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特許7069955障害管理システム、障害管理装置、障害管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】障害管理システム、障害管理装置、障害管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220511BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018063044
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019175168
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 悠毅
【審査官】阿部 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-096031(JP,A)
【文献】特開2017-173941(JP,A)
【文献】国際公開第2004/107071(WO,A1)
【文献】特開2002-244884(JP,A)
【文献】特開2009-295061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0337210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器で発生した障害に関する障害情報が入力されると、障害を管理するための障害票情報が記憶されている記憶部から、前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報を検索する検索手段と、
前記検索手段により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索されなかった場合、前記障害情報を用いて、前記機器で発生した障害の障害票情報を作成する作成手段と、
前記検索手段により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索された場合、前記障害情報を用いて、検索された障害票情報を更新する更新手段と、
を有し、
前記障害情報には、前記障害が発生した機器を識別する機器識別情報が含まれ、
前記障害票情報には、障害に対する対応の優先度を示す情報が含まれ、
前記更新手段は、
検索された障害票情報に対して、前記機器識別情報を追加する更新を行い、
前記機器識別情報が追加された障害票情報に含まれる機器識別情報の数が所定の数以上である場合、前記障害票情報に含まれる優先度を示す情報を、優先度が高くなるように更新する、ことを特徴とする障害管理システム。
【請求項2】
前記障害情報には、機器の所有者を識別する所有者識別情報が含まれ、
前記検索手段は、
前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報であって、かつ、前記所有者識別情報が含まれる障害票情報を前記記憶部から検索する、
ことを特徴とする請求項に記載の障害管理システム。
【請求項3】
前記検索手段は、
更に、障害に対応が完了していないことを示す情報が含まれる障害票情報を前記記憶部から検索する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の障害管理システム。
【請求項4】
ユーザにより入力された障害情報又は機器で障害が発生したか否かを監視する監視装置から入力された障害情報を受け付ける受付手段を有し、
前記検索手段は、
前記受付手段が受け付けた障害情報が入力されると、前記検索を行う、ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の障害管理システム。
【請求項5】
前記作成手段により前記障害票情報が作成された場合又は前記検索手段により前記障害票情報が更新された場合、障害が発生したことを示す情報を前記機器に表示させるための表示情報を作成する表示情報作成手段と、
前記表示情報作成手段により作成された前記表示情報を前記機器に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の障害管理システム。
【請求項6】
前記障害管理システムは、更に、前記機器を含み、
前記機器は、
前記送信手段により送信された前記表示情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記表示情報を表示装置に表示させる表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項に記載の障害管理システム。
【請求項7】
機器で発生した障害に関する障害情報が入力されると、障害を管理するための障害票情報が記憶されている記憶部から、前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報を検索する検索手段と、
前記検索手段により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索されなかった場合、前記障害情報を用いて、前記機器で発生した障害の障害票情報を作成する作成手段と、
前記検索手段により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索された場合、前記障害情報を用いて、検索された障害票情報を更新する更新手段と、
を有し、
前記障害情報には、前記障害が発生した機器を識別する機器識別情報が含まれ、
前記障害票情報には、障害に対する対応の優先度を示す情報が含まれ、
前記更新手段は、
検索された障害票情報に対して、前記機器識別情報を追加する更新を行い、
前記機器識別情報が追加された障害票情報に含まれる機器識別情報の数が所定の数以上である場合、前記障害票情報に含まれる優先度を示す情報を、優先度が高くなるように更新する、ことを特徴とする障害管理装置。
【請求項8】
機器で発生した障害に関する障害情報が入力されると、障害を管理するための障害票情報が記憶されている記憶部から、前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報を検索する検索手順と、
前記検索手順により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索されなかった場合、前記障害情報を用いて、前記機器で発生した障害の障害票情報を作成する作成手順と、
前記検索手順により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索された場合、前記障害情報を用いて、検索された障害票情報を更新する更新手順と、
をコンピュータが実行し、
前記障害情報には、前記障害が発生した機器を識別する機器識別情報が含まれ、
前記障害票情報には、障害に対する対応の優先度を示す情報が含まれ、
前記更新手順は、
検索された障害票情報に対して、前記機器識別情報を追加する更新を行い、
前記機器識別情報が追加された障害票情報に含まれる機器識別情報の数が所定の数以上である場合、前記障害票情報に含まれる優先度を示す情報を、優先度が高くなるように更新する、ことを特徴とする障害管理方法。
【請求項9】
機器で発生した障害に関する障害情報が入力されると、障害を管理するための障害票情報が記憶されている記憶部から、前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報を検索する検索手順と、
前記検索手順により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索されなかった場合、前記障害情報を用いて、前記機器で発生した障害の障害票情報を作成する作成手順と、
前記検索手順により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索された場合、前記障害情報を用いて、検索された障害票情報を更新する更新手順と、
をコンピュータに実行させ
前記障害情報には、前記障害が発生した機器を識別する機器識別情報が含まれ、
前記障害票情報には、障害に対する対応の優先度を示す情報が含まれ、
前記更新手順は、
検索された障害票情報に対して、前記機器識別情報を追加する更新を行い、
前記機器識別情報が追加された障害票情報に含まれる機器識別情報の数が所定の数以上である場合、前記障害票情報に含まれる優先度を示す情報を、優先度が高くなるように更新する、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害管理システム、障害管理装置、障害管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器に発生した障害を障害票情報として管理するヘルプデスクシステムが従来から知られている。このようなヘルプデスクシステムでは、例えば、機器で発生した障害を検知したユーザや障害発生の連絡を受けたヘルプデスクの担当者等が障害に関する各種情報を入力することで障害票情報が作成される。なお、障害票情報は、チケット、障害チケット、インシデントチケット、トラブルチケット等とも称される。
【0003】
また、機器に発生した障害の障害票情報が作成された場合に、所定のメッセージを当該機器上に表示させることで、障害票情報が重複して作成されてしまう事態を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
更に、原因が重複するインシデントに関する障害票情報をグルーピングし、同じグループに属する障害票情報を提供することで、当該インシデントに関してより詳しい情報をユーザに提供する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、例えば、同一原因の障害が異なる機器で発生した場合には障害票情報が重複して作成されてしまう場合があった。例えば、複数の機器とサーバ装置とが連携して動作するシステムにおいて、当該サーバ装置が故障した場合等には、これら複数の機器それぞれで発生する同一原因の障害に対して障害票情報が重複して作成されてしまう。
【0006】
このため、例えば、障害票情報の作成数に応じてユーザに対して料金が課金されるようなヘルプデスクシステムでは、同一原因の障害に対する障害票情報が多く作成され、料金が高額になってしまう場合がある。
【0007】
本発明の実施の形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、同一原因の障害に対する障害票情報が多く作成されてしまうことを防止可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の実施の形態は、機器で発生した障害に関する障害情報が入力されると、障害を管理するための障害票情報が記憶されている記憶部から、前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報を検索する検索手段と、前記検索手段により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索されなかった場合、前記障害情報を用いて、前記機器で発生した障害の障害票情報を作成する作成手段と、前記検索手段により前記機器で発生した障害と同一原因の障害の障害票情報が検索された場合、前記障害情報を用いて、検索された障害票情報を更新する更新手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
同一原因の障害に対する障害票情報が多く作成されてしまうことを防止可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る障害管理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る障害管理装置及び機器監視装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る機器が画像形成装置である場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係る障害管理システムの機能構成の一例を示す図である。
図5】障害票情報の一例を示す図である。
図6】障害票情報の作成又は更新処理の一例を示すフローチャートである。
図7】検索条件情報の一例を示す図である。
図8】複数の機器で同一原因の障害が発生した場合における全体的な処理の一例を示すシーケンス図(その1)である。
図9】表示情報の一例を示す図である。
図10】複数の機器で同一原因の障害が発生した場合における全体的な処理の一例を示すシーケンス図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と表す。)について説明する。以降では、機器で発生した障害が管理される障害票情報を作成する障害管理システム1について説明する。なお、障害票情報は、上述したように、チケット、障害チケット、インシデントチケット、トラブルチケット等とも称される。また、本実施形態では「障害票情報」との用語を用いているが、障害票情報によって管理される対象は障害に限られず、例えば、故障、異常、インシデント、トラブル、動作不良等であっても良い。
【0012】
<全体構成>
まず、本実施形態に係る障害管理システム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る障害管理システム1の全体構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る障害管理システム1には、障害管理装置10と、機器監視装置20と、複数の機器30とが含まれる。また、障害管理装置10と、機器監視装置20と、機器30とは、例えばインターネット等のネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0014】
障害管理装置10は、機器30で発生した障害を管理するための障害票情報を作成するコンピュータ又はコンピュータシステムである。障害管理装置10は、障害に関する情報(以降、「障害情報」と表す。)を機器監視装置20から受信した場合又は障害情報がユーザ(例えば、ヘルプデスクの担当者や機器30の利用者、障害の発見者、機器30の管理者等)により入力された場合に、障害票情報を作成する。
【0015】
このとき、本実施形態に係る障害管理装置10は、機器30で発生した障害と同一原因の障害に対する障害票情報が存在しない場合にのみ障害票情報を新規に作成する。一方で、本実施形態に係る障害管理装置10は、同一原因の障害に対する障害票情報が存在する場合は障害票情報を新規に作成せずに、既存の障害票情報を更新する。これにより、例えば、複数の機器30で同一原因の障害がそれぞれ発生したような場合に、同一原因で発生した複数の障害に対して1つの障害票情報が作成され、重複した障害票情報の作成を防止することができる。
【0016】
機器監視装置20は、機器30で障害が発生したか否かを監視するコンピュータ又はコンピュータシステムである。機器監視装置20は、機器30で障害が発生したことを検知すると、この障害に関する情報(障害情報)を障害管理装置10に送信する。
【0017】
機器30は、障害の発生が管理される各種電子機器である。機器30としては、例えば、MFP(Multifunction Peripheral)や印刷装置、スキャナ装置、FAX装置等の種々の画像形成装置が挙げられる。ただし、機器30は、画像形成装置に限られず、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、サーバ装置、ルータ、スマートフォン、タブレット端末、プロジェクタ、電子黒板装置、デジタルサイネージ装置、テレビ会議装置等の任意の電子機器であっても良い。以降では、複数の機器30の各々を区別して表す場合は、「機器30-1」、「機器30-2」等と表す。
【0018】
なお、図1に示す障害管理システム1の構成は一例であって、他の構成であっても良い。例えば、本実施形態に係る障害管理システム1には、機器監視装置20が含まれていなくても良い。
【0019】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る障害管理装置10、機器監視装置20及び機器30のハードウェア構成について説明する。
【0020】
≪障害管理装置10及び機器監視装置20≫
本実施形態に係る障害管理装置10及び機器監視装置20のハードウェア構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る障害管理装置10及び機器監視装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、障害管理装置10及び機器監視装置20は同様のハードウェア構成を有するため、以降では、主に、障害管理装置10のハードウェア構成について説明する。
【0021】
図2に示すように、本実施形態に係る障害管理装置10は、入力装置101と、表示装置102と、外部I/F103と、通信I/F104とを有する。また、本実施形態に係る障害管理装置10は、ROM(Read Only Memory)105と、RAM(Random Access Memory)106と、CPU(Central Processing Unit)107と、補助記憶装置108とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバス109で接続されている。
【0022】
入力装置101は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等であり、ユーザが各種操作を入力するのに用いられる。表示装置102は、例えば、ディスプレイ等であり、障害管理装置10による処理結果を表示する。なお、障害管理装置10及び機器監視装置20は、入力装置101及び表示装置102のうちの少なくとも一方を有していなくても良い。
【0023】
外部I/F103は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体103a等がある。障害管理装置10は、外部I/F103を介して、記録媒体103aの読み取りや書き込み等を行うことができる。記録媒体103aには、例えば、USBメモリ、SDメモリカード、フレキシブルディスク、CD、DVD等がある。
【0024】
通信I/F104は、障害管理装置10をネットワークNに接続するためのインタフェースである。障害管理装置10は、通信I/F104を介して、他の装置と通信を行うことができる。
【0025】
ROM105は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM105には、例えば、障害管理装置10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS(Operating System)設定、及びネットワーク設定等のプログラムやデータが格納されている。RAM106は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。
【0026】
CPU107は、ROM105や補助記憶装置108等からプログラムやデータをRAM106上に読み出して、処理を実行することで、障害管理装置10全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0027】
補助記憶装置108は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。補助記憶装置108に格納されるプログラムやデータには、障害管理装置10全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、OS上で各種機能を提供するアプリケーションプログラム、本実施形態を実現する1以上のプログラム等がある。補助記憶装置108は、格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステムやDB(データベース)により管理している。
【0028】
本実施形態に係る障害管理装置10及び機器監視装置20は、図2に示すハードウェア構成を有することにより、後述するような各種処理を実現できる。
【0029】
≪機器30≫
本実施形態に係る機器30が画像形成装置である場合のハードウェア構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る機器30が画像形成装置である場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0030】
図3に示すように、本実施形態に係る機器30は、コントローラ301と、操作パネル302と、外部I/F303と、通信I/F304と、画像処理エンジン305とを有する。また、コントローラ301は、CPU311と、RAM312と、ROM313と、NVRAM314と、補助記憶装置315とを有する。
【0031】
ROM313は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM312は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。NVRAM314は、例えば設定情報等を格納している不揮発性の半導体メモリである。また、補助記憶装置315は、例えば、HDDやSSD等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。
【0032】
CPU311は、ROM313やNVRAM314、補助記憶装置315等からプログラムやデータ、設定情報等をRAM312上に読み出し、処理を実行することで、機器30全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0033】
操作パネル302は、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、表示を行う表示部とを備えている入出力装置である。外部I/F303は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体303a等がある。機器30は、外部I/F303を介して、記録媒体303aの読み取りや書き込み等を行うことができる。
【0034】
記録媒体303aには、例えば、ICカード、USBメモリ、SDメモリカード、フレキシブルディスク、CD、DVD等がある。
【0035】
通信I/F304は、機器30をネットワークNに接続するためのインタフェースである。機器30は、通信I/F304を介して、他の装置と通信を行うことができる。
【0036】
画像処理エンジン305は、例えば、プロッタやスキャナ等であり、印刷処理やスキャン処理等の各種の画像処理を行う装置である。
【0037】
本実施形態に係る機器30は、図3に示すハードウェア構成を有することにより、後述するような各種処理を実現できる。
【0038】
<機能構成>
次に、本実施形態に係る障害管理システム1の機能構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係る障害管理システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0039】
≪障害管理装置10≫
本実施形態に係る障害管理装置10は、操作受付部401と、障害票情報作成・更新処理部402と、表示情報作成部403と、表示情報出力部404とを有する。これら各部は、障害管理装置10にインストールされた1以上のプログラムがCPU107に実行させる処理により実現される。
【0040】
また、本実施形態に係る障害管理装置10は、障害票情報記憶部405を有する。障害票情報記憶部405は、例えば補助記憶装置108を用いて実現可能である。なお、障害票情報記憶部405は、障害管理装置10とネットワークNを介して接続される記憶装置等を用いて実現されていても良い。
【0041】
操作受付部401は、ユーザ(例えば、ヘルプデスクの担当者や機器30の利用者、障害の発見者、機器30の管理者等)による障害情報の入力操作を受け付ける。なお、操作受付部401は、障害管理装置10の入力装置101を用いて行われた障害情報の入力操作を受け付けても良いし、障害管理装置10とネットワークNを介して接続された端末装置等において行われた障害情報の入力操作を受け付けても良い。
【0042】
障害票情報作成・更新処理部402は、障害情報から障害票情報を作成及び更新する処理を行う。障害票情報作成・更新処理部402には、障害情報受付部411と、検索部412と、障害票情報作成・更新部413と、情報管理部414とが含まれる。
【0043】
障害情報受付部411は、操作受付部401が受け付けた入力操作によって入力された障害情報又は機器監視装置20から送信された障害情報を受け付ける。
【0044】
検索部412は、障害情報受付部411が障害情報を受け付けると、検索条件情報2000が示す検索条件を用いて、当該検索条件を満たす障害票情報1000を障害票情報記憶部405から検索する。ここで、検索条件には、障害の原因を示す障害コードが同一であるとの条件が少なくとも含まれる。したがって、当該検索条件を満たす障害票情報1000は、障害情報受付部411が受け付けた障害情報と少なくとも障害コードが同一の障害票情報1000である。障害票情報1000及び検索条件情報2000の詳細については後述する。なお、検索条件情報2000は、例えば、補助記憶装置108等に記憶されている。
【0045】
障害票情報作成・更新部413は、検索条件を満たす障害票情報1000が検索部412により検索されなかった場合、障害情報受付部411が受け付けた障害情報から障害票情報を作成する。一方で、障害票情報作成・更新部413は、検索条件を満たす障害票情報1000が検索部412により検索された場合、障害情報受付部411が受け付けた障害情報を用いて、検索された障害票情報1000を更新する。
【0046】
情報管理部414は、障害票情報記憶部405に記憶されている障害票情報1000を管理する。すなわち、情報管理部414は、障害票情報記憶部405から障害票情報1000を取得したり、障害票情報記憶部405に障害票情報1000を記憶させたりする。
【0047】
表示情報作成部403は、障害票情報作成・更新処理部402により障害票情報が作成又は更新された場合、表示情報を作成する。表示情報とは、障害が発生したことを示すメッセージ等を、機器30の操作パネル302上に表示させるための情報である。
【0048】
表示情報出力部404は、表示情報作成部403が作成した表示情報を、障害が発生した機器30に送信する。
【0049】
障害票情報記憶部405は、機器30で発生した障害を管理するための障害票情報1000を記憶する。なお、障害票情報記憶部405には、1以上の障害票情報1000が記憶される。
【0050】
ここで、障害票情報1000の一例について、図5を参照しながら説明する。図5は、障害票情報1000の一例を示す図である。
【0051】
図5に示す障害票情報1000には、フィールド(データの項目)として、「障害票ID」、「起票日」、「機器ID」、「障害コード」、「顧客ID」、「状態」、及び「優先度」等が含まれる。
【0052】
「障害票ID」は、フィールド値として、障害票情報1000を識別する識別情報(障害票ID)が設定される。なお、障害票IDとしては、例えば、GUID(Globally Unique Identifier)等を用いることができる。
【0053】
「起票日」は、フィールド値として、障害票情報1000が起票(作成)された日付が設定される。「機器ID」は、フィールド値として、障害が発生した機器30を識別する識別情報(機器ID)が設定される。なお、機器IDとしては、例えば、機器30のIP(Internet Protocol)アドレスやホスト名、製造固有番号等を用いることができる。
【0054】
「障害コード」は、フィールド値として、機器30で発生した障害を識別する識別情報(障害コード)が設定される。障害コードとしては、例えば、機器30で発生した障害のエラーコード等を用いることができる。
【0055】
「顧客ID」は、フィールド値として、障害が発生した機器30を所有する顧客を識別する識別情報(顧客ID)が設定される。顧客IDとしては、例えば、顧客毎に付与された任意の文字列、会社名、部門名等を用いることができる。
【0056】
「状態」は、フィールド値として、機器30で発生した障害の状態が設定される。状態としては、例えば、障害が発生し、未だ障害に対して何らの対応も行われていないことを示すオープン、障害に対して対応を行っている最中であることを示すプログレス、障害の対応が完了したことを示すクローズ等がある。
【0057】
「優先度」は、フィールド値として、障害に対して対応を行う場合における優先度が設定される。
【0058】
このように、障害票情報1000には、機器30で発生した障害を管理するための種々のフィールド及びフィールド値が含まれる。なお、障害票情報1000には、フィールドとして、例えば、障害に対する対応の内容が設定される「対応内容」等が含まれていても良い。
【0059】
≪機器監視装置20≫
本実施形態に係る機器監視装置20は、機器監視部501と、障害情報出力部502とを有する。これら各部は、機器監視装置20にインストールされた1以上のプログラムがCPU107に実行させる処理により実現される。
【0060】
機器監視部501は、機器30に障害が発生したか否かを監視する。また、機器監視部501は、機器30に障害が発生したことを検知した場合、当該機器30から機器ID及び障害コード等が含まれる障害情報を取得する。ここで、機器監視部501は、例えば、所定の時間毎に機器30をポーリング等することで、当該機器30に障害が発生したか否かを監視すれば良い。なお、障害情報には、フィールドとして、少なくとも「機器ID」と「障害コード」とが含まれるが、これら以外にも、例えば、「顧客ID」等が含まれていても良い。
【0061】
障害情報出力部502は、障害が発生した機器30から取得した障害情報を障害管理装置10に送信する。
【0062】
≪機器30≫
本実施形態に係る機器30は、表示情報受信部601と、表示制御部602とが含まれる。これら各部は、機器30にインストールされた1以上のプログラムがCPU311に実行させる処理により実現される。
【0063】
表示情報受信部601は、障害管理装置10からの表示情報を受信する。表示制御部602は、表示情報受信部601が受信した表示情報を操作パネル302上に表示させる。
【0064】
<処理の詳細>
以降では、本実施形態に係る障害管理システム1の処理の詳細について説明する。
【0065】
≪障害票情報1000の作成又は更新処理≫
まず、障害情報を障害管理装置10が受け付けた場合に、障害票情報を作成又は更新する処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、障害票情報の作成又は更新処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
障害票情報作成・更新処理部402の障害情報受付部411は、操作受付部401が受け付けた入力操作によって入力された障害情報又は機器監視装置20から送信された障害情報を受け付ける(ステップS101)。なお、上述したように、障害情報には、少なくとも機器IDと障害コードとが含まれる。
【0067】
次に、障害票情報作成・更新処理部402の検索部412は、検索条件情報2000が示す検索条件を用いて、当該検索条件を満たす障害票情報1000を障害票情報記憶部405から検索する(ステップS102)。
【0068】
ここで、検索条件情報2000の一例を図7(a)~図7(c)を参照しながら説明する。図7(a)~図7(c)に示すように、検索条件情報2000には、「第1オペランド」と、「演算子」と、「第2オペランド」と、「結合子」とが含まれる。
【0069】
「第1オペランド」には、障害票情報1000のフィールドのうち、検索対象となるフィールドが設定される。一方、「第2オペランド」には、障害情報のフィールド又は固定値が設定される。「演算子」は、第1オペランドと第2オペランドとを比較するための演算子が設定される。「結合子」は、検索条件情報2000に含まれる次のレコードとの間の論理演算子が設定される。また、検索条件情報2000に含まれる各レコードはそれぞれ1つの条件を表しており、これらの条件を結合子で結合した条件が検索条件である。
【0070】
図7(a)に示す検索条件情報2000の1レコード目(第1条件)には、第1オペランドに「障害コード」、演算子に「=」、第2オペランドに「障害コード」、結合子「AND」が設定されている。また、図7(a)に示す検索条件情報2000の2レコード目(第2条件)には、第1オペランドに「状態」、演算子に「≠」、第2オペランドに「'クローズ'」(固定値)、結合子「-」が設定されている。このとき、「第1条件かつ第2条件」が検索条件となる。これは、障害票情報記憶部405に記憶されている障害票情報1000のうち、第1条件と第2条件との両方を満たす障害票情報1000が検索されることを示している。
【0071】
すなわち、図7(a)に示す検索条件情報2000では、以下の(a-1)と(a-2)との両方を満たす障害票情報1000が検索される。
【0072】
(a-1)障害票情報1000のフィールド「障害コード」のフィールド値が、障害情報のフィールド「障害コード」のフィールド値と一致する。
【0073】
(a-2)障害票情報1000のフィールド「状態」のフィールド値が「クローズ」である。
【0074】
これにより、機器30で過去に発生した障害と原因が同一(すなわち、障害コードが同一)で、かつ、未だクローズしていない障害票情報1000が検索される。
【0075】
図7(b)に示す検索条件情報2000の1レコード目(第1条件)には、第1オペランドに「障害コード」、演算子に「=」、第2オペランドに「障害コード」、結合子「AND」が設定されている。また、図7(b)に示す検索条件情報2000の2レコード目(第2条件)には、第1オペランドに「顧客ID」、演算子に「=」、第2オペランドに「顧客ID」、結合子「AND」が設定されている。更に、図7(b)に示す検索条件情報2000の3レコード目(第3条件)には、第1オペランドに「状態」、演算子に「≠」、第2オペランドに「'クローズ'」(固定値)、結合子「-」が設定されている。このとき、「第1条件かつ第2条件かつ第3条件」が検索条件となる。これは、障害票情報記憶部405に記憶されている障害票情報1000のうち、第1条件と第2条件と第3条件との全てを満たす障害票情報1000が検索されることを示している。
【0076】
すなわち、図7(b)に示す検索条件情報2000では、以下の(b-1)と(b-2)と(b-3)との全てを満たす障害票情報1000が検索される。
【0077】
(b-1)障害票情報1000のフィールド「障害コード」のフィールド値が、障害情報のフィールド「障害コード」のフィールド値と一致する。
【0078】
(b-2)障害票情報1000のフィールド「顧客ID」のフィールド値が、障害情報のフィールド「顧客ID」のフィールド値と一致する。
【0079】
(b-3)障害票情報1000のフィールド「状態」のフィールド値が「クローズ」である。
【0080】
これにより、同一の顧客が保有する機器30で過去に発生した障害と原因が同一(すなわち、障害コードが同一)で、かつ、未だクローズしていない障害票情報1000が検索される。このように、障害コードと顧客IDとの両方が一致することを検索条件にすることで、顧客毎に障害票情報1000を管理することができる。
【0081】
例えば、複数の顧客の複数の機器30がSaaS(Software as a Service)として提供されているサービスと連携して動作している場合に、SaaSとしてサービスを提供するサーバが停止等してしまうケースが考えられる。このような場合であっても、障害コードと顧客IDとの両方が一致することを検索条件にすることで、顧客毎に障害票情報1000を管理することができるようになる。これは、顧客の機密情報等が障害票情報1000に含まれるような場合には特に有用である。
【0082】
図7(c)に示す検索条件情報2000の1レコード目(第1条件)には、第1オペランドに「起票日」、演算子に「≧」、第2オペランドに「2018/1/1」(固定値)、結合子「AND」が設定されている。また、図7(c)に示す検索条件情報2000の2レコード目(第2条件)には、第1オペランドに「障害コード」、演算子に「=」、第2オペランドに「障害コード」、結合子「AND」が設定されている。更に、図7(c)に示す検索条件情報2000の3レコード目(第3条件)には、第1オペランドに「状態」、演算子に「≠」、第2オペランドに「'クローズ'」(固定値)、結合子「-」が設定されている。このとき、「第1条件かつ第2条件かつ第3条件」が検索条件となる。これは、障害票情報記憶部405に記憶されている障害票情報1000のうち、第1条件と第2条件と第3条件との全てを満たす障害票情報1000が検索されることを示している。
【0083】
すなわち、図7(c)に示す検索条件情報2000では、以下の(c-1)と(c-2)と(c-3)との全てを満たす障害票情報1000が検索される。
【0084】
(c-1)障害票情報1000のフィールド「起票日」のフィールド値が、「2018/1/1」以降である。
【0085】
(b-2)障害票情報1000のフィールド「障害コード」のフィールド値が、障害情報のフィールド「障害コード」のフィールド値と一致する。
【0086】
(b-3)障害票情報1000のフィールド「状態」のフィールド値が「クローズ」である。
【0087】
これにより、機器30で2018年1月1日以降に発生した障害と原因が同一(すなわち、障害コードが同一)で、かつ、未だクローズしていない障害票情報1000が検索される。
【0088】
以上のように、検索条件情報2000には、レコードとして、1以上の検索条件が含まれる。なお、各検索条件に含まれるフィールド「結合子」のフィールド値としては、AND以外にも、例えば、ORやNAND、XOR等の種々の論理演算子を設定することができる。また、各検索条件に含まれるフィールド「演算子」のフィールド値としては、=、≠、≧以外にも、例えば、≦、>、<等の種々の比較演算子を設定することができる。
【0089】
図6に戻る。ステップS102に続いて、障害票情報作成・更新処理部402の検索部412は、検索条件を満たす障害票情報1000が障害票情報記憶部405から検索されたか否かを判定する(ステップS103)。
【0090】
ステップS103で障害票情報1000が検索されなかった場合(すなわち、検索条件を満たす障害票情報1000が存在しなかった場合)、障害票情報作成・更新処理部402の障害票情報作成・更新部413は、障害情報受付部411が受け付けた障害情報から障害票情報を作成する(ステップS104)。障害票情報作成・更新部413は、例えば、障害票IDを生成した上で、起票日、機器ID、障害コード、顧客ID、状態、優先度等を各フィールドに設定することで障害票情報1000を作成する。このとき、機器ID及び障害コードは、障害情報に含まれる機器ID及び障害コードが設定される。また、顧客ID、状態及び優先度等が障害情報に含まれる場合は、これらの顧客ID、状態及び優先度等が設定される。例えば、状態や優先度等が障害情報に含まれない場合は、デフォルト値として、状態「オープン」、優先度「中」等が設定されても良い。
【0091】
なお、優先度は、例えば、障害コードに応じて設定されても良い。例えば、緊急度が高い障害を示す障害コードの場合は優先度「高」を設定し、緊急度が低い障害を示す障害コードの場合は優先度「低」に設定する等である。
【0092】
一方で、ステップS103で障害票情報1000が検索された場合、障害票情報作成・更新処理部402の情報管理部414は、上記のステップS102で検索された障害票情報1000を障害票情報記憶部405から取得する(ステップS105)。
【0093】
次に、障害票情報作成・更新処理部402の障害票情報作成・更新部413は、上記のステップS105で取得された障害票情報1000を更新する(ステップS106)。このとき、障害票情報作成・更新部413は、当該障害票情報1000のフィールド「機器ID」のフィールド値として、上記のステップS101で受け付けた障害情報に含まれる機器IDを追加する。
【0094】
例えば、当該障害票情報1000のフィールド「機器ID」のフィールド値が「機器001」であり、上記のステップS101で受け付けた障害情報に含まれる機器IDが「機器002」であったとする。この場合、障害票情報作成・更新部413は、当該障害票情報1000のフィールド「機器ID」に対して機器ID「機器002」を追加して、当該障害票情報1000のフィールド「機器ID」のフィールド値を「機器001,機器002」とする。これにより、同一の原因によって複数の機器30で発生した障害が1つの障害票情報1000で管理される。これは、同一の原因で障害が発生した複数の機器30が1つの障害票情報1000で管理されると言うこともできる。
【0095】
なお、障害票情報作成・更新部413は、フィールド「機器ID」以外のフィールドを更新しても良い。例えば、フィールド「機器ID」に含まれる機器IDの数が所定の数以上となった場合等に、障害票情報作成・更新部413は、フィールド「優先度」を、優先度を上げるように更新しても良い。これにより、所定の台数以上の機器30で同一の原因によって障害が発生した場合等に、障害の優先度を高くすることができる。
【0096】
なお、上記のステップS102において、複数の障害票情報1000が検索条件を満たす場合も有り得る。この場合、上記のステップS106において、情報管理部414は、これら複数の障害票情報1000を取得しても良いし、これら複数の障害票情報1000のうちのいずれか1つの障害票情報のみを取得しても良い。いずれか1つのみを取得する場合、情報管理部414は、例えば、起票日が最も新しい障害票情報1000を取得するようにしても良い。
【0097】
以上のように、本実施形態に係る障害管理装置10では、同一の原因によって複数の機器30で障害が発生した場合に、これら複数の機器30でそれぞれ発生した障害を1つの障害票情報1000で管理することができる。これにより、本実施形態に係る障害管理装置10では、同一の原因で発生した障害に対して重複した障害票情報1000が作成されてしまう事態を防止することができる。
【0098】
≪複数の機器30で同一の障害が発生した場合の全体的な処理(その1)≫
次に、複数の機器30で同一の原因の障害が発生し、これらの障害の障害情報をユーザが障害管理装置10に入力する場合の全体的な処理について、図8を参照しながら説明する。図8は、複数の機器30で同一原因の障害が発生した場合における全体的な処理の一例を示すシーケンス図(その1)である。以降では、一例として、障害票情報1000が作成されていない障害が機器30-1で発生した後に、当該障害と同一原因の障害が機器30-2でも発生した場合について説明する。
【0099】
機器30-1で障害が発生した場合(ステップS201)、この障害の発生を検知したユーザ等は、障害情報の入力操作を行う。なお、上述したように、ユーザは、障害管理装置10の入力装置101を用いて障害情報の入力操作を行っても良いし、障害管理装置10とネットワークNを介して接続された端末装置等を用いて障害情報の入力操作を行っても良い。また、障害の発生を検知した者と、障害情報の入力操作を行う者(ユーザ)とは、同一の者でなくても良い。例えば、機器30の利用者が障害の発生を検知し、この利用者から連絡を受けたコールセンターオペレータ等が障害情報の入力操作を行っても良い。
【0100】
障害情報の入力操作が行われると、障害管理装置10の操作受付部401は、当該入力操作を受け付ける(ステップS202)。
【0101】
次に、障害票情報作成・更新処理部402は、障害票情報の作成又は更新処理(図6)を行って、上記のステップS201で発生した障害を管理するための障害票情報1000を作成する(ステップS203)。なお、このとき、図6のステップS101では、障害情報受付部411により、操作受付部401が受け付けた入力操作によって入力された障害情報が受け付けられる。
【0102】
次に、表示情報作成部403は、上記のステップS203で作成された障害票情報1000のフィールド「状態」のフィールド値が、障害中であることを示す値(例えば、「オープン」又は「プログレス」等)である場合、表示情報を作成する(ステップS204)。
【0103】
次に、表示情報出力部404は、上記のステップS204で作成された表示情報を、上記のステップS203で障害情報受付部411が受け付けた障害情報に含まれる機器IDの機器30(すなわち、機器30-1)に送信する(ステップS205)。
【0104】
機器30-1の表示制御部602は、表示情報受信部601が表示情報を受信すると、当該表示情報を操作パネル302上に表示させる(ステップS206)。ここで、機器30-1の操作パネル302上に表示される表示情報を図9に示す。図9に示す表示情報G100には、障害発生したこと及びヘルプデスクに連絡済であることを示すメッセージが含まれる。これにより、機器30-1の利用者は、障害が発生したこととヘルプデスクに連絡済であることとを知ることができる。特に、表示情報G100として、ヘルプデスクに連絡済であることが表示されることで、ヘルプデスクへの連絡が重複して行われてしまうような事態を防止することができる。
【0105】
次に、機器30-1で発生した障害と同一原因の障害が機器30-2で発生した場合(ステップS207)、この障害の発生を検知したユーザ等は、障害情報の入力操作を行う。
【0106】
障害情報の入力操作が行われると、障害管理装置10の操作受付部401は、当該入力操作を受け付ける(ステップS208)。
【0107】
次に、障害票情報作成・更新処理部402は、障害票情報の作成又は更新処理(図6)を行って、上記のステップS203で作成された障害票情報1000を更新する(ステップS209)。すなわち、ステップS209では、例えば、上記のステップS203で作成された障害票情報1000のフィールド「機器ID」に対して、機器30-2の機器IDが追加される。
【0108】
次に、表示情報作成部403は、上記のステップS209で更新された障害票情報1000のフィールド「状態」のフィールド値が、障害中であることを示す値である場合、表示情報を作成する(ステップS210)。
【0109】
次に、表示情報出力部404は、上記のステップS210で作成された表示情報を、上記のステップS209で障害情報受付部411が受け付けた障害情報に含まれる機器IDの機器30(すなわち、機器30-2)に送信する(ステップS211)。
【0110】
機器30-2の表示制御部602は、表示情報受信部601が表示情報を受信すると、当該表示情報を操作パネル302上に表示させる(ステップS212)。これにより、例えば図9に示す表示情報G100が、機器30-2の操作パネル302上にも表示される。なお、このとき、機器30-2の操作パネル302に表示される表示情報には、例えば、機器30-2で発生した障害と同一原因の障害が機器30-1でも発生している旨の情報が含まれていても良い。
【0111】
≪複数の機器30で同一の障害が発生した場合の全体的な処理(その2)≫
次に、複数の機器30で発生した同一の原因の障害を機器監視装置20が検知し、当該機器監視装置20が障害情報を障害管理装置10に送信する場合の全体的な処理について、図10を参照しながら説明する。図10は、複数の機器30で同一原因の障害が発生した場合における全体的な処理の一例を示すシーケンス図(その2)である。なお、図10のステップS201、ステップS204~ステップS207、及びステップS210~ステップS212の処理は、図8と同様であるため、その説明を省略する。
【0112】
機器監視装置20の機器監視部501は、機器30-1で発生した障害を検知する(ステップS301)。機器監視装置20の機器監視部501は、障害の発生を検知すると、機器30-1から障害情報を取得する(ステップS302)。機器監視部501は、例えば、障害情報の取得要求を機器30-1に要求することで、この要求の応答として障害情報を取得すれば良い。
【0113】
機器監視装置20の障害情報出力部502は、機器30-1から取得した障害情報を障害管理装置10に送信する(ステップS303)。
【0114】
次に、障害票情報作成・更新処理部402は、障害票情報の作成又は更新処理(図6)を行って、機器30-1で発生した障害を管理するための障害票情報1000を作成する(ステップS304)。なお、このとき、図6のステップS101では、障害情報受付部411により、機器監視装置20から送信された障害情報が受け付けられる。
【0115】
また、ステップS207に続いて、機器監視装置20の機器監視部501は、機器30-2で発生した障害(機器30-1で発生した障害と同一原因の障害)を検知する(ステップS305)。機器監視装置20の機器監視部501は、障害の発生を検知すると、機器30-1から障害情報を取得する(ステップS306)。
【0116】
機器監視装置20の障害情報出力部502は、機器30-2から取得した障害情報を障害管理装置10に送信する(ステップS307)。
【0117】
次に、障害票情報作成・更新処理部402は、障害票情報の作成又は更新処理(図6)を行って、上記のステップS304で作成された障害票情報1000を更新する(ステップS308)。なお、このとき、図6のステップS101では、障害情報受付部411により、機器監視装置20から送信された障害情報が受け付けられる。
【0118】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る障害管理システム1では、複数の機器30で同一原因の障害が発生した場合に、障害票情報1000が重複して作成されてしまう事態を防止することができる。このため、例えば、障害票情報1000の作成数(起票数)に応じてユーザに対して料金が課金されるような場合に、同一原因の障害に対する障害票情報1000が多く作成され、料金が高額になってしまうような事態を防止することができるようになる。
【0119】
なお、同一原因の障害が複数の機器30で発生する場合としては、例えば、これら複数の機器30と連携するサーバ(例えば、プリントサーバやスキャンサーバ、ファイルサーバ等)に障害が発生した結果、これら複数の機器30にも障害が発生するケース等が挙げられる。又は、例えば、複数の機器30に共通にインストールされているプログラムに不具合が存在する場合等が挙げられる。
【0120】
本発明は、具体的に開示された上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 障害管理システム
10 障害管理装置
20 機器監視装置
30 機器
401 操作受付部
402 障害票情報作成・更新処理部
403 表示情報作成部
404 表示情報出力部
405 障害票情報記憶部
411 障害情報受付部
412 検索部
413 障害票情報作成・更新部
414 情報管理部
501 機器監視部
502 障害情報出力部
601 表示情報受信部
602 表示制御部
1000 障害票情報
2000 検索条件情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【文献】特開2015-215639号公報
【文献】特開2017-173941号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10