IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東ソー株式会社の特許一覧

特許7069976樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いた積層体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いた積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/06 20060101AFI20220511BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20220511BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20220511BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20220511BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20220511BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220511BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220511BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220511BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
C08L23/06
C08L23/04
C08L33/02
C08L23/26
C08L51/06
B32B27/32 Z
B32B27/00 B
B32B9/00 A
B65D81/38 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018069473
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178281
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】釘本 大資
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真吾
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-501376(JP,A)
【文献】特開平07-097462(JP,A)
【文献】特開2013-100552(JP,A)
【文献】特開2001-019810(JP,A)
【文献】特開2010-253763(JP,A)
【文献】特開2003-187648(JP,A)
【文献】特開2014-132530(JP,A)
【文献】特開平07-062158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B32B 1/00-43/00
B65D 67/00-79/02、81/18-81/30、
81/38、85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS K6922-1(1997年)により測定した密度が945kg/m以上970kg/m以下である高密度ポリエチレン(a)10~80重量部、JIS K6922-1(1997年)により測定した密度が890kg/m以上940kg/m以下である低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレン(b)5~80重量部、エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・メタアクリル酸共重合体(c)5~50重量部((a)~(c)の合計は100重量部)、さらに酸無水物もしくはエポキシ化合物をグラフトしたポリエチレン系樹脂(d)を1~10重量部を含む樹脂組成物。
【請求項2】
さらに石油樹脂系、クマロン樹脂系、スチレン系、ロジン系樹脂、メチルエステル系樹脂、グリセリンエステル系樹脂、ペンタエリストールエステル系樹脂、テルペン系樹脂及びそれらの変性物からなる群の少なくとも1種である粘着付与剤(e)を1~30重量部含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア層(B)とが隣接して積層された積層体。
【請求項4】
ガスバリア層(B)がアルミニウム箔又は無機化合物蒸着フィルムである請求項に記載の積層体。
【請求項5】
ポリエチレン系樹脂層(F)と請求項1又は2に記載の樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア性層(B)と請求項1又は2に記載の樹脂組成物からなる層(A)と紙基材と高圧法低密度ポリエチレン層(G)がこの順で積層された発泡用積層体であり、ポリエチレン系樹脂層(F)が、JIS K6922-1(1997年)により測定された密度が930kg/m以上970kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(f)、高圧法低密度ポリエチレン層(G)がJIS K6922-1(1997年)により測定された密度が910kg/m以上930kg/m未満である高圧法低密度ポリエチレン(g)である発泡用積層体。
【請求項6】
ガスバリア層(B)がアルミニウム箔又は無機化合物蒸着フィルムである請求項に記載の発泡用積層体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の積層体のポリエチレン系樹脂層(G)が発泡している発泡積層体。
【請求項8】
請求項に記載の発泡積層体を用いた容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性を有するフィルムと良好な接着を示し、かつ、高い耐熱性を有する樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いた積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、断熱性を有する容器として、合成樹脂、特にポリスチレンを発泡させたものが多く使用されている。しかし、発泡ポリスチレン容器は、廃棄時の環境への負荷が高い、印刷適性に劣るなどの欠点があり、他の素材への代替が検討されている。そのような中、紙カップ胴部の外周面にコルゲートした紙を貼り合わせて断熱層を形成した容器、同紙カップの胴部外周面にパルプ製の不織布とコート紙との積層体を接合した容器などが開発され、使用されている。
【0003】
しかしながら、いずれの方法も加工、成形が容易でなく、コスト高になるという欠点があった。そこで、水分を含んだ基材の少なくとも一面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートし、加熱することにより、基材に含まれている水分を利用して合成樹脂フィルムを凹凸に発泡させる技術が考案された(例えば、特許文献1~3参照。)。しかし、このようにして得られる材料は、発泡層の厚みが薄く、断熱性が不十分であった。
【0004】
また、発泡層の厚い発泡体を得る手段として、容器胴部材及び底板部材からなり、容器胴部材及び底板部材の紙基材の内壁面に高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあると共に容器胴部材の紙基材の外壁面に低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしてあり、この低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムを加熱処理して発泡してある断熱紙容器が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0005】
しかし、内壁面に高融点の熱可塑性合成樹脂を有する断熱紙容器では、ガスバリア性に劣っていた。
【0006】
そこで、容器胴部材及び底板部材の紙基材の内壁面に延伸ポリエステルフィルムからなるバリア層を設け、その上に高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムを設ける手法が使用されている。また、延伸ポリエステルフィルムとこれに接する紙基材及び高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムとの接着を強固に行う手段として、延伸ポリエステルフィルム上に予め接着剤としてのアンカーコート剤を塗布した後、その塗布剤の上に高融点の熱可塑性合成樹脂を溶融押出ししたり、紙基材とサンドラミネートする方法が一般的に行われている。
【0007】
しかし、アンカーコート剤の使用は、高コストであることや高速成形時の有機溶剤の飛散など、作業環境の低下をもたらすといった問題がある。そこで、生産性向上や作業環境改善を目的に、アンカーコート不要ラミグレードの中密度ポリエチレンを延伸ポリエステルフィルムと紙基材や高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムとの接着剤層として積層する手段が提案されている(例えば、特許文献5~6参照。)。このようにして得られる材料は、延伸ポリエステルフィルムと紙基材や高融点の熱可塑性合成樹脂フィルムとの接着強度が高く、低融点の熱可塑性合成樹脂フィルムを発泡させるための加熱処理を施してもフィルム間の剥離を生じない高い耐熱性を有するといった特徴があった。
【0008】
しかし、高温多湿な環境での使用においては、PETフィルムの水蒸気バリア性は十分ではなかった。
【0009】
また、容器胴部材及び底板部材の紙基材の内壁面に高いガスバリア性、水蒸気バリア性を有するアルミニウム箔や無機化合物蒸着プラスチックフィルムからなるバリア層を設け、その上にシーラント層を設ける手法が提案されている(例えば、特許文献7~8参照)。しかし、アルミニウム箔や無機化合物蒸着プラスチックフィルムは一般的に難接着性であり、上記のアンカーコート不要ラミグレードなどを接着剤層として使用した場合は十分な接着強度が得られず、バリア層と紙基材やシーラント層を積層するためにはウレタン系の接着剤を用いてドライラミネートする方法や、アンカーコート剤を用いてサンドラミネートする手法が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特公昭48-32283号公報
【文献】特開昭57-110439号公報
【文献】特開2001-270571号公報
【文献】特開2007-217024号公報
【文献】特開2010-253763号公報
【文献】特開2011-001087号公報
【文献】特開2003-261128号公報
【文献】特開2004-231197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、アンカーコート剤などの接着剤を使用することなく、ガスバリア性フィルムと良好に接着し、かつ、高耐熱性を有する樹脂組成物及びその樹脂組成物を用いた積層体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高密度ポリエチレン(a)、ポリエチレン系樹脂(b)、エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(c)から構成される樹脂組成物がガスバリア性フィルムと良好に接着し、かつ、高耐熱性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の[1]及至[5]に存する。
[1]JIS K6922-1(1997年)により測定した密度が945kg/m以上970kg/m以下である高密度ポリエチレン(a)10~80重量部、JIS K6922-1(1997年)により測定した密度が890kg/m以上940kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(b)5~80重量部、エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(c)5~50重量部((a)~(c)の合計は100重量部)を含む樹脂組成物。
[2]さらに酸無水物もしくはエポキシ化合物をグラフトしたポリエチレン系樹脂(d)を1~30重量部含む上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]さらに粘着付与剤(e)を1~30重量部含む上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア層(B)とが隣接して積層された積層体。
[5]ガスバリア層(B)がアルミニウム箔又は無機化合物蒸着フィルムである上記[4]に記載の積層体。
[6]ポリエチレン系樹脂層(F)と上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア性層(B)と上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層(A)と紙基材と高圧法低密度ポリエチレン層(G)がこの順で積層された発泡用積層体であり、ポリエチレン系樹脂層(F)が、JIS K6922-1(1997年)により測定された密度が930kg/m以上970kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(f)、高圧法低密度ポリエチレン層(G)がJIS K6922-1(1997年)により測定された密度が910kg/m以上930kg/m未満である高圧法低密度ポリエチレン(g)である発泡用積層体。
[7]ガスバリア層(B)がアルミニウム箔又は無機化合物蒸着フィルムである上記[6]に記載の発泡用積層体。
[8]上記[6]又は[7]に記載の積層体のポリエチレン系樹脂層(G)が発泡している発泡積層体。
[9]上記[8]に記載の発泡積層体を用いた容器。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。 本発明の樹脂組成物に用いる高密度ポリエチレン(a)のJIS K6922-1(1997年)により測定された密度(以下、単に密度と略す)は945~970kg/mの範囲であり、好ましくは950~970kg/mの範囲であり、より好ましくは960~970kg/mの範囲である。密度が945kg/m未満の場合は耐熱性に劣るため好ましく、密度が970kg/mを超える場合はフィルムの剛性が高くなり過ぎるため好ましくない。
【0015】
高密度ポリエチレン(a)のJIS K6922-1(1997年)に準拠して温度190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレート(以下、単にMFRと略す)は、5~40g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは10~35g/10分、最も好ましくは15~30g/10分の範囲である。MFRが5g/10分以上の場合は樹脂組成物の接着性に優れるため好ましく、40g/10分以下の場合は樹脂組成物の成形加工性に優れるため好ましい。
【0016】
高密度ポリエチレン(a)は、従来公知の中圧イオン重合法や低圧イオン重合法により得ることができる。
【0017】
高密度ポリエチレン(a)の配合量は10~80重量部の範囲であり、好ましくは20~60重量部の範囲であり、さらに好ましくは30~50重量部の範囲である。配合量が10重量部未満の場合は樹脂組成物の耐熱性が劣るため好ましくなく、80重量部を超える場合は樹脂組成物の成形加工性に劣るため好ましくない。
【0018】
本発明の樹脂組成物に用いるポリエチレン系樹脂(b)のJIS K6922-1(1997年)により測定された密度は890kg/m~940kg/mの範囲であり、好ましくは900kg/m~930kg/mの範囲であり、より好ましくは910kg/m~925kg/mの範囲である。密度が890kg/m未満の場合は耐熱性に劣るため好ましく、密度が940kg/mを超える場合は成形加工性に劣るため好ましくない。
【0019】
ポリエチレン系樹脂(b)としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどを例示することができる。これらのポリエチレン系樹脂(b)は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。このうち加工性に優れることから、低密度ポリエチレンが好ましい。
【0020】
低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
【0021】
直鎖状低密度ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高圧イオン重合法、中圧イオン重合法、低圧イオン重合法により、エチレンとα-オレフィンを共重合することで得ることができる。
【0022】
直鎖状低密度ポリエチレンに用いるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0023】
ポリエチレン系樹脂(b)の配合量は5~80重量部の範囲であり、好ましくは10~70重量部の範囲であり、さらに好ましくは15~60重量部の範囲である。配合量が5重量部未満の場合は樹脂組成物の成形加工性が劣るため好ましくなく、80重量部を超える場合は樹脂組成物の耐熱性が劣るため好ましくない。
【0024】
ポリエチレン系樹脂(b)のMFRは、1~40g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは1~30g/10分、最も好ましくは1~20g/10分の範囲である。MFRが5g/10分以上の場合は樹脂組成物の接着性優れるため好ましく、40g/10分以下の場合は樹脂組成物の成形加工性に優れるため好ましい。
【0025】
エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(c)は、従来公知の製造方法から得ることが出来る。
【0026】
エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアクリル酸乃至(メタ)アクリル酸の含有量は2~40重量%であることが好ましく、より好ましくは5~30重量%であり、更に好ましくは8~20重量%である。エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体のアクリル酸乃至(メタ)アクリル酸の含有量が2重量%以上の場合、得られる樹脂組成物の接着強度に優れるため好ましく、40重量%以下の場合、得られる樹脂組成物の耐熱性および成形加工性に優れるため好ましい。
【0027】
エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(c)の配合量は5~50重量部の範囲であり、好ましくは10~40重量部の範囲である。配合量が5重量部未満の場合は樹脂組成物の接着性が劣るため好ましくなく、50重量部を超える場合は樹脂組成物の耐熱性が劣るため好ましくない。
【0028】
本発明の樹脂組成物には構成樹脂間の混合状態を良くすることで成形加工性および接着性を向上させるため、必要に応じて相溶化剤を加えることが好ましい。本発明で用いる相溶化剤としては酸無水物又はエポキシ化合物をグラフトしたポリエチレン系樹脂(d)が好ましく、このような変性基を有するポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのポリエチレン系樹脂に対し、酸無水物基、エポキシ基(およびグリシジル基)などの変性基をグラフト化により導入した樹脂が挙げられる。
【0029】
本発明で用いることが出来る相溶化剤の市販品としては、例えばオレヴァック(ARKEMA株式会社製)、ロタダー(ARKEMA株式会社製)、ボンダイン(住友化学株式会社製)、ボンドファースト(住友化学株式会社製)、アドマー(三井化学株式会社製)などが挙げられる。
【0030】
本発明の樹脂組成物にはさらに接着性を向上させるため、必要に応じて粘着付与剤(e)を加えることが好ましい。
【0031】
本発明で用いる粘着付与剤(e)としては粘着付与剤の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えば合成石油樹脂系粘着付与剤である石油樹脂系、クマロン樹脂系、スチレン系などや、天然樹脂系粘着付与剤であるロジン系樹脂、メチルエステル系樹脂、グリセリンエステル系樹脂、ペンタエリストールエステル系樹脂、テルペン系樹脂及びそれらの変性物、などが挙げられる。これらの粘着付与剤のうち、合成石油樹脂系粘着付与剤には脂肪族系石油樹脂、脂肪族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂、芳香族系水添石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、共重合系水添石油樹脂などがある。
【0032】
該粘着付与剤(e)は、環球法で測定した軟化点が100~140℃の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは110~140℃であり、更に好ましくは120~135℃である。軟化点が100℃以上の場合は耐熱性に優れるため好ましく、140℃以下の場合は低温環境下での接着強度保持性に優れるため好ましい。
【0033】
本発明で用いることが出来る粘着付与剤(e)の市販品としては、例えば(商品名) アルコンM90、アルコンM115、アルコンM135、アルコンP100、アルコンP125、アイマーブS110、アイマーブP125、T-REZ RC115、T-REZ HA125、パインクリスタルKE-311、YSレジンPX1150、YSレジンPX1150N等を挙げることができる。
【0034】
本発明の樹脂組成物を混練する時は、高密度ポリエチレン(a)、ポリエチレン系樹脂(b)、エチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体(c)必要に応じて相溶化剤、粘着付与剤(e)を同時にヘンシェルミキサー又はタンブラー等の混合機により予備ブレンドしておき、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度は高密度ポリエチレン(a)の融点~300℃程度もしくは混合する他の樹脂の分解温度以下が好ましい。
【0035】
また、本発明の樹脂組成物には必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、酸素や水蒸気などのガス透過性の低い種々のガスバリアフィルムとの接着性に優れる。ガスバリアフィルムとしては、合成高分子重合体から形成される層や織布、不織布、金属箔、セロファン等が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アイオノマー等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂など合成高分子重合体から形成される層等が挙げられる。更に、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミ、アルミナ、二酸化珪素、などの無機化合物を蒸着処理されたものでもよい。また、これらの高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔などが例示できる。
【0037】
これらの中で、酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れることから無機化合物蒸着フィルムおよびアルミニウム箔が好ましい。
【0038】
本発明の積層体は、少なくとも樹脂組成物からなる(A)層とガスバリアフィルムからなるガスバリア性層(B)を隣接して積層させたものである。
【0039】
本発明の積層体を構成する(A)層の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はないが、5~40μmの範囲が好ましく、より好ましくは10~30μmである。
【0040】
本発明の積層体を得る手法として、ガスバリアフィルムに対し樹脂組成物を押出ラミネート加工する方法が例示される。
【0041】
押出ラミネート成形法により積層体を得る手法として、シングルラミネート加工法、タンデムラミネート加工法、サンドウィッチラミネート加工法、共押出ラミネート加工法などの各種押出ラミネート加工法を例示することができる。押出ラミネート法における樹脂の温度は240~350℃の範囲が好ましく、270~310℃の範囲がより好ましい。冷却ロールの表面温度は10~50℃の範囲が好ましい。
【0042】
また、押出ラミネート成形法において、樹脂組成物からなる(A)層を形成する際の加工速度は、10~200m/分の範囲が好ましい。
【0043】
このような押出ラミネート加工において、樹脂組成物を溶融状態で押出し層とした直後に、該層の基材接着面を含酸素気体又は含オゾン気体に曝し、基材と貼り合わせる手法を用いると、ガスバリア性層(B)との接着性に優れることから好ましい。含オゾン気体により樹脂組成物とガスバリア性層(B)との接着性を向上させる場合は、オゾンガスの処理量としては、ダイより押出された樹脂組成物よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上のオゾンを吹き付けることが好ましい。
【0044】
本発明の積層体を得る手法における押出ラミネート加工法は、樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア性層(B)との接着性をさらに向上させるため、必要に応じて、ガスバリア性層(B)の接着面に対してコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。
【0045】
また、樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア性層(B)との接着性をさらに向上させるため、積層体を3~60℃の温度で1時間以上熱処理することができる。
【0046】
本発明の樹脂組成物はガスバリア性層を含む発泡用積層体の接着剤層として使用できる。すなわち、ポリエチレン系樹脂層(F)と樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア性層(B)と樹脂組成物からなる層(A)と紙基材と高圧法低密度ポリエチレン層(G)がこの順で積層された発泡用積層体であり、ポリエチレン系樹脂層(F)が、JIS K6922-1(1997年)により測定された密度が930kg/m以上970kg/m以下であるポリエチレン系樹脂(f)、高圧法低密度ポリエチレン層(G)がJIS K6922-1(1997年)により測定された密度が910kg/m以上930kg/m未満である高圧法低密度ポリエチレン(g)である発泡用積層体に使用できる。
【0047】
本発明の発泡用積層体を構成するポリエチレン系樹脂(f)の密度は、発泡の安定性に優れることから、930~970kg/mの範囲が好ましく、より好ましくは935~970kg/mの範囲であり、最も好ましくは940~965kg/mの範囲である。
【0048】
ポリエチレン系樹脂(f)としては、エチレン単独重合体、エチレンα-オレフィン共重合体又はこれらの組成物であり、その分子鎖の形態は直鎖状でもよく、分岐を有していてもよい。このようなポリエチレン系樹脂(f)は、特に限定されるものではなく、前記密度範囲を外れなければよい。
【0049】
エチレン単独重合体としては、中圧法または低圧法エチレン単独重合体、高圧法低密度ポリエチレンが例示することができる。中圧法または低圧法エチレン単独重合体は、従来公知の中圧イオン重合法や低圧イオン重合法により得ることができる。また、高圧法低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
【0050】
エチレン・α-オレフィン共重合体に用いるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0051】
エチレン・α-オレフィン共重合体を得るための方法は特に限定するものではなく、チーグラー・ナッタ触媒やフィリップス触媒、メタロセン触媒を用いた高・中・低圧イオン重合法などを例示することができる。このような共重合体は、市販品の中から便宜選択することができる。
【0052】
このようなポリエチレン系樹脂(f)にポリプロピレンなどのポリオレフィンを混合する時は、ポリエチレン系樹脂(f)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリエチレン系樹脂の融点~300℃程度が好ましい。
【0053】
さらに、ポリエチレン系樹脂(f)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0054】
本発明の発泡用積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン(g)は、従来公知の高圧法ラジカル重合法により得ることができる。
【0055】
高圧法低密度ポリエチレン(g)の密度は、断熱性及び発泡外観に優れるため、910kg/m以上930kg/m未満の範囲であり、より好ましくは914~926kg/m、さらに好ましくは916~924kg/mの範囲である。高圧法低密度ポリエチレン(g)の密度が910kg/m未満では、発泡外観に劣るため好ましくなく、930kg/m以上の範囲では、断熱性に劣るため好ましくない。
【0056】
また、高圧法低密度ポリエチレン(g)のMFRは、10~30g/10分の範囲であると、断熱性及び発泡外観に優れるため好ましく、より好ましくは12~30g/10分、更に好ましくは13~24g/10分、最も好ましくは13~18g/10分の範囲である。
【0057】
本発明の発泡用積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン(g)には、エチレン・α-オレフィン共重合体などの他のポリオレフィンを配合してもよい。高圧法低密度ポリエチレン(g)にポリオレフィンを混合する時は、高圧法低密度ポリエチレン(g)のペレットとポリオレフィンのペレットを固体状態で混合したペレット混合物であってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー等で溶融混練した混合物の方が、品質の安定した製品が得られるので好ましい。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はポリオレフィン系樹脂の融点~300℃程度が好ましい。
【0058】
また、高圧法低密度ポリエチレン(g)には、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般に用いられている添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもかまわない。
【0059】
本発明の発泡用積層体を構成する樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア性層(B)は、本発明の上記積層体と同じである。
【0060】
本発明の発泡用積層体は、ポリエチレン系樹脂層(F)と樹脂組成物からなる層(A)とガスバリア性層(B)と樹脂組成物からなる層(A)と紙基材と高圧法低密度ポリエチレン層(G)をこの順で含むものである。
【0061】
本発明の発泡用積層体を構成するポリエチレン系樹脂層(F)の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はないが、発泡性に優れ、破損などの問題が小さいことから、20~100μmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、20~50μmの範囲が最も好適である。
【0062】
高圧法低密度ポリエチレン層(G)の発泡前の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に制限はないが、発泡外観に優れることから、50~150μmの範囲が好ましく、より好ましくは、60~120μm、更に好ましくは、70~100μmである。
【0063】
本発明の発泡用積層体を構成する紙基材については、紙基材の坪量は30~400g/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは150~350g/m、更に好ましくは150~320g/mである。紙の坪量が30g/m以上では、発泡後の厚みに優れるため好ましく、400g/m以下の範囲では、ヒートシール性と柔軟性に優れるため好ましい。
【0064】
このような紙基材に含まれる水分については、5~33g/mの範囲が好ましく、より好ましくは7~30g/m、更に好ましくは9~28g/mである。紙基材の水分が5g/m2以上では、高圧法低密度ポリエチレン層(G)の発泡後の厚みに優れるため好ましく、33g/mを以下の範囲では過剰な水分による発泡成形中の発泡膜の破泡が生じにくいため好ましい。
【0065】
また、紙の種類としてはクラフト紙、上質紙、伸張紙、グラシン紙、カップ原紙や印画紙原紙等の板紙などが挙げられる。
【0066】
本発明の発泡用積層体を構成するポリエチレン系樹脂層(F)を樹脂組成物からなる層(A)と隣接して積層する手法としては特に限定はなく、押出ラミネート加工法、ドライラミネート加工法、サーマルラミネート加工法、ウェットラミネート加工法などの各種ラミネート加工法を例示することができる。
【0067】
押出ラミネート成形法により積層体を得る手法として、シングルラミネート加工法、タンデムラミネート加工法、サンドウィッチラミネート加工法、共押出ラミネート加工法などの各種押出ラミネート加工法を例示することができる。押出ラミネート法における樹脂の温度は、240~350℃の範囲が好ましく、冷却ロールの表面温度は10~50℃の範囲が好ましい。
【0068】
また、押出ラミネート成形法において、ポリエチレン系樹脂(f)からなる(F)層を形成する際の加工速度は、生産性に優れることから、50~200m/分の範囲が好ましい。
【0069】
本発明の発泡用積層体を構成する高圧法低密度ポリエチレン層(G)を紙基材と隣接して積層する手法としては、高圧法低密度ポリエチレン(f)を押出ラミネート加工する方法が例示される。押出ラミネート成形法により積層体を得る手法として、シングルラミネート加工法、タンデムラミネート加工法、サンドウィッチラミネート加工法、共押出ラミネート加工法などの各種押出ラミネート加工法を例示することができる。押出ラミネート法における樹脂の温度は、240~350℃の範囲が好ましく、冷却ロールの表面温度は10~50℃の範囲が好ましい。
【0070】
また、押出ラミネート成形法において、ポリエチレン系樹脂(g)からなる(G)層を形成する際の加工速度は、発泡外観に優れることから、10~100m/分の範囲が好ましい。
【0071】
このような押出ラミネート加工において、高圧法低密度ポリエチレン(g)を溶融状態で押出し層とした直後に、該層の基材接着面を含酸素気体又は含オゾン気体に曝し、基材と貼り合わせる手法を用いると、紙基材との接着性に優れることから好ましい。含オゾン気体により高圧法低密度ポリエチレン(g)と基材との接着性を向上させる場合は、オゾンガスの処理量としては、ダイより押出された熱可塑製樹脂よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上のオゾンを吹き付けることが好ましい。
【0072】
また、紙基材の接着面に対してコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施すことが好ましい。また、必要であれば紙基材にアンカーコート剤を塗布しても良い。
【0073】
本発明の発泡積層体を得る手法として、発泡積層体の断熱性及び経済性に優れるため、高圧法低密度ポリエチレン(g)と紙基材を積層する前に、紙基材の片面、若しくは両面に水を塗布してもよい。
【0074】
水を塗布する手法は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、ロールコート装置、リップコート装置、スプレー装置、ダイコート装置、グラビア装置、ダンプニング装置などを用いた手法が例示することができる。水の塗布量が均一になるため、ダンプニング装置を用いた手法が好ましい。
【0075】
このようなダンプニング装置は、例えば、鈴木産業(株)より商品名「ハイローターS」が、ニッカ(株)より商品名「WEKOローターダンプニング」が、東機エレクトロニクス(株)より商品名「TSD-3000」が販売されている。特に、水の塗布ムラがなく品質が安定することから、「ハイローターS」を用いることが好ましい。
【0076】
本発明における水の塗布量は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はないが、高圧法低密度ポリエチレン層(G)の発泡倍率が高くでき、かつ、紙基材と樹脂組成物からなる層(A)及び/または高圧法低密度ポリエチレン層(G)との接着強度が低下しないことから、1.5g/m以上30g/m以下が好ましく、15g/m以上25g/m以下がより好ましい。
【0077】
本発明の発泡用積層体を加熱することにより、高圧法低密度ポリエチレン層(G)が発泡した発泡積層体を得ることができる。
【0078】
加熱発泡により本発明の発泡積層体を得る手法における加熱の熱源としては、本目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、熱風、電熱、電子線、誘電加熱の他、積層体を容器状に成形し、高温の物体を内填して充填物の熱を利用するなど、任意の手段を使用できる。加熱は、オーブン内で回分式に行う手法、コンベアなどにより連続的に行う手法などにより行うことができる。
【0079】
加熱温度、加熱時間などの条件は、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、一般的に、熱風を熱源とする場合は、加熱温度は高圧法低密度ポリエチレン(f)の融点以上150℃以下、風量は0.5~2.0m/時、加熱時間は10秒~6分間である。
【0080】
本発明の樹脂組成物は、ガスバリア性フィルムと積層する樹脂として用いられ、得られた積層体は食品や飲料、医薬品などの包装材や断熱材料、断熱紙容器などとして用いられ、特に断熱紙容器に好的に用いられる。
【発明の効果】
【0081】
本発明の樹脂組成物は、アンカーコート剤などの接着剤を使用することなくガスバリア性フィルムに対し優れた接着性を示し、かつ高耐熱性を有することから、即席麺などに用いる断熱紙容器等に用いられる積層体として好適である。
【実施例
【0082】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)密度
密度は、JIS K6922-1(1997年)に準拠して測定した。
(2)メルトマスフローレート(MFR)
MFRは、JIS K6922-1(1997年)に準拠して測定した。
(3)接着強度
接着強度は、ラミネートした積層体を15mm幅に裁断し、ORIENTEC製テンシロンRTE-1210にて引張速度300mm/分で剥離し、アルミニウム箔と樹脂組成物の接着強度を測定した。接着強度が1.5N/15mm以上で接着性良好とした。
(4)耐熱温度
耐熱温度は、樹脂組成物の引張貯蔵弾性率(E’)の温度依存を測定し、E’が1.0×10Paを下回った温度を耐熱温度とした。引張貯蔵弾性率の測定は、株式会社ユービーエム製DVE-V4を用い、引張モードにて周波数10Hz、温度-100~200℃の範囲で測定した。測定試料は樹脂組成物を厚さ1mmにプレス成形し、幅5mm、長さ20mmに裁断したものを使用した。樹脂組成物の耐熱温度が120℃以上で耐熱性良好とした。
【0083】
実施例1
高密度ポリエチレン(a)としてMFRが20g/10分、密度が964kg/mであるA1(東ソー(株)製、ニポロンハード1000)を40重量部、ポリエチレン系樹脂(b)としてMFRが8g/10分、密度が918kg/mである高圧法低密度ポリエチレンB1(東ソー(株)製、ペトロセン213)を50重量部、エチレン・アクリル酸共重合体(c)としてMFRが11g/10分、密度が938kg/m、アクリル酸含有量が9.7重量%であるC1(ダウ・ケミカル(株)製、PRIMACOR3440)を10重量部の合計100重量部に対して、酸無水物グラフトポリエチレン系樹脂(d)としてMFRが3g/10分、密度が913kg/mである樹脂D1(アルケマ(株)製、OREVC G OE825)を5重量部配合し、タンブラー混合機により予備ブレンドしておき、直径40mmφのスクリューを有する単軸押出機(プラコー(株)製、商品名PDA-40型単軸押出機)を使用して160℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0084】
まず、上記樹脂組成物を直径25mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(プラコー(株)製)へ供給し、Tダイ直下の樹脂温度が290℃となるようにTダイより押し出し、アルミニウム箔基材上に引き取り速度が10m/分、エアギャップ長さが130mmで樹脂組成物層が20μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った。同時に、ポリエチレンが25μm、PETが12μmで積層されたフィルムのポリエチレン側が押し出されている樹脂組成物層側と接着するようにサンドラミネート成形し、アルミニウム箔、樹脂組成物、ポリエチレン、PETの順で積層された積層体を得た。得られた積層体について、アルミニウム箔と樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。接着性および耐熱性は良好だった。
【0085】
実施例2
高密度ポリエチレン(a)であるA1を40重量部、ポリエチレン系樹脂(b)であるB1を40重量部、エチレン・アクリル酸共重合体(c)であるC1を20重量部の合計100重量部に対して、酸無水物グラフトポリエチレン系樹脂(d)であるD1を5重量部配合した樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様の手法により積層体を得た。得られた積層体について、アルミニウム箔と樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。接着性および耐熱性は良好だった。
【0086】
実施例3
高密度ポリエチレン(a)であるA1を40重量部、ポリエチレン系樹脂(b)であるB1を30重量部、エチレン・アクリル酸共重合体(c)であるC1を30重量部の合計100重量部に対して、酸無水物グラフトポリエチレン系樹脂(d)であるD1を5重量部配合した樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様の手法により積層体を得た。得られた積層体について、アルミニウム箔と樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。接着性および耐熱性は良好だった。
【0087】
実施例4
高密度ポリエチレン(a)であるA1を40重量部、ポリエチレン系樹脂(b)であるB1を20重量部、エチレン・アクリル酸共重合体(c)であるC1を40重量部の合計100重量部に対して、酸無水物グラフトポリエチレン系樹脂(d)であるD1を10重量部配合した樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様の手法により積層体を得た。得られた積層体について、アルミニウム箔と樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。接着性および耐熱性は良好だった。
【0088】
実施例5
高密度ポリエチレン(a)であるA1を40重量部、ポリエチレン系樹脂(b)であるB1を30重量部、エチレン・アクリル酸共重合体(c)であるC1を30重量部の合計100重量部に対して、酸無水物グラフトポリエチレン系樹脂(d)であるD1を5重量部、粘着付与剤であるE1(荒川化学工業(株)製、アルコンP125)を10重量部配合し、タンブラー混合機により予備ブレンドしておき、直径40mmφのスクリューを有する単軸押出機(プラコー(株)製、商品名PDA-40型単軸押出機)を使用して160℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
【0089】
まず、上記樹脂組成物を直径25mmφのスクリューを有する単軸押出ラミネーター(プラコー(株)製)へ供給し、Tダイ直下の樹脂温度が260℃となるようにTダイより押出し層とした直後に、該層の基材接着面にフィルム1m当り8mgのオゾン気体に曝し、蒸着面側にコロナ放電処理(0.5kW)を施した無機化合物蒸着フィルム(商品名ファインバリヤー、(株)麗光製)基材の蒸着面上に引き取り速度が10m/分、エアギャップ長さが130mmで樹脂組成物層が20μmの厚さになるよう押出ラミネート成形を行った。同時に、ポリエチレンが25μm、PETが12μmで積層されたフィルムのポリエチレン側が押し出されている樹脂組成物層側と接着するようにサンドラミネート成形し、無機化合物蒸着フィルム、樹脂組成物、ポリエチレン、PETの順で積層された積層体を得た。得られた積層体を40℃のオーブンにて24時間保管後し、無機化合物蒸着フィルムと樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。接着性および耐熱性は良好だった。
【0090】
比較例1
高密度ポリエチレン(a)であるA1を40重量部、ポリエチレン系樹脂(b)であるB1を60重量部配合した樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様の手法により積層体を得た。得られた積層体について、アルミニウム箔と樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。耐熱性は良好であるものの接着性に劣っていた。
【0091】
比較例2
ポリエチレン系樹脂(b)であるB1のみを使用した以外は、実施例1と同様の手法により積層体を得た。得られた積層体について、アルミニウム箔と樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。接着性は良好であるものの耐熱性に劣っていた。
【0092】
比較例3
エチレン・アクリル酸共重合体(c)であるC1のみを使用した以外は、実施例1と同様の手法により積層体を得た。得られた積層体について、アルミニウム箔と樹脂組成物の界面の接着強度、および樹脂組成物の耐熱温度を評価した。評価の結果を表1に示す。接着性は良好であるものの耐熱性に劣っていた。
【0093】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の樹脂組成物は、ガスバリア性フィルムと積層する樹脂として用いられ、得られた積層体は食品や飲料、医薬品などの包装材や断熱材料、断熱紙容器などとして用いられ、特に断熱紙容器に好的に用いられる。