(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】脳のアトラス作成装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220511BHJP
【FI】
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2020547961
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2019022055
(87)【国際公開番号】W WO2020066133
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2018184407
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 拓矢
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-044299(JP,A)
【文献】特開2017-051599(JP,A)
【文献】「大脳皮質のおはなしcerebral Cortex」,[オンライン],2018年09月23日,インターネット:<http://www.akira3132.info/cerebral_cotex.html> (<https://web.archive.org/web/20180923004618/http://www.akira3132.info/cerebral_cotex.html>)
【文献】「脳画像の利用の仕方FOR PT,OT,ST」,[オンライン],2017年01月24日,インターネット:<http://tsukasaseikatsu.hatenablog.com/?page=1485306108>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された前記脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定し、かつ下位階層については上位階層の区域の各々に複数の下位区域を設定する区域設定部と、
前記区域設定部により分類された前記各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部に表示させる制御を行なう表示制御部と、
前記表示部に表示された前記脳の画像上の何れかの区域を受け付ける受付部と、
を含み、
前記表示制御部は、前記受付部により前記表示部に表示された前記脳の画像上の前記何れかの区域が受け付けられた場合に、受け付けられた前記何れかの区域の脳の画像を、前記表示部に表示された脳の画像が属する分類よりも下の下位階層の分類の脳の画像に切り替えて表示部に表示させる制御を行
い、
前記受付部は、前記脳の画像が切替えられた後の下位区域の中の何れかの下位区域を受け付け、
前記受付部により前記何れかの下位区域が受け付けられた場合に、受け付けられた前記何れかの下位区域が設定された分類が属する上位階層の分類を、隣接する区域においてのみ分類変更可能とし、前記上位階層が隣接する他の上位階層の分類に変更する分類変更部を含む脳のアトラス作成装置。
【請求項2】
前記表示制御部が、少なくとも一部の領域を下位階層の分類
で前記表示部に表示させるとともに、他の少なくとも一部の領域を前記下位階層の分類よりも上位階層の分類で前記表示部に表示させる制御を行ない、
前記分類変更部は、前記下位階層の分類において前記受付部により受け付けられた区域を、前記上位階層の分類で設定された区域上にドラッグドロップすることにより、前記受け付けられた区域における上位階層の分類を前記ドラッグドロップした区域の分類に変更する請求項
1に記載の脳のアトラス作成装置。
【請求項3】
前記表示制御部が、前記各分類毎の脳の区域の名称のリストを前記表示部にツリー状に表示させる制御を行ない、
前記分類変更部は、上記リストにおいて選択された区域の名称を、該区域が属する分類の上位階層の分類で設定された区域の名称にドラッグドロップすることにより上位階層の分類を変更する請求項
1に記載の脳のアトラス作成装置。
【請求項4】
前記表示制御部が、前記受付部により受け付けられた区域が属する分類よりも上位階層の分類の名称を前記表示部に表示させる制御を行ない、
前記分類変更部は、前記上位階層の分類の名称が変更されることにより前記受け付けられた区域の前記上位階層の分類を変更する請求項
1に記載の脳のアトラス作成装置。
【請求項5】
脳画像を取得し、
取得された前記脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定し、かつ下位階層については上位階層の区域の各々に複数の下位区域を設定して、
分類された前記各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部に表示させる制御を行い、
前記表示部に表示された前記脳の画像上の何れかの区域を受け付け、
前記表示部に表示された前記脳の画像上の前記何れかの区域が受け付けられた場合に、受け付けられた前記何れかの区域の脳の画像を、前記表示部に表示された脳の画像が属する分類よりも下の下位階層の分類の脳の画像に切り替えて表示部に表示させる制御を行
い、
前記脳の画像が切替えられた後の下位区域の中の何れかの下位区域を受け付け、
前記何れかの下位区域が受け付けられた場合に、受け付けられた前記何れかの下位区域が設定された分類が属する上位階層の分類を、隣接する区域においてのみ分類変更可能とし、前記上位階層が隣接する他の上位階層の分類に変更する脳のアトラス作成方法。
【請求項6】
脳画像を取得する手順と、
取得された前記脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定し、かつ下位階層については上位階層の区域の各々に複数の下位区域を設定する手順と、
分類された前記各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部に表示させる制御を行なう手順と、
前記表示部に表示された前記脳の画像上の何れかの区域を受け付ける手順と、
前記表示部に表示された前記脳の画像上の前記何れかの区域が受け付けられた場合に、受け付けられた前記何れかの区域の脳の画像を、前記表示部に表示された脳の画像が属する分類よりも下の下位階層の分類の脳の画像に切り替えて表示部に表示させる制御を行う手順と
、
前記脳の画像が切替えられた後の下位区域の中の何れかの下位区域を受け付け、
前記何れかの下位区域が受け付けられた場合に、受け付けられた前記何れかの下位区域が設定された分類が属する上位階層の分類を、隣接する区域においてのみ分類変更可能とし、前記上位階層が隣接する他の上位階層の分類に変更する手順とをコンピュータに実行させる脳のアトラス作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脳のアトラス作成装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)装置及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の医療機器の進歩により、より質の高い高解像度の医用画像を用いての画像診断が可能となってきている。特に、認知症疾患のバイオマーカとして、画像診断は欠かせないものとなっており、中でも詳細な脳の構造を評価できるMR(Magnetic Resonance)画像を用いての画像診断は、神経細胞脱落による脳委縮を捉えることができるので、認知症疾患の早期発見、鑑別診断、及び進行度評価等が可能である。このため、医用画像を用いた認知症疾患の画像診断を支援するための各種手法が提案されている。
【0003】
一方、アルツハイマー型認知症の画像診断においては、VSRAD(ブイエスラド;Voxel-based Specific RegionalAnalysis system for Alzheimer's Disease)というソフトウェアを使用して、健常な脳画像と比較によりアルツハイマー型認知症に特徴的に見られる海馬傍回の萎縮の程度を調べる、といった方法が取られている。また、例えば、特開2017-23457号公報においては、被検体の脳を撮像した撮像データと脳の萎縮処理を行うための画像処理上のパラメータである萎縮パラメータとを用いて、被検体の老化による萎縮を推定した萎縮した脳の推定画像を作成し、推定画像と被写体の脳画像とを比較することにより老化による脳の萎縮と病変による脳の萎縮とを評価する方法が提案されている。特表2018-505705号公報においては、医用画像を用いた脳の認知症等の診断における医師の労力を軽減するために、脳の三次元画像データに対して最小値投影法による投影処理を行うことで、脳の投影画像を生成し、投影画像を脳表の画像とともに表示する手法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記VSRADを使用する方法は、患者の個人差による変化を吸収できないこと、及び定量的でないといった問題がある。そこで、脳画像において格納区域を抽出し、同一の被験者において過去に撮影された脳画像の同一区域における体積を比較するといった手法が提案されている。脳画像における脳区域の抽出は、例えば「左脳の海馬」といった区域の最小単位(以下、小分類という)で抽出される。しかしながら、病変の状態及び医師によっては、「大脳辺縁系として他の領域もひとまとまりで、すなわち小分類の上位階層である中分類及び大分類等で脳の萎縮を観察したい」といった要望及び「解剖学的分類ではなく、機能的分類でひとまとまりにして脳の萎縮を観察したい」といった要望がある。また、脳区域の定義は文献により異なることがあるため、脳区域の定義を一意に設定することは困難である。
【0005】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、任意の脳区域を可視化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の脳のアトラス作成装置は、脳画像を取得する画像取得部と、
画像取得部により取得された脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定する区域設定部と、
区域設定部により分類された各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部に表示させる制御を行なう表示制御部と、
を含む。
【0007】
なお、本開示の脳のアトラス作成装置においては、各分類毎に、区域設定部により設定された区域を受け付ける受付部をさらに含み、
表示制御部は、受付部により受け付けられた区域を、この区域が属する分類よりも下位階層の分類の脳の画像に切り替えて表示部に表示させる制御を行なうことができる。
【0008】
また、本開示の脳のアトラス作成装置においては、各分類毎に、区域設定部により設定された区域を受け付ける受付部と、
受付部により受け付けられた区域において、この区域が属する分類の上位階層の分類を変更する分類変更部と、
をさらに含むことができる。
【0009】
また、本開示の脳のアトラス作成装置においては、表示制御部は、受付部により受け付けられた区域を、この区域が属する分類よりも下位階層の分類の脳の画像に切り替えて表示部に表示させる制御を行なうことができる。
【0010】
また、本開示の脳のアトラス作成装置においては、表示制御部が、少なくとも一部の領域を下位階層の分類、少なくとも一部の領域を下位階層の分類よりも上位階層の分類で表示部に表示させる制御を行ない、
分類変更部は、下位階層の分類において受付部により受け付けられた区域を、上位階層の分類で設定された区域上にドラッグドロップすることにより、受け付けられた区域における上位階層の分類をドラッグドロップした区域の分類に変更することができる。
【0011】
また、本開示の脳のアトラス作成装置においては、表示制御部が、各分類毎の脳の区域の名称のリストを表示部にツリー状に表示させる制御を行ない、
分類変更部は、リストにおいて選択された区域の名称を、この区域が属する分類の上位階層の分類で設定された区域の名称にドラッグドロップすることにより上位階層の分類を変更することができる。
【0012】
また、本開示の脳のアトラス作成装置においては、表示制御部が、受付部により受け付けられた区域が属する分類よりも上位階層の分類の名称を表示部に表示させる制御を行ない、
分類変更部は、上位階層の分類の名称が変更されることにより受け付けられた区域の上位階層の分類を変更することができる。
【0013】
また、本開示の脳のアトラス作成装置においては、分類変更部は、隣接する区域においてのみ分類変更可能とすることができる。
【0014】
本開示による脳のアトラス作成方法は、脳画像を取得し、
取得された脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定し、
分類された各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部に表示させる制御を行なう。
【0015】
なお、本開示による脳のアトラス作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【0016】
本開示による他の脳のアトラス作成装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、
記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、
脳画像を取得し、
取得された脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定し、
分類された各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部に表示させる制御を行なう処理を実行する。
【発明の効果】
【0017】
本開示の脳のアトラス作成装置、方法及びプログラムによれば、任意の脳区域を可視化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の一実施形態である脳のアトラス作成装置を適用した、診断支援システムの概要を示すハードウェア構成図
【
図2】本開示の第1の実施形態である脳のアトラス作成装置の構成を示す概略ブロック図
【
図3】大分類の脳のアトラス画像の表示の一例を示す図
【
図4】中分類の脳のアトラス画像の表示の一例を示す図
【
図5】小分類の脳のアトラス画像の表示の一例を示す図
【
図6】本開示の第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【
図7】本開示の第2の実施形態である脳のアトラス作成装置の構成を示す概略ブロック図
【
図8】脳のアトラス表示の切り替えを説明するための図
【
図10】本開示の第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【
図11】本開示の第3の実施形態である脳のアトラス作成装置の構成を示す概略ブロック図
【
図12】脳のアトラス画像表示における分類変更の操作を説明するための図
【
図13】脳区域リストにおける分類変更の操作を説明するための図
【
図14】脳区域リストにおける分類変更の操作を説明するための図
【
図15】脳区域リストにおける分類変更の操作を説明するための図
【
図16】脳区域リストにおける分類変更の操作を説明するための図
【
図17】本開示の第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本開示の第1の実施形態について説明する。
図1は、本開示の一実施形態である脳のアトラス作成装置を適用した、診断支援システムの概要を示すハードウェア構成図である。
図1に示すように、診断支援システムでは、本実施形態による脳のアトラス作成装置1、3次元画像撮影装置2、及び画像保管サーバ3が、ネットワーク4を経由して通信可能な状態で接続されている。
【0020】
3次元画像撮影装置2は、被検体の診断対象となる部位を撮影することにより、その部位を表す3次元画像を生成する装置であり、具体的には、CT装置、MRI装置、及びPET(Positron Emission Tomography)装置等である。この3次元画像撮影装置2により生成された医用画像は画像保管サーバ3に送信され、保存される。なお、本実施形態においては、被検体である患者の診断対象部位は脳である。
【0021】
画像保管サーバ3は、各種データを保存して管理するコンピュータであり、大容量外部記憶装置及びデータベース管理用ソフトウェアを備えている。画像保管サーバ3は、有線あるいは無線のネットワーク4を介して他の装置と通信を行い、画像データ等を送受信する。具体的には3次元画像撮影装置2で生成された3次元画像の画像データを含む各種データをネットワーク経由で取得し、大容量外部記憶装置等の記録媒体に保存して管理する。なお、画像データの格納形式及びネットワーク4経由での各装置間の通信は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等のプロトコルに基づいている。なお、本実施形態においては、画像保管サーバ3には、頭部の3次元画像が保管されている。
【0022】
脳のアトラス作成装置1は、1台のコンピュータに、本開示の脳のアトラス作成プログラムをインストールしたものである。コンピュータは、診断を行う医師が直接操作するワークステーション又はパーソナルコンピュータでもよいし、それらとネットワークを介して接続されたサーバコンピュータでもよい。脳のアトラス作成プログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。又は、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、もしくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて医師が使用するコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。
【0023】
図2は、コンピュータに脳のアトラス作成プログラムをインストールすることにより実現される本開示の第1の実施形態である脳のアトラス作成装置の概略構成を示す図である。
図2に示すように、脳のアトラス作成装置1は、標準的なワークステーションの構成として、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12及びストレージ13を備えている。また、脳のアトラス作成装置1には、液晶ディスプレイ等からなる表示部14、並びにキーボード及びマウス等からなる入力部15が接続されている。入力部15は、ユーザによる種々の設定入力を受け付ける。なお、タッチパネルを用いることによって表示部14と入力部15とを兼用するようにしてもよい。
【0024】
ストレージ13は、ハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)等からなる。ストレージ13には、ネットワーク4を経由して画像保管サーバ3から取得した、被検体の医用画像、並びに処理に必要な情報を含む各種情報が記憶されている。
【0025】
また、メモリ12には、脳のアトラス作成プログラムが記憶されている。脳のアトラス作成プログラムは、CPU11に実行させる処理として、脳画像を取得する画像取得処理と、取得された脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定する区域設定処理と、分類された各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部に表示させる制御を行なう表示制御処理を規定する。
【0026】
そして、CPU11がプログラムに従いこれらの処理を実行することで、コンピュータは、画像取得部21、区域設定部22、及び表示制御部23として機能する。
【0027】
画像取得部21は、脳画像を取得する。ここで、脳画像は、3次元画像撮影装置2で生成された被検体の脳の3次元画像の他に、標準脳画像も含む。標準脳画像は任意の被検体に対して過去に撮影されている頭部CT画像、頭部MR画像、及び頭部PET画像等を用いて作成することができる。具体的には、画像取得部21が画像保管サーバ3から複数の被検体の頭部CT画像、頭部MR画像、及び頭部PET画像の少なくとも1つの3次元画像を取得し、これらの3次元画像の平均を標準脳画像として取得する。
【0028】
なお、第1の実施形態においては、画像取得部21は標準脳画像を上記のように取得したが、本開示の技術はこれに限られない。画像取得部21は、例えば、被検体の脳の画像に類似させて生成されたCG(Computer Graphics)画像を標準脳画像として外部の保管部から取得してもよい。また、タライラッハの標準脳アトラス、モントリオール・ニューロロジカル・インスティチュートにおいて開発されたMNI(Montreal Neurological Institute)テンプレート、及びHBA(Human Brain Atlas)等の脳3次元MR画像を基に作成された3次元画像を、標準脳画像として外部の保管部から取得してもよい。
【0029】
また、画像取得部21は、3次元画像撮影装置2で生成された被検体の脳画像を画像保管サーバ3から取得する。なお、脳画像が既にストレージ13に記憶されている場合には、画像取得部21は、ストレージ13から脳画像を取得するようにしてもよい。
【0030】
区域設定部22は、画像取得部21により取得された脳画像における脳の領域を、上位階層である大分類から下位階層である小分類の間で複数の階層に分類し、各分類毎に脳の区域を設定する。なお、脳の区域は、脳の解剖学的な意味に従って設定する。本実施形態においては具体的に、大分類として、大脳皮質、大脳髄質、大脳基底核、小脳、間脳、脳室、脳幹、血管の8つの区域を設定する。中分類として上記大分類の4つの区域において各々複数の区域を設定する。例えば、大脳皮質には前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉、大脳辺縁系、その他の6つの区域を設定する。
【0031】
また、小分類として上記中分類の各々の区域において、各々複数の区域を設定する。例えば、前頭葉には、上前頭回、吻側中前頭、尾側中前頭回、弁蓋部、三角部、眼窩部、外側眼窩前頭皮質、内側眼窩前頭皮質、前頭極、中心前回、中心傍回の11の区域を設定する。
【0032】
なお、区域設定部22による脳の領域における区域の設定方法は上記に限られない。例えば、最大分類はなくてもよい。また中分類をさらに複数の階層に分類してもよい。この場合、一例として、上位階層から順に、上中分類、中分類、下中分類の階層に分類する。なお階層の数については、3つ、4つ、及び5つに限られず、2つ以上の階層を有していればいくつの階層があっても構わない。
【0033】
以上のようにして区域設定部22に設定された各分類毎の脳の区域は、各区域の名称、各区域の座標値、及び各区域の体積値を含む区域情報としてストレージ13に保存される。
【0034】
なお、本実施形態において区域設定部22は上記のようにして脳の区域を設定したが、本開示の技術はこれに限られず、公知の解剖学的構造により区別した解剖学的領域、細胞構築学的に区別したブロドマン領域(Brodmann's Area)、動脈支配領域、及び脳神経の分類に従って区別した神経分布領域等によって脳の区域を設定してもよい。
【0035】
表示制御部23は、分類された各分類毎の脳の画像を切り替えて表示部14に表示させる制御を行なう。
図3は大分類の脳のアトラス画像Aの表示の一例を示す図、
図4は中分類の脳のアトラス画像Bの表示の一例を示す図、
図5は小分類の脳のアトラス画像Cの表示の一例を示す図である。ここで、脳のアトラス画像は、脳画像において脳の領域における区域が設定された画像を意味する。なお、
図3から
図5においては、脳のアトラス画像の一例として、脳の断面画像が表示されている。また、
図3から
図5において、異なる表示態様は各々異なる区域を表す。
【0036】
表示制御部23は、ユーザが入力部15を操作することにより、脳の画像の切り替え指示を受け付けた場合に、例えば、
図3に示す大分類の脳のアトラス画像A、
図4に示す中分類の脳のアトラス画像B、及び
図5に示す小分類の脳のアトラス画像Cを切り替えて表示部14に表示させる。
【0037】
なお、表示制御部23は、初期設定として
図3に示す大分類の脳のアトラス画像Aを表示部14に表示させる。そして、
図3に示す大分類の脳のアトラス画像A上において、一例として、ユーザが入力部15としてのマウスをクリック操作することにより、表示制御部23は、
図4に示す中分類の脳のアトラス画像Bを表示部14に表示させる。同様にして、
図4に示す中分類の脳のアトラス画像B上において、一例として、ユーザが入力部15としてのマウスをクリック操作することにより、表示制御部23は、
図5に示す小分類の脳のアトラス画像Cを表示部14に表示させる。また、
図5に示す小分類の脳のアトラス画像C上において、一例として、ユーザが入力部15としてのマウスをクリック操作することにより、表示制御部23は、
図3に示す大分類の脳のアトラス画像Aを表示部14に表示させる。なお、ユーザにより上記クリック操作がなされた場合の脳のアトラス画像の切り替え順序は上記に限られず、適宜変更することができる。
【0038】
第1の実施形態において、表示制御部23は、
図3から
図5の何れかの分類の脳のアトラス画像と同一の表示部14の画面上に、表示された脳のアトラス画像の分類における各区域の名称、各区域の座標値、及び各区域の体積値等の区域情報の一覧を表示させてもよい。
【0039】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。
図6は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず、画像取得部21が、脳画像を取得する(ステップST1)。次に、区域設定部22が、画像取得部21が取得した脳画像において、脳区域を設定する(ステップST2)。ここで、区域設定部22は予めストレージ13に保存されている各分類毎の脳の区域情報を取得し、この区域情報に基づいて、脳区域を設定する。
【0040】
次に、表示制御部23は、区域設定部22によって脳区域が設定された脳のアトラス画像を表示部14に表示させる(ステップST3)。そして、表示制御部23は、ユーザが入力部15を操作することによる切り替え指示が有るか否かを判別する(ステップST4)。切り替え指示が有る場合には(ステップST4;YES)、表示制御部23は、上述したようにして、脳のアトラス画像を切り替えて表示部14に表示させる(ステップST5)。
【0041】
一方、ステップST4において、切り替え指示がない場合には(ステップST4;NO)、表示制御部23は、表示部14への脳のアトラス画像の表示を継続したまま、一連の処理を終了する。このようにして、第1の実施形態における一連の処理が行われる。
【0042】
上記第1の実施形態によれば、任意の脳区域を可視化することができる。これにより、ユーザは、脳画像において観察したい領域が含まれる脳区域を、例えば大分類、中分類、及び小分類のうちの所望する分類で確認することができる。従って、例えば標準脳画像及び観察すべき脳画像の両方において、本開示の技術を適用することにより、表示された脳区域において標準脳画像に対する観察すべき脳画像の委縮率の計測を行う場合、ユーザが所望する分類で設定された脳区域が可視化できるので、ユーザが観察したい領域の解析情報を直感的に把握することができる。また、例えば観察すべき脳画像と、この脳画像と同一の被検体において過去に取得された脳画像との両方において、本開示の技術を適用することにより、表示された脳区域において過去の脳画像に対する観察すべき脳画像の委縮率の計測を行う場合に、ユーザが所望する分類で設定された脳区域が可視化できるので、ユーザが観察したい領域の解析情報を直感的に把握することができる。
【0043】
なお、標準脳画像及び観察すべき脳画像、並びに観察すべき脳画像及びこの脳画像と同一の被検体において過去に取得された脳画像は、それぞれ同一の表示部14に表示させてもよい。これにより、ユーザが観察したい領域をより把握し易くなる。
【0044】
次に、図面を参照して本開示の第2の実施形態について説明する。
図7は本開示の第2の実施形態である脳のアトラス作成装置の概略構成を示す図である。なお、第2の実施形態の脳のアトラス作成装置は、上記第1の実施形態の脳のアトラス作成装置と概略同様の構成であるため、同じ構成については同じ符号を付与して説明は省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0045】
第2の実施形態の脳のアトラス作成装置1-2は、
図7に示すように、上記第1の実施形態の脳のアトラス作成装置1の構成に、さらに受付部24を備えている。
【0046】
受付部24は、各分類毎に、区域設定部22により設定された区域を受け付ける。具体的には、ユーザが入力部15としてのマウスを脳のアトラス画像上でクリックした場合に、クリックした位置が含まれる区域を受け付ける。なお、受付部24は、マウスのクリックに限られず、例えば表示部14が、入力部15が兼用されたタッチパネルである場合には、受付部24は、ユーザによって直接選択された区域を受け付けてもよい。
【0047】
第2の実施形態の表示制御部23-2は、受付部24により受け付けられた区域を、この区域が属する分類よりも下位階層の分類の脳の画像に切り替えて表示部14に表示させる制御を行なう。
図8は脳のアトラス表示の切り替えを説明するための図である。
【0048】
表示制御部23-2は、
図8に示すように、例えば左図に示すように大分類の脳のアトラス画像Aにおいて、ユーザによる入力部15の操作により大脳皮質の区域A1がクリックされた場合、真ん中の図に示すように、クリックされた大脳皮質の区域A1の領域を中分類の脳のアトラス画像に切り替えて表示する。この場合、表示制御部23-2は、大脳皮質の区域A1以外の脳の領域を全て灰色で表示させる。なお、表示される色は灰色に限られず、例えば黒色及び白色であってもよいし、大脳皮質の区域A1と異なる表示態様であれば何れの表示態様であってもよい。また、大脳皮質の区域A1以外の脳の領域の表示は変更させなくてもよい。
【0049】
さらに、表示制御部23-2は、
図8の真ん中の図に示すように、大脳皮質の区域A1内において表示された中分類の脳のアトラス画像において、ユーザによる入力部15の操作により前頭葉の区域B1がクリックされた場合、右図に示すように、クリックされた前頭葉の区域B1の領域を小分類の脳のアトラス画像に切り替えて表示する。この場合にも、上記と同様に表示制御部23-2は、前頭葉の区域B1以外の脳の領域を全て灰色で表示させてもよい。
【0050】
第2の実施形態において、表示制御部23-2は、脳のアトラス画像と同一の表示部14の画面上に、表示された脳のアトラス画像の分類における各区域の名称、各区域の座標値、及び各区域の体積値等の区域情報の一覧を表示させてもよい。
図9は脳区域リストの一例を示す図である。
【0051】
表示制御部23-2は、
図9に示すように、脳区域リスト31として、脳区域の名称32及びこの名称の脳区域が表示されているか否かを示すステータス33の情報の一覧を表示させる。なお、
図9は
図8の右図が表示部14に表示されている場合、すなわち前頭葉の区域B1の領域が小分類の脳のアトラス画像で表示されている場合の脳区域リスト31の一例である。
【0052】
従って、
図9に示すように、脳区域の名称は、前頭葉が属する大分類である大脳皮質34、前頭葉35、及び前頭葉の区域B1の領域において設定された区域の名称である上前前回(左)36a、上前前回(右)36b、中前前回(左)36c、及び中前前回(右)36dが表示され、これらの名称のステータスは「表示中」と表示される。なお、脳区域リスト31において脳区域の名称が表示部14において全てを表示できない場合には、例えば
図9に示すように、スクロールバー31aを表示させ、ユーザによる入力部15の操作によってスクロールバー31aにおいてノブ31bを移動させることにより、表示領域を移動可能にする。また、表示制御部23-2は、受付部24が受け付けた区域の名称を脳区域リスト31においてハイライト表示させる。
【0053】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。
図10は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、
図10のフローチャートのステップST11からステップST13は、
図6のフローチャートのステップST1からステップST3と同様の処理であるため、便宜上、ここでの説明は省略する。
【0054】
ステップST14において、受付部24は、区域の受け付けが有るか否かを判別する(ステップST14)。区域の受け付けが有る場合には(ステップST14;YES)、表示制御部23は、上述したようにして、受付部24により受け付けられた区域の分類を切り替えて表示する(ステップST15)。すなわち、表示制御部23は、受付部24により受け付けられた区域が属する分類よりも下位階層の分類の脳のアトラス画像を切り替えて表示部14に表示させる。
【0055】
一方、ステップST4において、区域の受け付けがない場合には(ステップST14;NO)、表示制御部23は、分類を切り替えることなく、表示部14への脳のアトラス画像の表示を継続したまま、一連の処理を終了する。このようにして、第2の実施形態における一連の処理が行われる。
【0056】
上記第2の実施形態によれば、任意の脳区域を可視化することができる。これにより、ユーザは、脳画像において観察したい領域が含まれる脳区域のみを、例えば大分類、中分類、及び小分類のうちの所望する分類で確認することができる。従って、例えば標準脳画像及び観察すべき脳画像の両方において、本開示の技術を適用することにより、表示された脳区域において標準脳画像に対する観察すべき脳画像の委縮率の計測を行う場合、ユーザが所望する分類で設定された脳区域が可視化できるので、ユーザが観察したい領域の解析情報を直感的に把握することができる。また、例えば観察すべき脳画像と、この脳画像と同一の被検体において過去に取得された脳画像との両方において、本開示の技術を適用することにより、表示された脳区域において過去の脳画像に対する観察すべき脳画像の委縮率の計測を行う場合に、ユーザが所望する分類で設定された脳区域が可視化できるので、ユーザが観察したい領域の解析情報を直感的に把握することができる。
【0057】
次に、図面を参照して本開示の第3の実施形態について説明する。
図11は本開示の第3の実施形態である脳のアトラス作成装置の概略構成を示す図である。なお、第3の実施形態の脳のアトラス作成装置は、上記第2の実施形態の脳のアトラス作成装置と概略同様の構成であるため、同じ構成については同じ符号を付与して説明は省略し、異なる箇所についてのみ詳細に説明する。
【0058】
第3の実施形態の脳のアトラス作成装置1-3は、
図11に示すように、上記第2の実施形態の脳のアトラス作成装置1-2の構成にさらに分類変更部25を備えている。
【0059】
分類変更部25は、受付部24により受け付けられた区域において、この区域が属する分類の上位階層の分類を変更する。
図12は脳のアトラス画像表示における分類変更の操作を説明するための図である。
【0060】
表示制御部23-3が、
図12の左図に示すように、前頭葉の区域B1の領域が小分類の脳のアトラス画像で表示させている状態で、ユーザが入力部15としてのマウスを操作することにより中心前回の区域C1をドラッグすると、受付部24が中心前回の区域C1を受け付け、表示制御部23-3は、
図12の真ん中の図に示すように、中分類の脳のアトラス画像を表示させる。
【0061】
ユーザが入力部15としてのマウスを操作することにより中心前回の区域C1を、例えば中分類で設定された頭頂葉の区域B2上にドラッグドロップすると、分類変更部25は、中心前回の区域C1の中分類における分類を前頭葉の区域B1から頭頂葉の区域B2に変更する。
【0062】
なお、表示制御部23-3は、中心前回の区域C1がドラッグされている場合に、マウスがスクロールされると、表示部14に表示されている断面とは異なる断面の脳のアトラス画像を表示させる。
【0063】
表示制御部23-3は、
図12の右図に示すように、脳のアトラス画像において中心前回の区域C1の領域を頭頂葉の区域B2に結合して表示させる。すなわち、前頭葉の区域B1の領域の一部であった中心前回の区域C1の領域を、頭頂葉の区域B2の一部として表示させる。なお、表示制御部23-3は、脳区域リスト31においても、中心前回の区域C1の上位階層の分類、すなわち中分類を、前頭葉の区域B1から頭頂葉の区域B2に変更して表示させる。
【0064】
なお、分類変更部25による分類の変更方法は上記に限られない。
図13は脳区域リストにおけるドラッグドロップを説明するための図である。
図13に示すように、表示制御部23-3により表示部14に表示された脳区域リスト31において、ユーザが入力部15としてのマウスを操作することにより脳区域の名称として例えば中心前回を、例えば中分類で設定された脳区域の名称である頭頂葉の上にドラッグドロップする。すると、分類変更部25は中心前回の中分類における分類を前頭葉から頭頂葉に変更する。表示制御部23-3は、前頭葉の下位階層に表示されていた中心前回の名称を削除して、新たに中心前回の名称を頭頂葉の下位階層に追加して表示させる。このようにして、分類を変更させてもよい。
【0065】
さらに、分類変更部25による分類の変更方法の他の方法について説明する。
図14は脳区域リストにおける分類の変更方法を説明するための図である。
図14に示すように、表示制御部23-3により表示部14に表示された脳区域リスト31において、ユーザが入力部15としてのマウスを操作することにより脳区域の名称として例えば上前頭回(左)を選択すると、受付部24は上前頭回の区域を受け付ける。表示制御部23-3は、上前頭回の区域が属する分類よりも上位階層の分類、すなわち中分類の名称を表示部14に表示された脳区域リスト31に表示させる。なお、表示制御部23-3は、受付部24が受け付けた区域である上前頭回の名称を、
図14に示すようにハイライト表示する。
【0066】
そして、ユーザによって上前頭回の中分類における分類の名称を前頭葉から頭頂葉に変更されると、分類変更部25は、上前頭回の中分類における分類を前頭葉から頭頂葉に変更する。表示制御部23-3は、前頭葉の下位階層に表示されていた上前頭回の名称を削除して、新たに上前頭回の名称を頭頂葉の下位階層に追加して表示させる。このようにして、分類を変更させてもよい。
【0067】
なお、上述した分類変更部25による分類の変更方法は上記に限られない。
図15は脳区域リストにおける分類変更の操作を説明するための図である。例えば、表示制御部23-3が、受付部24が受け付けた区域の名称をハイライト表示し、ハイライトされている区域の上位階層の分類を変更するための、
図15に示す編集メニュー40を表示させる。編集メニュー40は、上記ハイライトされている区域の上位階層の分類の区域の名称及びラベルの種類40aが表示されている。そして、ユーザが区域の名称及びラベルの種類40aを変更し、さらに「OK」40bをクリックすることにより、分類変更部25が変更された区域の名称及びラベルの種類40aの分類に分類を変更するようにしてもよい。なお、区域の名称及びラベルの種類40aを変更後に、分類の変更を中止したい場合には、ユーザは「キャンセル」40cをクリックすればよい。
【0068】
図16は脳区域リストにおける分類変更の操作を説明するための図である。脳区域リスト31上において、例えば中分類の区域の名称付近においてユーザが入力部15としてのマウスを右クリックすると、表示制御部23-3が脳区域リスト31上に「移動」41の項目を有する新たなメニューを表示させる。ユーザが「移動」41を選択すると、表示制御部23-3は、さらにメニューの中に大分類の一覧41a~41dを表示させる。ユーザが大分類の一覧41a~41dから所望する分類をクリックすると、分類変更部25は受付部24が受け付けた中分類の区域における大分類を、クリックされた大分類の区域に変更するようにしてもよい。
【0069】
次いで、第3の実施形態において行われる処理について説明する。
図15は第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、
図15のフローチャートのステップST21からステップST25は、
図10のフローチャートのステップST11からステップST15と同様の処理であるため、便宜上、ここでの説明は省略する。
【0070】
図15に示すように、分類変更部25が上述のようにして分類変更を行い(ステップST26)、次いで表示制御部23-3が上述のようにして、分類の変更が反映された脳のアトラス画像及び脳区域リスト31を表示部14に再表示させ(ステップST27)、一連の処理を終了する。このようにして、第3の実施形態における一連の処理が行われる。
【0071】
上記第3の実施形態によれば、脳区域の分類を任意に変更することができる。これにより、ユーザの所望するように設定された脳区域の分類を可視化することができる。また、被検体によって脳の各区域の形状が異なるため、ある部位において解析を行いたいといった場合に、観察対象となる脳画像の分類は必ずしもユーザが所望する区域で設定されているとは限らない。上記第3の実施形態によれば、ユーザが所望するように脳の区域を設定することができるので、解析結果に基づく脳の画像診断の信頼性を向上させることができる。
【0072】
なお、上述した実施形態において、分類変更部は、隣接する区域においてのみ分類変更可能としてもよい。この場合、同一の分類に属する領域が点在するのを防ぐことができる。
【0073】
また、上述した実施形態において、例えば、画像取得部21、区域設定部22、及び表示制御部23といった各種の処理を実行する処理部(Processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0074】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0075】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0076】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0077】
2018年9月28日に出願された日本出願特願2018-184407の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。