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▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧

特許7072547冷却装置および冷却装置を用いた冷却システム
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  • 特許-冷却装置および冷却装置を用いた冷却システム 図1
  • 特許-冷却装置および冷却装置を用いた冷却システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】冷却装置および冷却装置を用いた冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/04 20060101AFI20220513BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
F28D15/04 J
F28D15/02 M
F28D15/02 101B
F28D15/02 102A
F28D15/04 C
F28D15/04 E
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019164963
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021042896
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義勝
(72)【発明者】
【氏名】中村 良則
(72)【発明者】
【氏名】川端 秀明
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0105122(US,A1)
【文献】中国実用新案第206247927(CN,U)
【文献】特開2015-197245(JP,A)
【文献】特許第6606303(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/093028(WO,A1)
【文献】特開2012-247166(JP,A)
【文献】国際公開第2016/151805(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/04
F28D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナの内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナの内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する複数の凝縮管と、複数の前記凝縮管の外面に設けられた多孔質部材と、を備え、
前記凝縮管のそれぞれに、それぞれの前記多孔質部材が設けられた冷却装置。
【請求項2】
前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部が形成されている請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記多孔質部材が、前記凝縮管の外面のうち、前記凝縮管の幅方向の断面において重力方向に対して直交方向の中心線よりも重力方向下方側に設けられている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記多孔質部材が、前記コンテナの内部に貯留した液相の前記一次冷媒の液面に対向した前記凝縮管の底部に設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記多孔質部材が、重力方向に沿って延出した延出部を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記多孔質部材が、シート状部材である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記多孔質部材が、金属メッシュである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記多孔質部材が、前記凝縮管の外面に接している請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記多孔質部材が、前記凝縮管の長手方向に沿って延在している請求項1乃至8のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記凝縮管外面表面積増大部が、複数のフィンである請求項2に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記凝縮管の内面に、前記二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されている請求項1乃至10のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記多孔質部材が設けられた複数の前記凝縮管が、並列配置されている請求項1乃至11のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項13】
前記多孔質部材が設けられた複数の前記凝縮管が、積層配置されている請求項1乃至12のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項14】
前記凝縮管に、前記二次冷媒が貯留される二次冷媒貯留ブロックが、さらに設けられ、前記二次冷媒貯留ブロックが、前記コンテナと熱的に接続されている請求項1乃至13のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項15】
前記コンテナの外面のうち、液相の前記一次冷媒が存在する部位または液相の前記一次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される請求項1乃至14のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項16】
前記発熱体が熱的に接続される前記コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が形成されている請求項1乃至15のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項17】
前記コンテナ内面表面積増大部が、液相の前記一次冷媒中に浸漬されている請求項16に記載の冷却装置。
【請求項18】
前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである請求項16または17に記載の冷却装置。
【請求項19】
前記コンテナ内面表面積増大部が、熱伝導性部材を有する請求項16乃至18のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項20】
前記熱伝導性部材が、金属部材または炭素部材である請求項19に記載の冷却装置。
【請求項21】
前記コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体である請求項16乃至20のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項22】
前記熱伝導性材料の焼結体が、金属焼結体であり、前記金属焼結体が、金属粉、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体及び金属箔からなる群から選択される少なくとも1種の金属材料の焼結体である請求項21に記載の冷却装置。
【請求項23】
前記粒子状の熱伝導性材料の集合体が、炭素粒子の集合体である請求項21に記載の冷却装置。
【請求項24】
前記凝縮管外面表面積増大部が、前記凝縮管と一体に形成されている請求項2に記載の冷却装置。
【請求項25】
少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナの内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナの内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する複数の凝縮管と、複数の前記凝縮管の外面に設けられた多孔質部材と、を備え、前記凝縮管のそれぞれに、それぞれの前記多孔質部材が設けられた冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記コンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記一次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品等を冷却する冷却装置に関し、特に、冷却装置内部の熱抵抗を低減できる冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化に伴い、電子機器内部には、電気・電子部品等の発熱体が高密度に搭載され、また、発熱体の発熱量が増大化されている。電気・電子部品等の発熱体の温度が所定の許容温度よりも上昇してしまうと、電気・電子部品等が誤作動等を起こす原因となるので、電気・電子部品等の発熱体の温度を許容温度以下に維持することが重要である。そこで、電気・電子部品等を許容温度以下に冷却するための冷却装置が、電子機器内部に搭載されている。
【0003】
そこで、発熱量の増大化された電気・電子部品等に対して安定して冷却する冷却装置として、取付面に発熱体が取り付けられ、前記取付面に対向する内面に液体の冷媒が接する熱伝達壁を有する液体容器部と、前記液体容器部に連なり、前記発熱体の熱によって沸騰して気体となった前記冷媒を凝縮させる凝縮部と、を備える沸騰冷却装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、凝縮部を凝縮パイプ部が貫通し、凝縮パイプ部の内部には、冷媒が流通している。
【0004】
しかし、特許文献1では、凝縮パイプ部の外面は平滑なので、沸騰して気体となった冷媒を凝縮させる際に、凝縮パイプ部の壁面を介した熱交換作用に問題があった。また、凝縮パイプ部の外面に液相へ相変化した冷媒が付着して、凝縮パイプ部の熱交換作用が阻害されてしまうという問題があった。
【0005】
一方で、凝縮パイプ部等の凝縮管の壁面を介した熱交換作用を向上させるために、凝縮管の外面の表面積を増大させることが提案されている。凝縮管の外面の表面積を増大させる手段として、例えば、凝縮管の外面に凹凸部を設けることがある。しかし、凝縮管の外面に凹凸部等にて凝縮管の外面の表面積を増大させると、液相へ相変化した冷媒がさらに付着しやすくなり、凝縮管の熱交換作用に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-150575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、凝縮管の熱交換作用を向上させることで熱抵抗が低減でき、優れた冷却特性を発揮できる冷却装置及び該冷却装置を用いた冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷却装置及び該冷却装置を用いた冷却システムの構成の要旨は、以下の通りである。
[1]少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナの内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナの内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記凝縮管の外面に設けられた多孔質部材と、を備えた冷却装置。
[2]記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面
積増大部が形成されている[1]に記載の冷却装置。
[3]前記多孔質部材が、前記凝縮管の外面のうち、前記凝縮管の幅方向の断面において重力方向に対して直交方向の中心線よりも重力方向下方側に設けられている[1]または[2]に記載の冷却装置。
[4]前記多孔質部材が、前記コンテナの内部に貯留した液相の前記一次冷媒の液面に対向した前記凝縮管の底部に設けられている[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[5]前記多孔質部材が、重力方向に沿って延出した延出部を有する[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[6]前記多孔質部材が、シート状部材である[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[7]前記多孔質部材が、金属メッシュである[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[8]前記多孔質部材が、前記凝縮管の外面に接している[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[9]前記多孔質部材が、前記凝縮管の長手方向に沿って延在している[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[10]前記凝縮管外面表面積増大部が、複数のフィンである[2]に記載の冷却装置。[11]前記凝縮管の内面に、前記二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されている[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[12]前記多孔質部材が設けられた複数の前記凝縮管が、並列配置されている[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[13]前記多孔質部材が設けられた複数の前記凝縮管が、積層配置されている[1]乃至[12]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[14]前記凝縮管に、前記二次冷媒が貯留される二次冷媒貯留ブロックが、さらに設けられ、前記二次冷媒貯留ブロックが、前記コンテナと熱的に接続されている[1]乃至[13]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[15]前記コンテナの外面のうち、液相の前記一次冷媒が存在する部位または液相の前記一次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される[1]乃至[14]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[16]前記発熱体が熱的に接続される前記コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が形成されている[1]乃至[15]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[17]前記コンテナ内面表面積増大部が、液相の前記一次冷媒中に浸漬されている[16]に記載の冷却装置。
[18]前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである[16]または[17]に記載の冷却装置。
[19]前記コンテナ内面表面積増大部が、熱伝導性部材を有する[16]乃至[18]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[20]前記熱伝導性部材が、金属部材または炭素部材である[19]に記載の冷却装置。
[21]前記コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体である[16]乃至[20]のいずれか1つに記載の冷却装置。
[22]前記熱伝導性材料の焼結体が、金属焼結体であり、前記金属焼結体が、金属粉、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体及び金属箔からなる群から選択される少なくとも1種の金属材料の焼結体である[21]に記載の冷却装置。
[23]前記粒子状の熱伝導性材料の集合体が、炭素粒子の集合体である[21]に記載の冷却装置。
[24]少なくとも1つの発熱体が熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナの内部に
封入された一次冷媒と、前記コンテナの内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記凝縮管の外面に設けられた多孔質部材と、を備えた冷却装置と、前記冷却装置から延在した前記凝縮管が接続された二次冷媒冷却部とが用いられ、前記凝縮管が前記冷却装置と前記二次冷媒冷却部とを循環する冷却システムであり、
前記発熱体と熱的に接続された前記コンテナの内部で、前記発熱体から受熱した前記一次冷媒が液相から気相へ相変化し、気相の前記一次冷媒が前記凝縮管の熱交換作用により気相から液相へ相変化することで、前記一次冷媒から前記凝縮管を流通する前記二次冷媒へ熱が伝達され、熱が伝達された前記二次冷媒が、前記凝縮管を前記二次冷媒冷却部まで流通して所定温度まで冷却され、前記二次冷媒冷却部で冷却された前記二次冷媒が前記凝縮管を流通して前記冷却装置へ還流する冷却システム。
【0009】
上記[1]の態様では、凝縮管の熱交換作用によって気相から液相へ相変化した一次冷媒が凝縮管の外面に付着するところ、凝縮管の外面に設けられた多孔質部材の毛細管力によって、凝縮管の外面に付着した液相の一次冷媒が凝縮管の外面から多孔質部材へ流通する。これにより、凝縮管の外面に液相の一次冷媒が付着することを防止できる。
【0010】
上記[3]の態様では、多孔質部材が、凝縮管の外面のうち、凝縮管の幅方向の断面において重力方向に対して直交方向の中心線よりも重力方向下方側に設けられ、該中心線よりも重力方向上方側には設けられていない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナの内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナの内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管と、前記凝縮管の外面に設けられた多孔質部材と、を備えることにより、凝縮管の外面に液相の一次冷媒が付着することを防止できるので、凝縮管の熱交換作用が向上して冷却装置の熱抵抗が低減され、結果、優れた冷却特性を発揮できる。
【0012】
本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の外面に、凝縮管の熱交換作用を向上させるため、すなわち、一次冷媒の気相から液相への相変化を促進させるために、気相の一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部が形成されていても、多孔質部材の毛細管力によって、液相の一次冷媒が凝縮管外面表面積増大部の表面張力等によって凝縮管の外面に保持されることを防止できる。
【0013】
本発明の冷却装置の態様によれば、多孔質部材が、凝縮管の幅方向の断面において重力方向に対して直交方向の中心線よりも重力方向下方側に設けられていることにより、多孔質部材自体による凝縮管の熱交換作用の阻害を防止しつつ、液相の一次冷媒が、円滑に凝縮管の外面から除去され、重力の作用によって多孔質部材からコンテナの内部に貯留した液相の一次冷媒へ円滑に還流される。
【0014】
本発明の冷却装置の態様によれば、多孔質部材が重力方向に沿って延出した延出部を有することにより、液相の一次冷媒が、多孔質部材からコンテナの内部に貯留した液相の一次冷媒へ、重力の作用によってより円滑に還流される。
【0015】
本発明の冷却装置の態様によれば、多孔質部材が凝縮管の外面に接していることにより、液相の一次冷媒が凝縮管の外面から多孔質部材へ速やかに流通することができる。
【0016】
本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の内面に、二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されていることにより、凝縮管の熱交換作用が向上して、一次冷媒から二次冷媒への熱伝達がより促進される。
【0017】
本発明の冷却装置の態様によれば、発熱体が熱的に接続されるコンテナの内面に、液相の一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が形成されていることにより、コンテナを介した発熱体から一次冷媒への熱伝達が円滑化される。従って、一次冷媒の液相から気相への相変化が促進されて、冷却特性がより向上する。
【0018】
本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体または粒子状の熱伝導性材料の集合体であることにより、コンテナ内面表面積増大部に多孔質部が形成されるので、一次冷媒の液相から気相への相変化がさらに促進されて、冷却特性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視図である。
図3】(a)図は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図、(b)図は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の内面を拡大した説明図である。
図5】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視図である。
図6】(a)図は、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図、(b)図は、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。
図8】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する平面断面図である。
図9】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図である。
図10】本発明の第5実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図である。
図11】(a)図は、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付ける前の正面視の説明図、(b)図は、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付けた後の正面視の説明図である。
図12】(a)図は、本発明の第7実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付ける前の正面視の説明図、(b)図は、本発明の第7実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付けた後の正面視の説明図である。
図13】本発明の第8実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。まず、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、図1は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視図である。図3の(a)図は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図であり、図3の(b)図は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視
図である。図4は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の内面を拡大した説明図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、コンテナ10と、コンテナ10内部に封入された一次冷媒20と、コンテナ10内部の気相部11を貫通した、二次冷媒30が流通する凝縮管40と、凝縮管40の外面41に設けられた多孔質部材200と、を備えている。コンテナ10の外面12に冷却対象である発熱体100が熱的に接続されることで、発熱体100が冷却される。
【0022】
コンテナ10内部には、中空の空洞部13が形成されている。空洞部13は、外部環境に対して密閉された空間であり、脱気処理により減圧されている。コンテナ10の形状は、特に限定されないが、冷却装置1では、直方体となっている。
【0023】
図1に示すように、空洞部13には、所定量の液相の一次冷媒20が収納されている。液相の一次冷媒20は、コンテナ10内部に気相部11が形成できる体積量にて収納されている。空洞部13の重力方向下方側に、液相の一次冷媒20が存在し、空洞部13の重力方向上方側に、液相の一次冷媒20が収納されていない気相部11が形成されている。発熱体100の接続位置は、特に限定されないが、冷却装置1では、コンテナ10の外面12のうち、液相の一次冷媒20が存在する部位に、より具体的には、コンテナ10の底面16に、熱的に接続されている。発熱体100のコンテナ10への接続位置を上記部位とすることで、発熱体100から液相の一次冷媒20への熱伝達が円滑化されて、発熱体100から一次冷媒20への熱抵抗を低減できる。
【0024】
凝縮管40は、管状部材であり、凝縮管40の内部空間を二次冷媒30が流通する。凝縮管40は、コンテナ10内部の気相部11を貫通している。凝縮管40は、発熱体100が熱的に接続される部位におけるコンテナ10の内面15よりも重力方向上方に位置している。凝縮管40の内部空間は、コンテナ10の内部(空洞部13)とは連通していない。すなわち、凝縮管40の内部空間は、気相部11とは連通していない、気相部11から独立した空間となっている。また、凝縮管40は、重力方向下方側に収納された液相の一次冷媒20とは接触していない。すなわち、液相の一次冷媒20は、二次冷媒が収納された凝縮管40とは接触していない。凝縮管40の幅方向(すなわち、径方向)の断面形状は、特に限定されないが、冷却装置1では、略円形となっている。
【0025】
コンテナ10のうち、気相部11に対応する部位に貫通孔(図示せず)が形成されており、該貫通孔に凝縮管40が嵌挿されることで、空洞部13の密閉状態を維持したまま、凝縮管40がコンテナ10に取り付けられている。凝縮管40の本数は、特に限定されず、冷却装置1では、複数の凝縮管40、40・・・が、設けられている。冷却装置1では、複数の凝縮管40、40・・・が積層配置されている。冷却装置1では、凝縮管40が多層(図1では2層)に配置されており、液相の一次冷媒20側に配置された複数の第1凝縮管40-1、40-1・・・と、第1凝縮管40-1の重力方向上方に配置された複数の第2凝縮管40-2、40-2・・・とが設けられている。複数の第1凝縮管40-1、40-1・・・は、相互に略同一平面状に並列配置され、複数の第2凝縮管40-2、40-2・・・は、相互に略同一平面状に並列配置されている。
【0026】
また、コンテナ10の気相部11における第1凝縮管40-1の延在方向は、第2凝縮管40-2の延在方向と同じでも異なっていてもよいが、冷却装置1では、第1凝縮管40-1の延在方向は、第2凝縮管40-2の延在方向と異なっている。気相部11において、第1凝縮管40-1の延在方向は、第2凝縮管40-2の延在方向に対して、略直交方向となっている。
【0027】
凝縮管40には、液相の二次冷媒30が凝縮管40の延在方向に沿って一定方向に流通している。従って、二次冷媒30は、凝縮管40の壁面を介して、気相部11を貫通するように流通する。二次冷媒30は、例えば、発熱体100の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却されている。
【0028】
図2に示すように、冷却装置1では、凝縮管40の外面41に、凹凸等、凝縮管40の外面41の表面積を増大させることで、気相の一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部43が形成されている。凝縮管外面表面積増大部43が形成されていることにより、凝縮管40の熱交換作用が向上して一次冷媒20の気相から液相への相変化が促進される。結果、一次冷媒20から二次冷媒30への熱伝達がより促進されて、冷却装置1の冷却特性がさらに向上する。凝縮管外面表面積増大部43は、気相の一次冷媒と接触する外面41全体に形成されていてもよく、外面41の一部領域(例えば、外面41の重力方向下方側)にのみ形成されていてもよい。
【0029】
凝縮管外面表面積増大部43は、例えば、型を用いた凝縮管40の成形、凝縮管40とは別部材を凝縮管40の外面41に取り付けることで設けることができる。凝縮管外面表面積増大部43の態様としては、特に限定されず、凝縮管40の外面41に形成された複数のフィン、凝縮管40の外面41に形成された複数の突起、凝縮管40の外面41に形成された複数の溝、窪み等を挙げることができる。フィンの形成方法としては、特に限定されず、例えば、別途作製したフィンを凝縮管40の外面41に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法が挙げられる。また、突起の形成方法としては、例えば、別途作製した突起を凝縮管40の外面41に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、凝縮管40の外面41を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝の形成方法としては、例えば、凝縮管40の外面41を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。
【0030】
図2の凝縮管外面表面積増大部43では、凝縮管40の外面41上に複数の薄板状のフィン47、47・・・が並列配置されている。より具体的には、図2の凝縮管外面表面積増大部43では、各フィン47は、凝縮管40の外面41上を凝縮管40の周方向に沿って立設されている。凝縮管外面表面積増大部43では、複数のフィン47が凝縮管40の長手方向に所定間隔で並列配置されることでフィン列48が形成されている。凝縮管40が、上記のような凝縮管外面表面積増大部43を有することで、気相の一次冷媒との接触面積が増大して、凝縮管40の外面41の熱交換作用が向上して、一次冷媒の気相から液相への相変化が促進される。フィン47の材質としては、例えば、銅、銅合金等の金属を挙げることができる。
【0031】
また、図1、2に示すように、コンテナ10内部における凝縮管40の外面41には、毛細管力を有する多孔質部材200が設けられている。多孔質部材200は、凝縮管40の長手方向、すなわち、二次冷媒30の流通方向に沿って延在している。また、多孔質部材200は、凝縮管40の外面41、より具体的には、凝縮管外面表面積増大部43であるフィン47に接している。
【0032】
図3(a)、(b)に示すように、多孔質部材200は、凝縮管40の外面41のうち、凝縮管40の幅方向の断面において重力方向Gに対して直交方向の中心線Lよりも重力方向下方側に設けられている。多孔質部材200は、中心線Lよりも重力方向上方側には設けられていない。冷却装置1では、フィン47のうち、重力方向下方側の部位を研削して平坦部47’を形成し、平坦部47’に多孔質部材200を取り付けることで、多孔質部材200が、凝縮管外面表面積増大部43に接した状態となる。上記から、多孔質部材200は、凝縮管40のうち、コンテナ10の内部に貯留した液相の一次冷媒20の液面に対向した凝縮管40の部位(凝縮管40の底部49)に設けられている。冷却装置1で
は、凝縮管40のうち、底部49以外の部位、すなわち、凝縮管40の両側面部と上部には、多孔質部材200は設けられていない。上記から、凝縮管40のうち、凝縮管40の両側面部と上部では、凝縮管外面表面積増大部43であるフィン47が露出し、凝縮管40の底部49では、多孔質部材200が露出している。
【0033】
凝縮管40の幅方向の断面における多孔質部材200の形状は、特に限定されないが、図3(a)、(b)に示すように、冷却装置1では、上記断面の形状は略T字状となっている。多孔質部材200には、重力方向Gに沿って延出した延出部201と、凝縮管40の幅方向であって、重力方向Gに対して直交方向に沿って延在した基部202と、を有している。延出部201は、基部202の幅方向中央部から重力方向Gに沿って延出している。延出部201、基部202ともに、シート状である。
【0034】
多孔質部材200としては、例えば、シート状部材を挙げることができる。シート状部材を折り曲げ加工することで、上記断面の形状が略T字状である多孔質部材200とすることができる。また、多孔質部材の種類としては、例えば、銅、銅合金等の金属からなる金属メッシュを挙げることができる。また、多孔質部材200を平坦部47’に取り付ける方法は、特に限定されないが、例えば、溶接、はんだ付け、ろう付け等を挙げることができる。
【0035】
凝縮管40の熱交換作用によって気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、凝縮管40の外面41に付着し、また、凝縮管外面表面積増大部43であるフィン47間に表面張力等によって保持されるところ、冷却装置1では、凝縮管40の外面41に設けられた多孔質部材200の毛細管力によって、凝縮管40の外面41や凝縮管外面表面積増大部43に保持された液相の一次冷媒20が多孔質部材200へ流通する。これにより、凝縮管40の外面41や凝縮管外面表面積増大部43に液相の一次冷媒20が保持されることを防止できる。このように、冷却装置1では、凝縮管40の外面41や凝縮管外面表面積増大部43に液相の一次冷媒20が保持されることを防止できるので、凝縮管40を介した気相の一次冷媒と二次冷媒30間の熱交換特性が向上する。一次冷媒20と二次冷媒30間の熱交換特性が向上することで、冷却装置1の熱抵抗が低減され、結果、冷却装置1は、優れた冷却特性を発揮できる。
【0036】
また、冷却装置1では、多孔質部材200が、凝縮管40の幅方向の断面において重力方向Gに対して直交方向の中心線Lよりも重力方向下方側に設けられていることにより、多孔質部材200自体による凝縮管40の熱交換作用の阻害を防止しつつ、液相の一次冷媒20が、円滑に凝縮管40の外面41から除去され、重力の作用によって多孔質部材200からコンテナ10の内部に貯留した液相の一次冷媒20へ円滑に還流できる。さらに、冷却装置1では、多孔質部材200が重力方向Gに沿って延出した延出部201を有することにより、液相の一次冷媒20が、多孔質部材200からコンテナ10の内部に貯留した液相の一次冷媒200へ、重力の作用によってより円滑に還流できる。また、冷却装置1では、多孔質部材200が凝縮管40の外面41(凝縮管外面表面積増大部43)に接していることにより、液相の一次冷媒20が凝縮管40の外面41から多孔質部材200へ速やかに流通することができるとともに、多孔質部材200も気相の一次冷媒と二次冷媒30間の熱交換に寄与することができる。
【0037】
また、図4に示すように、冷却装置1では、凝縮管40の内面42には、凹凸等、凝縮管40の内面42の表面積を増大させることで、凝縮管40の内面42と二次冷媒30との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部44が形成されている。凝縮管内面表面積増大部44が形成されていることにより、凝縮管40の熱交換作用が向上して、一次冷媒20から二次冷媒30への熱伝達がより促進される。
【0038】
凝縮管内面表面積増大部44は、例えば、型を用いた凝縮管40の成形、凝縮管40とは別部材を凝縮管40の内面42に取り付けることで設けることができる。凝縮管内面表面積増大部44の態様としては、特に限定されず、凝縮管40の内面42に形成された複数の突起、凝縮管40の内面42に形成された複数の溝、窪み等を挙げることができる。突起の形成方法としては、例えば、別途作製した突起を凝縮管40の内面42に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、凝縮管40の内面42を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝の形成方法としては、例えば、凝縮管40の内面42を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。冷却装置1の凝縮管内面表面積増大部44では、内面42に複数の溝が螺旋状に形成されている。
【0039】
また、図1に示すように、第1実施形態例に係る冷却装置1では、コンテナ10の内面15のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域には、凸凹等、コンテナ10の内面15の表面積を増大させる部位であるコンテナ内面表面積増大部50が形成されている。コンテナ内面表面積増大部50が形成されていることにより、コンテナ10の内面15のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域において、コンテナ10の内面15と液相の一次冷媒20との接触面積が増大する。従って、コンテナ内面表面積増大部50により、コンテナ10を介した発熱体100から液相の一次冷媒20への熱伝達が円滑化される。結果、一次冷媒20の液相から気相への相変化が促進されて、冷却装置1の冷却特性がより向上する。
【0040】
コンテナ内面表面積増大部50は、コンテナ10に収納された液相の一次冷媒20中に浸漬されている。従って、コンテナ内面表面積増大部50は、液相の一次冷媒20と直接接している。コンテナ内面表面積増大部50は、全体が液相の一次冷媒20中に浸漬されてもよく、一部が液相の一次冷媒20中に浸漬されてもよい。なお、冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50全体が液相の一次冷媒20中に浸漬されている。
【0041】
コンテナ内面表面積増大部50は、例えば、型を用いたコンテナ10の成形、コンテナ10とは別部材をコンテナ10の内面15に取り付けることで設けることができる。コンテナ内面表面積増大部50の態様としては、例えば、コンテナ10の内面15に形成された凸凹部を挙げることができ、具体例としては、コンテナ10の内面15に立設された薄板状フィン、ピンフィン、コンテナ10の内面15に形成された窪み部、溝部等を挙げることができる。薄板状フィン、ピンフィンの形成方法としては、例えば、別途作製した薄板状フィン、ピンフィンをコンテナ10の内面15に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、コンテナ10の内面15を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝部の形成方法としては、例えば、コンテナ10の内面15を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。なお、冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50として複数の正方形または長方形の薄板状フィンが並列配置されている。
【0042】
コンテナ内面表面積増大部50の材料は、特に限定されず、例えば、熱伝導性部材を挙げることができる。コンテナ内面表面積増大部50の材料の具体例としては、金属部材(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)、炭素部材(例えば、グラファイト等)を挙げることができる。また、コンテナ内面表面積増大部50は、その少なくとも一部が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体で形成されていてもよく、例えば、金属焼結体や炭素粒子の集合体で形成されていてもよい。金属焼結体や炭素粒子の集合体は、例えば、コンテナ内面表面積増大部50の表面部に設けてもよい。より具体的には、例えば、コンテナ10の内面15に立設された薄板状フィン、ピンフィン、コンテナ10の内面15に形成された窪み部、溝部等の表面部に、金属焼結体等の熱伝導性材料の焼結体や炭素粒子及び/または金属粉の集合体等の粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されていてもよい。コンテナ内面表面積増大部50の少な
くとも一部が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体で形成されていることにより、コンテナ内面表面積増大部50に多孔質部が形成されるので、一次冷媒20の液相から気相への相変化がさらに促進されて、冷却装置1の冷却特性がさらに向上する。コンテナ内面表面積増大部50が、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体からなると、コンテナ内面表面積増大部50全体が多孔質体となり、気相の一次冷媒が多孔質体中に生成、滞留することで、コンテナ内面表面積増大部50から液相の一次冷媒20への熱伝達性が十分得られないことがある。しかし、薄板状フィン、ピンフィン、窪み部、溝部等の表面部に、熱伝導性材料の焼結体や粒子状の熱伝導性材料の集合体が層状に形成されていることにより、一次冷媒20の液相から気相への相変化がさらに促進されつつ、コンテナ内面表面積増大部50から液相の一次冷媒20への熱伝達性が向上し、結果として、冷却装置1の冷却特性がさらに向上する。金属焼結体の材料としては、例えば、金属粉、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体、金属箔等を挙げることができる。これらの金属材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、金属焼結体の金属種としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金等を挙げることができる。金属焼結体は、金属材料を炉等の加熱手段で加熱することにより形成できる。また、金属粉を表面に溶射加工することで細かい凸凹を有する被膜状である、粒子状の熱伝導性材料の集合体を形成できる。また、金属粉をレーザー等で溶融形成して、粒子状の熱伝導性材料の集合体を形成してもよい。また、炭素粒子の集合体を形成する炭素粒子としては、特に限定されず、例えば、カーボンナノ粒子、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0043】
コンテナ10の材料としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。凝縮管40の材料としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。一次冷媒としては、特に限定されず、広汎な材料が使用でき、例えば、電気絶縁性の冷媒を挙げることができる。具体例としては、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。これらの一次冷媒のうち、電気絶縁性の点から、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコールが好ましく、フルオロカーボン類が特に好ましい。二次冷媒としては、特に限定されず、例えば、水、不凍液(主成分は、例えば、エチレングリコール)等を挙げることができる。
【0044】
次に、第1実施形態例に係る冷却装置1の動作及び冷却装置1を用いた冷却システムについて説明する。まず、冷却装置1の動作について説明する。
【0045】
コンテナ10の空洞部13に収納された液相の一次冷媒20が発熱体100からの熱を受けることで、液相から気相へ相変化し、発熱体100からの熱を潜熱として吸収する。気相へ相変化した一次冷媒は、コンテナ10の内部空間を重力方向上方へ移動し、コンテナ10の気相部11へ流入する。一方で、気相部11を貫通した凝縮管40には、低温の二次冷媒30が流通している。凝縮管40に低温の二次冷媒30が流通していることで、気相部11に配置された凝縮管40は、熱交換作用を発揮する。気相に相変化した一次冷媒は、凝縮管40の外面41に接触または接近することで、凝縮管40の熱交換作用により、潜熱を放出し、気相から液相へ相変化する。気相から液相への相変化の際に、一次冷媒から放出される潜熱が、凝縮管40を流通する二次冷媒30へ伝達される。また、液相へ相変化した一次冷媒は、重力の作用により、気相部11から重力方向Gへ液相の一次冷媒20として還流する。上記から、一次冷媒20は、コンテナ10の内部空間にて、液相から気相へ及び気相から液相への相変化を繰り返す。一次冷媒から熱を受けた二次冷媒30は、凝縮管40の延在方向に沿って冷却装置1の内部から外部へ流通することで、発熱体100の熱が冷却装置1の外部へ輸送される。
【0046】
次に、第1実施形態例に係る冷却装置1を用いた冷却システムについて説明する。冷却装置1を用いた冷却システムでは、冷却装置1と、冷却装置1から延在した凝縮管40が接続された二次冷媒冷却部(図示せず)とが用いられる。さらに、上記冷却システムでは、凝縮管40が冷却装置1と二次冷媒冷却部とをループ状に循環する、凝縮管40の循環経路が形成されている。一次冷媒から熱を受けた二次冷媒30が、凝縮管40を冷却装置1から二次冷媒冷却部まで流通して、二次冷媒冷却部にて所定の液温、例えば、発熱体100の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却される。二次冷媒冷却部で冷却された二次冷媒30は、凝縮管40を流通して二次冷媒冷却部から冷却装置1へ還流し、冷却装置1の気相部11にて熱交換作用を発揮する。従って、二次冷媒30が冷却装置1と二次冷媒冷却部とをループ状に循環することで、冷却された二次冷媒30が、連続的に気相部11の領域へ供給される。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第2実施形態例に係る冷却装置は、第1実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図5は、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視図である。図6の(a)図は、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図であり、図6の(b)図は、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の斜視図である。
【0048】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、フィン47のうち、重力方向下方側の部位を研削して平坦部47’を形成し、平坦部47’に多孔質部材200を取り付けていたが、図5図6(a)、(b)に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置2では、フィン47のうち、重力方向下方側の部位に、重力方向Gに沿って切り込み47’’を形成し、切り込み47’’に多孔質部材200が挿入されて、多孔質部材200が凝縮管外面表面積増大部43に取り付けられている。
【0049】
冷却装置2では、凝縮管40の幅方向の断面における多孔質部材200の形状は、略I字状となっている。多孔質部材200は、重力方向Gに沿って延出した延出部201を有しているが、凝縮管40の幅方向に沿って延在した基部202は有していない。冷却装置2では、凝縮管40の両側面部と上部で、凝縮管外面表面積増大部43であるフィン47が露出し、凝縮管40の底部49でも、フィン47が露出している。従って、冷却装置2は、第1実施形態例に係る冷却装置1と比較して、凝縮管外面表面積増大部43であるフィン47の露出面積が大きい。
【0050】
冷却装置2では、多孔質部材200自体による凝縮管40の熱交換作用の阻害をより確実に防止しつつ、液相の一次冷媒20が、円滑に凝縮管40の外面41から除去される。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第3実施形態例に係る冷却装置は、第1、第2実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1、第2実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図7は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する側面断面図である。図8は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する平面断面図である。
【0052】
図7、8に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置3では、多孔質部材200が設けられた凝縮管40に、二次冷媒30が貯留される二次冷媒貯留ブロック81が、さらに設けられている。凝縮管40には、複数のフィン47、47・・・からなる凝縮管外面表面積増大部43が形成されている。なお、冷却装置3は、凝縮管40以外の部位は第1実施形態例に係る冷却装置1と同じ構成としている。
【0053】
二次冷媒貯留ブロック81は、コンテナ10内部に設けられている。また、二次冷媒貯留ブロック81は、凝縮管40のうち、コンテナ10内部における凝縮管部45の二次冷媒30上流側端部(一端)に接続された第1の二次冷媒貯留ブロック81-1と、コンテナ10内部における凝縮管部45の二次冷媒30下流側端部(他端)に接続された第2の二次冷媒貯留ブロック81-2と、を有している。第1の二次冷媒貯留ブロック81-1、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2ともに、中空のブロック部材である。
【0054】
冷却装置3では、凝縮管40のうち、凝縮管外面表面積増大部43が形成され、多孔質部材200が取り付けられた凝縮管部45は、複数本(冷却装置3では4本)設けられ、複数の凝縮管部45、45・・・は、相互に略同一平面状に並列配置されている。一方で、凝縮管40のうち、コンテナ10外部における凝縮管部46は、1系統(すなわち、1本)となっている。上記から、凝縮管40は、二次冷媒貯留ブロック81の部位にて分岐された態様となっている。なお、凝縮管部46には、多孔質部材200は取り付けられていない。
【0055】
図7、8に示すように、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45・・・は、それぞれ、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1及び第2の二次冷媒貯留ブロック81-2と連通しており、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1と第2の二次冷媒貯留ブロック81-2は、それぞれ、コンテナ10外部における凝縮管部46と連通している。上記から、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1を介して、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45・・・の一端は、コンテナ10外部における凝縮管部46と連通している。また、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1を介して、複数の凝縮管部45、45・・・は、相互に連通している。同じく、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2を介して、コンテナ10内部における複数の凝縮管部45、45・・・の他端は、コンテナ10外部における凝縮管部46と連通している。また、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2を介して、複数の凝縮管部45、45・・・は、相互に連通している。
【0056】
図8に示すように、コンテナ10外部における凝縮管部46からコンテナ10内部へ流通した二次冷媒30は、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1内部へ流入後に所定時間貯留してから、それぞれの凝縮管部45、45・・・へ、分岐、流入する。それぞれの凝縮管部45、45・・・へ、分岐、流入した二次冷媒30は、それぞれの凝縮管部45、45・・・の一端から他端へ流れ、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2内部にて合流後に所定時間貯留してから、コンテナ10内部からコンテナ10外部における凝縮管部46へ流通する。第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の二次冷媒30の流入口、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の二次冷媒30の流出口の位置は、特に限定されないが、例えば、冷却特性の点から、平面視において発熱体100と重なり合う部位において二次冷媒30の早い流速が得られるように配置することが好ましい。図8では、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の二次冷媒30の流入口の位置は第1の二次冷媒貯留ブロック81-1の一方端、第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の二次冷媒30の流出口の位置は第2の二次冷媒貯留ブロック81-2の他方端に設けられている。
【0057】
また、二次冷媒貯留ブロック81は、コンテナ10と熱的に接続されている。冷却装置3では、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1及び第2の二次冷媒貯留ブロック81-2が、それぞれ、コンテナ10の内面15と接していることで、二次冷媒貯留ブロック81は、コンテナ10と熱的に接続されている。冷却装置3では、第1の二次冷媒貯留ブロック81-1及び第2の二次冷媒貯留ブロック81-2は、コンテナ10の側面14と接している。
【0058】
図7に示すように、二次冷媒貯留ブロック81が設けられている冷却装置3では、コン
テナ10の底面16に熱的に接続された発熱体100の熱Hは、発熱体100からコンテナ10の底面16へ伝達され、コンテナ10の底面16へ伝達された発熱体100の熱Hの一部は、コンテナ10の底面16から側面14へ伝達される。コンテナ10の側面14へ伝達された熱Hは、コンテナ10の側面14から二次冷媒貯留ブロック81中の二次冷媒30へ伝達され、受熱した二次冷媒30が二次冷媒貯留ブロック81からコンテナ10外部における凝縮管部46へ流通することで、発熱体100の熱Hが冷却装置3の外部へ輸送される。また、冷却装置3では、発熱体100の熱Hの一部はコンテナ10の底面16から側面14へ伝達されるので、コンテナ10の側面14が放熱部として機能する。
【0059】
上記から、冷却装置3では、二次冷媒貯留ブロック81が発熱体100の熱Hを二次冷媒30へ伝達する機能を有するので、冷却特性がさらに向上する。また、冷却装置3では、コンテナ10の側面14が放熱部として機能するので、冷却特性がさらに向上する。
【0060】
次に、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第4実施形態例に係る冷却装置は、第1~第3実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第3実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図9は、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図である。
【0061】
第2実施形態例に係る冷却装置2では、フィン47に切り込み47’’を形成し、切り込み47’’に多孔質部材200が挿入されていたが、図9に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置4では、フィン47のうち重力方向下方側の部位に切穴状の陥入部70が形成され、多孔質部材200が、陥入部70に挿入された線部材71と陥入部70にて狭持されている。多孔質部材200が線部材71と陥入部70にて狭持されることで、多孔質部材200が凝縮管外面表面積増大部43であるフィン47に取り付けられている。
【0062】
冷却装置4では、シート状の多孔質部材200が2つに折り曲げられた状態でフィン47に取り付けられ、多孔質部材200は、多孔質部材200が2つに折り曲げられた部位にて線部材71と陥入部70で狭持されている。従って、線部材71の外周面は、ほぼ、多孔質部材200によって覆われている。多孔質部材200が2つに折り曲げられた部位にて、線部材71と陥入部70で狭持されていることから、多孔質部材200は、重力方向Gに沿って延出した延出部201を2つ有し、2つの延出部201は、所定間隔にて配置されている。
【0063】
陥入部70は、凝縮管40の底部49に対応する位置に設けられている。陥入部70の正面視の形状は、特に限定されないが、冷却装置4では、略円形となっている。線部材71の正面視の形状は、特に限定されないが、冷却装置4では、略円形となっている。線部材71としては、例えば、中実の線材が挙げられる。また、線部材71の材質としては、例えば、銅線等の金属線を挙げることができる。
【0064】
次に、冷却装置4における多孔質部材200のフィン47への取り付け方法例を説明する。まず、フィン47のうち重力方向下方側の部位に切穴状の陥入部70を形成し、2つ折りにした多孔質部材200の折り曲げ部を重力方向下方側から陥入部70へ挿入する。次に、線部材71を凝縮管40の延在方向に沿って陥入部70へ挿入する。このとき、多孔質部材200の折り曲げ部が線部材71の外周面を覆うように、線部材71を陥入部70へ挿入することで、多孔質部材200をフィン47へ取り付けることができる。切穴状の陥入部70の形成方法としては、例えば、放電加工が挙げられる。また、必要に応じて、線部材71の陥入部70への挿入を容易化するために、線部材の先端を研磨して鋭利な先端部としてもよい。
【0065】
冷却装置4では、凝縮管40の外面41に保持された液相の一次冷媒20が、多孔質部材200の毛細管力によって、凝縮管40の外面41から多孔質部材200へ移動するので、液相の一次冷媒20は、円滑に凝縮管40の外面41から除去される。液相の一次冷媒20は、重力の作用によって2つの延出部201を重力方向下方へ流れ、多孔質部材200からコンテナ10の内部に貯留した液相の一次冷媒20へ円滑に還流できる。従って、冷却装置4では、凝縮管40の外面41や凝縮管外面表面積増大部43に液相の一次冷媒20が保持されることを防止できるので、凝縮管40を介した気相の一次冷媒と二次冷媒30間の熱交換特性が向上する。
【0066】
次に、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第5実施形態例に係る冷却装置は、第1~第4実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第4実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図10は、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図である。
【0067】
第4実施形態例に係る冷却装置4では、線部材71と陥入部70で狭持されている多孔質部材200は、重力方向Gに沿って延出した延出部201を2つ有し、2つの延出部201は所定間隔にて配置されていたが、図10に示すように、第5実施形態例に係る冷却装置5では、2つの延出部201は所定間隔を設けずに、直接、接した状態で延在している。2つの延出部201が直接接した状態とすることで、線部材71の外周面がより確実に多孔質部材200によって覆われる。冷却装置5では、2つの延出部201全体が直接接した状態となっている。
【0068】
冷却装置5における多孔質部材200のフィン47への取り付けは、第4実施形態例に係る冷却装置4と同様の方法にて行うことができる。
【0069】
2つの延出部201が直接接した状態であることにより、多孔質部材200の液相の一次冷媒20に対する保持特性が低減するので、液相の一次冷媒20は、より円滑に凝縮管40の外面41から除去される。
【0070】
次に、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第6実施形態例に係る冷却装置は、第1~第5実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第5実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図11の(a)図は、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付ける前の正面視の説明図、(b)図は、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付けた後の正面視の説明図である。
【0071】
第4実施形態例に係る冷却装置4では、多孔質部材200が、陥入部70に挿入された線部材71と陥入部70にて狭持されていたが、図11(b)に示すように、第6実施形態例に係る冷却装置6では、多孔質部材200が、径方向に圧縮された状態で陥入部70に挿入された管部材72と陥入部70にて狭持されている。多孔質部材200が圧縮された管部材72と陥入部70にて狭持されていることで、多孔質部材200が、凝縮管外面表面積増大部43であるフィン47に取り付けられている。
【0072】
冷却装置6では、シート状の多孔質部材200の一端部がフィン47に取り付けられ、多孔質部材200は、多孔質部材200の一端部にて、径方向に圧縮された管部材72と陥入部70で狭持されている。従って、冷却装置6では、管部材72の外周面の一部領域が、多孔質部材200と接している。多孔質部材200が一端部にて、管部材72と陥入部70で狭持されていることから、多孔質部材200は、重力方向Gに沿って延出した延
出部201を1つ有している。
【0073】
陥入部70は、凝縮管40の底部49に対応する位置に設けられている。陥入部70の正面視の形状は、特に限定されないが、冷却装置6では、略円形となっている。管部材72の正面視の形状は、特に限定されないが、冷却装置6では、略円形となっている。管部材72としては、例えば、銅線等の金属線を挙げることができる。
【0074】
次に、冷却装置6における多孔質部材200のフィン47への取り付け方法例を説明する。図11(a)に示すように、まず、フィン47のうち重力方向下方側の部位に切穴状の陥入部70を形成し、シート状の多孔質部材200の一端部を重力方向下方側から陥入部70の入口へ配置する。次に、陥入部70と略同等の径を有する管部材72を用意し、管部材72を重力方向下方側から多孔質部材200の一端部に配置する。次に、圧縮治具300を重力方向下方側から管部材72に当接させる。次に、圧縮治具300を重力方向上方側へ移動させ、管部材72を径方向に圧縮させながら陥入部70へ圧入する。このとき、管部材72の径方向の形状が、陥入部70の形状に対応するように変形することで、図11(b)に示すように、多孔質部材200が管部材72と陥入部70で狭持された状態となり、フィン47へ取り付けることができる。切穴状の陥入部70の形成方法としては、例えば、放電加工が挙げられる。
【0075】
冷却装置6では、凝縮管40の外面41に保持された液相の一次冷媒20が、多孔質部材200の毛細管力によって、凝縮管40の外面41から多孔質部材200へ移動するので、液相の一次冷媒20は、円滑に凝縮管40の外面41から除去される。液相の一次冷媒20は、重力の作用によって延出部201を重力方向下方へ流れ、多孔質部材200からコンテナ10の内部に貯留した液相の一次冷媒20へ円滑に還流できる。従って、冷却装置6では、凝縮管40の外面41や凝縮管外面表面積増大部43に液相の一次冷媒20が保持されることを防止できるので、凝縮管40を介した気相の一次冷媒と二次冷媒30間の熱交換特性が向上する。また、冷却装置6では、多孔質部材200が圧縮された管部材72と陥入部70で狭持されているので、多孔質部材200と凝縮管外面表面積増大部43間の接続強度が向上する。
【0076】
次に、本発明の第7実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第7実施形態例に係る冷却装置は、第1~第6実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第6実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図12の(a)図は、本発明の第7実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付ける前の正面視の説明図、(b)図は、本発明の第7実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管外面表面積増大部に多孔質部材を取り付けた後の正面視の説明図である。
【0077】
第6実施形態例に係る冷却装置6では、シート状の多孔質部材200の一端部がフィン47に取り付けられ、管部材72の外周面の一部領域が多孔質部材200と接していたが、図12(b)に示すように、第7実施形態例に係る冷却装置7では、シート状の多孔質部材200の一端部とその近傍がフィン47に取り付けられ、従って、管部材72の外周面全体が多孔質部材200と接している。
【0078】
管部材72の外周面は、多孔質部材200に巻かれた状態となっている。従って、管部材72の外周面は、多孔質部材200に覆われている。
【0079】
冷却装置7における多孔質部材200のフィン47への取り付け方法は、例えば、図12(a)に示すように、まず、フィン47のうち重力方向下方側の部位に切穴状の陥入部70を形成し、陥入部70と略同等の径を有する管部材72を用意する。次に、シート状
の多孔質部材200の一端部とその近傍を管部材72の外周面に巻いて、重力方向下方側から陥入部70の入口へ配置する。次に、圧縮治具300を重力方向下方側から多孔質部材200を巻いた管部材72に当接させる。次に、圧縮治具300を重力方向上方側へ移動させ、多孔質部材200を巻いた管部材72を径方向に圧縮させながら陥入部70へ圧入する。このとき、管部材72の径方向の形状が、陥入部70の形状に対応するように変形することで、図12(b)に示すように、多孔質部材200が管部材72と陥入部70で狭持された状態となり、フィン47へ取り付けることができる。
【0080】
冷却装置7でも、凝縮管40の外面41に保持された液相の一次冷媒20が、多孔質部材200の毛細管力によって、凝縮管40の外面41から多孔質部材200へ移動するので、液相の一次冷媒20は、円滑に凝縮管40の外面41から除去される。また、冷却装置7では、液相の一次冷媒20が、重力の作用によって延出部201を重力方向下方へ流れる際に、管部材72の外周面全体から多孔質部材200の延出部201へ流れることができるので、液相の一次冷媒20は、多孔質部材200からコンテナ10の内部に貯留した液相の一次冷媒20へより円滑に還流できる。また、圧縮された管部材72の外周面は多孔質部材200に巻かれた状態となっているので、多孔質部材200と凝縮管外面表面積増大部43間の接続強度がさらに向上する。
【0081】
次に、本発明の第8実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第8実施形態例に係る冷却装置は、第1~第7実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第7実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図13は、本発明の第8実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の部位の正面図である。
【0082】
第2実施形態例に係る冷却装置2では、フィン47のうち、重力方向下方側の部位に、重力方向Gに沿って切り込み47’’を1つ形成し、1つの切り込み47’’に1つの多孔質部材200が挿入されて、多孔質部材200が凝縮管外面表面積増大部43に取り付けられていた。すなわち、冷却装置2では、凝縮管外面表面積増大部43に1つの多孔質部材200が取り付けられていたが、図13に示すように、第8実施形態例に係る冷却装置8では、切り込み47’’を2つ形成し、2つの切り込み47’’にそれぞれ1つずつの多孔質部材200が挿入されて、多孔質部材200が凝縮管外面表面積増大部43に取り付けられている。従って、凝縮管外面表面積増大部43に複数の多孔質部材200(2つの多孔質部材200)が取り付けられている。
【0083】
また、第2実施形態例に係る冷却装置2では、多孔質部材200は凝縮管40の底部49に設けられていたが、図13に示すように、冷却装置8では、多孔質部材200は、中心線Lよりも重力方向下方側であるが、凝縮管40の底部49よりも重力方向上方側に設けられている。
【0084】
冷却装置8では、2つの多孔質部材200、200は、別体であり、相互に接していない。また、2つの多孔質部材200、200は、略同じ高さであって略左右対称となる位置にて、フィン47に取り付けられている。
【0085】
冷却装置8では、凝縮管外面表面積増大部43に複数の多孔質部材200が取り付けられていることで、液相の一次冷媒20は、より円滑に凝縮管40の外面41から除去される。また、冷却装置8では、液相の一次冷媒20が、重力の作用によって延出部201を重力方向下方へ流れる際に、複数の多孔質部材200の延出部201へ流れることができるので、液相の一次冷媒20は、多孔質部材200からコンテナ10の内部に貯留した液相の一次冷媒20へより円滑に還流できる。
【0086】
次に、本発明の冷却装置について、他の実施形態例を説明する。上記第1~第7実施形態例では、多孔質部材は、凝縮管の底部に設けられていたが、これに代えて、凝縮管の底部以外の部位にも設けられていてもよく、例えば、凝縮管の底部から側面部にかけての部位に、多孔質部材が設けられていてもよい。また、第1実施形態例では、多孔質部材の断面の形状は略T字状であり、多孔質部材の延出部は多孔質部材の基部の幅方向中央部から重力方向に沿って延出していたが、これに代えて、多孔質部材の延出部は基部の幅方向端部から重力方向に沿って延出していてもよく、また、重力方向に沿って延出する延出部を有さなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の冷却装置は、凝縮管の熱交換作用を向上させることで熱抵抗が低減できるので、広汎な分野で利用可能であり、例えば、中央演算処理装置(CPU)等、回路基板に搭載された発熱量の大きい電子部品を冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0088】
1、2、3、4、5、6、7、8 冷却装置
10 コンテナ
11 気相部
20 一次冷媒
30 二次冷媒
40 凝縮管
43 凝縮管外面表面積増大部
200 多孔質部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13