(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】記憶媒体読取装置、プログラム、印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20220511BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220511BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
B41J29/00 B
B41J29/38 201
G06F3/12 311
G06F3/12 361
G06F3/12 367
(21)【出願番号】P 2018141844
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 みな子
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016190(JP,A)
【文献】特開2013-033366(JP,A)
【文献】特開2007-034940(JP,A)
【文献】特開2006-268542(JP,A)
【文献】特開2013-045368(JP,A)
【文献】特開2013-003792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0181013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄積されている印刷ジョブを画像形成装置に送信するジョブ蓄積装置とネットワークを介して通信する記憶媒体読取装置であって、
記憶媒体からユーザ情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み出した前記ユーザ情報に対応付けられた印刷ジョブをジョブ蓄積装置より取得するジョブ取得手段と、
機器管理装置より各画像形成装置の利用可否情報と負荷情報を取得する機器情報取得手段と、
前記利用可否情報と前記負荷情報に基づいて前記ジョブ取得手段が取得した前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置を決定する決定手段と、
を有することを特徴とする記憶媒体読取装置。
【請求項2】
前記記憶媒体読取装置は画像形成装置と接続され、前記画像形成装置を介してネットワークと接続されており、
前記決定手段が決定した前記画像形成装置が、前記記憶媒体読取装置が接続されている前記画像形成装置でない場合、前記記憶媒体読取装置が接続されていない前記画像形成装置が印刷ジョブを出力する旨を視覚的又は聴覚的に報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体読取装置。
【請求項3】
前記決定手段は、予め設定されている閾値よりも、前記記憶媒体読取装置が接続されている前記画像形成装置が保持する印刷ジョブの数の方が大きい場合、前記記憶媒体読取装置が接続されている前記画像形成装置でない前記画像形成装置を、前記ジョブ取得手段が取得した前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置に決定することを特徴とする請求項2に記載の記憶媒体読取装置。
【請求項4】
前記決定手段は、予め設定されている台数上限を超えないように複数の前記画像形成装置を、前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置に決定することを特徴とする請求項3に記載の記憶媒体読取装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記利用可否情報及び前記負荷情報に基づいて、利用できる前記画像形成装置のうち負荷が最も少ない前記画像形成装置を、前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置に決定することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の記憶媒体読取装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記利用可否情報及び前記負荷情報に基づいて、利用できる前記画像形成装置のうち負荷が少ない順に複数の前記画像形成装置を、前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置に決定することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の記憶媒体読取装置。
【請求項7】
前記機器情報取得手段が取得した前記画像形成装置のリストをディスプレイに表示する表示制御手段と、
前記画像形成装置のリストから1つ以上の前記画像形成装置を受け付ける受付手段と、を有し、
前記決定手段は、前記受付手段が選択を受け付けた前記画像形成装置を、前記ジョブ取得手段が取得した前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置に決定することを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体読取装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記画像形成装置ごとの前記負荷情報を前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項7に記載の記憶媒体読取装置。
【請求項9】
蓄積されている印刷ジョブを画像形成装置に送信するジョブ蓄積装置とネットワークを介して通信する記憶媒体読取装置を、
記憶媒体からユーザ情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み出した前記ユーザ情報に対応付けられた印刷ジョブをジョブ蓄積装置より取得するジョブ取得手段と、
機器管理装置より各画像形成装置の利用可否情報と負荷情報を取得する機器情報取得手段と、
前記利用可否情報と前記負荷情報に基づいて前記ジョブ取得手段が取得した前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置を決定する決定手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
蓄積されている印刷ジョブを画像形成装置に送信するジョブ蓄積装置と、前記ジョブ蓄積装置とネットワークを介して通信する記憶媒体読取装置と、を有する印刷システムであって、
前記記憶媒体読取装置は、
記憶媒体からユーザ情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み出した前記ユーザ情報に対応付けられた印刷ジョブをジョブ蓄積装置より取得するジョブ取得手段と、
機器管理装置より各画像形成装置の利用可否情報と負荷情報を取得する機器情報取得手段と、
前記利用可否情報と前記負荷情報に基づいて前記ジョブ取得手段が取得した前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置を決定する決定手段と、を有し、
前記ジョブ蓄積装置は、
前記ユーザ情報に対応付けらて印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶手段と、
前記記憶媒体読取装置からの要求に応じて、前記ユーザ情報に対応付けられた印刷ジョブの一覧を前記記憶媒体読取装置に送信するジョブ送信手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体読取装置、プログラム、及び、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが文書の印刷をクライアントPC(Personal Computer)に指示すると、クライアントPCが印刷ジョブをプリントサーバに送信し、プリントサーバが蓄積しておいた印刷ジョブを、ユーザが画像形成装置(以下、複合機という)から選択して印刷できる印刷システムが知られている。このように複合機がプリントサーバから印刷ジョブを取得する印刷方式をプルプリント方式という。
【0003】
ユーザが自分の印刷ジョブを操作パネルに表示させるために、ユーザは印刷システムにログインする必要があるが、ログインする方法の1つとしてICカードなどの記憶媒体を使用する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、クライアントPCで印刷を指示した後に、ユーザがICカードをかざして印刷を行う複合機を選択すると、複合機がネットワークを介して接続された他の複合機からこのユーザの印刷ジョブを取得して印刷する印刷システムが開示されている。ユーザは使用できない複合機を避けて複合機を選択することにより、印刷業務の効率化を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしなら、従来の技術では、ユーザがログインした複合機がプリントサーバに蓄積されているユーザの全ての印刷ジョブを印刷してしまうため、効率のよい印刷が困難な場合があるという問題があった。例えば、ユーザが選択した複合機が出力待ちの多くの印刷ジョブを保持している場合でも、ユーザは全ての出力が完了するのを待つしかない。また、複合機に異常が生じても、異常が解消されるまでは自分の印刷ジョブを出力できない。このように、従来のプルプリント方式の印刷システムでは効率よい出力を行えない場合が生じ得た。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、効率のよい印刷が可能な印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、蓄積されている印刷ジョブを画像形成装置に送信するジョブ蓄積装置とネットワークを介して通信する記憶媒体読取装置であって、記憶媒体からユーザ情報を読み取る読取手段と、前記読取手段が読み出した前記ユーザ情報に対応付けられた印刷ジョブをジョブ蓄積装置より取得するジョブ取得手段と、機器管理装置より各画像形成装置の利用可否情報と負荷情報を取得する機器情報取得手段と、前記利用可否情報と前記負荷情報に基づいて前記ジョブ取得手段が取得した前記印刷ジョブを実行する前記画像形成装置を決定する決定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効率のよい印刷が可能な印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】印刷システムの概略構成と動作の概略を説明する図の一例である。
【
図3】コンピュータシステムの一例のハードウェア構成図である。
【
図5】ICカードリーダの一例のハードウェア構成図である。
【
図6】プリントサーバ、認証サーバ、機器管理サーバ、複合機、及び、ICカードリーダの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図7】印刷ジョブの蓄積と印刷の手順を示すシーケンス図の一例である。
【
図8】ICカードリーダが有するディスプレイに表示されたメッセージの一例を示す図である。
【
図9】保持している印刷ジョブに応じて、印刷要求送信部が印刷ジョブを実行する複合機の数を決定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図10】プリントサーバの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である(実施例2)。
【
図11】印刷ジョブの蓄積と印刷の手順を示すシーケンス図の一例である(実施例2)。
【
図12】ICカードリーダが接続された複合機に送信するかどうか、及び、何台の複合機を並列に稼働させるかの判断手順を示すフローチャート図の一例である(実施例2)。
【
図13】ICカードリーダの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である(実施例3)。
【
図14】印刷ジョブの蓄積と印刷の手順を示すシーケンス図の一例である(実施例3)。
【
図15】ユーザが受信した電子メールの表示例を示す図である。
【
図16】ICカードリーダの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である(実施例4)。
【
図17】ICカードリーダのディスプレイに表示された複合機のリストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0010】
<印刷システムの動作の概略>
まず、
図1を用いて印刷システム100の動作の概略について説明する。
図1は、印刷システム100の概略構成と動作の概略を説明する図の一例である。
図1の説明では、ユーザの印刷ジョブがプリントサーバ20に蓄積されているものとする。
【0011】
(1)ユーザがICカードCをICカードリーダ50にかざすことで印刷システム100にログインし、ユーザIDが特定される。ICカードリーダ50は機器情報を機器管理サーバ10に要求する。
【0012】
(2)機器管理サーバ10はネットワークに接続された各複合機40の機器情報を管理している。機器管理サーバ10は各複合機40の機器情報をICカードリーダ50に送信する。
【0013】
(3)次に、ICカードリーダ50はジョブ一覧を取得するためにユーザIDをプリントサーバ20に送信する。
【0014】
(4)プリントサーバ20はユーザIDに対応付けられている印刷ジョブのジョブ一覧をICカードリーダ50に送信する。
【0015】
(5)ICカードリーダ50は機器情報に基づいて決定した送信先複合機と、プリントサーバ20から送信された印刷ジョブのジョブIDの全てを指定して、ジョブデータ送信要求をプリントサーバ20に送信する。機器情報に基づく送信先複合機の決定方法については後述するが、故障していない複合機40のうち保持している印刷ジョブが少ない複合機40(
図1では複合機40B)などである。プリントサーバ20から送信された印刷ジョブの全てを印刷するのではなく、ユーザが選択した印刷ジョブだけ印刷してもよい。
【0016】
(6)プリントサーバ20は複合機40Bに、ジョブIDで指定された印刷ジョブを送信する。
【0017】
このように、本実施形態の印刷システム100は、機器管理サーバ10がICカードリーダ50に機器情報を返すことにより、ICカードリーダ50が適切な複合機40を印刷先に指定するので、ユーザがICカードをかざすだけで効率よく空いている複合機40から印刷することができる。
【0018】
また、ICカードリーダ50がプリントサーバ等と通信するので、複合機40Aがプリントサーバ20等に対応している必要がない。補足して説明するが、説明の便宜上、複合機40Aを他社製の複合機、複合機40Bを自社製の複合機とする。任意の複合機については複合機40と称する。
【0019】
一般に、複合機40Bでは印刷システム100に対応したアプリケーションソフトが動作している。このアプリケーションソフトはプリントサーバと通信して印刷ジョブのジョブ一覧を表示したり、ユーザが選択した印刷ジョブのジョブIDを送信したりして、複合機40Bから印刷させるものである。このようなアプリケーションソフトは印刷システム100を運営するメーカが提供するため、複合機40Aも印刷システム100を運営するメーカが製造したものである必要があった。したがって、複合機40Aが他社製の場合、アプリケーションソフトが動作していないのでプルプリント方式で印刷することが困難になる。
【0020】
そこで、ネットワークに対応したICカードリーダ50がプリントサーバ等と通信する構成を採用することで、他社製の複合機40Aからのプルプリントを可能にする方法が考案された。ICカードリーダ50では上記のアプリケーションソフトと同等のソフトが動作している。これにより、他社製の複合機40Aに接続されたICカードリーダ50であっても、ユーザはICカードリーダ50にICカードをかざすだけで効率よく自分の印刷ジョブを出力できるようになる。
【0021】
ICカードリーダ50にはディスプレイを有さないものもあり、この場合、ユーザが印刷ジョブを選択することは困難である。ユーザが印刷ジョブを選択できないので、ICカードリーダ50はプリントサーバ20に蓄積されているこのユーザの全ての印刷ジョブの出力をプリントサーバ20に要求する。プリントサーバ20に蓄積されている印刷ジョブの数が多い場合は当然であるが、数が少ない場合でも、ICカードリーダ50が接続された複合機40Aが多くの印刷ジョブを保持しているような場合や故障している場合は、印刷完了までに長時間を要する。
【0022】
これに対し、本実施形態では、ICカードリーダ50が機器情報に基づいて送信先複合機を決定するので、他社製の複合機40Aに接続されたICカードリーダ50にユーザがICカードをかざしても、印刷ジョブを早期に実行できる複合機40を自動で選択できる。ICカードリーダ50が接続されていない複合機40Bが選択された場合は代行印刷となり、複数の複合機40A,40B(3つ以上の複合機を選択してもよい)が選択された場合は、並列印刷となる。並列印刷の場合は印刷完了までの時間を短縮できる。
【0023】
<用語について>
記憶媒体読取装置は記憶媒体から情報を読み取ることができる情報処理装置である。非接触に読み取ることができれば好ましいが、接触して読み取ってもよい。記憶媒体がICカードの場合、記憶媒体読取装置はICカードリーダと呼ばれる。
【0024】
記憶媒体読取装置が読み取る記憶媒体は、ユーザに関するユーザ情報を記憶していればよい。ユーザ情報は、ユーザを識別又は特定する識別情報でもよいし、ユーザを認証するための認証情報でもよい。本実施形態の記憶媒体はICカードであるが、バーコードが印刷された媒体、ICカードを有するスマートフォンなどの情報処理装置などでもよい。また、指紋、顔、虹彩、静脈紋などの生体認証によりユーザが認証される場合は、記憶媒体がなくてもよい。
【0025】
利用可否情報は、複合機を利用できるか否かの情報である。例えば、電源がONかOFF、又は、エラーが発生していないかなどを含む。本実施形態では起動状態及び稼働状態という情報で説明する。
【0026】
負荷情報は、複合機がどの位の負荷を有しているかを示す情報である。例えば、保持している印刷ジョブの数、又は、保持している印刷ジョブのページ数の合計などである。
【0027】
<システム構成例>
図2は、印刷システム100の概略構成図の一例を示す。印刷システム100は、ネットワークNを介して通信可能な、認証サーバ70、機器管理サーバ10、プリントサーバ20、クライアントPC9、1台以上の複合機40、及び、ICカードリーダ50を有する。
【0028】
ネットワークNは、LANやインターネットなどの一般的なネットワークが想定されている。LANは例えばクライアントPC9や複合機40が配置されている社内などの施設内のLANである。ネットワークNには、広域イーサネット(登録商標)、VPN(Virtual Private Network)や複数のLANから成るWANが含まれていてよい。ネットワークは、一部又は全体が無線化されていてもよい。無線のネットワークには、無線LAN、WiMAXの他、3G,4G、5Gなどの携帯電話網が含まれてよい。
【0029】
クライアントPC9は、ユーザが操作して印刷ジョブをプリントサーバ20に登録する情報処理装置である。印刷ジョブの登録を印刷ジョブの投入という場合がある。クライアントPC9上ではアプリケーションソフトウェアが動作しており、アプリケーションソフトウェアが作成した文書データを有している。クライアントPC9はプリントサーバ20へ印刷ジョブを登録するためのプリンタドライバを使って印刷ジョブを投入する。クライアントPC9に印刷システム100専用のアプリケーションソフトがインストールされていてもよい。プリントサーバ20に蓄積することで、クライアントPC9は複合機40を共有できる。
【0030】
なお、クライアントPC9が異なる機種に共通のプリンタドライバを実行し、このプリンタドライバを用いて文書データを印刷ジョブ(PDL(Page Description Language)で記述された印刷データと印刷設定)に変換してからプリントサーバ20に送信してもよい。本実施形態では印刷ジョブと文書データを区別することなく印刷ジョブとして説明する。
【0031】
クライアントPC9は、いわゆるPCの他、例えば、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、ウェアラブルコンピュータなどである。クライアントPC9は印刷ジョブを蓄積できる装置又は機器であればよい。この他、テレビ会議端末、電子黒板、プロジェクタ、カーナビゲーション端末、カメラ、又は、ゲーム機等でもよい。
【0032】
プリントサーバ20は、プルプリント方式による印刷ジョブの管理、提供を行う情報処理装置である(ジョブ蓄積装置の一例)。印刷ジョブとは印刷対象の印刷データと部数やカラーなどの印刷設定を含み、複合機40が行う1つの印刷処理の対象となる情報である。プリントサーバ20は各複合機40に対応したプリンタドライバを有している場合、文書データから印刷ジョブを生成できる。また、印刷ジョブの蓄積を行うためのプリンタポートを備え、このプリンタポートに対して送信された印刷ジョブをプリントサーバ20内に蓄積する。
【0033】
プリントサーバ20は情報処理装置としての機能を有していればよい。また、プリントサーバ20がない形態も考えられる。この場合、複合機40がプリントサーバ20を兼ねる形態となる。
【0034】
なお、プリントサーバ20はオンプレミスのサーバであってもよいし、クラウドサービスとして提供されるサーバでもよい。プリントサーバ20は、プリントサーバ20以外の機能を有していてもよい。また、プリントサーバ20が複数、存在してもよい。また、いわゆる仮想化技術により仮想化されていてもよい。
【0035】
複合機40には自社製のものと他社製のものがある。自社製の複合機40は、プリントサーバ20のクライアント機能を有している。他社製の複合機40はクライアント機能を有さない代わりにICカードリーダ50が接続されており、ICカードリーダ50がクライアント機能を有する。
【0036】
複合機40は、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、及びスキャナ機能等、複数の機能を有する。MFP(Multifunction Peripherals)と呼ばれる場合がある。また、プリンタ機能に着目して画像形成装置、プリンタと呼ばれてもよい。また、複写機、コピー機等と呼ばれる場合がある。なお、複合機40は印刷ジョブを実行する機能(画像形成機能)を有していればよく、スキャナ機能やファクシミリ機能などの機能を有さなくてもよい。画像形成の方式として、例えば電子写真方式又はインクジェット方式があるが、画像形成の方式はどのようなものでもよい。また、3DCADの設計データをもとにして、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積み重ねていくことによって、立体モデルを造形する3Dプリンタでもよい。
【0037】
認証サーバ70は、ユーザの認証を行うサーバ装置(情報処理装置)である。ICカードリーダ50は、ICカードから読み取った認証情報(例えばカード番号)を認証サーバ70に送信し、認証サーバ70から認証結果を取得する。ICカードリーダ50又は複合機40は認証結果に基づいて印刷システム100に対するログインを許可又は制限する。なお、認証サーバ70の機能を複合機40が有する場合、認証サーバ70は不要である。
【0038】
認証サーバ70の一例としてLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバがある。LDAPは、ネットワーク機器や利用者などの情報を管理するディレクトリサービスへ接続するためのプロトコルである。ディレクトリサービスとは、ネットワークに存在するさまざまな情報を一元的に管理し、検索などの機能を提供するサービスである。また、LDAPサーバには、OpenLDAPなどのオープンソフトウェア、及び、マイクロソフト社のActive Directory(登録商標)を代表とする商用ソフトウェアなどがある。
【0039】
機器管理サーバ10は、複合機40に対して機器情報を問い合わせ、機器ごとに起動状態(複合機40が起動しているか=電源がONか)、稼働状態(故障中、紙詰まりなどの異常があるか)、及び、負荷情報を含む機器情報を管理する情報処理装置である(機器管理装置の一例)。負荷情報により、どの位の印刷ジョブ(各印刷ジョブのページ数も含む)を保持しているかを管理できる。機器管理サーバ10はオンプレミスのサーバであってもよいし、クラウドサービスとして提供されるサーバでもよい。
【0040】
ICカードリーダ50は、複合機40を介してネットワークNに接続されているカードリーダである。例えば、ブリッジ接続により複合機40が接続しているLANにICカードリーダ50も接続している。したがって、ネットワークNに接続しているとみなすことができ、点線で示す接続線90でICカードリーダ50がネットワークNに接続されていてもよい。
【0041】
カードリーダの仕組みは以下のようになる。まず、ICカードリーダ50は、磁力線を発振しておき、ICカード内のアンテナを磁力線により励起して電流を流し、その電流でICチップを起動させ情報を読み取らせ、この情報をICカードリーダ50より受けた磁束とは逆向きに発生した反磁界によりICカードリーダ50に送信する。ICカードリーダ50は、予め保持する鍵で読み取ることができるカード情報を受信する。カード情報にはカード番号が含まれるものとする。ICカードリーダ50はこの他、ユーザに関する情報を取得してもよい。
【0042】
なお、機器管理サーバ10とプリントサーバ20は物理的に同一のマシン上に存在してもよい。認証サーバ70は機器管理サーバ10とプリントサーバ20のどちらかと物理的に同一のマシン上に存在してもよい。
【0043】
<ハードウェア構成例>
続いて、本実施形態の印刷システム100におけるプリントサーバ20、認証サーバ70、機器管理サーバ10、及び、複合機40のハードウェア構成について説明する。
【0044】
<<プリントサーバ、認証サーバ、機器管理サーバのハードウェア構成例>>
プリントサーバ20、認証サーバ70及び機器管理サーバ10は、例えば
図3に示すハードウェア構成のコンピュータシステムにより実現される。
図3は本実施形態に係るコンピュータシステム200の一例のハードウェア構成図である。
【0045】
図3に示したコンピュータシステム200は、入力装置201、表示装置202、外部I/F203、RAM(Random Access Memory)204、ROM(Read Only Memory)205、CPU(Central Processing Unit)206、通信I/F207、及びHDD(Hard Disk Drive)208などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0046】
入力装置201はキーボードやマウス、タッチパネルなどを含み、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置202はディスプレイなどを含み、コンピュータシステム200による処理結果を表示する。
【0047】
通信I/F207はコンピュータシステム200を社内ネットワーク及びインターネット等に接続させるインタフェースである。これにより、コンピュータシステム200は通信I/F207を介してデータ通信を行うことができる。
【0048】
HDD208はプログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、例えばコンピュータシステム200全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や、OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトなどがある。HDD208は格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステム及び/又はDB(データベース)により管理している。
【0049】
外部I/F203は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体203aなどがある。これにより、コンピュータシステム200は外部I/F203を介して記録媒体203aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体203aにはフレキシブルディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(SD Memory card)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。
【0050】
ROM205は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM205には、コンピュータシステム200の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM204は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。
【0051】
CPU206は、ROM205やHDD208などの記憶装置からプログラムやデータをRAM204上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータシステム200全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0052】
なお、プリントサーバ20はクラウドコンピューティングに対応していてよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。
【0053】
<<複合機のハードウェア構成例>>
図4は、複合機40のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、複合機40は、本体装置98と、操作部99と、を備える。本体装置98と操作部99は、専用の通信路29を介して相互に通信可能に接続されている。通信路29は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格のものを用いることもできるが、有線か無線かを問わず任意の規格のものであってよい。
【0054】
なお、本体装置98は、操作部99で受け付けた操作に応じた動作を行うことができる。また、本体装置98は、クライアントPC9等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じた動作を行うこともできる。
【0055】
次に、本体装置98のハードウェア構成について説明する。
図4に示すように、本体装置98は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、HDD(Hard Disk Drive)14と、通信I/F(Interface)15と、接続I/F16と、エンジン部17と、を備え、これらがシステムバス18を介して相互に接続されている。説明の便宜上、
図4では、本体装置98がHDD14を有している構成を例に挙げて説明したが、例えばHDD14を有していない構成(例えばフラッシュメモリを有する構成)もあり得る。
【0056】
CPU11は、本体装置98の動作を統括的に制御する。CPU11は、RAM13をワークエリア(作業領域)としてROM12又はHDD14等に格納されたプログラムを実行することで、本体装置98全体の動作を制御し、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、及びプリンタ機能などの各種機能を実現する。
【0057】
通信I/F15は、ネットワークNと接続するためのインタフェースである。接続I/F16は、通信路29を介して操作部99と通信するためのインタフェースである。
【0058】
エンジン部17は、コピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、及び、プリンタ機能を実現させるための、汎用的な情報処理及び通信以外の処理を行うハードウェアである。例えば、原稿の画像をスキャンして読み取るスキャナ、用紙等のシート材への印刷を行うプロッタ(画像形成部)、ファクス通信を行うファクス部などを備えている。更に、印刷済みシート材を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(自動原稿給送装置)のような特定のオプションを備えることもできる。
【0059】
次に、操作部99のハードウェア構成について説明する。
図4に示すように、操作部99は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、フラッシュメモリ24と、通信I/F25と、接続I/F26と、操作パネル27と、を備え、これらがシステムバス28を介して相互に接続されている。説明の便宜上、
図4では、操作部99はフラッシュメモリ24を有している構成を例に挙げて説明したが、例えばフラッシュメモリ24を有していない構成もあり得る。
【0060】
図4に示す構成から明らかなように、操作部99及び本体装置98はコンピュータ又は情報処理装置の機能を有している。
【0061】
<<ICカードリーダのハードウェア構成例>>
図5はICカードリーダ50のハードウェア構成例を示す図である。ICカードリーダ50は、CPU301、RAM302、フラッシュメモリ303、通信部304、近距離無線通信アンテナ305,及び、ディスプレイ306を備える。
【0062】
CPU301は、フラッシュメモリ303からRAM302に展開されたプログラムに基づいて、各種の演算処理を実行すると共にICカードリーダ50の各部を制御する。RAM302はCPU301のワークメモリ(プログラム、データの一時的な記憶場所)として用いられる。
【0063】
フラッシュメモリ303は、ICカードリーダ50のオペレーティングシステム、プログラム及びデータを記憶する不揮発性のメモリである。
【0064】
通信部304は、ネットワークインターフェイスカード等により構成され、ネットワークインターフェイスカードにより接続したネットワークNを介して、プリントサーバ20等とデータ通信する。
【0065】
近距離無線通信アンテナ305は、非接触通信用のアンテナであり、磁力線を発振してICカードを励起させる。また、ICカードが送信する情報を受信する。近距離とは、例えば数十センチメートル以内の非接触データ通信を行う。
【0066】
ディスプレイ306は液晶や有機ELなどの表示装置である。ディスプレイ306はなくてもよい。この場合、LEDランプやスピーカ等の出力装置を備えることが好ましい。
【0067】
<機能について>
次に、
図6を用いてプリントサーバ20、認証サーバ70、機器管理サーバ10、複合機40、及び、ICカードリーダ50の機能について説明する。
図6は、プリントサーバ20、認証サーバ70、機器管理サーバ10、複合機40、及び、ICカードリーダ50の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【0068】
<<機器管理サーバ>>
機器管理サーバ10は、第1通信部31、機器情報要求部32、機器管理部33、及び、機器情報返答部34を有する。機器管理サーバ10が有するこれら各機能部は、
図3に示された各構成要素のいずれかが、HDD208からRAM204に展開されたプログラムに従ったCPU206からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されるか又は記憶媒体に記憶された状態で配布される。
【0069】
また、機器管理サーバ10は
図3に示されたHDD208やRAM204に構築される機器情報DB35を有している。まず機器情報DB35について説明する。
【0070】
【表1】
表1は、機器情報DB35に記憶されている情報を模式的に示す。機器情報DB35は、機器名、IPアドレス、シリアル番号、ベンダー、起動状態、稼働状態、及び、プリント情報の各項目を有する。機器名は複合機40の一般的な名称である。IPアドレスは複合機40に設定されているIPアドレスである。シリアル番号は複合機40の製造番号であり、重複しないように設定されている。したがって、識別情報となりうる。ベンダーは複合機40を提供する提供元である(主に製造企業であり、販売会社でもよい)。起動状態は、複合機40が起動しているか否かの情報である。稼働状態は異常(エラー)が発生しているか否かを示す。プリント情報は、複合機40が印刷する印刷ジョブの数(各印刷ジョブのページ数を含む)である。プリント情報は負荷情報に相当する。
【0071】
続いて、機器管理サーバ10の各機能について説明する。第1通信部31はICカードリーダ50と各種の情報を送受信する。本実施形態では、ICカードリーダ50から機器情報の要求を受信し、機器情報をICカードリーダ50に送信する。
【0072】
機器情報要求部32は機器管理サーバ10が管理する複合機40に対して機器情報を取得するためのリクエスト(HTTPリクエスト)を発行し、複合機40が送信したレスポンス(HTTPレスポンス)から機器情報を取り出して機器管理部33へ送出する。各複合機40と機器管理サーバ10はVPNで接続されている。機器管理サーバ10又は複合機40の少なくとも一方が他方のIPアドレスを保持している。他社製の複合機40Aであっても、SNMP(Simple Network Management Protocol)など汎用的な通信プロトコルにより機器情報の少なくとも一部を取得できる。また、機器情報要求部32が自社製の複合機40Bが持つAPIに問い合わせて回答があれば自社製、なければ他社製と判断できる。
【0073】
機器管理部33は機器情報要求部32が取得した機器情報を機器情報DB35に保存し、また、機器情報DB35から機器情報を取得して、機器情報返答部34に送出する。
【0074】
機器情報返答部34は、ICカードリーダ50から送信された機器情報を要求するリクエスト(HTTPリクエスト)に対し、機器管理部33から機器情報を取得して、この機器情報を有するレスポンス(HTTPレスポンス)を、第1通信部31を介してICカードリーダ50に送信する。
【0075】
なお、機器情報を管理する管理装置を社内ネットワーク(オンプレミス)に配置し、この管理装置が複数の複合機40の機器情報をまとめて機器管理サーバ10に送信してもよい。
【0076】
<<プリントサーバ>>
プリントサーバ20は第2通信部41、印刷ジョブ取得部42、印刷ジョブ管理部43、及び、印刷要求管理部44を有する。プリントサーバ20が有するこれら各機能部は、
図3に示された各構成要素のいずれかが、HDD208からRAM204に展開されたプログラムに従ったCPU206からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されるか又は記憶媒体に記憶された状態で配布される。
【0077】
また、プリントサーバ20は
図3に示されたHDD208やRAM204に構築される印刷ジョブDB45を有している。まず印刷ジョブDB45について説明する。
【0078】
【表2】
印刷ジョブDB45は、ユーザID、ジョブID、ジョブ名、カラー設定、両面設定、ページ数、部数、及び、ジョブデータ本体の各項目を有している。ユーザIDは印刷ジョブを蓄積したユーザの識別情報である。ジョブIDは印刷ジョブを識別又は特定するための識別情報である。なお、IDとはIdentificationの略であり識別子や識別情報という意味である。IDは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらのうち1つ以上の組み合わせをいう。
【0079】
ジョブ名は印刷ジョブをユーザが識別するための名称であり、例えばファイル名である。カラー設定はモノクロ、カラー、2色印刷などの設定をいう。ページ数は印刷ジョブのページ数である。部数は印刷ジョブの印刷数である。ジョブデータ本体は印刷ジョブ(ファイル)の本体又はファイルへのパスである。
【0080】
続いて、プリントサーバ20の機能について説明する。第2通信部41は、クライアントPC9及びICカードリーダ50との間で各種の情報を送受信する。第2通信部41はクライアントPC9から受信した印刷ジョブをスプールし、また、ICカードリーダ50からジョブデータ送信要求を受信する。スプールとは、データを一時的にメモリやハードディスクなどに保存すること、バッファリングすることをいう。通常、入力と出力の速度差を調整するために使用される。なお、スプールの機能はプリントサーバ20のOS(Operating System)に標準の機能である。
【0081】
印刷ジョブ取得部42は、スプーラに印刷ジョブが投入されたことを検知してスプーラから印刷ジョブを取得し、印刷ジョブ管理部43に送出する。
【0082】
印刷ジョブ管理部43はプリントサーバ20に蓄積される印刷ジョブの管理を行う。印刷ジョブ取得部42が取得した印刷ジョブについて、書誌情報(ジョブ名、印刷設定(カラー設定、両面設定、ページ数、部数など))、印刷時の情報(印刷ジョブの生成に使用されたプリンタ名、PDLの種類、印刷日時、印刷したユーザ情報など)、及び、印刷ジョブデータ本体を印刷ジョブDB45へ保管する。なお、印刷ジョブの情報はDBだけではなくファイルとして保管してもよい。
【0083】
印刷要求管理部44は、ICカードリーダ50又は複合機40などからのジョブ操作要求に対して印刷ジョブ管理部43からジョブデータを取得して、第2通信部41を介して返却する。主な要求はジョブ一覧取得、ジョブデータ取得、及び、ジョブ削除等である。
【0084】
<<ICカードリーダ>>
ICカードリーダ50は、第3通信部51、カード通信部52、認証情報読取部53、認証要求部54、報知部55、プリンタ情報取得部56、ジョブ情報取得部57、及び、印刷要求送信部58、を備える。ICカードリーダ50が有するこれら各機能部は、
図5に示された各構成要素のいずれかが、フラッシュメモリ303からRAM302に展開されたプログラムに従ったCPU301からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されるか又は記憶媒体に記憶された状態で配布される。
【0085】
第3通信部51は、機器管理サーバ10、及びプリントサーバ20と各種の情報を送受信する。本実施形態では、機器管理サーバ10に機器情報を要求し、機器管理サーバ10から機器情報を受信する。また、認証サーバ70にカード番号を送信し、認証結果を取得する。また、ユーザIDをプリントサーバ20に送信してジョブ一覧を取得し、ジョブ一覧をプリントサーバ20から受信する。
【0086】
カード通信部52は、ICカードを励起させ、ICカードからカード情報を受信する。受信する情報はICカードが送信する情報であり、カード番号に限られない。
【0087】
認証情報読取部53はカード通信部52が読み取ったカード情報を解析して、カード番号を取り出す。カード番号は、認証サーバ70がユーザを認証する認証情報となる。
【0088】
認証要求部54は第3通信部51を介して、取り出したカード番号を認証サーバ70に対して送信し、認証結果(認証成功、認証失敗)を受信する。認証が成功した場合、認証されたユーザのユーザIDを受け取る。
【0089】
報知部55は、ICカードリーダ50が接続された複合機40Aでない複合機40Bが印刷ジョブの送信先に選択された場合、視覚的又は聴覚的にユーザにその旨を報知する。報知部55はICカードリーダ50が接続された複合機40AのIPアドレスを保持しており、印刷ジョブの送信先に選択された複合機40のIPアドレスと比較することで、ICカードリーダ50が接続された複合機40Aが選択されたか否かを判断する。
【0090】
プリンタ情報取得部56は第3通信部51を介して、機器管理サーバ10に対して機器情報を要求して取得する。ジョブ情報取得部57は第3通信部51を介して、認証によって得られたユーザIDと共に、そのユーザがプリントサーバ20に蓄積したジョブ一覧を取得する。
【0091】
印刷要求送信部58は、印刷ジョブを実行する1台以上の複合機40を決定し、第3通信部51を介してプリントサーバ20に対し、決定した複合機40へのジョブ送信要求を送信する。
【0092】
<<複合機>>
複合機40は、第4通信部71、操作受付部72、表示制御部73、及び、印刷部74を有する。複合機40が有するこれら各機能部は、
図4に示された各構成要素のいずれかが、HDD14からRAM13に展開されたプログラムに従ったCPU11からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されるか又は記憶媒体に記憶された状態で配布される。なお、操作部99がこれらの機能を有していてもよい。
【0093】
第4通信部71は、プリントサーバ20との間で各種の情報を送受信する。プリントサーバ20に機器情報を送信し、印刷ジョブをプリントサーバ20から受信する。
【0094】
操作受付部72は、複合機40に対する各種の操作を受け付ける。本実施形態では、ユーザが複合機40を操作するフェーズはないが、通常のプルプリントでは印刷ジョブの選択を受け付ける。
【0095】
表示制御部73は操作パネル27に各種の情報を表示する。例えば、通常のプルプリントではジョブ一覧を表示する。印刷部74は印刷ジョブを実行することで、用紙などの記録媒体に画像を形成する。すなわち、印刷物を印刷する又は印刷物を出力する。
【0096】
<認証サーバ>
認証サーバ70は、第5通信部61、及び認証処理部62を有する。認証サーバ70が有するこれら各機能部は、
図3に示された各構成要素のいずれかが、HDD208からRAM204に展開されたプログラムに従ったCPU206からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、プログラム配信用のサーバから配信されるか又は記憶媒体に記憶された状態で配布される。
【0097】
また、認証サーバ70は
図3に示されたHDD208やRAM204に構築されるユーザ情報DB63を有している。まず、ユーザ情報DB63について説明する。
【0098】
【表3】
ユーザ情報DB63にはユーザに関する情報が記憶されており、その中に認証情報が含まれている。表3の例では、ユーザID、パスワード、及び、カード番号を有する。ユーザIDはユーザを特定又は識別するための識別情報である。パスワードはユーザのみが知る秘匿情報である。カード番号はICカードが記憶する一意性のある番号(アルファベット、記号などを含んでもよい)である。
【0099】
次に、認証サーバ70が有する各機能について説明する。第5通信部61はICカードリーダ50と各種の情報を送受信する。本実施例ではICカードリーダ50から認証要求を受信し、ICカードリーダ50に認証結果を送信する。
【0100】
認証処理部62は、第5通信部61が受信した認証要求に対しユーザ情報DB63を検索して、認証要求に含まれるカード番号がユーザ情報DB63に記憶されている場合は認証成功であると判断し、記憶されていない場合は認証失敗であると判断する。
【0101】
<動作手順>
次に、
図7を用いて通信システムの印刷手順について説明する。
図7は、印刷ジョブの蓄積と印刷の手順を示すシーケンス図の一例である。
【0102】
(蓄積のフェーズ)
S1:ユーザはクライアントPC9上で文書の作成を行い、文書作成アプリ上から「印刷」を指示する。クライアントPC9はこの操作を受け付ける。プルプリントを行う場合、クライアントPC9にインストールされている共通プリンタドライバ(ジョブ蓄積用)を選択する。
【0103】
S2:クライアントPC9は共通プリンタのプリンタドライバにより文書データから印刷ジョブを生成し、プリントサーバ20に送信する。
【0104】
S3:プリントサーバ20の第2通信部41はスプーラに印刷ジョブをスプールするので、印刷ジョブ取得部42はスプールから印刷ジョブの情報を取得する。印刷ジョブ管理部43は印刷ジョブ取得部42から印刷ジョブを取得して印刷ジョブDB45に蓄積する。
【0105】
(印刷のフェーズ)
S11:ユーザは複合機40Aに接続されたICカードリーダ50にICカードをかざす。すなわち、ログインする操作を行う。ICカードのカード通信部52はICカードからカード情報を取得し、認証情報読取部53がカード情報からカード番号を取得する。
【0106】
S12:認証要求部54は第3通信部51を介して、カード番号を含む認証要求を認証サーバ70に送信する。認証サーバ70の第5通信部61は認証要求を受信し、認証処理部62が送信されたカード番号を元にユーザ認証を行い、認証結果をICカードリーダ50に送信する。
図7の説明では認証が成功したものとする。第5通信部61は認証成功とユーザIDをICカードリーダ50に送信する。
【0107】
S13:次に、ICカードリーダ50のプリンタ情報取得部56は第3通信部51を介して、機器管理サーバ10に機器情報を要求する。ICカードリーダ50が機器情報を取得できる複合機40は予め決まっているものとする。例えば、ユーザが属する顧客が使用している複合機である。
【0108】
S14:機器管理サーバ10の第1通信部31は機器情報の要求を取得して、機器管理部33はユーザが属する顧客に対応付けられた複合機40の機器情報を機器情報DB35から取得する。機器情報返答部34は、第1通信部31を介して機器情報をICカードリーダ50に送信する。
【0109】
S15:ICカードリーダ50の第3通信部51は各複合機40の機器情報を受信する。次に、ジョブ情報取得部57は第3通信部51を介して、プリントサーバ20にログインしているユーザのユーザIDと共にジョブ一覧を要求する。
【0110】
S16:プリントサーバ20の第2通信部41はジョブ一覧の要求を受信し、印刷ジョブ管理部43が印刷ジョブDB45に管理している印刷ジョブをユーザIDに基づいて検索し、ジョブ一覧を作成する。プリントサーバ20の第2通信部41はジョブ一覧をICカードリーダ50に送信する。
【0111】
S17:ICカードリーダ50のジョブ情報取得部57は第3通信部51を介してジョブ一覧を受信し、印刷要求送信部58は取得した機器情報を元に、保持している印刷ジョブが最も少ない複合機40を選択する。
【0112】
S18:ICカードリーダ50の印刷要求送信部58は第3通信部51を介して、ジョブ一覧の全ての印刷ジョブを、ステップS17で決定した複合機40に出力するようプリントサーバ20に印刷要求する。なお、ステップS17で決定した複合機40はIPアドレス又はシリアル番号などで指定される。
【0113】
S19:プリントサーバ20の第2通信部41は印刷要求を受信し、印刷要求管理部44が指定された複合機40に対してユーザの印刷ジョブを送信する。複合機40の第4通信部71は印刷ジョブを受信し、印刷部74が印刷ジョブを実行する。
【0114】
<まとめ>
以上説明したように、本実施例の印刷システム100は、機器情報をICカードリーダ50が取得することで、適切な複合機40を選択し、代行印刷することができる。また、他社製の複合機40Aであるためプルプリントのアプリケーションソフトが動作していなくても、ICカードリーダ50でプルプリントのアプリケーションソフトが動作することでプルプリントすることができる。
【0115】
<変形例>
なお、ステップS17で、ICカードリーダ50の報知部55は、ICカードリーダ50が接続された複合機40A以外の複合機40Bに印刷ジョブを送信する際、音、表示(LEDの点灯/点滅、ディスプレイがある場合はメッセージなど)など、視覚的又は聴覚的に、ICカードリーダ50が接続された複合機40Aでない複合機40B(以下、「別の複合機」という)で印刷を行うことをユーザに報知することが好ましい。
【0116】
図8は、ICカードリーダ50が有するディスプレイ306に表示されたメッセージの一例を示す。
図8では「この複合機とは別の複合機から出力されます。次の複合機が出力します。」というメッセージ501と、出力する複合機40の名称「MP001」(符号は502)と、複合機40のIPアドレス「1.2.3.10」(符号は503)が表示されている。ユーザはこのメッセージ501を読むことで、印刷物が別の複合機40から出力されることを把握できる。また、複合機40の名称502によりどの複合機40から出力されるかを把握できる。
【0117】
また、ステップS17では保持している印刷ジョブが最も少ない1台の複合機40が選択されているが、印刷要求送信部58が保持している印刷ジョブが少ない順に複数の複合機40を選択してもよい。例えば、プリントサーバ20から送信されたジョブ一覧に含まれるジョブ数又はページ数が所定数以上の場合には、複数の複合機40を選択する。
【0118】
図9は、
図7のステップS17において、保持している印刷ジョブに応じて、印刷要求送信部58が印刷ジョブを実行する複合機40の数を決定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0119】
印刷要求送信部58は、ジョブ一覧に含まれる印刷ジョブのジョブ数nをカウントする(S17-1)。
【0120】
次に、印刷要求送信部58は「ジョブ数n ÷ 所定数=P」を計算する(S17-2)。なお、小数点以下は繰り上げてPを算出する。所定数は、1台の複合機40で印刷するジョブ数である。
【0121】
印刷要求送信部58は保持しているジョブ数が少ない順にP台の複合機40を決定する(S17-3)。
【0122】
こうすることで、印刷するジョブ数に応じて負荷が小さい1台以上の複合機40を決定し、印刷するジョブ数が多い場合には複数の複合機40に負荷を分散できる。すなわち、並列印刷できる。また、複数の複合機40が並列に印刷するので印刷が完了するまでの時間を短縮できる。
【実施例2】
【0123】
実施例1では保持するジョブ数が最も少ない複合機40又は保持している印刷ジョブが少ない順に複数の複合機40に印刷ジョブが送信されたが、本実施例ではICカードリーダ50が接続された複合機40に印刷ジョブを優先的に送信すると共に、並列印刷する複合機40の台数を制限できる印刷システム100について説明する。
【0124】
ICカードリーダ50が接続された複合機40が選択されない場合には、実施例1と同様に、ICカードリーダ50は、保持するジョブ数が少ない複合機40から優先的に印刷ジョブの送信先の1台以上の複合機40を決定する。
【0125】
図10は、プリントサーバ20の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、ICカードリーダ50、機器管理サーバ10、認証サーバ70及び複合機40の機能は
図6と同様とする。
図10に示すように本実施例のプリントサーバ20は設定情報DB36を有する。設定情報DB36は、
図3に示されたHDD208やRAM204に構築される。
【0126】
【表4】
表4は、設定情報DB36に記憶されている情報を模式的に示す。設定情報DB36には、「ICカードリーダ50が接続された複合機40を利用するか否かの閾値」と「別の複合機40を利用する場合の台数上限」の各項目が登録される。前者は、ICカードリーダ50が接続された複合機40がいくつ以上の印刷ジョブを保持している場合に、別の複合機40を印刷ジョブの送信先として選択するかを決定するための閾値である。後者は、別の複合機40が選択された場合に、何台の複合機40まで並列に利用するかを定める上限値である。
【0127】
<ICカードリーダが接続された複合機に送信するかどうか、何台の複合機を並列に稼働させるかの判断手順>
図11は、印刷ジョブの蓄積と印刷の手順を示すシーケンス図の一例である。なお、
図11の説明では主に
図7との相違を説明する。
図11では、ステップS16-2で設定情報DB36の情報が取得されている。
【0128】
また、ステップS16-2に続いて、プリントサーバ20からICカードリーダ50にジョブ一覧と設定情報DB36の情報が送信されている。
【0129】
ステップS17ではこの設定情報DB36の情報を使って、印刷要求送信部58は、ICカードリーダ50が接続された複合機40に印刷ジョブを送信するかどうか、及び、何台の複合機40を並列に稼働させるかの判断を行う。
【0130】
図12は、ICカードリーダ50が接続された複合機40に送信するかどうか、及び、何台の複合機40を並列に稼働させるかの判断手順を示すフローチャート図の一例である。
図12の処理は
図11のステップS17で実行される。
【0131】
印刷要求送信部58は、設定情報DB36の情報からICカードリーダ50が接続された複合機40を利用するか否かの閾値を取得する(S101)。
【0132】
印刷要求送信部58は、ICカードリーダ50が接続された複合機40のジョブ数が閾値を超過しているか否かを判断する(S102)。ICカードリーダ50が接続された複合機40は例えば機器情報に含まれるIPアドレスにより特定できる。
【0133】
ステップS102の判断がNoの場合、印刷要求送信部58はICカードリーダ50が接続されている複合機40を送信先の複合機40に決定する(S103)。
【0134】
ステップS102の判断がYesの場合、印刷要求送信部58は設定情報DB36の情報から別の複合機40を利用する場合の台数上限を取得する(S104)。
【0135】
次に、印刷要求送信部58は、機器情報を参照してプリント情報が少ない順に台数上限の複合機40を決定する(S105)。台数上限が1台の場合、代行印刷となり、複数の場合は並列印刷となる。
【0136】
このように、本実施例の印刷システム100は、ICカードリーダ50が接続された複合機40を優先して選択できるので、ユーザは近くの複合機40から印刷物を取り出すことができる。また、別の複合機40を利用する場合の台数上限により、並列して印刷する複合機40の数を制限できるので、ユーザが数多くの複合機40から印刷物を取り出さなければならない状況となることを抑制できる。
【0137】
なお、本実施例では設定情報DB36をプリントサーバ20が有すると説明したが、認証サーバ70が設定情報DB36を有していてもよい。この場合、認証サーバ70はユーザごとに設定情報DB36の情報を保持できるので、ユーザごとに異なる「ICカードリーダ50が接続された複合機40を利用するか否かの閾値」と「別の複合機40を利用する場合の台数上限」を保持できる。
【0138】
また、設定情報DB36はICカードリーダ50が保持していてもよい。また、ユーザが印刷の都度、「ICカードリーダ50が接続された複合機40を利用するか否かの閾値」と「別の複合機40を利用する場合の台数上限」をICカードリーダ50に入力してもよい。
【実施例3】
【0139】
本実施例では、印刷ジョブが送信された複合機40をユーザに知らせることができる印刷システム100について説明する。
【0140】
図13は、ICカードリーダ50の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、プリントサーバ20、機器管理サーバ10、認証サーバ70及び複合機40の機能は
図6と同様とする。
図13に示すように本実施例のICカードリーダ50はメール送信部59を有する。メール送信部59は認証サーバ70から取得したユーザのメールアドレスを宛先に設定して電子メールを送信する。
【0141】
図14は、印刷ジョブの蓄積と印刷の手順を示すシーケンス図の一例である。なお、
図14の説明では主に
図7との相違を説明する。
図14では、ステップS12の処理で、認証結果に加えて、メールアドレスが認証サーバ70からICカードリーダ50に送信されている。
【0142】
また、ステップS20で、メール送信部59はステップS12で取得したユーザのメールアドレスを宛先に設定して電子メールを送信する。メールアドレスの本文に、送信先の複合機40の名称、複合機40に送信したジョブ名のリスト等が記載される。
【0143】
図15は、ユーザが受信した電子メールの表示例を示す図である。電子メールは、件名欄511、送信元欄512、及び本文欄513を有し、件名欄511には印刷ジョブの実行結果である旨が設定され、送信元欄512にはICカードリーダ50を表すメールアドレスが設定されている。また、本文欄513には印刷日時、送信先の複合機、及び、実行されたジョブのリストが表示される。
【0144】
したがって、ユーザは、自分の印刷ジョブを印刷した複合機40が、ICカードリーダ50が接続された複合機40でなくても、どの複合機40から印刷ジョブが出力されるかを把握できる。
【実施例4】
【0145】
本実施例では、印刷ジョブが送信される複合機40をユーザが選択できるICカードリーダ50について説明する。
【0146】
図16は、ICカードリーダ50の機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。なお、プリントサーバ20、機器管理サーバ10、認証サーバ70及び複合機40の機能は
図6と同様とする。
図16に示すように本実施例のICカードリーダ50は操作受付部81と表示制御部82を有する。
【0147】
表示制御部82は、ディスプレイ306に各種の情報を表示する。本実施例では機器管理サーバ10から送信された複合機40のリストを表示する。
【0148】
操作受付部81はICカードリーダ50に対する各種の操作及び入力を受け付ける。例えば、ディスプレイ306に表示された複合機40のリストから、印刷ジョブを実行する複合機40の選択を受け付ける。ディスプレイ306がタッチパネルを備える場合はタッチパネルに対する押下を受け付け、タッチパネルでない場合はカーソルを移動させるハードキーの押下を受け付ける。
【0149】
図17は、ICカードリーダ50のディスプレイ306に表示された複合機40のリストの一例を示す。
図17の複合機40のリストは
図7のステップS17で表示される。したがって、本実施例ではユーザが複合機40を選択するのであり、保持しているジョブ数が少ない複合機40は選択されない。
【0150】
ICカードリーダ50の表示制御部82は、機器管理サーバ10から取得した機器名、及び、プリント情報を表示する。電源OFFの複合機40、故障等で印刷ができない複合機40などは表示しない。
【0151】
また、
図17では各複合機40の負荷の大きさがアイコンで示されている。例えば、「○」というアイコンは負荷が低いことを、「△」というアイコンは負荷が中くらいのことを、「□」というアイコンは負荷が高いことを、意味する。ユーザは複合機40の選択を行うための補助情報とすることができる。なお、負荷の大きさは、例えば、複合機40が保持している各印刷ジョブのページ数である。単にジョブ数としてもよい。
【0152】
ユーザがリストから出力を行いたい複合機40を選択すると、操作受付部81が選択を受け付け、印刷要求送信部58はユーザが選択した複合機40を送信先複合機に指定して、プリントサーバ20に送信する。
【0153】
単一の複合機40が選択された場合、プリントサーバ20は全ての印刷ジョブを選択された複合機40に送信するため、代行印刷となる。複数の複合機40が選択された場合、印刷要求送信部58は負荷が均一になるように各複合機40に振り分けるように、プリントサーバ20に印刷指示を出す。したがって、並列印刷となる。
【0154】
このように本実施例の印刷システム100では、ICカードリーダ50のディスプレイ306に複合機40のリストが表示されるので、ユーザは所望の複合機40を選択できる。ディスプレイ306には複合機40の負荷が表示されるので、ユーザは負荷の低い複合機40を選択できる。また、複数の複合機40を選択することで印刷時間を短縮できる。
【0155】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0156】
例えば、ICカードリーダ50は他社製の複合機40Aだけでなく、自社製の複合機40Bに接続されていてもよい。
【0157】
また、
図6などの構成例は、プリントサーバ20、認証サーバ70、機器管理サーバ10、複合機40、及び、ICカードリーダ50による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。プリントサーバ20、認証サーバ70、機器管理サーバ10、複合機40、及び、ICカードリーダ50の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0158】
また、通信システム1が複数のプリントサーバ20及び機器管理サーバ10を有していてもよく、プリントサーバ20及び機器管理サーバ10の機能が複数のサーバに分散して設置されていてもよい。
【0159】
なお、カード通信部52は読取手段の一例であり、ジョブ情報取得部57はジョブ取得手段の一例であり、プリンタ情報取得部56は機器情報取得手段の一例であり、印刷要求送信部58は決定手段の一例であり、報知部55は報知手段の一例であり、表示制御部82は表示制御手段の一例であり、操作受付部81は受付手段の一例である。印刷要求管理部44はジョブ送信手段の一例であり、印刷ジョブDB45は印刷ジョブ記憶手段の一例である。
【符号の説明】
【0160】
1 通信システム
9 クライアントPC
10 機器管理サーバ
20 プリントサーバ
40 複合機
70 認証サーバ
100 印刷システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0161】