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特許7071467ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20220511BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20220511BHJP
   C08G 8/04 20060101ALI20220511BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/26 511
C08G8/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020171975
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2021063986
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0127125
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金 昇 ▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭 鉉 日
(72)【発明者】
【氏名】金 尚 美
(72)【発明者】
【氏名】金 鈴 根
(72)【発明者】
【氏名】朴 相 ▲てつ▼
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
G03F 7/26
C08G 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および
溶媒を含むハードマスク組成物であって、
前記重合体は、前記ハードマスク組成物の総質量に対して、1~30質量%で含まれ、
前記重合体の質量平均分子量は1,500~10,000である、ハードマスク組成物:
【化1】

前記化学式1中、
Aは、それぞれ独立して、置換または非置換のピレニレン基であり、
Bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
この際、R~Rのうち少なくとも2つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記化学式1中、
Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基であるか、
少なくとも1つの置換基で置換されたピレニレン基であり、
前記置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項3】
前記化学式1中、Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基であるか、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたピレニレン基である、請求項1または2に記載のハードマスク組成物。
【請求項4】
前記化学式1中、R~Rのうち2つまたは3つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせである、請求項1~3のいずれか1項に記載のハードマスク組成物。
【請求項5】
前記化学式1中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
前記化学式1中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
前記化学式1中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせである、請求項1~4のいずれか1項に記載のハードマスク組成物。
【請求項6】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式2~4の少なくとも1つで表される構造単位である、請求項1~5のいずれか1項に記載のハードマスク組成物:
【化2】

前記化学式2~4中、
Bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項7】
前記化学式1で表される構造単位は、
置換または非置換のピレン、および
少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒド
を含む反応混合物由来の構造単位であり、
前記置換基は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせである、請求項1~6のいずれか1項に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記置換または非置換のピレンは、ピレンまたはヒドロキシピレンである、請求項7に記載のハードマスク組成物。
【請求項9】
前記少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒドは、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシエトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシプロポキシベンズアルデヒド、ヒドロキシブトキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、またはこれらの組み合わせである、請求項7または8に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項によるハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項11】
材料層上に請求項1~9のいずれか1項によるハードマスク組成物を塗布し熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して、前記材料層の一部を露出する段階、ならびに
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階
を含む、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートル大きさのパターンにおいて、数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには効果的なリソグラフィ技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィ技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコートして露光および現像を行い、フォトレジストパターンを形成した後、前記フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする過程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンの大きさの減少につれ、上述した典型的なリソグラフィ技法だけでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することが難しくなっている。そのため、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して、微細パターンを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第2018-0040905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、重合体の溶解度を向上でき、さらにハードマスク層の耐エッチング性および膜密度を改善できるハードマスク組成物を提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0008】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含むハードマスク組成物を提供する。
【0010】
【化1】
【0011】
前記化学式1中、
Aは、それぞれ独立して、置換または非置換のピレニレン基であり、
Bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
この際、R~Rのうち少なくとも2つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【0012】
前記化学式1中、Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基であるか、少なくとも1つの置換基で置換されたピレニレン基であり、前記置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式1中、Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基であるか、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたピレニレン基であり得る。
【0013】
前記化学式1中、R~Rのうち、2つまたは3つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0014】
前記化学式1中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
前記化学式1中、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
前記化学式1中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0015】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式2~4で表される構造単位のいずれか1つであり得る。
【0016】
【化2】
【0017】
前記化学式2~4中、
Bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【0018】
前記化学式1で表される構造単位は、置換もしくは非置換のピレンおよび
少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒドを含む反応混合物に由来する構造単位であり、前記置換基は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0019】
前記置換または非置換のピレンは、ピレンまたはヒドロキシピレンでありうる。
【0020】
前記少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒドは、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシエトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシプロポキシベンズアルデヒド、ヒドロキシブトキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0022】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、材料層上に上述したハードマスク組成物を塗布し熱処理してハードマスク層を形成する段階、前記ハードマスク層上にフォトレジスト層を形成する段階、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階、ならびに前記材料層の露出した部分をエッチングする段階、を含むパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、重合体の溶解度を向上でき、さらにハードマスク層の耐エッチング性および膜密度を改善できるハードマスク組成物が提供される。。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0025】
以下、本明細書において特に定義しない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子が重水素原子、ハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のヘテロアルキル基、炭素数3~30のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~30のヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0026】
また、上記のハロゲン原子(F、Br,Cl,またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のヘテロアルキル基、炭素数3~30のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~30のヘテロ環基のうち、隣接する2つの置換基が縮合して環を形成することもできる。例えば、置換された炭素数6~30のアリール基は、隣接するまた他の置換された炭素数6~30のアリール基と縮合して、置換または非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0027】
また、本明細書において特に定義しない限り、「ヘテロ」とは、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、Se(セレン原子)、およびP(リン原子)から選択されるヘテロ原子を1つ~3つ含有したものを意味する。
【0028】
本明細書において「アリール基」は、炭化水素芳香族構造を1つ以上有する群を意味し、広くは炭化水素芳香族構造が単結合で連結された形態、および炭化水素芳香族構造が直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環もまた含む。アリール基は単環、多環、または縮合多環(すなわち、炭素原子の隣接するペアを分け合う環)官能基を含む。
【0029】
本明細書において「ヘテロ環基」は、ヘテロアリール基を含む概念であり、これに追加してアリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環またはこれらの組み合わせのような環式化合物内で、炭素(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有することを意味する。ヘテロ環基が縮合環である場合、ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1つ以上含み得る。
【0030】
より具体的には、置換もしくは非置換のアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクアテルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であり得るが、これらに制限されない。
【0031】
より具体的には、置換または非置換のヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンゾオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニイル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のピリドインドリル基、置換もしくは非置換のベンゾピリドオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾピリドチアジニル基、置換もしくは非置換の9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であり得るが、これらに制限されない。本発明の一例で、ヘテロ環基またはヘテロアリール基はピロール基、インドリル基またはカルバゾリル基でありうる。
【0032】
また、本明細書において、重合体は、オリゴマーとポリマーとを含むものを意味する。
【0033】
以下、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物を説明する。
【0034】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、重合体および溶媒を含む。
【0035】
重合体は、芳香族環を含む主鎖と、前記主鎖に結合されており少なくとも2つの置換基で置換された芳香族環を含む側鎖を含み得る。
【0036】
前記芳香族環を含む主鎖は、縮合芳香族環を含み得、例えば、置換または非置換のピレンを含み得る。少なくとも2つの置換基で置換された芳香族環を含む側鎖は、少なくとも2つの置換基で置換されたベンゼンを含み得る。ここで、前記置換基は、親水性官能基であり得、例えば、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のアルコキシ基でありうる。
【0037】
そのため、主鎖に高炭素含有量の芳香族環を含むことによって、丈夫な膜質の重合体層を形成することができ、耐エッチング性を改善できるだけでなく、側鎖に親水性官能基を有する芳香族環を含むことによって、重合体の溶媒に対する溶解性を高めることができる。
【0038】
一例として、前記重合体は下記化学式1で表される構造単位を含み得る。
【0039】
【化3】
【0040】
前記化学式1中、
Aは、それぞれ独立して、置換または非置換のピレニレン基であり、
Bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rのうち少なくとも2つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【0041】
一例として、Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基であるか、互いに同一であるかまたは異なる他の少なくとも1つの置換基で置換されたピレニレン基であり得る。ここで、前記置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0042】
一例として、Aにおいて、前記置換基が複数である場合、前記置換基はすべてピレン内の環のうち同じ環で置換されるか、それぞれピレン内の環のうち互いに異なる環で置換されることができる。
【0043】
一例として、Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基、1つの置換基で置換されたピレニレン基、または2つの置換基で置換されたピレニレン基であり得る。
【0044】
一例として、Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたピレニレン基、または少なくとも1つの炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたピレニレン基であり得る。ここで、前記炭素数1~30のアルコキシ基は、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0045】
一例として、Aは、それぞれ独立して、非置換のピレニレン基、1つまたは2つのヒドロキシ基で置換されたピレニレン基であり得、例えば、Aは、それぞれ独立して、ピレニレン基、1-ヒドロキシピレニレン基、または2-ヒドロキシピレニレン基であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0046】
重合体は、前述したように、側鎖に少なくとも2つの親水性官能基で置換されたベンゼンを含み、側鎖の少なくとも2つの親水性官能基で置換されたベンゼンと、主鎖の置換または非置換のピレニレン基は、3級または4級炭素で結合され得る。そのため、重合体の溶媒に対する溶解性を高めて、スピンコートのような溶液工程に効果的に適用することができ、N/O混合ガスに対する耐エッチング性を改善できるだけでなく、膜密度に優れた重合体層を形成することができる。
【0047】
一例として、R~Rは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して。水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせであり得る。具体的には、R~Rは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0048】
一例として、R~Rのうち2つ~5つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせであり得、例えば、R~Rのうち2つまたは3つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0049】
一例として、Rは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせであり得るが、好ましくはヒドロキシ基でありうる。
【0050】
一例として、RおよびRは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立してヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
およびRは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
、R、およびRは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0051】
一例として、Rはヒドロキシ基であり、Rは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基または置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基であるか;RおよびRは、ヒドロキシ基であるか;R、R、およびRは、ヒドロキシ基でありうる。
【0052】
一例として、R~Rのうち少なくとも2つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基またはこれらの組み合わせでありうる。
【0053】
一例として、R~Rのうち2つ~5つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであり得、例えば、R~Rのうち2つまたは3つは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基またはこれらの組み合わせでありうる。
【0054】
一例として、Rは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであり得るが、好ましくはヒドロキシ基でありうる。
【0055】
一例として、RおよびRは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
およびRは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせであるか;
、R、およびRは、互いに同一であるかまたは異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0056】
一例として、Rはヒドロキシ基であり、Rは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、または置換もしくは非置換のブトキシ基であるか;RおよびRは、ヒドロキシ基であるか;R、R、およびRは、ヒドロキシ基でありうる。
【0057】
一例として、Rは、水素原子でありうる。
【0058】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式2~4の少なくとも1つで表される構造単位であり得る。
【0059】
【化4】
【0060】
前記化学式2~4中、
B、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、前述したとおりであり、
は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせである。
【0061】
一例として、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0062】
一例として、前記化学式1で表される構造単位は、置換または非置換のピレンおよび少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒドを含む反応混合物由来の構造単位であり得る。ここで、前記置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30アルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、前記置換基は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0063】
上記構造単位は、前記反応混合物の縮合反応により得られるが、これに限定されない。該縮合反応は、従来公知の条件を適宜採用して行われ得る。
【0064】
一例として、置換または非置換のピレンは、非置換のピレンであるか、互いに同一であるかまたは異なる他の少なくとも1つの置換基で置換されたピレンでありうる。ここで、置換基が複数である場合、置換基はすべてピレン内の環のうち同じ環内で置換されるか、それぞれピレン内の環のうち互いに異なる環で置換され得る。
【0065】
一例として、置換または非置換のピレンは、非置換のピレン、1つの置換基で置換されたピレン、または2つの置換基で置換されたピレンでありうる。
【0066】
一例として、置換または非置換のピレンは、非置換のピレン、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されたピレン、少なくとも1つの炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたピレン、またはこれらの組み合わせでありうる。ここで、炭素数1~30のアルコキシ基は、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0067】
一例として、置換または非置換のピレンは、ピレンまたは1つもしくは2つのヒドロキシ基で置換されたピレンであり得、例えば、ピレン、1-ヒドロキシピレン、または2-ヒドロキシピレンであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0068】
一例として、前記少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒドは、互いに同一であるかまたは異なる他の2つ~5つの置換基で置換されたベンズアルデヒドであり得、例えば、2つまたは3つの置換基で置換されたベンズアルデヒドでありうる。
【0069】
一例として、前記少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒドは、少なくとも2つのヒドロキシ基で置換されたベンズアルデヒド、少なくとも2つの炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたベンズアルデヒド、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換され少なくとも1つの炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたベンズアルデヒド、またはこれらの組み合わせでありうる。例えば、前記少なくとも2つの置換基で置換されたベンズアルデヒドは、2つのヒドロキシ基で置換されたベンズアルデヒド、3つのヒドロキシ基で置換されたベンズアルデヒド、2つの炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたベンズアルデヒド、3つの炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたベンズアルデヒド、1つのヒドロキシ基で置換され1つの炭素数1~30のアルコキシ基で置換されたベンズアルデヒド、またはこれらの組み合わせでありうる。ここで、炭素数1~30のアルコキシ基は、置換もしくは非置換のメトキシ基、置換もしくは非置換のエトキシ基、置換もしくは非置換のプロポキシ基、置換もしくは非置換のブトキシ基、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0070】
一例として、前記少なくとも2個の置換基で置換されたベンズアルデヒドは、ジヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシエトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシプロポキシベンズアルデヒド、ヒドロキシブトキシベンズアルデヒド、トリヒドロキシベンズアルデヒド、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0071】
一例として、前記少なくとも2個の置換基で置換されたベンズアルデヒドは、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、または2,4,6-トリヒドロキシベンズアルデヒドであり得るが、これに限定されない。
【0072】
本発明に係る重合体は、前記化学式1で表される構造単位を1つまたは複数含み得、複数の化学式1で表される構造単位同士は、互いに同一であるかまたは異なり得る。
【0073】
本発明に係る重合体は、前記化学式1で表される構造単位を複数の繰り返し単位で含み得、繰り返し単位の個数および配列は、特に限定されない。
【0074】
本発明に係る重合体は、前述した構造単位以外の1種以上の他の構造単位をさらに含み得、その構造単位の個数および配列は、特に限定されない。
【0075】
本発明に係る重合体は、500~200,000の質量平均分子量(Mw)を有し得る。より具体的には、重合体は、1,000~100,000、1,200~50,000、または1,500~10,000の質量平均分子量を有し得る。このような範囲の質量平均分子量を有することによって、重合体の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定されうる。
【0076】
本発明のハードマスク組成物に含まれる溶媒は、重合体に対する十分な溶解性または分散性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチル、ガンマ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。
【0077】
本発明に係る重合体は、ハードマスク組成物の総質量に対して、例えば0.1~50質量%、例えば0.5~40質量%、1~30質量%、または3~20質量%で含まれ得る。このような範囲で重合体が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗度、および平坦化程度を調節することができる。
【0078】
前記ハードマスク組成物は、追加的に界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含み得る。
【0079】
前記界面活性剤は、例えばフルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4アンモニウム塩などを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0080】
架橋剤の例としては、例えばメラミン系、置換尿素系、またはこれらのポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤として、例えば、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0081】
また、架橋剤としては、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0082】
熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
上記の添加剤は、ハードマスク組成物100質量部に対して、0.001~40質量部、0.01~30質量部、または0.1~20質量部で含まれ得る。このような範囲で含むことによって、ハードマスク組成物の光学的特性を変更せず、かつ溶解度を向上させることができる。
【0084】
本発明の他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物を使用して製造された有機膜を提供する。前記有機膜は、上述したハードマスク組成物を例えば基板の上にコートした後熱処理過程により硬化した形態であり得、例えばハードマスク層、平坦化膜、犠牲膜、充填剤など電子デバイスに使われる有機薄膜を含み得る。
【0085】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0086】
一例として、前記硬化物は縮合多環芳香族炭化水素を含む。
【0087】
前記硬化物は、縮合多環芳香族炭化水素を含むことによって、エッチング工程を含む後続の工程で用いられるエッチングガスおよびエッチング液に耐えることができる、高い耐エッチング性を奏することができる。
【0088】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0089】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を形成する段階、前記材料層上に上述した重合体および溶媒を含むハードマスク組成物を適用する段階、前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、前記ハードマスク層上にフォトレジスト層を形成する段階、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階、そして前記材料層の露出した部分をエッチングする段階を含む。
【0090】
前記基板は、例えばシリコンウェハー、ガラス基板または高分子基板でありうる。
【0091】
前記材料層は、最終的にパターニングしようとする材料であり、例えばアルミニウム、銅などのような金属層、シリコンのような半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁層でありうる。前記材料層は、例えば化学蒸着方法で形成され得る。
【0092】
前記ハードマスク組成物は、前述したとおりであり、溶液形態で製造されて、例えばスピンオンコーティング方法で塗布され得る。この際、ハードマスク組成物の塗布厚さは、特に限定されないが、例えば、50Å~200,000Åの厚さで塗布され得る。
【0093】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100~700℃で10秒~1時間の間行われ得る。
【0094】
一例として、前記ハードマスク層上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含み得る。前記シリコン含有薄膜層は、例えばSiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0095】
一例として、前記フォトレジスト層を形成する段階の前に、前記シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に底反射防止層(bottom anti-reflective coating,BARC)をさらに形成することもできる。
【0096】
前記フォトレジスト層を露光する段階は、例えばArF、KrF、またはEUVなどを使用して行い得る。また、露光後、100~700℃で熱処理する工程を行い得る。
【0097】
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用して乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えばN/O、CHF、CF、Cl、BCl、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0098】
前記エッチングされた材料層は、複数のパターンに形成され得る。前記複数のパターンは金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様であり得、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンに適用することができる。
【実施例
【0099】
以下、実施例により上述した実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0100】
重合体の合成
(合成例1)
250mlフラスコに1-ヒドロキシピレン(21.8g、0.1mol)、および3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)を入れ、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.57g、0.03mmol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 100gに溶かした溶液を入れた。90℃で攪拌しながら重合反応を行って、質量平均分子量(Mw)が2,000~2,500となったところで反応を終了させた。重合反応終了後、常温まで冷却させ、反応物を蒸留水300gおよびメタノール300gに入れて強く攪拌した後静置した。上澄液を除去した後、沈殿物をPGMEA 100gに溶かし、メタノール300gおよび蒸留水300gを入れて強く攪拌して静置した(1次工程)。再び上澄液を除去して沈殿物をPGMEA 80gに溶かした(2次工程)。1回の1次工程の後、1回の2次工程を行うことを1回の精製工程といい、この精製工程を合計3回実施した。3回の精製工程後、重合体をPGMEA 80gに溶かし、減圧濃縮して残留するメタノールおよび蒸留水を除去し、下記化学式1aで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,455)。
【0101】
【化5】
【0102】
(合成例2)
3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)の代わりに、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(15.2g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式1bで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,785)。
【0103】
【化6】
【0104】
(合成例3)
3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)の代わりに、2,4,6-トリヒドロキシベンズアルデヒド(15.4g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式1cで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,127)。
【0105】
【化7】
【0106】
(合成例4)
1-ヒドロキシピレン(21.8g、0.1mol)の代わりにピレン(20.2g、0.1mol)を使用し、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)の代わりに2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式1dで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,086)。
【0107】
【化8】
【0108】
(比較合成例1)
3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)の代わりに、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(12.2g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Aで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,120)。
【0109】
【化9】
【0110】
(比較合成例2)
1-ヒドロキシピレン(21.8g、0.1mol)の代わりにピレン(20.2g、0.1mol)を使用し、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)の代わりに4-ヒドロキシベンズアルデヒド(12.2g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Bで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,490)。
【0111】
【化10】
【0112】
(比較合成例3)
1-ヒドロキシピレン(21.8g、0.1mol)の代わりにピレン(20.2g、0.1mol)を使用し、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)の代わりにベンズアルデヒド(10.6g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Cで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,008)。
【0113】
【化11】
【0114】
(比較合成例4)
1-ヒドロキシピレン(21.8g、0.1mol)の代わりに1-ナフトール(14.4g、0.1mol)を使用し、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(13.8g、0.1mol)の代わりにベンズアルデヒド(10.6g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Dで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,011)。
【0115】
【化12】
【0116】
(比較合成例5)
1-ヒドロキシピレン(21.8g、0.1mol)の代わりに4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール(35.0g、0.1mol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式Eで表される構造単位(繰り返し単位)を含む重合体を製造した(Mw:2,472)。
【0117】
【化13】
【0118】
評価1.溶解度の評価
合成例1~4、および比較合成例1~5で得られたそれぞれの重合体を、それぞれ5.0gずつ計量してPGMEA 45gに均一に溶かして10質量%溶液を製造した。その後、0.1μmテフロンフィルタで濾過した。濾過したサンプルを、質量が既知であるAl皿に小分けして、溶液の初期質量を測定した。引き続き160℃オーブンで20分間溶媒を乾燥させた後、質量を再び測定した。
【0119】
乾燥前後の質量差から、下記式1によって溶液の固形分含有量を算出した。結果を下記表1に示す。
【0120】
【数1】
【0121】
【表1】
【0122】
表1から明らかなように、合成例1~4による重合体は、比較合成例1~5による重合体と比較して、向上するか等しい水準の溶解度を有することを確認することができる。
【0123】
ハードマスク組成物の形成
合成例1~4、および比較合成例1~5で得られたそれぞれの重合体を、それぞれ1.2gずつ計量してPGMEA 18gに均一に溶かした。その後、0.1μmテフロンフィルタで濾過し、実施例1~4および比較例1~5のハードマスク組成物を製造した。
【0124】
評価2.耐エッチング性の評価 実施例1~4、および比較例1~5によるハードマスク組成物を、それぞれシリコンウェハーにスピンコートした後、ホットプレート上で、400℃で2分間熱処理して有機膜を形成した。
【0125】
得られた有機膜の厚さを、K-MAC社製のST5000膜厚測定機で測定し、引き続き、有機膜にN/O混合ガス(50mT/300W/10O/50N)を使用して、それぞれ1分間乾式エッチングした後の有機膜の厚さを再び測定した。
【0126】
乾式エッチング前後の有機膜の厚さの差とエッチング時間から、下記式2によってエッチング率(bulk etch rate、BER)を算出した。
【0127】
【数2】
【0128】
結果を下記表2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
表2を参照すると、実施例1~4によるハードマスク組成物で製造した有機膜は、比較例1~5によるハードマスク組成物で製造した有機膜と比較して、エッチングガスに対する十分な耐エッチング性があり、耐エッチング性が向上することを確認することができる。
【0131】
評価3.膜密度
実施例1~4、および比較例1~5によるハードマスク組成物をそれぞれシリコンウェハーの上にスピン-コートした後、加熱板(hot plate)の上で約400℃で約2分間熱処理して約1,000Å厚さの有機膜を形成した。
【0132】
形成された有機膜の膜密度をX線回折分析装置(PANalytical社製)で測定した。
【0133】
結果を下記表3に示す。
【0134】
【表3】
【0135】
表3を参照すると、実施例1~4によるハードマスク組成物から形成された有機膜は、比較例1~5によるハードマスク組成物から形成された有機膜と比較して、膜密度が向上することを確認することができる。
【0136】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も、本発明の権利範囲に属する。