路、ラッチ回路の出力値をレベル変化させるレベル変換回路(レベルシフタ)、レベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる駆動パルスを選択的に吐出ヘッドの圧力発生手段に印加する。制御部101は、プリンタドライバ51が生成した印刷データ等をネットワーク及びホストI/F116を介して受信する。CPU111は、ホストI/F116に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。ASIC115は、必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、処理後のデータを印刷制御部121に転送する。印刷制御部121は、ASIC115から受信したデータに基づくタイミングでキャリッジ12内の吐出ヘッド21に画像データ、駆動波形等を出力する。なお、画像データ等を出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM112に記憶されたフォントデータを利用して行われてもよいし、プリンタドライバ51で画像データをビットマップデータに展開してもよい。ここでは、ドットパターンデータの生成をプリンタドライバ51で行う例を示している。
【0015】
主走査モータ駆動部122は、キャリッジ12を主走査方向に変位させる主走査モータ54を制御する駆動波形を出力する。主走査モータ54は、主走査モータ駆動部122から受信した駆動波形に応じて駆動し、キャリッジ12を主走査方向に変位させる。主走査エンコーダ55は、キャリッジ22の主走査方向の位置を示す検知信号をI/Oポート117に出力する。
【0016】
副走査モータ駆動部123は、記録媒体10を変位させる部材(プラテン11等)を副走査方向に変位させる副走査モータ56を制御する駆動波形を出力する。副走査モータ56は、副走査モータ駆動部123から受信した駆動波形に応じて駆動し、記録媒体10を副走査方向に変位させる。副走査エンコーダ57は、記録媒体10の副走査方向の位置を示す検知信号をI/Oポート117に出力する。
【0017】
ギャップ調整部124は、記録媒体10が載置されるプラテン11を昇降(上下方向に変位)させるプラテンモータ58を制御する駆動波形を出力する。プラテンモータ58は、ギャップ調整部124から受信した駆動波形に応じて駆動し、記録媒体10とキャリッジ12との相対的位置を変化させ、記録媒体10とキャリッジ12との間のギャップを変化させる。また、ギャップ調整部124は、プラテン11を昇降させている間に、発光素子13に駆動電流を供給する発光素子ドライバ59を駆動させる。この間に受光素子14により検知される検知信号は、I/Oポート117に出力される。ギャップ調整部124は、受光素子14からの検知信号に基づいて、記録媒体10の表面の凹凸形状を示す形状情報を生成し、形状情報に基づいて記録媒体10とキャリッジ12との間のギャップを調整する。
【0018】
図3は、第1の実施形態に係る記録媒体10の凹凸形状の検知方法例を示す正面図である。図3に示すように、記録媒体10の凹凸形状の検知時には、発光素子13がレーザ光15を射出している状態で記録媒体10が載置されたプラテン11を上昇させていき、レーザ光15が記録媒体10により遮断されたら(受光素子14がレーザ光15を検知しなくなったら)プラテン11を停止させる。このときのプラテン11(記録媒体10)の位置は、記録媒体10の凸部の高さに対応する。
【0019】
図4は、第1の実施形態に係る記録媒体10の凹凸形状の検知方法例を示す側面図である。「側面図」とは、副走査方向を図面の左右方向としたときの図である。図4に示すように、プラテン11を副走査方向へ所定の検知間隔毎にずらしていき、図3に示した方法により凸部71及び凹部72を検知していく。これにより、記録媒体10の複数個所において凸部71及び凹部72の高さを検知することができ、記録媒体10の全体的な凹凸形状を把握することができる。
【0020】
図5は、第1の実施形態に係る制御部101のソフトウェア構成例を示すブロック図である。制御部101は、プリンタ部201、パネル制御部202、メモリ管理部203、システム管理部204、通信制御部205、プロッタ制御部206、及びOS(Operating System)207を含む。
【0021】
プリンタ部201は、印刷機能に関する制御を行う。パネル制御部202は、操作パネル52への出力、操作パネル52からの入力等に関する制御を行う。メモリ管理部203は、RAM113の管理等を行う。システム管理部204は、NVRAM114を用いた不揮発な設定値の管理等を行う。通信制御部205は、ホストI/F116の制御を行う。プロッタ制御部206は、印刷に関するハードウェアの制御を行う。オペレーティングシステム207は、上記各部201~206を動作させるための基本的な処理、例えばデータ入出力処理、ハードウェア管理処理、プロセス管理処理等を行う。
【0022】
図6は、第1の実施形態に係るプロッタ制御部206の機能構成例を示すブロック図である。プロッタ制御部206は、印刷処理部221、ギャップ調整制御部222、主走査モータ駆動制御部223、及び副走査モータ駆動制御部224を含む。
【0023】
印刷処理部221は、上記印刷制御部121による処理、すなわち画像データに基づいてヘッドドライバ53を制御する処理等を行う。ギャップ調整制御部222は、上記ギャップ調整部124による処理、すなわち記録媒体10とキャリッジ12との間に適切なギャップが確保されるようにプラテン11を昇降させる処理等を行う。主走査モータ駆動制御部223は、上記主走査モータ駆動部122による処理、すなわちキャリッジ12を主走査方向に変位させる処理等を行う。副走査モータ駆動制御部224は、上記副走査モータ駆動部123による処理、すなわち記録媒体10を変位させる部材(プラテン11等)を副走査方向に変位させる処理等を行う。
【0024】
図7は、第1の実施形態に係るギャップ調整制御部222の機能構成例を示すブロック図である。ギャップ調整制御部222は、形状検知部241、形状記憶部242、ギャップ候補値管理部243、及び選択部244を含む。
【0025】
形状検知部241は、例えば図3及び図4に示すような検知方法により、記録媒体10の凹凸形状を検知するための処理を行う。形状記憶部242は、形状検知部241により検知された記憶媒体10の凹凸形状を示す形状情報を記憶するための処理を行う。
【0026】
ギャップ候補値管理部243は、記録媒体10とキャリッジ12との間のギャップを設定する際に使用される複数のギャップ候補値を管理(読み出し、書き込み、更新等)する。ギャップ候補値は、印刷品質を保証可能なギャップ値として登録された複数の固定値である。ギャップ候補値は、例えば、記録媒体10とキャリッジ12との間のギャップを様々に変化させて印刷を行い、各ギャップと印刷物の画質との関係を調べる実験の実験結果、シミュレーション結果等に基づいて導出された値であり得る。選択部244は、形状記憶部242に記憶された形状情報に基づいて、ギャップ候補値管理部243により管理されている複数のギャップ候補値の中から1つのギャップ候補値を選択する。
【0027】
図8は、比較例に係る記録媒体10とキャリッジ12との間のギャップGの例を示す側面図である。記録媒体10は、凸部(例えばシャツのポケット部分等)71と、凹部(例えばシャツのポケットの土台となる部分等)72とを含む。本例に係るギャップGは、主な印刷面である凹部72からキャリッジ12までの距離であって、凸部71の高さHと、接触回避を保証するための非接触保証マージンα(第1のマージン)との和となっている。すなわち、比較例に係るギャップGは、凸部71の高さHを基準として設定され、凹部72との関係を考慮したものではない。このような方法によると、キャリッジ12が凸部71に接触することを回避することはできるが、凹部72になされる印刷の品質が損なわれる可能性が高くなる。
【0028】
そこで、本実施形態に係るギャップ調整制御部222の選択部244は、印刷品質を保証可能な複数のギャップ候補値の中から、キャリッジ12と記録媒体10(凸部71)との接触を回避可能なギャップ候補値を選択する。そして、選択されたギャップ候補値を記録媒体10の印刷面(例えば凹部72)とキャリッジ12との間のギャップGとして設定する。以下では、2つのギャップ候補値G1,G2(G1<G2)が登録されている場合の例を示す。
【0029】
図9は、第1の実施形態に係る仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1以下である場合の例を示す図である。図9に示すように、仮想ギャップ値Gp(H+α)が第1のギャップ候補値G1以下である場合には、第1のギャップ候補値G1がギャップGとして設定される。
【0030】
図10は、第1の実施形態に係る仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1より大きく且つ第2のギャップ候補値G2以下である場合の例を示す図である。図10に示すように、仮想ギャップ値Gp(H+α)が第1のギャップ候補値G1より大きく且つ第2のギャップ候補値G2以下である場合には、第2のギャップ候補値G2がギャップGとして設定される。
【0031】
図11は、第1の実施形態に係るギャップGの設定処理例を示すフローチャートである。ギャップ調整制御部222(選択部244)は、先ず、凸部の高さHと非接触保証マージンαとの和を仮想ギャップ値Gpとし(S101)、仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1以下であるか否かを判定する(S102)。仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1以下(Gp≦G1)である場合(S102:Yes)、ギャップ調整制御部222は、第1のギャップ候補値G1をギャップGに設定する(S103)。
【0032】
一方、仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1以下でない(Gp>G1である)場合(S102:No)、ギャップ調整制御部222は、仮想ギャップ値Gpが第2のギャップ候補値G2以下(Gp≦G2)であるか否かを判定する(S104)。仮想ギャップ値Gpが第2のギャップ候補値G2以下(Gp>G1且つGp≦G2)である場合(S104:Yes)、ギャップ調整制御部222は、第2のギャップ候補値G2をギャップGに設定する(S105)。
【0033】
一方、仮想ギャップ値Gpが第2のギャップ候補値G2以下でない(Gp>G2である)場合(S104:No)、ギャップ調整制御部222は、仮想ギャップ値GpをギャップGに設定する(S106)。
【0034】
なお、上記実施形態においては、2つのギャップ候補値G1,G2を利用する例が示されているが、2つ以上のギャップ候補値が利用されてもよい。
【0035】
また、上記実施形態においては、記録媒体10とキャリッジ12との間のギャップGをプラテン11の昇降により調整する構成を例示したが、ギャップGを調整する機構はこれに限られるものではない。例えば、キャリッジ12を上下方向に変位させる機構等を利用してもよい。
【0036】
上記画像形成装置1の機能を実現するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、メモリカード、CD-R及びDVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供される。
【0037】
また、プログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プログラムをダウンロードさせずにインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成してもよい。また、プログラムを画像形成装置1の適宜な記憶媒体に予め組み込んで提供するように構成してもよい。また、プログラムは画像形成装置1に含まれる機能部のうちプログラムにより実現可能な機能を含むモジュール構成となっていてもよい。プログラムにより実現される機能は、記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより主記憶装置(RAM113等)にロードされる。すなわち、プログラムにより実現される機能は主記憶装置上に生成される。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、印刷品質を保証可能な複数のギャップ候補値G1,G2の中からキャリッジ12と記録媒体10との接触を回避可能なギャップ候補値が選択され、選択されたギャップ候補値が記録媒体10の印刷面とキャリッジ12との間のギャップGに設定される。これにより、キャリッジ12と記録媒体10との接触回避の確実性の低下や印刷速度の低下を招くことなく、印刷品質の向上を図ることが可能となる。
【0039】
以下に、他の実施形態について図面を参照して説明するが、第1の実施形態と同一又は同様の作用効果を奏する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0040】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、ギャップ候補値G1,G2に品質保証マージンが設定されている点で第1の実施形態と異なる。
【0041】
図12は、第2の実施形態に係る画像形成装置1におけるギャップGの設定例を示す図である。本例に係る仮想ギャップ値Gp(凸部の高さHと非接触保証マージンαとの和)は、第1のギャップ候補値G1より大きいが、第1のギャップ候補値G1と品質保証マージンβとの和以下となっている。このような場合、印刷面(凹部72)からキャリッジ12までのギャップGは、第1のギャップ候補値G1に設定される。
【0042】
図13は、第2の実施形態に係るギャップGの設定処理例を示すフローチャートである。ギャップ調整制御部222(選択部244)は、先ず、凸部の高さHと非接触保証マージンαとの和を仮想ギャップ値Gpとし(S201)、仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1以下であるか否かを判定する(S202)。仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1以下(Gp≦G1)である場合(S202:Yes)、ギャップ調整制御部222は、第1のギャップ候補値G1をギャップGとして設定する(S203)。
【0043】
一方、仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1以下でない(Gp>G1である)場合(S202:No)、ギャップ調整制御部222は、仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1と品質保証マージンβとの和以下(Gp≦G1+β)であるか否かを判定する(S204)。仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1と品質保証マージンβとの和以下(Gp≦G1+β)である場合(S204:Yes)、ギャップ調整制御部222は、第1のギャップ候補値G1をギャップGとして設定する(S203)。
【0044】
一方、仮想ギャップ値Gpが第1のギャップ候補値G1と品質保証マージンβとの和以下でない(Gp>G1+βである)である場合(S204:No)、ギャップ調整制御部222は、仮想ギャップ値Gpが第2のギャップ候補値G2以下(Gp≦G2)であるか否かを判定する(S205)。仮想ギャップ値Gpが第2のギャップ候補値G2以下(Gp≦G2)である場合(S205:Yes)、ギャップ調整制御部222は、第2のギャップ候補値G2をギャップGとして設定する(S206)。
【0045】
一方、仮想ギャップ値Gpが第2のギャップ候補値G2以下でない(Gp>G2である)場合(S205:No)、ギャップ調整制御部222は、仮想ギャップ値GpをギャップGに設定する(S207)。
【0046】
なお、上記においては、第2のギャップ候補値G2に品質保証マージンを設定していない場合を例示したが、第1のギャップ候補値G1と同様に、第2のギャップ候補値G2についても品質保証マージンβを設定してもよい。この場合、Gp>G2となる場合であっても、Gp≦G2+βが満たされる場合に、第2のギャップ候補値G2がギャップGに設定される。
【0047】
本実施形態によれば、第1の実施形態による効果に加え、品質保証の優先度を高くした運用を実施することが可能となる。
【0048】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、記録媒体10上の凸部71と印刷領域との重なりを考慮してギャップを設定する点で第1の実施形態と相違する。
【0049】
図14は、第3の実施形態に係るギャップ調整制御部301の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態に係るギャップ調整制御部301は、形状検知部241、形状記憶部242、ギャップ候補値管理部243、選択部244、画像データ取得部311、及び重なり判定部312を含む。
【0050】
画像データ取得部311は、記録媒体10に印刷される画像の構成を示す画像データを取得する。重なり判定部312は、形状記憶部242に記憶された形状情報と画像データ取得部311により取得された画像データとに基づいて、記録媒体10の凹凸形状と画像が印刷される印刷領域との重なりを判定する。選択部244は、形状情報と重なり情報(凹凸形状と印刷領域との重なりを示す情報)とに基づいて、複数のギャップ候補値の中から、キャリッジ12と記録媒体10との接触を回避可能であると共に印刷領域の凹凸形状に適合したギャップ候補値を選択する。
【0051】
図15は、第3の実施形態に係る凸部71と印刷領域81とが重なっている場合の例を示す図である。本例においては、画像が記録媒体10の凹部72にだけでなく、凸部71にも印刷されている。
【0052】
図16は、第3の実施形態に係る凸部71と印刷領域81とが重なっていない場合の例を示す図である。本例においては、画像が記録媒体10の凹部72にだけ印刷され、凸部71には印刷されていない。
【0053】
図17は、第3の実施形態に係るギャップGの設定処理例を示すフローチャートである。画像データ取得部311が画像データを取得すると(S301)、重なり判定部312は、形状記憶部242に記憶された形状情報と取得された画像データとに基づいて、凸部71と印刷領域とが重なっているか否かを判定する(S302)。
【0054】
凸部71と印刷領域とが重なっている場合(S302:Yes)、選択部244は、凸部71を基準としてギャップ候補値を選択する(S303)。一方、凸部71と印刷領域とが重なっていない場合(S302:No)、選択部244は、凹部72を基準としてギャップ候補値を選択する(S304)。
【0055】
本実施形態によれば、凸部71に画像が印刷される場合には、凸部71への印刷品質が考慮されたギャップが設定される。これにより、印刷品質の更なる向上を図ることが可能となる。
【0056】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、記録媒体10の凹凸形状の検知方法が第1の実施形態と異なるものである。
【0057】
図18は、第4の実施形態に係る記録媒体10の凹凸形状の検知方法例を示す側面図である。図18において、本実施形態に係る検知方法における発光素子13と記録媒体10(プラテン11)との位置関係の変化が示されている。
【0058】
先ず、発光素子13が記録媒体10の端部に位置している状態でプラテン11を上昇させ(状態401)、発光素子13からのレーザ光15により記録媒体10が検知されたら(受光素子14がレーザ光15を受光しなくなったら)プラテン11を停止させる(状態402)。その後、プラテン11を下降させ、発光素子13からのレーザ光15により記録媒体10が検知されなくなったら(受光素子14がレーザ光15を受光するようになったら)プラテン11を停止させる(状態403)。その後、プラテン11を副走査方向に移動させ、発光素子13からのレーザ光15により記録媒体10が検知されたらプラテン11を停止させる(状態404)。その後、プラテン11を下降させ、発光素子13からのレーザ光15により記録媒体10が検知されなくなったらプラテン11を停止させる(状態405)。その後、プラテン11を副走査方向に移動させる(状態406)。
【0059】
本実施形態に係る凹凸形状の検知方法によれば、プラテン11の上下方向の総移動距離が第1の実施形態に係る検知方法(図4参照)より短縮されるため、凹凸形状の検知に要する時間を短縮することが可能となる。また、第1の実施形態のように所定の検知間隔毎にプラテン11を昇降させる検知方法においては、検知間隔を広くすると凸部71の検知漏れが発生する可能性があるが、本実施形態のように凹部72の高さを基準としてプラテン11を水平方向(副走査方向)にスライドさせることにより、凸部71の検知漏れを防止することが可能となる。
【0060】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、記録媒体10の凹凸形状の検知方法が第1及び第4の実施形態と異なるものである。
【0061】
図19は、第5の実施形態に係る記録媒体10の凹凸形状の検知方法例を示す側面図である。本実施形態に係る検知方法は、垂直方向に沿って配置された2つの発光素子13A,13Bを利用する。受光素子14もこれらの発光素子13A,13Bに対応するように2つ配置されている。図19において、本実施形態に係る検知方法における発光素子13と記録媒体10(プラテン11)との位置関係の変化が示されている。
【0062】
先ず、発光素子13A,13Bが記録媒体10の端部に位置している状態でプラテン11を上昇させ(状態501)、上部に配置された第1の発光素子13Aからのレーザ光15により記録媒体10が検知されたらプラテン11を停止させる(状態502)。その後、プラテン11を下降させ、第1の発光素子13Aからのレーザ光15により記録媒体10が検知されなくなったらプラテン11を停止させる(状態503)。その後、プラテン11を副走査方向に移動させ、第1の発光素子13Aからのレーザ光15により記録媒体10が検知されたらプラテン11を停止させる(状態504)。その後、プラテン11を下降させ、第1の発光素子13Aからのレーザ光15により記録媒体10が検知されなくなったらプラテン11を停止させる(状態505)。その後、プラテン11を副走査方向に移動させ(状態506)、下部に配置された第2の発光素子13Bからのレーザ光15により記録媒体10が検知されなくなったらプラテン11を停止させる(状態507)。その後、プラテン11を下降させ、第1の発光素子13Aからのレーザ光15により記録媒体10が検知されたらプラテンを停止させる(状態508)。
【0063】
上記のように、本実施形態によれば、上部に配置された第1の発光素子13Aにより凸部71の始端(図19中右端)が検知され、下部に配置された第2の発光素子13Bにより凸部71の終端(図19中左端)が検知される。第4の実施形態に係る凹凸形状の検知方法においては、凸部71より後ろ側(図18中左側)に存在する凹部72の高さを検知することができないが、本実施形態に係る凹凸形状の検知方法によれば、凸部71より後ろ側に存在する凹部72の高さを検知することが可能となる。これにより、検知時間の短縮と検知精度の向上とを図ることが可能となる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。この新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更、及び組み合わせを行うことができる。この実施形態及びその変形は発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
10 記録媒体
11 プラテン
12 キャリッジ
13 発光素子
14 受光素子
15 レーザ光
21 吐出ヘッド
51 プリンタドライバ
52 操作パネル
53 ヘッドドライバ
54 主走査モータ
55 主走査エンコーダ
56 副走査モータ
57 副走査エンコーダ
58 プラテンモータ
59 発光素子ドライバ
71 凸部
72 凹部
81 印刷領域
101 制御部
111 CPU
112 ROM
113 RAM
114 NVRAM
115 ASIC
116 ホストI/F
117 I/Oポート
121 印刷制御部
122 主走査モータ駆動部
123 副走査モータ駆動部
124 ギャップ調整部
201 プリンタ部
202 パネル制御部
203 メモリ管理部
204 システム管理部
205 通信制御部
206 プロッタ制御部
207 OS
221 印刷処理部
222,301 ギャップ調整制御部
223 主走査モータ駆動制御部
224 副走査モータ駆動制御部
241 形状検知部
242 形状記憶部
243 ギャップ候補値管理部
244 選択部
311 画像データ取得部
312 重なり判定部
401~406,501~508 状態
G ギャップ
G1 第1のギャップ候補値
G2 第2のギャップ候補値
Gp 仮想ギャップ値
H 高さ
α 非接触保証マージン
β 品質保証マージン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【文献】特開2013-128916号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19