(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220511BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Y
(21)【出願番号】P 2018121724
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】神原 一暁
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-088659(JP,A)
【文献】特開2005-283710(JP,A)
【文献】特開2011-043815(JP,A)
【文献】特開2005-321572(JP,A)
【文献】特開2014-102443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体に形成された画像を検知する第一検知部と、
前記第一検知部における検知に基づいて第一階調補正データを生成する第一階調補正データ生成部と、
記録媒体に形成された画像を検知する第二検知部と、
前記第二検知部における検知に基づいて第二階調補正データを生成する第二階調補正データ生成部と、
前記第一階調補正データおよび前記第二階調補正データを用いて前記記録媒体に形成される画像に対する階調補正動作を制御する階調補正制御部と、を有し、
前記階調補正制御部は、
記録媒体に対する画像形成動作が連続的に実行される連続印刷の最中に行う前記階調補正動作において、
前記記録媒体の特性または前記画像の特性に基づいて、
前記第一階調補正データを更新し、かつ、前記第一階調補正データ
の変動分を前記第二階調補正データ
により相殺する逆補正を反映させるように制御する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体の特性は、記録媒体の搬送方向における長さまたは記録媒体の厚さである、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記階調補正制御部は、
前記記録媒体の厚さが一定以下であり、前記連続印刷が両面印刷である場合、前記第一階調補正データを優先して前記階調補正動作を実行するように制御する、請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記階調補正制御部は、
前記記録媒体の長さが一定以下である場合、前記第一階調補正データを優先して前記階調補正動作を実行するように制御する、請求項
2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置において、画像形成出力における特性を安定させる技術が知られている。当該技術として、例えば、既知の階調値からなる階調補正用パターンを形成し、これをセンサにより検知した結果に基づく階調補正データを生成し、出力対象となる多階調画像に対して階調補正データを用いて補正処理を行う技術が知られている。
【0003】
画像形成処理を連続的に実行するとき、すなわち、連続印刷をするときに、ページ間での階調の変動(カラー画像であれば色変動)を抑制することを目的とし、記録媒体に画像を形成する前後でパッチ画像を形成し、当該パッチ画像をセンサにより検知し、検知結果を階調補正制御にフィードバックする技術が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
階調補正制御には、幾つかの方式がある。例えば、特許文献1に開示されている技術のように、像担持体に形成したテストパターン(パッチ画像)をセンサにより検知し、当該テストパターンの検知結果を用いて階調補正制御を実行する方式である。また、記録媒体に画像を形成したのち、当該記録媒体に形成された画像をセンサにより検知し、当該画像の検知結果を用いて階調補正制御を実行する方式もある。
【0005】
前者の方式は、連続して行われる画像形成処理において形成される画像の特性に依存することなく、安定して階調補正制御に用いる情報を得られるというメリットがある。その反面、像担持体にテストパターンを形成するために、記録媒体に形成する画像の形成間隔を空けることが必要となる。そのため、前者の方式には、画像形成処理の生産性を考慮するとテストパターンの形成頻度(検知頻度)を高めることができない、というデメリットがある。
【0006】
後者の方式は、階調補正制御に用いるデータ(階調補正データ)が、形成される画像の特性に依存するものになる。特に、様々な階調(色)を含む画像であれば、高頻度、かつ、高精度で階調変動に対応可能な階調補正データを得ることができる。その反面、階調(色)の少ない画像が連続した場合は、階調変動を示す情報が少なくなり、階調補正データの質が低下し、階調補正制御を高い精度で実行することが困難になる。すなわち、後者の方式には、階調補正制御の質が形成される画像の特性に依存する、というデメリットがある。
【0007】
上記の二つの階調補正制御方式を併用でき、かつ、連続的に実行される画像形成処理における画像の特性に応じて、適した階調補正制御を実行できることが望ましい。
【0008】
本発明は、画像形成を連続して実行するときに、像担持体に形成されたパターン画像に基づく階調補正制御と、記録媒体に形成されたユーザ画像を読み取って得られる画像の特性に基づく階調補正制御と、を適切に組み合わせる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態は、画像形成装置に関するものであって、中間転写体に形成された画像を検知する第一検知部と、前記第一検知部における検知に基づいて第一階調補正データを生成する第一階調補正データ生成部と、記録媒体に形成された画像を検知する第二検知部と、前記第二検知部における検知に基づいて第二階調補正データを生成する第二階調補正データ生成部と、前記第一階調補正データおよび前記第二階調補正データを用いて前記記録媒体に形成される画像に対する階調補正動作を制御する階調補正制御部と、を有し、前記階調補正制御部は、記録媒体に対する画像形成動作が連続的に実行される連続印刷の最中に行う前記階調補正動作において、前記記録媒体の特性または前記画像の特性に基づいて、前記第一階調補正データを更新し、かつ、前記第一階調補正データの変動分を前記第二階調補正データにより相殺する逆補正を反映させるように制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成を連続して実行するときに、像担持体に形成されたパターン画像に基づく階調補正制御と、記録媒体に形成されたユーザ画像を読み取って得られる画像の特性に基づく階調補正制御と、を適切に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態であるプリンタ1の全体構成を示す図。
【
図2】上記プリンタ1が備える画像形成制御部の構成を示すブロック図。
【
図3】上記プリンタ1が備える階調補正データ生成部の構成を示すブロック図。
【
図5】上記プリンタ1が実行する測色キャリブレーションの流れを示すフローチャート。
【
図6】上記プリンタ1が実行する印刷ジョブの流れを示すフローチャート。
【
図7】上記プリンタ1が実行する1ページ印刷の流れを示すフローチャート。
【
図8】上記プリンタ1が実行する第一階調補正処理の流れを示すフローチャート。
【
図9】上記プリンタ1が実行する第二階調補正処理の流れを示すフローチャート。
【
図10】上記プリンタ1が実行する印刷ジョブにおける第一階調補正データと第二階調補正データの推移を示すグラフ。
【
図11】上記プリンタ1が実行する印刷ジョブにおける記録媒体の厚さと画像検知精度の関係を示すグラフ。
【
図12】上記プリンタ1が実行する印刷ジョブにおける記録媒体の長さと画像検知動作の関係を示す図。
【
図13】上記プリンタ1が実行する印刷ジョブにおける記録媒体の長さと画像検知精度の関係を示す図。
【
図14】上記プリンタ1が実行する階調補正に用いられる補正データの生成プロセスの概略を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の要旨]
本発明に係る画像形成装置は、連続的に画像形成処理を実行する際に、由来が異なる二つの階調補正データを用いて、当該画像形成処理の最中に行う階調補正制御に適用することを要旨の一つとする。例えば、二つの階調補正データを用いた階調補正制御において、一方の階調補正データが変動したとしても、他方の階調補正データを調整することで変動分を相殺し、連続する画像形成処理による各画像間の色変動を抑制する制御に関するものである。
【0013】
二つの階調補正データのうち、一方の階調補正データは、電子写真方式の画像形成プロセスに用いられる像担持体に形成したパターン画像の検知結果に由来するものである。このパターン画像を形成するために像担持体に付着したトナー量(付着トナー量)をセンサが検知し、その検知結果に基づいて「ベルト上検知の階調補正量」を生成する。この「ベルト上検知の階調補正量」を第一階調補正データとする。また、第一階調補正データを生成するための制御処理を「第一階調補正」とする。
【0014】
また、他の一方の階調補正データは、記録媒体に形成されたユーザ画像と、当該ユーザ画像を形成するために用いられた画像データとを比較し、その結果に由来するものである。記録媒体に形成されたユーザ画像をセンサにより読取り、その読取り結果であるユーザ画像検知データと、比較基準とする画像データとを比較することで、色変動や階調補正量を示す「紙面検知上の階調補正量」を生成する。この「紙面検知上の階調補正量」を第二階調補正データとする。また、第二階調補正データを生成するための制御処理を「第二階調補正」とする。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成処理を実行するジョブ(印刷ジョブ)の内容が、「有効な第二階調補正データを生成できる印刷ジョブ(有効印刷ジョブ)」であるときも、第一階調補正制御を所定のタイミングで実行し、第一階調補正データを更新する。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、環境変動にかかわらず画像濃度を長期間に渡って安定化させるために所定のタイミングで定期的に実行されるプロセスコントロール処理(以下、「プロコン」とする。)の実行時において、第一階調補正を実行するときは、第一階調補正データを更新し、かつ、第二階調補正データはリセットして(補正無しにして)、階調補正制御を行えるようにする。
【0017】
したがって、本発明によれば、有効印刷ジョブが連続して実行されているときの階調補正制御では、第二階調補正データのみを反映させたもの用いることができ、階調補正制御の精度を高めることができる。また、有効印刷ジョブではない印刷ジョブが実行されているときの階調補正制御において第一階調補正に切り替わった際は、第二階調補正において最新の第一階調補正の結果が反映された状態で引き継がれる。これによって、連続して画像形成処理が実行されている最中において、由来の異なる階調補正データを用いて実行する階調補正制御において、補正制御方法の切り替えに起因する色変動が発生しない。またプロコン実行時においてプロコンにより変動した分も含めて第一階調補正によって色変動を抑制できる。
【0018】
なお、「有効な第二階調補正データを生成できる印刷ジョブ(有効印刷ジョブ)」とは、画像形成の実行に用いられる画像データ(ユーザ画像データ)に様々な色が揃っており、かつ、両面に画像が形成されても裏面側が透けない厚さからなる記録媒体を用いるものをいう。すなわち、センサが記録媒体上の画像を正常に検知できる厚さからなる記録媒体を用いる印刷ジョブをいう。なお、上記における「様々な色が揃っている」とは、印刷ジョブに含まれる画像データに、黒色(K)、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、黄色(Y)の全て、かつ、低階調(ハイライト)~高階調(シャドー)が含まれていることをいう。
【0019】
また、「プロコン処理」とは、電子写真方式の画像形成装置において、画像濃度を安定化させるために、像担持体上に形成したパターン画像のトナー付着量を光学検知手段により検出し、検出結果に基づき帯電バイアス、現像バイアス、露光手段の露光量等の作像条件を制御する処理である。例えば、黄色(Y)、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、黒色(K)のトナーを用いて、それぞれの色からなる複数のパッチ状トナー像からなる各色のパッチパターン像を作像して、重ね合わせないように像担持体に転写する。これらパッチパターン像における各トナー像のトナー付着量を、光学センサによって検知する。これらの検出結果に基づいて、各色の画像を作像する作像ユニットにおける現像バイアスの基準値などの作像条件を個別に調整する処理である。
【0020】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態であるプリンタ1について、図面を参照しながら説明をする。
図1は、プリンタ1の構成を概略的に示す図である。
図1に示すようにプリンタ1は、画像形成制御部100と、画像形成部200と、階調補正部300と、第一検知部401と、第二検知部402と、を含む。
【0021】
プリンタ1は、デジタル方式の画像形成装置であって、外部装置から、画像形成制御部100が受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき画像データ、即ち出力対象画像を受け取り、そこからビットマップデータを生成する。そして、階調補正部300において生成される階調補正データをビットマップデータに適用して、階調補正データを適用したビットマップデータを用いて画像形成部200の動作を制御する。
【0022】
画像形成部200は、画像形成制御部100の制御によって、ジョブデータに含まれる画像データ(ユーザ画像)を記録媒体に形成して排出する処理を実行する。画像形成部200は、無端状移動手段の中間転写体である搬送ベルト201に沿って各色の感光体ドラム202Y、202M、202C、202K(以降、総じて感光体ドラム202とする)が並べられた構成を備え、所謂タンデムタイプといわれるものである。中間転写ベルトである搬送ベルト201の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム202Y、202M、202C、202Kが配列されている。
【0023】
各色の感光体ドラム202の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト201に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト201上に形成されたフルカラー画像は、給紙トレイ206から給紙され、図中に破線で示す用紙の搬送経路に沿って配置される搬送ローラ203によって搬送される用紙に、最も接近する位置において、転写ローラ204の機能により転写される。
【0024】
画像が形成された用紙は搬送され、定着ローラ205にて画像を定着された後、搬送路に配置されている搬送ローラ203によって搬送されて外部へと排出される。また、両面印刷の場合、片面に画像が形成されて定着された用紙は反転パス207に搬送され、反転された上で再度転写ローラ204の転写位置に搬送される。
【0025】
搬送ベルト201のループ外側の下方には、ベルト部材であり転写部材である二次転写ベルト208が搬送ベルト201に対して付勢される構造をもって配置されている。したがって、二次転写ベルト208は搬送ベルト201に圧接されている。
【0026】
第一階調補正データの生成に用いるパターン画像は搬送ベルト201から二次転写ベルト208に転写されて、二次転写ベルト208上に形成される。二次転写ベルト上に形成されたパターン画像は、第一検知部401によりトナー付着量が検知される。第一検知部401は、いわゆる光学センサであって、二次転写ベルト208に向けて発光素子が光を照射し、受光素子が搬送ベルト201からの反射光を受光することで、複数の階調画像を含んで構成されるパターン画像を検知し、そのトナー付着量(ベルト上のトナー付着量)を出力する。第一検知部401は、例えば搬送経路において二次転写ベルト208の下流側に配置されている。なお、第一検知部401の配置は、
図1の例に限定されるものでなく、搬送ベルト201上のパターン画像を検知するように配置されてもよい。例えば、感光体ドラム202Kよりも搬送ベルト201の搬送方向側に配置されてもよい。
【0027】
第二検知部402は、いわゆるラインセンサであって、搬送経路において搬送される用紙の紙面上を走査して、当該紙面上に形成されたユーザ画像を読み取り、ユーザ画像検知データとして出力する。第二検知部402は、例えば、搬送経路における用紙の搬送方向において定着ローラ205の下流側に配置されている。
【0028】
図1において、第二検知部402は搬送経路において搬送される用紙の片面側にのみを読み取るように設けられている場合を例としているが、用紙の両面の検査を可能とするため、用紙の両面側に第二検知部402を配置してもよい。
【0029】
[画像形成制御部100の詳細]
次に、画像形成制御部100の構成について
図2を用いて説明する。画像形成制御部100は、ジョブ情報処理部101と、RIP処理部102と、印刷処理部103と、ビットマップ送信部104と、階調補正データ記憶部105と、階調補正データ生成部106と、を有する。
【0030】
ジョブ情報処理部101は、外部からネットワークを介して入力される印刷ジョブや、オペレータの操作によりプリンタ1に格納された画像データに基づいて生成される印刷ジョブに基づく、画像形成出力の実行を制御する。画像形成出力の実行に際して、ジョブ情報処理部101は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づき、RIP処理部102にビットマップデータを生成させる。
【0031】
RIP処理部102は、ジョブ情報処理部101の制御に従い、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて印刷処理部103が画像形成出力を実行するためのビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、画像形成出力するべき画像を構成する各画素の情報を含むデータである。また、RIP処理部102は、印刷ジョブに含まれる画像データを多値画像から少値画像に変換して、CMYK各色二値のビットマップデータを生成し、印刷処理部103に送信する。
【0032】
印刷処理部103はCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に階調補正データ生成部106からの階調補正データを適用して画像形成出力を実行する。また、印刷処理部103は、連続して実行される画像形成処理において、ページ数を示す情報や、用紙の紙厚(坪量)、用紙のサイズ(長さ)などの情報を階調補正部300(階調補正制御部301)に通知する。
【0033】
ビットマップ送信部104は、RIP処理部102が生成したビットマップデータを、マスター画像生成の為に階調補正部300(第二階調補正データ生成部303)に送信する。
【0034】
印刷処理部103は、階調補正データ生成部106から階調補正データを取得し、RIP処理部102から入力されるビットマップ(ラスターイメージ)データに対して階調補正データを適用する階調補正動作を実行する。印刷処理部103は階調補正動作が実行されたビットマップデータを用いて、記録媒体(例えば、用紙)に対して画像形成出力を実行するように画像形成部200に当該データを渡す。画像形成部200において画像が形成された記録媒体は、前述のように、搬送経路に沿って搬送されて排出される。
【0035】
階調補正データ記憶部105は、階調補正部300(階調補正データ通知部304)から通知された階調補正データを区別して記憶する。すなわち、過去に通知された第一階調補正データおよび第二階調補正データの履歴を管理するように記憶する。
【0036】
階調補正データ生成部106は、印刷処理部103が画像形成出力を実行するときに、RIP処理部102から通知されるビットマップデータに対し所定の条件に合致する階調補正データを階調補正データ記憶部105から読み出して印刷処理部103に通知する。
【0037】
[階調補正部300の詳細]
次に、階調補正部300の構成について
図3を用いて説明する。階調補正部300は、階調補正制御部301と、第一階調補正データ生成部302と、第二階調補正データ生成部303と、階調補正データ通知部304と、を含む。
【0038】
階調補正制御部301は、印刷処理部103から通知される、連続した画像形成動作の実行時における処理数(連続印刷ページ数、累積印刷ページ数など)に基づいて、第一階調補正データ生成部302および第二階調補正データ生成部303のそれぞれにおける階調補正データの生成タイミングを制御する。また、階調補正制御部301は、階調補正データ通知部304が第一階調補正データ及び第二階調補正データを階調補正データ記憶部105に対して通知するように制御する。
【0039】
第一階調補正データ生成部302は、階調補正制御部301の制御に従って、第一検知部401が読み取ったトナー付着量に基づく第一階調補正データを生成し、階調補正データ通知部304に通知する。
【0040】
第二階調補正データ生成部303は、階調補正制御部301の制御に従って、第二検知部402が読み取ったユーザ画像に基づく第二階調補正データを生成する。第二検知部402が読み取るユーザ画像は、画像形成出力によって出力された用紙の紙面を読み取って生成された画像であるため、出力結果を示す画像となる。
【0041】
第二階調補正データ生成部303は、上述したように画像形成制御部100からビットマップデータを取得し、上記ユーザ画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。第二階調補正データ生成部303は、ビットマップ送信部104から取得するユーザ画像とマスター画像を比較する。この比較処理に基づいて、第二階調補正データを生成し、階調補正データ通知部304に通知する。
【0042】
階調補正データ通知部304は、階調補正制御部301の制御に従って、階調補正データ記憶部105に第一階調補正データおよび第二階調補正データを記憶させる。
【0043】
ここで、本実施形態に係るプリンタ1が備える制御系を構成するハードウェアについて、
図4を参照して説明する。
図4に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係るプリンタ1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
【0044】
CPU10は演算手段であり、プリンタ1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0045】
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザがプリンタ1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザがプリンタ1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0046】
専用デバイス80は、画像形成制御部100および階調補正部300において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、画像形成制御部100の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、階調補正部300の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。
【0047】
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40若しくは光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るプリンタ1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0048】
[測色キャリブレーション]
次に、プリンタ1を用いて連続画像形成処理を実行する前に、初期の階調補正量を生成するための測色キャリブレーションについて説明する。
図5は、測色キャリブレーションにおける処理の流れを例示するフローチャートである。
【0049】
まず、プロコン実行時において実行される第一階調補正により、第一階調補正データ(ValueP)を取得する(S501)。続いて、カラーキャリブレーションチャートを出力する(S502)。続いて、カラーキャリブレーションチャートを測色してその結果である「ValueD」を生成する(S503)。
【0050】
ValueDとValuePは同じ特性を表しているため、両者から色(画像濃度)を第一階調補正による検知結果の相関関係を示すDP変換テーブルを生成する(S504)。続いて、カラーキャリブレーションチャートの濃度目標値(TargetD)を、DP変換テーブルを用いて、第一階調補正制御における検知結果の目標値である「TargetP」に換算する(S505)。
【0051】
続いて、「ValueP」と「TargetP」から第一階調補正データを算出し(S506)、基準となる第一階調補正データとして階調補正データ記憶部105に記憶する(S507)。
【0052】
[連続印刷時の階調補正処理]
次に、本実施形態に係るプリンタ1において、連続的に画像形成処理を実行するとき(連続印刷時)における階調補正制御の流れについて、
図6のフローチャートを用いて説明する。まず、用紙1枚分の画像形成処理である1ページ印刷処理が実行される(S600)。
【0053】
[1ページ印刷処理の流れ]
ここで、S600における1ページ印刷処理について、
図7に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。まず、外部から印刷ジョブを受け付けて、ジョブ情報処理部101がRIP処理部102にジョブデータを渡し、1ページ分のビットマップデータを生成し、印刷処理部103に渡す(S701)。続いて、階調補正データ生成部106が、階調補正データ記憶部105に記憶されている第一階調補正データおよび第二階調補正データを読み出して、階調補正データを生成し、印刷処理部103に渡す(S702)。
【0054】
続いて、印刷処理部103が、ビットマップデータに対して階調補正データに基づく階調補正処理を実行してユーザ画像データを生成する(S703)。続いて、印刷処理部103が、補正されたユーザ画像データを画像形成部200へ出力する(S704)。その後、後段の処理において使用される各種のカウンタを更新し(S705)、1ページ印刷処理を終了する。
【0055】
S702における階調補正データ生成処理の概略について、
図14を示しながら説明する。ビットマップデータの一部を例示している画像データ1031に示すように、画像形成対象となるユーザ画像には、濃度の異なる画素が多数含まれている。各画素の濃度に対応した点を画像形成部200が書込処理により像担持体に書き込むときに、どのような点の組み合わせで書き込むと所定の濃度になるかを規定する「ディザ成長マトリックス1061」を用いる。ディザ成長マトリックス1061は、濃度が淡い画像データに対しては小さいドットを形成するようにし、濃度の濃い画像データに対しては大きいドットを形成するようにするために、濃度に応じて除去にドットを大きく成長させている規則を規定するものである。
【0056】
例えば、
図14に示すように、画像データ1031の第一象限と第二象限はともに濃度が「31%」であって、この場合、ディザ成長マトリックス1061に含まれるドット部分のうち16段階のうちの5段階以上部分を塗りつぶすようにする。これによって、濃度の濃い画像データ1031ほど、大きいドットになる。
【0057】
階調補正データを用いた階調補正処理は、ディザ成長マトリックス1061の各ドット部分の閾値を補正する処理である。
【0058】
図6に戻る。1ページ印刷処理の後、第一階調補正に関する処理と、第二階調補正に関する処理は並列的に実行される。したがって、連続印刷時において第一階調補正と第二階調は、それぞれ独立して実行される。以下、説明の都合上、各処理に順番を付けることにするが、第一階調補正に関する処理と第二階調補正に関する処理は独立した処理として実行されるので、その先後関係は、必ずしも説明の順番どおりではない。
【0059】
上記のS600に続いて、第一階調補正のタイミングであるか否かを判定する(S601)。第一階調補正のタイミングは、前回の第一階調補正処理からの連続印刷枚数が500枚を超えているか否かにより行う。すなわち。第一階調カウンタが500を超えているか否かによる判定処理が行われる。連続印刷枚数が500枚を超えていなければ(S601/N)、処理をS604に移行し、印刷ジョブが終了でなければ、処理をS600に戻す。S601において前回の第一階調補正処理からの連続印刷枚数が500枚を超えているとき(S602/Y)、第一階調補正処理を実行する(S602)。
【0060】
[第一階調補正の流れ]
ここで、第一補正階調処理の詳細について
図8を用いて説明する。まず、搬送ベルト201上に各色の面積階調グラデーションパターンを形成する(S801)。続いて、第一検知部401によって、グラデーションパターンを検知し、その検知結果に基づいてグラデーションパターンにおけるトナー付着量を第二検知部402から第一階調補正データ生成部302に通知する(S802)。
【0061】
続いて、第一階調補正データ生成部302においてトナー付着量データを生成し(S803)、予め記憶されている基準トナー付着量と比較をする(S804)。S803において生成されたトナー付着量と基準トナー付着量が異なれば(S805/Y)、第一階調補正データを更新する。具体的には、S803において生成されたトナー付着量データに基づく第一階調補正データを、階調補正データ通知部304を介して階調補正データ記憶部105に記憶させる(S805)。これによって、第一階調補正データが更新されて終了する。S803において生成されたトナー付着量と基準トナー付着量が同じであれば(S805/N)、第一階調補正データを更新せずに終了する。
【0062】
図6に戻る。以上のように、第一階調補正データを生成した後、第一階調補正カウンタをリセットし(S603)、その後、印刷ジョブが終了していれば(S604/Y)、プロコン実行タイミングであるか否かを判定する(S605)。プロコン実行タイミングは、前回のプロコンの実行後からの累積印刷枚数が5000枚を超えているか否かにより行う。すなわち。プロコンカウンタが5000を超えているか否かによる判定処理が行われる。累積印刷枚数が5000枚を超えていなければ(S605/N)、印刷ジョブを終了する。
【0063】
プロコンカウンタが5000を超えているときは(S605/Y)、プロコンを実行し(S606)、プロコンカウンタをリセットする(S607)。プロコンによる画像形成処理の特性が変化した状態で第一階調補正処理を実行する(S608)。
【0064】
上記のS600に続いて、S600で形成されたユーザ画像が記録された用紙を第二検知部402が読み取る処理を実行する(S609)。続いて、第二階調補正のタイミングであるか否かを判定する(S610)。第二階調補正のタイミングは、前回の第二階調補正処理からの連続印刷枚数が8枚を超えているか否かにより行う。すなわち。第二階調カウンタが8を超えているか否かによる判定処理が行われる。連続印刷枚数が8枚を超えていなければ(S610/N)、処理をS603に移行する。S610において前回の第二階調補正処理からの連続印刷枚数が8枚を超えているとき(S610/Y)、第二階調補正処理を実行する(S611)。
【0065】
[第二階調補正の流れ]
ここで、第二補正階調処理の詳細について
図9を用いて説明する。まず、第二階調補正データ生成部303がビットマップ送信部104から受け取ったビットマップデータから、スキャンデータを対比するためのマスターデータを生成する(S901)。続いて、S609において第二検知部402が読み取ったユーザ画像と、マスターデータを比較する処理を実行する(S902)。比較結果に基づいて、各色の濃度変化量を算出する(S903)。算出された濃度変化量に基づいて、これを補正するための第二階調補正データを生成し、階調補正データ通知部304を介して階調補正データ記憶部105に記憶させる(S904)。これによって、第二階調補正データが更新される。
【0066】
図6に戻る。以上のように、第二階調補正データを生成した後、第二階調補正カウンタをリセットする(S612)。
【0067】
続いて、S602における第一階調補正処理によって生成された第一階調補正データの前回からの変動分を、S611における第二階調補正処理によって生成された第二階調補正データによって相殺する処理を実行する(S613)。これによって、第一階調補正と第二階調補正を併用しても、トータルでの階調量が変化しないように調整できる。
【0068】
その後、印刷ジョブが終了していなければ(S614/N)、処理をS600に戻す。印刷ジョブが終了していれば(S614/Y)、それまでにプロコンが実行されているか否かを判定する(S615)。
【0069】
ここで、プロコンが実行されていれば(S615/Y)、第二階調補正データをリセットして、第一階調補正データのみで階調補正を行うようにする(S616)。プロコンが実行されていなければ(S616/N)、印刷ジョブを終了する。
【0070】
以上説明した処理の流れについて、生成される階調補正データにより補正される量(補正量)の推移に着目して説明する。
図10は、の例を示すグラフである。横軸は、連続印刷枚数(累積印刷枚数)を示している。縦軸は、+側はプリンタ1が画像形成を実行するときの素の特性(階調特性)を示し、-側は第一階調補正および第二階調補正による補正量を示している。なお、横軸には、説明の都合上、T1、T2・・・の様に、タイミングを示す符号を付している。
【0071】
まず、測色キャリブレーションが実行される(T1)。これによって、プリンタ1の素之特性を補正するように、第一階調補正データが生成されて使用可能な状態になる。
【0072】
連続印刷が開始される(T2)。そうすると、プリンタ1の素の特性が変化して例えば形成される画像の濃度が高くなる傾向になる(T3)。そこで、第二階調補正が所定のタイミング(T4)で実行される。これによって、プリンタ1の特性が補正される状態になる。
【0073】
以後同様に、プリンタ1の素の特性は変化するが(T5)、所定のタイミングで第二階調補正が実行されて(T6)第二階調補正データが随時更新されて、更新された第二階調補正データにより特性が補正される状態になる。
【0074】
以後、連続印刷が継続していく(T7)。所定のタイミングで第一階調補正が実行される(T8)。このとき、すでに用いられている第二階調補正データによる補正量と今回の第一階調補正データによる補正量が重複することになる。重複した補正量を適用すると、前後の印刷結果において補正量が異なることになるので、色変動が生ずることになる。そこで、T8においては、すでに説明をしたS613の処理のように、第一階調補正データの増加分を第二階調補正データによる補正量で相殺し、トータルの補正量が変動しないように調整する。このように、第一階調補正と第二階調補正を協調させることにより、二つの階調補正方式を併用しても、色変動が生じ無いようにできる。
【0075】
その後、T10、T12において、第二階調補正が実行されて、それぞれにおいて第二階調補正データが更新される。その後、T14において、第一階調補正が実行されたときも,上記と同様に、前回の第一階調補正における補正量と今回の第一階調補正における補正量の変動分に相当する補正量を、第二階調補正における補正量により相殺する。
【0076】
その後、印刷ジョブが終了し(T18)、プロコンが実行される(T19)。プロコン実行後は、プリンタ1の素の特性が測色キャリブレーションを実行した当初の状態に近づくので、これまで用いてきた第一階調補正データおよび第二階調補正データによる補正では、補正量が大きくなりすぎる。そこで、プロコン実行時において実行される第一階調補正(S608参照)により生成される第一階調補正データを用いた補正処理を実行する状態にし、第二階調補正データはリセットする(S616参照)。
【0077】
以上のように、階調補正処理を制御することにより、色情報が少ない印刷ジョブに切り替わって第二階調補正データの更新が止まった場合であっても、なめらかに第一階調補正データによる階調補正制御に移行できる。これによって、例えば第二階調補正のみを適用した状態から第一階調補正のみを適用した状態に切り替えるよりも切り替え前後の色味変動を防ぐことができる。
【0078】
なお、第二階調補正データの更新が止まる場合とは、例えば500ページの印刷ジョブで、1~300ページは写真が沢山含まれている(様々な色が揃っている)、しかし、301~500ページは文字(ほぼ黒、一部赤)が主で、検知できる色の種類が減った場合をいう。この場合、301ページ以降で第二階調補正データの更新が止まることになる。
【0079】
また紙厚200gsmの用紙の印刷ジョブから、連続して70gsmの薄紙の印刷ジョブ(特に両面印刷)に移行した場合も、70gsmの印刷ジョブでは第二検知部402により検知結果においては裏が透けてしまう。したがって、色変動のデータが取れなくなり、第二階調補正データの更新が止まることになる。
【0080】
[プリンタ1の第二実施形態]
次に、本発明に係る画像形成装置の別の実施形態について説明する。すでに説明をしたプリンタ1が備える階調補正制御部301は、印刷処理部103から通知される印刷ジョブに関する情報に基づいて、階調補正処理を制御する。本実施形態に係る階調補正制御部301は、紙厚(坪量)が一定以下の場合であって、両面印刷の場合は、第二階調補正は実行しないように制御する。
【0081】
図11(a)は、用紙の厚さ(坪量)と、裏写りによる表面の画像の検知誤差(ΔE)の関係を示すグラフである。
図11(b)は、用紙の厚さ(坪量)と、第一階調補正および第二階調補正の精度と、印刷枚数との関係を示すグラフである。
【0082】
図11(a)に示すように、用紙の厚さ(坪量)が大きくなると、検知誤差ΔEは小さくなる。すなわち、用紙が薄くなると検知誤差ΔEは極端に大きくなる。また、
図11(b)に示すように、用紙が薄いと、特に第二階調補正におけるページ間色変動が大きくなる。
【0083】
したがって、本実施形態に係る階調補正制御部301は、通知される用紙の坪量が予め設定された閾値(例えば80gsm)未満であって、さらに両面印刷であるときは、そのジョブを印刷している期間は第二階調補正における階調補正量の更新を停止するように制御する。
【0084】
すでに説明したとおり、第一階調補正は、第二階調補正の有効/無効とは関係無く実行される。したがって、所定の条件の印刷ジョブを処理しているときには、第二階調補正を停止しても、第一階調補正が機能し続ける状態になる。裏写りが無ければ第二階調補正の方が第一階調よりも精度が高いが、薄紙かつ両面印刷の場合は、裏写りによる検知誤差で第二階調補正におけるページ間色変動が悪化してしまう。したがって、第一階調補正による階調補正制御を実行することで、薄紙への印刷処理であっても、色安定性を改善でき、用紙の種類に適した階調補正を実行することができる。したがって、どのような種類の用紙に対する印刷ジョブであっても、安定した色安定性を発揮できるようになる。
【0085】
[プリンタ1の第三実施形態]
次に、本発明に係る画像形成装置のさらに別の実施形態について説明する。すでに説明をしたプリンタ1が備える階調補正制御部301は、印刷処理部103から通知される印刷ジョブに関する情報に基づいて、階調補正処理を制御する。本実施形態に係る階調補正制御部301は、用紙の搬送方向の長さが一定以下の場合は、第二階調補正は実行しないように制御する。
【0086】
印刷ジョブで用いられる用紙のサイズ情報が、階調補正制御部301に通知されたとき、搬送方向のサイズが予め設定された閾値(例えば300mm)未満の場合、そのジョブを印刷している期間は第二階調補正による階調補正量(第二階調補正データ)の更新を停止する。
【0087】
図12は、用紙の搬送方向の長さにおいて、第二検知部402が安定してユーザ画像を読み取れる状態(b)と、読み取れない状態(a)、(c)を例示している。
図12(a)、(c)に示すように、用紙の両端が搬送ローラ203に挟まれていない状態では、用紙の端部がよれた状態になるので、ユーザ画像を安定して読み取ることができない。ユーザ画像を安定して読み取れる状態は、
図12(b)に示すような状態である。
【0088】
したがって、
図12(d)に示すように用紙の搬送方向の端部から、距離X1に相当する領域P3と、距離X2に相当する領域P1にあるユーザ画像の読み取り結果は安定しないことになる。
【0089】
この検知誤差が大きい(不安定な)領域(P1およびP3)は、用紙サイズによらず搬送ローラ203と第二検知部402による検知位置との距離で決まる。したがって、
図13(a)に示すように、用紙サイズが小さいほど検知誤差が大きい領域の占める割合が増えることになり、ページ全体としての検知精度が落ちることになる。これに対し,
図13(b)に示すように用紙サイズが大きいものは検知誤差が小さい領域P2が占める割合が増えることになる。
【0090】
以上のように、領域P2が小さくなる一定の用紙サイズを閾値として規定しておき、印刷ジョブにおいて通知された用紙サイズが閾値を下回るものであるときは、第二階調補正における精度が低下するので、これを停止する。この場合、第一階調補正による階調補正制御を行うようにする。これによって、そのような用紙サイズの印刷ジョブであっても安定した色安定性を発揮できるようになる。
【0091】
本発明に係る画像形成装置の上記複数の実施形態を含むプリンタ1によれば、連続印刷中にページ間の色変動を抑制することができる。具体的には、複数のセンサでページ間の色変動が検知し、かつ、記録媒体の特性に関する情報(用紙サイズ・紙厚・紙種など)と画像データの特性(色情報が豊富/乏しいなど)のいずれかまたは両方の情報に基づいて、どちらのセンサの検知結果を優先して階調補正制御に用いるかを制御することができる。
【0092】
また、複数の実施形態を含むプリンタ1によれば、連続印刷中に階調補正データを適宜更新することでページ間の色変動を抑制することができる。具体的には、複数のセンサでページ間の色変動が検知し、それぞれの検知結果に応じた階調補正データを区別して保持する。これら複数の階調補正データを合成した階調補正データを生成して、印刷画像データに適用することができる。
【0093】
さらに、プリンタ1は、複数のセンサのうち、いずれのセンサのケッチ結果を優先して用いるかを判断し、優先しないセンサの検知結果が得られた際は、優先しないセンサの階調補正データを更新しつつ、同時にそれを相殺する逆補正を優先するセンサの階調補正データに反映する。これによって、通常の印刷ジョブでは、これに最適な階調補正制御を優先することで高精度の階調補正を実現でき、ユーザ画像の色情報が少ない印刷ジョブの場合は、これに最適な階調補正制御を優先することで、色情報が少ない場合でもページ間の色変動を抑制することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 :プリンタ
100 :画像形成制御部
101 :ジョブ情報処理部
102 :RIP処理部
103 :印刷処理部
104 :ビットマップ送信部
105 :階調補正データ記憶部
106 :階調補正データ生成部
200 :画像形成部
201 :搬送ベルト
202 :感光体ドラム
203 :搬送ローラ
204 :転写ローラ
205 :定着ローラ
206 :給紙トレイ
207 :反転パス
300 :階調補正部
301 :階調補正制御部
302 :第一階調補正データ生成部
303 :第二階調補正データ生成部
304 :階調補正データ通知部
401 :第一検知部
402 :第二検知部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】