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特許7069891設定情報同期システム、同期方法、情報処理装置、委譲先装置、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】設定情報同期システム、同期方法、情報処理装置、委譲先装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20220511BHJP
   G06F 16/178 20190101ALI20220511BHJP
【FI】
H04L67/00
G06F16/178
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018049661
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019160184
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】掛井 祐伸
(72)【発明者】
【氏名】神田 倫希
(72)【発明者】
【氏名】三橋 正寛
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-070293(JP,A)
【文献】特開2018-005782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
G06F 16/178
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の設定に関する設定情報の同期を行う装置である旨が設定された第一の情報処理装置と、前記設定情報が同期される装置である旨が設定された複数の第二の情報処理装置とを有する設定情報同期システムであって、
前記第一の情報処理装置は、
前記設定情報を同期させる対象となる前記第二の情報処理装置が登録された登録情報のうち、予め定められた条件にしたがって前記設定情報の同期を行う権限の委譲先となる委譲先装置を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した前記委譲先装置に、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を送信する処理要求送信手段と、
前記設定情報を、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に送信することで前記設定情報を同期させる第一の同期手段と、を有し、
前記委譲先装置は、
前記第一の情報処理装置から、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信した場合、前記設定情報が同期される装置である旨の設定を前記設定情報の同期を行う装置である旨の設定に変更する機能変更手段と、
前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に対し、前記第一の情報処理装置から受信した前記設定情報を送信することで前記設定情報を同期させる第二の同期手段と、を有し、
前記第一の同期手段及び前記第二の同期手段は、それぞれ、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、並行に、前記設定情報を同期させる処理を行うことを特徴とする設定情報同期システム。
【請求項2】
前記第一の同期手段及び前記第二の同期手段は、前記設定情報を送信する前に、前記第一の情報処理装置が保持する前記設定情報が同期された第一の日時情報を前記第二の情報処理装置に送信し、
前記第二の情報処理装置は、前記第二の情報処理装置が保持する前記設定情報が同期された第二の日時情報が、前記第一の日時情報よりも古い場合に未同期である旨を前記第一の情報処理装置又は前記委譲先装置に送信する応答手段を有することを特徴とする請求項1に記載の設定情報同期システム。
【請求項3】
前記決定手段は、前記登録情報に登録された前記第二の情報処理装置から使用頻度情報を取得し、予め定められた条件として、前記使用頻度情報が大きい順に優先度を決定し、 前記優先度が小さい順に前記委譲先装置を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の設定情報同期システム。
【請求項4】
前記第一の同期手段は、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に対し、前記決定手段が決定した前記優先度が大きい順に前記設定情報を送信し、
前記第二の同期手段は、前記第二の情報処理装置の前記優先度を前記第一の情報処理装置から取得し、
前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に対し、前記決定手段が決定した前記優先度が大きい順に、前記第一の情報処理装置から受信した前記設定情報を送信することを特徴とする請求項3に記載の設定情報同期システム。
【請求項5】
前記委譲先装置は、
前記登録情報に登録されている全ての前記第二の情報処理装置から設定情報が同期済みである旨を取得すると、前記第一の情報処理装置から受信した前記設定情報で前記委譲先装置が保持する前記設定情報を更新する更新手段を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の設定情報同期システム。
【請求項6】
情報処理装置の設定に関する設定情報の同期を行う装置である旨が設定された第一の情報処理装置と、前記設定情報が同期される装置である旨が設定された複数の第二の情報処理装置とを有する設定情報同期システムが行う同期方法であって、
前記第一の情報処理装置は、
決定手段が、前記設定情報を同期される対象となる前記第二の情報処理装置が登録された登録情報のうち、予め定められた条件にしたがって前記設定情報の同期を行う権限の委譲先となる委譲先装置を決定するステップと、
前記決定手段が決定した前記委譲先装置に、処理要求送信手段が、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を送信するステップと、
第一の同期手段が、前記設定情報を、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に送信することで前記設定情報を同期させるステップと、を有し、
前記委譲先装置は、
受信手段が、前記第一の情報処理装置から、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信するステップと、
前記受信手段が前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信した場合、機能変更手段が、前記設定情報が同期される装置である旨の設定を前記設定情報の同期を行う装置である旨の設定に変更するステップと、
第二の同期手段が、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、前記第一の情報処理装置から受信した前記設定情報を送信することで前記設定情報を同期させるステップと、を有し、
前記第一の同期手段及び前記第二の同期手段は、それぞれ、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、並行に、前記設定情報を同期させる処理を行うことを特徴とする同期方法。
【請求項7】
情報処理装置の設定に関する設定情報が同期される装置である旨が設定されており、
前記情報処理装置から、前記設定情報、前記設定情報を同期させる対象となる第二の情報処理装置が登録された登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信した場合、前記設定情報が同期される装置である旨の設定を前記設定情報の同期を行う装置である旨の設定に変更する機能変更手段と、
前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、前記情報処理装置から受信した前記設定情報を送信することで前記設定情報を同期させる第二の同期手段と、
を有する委譲先装置と通信する情報処理装置であって、
前記設定情報の同期を行う装置である旨が設定されており、
前記登録情報のうち、予め定められた条件にしたがって前記設定情報の同期を行う権限の委譲先となる委譲先装置を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した前記委譲先装置に、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を送信する処理要求送信手段と、
前記設定情報を、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に送信することで前記設定情報を同期させる第一の同期手段と、を有し、
前記第一の同期手段は、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、前記第二の同期手段と並行に、前記設定情報を同期させる処理を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載された情報処理装置から、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を取得する委譲先装置。
【請求項9】
情報処理装置の設定に関する設定情報が同期される装置である旨が設定されており、
前記情報処理装置から、前記設定情報、前記設定情報を同期させる対象となる第二の情報処理装置が登録された登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信した場合、前記設定情報が同期される装置である旨の設定を前記設定情報の同期を行う装置である旨の設定に変更する機能変更手段と、
前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、前記情報処理装置から受信した前記設定情報を送信することで前記設定情報を同期させる第二の同期手段と、
を有する委譲先装置と通信する情報処理装置が行う同期方法であって、
前記情報処理装置には、前記設定情報の同期を行う装置である旨が設定されており、
決定手段が、前記登録情報のうち、予め定められた条件にしたがって前記設定情報の同期を行う権限の委譲先となる委譲先装置を決定するステップと、
前記決定手段が決定した前記委譲先装置に、処理要求送信手段が、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を送信するステップと、
第一の同期手段が、前記設定情報を、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に送信することで前記設定情報を同期させるステップと、を有し、
前記第一の同期手段は、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、前記第二の同期手段と並行に、前記設定情報を同期させる処理を行うことを特徴とする同期方法。
【請求項10】
情報処理装置の設定に関する設定情報が同期される装置である旨が設定されており、
前記情報処理装置から、前記設定情報、前記設定情報を同期させる対象となる第二の情報処理装置が登録された登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信した場合、前記設定情報が同期される装置である旨の設定を前記設定情報の同期を行う装置である旨の設定に変更する機能変更手段と、
前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、前記情報処理装置から受信した前記設定情報を送信することで前記設定情報を同期させる第二の同期手段と、
を有する委譲先装置と通信し、前記設定情報の同期を行う装置である旨が設定されている情報処理装置に、
前記登録情報のうち、予め定められた条件にしたがって前記設定情報の同期を行う権限の委譲先となる委譲先装置を決定するステップと、
前記決定するステップで決定された前記委譲先装置に、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を送信するステップと、
前記設定情報を、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に送信することで前記設定情報を同期させるステップと、を実行させ、
前記設定情報を同期させるステップを、前記第二の同期手段と並行に、行うことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定情報同期システム、同期方法、情報処理装置、委譲先装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業の会議室や教育機関の教室等の部屋に、複数のユーザが共有することができる電子黒板が設置される場合がある。この電子黒板は、大型のタッチパネル式のディスプレイを有しており、各ユーザが専用の電子ペンや指などで描画した描画像を表示する。従来のホワイトボードと異なり描画像を電子データで保存したり、PC(Personal Computer)の映像を表示したりすることができる。各ユーザは、電子黒板の同じ画面を見ながら会議や授業等を進めることができるようになった。
【0003】
このような電子黒板はプリンターと接続できたり、他の拠点の電子黒板と通信できたりするなど益々高機能化しており、顧客の管理者等が設定すべき設定項目の数も増大している。一方で、同種の電子黒板が1つの組織に複数、配置される場合があるため、管理者が1つ1つの電子黒板に設定情報を設定することが手間になっていた。
【0004】
このような不都合に対し、親機という設定と子機という設定を電子黒板に管理者等が設定し、親機に設定された設定情報を自動的に子機に反映させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、親機の電子黒板が子機の電子黒板にそれぞれ親機の電子黒板の設定情報を送信し、子機の電子黒板が送信された設定情報を自身に反映させることで、親機の電子黒板と子機の電子黒板とが設定情報の同期を行うシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、同期先の子機の数が多い場合に、全ての電子黒板の設定情報の同期が終わるまでに時間がかかる場合があるという問題がある。すなわち、従来の技術では親機から全ての子機に対して、順番に設定情報を送信して同期させるため、最後の子機の同期が完了するまでには子機の台数に応じた時間を要する。例えば、ユーザが使用しようとした子機では設定情報の同期が完了していない等の状況が生じ、ユーザが最新の設定情報で子機を使用できないおそれがある。
【0006】
また、全ての子機の設定情報の同期が終わるまで親機は全ての子機と設定情報を同期させるための通信を行うので、親機が接続されたネットワークの負荷が増大するという問題がある。また、親機にも負荷が集中してしまう。
【0007】
なお、このような設定情報の同期の課題は電子黒板だけでなく設定情報で動作する情報処理装置においても生じうる。また、電子黒板は情報処理装置の機能を有しており、電子黒板が情報処理装置と呼ばれる場合がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、複数の情報処理装置の設定情報の同期に要する時間を短縮できる設定情報同期システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、情報処理装置の設定に関する設定情報の同期を行う装置である旨が設定された第一の情報処理装置と、前記設定情報が同期される装置である旨が設定された複数の第二の情報処理装置とを有する設定情報同期システムであって、
前記第一の情報処理装置は、
前記設定情報を同期させる対象となる前記第二の情報処理装置が登録された登録情報のうち、予め定められた条件にしたがって前記設定情報の同期を行う権限の委譲先となる委譲先装置を決定する決定手段と、前記決定手段が決定した前記委譲先装置に、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を送信する処理要求送信手段と、前記設定情報を、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に送信することで前記設定情報を同期させる第一の同期手段と、を有し、
前記委譲先装置は、
前記第一の情報処理装置から、前記設定情報、前記登録情報、及び、前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信する受信手段と、前記受信手段が前記設定情報の同期に関する処理を要求する旨を受信した場合、前記設定情報が同期される装置である旨の設定を前記設定情報の同期を行う装置である旨の設定に変更する機能変更手段と、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に対し、前記第一の情報処理装置から受信した前記設定情報を送信することで前記設定情報を同期させる第二の同期手段と、を有し、
前記第一の同期手段及び前記第二の同期手段は、それぞれ、前記登録情報に登録されている前記第二の情報処理装置に、並行に、前記設定情報を同期させる処理を行う。
【発明の効果】
【0010】
複数の情報処理装置の設定情報の同期に要する時間を短縮できる設定情報同期システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】親機の電子黒板が、親機の電子黒板の設定情報を複数の子機の電子黒板の設定情報と同期させる動作の概略を説明する図の一例である。
図2】設定情報同期システムの概略構成図の一例である。
図3】電子黒板のハードウェア構成図の一例である。
図4】電子黒板の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図5】1台の親機が全ての子機に設定情報を送信する手順を示すシーケンス図の一例である。
図6】従来の設定情報の同期方法を模式的に説明する図の一例である。
図7】本実施形態の設定情報同期システムによる設定情報の同期を模式的に説明する図の一例である。
図8】本実施形態の設定情報同期システムによる設定情報の同期の手順を示すシーケンス図の一例である。
図9】親機が設定情報を同期させる際の処理を示すフローチャート図の一例である。
図10】委譲先装置が設定情報を同期させる際の処理を示すフローチャート図の一例である。
図11】親機が委譲先装置に送信する子機情報の一例を示す図である。
図12】電子黒板の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
<動作の概略>
図1を用いて、設定情報同期システム100の概略的な動作を説明する。図1は、親機の電子黒板2が、親機の電子黒板2の設定情報を複数の子機の電子黒板2の設定情報と同期させる動作の概略を説明する図である。以下では、親機の電子黒板2を電子黒板2Pと表し、子機の電子黒板2を電子黒板2a、2b、2c、2d…のように小文字のアルファベットを付して表す。また、これら複数の電子黒板2のうち任意の電子黒板2を単に「電子黒板2」という。また、親機の電子黒板2を単に「親機」といい、子機の電子黒板2を単に「子機」という場合がある。
【0014】
なお、親機と子機にはハードウェア及びソフトウェアの違いはなく、管理者が親機であると設定した電子黒板2が親機となる。それ以外は子機として動作する。つまり、出荷時の設定は子機であり、親機として設定された電子黒板2だけが親機として動作する。親機の機能には少なくとも親機に設定された設定情報を子機と同期させる機能がある。
【0015】
以下、設定情報同期システム100の動作の手順を説明する。
(1)管理者が電子黒板2Pに設定情報を設定する。
(2)管理者が電子黒板2Pに設定情報を設定したことが検出され、電子黒板2Pは設定情報の同期処理を開始する。まず、1つ以上の電子黒板2に親機の権限を委譲する権限委譲通知を送信する。権限委譲通知には設定情報等も含まれる。図1では電子黒板2cに親機の権限が委譲されたものとする。親機の権限の委譲先の子機を「委譲先装置」という。
(3)電子黒板2Pは電子黒板2a,2bに設定情報を送信する。電子黒板2a,2bは自身の設定情報を更新する。
(4)電子黒板2cは電子黒板2dに設定情報を送信する。電子黒板2dは自身の設定情報を更新する。
(5)最後に電子黒板2cは自身の設定情報を更新する。
【0016】
したがって、管理者は電子黒板2Pに設定情報を設定するだけで、電子黒板2Pの設定情報と他の全ての電子黒板2a~2dの設定情報とを同期させることができる。電子黒板2Pは電子黒板2cに親機の権限を委譲するので、電子黒板2Pと電子黒板2cが並行して設定情報を電子黒板2a、2b、2dに送信でき、全ての電子黒板2a~2dの設定情報を同期させるために要する時間を短縮できる。また、親機が設定情報を送信する子機の数が半分になるので、親機である電子黒板2Pと電子黒板2Pが接続されているネットワークに負荷が集中することを抑制できる。
【0017】
なお、親機の権限の委譲は、設定情報同期システム100が最初から2台の親機を有することとは異なっている。設定情報同期システム100が2つの親機を有する場合は、管理者が2台の親機に設定情報を設定する必要があるため作業負担が増大する。本実施形態では、管理者は1台の親機にだけ設定情報を設定すればよい。
【0018】
なお、以下では、親機の電子黒板2Pが、親機の電子黒板2Pの設定情報と複数の子機の電子黒板2a~dの設定情報とを同期させることを、単に、電子黒板2Pが電子黒板2a~2dと同期する、と記載する場合がある。
【0019】
<用語について>
設定情報の同期とは、許容できる時間的なずれの範囲内で複数の装置の情報を一致させることをいう。本実施形態では、管理者が親機に設定した設定情報が、管理者が子機に設定しなくても所定時間内に子機に反映されるという形態が挙げられる。同期により、複数の電子黒板2が同じ設定情報を有する。親機の電子黒板2Pの設定情報が更新されてから子機の電子黒板2Pの設定情報が更新されるまでの時間、設定情報は一致しないがこの時間が短いことが好ましい。
【0020】
同期に必要な処理として、設定情報の送信及び設定情報の更新があり、設定情報の送信及び設定情報の更新が同期を意味する場合がある。
【0021】
設定情報の同期を行う装置である旨が設定された第一の情報処理装置は、設定情報を他の情報処理装置に設定する権限又は機能を有する情報処理装置をいう。本実施形態では親機(電子黒板に相当)という用語で説明する。
【0022】
設定情報が同期される装置である旨が設定された第二の情報処理装置は、第一の情報処理装置から設定情報が設定される情報処理装置(電子黒板に相当)をいう。本実施形態では子機という用語で説明する。
【0023】
登録情報とは設定情報の登録の対象となる第二の情報処理装置が登録された情報をいう。本実施形態では子機情報という用語で説明する。
【0024】
予め定められた条件とは、親機が何らかの方法で委譲先装置を決定する規則やルールであればよい。本実施形態では使用頻度に基づくことが一例として挙げられる。
【0025】
権限の委譲とは、本来、第一の情報処理装置が持つ権限を第二の情報処理装置にも認めることをいう。この権限は機能と表現してもよい。本実施形態では、親機の設定情報と機器の設定情報を同期させる権限が委譲される。
【0026】
設定情報の同期に関する処理を要求する旨は、設定情報を同期させる権限の委譲を要求する旨を言う。本実施形態では権限委譲通知という用語で説明される。
【0027】
<システム構成例>
図2は、本実施形態の設定情報同期システム100の概略構成図の一例を示す。図2(a)に示すように、設定情報同期システム100は、ネットワークNを介して通信する複数の電子黒板2を有している。図では、作図の便宜上、ネットワークNに接続された電子黒板2は5台であるが、電子黒板2の数は複数であればよく、また、6台以上でもよい。大きな組織では数十台の電子黒板2がネットワークNに接続されている場合も少なくない。
【0028】
ネットワークNは、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。ネットワークNには、有線通信だけでなく、3G(3rd Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。
【0029】
また、電子黒板2とは、電子ペンや指先で画面をなぞるように動かして入力された画面における電子ペンや指先の座標(位置)をタッチパネルで取得し、この座標を連結したストロークをタッチパネルと一体のディスプレイに表示するいわゆる電子機器である。タッチパネルの方式はどのようなものでもよい。電子黒板2は、電子ホワイトボード、電子情報ボード、など商品によって呼称が異なっていてよい。また、電子黒板2はコンピュータの機能を有するため、情報処理装置とよばれてもよい。タッチパネルを備えたタブレット端末も電子黒板2として使用される場合がある。
【0030】
電子黒板2は、他の電子黒板2と通信することが可能であり、それぞれユーザによって描画された内容である描画像のデータ(以下、「描画像データ」という)を送受信することができる。そのため、一方の電子黒板2で描画された内容は他方の電子黒板2でも表示され、逆に、他方の電子黒板2で描画された内容は一方の電子黒板2でも表示される。
【0031】
また、電子黒板2はビデオ会議機能(テレビ会議機能)を有しており、ネットワークNを介してビデオ会議端末と映像及び音声による会議等を行なうことができる。
【0032】
また、図2(b)に示すように、設定情報同期システム100がサーバ600を有していてもよい。サーバ600は設定情報の送信を中継する情報処理装置である。サーバ600を介することで、一方のファイアウォール内の電子黒板2と他方のファイアウォール内の電子黒板2が通信可能になり、設定情報の同期が容易になる。ただし、サーバ600はファイアウォール内に設置されてもよい。
【0033】
例えば、電子黒板2Pは設定情報と委譲先装置の識別情報をサーバに送信する。電子黒板2a~2dは順次、サーバ600と通信し、親機の権限を委譲された電子黒板2cが電子黒板2a、2b、2dの設定情報を同期させる。
【0034】
<ハードウェア構成例>
続いて、図3を用いて、電子黒板2のハードウェア構成を説明する。
【0035】
<<電子黒板のハードウェア構成>>
図3は、電子黒板2のハードウェア構成図である。図3に示されているように、電子黒板2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、SSD(Solid State Drive)204、ネットワークI/F205、及び、外部機器接続I/F(Interface)206を備えている。
【0036】
これらのうち、CPU201は、電子黒板2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201やIPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。SSD204は、電子黒板2用のプログラム等の各種データを記憶する。ネットワークI/F205は、ネットワークNとの通信を制御する。外部機器接続I/F206は、USB(Universal Serial Bus)メモリ2600、外付け機器(カメラ2900、スピーカ2800、マイク2700)との通信を制御する。
【0037】
また、電子黒板2は、キャプチャデバイス211、GPU212、ディスプレイコントローラ213、接触センサ214、センサコントローラ215、電子ペンコントローラ216、近距離通信部219、及び近距離通信部219のアンテナ219aを備えている。
【0038】
これらのうち、キャプチャデバイス211は、PC10が後述するディスプレイに表示する映像情報を静止画又は動画として取得する。GPU(Graphics Processing Unit)212は、グラフィクスを専門に扱う半導体チップである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212からの出力画像をディスプレイ220等へ出力するために画面表示の制御及び管理を行う。接触センサ214は、ディスプレイ220上に電子ペン2500やユーザの手H等が接触したことを検知する。センサコントローラ215は、接触センサ214の処理を制御する。接触センサ214は、赤外線遮断方式による座標の入力及び座標の検出を行う。この座標の入力及び座標の検出する方法は、ディスプレイ220の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレイ220に平行して複数の赤外線を放射し、ディスプレイ220の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、受光素子が放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する方法である。接触センサ214は、物体によって遮断された2つの受発光装置が放射した赤外線のIDをセンサコントローラ215に出力し、センサコントローラ215が、物体の接触位置である座標位置を特定する。電子ペンコントローラ216は、電子ペン2500と通信することで、ディスプレイ220へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。近距離通信部219は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の無線の通信回路である。
【0039】
更に、電子黒板2は、バスライン210を備えている。バスライン210は、図3に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0040】
なお、接触センサ214は、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。また、電子ペンコントローラ216が、電子ペン2500のペン先及びペン尻だけでなく、電子ペン2500のユーザが握る部分や、その他の電子ペンの部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。
【0041】
<機能について>
続いて、図4を用いて、本実施形態の電子黒板2の機能構成について説明する。図4は、電子黒板2の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、図4では、親機である電子黒板2Pと子機である電子黒板2a~2dの機能が示されている。
【0042】
<電子黒板の機能構成>
図4に示されているように、電子黒板2は、ホワイトボードアプリケーション20と機器設定機能30とを有する。ホワイトボードアプリケーション20は、電子黒板2としての機能を提供するアプリケーションである。機器設定機能30は、設定情報の同期に関する機能を有する。各電子黒板2は、親機と子機の違いに関係なく共通にホワイトボードアプリケーション20と機器設定機能30を有する。ただし、親機では親機に必要な機能が有効になり、子機では子機に必要な機能が有効になる。図4では斜線で示された機能が有効な機能である。なお、委譲先装置となる電子黒板2cに関しては、親機の権限が委譲される前の状態が示されている。
【0043】
ホワイトボードアプリケーション20は、表示制御部21、機能実行部22、アプリ入出力部23、ページ生成部24、操作受付部25、ストローク描画部26、及び、フレーム出力部27を有する。これら各部は、図3に示されている各構成要素のいずれかが、SSD204からRAM203上に展開された電子黒板2用プログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。
【0044】
(ホワイトボードアプリケーションの各機能)
次に、ホワイトボードアプリケーション20の各構成について説明する。表示制御部21は、図3に示されているCPU201からの命令、及び図3に示されているディスプレイコントローラ213によって実現され、ディスプレイ220に描画像を表示させる。
【0045】
機能実行部22は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、ホワイトボードに必要な各種の機能を実行する。アプリ入出力部23は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、テレビ会議アプリ、メールアプリなどホワイトボードアプリと連携する各種のアプリと情報の入出力を行う。
【0046】
ページ生成部24は、図3に示されているCPU201からの命令等により実現され、ユーザの操作に応じてディスプレイ220に表示されている描画像を取り込み(キャプチャし)1ページの描画像データを生成する。
【0047】
操作受付部25は、主に、図3に示されているCPU201からの命令、並びに接触センサ214及び電子ペンコントローラ216によって実現され、ユーザによる各種入力を受け付ける。
【0048】
ストローク描画部26は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、ユーザによって電子ペン2500や手Hでディスプレイ220上に入力した座標データを描画像データに変換する処理を行なう。
【0049】
フレーム出力部27は、図3に示されているCPU201からの命令によって実現され、テレビ会議中にカメラが撮像した映像を他の電子黒板2に送信する。同様に、他の拠点の電子黒板2のカメラが撮像した映像が当該電子黒板2に送信される。
【0050】
(機器設定機能の各機能)
次に、機器設定機能30の各構成について説明する。機器設定機能30は、設定部31、優先度決定部32、親機子機変更部33、送受信部34、及び、権限委譲部35を有する。これら各部は、図3に示されている各構成要素のいずれかが、SSD204からRAM203上に展開された電子黒板2用プログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。また、電子黒板2は、図3に示されているRAM203及びSSD204によって構築される記憶部36を有している。
【0051】
まず、親機で有効となる機能について説明する。親機で有効となる機能は、優先度決定部32、送受信部34、及び、権限委譲部35である。
【0052】
送受信部34は、図3に示されているCPU201からの命令、並びにネットワークI/F205及び外部機器接続I/F206によって実現され、設定情報の同期のため、ネットワークNを介して電子黒板2と各種の情報を送受信する。なお、送受信部34は送信部34aと受信部34bを有する。
【0053】
優先度決定部32は、使用頻度に応じて決定した優先度に基づいて、子機となる複数の電子黒板2a~2dがある場合、どの電子黒板2a~2dから先に設定情報を更新し、どの電子黒板2a~dに権限を委譲するかを決定する。本実施形態では、一例として、使用頻度が多い電子黒板2を優先して同期先に決定し、使用頻度が少ない順に電子黒板2を権限の委譲先(委譲先装置)として決定する。
【0054】
権限委譲部35は、優先度決定部32が決定した子機(委譲先装置)に親機の権限を委譲する。具体的には、親機の権限を委譲する権限委譲通知を送信する。権限委譲通知には設定情報、子機情報43、優先度情報、及び、同期時刻44が含まれる。子機情報には、委譲先装置が設定情報を子機に送信するために必要な子機のIPアドレス等が含まれる。
【0055】
次に、親機の記憶部36に記憶されている親機子機フラグ41、子機情報43、設定情報DB42、及び、同期時刻44について説明する。
【0056】
【表1a】
表1(a)は親機子機フラグ41を模式的に示す。親機子機フラグ41は、当該電子黒板2が親機であるか子機であるかが設定されているフラグである。工場から出荷された当初の初期値として「子機」が設定されている。管理者が任意の電子黒板2を親機に設定すると、親機子機フラグ41には「親機」が設定される。
【0057】
【表1b】
表1(b)は親機の権限が委譲された委譲先装置の親機子機フラグ41の遷移を示す。親機の権限が委譲された委譲先装置は、親機子機フラグ41を「親機」に設定し、自身の設定情報の更新が完了すると、親機子機フラグ41を「子機」に戻す。したがって、「子機」→「親機」→「子機」のように遷移する。
【0058】
【表2】
表2は、子機情報43に記憶されている情報を模式的に示す。子機情報43は例えば、設定情報の送信先(同期先)の子機の電子黒板2a~2dのIPアドレスとポート番号を有している。子機情報43に記憶されている情報は、例えば管理者により予め設定されている。管理者は親機の電子黒板2Pと設定情報を同期させたい子機の電子黒板2a~2dのIPアドレスとポート番号を親機に設定する。あるいは、ネットワーク内の電子黒板2をSNMP(Simple Network Management Protocol)などで親機が探して、ネットワーク上で見つかった電子黒板2を動的に子機情報としてもよい。
【0059】
【表3】
表3は設定情報DB42に記憶されている設定情報の一例を模式的に示す。設定情報は多くの項目を有するため、表3に示すのはあくまで一部である。表3にはプリンターアドレス、メールアドレス帳、コンタクトリスト、共有フォルダー、及び、テンプレートの項目が示されている。プリンターアドレスは電子黒板2が使用するプリンターのIPアドレスである。メールアドレス帳は、電子黒板2から送信できる電子メールのアドレスのリストである。コンタクトリストは、当該電子黒板2が通信する他の電子黒板2のリスト(例えば、IPアドレス)である。共有フォルダーは電子黒板2がページデータ(1画面分のストロークデータ)等を共通に保存するフォルダーである。テンプレートは、ディスプレイに表示される背景の画像データ(テクスチャ)である。
【0060】
このように、設定情報は、電子黒板2で管理者等が設定しなければならない情報を含むため、これが同期されることで管理者が各電子黒板2に設定情報を設定する作業負担を低減できる。
【0061】
【表4】
表4は、同期時刻44の一例を示す。同期時刻44とは、各電子黒板2において設定情報が同期された時刻である。したがって、設定情報が同じでも同期時刻44は電子黒板2ごとに異なる場合が多い。親機については、設定情報DB42が更新された時刻でよい。子機の同期時刻44は、子機である電子黒板2a~2dが同期済みか否かの問い合わせを受信した時刻、設定情報DB42の設定情報を更新した時刻、又は、問い合わせを受信した時刻と更新した時刻の間、のいずれかとすればよい。本実施形態では、子機である電子黒板2a~2dが問い合わせを受信した時刻が同期時刻であるとする。これにより、問い合わせを受信した時刻から更新した時刻までの間に、親機又は委譲先装置から同期済みか否かの確認が行われても、子機が同期済みである旨を返すことができる。
【0062】
(子機で有効となる機能)
次に、子機で有効となる機能について説明する。子機で有効となる機能は、設定部31、親機子機変更部33、及び送受信部34である。まず、送受信部34の機能は親機と同様であるが、子機の場合は、受信部34bが設定情報を受信し、子機によっては権限委譲通知を受信する。
【0063】
設定部31は、親機から受信した設定情報を設定情報DB42に設定することで設定情報を更新する。親機子機変更部33は、親機から権限委譲通知を取得した場合に、親機子機フラグ41の状態を「親機」から「子機」に変更する。また、自身への設定情報の設定が完了すると、親機子機フラグ41の状態を「子機」から「親機」に戻す。
【0064】
子機が記憶部36に記憶している親機子機フラグ41と設定情報DB42については親機と同様であるが、子機情報43は有していない(親機から取得するため)。
【0065】
なお、委譲先装置において有効となる機能は子機と同じでよい。まず、委譲先装置は優先度を決定しないため優先度決定部32の機能が不要である。また、権限委譲部35が、更に別の委譲先装置に親機の権限を以上することは、本実施形態では行われないためである。ただし、委譲先装置が更に別の委譲先装置に親機の権限を以上してもよく、この場合は優先度決定部32と権限委譲部35が有効になってよい。
【0066】
したがって、親機の権限の委譲は少なくとも親機の設定情報と子機の設定情報を同期させる権限が委譲されることをいい、優先度決定部32の機能と権限委譲部35の機能の委譲が含まれる場合がある。
【0067】
<動作手順>
続いて、図5図8を用いて、親機が子機に設定情報を送信する手順を説明する。まず、比較のため、1台の親機が全ての子機に設定情報を送信する手順を説明する。
【0068】
図5は、1台の親機が全ての子機に設定情報を送信する手順を示すシーケンス図の一例である。
【0069】
S1:まず、電子黒板2に対して管理者が設定情報を設定する。管理者が入力した設定情報は設定情報DB42に記憶される。
【0070】
S2:親機は設定情報DB42の設定情報が更新されたことを検出して、設定情報の同期を開始する。この他、決まった時刻、起動時、などに設定情報の同期が開始される場合もある。親機の送信部34aは記憶部36から子機情報43を取得して、子機情報43に登録されている順番(昇順又は降順のどちらでもよく、ランダムでもよい)で設定情報を送信する子機を決定する。図5では、送信部34aは設定情報DB42から取得した設定情報を決定した電子黒板2aに対して送信する。
【0071】
S2.1:子機である電子黒板2aの受信部34bは親機から設定情報を受信し、設定部31が自身の設定情報DB42に設定情報を設定することで設定情報を更新する。
【0072】
親機は、ひとつの子機に対して設定情報の送信が完了次第、次の子機に対して設定情報を送信する。
【0073】
S3:親機の送信部34aは子機情報43に登録されている順番で設定情報を送信する子機を決定して、この子機(図5では電子黒板2b)に対して設定情報を送信する。
【0074】
S3.1:子機である電子黒板2bの受信部34bは親機から設定情報を受信し、設定部31が自身の設定情報DB42に設定情報を設定することで設定情報を更新する。
【0075】
S4~S5.1の処理の流れも同様になる。子機情報43に登録されている全ての子機に対して設定情報を送信すると、親機は設定情報の同期が完了したと判断する。なお、電源がOFFなど、設定情報を送信できない子機がある場合、次回の同期タイミングで同期が行われる。
【0076】
図6は、従来の設定情報の同期方法を模式的に説明する図の一例である。図5の手順から明らかなように、従来の設定情報の同期方法では、子機の数に比例して、同期完了までの時間が長くなる。
【0077】
また、時間がかかるだけでなく、親機が設定情報を全ての子機に送信するために、親機が稼動し続けることになるため、親機と親機が接続されたネットワークに負荷が集中する。
【0078】
また、同期の順序によって、初めに同期される子機は速やかに設定情報が更新されるが、順序が終盤の子機は、設定情報が更新されるまで時間がかかる。
【0079】
<<本実施形態の設定情報の同期手順>>
次に、図7を用いて、本実施形態の設定情報同期システム100による設定情報の同期の手順を説明する。図7は、本実施形態の設定情報同期システム100による設定情報の同期を模式的に説明する図の一例である。
【0080】
親機は、子機の使用頻度に基づいて優先度を決定し、使用頻度の高い子機に対して優先的に設定情報を同期させると共に、使用頻度が低い順に決定した1つ以上の子機に親機の権限の委譲を行う。これにより、並列処理による高速化と、親機及びネットワークへの負荷を分散することができる。
【0081】
まず、管理者が親機に対して設定情報を設定した際、親機は設定情報の同期を開始する前に、全ての子機の使用頻度情報を参照する。使用頻度情報の一例を表5に示す。
【0082】
【表5】
表5は、使用頻度情報の一例を示す。使用頻度情報は、例えば、1日の使用時間が一定期間、集計された情報である(例えば、ユーザが使用したかどうかに関わらずホワイトボードの機能が起動状態であった時間でよい)。親機の優先度決定部32は、最近の一定期間(例えば1週間、又は1月など)の使用頻度情報を取得する。使用頻度情報は降順にソートされ、表5の例では、電子黒板2a、2b、2d、2cの順に優先度が高いと決定されている。
【0083】
なお、使用頻度情報は、最近の一定期間の使用回数でもよい。使用回数とは例えば電源ボタンがONされ、起動した回数である。あるいは、最近の一定期間の使用時間又は使用回数でなく、過去の累積の使用時間又は使用回数でもよい。つまり、工場出荷から現在まで電子黒板2が使用された時間又は回数である。
【0084】
図7に戻って説明する。親機の優先度決定部32は、使用頻度情報の降順に子機をソートし、ソートされた順番に優先度を決定する。なお、子機の使用頻度情報は、同期開始の前から親機が予め収集していてもよい。例えば、子機の起動時に、毎回、親機に対して使用頻度情報を送信するなどの方法がある。こうすることで、設定情報の同期に要する時間を短くすることができる。
【0085】
そして、優先度決定部32は優先度が最も低い子機を、親機の権限を委譲する電子機器(委譲先装置)に決定する。表5の例では、電子黒板2cが委譲先装置(親機の権限の委譲先の電子黒板2)となる。
【0086】
なお、親機の権限の委譲先の電子黒板2は複数台でもよい。例えば、1台の電子黒板2(親機又は委譲先装置)の設定情報と同期する上限の子機の数が予め決められている場合、優先度決定部32はこの数につき1つの委譲先装置を決定する。優先度決定部32は優先度(使用頻度)が低い順に委譲先装置を決定する。
【0087】
親機と委譲先装置は、それぞれ優先度決定部32が決定した優先度に基づいて、優先度の高い子機から順に、設定情報の同期を開始する。親機と委譲先装置が同じ子機に対して重複して設定情報を送信することを防ぐため、設定情報を送信する前に、同期済みか否かを問い合わせる(確認する)。親機又は委譲先装置は未同期であれば設定情報を送信し、同期済みであれば次の子機に設定情報の同期を行う。
【0088】
委譲先装置は、自身を除く全ての子機に対する設定情報の同期が完了後、自身の設定情報DB42を親機から取得した設定情報で更新したのち、親機子機フラグ41を「子機」に戻して、通常の子機の状態に戻る。
【0089】
以上の処理によって、設定情報の並列処理による設定情報の同期に要する時間の短縮と、親機及びネットワークNへの負荷の集中の低減を実現できる。
【0090】
図8は、本実施形態の設定情報同期システム100による設定情報の同期の手順を示すシーケンス図の一例である。
【0091】
S11:まず、電子黒板2に対して管理者が設定情報を設定する。管理者が入力した設定情報は設定情報DB42に記憶される。また、親機の同期時刻44が現在時刻に更新される。管理者は従来と同様の手順で設定情報を入力するのみであり、本実施形態により手間が増えることはない。
【0092】
S12:親機は設定情報DB42の設定情報が更新されたことを検出して、親機の優先度決定部32は、子機情報43に登録されている子機(ここでは電子黒板2a)に対し送受信部34を介して使用頻度情報を要求する。使用頻度情報を要求する順番は子機情報43に登録されている順番でよい(昇順又は降順のどちらでもよく、又は、ランダムでもよい)。
【0093】
S13~S15:親機の優先度決定部32は子機情報43を参照して、使用頻度情報を子機である電子黒板2b~2dにも要求する
S16:優先度決定部32は、収集した子機の使用頻度情報をソートして、使用頻度情報の高い順に優先度を決定する。そして、最も優先度が低い子機を委譲先装置に決定する。図8では、電子黒板2cが委譲先装置に決定されたものとする。
【0094】
S17:親機の権限委譲部35は送受信部34を介して、委譲先装置に権限委譲通知を送信する。権限委譲通知には設定情報、子機情報43、優先度情報、及び、同期時刻44が含まれる。電子黒板2cの設定部31は自身の設定情報DB42の同期時刻を現在時刻で更新する。
【0095】
原則的に、委譲先装置が権限の委譲を断ることはないとするが、ユーザが使用中などの場合は権限の委譲を断ってもよい。この場合、優先度決定部32は次に優先度が低い子機を委譲先装置に決定する。電子黒板2cの親機子機変更部33は親機子機フラグ41を「親機」に変更する。これにより、親機の機能が有効になる。以上により、親機と委譲先装置は設定情報の同期を開始する。
【0096】
S18:親機の送信部34aは、設定情報の同期を開始する。親機の送信部34aは、優先度決定部32が決定した優先度が高い順に設定情報を同期させる子機(本実施形態では電子黒板2a)を決定する。まず、送信部34aは決定した電子黒板2aに対して同期済みか否かを問い合わせる。この同期済みか否かの問い合わせには、親機の同期時刻44が含まれる。
【0097】
電子黒板2aの送信部34aは親機から取得した同期時刻44と、記憶部36の同期時刻44を比較して、親機の同期時刻44の方が新しい場合、未同期であると判断する。このため、送信部34aは未同期を親機に送信する。また、設定部31は自身の設定情報DB42の同期時刻を現在時刻で更新する。
【0098】
S19:一方、委譲先装置も設定情報の同期を開始するため、委譲先装置の送信部34aは、親機と同様の方法で優先度情報に基づいて優先度が高い順に設定情報を送信する子機を決定する(本実施形態では電子黒板2a)。送信部34aは決定した電子黒板2aに対して同期済みか否かを問い合わせる。この同期済みか否かの問い合わせには、親機から取得した同期時刻44が含まれる。
【0099】
なお、親機も委譲先装置も優先度の高い順に同期させることが好適であるが、必ずしも優先度の高い順に同期しなくてもよい。すでに、親機が設定情報を同期させる子機は従来の半分になっており、全ての子機の設定情報が同期されるまでの時間も半分で済むためである。
【0100】
ステップS19の時点では、すでに電子黒板2aは親機との同期を開始している(同期済みかどうかの問い合わせを受けている)。電子黒板2aの送信部34aは親機の同期時刻44よりも自身の同期時刻44方が新しいので、同期済みであると判断する。このため、電子黒板2aの送信部34aは同期済みを委譲先装置に送信する。
【0101】
S20:親機の送信部34aは電子黒板2aに設定情報を送信する。
【0102】
S20.1:電子黒板2aの受信部34bは設定情報を受信し、設定部31が設定情報DB42の設定情報を親機から取得した設定情報で更新する。これにより、電子黒板2aの設定情報の同期が完了する。したがって、使用頻度が最も高い電子黒板2から先に設定情報を更新できる。
【0103】
S21:委譲先装置は、電子黒板2aの次に優先度が低い子機を、親機から取得した優先度情報に基づいて決定する。図8では、電子黒板2bが決定されたものとする。送信部34aは決定した子機に対して同期済みか否かを問い合わせる。この同期済みか否かの問い合わせには、親機から取得した同期時刻44が含まれる。
【0104】
ステップS21の時点では、電子黒板2bは親機と同期を開始していない。電子黒板2bの送信部34aは委譲先装置から送信された同期時刻44よりも自身の同期時刻44の方が古いので、未同期であると判断する。このため、電子黒板2bの送信部34aは未同期を委譲先装置に送信する。また、設定部31は自身の設定情報DB42の同期時刻を現在時刻で更新する。
【0105】
S22:委譲先装置の受信部34bは未同期を受信したので、送信部34aが電子黒板2bに設定情報を送信する。
【0106】
S22.1:電子黒板2bの受信部34bは設定情報を受信し、設定部31が設定情報DB42の設定情報を委譲先装置から取得した設定情報で更新する。これにより、電子黒板2bの設定情報の同期が完了する。したがって、使用頻度が次に高い電子黒板2の設定情報を更新できる。
【0107】
S23:ステップS13で親機が電子黒板2bに同期済みか否かを問い合わせているが、電子黒板2bは委譲先装置と同期を開始している。電子黒板2bの送信部34aは親機の同期時刻44よりも自身の同期時刻44方が新しいので、同期済みであると判断する。このため、電子黒板2bの送信部34aは同期済みを親機に送信する。
【0108】
S24:親機の送信部34aは、優先度が高い順に電子黒板2a、2bの同期が完了していると判断するので、親機の送信部34aは、次に優先度が高い子機(本実施形態では電子黒板2d)を同期先に決定する。まず、送信部34aは決定した子機に対して同期済みか否かを問い合わせる。この同期済みか否かの問い合わせには、親機の同期時刻44が含まれる。
【0109】
電子黒板2dの送信部34aは親機から取得した同期時刻44と、記憶部36の同期時刻44を比較して、親機の同期時刻44の方が新しい場合、未同期であると判断する。このため、送信部34aは未同期を親機に送信する。また、設定部31は自身の設定情報DB42の同期時刻を現在時刻で更新する。
【0110】
S25:親機の送信部34aは電子黒板2dに設定情報を送信する。
【0111】
S25.1:電子黒板2dの受信部34bは設定情報を受信し、設定部31が設定情報DB42の設定情報を親機から取得した設定情報で更新する。これにより、電子黒板2dの設定情報の同期が完了する。親機の送信部34aは、優先度情報において同期していない子機が委譲先装置だけになると、同期処理を完了する。委譲先装置にはすでに設定情報が送信されているためである。なお、親機は自身が親機の権限を委譲した委譲先装置を記録している。
【0112】
S26:優先度が2位の電子黒板2bの同期が完了すると、委譲先装置も優先度情報に基づいて次に、設定情報を同期させる子機(図8では電子黒板2d)を決定する。送信部34aは決定した子機に対して同期済みか否かを問い合わせる。この同期済みか否かの問い合わせには、親機から取得した同期時刻44が含まれる。
【0113】
ステップS16の時点では、すでに電子黒板2dは親機との同期を開始している。電子黒板2dの送信部34aは委譲先装置から取得した同期時刻44よりも自身の同期時刻44方が新しいので、同期済みであると判断する。このため、電子黒板2dの送信部34aは同期済みを委譲先装置に送信する。
【0114】
S27:委譲先装置は優先度情報に基づいて次に、設定情報を送信する子機を決定する。他の全ての子機の同期が完了すると、最後に自身が残るので、委譲先装置の送信部34aは自身の設定情報と子機の設定情報を同期させると判断する。なお、自身のIPアドレスと子機情報43を比較すれば、自身だけが残っていることを検出できる。すでに親機から設定情報を受信しているので、設定部31は設定情報DB42の設定情報を親機から取得した設定情報で更新する。これにより、電子黒板2cの設定情報の同期が完了する。
【0115】
電子黒板2cの親機子機変更部33は親機子機フラグ41を「子機」に戻す。これにより、親機の機能が無効になる。
【0116】
なお、複数の委譲先装置が決定された場合、親機と委譲先装置の処理は変更がない。まず、親機については委譲先装置を除いて優先度の順に設定情報を同期させればよい。一方の委譲先子機も優先度の順に子機の設定情報を同期させるが、この中に他方の委譲先装置が入っていることになる。しかし、他方の委譲先装置は、権限委譲通知の時点で同期時刻を更新するので、同期済みか否かの問い合わせに対し同期済みを一方の委譲先装置に返す。したがって、一方の委譲先装置が他方の委譲先装置の設定情報を更新することがなく、委譲先装置の処理にも変更がない。
【0117】
<<親機の処理>>
図9に基づいて親機の処理について補足する。図9は、親機が設定情報を同期させる際の処理を示すフローチャート図の一例である。図9の処理は、管理者が親機に設定情報を設定するとスタートする。
【0118】
まず、親機の優先度決定部32は、子機情報43に登録されている全ての子機から使用頻度情報を収集する(S101)。
【0119】
次に、親機の優先度決定部32は各子機から収集した使用頻度情報をソートして、使用頻度情報が大きい順に各電子黒板2の優先度を決定する(S102)。
【0120】
次に、優先度決定部32は、優先度が最も低い子機を委譲先装置に決定する(S103)。複数の委譲先装置を決定してもよい。
【0121】
権限委譲部35は、委譲先装置に親機の権限を委譲する(S104)。すなわち、権限委譲通知と共に設定情報、子機情報43、優先度情報、及び、同期時刻44を送信する。
【0122】
送信部34aは、優先度の高い順に設定情報を送信する子機を決定する(S105)。設定情報を送信する子機が委譲先装置しか残っていない場合(S106のYes)、親機が行う同期の処理は完了なので、図9の処理は終了する。
【0123】
設定情報を送信する子機が委譲先装置以外にも残っている場合(S106のNo)、送信部34aは決定した子機に同期済みか否かを問い合わせる(S107)。
【0124】
送信部34aは未同期という応答が返ったか否かを判断する(S108)。未同期の場合(S108のYes)は、送信部34aはステップS105で決定した子機に設定情報を送信する(S109)。
【0125】
未同期でない場合(S108のNo)、又は、ステップS109に続いて、処理はステップS105に戻り、送信部34aは次に優先度が高い子機と設定情報を同期させる。
【0126】
<<委譲先装置の処理>>
図10に基づいて委譲先装置の処理について補足する。図10は、委譲先装置が設定情報を同期させる際の処理を示すフローチャート図の一例である。図10の処理は、親機から使用頻度情報の要求を取得するとスタートする。
【0127】
まず、委譲先装置の送信部34aは、使用頻度情報を親機に送信する(S201)。
【0128】
親機により委譲先装置に決定されると、受信部34bは権限委譲通知(設定情報、子機情報43、優先度情報、及び、同期時刻44)を受信する(S202)。
【0129】
親機子機変更部33は親機子機フラグ41を「親機」に変更する(S203)。これにより、親機の機能が有効になる。
【0130】
このため、送信部34aは設定情報を子機に送信する処理を行う決定する(S204~S208)。ステップS204~S208の処理は図9のステップS105~S109と同様でよい。
【0131】
ステップS205において、設定情報を送信する子機が委譲先装置しか残っていない場合(S105のYes)、設定部31は委譲先装置の設定情報DB42の設定情報を、親機から取得した設定情報で更新する(S210)。
【0132】
また、親機子機変更部33は親機子機フラグ41を「子機」に戻す(S211)。これにより、親機の機能は無効になる。
【0133】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の設定情報同期システム100は、親機である電子黒板2Pと委譲先装置である電子黒板2cが並行して設定情報を電子黒板2a、2b、2dに送信できるので、全ての電子黒板2a~2dの設定情報を親機と同期させるまでの時間を短縮できる。また、親機が設定情報を送信する子機の数は約半分になるので、親機である電子黒板2Pと電子黒板2Pが接続されているネットワークに負荷が集中することを抑制できる。
【0134】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。交差
<<親機が委譲先装置に送信する子機情報について>>
権限委譲通知では、親機が持つ全ての子機情報43が委譲先装置に送信されるとして説明したが、委譲先装置が受け持つ子機の子機情報43のみを親機が委譲先装置に送信してもよい。
【0135】
図11は、親機が委譲先装置に送信する子機情報43を示す図である。図11(a)は管理者が親機に設定した子機情報43の一例である。説明の便宜上、図11(a)の子機情報43は優先度の順にソートされているものとする。親機の権限委譲部35は、図11(a)の通信情報を優先度の高い方から1つ置きに抽出して、2つの子機情報43に分割する。
【0136】
図11(b)(c)は分割された子機情報43の一例を示す。図11(b)では、優先度が1位と3位の子機が抽出され、図11(c)では、優先度が2位と4位の子機が抽出されている。図11(b)の子機情報43を親機が保持し、図11(c)の子機情報43を親機が委譲先装置に送信する。
【0137】
この場合、親機と委譲先装置は、子機情報43に登録されている子機にだけ送信情報を送信すればよいので、不要な問い合わせを減らすことができ、通信負荷の増大を抑制し、また、全ての子機の設定に要する時間を短縮できる。
【0138】
なお、優先度の高い方から1つ置きに抽出して2つの子機情報43に分割するのでなく、優先度の高いグループと低いグループの2つに分割してもよいし、不作為(ランダム)に2つに分割してもよい。
【0139】
また、子機の数が多い場合は、子機情報43を3つ以上に分割することができる。
【0140】
<<電子黒板2の構成の別の例>>
本実施形態の電子黒板2は大型のタッチパネルを有するものとして説明されているが、電子黒板2はタッチパネルを有するものに限られない。
【0141】
図12は、電子黒板2の他の構成例を示す図である。図12では、通常のホワイトボード413の上辺にプロジェクタ411が設置されている。このプロジェクタ411が電子黒板2に相当する。通常のホワイトボード413とは、タッチパネルと一体のフラットパネルディスプレイではなく、ユーザがマーカで直接、手書きするホワイトボードである。なお、ホワイトボードは黒板でもよく、映像を投影するだけの広さの平面であればよい。
【0142】
プロジェクタ411は超短焦点の光学系を有しており、10cm程度から歪みの少ない映像をホワイトボード413に投影できる。この映像は、無線又は有線で接続されたPCから送信されてもよいし、プロジェクタ411が記憶していてもよい。
【0143】
ユーザは専用の電子ペン2500を使ってホワイトボード413に手書きする。電子ペン2500は、ユーザが手書きのためにホワイトボード413に押しつけるとスイッチがONになり発光する発光部を例えば先端部に有している。光の波長は近赤外や赤外なのでユーザの目には見えない。プロジェクタ411はカメラを有しており、発光部を撮像して画像を解析し電子ペン2500の方向を特定する。また、電子ペン2500は発光と共に音波を発信しており、プロジェクタ411は音波の到達時間により距離を算出する。方向と距離により電子ペン2500の位置を特定できる。電子ペン2500の位置にはストロークが描画(投影)される。
【0144】
プロジェクタ411はメニュー430を投影するので、ユーザが電子ペン2500でボタンを押下すると、プロジェクタ411が電子ペン2500の位置とスイッチのON信号により押下されたボタンを特定する。例えば、保存ボタン431が押下されると、ユーザが手書きしたストローク(座標の集合)がプロジェクタ411で保存される。プロジェクタ411は、予め定められたサーバ412又はUSBメモリ2600等に手書き情報を保存する。手書き情報はページごとに保存されている。画像データではなく座標のまま保存されるので、ユーザが再編集することができる。
【0145】
<<その他>>
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU(Graphics Processing Unit)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0146】
また、設定情報が同期される情報処理装置は、電子黒板2に限られない。設定情報が同期される情報処理装置であれば本実施形態の同期方法を適用できる。例えば、画像形成装置(複写機、プリンター、スキャナ装置、複合機、MFP(Multi-Function Peripherals))、ネットワークカメラ(全天候型カメラ、全方位カメラを含む)、プロダクションプリンティング機(商用印刷機)、プロジェクタ、テレビ会議端末などにも適用できる。この他、ゲーム機、ヘッドマウントディスプレイ、カーナビゲーション、デジタルカメラ、ドローンなどにも適用可能である。
【0147】
また、本実施形態では、同期時刻に基づいて同期済みか否かを判断したが、同期済みかどうかを設定情報の識別情報で判断してもよい。例えば、親機は新しい設定情報が設定されると過去の識別情報とは重複しない識別情報を生成し、設定情報と共に子機に送信する。したがって、子機は、設定情報の識別情報が同じであれば同期済み、異なっている場合は未同期であると判断できる。
【0148】
また、委譲先装置が更に別の子機に権限を委譲してもよい。この場合、親機、委譲先装置1、及び、委譲先装置2がそれぞれ優先度に基づいて設定情報を送信すればよい。
【0149】
なお、優先度決定部32は決定手段の一例であり、権限委譲部35は処理要求送信手段の一例であり、親機の送信部34aは第一の同期手段の一例であり、委譲先装置の受信部34bは受信手段の一例であり、親機子機変更部33は機能変更手段の一例であり、委譲先装置の送信部34aは第二の同期手段の一例であり、子機の送信部34aは応答手段の一例であり、設定部31は更新手段の一例であり、親機の同期時刻は第一の日時情報の一例であり、子機の同期時刻は第二の日時情報の一例である。
【符号の説明】
【0150】
2 電子黒板
20 ホワイトボードアプリケーション
30 機器設定機能
41 親機子機フラグ
43 子機情報
44 同期時刻
100 設定情報同期システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0151】
【文献】特開2017-068684号公報
図1
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図12